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1986-12-10 第107回国会 参議院 環境特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         曽根田郁夫君     理 事                 関口 恵造君                 丸谷 金保君                 高桑 栄松君     委 員                 青木 幹雄君                 石井 道子君                 石本  茂君                 原 文兵衛君                 星  長治君                 宮崎 秀樹君                 田渕 勲二君                 渡辺 四郎君                 広中和歌子君                 沓脱タケ子君                 近藤 忠孝君                 山田  勇君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  稲村 利幸君    政府委員        防衛庁参事官   千秋  健君        環境庁長官官房        長        山内 豊徳君        環境庁企画調整        局長       加藤 陸美君        環境庁企画調整        局環境保健部長  目黒 克己君        環境庁自然保護        局長       古賀 章介君        環境庁大気保全        局長       長谷川慧重君        環境庁水質保全        局長       渡辺  武君    事務局側        第二特別調査室        長        菊池  守君    説明員        防衛施設庁総務        部調停官     鈴木  杲君        大蔵省主計局主        計官       武藤 敏郎君        厚生省生活衛生        局水道環境部環        境整備課長    加藤 三郎君        林野庁業務部経        営企画課長    塚本 隆久君        通商産業省機械        情報産業局自動        車課長      中川 勝弘君        資源エネルギー        庁長官官房鉱業        課長       松田 憲和君        運輸省運輸政策        局総合計画課長  浅見 喜紀君        運輸省航空局飛        行場部計画課長  堀井 修身君        建設省都市局下        水道部公共下水        道課長      辻  栄一君        自治省行政局行        政課長      濱田 一成君    参考人        日本道路公団理        事        窪津 義弘君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (公害及び環境保全対策に関する件)     ─────────────
  2. 曽根田郁夫

    委員長曽根田郁夫君) ただいまから環境特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  公害及び環境保全対策樹立に関する調査のため、本日の委員会日本道路公団理事窪津義弘君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 曽根田郁夫

    委員長曽根田郁夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 曽根田郁夫

    委員長曽根田郁夫君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  5. 丸谷金保

    丸谷金保君 先日、環境保全長期構想というのが大臣に提出されまして、これによって、ここ十年くらいの間の環境行政に対する一つ方向づけがなされてくるということになろうかと思います。ずっと読ましていただいて、従来の指針との違いというふうなものは極めて明確に出ております。これについては各紙ともにこのことを取り上げて、例えば絵にかいたもちのようなものでないかとか、あるいはまた、幾ら立派なことを書き並べても実現されなければ意味がない、そしてそのおそれが少なくないと、こういうふうな表現で論評をしております。  内容的には新しい発想等も入っておりまして、何といいますか、従来の指針に見られたような具体的な段階での環境破壊に対する保全というふうなことでなくて、それを全体としてとらえていくというようなことが出されておりますが、それにしても指針のときのような、具体的にここまでやっていくんだという、これが今度はない。世論も大変その点を危惧しております。しかし、絵そらごとにしないためには、大変文章としては立派にできておりますので、まず大臣に、やっぱりいろいろこういうことをやっていく場合に、この構想の中にもありますように、各省庁とのいろいろな問題もありましょうし、企業との問題もあります。この構想を実現していくためには、時には他の省庁大臣は刺し違いするくらいの腹を持ってもらわなきゃならぬので、この構想を実現していくためのまず大臣決意のほどをお聞かせいただきたい。
  6. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 昨日環境庁構想として、幹部会議を開きそれを決定を見ましたが、今先生指摘のような社説等も私も拝見しまして、絵にかいたもちにしては断じてならない。また、各省庁との調整機関ということで、積極性を欠く嫌いがあるではないかという御指摘をも十分踏まえまして、この長期構想が本当に環境保全国民の健康を守るために具体的にこれから約十年間にわたる将来の指針として、国民から信頼を得られるような方向で頑張ってまいりたい、こう心しております。
  7. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣のとにかく単なる絵そらごとに終わらせないようにやっていきたいという決意のほどはわかったんですが、今度はその中身について具体的にひとつ御質問を申し上げていきたいと思っております。  このまず最初の一ページに、しかしながら、今日においても、窒素酸化物による大気汚染閉鎖性水域における水質汚濁の目標をいまだ達成できないでいると。六十年までに達成しようとしてもできないでおりますね。きょうはこういう反省もしているわけですから、これ達成するためにどうするのかということで、特に窒素酸化物等によるところの大気汚染の問題に絞ってとりあえずまず御質問申し上げたいと思います。  それで、これは私は地球的な規模における環境 破壊、こういうものをどうするかという大きな理念がまず必要であるということで、実は資料要求等もいたしておりました。その後この構想を拝見いたしまして、確かにこの中にも書いてあるんです。例えば「地球生態系保全」というふうな問題が三十二ページに出ております。ところが二十四ページでは、そういう生態系保全をしていくために今の制度では、野生生物取引規制等についての制度も検討していかなきゃならない、こういうことなんですね。これはこのつい何日かマスコミをにぎわしております、本来ワシントン条約によりまして輸入してはならないものを買ってきて、国内で飼育されているという状況が見つかって問題になっておりますね。それから言うと、もう検討するんでなくて規制法律をつくる、こうでなければならないんで、ここで言うこれから検討するというふうなことではちょっともう手ぬるいと思うんです。いいですか。こういうところに構想自体の甘さがあるんです。大臣ひとつ、大臣の方へもいっていることだし、それぞれ至急法律をつくらなきゃならぬというふうなお考えもあるようですが、これは構想には検討するとなっているけれども、もう近々法律つくるんだというはっきりしたお答えをいただきたいと思います。
  8. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) これについては先生の御指摘のとおり、私自身余りにも抽象的であるし、今先進国として我が国が世界に問う上において、現状のままでは正直残念な事態であることを認識して、私も長官に就任以来、通産省、特に大臣委員長も親しい政策研究グループの仲間ですので、個人的にそういう方向で話をし心を開いていただいています。そして、現に中曽根総理にも、丸谷先生の御指摘をいただいたことで前々回の閣議のときに私自身も申しまして、精力的にこの問題を早く次の通常国会で物にできたらという意欲を申し上げたところでございます。
  9. 丸谷金保

    丸谷金保君 私は今一例挙げましたが、今大臣がそれだけはっきりおっしゃるけれども構想ではやっぱり絵そらごとなんですね、法律としてするというようなことないんですよね。要するに「制度について検討を行う必要がある。」、結局この程度なんです。全文を流れるものがそういうことではやっぱり困るので、一つ一つもう少しはっきりとこの構想を実現するための手順をできるだけ早い機会にお示しいただかないと、これだけ読んだんではやっぱり絵そらごとという感じがするんですよ。いかがですか。
  10. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) ただいま先生の御指摘はそのとおりだと存じておりまして、大臣のただいま述べられました決意を踏まえながら、おっしゃるとおり、あくまでこれは長期を展望しました構想ということでございます。ただ、そういう基本的な哲学というと、ちょっとお口幅ったいわけでございますが、基本的な物の考え方、多角的なアプローチ、そういうものがこの多様化時代にあっては、こういうベースをまず持って臨まなければならぬというのが今回の長期構想の骨子をなしておるものですから、いささか具体的に一つ一つのものについては具体性がどうしても欠けておるという点は御指摘のとおりでございます。  ただいま大臣からもお答えいただきました事例もございますように、それぞれの分野において、あるいはそれぞれの事項ごとに、御承知のとおり環境庁のレパートリー非常に広うございますので、非常に幅の広い構想になっておりますが、その中で適時適切に具体化あるいは数量的なねらいもつけつつ進めてまいりたい、その際には関係省庁並びに地方自治体と密接な連携のもとに進めてまいりたい、先生の御指摘、御注意を念頭に置きながら進めてまいりたいと思っております。
  11. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは日弁連なんかからも意見書が出ているんですが、大気汚染健康被害との関係の評価、これらの問題について、いわゆる公害病患者というふうなものについての行政は、新規のものはなかなか認めないということで、一歩後退しているということで、被害者の会その他から大変問題が出ております。そういう点ひとつ何といいますか、今の構想にもありますように、窒素酸化物やなんかの問題、あるいはNOx問題等について積極的にひとつ対応してもらっていかなきゃならぬじゃないか、こう思うのです。  それで、きょうは具体的にメタノールの問題について取り上げさしてもらいたいと思うのですが、メタノール大変NOx関係については非常に少ないというふうなことで、既に運輸省総合計画課エネルギー対策室からメタノール自動車導入報告書というのが出ております。これらを読んでそのほかの資料も見ますと、メタノール自動車というのは早急に採用するような方途を講ずれば、ある程度都市におけるNOxの問題が減少するんじゃないかということがどうも明らかなような気がするのです。これらについてはいかがなものでしょうか。
  12. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  メタノール自動車につきましては、先生からお話ございましたように、いろんなところで調査研究が進められておる段階でございますが、その研究段階におきます成果につきましては、先生からただいまお話ございましたように、NOxにつきましてはかなりの量の排出量を減らすことができる、あるいは黒煙等についてもかなりの効果があるというような結果が出ているところでございまして、それらのことを踏まえまして、私ども関係省庁とも連絡をとりながらその実施に向かっての調査研究を鋭意進めている段階にございます。
  13. 丸谷金保

    丸谷金保君 鋭意調整に努めているというふうなことですが、これは報告にもありますけれども、多少現在の何というんですか、石油に比べてそう価格差もないんじゃないかということがこの報告時点ではありました。しかし、それから円高になっていますからね、天然ガスなんかも下がってはいるでしょうけれども、この価格差は、多少また逆に言うと出てきているかもしれません。しかし、大気汚染の問題と取り組む環境庁としては経済のことも大事ですけれども、やっぱり企業経済論理でない論理でこの問題に取り組んでいただかないと前進しないんです。  運輸省、来ておりますね。おたく対策室報告、これからは一年ほどたちましたから客観的な情勢も多少変わっていると思うんですが、この時点でももう既に導入可能な機器の開発はできているわけですし、経済的にもある程度いけると、全部とは言えませんけれども、こういうことについては、これ以降の作業工程というのはどういうふうに進んでいるんですか。
  14. 浅見喜紀

    説明員浅見喜紀君) お答えいたします。  運輸省におきましては、今先生からも御指摘がございましたように、都市公害の防止、特にNOx対策あるいは黒煙対策という面、それからもう一つは、運輸部門におきます石油代替エネルギー導入といったような観点から、これまでもメタノール自動車普及努力をしてきているところでございます。  それで、具体的にどういうことをやっているかといいますと、いろいろな研究機関等に委託して調査等もいたしてございますが、運輸省といたしましては、メタノール自動車普及ということを考えますと、これは営業用トラックなりバスなりにまず導入していこうという考え方でございまして、運送事業者等に対するメタノール自動車信頼性を高めるということが非常に重要ではないかと考えておりまして、それからメタノール自動車のいろいろな走行上のデータなどを得ることも目的といたしまして市内走行試験ということを実施いたしております。ことしに入りまして何回か予備的な走行試験を実施してきておりますが、近くメタノール自動車、具体的にはトラックでございますが、これを約三十台ほど使いまして、実際にトラック運送事業者貨物運送の用に供するという形での本格的な走行試験を実施する予定にいたしております。
  15. 丸谷金保

    丸谷金保君 通産省の方は何かこれ五年くらいかけて十分導入について検討するというような意見のようですが、いかがなんですか。
  16. 中川勝弘

    説明員中川勝弘君) お答え申し上げます。  私どもメタノール自動車開発につきまして は、石油代替エネルギー開発という観点、それから先生指摘のように環境保全の改善ということで研究を進めております。昨年の六月には関係業界を集めまして、この普及開発方針につきまして基本的な方針を定めまして、この基本的な考え方に基づきまして、昨年度からいろんな技術的な問題を含めまして、例えば低温で始動しやすいかどうか、あるいは引火爆発性があるかどうかというふうな実証試験を含めまして研究を進めておるところでございます。車種によりまして若干開発研究のスケジュールに差異はございますが、できるだけ早急にメタノール自動車実用化を図るべく努力をしているところでございます。
  17. 丸谷金保

    丸谷金保君 どうもできるだけ早急にやっているように見えないんですがね。大臣ね、例えばディーゼル、一番今NOxの問題、それから黒煙の問題でもディーゼルトラック、これだけでも全部メタノールに変えるというふうなことが可能になれば、これだけでも東京NOxの問題は随分私は解決すると思うんで、ひとつ環境庁の方においても、残念ながら大気汚染、特に窒素酸化物等についてはできなかったとかと言わないで、積極的に国務大臣としてこの問題について頑張っていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  18. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 環境庁といたしましては、ただいま各省でそれぞれ走行実験等をやっているわけでございますが、環境庁におきましては、このメタノール自動車における排出ガスの実態についての調査を六十年から三カ年計画でやっているところでございます。現在のところ毎年各車種別に実際に走らせまして、自動車から排出されますCOなりHCNOx、あるいはアルデヒド、黒煙といいますものについて調査を進めている段階にございます。その結果につきましては、かなりいい成績を得ているところでございますので、関係各省の動きと合わせまして、環境庁としても前向きに取り組んでまいりたいというぐあいに考えております。
  19. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは企業の方ではやっぱり公害問題、大気汚染の問題がもっと大変になってきたら困るというので、それぞれみんな研究をしているはずなんです。しかし、行政の側からそういうことについて強いあれがないものですから、まあ研究をしていよいよになったら切りかえられるけれども、できればせいぜい今のうちに自動車排ガスたれ流して、稼げるうちに稼げというふうなことになりますから、東京NOxの問題というのは、もうどうしようもないところにきているわけです。まさにこの構想で言うように、もう加害者被害者であるというふうなことになってきている状態の中で、まず隗より始めよで、こういうところを積極的にやっていただきたいことのまず要望を一つしておきます。  それから次に、PCBの問題もあるんですが、先にちょっと知床のことに実は入りたいと思います。  大臣知床までおいでになって、現場も実地に入られて、しかも帰ってきて精力的にそれぞれ各省庁との間での調整をされて、とりあえずしばらく中止をして、その間に生態系を調べると。こういうことになった経緯は私たちもよくわかっておるんです。私も実は多少の択伐は仕方がないと思っていたんです。思っていたというのは、林野庁の話を聞いておりますと、老廃木その他というふうなものは、ある程度もう樹齢の来ているようなものを整理していくことが森林活性化になっていくという面は一部にありますから、そういう話を聞いておったんですが、実は大臣が行かれたときのこれ、北海道新聞の写真見たんです。大臣が立っておって、後ろの木に印が巻いてあるんですよ。これを見て私はびっくりしたんです。何だ、これじゃ林野庁の言っていることと違うじゃないかと。このミズナラは、まだ見たところ樹齢二、三百年ですよ。まだまだ成長期で、これはまだドングリがたくさん落ちるんです。クマなんかでも、動物は皆それを食べるんですよ。こういうまだ成長期の木を切ることになっているんです。これはおかしいなと思って、それから調べてみたんです。だから全然これは、もう決してそんな森林活性化のためにやるなんというきれいごとでなくて、何のことはない、要するに林野会計として少しでもお金を上げなきゃならないからという視点からの施業計画だということがわかったんです。これは大変だと思いましたら、これについては道も同意をしていると、こういうことなので、一体どうして同意したのかなと。環境庁の方から、法に基づいた北海道知事に対する施業計画案についての意見をとっておるんです。これに対して、施業案に異議がないという道が指示出しているんですがね、環境庁も出しているんです。  環境庁は、道の方は道の方で聞きますけれども、一体この施業計画の中で、五割以上が特別保護地区で切られると。施業計画では、特別保護地区で五割以上切ることになっているんです。この施業計画ですよ、知床の。阿寒国立公園管理事務所長から北海道知事に出した照会、これに同意できるかという照会を見ますとね。それでこういう地域がずっと――これは五割くらいの、国立公園面積ですね、面積です、切るんじゃなくて。その中で、ですからこれだけ見ますと、この施業計画で見ると、実際の毎木等についての木じゃなくて、必要最小限度伐採を行うということになっているんです。この必要最小限度というのは一体何なのか、要するに森林活性化のための必要最小限度なのか、歳入を上げるための必要最小限度なのかということがよくわからないんですが、これ林野庁どうなんですか、来ておると思うんですが。
  20. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) お答えいたします。  私ども知床国立公園の中で伐採計画いたしておるわけでございますが、これは当然ここに生えております広葉樹につきまして一部を利用するということがございます。またその反面、伐採した跡につきましては、そうした稚樹を育てて活力のある森林にしてまいりたいと思っております。通常こうした択伐につきましては、材積にいたしまして二〇%から三〇%の抜き切りをするわけでございますが、知床国立公園ということもございまして、風致に特に配慮するという立場から、このたびの森林の取り扱いにつきましては蓄積の五、六%を切ると、こういうふうに非常に風致的に配慮した施業を行うと、そういうことでございます。
  21. 丸谷金保

    丸谷金保君 これ、配慮してこれだけいい木を切るんですか、こんないい木を。あなたたちが見たらわかるでしょう。僕らのような素人でさえも多少山のことには――森林経営なんかやっていますと、これが樹齢何年くらいというのは、この写真を見ただけで気がつくんです。こんな木をどんどん切っていかれたら、たまったものじゃないですよ。どうなんです、これ。老齢木でも何でもないでしょう。いい木ねらい撃ちじゃないですか、これじゃ。
  22. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) 先ほど申し上げましたように、私どもここで択伐計画しておるわけでございますが、択伐基本と申しますのは、大径木を切りまして、その跡に若い木の成長を促進する、こういうことが林業技術基本となっております。特に今回、自然環境保全に配慮する意味から、この地域につきましては、林道をつけずにヘリコプターで搬出をすることになっておりますので……
  23. 丸谷金保

    丸谷金保君 聞いてわかっているんだ。質問にだけ答えてちょうだい。
  24. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) いい木が切られておるということは事実でございます。しかし、大径木をすべて切るというわけじゃなく、ただいま申し上げましたように、中大径木のうちごく一部について切るということでございますので、その点については御理解を賜りたいと思っております。
  25. 丸谷金保

    丸谷金保君 これ地元で聞いてみますと、今おたくは一部について切るというようなことだけれども、やっぱり金になるような木をもっぱら切るというんだよ、金になるような木を。森林活性化のために、日ごろあなたたちが言っているように、時には択伐必要なんだと、老齢木その他は切らなきゃならぬこともあると、そういうこととは全く違うじゃないですか。それ違うということは 認めますね。
  26. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) 択伐につきましては、林業技術の上ではいい木を切って、その跡に若木を育てて森林を長い目で再利用していくと、こういうことでございますので、いい木を切るということは当然あろうかと思っております。
  27. 丸谷金保

    丸谷金保君 大臣、これは要するに森林活性化のために、腐ったような、それからもう成長のとまった木を切るのでなくて、成長の途中の木を切るんです。これは森林保護という点からいっても私は非常に問題があると思うんです。というのは、特にそのうちほとんどがミズナラが多いんです。センノキ、イチイもありますけれども、調べてみますと。ミズナラというのは、ワインやウイスキーのたるになるので私よく知っているんです。いいですか。世界的にももう不足してきているんです。ヨーロッパはもう本当なくなりまして、今ほとんどカナダが中心なんです、ホワイトオーク。このミズナラもそういう点ではそういうたるになるんです。非常に高く売れる貴重な木なんです。非常に貴重な木なんです。そうしますと、成長途中で切っていくということは、そろばん勘定からだけでも非常に無理なつじつま合わせをしているなという感じがいたします。  私は池田町で、やはり自然林がありまして、ミズナラがありますので、ここだけは何百町か残しておこうと、手をつけないで。世界じゅうにたるの材が不足したときに、最後に十勝ワインのたるとして便わなきゃならぬからなと。こういうことで、百年でも二百年でも子孫のために残そうということで、地方財政いろいろあるけれども、切らないで残しておいた経験があるからぴんとくるんです、これ。こんなものを今切るというのは、ある意味で言うと、けしからぬことなんです。しかし、その論議はまた別にやります。  ただ、こういう成長期のものを切りますと、実がよくつくんです、こういう木の方が。そうすると、それを野生動物は食べるわけです。ですから切るとそれだけえさが減るんですよ。えさが減るときの生態系への影響、これは調査をするということになっていますが、こんなものがこの冬の間にできるはずがないんです。冬の間に野生生物の生態の調査をして、そしてとにかく三月か四月までには事業を実施するなんということは絶対に大臣とめてください。こんなことできないんですから。いかがですか。
  28. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 先生今言われましたように、林野庁におきまして動物調査をこれから実施をするわけでございます。その調査の結果を待って伐採について判断をするということでございますので、私どもはその調査の結果、林野庁において十分環境面の配慮をされた上での措置をおとりになるものと期待をいたしております。
  29. 丸谷金保

    丸谷金保君 この構想で、野生動物の保護については十四ページで、鳥獣の保護対策ということでうたっていますわね。こういう立場から積極的に林野庁なり農水省と話し合っていただきたいし、大蔵省とも実はこれ話し合っていただかなきゃならぬと思う。林野庁がどうしても切らなきゃならぬという気になっているのは、一つは六十一年度の知床伐採計画の中で、収支見込みで約五千六百万円の収益を上げる、このために切らなきゃならないんです。そうですね、林野庁。どうですか、ちょっと答弁してください。
  30. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) 収益を上げることももちろんこれは必要なことでありますが、私ども森林の取り扱いについては、保存すべきところは保存し、利用すべきところは利用する、こういうことでございまして、知床の現在の地域につきましては、自然環境保全と木材の生産とが共存できる地域である、ここにおいて生産をする、こういう考え方でございます。
  31. 丸谷金保

    丸谷金保君 収益を上げるためだけではないというのですか。そういうことですね。
  32. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) 収益を上げ、その後に当然活力ある林地をつくり上げていく、こういうことでございます。
  33. 丸谷金保

    丸谷金保君 やっぱり五千六百万という歳入を確保するということが第一の目的でしょう。大蔵省来ていますね。これは特別会計ですけれども最後は大蔵省なんですよね。大蔵省が五千六百万くらいで、こういう全国的な問題になっているところだから、これらの歳入欠陥についてはやむを得ないんじゃないかというような考え方があれば、林野庁は無理しないと思うんですが、どうなんですか大蔵省は。
  34. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 先生御承知のとおり、国有林野事業特別会計は、林産物の販売収入等の業務収入をもちまして支出を賄うということになっております。いわゆる独立採算制を採用しておるわけでございまして、毎年度の予算もこの原則のもとで編成されておるわけでございます。  ただ、この原則のもとでどのような伐採計画を立てて実施していくかということにつきましては、個々の地域の実情等に即しまして林野庁において御判断いただくべきものというふうに考えております。
  35. 丸谷金保

    丸谷金保君 確かに特別会計で収支をその会計の中で賄っていくということは必要なんです。ただ、特に収支に乗らないような問題が出た場合には一般会計で現在も補てんしていますでしょう。補てんしている面があるんです。ですから五千六百万、これは収支に上げる気になっても、例えば鳥獣調査というふうな問題をきちんとやることになれば、本年度は事業を実施することは私は無理だと思うんです。そうすると、歳入欠陥が出るから林野庁としてはやはりそれはやらなきゃならぬ。そうすると大蔵省が国の全体的な立場から見て、環境庁の言うような鳥獣保護、こういうふうな立場から、これは十分な調査をしなきゃならぬということになれば、別途大蔵省としても、そういう事情があるなら、これは林野庁だけの事情じゃないんだから林野庁だけ責めても仕方がないんです。そういう場合に、やはり大蔵省がちゃんと面倒見てやるということでなければ、林野の行政はこれ突っ走らざるを得ないことになっちゃって、環境庁がいかに構想で立派なことを書いても絵そらごとになる。こういう順序になっていくので、大蔵省としてもそういう点での認識をもう一遍――特別会計はわかっています。しかし事情によっちゃ出しているんですから、採算ベースに合わないことだって、林野行政の中で普通の企業と違ってやらなきゃならぬことがあるんですから、いかがですか、そういう配慮というのはできる可能性もあるんでしょう。
  36. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 国有林野事業は、先生の御指摘がございましたようないわゆる公益的機能といいますか、そういうものも含めた上で独立採算制の原則に立っておるわけでございます。ただ、そういう点に私どもも十分留意いたしまして、厳しい財政事情のもとではありますけれども、一般会計から繰り入れを行っておるところでございまして、現在約百十億程度の一般会計負担がございます。今後経営改善計画をやっていくことが当面の課題になっておりますけれども、そういう際にやはり自主的な改善努力というものが基本になるわけでございまして、一般会計に安易に依存するということは現在の財政事情から考えまして非常に困難ではないかというふうに考えております。
  37. 丸谷金保

    丸谷金保君 林野庁が安易に依存するんでないんですよ。何とかひねり出そうとしてこんなところまで手をつけようとしているんです。しかも地域の思惑からヘリコプターで材料運ぶんですよ。ヘリで材料運ぶとなれば、林道つけないで運ぶとなれば、それはやっぱり相当な値段の高い木でなかったらヘリで運ぶ値打ちないですよ、そうでしょう。そんな苦労しているんです、林野庁は一方では。したがって、ヘリで運ぶためには、まだ成長期で、もう百年も置きゃもっともっと国益にもなるような木でも仕方がない切らざるを得ない。これはもう林野の技術屋さんだったら、泣く泣く切る計画ですよ、惜しいなと思う木を。だからそういう場合には、これでたった五千六百万ですよ。こういう程度のことは十分やはり大蔵省として配慮してもらわないと、我々が何ぼ林野だけけしからぬけしからぬと言っても始まらないんだという ことを大蔵当局の方でも理解をしておいていただきたい。出す出さないじゃなくて、そういう理解をひとつお願いをしたいと思います。  それで大臣大臣が農林大臣ともあれして、とにかく鳥獣の保護が済むまではこの問題一時保留にしてやると、これは地元も大変喜んでいるんです。現場まで入ってくれるとも思ってなかった。中にまで入ってくれたということなんです。ただ、そういうことなんですが、これ調査がまだやってないんですよ。やってない理由はなぜかというと、こういうことなんです。羅臼で民家に――隣の村ですわね、同じ国有林の中でクマが出てきて被害があったんです。人の被害はなかったんですが、家の中が荒らされた。こういうことがあったので、調査メンバーの中の一人から、ヒグマの穴ごもりが始まるまでの間おっかなくて入れないと、こういうことなんです。だから調査時点がずれているんですよ、いいですか。ただでさえ短い調査期限の中で、クマが穴に入るころになったら雪が降って、野生動物の調査なんてものはできないんですよ。問題はたくさんあるんです。まずえさの問題だってできませんし、今のようなああいう木をどんどん切ったら、あれで一体何キロのドングリがそのために不足になるのか、そうすれば、それは野生動物の何匹が生き残るだけのえさが減るのか、全体の総体として見ていかなきゃならぬわけです。保護鳥だけじゃないですね、フクロウだけでないんです。それが生き延びるためには、そのえさになる小動物がいなきゃならぬし、その小動物が生きるためには、やはり自然林の中におけるさまざまな林業の恩恵を受けていかなきゃならぬわけです、えさから何から。これがクマが穴ごもりしている間に調べようで調べられるはずがないんですよ。こういう点ひとつ十分理解して農林省との間でもっと詰めていただかないと。これやらないことになっているんです、しばらく。わずかの時期で、雪の一番ひどい時期、これじゃ地元の人たちも、せっかく大臣が来て決めて、ああよかったと思ったら、何のことだと、これじゃもう結論見えているでないかと。  私はここで名前言いませんが、ある人は今のような調査メンバー、こう言いました、御用学者に調査されたんじゃ結論見えていると。クマが怖くて山に入れない連中がどうして生態の調査ができるんだと。御用学者と言っていいのかと言ったら、いいと。メンバーはそういうメンバーだと言うんです、いいですか。ここら辺大臣しっかり据えていただかないと、知床問題でせっかく行っていただいたのに、最後に結局何のことだになりますので、そこのところよく理解していただきたい。いかがでしょう。
  38. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 今、丸谷先生の御意見調査期間、方法、そういうものは林野庁、農水省にお任せしておりますが、林野庁国民の納得のいただける方向でやっていただけると私は確信、信じたいのでございます。
  39. 丸谷金保

    丸谷金保君 信じたいというのは願望ですわね。そうならないような問題がたくさんあるんです。これはひとつ事実かどうか知りませんけれども、これは調査をしておいていただきたいということにしたので調査していると思いますが、過日斜里町の役場で、北見の営林署とそれから自然保護団体、理事者というふうなのが集まって話し合いを持った。この中で、この伐採が天然記念物の三種の鳥を初めとする野鳥や動物に影響しないとする根拠があれば示してほしいという畑正憲さんの意見に対して、営林支局の大前総務部長は、その根拠を全く示さぬまま伐採しながら調査するという、常識では考えられないような回答をしている、こういう記事です。  それから、自然保護団体の方が伐採を一年間凍結して調査の先行をするという案を出すや否や、大前総務部長は憤然と席を立ち二階へ引き揚げてしまった。話し合いでなくて、これだったら、都合の悪いことを聞いたら、さっさと二階へ引き揚げたというんだから、このときにはあれでしょうね、林野庁の営林支局の会場の場合でしょうね。北海道自然保護協会が出てきている話し合いの場でこういうこと。しかもこのときは、支局長がいながら代理の総務部長を出した。これ、林野庁事実関係調べてくれというの、事実これはあったんですか。
  40. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) 自然保護関係者の方々とはこれまで数度にわたりまして話し合いの場を持ち、あるいは営林支局側が計画変更案を示すなど誠意をもって対処してきたと思っております。ただ、ただいまお話にありましたことにつきましては、大きな流れとしてはそのとおりじゃなかったかというふうに思っております。  しかし、いろいろその後調べてみますと、この種の自然保護団体との話し合いにつきましては、部長が代表者としてこれまで交渉に当たっていたということもございまして、当日もそういう結果になったのであろうというふうに思います。また当日の会合は、営林支局側が自然保護団体側に示しました変更計画案についての自然保護側からの回答をいただく場でございましたが、そこで営林局の変更案を受け入れられない旨回答がございましたので、早急に事後の対策を検討するためにあのような結果になったのではなかったかと。しかし、いろいろ今後誤解を与えることのないよう気をつけてまいりたいと思っております。
  41. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは示した案に対してイエスかノーだけ言えと、そういう会合だったと。だから、ノーと言ったから、その後の話は聞かないでもいいから引き揚げたと。今おたくの言うことはそういうことですわね。
  42. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) 変更案については大分前に提示をいたし、十分検討した上で答えていただいたということでございます。
  43. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、この日はこういうことなんですよね。話し合いが十六日と決められていたけれども、支局の方の都合で十七日になった。私は札幌で講義があったから困ったなと思ったけれども、支局長の方からたっての願いなので、講義の方を犠牲にして出てきたと言うのですね。それに対して、話し合いじゃなくて、イエスかノーかだけで、後の代案を出して説明をしようとしたら、さっさと立っちゃったと。やっぱりこれじゃ話し合いに地元ならないんです、そんな態度ではね。こういう点は林野庁も改めてもらわなきゃならぬし、こういう現地の状況だということを大臣も理解をしておいていただきたいと思います。それだから結局、調査員に対しても不信なんです。自然保護団体なりあるいは環境庁なりからもだれかちゃんとしかるべき人を入れればいいんですがね、林野庁の方に任して、向こうだけで選ばしたんじゃ、もう答えは決まっていると。ところが、これは環境庁からとったんですが、知床の鳥獣保護区に生息する鳥類と獣類、こんな小さい字で書いても、こんなにたくさんいるんです、何百と。これが全部の生態系の中で回っているわけですよね、大きいのから小さいのからね。大きな動物が死ぬ、それにまたアリがたかる。こういうふうなことで全体が回っていくわけです。これがこんな降雪の最中のわずかな期間で調査ができると。するとすれば、やはりそれは知床のしかるべき人です。僕は、この人は名前言ってもいいと言っていましたけれども、あえてきょうはここで名前言いませんが、皆さんも知っているような方です。御用学者の調査では困ると。それと、何と言おうと財源を上げるためにだけの施業計画であって、あとのことはつけ足しなんだと。それではせっかくの構想が泣いてしまいますので、さらに農水大臣とはいわず、もっと詰めていただきたいと思いますが、いかがでしょう、大臣
  44. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 先生大変重ねて御指摘をされました点につきまして、十分心して私も取り組みたいと思います。
  45. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃ次は池子弾薬庫の問題をお伺いしたいんですが、建設省にお伺いしますけれども、逗子市の下水道の区域、この中には現在問題になっている池子弾薬庫跡地は入っていないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  46. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 現在の計画では、弾薬庫跡地は計画に入っておりません。
  47. 丸谷金保

    丸谷金保君 防衛庁来てますね。ここで、池子の問題で、市側で代案を立てて、今また代案なんか聞くことないという林野庁お話でございますけれどもね、何か代案を持って話し合いたいというふうなうわさも聞くんですが、そういううわさ聞いておりますか。
  48. 鈴木杲

    説明員(鈴木杲君) お答えいたします。  新聞報道等で、現在逗子の市長が代案を出したいという趣旨のことを述べておられるということは承知しておりますけれども、現在池子米軍家族住宅建設に係る代替案は提出されているという事実はございません。
  49. 丸谷金保

    丸谷金保君 自治省、この下水道事業というのは、市長がこの事業の執行者ですね。
  50. 濱田一成

    説明員(濱田一成君) 下水道の所管につきましては、自治省が直接の所管ではございません。
  51. 丸谷金保

    丸谷金保君 いや、市長が責任者ということになるんですか。
  52. 濱田一成

    説明員(濱田一成君) 市町村が下水道を行うということになっているわけでございます。
  53. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、下水道の処理区域を拡大する場合に、ここは区域に入ってないので、拡大する場合にはこれは区域を広げなければならないんです、私も経験ありますけれども。この場合にはこれは議会の議決事項でしょうか。どうでしょうか、建設省の方。区域を変更する場合に申請出しますわね、建設省に。
  54. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 下水道の体系では、区域の拡大につきましては下水道管理者の判断でやるということになっておりまして、議会の議決を要するということにはなっておりません。
  55. 丸谷金保

    丸谷金保君 議決、要するに申請書類は市長の判だけで、議会の議決書がつかなくてもいいということなんですね。  自治省にお伺いしたいんですがね、区域を拡大する場合には、それぞれの施行市町村なら市町村が決めるということになっておるんです。決めるという場合には、市長だけの判断でなくて、団体意思を必要としないでしょうか。
  56. 濱田一成

    説明員(濱田一成君) 事柄は下水道法の運用の問題でございまして、この法の解釈につきましては所管省の判断というものがあると思うわけでございます。なお、団体意思の決定ということにつきましては、市町村長限りで行う場合もありますし、また議会の議決を経て定めるという場合もあるわけでございますが、これは一般論でございまして、下水道法の解釈といたしましては、これは所管省の方で立法を、あるいは解釈をされておるということでございます。
  57. 丸谷金保

    丸谷金保君 建設省にお伺いしますが、下水道事業の場合、それぞれの市町村が決めると。決めるという場合には通常条例等で区域を変更するというのが――区域を決めるときも条例が必要なんですよね。そうすると当然拡大するときも条例が必要なんですが、そういうものは全くなくていいとお考えですか、どうなんです。
  58. 辻栄一

    説明員(辻栄一君) 条例で決めますのは、いろいろ下水道の管理、運営等をやりますのを細かく決めておこうということでございまして、計画をする段階におきましては下水道法の事業認可を得るということになっておりまして、これは下水道事業管理者の判断で出されるということになっております。ものによりましては管理者の判断でいろいろ議会の方と事実上協議なさっておられるところもあろうかと思いますけれども法律上はそういうことになっております。
  59. 丸谷金保

    丸谷金保君 防衛庁、今お聞きになったように、大体市長の判断でできるというんです。いいですか。そうしますと、逗子市の場合に、家建てるでしょう。あそこへ米軍住宅を建てるとあなた方は言っているんだから、建てると。建てる場合に、下水道をつなぐというのは市長の判断だ。しかもそれは区域をまず建設省に申請して認可をもらわなきゃならない。いいですか。認可の書類出すのも市長なんですよ。そうしましたら、これやっぱり話し合いをして円満に解決していかなきゃ、こんなもの十年戦争になりますよ。そういうことをきょうはただお伝えだけしておきます、そういうことあるんですよと。まさかアメリカの軍人さんの家族が下水道もないようなところでということにはならぬだろうし、そうしますと、まあ区域外流用ということもありますがね、区域外流用にしても何にしても、やっぱり市長と相談しなきゃならない。いいですか。  それで長官、実はここで文化財の問題が出てきたんです。これは文化庁の問題ですがね。総合的にはやっぱり逗子の場合は環境を守るというところからきているんです。逗子のあの弾薬庫、これは環境委員会で鎌倉の方から私たちも行って見ましたけれども、去年ですか見たことありますがね。もうずっと周りが住宅で、横浜、逗子、鎌倉、あそこのところだけ残っているんです。そういう環境破壊されることに対する逗子の市民の非常な心配があるんです。だから本来は、やっぱりこの構想にある自然環境保全というふうな問題にもつながってくる。環境庁としても、おれたち知らないでは済まない。本来がいい環境を守っていこうとする運動がいろいろぶつかり合っているということをまず理解をしていただきたいと思います。  時間の関係もありますので、文化庁の方の要するに文化財の問題はちょっときょうはやめて飛ばします。以上、そういうことをまず御理解をしておいていただきたいということだけきょう申し上げておきます。  それで次に、逗子の問題は、この弾薬庫の問題なんですよね。防衛庁にちょっとお聞きしたいんですがね。もともとはその弾薬庫に反対して、そしてあそこでは、弾薬庫のときには何か事故なんかも起きて、市民が大変何といいますか心配になって、弾薬庫撤去してくれというような運動があったりして、そして、それが撤去された跡が、今度は住宅の問題で騒ぎになっているわけです。  ところが今、北海道でも足寄町というところに弾薬庫ができるということで、地元でちょっとした騒ぎになってきているんです。一番心配なのは、なぜかというと、これのまず面積が決まってないということです。林野庁にも聞きましたが、最初入ってなかった計画に今度は国有林がある程度入ることになったんです。それで地元では、最初はあそこへ弾薬庫入れるというところにも農家があるんですが、山林も持っているんです。これらが送電線に土地高く売ったものですから、弾薬庫を民有林のところにつくってくれるんなら、これはこの際土地を高く売れるから賛成だというふうな意見も大分強かったんですが、国有林の方も使うとなったら、おれたちの土地買ってくれなきゃ反対だと、こういうふうになってきているんですよ。  それから、最初から反対している人たち意見を聞きますと、とにかく弾薬庫のあるところから二百メーターか三百メーター離れたところ辺につくるらしいと。作戦上の都合ということで、規模もわからなきゃどんな物入れるかもわからないと。どかんときた場合には大変だと。大体予定されている――変更変更してますけれども、こういう環境の問題にも絡んできているわけなんですよ。どういうのができるかわからぬから非常に心配だという不安があるんです。何キロか離れたところ辺まで爆発でもしたら破片が飛んで町も大変じゃないかというふうな心配もあるんです。これは防衛庁どうなんですか、計画は進んでいるんですか。
  60. 千秋健

    政府委員(千秋健君) お答え申し上げますが、ただいま先生指摘の足寄町の問題でございます。これにつきましては、実は従来、地元の足寄町の方から、五十三年ごろから自衛隊の駐屯地をぜひ持ってきてほしいというような陳情要請があったところでございますが、私どもとしてそういう現体制、現時点におきましては部隊の拡張とかそういうことはありませんので、そういう新たな駐屯地の設置というのは非常に難しいということでお断りしてきましたところ、五十八年に至りまして、今度は弾薬庫でもいいからぜひ設置してほしいという陳情が出てきております。私ども防衛庁としましては、現在のところ弾薬庫の設置につきましては、将来の不足等を見込みまして、逐次弾薬庫の拡張といいますか、そういうことはやって おるわけでございますが、この足寄町につきまして、現在のところまだ新たにそこに弾薬庫を設置するというような具体的な計画を持っているわけではございません。しかし、そういう御要望もありましたこともありまして、そこが将来果たして弾薬庫となるかどうか、そういう具体的な候補地になり得るか、適当な候補地になり得るかどうかの調査をやってみようということで、今年度そこの取得可能性の調査は実施しておりますが、そういう計画といいますか、設置する計画等具体的なものをまだ何も決めているわけじゃございません。
  61. 丸谷金保

    丸谷金保君 防衛庁さん、これは最初は施設部隊の誘致運動だったんですよね。施設部隊が来れば人口もたくさんふえると。それはいいことだというやつがいつの間にか弾薬庫になっちゃった。それで、それはあくまで形は地元からの陳情、今度の弾薬庫も地元からの陳情ですわね。しかし、実態はそうでないんですよ。おまえのところに施設大隊くらい何とかなるんではないかという、やっぱり帯広に自衛隊がありますから、ここらのしかるべき人からのささやきがあるんです、いつでも。それで町はその気になっちゃうわけ。施設部隊というのは大変人も余計いるし、いいということでその気になっちゃうんですよ。それでだんだん一生懸命運動してたけれども、これは途中でだめだと言われて、じゃしようがないから、何でもここまでやってきた者としては、何か持ってこなきゃ、自衛隊を誘致するんだと言った以上何か持ってこなきゃならぬというので、しようがない、弾薬庫でもいいということに変わってくる。  この苦い経験が私もあるんです。あわせて申し上げますがね、池田町でも昭和三十一年に渡河演習場というのができた基地の町なんです。そのとき議会も議決しているのです、誘致の。ところが、議決は施設部隊の議決なんですよ。それで私は三十二年に町長になりましたが、そのとき前町長は自衛隊にだまされたと私に何回も言いましたよ。施設部隊を持ってきてくれるからということで一生懸命になって自衛隊に頼って相談していたら、最後は人は一人も来ない渡河演習場、古川の渡河演習場の民地を買ってくれという話になっちゃった。民地を買って、一生懸命やれば施設大隊もそのうちにという、そういううまい話に乗せられたというのですよ。これはまあなくなったんであれですが、私の記憶にあるので間違いがあるかないかと思って今回調べてみましたら、議決書が施設大隊で出てきたんです。施設部隊を誘致する議決書で、それが渡河演習場になっちゃったんです。だから前町長の言ったこと間違いないと思った。だって施設部隊というはっきりした名前を出した議決を議会でするからには、そういう話がなかったらするはずないんです。だから、今度足寄もやっぱりまたそのでんだなと思った。  これは自衛隊さんに特に環境にも影響する問題として絡んでよく考えておいていただきたいのは、池田町でも今また国鉄がなくなって二千人ほど減ったら、商人は購買力が減って生活も困ることになるので、わらにもすがる気持ちでまた自衛隊をというふうな運動が起きるわけです。起きる陰には必ず帯広の自衛隊の何がしかの人から足寄はいいぞ、池田はいいぞ、豊頃はいいぞというふうな話が逆にあるんです。あるからそういう運動をする連中は本気にして、いいですか、本気にして、運動すれば来るんだという気になるんですよ、みんな。これは、だからそういう本気になる人たちを笑えないんです。これは、過疎地の人口の減少している町村に住んだことのない者に、東京じゃわからないんです。だから北海道で二百三十の市町村のうち百八十も自衛隊誘致の決議をしているのです。それは決議するのは勝手だと言えば勝手ですが、何にもないところにそんな決議なんかしないんです。調べてみれば必ずそういう話があるんです、だれだれからだれだれに。今度の足寄の場合だって、最初は施設大隊というふうな話があった。池田町の元町長がだまされたというのも、議会が議決までしているんですから。首かしげたってだめなんだよ。何にも根拠がないのに施設部隊誘致の議決なんてするはずがないです、自衛隊誘致という一般論でないんですから。また今度そういう話になってきている、そういう部隊が来ると。足寄は弾薬庫だったけれども、池田にはそうでない話、確かな筋の話がある。そんな話があるんですか、一体。第一、きょうも本会議で議決しましたが、自衛隊設置法の中で、空自や海自をふやしても陸自をふやさないという状況の中で私たちは帯広の部隊を見ましたが、定員に達しないで、ベッドがたくさんあいているんだ。常識的に考えてもそんなことはあり得ないと思っても、わらにもすがる過疎地の住民はそういうのに飛びつくんです。しかし、まだ来ればいいですよ。結局それで来なかったときのダメージはうんと強くなるんです、がっくりして。こういう責任を自衛隊は持ちませんわね、勝手にやったことだと。現地の部隊に対しては厳重にこの点を言ってください。  もう一つあるんですよ。隣の豊頃町なんていうのは、私の池田町の隣の豊頃町では、町長が何か誘致運動で、交際費だか何だか余計使い過ぎたといって、それで来なかったんで議会で問題になって町長が謝ったというような事件もあるんです。あそこら辺、みんなそれは帯広の自衛隊からの何かささやきがある。これはけしからぬと思うんですよ。たまたま池子の問題で弾薬庫出たんで関連してあれですが、そういう点はひとついかがですか、よく注意してくださいよ。
  62. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 先生ただいま御指摘の池田町の渡河演習場につきましては、御質問があるということで調べたんでございますが、何分にも古いことでございまして、ちょっと私ども資料ございませんが、三十二年にあそこの民有地を買収して渡河演習場をつくったのは事実でございます。そのいきさつはちょっと今つまびらかにしないのでございますが、実は先ほどから先生指摘のように、帯広の部隊の方からそういう話が出るというようなことでございますが、私どもこういう部隊の配備というのは長官がお決めになることでございまして、中央で決めることでございまして、現地の部隊がそれについて部外に対してとやかく言うというようなことはまずないと思っておりますし、実は先般も、数年前ですか、先生からそういう御指摘がありまして、一度帯広の師団につきましてそういうことを調べたことがございます。その際も師団の方からはそういうことは一切ないし、日ごろそういう陳情があっても、それはよく承って中央に伝達はするけれども、それについてのコメントはするなと、一切そういうことしちゃいかぬということを常日ごろ指導しておるというような返事をいただいておりますので、私どもとしては、現地の部隊がそういうことを地元の市町村にささやくとか、裏でちょっと言うというようなことはまずないと思っておりますが、今後とも十分注意してまいりたいと思っております。
  63. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃもう一問だけ、ちょっとその件についてお伺いしますけれども、自衛隊の駐屯地をつくるなんということは、現場の問題でなくて高度の作戦判断から中央で行うことで、その作戦判断で行う場合には、地元の議会の議決があるとかないとかというのは関係ないですね、そういうことは。陳情しなくたってどうしても行きたいというところだってあるんですからね。そういうふうに理解していいですか。
  64. 千秋健

    政府委員(千秋健君) もとより私どもの防衛施設は、それぞれ日本の防衛の見地から配備等決めていくわけでございますし、また、それぞれの部隊の特性、駐屯地の特性に応じた地域、その土地、それぞれの環境等々あわせ考えて中央で決めるわけでございますので、特に陳情があるからそちらに行くとかないとか、そういうことではございません。もちろん陳情等あれば、それは部隊に対する、自衛隊に対する温かい支援ということでは受けとめてまいりますが、まあそれに左右されるというものじゃないということでございます。
  65. 丸谷金保

    丸谷金保君 やめようと思ったけれども、最後ひっかかるんです。いいですか、それだからあるんです。そういう陳情や議決をすることは自衛隊に対する支援というふうに温かく受けとめるか ら、まずそれをやってこなきゃ誘致の問題だめですよということなんだよ、あなたが今言ったように。いいですか、そのことなんです。おかしいでしょう、それ。そんなばかなことないでしょう。もう一回はっきりそこのところ訂正しなさい。
  66. 千秋健

    政府委員(千秋健君) ちょっとお言葉をお返しするようでございますが、私申し上げておりますのは、そういう地方議会における議決等によって配備等が決まるということではございませんということは申し上げております。
  67. 丸谷金保

    丸谷金保君 もう一つ、これは石垣島の問題に今度飛ぶんですが、石垣島空港について、これは自衛隊も共用をするんだというふうな話がありますが、こういう計画はございませんですね。
  68. 千秋健

    政府委員(千秋健君) 現在のところ自衛隊が石垣空港を共用するというような計画は持っておりません。共用という言葉がちょっとどういうことなのか知りませんが、例えば同じ沖縄県にございます那覇空港、これは現在、航空自衛隊等が共用しておりますが、あのような形で新しくできます石垣空港を共用するというような計画は持っておりません。
  69. 丸谷金保

    丸谷金保君 石垣島の空港に反対してサンゴ礁を守れということは、ここでも美濃部先生などからも再三取り上げられた問題なんですけれども、最近になって新たな展開を始めております。というのは、一つには沖縄県が白保のサンゴ礁の再調査に三千六百万の予算を要求して議会に今提案している。十日ですから、きょうからこの予算案の審議にかかると、こういう状況にあるということです。要するに、これから沖縄県は三千六百万かけてまた白保のサンゴ礁の調査を始めると。ということは、今までのサンゴ礁調査というのは、いろいろ環境庁もおやりになっておるようですが、実質的には、私たちの調べたところでは余り進んでいないと。それでこういうことをしなきゃならぬことになっていると思うんですが、そのように理解してよろしゅうございますね。
  70. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 今先生が言われました調査と申しますのは、昭和五十三年度に環境庁が実施をいたしましたサンゴ礁の調査が不十分ではないかというお話かと思うのでございます。しかしながら、この御指摘調査というのは、サンゴ礁の全国的な分布を把握するために行ったものでございまして、全国的なサンゴ礁の分布というものは一応把握できたというふうに考えております。  しかしながら、沖縄県のサンゴ礁につきましては、それを形成する構造が複雑でございますし、分類が困難であったことなどによりまして、形状区分別の分類を行っていないということでございます。そういう意味では、この私ども調査というのが分布調査を主眼に置いたものであるということで御理解をいただきたいと思うのでございます。
  71. 丸谷金保

    丸谷金保君 分布調査であったということで、そこの白保のサンゴ礁のサンゴが、どういう種類のサンゴがどれだけあるんだというふうなことは大体九七%ぐらいまだわかっていないというふうに理解してよろしゅうございますね。分布調査であって、そういう細かい調査まではしてないと。
  72. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 今申し上げましたように、沖縄県のサンゴ礁につきましては分布を把握をしたということでございますので、形態については十分に把握されておらないということでございます。
  73. 丸谷金保

    丸谷金保君 これは大臣、今のサンゴ礁を分布の調査しただけじゃその価値はわからないんです。サンゴ礁の中には物すごい価値のあるものもあるし、さっぱり価値のないものもある。今これをちゃんと調査をしないうちに空港問題が進んじゃっているんです。これはたびたび構想を、せっかく出たあれですからね、この構想のあれで見ますと、自然環境保全地区として、十二ページにいろいろ保全の問題を書いております。そういうふうなことからいっても、これは自然環境というのはどうしても保存しなければならない。私も行って見てまいりましたけれども、ここがおかしく、どうなるかわからぬようなことじゃ大変だと思うんです。  そこで、運輸省にまずお伺いするんですが、運輸省は六十一年度までに合計二十七億円も予算化したんですが、実際には使われたのはそのうち八億円ですわね。そして、ことしもまた相当程度の何といいますか予算の要求を大蔵省にしておるんですよね。今までこれ再三予算をつけながら予算が執行されなかったのは運輸省どういうわけですか。
  74. 堀井修身

    説明員(堀井修身君) お答え申し上げます。  新石垣空港の整備計画でございますが、先生御存じのように、現在並びに今後増大いたします航空需要に対応するということで、二千五百メーターの滑走路を持つ新空港を建設しようというものでございます。既に昭和五十七年に航空法の諸手続を終えてございますし、また一方で、この間におきまして県議会並びに地元市議会におきまして建設促進の決議がなされておるところでございます。また、当該海域に共同漁業権を有しております漁業協同組合との漁業補償契約も締結されておるところでございます。したがいまして、まず諸般の着工への準備が整っておるということではございますが、御指摘のサンゴ礁を中心といたします環境問題等に地元住民の反対がございまして、まだ本格着工に至っていないということで、予算執行がおくれているということでございます。
  75. 丸谷金保

    丸谷金保君 大蔵省にお伺いしますが、これ二年続いて、しかも特に今いろいろ執行できない理由を挙げておりますけれども、五十九、六十年と二年は全くゼロ執行なんですよ。全額不用額ですね、三億六千万ですか。ことしまた予算要求が五億です。これどう思いますか。これは僕はもう運輸省の問題じゃなくて、大蔵省の主計局の問題だと思うんですよ。毎年毎年執行もできないところへ主計官何してつけるんだと、こんなところへね。主計局の責任でしょう、執行できないようになったのは。できると思ったからつけたと、こう言うんだよ。そういう説明なんだ。できると思ってつけたんなら主計官要らないんだよ、だれでも判こ押せばいいんだから。本当にそれできるかできないかというのは主計局が調べて、なるほどこれは実施可能だし、本年度じゅうにやらなきゃならぬからこの予算をつける、こうなるわけでしょう。運輸省が言ったことを丸のみにして、はい、そうですかというなら、主計局にあなたたちのような頭のいい人要らないんだ。来年はつけないんでしょうね、どうなんです。
  76. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 最近の五十九年度から六十一年度までにおきます石垣島の空港の予算につきましては、地元、県の御要望、さらには運輸省の予算要求というものを踏まえまして、それぞれの予算編成時に十分に協議をいたしまして予算措置を講じたところでございます。ただいま運輸省の方から御説明ありましたように地元の事情で執行できないということは、私どもにとりましては遺憾なことでございます。  六十二年度の予算措置をどうするかというお尋ねでございますけれども、また地元の情勢等を踏まえながら、今後の予算編成過程で運輸省関係者と十分に協議をしてやってまいりたいと、かように考えます。
  77. 丸谷金保

    丸谷金保君 それで、実は朝日新聞と沖縄タイムスが十一月の八日、九日ですね、先月です。世論調査を行った。ここでは、すぐ建設すべきだというのが一三%、建設する必要がないというのが一四%、別な場所に移すべきだが一二%、計画を凍結すべきだ五%、その他一三%というふうなことで、建設すべきだという人が圧倒的に少ないんですよね。この調査環境庁知っておりますね。
  78. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 御指摘調査は、沖縄タイムス社、朝日新聞社が十一月八日、九日に実施されたものだと思われますけれども、これにつきましては新聞報道によりまして承知をいたしております。
  79. 丸谷金保

    丸谷金保君 そういうような事情で、それから環境庁が前に調査したのでも、先ほどのように要 するに分布調査だと、しかしこれは何も石垣島だけやったわけじゃない。石垣島については、どんな形状のものが分布されているかということにつきましてはほとんど調査が行われていなかったと、先ほど言ったとおりですね。だとすれば、これはもう県だけでなくて、環境庁自身もこういう問題が出てきたんだから、そういう分布の内容、実態等についてさらに調査をして、これは自然環境保護地区として残すべきか、空港としていいのか、こういうことをもう一度これやってもらわなきゃいかぬと思うんですよ。いかがでしょうか。
  80. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) この問題は、先生も御承知かと思いますけれども、特定の事業計画に伴う環境アセスメントにかかる調査と申しますのは、事業者みずからが行うことになっておるわけでございます。したがいまして、事業者である沖縄県が行うというのが建前でございます。  で、環境庁が行います調査というのは、御案内のように、自然環境保全基礎調査というのがございますけれども、これは全国的な観点から自然環境の現状を把握するためのものでございますし、特定の地域について、あるいは特定の事業計画に対処するために実施するものではないわけでございます。しかし、その自然環境保全基礎調査において、より詳細なサンゴ礁の実態調査を行うことについては今後の課題であるというふうに認識をいたしております。
  81. 丸谷金保

    丸谷金保君 この場合にはあれですか、そういう県の調査に対しては、環境庁なりあるいは沖縄開発庁なり自治省なりが何らかの形で補助はしないんですか、どうなんですか。
  82. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 特に補助するという制度はございません。技術的ないしは学術的な面でのいろいろな助言、指導ということはあり得ると思います。
  83. 丸谷金保

    丸谷金保君 県の方は空港調査委託費というふうな形で五千六百万計上しているんですが、この中で潮流とか深浅の調査とか、サンゴの調査というふうなものを再調査すると言っているんです。そうすると、環境保全の立場からも環境庁は、こういう問題にもっと積極的に意見を言ってくれなきゃ構想が泣きますよ。まさに構想として環境庁が取り上げなきゃならない。もうついこれ前に出ましたから専らこれを私振りかざすようですが、絵そらごとにしないために、本当にこういう問題をもっと積極的に、それは環境庁調査をするのとは違うとかなんとかという問題じゃないと思うんですよね。白保の青い――行ってみればわかりますよ。もうびっくりしました、あの美しさに、私もあそこへ行って。大臣もひとつ一遍行ってごらんなさい。これがおかしくなりゃ大変だと思います、それだけでも。ましていろんな調査が全然行われてない。大蔵省にも申し上げておきますけれども、現況はそういうことだということも十分勘案した上で、来年度の運輸省の予算要求に対するひとつ予算の査定については留意をしていただきたいということをあわせてそれぞれにお願いを申し上げますが、大臣いかがでしょうか。大蔵省から。
  84. 武藤敏郎

    説明員(武藤敏郎君) 六十二年度予算要求につきましては、御指摘の点を踏まえまして関係者と十分協議さしていただきたいと思っております。
  85. 丸谷金保

    丸谷金保君 それじゃもう時間が参りましたので、実はPCBの問題だとか、それから私の地域の問題で赤潮、これは調査をするという前の約束で、わずか八十万しか調査費がつかなくて、ほとんど調査に手をつけたというだけでさっぱり進んでない問題だとか、PCBの問題についても十何年も投げといて、今焼却炉が、方法ができたから直ちにやるといっても、これも住民との間のコンセンサスがまだ全然できてないというふうな問題等もございますけれども、時間なのできょうはこの程度にして次回に譲りたいと思います。
  86. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それでは質問をさせていただきます。  最初に大臣稲村大臣のリーダーシップによる環境庁の最近の姿勢を私は大変喜んで評価していることをまず冒頭に申し上げておきたいと思います。  そこで、この前の予算委員会質問をしたんですけれども、それをもう少し細かく質問をし直させていただくんですが、公害健康被害補償法のうちの地域指定解除につきまして、ダブる部分が大分ございますけれども質問をしたいと思います。  最初に、専門委員会報告を読みますと、現状のもとでは大気汚染の健康影響は否定できないということが載っておりますが、これは患者の発生を予測しているというふうにとれるわけです。それでよろしゅうございますね。
  87. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) ただいまの御質問の点でございますが、専門委員会報告では、    現在の大気汚染が総体として慢性閉塞性肺疾患の自然史に何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないと考える。しかしながら、昭和三十年代から四十年代においては、我が国の一部地域において慢性閉塞性肺疾患について、大気汚染レベルの高い地域の有症率の過剰をもって主として大気汚染による影響と考え得る状況にあった。これに対し、現在の大気汚染の慢性閉塞性肺疾患に対する影響はこれと同様のものとは考えられなかった。 というふうにこの部分は述べているのでございます。すなわち、専門委員会におきましては、昭和三十年代、四十年代と違いまして、大気汚染の原因がぜんそくの主たる原因とは考えられない、しかし現在の大気汚染が健康に何らかの影響を及ぼしている可能性までは否定できないと指摘していると、こういうふうに私ども理解しているわけでございます。  また、なお、この今回の中公審の答申におきましては、何らかの影響を及ぼしている可能性は否定できないとする程度では、民事責任を踏まえました制度として、汚染原因者の負担によって補償を行うということについては妥当ではないというふうにされているというところでございます。そのように私ども理解をしているところでございます。
  88. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 私が言おうとしたのは医学的な判断ということでございまして、したがって民事裁判というようなことで考えているわけではないんで、それは後で出てくる問題だろうと思うんです。という意味では、私はやはり特に非特異的疾患、御承知のようにそうでございますから、因果関係を特定することができないという状況下であえて補償をしたんですから、それについては、やはり健康影響が否定できないということは患者の発生も否定できないということになりますので、この辺が重要な一つの論争点になろうかと思うんです。したがって、そういうことが否定できないという段階で直ちに地域指定を解除するということは私は矛盾ではないかというふうに思いますが、今の部長の御答弁は聞いても同じだなと思いますので、御答弁は省略をしてもよろしいんじゃないかと今思っておりますが、その先に私は移りたいと思います。  大気汚染環境白書をずっと毎年見ておりますと、確かにSOxの方は次第に環境基準をクリアして、言うなれば、レベルのまずまず約二分の一ぐらいのところにきたかなと、言っているものの半分近くのところにいっているんじゃないか、こういう状況で推移しているということはデータが示しております。ところがNOxについては、ここ十年ぐらいになりますかね、ほとんど環境基準をクリアしてはいない。どちらかといえば、上限と下限が規定されているわけですけれども、一般測定局では、上限に近いような値で推移しているということであります。  そこで、こういう状況が続いておって、環境基準を設定してあるのにこれが達成されていない、それが十年近くの間横ばいであるということは一体どうしたものか。つまりこれの改善策は、見通しはあるのかということを承りたいんですが、いかがでしょうか。
  89. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  窒素酸化物に関します環境基準の達成状況でご ざいますが、先生お話にございましたように、特に大都市におきましてはなかなか未達成のところが多いということで私ども苦慮いたしておるところでございます。しかしながら、連続して窒素酸化物につきまして計測しております測定点の推移を見ますと、近年は若干下向きの傾向にあって、改善されておる状況にあるというぐあいに考えているところでございます。しかしながら、大都市等におきましてはなかなか未達成局が多いということで、従前からいろいろ御説明申し上げておりますように、固定発生源対策なり、あるいは移動発生対策、あるいは交通流対策といいますものの各般の施策をそれぞれ関係省庁、自治体と連絡をとりながら進めておる段階にございます。
  90. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ところで、都市型のことを今触れられたわけですけれども都市におけるNOxの一番重要な対策のターゲットはディーゼルエンジンだろうと思うんですが、これの改善がなかなか進んでいないのではないかというのがしばしば指摘されておりますが、通産省、これに対してはどういうような対策を立て、今後の見通しはどうなっているのか伺いたいと思います。
  91. 中川勝弘

    説明員中川勝弘君) お答え申し上げます。  現在トラックメーカーは、窒素酸化物の排出規制の強化が予定されておりますので、ガソリンエンジンと比べましてその構造に複雑なところがございますが、その観点で、例えば燃料の着火時期を制御する技術とか、あるいは燃料と空気を最適な割合で混合させる技術等いろんな改良技術に取り組んでいるところでございます。私どもといたしましては、トラックメーカーに対しまして、ディーゼル車に装着させることが可能な新たな触媒の研究とか、あるいはガソリン車では既に実用化されておりますが、ディーゼル車の場合にはなかなか技術的に難しゅうございます排ガスを再循環するようなシステムの研究等の推進を一層努力してやるようにということで指導しておるところでございます。  私ども工業技術院の研究所におきましても、ディーゼルエンジンの排ガスの中から有害成分を除去いたしますための点火剤に関する研究とか、あるいはメタノール自動車普及促進ということで試作を行っているところでございまして、今後とも引き続きディーゼル車のNOx低減については努力を払ってまいりたいと思っております。
  92. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 環境庁の方からの御答弁にもありましたが、都市型では特に今のディーゼルエンジンがターゲットになっておりますので、これはやっぱり通産省としては急ぐべきだと思うんです。後でどんな弊害があるかはまたお話しいたします。一生懸命にこれはなるべくスピードアップしてやっていただきたい、こういうふうに思います。  ところで、十二月六日の朝日新聞の社説によりますと、環境庁の幹部がと書いてありますのでちょっと伺いたいんですが、NOx対策については従来の手法だけでは無理だと。したがって、「新たな環境政策の指針が求められている」というようなことを環境庁幹部が言ったとか漏らしたとか――どう言ったのかな、新聞記者の質問に答えたのか、そういうことが社説に載っています。それで環境庁の幹部に、どなたかにお伺いをしたいんですが、「新たな環境政策の指針」ということは、言葉としてお使いになったのか、やはりそういう志向すべき方向を何か目をつけてのお話なのか、ちょっと伺いたいと思います。
  93. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 具体的にお話しの、当該幹部であるという証拠は全くございませんのですけれども、ただ、私ども長期構想を初めといたしましていろいろな庁内の議論、これは大気であれ水であれ、あるいは自然環境も含めましてちょうど窓口になっております関係上、今のお話について、ちょっとそういう具体的な話は思い当たる節は直接ございませんけれども、一般的に申し上げまして、例えば環境管理計画という議論は一つございます。これは長期構想の中から引用いたしますれば、非常に基礎的なかつ総合的な管理計画、ただしそれは地域別のと、こうなるわけでございます。それの関連ないしは公防計画、これは三巡目を終わりますので、十五年を経ておりますので、四巡目に向かって検討を――つまり公防計画は続くわけでございますけれども、そこの骨になるところでいろいろと新しい手法を織り込んでいくべきではないかという検討を現在いたしておるところでございます。そのいずれかの話との関連があるとすれば、私のところの所管でいろいろ議論をいたしておるものでございますので、あるいはそういうものかと思いますが、それについてでございましたならば、具体的に今直ちにこういう手法、あるいはこういう指標というところまではいっておりません。
  94. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 まあ、前向きにお考えになっているということがよくわかりましたが、もう一つは、NOx対策というのはやはり難しいんだなということなんでしょうね。だから、発生源対策ではディーゼルエンジンが少なくともターゲットなわけですが――ちょっと思い出したんだけれども大臣はこれ通産大臣に申し入れられたんじゃなかったですかね、ディーゼルエンジンの改善を急げということを――違いましたか。もし申し込まれたんだったら、その話聞きたいなと思います。
  95. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 先般東京におきまして、LPG乗用車につきましての排ガスの程度の調査をして、高速領域においてかなりの排ガス量が出ておるという調査がございました。環境庁の方にもそれについての適切な措置の要請が参ったわけでございます。  環境庁といたしましては業界、自動車工業会各社を呼びましていろいろ事実関係を調べましたところ、現在の排ガス規制のテンモードに沿って走った場合においては車は規制に適合しているわけでございますが、高速領域におきましては、燃費の関係あるいは環元触媒あるいはEGRという窒素酸化物を減らすところの作業、操作のところの段階におきまして必ずしも十分な配慮をされていないというところがあるわけでございますので、私の名前におきまして、工業会に対しましてそういう面の改善方の要請をいたしたところでございます。  なお、テンモードにつきましては、大臣からの御指示もございまして数年前からいろいろ実態調査をやっておるわけでございますが、新しい都市内におきます走行実態を踏まえまして、テンモードの是非につきまして検討し、必要があれが改正をすることについて作業を進めてまいりたいというぐあいに考えております。
  96. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 ここで大臣、私、今の点でそう思ったんですが、環境庁各省に申し入れ省でございますから、やっぱり大臣から、通産大臣にはディーゼルエンジン対策をできるだけスピードアップするようにと、技術的な改善ですからできるわけですよ、コンピューター制御的なこともあり得るかもしれませんし、ひとつどうでしょう、大臣、申し入れを考えられたらいかがでしょうか。
  97. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) せっかくのお申し出でございますので、事務当局に研究をさせて、その方向努力したいと思います。
  98. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 研究に時間をとらないようにひとつお願いいたします。  そこで、今SOxがレベルをクリアしたというので、地域指定解除という話が上がっているわけですけれども、私が反対な理由は、NOxだけじゃなくて、やはり複合汚染ということに話が今入っているはずだという意味でございます。  昔ですが、有吉佐和子さんの小説を劇化した「三婆」というのを芸術座で見まして、大変おもしろいなと思って喜んで見た覚えがあるんです。この小説を書いたのは昭和五十二年。そして「恍惚の人」というのが出てきたわけですね、それは昭和五十二年です。ところが、「複合汚染」という小説が朝日に連載をされたわけです。それは昭和五十三年です。極めて早い時期に複合汚染ということを小説として取り上げたと。私は随分そういうことでは非常に先見的な意欲的なものであったと感心をしている者の一人なんですけれども、今ようやく地域指定解除を契機として複合汚染という ものが大きくクローズアップされているだろうと思うんです。  そこで、専門委員会報告を見ますと、これはやっぱりこれからの、あるいは現在のと言っていいと思うんですが、大都市型の大気汚染というのは、NOxプラス浮遊粒子状物質であるというふうに言っておりますし、東京都は東京都の調査報告で、これからの東京大気汚染というものは、やはりNOxプラス浮遊粉じんというものが問題になるということを予見的に報告をしております。私は、SOxは基準の半分近くになっているとしてもゼロではないのであって、やっぱり複合汚染ということになると、これには加わるんでないかと思うんです。したがって複合汚染という問題は、これからはやはり問題になるであろうということを環境庁もちろん御認識でしょうね、お伺いいたします。
  99. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  先生のおっしゃる有吉佐和子さんの小説を私も拝見しまして非常にびっくりしておるのでございますけれども、ただいま先生お話にございました大気汚染に関しますそれぞれの汚染物質、窒素酸化物あるいは硫黄酸化物、浮遊粒子状物質といいますものは、現在の大気の中におきましてそれぞれ混在していると言ったらまずいんでしょうか、複合していると言ったらよろしいんでしょうか、現在主としてそういう三つの物質が大気の中に存在している状況におきまして、私ども環境基準なり健康影響ということについていろいろと議論いたしているわけでございます。  したがいまして、環境基準といいますのをつくります過程におきましては、例えば二酸化窒素でも同じでございますけれども環境基準をつくります場合におきましては、まず実験室研究によりまして、それぞれの二酸化窒素なら二酸化窒素につきます単体の、個々の物質の影響を調べる、それからその他の物質との混合状態におきます共存効果を評価する、さらに疫学的研究といいますのは、現実の大気のもとに、それぞれの物質が混在しております大気のもとにおける人間の健康影響といいますものを評価した上で、その上で個々の単体といいますか、窒素酸化物なら窒素酸化物につきます影響を考慮して基準を決めているわけでございますので、そういう面におきましては、現在のそれぞれの基準といいますのがある程度複合的な状況のもとにおける判断ということでございますので、先生お話のような複合大気汚染の指標を新たにつくるということについては、現在のところ考えてないところでございます。
  100. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それが違いますね。明らかにそれは歴史的な事実を忘れているんじゃないでしょうか。最初NOxは出てこなかったですからね。最初はSO2です。そのSO2も知らなかった時代があったんだ。黒い煙がいけないんだといって、重油をたけば煙が出ないからいいといって、SO2を無視した大学者もいたわけです。私は昭和三十年にピッツバーグで勉強して戻ってまいりましたので、その点は私は我が国で一番早くSO2のことは知っていたと思うんです。ですから最初は単体ですよ。単体から出発をして次々といろんなものが出てきた。浮遊粉じんというのは一番新しいわけですね、基準としては一番新しくなったわけだ。  そういう状況であることをもう一度申し上げておいてこの報告書を見ますと、私はこの報告書を大学術報告書であると、大労作だと評価をしたんですが、本当に非常におもしろく私は読んだんです。しかもいろんな学者のやられた研究データをちゃんと引用しておりますので、それはやっぱり評価するべきものだと思うんです。この中で、やっぱり専門委員会報告は、NOxの害というものに相当なページを割いてますね。ですから、SO2のことはまあまあ確かによくなった。今度はどうしてもNOxだということだろうと思うんです。これ、この前にも申し上げましたが、NOxとSOxの違いは、SOxは溶液、例えば粘液に溶けやすいので、むしろ気道の上部の方で障害をすぐ起こす。NOxの方はなかなか溶けないので、むしろ奥まで入り込んで肺胞壁に影響を与えるというような、大きなやっぱり一つの溶解度から出てくる差があるということもあるんですね。したがってNOxというのは、肺胞の方の肺胞壁に影響を与えていく、過酸化脂質をつくるので肺胞膜の損傷を起こすとか、そういった意味の非常に問題になるようなことが出てくるわけだ。ですから、やっぱりNOx対策というのは私は急ぐべきだと思うんで、急げといっても時間かかりますので、それで私はスピードアップしろと言っているんです。何というか、何とか一日延ばし、一寸延ばしというのではなくて、やっぱりスピードアップしてほしいということでございます。  それで、今NOx、NO2の被害とSOxの違いについてのお話を申し上げたんですが、しかしいずれも粘膜刺激でございますから非常に類似しているんですね、ある意味では類似しているわけです。  それから最も最近の、これは私論文を読んだのではないんですけれども、というのは非常に新しいものですから読んだわけじゃないんですが、つい最近ですが、大気汚染学会で、慈恵の耳鼻科の先生がSOxの濃度、濃度といっても〇・〇四以下ぐらいの濃度なんですけれども、それと〇・〇二ppmくらいの濃度との間の比較のようですが、濃度の濃いところは薄いところに比べてアレルギー性鼻炎が間違いなく有症率が高いと、本当かなと思うぐらい差がありますね。これは濃度とほとんど正比例しているというふうに今度の大気汚染学会で発表したと、これは新聞報道です、出ておりました。十一月十八日に学会があって報告をしたと書いてあります。そして、それにはNOxの濃度も同じような相関関係があると書いてあります。そうしますと、今までとちょっと違ったのは、やっぱり今度アレルギー性鼻炎ということに一つのインジケーターを置けば、それはまたそれとして一つの表現が成り立ってくるわけですね。  それからもう一つは、これはもう前に私も指摘したんですけれども、これは論文を僕読んだんですが、ディーゼル排ガス中の物質ですね、微粒子ですが、これが現在東京で問題になっている花粉症の原因の一つではないだろうかというのが出ておったんです。ところが、これをたしか東大の内科だと思うんですが、動物実験に移していますね。そうしたらディーゼル排ガスの微粒子そのままと、それから花粉そのままと、その両方を一緒にしたものとで比較をすると、粒子に花粉を吸着をさせたものを入れてやると、マウスですが、インムノグロブリンEですね、免疫グロブリンが増加してくると、つまりアレルギーになるというんです。確かに東京がここ数年来花粉症が非常にふえたというのは、本当は奇妙な現象なんです、昔はこんなになかったんですから。変だなと私も思っておったんですが、それが今のディーゼル排ガス微粒子というのは、中身を何と言っているのかわかりませんけれども、私はよくわかんないけれども、要するに微粒子と一緒に入れると免疫グロブリンが生産されてくると、つまりアレルギーが起きるということを言っているわけです。ですから、SOxとNOxの話でアレルギー性鼻炎の話をいたしましたけれどもディーゼル排ガスというものは、現在問題になっている杉花粉症等々の花粉症のアレルギーを促進しているかもしらない促進因子の一つではないか。原因は花粉ですよ。花粉の中の窒素化合物の系列だと思いますけれども、アミノ酸の系列だと思いますけれども、それと一緒に入ることによって抗原抗体反応を促進しているということが実験的にも出ていますからね。ですから私は、ディーゼルエンジンを急げと言っているのはそこなんです。  そしてもう一つは、NOxによる影響度というのは、長谷川先生はドクターだからよく御存じなんで、まあ私も一緒ですけれども、そう因果関係が生物学的にはっきりできませんわな。なかなか面倒だ。だから、私もそれはもう承知の上でお話ししているんですけれども、非常に面倒ではありますが、NOxの影響を東京都の報告では学童でしたか、尿中のHOPという値、僕これ知らないんですけれども、これはどういう意味があるのか よくわからないんですが、これがNOxの、NO2による肺組織の損傷を反映しているというようなことで、NO2の濃度差による比較をしているわけです。こういったことを考えると、どうしてもNO2のことを問題にしないで地域指定解除というのは、私はやっぱり片手落ちではないかと思っているんです。しかし、そこまで言うと皆さんお困りでしょうから、まず第一番目は、NOxのこういったような障害については御存じでしょうね、いかがですか。
  101. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) NOxの健康影響あるいは浮遊粒子状物質の健康影響につきましてはいろんな研究がなされておるわけでございまして、ただいま先生お話しございました論文等につきましても、私どもも新聞紙上で拝見をいたしたところでございます。いろんな調査が出ておるわけでございますので、私どももいろんな文献等を集めながら今後ともそういう面での研究といいますか、そういうものを深めてまいりたい。必要によれば研究機関にいろいろ調査をお願いすることもあり得るという形で対処してまいりたいというように考えております。
  102. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 そこで、さっきのところへもう一遍戻るんですけれども、やっぱり単体で決めてきた、一個一個で決めてきた大気汚染環境基準というものを、今度は複合汚染という形で検討する時期だと思うんです。検討しなければならないのではないかと。専門委員会報告を見ますと、複合汚染については、少なくとも相乗効果と相加というのがありますね。AプラスBでいい。Aという障害とBという障害を足すと、AプラスBというのとA掛けるBというのと、それから減る場合もあるんですね。あり得るんです。あり得るのでー必ずしも足すのか掛けるのか、掛けて少し引くのか、何かそんな状況があるんですが、専門委員会報告では、複合汚染を考えるときには少なくとも相加、つまり加えるという程度は考えなければならないのではないかと書いてあります。もし複合汚染を前提にした場合には、環境庁の方ではどんなふうにお考えになりますか。
  103. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) 環境基準の設定にあたりまして、例えばNOx環境基準の設定でございますが、当時の専門委員会報告におきましても、先ほど私が申し上げましたように、現在あるいろんな汚染物質の混在の中において、それぞれの物質ごとの動物学的な研究あるいは疫学的研究を踏まえて評価したものであるというぐあいに専門委員会報告の中にも書いてあるわけでございますので、そういう面で、単体そのものについての影響自身だけをもって基準をつくっておるというぐあいには私ども理解いたしていないわけでございます。確かにいろんなそれぞれの三つの物質が、非常に極端な場合となりますと、これはなかなか評価できないのかもしれませんけれども、現在考えられるあるいは現在あり得るような形の範囲内におきますそれぞれの物質の影響と言いますものを総合評価しながら、それぞれの汚染物質ごとの基準を決めておるというぐあいに理解いたしておるところでございます。
  104. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 見解はいろいろとあると思いますから。少なくとも専門委員会の中では相加的ということは指摘してありましたので、御記憶願いたいと思います。  そこで、研究調査の今後のあり方についてなんですけれども、今までいろいろ申し上げましたが、専門委員会報告には調査研究、実験研究等々が非常にたくさん挙げられておりますので、もちろんこれは御参照しておられると思いますけれども、さらにこれは拡大強化していく必要があると思うんです。つまり、未知の分野というのはいつでも学問の世界にはありますから、そういう意味では拡大強化をしていただきたい。  その中で、これは大臣に伺いたいのでございますけれども、私が昔、環境科学特別研究という科研費、これは約十億円でございます。毎年十億円です。環境科学特別研究費というのがあるんです。私はそれの審査員もいたしました、評価委員もいたしましたので。それがこの間突然、この中の方々が、いや今度なくなっちゃったんですよと言われてびっくりしたんですが、調べてみましたら、科学研究費が特別研究という名前に変えたんですね、重点領域研究というのに移したそうです。それで少し見直しをしているということでございましたが、この見直しの中で環境科学特別研究も見直されたわけです。そして、十億であったのが六億くらいになったということでした。それで私が思うのは、今度は環境庁の出番ではないかと。稲村さんの何か知恵をひとつ働かしていただいて、何かやっぱりこのマイナス分を補足するような研究費というようなものを考えてほしいのですね。大臣、何かできませんかね。そして、例えば五億なら五億やると。今までの十億を使っていた研究者約一千人です。約千人です、一人百万円ということです。それが半分近くに減ったのが何か挽回できるんですね。それは環境庁はそんなことをお考えでないと思いますが、こういう研究をするということは、いつもマイナス面だけほじくるんじゃないかと思われると思うんです。違うんですね。私なんかはいつでも予防医学のためにデータを使いたいと思うんです。ですから、そういう意味研究というものに金を突っ込んでやっていただいた方がいいと思うんで、大臣、ひとつ御答弁いただきたい。
  105. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) 大臣の御答弁をいただく前に、まず先生指摘の、これは文部省の関係であることはもう先生百も御承知でお聞きでございますが、若干事務的に状況説明を申し上げておきたいと存じます。  御指摘環境科学に関する研究費の問題、これは文部省の科学研究費補助金でございます。で、今回若干――まだ予算要求レベルの話でございますので、その前提でお聞きいただきたいと思いますが、私ども情報をとりましたところでは、環境科学特別研究四テーマのうちの一つとして約九億五千万で毎年参っておりました。これが明年は、実は組み方を少し変えておられるようでございまして、研究費全体としての組み方を変えておられるわけでございまして、今回は重点領域研究というテーマで、人間環境系の変化と制御などというテーマだそうでございますが、これは先生の方がもう御存じと思いますが、ここで七・八億ということでございますから、八億弱。したがいまして、その差一・五億ぐらいの、その対比だけで見ますとですね。ただ、これはほかの一般研究との相関関係だそうでございますので、あるいはこれは、文部省のお考えの分の組みかえはどういうふうにより有効にやっていくかということかと存じます。そういう状況がバックにあることではございますが、関心は十分もちろん持ってまいりたいと思います。それから、さらに今後に向かって環境研究の重要なことは、もう先生公害研究所で大いに勉強していただき、御指導いただいておりました私も一員でございますので、御熱意はよく存じ上げておりますが、また大臣の方からむしろお答えいただいた方が……。
  106. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 加藤局長の答弁の城を少し出たいんですが、この間の先生の予算委員会での一連の、予防医学あるいは環境行政もこれから後追いでなく、予防という積極的な面を打ち出さねばという御指導を心して私も拝聴さしていただきましたが、そういう点で、文部省の今度の予算要求額が若干減っているという点、私も残念には思いますが、できる限り、この点で何かないかなあと私も一生懸命心を砕きたいと思いますが、よろしくまた御指導をお願いしたいなと思います。
  107. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大臣お話を承ると、あとは余り言わぬ方がいいかなと思っちゃうんですけれども大臣は大変積極的だから、だからその点で私は後押しはしたいと思うんです。ただ、予算の厳しい折からですから、研究費というのは国立公害研のほかに一括――一括何でしたっけね、一括というのもあるわけだが、国の予算ではやっぱり難しいですよね。だから民活をひとつ何かうまく考えて、金は出すけれども口は出さぬというお金をもらってくれば、これはまたいいんじゃないかと 思うんですよね。まあ大臣の手腕、若々しいエネルギッシュな行動力に期待いたしますから。  それはそれとしまして、時間のこともありますが、やっぱり地域指定解除は時期尚早であるということについての二、三の意見を述べさしてもらいたいと思ってるんです。  新聞報道ですからどこまでが本当かわかりませんけれども、森島教授というお方が、今の中公審の答申の作業委員会委員長代行ですか、なさったお方で、理科系の方でないようですから内容がよくわからないでお話になったのかもしれませんが、十月七日読売新聞に載っておるのは、四日市患者の、今までは五人のうちの四人が大気汚染によるものだと、しかし今では十人のうち九人までは大気汚染ではないという状態であるというふうなことを言って、その一人の患者は切り捨てることになるかもしれないがというのが新聞に載っておるんですよ。やっぱり私は、これはまあ何というかな、本当かなと思うんですね、こんなことをおっしゃるのかなあと。それから、周りに賢明なアドバイザーがいっぱいおられてこんなことをしゃべらしたんかなあと。ひょっとしてそういう根拠が、医学的根拠があるなら承りたい。アドバイザーおられなかったからそういうことになったんじゃないかと思うんですがね。御承知ですか、これ。いかがですか。
  108. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 森島委員が作業小委員会の内容を新聞記者の皆様方にわかりやすくするために、例えばというふうなことで、例えを用いて説明をされたものというふうに私ども理解をしているわけでございます。難しい内容、専門的な内容をかみ砕いて説明をいたします場合に例えを用いることは一つの説明のやり方じゃなかろうか。これは科学的根拠があるとかないとかという問題ではなくて、一つの例えということでお話しになったというふうに私ども理解をしているところでございます。
  109. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 例えというのも、ジョークで人の気持ちを和らげるというのならいいんですけれども、これは誤解もいいところなんですわ。これはひどいと思う、僕は。ですから、もう本当ならこれ追及したいところですけれども、まあ理科系の人でないから、内容はわからないで言ったんだなと、内容のわからない人に委員長代行をさせたのはだれだったかなと思ったぐらいなんで、これは追及という意味じゃないんですよ。しかし、例え話にしたらもう少し気のきいた例え話が欲しいですね。非特異的疾患なんだから。そうですね。ドクターみんなもうそれ御承知だ。因果関係がはっきりしないのに、SO2が減ってきたから今度は十人に一人しかいないということは言いませんよ。そんなばかなことは言えるわけがない。ですからそんなこと言ってもらっちゃ困るんですね。まあそのぐらいにとどめておきましょう。  そこで、この地域指定解除に対する反対意見というのがいっぱい出ていますね、皆さん御承知のとおり。例えば地方自治体の中では、ことしの十月の末ごろの話ですから、神戸市では科学的根拠に立って公正に考えてほしいということ、東京都知事談話は、納得できる内容とは言いがたいと、こういうような指摘をしているわけです。それから、専門委員会委員長である鉛木武夫氏ほかからと新聞には出ておりました。十月三十一日の朝日新聞です。全面解除には厳しい批判や反論が委員の中からも出ていると。それから和達中公審会長は、環境行政は後退ではなく、前進しなければならないという談話を載せております。そういう意味は、すべて解除ということが後退であるというふうにとっているわけでございまして、やっぱり健康を守るという意味環境庁は守る側に傾斜してもらいたいと私は思うのです。  それからもう一つは、むしろ幹線の沿道を新しく指定すべきではないかというのが出ております。これ幾つかの論文があるんですよ。東京都の調査では、呼吸器有症率を比較いたしまして、沿道から二十メーターないし五十メーターのところをとって、その間がほかにそれよりも遠いところに比べて呼吸器疾患の有症率が高いということを言っているんですね、あの報告書を見ますと。それから環七だとか国道二十号線のあたりを調査した新田先生らの報告書は、二十メーター以内とそれ以上との間で、NOxが〇・〇四ppmと片方は〇・〇二五ぐらいというからちょうど半分ぐらいですね。その間で有症率に有意の差があるということを出しております。  それから、兵庫の公害研の所長の渡辺先生らは肺活量のことを調べて、沿道の五十メーター以内と、それから対象地区というのは、NOxがやはりちょうど半分ぐらいと書いてありました。それでやっぱり肺活量で相違が出てきている。つまり肺に対する影響力があるということを言っているんだと思うんです。こういうことが出ているので、そういうデータいろんなのを出しますと、東京都もたしかそう言っていたと思うんだが、幹線道路の沿道地域を新たに指定すべきではないかという案が出ているわけだが、これに対してはどんなふうにお考えでしょうかね。
  110. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 沿道地域の指定の問題でございますけれども、私ども先ほど来申し上げておりますように、主たる原因ではないということ、それから汚染原因者の負担によって、個人に対して民事責任を踏まえた補償を行う合理性が失われたということから、この地域指定の解除をいたしたわけでございまして、その認定患者については、これはそのまま同じような扱いをする。しかしながら、やはり先ほど来御指摘いただいておりますような若干の影響があるということから、個人に対する個別の補償ということではなくて、総合的な地域全体にそういうような対策を、環境保健に関する施策をするということが大切であると、こういうふうに答申では述べているわけでございます。  また、御指摘の沿線の道路の問題につきましても、やはりこの地域を対象といたしまして補償給付を行うといったようなもので判断することはできない。今後ともそういう点については、やはり調査とか研究とかを行っていく必要がある。解除後は特にこういう調査研究、あるいは大気汚染の防止対策というふうなものを個人に対する個別の補償から全体的な総合的な対策を行うと同時に、研究もあわせて進めるべきだと、こういうふうに述べておるわけでございまして、私どもこの辺の答申の考え方を十分尊重してまいりたいと、このように考えておるわけでございます。
  111. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 今の中で非常に大事な点は調査研究を継続する、これは私は大事だと思うんです。すべてやっぱり科学的なデータに基づいて政策を決定していただく方が万事に納得できますのでね。調査研究は継続してもらう、継続してもらうからにはその先があるわけですよね。何かちゃんとはっきりしてきたら地域指定をするとかなんというのがあるわけでございましてね、先はいつでもうやむやではだめなんで、調査研究を続ける、その先をどうするのかということはいつでもお考えをいただきたい。最初申し上げましたが、環境庁国民、住民の健康を守る側で動いていただきたいということであります。  そこで大臣にひとつ質問申し上げたいのは、私が予算委員会でこの公害補償関係で挙げた、一番最後に挙げた三つの何らかの結論みたいなことを申し上げて、これ総理大臣は一番目と三番目は評価するとかなんとかというお話でございましたが、二番目はにわかに賛成できがたいということであったのですが、この総理大臣の答弁を受けて、大臣のお考えをひとつ聞きたいということでございます。
  112. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先日の予算委員会において、先生の方から御指摘いただきましたのは三点ございました。健康にかかわる行政は医学的な解析とか判断に基づいて行うということ、それから二番目が、公害による健康被害は疑わしきは救済するというのが基本であるということ、それから三つ目が、全面解除の前に中間的なステップに対する経過措置を考えるべきことといったような三点について御質問があったわけでございまして、総理は、そのそれぞれについて答弁をされた のでございます。  この医学的な判断といったようなことにつきましては、今回の答申は専門委員会報告を踏まえたものでございますし、また二番目の疑わしきは救済ということについても、この中公審の結論と申しますものが、原因者と被害者という民事上の責任を踏まえた補償を行う合理性が失われたために地域指定を解除することが相当とされたものでございまして、そういうふうなことが結論でございます。  また、三番目の検討ということでございますけれども、やはり私どもは、この中公審の答申にはこのようなことについては述べてないというふうなこともございます。そのような事柄から申しまして、私どもといたしましては、現行の四十一指定地域の指定は解除する、あるいは認定患者は従前どおりの扱いとする、あるいは将来発生する新規の患者には、個人に対する個別の補償はしないで、地域全体の総合的な環境保健に対して行う等というような、先ほど来申し上げております中公審の答申を尊重しつつ、適切に対処してまいるというふうなことでございます。
  113. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 もう一度私の結論を申し上げますと、私が三つ挙げたのの一番大事なポイントは三番目なんですよね。病気と健康との間というのは断崖のように切れているものじゃないんだと、連続的なものであるから、だから一遍に指定解除で、一遍に補償ができないというのは生物学的現象には合わないということを申し上げたんです。どうしても中間的なステップが要るはずだと。だからそれを申し上げたんでございまして、それは一番目の医学的判断と一緒なわけですよ。そして二番目の、疑わしい患者は救うというのが公害補償の原則であったはずだという話は、せめて中間ステップという形で段階的に救っていくべきではないかという意味でございまして、三番目というのが私の本当の結論なんです。だから、総理大臣一つの見識であると言って敬意を表してくだすった。だから、私はやっぱりそれは主張したいですね。だけれども、主張しても、余り主張してはっきりした返事もらわぬ方が、もうちょっと大臣に考えてもらえるのではないかと思うんで、大臣どうです、ちょっとばかりひとつ御意見承りたいな。
  114. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) あのとき私が答弁さしていただいた後、総理も先生の大変すばらしい見識ということで、総理も聞き入って大分魅惑されていたようにも私、総理の顔をよく見てたんですが、思いました。しかし、先生のような専門家に私もお答えするのは大変心苦しいんですが、答申には、その中間的なステップと先生が言われたものについて触れていないと。そういうことで、私どももこの問題について今慎重に対処しなければいけないなというふうに考えておるわけでございます。
  115. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大臣、精いっぱいの御答弁かと思って、それは私自身は敬意を表しておきます。だけれどもね、確かに中公審の答申には中間ステップというのはなかったでしょう。しかし、やっぱりこれは国会での審議あるわけですからね、やっぱりそういうことも踏まえていただいて、こういうことがいいということであれば、そのようにやっぱり動こうというのも環境庁らしい行動ではないかなと私は思って申し上げているわけです。ですからこれ以上はもう申し上げません。  時間があと六分半ぐらいしかございませんので、最後に知床の話を、丸谷委員もなさいましたが、私は私で一つまた申し上げたいんです。大臣は何だか早速飛んで行かれて、我が国の秘境と言われる知床をごらんになってきたわけですね。十二月五日に中公審と自然環境保全審が環境保全長期構想ですか、これを答申されて、私は全文を詳しく読んだわけじゃないんで、さらっとですが、環境資源論などという大変格調の高い表現がありました。ただ、私はこれが単なるフィロソフィーなのか。同じ丸谷委員も触れられたようですが、もしちゃんとした具体的な目標があるとすれば、これには盛られていないのではないかというふうに思うんで、環境庁の受けとめ方はどうなんてしょうね。
  116. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 環境保全長期構想におきましても、原生林の保護などを初めとする自然保護の問題については多くの部分を充てておるわけでございます。  具体的に申しますと、自然環境保全基礎調査の結果等を活用して、全国的見地から見て保全することが特に必要な地域自然環境保全地域に指定するということもはっきり打ち出しておりますし、すぐれた自然の風景地としての価値を有する湿原とか、浅海域などのうち十分な保護が図られていなかったものについては公園区域の拡張等により保護を図る。さらには自然公園等の指定地域については、保護管理の強化充実を図るというようなことを強調しておるわけでございます。  そういうことから見まして、この構想の中では幾つもの問題を提起しておりますけれども、やはりその中でも特に強調しておりますのは生態系の維持ということ、それから野生生物保護を重視していくということ、この点については今後積極的に取り組んでいくということを明記しておるということでございます。
  117. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 それじゃ時間になりましたので質問をまとめてお話ししまして、御答弁いただければと思います。  今の御答弁というものがそのまま知床に当てはまるようですね。ですから、それを踏まえてひとつお考えいただきたいと思うんですが、私も現地を見ましたし、現地の人たちお話も承りました。林野の方との関係もあり、自然保護団体の関係もあり、国立公園という関係もあって、それぞれ御意見があるようでございますけれども一つはあそこを来年の二月までは伐採に入らないという、手をつけないということで、そういう形で今いるんだということでありましたが、私は観察期間というものは、自然現象は一年というのが最低のサイクルでございますし、エルニーニョ現象などは二ないし七年で起きると言っていますから、これは大気象に影響を与えますので、やっぱり平均とっても三年から四年になります。ですから一年でなければ三年、まあうまくいくなら五年ぐらいは観察するのが本当ではないかと思うんですが、そういう意味伐採期間というものをもっと延長すべきであると。凍結期間ですね、凍結期間を延長せよということでございます。  それから、やはり調査を、今学術調査をということでありましたが、確かにこれは丸谷委員も言われたようなことを私もそう思っていたんですけれども、やっぱりいわゆる反対の意見を言っておられる方々が入る。その辺のことを私はムツゴロウ、畑さんのお話も伺いましたけれども、要するに反対の人は除くということではいけないんじゃないか。畑さんはお忙しい人だから、うんと言われるかどうかわかりませんが、例えば畑さんにも入ってくださいと、そういうことで皆さんのちゃんと合意が得られれば大変いいことではないかと。畑さんも頼まれないから返事をしないだけで、もし委員になってくれと言われれば、はたと気がついて賛成をなさるかもしらないということでございます。  それから、もう一つはですね、ですからやっぱりこの秘境というのは、もうその現地の、ただ林業がうまくいくかどうかというだけの話ではなくて、秘境なんだから、もうこれはどうしても保存すべき場所ではないのかという考え方一つあると思うんです。そうすると、国立公園ですから、せめて国立公園というものは環境庁ががっちり主管ができないかと、そしてそれに対して、例えば国立公園の特別保護地域に指定できないかといったようなことを私今申し上げたいと思ったんですが、もう時間になりましたので、林野庁環境庁とでそれぞれ今のことでほんの簡単でよろしゅうございますが、御返事を願いたいと思います。
  118. 塚本隆久

    説明員塚本隆久君) お答えいたします。  まず調査期間の問題でございますが、私ども六十一年度の調査につきましては、実際にそこにシマフクロウ等の巣があるかどうかという営巣木の調査と、それからそこに生息をしているかどうか という鳴き声の確認調査をいたしたいということで一月から二月までにかけて実施をしたいと、このように考えておるところでございます。しかし、調査の細部につきましては現在専門家等でいろいろと検討が行われておりますので、調査期間等につきましても専門家の意見を聞いた上でさらに検討してまいりたいと、このように考えております。  それから、調査メンバーにつきましては、現在主要なメンバーの選定が終わり、いろいろな準備に取りかかっておるところでございます。先ほどの丸谷先生お話しの中で地元の言葉を引用されたわけでございますが、御用学者というのがございましたが、私ども見ておりまして、それぞれ道内のいろいろなこの種の調査委員会、あるいは検討委員会の委員をされておる方、あるいは国際的にも活躍をされておる方で、そのような心配はないものと思っております。しかし、私どもとしましても、できるだけ幅広く専門家に集まっていただいて調査をしていただきたいということでございまして、ただいま北海道内の大学等の専門家につきまして御協力方をお願いいたしているところでございます。
  119. 古賀章介

    政府委員(古賀章介君) 御案内のように、知床国立公園は昭和三十九年に指定されたのでございますが、その後の社会情勢の変化を踏まえまして、昭和五十九年に保護すべきところは保護するという基本的姿勢に立ちまして、公園計画全般にわたって再検討を行ったわけでございます。その際は専門家による審議会の御審議を経て現在の公園計画が決定されておるわけでございます。その際の再検討におきましては、特別地域の三種から二種へ、二種から一種へというような格上げも行っておるわけでございまして、保護の強化を図ったところでございます。再検討の後はおおむね五年ごとに点検を行うことが決められておりますので、今後の点検の際に知床国立公園保護観点から適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  120. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 大臣、一言いかがですか。
  121. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 私も国民が喜んでいただける方向で解決できたらと願っております。
  122. 高桑栄松

    ○高桑栄松君 どうもありがとうございました。
  123. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 それでは、私わずかな時間でございますが、公害に係る健康被害補償法に関しての中公審の重大な答申が出ておりますので、短時間ですが、この問題に関して御質疑をしたいと思っております。  十月の三十日の中公審の答申は、全国四十一カ所の大気汚染による公害指定地域を解除する。で、新たな公害患者の認定を打ち切るというひどい内容のものでございました。この答申がいかに汚染地域と患者の実態を無視したものであって、評価をすれば、たれ流しの大企業や財界の言い分を一方的に受け入れたものであるということを、私は公害激甚地の大阪の出身でございますが、大阪の実例を挙げて、いかにむちゃなことをやるかということを実態を挙げてひとつ申し上げたいと思っています。  時間が余りありませんから簡単に言いますが、例えば大阪でも西淀川と言えば音に名高い公害激甚地、大気汚染の激甚地になっております。ここで最近、二十代の若い公害患者が何人も亡くなるという悲劇が起こっています。  この一つの例を申し上げますと、ちょうどこの方は二十二歳で亡くなったんですが、昭和四十二年に、ちょうど大気汚染の大変な時期ですね、三歳で発病している。もちろんそのころは法律ありませんから、中学校へ入学するまで入退院を繰り返して、一年に大体二回ないし三回ひどい発作で入院をする。で、やっとまあ最近は通院ができるようになった。しかし、中学生までそんな状態ですから進学もできない。ましていわんや就職もできないということで、定職につくことができないで、体が弱いからというので家の手伝いを、喫茶店ですがね、お宅が。お手伝いをしておられた。ところが、ことしの九月になって発作が激しくなって、発作を繰り返す。だから一週間に一遍、三日に一遍というふうに病院へ行っていたんだけれども、それでは間に合わなくて、朝夕吸入はやらなきゃならない、点滴はやらなくちゃならないということを繰り返していたんですが、九月の二十三日の早朝にひどい発作が起こって、自家用車で病院に担ぎ込む途中で亡くなられた、こういう事例が出ている。公害激甚地の公害患者の実態が非常に端的に出ているんですが、珍しい例じゃなくて、私はこれ聞いて驚いたんですが、この同じ時期に三人のこういう方があった。だから、公害指定地域公害患者というのはどんな状態に置かれているかという端的な実例ですね。  それからもう一つは、新たな公害患者の認定を打ち切るという答申ですがね、これも具体例です。この方も亡くなったんですが、五十六歳の工場労働者の方、お住まいは、認定地域以外のところでお住まいになっていたんですが、昭和二十二年以来西淀川の企業にお仕事に来ておられた。そういう長い経歴があって、昭和五十年にぜんそくにかかった。そして発作がひどくなって、一年に一回入院をして、やっと退院できるというふうになり、さらに一回が二回になりということになって、入退院を繰り返しておったんですね。しかし、この人は健康保険の本人ですから認定を受けてなかった。ところが、健康保険本人が一割負担になって入院をいたしますと、費用が、自己負担が大分かさんできて、何回も繰り返すものだからどうにもならないということで、認定をしてもらおうというので手続を始めたんです。それがことしの二月ですね。そして、その手続をして認定審査が通る以前に、三月十五日に自宅で発作のために亡くなると、こういう事態が起こった。ですから、いわゆる新しい患者の認定は打ち切るというのは、これはもう実情にいかに反しているかということのまあほんの一例でございますね。  で、認定地域での患者さんの態様、状態というのはどういうことになっておるかというので、ある私立の病院での時間外の受診患者をずっと一週間ほど調べてみたんです。だから、定期の夜間診療八時以降朝の九時までですね、そういう時期に飛び込んでこられる患者さんというのは、大体これは私立の病院ですが、夜の八時から十二時までに、一週間の間に八十四人の患者さんが訪れているんですね。そのうちで三十人の方々が認定患者です。しかもそのうちの約半分は子供さん。それから、零時から朝の九時までにもやっぱり同じようになっておりますが、五十五人一週間に来ておられるんですが、そのうち二十人は認定患者、子供さんがそのうち約半分、こういうことになっているんです。だから、病院の扉があいてないときに飛び込んでくるというのですから、大変我慢ができなくて飛び込んでくるという患者さんが、この救急患者のような形でおいでになる中で約三割、三割の患者さんがそういう状態に置かれている。こういうのが実態でございます。  これは、こんな話をしていると幾らでも時間がたちますのであれですが、こういう事態になってきているんですが、先日、長官公害患者の方々とお会いになって、被害者の声を直接お聞きになって、聞いてよかったとおっしゃっておられたそうですね。あのときに代表委員として御出席になっていた大村森作会長さん、亡くなられましたね、この間ひどい発作になって。こういう事例というのは、ひどい汚染地域では、被害者がいっぱいこういう状態にあるんです。もう時間がないんで、この話をしているとすぐ済んでしまうんですが、あのとき長官にお会いになって亡くなられた大村さんも何回もお願いをしておったんですが、こういう実態ね、お話をお聞きになってよくおわかりになったというふうに感じられたようですから、一遍現地へ来て、患者の実態というものを長官、お聞きになっていただいたらどうでしょうか。
  124. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 公害健康被害補償制度の見直しにつき、今先生からいろいろと御意見を拝聴さしていただきましたが、私も先般、関係者のお話をということで患者の代表の御意見を聞き、自分なりに皆さんの苦しみも聞いたつもりです。  今現地をということでございますが、機会があればそういうふうにもしたいんですが、今その後 事務的に三つの団体等との折衝もありますし、それを踏まえまして私なりに考えさしていただきたいと思っております。
  125. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そのことでついたりあれしたりするつもりはありませんが、中公審の答申もお受けになって、環境庁としての対応、態度をお決めになっていかなきゃならないという大事な段階でございますから、ぜひ現地視察を実現をしていただきたいたいと、そのことを重ねて要望しておきます。  このような被害をもたらしている公害地域大気汚染は、それじゃどうなっているかということですが、私は今大阪市の実態を申し上げたんですが、過日大阪市は公害白書を発表いたしました。これは大阪府も発表しておりますが、それによりますと、六十年度の公害白書を発表したんですが、大阪市では市内すべての自動車排ガス測定点で環境基準をオーバーしている。測定点の平均値は昨年より全部悪い。環境基準をオーバーしているのは、これは測定を始めた十二年前から連続してオーバーしている。ですから、環境基準をオーバーした日数もほぼ全域で増加しております。ですから、言うたら、大阪府でも発表しておりますが、これではSO2は改善されたとは言うけれども、ここ数年横ばいだと、NO2の方は、自動車の排ガス測定点では、大阪府関係でも二十八カ所の測定局のうち、やっぱり六割はオーバーをしている。こういう事態になっておるわけでございます。  ですから患者さんの苦しみ、実態というのは私申し上げましたが、汚染の実態もこういう状態なんですね。こういうところも何も全部、四十一地域全部全面解除、それで新しい患者は一切認定しませんなんというようなことは余りにも現状からかけ離れたものと思いますよ。思われませんか、こんな実態。皆さんよっぽど空気のいいところに住んでいてわからぬのかどうかしりませんがね。本当に現状からかけ離れた答申、結論だとは思われませんか。
  126. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) この大気汚染の状況、それからその他の科学的知見等を踏まえまして、先ほど来御説明申し上げておりますように、専門委員会あるいは審議会の答申等におきましては、四十一の指定地域におきまして、この四十一の指定地域大気汚染のこの現状のもとでは、ぜんそく等の発生する主たる原因とは言えなくなってきていると、こういうのが専門委員会、あるいは答申の内容でございます。  したがいまして、繰り返し申し上げておるところでございますけれども、私どもこのように答申を受けとめておるわけでございますが、指定を解除いたしまして既認定患者、これまでの患者さんについては補償するけれども、今後発生をする患者さんたちに対しましては個別の補償を行うのではなく、総合的な全体的な地域にわたる環境保健政策が必要だと、こういうふうに結論をしているわけでございます。これは先生御承知のように、非特定疾患でございます大気系の疾患の原因等が、科学的知見等から申しましても、このように主たる原因と言えなくなったというところにあるのでございます。
  127. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 さっぱりわからぬのだけれども、指定地域被害者の置かれている実態を私は申し上げた。そして大阪市の認定地域大気汚染の実態というのはよくなってない、むしろ悪くなっている。だから、毎年毎年あるいは毎月毎月認定患者がふえているというのが現実の姿なんです。こういう中で出てきている、あなたが今おっしゃった、もう今まで認定した患者はとにかく見るけれども、新しく出てきた患者は見ませんという答申を尊重しますと言うんだよ。そういう実態と答申の姿というのは余りにもかけ離れておらないかといって私は聞いている。    〔委員長退席、理事関口恵造君着席〕
  128. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 御指摘の点でございますが、認定患者の大部分を占めておりますのが、先生指摘のように気管支ぜんそくの患者さんでございます。それで、この気管支ぜんそくの原因につきましても、先ほど来申し上げたようなことがあるわけでございますが、この気管支ぜんそくというものは、全国的に見ましてもここ数年、指定地域以外におきましても全国的にふえているわけでございます。この増加をしている増加の傾向というものは、指定地域の中におきましても、認定患者におきましても、あるいはその全国的な推計から申しましても同じような傾向をたどっているのでございます。したがいまして、全国的にこの気管支ぜんそくの患者が増加していると。それじゃ、どういうことかということになりますと、これはまた国民生活あるいは国民意識の向上といったようなこと、あるいはアレルギー素因者の増加とか、あるいは都市的な生活様式の拡大といったようなもの、あるいは食生活等々いろいろなものが考えられるわけでございますが、科学的にはまだ十分解明されていないのでございます。  また、私ども先ほど来繰り返し申し上げておりますのですが……
  129. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 簡潔に頼みます、時間がない。
  130. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 個別に補償するのではなく、地域全体として環境保健対策で対応していく、こういう答申の内容だということを述べさせていただきたいと思います。
  131. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 答申の内容は聞いていない。私が言うたのは、認定地域、指定地域の中の認定患者の実態と大気汚染の実態を申し上げて、いわゆるこの答申との間がかけ離れていると思わないかと聞いている。もうよろしいわ。  それで、全面解除の答申には中公審の内部でも大激論が交わされたという報道がなされていますね。十月三十一日の新聞でも随分書かれていましたね。中公審の激論の上答申、反対論押し切る。異例の会長談話云々と、随分問題が出ております。そして、答申案の数々の問題点や両論併記、反対意見の本文明記など強い意見が続出したと、    〔理事関口恵造君退席、委員長着席〕 こういうふうに言われております。こんな問題私もうお聞きしようと思っていない、時間がないからね。  このように反対意見が続出したのは、答申がやはり極めて非科学的なものだということを示していると思うのですよ。答申がいかに非科学的であるかという点では答申自身が、私はこの答申の中身が、唯一の科学的知見として答申の基礎となっているのは専門委員会報告だと思うのですね。この専門委員会報告がねじ曲げられているという点が、これは各方面で学者、研究者の皆さんからも既に指摘をされているとおりです。専門委員会の結論についてはいろいろ問題がありますよ、これはね。しかし、二項目の留意事項として、その一つは、汚染レベルの高い局地汚染の健康への影響は十分検討していないので考慮せよということ。二番目は、大気汚染に対して感受性の高い集団への影響については、比較的少数だからということで見逃さないよう注意せよと、これは御承知のとおり。ところが、その後公表された東京都の沿道調査などを見ましても、既に御案内のように、沿道から近いほど患者が多いということですね。あるいは婦人の肺がんが頻発をしているというような調査が出ておりますね。この留意事項の指摘をまともに受けとめていたら、少なくとも汚染の厳しい沿道まで含めて全部一括して指定解除するというようなことにはならなかっただろうとまず思うのです。  それから、大気汚染に対して感受性の高いお年寄りとか子供、あるいは病人などを引き続き補償法によって救済するという結論は恐らく出ていたはずだと思うんですよ、この留意事項を忠実に答申に盛り込んでいけば。ところが答申は、東京都の沿道調査でも明白な疫学的な関連が指摘されているにもかかわらず、作業小委員会報告では単なる注書きですね、きちんと取り上げていない。単なる注書きで、「それらの知見を考慮しても」「評価を変えるものではない」というて簡単に片づけている。大体、これ以上言いたくないんだけれども、医師や疫学者などがだれ一人入っていないようなワーキンググループの中で、こんな判断どないして出すのか、けしからぬと思うわけです。  だから、答申は、大気汚染に対して感受性の高い集団には、子供やお年寄り、呼吸器の疾患患者、病人は含まれていないとして、留意事項についての検討さえ行ってこなかった。これは私非常に問題だと思いますよ。答申では、大気汚染に対して感受性の高い集団とは、児童、老齢者、呼吸器疾患罹患者などとしているが、これらの人たち大気汚染に対して感受性の高い集団に当然含まれてきたはずなんでしょう。そのはずですね、以前から。もっと言えば、環境保健部会で専門委員会から、この問題については当然含まれているということの報告を受けているでしょう、環境保健部会では。受けてませんか。受けてるでしょう、専門委員会から。
  132. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) ただいまの幾つかの点についてお答えいたします。  まず、中公審では専門委員会報告、これは四十二回審議を行ってやったわけでございますが、作業小委員会が十一回、慎重に検討を行いまして、専門委員会先生にも作業小委員会には加わっていただいて、さらに専門委員の先生の入っている部会においても議論を重ね、総会を開催した上で答申に至ったということでございまして、十分に専門委員会報告を踏まえておりまして、科学的に問題があるというふうには考えておらないのでございます。  また、審議会におきましては、さまざまな立場の専門家が一つの問題について何回も会議を通してあらゆる角度から検討いたしておりまして、その結果、総意として一つの結論が導き出されると、こういうことでございまして、ある程度の異論があったことは新聞報道等当然でございますが、しかし、総体として一つの結論にまとまっているわけでございます。  それからまた作業小委員会では……
  133. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 私の聞いたことだけ言うてください。
  134. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) はい。この小集団のことにつきましては、このように述べておられるのであります。大気汚染に伴います感受性の高い集団、これは医学理論上考えられるものでございまして、小児、老人といったような通常の疫学調査において把握される集団とは異なるものである、こういうふうに言っておるわけでございまして、小児とか老人というふうに特定しているわけではないのでございます。
  135. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 そこが問題だと言って指摘している。だから、私御質問申し上げたのは、環境保健部会では専門委員会から当然そういうことをきちんと報告をお受けになっているでしょうと言って聞いている。
  136. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先ほど申し上げましたように、作業小委員会におきましても環境保健部会におきましても、ただいまの点等を踏まえまして十分専門委員会報告について報告を行い、質疑を行い、御審議をいただいたものでございます。
  137. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 肝心のことを答えない。それでは答弁にならないですよ。  それじゃあれですか、四月八日の環境保健部会の会議の議事録お持ちですか。持っていたらちょっと、ちゃんと言うてはるんやから、それを報告してください、その部分だけ。持っていますか。
  138. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先ほど来申し上げておりますように、この審議会の審議は、やはりいろいろな意見を少しずつ集約しながら一つの結論にまとまるものでございます。  また、その審議の内容につきましては、これを表へ出さないというふうなことになっておりますので、差し控えさせていただきたいというふうに考えているところでございます。
  139. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 何言うてるのや、今までだって出してますよ。出さないというなら、私、手元にあるんだ。だから、お読みしますよ。  四月八日には、専門委員会報告の当日ですね、環境保健部会の議事録に、鈴木委員長から御報告があっているんですね。これはお持ちだったら、ごらんになってください、全部読んだら時間かかるから。鈴木委員長の御報告は十四ページにあります。わかりますか。
  140. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 私ども何とも申し上げられないのでございます。
  141. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 まあ出さない。答えないというなら、私読みます。  それは、鈴木委員長が専門委員会の結論について環境保健部会で四月八日に報告をしておられるですね。ここでは、こういうふうに言うておられるんです、十四ページに。全部読んだら一番よくわかるんだけれども、問題点だけ読みますと、「私は二つのことに留意していただきたい。後でもう一回申しあげます」がということで、「注意すべきものが二つあるということを表面で申しあげておきたい。」、こういうふうに言っておられて、面として考えていることが重点で今まではあった。「しかしながら、面の問題がここまでなってきたならば、そろそろ線なりポイントなりという細かい配慮が必要であろう。それにつきましての配慮は、局地的汚染という言葉で表わしておきましたけれども、そういう局地的汚染の影響は考慮を要しますよ、ただ私たちはその資料を持たなかった、ということでございます。」これが一点です。「もう一つは、もうずっと前から大気汚染に対しまして感受性の高い集団の存在ということがいわれておりました。赤ん坊とか病人とか老人とか」ということは、これは一般的に感受性の高い層というのはこういう人たちだと。しかし、それ以外にも動物実験で非常に感受性の高い少数のグループがいるようだというふうに言っておられた。答申は、二つの点は採用せずに、動物実験の疫学的研究によると。非常に感受性の高い少数の人がどうもおるようだと、これは少数やから問題がないんだと言うて切り捨てた、ここが大問題。この私が御指摘申し上げていることをきちんと採用したら、こんなもの、四十一地域全面解除なんということはできない。そうなんです。沿道の指定地域を解除するということもできないでしょうし、子供さんやお年寄りや病弱な人たちへの補償の打ち切りというような結論は出ないはずなんです。専門委員会の結論を見れば、委員長お話によれば。これは認めますか。
  142. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 先ほど来申し上げておりますように、私どもはやはり専門委員の先生である専門家の方々も入った環境保健部会、あるいはその御意見をいただいた結果できました答申、あるいは専門委員会報告の範囲内を承知しているわけでございます。
  143. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 長官、これは部長は言わぬと言うてますがね。私は議事録を読んだのですよ、会議録、今の議事録をね。そういう重大な問題を提起しているのでございますから、これは長官としては、この答申に対する対応について極めて慎重な態度を要求されるであろうと思うので、長官御見解どうですか。再検討するなり調べてみるなりはっきりしてくださいよ。人の命がかかっている。
  144. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) この中公審の答申は、もう専門家である先生に私が申し上げるまでもありませんが、その権威者、学識経験者が三年間にわたり慎重な私は審議をされたものとかたく信じておりますので、この答申を踏まえて、私なりに再諮問ということは考えられない。
  145. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 御信頼申し上げておられるはずの答申が、私が今指摘したような重大な問題点を含んでいますよと、そこを削らなかったら結論が、四十一地域全面解除、あるいは新たな認定患者を認めないなんというような結論は出なかったはずだという、こんな大きな問題点を提起しているんだから、これはぜひ十分検討していただきたいと思うのです。  時間がもうないので、私あと一つだけ申し上げておきます。特に四十一地域の指定地域全面解除すべしなんというのは、こんな答申出してきたので実は驚いた。だって環境庁が諮問したのは指定地域のあり方でしょう。あり方についてということで諮問をなさったんですよね。指定のあり方とか指定地域の要件とか解除の要件というようなことを明確にしてもらうために諮問をしたのでしょ う。ところが、出てきたのを見たら四十一地域全部解除するべし、新しい患者の認定は必要ない。越権行為ですよ、中公審。そんなこと頼んだのですか。そうでしょう。これは環境庁が諮問をする前の臨調答申でさえも、地域指定及び解除要件の明確化を図るというふうに言っておられた。それを受けて環境庁は諮問をしたんでしょう。それで諮問をして、出てきたら、行政裁量で決定をすることまで――大体指定のあり方とか解除の要件とかという物差し決めてくれと言うているのに、物差しも出さぬといて、四十一地域全部解除や、行政権者がやることまで決めてくる。おかしいんですよ、この結論。私は重大な越権行為だと思うんです、こういうやり方。だから長官ね、これ、こういう重大な疑義を提起いたしますから、これはちゃんと一遍検討し直してみてください。必要だと私は思うんですが、諮問をやり直してきちんとやりなさい。地方自治体の皆さん方の御要望にこたえるためにも、とりわけ被害者の皆さん方の血の吐くような要求にこたえるためにもきちんとやるべきであると思いますが、いかがですか。
  146. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 中央公害対策審議会は、当然この諮問に付随いたしまして、さまざまの環境の問題に関することにつきましてそれぞれの部会で御審議をいただくことになっておるわけでございます。それで私ども、したがいまして本件についての諮問にあわせて、当然それに付随をしております対策とか、あるいは環境保健施策といったようなものについて触れておられることは当然のことというふうに私ども理解しておるのでございます。
  147. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 だからあれでしょうが、あり方についてという、地域指定のあり方の要件とか解除の要件とかいう物差し決めてくださいというて出したんじゃない。それを物差し決めぬといて、四十一地域全部取っ払いなさいというような、こんなものあなた、行政責任として環境庁長官が決めることですがな。それを中公審にやらしたのか。いや、勝手にやったんなら越権行為です。そのことを言うているんです。だから、部長いいですよ。長官ね、そういう重大な問題点を提起しますから、ひとつ御検討いただきたい。――どうして長官言わぬの、もう時間ないんだよ。
  148. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) ただいまの点でございますが、中央公害対策審議会の権限を越えるとか、あるいは環境庁の権限を侵すとかいう問題にはならないと存じます。
  149. 沓脱タケ子

    ○沓脱タケ子君 長官、物を言わぬですな。  私は、これはあれやと思うんですよ。自治体の関係者だって困るんです、四十一地域の自治体の関係者ね。これは法律によって御意見を聞くことになっておるでしょう。だから、自治体の上がっている御意見見てごらんなさい。あれではどないしていいかわからぬと言うているんですよ。だって、指定するときにはそこの大気汚染の状態、被害者の実態、そういうものをちゃんと物差しによって指定してきたんだから、解除するときには四十一全部一緒や、そんなことを言われたら、これはもう自治体の人たちみんな困りますよ。物差しもなしに全部取っ払うんやったら、初めから解除という、この四十一地域解除ということの結論があって、それにいろいろと時間かけたけれども、こじつけたとしか考えられない。こういうやり方については納得ができませんよ。だから少なくとも、これは冒頭にも申し上げましたけれども、こういう重大な疑義のあるやり方について、あるいは答申については御検討の上、再諮問をやっていただきたい。そのことを申し上げて終わります、時間ですから。
  150. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今の沓脱委員の質問に関して目黒さんに一言。  鈴木委員長の議事録部分、これは先ほど読み上げたとおり認めるんでしょう。イエスかノーか。
  151. 目黒克己

    政府委員(目黒克己君) 私どもはあくまでも答申及び専門委員会報告を承知しているのでございます。
  152. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 委員長、これは議事録の中で、秘密の部分もあるかもしれませんよ、しかし、今のは鈴木委員長報告部分なんですよ。それさえ答えないというのは、まさに国会に対する侮辱ですよ。委員長としてひとつ御注意いただきたい。
  153. 曽根田郁夫

    委員長曽根田郁夫君) 後刻理事会で相談します。
  154. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 この場でやらないと余り意味がないんですがね。だけれども、要するに否定はできないよね。否定できないということは、先ほどあなたの答弁大分食い違いが出てくるんで、これはまた近々委員会開いていただいて、ひとつその点は指摘をしたいと思っています。  私は論点を変えて、騒音問題について質問をしたいと思うんです。  特に高速自動車国道の騒音が大変深刻な状況です。これは五十九年度の調査報告ですが、全国二百二カ所の測定点のうち、四つの時間帯で環境基準を達成している測定点はわずか二四・八%にすぎない。残りは四時間帯のすべてで環境基準を超えているか、いずれかの時間帯で超えている実情であります。しかもこれは要請限度というのがありますが、これを超える最も騒音公害の激しい測定点が、これが二九・二%もあるわけですね。そこで環境庁長官、こういうひどい状況をどう解決していくつもりか、まずお伺いしたいと思います。
  155. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お答えいたします。  高速自動車国道におきます騒音の状況でございますが、ただいま先生からお話ございましたように、非常に厳しい状況にございます。この高速自動車国道におきます道路交通騒音を防止いたしますためには、私どもといたしましては、自動車一台一台の騒音の規制の強化に加えまして、遮音壁あるいは環境施設帯の設置などの道路構造対策といいますものをさらに一層強化していく必要があるというぐあいに考えているところでございます。なお、高速自動車国道の新設に当たりましては環境影響評価が行われることとなっておるわけでございまして、五十九年度からでございますが、その適切な実施によりまして、道路交通騒音等の未然防止を図ってまいりたいというぐあいに考えているところでございます。
  156. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 今言われた遮音壁などは、完全にはなくならないけれども、私はかなりの効果があると見ています。ところが、私つい最近、関越・北陸自動車道を実際現場へ行って見てまいりました。特に長岡管理事務所の所長の話では、昭和六十年度の測定データで、管内の十五測定点のうち十一地点で環境基準をオーバーしているんですが、ところが遮音壁の予算は五十九年にたった一カ所あっただけで、あとは六十年、六十一年度とゼロ。それからさらにこちらへ来て上越それから小出、湯沢各管理事務所の管内でも、いずれもこの防音対策はゼロなんですね。だからこれ住民が幾ら要求言っても、ともかく予算がないのではなかなか難しい。ともかく予算ゼロということは、対策ゼロということです。そういう状況のもとに全くその効果を発揮していないんですね。この点について道路公団として、その実情、予算がゼロという実情ね、今後どういう対処をするつもりか、まずお伺いしたいと思います。
  157. 窪津義弘

    参考人窪津義弘君) 道路の建設に当たりましては、騒音にかかわる環境基準を達成するように努めることといたしております。高速道路の遮音壁の設置状況につきましては、主に交通量、速度等の交通条件、それから沿道の状況等の相違から御指摘のような状況となっております。特に新潟県内の高速道路につきましては、御指摘のような状況でございますが、道路公団の新潟管理事務所管内、これは新潟黒崎インターから中之島見附インターの間でございますが、その間比較的県内で交通量が多いということもございますので、その間を中心として遮音壁を設置してまいっておりまして、現在県内では約十一キロの遮音壁が設置されている状況でございますが、やはり交通量の点からまいりまして、御指摘の管内については予算化が過去二年度行われておりませんが、今後その状況等を見ておいおい順次やってまいる所存でございます。
  158. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 私も新潟はちゃんと見てきました。 それからもう一つ比較で申しますと、群馬県からずっと行きますと、淵尻トンネルですか、あそこを越えてさらに新潟へ向かっていきますと、かなり立派な遮音壁が、大体これは設計段階から、最初からついておったんです。これは相当な設備ですね。ところが今度県境のトンネルをくぐって出ますよね、新潟県側に。交通量決して変わってませんよ、途中にインターも何もないんだから。出ますと、今度は湯沢の町で、人家が相当あり、しかもその近くを通ります。相当被害の苦情が出ているんですが、全くゼロ。そして長岡までゼロです、長い区間。それでまた、今度柏崎方面へ行って、またずっとゼロ。といいますと、たしか群馬県側は最初からつけているんですからね、となりますと、こちら側は現総理、そしてぴんぴんした元総理、新潟へ行ったら、もう大分くたびれた元総理、この辺の違いかなと疑わざるを得ないということなんですね。しかも、これ本当に今まで予算ゼロ、こういう事態を一体どう見るのか。ここは全部金沢管内ですから、金沢の道路維持改良予算を見てみますと、雪氷対策に必要なのがそのうちの三〇%、それから路面補修に必要な経費一三%で、これで約四三%です。ところが生活環境保全、この中心が遮音壁ですね、それはわずか三%ですよ。大臣、これ環境対策から見まして今言った雪氷対策、路面対策というのは、その道路を使う人、使う方です。そこには大半の予算を注ぎ込んでいるけれども、その道路被害、しかもこの地域はもともと本当に静かなところで、何もなかったところです、騒音なんというのは。そこへいきなりこんなものができて、しかも通る人にはどんどん予算をつぎ込むけれども、被害を受ける人には一けたよりもっと低い状況だと。要するに環境対策全くないというんですよ。ない状況ですね。そういうことについて、これは後で長官の見解聞きますけれども、ですからこれはぜひそういう態度、道路利用者中心じゃなくて、被害を与えた人々に対する対応策、これは積極的にとるべきだと思うんです。これ、また答弁いただきます。  そこで、私は具体的な実情をちょっとお話ししたいと思うんです。というのは、ともかく静かなところにいきなり来て、最初は台数少なかったのですが、どんどんふえているんですが、まだこれからもふえていきますね。これからむしろふえていくんですが、騒音とそれからライト、それで夜眠れないと言うんです。しかも、大体道路の高さが二階でも、測定しているのは一・二メートルのところですから、二階の方はもっとひどい騒音で、若夫婦が大体二階で寝ると、お客さんが来たときなんか全く光と音で眠れない。しかも大型トラックが多くなる、あるいは最近はスパイクタイヤ、こういう状況ですね。特に私はひどいと思ったのは、例えば柏崎市の中田地区というところですが、ここは通すときに地権者との協議で遮音壁をつくりますと約束したけれども、口約束だけで全くやらない。これ口約束であっても約束ですからね。そんな例は、例えば堀之内でも同じようにあるんです。そうなりますと、やっぱり単に被害を与えただけじゃなくて約束違反まであると、こういう状況なんですね。そんなに金がかかるのかと思ってお聞きしてみたところ、高さ三メートル、道路延長一メートル当たりで十数万円ぐらいですからね、やる気になれば、道路利用者よりも被害者に対する対応策ということを考えれば、私は対応策できると思うんですが、そこで、今まで全く予算ゼロというような、特にこの地域に限って。私は全体の予算をふやすべきだと思うんですが、特に予算ゼロなんということがずっと続いているこんな状況は私は早く解決すべきだと、直ちに来年度予算に向けてこれは変更していくべきだと思うんですが、その点についてお考えを聞きたいと思うんです。
  159. 窪津義弘

    参考人窪津義弘君) 金沢管理局の管内につきましての遮音壁の予算につきましては、先生指摘のとおりでございます。  高速道路の全体につきましては、全体でのパーセントで申し上げますと、五十九年、六十年あたり約九%から最近ちょっと下がっておりますが、一〇、九、七といったような全体のパーセントでございます。それを先ほど申し上げましたように順次優先度をつけて、優先度の高いところから、これは地方の公共団体等と協議し、また調整をしていただきまして、それで優先順位をつけて、その箇所づけをいたしておるわけでございますが、新潟管内は、そういう点から申し上げまして三%というふうになっておるわけでございます。  それから、先ほど先生の御指摘の中田地区でございますが、これにつきましても、全国の優先度からいきまして、まだだというふうに我々の方では考えておりますが、来年度の実行予算編成のときにもう一度全国的に見直しをいたしまして、検討させていただきたいと思います。
  160. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 関係自治体と協議してと、それは結構なことですね。ところが、例えば長岡管内、先ほど指摘した管理事務所では、予算ゼロなんだから、そうでしょう。優先順位といったって、そんな自治体と例えば市役所と協議したって、ゼロじゃ協議しようがないでしょう。だから、そのような意味では、私は全くゼロなんて、こんな本当にひどい状況はまず解決をしていく。静かなところにできたわけですからね、ひとつ要望をしたいのと、あわせてまた具体的な場所では、中田地区は地盤がぐっと下がって、付近に大変家の傾きや土台の地割れ等が起きているんですね。これもどうですか、すぐ対処してもらえますかな。
  161. 窪津義弘

    参考人窪津義弘君) 軟弱地盤の地域における高速道路の沈下に伴いましてその影響が明らかな周辺の水田、それから用排水路等の対策につきましては、稲作等に支障がないよう順次工事を実施しているところでございます。  今御指摘の中田地区におきましては、これはつい最近でございますが、この十月に工事の発注を行いました。そして、対策の工法につきましても、つい今週でございますが、地元の了解が得られまして、今年度中には工事が完了できる見通しとなっております。
  162. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それから、あとこれは環境庁関係することですが、測定点、先ほどの一・二メートルじゃ場所によっては一番静かな、その地域じゃ一番静かな場所になる場合もあるんですね。だからそういう意味では、ちょうど二階あたりの高さとか、そういう測定点の場所は実情に合ったものにしていくべきじゃないか。これは環境庁にお伺いしたいんです。  長官にずっとこの騒音問題を聞いてもらって、ある意味じゃ環境庁こけにされておったわけですよ。環境問題は全く無視して、通る方だけに予算をつぎ込んできたという、こんな問題に対してやはり環境庁から道路公団、それから建設省に対して発言があってしかるべきだと思うんですが、それぞれお伺いしたいと思うんです。
  163. 長谷川慧重

    政府委員長谷川慧重君) お尋ねの測定点についてお答えいたします。  環境庁といたしましては、この自動車騒音の測定につきましては四十六年に通知を出しておるところでございますが、この測定につきましては、自動車騒音の実態が適切に把握できるようマイクロホンの高さは鉛直線上において騒音が最も問題となる位置というぐあいに決めているわけでございまして、一般的な平地における道路の場合には原則として地上一・二メートルというぐあいに決めておるところでございます。
  164. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 大臣
  165. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 今近藤先生の御意見を聞き、環境庁としても調べられるものは調べて、よく道路公団初め建設省の方に要望したいと思います。
  166. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それじゃ道路公団、結構です。次にカドミ汚染問題について、これはことし五月か六月に広島県の府中市の出口川で汚染があったわけですね。その原因は、その上流にある御調砕石場です。砕石からそういう重金属が出るというのは、今まで余り事例がなかったために十分な対処がされていないんですが、これは前回商工委員会質問した結果、一定の前向きの答弁が出たわけです。  あとそれに関係して若干お聞きしたいんですが、その後十二月二日に県が設置した専門委員会の中間報告が出ました。この中間報告につきましては、まだなぜそうしたものが出るかというメカニズムが全部明らかになっていないけれども、しかしこの砕石場のあるところから出ている。そして、ダストその他の石などからやっぱり重金属が出てくるということも判明したわけであります。そうなりますと、もう原因が明らかなんですから、採石法からいってもこういう状況が明らかになれば、重金属汚染水を完全に処理して、未処理のままで流出させないように指導をすべきだと思うんですが、これは恐らく通産省だと思います。  それから通産省にもう一つ質問は、前回私の質問、こういう質問でした。  採石法上の採取計画の認可の基準は、そもそも採石場からの鉱毒水の流出という事態を想定していないという不備があったわけで、今回のこの事件を教訓として、金属鉱脈や休廃止鉱山跡の採石場の認可に当たっては厳しい認可基準を新たに定め、今回のような事件が二度と起きないようにすべきだ、こういう質問をいたしましたところ、答弁として、今後は採取計画を認可する際、災害防止について十分な審査をするよう都道府県知事に対して改めて指導を徹底する、こういう答弁がありました。  そこでお聞きしたいのは、今までにそれなりの周知徹底をやっていると思いますが、どういうことをやったのか。それから問題は、特に認可権限者である県に対して具体的にどういう点で徹底させるのか、通達を出すのかどうか、この点について端的にお答えいただきたいと思います。
  167. 松田憲和

    説明員(松田憲和君) 先生が御指摘のとおり、県の専門委員会で中間報告が発表されたわけでございます。この報告に基づきまして、現在具体的にどのような対策をとるべきか県は検討しているというふうに我々は報告を受けております。しかしながら、先生今御指摘のとおり、現段階で汚濁水の流出のメカニズム、これについてまだ十分に解明されるに至っていないというのも一つの答えでございまして、そういうことから今後継続して調査を実施する。そしてよって、原因究明の結果等を踏まえて企業に対して対処したい、そのような報告を受けております。我々としましても、今後とも県の相談に応じて県とともに指導していきたい、そのように考えております。  第二点の、重金属汚染につきましての審査の状況でございますが、御承知のように、採石法に基づきまして採取計画を都道府県知事に提出するわけでございますが、その中で、岩石の採取に伴う災害の防止のための方法及び施設に関する事項というものが申請書に書かれるべきことになっています。また、汚濁水につきましての処理施設の設置も、そういう記入すべきものの例示となっております。したがいまして、現在も上記の規定に基づく汚濁水の処理施設に関しまして十分な審査が行われているわけでございますが、今回の事態にかんがみまして、全国の採石担当者、各都道府県の採石の担当者の会議を我々年に一回開いておりますが、そこでもこういう事態になったということで、ぜひ慎重に審査してほしいということ。それからさらに、今後とも各ブロックごとの通産局を通してその点の周知徹底を図っていきたい、そのように考えております。
  168. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 そうすると、県に対しては通産局を通じてそれぞれやるということですね。
  169. 松田憲和

    説明員(松田憲和君) はい、さようでございます。
  170. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 それはいつごろやりますか。というのは、例えば、もう具体的にこの場所は来年の二月で期限が来るんですね。だから再審査をしなきゃいかぬですわね。だからその前にやらなければならぬ、早急にやってもらわないと困るんだが、いつやるのかということが一つ。  それからもう一つは、次の認可をするのかどうかという問題がありますが、認可するのは県だから、今あなたの立場として認可しませんということは言えないかもしれぬけれども、ただ常識的に考えまして、メカニズムはたしかまだ全部明らかになっていないけれども、しかし、メカニズムが明らかにならないから審査できないというわけではないでしょう。それは幾らでもメカニズムが明らかでないものあるんですよ。例えばイタイイタイ病だって水俣病だって完璧にわかっているかといったらわかってないんです。しかし、例えば疫学条件まで含めて一定のことがわかれば、それは何でも対処できるわけです。本件だってまさにそうなんですわね。私はこんなばかげたところにもう一度認可するなんということはあり得ないと思うんですが、その辺も含めてひとつお聞きしたい。  それから、あと最後の点は環境庁の問題になりますが、汚染米がとうとう出てしまったんです。ですから、これはもう当然環境庁として農水省、通産省と協議して、汚染農地の対策をやっぱり考えるべきだと思いますが、その具体的な対応策。  そして最後に長官に、今のお話聞いていただきましたね。これは現象としてはやっぱり新しい事態だと思います、今まで余りなかったわけですから。鉱山からは重金属出たけれども、採石場は出てなかったので。しかも私が調査した結果、これは随所に起こる可能性があるという感触を得て帰ってきましたので、この辺にもどういう目を光らせていくのか、それぞれお答えいただきたいと思います。
  171. 松田憲和

    説明員(松田憲和君) まず周知徹底につきまして、各ブロックごとに通産局と県との間の定期的な会議を持っております。そういうわけでございますので、年度内にはその点の話は徹底できるんじゃないか。
  172. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 年内、年度内どっちですか。
  173. 松田憲和

    説明員(松田憲和君) 年度内です。といいますのは、予算だとかそういったものをまた説明をするとか、そういうことの中でやられるんじゃないかと思います。ただ、その広島についてはこういう事態でございますので、その点は十分な県と通産局との間の意思疎通はできている、そのように考えております。  第二の認可の問題でございますが、先生指摘のとおり、知事が判断をする問題でございます。私どもとしましては、現段階では県知事の判断を待ちたい、そのように考えています。
  174. 渡辺武

    政府委員渡辺武君) 先生指摘のように、出口川におきまして、カドミウムを含む水が出まして汚染がありました結果、農用地につきまして調査を広島県が六十一年にやったわけですけれども、十八地点で調査をしましたところ二地点で、土壌汚染防止法という法律がございますが、それの指定要件でございます玄米中のカドミウム濃度一ppmというのが基準でございますが、それを超える玄米が検出されるに至っております。このために県なり市におきましては、先ほど中間報告というお話もございましたが、まだ完全に原因が究明され切っておりませんので、その原因とかあるいは農地の汚染につきましての程度、あるいはその汚染されている範囲というようなことについて調査を行った後に所要の対策を講ずる予定というように私たちは聞いております。したがいまして、私たちといたしましても、関係いたします通産省あるいは農水省とよく連絡をとりながら、適切な対策が講じられることになりますように県を十分指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  175. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 今、両局長通産省の担当者の御意見を聞きまして、県と局長の御意見、さらに私なりに調査報告を聞いた上で適切に対処させていただきます。
  176. 近藤忠孝

    ○近藤忠孝君 終わります。
  177. 山田勇

    ○山田勇君 これからの環境行政の取り組むべき問題は、今後ますます進展していく技術革新、さらに都市化といったことに対して、快適で魅力のある環境づくりということが求められることだと考えます。一度でも汚染された土壌、河川、湖沼、さらに大気というものは、その浄化には相当な時間と費用がかかるということは過去の経験でも十分にわかることでございます。現在は一時期よりは環境が改善されてきているとはいうものの、こ れで環境行政が十分であるということはもちろんないわけで、一層の科学的見地に基づいた合理的な環境行政の推進が求められていると考えます。以上のような見地を踏まえまして、幾つかの問題についてお伺いをいたします。  さて、昭和六十一年版環境白書の中で、エレクトロニクス、バイオテクノロジーなど科学技術の発展と環境保全とのかかわりについて触れており、IC工場などの汚染などが心配されておりますが、逆に下水などの排水をバイオの技術によって浄化するなど、その技術を利用することも考えられます。環境庁として、こういった科学技術の発展と環境保全との見地から、具体的にどう今後取り組んでいけばよいのかというお考えをお示しいただきたいと思います。
  178. 加藤陸美

    政府委員加藤陸美君) お答え申し上げます。  先生お話しがございましたとおり、近年エレクトロニクス、バイオテクノロジー、あるいは新素材などの先端技術の進展が著しいものがございます。これらの技術は、お話にもございましたとおり、公害防止などの分野に寄与する、大変役に立つということが期待される一方で、環境に対しまして従来と異なる新たな汚染の問題を引き起こす可能性もまた否定できないところでございます。  このような観点から、今後の環境行政の最重要課題の一つといたしまして積極的に対応すべきものと考えておりまして、先生指摘のように、本年の環境白書におきましても取り上げたところでございます。  現在の取り組み状況を若干申し上げますと、何分にも科学的知見の蓄積とそれから将来を見通した対応が必要な分野でございます。有識者による会議を設けまして、技術開発環境とのかかわりにつきまして中長期的な視点から総合的な検討を行うということを一ついたしております。いま一つ、IC産業における化学物質の排出状況、外へ出しておる状況などの調査を、これは関係省庁幾つもございますが、関係省庁とともに実施するなど実態把握に努めてまいりたいと思っておるところでございまして、今後とも関係各省庁、それから地方自治体との緊密な連携のもとに未然防止の実を上げながら、また活用できる面を探っていくというふうに一層の取り組みの強化をいたしてまいりたいと考えております。
  179. 山田勇

    ○山田勇君 第二点は、この白書の中で閉鎖性水域の水質に触れて、依然として厳しい状況にあると指摘しております。今後この閉鎖性水域における水質の改善にはどのように対処していくのか、お伺いをいたしておきます。
  180. 渡辺武

    政府委員渡辺武君) 先生指摘のように、閉鎖性水域につきましては、私たち環境基準というあるべき姿というのをつくっておりますが、それと比べてみまして、それへの達成率が非常に低くなっておりまして、特に湖沼あたりでは達成率は四割台というような状況でございます。海でも、若干それよりはよろしいわけでございますが、大阪湾、東京湾、伊勢湾といったようなところでは五〇%、あるいは七〇%といった程度でございます。  そこで、このような状況を改善いたしますために、まず湖沼につきましては、六十年からでございますけれども、富栄養化という状態で、湖沼につきましてはアオコの発生その他がございますので、そしてそれが水道水につきまして異臭味を起こしたり、水道のろ過障害を起こしたり、そういうことの原因になりますので、そのような富栄養化をもたらす物質でございます窒素、それから燐につきまして排水規制を実施いたしました。それからまた、特に汚濁の著しい湖沼につきましては、湖沼法という法律がございますけれども、それに基づく指定湖沼として指定をいたしまして、よりきめ細かな排水規制を実施するとか、あるいはその流域につきましての下水道の整備を図るとかといったような対策を総合的にかつ計画的に進めていくというように考えておるわけでございます。また海の方につきましては、東京湾、伊勢湾、それから瀬戸内海というところを対象にいたしまして、水質の総量規制という制度がございまして、その措置を一層推進するといったようなこと、あるいは瀬戸内海におきましては、先ほど湖で申し上げました富栄養化というのが瀬戸内海でもあるわけでございまして、その原因となります燐につきましての削減措置というようなことを進めているところでございます。  今申し上げましたような措置を推進することによりまして、御指摘のこの閉鎖性水域についての水質の改善に努めてまいりたいという考えでございます。
  181. 山田勇

    ○山田勇君 次に、河川に関連して幾つか質問をいたします。  河川の果たす役割は、治水、利水といったもののほか公園などの憩いの場としての役割もあり、そのためには当然水質を良好なものとして保持しておくことが重要であります。しかしながら、この水質汚濁の改善は遅々として進んでおりません。快適な水辺の環境づくりは今後重要な課題と考えますが、そこで環境庁にお伺いをいたしておきます。  昭和五十九年十二月に都市河川に関する行政監察の結果が出され、その中で水質汚濁に対する汚染源対策について、生活系の対策を急ぐこととされておりますが、現在これはどのようになっておるんでしょうか、お伺いをいたしておきます。
  182. 渡辺武

    政府委員渡辺武君) 都市河川につきまして、先生指摘のように、五十九年に行政監察をいただきました。そして、その中で生活雑排水対策の重要性というのが指摘されておるわけでございます。生活雑排水対策といたしましては、我々二つのことを考えておるわけでございます。一つはほかでもございませんが、このような生活雑排水を処理する施設といたしまして、中心が下水道でございますが、そのほかにもし尿処理施設等々いろいろな施設があります。そして、そのような施設を十分に整備していく、人口の増加に対応いたしまして十分に整備していくというのが基本であろうかと思っております。  それからもう一つは、若干ソフトの話になりますけれども、家庭から汚濁の根源が出るわけでございますので、その各家庭からの負荷といいますか、汚いものを台所あるいはおふろから流す水の中にまぜないで、こし取ってから流すようにというような、まあこれ非常に地道な話でございますけれども、そのような点の啓蒙、普及を図る、これは非常に大切なことだと思いますが、そのようなソフト面での措置というのがもう一つあると思っております。そして、この施設の整備、ハード面につきましては、建設省あるいは厚生省あるいは農水省といったようなところで私たちも非常にいろいろお話をさせていただきまして、鋭意進めていただいておるというのが現状だと思います。それからソフトの面につきましては、私たち環境庁の中で、このような生活雑排水対策につきまして、モデル的に事業を進めておるわけでございまして、そのような今御説明申し上げましたような実践活動をやっていただいたり、あるいはモデル的ではございますけれども、生活雑排水の処理のためのモデル的な、地域的な計画づくりといったようなことにも取り組んでおるわけでございます。  非常に難しい話が多うございますけれども、この生活雑排水対策というのが非常に水をきれいにするために重点となるというようなことでございますので、今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいというように考えておる次第でございます。
  183. 山田勇

    ○山田勇君 厚生省おいでいただいておりますね。厚生省にお伺いをいたしておきます。  生活系のこの汚染源対策一つとして、下水道の整備は急がなければならないと考えます。しかし、これも六十一年三月現在普及率三六%と、まだまだ低い水準にあります。これは僕建設委員やっておりますので、下水道の方もまた違う委員会で質疑いたします。それに関連して、全国のトイレの水洗化に大きな役割を果たしているのに浄化槽があります。五十九年三月現在で約五百万基の、約三千万人が使用しております。これだけの普及をしていることに対して、使用している家庭 などへの正しい知識の普及、また業界への適切な指導、育成について厚生省はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
  184. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 先生今御指摘になられましたように、確かに浄化槽、非常に大きな役割を果たしておりまして、現在三千万を超す方々が浄化槽を使用して、水洗便所になっているわけでございます。今先生おっしゃいましたように、この浄化槽を正しく使ってもらわなきゃいかぬわけでございまして、その正しい使い方、それから浄化槽の浄化機能に対する理解、そういったものが非常に重要だというふうに思っております。で、私どもといたしまして、この昨年の十月から全面施行されました浄化槽法というのがございますけれども、この浄化槽法の円滑な運用、それから浄化槽の機能を維持する上での正しい知識、そういったものの普及、啓蒙、非常に重要だと思っていろいろなことをしてございます。  具体的に申し上げますと、都道府県それから政令市に対しましていろんな説明会を開催いたしたり、それからパンフレットを作成、配布いたしております。それから、厚生省に環境衛生週間というのがございまして、九月でございますけれども、そういった週間を通じましていろんなデモンストレーションとか、そういったいろんなことをいたしているわけでございます。さらに、まだそれでも十分でないということでございますので、六十二年度の予算要求におきまして、浄化槽法の内容なりそれから浄化槽に関する正しい知識の普及、啓蒙を図るということを目的にいたしまして、浄化槽相談員制度の創設、あるいはリーフレット、そういったものの作成経費を要求いたしているところでございます。  それからまた、先生指摘のように、浄化槽の適正な設置なりあるいは適正な維持管理を行うためには、これを実地に行います業者の方々にきちっと知っていただかなくちゃいかぬわけでございますので、業者の全国団体でございます社団法人全国浄化槽団体連合会、そういうものがございますし、また浄化槽に関する教育機関でございます財団法人日本環境整備教育センターというのがございますが、そういったところに対しまして指導を行っておるわけでございます。私どもといたしましても、今後とも環境庁を初めといたします関係行政機関あるいは都道府県、市町村、そういったところと緊密な連絡をとって浄化槽を正しく使ってもらうように努力をしてまいりたいというふうに思っております。
  185. 山田勇

    ○山田勇君 近畿圏の飲み水を一手に引き受けている琵琶湖なんかは御承知のとおり県条例でかなり洗剤の規制をしたりして、少しずつですがかなり効果が上がってきている。特に重点的にそういう大きなポイントポイントの県なり地域があると思うんで、厚生省さん一段の努力をして、そういう特別の起債を出してでも早急にそういうものを設置していくということになれば、随分効果が上がるんではないかというふうに思っております。  そこで、水質の改善は急がなければなりませんが、特に最近の水質汚濁における原因に生活雑排水があると考えます。現在の普及している浄化槽では生活雑排水の処理はできません。約五百万基ある中で、この合併処理ができる浄化槽はどのぐらいの割合があるのか、お尋ねしておきます。
  186. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 私ども調査結果によりますと、昭和六十年三月末現在の統計でございますけれども、浄化槽全体で約五百二十六万基、大ざっぱに申しますと五百三十万基ほどございますけれども、このうち先生指摘の合併浄化槽というのは全体の一・三%、わずかでございます。一・三%に当たる六万六千四百五十六基というのが私どもの統計数字でございます。
  187. 山田勇

    ○山田勇君 この合併処理のための浄化槽設置については、地方自治体でも助成措置を講じております。厚生省としては、今後水質浄化のため助成措置を講ずる必要性についてどのように考えておりますか、第一点。  それから合併処理槽の普及のため建設省も住宅金融公庫の割り増し貸し付けの要求をしております。今後この事業が急がれる必要があると考えます。この建設省の割り増し貸し付けは、地域の助成措置が行われているところを対象としておりますが、合併浄化槽の普及のため助成を行う自治体をふやすよう厚生省としても建設省などと協議し、十分な配慮がなされ、この普及努力されることを特にお願いをいたしておきます。
  188. 加藤三郎

    説明員加藤三郎君) 厚生省におきましては、先生十分御案内のとおり、生活雑排水対策といたしまして地域し尿処理施設、私ども略称でコミプラと、コミュニティープラントなどという言い方をしておりますが、そういう地域し尿処理施設、それから雑排水だけを対象にいたします生活排水処理施設といったものについて国庫補助を実施してきたわけでございます。  さらに六十二年度におきましては、それだけでなくて合併浄化槽についてもこの生活雑排水処理の上で非常に効果がある、ひいては水質、環境保全に非常に役に立つ、そういう観点からぜひともこれを助成対象にいたしたいということで、六十二年度予算要求に当たりまして、合併浄化槽に対する国庫補助制度というものを要求いたしているわけでございます。  それから先生指摘のように、建設省あるいは環境庁でもこの問題について非常に積極的な施策をとられているわけでございますけれども、私どもといたしましては、こういう国の制度が実れば、六十二年度予算要求がどういうふうになるかまだわかりませんけれども、実れば当然自治体も国における助成制度ができたということで非常に勇気づけられて、いろんなところでさらに多くやるということになろうかと思っておりますが、そういう状況をもたらすためにも私どもといたしましては、今大蔵省に対しまして、この予算をぜひつけていただくよういろいろと努力をいたしておるところでございます。
  189. 山田勇

    ○山田勇君 厚生省さん、ありがとうございました。  公害健康被害補償法、これは重複するので割愛をさせていただきます。各同僚議員の皆さん方御熱心に御質疑をなさいましたので、最後の質問にさせていただきますが、稲村長官は就任に際しまして、ゆとりある環境づくりを目指していると言われておりますが、私もこれからの生活には快適さ、ゆとりが求められているという考えをいたしますし、町並みについても魅力ある景観を潤いのあるものとしていく必要があると強く感じております一人でございます。また、公害健康法の見直しというような非常な重大な課題に取り組む基本姿勢といいましょうか、環境行政決意を聞かしていただきたいんですが、御承知のとおり環境庁ができたときは、時の月光仮面のような正義を代表する省庁の誕生ということで、非常に国民からも歓迎をされた省庁でございます。正直感想を申し述べさせていただきますと、やや少し後退ぎみというか、おとなし過ぎるといいましょうか、何か各省庁に多少遠慮ぎみが見られるようになったんではないかというふうに思います、これは僕の考え違いかもわかりませんが。環境庁こそ各省庁から恐れられるという、どの行政をとっても環境を外して考えられないんですから、今の政治は。そういうことから考えましても、一段と名長官の名の高い稲村長官でございます。実行性のある長官でございますので、後退をすることなく、国民の立場に立った環境行政を強く推し進めていってほしいと思います。  いろんな問題たくさんあります。例えば先ほど近藤先生の言う遮音壁の問題にしても、いわゆるドライバー側からいたしますと、騒音公害に対して壁を立てればいいというものでなく、あれが全然景観が見えないドライバーの不安心理というのがあるわけですね。そのために非常に交通事故があの壁ができるためにまた起きているという、また違う面も出てきます。そういうものですから、そういう遮音壁を立てるについては素材の検討だとか、また環境庁にそういう研究をしてもらって、透明度のあるそういう素材ができないものだろうか、そういうふうなことをこれからぜひ長官、就 任のときに考えていただきまして、これからの環境行政を強く推進していってもらいたいということを心からお願いをいたしまして、長官決意を聞いて質問を終わります。
  190. 稲村利幸

    国務大臣稲村利幸君) 先ほど来山田議員の大変国民生活に密着した細かな御質問を拝聴させていただきまして、環境行政のあり方がまず国民の健康、そして生活環境、自然環境を大切にする、ましていよいよ国民の一戸世帯当たりの預貯金が世界にも例を見ない七百何万というようになって、潤いを求める、心にゆとりを持とうという、そういう大切な空気が、世論ができ上がってまいりました。そういうところから知床の声等も高くなりまして、今まさに、先般の環境保全長期構想というものが、昨日ですか、私どもも協議の上に認められたところでございまして、そうした指針に沿って、今までの後追い的な環境行政から予防的、前向きな積極的なものにしなければならない。これは私も長官就任と同時に、今山田先生指摘の若干後退的なことも、指摘が幾つか現にありますので、かくあってはならない、そう思いまして、若い環境庁の職員にもしっかりと自信を持って各省庁に対処する、各省庁との企画調整の衝ではあるが、自信を持って意見を言い、国家、国民に喜ばれる省庁として頑張らねばならない。私自身もそう言い、また私自身もそういう決意で臨むつもりでございます。先生の御指導をさらにお願い申し上げます。
  191. 曽根田郁夫

    委員長曽根田郁夫君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時散会