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松前達郎君 好ましい
雰囲気というのは私は余り気にしないでいいんじゃないかと思うんですね、先ほど申し上げたとおり。
来日されることになれば当然今
大臣がおっしゃったようなある程度
中身がなければいけない。
中身についてはここでは私の方からお聞きいたしませんけれども、
ソ連側の方は恐らくこの
検討というのは
大分時間がかかるんじゃないかという気がするんですね。ですから、一月というのは非常に困難になってきたのは事実じゃないか。しかも、さっき申し上げた
中央委員会が延びていくというならなおさらのことですね。こういうふうに私
判断をしたいと思うんです。
領土問題ですが、これについても
日本政府としての
立場は、前からお伺いしているのは
北方領土の
返還を実現してから
日ソ平和条約の
締結へと進んでいくという
基本的姿勢があるというふうに伺っておるわけなんです。ですから、恐らくそういうふうになれば領土問題が必ず出てくるわけですね。
それと同時にもう
一つの
考えとしては、領土問題はもちろんそうやって
解決の
方向に一生懸命努力する。それと同時にほかの問題についても、例えば
貿易の問題ですとか、あるいは
学術交流、
文化交流、これは
文化交流は
協定ができましたから後ほどお伺いしますけれども、そういった
経済関係、いわゆる
政経分離だと
政府はおっしゃっていますが、余りはっきりそれを分離するといっても
ソ連の方は恐らく経済的な
国内事情があって
経済発展をしたいという願望があると思いますね。ですけれども、それに西側の方はそう簡単にはいかないぞと。
経済制裁という
言葉を使っていいかどうかわかりませんが、そういうような
状況で今まで続いてきているわけなんですけれども、ローカルに例えば
シベリア関係とか、
ソ連側は北極海の
航路開発なんというものまで言っているわけですね。これは軍事的なことと
関連あるかもしれませんけれども、しかしそういったことについての
提案があるいはあるかもしれないし、それに対して
日本側としてもある程度詰めておかなければならないんじゃないか、こういうふうに私感じ取ってきたわけなんですね。
そこで領土問題なんですが、これもかつてこの
委員会で申し上げたように、領土の
返還という
言葉じゃなくて
国境線の画定という
言葉を使えば、結果は同じになるとしても多少ニュアンスが変わってくる。しかも例えば、北方四島に関しての
日本の主権を認めるとか、ただしそれに関して
日本の場合は
安保条約を結んでいますから
アメリカの軍隊が駐留しているわけなんですけれども、それと同じような
条件をその島に限って
日本が認めるとか、これはちょっと私の勝手なことですからお答えにならなくてもいいと思いますが、何かそういったような新たな
提案なども
可能性としてはなきにしもあらず。そういったようなことを今後
検討しながらやっていくというので、ちょっと一週間やそこらではとても
提案に対する
検討というのはできないんじゃないかと思うので、やはり慎重に
内容等の詰めを行っていただければというふうに思っておるわけです。
いずれにしても、
ソ連の新しい
外交政策展開としてはもう
ウラジオストク演説に尽きるんじゃないか。というのは、
ウラジオストクを開放しようというんですから、開放すれば
観光客だけじゃなくて
国際会議とかスポーツとかなんとか、いろいろ挙げていますね。こういうことで開放するということでしょう。恐らく
環太平洋構想の中に頭を突っ込んできた、これは明瞭なことですね。いろいろと接触する中でも
環太平洋に関するいろいろな問題というのは
真っ先に飛びついてくるといっちゃおかしいんですが、
真っ先に
回答がイエスという
回答になってくるんですから、そういう
意味からいってもやはり
ソ連の新しい
外交展開というものが出てきているんじゃないかと思います。そういう点も踏まえて
内容を十分
検討するということになろうと思います。
ウラジオストクも
戦略的価値はほとんどなくなりつつありますし、
日本が三
海峡封鎖なんと言っていますが、これも恐らく遠からずこの
意味も余りなくなってくるだろう。そうすると、
北方領土というものが一体どういう重要な
意味を持つかということも全然転換しなきゃならぬ、
考え方を変えていかなきゃならない時期も来ているんじゃないか、こう思うものですから今
質問さしていただいたわけでございます。
それから今度は
文化交流協定なんですが、
日ソの
文化交流に関する
協定がこの前調印されたわけですね。これについて私どもまだ
内容を細かく知らないんです。この
内容というのは一体どういう
内容で
締結、調印されたのか。それからさらに、今後この
協定の範囲で具体的に
交流活動が展開されていくと思いますが、
外務省としてどういう
内容をまず期待する、あるいはどういう
内容で
計画を持っておられるか、その点ございましたらお教えいただきたいと思います。