○刈田貞子君 時間がだんだんなくなってまいりましたので私の言い分の方から先に言わしていただきますが、経済企画庁はそういうふうに一生懸命やり始めてくださってもう三、四年になるわけですけれども、それを受けて立つ方の、つまり
学校教育という場面を使っての消費者
教育に関して
文部省の受け入れ方がなかなかテンポが進まないというのが私どもが持っておる実感でございます。これについて、実は本
年度の
予算委員会のときにも海部文部
大臣にいろいろお伺いをしたわけでございますけれども、きょうは消費者
教育という漠としたテーマよりはもっと話を具体的にいたしまして、私は消費者信用
教育ということでひとつ具体的に話を絞って
文部省の側にお伺いをしてみたいと思います。
キャッシュレス時代とかあるいはカード時代というようなことが言われる今日、クレジットカードの発行数が九千八百五万枚だそうでございます。それからキャッシュカードは一億枚とも言われております。それからまた、各家庭におきまして可
処分所得に占める消費者信用割合はどんどん増加をしております。これは
日本消費者信用統計の八六年版で、なおかつ五十九年の実態しかわからないんですけれども、家計の可
処分所得に占めるいわゆる消費者信用の割合、これは一五・四六%ぐらいになっているわけです。つまり、そういう時代になりましたということでございます。私は、こうした実態、社会の実態を踏まえて、
子供の世界はどうなっておるのであろうかということを調べました。
これは品川区のある中学二年生の二
クラスを調べてまいりました。今あなたが持っているカードは、ということでございます。その中で、
子供たちはカードを持つのが今当たり前の顔をしておりまして、カードは彼らの必帯品であるという感覚を私は持ちました。これは八十二人でございます、一
クラスが四十一人で二
クラス八十二人分。テレホンカード五十八人、オレンジカード九人、キャッシュカード十八人、クレジットカード二人、あとこれ以降彼らの言うカードというのが続きます。図書カード二十八人、レコードカード三十人、ビデオカード十八人。診療カードというのも持っております、六十四人。洋服カードというのもあるようでございます、三十四人。カードをいっぱい持っているのが格好いいんだそうです。ダンキンドーナッツのカードもありました。というふうに
子供たちはカードをたくさん持っているんです。非常に私は実はびっくりしたんです。こんな
状況ではないと思いました。
それで、東京都から資料をもらいまして、「児童・
生徒への各種カードの浸透の
状況」というのを調べてあったのをもらいました。それで見ますと、テレホンカードは、持っていますだけに限って言いますと、小学生で八九・五%。それからオレンジカードは「知っていますか。」「持っていますか。」「使ったことがありますか。」「ほしいですか。」という四
段階で聞いておりますが、持っているのだけを言います。オレンジカード二〇・九。キャッシュカード、小学生ですよ、一六・二%です。クレジットカードはさすがに一・〇です。しかし持っている。ここで私は注目したいと思ったのは、最後の「クレジットカードがほしいですか。」という質問でございます。「ほしいですか。」の質問に対して、小学生が四〇%クレジットカードが欲しいと答えております。中学生が五一%欲しいと言っております。キャッシュカード、中学生二一・五%、高校生になりますとキャッシュカードは五四・〇%、皆必帯いたしております。まさにカード時代の
子供たちの実態がこの数字の中から私はうかがえるというふうに思うんでございます。
そこで私はお伺いをするんですが、私が消費者
教育の質問をいたしますと、
文部省はいつでも、児童、
生徒の発達
段階に応じてこれを進めるというふうにお答えになられますし、どの場面でもこれが出てくるんです。しかし、
子供たちはこれだけ発達してしまっている。むしろ
教育はいつも後から追いかけていくのが
現実ではないかということです。
こうしたカード時代の中のカードというものに対する認識を
子供たちがどんなふうに持っておるかということも、これはアンケートではなくじかに話をしながら聞いてみますと、彼らには契約意識というようなものは一切ございません。アメリカの契約
教育に関する実態を私も視察してきました。ヨーロッパもしてまいりました。しかし、
日本の
子供たちの意識の中にこの契約意識というのがまことにないわけであります。
大学生とも話をしたことがございます。そのときに、二者契約はわかるけれども、三者契約、四者契約という
意味はわからない
大学生がおるんです。こういう実態について、私はどうしてもやはり、せめて消費者信用にかかわってもうちょっと真剣に
文部省の側から
教育のあり方を進めていただきたいと思いますけれども、いかがでしょう。