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伊藤(茂)
委員 私は
総理に、この税制問題が起こって以来の
経過で私が感じている
気持ちをひとつ申し上げたいと思います。
御
承知のとおりに並行的にアメリカでも税制の大
改革の作業が行われております。ほぼ終了という段階まで迎えました。アメリカでのさまざまの税制の
議論、特にあなたと親しい関係にあるレーガン大統領の発言というものをずっと拾ってみました。そしてまた、
中曽根首相、あなたが今まで言われてきた言葉もずっと拾ってきてみました。実は非常に大きな違いを感ずるわけであります。私は、これは当然のことでありますが、税制、税金、この民主化ということは近代国家、民主国家の最も重大な基礎であろうと思います。私が申し上げるまでもなく、ヨーロッパでもさまざまの近代国家の形成というものは、理不尽に税金や負担を取られないという
意味での
経過の中から
議会が生まれ、民主国家が形成されてきたというふうなわけでありまして、税制が本当に
国民に信頼されるものになっているかどうかということと
日本が本当に近代国家、民主国家であるかということは今イコールの問題ではないか、したがいまして、タックス・アンド・デモクラシーということが非常に大事だと思います。事税制については、やはり最もフェアにフランクに
対応されなければならないというふうなことであろうと思います。
アメリカの税制改正のスタートになりました八五年二月のレーガン大統領の一般教書がございます。この中での税制の
部分を見てみますと、「公平と成長をもたらすための歴史的な税制簡素化に、ともに取り組もうではないか。」「
税制改革であり得べからざることの
一つは、それが姿を変えた増税であってはならないということである。」「個人税率は、税制優遇
措置の多くを取り除くことにより、可能な限り引き下げたい。」「貧困ラインの近くにある個人に対する連邦
所得税の全面免除を提案したい。各家庭が再び公平な扱いを受けるよう扶養控除を大幅に引き上げることを提案したい。」「われわれはともに本年、公平と簡素と成長を目指す税制法案を成立させ、わが国
経済をわれわれの夢の原動力とするとともに、」云々と書かれております。
そして、大統領の指示によって行われた財務省税制改正案要綱、これもずっと読んでみましたが、極めて率直に述べられております。現在の米国の税制は、緊急に簡素化と改正を必要としている。
現状は複雑であり過ぎるし、不公平である。現在の累進税制のもとでは、数多い税の特例優遇
措置・例外規定、かつ比較的少数の納税者が利用する税金逃れによって、すべての納税者は、歳入が減るのを補うために高い限界税率が適用されるという事態が起こっている。現行制度は
余りにも複雑であり、一般大衆の犠牲のもとに特定の利益集団を優遇しているとするアメリカ
国民の幅広い政治的コンセンサスを反映して財務省の勧告を行うと書かれております。非常に率直であります。私は、アメリカの
状態よりも
日本の
現状はもっと矛盾が多いのではないだろうか、ゆがみ、ひずみなどの矛盾が大きいのではないだろうかと思いますが、率直に述べられているわけであります。
私は、改めて申し上げません、
中曽根さんが言われてまいりましたことは多段階、包括的、網羅的、普遍的云々、普通の人が聞いて、あ、これをやるんですか、やらないんですかとちょっとわからない、まあ煙に巻いて言うわけではない、そんな悪意はないと思いますが、そのような言葉遣いであります。そしてまた大型間接税につきましても巧みに、党員や
国民が反対するようなというふうな頭文字を、まくら言葉をくっつけて言われている。プロの世界からしたらいろいろ駆け引きの表現だなと思うわけでありますが、多くの
国民の皆さん、納税者の皆さんにはわかりにくい
内容であろうと思います。
そして、
政府税調がこのようなものを答申をしても採用しないと言われました。その後、
政府税調には聖域を置かず自由濶達に
議論を保証している、自由にやりなさいということも言われました。これはどう結びつくのでしょうか。そして先ほどの四谷怪談の話まであって、最終的には最終答申を見て判断しますということを言われたわけであります。先般の
予算委員会を初め、知的水準ですか知識水準ですか、というふうな
議論も随分なされましたが、最も大事な税制について、ややこしく難しく言われるかあるいは非常にフランクに言われるか、日米知識水準の差というのはこういうことかなというふうな気も実はしないでもありません。
私はそういうことを
考えますと、やはりフランクに高い次元で全体像を明確に言う、しかも具体的にその手順が明らかになっているという形でアメリカの場合も進められたわけでありますが、それと比べますとただいまの
総理の
答弁というのは
余りにもアメリカの場合と対象的にあいまい不明確ということではないだろうかと思うわけでありまして、もう一度申し上げます。率直に
日本型付加価値税は今までの言明と違いますというふうに申されるべきではないかと思います。いかがでしょう。