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1986-11-21 第107回国会 衆議院 本会議 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十一日(金曜日)     ─────────────  議事日程 第九号   昭和六十一年十一月二十一日     午後一時開議  第一 老人保健法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出)  第三 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出)     ───────────── ○本日の会議に付した案件  中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件  公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの件  電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件  地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件  日程第一 老人保健法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第三 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出)     午後一時三分開議
  2. 原健三郎

    議長原健三郎君) これより会議を開きます。      ────◇─────
  3. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御報告いたすことがあります。  永年在職議員として表彰された元議員黒田寿男君は、去る十月二十一日逝去されました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において去る十一月十九日贈呈いたしました。これを朗読いたします。     〔総員起立〕  衆議院は 多年憲政のために尽力し 特に院議をもつてその功労を表彰された黒田寿男君の長逝を哀悼し つつしんで弔詞をささげます      ────◇─────  中央更生保護審査会委員任命につき同意を求めるの件  公安審査委員会委員任命につき同意を求めるの件  電波監理審議会委員任命につき同意を求めるの件  地方財政審議会委員任命につき同意を求めるの件
  4. 原健三郎

    議長原健三郎君) お諮りいたします。  内閣から、  中央更生保護審査会委員金平輝子君を、  公安審査委員会委員堀田勝二君及び山内一夫君を、  電波監理審議会委員生田正輝君を、  地方財政審議会委員木下和夫君を 任命したいので、それぞれ本院の同意を得たいとの申し出があります。  まず、中央更生保護審査会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 原健三郎

    議長原健三郎君) 御異議なしと認めます。よって、同意を与えるに決しました。  次に、公安審査委員会委員電波監理審議会委員及び地方財政審議会委員任命について、申し出のとおり同意を与えるに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、いずれも同意を与えるに決しました。      ────◇─────  日程第一 老人保健法等の一部を改正する法律案内閣提出
  7. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第一、老人保健法等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。社会労働委員長堀内光雄君。     ─────────────  老人保健法等の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔堀内光雄登壇
  8. 堀内光雄

    堀内光雄君 ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案について、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、老人保健制度の長期的な安定と老人保健医療福祉施策の総合的な推進を図るため、一部負担の改定、保険者拠出金算定方法見直し老人保健施設創設老人保健施設療養費支給等措置を講じようとするもので、その主な内容は、  第一に、一部負担金の額を、外来の場合は一カ月四百円から一カ月千円に改め、入院の場合は二カ月を限度として一日三百円となっているのを期限を撤廃して一日五百円に改めること、  第二に、加入者按分率を、昭和六十一年度の十一月一日以降は八〇%とし、昭和六十二年度以降は一〇〇%に引き上げること、  第三に、寝たきり老人等の要介護老人にふさわしい医療サービス生活サービスを提供する施設として、老人保健施設創設するとともに、新たな給付として老人保健施設療養費を支給すること、  以上のほか、医療保険各法に準じて特定療養費制度を導入するとともに、国民健康保険法改正し、正当な理由がないのに保険料を滞納している者に対し、給付を一時差しとめる等の措置を講ずること等であります。  本案は、去る十月十七日の本会議において趣旨説明が行われ、同日付託となり、十月二十三日に斎藤厚生大臣から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、同月二十八日に地方行政委員会との連合審査会を行い、翌二十九日には大阪府に委員を派遣し現地において意見を聴取し、十一月二十日には中曽根内閣総理大臣の出席を求め質疑を行うなど、慎重かつ熱心な審査を行い、同日の委員会において質疑を終了いたしましたところ、外来の一部負担金加入者按分率及び施行期日について自由民主党より修正案提出され、討論を行い、採決の結果、本案自由民主党提出修正案のとおり多数をもって修正議決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 以上御報告を申し上げます。(拍手)     ─────────────
  9. 原健三郎

    議長原健三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。永井孝信君。     〔永井孝信登壇
  10. 永井孝信

    永井孝信君 私は、日本社会党護憲共同を代表して、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行うものであります。(拍手)  この法律案は、政府説明によると、今後の本格的な高齢化社会において、国民が安心して老後を託せる制度の確立にあるとしています。本当に今回の改正が安心して老後を託せるものになっているのでありましょうか。私は、明らかに老後生活をより困難にし、国民を不安に突き落とす、極めて冷酷な大改悪であると断ぜざるを得ないのであります。(拍手)どうしても病気になりがちな老人患者負担が大幅に引き上げられ、昭和六十二年度の負担増は、政府の試算によっても一千四百億円にも上り、年金課税大型間接税など増税問題もあって、老後生活不安はその極限にあると言っても過言ではないのであります。  だれしもが老人になることを避けることはできません。老後生活不安を払拭するためには、高齢者現実生活に即しつつ、健康で安心できる生活、経済的に安心できる生活、住みよい住環境の中での生活生きがい充実感のある生活を、国が先頭に立って、国民合意のもとに、国の責任において緊急に確立することが不可欠なのであります。今回の老人保健法改正案は、これとは逆に、国民の期待に真っ向から挑戦するものであり、断じて容認できないのであります。  なお、この改正案には、高齢者だけではなく、労働者医療従事者健保連参加経営者を含む圧倒的多数の国民が廃案を求めていることからもそのことは証明されているのであります。  ことしの四月に亡くなったフランスのあの著名な女性哲学者ボーボワールは、「老いという著書の中で、「人間の最後の十五年ない二十年は、もはや一個の廃品でしかないという事実は、我々文明挫折をはっきり示している」と鋭く指摘しています。ここ数年間の我が国社会保障制度福祉政策の歩みは、ボーボワールの指摘からの脱却ではなく、より文明挫折の方向に急旋回しているという事実を、政治に携わる者は真剣に問い直されなくてはならないのではないでしょうか。  さて次に、反対具体的理由を明らかにしたいと思います。  その第一の問題は、一部負担引き上げであります。  現行外来一カ月四百円、入院の場合二カ月を限度として一日三百円の金額は、老人保健法制定当時、大変な論議の末に、老人皆さんに無理のかからない限界として決定されたものであることは周知のことであります。しかるに政府は、在宅療養者自助努力をしており、被用者保険本人負担とのバランス上、引き上げは当然との態度をとっておりますが、自治体などの調査によれば、老人入院の場合、付添看護料差額室料お世話料などで月額十万円以上も負担している老人は極めて多く、負担実態法律面ばかりでとらえることはできないのであります。むしろ、負担能力がないためやむなく在宅療養している人に対し、訪問サービス介護に言い知れぬ労苦を重ねている家庭に対し、国の援助が貧弱過ぎることこそ是正すべきであります。本人負担引き上げが収入の少ない老人にとって受診抑制となることは目に見えており、そのことも計算済みだとすれば、余りにも本音と建前が違い過ぎており、高齢者に対してまことに残酷な仕打ちと言わざるを得ないのであります。  第二の問題は、拠出金についてであります。  政府は、各制度間の老人医療を平等に負担させるための措置としておりますが、実態サラリーマンをねらい撃ちにした実質増税だということであります。厚生省政府原案に基づき試算した最新の資料によりますと、国保以外の各保険からの拠出金は、昭和六十二年度において実に四千三百億円も負担増となり、逆に国庫負担は三千九百億円が減額されることとなっております。このことによって、老人医療費に占める国庫負担割合は六・八%下がり、サラリーマン保険からの拠出割合は九・五%も上昇するのであります。  そもそも加入者按分率を一〇〇%にするということは、老人の少ない保険ほど高い保険料負担することを意味しているのであります。本来、保険制度というのは、それぞれの保険加入者集団範囲内において担保されるものであって、だからこそ、老人保健法制定時には、当時の厚生大臣が、老人保健法は単なる財政調整法であってはならないと答弁しているのであります。各保険範囲を超えて、加入者按分率公平化という名目での今回の法改正は、財政調整そのものであって、明らかに保険主義を逸脱しており、わずか三年前の政府見解を覆すのは、国会軽視国民無視の暴挙であると言わねばなりません。  第三の問題は、国保財政そのものの欠陥であります。  すなわち、国保財政悪化要因に、退職者医療創設時の退職者見込み違いが挙げられています。これは、まさに政府誤りによって生じたものであって、国が責任を持って措置すべきものであります。具体的には、見込み違いから削り過ぎた国保に対する国庫補助をもとに戻すことが筋道であって、みずからの誤りを正さずに他の保険に助けてやれというのは、無責任政治のそしりを免れません。確かに、高齢化社会にあっては国民負担の増加は避けられない問題ではあります。しかし、今回のように無原則整合性のないやり方ではなく、社会保険料よりも、所得配分効果の高い租税中心にすべきだということを強く指摘しておきたいと思うのであります。  さらに、今日老人医療がいまだに対症療法中心であって、慢性的な老人病には治療効果を上げることが困難なこと、予防健康増進リハビリ介護といったサービスシステム化に真剣に対応することこそ、高齢化社会を迎えての政府責任でありましょう。このように社会保障原則を破る大改悪の一方で、国民の期待する改善は何一つとしてないのであります。給付率引き上げ付添看護料差額室料お世話料といったいわゆる法定外負担解消計画策定など、国民の強い要求について当面実行する意思なしとする態度は、まさに国民に背を向けたものとして糾弾されるべきであります。(拍手)  第四の問題は、いわゆる中間施設であります。  今回の法律案では、一体どんな施設になるのかは理解できないのであります。確かに、寝たきり老人を安心して預けられる施設を望む国民の強い要望はあります。しかし、今日までの審議段階では、どう見ても、医療面では病院よりも薄く、福祉面では老人ホームよりも生活サービスが薄いことだけは明らかであって、医療福祉レベルダウンそのものと言わねばなりません。特に深刻な老人性痴呆症患者も収容できる施設として抜本的検討を加え、改めて国会審議すべきであります。  第五の問題は、国保料滞納者に対する制裁措置であります。  これは国民健康保険法趣旨に反するばかりか、国民保険制度の否定につながりかねない重大な問題を含んでおり、容認することはできません。  最後に、中曽根総理を初め全閣僚に申し上げたい。敬老の日は九月十五日のみにあらず。国政をつかさどる者として、一年三百六十五日が敬老の日でなければなりません。老人を嘆かせ、若者に高負担を強要し、国庫負担の削減のみに走る老人保健法改正は、福祉行政撤退作戦であり、いたずらに軍事力増強に投資する愚かな政策を転換すべきであります。「老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として敬愛され、かつ、健全で安らかな生活保障されるものとする。」と宣言した老人福祉法第二条と憲法第二十五条の趣旨を忠実に実践することを強く要求し、反対討論を終わります。(拍手
  11. 原健三郎

    議長原健三郎君) 粟屋敏信君。     〔粟屋敏信登壇
  12. 粟屋敏信

    粟屋敏信君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案及び同法律案に対する修正案賛成意見を述べるものであります。(拍手)  我が国は、戦後一貫した衛生水準の向上、医学医術の進歩、国民保険制度等の成果により、今や平均寿命世界最高水準に達し、まさに人生八十年時代が到来をしております。この長寿社会にあって、国民生きがいに満ち、かつ豊かな人生を送るためには、保健医療福祉を通じた社会保障制度の基盤を揺るぎないものとする必要があります。この場合に重要な課題となるのが、ふえ続ける老人医療費であり、そうして、この増大する医療費をいかに適正なものとし、また、国民全体がどのように公平に負担していくかということであります。  昭和五十八年に創設された老人保健制度についても、このような見地に立って検討を加え、国民が真に安心して老後を託する制度とすることが急務であると考えます。同時にまた、人口の高齢化に伴い、今後急増すると予想されている寝たきり老人等の要介護老人に対しまして、保健医療福祉を通じた総合的な施策展開が求められております。  政府原案は、まさにこのような要請にこたえようとするものであり、また、老人保健制度の本来の基本理念に立って、老人医療費をお年寄りにも応分に負担していただき、国民全体で公平に負担するシステムを再構築するとともに、寝たきり老人等の要介護老人にふさわしいサービスを提供する老人保健施設創設しようとするものであります。  政府原案の主な内容についてでありますが、まず第一は、一部負担改正であります。現在の定額制の仕組みを維持しながら、無理のない範囲内での一部負担金の額の引き上げを行うことは、増大し続ける老人医療費負担の現状から見て、世代間の負担公平化を図る上で必要な措置であると考えます。  第二は、加入者按分率引き上げであります。各保険者間の老人加入率の格差による老人医療費負担の不均衡を是正することにより、どの保険者も同じ割合老人を抱えるように制度間で調整することは、負担配分の一層の公平化を図ることとなり、本制度基本理念に沿った適切な措置であると考えます。  第三は、老人保健施設創設であります。今後とも増大すると予想される寝たきり老人等の要介護老人の多様なニーズに適切に対応した医療サービス生活サービスを提供する、いわゆる中間施設である老人保健施設創設は、まさに長寿社会にふさわしい時宜を得たものと言えます。  このほか、医療保険各法に準じて特定療養費制度を導入することとし、医療保険制度を通ずる老人医療費の公平な負担を図る観点から、国民健康保険法について所要の改正を行うこととしております。  以上述べましたように、我が党は、政府原案趣旨について評価するものでありますが、さらに、自由民主党提出に係る修正案は、社会労働委員会における慎重な審議の結果を踏まえ、また、国民各層の切実な要望にこたえようとするものでありまして、まことに適切なものであります。  修正案内容は、第一に、外来の一部負担金の額を千円から八百円に改めること、第二に、加入者按分率については、本則は一〇〇%とし、昭和六十二年度から昭和六十四年度までは九〇%とすること、第二に、昭和六十一年十一月一日から施行することとされていた部分の施行期日については昭和六十一年十二月一日からとすることの三点でありますが、この修正により、さらに本法案目的の達成と円滑な実施に資するものと考えます。  最後に、私は、本格的な高齢化社会を迎えるに当たり、政府福祉政策充実はもとより、雇用政策住宅政策地域政策等々各般の施策を動員して、活力ある福祉社会の建設に向かって努力せられんことを希望いたしまして、政府案及び修正案に対する賛成討論を終わります。(拍手
  13. 原健三郎

    議長原健三郎君) 井上和久君。     〔井上和久登壇
  14. 井上和久

    井上和久君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました老人保健法等の一部を改正する法律案並び自由民主党提出の同法修正案に対し、ともに反対の立場で討論を行うものであります。(拍手)  健康は国民生活基本的条件であり、生きがいはその健康な体によって得られるものであります。我が国高齢化は、世界に例を見ないスピードで進んでおります。国民の間には、高齢化が進むにつれて、長い人生を有意義にかつ安心して過ごせるだろうか等、老後の健康、生活不安が増大しております。そして悲しむべきは、独居老人寝たきり障害老人、さらには介護疲れなどにまつわる自殺や殺人などの事件が多発しておることであります。今日のお年寄り皆さんは、戦後の日本経済の発展を汗水流して支えてこられた、まさに功労者であります。今こそ、急速な高齢化に対応し、これらお年寄りを初め国民が安心できる充実した老後保障する総合的施策展開緊急課題となるのであります。  しかしながら政府は、国民の期待する老後保障する総合的施策を示さないまま、老人医療費の一部負担の大幅な引き上げや、みずからの失政によって生じた国民健康保険財政の逼迫を国民責任転嫁する、まさに財政調整を柱とした本法案提出し、成立を図ろうとしております。このような改悪案は、今求められている二十一世紀に向けての医療保健福祉の諸制度抜本改革には何ら貢献しないのみならず、お年寄り生活と健康を脅かすものであり、国民老後の不安をさらに増幅させるものと言わざるを得ないのであります。本来、老人保健法制定目的は、疾病の予防、健康の維持増進にあります。しかも、老後生活をトータルに保障する施策が欠如している今日の段階において、医療費の増徴と財政調整を最大のねらいとしたこのような改悪案を我が党は断じて認めることはできないのであります。  以下、具体的に反対理由を四点にわたって明らかにいたします。  第一に、一部負担の大幅な引き上げについてでありますが、加齢現象で裁つもの病気をあわせ持つことが当然の老人にとって、異なる医療機関で受診するたびに千円、二千円、三千円と窓口負担がかさんでいくようでは、どんなにぐあいが悪くなっても病院に行くことをちゅうちょするようになり、子供援助を仰ぐにも、子供自身が教育や住宅など生活費負担増大してあえいでいる現実からとても不可能であり、つい遠慮して我慢するようになるのであります。これはまさに受診抑制であり、老人保健法制定の本来の趣旨である病気早期発見による初期診療重視医療に逆行するものであります。  特に入院の場合は、現在最高一万八千円で済む自己負担が、一年間で十八万円にもはね上がることになります。それでなくとも入院中は差額ベッド料おむつ代お世話料などの名目で一カ月十万円前後の保険外負担が重なっている現実があり、中曽根内閣が実現しようとしている改悪案は、年金だけが頼りといった老人生活を根底から破壊することにつながるものであります。  本法案は、全国八百五十万人の老人生活実態に即したものでは決してありません。例えば、政府は、年金は成熟し、一人十二万円から十三万円もらっており、千円ぐらいの負担は無理のない負担としておりますが、年金受給者の八百五十万人のうち、政府の言う年金額をもらっている人はわずか百十万人ぐらいであり、七割の老人は三万円前後の年金であえいでいるのが現実であります。それは厚生省国民生活実態調査でも明確にされており、高齢者平均所得は実質ダウンしておるのであります。このように低額年金核家族の進んでいる生活実態からすれば、一部負担強化老人にとって物心ともに大変な苦痛となるものであり、初期診療のおくれがかえって医療費増大を生むという悪循環に至ることを政府は強く反省すべきであります。  政府は、お年寄りに直接負担増を求める前に、医療費増大要因にメスを入れる対応をすべきであり、また、医療費不正請求や乱診乱療など、ほかに医療費抑制策を講ずるべきであります。また、政府は盛んに制度の安定のための負担の公平を強調しておりますが、今回の改正制度が安定する保障がないばかりか、公平に名をかりた、国民負担を押しつけるものにほかなりません。病弱老人生活を直撃し、医療への強い不安を与える本法案は、まさに福祉切り捨てであり、到底了承できるものではございません。(拍手)  第二は、加入者按分率現行四四・七%をわずか二年間で急激に一〇〇%にすることであります。これは健康保険保険者負担増を押しつけるものであり、医療保険制度老人加入率の不均衡見直しを旗印にしているが、甚だしい現実無視改悪案であります。すなわち、健保組合においてはその約四割の組合が政管健保よりも高い保険料負担し、苦しい財政状況にあえいでいる実態政府は理解すべきであります。  もともと国保財政の窮迫は、退職者医療制度による国保財政負担減政府が過大に見込み違いし、国保への国庫負担を減らし過ぎたことによることは明確であります。その失政のツケを患者負担強化健康保険制度に肩がわりさせることは、全く筋違いであります。健保財政サラリーマン保険料で支えられており、拠出金大幅アップはそのまま保険料引き上げにつながるのは必至であります。このような内容では、とても国民の納得と賛同を得ることはできるものではなく、むしろ二十一世紀を前にして、保険制度の崩壊を憂えるものであります。(拍手)  第三に、国民が期待し待望しているいわゆる中間施設老人保健施設として提案されたものの、施設の性格、機能、運営のあり方などが未整理、未調整のあいまいな形のままに提案されてきたことが審議の過程で厳しく指摘され、かえって老人保健施設に対する国民の不安や疑問を招く結果となったことは甚だ遺憾であります。  多くのお年寄りやその家族が一番気がかりなのは、お年寄りが寝込んだときや痴呆性老人となったとき、その老人をだれが看護するのか、また家庭で看護できるのか、さらには安心して任せられる施設があるのか、それが悩みであります。本法案において示された老人保健施設、いわゆる中間施設人的構成は、医師及び看護婦数病院よりはるかに少なく、介護職員の数も特養ホームよりも少なくなっておるのであります。この人的構成だけを見ても、行き届いた医療は望むべくもなく、寝たきり老人介護は、現在の特養レベルを維持することも困難であります。  国民が今切望している在宅ケアでは、重度の痴呆性老人寝たきり老人収容介護をこの老人保健施設に期待することは無理と言わざるを得ません。また一方、この施設入所者から月額五万円の生活費相当分患者負担として徴収しようとしておりますが、正規の患者負担金としてのこの金額は、老人病院入院負担金よりはるかに高額であり、この点についても、年金受給患者にとって大変過酷な金額であります。  第四には、初めにも指摘いたしましたように、高齢化社会が超スピードで進んでおる状況にありながら、政府老後保障総合的施策が明確に示されていないということであります。政府は、国民の前に、少なくとも健康づくり、医療対策、福祉対策案についての施策を示すべきであります。これらは、我が国がこれから世界に例を見ない急速な高齢化社会を迎えるに当たり必要不可欠な施策であり、ぜひ国民挙げて実現していかなければならない課題であります。  以上四点がこの法案には欠けているのであり、これが我が党が当該法案反対する最大の理由なのであります。  最後に、重ねて申し上げたいことは、本法案が財政対策のみを重視し、国民の健康づくりについての抜本的な対策を講ずることなく、いたずらにお年寄りに過酷な負担を押しつけ、サラリーマンにとっても実質増税となるものであるということであります。  この際、さきに我が党が提案した健康づくり施策の拡充強化、在宅医療介護体制の確立及び生きがいと温かい生活確保のための福祉年金施策等を盛り込んだ「安心した老後保障のための保健医療福祉対策の総合的展開」の内容を一つ一つ着実に早期に実現し、健康社会を促進していくことが、結果的には老人医療費を抑制することになり、かつ老人保健法本来の趣旨が全うされていく大改善につながることを強く主張するものであります。  以上申し上げて、本法案に対する反対討論を終わります。(拍手
  15. 原健三郎

    議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  16. 原健三郎

    議長原健三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告修正であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  17. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり決しました。      ────◇─────  日程第二 地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出
  18. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第二、地方交付税法等の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。地方行政委員長石橋一弥君。     ─────────────  地方交付税法等の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔石橋一弥君登壇
  19. 石橋一弥

    ○石橋一弥君 ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、地方行政委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、現下の厳しい地方財政の状況にかんがみ、今回の補正予算における所得税及び法人税の減額に伴う地方交付税の落ち込み額四千五百二億四千万円について、その全額を補てんし、本年度当初の地方交付税の総額を確保するため、交付税及び譲与税配付金特別会計の借入金を四千五百二億四千万円増額するものであります。  本案は、十月三十一日当委員会に付託され、十一月十一日葉梨自治大臣から提案理由説明を聴取し、昨二十日質疑に入り、地方交付税原資の借り入れ復活の理由、税制の抜本的改革と地方税財源の確保対策、経済政策及び財政対策の転換の必要性、円高不況に伴う地域対策の強化等について質疑応答が行われました。  同日、本案に対する質疑を終了し、討論を行い、採決の結果、本案賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  20. 原健三郎

    議長原健三郎君) 採決いたします。本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  21. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────  日程第三 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出
  22. 原健三郎

    議長原健三郎君) 日程第三、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題といたします。  委員長報告を求めます。内閣委員会理事宮下創平君。     ───────────── 防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案及び同報告書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────     〔宮下創平君登壇
  23. 宮下創平

    ○宮下創平君 ただいま議題となりました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、自衛官の定数を海上自衛官三百五十二人、航空自衛官二百三十一人、統合幕僚会議の自衛官二十三人、計六百六人増加するとともに、予備自衛官の員数を千三百人増加するほか、自衛官が武器を使用して防護できる対象に船舶、有線電気通信設備等を加え、また、防衛庁長官は、国の機関から依頼があった場合には、航空機による国賓等の輸送を行うことができること等を内容といたしております。  本案は、九月十一日提出され、十月二十一日本会議において趣旨説明及びこれに対する質疑が行われた後、同日本委員会に付託されました。委員会におきましては、十月二十三日栗原防衛庁長官から提案理由説明を聴取した後、質疑に入り、十一月二十日には中曽根内閣総理大臣の出席を求めて質疑を行う等、慎重に審査を行いました。  本案に対する質疑は、世界、特に極東における軍事情勢の分析、米ソの核軍縮への取り組み、「防衛計画の大綱」の達成と対GNP比一%枠との関係、SDI研究への参加問題、自衛隊における綱紀粛正問題等、広範多岐にわたって行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。  かくて、十一月二十日質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党の北口博君及び民社党・民主連合の和田一仁君から賛成日本社会党護憲共同の上原康助君、公明党・国民会議の斉藤節君及び日本共産党・革新共同の児玉健次君からそれぞれ反対意見が述べられました。  次いで、採決いたしましたところ、本案は多数をもって可決すべきものと決しました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     ─────────────
  24. 原健三郎

    議長原健三郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。坂上富男君。     〔坂上富男君登壇
  25. 坂上富男

    ○坂上富男君 私は、皆様の御同意を得て、日本社会党護憲共同を代表して、防衛二法一部改正案に対し、反対討論を申し述べたいと存じます。  その第一の理由は、憲法第九条、戦争の放棄と戦力の不保持の条項に違反する、憲法違反の法案であるからであります。  中曽根内閣発足以来今日まで四年間、日本の軍拡化はますますエスカレートしてきております。平和憲法の理念に反する政府・自民党の外交防衛政策は、今や完全に米国の対ソ戦略に組み込まれ、我が国を核戦争の脅威にさらし、防衛費の突出は財政再建に逆行し、国民生活に犠牲と負担を押しつけるものであります。厳しく批判されなければなりません。今国会においても、その犠牲はお年寄りにまず向けられ、著しい高負担を強いる老人保健法案となってあらわれてきておるのであります。既に武器輸出三原則、非核三原則は形骸化し、GNP一%枠もその合理的な根拠がないとして、これを撤廃しようとする強い動きがあるのであります。我が党は、このような軍拡の野望を黙視するわけにはまいりません。軍事大国化を志向する歴代自民党政権に対し有効な歯どめ措置としての役割を果たしてきたところに、一%枠の重要な意義があるのであります。  しかるに政府は、昨年九月、実質的に一%枠を突破する新中期防衛力整備計画を策定しました。防衛計画大綱もまたしかりであります。大綱と別表は不離一体であります。しかるに、大綱の基調を見直すことなく別表改定は可能であるとして、基盤的防衛力構想を放棄し、所要防衛力構想への転換を画策しているのであります。このような政府の姿勢は、アジアの緊張緩和を阻害し、これら近隣諸国に対し警戒と危惧の念を抱かせるものであります。同時に、米国の対ソ戦略の一端を担い、三海峡封鎖、北方前方防衛及び洋上防空など、戦略、作戦を遂行する危険きわまりないものであります。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」との憲法前文の崇高なる理想を軍靴をもって踏みにじろうとするものであります。断じて許さるべきものではありません。  警察予備隊時代の自衛官の定数七万五千人から法改廃十九回、そのたびごとに定数増が行われ、今回の二十七万二千七百六十八人は発足当時の三・六倍にも達するのであります。予備自衛官の員数もまた発足当時の一万五千人から法改正のたびごとに増員し、今回の四万四千九百人は発足当時の約三倍弱の増加となるのであります。もはや、これらの人的、物的の防衛力の増強は、政府の言う専守防衛をはるかに逸脱する憲法第九条第二項の「戦力」に該当するものであります。まさに憲法第九条第二項に違反する法改正案でありますので、強く反対をいたすのであります。(拍手)  この際、我々は、憲法制定の原点に立ち返り、昭和二十一年五月十六日召集された第九十回帝国議会において、吉田茂内閣総理大臣がこの壇上、この場所において、憲法第九条について「一切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ抛棄シタモノデアリマス、従来近年ノ戦争ハ多ク自衛権ノ名ニ於テ戦ハレタノデアリマス、満州事変然リ、大東亜戦争亦然リデアリマス、」「故二我ガ国ニ於テハ如何ナル名義ヲ以テシテモ交戦権ハ先ヅ第一進ンデ抛棄スル、抛棄スルコトニ依ツテ」「全世界ノ平和愛好国ノ先頭ニ立ツテ、世界ノ平和確立ニ貢献スル決意ヲ先ゾ此ノ憲法ニ於テ表明シタイト思フノデアリマス」と、その決意を述べておられることを銘記すべきであります。(拍手)  第二の反対理由は、武器使用防護対象物に船舶、有線電気通信設備、無線設備を加えることは、「防衛の用に供する物」でないものを保護しようとするもので、いわゆる恵庭事件判決に違反する法案であります。  すなわち、恵庭事件判決は、自衛隊用の通信線が自衛隊法第百二十一条に言う「その他の防衛の用に供する物」に当たらないとして無罪判決が言い渡され、第一審の札幌地方裁判所で確定した事件であります。今回の改正は、今内閣委員会審議においても、防衛庁の友藤官房長は、防衛力を構成している物的手段が損壊されたり防衛力が低下することを防ぐための規定であると答弁しております。同法九十五条は武器による保護規定であり、同法百二十一条は刑罰による保護規定であって、その保護対象物は、いずれも「防衛の用に供する物」でなければならないのであります。  判決は、「防衛の用に供する物」とは、武器、弾薬、航空機とほとんど同列に評価し得る程度の密接かつ高度な類似性の認められる物件を指称するというべきであるとした上で、自衛隊の通信線は「その他の防衛の用に供する物」に当たらないと判示したのであります。したがって、右判決の論旨からすると、船舶や有線、無線の通信設備は「防衛の用に供する物」には該当しないのであります。「防衛の用に供する物」に該当しない船舶、通信は、第九十五条の武器使用防護対象物件となり得ないのであります。よって、本条文の改正は、右判例上からも許されないのでありまして、強く反対をいたすものであります。(拍手)  以上述べましたとおり、自衛隊増強にとどまらず、日米防衛協力の一層の進展に伴い、在日米軍を初め米極東戦力はますます強化されつつあります。具体的には、トマホーク積載艦のたび重なる寄港、F16の三沢配備、激化する日米合同演習、三宅島の米軍機発着訓練場計画、逗子の米軍家族住宅計画及び沖縄における米軍用地二十年強制使用など、日米安保体制は軍事同盟の性格をさらに濃厚にしつつあります。そしてその行き着く先は、当然のごとくSDI研究参加という、米国の宇宙核軍拡への加担にあります。SDIに使用する可能性の高いエックス線レーザーは核爆発によるもので、現在行われておる核実験の大部分がSDIの研究用と言われております。SDIを非核と称することは、黒を白と言うがごとく、全くの詭弁そのものなのであります。  以上、明らかなとおり、日米軍事同盟のもと、日本が軍事大国への道を際限なく突き進んでいる状況を我々は断じて容認できません。ここに憲法及び法律違反の軍事力増強の具体的措置を盛り込んだ本防衛二法案について強く反対することを表明し、討論を終わります。(拍手
  26. 原健三郎

    議長原健三郎君) 北口博君。     〔北口博君登壇
  27. 北口博

    ○北口博君 私は、自由民主党を代表して、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案に対して賛成討論を行うものであります。(拍手)  我が国の独立を維持し、平和と安全を守ることが国家として最も重要な責務であることは、今さら申し上げるまでもございません。また、今日、国際社会における我が国の地位は著しく高まり、世界的視野に立って国際社会の平和と安全の強化に貢献することが我が国に強く期待されておりますが、そのためにも、我が国がみずからの安全保障を確かなものにすることが必要であります。  もとより、世界の平和と安全は人類の最大の課題であります。しかしながら、現下の国際情勢は、ソ連の一貫した軍事力の増強、頻発する国際テロ事件等、依然として厳しく不安定な状況が続いております。我が国の周辺におきましても、極東ソ連軍の顕著な増強と、これに伴う行動の活発化によって我が国に対する潜在的な脅威が増大し、また、朝鮮半島における緊張も依然続いております。このような状況のもと、我が国としては今後とも日米安全保障体制を堅持するとともに、有効で効率的な防衛力の整備に努めることが極めて肝要であります。  今回の改正案は、海空自衛隊及び統幕の自衛官並びに予備自衛官を必要最小限度増員するとともに、武器を使用して防護し得る対象に自衛隊の通信施設や船舶を追加すること、さらに、航空機による国賓等の輸送権限を付与すること等を内容とするものであり、いずれも当然の措置であると考えるのであります。  もとより、我が国の平和と安全はひとり自衛隊のみで全うし得るものではありません。政府は、今後とも防衛問題に対する国民の理解と支持のもとに、さらに有効で効率的な防衛力の整備に努め、アジア、ひいては世界の平和と安全に大きく貢献されることを強く要望して、私の賛成討論を終わります。)拍手
  28. 原健三郎

    議長原健三郎君) これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  29. 原健三郎

    議長原健三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  30. 原健三郎

    議長原健三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ────◇─────
  31. 原健三郎

    議長原健三郎君) 本日は、これにて散会いたします。     午後二時散会