○久間
委員 私は、自由民主党を
代表いたしまして、
内閣提出の
国鉄改革八
法案及び
修正案に賛成の討論を行うものであります。
今回
提出の八
法案は、昨年七月
国鉄再建監理委員会が中曽根
総理大臣に
提出した「
国鉄改革に関する意見」を最大限に尊重し、これに沿ってつくり上げた一連の
国鉄改革法案であり、危機的
状況にある
国鉄の
事業の再生を図るとともに、
政府機構の簡素化、効率化、官業の
民営化、活性化、規制緩和、競争原理の導入、さらには
民間活力の導入など、いわゆる土光臨調の
理念を体したまさに時代の
要請にこたえる
法案であると考えるものでありまして、以下申し上げる理由により、賛成いたすものであります。
まず、かつて我が国の大動脈として
国民の信頼を得てきた
国鉄が今日の惨状に陥った根本的な原因は、
公社制度のもとにおける全国一元の巨大組織による運営という
制度的な制約に加え、時代の変化に適切に対応できなかったことにあり、その
経営形態の抜本的な
変革がなされなければ
鉄道の再生は不可能であるとする点で、
政府と認識を同じくするものであります。
責任ある自由な
経営と
民間の
経営手法の導入、他
企業との切磋琢磨、そして何よりも地域思いの
経営を実現すること、すなわち
分割・
民営化を実施することが、
鉄道の活性化をもたらし、真に
国民の
鉄道として再生することを可能とするものでありまして、二十一世紀に向けて、我が国経済社会の発展に真に貢献し得る未来ある
鉄道としての道を開くものであると考えます。
政府案は、
分割については、旅客流動等の実態を十分配慮し、また新
会社に対する規制も
民間鉄道並みを
原則として、最小限にとどめる一方、活力ある
経営が可能となるよう、新
会社の
経営基盤の安定、確立にきめ細かい工夫を凝らしており、いずれの
会社も
分割・
民営化の暁には、各地域の発展に貢献していくことができるものと確信しております。
ここに示されました
改革案は、
鉄道再生の処方せんとして、現実性のある最善の方策であると考えるものであり、これが
国鉄改革八
法案に賛意を表明する第一の理由であります。
第二に、いわゆる長期債務等の
処理についてであります。
国鉄長期債務及び関連する諸負担は膨大なものに上り、その負担をすべて新
会社に負わせることは、
経営の維持が困難となり不可能であります。他方、これを安易に
政府すなわち
国民の負担を求めることも許されないと考えます。
最終的に何らかの、それも相当額の負担について
国民の
理解を求めなければならないとしても、その前提として、自主財源の確保のために
国鉄自身がぎりぎりの努力を尽くすこと、及び新
会社が赤字体質のもとで再び国の助成に依存することがあってはならず、いわば今回限りの負担であることが必要不可欠であります。
政府案は、この点において、効率
経営を前提として過重となる負担は新
会社から切り離し、
清算事業団において
処理することとするとともに、同
事業団の自主財源として、
国鉄所有の売却可能用地をできるだけ生み出し、かつ、これを公開競争入札を基本とする適正な時価で売却して、
国民負担の軽減を図ることとしております。
分割・
民営化による効率的な健全
経営の確立と用地の生み出しを初めとしたぎりぎりの自助努力は、膨大な長期債務等の
処理について
国民の
理解と協力を求めるためにまさに適切な
措置であり、これが
政府の
国鉄改革八
法案に賛成する第二の理由であります。
第三は、今回の
改革に伴う
国鉄職員の
雇用の確保についてであります。
今次
改革では、
経営の効率化が求められ、その過程で多くの人が
国鉄の職場を離れることが必要となります。これらの方々の
生活の安定、
雇用の安定は、十分な配慮を尽くさなければなりません。
政府案は、この点について特別立法のもとに最大限の支援を行うこととしております。また実際上も、中曽根
総理を先頭に、
政府、
国鉄一体となった
雇用対策が展開され、着実に成果が上がりつつあることを多とするものであります。
政府案は
雇用対策についても十分きめ細かい配慮がなされていると考えるものであり、これが本
改革八
法案に賛成する第三の理由であります。
最後に、
修正案について申し上げますと、
国鉄改革は
国民にとって最も深い関心を有する問題でありますので、それに関する施策の実施の
状況を
国会に対し報告することによって
国民に明らかにすることは、まことに適切妥当な
措置であると存じ、これまた賛意を表する次第であります。
以上、賛成理由を申し上げましたが、何と申しましても百有余年の歴史を有する
国鉄を
民営化し、
分割いたすのであります。安全第一に、整々粛々と、スムーズに移行がなされなければなりません。本
改革法案の成立後、
政府、
国鉄関係者は不退転の決意をもって事に当たり、今回の国家的
改革を立派に成就されんことを心より希望いたしまして、私の賛成討論を終わります。(拍手)