○高桑栄松君 それが違いますね。明らかにそれは歴史的な事実を忘れているんじゃないでしょうか。最初
NOxは出てこなかったですからね。最初はSO2です。そのSO2も知らなかった時代があったんだ。黒い煙がいけないんだといって、重油をたけば煙が出ないからいいといって、SO2を無視した大学者もいたわけです。私は昭和三十年にピッツバーグで勉強して戻ってまいりましたので、その点は私は我が国で一番早くSO2のことは知っていたと思うんです。ですから最初は単体ですよ。単体から出発をして次々といろんなものが出てきた。浮遊粉じんというのは一番新しいわけですね、基準としては一番新しくなったわけだ。
そういう状況であることをもう一度申し上げておいてこの
報告書を見ますと、私はこの
報告書を大学術
報告書であると、大労作だと評価をしたんですが、本当に非常におもしろく私は読んだんです。しかもいろんな学者のやられた
研究データをちゃんと引用しておりますので、それはやっぱり評価するべきものだと思うんです。この中で、やっぱり専門
委員会報告は、
NOxの害というものに相当なページを割いてますね。ですから、SO2のことはまあまあ確かによくなった。今度はどうしても
NOxだということだろうと思うんです。これ、この前にも申し上げましたが、
NOxとSOxの違いは、SOxは溶液、例えば粘液に溶けやすいので、むしろ気道の上部の方で障害をすぐ起こす。
NOxの方はなかなか溶けないので、むしろ奥まで入り込んで肺胞壁に影響を与えるというような、大きなやっぱり
一つの溶解度から出てくる差があるということもあるんですね。したがって
NOxというのは、肺胞の方の肺胞壁に影響を与えていく、過酸化脂質をつくるので肺胞膜の損傷を起こすとか、そういった
意味の非常に問題になるようなことが出てくるわけだ。ですから、やっぱり
NOx対策というのは私は急ぐべきだと思うんで、急げといっても時間かかりますので、それで私はスピードアップしろと言っているんです。何というか、何とか一日延ばし、一寸延ばしというのではなくて、やっぱりスピードアップしてほしいということでございます。
それで、今
NOx、NO2の被害とSOxの違いについての
お話を申し上げたんですが、しかしいずれも粘膜刺激でございますから非常に類似しているんですね、ある
意味では類似しているわけです。
それから最も最近の、これは私論文を読んだのではないんですけれ
ども、というのは非常に新しいものですから読んだわけじゃないんですが、つい最近ですが、
大気汚染学会で、慈恵の耳鼻科の
先生がSOxの濃度、濃度といっても〇・〇四以下ぐらいの濃度なんですけれ
ども、それと〇・〇二ppmくらいの濃度との間の比較のようですが、濃度の濃いところは薄いところに比べてアレルギー性鼻炎が間違いなく有症率が高いと、本当かなと思うぐらい差がありますね。これは濃度とほとんど正比例しているというふうに今度の
大気汚染学会で発表したと、これは新聞報道です、出ておりました。十一月十八日に学会があって
報告をしたと書いてあります。そして、それには
NOxの濃度も同じような相関
関係があると書いてあります。そうしますと、今までとちょっと違ったのは、やっぱり今度アレルギー性鼻炎ということに
一つのインジケーターを置けば、それはまたそれとして
一つの表現が成り立ってくるわけですね。
それからもう
一つは、これはもう前に私も
指摘したんですけれ
ども、これは論文を僕読んだんですが、
ディーゼル排ガス中の物質ですね、微粒子ですが、これが現在
東京で問題になっている花粉症の原因の
一つではないだろうかというのが出ておったんです。ところが、これをたしか東大の内科だと思うんですが、動物実験に移していますね。そうしたら
ディーゼル排ガスの微粒子そのままと、それから花粉そのままと、その両方を一緒にしたものとで比較をすると、粒子に花粉を吸着をさせたものを入れてやると、マウスですが、インムノグロブリンEですね、免疫グロブリンが増加してくると、つまりアレルギーになるというんです。確かに
東京がここ数年来花粉症が非常にふえたというのは、本当は奇妙な現象なんです、昔はこんなになかったんですから。変だなと私も思っておったんですが、それが今の
ディーゼル排ガス微粒子というのは、中身を何と言っているのかわかりませんけれ
ども、私はよくわかんないけれ
ども、要するに微粒子と一緒に入れると免疫グロブリンが生産されてくると、つまりアレルギーが起きるということを言っているわけです。ですから、SOxと
NOxの話でアレルギー性鼻炎の話をいたしましたけれ
ども、
ディーゼル排ガスというものは、現在問題になっている杉花粉症等々の花粉症のアレルギーを促進しているかもしらない促進因子の
一つではないか。原因は花粉ですよ。花粉の中の窒素化合物の系列だと思いますけれ
ども、アミノ酸の系列だと思いますけれ
ども、それと一緒に入ることによって抗原抗体反応を促進しているということが実験的にも出ていますからね。ですから私は、
ディーゼルエンジンを急げと言っているのはそこなんです。
そしてもう
一つは、
NOxによる影響度というのは、長谷川
先生はドクターだからよく御存じなんで、まあ私も一緒ですけれ
ども、そう因果
関係が生物学的にはっきりできませんわな。なかなか面倒だ。だから、私もそれはもう承知の上で
お話ししているんですけれ
ども、非常に面倒ではありますが、
NOxの影響を
東京都の
報告では学童でしたか、尿中のHOPという値、僕これ知らないんですけれ
ども、これはどういう
意味があるのか
よくわからないんですが、これが
NOxの、NO2による肺組織の損傷を反映しているというようなことで、NO2の濃度差による比較をしているわけです。こういったことを考えると、どうしてもNO2のことを問題にしないで
地域指定解除というのは、私はやっぱり片手落ちではないかと思っているんです。しかし、そこまで言うと皆さんお困りでしょうから、まず第一番目は、
NOxのこういったような障害については御存じでしょうね、いかがですか。