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上谷最高
裁判所長官代理者 まず、簡易
裁判所のPRということになりますと、どちらかといえば民事
関係が
中心になろうかと思いますので私の方からお答えさせていただきますが、簡易
裁判所につきましてのPRとして
裁判所が行っているものには、最高
裁判所が行っておりますものと各地の
裁判所が行っているものとがございます。
最高
裁判所が行っているものといたしましては、例えばパンフレットあるいはリーフレットを作成いたしまして、その中でそのときの話題に関連した事柄を取り上げ、あるいはまた広報テーマ等を掲載した「
司法の窓」というふうな広報誌を
発行する、そういうようなものを例えば全国の
裁判所あるいは弁護士会、地方自治体等に送りまして、
裁判所がPR
活動をすると同時に、それぞれの機関でもPR
活動をしていただいておるわけでございます。それからさらに、調停の
申し立てを希望する者が非帯に多うございます。そういう
方々を
対象にいたしまして、最高
裁判所では調停手続のあらましをわかりやすく
説明しましたリーフレットでございます「調停のしおり」、パンフレットとしましては「調停の手引き」、そういうものを作成いたしまして、全国の
裁判所に配っております。それを各簡易
裁判所の
窓口に備えておきまして、あるいは各市町村さらには
警察署等にも配付いたしまして
一般国民の手にも渡りやすいようにしているわけでございます。そのほか最高
裁判所におきまして、そのときどきの簡裁の
事件につきまして国民の理解を深めるために、そのときの話題を取り上げて広報テーマを作成いたしまして、「
裁判所時報」に掲載するほか市町村にも配付いたしております。各市町村等でのPRにも利用していただく、そういうようなことで、簡易
裁判所について広く国民に理解してもらう
努力をしてまいったわけでございます。この点については、今後ともさらにそういうふうな簡易
裁判所への理解を広げていくための
努力を続けていきたいと考えているわけでございます。以上が、最高
裁判所が
中心として行っておりますPR
活動でございます。
次に、各地の
裁判所が行っているPR
活動がございます。これには、先ほど申しました
裁判所のPR雑誌でございます「
司法の窓」あるいは広報テーマ等を利用いたしまして庁内の掲示を行うとか、あるいは各市町村等の広報紙への掲載を依頼するという形で広報
活動を続けておるわけでございます。さらにまた、これは簡易
裁判所の
窓口におきまして、受け付けあるいは受け付け
相談等の際に、口頭受理の手続でございますとか、あるいは簡易
裁判所の訴訟、調停、督促等の手続を
相談においでになった方にお教えするという
方法によりましても個々的にPRを行っておりますし、その際に、例えば最高
裁判所から各
裁判所にお送りしております、あるいはまた各
裁判所でつくっております定型的な訴状、素人の方がそこに書き込めばよいというような訴状あるいは調停の申立書等を
窓口に備えておき、あるいは記載要領をお示しするという形で、利用しやすい
裁判所ということでいろいろ
努力をいたしておるわけでございます。
そのほかにも、特に最近は調停
関係には力を置いておりまして、財団法人
日本調停協会連合会にお願いいたしまして、広報
活動の一環として全国的に調停
相談をやっていただく、そういうふうな
活動をいたしております。これらは、例えば、各地で人のよく集まりますデパート等で実施いたしまして、
一般国民から調停に関する手続の
相談を受けまして、その機会に調停
制度の
普及宣伝を図ろうというものでございまして、いろいろこういう
努力をいたしまして、かなりの効果を上げているところでございます。現に最近は、特に調停を
中心といたしましてかなり国民の皆様方に利用していただいているという
状況でございます。これもやはり大都市の大規模の簡易
裁判所が
中心でございますが、全国的に見ますと、最近非常に利用されているということでございます。
それから、先ほど
法律相談というお話がございました。この点につきましては、私
どもの考えといたしましては、例えば簡易
裁判所の
窓口で
相談を受け付けると申しましても、これは
裁判所の性格から申しまして、
事件の中身に立ち入っていろいろ
相談に乗るというわけにはいかないわけでございます。これはやはり公正中立の
立場にある
裁判所といたしましては、当事者からどのような
制度があるかということをお尋ねになりました場合に、例えば訴訟、督促、調停等の手続がある旨、その手続をするときにはどのような申立書を出せばよいか、あるいはまた口頭でおっしゃっていただければ
裁判所でそれを受理しますということを御
説明するわけでございまして、現実に紛争の中身に立ち入りまして、これはどうすればいい、こうすればいいと言うことは
裁判所としては
立場上いたしかねるわけでございます。
先ほどちょっと各地方公共
団体あるいはまた
警察署の困りごと
相談所等に
法律相談が非常にふえているというお話がございました。確かにそういう
状況はあろうかと思いますが、そういうふうなものが、例えば
裁判所の受付で扱いまするいわゆる手続の
相談ということでございますと、
裁判所にお越しいただきますと親切に御
相談に乗っているはずでございますが、
法律紛争の中身の解決ということになりますと、市町村あるいは
警察署等で例えば弁護士さんを御紹介いただくとかそういうふうな形で処理せざるを得ない。
裁判所へおいでいただきましても、その中身について
相談に乗るというのはなかなかやりにくいということはぜひとも御理解いただきたいと存じます。