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松前達郎君
外務大臣御
就任後最初の
委員会だと思いますが、
世界情勢もどうやら大きく
変化をしようとしているように見受けられます。非常に変動が激しい
情勢の中で、
外務大臣としてこれから
外交を
責任を持ってやっていかれるわけでありますから、これらについての御尽力に対して私
どもも
期待をいたしておるわけでございます。
幾つかの
基本的な問題についてお
伺いをいたしたいと思います。
最初は、これは先ほど
最上委員からも質問があった事項と同種のものでありますけれ
ども、
米ソ間の
首脳会談、これがアイスランドの
レイキャビクで十一日から行われる、こういうことに急遽なったわけでありますが、やはりこの
背景をいろいろ
考えてみますと、
ゴルバチョフ政権の
経済政策と軍事費の上昇ですね、こういったような二つの面での矛盾がどうも
ソ連の中にも出てきているように私は見ておるわけですが、いずれにしましても
米ソ両スーパーパワーといいますか、超
大国のみずからつくり出した地球規模の戦略対決といいますか、こういうものがどうやら行き詰まりになるんじゃないかというような気もしないではないわけであります。SDI等も出ております。また
INFの問題も出てきておりますが、しかし、どちらかの国が優位に立って相手陣営を屈服させても、私はいわゆる
世界征覇というそういう野望が恐らく今後は地球の上では存在しない、通用しなくなってくるんじゃないか。ですから、それよりも自分の国を対象とする国際的テリトリーをひとつ守ろうとか、あるいはそのテリトリーを拡大して自国の安定と
繁栄を目指す、こういったような方向にどうも
世界戦略というのが変わりつつある、こういうふうに思っております。
かつて
アメリカがスローガンのようにして言っておりました言葉に「強い
アメリカ」という言葉があったわけですね。ブッシュ副大統領の船の進水式での演説な
ども私
伺いましたけれ
ども、明らかにそういう表現をいたしておりますし、
アメリカ自身がどの国よりもぬきんでている国であるべきである、こういったような、これは国民向けの言葉かもしれませんが、こういったような
考え方が
アメリカにもあることは間違いないわけでありますが、また一方、
ソ連にしても、民族がたくさんいる国でありますし、また各地方の集団というものを連邦としてまとめ上げていくという大変な
政治的な手腕というものが、中央政府といいますか、クレムリンには与えられている。こういうふうな
状況の中で、やはり彼らとしても大変だと思うんですね。しかも最近になりますと、東欧圏の
国々の方が
ソ連よりはどうやら
経済的に発展をしている。ハンガリーな
どもGNPが上がってまいりまして、かつて国営だった事業等も民営にどんどん移している。まあどっちかといえば西側のやり方というものが取り入れられつつあるというのが現状だと思います。
そうなってくると、
ソ連としても衛星国の方が先にどんどん
経済的に発展していってしまいますと、自分のところが取り残される、やはりここで
考えなければいけない、いろんな問題について再考をしているような、そういう感じ、大まかに言ってそんなような感じで私は見ておるわけでありますが、そのような
状況の中で
レイキャビク会談、これが行われ、しかも核戦力といいますか、これらの問題も含めて恐らく討議をされていくんだと思います。恐らく、討議をされるのは
ヨーロッパの問題だけであるというふうに我々は見るわけにいかなくて、やはり
世界全体の問題としてこれを見ていかなければならないし、
日本ももちろんこれに大きな
関係があるわけですから重大な
関心を持たざるを得ないんじゃないか。これはもう先ほ
ども御答弁の中でおっしゃったわけでありますが、もう一度、繰り返しになると思いますが、この
会談について
我が国の
外交との関連も含めて
外務大臣の所見をまずお
伺いしておきたい。