○楢崎
委員 あなたが御存じないだけなんじゃないでしょうか。海上自衛隊の第二術科学校で使われております応急教科書(CBR戦防御)これの第十二号、
昭和五十五年二月十八日に出されておる。それを資料として出してみてください、今すぐ出せとは言いませんから。その中に既に
対策として書いてあるのです。
防衛局長がそういうことを知らぬじゃ困りますね。これほど重大な問題になっているのです。
私が言いたいのは、あなたはきのうですか、上田
委員に対して、巡航ミサイルができた、だからレーダーをやられる可能性があるから、いろいろ武器技術が発達しているから、いろいろおっしゃっていますけれども、どんなに正面装備をいろいろやってみたって、例えばあなたが巡航ミサイルをあれしたから言いますけれども、巡航ミサイルがレーダーをやるのもあるでしょう。今言ったように原発をやったらどうなるのです。どんな被害が起こるか私が資料で出しております。だから私は、これは相当真剣に取り組む必要があろうと思うのです。
それで、このEMPと、核の場合はN、ニュークリアをつけてNEMPと言います。これは、大は、今言った核爆発の際に起こるやつ、これが一番ひどいやつ。小は、本当にいろいろな電磁波が出ることは御承知のとおりです。だから、こういう力の小さいやつは不要電波とか電子スモッグとか言われています。
それで、今NEMPの方の、もし一メガトンがこのぐらいのところから落ちたらどうなるかというのを私はお渡ししている資料2に想定を書いております。例えば「ケース一」の場合、ウラジオストク上空八十キロ、そこで爆発が起こったら半径一千キロメートル、だからハバロフスク、ハルビン、大連、朝鮮半島全域、我が福岡、大阪、仙台、網走、全部このEMPの
影響を受けます。この討議資料の2のところに出しております。
それから、3のところに、今度は今言いましたように、電磁波がいろいろな電子機器の装置の中から出される。力の弱いものは不要電波とか電子スモッグとか言いますけれども、それでその発生源、どうしてそういうあれが出るかというと、自動車、航空機などの内燃機関の火花放電、送電線、オゾン発生器など、それから蛍光灯、ネオンサインなど、電車、電気バリカンなどいろいろあります。
それで、これは
関係省庁から、どういう小の方の電磁波の被害が出ているかという資料をいただきました。ここに出しておりますけれども、これは郵政省の電気通信局監視監理課調べ電磁波の障害実例。
テレビゲーム機による電車無線の交信障害。一九八四年十二月、一九八六年三月、発生場所、大阪府堺市。以下、どういうあれが出ているか。あるいはクレーンの電気火花によるロボット旋盤の誤動作。これが世間を騒がせましたロボット殺人。これは裏に書いております。これも労働省の資料でありますけれども、六件殺人が起こった。ロボットが電磁波によって狂って、だから挟まれて、そしてロボット化されていますから人間が一人ぐらいしかついてないもので、その人が殺されたらなぜかというのがなかなかわかりにくいわけですけれども、こういう報告が出ておるわけですね。それで、各
関係の省庁にわたっていろいろな問題が出てくる、それを4のところに私は挙げておるわけです。
そこで、各省にわたってどういう問題が起こるか。これをここに例を想定をしておりますけれども、まずカテゴリーを幾つかに分けて各
関係省庁のあれを出してみております。
科学技術庁
関係では、先ほど申しました原子力発電所の問題。これがNEMPでどう破壊が想定されるか。先ほど言いましたとおり二十二基の原発がありますから、それがもし破壊を受けるとするならば、すなわち二十二個の核攻撃を受けたことと同じになるのですよ。
それから運輸省
関係でも、例えば航空管制をやっています。これが狂えば飛行機がぶつかってしまいますね。橋本さん、新幹線もそうですよ。あくびしているけれども、電磁波が起こって。知っているでしょう、あなた、電話のNTTとの
関係はもうあなた専門家だから。
それで大蔵省。これは大蔵大臣、今はオンライン化しておりますから、これが
影響受けると、もうパアになりますね。これは非常に社会不安を爆発させる、そういう危険があると私は思うのです。
自治省も、自治体には今コンピューターが入っていますね、何かちょっと住民票もらいに行くときでも何でも。これが全部狂っちゃう。
だから私は、今後
アメリカに負けないように、この点はEMP
対策を十分しないと、先ほど申し上げたとおり、どんなに兵器を入れても本当の
防衛になるだろうか。そういう
意味では私は、きょうは核兵器、原発の問題、それからEMPの問題、これは新しい問題として注意を
喚起したい。それで、核軍縮というものが新しい観点からもう一遍見直されなければ大変なことになると思うのです。私は、要するに一番最後に書いておりますとおり、わずか一発のEMP核攻撃によって
我が国は壊滅をしてしまいます。特に
喚起したいのは、
我が国への直接攻撃ではなくても、極東地域へのEMP攻撃で予測しがたい非常事態が出現することであります、さっき地図を三つ私は書いておりますけれども。だから核廃絶に向けた
努力は何よりも優先しなければいけない。
それで、今度の
米ソの
会談がああいうふうになって、私は中曽根
総理と不思議に評価が一致したのは、きのうの中曽根
総理の、レイキャビクの
米ソ決裂に対してどう思うかという正森
委員のあれに対して、決裂して残念だけれども、しかし非常に核軍縮について潜在的合意が進んでいる、ある程度煮詰まるところまで行っているんだ、これは後返りできないんじゃないか、そうだと思っているのじゃないかという評価です。私もその点は全く不思議に、今まで一致したことなかったのですけれども、一致しました。私はそう思うんです。だから、そういう
意味では、この核軍縮はどうしても成功させなくてはいけないと思うわけです。
それで、これはちょっと酷な言い方かもしれませんけれども、注意を
喚起するには言い過ぎた方がいいと思いますから。このEMP攻撃に対して、
我が国自衛隊が誇る正面装備は全くと言っていいほど機能しないことがはっきりしておりますね。今装備
局長がおっしゃったですね、何にもやってないと。だから、もしこういうことじゃ、どんなに
防衛計画大綱をいじろうと、これはむなしいことになる。壮大なむだ遣いになる。私は、これは二十一世紀に向けての
防衛というもののあり方についてここでまじめに真剣に考えなくてはいけぬのではないか、これが我々の後世に対する一つの責任ではないか、本当にそう思うのです。それで、こういう点について、これはさっき言ったとおり、大は
防衛庁のNEMPから、各省庁にわたっています。これはひとついわゆる民活と申しますか、そういう英知を集めて、どうすべきかということを考える時期に来ておるのではなかろうか。私に言わせれば、金丸副
総理は無任所で民活に力を入れておられるから、そういうものをつくるような御意思がないだろうか、
アメリカにおくれないように。そういうことを私は真剣に心配しておるのです。この点は
総理、ひとつまじめに考えてみていただけませんか。どうでしょうか。