○鍛冶
委員 大臣にも、先ほど
お答えはお聞きいたしましたけれ
ども、
お尋ねをしたいのですが、僕は
幾つか問題点があると思いますし、これは文教、
文部大臣の
所管される省庁の問題とは、若干
関係あるにしても直接的ではございませんから難しいところがあるのですが、あえて
お尋ねをするわけですけれ
ども、私なりに考えてみていろいろ問題があると思います。
解決を
暴力に訴えたということは断じて許されない、これははっきりそう思うのです。ただ、こういう
事件がありますと、普通ならば、
暴力に訴えて解決をしようとしたということで、世間の世論というものは、いろいろなアンケートがあったりいろいろなことをしてみても、
暴力はけしからぬという方に
重点を置いた
お答えが返ってくるという場合が多かったように私は記憶しているわけです。ところが今回の場合は、新聞の見出しまで「快挙」であるとか、これは新聞が書いているのじゃなくて一般の方がそういうふうに言っているというようなこと、「暴挙」であるとか、賛否両論あるわけですけれ
ども、やはり今度のことが与えた
影響というのは非常に大きい。特に、事を起こした本人の
ビートたけしさんというのは
子供の
立場で見ると英雄視されているわけですね。それがこういうことを行ったということで、
子供たちに対する
影響は随分大きいだろう。小さい
子供じゃございませんでしたけれ
ども、きょう
質問に立つまでに何人かの若い人たちに聞いてみたのです。そうしたらほとんどが、たけしさんがかわいそうだ、こういう言い方をするわけですね。向こうに同情的なんです。こういう風潮が知らず知らずのうちに、みんなで渡れば怖くないというようなことで、
暴力をやったっていいということになることが極めて心配で警戒しなければならぬと思いますけれ
ども、また、そういうことを起こす側の原因というものも真剣に考えるべきだろう。特にFF現象というような流行語を生むぐらいに最近はエキサイトしてきておりまして、御
承知のように今五つばかりが、マスコミ等で、また我々もいろいろ聞くのによると、業界で争いが起こっていて発行部数の拡大を競っておる、こういうふうなことを聞いておるわけです。その出版社は私も知らなかったのですが、私自身は余り読むことが少ないものですからわからなかったのですが、新聞に出ているのを拾ってみましたら、フォーカス、これは新潮社というところから出したのですね。それから
フライデーが
講談社です。エンマというのが文芸春秋社、タッチというのが小学館、フラッシュというのが光文社。この中で光文社は若干小さいのかもわかりませんが、ほかの出版社というのは実は大手ですね。私たちが理解しているのは、出版業界では大変大手でむしろ良識を持っていろいろやっていただきたい、リードしていただきたいところが出版をなさっておられる。それの中で起こった
事件ですから、出版業界をリードする各社が争ってこういうことをやっていて、こういうことが起こったときに、非常に微妙なことなんですが、新聞の
報道によれば、我々の
取材には決して悪いところはなかった、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。
ところが、これに対する対抗手段としては、さっきも
法務省からお話がございましたが、
人権擁護局に訴えても、仮にこれはよろしくないと認められても勧告ぐらいしかない。あとは裁判に訴えるしかないということになると大変に時間もかかりますし、プライベートな問題だと御本人もまたさらしものになってしまうということになりかねない。非常にその間のプライバシーなり
人権なりというものが侵害されてくるんだなということを痛感するわけでございます。
子育てとかの場合、我々も
教育に携わってきていろいろ突っ込んでみまして、例えば
子供を
教育する際に
子供の言い分だけで何でもいいからやってしまえ、こういうことで認めておるとやはり大変なことをやる。だからやはりそこにしつけが要る、あるいは道徳
教育が要る。節度なり規範なりというものがそこにあって初めて自由というものが保障されるし、本当にみんなが楽しく暮らしていける世の中をつくることができるんだ、こう思うわけですね。だから、その一番貴重な自由というものは責任を伴うと私は思うのですが、そこらあたりの節度なり責任というものが多少今外れてきているというような気がしております。それで出版業界の大手の出版社がそういうことをなさっておられるというふうにどうも
感じられるところがございまして、非常にそういう点が危惧されるわけです。
起こした本人がそういうことで
子供に英雄視されている、出版されている側が大手の出版社だ、大変に
影響の大きい二つがかみ合っている、こういうふうな気がいたしておりまして、こういう点を含めて、やはり私はこういう点についてはもっともっと
国民の中にも
議論が起こってこなければいかぬだろうとは思いますし、最終的には、先ほど
法務省の方ですか、
話し合い以外に解決の道はないんじゃないでしょうかとたしか御答弁されていたように思いましたが、そこにあるにしてみても、言われたら言われた方が言われっ放しで、被害が大きいという場合の方がどうも多くなっているような
傾向を感ずるわけです。こういった全般的なことを通じて、もう一度
大臣、この件に関しての御所見を承りたいと思います。