運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-10-22 第107回国会 衆議院 日本国有鉄道改革に関する特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十二日(水曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 細田 吉蔵君   理事 小此木彦三郎君 理事 小里 貞利君    理事 佐藤 守良君 理事 三塚  博君    理事 山下 徳夫君 理事 井上 普方君    理事 嶋崎  譲君 理事 西中  清君    理事 河村  勝君       甘利  明君    新井 将敬君       粟屋 敏信君    井上 喜一君       石破  茂君    石渡 照久君       臼井日出男君    小川  元君       小沢 辰男君    尾形 智矩君       大島 理森君    片岡 清一君       亀井 静香君    亀井 善之君       北村 直人君    久間 章生君       古賀  誠君    古賀 正浩君       鴻池 祥肇君    佐藤 静雄君       桜井  新君    笹川  堯君       鈴木 宗男君    関谷 勝嗣君       高橋 一郎君    武部  勤君       武村 正義君    津島 雄二君       渡海紀三朗君    中島  衛君       中村正三郎君    中山 成彬君       野中 広務君    野呂田芳成君       長谷川 峻君    鳩山由紀夫君       原田  憲君    穂積 良行君       増岡 博之君    町村 信孝君       松田 岩夫君    松田 九郎君       村上誠一郎君    森田  一君       谷津 義男君    山村治郎君       若林 正俊君    上田 卓三君       小林 恒人君    関山 信之君       戸田 菊雄君    村山 富市君       山下洲夫君    浅井 美幸君       石田幸四郎君    遠藤 和良君       大橋 敏雄君    柴田  弘君       楢崎弥之助君    米沢  隆君       工藤  晃君    中島 武敏君       村上  弘君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 宮澤 喜一君         厚 生 大 臣 斎藤 十朗君         運 輸 大 臣 橋本龍太郎君         労 働 大 臣 平井 卓志君         自 治 大 臣 葉梨 信行君         国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君  出席政府委員         内閣審議官   中島 眞二君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       角谷 正彦君         大蔵省主計局次         長       篠沢 恭助君         文部大臣官房総         務審議官    川村 恒明君         文部省初等中等         教育局長    西崎 清久君         厚生大臣官房審         議官         兼内閣審議官  佐々木喜之君         中小企業庁指導         部長      長瀬 要石君         運輸大臣官房審         議官      井山 嗣夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   丹羽  晟君         運輸省運輸政策         局長      棚橋  泰君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省航空局長 山田 隆英君         労働大臣官房長 岡部 晃三君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省労政局長 小粥 義朗君         労働省労働基準         局長      平賀 俊行君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治省行政局公         務員部長    柳  克樹君         自治省税務局長 津田  正君  委員外出席者         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         日本国有鉄道常         務理事     澄田 信義君         日本国有鉄道常         務理事     前田喜代治君         日本国有鉄道常         務理事     山田  度君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ───────────── 委員の異動 十月二十二日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     鴻池 祥肇君   小沢 辰男君     北村 直人君   亀井 静香君     尾形 智矩君   古賀  誠君     小川  元君   桜井  新君     佐藤 静雄君   中島  衛君     高橋 一郎君   中村正三郎君     町村 信孝君   長谷川 峻君     中山 成彬君   原田  憲君     松田 岩夫君   山村治郎君     古賀 正浩君   阿部 昭吾君     楢崎弥之助君   中村 正雄君     米沢  隆君 同日  辞任         補欠選任   小川  元君     古賀  誠君   尾形 智矩君     谷津 義男君   北村 直人君     鳩山由紀夫君   古賀 正浩君     笹川  堯君   鴻池 祥肇君     穂積 良行君   佐藤 静雄君     武部  勤君   高橋 一郎君     石破  茂君   中山 成彬君     渡海紀三朗君   町村 信孝君     中村正三郎君   松田 岩夫君     粟屋 敏信君   楢崎弥之助君     阿部 昭吾君   米沢  隆君     中村 正雄君 同日  辞任         補欠選任   粟屋 敏信君     井上 喜一君   石破  茂君     武村 正義君   笹川  堯君     村上誠一郎君   武部  勤君     新井 将敬君   渡海紀三朗君     長谷川 峻君   鳩山由紀夫君     石渡 照久君   穂積 良行君     臼井日出男君   谷津 義男君     亀井 静香君 同日  辞任         補欠選任   新井 将敬君     桜井  新君   井上 喜一君     原田  憲君   石渡 照久君     小沢 辰男君   武村 正義君     中島  衛君   村上誠一郎君     山村治郎君     ───────────── 本日の会議に付した案件  日本国有鉄道改革法案内閣提出第一号)  旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律案内閣提出第二号)  新幹線鉄道保有機構法案内閣提出第三号)  日本国有鉄道清算事業団法案内閣提出第四号)  日本国有鉄道退職希望職員及び日本国有鉄道清算事業団職員の再就職促進に関する特別措置法案内閣提出第五号)  鉄道事業法案内閣提出第六号)  日本国有鉄道改革法等施行法案内閣提出第七号)  地方税法及び国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第八号)  日本鉄道株式会社法案伊藤茂君外八名提出衆法第一号)  日本国有鉄道解散及び特定長期債務処理に関する法律案伊藤茂君外八名提出衆法第二号)  日本鉄道株式会社退職希望職員等雇用対策特別措置法案伊藤茂君外八名提出衆法第三号)      ────◇─────
  2. 細田吉藏

  3. 関山信之

    関山委員 おはようございます。大臣以下、連日御苦労さまでございます。  きょうは雇用年金ローカル線一般質問ということで、主として雇用年金ローカル線集中討議ということになっておりますが、雇用年金同僚村山議員が後段質問することになっておりまして、私の方は一般的な質問をさしていただきます。  あらかじめ申し上げておりました課題に先立ってちょっと運輸大臣にお伺いをしたいのですが、昨日我が党井上議員から土地問題についてお話がございまして、大臣もごらんのとおりだと思うのですが、きょうの朝日新聞社会面トップでは、昨日話題になりました土地がわずかの期間転売をされているという事態が報道をされておるわけでございます。私はこのことについて今議論をしようと思いませんが、この間いろいろ土地売却方法入札仕組み等について御議論がありまして、大臣も、公正、厳正に対応をするという御答弁を繰り返してきていらっしゃるわけでありますけれども、私は、やはりこの問題について、この審議過程できちっと、国民の皆さんにあらゆる疑惑を差し挟まない政府の態度を明確にしておくという意味では、既に関連法に基づく政省令案要綱等の案が私どもに配られておりますけれども、これは非常に概略のものでありますし、この際きちんとしたものをお出しになってはどうか。  なお、政省令でどこまで書き込むかという問題もありますが、土地資産処分入札などについては、従来は規程などでやっておるわけでありますから、かなりまた先送りになって始末をされるということになっても、これまた疑惑の種にもなるわけでありますね。実は、きのう公告の問題が議論のテーマになっておりましたけれども、例えば従来の国鉄土地建物等売却入札規則などによりますと、こういうあたりが役所流なんだけれども、「入札期日の前日から起算して七日前までに、そのつど官報、鉄道公報その他の機関報新聞、掲示等適当な方法」——「等適当な方法」でと、これでいつも逃げられるわけですね。そしてさまざまな疑惑を生む根源をつくっていくということなんでありまして、この際、審議過程できちっとしたものをお出しになってはいかがか。  それからもう一つは、これまたきのうの問題で表に出てきておりますのが六十一年度資産充当処理ですよ。これもせっかく大臣、この大事業をやっていらっしゃる過程で次々にこんな問題が出てきたんじゃ、これは大臣の名誉にもかかわることでしょうから、この際、これについてもきちっとした御答弁をいただいておいたらいいんじゃないか、こう思いましてお尋ねを申し上げたいと存じます。
  4. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 昨日井上委員から御指摘を受けました案件、具体的に三件の例示をいただきました。  そのうち、長崎の案件については数紙新聞等公告出したということでありますから、これは私は公開競争入札としての公募の形式としては必ずしも問題になるものではなかろうという感じを申しました。しかし、東京都内における二件について、確かに私も御質問の中身を聞きながら首をかしげたことも事実であります。しかも、調べてみますと、その後比較的短期間、一方は本当に数日間を経ずして他へ転売をされていたという事実も知りまして、確かにこれは問題だと思いました。  ただ、今政省令等を正確なものをということでありますが、これは法律案が通過、成立をし、法律になりましてから、各省庁との協議あるいは法制局審査等を経て固めるものでありますだけに、今資料として御提出を申し上げておるもの以上に細かいものを御提出をするということは、これは私はちょっと難しいと思います。  また、清算事業団に移行しました後における処分方式等について、なお明確な姿を出せという御指摘を受けておるわけでありますが、これもその資産処分審議会を実質的に運営していく場合のさまざまな、例えば議事規則をつくるのか、どういうふうにするのか、私も細かくは存じませんけれども、いわばルールづくりの問題ということでありまして、今までお答えを申し上げてまいりました以上に細かい御答弁を申し上げる準備を今日はいたしておりません。ただ、やはり御指摘を受けました事実を厳粛に受けとめて考えてみれば、より厳しい対応を考えていかなければならぬと私自身も考えております。  また同時に、昨日提起をされました六十一年度内に現在の国鉄収支計画の中で処分をしていく資産につきまして、公正を期すべきであるがという御指摘については、もちろん先日来の御論議の中で、私は国鉄当局としても考えるところがあろうと思います。そして、昨日も率直に申し上げましたとおり、実は私は将来のことばかりを頭に置いておりまして、今までどういうふうにしていたかということは余り考えておりませんでしたが、年度内の資産処分につきましても十分な注意を国鉄当局に喚起をいたしておるところでありますので、この点につきましては国鉄当局から今後どういう体制対応するかについての決意をお聞きをいただきたいと思います。
  5. 関山信之

    関山委員 国鉄に伺う前に、私は、事務的な細かなことまではこれは今出せと言ってもそれは無理だと思いますね。ただ、転売禁止の問題でありますとか、あるいはきのう指摘のありました一社しか応札しなかった場合の扱いだとか、つまり随契でやるべきじゃないかとか、少なくともこの国鉄資産については、公開入札だけではなくて売買の経過について国民に明らかにする、手段方法を明らかにするとか、そういうような、この今出されている要綱にやはりつけ加えて、この際、これはかなり早い時期ですから、御整理をなすって一両日ぐらいにお答えをいただけないものだろうか、こういうことですが、いかがでしょうか。
  6. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私が昨日の御論議を聞きながら感じておりましたのは、やはり少なくとも転売規制等については十年ぐらいを考えたいな、これが一つ考えたことでありました。また、そのルールを破られた場合のペナルティーにつきましても、税務当局等との御相談もしなければなりませんけれども、差益が生じたような場合、それが全部没収ができるような形が組めないものか、そのようなことを一つ頭に置いております。  ただ、井上委員の御議論の中で私はちょっと一つ考え方を異にしておりましたのは、仮に公開入札として公告をした案件について一社のみしか応募がなかった場合には随意契約にすべきだという御指摘でありましたが、私は、その場合はむしろもう一度再入札を行うべきであると考えておりまして、一社しか応募がなかったからそれは随契に切りかえるという点については井上委員考え方を異にしております。そして、そういうふうなルールを考えた方がより公正な処分ができるのではなかろうかと考えております。
  7. 関山信之

    関山委員 それは大変結構な御答弁で、ぜひひとつそういうふうにお計らいをいただきたいと思います。  なお、六十一年度資産充当の問題、総裁に伺っておきたいと思いますが、ここまでいろいろ問題が出てくれば、決まっていることだけじゃ済まないと思うのですね。きちっとひとつ御対応願いたいと思いますが、いかがですか。
  8. 杉浦喬也

    杉浦説明員 六十一年度の資産充当の問題も、今運輸大臣が基本的な方向はお示しいただいたわけですが、随契につきましては既に厳重にこれは行うという方向出しております。  公開入札の場合の問題点でございますが、省とも十分相談をしながら、公明正大な、一般の方がどなたが見ても当然だなと思うような、そういうやり方、それから応募される方に対するきめの細かいやり方、こういうやり方実行してまいりたいと思いますし、実施段階におきまして若干不親切な面もあったというふうに反省をいたしておりますので、実行に当たりましても十分に、単に規定の範囲内だからということでなしに、十分に配慮をしていきたいというふうに思います。
  9. 関山信之

    関山委員 重ねて伺っておきますが、実は井上先生からけさ伺いましたら、早速きのう井上先生のところへ両国の問題なんかで電話が入っているのですね。確かに「七日前までに、」と言っていますが、この辺がいつ立てられたのか不明だったりなんかしている。ここはいいです、とりあえず過ぎた問題ですから。しかし、今後の問題については、これは少なくとも七日前までなんですね。ですからやはり常識的には一カ月前とか、載せるべきものは「等」とか「適当」とか書いてありますけれども、きちっとわかる方法公告をするとか、一般競争入札にしてもきちっとした転売禁止の条項を設けるとか、これだけの状況の中で国鉄資産処分をするんだという厳しい姿勢を土地問題については、これは六十一年度資産充当、特に駆け込みだなんて言われておるわけでありますから、もう一遍御回答をいただきたいと思います。
  10. 杉浦喬也

    杉浦説明員 公告期間場所等やり方につきまして、よりこれを利用する人に親切な方向、あるいは公明正大な方向に向かうように、実行上も気をつけてまいるつもりであります。
  11. 関山信之

    関山委員 それでは本題のまず分割の問題について、これもいろいろ議論がありましたが、ひとついろんな議論経過を踏まえてどうだという意味で御回答をいただければと思うのですが、率直に申し上げて私どもは、いろいろ議論を聞いてまいりましても、分割理論的根拠というのはどうも積極的に成り立っていないのじゃないかという感じがしてなりません。過度の内部補助を排除するといっても、今の段階では新幹線保有機構だとか三島基金だって回り回って言えば一種の内部補助でありましょうし、あるいは地域密着サービスといっても、監理委員会自体が悩んでそうしたのだ、こうおっしゃるのですが、いずれにいたしましても、青森と東京一緒密着なんといったって、これはなかなか通らぬ話でありますし、私はあえてこの時期、なお管理限界論だとか競争意識の向上だとかいろいろ御答弁がありますが、理論的な根拠はかなりあやふやなものじゃないか、こう思うのですが、大臣総括的にひとつまた……。
  12. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは、今までの議論をまた繰り返す愚は避けたいと思いますが、委員のお考えと、どうも私どもの申し上げておることが御理解をいただけなかった点のようであります。  私は今までと同じことを二度、三度と申し上げるつもりはありませんけれども、逆に御議論を拝聴しておりましても感じますのが、仮に現在の国鉄の姿をそのままの形態で民営に移行した場合に一体どういう問題が残るだろうかという感じを持ちます。そうなりますと、結局は今国鉄というものの持っております問題点をそのまま内在させてしまうのではなかろうか。それぞれの地域交通事情の変化、ニーズに対応ができにくい巨大組織の持つ通弊、こうしたものも残るでありましょう。また、いわば全国的なバランスを考えた運営を当然しなければならなくなるわけでありますから、それこそきめの細かい対応というものは大変難しくなりはしないだろうか、私はいろいろな問題点が逆に残ってしまうのではないかと思うのです。  もちろん私ども立場からするならば、公社制というものが持っておりましたいわば弾力的な経営が困難であったというようなことばかりではなくて、どうも逆に、委員初め多くの方々から疑問を呈せられましたけれども分割民営という手法でなければこの時期は乗り切れないのではないかという、今まで持っておりました気持ちをきょうまでの御論議の中で一層深めておるというのが私自身気持ちであります。
  13. 関山信之

    関山委員 ちょっと意地の悪い質問になるかもしれませんが、林さん、あなたが「運輸と経済」で座談会にお出になっていろいろお話しになっていらっしゃるのを勉強させていただきました。監理委員会事務局次長としていろいろ御苦労いただいた経過もよくわかるのですが、あなた、そこでやはり分割民営でなければならぬということを、これは当然お立場上おっしゃらなければならないと思うのだが、しかし、かなり長い座談会なものですからぽろっと本音が出たのじゃないかと思うのです。  この中で、「民営化についてはおそらく、これを否定される人はごく少数だと思うんですね。本当言うと、制約解除とか、責任体制確立とかは、民営化によって理論的にはすべて尽きるわけですよ。ところが、分割というのは理論をちょっと越えた問題まで踏み込まざるを得ない」「いまの経営体質あるいは労使意識が変わらないんじゃなかろうかと。」この間ちょっと抜いていますけれども、別に意識的に抜いているわけじゃないのです、時間がないからあれなんですけれども。これはいみじくも、やはり理論をちょっと越えた問題だ。  私どもから言わせれば、労働組合解体だとかいうようなことも含めて言いたくなるのですが、しかし先ほど来申し上げておりますように、やはり理論を越えた問題じゃないかという気がするのですよ。例えば昨日ですか一昨日でしたか、総理の御答弁の中に今の競争の問題をおっしゃっていました。今の橋本さんの御答弁では、地域二ーズの吸い上げを目指して他の交通機関との競争関係に打ちかつために、こうおっしゃっている。この競争というのは本来二つの側面があると思うのです。おっしゃっているように、今国鉄が当面している競争関係というのは飛行機でありますとかあるいは自動車でありますとか、そういう他の交通機関との競合が基本的にあるんでしょう。民鉄もね。それと同時に、分割の、三分割の中で、総理なんかがおっしゃっているんだけれども会社間の、つまり新旅客鉄道会社間の競争もこれまたつくらないと活力が生まれないというような御判断があるわけですね。そうしますと、他の交通機関との競合は、これはありますから、こういうものにたえていかなければならぬという問題は我々だって認めていないわけじゃない。しかし、認めるには、少なくともイコールフッティングというものがきちっと保証されなければ、これは競争せいと言う方が無理だと、こういう議論になるわけですね。  そうしますと、残る分割必然性というのは、まさに理論を越えた問題として、国鉄体質労使間の関係というようなものについて会社間の競合関係をつくらなければいかぬ、だから分割するんだということになるんですね、話の順序としては。林さんいかがですか。
  14. 林淳司

    林政府委員 いろいろ今先生から御指摘を受けているわけでございますが、やはり分割という問題は、これから本当に鉄道事業を再生させて活性化していくということの一つ手段としまして不可欠であろうということを考えておるわけでございます。  その基本は、やはり地域密着をする。現在の交通体系の中で、航空機は遠距離から次第に中距離に向けて拡大されてきておる。それから、高速道路によるいわゆる高速バスというものも次第に百キロから百五十キロあるいは二百キロという中距離帯に向けて進んできておる。ということになりますと、どうしてもやはり中距離帯のいわゆる幹線旅客輸送と申しますか、これについて鉄道が本当に地域密着するという形をとらないと、それから、大都市あるいは地方都市を含めての都市交通についてはもちろんでございますけれども、やはり地域密着した経営というものに持っていかないと本当のいわゆる活力ある経営というものが出てこないんじゃなかろうか、こういうことを主として考えているわけでございます。  そこで、その場合に、当然いろいろな管理限界の問題でありますとか、限界というのは非常に理論的には難しいわけでございますけれども、やはり管理というものはできるだけ小さい方が小回りがきくという問題がございますし、それから、完全な市場競争ではないにしても、やはりライバルがあるということが、これがまた活力の源泉になるということもあろう、しかし、何よりもやはり地域密着するということが一番大事なんじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。そのためには、やはり分割という手法がどうしても必要なんじゃなかろうか。  さらに、民営あるいは分割、全部含めてでございますが、従来の発想から完全に転換する、これは実は労使を含めての意識の変革というふうに申し上げたわけでございますけれども、従来の考え方を完全に転換をしまして、全く新しい発想で事業経営していく、あるいは仕事をしていく、こういう意識転換と申しますか、そういうことがこれからの会社の本当の活性化には必要なんじゃないかということで、そのことも分割との関連で申し上げたつもりでございます。組合をどうこうとかいうことは全然念頭にないわけでありまして、あくまでやはり従来の国有鉄道という意識を払拭して、それで活力ある経営をしていく、あるいは活力ある職員の仕事ぶりと申しますか、そういう形に持っていかないと経営体がうまく今後機能しないんじゃないか、そういうつもりで実は申し上げたつもりでございます。
  15. 関山信之

    関山委員 要は地域密着と活性化と言うんですが、それはそれでいいんですが、しかし、そうならないと言うのですよ。つまり、私鉄間との競争とか他の交通機関との競争はあるけれども国鉄内部の職員がそれぞれの分野で活力を持って競争し合うというのはそういう関係にはない。これは林さんよく御存じなんです。  今の運賃収入配分方式というのは、レールごとに運賃をもらっていくという仕掛けになっていますから、それは東京駅で四国の出雲大社ヘツアーを組もうということになれば、東京会社はその収入が入らないわけですね。入らないということはないが、非常にわずかしか入らない。それはいろいろとリベートを考えるとかなんとか、いろいろ方法はあるでしょうよ、あるでしょうけれども、しかし、基本的にはそういう枠組みですね。そうしますと、いわゆる地域間の競合ならばそういう問題で解決できるでしょうけれども、しかし、こういう全国ネットワーク、今一生懸命フルムーンだとかなんとかいって、それがかなりの収入になっているのでしょうが、こういう問題に対する利益インセンティブというのは完全になくなっているのはおわかりになっているわけだ。  そうだとすれば、それは分割よりもむしろ私どもが申し上げている分権の方がいいんじゃないのか。そして、分権をしながらそれぞれの会社にといいますか、会社単位の営業単位に対してボーナスを払うとか、これは一人一人のボーナスの問題を言っているんじゃありませんけれども、そういう方がむしろ内部の活性化を呼ぶことになるというふうに、私どもはどう考えてもそうならざるを得ないのですね。それはもちろん分権によるいろいろなデメリットとの関係もにらみ合わせてのことでありますけれども。  これはこういう問題でやりとりをしても答えは出ないのでしょうけれども、しかし、この際、私どもとしては、長く歴史に残ることでもございますので、今申し上げた、つまり、とりわけ全国ネットワークとしての活性化を図る方法としては、分割をしてしまってはまさに競合関係はむしろ停滞をして、企業内部の競争意識みたいなものはむしろ働かなくなるだろうということを申し上げて、私どもとしては、あえて分権化の主張についてこの際申し上げておきたいと思います。  時間の制約もありますものですから先に移らしていただきますけれども、仮にそういうことで分割をするということになりましても、私はやはりダイヤ編成会議などを中心にした旅客会社間の調整機関というのは、どうしたってなければやれないんじゃないかと思うのですね。今までの御答弁でありますと、これは会社間の協議でと言っているのですが、一体協議だけでやれるのかという問題があります。  現に、大臣もごらんになっていらっしゃるかもしれませんが、「世界」の新しい号で都留さんあたりが例示されておりますけれども、アメリカにおけるアムトラックとテキサス・アンド・パシフィックの訴訟問題なんかがあるわけですね。違った民間会社が乗り入れをして、今申し上げたような運賃配分方式のトラブルから訴訟になって、片方は仕事をやめちゃったというようなケースがあるわけですね。そうしますと、やはりこういう問題を考えれば、ヨーロッパの例に倣うわけじゃありませんけれども、かなり各会社間の利益調整をしながら公共性を担保をする、そういう仕掛けがやはり必要なんじゃないかと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
  16. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先に述べられた分権論から、多少私なりに感じを申し上げさせていただきたいのですが、ほかの部分は別といたしましても、全国一社制というもので支部あるいは支社というものをつくっていったとして、一番の問題は、やはり私は人事権というものに問題の焦点が出てくるのではなかろうかという感じがいたします。これは一点だけ、感じとして、今度は逆に私の方から申し上げさせていただきたいと思うのです。  このダイヤの話は、あらかじめ関係会社間で、何回も申し上げてまいりましたように、ダイヤ設定の優先度あるいは調整のルール等についての協定を結ばせて、その協定に基づいて必要に応じてダイヤ調整会議等を開催して対応していくということで私どもは十分にできるだろうと考えております。そして、今委員が御主張になりましたような公的な形でのダイヤ編成会議といったようなものをつくることは、せっかくの民間企業として生きていこうとする企業体に対して、国の意思を場合によっては強制しかねない要素もあるわけでありまして、こうした会議は私どもはむしろ避けるべきではなかろうかと思います。  ただ、今確かに、理論的には御主張になったような問題の生ずるケースというのはあり得ます。ただ、その場合に、これはやはり会社間の調整が円滑を欠くような状態というのは、利用者の利便その他公共の利益を阻害するということになるわけでありますから、その場合には鉄道事業法案の二十三条に基づいて列車運行計画の変更について運輸大臣が命令を発することができるようになっておるわけでありまして、最悪の事態を想定した場合には、この事業改善命令によって利用者の利便を担保することになると思います。しかし、実際にはそういうことをしないでも十分会社間協議で対応ができると私は考えております。
  17. 関山信之

    関山委員 最後におっしゃったように、最終的には国が強制をする場合もあり得るということを否定はしていらっしゃらないわけですから——そうですね。私が今申し上げている幾つかは、仮に分割をしても公共性は担保されなければならないという角度からの問題意識ですから、それはそれでいいのですが、大臣があえてそうおっしゃるならば、むしろ各会社間の自主性を重んじながらも一定の運輸省のかかわり方を、ただ大臣がある法律の条項に従って強権を発動するみたいな仕掛けじゃなくて、やはり私は何らかのきちっと誘導をする仕掛けをつくった方がいいということを申し上げておきたいと存じます。  それから株式の保有、これもかなり議論があって少しずつ詰められているという感じもするのですが、この際、大蔵大臣においでいただいておりますので、既にきのう何か株上場の問題についても議論があったようですけれども、大蔵省としては、株上場について一定のルールがあるようですが、どのような条件が整ったとき、これを認めるということになるのでしょうか。  それから、一般的な条件だけで律し切れない部分をこの会社は持つ、あるいは当面持ち続けるのではないのか。とりわけこの一連の、国鉄がつくったと申しましょうか国鉄が抱えていると申しましょうか、債務等について責任を持つ立場に大蔵省としてはどうしても立たざるを得ないということになりますと、この株の保有形態並びに公開の問題についてはやはり一定の見解をお持ちになってしかるべきじゃないか、かように思いますので、大蔵大臣のお考えを承っておきたいと思います。
  18. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 一般論の範囲でお答えを申し上げることになろうかと思いますが、旅客会社及び貨物会社の株式につきましては、清算事業団がその処分を行いまして、その収入を国鉄の長期債務等の処理に充てる、こういう考え方でございますが、さてしかし、新会社の株式公開を行うに当たりましては、やはり新会社が安定的な経営の実績を積み重ねているという事実が何よりも必要であると考えます。したがいまして、そのような新会社の発足後の経営動向を注意しながら政府としてもその時期、方法等について判断をすることになろう、こう考えております。
  19. 関山信之

    関山委員 なかなかその域を出たお答えがいただけないのが残念なんですけれども、つまりは一割以上の配当あるいは三年間継続して一定の利益というその枠組みが取れない限りは、仮に清算事業団から申請があっても株を上場することは大蔵省としては認めない、逆に言えばそう承っておいていいですか。
  20. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 今先生がお話しになりましたのは、実は各証券取引所がそれぞれ上場基準というのを自主的に決めておりまして、その上場基準を審査いたす段階で一定割合の利益あるいは一定割合の純資産といったことを基準にしてやっている。これは株式を上場する場合のケースでございます。  ただ、上場しなければ株は処分できないかということになりますと、理論的にはそうじゃございませんで、例えば証券業協会の中で店頭取引銘柄というのがございます。これは非上場銘柄につきまして証券業協会が一定の登録行為というのを行いまして、その登録の中で店頭取引を行う、そのための基準というのが別途ございます。それから証券取引法の上では、いわゆる上場あるいは店頭銘柄でなくても、一定の有価証券届出書でございますか、そういったものを提出することによりまして、株を売り出すということは可能でございます。  ただ、一般的に申しまして、その株につきまして清算事業団としてなるたけ高く売却し、なおかつ長期債務の弁済のためにこれを有利に充当するということのためには、やはり一定の経営力があり、それを充足することによって高く売却することが望ましいということは言うまでもないところでございます。
  21. 関山信之

    関山委員 今の話は一般論ですから、非上場の公開もあり得るということですか、この国鉄の株について。
  22. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 その点につきましては、その時点におきます新会社の実態等を判断いたしまして、運輸省当局ともいろいろ相談しながら決めていくべきものだと考えておりますので、現時点でこういう方式が理論的にあり得るということを申し上げたわけでございまして、現実の段階におきましてはその情勢に応じて適切に判断していきたい、こういうふうに考えております。
  23. 関山信之

    関山委員 大臣、これはあえてこの時期——経営の状態が六十六年くらいには株上場の条件もあるのではないかという林さんの答弁がきのうあったみたいですけれども、私はとてもそんなふうには考えない。すべての会社がそうだということはもちろん言えないだろうと思いますし……。どうなんでしょうか、過渡期なんですから、株の公開にいたしましても、あるいは三島基金の問題にいたしましても、ある年限を切って——例えば大蔵省の方も先の見通しはわからないと言っているのですね、借金を返すことについて。ですから、この見直しに対する態度をこの際明確にされた方が問題を整理しやすいのじゃないですか。例えば財源問題だって、こうやって最後までわからない、わからないでいくわけですね。しかし、それではこの議論は結論が出ないわけです。三年と大蔵大臣どもおっしゃっているわけですね。三年後くらいには将来の国民負担のありようもめどがつけていけるのではないか。あるいは十年という数字もありますね。この時期、何もかも詰めようと言ったってそれは私どもも無理だろうと思いますよ。どうですか、見直しの問題というのは、この際大臣の頭の中にありませんか。
  24. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 先般来、本委員会で何人かの委員の方々から同趣旨の御意見をちょうだいいたしました。そして、それなりにもう一度私も考え直してみました。しかし、私どもとしては、再建監理委員会の答申をもちろん土台にしてでありますけれども、その数字を洗い直し、例えば三島基金の場合でも、再建監理委員会の数字そのものでは不足するということから上乗せをして、現在国会の御審議をいただいておるわけでありまして、それぞれの企業が企業としての努力を続けてくれる限りそれぞれの企業の経営は安定するという考えで御審議を願っているわけであります。それだけに現時点で、いろいろな御議論をちょうだいいたしましたけれども、やはり一定年月後における見直しというものをルール化することはかえって経営の真剣さを欠き、安易な対応を惹起しかねないという判断を今私はいたしております。
  25. 関山信之

    関山委員 経営の真剣さをというような問題では議論をしているわけではないのでありまして、株の問題にいたしましても、私ども国民立場からすれば、一体将来どうなるのか、いつごろ放出できるようになるのか。しかし、収支見通しの問題なんかをめぐっては答えが出し切れない。あるいは資産処分の問題については、雇用の問題の処理あるいは土地の売却の状況を見なければ答えが出ない。これはある意味では当然なんですね。ですから、真剣さを欠くとかなんとかというレベルのものとは別に、どういう見直しをするかのことまでは別といたしましても、私はやはり一定の年限を切っておいた方が将来かえってやりやすいのではないかという気がしてしようがないのですけれどもね。  なお、収支見通しの問題に絡んで重ねて後でお伺いをしたいと思うのですが、申し上げましたように、収支見通しについても今監理委員会の見直しをした、こうおっしゃっておるわけですね。しかし依然として、その後公明党の浅井先生あたりの質疑で保険料の問題なんかがつけ加えられて、再見直しを迫られているというようなこともあるわけですね。  それから、営業収入と運賃収入の伸びなんかも見ておりましても、この時期の伸びの根拠といいますか、あるいは運賃収入と営業収入との間にあります関連事業収入だとかあるいは病院だとかバスだとか、こういうものが一体どういう状況で伸びていくのかというようなことも今私どもに明らかになっていないわけなんですね。  それから、人キロの伸びにいたしましても、きのうあたりもいろいろ議論がありますけれども、四国なんかは過去の例からいえばマイナス四・七なんですね。しかし、ここではマイナス三%台の伸びに抑えておるという非常に人キロの伸びを甘く見ているというようなことがあるのですね。これは、事務当局に聞けば、高速道路の開通などもシミュレーションの中に組み込んでいる、こう言うのですけれども、しかしこの経済の変動の激しい時期に三年後、五年後を見通すというようなことは、これは逆に言えば大変困難なことじゃないか。そういう観点からすれば、ではこの経営の収支見通しが狂ったとき、責任は一体だれがとるのですか、こう言われたら、大臣、どうお答えになりますか。これは明らかに三島基金にリンクされる議論になるのですね、どうしても。
  26. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、関山委員から先日の御質問を踏まえた御意見があったわけでありますけれども、確かに営業収入の中での関連事業収入と言われますならば、六十二年度は四%という数字で、現在の関連事業収入三%を一%伸ばした形になっております。そしてその後の推移も御承知のとおりの数字を見込んでいるわけでありますが、これは現在の国鉄が営んでおります、そして新会社に承継されていきます関連事業を中心で数字を置いているわけでありますから、新たな分野にそれぞれの会社が伸びていき、そしてその新たな事業を開発することによって伸ばしていくものは確かに算定をしておりません。しかし、これはプラス要因であります。そしてまた、道路あるいは航空、それぞれの五カ年計画等を十分組み込んで数値ははじいておるわけでありまして、それなりに確実度の高いものとして御判断を今願っておると私どもは考えております。ですから、その経営というものが破綻をするという状態を想定されて御質問をいただいたわけでありますが、実は私どもはこれは破綻をすると考えておりません。
  27. 関山信之

    関山委員 特に三島の問題について申し上げたわけですけれども、これはどうしても基金とリンクします。ですから、その場合の責任の所在は一体どうなりますか。そういう点ではやはりさっき、これは何も基金のことだけじゃないのですけれども、株式の問題等も含めて全般的な見直しというのをお考えになってしかるべきじゃないか、こう思っているわけですね。なお、時間がだんだんなくなりますので、この問題、もう一遍端的にお答えをいただきたいと思うのです。  あわせて、これは、どうしても収支の問題見ておりますと、先ほど申し上げましたイコールフッティングというんでしょうか、この間も北海道の公聴会で、よろしい、分割民営賛成だという北大の先生の御発言の中にも、しかしやはりスタート時点における近代化、合理化の設備投資がきちっとやられることが前提になりますよ、こう言っているのだ。それはひっくり返せば、やらなければ分割民営できない、こう言っていることにもなるのですね。将来に向けての設備投資の額は、これもいろいろ議論がありますが、こんなもので一体近代化が進むかといえば、これはノーと言わざるを得ないですね、数字を今細かくやりませんけれども。将来の近代化に向けての一定程度の運輸省としての財政的な措置というものは、将来に向けても考えていらっしゃるのでしょうか。あわせて今の時点で収支見通しに対する、こういうものに対する責任の所在は一体どうなるのかということも含めて、見直しの問題も含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  28. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 三島会社については御承知のとおり長期債務を一切承継をさせていない、そしてその上で所要の経営安定基金を設けた、その措置によって先般来お示しをしております収支試算のとおりにそれぞれの会社の健全経営の基盤が整備をされて、他の交通機関との競争にたえられるというふうに私どもは考えております。  そしてその中で設備投資につきましても、例えば維持更新投資について、三島の場合六十二年度以降五カ年間の維持費というものを、過去三年の実績と比較して同程度のものをカバーしておるわけでありますし、また、輸送力増強等の投資というものは基本的にはその投資効果を見きわめた上で経営者の判断で行われるべきものでありますけれども、今回の収支試算の中で、現在工事を継続中であり、六十二年の四月にまたがるもの及び今後五カ年間に投資効果等を勘案するとほぼ確実に実施されると思われるプロジェクトを投資額として見込んでおるわけでありまして、私どもとしてはそれなりに十分な手当てをしてきておるつもりであります。その場合の資金確保として開銀の融資あるいは北東公庫の融資等の政策金融というものを当然活用することになるでありましょう。  今公聴会等の御論議をもいただいたわけでありますが、私は、例えば有償で利用される鉄道というものの持つ性格と本来無償で利用されております道路といったものと、これをそのまま対比するのにはちょっと論点の上で無理があろうかと思います。現に高速道路等で有料の道路の建設にはどういう形で資金が投じられているかも委員御承知のとおりであります。ただ、やはり鉄道というものの持つ性格から、その投資の回収というものは比較的長期にわたるものでありますから、この投資については国などの財政措置によって金利負担の低減を図る必要があるということは御指摘のとおりでありますし、従来から国鉄あるいは私鉄についてもそのような措置を講じてきております。ですから、民営化の後の新会社というものに対しても、今申し上げたような視点からいえば、その施設整備については現在一般の私鉄に行っておりますと同様に財政資金などを活用して対応していくということになります。
  29. 関山信之

    関山委員 いずれにいたしましても、責任も持たない、見直しもしないというのじゃ、これはもう困りますので、その辺だけはこの時期の運輸大臣としてひとつきちっとしておいていただきたいな、こう思ってお尋ねをいたしております。  大蔵大臣にひとつお尋ねをしたいのです。  長期債務の処理に関しては、今まで何遍か御答弁いただいておりますのでそういうことしかしょうがないのかな、こう思うのですが、そもそも三十七兆円を超える債務については、国鉄等、長期債務等とエトセトラが二つくっついておりまして、これはいろいろな議論の中で本来国鉄がしょうべきものでもないものもこの際、よくも悪くもなんでしょうね、ともかく一からげにしたというところなんですが、本来国鉄がしょうべきではない筋合いのものというのは、例えば三島基金だとか雇用対策費だとかあるいは年金の追加費用だとかというようなものについてぐらいは、これは大蔵省が責任を持って財源を確保しますということにならないと、これは筋が通らぬと思うのですが、いかがですか。
  30. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先般当委員会に提出申し上げました資料の中、「処理すべき長期債務等の配分」という中のその(2)に年金等の追加費用、公経済負担、恩給負担金、(3)に三島基金等々を掲載をいたしてございまして、これは長期債務として私どももとより認識をいたしております。したがいまして、今年一月閣議決定をいたしましたところに従いまして、繰り返して申し上げるようでございますが、土地等の売却収入の上積みあるいは雇用対策等々、いろいろな問題がおよそめどのつきました段階でこの長期債務全体につきまして財源、その措置等々を決定いたしまして本格的に処理をいたしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  31. 関山信之

    関山委員 今までの御答弁の域を出ないのですが、今「長期債務」とおっしゃいましたが、ここで申し上げているのは「等」の方なんですね。長期債務は二十五兆何がしでございまして、それ以外の「等」の方なんですよ。これはやはり、今いつどうするということまで聞こうと思っているのじゃないのです。これはそもそも大蔵省の責任で処理すべきものじゃないかということになりますよと、こう言っているわけですが、いかがでございますか。——いや、大臣答えてください、それは技術的なことじゃないんだから。
  32. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 「処理すべき長期債務等」ということで資料を御提出申し上げておるわけでございますから、この全体の問題につきまして閣議決定の申しますところは、用地売却等あるいはその他の収入の上積み、雇用対策、それらのめどのつきました段階で新しい財源あるいは措置を決定していく、それが政府全体としての考え方になるわけでございます。
  33. 関山信之

    関山委員 それじゃ、政府全体でということでありますが、いずれにしてもその「等」と二十五兆円の長期債務との性格の違いだけはお認めいただけませんか。これは同じだというふうにおっしゃられるのでしたら、これはちょっと長い議論になりますが、時間がございませんから後に譲りますが、僕は少なくともそれは違うと思うのですが、大臣いかがですか。これは事務レベルの話じゃないんですから。あなたの話じゃないんだ、大臣に聞いているのだ。
  34. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いろいろなものを含んでおりますので、それで「長期債務等」と申し上げておるわけでございます。
  35. 関山信之

    関山委員 それはちょっと大臣、余りにもそっけなさ過ぎますね。「長期債務等」の中にはおのずと国鉄がつくった債務と本来国が負うべきものとの差があるというのは、これはいわば常識みたいなことを、大臣そう御答弁——そこぐらいもおっしゃれないのでしょうか。今具体的にどう処理なさるかということを聞いているわけじゃないのです。
  36. 角谷正彦

    ○角谷政府委員 「長期債務等」と書きました「等」の意味は、現在、現に国鉄が長期債務として負っているもの以外に、例えば年金の追加費用のことで申しますれば、これは将来にわたってずっと発生する潜在的な債務である、同時にそれ自身は本来国鉄事業主等として負担するべきものである、そういったことから、いわば現在長期債務ではないという意味で「等」というふうな認識になっているのだと思います。三島基金につきましても、現在は国鉄全体の中で一種の内部補助という形で三島にいろいろ金が出ている、それでもなお国鉄は大幅な赤字になっておる。そこで今回は三島につきましても極力合理化していただきまして、ただ、従来の内部補助対応する部分をいわば三島基金という形で一種の収益補給を行う、こういった性格で、本来それ自身国鉄が、例えば年金の場合で申しますと事業主等として負担すべきもの、そういったものをやっているわけでございまして、現に長期債務でないからという意味で「等」というふうに言われているわけでございます。  そういった意味では、長期債務の中に広い意味で将来の部分を含んで、それを現在価値で換算してやることについては合理的な理由があるわけでございまして、それは現在の借入金と性格的には、現在のものであるか、あるいは将来のものを現価したものであるかという違いはございましても、基本的には相違はないというふうに理解いたしております。
  37. 関山信之

    関山委員 雇用対策なんかどうですか。まあこれでやりとりしているわけにいきませんので、これは改めて総括のときにでも詰めてもらうことにして、時間がありませんので、次の問題に移らせていただきます。  会社法十条の問題で中小企業者への配慮という条項が設けられた問題についてもこの際お伺いをしておきたいのです。  まず最初に、通産省の方からおいでをいただいていると思いますが、中小企業者の保護という観点から今回の第十条の規定について、規定に沿ってというのでしょうか、中小企業者の利益は十分分野法の枠できちっと守り切れるものだ、こういうふうに理解をしてよろしゅうございましょうか。
  38. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 お答えいたします。  分割民営化後の新会社につきましては、もとより適切かつ健全な事業を営むことが極めて重要であると考えておりますが、他方におきまして、中小企業の事業活動の機会の適正な確保を図ることもまた重要でございます。このような観点から、先生指摘会社法十条におきまして附帯事業なりあるいはその他の事業につきまして中小企業者への配慮規定が設けられたものと考えております。  公共企業体でございます国鉄につきましては分野法等の適用がないわけでありますけれども分割民営化後の新会社につきましては、関連事業に対しまして中小企業分野調整法でございますとかあるいは小売商業調整特別措置法等の適用の対象になるということでございまして、この点につきましては運輸省の適切な御指導のもとに新会社が第十条の規定の趣旨にのっとりまして事業を営むものと期待をいたしておりますけれども、仮に新会社の営む事業によりまして中小企業者の事業活動に著しい悪影響が及ぶような場合におきましては、新会社に対しまして適切な指導を運輸省にお願いするということになろうかと思いますし、さらに不幸にして新会社と中小企業との間に紛争が生ずるというようなことになりました場合には、必要がございますれば、分野調整法等による調整手続が適用されることになると考えております。
  39. 関山信之

    関山委員 鉄道事業法は分野法の除外規定がありますが、新しく事業法が変わるわけですけれども、附帯事業については分野法の網がかかるということは確認できますか、あなたの立場から。
  40. 長瀬要石

    ○長瀬政府委員 附帯事業につきましても、それが小売商業でございますとかあるいはサービス業、飲食業等の分野でございますと小売商業調整特別措置法でございますとか分野調整法の適用の対象になると考えております。
  41. 関山信之

    関山委員 運輸省の方はそれでよろしゅうございましょうか。
  42. 林淳司

    林政府委員 免許事業であるところの鉄道事業についてはこれは適用除外でございますけれども、附帯事業あるいは関連事業、これはいずれも分野調整法等の適用対象になるというふうに考えております。
  43. 関山信之

    関山委員 そこで、配慮の中身なんですけれども、御案内のとおり分野法はいわば申告法でございまして、事態があらかじめわかってこの調整に持ち込まれるという。パターンをとるわけですから、既成事実をつくられてしまってからではいかに配慮しようと思っても配慮にならないわけで、この辺のところはそれぞれの関係団体に十分な事前調整を行うことが配慮になると思うわけですけれども、そこらあたりについてはいかがでしょうか。従来とも中小企業団体とのお話し合いがあるのだと思いますけれども、特に配慮の中身の問題、そして「不当」という「不当」の中身もこれまた非常に抽象的なんでありますけれども、きちっとひとつ対応していただきたいわけでありまして、御答弁をいただきたいと存じます。
  44. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員から御指摘がありましたように、問題が起こる可能性はあるわけであります。そして、私ども立場からいいますならば、新しい会社はできるだけ事業範囲を拡大し、その営業成績を上げてもらいたいわけでありますが、新しい事業、御承知のように認可を運輸大臣がすることになります。その運輸大臣が認可をする時点において、当然その地域関係中小企業者との間に調整が済んでいるかどうかということを確認することだけでも、私は実態としては大変な変わりが出ると思っております。  個別法規の運用については先ほど中小企業庁が答弁をしたとおりであります。
  45. 関山信之

    関山委員 なお、今回民営化されますと、国は従来官公需に対する中小企業への配慮というのがあるのですが、これが外れることに形式上はなるんじゃないかとも思うのです。しかし、当面特殊会社として存続をしていくわけでありますし、それにしては民間会社といっても余りにも影響が大きいということもございまして、いわゆる「中小企業者に関する国等の契約の方針」についても、なお今後中小企業者に対する配慮が官公需について必要じゃないか、この点について大臣の御答弁をいただきたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  46. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに理論的には、新会社になりますとそうしたかせはなくなるわけであります。それは電電公社等でもNTTに変わりました時点で同じ問題がありました。しかし、実態においては中小企業者への配慮を行った事業経営がなされておるとおりでありまして、私は新会社においても同様の考え方で運営をされるものと思っております。
  47. 関山信之

    関山委員 あと、安全問題について若干お尋ねをして私の質問を終わりたいと思います。  これは改めて安全問題に対する考え方大臣からお伺いするまでもないと思いますので、むしろ二つの側面について心配だけ申し上げて、これはぜひ御対処をいただきたいと思うのですが、一つは、人員削減による安全問題への影響というのがいろいろな分野で出てこざるを得ないのですね、得ないのだと思いますよ。この問題についてはあれこれありますが、特に駅の無人化の問題に触れて、大都市の問題と地方の問題と二つ、特徴的な例として申し上げて、お考えを承りたいと思うのです。  これは大臣御存じのとおり、この春、例の雇用問題の特別措置法が成立をいたしましたときに、参議院で特に「国鉄の駅の無人化に当たっては、ホームの構造、保安施設の整備状況等につき安全性を確認して行うこと。」という附帯決議までついているのですが、しかし、その後の状況を見ましても、例えばこの間の公述人の参考意見を承っておりましても、飯田橋の例を挙げて、一九七四年から一九八五年までの平均は七・五日に一回だったホームの事故が、八六年三月以降は三・九、四日に一遍ぐらいに頻度が高まっているとかいう指摘もあるのです。また事実やはり大変な状況、ただでさえも大変な状況があるわけでございますから、このホームの無人化に対する安全対策というものについて、この参議院の附帯決議に沿ってどう改善をされているのか。これは大臣というよりは国鉄総裁の方に伺いたいと思います。
  48. 杉浦喬也

    杉浦説明員 安全対策に万全を期しながら諸般の合理化を進めておるところでございます。特に駅の無人化の点にいろいろと問題が挙げられたわけでございますが、全体の無人化のお客さんの死傷の数から見ますと好ましくはございませんが、これはなかなか消すことはできませんが、大体横ばいであるということをまず申し上げます。  それにいたしましても、無人化に当たりましては、都市部門とそれから地方部門とちょっとやり方が違いますが、いずれにいたしましても、例えば都市におきましては列車接近非常装置なりあるいはテレビによっての確認というようなこと、あるいは地方におきましても列車が近寄ったときにベルを鳴らすとかあるいは跨線橋を設けるとか、そういうような安全面での施設を十分に配慮をいたしまして、お客さんに対しまして万全の安全対策を講じておるところでございます。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  49. 関山信之

    関山委員 そういう答弁になるのでしょうが、しかし、私は、この安全感覚というものが非常に麻痺をしてきているといいましょうか、この間の国鉄改革をめぐるさまざまな混乱や労使関係のあつれきの中で、大変安全問題に対するいわば哲学が失われてきているのじゃないかというような感じがするのですね。  例えばホームの事故について、朝日新聞の記事ですけれども、ホームに死角が生じて「相次ぐ転落…危うく救出」というような記事が出ておりまして、その中で国鉄側のこの問題に対するコメントとして、「何万人に一人がホームから落ちた時の対策は立てられない」というようなことを言われたというような記事が載っていたり、あるいはホームの無人化による事故で、たまたま子供さんが線路に転落したけれども若者が飛びおりて助けて事故は何事もなく済んだ、この問題に対する、これはどこの駅でしょうか、そこの当該の駅の駅長さんのコメントが「ダイヤの乱れもなく、大した事ではない」、つまりダイヤの心配の方をしていたり、あるいはこれはどこというふうにちょっと言うわけにはいきませんが、電車の車掌さん、駅員の皆さんがいろいろと一日の勤務の報告を出しているわけですけれども、この車掌さんの乗務報告の中で、ある駅について死角、これは申し上げてもいいのかもしれないのですが、巣鴨あたりが一番そういう問題が多いようですけれども、非常に死角になって前方が十分に確認ができなくて非常に危険だ、あるいはテレビなどでも十分に把握し切れないといったような報告に対して、管理者の側のコメントが、テレビカメラで確認できる範囲の安全確認を義務づけているわけで、見えない部分については義務づけていないといったようなコメントがついていますね。こういう物の考え方処理をされていったら大変なことになるという感じもいたしまして、これはひとつしかと御答弁をいただきたいわけです。
  50. 杉浦喬也

    杉浦説明員 問題は、現場の個々の職員、特に安全に関係をする職員が、一人一人心を毎日引き締めて安全面に気配りをするということが一番大事なことだと思います。そうした面で、私自身としましては、もう繰り返し繰り返し絶対に事故を起こさないようにということを再度、何遍でも繰り返し現場に申し上げておるし、またそれなりの施設の整備も行ってまいっておりますが、今いろいろと先生指摘のありました現場のいろいろな対応というものは、もし本当であるとすればこれは遺憾な面もございます。今後ともに現場に十分に目を光らせるように、管理者に対しまして本当に指導をしてまいるつもりでおります。
  51. 関山信之

    関山委員 ちょっと気になるのは、あなた、個個の駅員の気配りと言いますけれども、もちろんそれはそうですよ。しかし、私があえてここで指摘をしているのは、これは安全問題に限らず、きのうのさまざまな資材の廃棄処分の問題にいたしましても、現場の一人一人の判断でできる話じゃないのです。今わざわざ乗務日誌のことを申し上げているのも、やはり中間の管理者のそういう姿勢が現場の一人一人の労働者のところへ問題をしわ寄せしてくる。むしろ現場のそういう人たちは被害者でこそあれ、テレビカメラの見えないところは義務づけないといったって、現実に事故が起きれば警察に参考人で呼ばれていくわけですからね。私はそういうところを問題にしているわけですし、なお問題にしたいのは、これは今人活センターのことがいろいろな角度で議論されていますけれども、ああいうふうにある一定の人たちを人活センターへ入れなければならないということは、再教育の問題として必要だというようなことをおっしゃるのですけれども、そうでない人たちもたくさん行っていることは明らかになっているわけですからね。そうだとすれば、こういう安全問題のところは重点的にやはり残してまでもそのときそのときの状況の中で精いっぱいの安全対策はやっている、こういうことがなければこれはやはりだめだと思うのですね。  私、もう時間がなくなりましたから北海道のことについては申し上げているいとまもないのですが、函館本線では長万部から小樽の間で九駅無人化になります。無人化もいいでしょう。しかし冬場になれば、これは今までポイントの融雪は手でやっていたわけですね。今度は自動閉塞機式に切りかえたというのですけれども、しかし現実には、冬季の場合この自動閉塞機だけではポイントの切りかえが十分にいかないわけですね。ポイントのところだけわずかに雪を解かしても、その後凍結してしまう。それを解かす要員がいなくなっちゃうわけですね。こういう問題については、それは確かに合理化という側面はいろいろな面で否定できない側面もあるとはいうものの、しかしこういう部分まで切って捨ててなお合理化と言うんじゃ、今日の要員削減は、今そのことであれこれ議論しているいとまもありませんが、やはり無理に無理を重ねていると言わざるを得ないのですね。これは国民立場からすれば、安全問題だけはぎりぎりやはり要員の確保はしてもらわなければならないということになります。  それからもう一つ、重ねてこの問題についてもお答えをいただきたいのですが、今申し上げているのは人員削減による無人化の問題ですね。今もう一つ問題になっているのは、これは大臣も御承知のとおり、広域配転などにかかわるいろいろな問題があるわけですね。例えば検修の職場から私、この間手紙をもらいました。これは人活問題を含めて現場の不満を訴えてきているのですが、しかしそれにしても、一時的な広域配転によって経験の豊かな人たちがその職場から人活センターへ送られて、そして広域配転の人たちがそこへ座る。僕は広域配転を座らせることが悪いと言っているのじゃないのですよ。それはいろいろな状況の中で広域配転も認めざるを得ない部分もあるかもしれない。しかし、だからといってベテランの人たちをその検修場から外へ出して、未経験の人たちに新しい人たちの検修まで受け持たせるような実態が、これはもう時間がありませんからあれですけれども、あるのですね。そのことについて切々と訴える手紙をもらいました。  労使の問題もございますけれども、これはもうもはや、国民の安全の立場からいってこういう事態は何としても一日も早くとどめていただかなければならない。人活センターもこれは特定化しないということもありますから、この際、大臣の方から、この先どういう展開になっていきますか、今の起きている事態が安全問題に問題を起こすようなことだけは絶対にないように、ひとつきつく国鉄の方に御指示をいただきたいと思うのです。
  52. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄のみならず、運輸事業というもので安全を無視した事業経営というものはあってはならないことは当然であります。こうした点については今後、より以上に十分な検討を加えるように申します。
  53. 関山信之

    関山委員 ありがとうございました。
  54. 細田吉藏

    細田委員長 これにて関山君の質疑は終了いたしました。  次に、村山富市君。
  55. 村山富市

    村山(富)委員 私は、雇用年金問題に絞ってお尋ねしたいと思うのですが、まず、先般十三日の委員会で私が質問をした問題に対して林審議官は、採用基準は設立委員が決める、現時点では決めていないが、年齢、適性、健康状態などが入るだろうと思う、こういう答弁をされました。また杉浦国鉄総裁は、基準には勤務成績も入ると思う、その場合職員管理台帳も参考にする、こういう答弁がありましたね。そこで私は、職員管理台帳の問題に関連をして若干お尋ねをしたいと思うのです。  ここに私は職員管理台帳のコピーを持っておるわけですが、このコピーは今行われている職員管理台帳に間違いないかどうか、ちょっと確認してくれませんか。——後で返事をもらえばいいですから。いずれにしても職員管理台帳をつくっていることは間違いないのですけれども、これは今まではなかったわけです。それを昭和五十八年四月一日から昭和六十一年三月三十一日までの期間に限定して職員管理台帳をつくるということになったわけですね。そういうふうな扱いをするようになった理由は何ですか。
  56. 杉浦喬也

    杉浦説明員 職員の勤務成績を把握するのは、これは企業者として当然のことでございます。今までは各管理局あるいはその他の現場機関におきましてばらばらにそうした管理を行っておったわけでございますが、今から三年ぐらい前から、いわゆる職場規律の確立の問題が大変大きくクローズアップされまして、一層職員の勤務状態につきまして厳正な管理が必要である、それまで各局でばらばらにやっておりましたそうしたやり方、中には問題のあるところもあったわけでございますが、そういうことではいけないということで、全国統一の様式、やり方に改めまして、過去三年にさかのぼってこれを調べるということにしたわけでございます。
  57. 村山富市

    村山(富)委員 今までばらばらにやっていたものを統一的にやることが必要だからというのであれば、何も六十一年三月三十一日までの期間に区切らずに、国鉄が存在する間やるべきことじゃないですか。殊さら期限を区切ってあるのはどういう意味ですか。
  58. 澄田信義

    ○澄田説明員 先ほどお示しいただきました職員管理調書そのものではないかという、これでございますが、ただいまざっと見ましたところ、職員管理調書全体のものではございません、一部欠落しているところがございますが、その中の、職員管理調書の一部であることは間違いないと思います。  それから、三年間に区切った云々の話でございますが、国鉄は、昭和五十五年から六年ぐらいにかけまして職場規律是正に全力を挙げて取り組んだところでございます。私ども全力を挙げまして職場規律の是正に取り組みまして、その成果がその後徐々に上がりつつございますけれども、そういった姿勢に転換いたしましたその時期がほぼ三年前でございますので、それ以降のものを参考にした、こういうことでございます。
  59. 村山富市

    村山(富)委員 いや、六十一年三月三十一日までという期間を限っておるのはどういう意味ですか。
  60. 澄田信義

    ○澄田説明員 六十一年三月まで限ったというのは、最新の時点でそれをとった、こういうことでございます。
  61. 村山富市

    村山(富)委員 いや、職員の管理を、調書でもって評価しながら職場規律を正していくというのなら、国鉄が存在する間やればいいじゃないですか。何でこれを期限を切っているのですか。
  62. 澄田信義

    ○澄田説明員 前回とりましたのは、その三月時点で一斉にとったわけでございます。その後ももちろん、私どもは、そういった職員管理調書の内容につきましては、常に職員の状況を把握いたしまして、今後ともそれを補強するのは当然のことでございまして、その内容についてはその後もチェックをしていくという姿勢で臨んでおります。
  63. 村山富市

    村山(富)委員 その調書、こっちへ返してくれませんか。  こういう職員の管理台帳といったようなものについては、ある意味からしますと、その人の一生の運命を左右するようなものにもなりかねないわけですね。したがってこれはやはり公平、公正、しかも客観的なものでなければならぬ。例えば、同様の性格のもので国家公務員や地方公務員の勤務評定がありますね。それと同じような扱いのものですか。
  64. 澄田信義

    ○澄田説明員 職員の勤務の評定につきましては、御説のとおり本人の非常に重大な問題でございますので、私どもも慎重を期しまして、あらゆる角度から検討を加えてそれぞれの項目を決めたところでございます。もちろん国家公務員等にもいろいろなやり方があると思いますけれども、私どもはあらゆる角度から検討を重ねまして、もちろんこれを記入する現場長の独断に陥ることのないように、それぞれ担当の助役等々の意見も十分聞かせながら、あらゆる角度から検討して項目の記入もやらせておりますし、項目の選び方につきましても十分な検討を加えたつもりでございます。
  65. 村山富市

    村山(富)委員 人事院規則の一〇—二で、勤務評定の具備すべき必要条件ということを決めているわけですね。これは勤務評定をする場合にこういう要件を備えておかなければいかぬということをちゃんと決めているわけです。国鉄はどのような基準を設けておるわけですか、この台帳を記入するのに。
  66. 澄田信義

    ○澄田説明員 私どもは、先ほど御説明申し上げましたとおり、あらゆる角度からこういった評価をいたしまして、その上で総合評価をしておるところでございます。
  67. 村山富市

    村山(富)委員 いやいや、私が聞きよるのは、例えば地方公務員やら国家公務員の勤務評定に当たっては、勤務評定の具備すべき必要条件というものがちゃんと明記されているわけですよね。そして、その中に「職員の勤務実績を分析的に評価して記録し、又は具体的に記述し、これに基いて総合的に評価するものであること。」「二以上の者による評価を含む等特定の者の専断を防ぐ手続を具備するものであること。」こういうふうにちゃんと基準が明記されておるわけですよ。こういう基準はあるのかないのかと聞きよるわけです。
  68. 澄田信義

    ○澄田説明員 先ほども申し上げましたとおり、それぞれの項目につきましてできるだけ客観性を保持できるようなやり方を考えておりまして、その上、今の現場長だけの専断に陥らないように、それぞれの担当助役等々の考え方、見方も十分取り入れるよう指導しておるところでございます。
  69. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、具体的に公表し得る基準は何もない、あなた方の恣意でもって指導しているということになるわけですか。
  70. 澄田信義

    ○澄田説明員 これを実施するにつきましては通達も出しておりますし、それから各総務部長会議あるいは人事課長会議等々の会議等におきましても十分にその意のあるところを伝えておりますし、その辺につきましては万遺漏ないものと考えております。
  71. 村山富市

    村山(富)委員 それじゃ、この管理調書作成に当たっての指導、通達などの資料を出してください。いいですか。
  72. 澄田信義

    ○澄田説明員 通達は早速御提示いたしたいと思います。
  73. 村山富市

    村山(富)委員 この文書を見ますと、「記入については必ず管理者自身で行うこと」、こうなっているわけですよ。ですから、あなたが説明する説明とは内容が違うんですよ。ですから、私はこれはやはり客観的に見てもこれが公平、公正なものであるという評価はしかねる。そういう問題点があるということをまず指摘しておきますよ。もしそうでないとするならば、あの人事院規則にありますように、ちゃんとやはり評価の基準というものを設けて明らかにすべきですよ。そんなものを秘密でやりながら説明したって、それは公正、公平なものであるとは認められませんよ。しかも、きのうのこの委員会の意見を聞いておりましても、管理者自身がいろいろなことをやっているじゃないですか。そういう不正をする管理者が職員を評価する資格がありますか。そういう意味からも、私はこの評価については客観性がないという点は指摘しておきます。答弁は要りませんからね。問題点だけ指摘しておきます。  そこで、この職員管理台帳の「評価」の中に、「労働処分の回数」をこの三年間に限定して報告することになっていますね。お尋ねしたいのですが、国鉄には懲戒処分については弁明、弁護の制度があります。それから、今現実に訴訟になっているものやらあるいは公労委に不当労働行為で申し立てをしておるものがあると思うのです。そこでまず、五十八年四月一日から六十一年三月三十一日までの間に弁明、弁護の手続をとっておるもの、あるいは裁判や労働委員会の救済のルートに乗っているもの、こういう件数が何件ありますか。
  74. 澄田信義

    ○澄田説明員 今御指摘の数字、早速調べまして御提示いたしたいと思います。いましばらく御猶予ください。
  75. 村山富市

    村山(富)委員 件数は後でいいですけれども、あることは間違いありませんね。
  76. 澄田信義

    ○澄田説明員 数字は今調査中でございますが、あることは間違いございません。
  77. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、弁明や弁護の申し立てをしているものですね、しかも裁判で争っている、公労委に提訴している、これは判決が出たり結論が出るまではその当否はまだ明らかになっておらぬわけですよ。そういう案件についてもやはりこの「労働処分の回数」に載せますか。
  78. 澄田信義

    ○澄田説明員 ここで申しております「労働処分」というのは、すべて全部解決がついて発令済みのものを指しております。
  79. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、もう一遍確認しますけれども、今不当労働行為で争っているもの、労働委員会に提訴しているもの、あるいは裁判で訴訟中のもの、あるいは弁護、弁明の手続に乗っているもの、こういう案件は全部入っていませんね。
  80. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の係争中のものは、通告して発令したものがまた裁判にかかったものもございますし、いろいろな態様がございますので一概に申し上げられませんけれども、全部通告あるいは発令済みのものでございます。
  81. 村山富市

    村山(富)委員 いや、それは処分の発令があって、それを不服として弁明、弁護の手続をとっているわけでしょう。あるいは労働委員会に提訴しておるわけでしょう。あるいは裁判で争っているわけでしょうが。そういう当否の結論のまだ出ておらないものがこの中に入っていますかと聞いたら、入っていません、こう言ったでしょう。間違いないですか。適当な答弁しなさんなよ。
  82. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今までの処分に対する弁明、弁護は全部終了しております。終了しておりますから、当然に管理調書の中に入っております。それから、係争中のものも、こちらが処分をしたということでございますから、裁判上の問題は別としまして、これも全部調書の中に入っております。
  83. 村山富市

    村山(富)委員 さっきは入っていないと言ったじゃないですか。何でそんな適当な答弁をするのか。これは総裁、最高者が、入っておる、こう言うのなら、入っておるのかもわかりませんね。しかし、当否の結論が出ていなくて、まだ争っているものが台帳に入って処分件数に加えられるということは妥当性を欠くのじゃないですか。この問題もひとつ指摘しておきます。これはやはり不当だと私は思いますよ。裁判だって争って無罪になるものがあるのですから。  それから次に、時間の関係もありますから質問しますけれども、この評定事項の十九に「増収活動」という項目がありますね。この増収活動というのはどういう活動ですか。
  84. 澄田信義

    ○澄田説明員 増収活動と申しますのは、いろいろな分野がございますけれども、例えば卑近な例を挙げれば、団体募集を積極的にやるとかあるいはフルムーンパスを売るとか、その他いろいろな国鉄における乗車券類の販売、あるいはそういったものも含めまして増収活動と称しております。
  85. 村山富市

    村山(富)委員 それじゃ、この増収活動というのは時間内にする活動ですか、時間外にする活動ですか。
  86. 澄田信義

    ○澄田説明員 時間内、時間外を含めまして考えております。もちろん国鉄の勤務の態様はいろいろございまして、特別にそういった増収活動に従事する業務もございますし、いろいろな業務がございます。時間内、時間外含めて考えたいと思っております。
  87. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、勤務時間内にやるものについては、そういう増収活動を業務命令でする者と全然命令を受けずにしない者と出ますね。そうすると、しない者は「評価」に載らない、した者は「評価」に載るというようなことはありませんか。
  88. 澄田信義

    ○澄田説明員 国鉄職員の仕事につきましては、決められた仕事、それからそれ以上にプラスとしてその上で自分で自発的にやる仕事、いろいろございます。いろいろな範疇ございますが、それらを増収活動の場合には総合的に勘案して検討を加えております。そういったことでございます。
  89. 村山富市

    村山(富)委員 いやいや、僕が聞いているのは、増収活動を時間内にやる場合も時間外にやる場合もあるというのでしょう。時間内にやる増収活動というのは業務命令でやっておるわけでしょう。そうすると、増収活動についての評価をするということになっていますね。時間内の業務命令を受けてやった者もあれば、業務命令を受けずにやらなかった者もあるわけですよ。そういう者に対しては評価は不公正になるのじゃないかと僕は聞いておるわけです。
  90. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の増収活動、主として時間外において積極的に団体募集をやったり、それから渉外活動をやったり、そういったものを主として考えていただければ妥当かと思います。
  91. 村山富市

    村山(富)委員 考えていただければと言うが、僕が考えるのではなくて、あなたに聞いているのですよ。そうして、あなた、こう言えばああ言う、ああ言えばこう言うという答弁ばかりしておるけれども、それはそれでいいが、そこで、時間外にする者については、上司の何らの指示もなくて本人の自発活動でやっておるのか。何らかの指示はされておるのですか。
  92. 澄田信義

    ○澄田説明員 時間外にやる者については、本人の自発的な活動に基づいてやっておる者が大部分でございます。
  93. 村山富市

    村山(富)委員 大部分ということは、指示をされてやっておることもあるのですね。
  94. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の勤務時間外の増収活動というのは、上司の指示というものはございませんので、先ほど大部分と申し上げましたが、全部ということでございます。
  95. 村山富市

    村山(富)委員 本当に次から次、答弁が変わっていくね。時間外の自発的活動でするような行動について評価の対象に入れるというのは問題があるのではないですか。それはやる意思があったって家庭の事情でやれない者もありますよ。そういうものを評価の対象にするなんというのは、これは問題があるんじゃないですか。どうですか。これは、総裁、どうですかね。
  96. 杉浦喬也

    杉浦説明員 年に一度国鉄全職員がそれぞれの立場で、これは時間外でございますけれども、プラス10運動というものをやっております。こういう大変な時期でございますので、一人一人が自発的に増収活動に励もうではないか、こういう自発的な運動でございます。これはやはり企業に対する、時間外といえども一つの意欲のあらわれであるというふうに私どもは評価をするわけでございまして、そういうものも含めまして、たとえ時間外であろうが、そういう面での努力というものを我々はそれなりに評価するということであります。
  97. 村山富市

    村山(富)委員 これは時間内の勤務状況について評価することは、私はある意味でやむを得ぬと思いますね。あり得ると思います。だけれども、時間外で解放された人間が後どんなことをしておるかということを調べて評価するなんということがあり得ますか。これは私はおかしいと思いますよ。大臣、どうですかね、あなたは運輸大臣として。
  98. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、それぞれの経営責任に当たる者がそれなりのルールをもって評価をするというのは許されることであろうと思います。
  99. 村山富市

    村山(富)委員 時間外の職員の行動についてまで評価の対象にする、しかもその評価が人間の一生を決めるような影響力を持つかもしれない。私はやっぱり妥当性を欠くと思いますね。これは問題点として指摘しておきますよ。  そこで、この問題ばかりにかかるというわけにいきませんから次に移りますけれども、この台帳は新会社に引き継ぎますか、どうしますか。
  100. 澄田信義

    ○澄田説明員 設立委員等から求められれば引き継ぐことになると思います。
  101. 村山富市

    村山(富)委員 これは職員台帳や何かを仮に求めがあって引き継がれるとすれば、もう私が申し上げるまでもないと思いますけれども、労働基準法の第二十二条では「使用者は、予め第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分若しくは労働組合運動に関する通信をし、又は第一項の証明書に秘密の記号を記入してはならない。」こういう規定がありますね。この規定との関係というのはどういうふうに解釈しますか。
  102. 澄田信義

    ○澄田説明員 勤務成績の判断に当たりましては、私ども、先ほど来申し上げておりますとおり、職員管理調書を活用しておりますけれども、今御指摘の労基法二十二条、あらかじめ第三者とはかり労働者の就業を妨げることを目的として労働組合運動に関する通信をすることを禁止するという趣旨に対しまして、私どもが今申し上げましたような内容の職員管理調書を作成いたしまして勤務成績の判断要素とするということとは関係ないというぐあいに私ども判断しております。また、今の、設立委員等から求められてそういった内容をお話し申し上げることは何ら差し支えないというぐあいに私ども判断しております。
  103. 村山富市

    村山(富)委員 判断要素にするものとは関係ないのですか。この職員管理台帳は判断要素とするものに関係はないのですか。今あなた、そうおっしゃいましたね。
  104. 澄田信義

    ○澄田説明員 私が申し上げましたのは、勤務成績の判断要素ということに管理調書を使うということは何ら問題はないというぐあいに申し上げたと思います。
  105. 村山富市

    村山(富)委員 いや、そうしますと、総裁は、新会社に職員を採用する名簿を選定して出すのでしょう、その選定の際にこの管理台帳は使う、参考にします、こういう答弁があったわけですよ。だから、それは大分食い違いがあるじゃないですか。
  106. 杉浦喬也

    杉浦説明員 採用の基準が示された後におきまして国鉄で名簿作成をいたしますが、その採用の基準の中に勤務成績等々いろいろなものがあろうかと思いますが、仮に勤務成績等が求められれば管理台帳を参考にいたしまして名簿の作成を行う、さらにまた、個々の人について管理台帳そのものを示してほしい、見せてほしいという設立委員側からの要求がございますれば、それにもおこたえをする、こういうことであります。
  107. 村山富市

    村山(富)委員 これはここで議論してみても結論の出る問題じゃないと思いますけれども、私はやはり扱い上は疑義がある、基準法二十二条に照らして問題点が全然ないとは言い切れないという問題を含んでおるということだけは指摘しておきます。  そこで、これはどうですか。この「法案成立後のスケジュール」という表、恐らくそちらの方から出されたものだと思うのですが、これを見ますと、また条文を見ましても、設立委員等が選考し採用を決定するわけでしょう。総裁には決定権がないのです、言うならば。その決定権のない者がここでこんなものを選考に使うとか使わぬとかいうようなことが言えるのですか。
  108. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ちょっとその表を見せてください。——今村山委員がお示しになりました表は、資料として確かに私どもがお出ししているものです。そして、新会社の設立委員が任命されてから職員の採用に至るまでの過程においては、現在の国鉄当局はいわばその設立委員の補助者としての立場で職員個々の方々の希望を伺い、そしてそれを集計し、そして特定のところに余り偏り過ぎてしまったり、特定のところに余り希望者がないようなケースもこれは想定できるわけでありまして、これを調整するという意味での補助者の役割をするわけであります。私どもは、実は、私自身答弁、これは林審議官もそうでありましたが、その示される採用条件というもの、例えば健康でありますとか御本人の適性でありますとか年齢でありますとかということを想定をしておりました。ところが、勤務成績というものを国鉄総裁はその中に入れられたわけでありまして、これはなるほど新しい会社が採用します場合に、過去の企業においてその方がどれぐらいよく働いておられた方かとか、どんな職場を経験されて適性を持っておられる方かとか、そういうものはこれは必要になるのかもしれません。その限りのものと御理解をいただくべきだと思います。
  109. 村山富市

    村山(富)委員 いやいや、そういうものであるだけに、私はやはり公正、公平、客観的なものが出なければならぬというように思いますからね。だから、その扱いはやはり慎重にしてもらわなければいかぬね。  ではその次に移りますが、次に、改革法第二十三条に関連をしてちょっとお尋ねをしますが、これは四月一日午前零時を限度に身分が変わっていくわけですね。三月三十一日までは国鉄職員、四月一日からは新会社の職員ということになるわけですが、新会社発足に当たってダイヤ改正など鉄道運行上の変化はありますか。十一月のダイヤがそのまま使われますか。
  110. 杉浦喬也

    杉浦説明員 そのまま継続されることと思います。
  111. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、ダイヤは変わらない。区や班などの管理運営の単位は変わりますか、変わりませんか。
  112. 杉浦喬也

    杉浦説明員 組織の仕組み、これは今検討をされておりますし、それから、それの現場の仕組みも、新しい会社にどういうものがふさわしいかということでこれから検討が行われると思います。したがって、全然変わらないかということになりますと、今のところちょっとお答えできませんが、運行に支障のないようなそういう仕組みを維持する必要があろうというふうに思います。
  113. 村山富市

    村山(富)委員 三月三十一日から四月一日まで汽車がくいっととまってしまえば別だけれども、これは走っているわけですから、継続しているわけですから、だから私はちょっと変えようがないと思うのですけれども、ただ、例えば三月三十一日まで乗務しておりまして、そして四月一日からおろされるというような職員がありますか。
  114. 杉浦喬也

    杉浦説明員 現実問題として将来の問題でございますからなかなか正確にお答えできませんが、勤務割り等を前の日から決めまして、それで継続をし、ある時刻に他の者に交代をするというようなことは当然あり得ると思います。
  115. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、例えば東京発の列車に乗って鹿児島まで行くということが仮にあると仮定します。その人は乗務していっているわけです。そして四月一日零時になったら、あなた交代ですとおろされることがあるのですか。そんなことがあるのですか。
  116. 林淳司

    林政府委員 今私どもが想定しておりますスケジュールによりますと、先ほどの手続を経まして採用予定者というものが決定をいたしますと、そこで新しい会社のそれぞれの配属を検討いたしましてそして配転計画をつくります。そして現実の配転を現在の国鉄である間に行いまして、そしてその移行準備としてある一定期間慣熟訓練をする、そして来年の四月一日にその姿で新しい会社に移行していくという姿を考えております。
  117. 村山富市

    村山(富)委員 常識で考えれば、恐らく午前零時で入れかえるなんということはあり得ないと思うのです。  そこで、国鉄の職員の場合には夜勤務している人がたくさんおりますね。各職場でおりますよ。そういう方々が、これは職員自身もそう思っていると私は思いますが、三月三十一日から四月一日新会社に変わっても何ら変わらない業務を継続してやっておる。これはもう業務の内容も勤務場所も勤務の時間も、文字どおり国鉄と同じような形でもって継続してやっているわけです。断絶はないのです。継続してやっているのです。こういう具体的な事実に照らして考えてもそうだと私は思うのですけれども、それを殊さら不自然に身分が変わるのだといって雇用関係だけ引き継がないというのはやはりおかしいのじゃないですか。これはどうですか。
  118. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今審議官答弁を申し上げましたものを私から補足するような形になりますが、御承知のとおり、この新しい国鉄のスタート時点における全体の職員数、二十一万五千人という形でスタートをすることになります。そして、残念ながらそれまでに約六万一千の方々に職を移ってていただくことを私どもは一方で考えなければなりません。しかし、その中で、地域的に新しい職場に転じていただきやすい地域と、現実になかなかその地域全体で国鉄自体から移っていただかなければならないその数だけの職場を用意できない職場というものもあることは御承知のとおりです。そして、そういう状態に対応するために現在広域配転等も行われ、広域異動が行われて、既にそういう事態を想定しながら要員の異動が行われております。そういう状態が継続しているわけでありますし、その中で新たな会社に対しての採用が内定をし、配置が決まり、そしてその時点で異動が行われていくわけでありますから、確かに委員が御指摘のように、三月三十一日の午後十一時五十九分から四月一日の午前零時一分にかかる間に、新会社に移行すべき方々にとってはその業務は継続をしているでありましょう。しかし、それ以前の段階でそれぞれの会社の編成によって職場は動いていくわけでありますし、また引っ越し等もお願いをする場合もあるわけでありますし、また今までとは違った場所で働いていただくための慣熟等の期間をとる必要があるわけでありますから、確かに三月三十一日の十一時五十九分から四月一日の午前零時一分という時間帯だけを想定すれば、これは継続していると言えるかもしれません。しかし、そこまでに異動という過程がございます。変化という過程もあるわけであります。
  119. 村山富市

    村山(富)委員 だから、いずれにしても国鉄から新会社に移行する時間帯を考えた場合に、深夜で働いている職員については継続していっているわけですからね。これは継続しておるわけです。これをここで断ち切って人を入れかえるなんてことはあり得ませんからね。継続していっておる。  それから、退職金やら年金は引き継ぐわけですね。承継するわけですね。そして現に国鉄から新会社に退職引当金はやるわけですからね。  そこで、この間ちょっと年休のことで聞きましたけれども、年休なんかは今までも例えば年休をとらずに次年度に繰り越したものもありますね。そういう労働者の持っている権利というのは全部なくなりますか。それとも、そういう個人個人の持っている権利なんというものは、ある意味では新会社にも引き継がれるということになりますか。
  120. 林淳司

    林政府委員 年休その他労働条件については、これは新会社は新会社の、これは全く別の法人格でございますし、新規採用されるわけでございますので、新会社の方の定めによりましてこれが決められていくということでございまして、現在の国鉄のものが引き継がれるということはないわけでございます。
  121. 村山富市

    村山(富)委員 これはもう確認するだけでいいです。  それから、国鉄にはいろいろ資格試験を受けて合格した者やらあるいは教育を受けた者やら、永年勤続で表彰された者なんかがありますね。今でもそういう制度がありますね。このうち、十月十四日の鉄道記念日で表彰する効績章制度、これは今後も継続をして残したいというような意味のことが新聞で報道されたような記憶があるのですけれども、例えば国鉄に二十年勤務しておった。新会社に移って十年やった、三十年表彰ですからね、そういう者の表彰の扱いというものは引き継がれますか。
  122. 林淳司

    林政府委員 これは新会社の方の一つ経営判断の問題になると思います。先ほど先生指摘のように、年金とかあるいは退職金については、これは法律期間を通算するということにしております。そういう考え方をとればあるいはそういう判断も新会社がするかもわかりませんし、あくまでこれは新会社の判断の問題であろうと思います。
  123. 村山富市

    村山(富)委員 新会社の判断の問題ですと言うと、もう何を聞いてもこれは新会社の判断ですから今は答えられませんと言えばおしまいですからね。ただ、私は、国鉄の職員にしてみればこういう問題に関心といろいろなものを持っておると思うのですよ。そういうものに親切に答えてやることで少なくとも職員の不安を解消して、安心して今の職場で働けるという条件をつくってやる努力をしなければいかぬと思うのです。そういう意味でお伺いしているわけですから、答えられる範囲で答えてください。  それから、国鉄から新会社に移行する際に身分の扱いだけをここで承継しないという扱いにしたことについていろいろ矛盾が出てきていると僕は思うのですよ。今指摘したような問題もそうですけれども。それから、例えば深夜に走っている者については動力車乗務員の勤務に関する協定というのがありますね。これは言うならば時間外の勤務について協定しているわけですよ。これは新会社になったらそんな協定はないのですよ。だから深夜を走って働くその職員の勤務、労働条件に対する根拠規定がなくなってしまうのですよ。そういう問題がありますから、そういう問題はどう扱うのですかという問題もあるでしょうし、これは時間がありませんから答弁は要りませんけれども問題点だけ言うておきますよ。  それから、就業規則だって、これは手続からいえば、やはりそこで労働組合があれば労働組合の意見、なければ過半数を占める労働者の代表の意見等を付して基準監督署に出さなければならぬ。そんな手続だって恐らくとれないでしょう。ですから、この表を見てもそうですけれども、やはり準備期間があるわけですから、そしてしかも労働条件や採用の基準の決定なんかはもう十一月ころすると書いてありますから、早くするのでしょうから、就業規則の案なんかも早くつくると思うのです。そういう場合に、いろいろな労働組合がありますけれども、その今ある労働組合の意見を事前に聞いたりなにかして、やはり万遺漏のないようなことをしていくということは当然の話であって、そういう手続はとるべきだと思うのですよ。  そういう意味から申し上げますと、もう時間がありませんから言いませんけれども、この第二十三条というのは、その条文を変える変えぬはともかくとして、私はやはり運用面では相当検討し配慮する必要がある点があるのではないかというように思うのです。その点ちょっと、首をかしげるから、大臣
  124. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どうも社労でたびたび同じような問題で議論をしてきただけに私も大変申しにくいのでありますが、私は二十三条の規定というものをそのようには理解をいたしません。というよりも、やはり新たな会社が四月一日にスタートをする、そこまではその会社における労働組合というものは存在しないわけでありますから、むしろ発足後において新たに生まれるであろう労働組合と新たな会社がそれぞれ団交の上でその会社の労働条件等は決めていくべきものだと思います。
  125. 村山富市

    村山(富)委員 もう時間がないから次に移りますけれども、関連企業の雇用問題について若干お尋ねしたいのです。  二万一千人を関連企業に受け入れてもらうということは大体約束済みだというお話でしたけれども国鉄改革の実施に伴って関連企業の経営面に相当大きな影響が出るんではないか、あるいは十一月のダイヤ改正はそのまま新会社に引き継がれるとすれば、そのことによって関連企業にいろんな影響が出るのではないかというように思われますが、そういう関連企業に対する影響というものはどういうふうに受けとめていますか。
  126. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄を取り巻く関連企業、関係のある企業は大変たくさんございます。総数八百六十数社あるわけでございますが、特に出資会社等大きな会社がその面での、今先生指摘のようないろんな意味での影響はあろうかと思います。そうした関連企業のあり方につきましても、今からそれぞれの会社に勉強をさせ、あるいは我々も一緒になって検討するというようなことでそうした影響をなくし、新しい会社が設立をされた後におきましても十分に機能が発揮されるようにしていきたいというふうに思います。
  127. 村山富市

    村山(富)委員 もう時間がないから飛び飛びになりますけれども、再就職促進法案の十条及び二十一条では、雇い入れのために必要とされる諸条件の整備のための措置を講じて優先的に国鉄または清算事業団の職員をその労働者として雇い入れるように要請する、こういう条文があるわけですが、この雇い入れのために必要とされる諸条件、その整備のための措置というのはどういうことですか。
  128. 林淳司

    林政府委員 なかなか具体的に現段階お答え申しにくいのでございますけれども、やはりできるだけ関連事業で職員をたくさん雇い入れてもらうということが重要でございますので、関連企業の側としましても、例えば現在でも行っておりますが、新規採用をある程度ストップするとか、そういうふうな措置を講ずることによって、できるだけたくさんの国鉄職員を雇い入れてもらうということかというふうに考えております。
  129. 村山富市

    村山(富)委員 これは具体的になかなかできませんと言いますけれども、現に八百六十五社あるそうですけれども、二万一千人の余剰人員を関連企業の八百六十五社に受け入れてもらうということが約束できておる、こういう話でしたけれども、それじゃひとつ、どういう会社に何名ずつ受け入れてもらうのか、これは大体決まっているでしょうから、後で資料を出してください。  それから関連企業には、大体何歳くらいの平均年齢者が多く行くようになりますか。
  130. 杉浦喬也

    杉浦説明員 関連企業の給与を私ども調べておりますが、正確に分類はできませんけれども、大ざっぱにいきまして、やはり給与体系は割合に低いといいますか、したがいまして、割合に年金の受給が可能になるような、そういう高年齢者といいますか、そういう年齢層が対象になるであろうというふうに思います。
  131. 村山富市

    村山(富)委員 年金の受給資格のある高年齢者ということになりますと、何歳ですか。
  132. 川口順啓

    ○川口説明員 ただいま国鉄共済の年金の受給資格の開始年齢は五十七歳が原則でございますが、これは国家公務員等と共通のルールによりまして、その五十七歳の十歳若いところから減額退職年金が支給される制度になっております。
  133. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、大体関連企業というのは国鉄のOBの方が入っていますからね。したがって、仮に五十五歳で退職をする、そうしますと、年金を受給する。年金を幾らもらう、したがって給与を幾ら払えば大体現給が保証されるというような形で雇っていますから、そういう扱いにするように関連企業には二万一千人を要請している、そういうことになりますか。
  134. 杉浦喬也

    杉浦説明員 数の面で二万一千人というふうに決めておりますが、まだどういう人間をどのようにするかということは決めておりませんので、これからの問題でございますが、大体の傾向、予想といたしましては、先ほど申しましたように年金受給資格があるような人が行くことが多いのではないかというふうに予想しております。
  135. 村山富市

    村山(富)委員 いや、私はさっき資料の要請をしましたけれども、二万一千人は大体もう約束できておるという話でしたからね。ですから、どういう会社にどういう年齢層の方が何名ぐらい行くのですかということを資料として出してくださいというふうに言っておりますから、またそれはその資料を一回見て質問しましょう。もう時間がないからいいです。  そこで、例えばこういうことが起こっているわけですよ。車両整備、清掃関係の関連企業というのは、聞きましたら全国に大体四十一社ぐらいある、二万四千人ぐらいの職員が働いておる、このうち国鉄関係の仕事に従事している者が一万六千人ぐらいおる。十一月のダイヤ改正で受注の業務が減ったり、または廃止になった部面があったり、さらにはまた委託金が節減されたというふうなことから三千五百人ぐらい整理の対象になって、今組合と交渉をやっている。これは首を切られるわけです。しかもこの四十一社は、国鉄の方から八千九百八十七名の受け入れが要請されたけれども、仮に六十歳に定年を引き下げる、あるいは新規採用を停止する、あるいは退職した者の欠員を補充で入れないというような措置をとったにしても、六千七十人しか受け入れられないというふうに言われているわけですが、こういう事実は知っていますか。
  136. 澄田信義

    ○澄田説明員 私自身、まだそこまで具体的な事実は掌握しておりませんけれども、今の車両整備会社を初めといたしまして非常に御苦労願って国鉄職員の再雇用について御協力を願っておるところでございます。今の六十歳定年とかあるいは新規採用のストップとかいろいろ御努力を願っておるところでございますけれども、私ども、今の整備会社につきましてもそれぞれの担当から十分話を通じまして、当該経営者の御判断に基づいて採用方を申し出ていただいておるというところでございまして、今後ともそういった話に基づきまして受け入れ方をお願いしてまいりたいというぐあいに考えております。  なお、具体的な、先ほどお話のございました関連企業関係の資料でございますが、申し出は今いただいておりまして、いろいろ条件は詰まっておりますが、まだだれが行くかということにつきましては、先ほど総裁が申し上げましたとおり確定しておりませんので、これは今後の問題であるということでございます。
  137. 村山富市

    村山(富)委員 そういう問題もあると思いますし、それから今、関連企業は大体六十三歳から六十五歳ぐらいまで仕事をされているらしいのですが、それを定年を六十歳に全部落としてしまう、それから退職金は来年から二分の一にしてくれといって、退職金の引き下げも出ているというので、今やはり組合と交渉をやっているらしいのですけれども、そういう意味でいろいろなしわ寄せが来ているわけです。ですから私は、関連企業の中でやはり仕事場を追われる者が大分出るのではないか、俗に言う玉突きですね、こういうことが起こり得るのではないかと思うのです。  そこで、これはちょっと聞いておきたいのですけれども、先般何か新聞報道がありましたが、鉄道の荷物会社に、雇用保険法に基づく不況業種に指定して雇用調整のための助成金を支給する方針を固めたというふうなことが報道されておりましたけれども、これは事実ですか。
  138. 平井卓志

    ○平井国務大臣 お答えいたします。  鉄道小荷物会社に関連した業種に対する雇用調整助成金の適用につきましては、決定したというのは正確でございませんで、その方向でただいま検討をいたしております。
  139. 村山富市

    村山(富)委員 これは鉄道荷物会社だけではなくて、さっきいろいろなケースを若干申し上げましたけれども、そういう意味でやはり国鉄の改革に伴って、あるいは新会社事業計画の方針によって関連企業にはいろいろな影響が出る。その影響で経営自体にもやはり影響があろうし、同時に職員にも玉突きで職場を追われる者が出てくる可能性がある。これは荷物会社がいい例です。同じようなケースのものが出てくる可能性があるわけです。そういう類似のケースについては、同じようにやはり助成金の検討をしていただけますか。
  140. 平井卓志

    ○平井国務大臣 ただいま申し上げました鉄道小荷物会社等につきましては、会社、組合からも事情を伺った経緯もございますし、また国鉄当局からもそのような要望がありました。今御指摘の車両整備等の他の関連企業について、雇調金の適用はどうかということでございますが、これは雇調金の制度の趣旨から申し上げまして、それとの関連がございますから、今後、個々の問題として検討してまいりたいと考えております。
  141. 村山富市

    村山(富)委員 これはひとつ十分検討していただきたいと思うのです。  それから、同じような関連があると思うのですけれども国鉄職員には退職特別給付金が本年成立した法律によって支払われることになっておりますね。これと同じようなことを関連企業の退職者等について、こういう事情で退職されたというような職員については考えてやる必要があるのではないかというふうに思うのですが、運輸大臣、どうですかね。
  142. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 関連企業の部分について私が御答弁申し上げるのは適切かどうか、どうもちょっと私もわからないのですが、これはむしろある意味ではそれぞれの企業自身国鉄当局との間において、国鉄の職場を去る方々をどう受け入れるかという時点での判断の問題、そのように思います。
  143. 村山富市

    村山(富)委員 これは国鉄の改革に伴って起こってくる現象ですから、ひとつ責任を持ってそういう措置なり何かを検討していただくということはいいですか。
  144. 杉浦喬也

    杉浦説明員 関連企業は、もう長年にわたりまして国鉄と一緒に仕事をした仲間でございます。国鉄の現在の大変な状況に関連企業も大変協力してもらっておるわけでございますが、逆に関連企業の方も今御指摘のようないろいろな問題がございます。一緒になりましてこの苦境を切り抜けていきたいというふうに思います。
  145. 村山富市

    村山(富)委員 そういう職員の退職特別給付金等についてもひとつ十分検討して、できれば遺漏のないような扱いをしていただきたいというふうに要請をしておきます。  それから同じように、やはり関連企業の中では仕事をやめなければならぬ者が出てくる、そういう場合にこれまでも、例えば本四架橋の場合やらいろいろな例があるわけですけれども、そのために仕事をやめなければならぬというような者については、営業補償なり何らかの措置を考える必要があるのではないかと思うのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておりますか。     〔委員長退席、三塚委員長代理着席〕
  146. 杉浦喬也

    杉浦説明員 個々の関連企業のいろいろな事情があろうかと思います。そうした面で十分にお互いに相談をし合って、適切な処置をしていきたいと思います。
  147. 村山富市

    村山(富)委員 ひとつそういう点は十分話し合ってもらいたいと思うのです。  そういう意味で、この関連企業にはそれぞれ労働組合もあるわけですから、全国的に統一された組合もありますから、そういう組合といろいろな問題点を、どんな問題点があるのか、どんな悩みを持っているのかというようなことを聞いてやるような場というものを持つ必要があるのではないか。これは運輸省もそうでしょうし、国鉄当局もそうだと思うのですが、そういう考えはありませんか。
  148. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私が伺っても、ちょっとどうしようもない話だと思うのですね。ただ、私はどなたにでもお目にかかりますよと宣言をしておりますから、御要望があればそれはお目にかかります。しかし、基本的には今御指摘問題点というものは、まさに個々の関連企業がその社の経営方針と国鉄からの人員受け入れにどうこたえるかという、企業としての施策の問題でありますから、私は、統一的な労働組合からのお話というのにはどうもなじまないのじゃないかなという感じもしております。ただ、お目にかかる必要が出てくれば、私はそれを拒否するつもりはありません。
  149. 村山富市

    村山(富)委員 もう時間がありませんから、そういう悩みやら心配やら不安やらを抱えている問題等、必要があれば親切に聞いてあげるということは、今大臣答弁されたようにぜひひとつやっていただきたいということを要望しておきます。  それから次に、共済年金の問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、これは従来からずっとここで議論されておりますように、六十年から六十四年の財政調整計画は、組合員数が変動するわけですから修正する必要がある。これは、組合員の減によって掛金の負担の減が二百億円、それから事業主の負担分が二百億円、さらに年金改正による独自給付、五十五歳から六十四歳までに対する国庫負担見合いの公経済負担分の減が三百億円、計七百億円不足をする。     〔三塚委員長代理退席、委員長着席〕 これは統一見解で六十一年度末までに出します、こう言っていますけれども、そもそも財政調整をやるときに、それだけ財政調整に御協力をいただければ後は責任を持ってやりますということを言っているのですよ。そういう意味から申し上げますと、単に六十一年度末に結論を出すなんて言わなくて、これは今働いている職員は皆不安に思っていますよ。しかも一月一日からよその会社に行く者もあるわけですよ。そういう者に対しても、もっと安心できるような答弁が必要だと私は思うのですが、ひとつ大蔵大臣答弁
  150. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 どうも失礼いたしました。  先般も申し上げましたところでございますけれども、ただいま関係閣僚の間で昭和六十四年度までの問題につきましては本年度中に結論を出したいということで、鋭意協議をいたしております。これは時間がかかっておりますのは、事柄が非常に難しいからでもございますけれども、同時に年齢構成がどうなるかということが、御承知のように今年度末に近づきませんとはっきりいたさないという点もございまして、それで何回か協議を重ねております。今年度中には、六十四年度までのことにつきましては結論を出すというかねての統一見解のとおりいたすつもりでおります。
  151. 村山富市

    村山(富)委員 年齢等についても不確定要素があるので、どの程度が不足するのかということがまだ確定しない、こう言うのですけれども、それは今までの資料を見れば、大体平均七百億円ぐらい不足するということが出ているわけですから、何円何銭まではわからなくても、大まかこの程度は不足するということはわかっているわけですから、これはひとつ国が責任を持って措置しますとかなんとかいうようなことぐらい言えるのじゃないですか。難しい問題じゃないじゃないですか。
  152. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この点の基本的な考え方は既に統一見解で申し上げたとおりでございます。それはもう変わりませんで、ただその場合に、例えばただいま七百億円ぐらいと言われましたが、先般の資料でも申し上げましたように、高年齢者と若年齢層との間で平均的な退職があるのかあるいは高年齢者の方が多いかとかいったようなことは、かなりそれによりまして試算が違いますことはせんだってもお目にかけたとおりでございますから、その辺のところを見きわめたいと思っておるわけでございます。
  153. 村山富市

    村山(富)委員 これは、きのうも井上委員からこの国会中に出してもらいたいという要請がありましたからね。それはどうですか。
  154. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 それはお言葉ではございますけれども、基本の考え方はもう既に統一見解で申し上げました。  それから、具体的な計数になりますと、やはり年度末に向かいまして年齢構成を見きわめませんと、計数的に非常に正確につかみにくいということがございますので、できるだけ早くはいたしますけれども、そういう要素があることも御理解をいただきたいと思います。
  155. 村山富市

    村山(富)委員 橋本運輸大臣は社労に長くおったし、厚生大臣も経験していますから、これは一番苦になる頭の痛い問題だと思うのですね。大臣がそれくらい思っているぐらいに、組合員はもっと思っていますよ、心配していますよ。ですから私は、額が確定しなくても、大体この程度は不足するという程度はわかるわけですから、その責任はどういうふうにして補てんしますとか負担をしますとかいうことぐらいは、できればこの国会中に出してもらいたいということを重ねてもう一遍要請しておきます。これはまた機会があれば質問します。  それから次に、先般私が要請しましたら、「国鉄共済組合の財政再計算の経過について」という資料をいただいたわけです。この資料について若干お尋ねしたいのです。  昭和五十九年の十月の財政再計算をやっているわけですけれども、この財政再計算は国家公務員共済組合法第九十九条に基づいて行ったものであるというふうに思いますが、その点どうですか。答弁は簡単に答えてください。
  156. 川口順啓

    ○川口説明員 五十九年十月に行いました財政再計算につきましては、ただいま先生がおっしゃいました趣旨で行ったものと理解しております。
  157. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、この第九十九条によりますと、「長期給付に要する費用(第三項の規定による国又は日本国有鉄道の負担に係るものを除く。)については、その費用の予想額と」長期給付に係る事項の「掛金及び負担金の額並びにその予定運用収入の額の合計額とが、将来にわたって財政の均衡を保つことができるようにすること。」こういう規定がありますね。この規定に基づいて考えますと、長期給付に要する費用の予想額というものが当然計算されてなければならぬのですよ。これはどのくらいになりますか。
  158. 川口順啓

    ○川口説明員 その点につきましては、ただいま先生指摘のとおりでございます。
  159. 村山富市

    村山(富)委員 ですから、計算をした額はどのくらいになりますかと言うのです、現価は。
  160. 川口順啓

    ○川口説明員 年間平均の給付額は、約八千億円程度というふうに考えております。
  161. 村山富市

    村山(富)委員 あなたは違う答弁したってだめじゃないか。長期給付に要する費用の予想額というのは、例えば年金の常識で将来五十年程度の給付に要する費用の現価ですね。この間も言いましたけれども、今、年金をもらっている人があと何年ぐらい年金をもらうだろう、今組合員で掛金を掛けている人が将来どの程度の年金の給付が必要になるだろうということを計算をして、ちゃんと金の準備をしなさいと書いてあるわけですよ。そうでなければ、毎月毎月掛金を掛けて、掛けた金がどこに行っているかわからぬ、一銭もないそうだ、年金もらえるかもらえぬかわからぬぞ、こうなったら年金の長期契約は成立しませんよ。ですから、この九十九条に基づいて再計算をした、こう言うのですから、そういう現価はどの程度あると考えていますかと、こう言うのですよ。当然の話じゃないか。
  162. 川口順啓

    ○川口説明員 長期的費用を見る場合でございますけれども、財政再計算は原則的に五年に一回行っておりますので、五年間における給付の見込み額というものを念頭に置いて財政再計算をやっております。
  163. 村山富市

    村山(富)委員 今いみじくも答弁がありましたように、この資料を見ましても、例えば五十年、五十二年、五十五年、五十九年と財政再計算をしておるわけですね。だけれども、長期にわたって国鉄の共済年金がどうなるだろうかということは全然ないのです。単年度単年度、収支だけ黒字ならいい、そのためには掛金を何ぼ上げるかというてやってきているのです。厚生年金だって、五十一兆円ぐらい積立金がありますよ。それはやはり、厚生年金を掛けている者の将来の年金に不安のないように金を積み立てているのです。国鉄はこんなことを全然考慮せずに、配慮もしなくて、単年度単年度うまくいけばいいという考え方でやってきているのじゃないですか。そのツケが回ってきて今の共済年金の破産になっているのじゃないですか。どうですか。
  164. 杉浦喬也

    杉浦説明員 仕組みとしましては、今、川口常務が申し上げましたように、五年ごとの長期収支の見直しを行う、こういう仕組みでございます。長期的な見通しというものを考えたいわけでございますが、何しろ大変な台所の事情でございます。そうした長期の見通しを立てること、それ自体が非常に難しい。五年間の長期見通しを今立てているという状況であります。
  165. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、この九十九条の「費用の予想額と」長期給付に係る事項の「掛金及び負担金の額並びにその予定運用収入の額の合計額とが、将来にわたって財政の均衡を保つことができるようにすること。」という条文は完全に無視されておる、こういうふうに言っていいですか。
  166. 川口順啓

    ○川口説明員 近年におきます国鉄共済年金の財政状況というのは非常に複雑かつ困難な状況に置かれておりまして、いろいろ対処に難しい点がございますけれども、今後そのような長期的な点につきましては、私ども国鉄内部でも、学識経験者等の御意見を承りながら、研究会等を設けて研究してまいりたい、このように考えております。
  167. 村山富市

    村山(富)委員 適当な答弁をしなさんなよ。そんな答弁で、あなた、納得できますか。少なくとも長期契約で、長期給付の年金財源を預かっているんでしょうが。その組合員から掛けてもらった掛金がどうなったかわからぬ、もう一銭もなくなった、それでも知らぬ顔してほおかぶりで過ごしたというツケが、今、回ってきているんでしょう。その責任はやはりしっかり考えてもらわなければいかぬですよ。  その計算をしておらぬというのはどういうわけですかね。例えば追加費用の四兆八千億円というのは、今年金をもらっている人、あるいはこれから組合員で年金をもらう人の恩給見合い部分でしょう。こんな計算はできるんじゃないですか。こんな計算ができるのなら、長期給付を担保する現価の計算ができないわけないですよ、同じ扱いだから、同じものだから。
  168. 川口順啓

    ○川口説明員 追加費用につきましては、過去に発生している特定の組合員ないし年金受給者にかかわる分でございますので、これは計算が比較的容易でございますけれども、将来にわたって年金受給として出てくるものにつきましては、いろいろ不確定要素が多いわけでございまして、非常にそのような算定は困難であるということでございます。
  169. 村山富市

    村山(富)委員 あなたにまだ重ねて聞きますけれども、そうしますと、この九十九条の二号の、五年ごとに再計算をする、その再計算をするに必要なこういう条項というのは完全に無視されているわけですか。
  170. 川口順啓

    ○川口説明員 私がただいま御答弁申し上げましたのは、非常に計算が難しいということを申し上げたわけでございまして、先ほども申しましたように、今後その点は勉強してまいりたい、このように考えております。
  171. 村山富市

    村山(富)委員 国鉄改革法が仮に通りますと、職員はもう、新会社に行く者、清算事業団に残る者あるいは公務員になる者、公的機関に行く者、関連企業に行く者、民間に行く者、ばらばらなんですよ。だけれども年金は継続しますから、期間は引き継がれますから、どこに行っても国鉄年金はもらえる、掛けた分はもらえるというふうに皆さん思っているわけですよ。その財源が一体どうなっているのか、どうなるんだろうかということが全然わからないようなことでは、それは不安でたまりませんよ。私は、やはりこの国鉄改革法案を審議するに当たって、そういうことまであいまいになっておって納得できるような答弁ができないのでは、これは審議できませんよ。
  172. 川口順啓

    ○川口説明員 九十九条の規定では、これは特例が附則で設けられておりまして、五年間の計算ということで規定が行われておるわけです。
  173. 村山富市

    村山(富)委員 そんな詭弁を弄しなさんな。五年ごとに再計算をするんですよ。なぜ再計算をする必要があるかといえば、長期給付をするのに財源の心配はないかということも含めて再計算するんですよ。五年間の範囲内で収支が償うかどうかというだけの計算じゃないんですよ、これは。これは大蔵省も関係があるので、大蔵省ちょっと……。
  174. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 先生先ほどからお尋ねの件につきましては、今までの財政再計策は国鉄の方でずっとやってこられたわけでございます。ただその中で、いろいろな再計算をした結果としての、御承知のとおりの大変高率の掛金の負担率等の引き上げ、そういったぎりぎりの努力が次々にその再計算の中で積み重ねられてきたということで、それなりの努力が進められたというふうに考えておりますし、またそれだけでは実はなかなか償っていかないという、長期の見通しがだんだんはっきりしてまいりましたので、五十年代には国鉄の方あるいは大蔵省の方ということで、こういう国鉄共済年金の将来問題についての検討が進められたということだと思います。その結果として財政調整事業というものもできたわけでございます。ただ、それでもまた見通しが違ってきたわけでございますから、例の統一見解の線に沿って、まず六十四年度まで、そしてさらにその先は、六十五年度以降の問題はさらにその先でということでの検討スケジュールも決めて検討を進めておるということで積み上げが行われておるものとお考えいただきたいと存じます。
  175. 村山富市

    村山(富)委員 いや、六十四年までは七百億円ぐらい平均不足をするだろう。その不足の補てんをどうするか。財政調整はもうこれ以上他の共済には迷惑はかけられぬ。しかも組合員の掛金も最高でこれ以上上げられぬ。しかもあなた、この間も言いましたように、スライドも停止していますし、職域年金国鉄職員にだけは支給されないんですよ。自助努力と言いますけれども、共済組合の組合員の犠牲の上だけですよ、努力というのは。  そういう状況から考えますと、六十四年までの不足分についてどうするかという問題が一つあるわけですね。これはさっき言ったとおりです。しかも長期にわたって国鉄共済の組合員に対して年金を支給する財源は一体どうするのかということは残るわけでしょう。その不足する財源というのは、当然準備しなければならぬ責任準備金というのはどれくらいあるんですかということは、五年ごとの再計算で計算するのは当然ですよ。大蔵省わかりませんか。計界できませんか。
  176. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 これまで国鉄の方で短期それぞれ償っていくような計算で設計をしてまいったわけでございますが、これから将来問題として、御質問のような追加費用以外の将来年金支給額というものをどういうふうに考えるんだということでございます。これは六十五年以降の対策等を検討する中でも十分また考えてみなければならない点かと思いますが、いずれにいたしましても、現在追加費用が長期債務に計上されておりますように四・八兆、四兆八千億、こう言っております。この追加費用の割合が次第に減少してきておりますし、これからそれが減少をしていくという見込みであることを勘案いたしますと、先生がおっしゃいますような、現段階で一時的にその将来給付というものをどのくらいと見積ったらいいのかという御質問に対しましては、やはり現在長期債務に計上されております追加費用の四兆八千億という金額よりはある程度大きなものになるだろうという考え方はとらなければいかぬと思います。しかし、その数字の計算等については、現在のところしてないわけでございます。
  177. 村山富市

    村山(富)委員 してないというのは、それなら大蔵省も九十九条は完全に無視しているわけですか。「その費用の予想額と」長期給付に係る事項の「掛金及び負担金の額並びにその予定運用収入の額の合計額」掛金の総額、積立金の運用収入の総額、そういうものもすべて含めて支出と収入を計算してみて、長期五十年ぐらいを展望してどの程度の責任準備金が必要なのかということはどの制度だって考えていますよ。計算していますよ。大蔵省だけは計算してないのですか。そんなばかな話があるか。
  178. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 現在、国家公務員等共済組合法におきまして、附則の二十条というところで、実は長期給付に要する費用の計算については特例を定めておるわけでございます。これによりますと、長期給付の財政調整事業が実施されておるという、この間につきましては、いわばその財政調整事業で考えろということで律せられておるものと私ども解釈をしておったわけでございます。  ただ、その財政調整事業で完全に収支償う設計で進んでいるかといえば、先般来先生の御指摘のとおり、さらに平均七百億の不足というものが出ておりますから、その財政調整事業というものを根っことしながらどう考えていくかということが、四閣僚等の懇談会の中から鋭意検討を進められなければならない問題として残って「おるわけでございます。
  179. 村山富市

    村山(富)委員 質問にまともに答えぬものだから……。  四閣僚の統一見解というのは、六十四年までの不足する年平均七百億円分の負担をだれがどうするかということを、統一見解でもって国が責任を持ってやりますということを述べているわけでしょう。今私が申し上げているものは、その分が一つある。同時に、この条文に書いてありますように、また重ねて言いますけれども、今年金をもらっている人、この人が将来年金をもらって一生を終わるためにどの程度の金がかかるだろう、金が要るだろう、今掛金を掛けている組合員、この組合員が将来年金をもらうようになった場合にどの程度の金が必要だろうかというようなことを想定して金を計算しておく、これを責任準備金と言うんですよ。ですから、さっきも言いましたように、厚生年金なんかは五十一兆円くらいありますよ。これがなくなれば長期契約する年金制度というのは崩れるわけです。そうでしょう。  私は、もう時間がないから自分で言いますけれども、専門家に計算してもらった。専門家に計算してもらいましたら、こんなものはもう常識だと言うんですよ。この条文から照らしても当然の話であると。専門家の計算によりますと、将来の給付に要する費用の現価は大体十兆円ぐらい要るだろう、そして組合員の掛金で賄えるものが二兆円ぐらいある、ですから八兆円ぐらいの財源は不足をする、こう言っておるわけです。この八兆円の財源というのは、将来にわたってだれがどう負担するのかというのは大変大きな問題ですよ。  これは、私はもうここでは時間がないから申しませんけれども、それは財政調整をする時点でも、先ほど申しましたように、これ以上他の共済に迷惑をかけません、あと不足するようなことがあれば、その不足は責任を持って賄います、こう言っておるわけですから、この長期にわたる財源不足の八兆円というものを、やはり国なり国鉄なりが責任を持ってちゃんと補てんをする、負担をする、財源をつくるというぐらいのことは当然だと思うのですよ。これは将来の話ですから、それくらいの心がけがあるかどうか、これはもうこれから大蔵大臣が所管しますから、大蔵大臣答えてください。
  180. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私が直接主管ではありませんけども、私から一言言わせていただきたいと思います。  まさに村山委員が御心配になるような問題点がありますから、実は四閣僚の懇談をお願いをし、検討会をスタートさせました。そして昨年の統一見解としてお約束をした、六十四年度末までの支払いに支障は来さないというその前提のもとに、今全力投球をしている最中であります。ですから、我々とすれば問題意識は恐らく変わらないと思います。  ただ、今そこまで詰めて御議論をいただきましても、まず我々とすれば六十四年度末までの体系をどうするかということに全力投球をしておるわけでありまして、その後に——とても今そこまで延長をして論議をしているゆとりはございません。これはもう率直に申し上げます。それだけに、どうかできるだけ早くこれらの法律案を成立させていただいて、共済の問題で私が全力投球できる状態をおつくりいただきたい。お願いを申し上げます。
  181. 村山富市

    村山(富)委員 大蔵大臣、どうですか。
  182. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 当面、六十四年度までの支払いに支障を生じないようにということで、四閣僚で鋭意結論を年度末までに出したいと思っております。ただいま御指摘のような問題点は、問題点としてよく承りました。
  183. 村山富市

    村山(富)委員 これで質問を終わります。
  184. 細田吉藏

    細田委員長 これにて村山君の質疑は終了いたしました。  午後一時四十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ────◇─────     午後一時四十一分開議
  185. 細田吉藏

    細田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  186. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 審議もずっと進んできたわけでありますが、私、この審議を通して感じますことは、今回のこの国鉄改革、これに伴って、メリットばかりじゃないわけでありまして、今回のこの改革を機にさまざまな問題点も出てくると思います。今まで水面下に埋もれておったものが一挙に噴き出してくるというものもあるでしょうし、あるいはまた長期債務の処理あるいは国鉄共済年金の問題、まだまだ解明されていない点多々あるわけでありますが、そういった問題をきょうは中心にいたしまして、運輸大臣を初め関係大臣にお伺いをしていきたい、このように思います。  そこで、まず現在、これは運輸当局にお聞きをした方がいいかもわかりませんが、工事を凍結をしている路線がたしか三線あったと思います。それはどこか、そしてそのキロ数、今日までの投資額、現在どういう状況になっているか、御説明を賜りたいと思います。
  187. 林淳司

    林政府委員 現在、鉄道建設公団で建設を行いましてある段階で工事を凍結しておるものでございますが、これは三線ございまして、一つは京葉線のいわゆる凍結区間でございます。これはキロ程にしまして約七キロ、それから建設費が、現在までの投資額が約四百四十二億円でございます。それからもう一つは瀬戸線の高蔵寺から勝川の間でございまして、キロ程で約八キロ、建設費が約二十三億でございます。それからもう一つは成田新幹線でございますが、これがキロ程で約六十五キロ、建設費が五百四十五億でございます。
  188. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どういう状況になっておりますか。
  189. 林淳司

    林政府委員 いずれも、当初の輸送需要見込みというふうなこと等から、現在のところ、将来これを鉄道路線として使用するという見込みが立たないということで工事を凍結をしておるという状態でございます。
  190. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今御説明賜りましたように、この三線で社会経済情勢の変化等々により工事が凍結をされている、こういうわけであります。  それで、この凍結は解除される見通しが全くないのか、もし解除されなければ一体どういう処理を今後していく方針であるのか、これはどうですか。
  191. 林淳司

    林政府委員 この三線につきましては、現在のところ将来にわたって鉄道としてこれを使っていくということについては全く見通しが立たないということでございまして、恐らく今後使うことはまずあり得ないんじゃないだろうか、こういうことで、今回の改革に際しましては、これはいずれも、資産、債務ともに清算事業団の方にこれを移す、こういう処理をいたしたいというふうに考えております。
  192. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 結局、全く凍結解除の見込みがない。莫大な投資をいたしまして、そうしてもう永久に葬られよう、こういうふうにしているわけであります。  ちょっと本題に入ります前に聞いておきますが、聞くところによりますと、成田新幹線はいわゆる成田高速度鉄道として運輸省、国鉄あるいは東京都等々が検討しようじゃないか、こういう話もあるやに聞いております。その辺がどうかということ。  それからもう一つ、京葉線に関して、これは大井埠頭と新砂町との間の七キロでありますが、これも東京都の方で何か活用の道はないか、こういうことでありますが、その辺の見込みもさっぱりない、こういうことでよろしゅうございますか。
  193. 林淳司

    林政府委員 現在のところ確たる見通しがない、こういうことで、清算事業団資産、債務とも移すという処理をいたしたいというふうに考えておりますが、ただ、清算事業団に移しまして資産を管理していくわけでありますけれども、例えば成田新幹線については、確かに東京都心とのアクセスの一つとしてA案、B案というふうな連絡鉄道案がございますけれども、そういうものが現実化すれば、そういう施設の一部としてこれを活用する道も将来あるかもしれないというふうに思います。  それから、京葉線のいわゆる貨物部分でございますけれども、これについても、まだ具体的な計画というわけではございませんけれども、東京都あたりの方には、いわゆる十三号埋立地と申しますか、ああいうところの再開発との絡みで、場合によったら使うことがあり得るんではないかというふうな構想と申しますか、そういうお話もあるようでございます。確たる計画ではございませんが、そういうことが現実化すればそういうものに活用するということは、これはあり得ることだと思います。
  194. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そうしますと、清算事業団へ行ってからそういった道も可能性としては残されている、こういう判断でよろしゅうございますね。しかし、来年四月一日のこの分割民営化の発足、この時点においては債権、債務とも清算事業団の方へ承継されるわけであります。  今審議官から御答弁ありましたように、この三線の合計は千十億になります。そのほか人件費等等加えますとこれは千六百億になる、こういうふうにも私は運輸省から聞いておるわけでありますが、やはりこれがうまく活用され処理されていかないと、これはもう金利のかかるお金であり、最終は国民負担、こういうことになってくるわけであります。見通しを誤ったとはいえ、あるいは社会情勢の変化があったとはいえ、これは非常に莫大な投資をしたツケがここに回ってきた、こういうふうに私は断ぜざるを得ないわけであります。  そこで運輸大臣の御見解をお聞きしたいわけでありますが、どうでしょうか、これはそれぞれ、鉄建公団の場合は公団法の二十条あるいは二十一条の規定により運輸大臣が基本計画を指示され、そして認可をされているわけであります。あるいはまた新幹線については、これは新幹線の整備法によってやはり同じように対応されてきているわけですね。まあそれはずっと以前の運輸大臣がということになるかもしれませんが、やはりこれは、こういうことになってきた一つの大きな責任というもの、そして見通しの甘さというものも十分に感じて、国民負担になるわけでありますから、今後対応していくべき問題であろう、このように私は考えますが、その辺どういうお考えでございましょうか。
  195. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 過去であれ現在であれ、運輸大臣としての責任がないとは私は思いません。そして、社会経済情勢の変化によって事実上これらの現在工事を凍結しておりますものにつきまして、私どもは、これは清算事業団が受け取りました後におきまして、保有管理をしていく中で、今委員の御質疑の中で出ておりましたようなものが実っていけば本当に望ましいことだと考えております。  しかし同時に、状況の変化の中で、これ以上無理な投資をつぎ込んで国民の利用の可能性のないものをつくることは一層その傷口を深くする、現在の時点ではそう判断せざるを得ないところからこうした対応をしておるわけでありますから、今後とも今御指摘のような点も含めての検討というものは続けていくべきものと思います。
  196. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 くどいようでありますけれども、とにかく何とかこれをうまく活用していける方法がないか、あるいは国民負担にならないようにどう処理していったらいいかというものはひとつ絶えず考えていただきたいと私は思います。やはりそれはそれだけの責任というものがあると思います。この点は強く要望しておきます。  そこで、三線のうちの瀬戸線の問題ですが、この問題は今、全く出口のない方向へ行くのではないかということで、私も非常に危惧をいたしているわけであります。  この建設の経緯を見てまいりますと、昭和三十九年九月にこの基本計画の指示を公団法二十条によって運輸大臣がなされ、そして四十二年二月に工事実施計画の認可を公団法二十一条によってやはり運輸大臣がなされた、こういう経緯がある。それで、瀬戸線の用地ということでいろいろ聞いてまいりますと、私の聞き間違いでなければ、運輸省、国鉄あるいは鉄建公団を通しまして、現地に対しての用地買収もお願いされた経緯があった、こういうわけでありますね。  これが残念ながら昭和五十八年度から実質上工事が凍結をされた。こういった状態で、この問題については現地としても、もしこれが凍結されて清算事業団の方へ移行していった場合にはその地域の都市基盤整備というものが根底から狂ってくるんじゃないか、一体どうしたらいいだろうかというのが今の実情であります。しかも、そういった、清算事業団に移行しますよ、凍結は解除されませんよというようなことが、地元の自治体に対してもまだ十分な説明がなされていないというのが現状であります。  今そういった状態であるわけでありますが、この実態についてはどうお考えになっていますか。
  197. 林淳司

    林政府委員 確かに先ほど申し上げましたように、当初は鉄道新線として計画をしたものでございますけれども、その後社会情勢の変化等によりまして輸送需要量が大きく見通しが変わってきた、そういうことで、現在の中央線で十分対応できるということで、高蔵寺—勝川間は現段階では工事を凍結されておりますけれども、来年の四月には清算事業団の方に移行せざるを得ないんじゃないだろうか、このように判断しておるわけでございます。
  198. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そのように判断をしていらっしゃると言うのですが、今の私の質問に対して答弁してもらわなければ困りますよ。  運輸大臣どうですか、今の私の質問に対して。
  199. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今委員が御指摘になりました地元の春日井市等とその接触の度合い等々からまいりますと、私どもは、少なくとも現時点において鉄建公団を通じまして市当局も、その取り扱いについては状況は知っておられると聞いております。  これは、たまたま先般愛知県に出張いたしました際に、地元でも御陳情を受けました。そしてその後、帰ってまいりましてから当局、事務方の職員に聞いてみますと、今審議官から御答弁を申しましたとおり、並行する中央線の輸送事情というものがあり、現実に困難だという報告を受けた次第であります。
  200. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そういうふうにおっしゃっておりますが、まだその辺が徹底されてないということは事実です。これは、どうのこうのとここで議論するのはあれですが、問題は、そういうことで用地買収をお願いしていって、そういった社会情勢の変化もあったでしょう、運輸大臣なり審議官から御答弁されたいろんなそういった状況もありましたでしょう、それは私としても理解できないことはないわけでありますけれども、じゃ今後どう対応していくかという一つの問題があります。今あなたが現地へ出張されたときとおっしゃいましたが、現地でも県知事あたりからたしか陳情があったと思いますよ。この部分の凍結を解除してください、そして高蔵寺から勝川を経て枇杷島までの全線を早期開業してくださいという、たしか九月二日だったと思いますが、そういった陳情もあったわけですね。やはり親切にきちっと現状を説明をして、こういう状況ですからこうです、そしてそれについて地元としての対応を苦慮している面があるから、いろんな要望というものを受けてやってまいりますよ、こういう姿勢がなければいけない、私はそういうことを申し上げたい、こう思うわけであります。  そこで審議官、これが凍結されますと一体どういうような問題が起こるか。もちろん先ほど言いましたように金利のついた長期債務、合計千六百億とすれば約百十二億が単年度での金利なんですよ。これが国民負担になっていくという問題と同時に、例えばこの瀬戸線という問題を一つとった場合に、今春日井市というお話が運輸大臣からあったのですが、一体地元として都市の基盤整備にどういう影響が起こってくるかという問題は、あなたは十分把握していらっしゃいますか、どうですか。
  201. 林淳司

    林政府委員 先ほどの区間の凍結あるいはこれからの清算事業団への移行ということに伴いましていろいろ問題が生ずるわけでございますが、ただいま先生から御質問がございました地元との関係と申しますと、一つは、私どもが聞いておりますのは、都市計画との関係で、春日井市の一部、出川地区でございますか、そこで土地区画整理組合がいろいろ区画整理をやったわけでございますけれども、その中に当然都市計画として鉄道予定地というものがあるわけでございますが、その鉄道予定地の一部について、まだ鉄道建設公団が取得をしない、すなわち整理組合が保有した状態で凍結になったというところが非常に地元では問題になっておるというふうに私どもは把握をしております。
  202. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 何点かあるのですよ。  ここで私、簡単に申し上げてまいりますけれども一つは、勝川駅へ乗り入れすることになっておったわけでありますけれども、やはりそのために用地が必要だということです。これはまだ今後の問題でありますが、要するに、春日井市が市の区画整理事業として昭和六十二年度から九ヘクタールにわたって事業を展開しようというのが一つあった。それの専用地として二千二百五十平米必要だろうということで生み出そうという計画が今ある。やはり凍結ということによってこの問題が一つの大きな問題になっています。  それから、今審議官からお話がありましたように、出川中部土地区画整理事業というのがありまして、これは瀬戸線用地が約一万六千平米、このうち未買収が四千八百平米あるわけであります。でありますから、この鉄道用地が買収されないと区画整理事業の推進に大きな支障が生ずる、こういう問題が一つある。  それから、区画整理事業の一環として、都市計画道路あるいは区画道路、それから歩道専用道路、これら三道路を鉄道を挟んで、いわゆる交差道路として瀬戸線建設を契機にしてつくっていこうという計画も、どうしたらいいかということで、基盤整備が図られないという問題がまた出てくる。  それからもう一つは、細かいことで恐縮ですが、神領駅という駅が実はありまして、瀬戸線の経由する、今中央線が走っているところでありますが、この瀬戸線建設を契機にして、この北口に相当乗降客が多いものですから出改札口をここでひとつ一緒につくろう、こういうことになっておって、そして下市場土地区画整理組合が区画整理事業として、その進入路を十八メーター、道路を施工中なんです。これも北口につくられるかどうかわかりませんが、これも問題になってくるわけです。  正直に申しますと、総体的に言ってどう都市計画を進めていこうか、基盤整備を進めていこうかという大きな問題に今なっているということなんですね。これは今回の国鉄改革を契機にして、今まで凍結されておったものが清算事業団へ承継されまして、はっきりともうやらないということでありますから、根本的にこの事業を見直し、あるいはときには変更しなければならぬ、こういった事態も出てくるわけであります。これについて、そうしたひずみというもの、そうした問題点というものを、運輸省、国鉄当局が春日井市あるいは愛知県等々と話し合って前向きに、とにかく地元にいろいろとお願いをして最後しっぺ返しをするわけでありますから、どう収束を図っていくか、そういうことであると思います。だから、審議官運輸大臣に一遍答弁してもらいましょう。
  203. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 しっぺ返しなんてそんなこと考えておりません。ただ、私は今伺いながら改めてちょっと感じておりましたのは、実は愛知県知事からは非常にたくさんの陳情をいただきまして、その中の一つとして、むしろ中央線が横を通り、それとの関係で採算がとれないということで困っているという形での御陳情をいただいたわけであります。今個別に御指摘をいただきましたようなさまざまな問題点、中には事前にその後調べてある程度知識のあったものもありますし、今初めて伺った部分もあります。  ただ、これは実は、一つ国鉄の改革の問題と別個に、仮に現在の姿がそのまま続いていくといたしましても、私は恐らく鉄建公団がこの地区において継続して工事を行うための多額の投資をすることは実質的に困難だったのではなかろうかという感じを持ちました。これは率直な印象であります。それだけに、この国鉄の改革という事態の中でいわばそれが明らかになったという意味では委員の御指摘のとおりだと思います。それだけに、鉄建公団をして地元との間に十分御相談をするように指導してまいりたいと思います。
  204. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いずれにいたしましても、この問題はこれ以上申しませんが、どうか現地の意向をよく酌んでいただきまして、誤りなきような対応というものをよろしくお願い申し上げたい。これは大問題になってくるだろうと私は思いますよ。あとはあなたの方の対応がどうなるか、こういうことでありますね。  そこで、審議官、別の問題ですが、特定地方交通線との関係で、昭和五十五年以降工事が中止されている部分があります。たしか二十二線。それは二十二線みんな申しなさいということは申しません。私も資料をいただいておりますからいいですが、一体どういう状況になって、そしてそれの投資額は幾らある、これはたしか国の補助金あるいは投資ということでやられたわけでありますけれども、結局国民の税金が使われておるわけであります。こうした工事を休止されている路線が一体どうなるだろうか。これは国家的見地から申しましても大事な問題であり、やはりそれぞれの地域においてもまた大きな波紋を起こす問題ではないか、このように感じますので、一応お聞きしておきたいと思います。
  205. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生指摘のとおりでございまして、昭和五十五年以来、いわゆる特定地方交通線対策との整合性ということで、四千人未満のいわゆるAB線でございますが、二十二線工事を凍結してきておるわけでございます。そのうち三線は、これは地方で第三セクターで今後運営をしていきたいというお申し出がございましたので、これについては今年度中に工事を再開する予定でございますが、残り十九線につきましては、現段階、いわゆる工事休止という状態を今後も続けざるを得ないのじゃなかろうか。ただ、これから来年四月以降、二年半ないし三年の期間でございますが、この期間内に、もし地元の方で地域開発等との関係で第三セクターでやりたいというふうな意思決定がございましたならば、これは各工事を再開することは可能でございますけれども、そうでないものはやはり今後工事を続けるわけにはいかないだろう、こういうことで、その段階清算事業団の方にその資産を移行させるということになろうかと思います。  それで、これはいずれも有償資金は入っておりませんで、補助金とか出資金という形の無償資金でございます。今この二十二線全体の建設費でございますが、約千三百億現在まで投入してきております。
  206. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 資料をいろいろいただきまして御説明をいただきましたが、二十二線のうち樽見線、それから智頭線と宿毛線ですか、この三線は一応第三セクターへの移行が図られる。あと十九線というのはやはり国鉄改革後二年六カ月、つまり昭和六十四年の九月までは一応鉄建公団に置くわけなんだが、その後地元との話し合いが進んでいかないとこれは清算事業団の方へ、こういうことになりますよ。やはりこれも今の瀬戸線と同じような、地域に大きな影響、波紋、そして基盤整備というものに影響をしてくるかどうか、その辺も実は心配なんですよ。私もこれは正直に申しまして余りわからないわけでありますけれども、一体そういった心配はないか。二年六カ月というのは、これは特定地方交通線との関係でこういうふうに期日を定められたのですが、その間に第三セクターになればこれはそれにこしたことはないわけであります。ならなくて——もう中には用地買収が相当進んだところもありますし、路盤整備がきちっとされたところもあって、線路も敷いてあるというところも中にはある。それぞれ百億なり八十億なりそれぞれの路線についての投資をされた。これは国の補助金でありあるいは出資金であるということで、これは税金ということでありますが、こういった国民の血税というものが大いに使われた、やはりこれは一つ問題点指摘せざるを得ないし、これが何とかうまくその地域において活用される方向はないものかなという、私は実はそういった問題意識があるわけであります。  だから、やはり大臣、そういう点も含めて、こういった問題についても、この国鉄改革をしたから、これはこういうふうになりましたからあと知りませんよということはおっしゃらぬと思いますが、やはり十分な対応というものを今後していくべきじゃないか、こんなふうに思うわけであります。いろいろあちこち申して恐縮でありますが、ひとつ御所見を伺っておきたいと思います。
  207. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、林審議官から御報告を申し上げましたように、樽見線、智頭線、宿毛線の三線について、地元の要望を踏まえて本年度中に第三セクター線としての工事再開を私どもは予定をいたしております。残る十九線についても、でき得るならば地域の熱情によって第三セクターというものが誕生してくれないだろうか、そして第三セクター線として運行することを前提にして会社設立の申請が出てこないだろうか、まさに私どもはそういう期待をかけております。そして同時に、第三セクター会社としてのこれだけのものをきちんとしてくれれば我々はその工事を再開いたしますという、いわば一つのあかしのためにも、今この三線の工事を再開しようとしているわけであります。  ですから、今御指摘をいただきましたような心配というものは我々も決して持たないわけではありません。しかし、それがやはり地域において地域の方々が愛して使っていただける鉄道でなければならぬわけでありますから、いわばそれを第三セクターという形で何とかスタートを切っていただきたいと願っております。
  208. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 じゃ、これらの問題はこの辺でやめまして、時間もだんだん迫ってまいりましたので、大蔵大臣に今の長期債務との関連でお聞きしておきます。  本委員会でもしばしば問題になりましたが、この長期債務の処理、十四兆七千億になりましたですかな、これは一月二十八日の閣議決定で歳入歳出の見直しの中でこれを行っていくと閣議決定されました。その辺のところはわかるのですが、私は少なくとも、この国民負担になってくる長期債務につきましては、やはり本委員会においてその処理方法あるいは時期等について明確にしていくのが本当は政府の責任ではないかということを、しばしばこの議論を聞いておりまして感じました。今大臣に、じゃどうしますかと聞いても、こうしますよという答弁は返ってこないかもしれません。がしかし、少なくともそういった責任というものが政府にある、そのための国鉄改革法案の審議である、私はこのように思っております。  そこで、端的にお聞きいたしますが、あなたは本委員会において新税を導入しないということをたしかおっしゃったと思います。これはマスコミにも報道されました。新税というのは一体どういうものですか、それをお聞きしたいのです。そのための目的税なのか、あるいはその他の新しい税なのか。そして、もう一つ言えば、いわゆる三年後かいつになるか知りませんが、きちっと対応されるときに、既存税目の税率アップあるいは対象拡大ということによって、いわゆる一般の増税ということが十分考えられるんじゃないかと私は思います。確かに目的税的な新税は導入しない、そのための新税は導入しないと言うのですが、そういった危惧が十分あるから私はお聞きしたいわけでありますが、あなたの新税を導入しないという新税というのは一体どういうお考えでここで答弁されたのですか、お聞きをしたい。
  209. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 長期債務の処理につきましては、もう先日来いろいろ御議論がございますとおり、非常に長期を要する、また難しい問題でございますが、ただいまといたしましては、国鉄の持っております用地等々をできるだけ有効に処分をしていただきまして、国民負担をできるだけ軽減をしていただきたい。そうして、雇用等々の状況もうかがいながら、様子を見ながら、ある段階におきまして歳出歳入の状況全体の中で決定をしてまいりたい、こういうのが政府の基本方針でございます。  そこで、この処理のために新税を考えているかというお尋ねがございましたときに、私はそういうことをただいま考えておりませんということを申し上げましたが、そのとき、おまえは新税ということをどう考えてお答えをしたのか、こういうお尋ねで、私は、何かの意味での例えば目的税といったようなものを考えているか、そういうお尋ねと考えまして、そのようなことをただいま思っておりませんと、こういうふうにお答えをいたしております。
  210. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 これは何も本委員会だけに限らずに、もう本年の初頭の予算委員会でも、当時の大蔵大臣総理が新税を導入しない、それはいわゆる再建税だとか交通税だとかそういう目的税的なものなんですね。私が心配するのは、いよいよ政府税調がこの二十八日に総理に答申します。増減税チャラ、これは今までの予算委員会、大蔵委員会の答弁ですね。いろいろと私も質問して聞いております。ところが、いろいろと聞いてまいりますと、肝心なのは、やはり減税のために日本型付加価値税、これがどうも答申をされるのではないか、こういう懸念があるわけであります。これが来年もし導入をされた場合、三年後なら三年後にこの国民負担の長期債務を処理する場合には、その税率アップをすれば、これは三年後の時点においては新税とはなり得ないわけであります、既存税目のあれになる。  ところが、そういうそう先のことを言うな、先のことはわからぬよ、まだ今答申ももらっていませんよ、来年度の税制改正もまだはっきりしていませんよ、いろいろとこれからやっていきますよと、質問すればこうおっしゃるかもしれませんが、私はここではっきりしていただきたいのは、新税というものが、あなたのおっしゃっているのが目的税的なものであるならば、いわゆる三年後はそういった危険もあるわけでありますから、既存税目の税率アップ、対象拡大における増税ということもあるのかないのか。これは否定していただいてもいいし、そしてあるとおっしゃってもいいんですが、そこら辺のところはどういう感覚を持っていらっしゃいますか。僕はもうここではっきりとしていただきたいのです。どうですか。
  211. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 これは将来非常に大きな問題になることはもう確かでございますから、柴田委員がそういうお尋ねになられますのもごもっともなことでございますし、私がなかなかはっきり申し上げられないのもやはり問題が難しいからであろうと思います。  この国鉄の持っております資産が大変にいい条件で非常にうまく処分をされましたり、その他いろんなことが好転をいたすことを専らこいねがっておりますが、なおそれでもかなりな国民負担が残る、仮にそういう場合には、これはやはり何かの形でそれを背負ってまいらなければならないことになるわけでございます。  新税なのか既存税なのかその他どうかというふうにおっしゃいますから、将来のことがなかなか予測しにくいわけでございまして、大変理想的に申し上げますならば、我が国の経済運営が非常に順調にまいりまして、そして国民経済の中からそのような税率のアップ等々をいたしませんでもそのような財源が生まれてくる、そういう状況の経済運営ということができますならば、一番、国民に新しい負担をかけずに問題が片づくのではないか。ただいまかなり不況でございますけれども、いつまでもこういう不況であってはならないわけでございますから、そのような国民経済の運営を考えるというのがやはり私どもに課せられました一番大切な仕事ではないかと考えております。
  212. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今宮澤大蔵大臣にいろいろお聞きしますと、確かに目的税としての新税の導入は否定をされる。しかし、既存税目における増税というのは、これは今後の経済運営のあり方いかんにかかわるのだ、こういうふうに私は判断をいたしました。だから、これは答弁は要りませんが、私の判断ですから間違っているかもしれませんが、やはりそのときの状況によって、新税導入はあり得ないかもしらぬが、既存税目のいわゆる増税ということはあり得る可能性もなきにしもあらずである、こういうふうな判断で、次の方へ進めさしていただきたい、このように思います。  そこで、あと十分ぐらいになりましたが、国鉄の共済年金の問題です。  ここで厚生大臣にお聞きをしておきますが、昨年のたしか六月だと思いますが、年金改革のときに、総理は本会議で、「六十五年度以降、国鉄共済の財政不足はさらに巨額になることが予想され、一元化の趣旨に沿い、公的年金体系を通じて負担の調整を図る必要がある、」このように答弁をされております。御記憶があるかないか、これはこれくらいにとどめておいて、そのときに私がつくづく感じたのは、六十五年度から国鉄共済というのは、やはり公的年金ということで、厚生年金あるいは地方共済年金とのいわゆる一元化という趣旨に沿っての財政調整ということがなされる、現実に今日までなされてきた年金改革というのは、それを目指しての負担あるいは給付、こういった問題の改正であったと私は判断をいたしておるわけであります。でありますから、この辺の趣旨に沿って、国鉄共済の救済のために厚生年金の参加というのはあり得るのかどうか、あった場合には、これは当然本委員会でしばしば議論がありますように、政府の責任というのは一体どう明確化していくかというのが第一の命題でなければならないわけでありますね。そういった問題を差しおいて簡単にいけば、これはまたそれだけの国民負担というものが上昇するわけでありますから、その辺のあなたの考え方をお聞きしたい、このように思います。どうですか。
  213. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 公的年金制度の改革につきましては、昨年その大改正が行われたところでありまして、そしていわゆる基礎年金の創設が行われ、基礎年金部分につきましては、負担、給付の面から一元化がされたところであります。これから残りますところにつきましては、いわゆる二階建て部門、いうところの報酬比例部分についての検討でありまするけれども、今後主にその負担の面についての調整をいたしてまいらなければならないと考えておりますが、そういう中で、支給開始年齢だとかまた給付水準だとかまた財政方式のあり方というようなものについて、いろいろこれまでの各制度のあり方でばらつきがあるわけでございまして、こういった問題の調整も図りながら慎重に進めていかなければならないというふうに考えております。  一方、国鉄共済年金の六十五年度以降につきましては、六十四年度までの対策について協議をいたし、その後において六十五年度の分について検討をいたしてまいるということに相なっておるわけであります。この年金制度全体の一元化の検討の中で、公的年金であります国鉄共済年金もその一つでありますので、ともに検討されるという側面を持っておるということは事実だと考えております。
  214. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 その程度の御答弁しかできないというのは私もわかるわけでありますが、じゃ、あわせて自治大臣、私もかつて地方行政委員会におりましていろいろ地共済の問題もやってまいりましたが、地共済の審議会、五十八年三月十日、単なる国鉄共済の救済のための共済統合には反対するという答申を行っている。その後、昨年の四月八日、国鉄共済の救済には、まず「国の責任分担を明確にすることが先決」との答申をやはり行っているわけですね。  私どももこういった問題についての質問をし、答弁の中で繰り返し当時の自治大臣がおっしゃっておりましたが、しかし、年金の一元化ということを考えた場合、あるいは公的年金制度である国鉄共済をどう救済していくかという問題を考えた場合に、こういった今後の財政調整というものを各年金制度間で図っていく以外にない、それには、地共済の審議会が申しておりますように、当然これは国の責任の明確化というものをまずしていくことが先決であろう、こういうふうに私は考えるわけであります。あと時間がほとんどありませんが、ひとつ自治大臣の、年金の一元化ということを考えて地共済年金というのは一体どういう方向へ持っていかれるのか、その辺の御答弁を賜りたいと思うのです。
  215. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 公的年金の一元化問題につきましては、昭和七十年を目途として研究を進めていこう、こういうことになっていることは先生御承知のとおりでございます。さらに、六十四年度までにつきましては、年金担当四省の間におきましてその検討を進めていくわけでございまして、問題は六十五年度以降でございます。六十五年度以降の対策につきましては、政府統一見解において、六十四年度までの対策に引き続きその後十分な検討を行い、国鉄共済年金の支払いの維持ができるよう措置することとされているわけでございまして、政府といたしましては今後統一見解の趣旨に沿って対処すべきものと考えております。  なお、国鉄共済年金問題に関しまして地方公務員共済組合審議会の答申が先ほど先生おっしゃいましたようにございましたが、自治大臣といたしましては、いずれにいたしましても、その答申の趣旨を十分尊重して対処していきたい、こう考えている次第でございます。
  216. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 自治大臣もその程度の答弁しかできない。まあ、参加あり得るかと聞いてもあり得るという答弁もなかなか難しいと思う。  そこで、最後に大蔵大臣に、この年金問題は、国鉄共済年金、これはやはり公的年金であることには変わりはない、将来ともに安定をしかつ公平な給付を行うためには、これは当然、しばしば答弁がありましたように、国鉄共済だけの問題ではなく、公的年金制圧の一元化の中できちっとやっていかなければならない、こういうように私は思います。本委員会においてもできるだけ早くその結論を出しなさい、六十三年度までに出したらどうだという話も実はあったわけであります。一体、その結論というものをいつまでに出して、具体的にどう対応していかれるのか、ひとつ今の段階であなたが答弁できる範囲で結構でございますので、その辺最後にお聞きをして私の質問をやめたいと思います。
  217. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 この問題は大変に複雑ないろんなものを含んでおりますので、よく考えましてお答え申し上げないといけないわけでございますが、一方におきまして公的年金の一元化という一つの大変に大事な命題が進められておりまして、現在までのところ給付面におきましての一元化はかなり前進をいたしました。今年の四月一日から新しい改正法が実施されまして前進をいたしました。他方で、負担面を中心に各制度間の調整を図るということがこれからの課題であろうと思うのであります。この点はいろいろ難しい問題もございますけれども、やはり公的年金の一元化ということはこれからも進めてまいりたいというふうに考えております。  それは一系列の問題でございますが、他方で、今度は国鉄共済年金も公的年金一つであることには違いがございません。そして先ほどから柴田委員が言っていらっしゃいますように、この共済年金の話を詰めてまいりますと、昭和六十五年度以降は殊に問題は容易なことでない。そこで公的年金の一元化ということと問題の関連が出てくるのではないか、こういうふうにおっしゃっていらっしゃるかと思います。  私といたしましては、公的年金の一元化は一元化として従来の努力を継続してまいらなければならないというお話と、それから他方で、国鉄共済年金の問題とは一応問題は別の問題である。別の問題ではございますが、国鉄共済年金も公的年金一つであるということは紛れもないことでございますから、この六十五年以降の措置を考えてまいります中でどこかでこの二つの問題の接点が生まれることはあり得ることであろう。しかし、あくまで公的年金の一元化はそれとしての問題として考えていくことが本筋ではある。大変どうもお答えが混雑をしているようでございますけれども、そんなような認識を持っております。
  218. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では、終わります。
  219. 細田吉藏

    細田委員長 これにて柴田君の質疑は終了いたしました。  次に、大橋敏雄君。
  220. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私も、退職後いわゆる老後の生活を保障していくに極めて重要な年金問題に焦点を絞ってお尋ねをしてみたいと思います。  国鉄の共済年金の改革の一環といたしまして、たしか昭和五十八年国鉄共済が国家公務員共済年金に吸収、統合されるといいますか、そういう事柄がありましたですね。それから六十年には基礎年金導入によりまして共済年金にも基礎年金を導入しようという動きが行われたわけでございます。そういう一連の動きの中で、財政調整五カ年計画として昭和六十年度から六十四年度の措置が講じられたわけでございますけれども、この間におきまして国鉄共済関係の給付の抑制といったもの、あるいは国家公務員共済等の援助のための負担増ということが起きたわけでございますが、これをまず明確に説明願いたいと思います。これは大蔵省の共済担当者からお願いしたいと思います。
  221. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えいたします。  国鉄共済の財政問題につきましては、政府全般を通じましてかなり以前からその重要性を認識してまいったわけでございます。詳しくは申しませんが、御承知のとおり国鉄とそれから大蔵省部内にそれぞれ学識経験者で構成する研究会を設けました。国鉄の方では船後委員会と言っておりましたし、大蔵省の方では今井委員会と言っておったと思いますが、それらの研究会で対応策を十分に検討してまいりました。それからさらに臨時行政調査会の第三次答申でもこの点に触れられたわけでございます。そういった趣旨をすべて踏まえまして、当面やはり制度の沿革がどうしても類似をしておるという国家公務員共済組合に国鉄共済の統合を行うということ、そういう統合とともに、あわせて国家公務員と電信電話、たばこ産業、この三つの共済組合による財政調整事業というものを設けてきたというかなり歴史のある経緯である、こういうふうに考えております。
  222. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私が今お尋ねをしたのは、その経過の中で国鉄職員等に対する給付の抑制はどういうものが行われたのか、それが聞きたいのです。それから国家公務員共済年金等の皆さんに対する負担の増加はどの程度だったのか、これを聞きたいわけです。
  223. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 お答えいたします。  いろいろな経緯の中で自助努力といってもいいようなものが行われてきたわけでございますが、五十九年といいますか、先生先ほど五十八年という法成立の時期をおっしゃいましたが、五十八年の法改正、五十九年から実施をしております制度統合というものの中で、まず、他の共済に比べまして年金水準が一割程度低くなるまで年金のいわゆるスライドを行わないということに一つしております。それから同じこのときに組合員の掛金率をかなり上げておりまして、現在のいわゆる標準報酬に対する率で申しますと千分の十二・〇五引き上げまして千分の八十四・九五、これは現在の掛金率でございますが、かなり高い掛金率まで引き上げております。それから本年四月から実施されております制度改正の中では、職域年金相当部分というものは、これはやはり他制度からいろいろな援助を仰いでおる状態でありますので、いわゆる三階部分と申しましょうか、職域年金部分は御遠慮願いたいという制度にしたわけでございます。そういったことが主なところでございます。  それから国家公務員の援助の方は、御承知と存じますが、実行は昭和六十年度からでございまして、六十、六十一、六十二、六十三、六十四、この五カ年間にわたりまして年平均で四百五十億円ずつ財政調整ということで行っておるわけでございます。電信電話、たばこを含めましての広い意味での公務員一人当たり一万五千円という平均で援助をするということになっております。
  224. 大橋敏雄

    ○大橋委員 大臣どなたでも結構ですが、今お聞き及びのとおり、国鉄共済年金の改革の一環としまして、国鉄職員は自助努力という立場からかなり給付の抑制を受けてきたわけですね。今もお話があったように、特に掛金率は各制度間でもうそれこそ抜群といいますか、すごい高い八十四・九五だと言われております。私の手元にある資料を拝見しますと、日本たばこが七十・六五、農林共済が六十七・〇、厚生年金は六二・〇、国家公務員は六一・三、NTTが五八・二、それから地方公務員が五五・二、私学共済五一・〇、こういう形になってきているわけでございまして、いずれにいたしましても国鉄の共済関係の職員、また国家公務員の皆さんは国鉄共済を守るために、援助するために大変な負担を受けている。年に一人平均一万五千円だというわけですから、非常な内容になっていることをしっかりとまず頭に入れておっていただきたい。それからこれから申し上げる問題についてお答え願いたいと思います。  この財政調整五カ年計画は、組合員が三十二万人体制を前提として収支均衡ということになっているわけです。ところが、国鉄を今度改革するために十万人以上の縮減を図るということからこの収支のバランスが大幅に崩れた、そして年に平均七百億円の財源不足を見込まれるようになった。そこでお尋ねしたいわけでございますが、昭和六十四年度末の赤字の予測額は幾らくらいになっているのでしょうか。
  225. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 これから昭和六十四年度にかけましていわゆる四万一千人の方々が徐々に退職をされます中で、どういう年齢構成の方がどういう形でやめられていくかといったような不確定要因がございますので、まだ推計の域を出ないのでございますが、昭和六十四年度といたしまして私どもが考えておりますのは、いわゆる給付の方は六十四年度一年間としまして八千七百億から八千九百億の支出が必要であろう。それに対して収入が七千八百億から七千九百億程度であろうと考えますので、六十四年度の単年度としてその収支のバランスを見ますと八百億ないし千百億程度の赤字、この中間程度のものが赤字となるであろう、そのように考えております。
  226. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今の説明では六十四年度末の赤字の予測額は恐らく八百億ないしは千百億だという話でございまして、六十二年度単年度でも六百億円から九百億円が見込まれているようでございます。ということは、もうこの五カ年計画の収支が均衡するということは完全に崩れたわけでありまして、これに対して一体どう対処なさろうとしているのか。これまでの説明を聞きますと、六十一年度中に結論を出すということで全部言葉を濁していらっしゃるわけでございますが、具体的にお尋ねしますけれども、再び国鉄職員の給付の削減等を考えられているのか、あるいはまた国家公務員等の負担増をお願いして何とかそれを穴埋めしていこうと考えているのか、その点はいかがでしょうか。これは大臣からお答えいただきたいと思います。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  227. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私自身が共済を主管しておりませんので、私自身答弁をする資格は持ちませんが、同様の心配、不安は持っております。
  228. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私は、不安とかなんとかじゃなくて、元厚生大臣までなさって年金に非常に詳しい大臣ですからお尋ねするわけでございますが、今とにかく国鉄共済の赤字について自助努力ということで大変な抑制が図られてきた。もうこれはぎりぎりだ、これ以上の抑制はまず見込まれないだろう、こう思う立場から、国鉄共済年金関係の職員の抑制はあり得ないでしょうねという気持ちを含めてお尋ねしているわけです。
  229. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私どもはこの国鉄改革の中で、新会社の発足時点の要員を二十一万五千名と見込んでおるわけでありますし、その数字を今後変えるという状態にあるわけではありません。そして客観的に見て、一人一人の職員の負担している保険料が限界にほぼ近づいているのではないかとかあるいは給付の抑え込みが限界ではないかとか、そうした御指摘には、私はうんと言いたいのですが、言う資格がないのです。
  230. 大橋敏雄

    ○大橋委員 じゃ、大蔵大臣にお尋ねします。  そこで、国家公務員共済年金等が国鉄共済の赤字を応援するために年に今一万五千円程度の負担をしておりますね。今度また年七百億の赤字が出るということになってきたわけですが、それもまたこういう国家公務員共済年金等の皆さんの負担をふやして穴埋めしょうという考えがありますかないですかと聞きたいのです。
  231. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほども申し上げましたが、この問題につきましては関係の四大臣が何度か会議を重ねておるところでございまして、結論を得ていない。結論を得ていない一つの理由は、退職者の年齢構成がもう少し後にならないとわからないということが一つあることは御承知のとおりでございますが、結論を得ておりませんので、お答えといたしましては、どういうようなことを議論をしておるかということを申し上げるしか方法がないかと思います。  例えば今国家公務員等々がいわゆる財政調整をやっていてくれる、このこともなかなか簡単なことではないので、仮に七百億円になったからといってさらにそれをふやしてもらえるだろうか、それから先ほど仰せになりましたけれども相当国鉄には自助努力もしてもらっている、そのようなことをあれこれ議論をいたしましたり、それから積立金もないわけではない、しかしそれがどの程度の流動性があるであろうかとかといったようなこと、そういったようなことを四閣僚で議論をあれこれいたしております。こういうのが現状でございまして、つまり、おっしゃいましたような要素は私どももいろいろに慎重に検討しておりますことはもう事実でございます。
  232. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今御答弁を伺っておりますと、国家公務員共済年金等の職員の皆さんのアップもこれ以上できるのか、できないだろうかというようなお話でございますけれども関係審議会はもう二度にわたってこれ以上の引き上げはだめですよと言っておりますから、これはしっかり頭に入れておっていただきたいと思います。  そこで、国鉄年金に関する追加費用の問題についてお尋ねしたいと思うのですけれども、この追加費用というものは国鉄年金の現在の大幅な赤字財政転落への元凶ではないかと私は考えているわけでございます。とにかく国鉄年金財政を圧迫し続けてきたのがこれだというふうに私は理解をしまして、私なりに考え方をまとめてきましたので、よく聞いていてください。もし私の理解におかしいところがあれば訂正願いたいと思います。  昭和三十一年七月の公企体共済法の施行までは、官吏である職員には恩給法が適用されていたということですね。これが一つ。それから昭和三十一年新法施行で旧恩給期間、旧国公共済期間、旧令の期間は通算されましたけれども、積立金、つまり責任準備金を全く持たなかった恩給期間を通算したということで、大幅な責任準備金の不足を生ずる結果となった。それから新規裁定者がふえて国鉄年金が成熟していくにつれまして新法施行前の期間に対する追加費用はふえ続けて、インフレの進行とも相まって国鉄の負担は膨大なものになっていった。それから国鉄は追加費用だけではなくて、公経済負担分まで運賃収入などで負担してきた。この公経済負担分は国で出すべきものだとの答申も数回に及んでいると理解しているのですけれども、これまでの私が述べました内容について、もし誤りがあれば御指摘願いたいと思います。
  233. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 国鉄が膨大な恩給期間に係ります追加費用というものを負担をしておることは、先生の御指摘のとおりでございます。ただ、追加費用と申しますのは、これは事業主としての国鉄というものが膨大な負担を負うものでございまして、現に、現段階で長期債務として四兆八千億という資料が提出をされておるわけでございますが、これから先も清算事業団の方でその全体を引き取っていくということで、これは事業主としての国鉄でありますとか、あるいはそれを承継する清算事業団というものにおける大変な負担であるということであったかと存じます。そういうふうに考えますと、国鉄共済組合そのものの非常に大変な負担としては、追加費用は必ずしも直接の、そのものずばりの因果関係にはなってないのではないかなというふうには考えております。  それからなお、公経済負担につきましても、相当なものを国鉄という事業体が負担をしてきたということは事実でございます。今後民営化されますと、その分は国が負担をするということになるわけでございますが、そのような関係にあると思います。
  234. 大橋敏雄

    ○大橋委員 この国鉄年金財政にとって大きな悩みの種であった追加費用について、今も御説明がありましたように、清算事業団が一手に引き受けて処理してくれることになるわけであります。いわば国鉄共済はやっと本来の姿になって、新しくスタートする形にはなっていくわけでございますけれども、この追加費用に充てられる四兆八千億の財源についても、新法施行後の年金財源についても私は非常に疑問と不安を抱くわけでございます。まず、四兆八千億というのが六十二年度以降の追加費用としてファンドされるのならば私は理解できるのですけれども、どうもそうではないという説明がこれまでにあったように伺っております。そこで、将来にわたって支払われるであろう追加費用の総額はおよそ二十兆円という膨大なものになると予想しているのですけれども、この追加費用に係る支払い事務というものは今後何年ぐらいにわたって関係していくものか。
  235. 林淳司

    林政府委員 おおむね昭和百十年ごろまで最終的には続くのではないかというふうに考えております。
  236. 大橋敏雄

    ○大橋委員 もう一度私は確認したいのですけれども、四兆八千億というのはファンドされるのですか、どうですか。その点をはっきりしてください。
  237. 林淳司

    林政府委員 これはいわゆるファンドというものを今の時点でつくるということではございませんで、これから昭和六十二年度以降、先ほど申しましたようにおおむね昭和百十年ごろまで追加費用が支払われるわけですけれども、その毎年毎年の支払い、これは当初は多いわけですが、次第に減っていくということでございますが、その毎年毎年の支払い額というものを昭和六十二年の四月一日の時点にいわゆる年金現価に換算して、金利も含めてこれを還元した額でございまして、いわゆる年金現価という考え方で換算しますと四兆八千億という額になるということでございます。これは清算事業団がそれだけの債務を負いまして、そしてその債務を履行していくという過程において最終的に追加費用は全額支払いが可能と、その還元額でございます。
  238. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今の説明では、四兆八千億というのは、年金現価という立場で考えた場合はその額なんだ、しかし、それはファンドされたものじゃないということになれば、全然話がちぐはぐで理解できないのですけれども、では、例えば六十年度に支払われた追加費用というものは単年度で幾らですか。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕
  239. 丹羽晟

    ○丹羽政府委員 お答え申し上げます。  昭和六十年度の追加費用は四千五百八十一億円でございます。
  240. 大橋敏雄

    ○大橋委員 ざっと約五千億、こう見た場合、五兆円近いその追加費用が清算事業団に確保されていると見ても、それだけだったら、十年もすればなくなってしまうじゃないですか。百十年までとてもとてももたぬでしょう。いわゆる年金現価というのは、将来に支払われるであろうその年金支給の総額に、今あなたがおっしゃったように、利子等の複利計算等のものをずっと逆算していくと、最終的に現在四兆八千億あれば百十年ごろの問題まできちっと清算ができますということであるわけですから、これがファンドされない限りは四兆八千億の意味がないわけですからね。これは大臣どうでしょうか。大蔵大臣
  241. 林淳司

    林政府委員 これはある意味ではファンドと考え方が同じでございまして、現在ファンドがある、それを運用しますと運用益が出てくる、それでその年金総額は全部これで支払い可能というのがファンドの考え方でございますね。今回私どもがとりました方策というのは、その同じ考え方で、年金現価に換算しまして、これは清算事業団がその四兆八千億のいわば債務、六十二年四月一日現在でそれだけの債務を確実に負う。それは例えば国鉄の今までの二十五兆数千億の長期債務で考えますと、これを償還していくには当然利子がつくわけでありますから、したがって、その元利合計で将来その二十五兆数千億の債務を払っていくわけであります。今の年金の問題につきましても、追加費用につきましても、同様に四兆八千億の債務を負って、将来有利子でこれを償還していくのと同じ考え方で、最終的には年金総額を支払うという計算になるわけでございます。
  242. 大橋敏雄

    ○大橋委員 どうも私は今の説明で納得のいかないところがあるのですが、例えば一定のお金が積まれる。それに手をつけないで、例えば七・五%の利子で複利計算をずっとしていきますと、十年たつうちには倍額になりますですね。十年、十年でずっと倍額になりますから、二十年目では四倍、三十年目では八倍、四十年目で十六倍、五十年目で三十二倍というふうに、倍々ゲームでずっと太っていくわけで、そういうことで、百十年ごろの問題まできちっとお支払いができますよと。その原資がないと、元金がないと利子の運用がないわけでしょう。ということで、私は理解に苦しむと、こういうことを言っているわけです。  では、政府は追加費用の総額を幾らだと見ているのですか。
  243. 林淳司

    林政府委員 ちょっと今至急数字を調べて御答弁申し上げますが、恐らく十数兆だったと思います。
  244. 大橋敏雄

    ○大橋委員 私は二十兆あるいはそれ以上になるのではないかというふうに予測をするわけでございますが、結局は国民の負担によって整理していこうという格好にならざるを得ないわけですけれども、追加費用に充てる財源のあり方を明確にしていかないと非常に不安を感じます。この点についてはもう一度御答弁願いたいと思います。
  245. 林淳司

    林政府委員 先ほど私、ファンドと考え方は同じだというふうに申し上げたのですけれども、これはちょうど逆の関係になるわけでございます。ファンドの場合は、現金があって、それが金利を生みまして、そして最終的に総額を払っていく。今回は、総額を払う金額を逆に金利で割り戻したら四兆八千億になる。したがって、その四兆八千億という債務というものを、六十二年の当初において清算事業団がそれだけの債務を確定的に負えば、それを償還していく過程において最終的には全額支払いが可能である、こういう計算をしたわけで、ちょうど裏腹の関係といいますか、逆の関係になるわけでございます。
  246. 大橋敏雄

    ○大橋委員 だから、数字の上で、デスクの上ではそうなるけれども、現実問題としてこれは非常に重要な問題であるということを指摘して、次に移ります。  この追加費用の財源について今申しましたように疑問はあるわけでございますが、百歩譲りまして、昭和三十一年の七月新法施行以前の追加費用関係はきれいに切り離されたと考えていけるわけでございますけれども、問題は新法施行以後に係る国鉄年金財源について極めて疑問と不安を感ずるわけでございます。その理由は、国鉄年金の積立金の残高が年金支払いの一年分にも当たらないほどの少額のものになっているという事実であります。  そこで、ここでお尋ねをしますが、各年金制度の積立金残高と成熟度を簡単に説明していただきたい。まず厚生年金、次に国公連合会、それから国鉄、地方共済、私学共済の順で説明をしていただきたいと思います。
  247. 佐々木喜之

    ○佐々木(喜)政府委員 厚生年金の積立金の現在高でございますが、昭和六十年度末現在で五十兆八千億となっております。厚生年金保険におきます老齢年金の受給権者の数の被保険者数に対する割合でございますが、六十年度末現在で一二・一%でございます。なお、そのほかの障害等の全年金受給権者数を含めました場合には、同じく昭和六十年度末現在で二六・八%となっております。
  248. 篠沢恭助

    ○篠沢政府委員 国家公務員共済の積立金でございますが、国家公務員共済組合だけでございますと四兆三百三億、成熟度が四四%でございます。退職年金だけでございますと成熟度は三三・六でございますが、全体としては四四ということになっております。  それから、国鉄共済組合につきましても私の方でお答えをいたしますが、積立金は六十年度末四千百九十六億、成熟度は一五七・四%ということでございます。  国家公務員と国鉄、そのほか電電、たばこ、全体を合わせました国共済全体では積立金は六兆円ということでございます。成熟度は六〇・四%、国鉄が非常に押し上げておるわけでございますが、そういう姿になっております。
  249. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 地方公務員共済組合でございますが、昭和五十九年度末で積立金の額は約十一兆六千五百億円。同じくいわゆる成熟度でございますけれども、これは昭和五十九年度末で三〇・八%でございます。
  250. 川村恒明

    ○川村政府委員 私学共済組合でございますけれども、私学共済組合の昭和六十年度末現在の積立金は約一兆四百十億円でございます。成熟度でございますけれども、退職年金のみで申しますと四・七%、組合員数に対する全年金者の割合で申しますと一九・一九%ということでございます。
  251. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今お聞きになっていたとおりでございまして、積立金残高は国鉄共済は四千百九十六億円しかないわけですね。もう一年分にも及ばないほどの残高しかないわけでございまして、四千百九十六億円と言われておりますけれども、住宅ローンだとか国鉄債券等に二千億ほど出ている感じになっていますので、実際はもう二千億円程度ですね。それから、今度国鉄を退職して公的部門だとか関連企業に再就職していかれる方は自分の年金原資を持って、いわゆる持参金を持って出ていくことになるわけでございますので、この国鉄年金の積立金はさらに縮小されていくことになるわけでございますが、そういうことで、これは今後どうなっていくのだろうかということになるわけです。  そこで、今までたびたび質問を聞いておりますと政府統一見解の内容がいつも表に出てきて、とにかく六十一年度末までには結論を出します、こういう話でございます。そこで、この問題について具体的にお尋ねしたいと思うのです。  六十年十一月二十八日付の国鉄共済年金に関する統一見解でございますけれども国鉄年金問題については、まず、国鉄の自助努力と国の負担も含め、諸般の検討を加え、支障のないようにするとございますね。また、以上については、六十一年度中に結論を得、その後できるだけ速やかに具体的立法措置に入る。なお、昭和六十五年度以降の部分については、その後速やかに対策を講じ、支払いの維持ができるように措置していくと述べているわけであります。そこで、この結論を得られるに当たりまして、これだけはぜひ頭に入れながら協議をしていただきたいということで具体的にお尋ねしますので、よろしくお願いします。  まず最初の国鉄の自助努力、これは労使にかかわるものと理解しますが、どうかということです。それから、労使の労、いわゆる職員の方は過去二度にわたって給付カット、そのほか職域部分が支給停止とかあるいは保険料が上げられたということで大変な抑制をされて、限界ぎりぎりであると私は判断しておりまして、もし労使の使の方、いわゆる使用者である国鉄の自助努力があるとすれば何だろうかということでございますが、いかがですか。
  252. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄の自助努力といたしましては二つの事柄に分類されております。一つは、今先生お話しのように、事業主である国鉄自体の負担増ということでありまして、もう一つは共済組合自身の自助努力、こういうふうに分かれると思います。  第一番目の問題につきまして、何らかの事業主負担の増が可能であるかどうか、この辺は大変問題があるところでございますし、また後者の共済組合自身どうするかという問題につきまして考えられるものとしまして、掛金の問題、あるいは年金給付を抑制するかどうかという問題、これらも今までかなりやっております。したがって、それが可能であるかどうかという点も非常に問題があろうかと思います。こんなところでございます。
  253. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今まで口うるさく説明してきたように、職員の自助努力はもう精いっぱいですよ。あと残るのは、国鉄側の自助努力といえば、恐らく私は資産、つまり用地の売却等によって穴埋めしていく以外にないんじゃないだろうか、これが自助努力になるのではないか、こう理解しているわけです。  そこで、この前の質問のときにも大蔵大臣にこの点についてお尋ねしたところ、長期債務の一環としてそういうことも考えられるというような趣旨の御答弁をいただいたように記憶しておりますが、もう一度その点お尋ねしたいと思います。
  254. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先般、国鉄土地を売却した利益をもって云々、それは長期債務の一環としてと申しましたのは、まさに長期債務の一環としてと申し上げたのでございます。その長期債務の一環としてと申し上げました意味は、先ほどからお話のございますこの追加費用との関連で申し上げたわけでございます。したがいまして、それは共済との直接の関連で申し上げたわけではございません。
  255. 大橋敏雄

    ○大橋委員 この前の答弁より大分後退してきたように感じます。この前は、つまり清算事業団に対する長期債務の振り当てが行われた中で四兆八千億ですか、五兆円に近い追加費用等が計上されておりますね、それはつまり監理委員会での計算の段階ででき上がった内容であって、その後に三千三百三十ヘクタールという新しい土地が出てきたんだから、今度はそういう意味国鉄年金財源等に振り向ける必要があると思うがいかがかということで質問したわけです。思い出されたでしょうか。ですから、それは当然長期債務ということで国鉄の自助努力の意味も含めて当然そういうことも考えられます、こうお答えになったと思うのですが。
  256. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 前回その問題についての御質問があったことを記憶しておりますが、あるいは私が問題をはっきり定義申し上げないままでお答えを申し上げたかもしれません。そうでありましたらそれはお許しをいただきたいと思いますが、私が申しましたのは、いわゆる長期債務の一部に確かに追加費用というものはあるわけでございますから、そういう意味で長期債務が国鉄土地処分によって支払われていくという、そういう物の考え方の中では追加費用というものは長期債務の一部として土地の売却代金によって支払われてしかるべきものである、私はこういうふうに実は申し上げたつもりでございましたが、多少二つの問題がはっきり定義されないまま申し上げたかもしれません。私の申し上げましたのは、そのような意味で申し上げたわけでございます。
  257. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それでは運輸大臣にお尋ねしますが、国鉄の自助努力がまず真っ先に出ているわけですね、統一見解の中で。その国鉄の自助努力には労と使の努力があるはずだ、労の方はもう精いっぱいやっている、使の方はあるとすれば何でしょうか、こうお尋ねしたわけですけれども大臣はどうお考えになりますか。
  258. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今大蔵大臣からも御答弁がありましたが、私どもは、清算事業団に帰属させた三千三百三十ヘクタールの処分用地というものはあくまでもその長期債務、本来、ここで何回も御議論をいただいております長期債務に充当すべく、できるだけ高い値段で売りたいと申し上げてきております。今委員が御指摘になりましたいわばその追加費用の部分を長期債務の中に計算をした上で、その後に残る国鉄共済の財源対策という意味では、私は、この三千三百三十ヘクタールとはかかわりのないものだと思います。  その上で、先ほど申し上げましたように、私は、職員から年金保険料の形で徴収する限界は既に来ているのではなかろうかと感じておりますし、ですから労の方ですね、そしてまた給付をこれ以上切り下げることは年金水準全体の中からいかがなものか、そうも感じております。それだけに、今私どもは四閣僚の懇談会で、それならばどうずればいいのだ、そのための基礎数値の確定から実は今悪戦苦闘しておるわけでありまして、私は主管閣僚ではございませんが、実は私にとりましてこの問題が非常に真剣なテーマでありますのは、これから他に転出をしていただかなければならない方々の雇用条件を設定していく上で、この年金の水準がどうなるか、その負担がどうなるかということは大変大きな影響を持つことであります。また今後新たに生まれる会社で働く方々にも、さらにはOBの方々にも影響のあることでありますから、極めて大きな関心を持ち、お願いを申し上げているところでございます。
  259. 大橋敏雄

    ○大橋委員 そこで運輸大臣、先ほど質問の中で申しましたように、もう国鉄の積立金はゼロに等しいわけですね。三十一年七月以降の新法関係について、実際にお金がないわけですから、どこかでそのお金を充当しなければならぬわけですね。その財源を見つけなければならぬわけですから、当然国鉄の自助努力ということになれば、先ほど言ったような資産の問題等も含めて検討さるべきものであろう。それは国鉄資産の売却の収益は、そのまま今度は国民負担との裏腹の関係になるわけで非常に難しい問題ではありますけれども、この前の公聴会のところでは、七兆七千億なんというものじゃないですよ、二十数兆円も収入になるのじゃないですかというような意見が出ていたように記憶しておりますが、そういうことになれば当然そういうたくさん出てきたお金は年金の財源に充てても私はおかしくない、こう思うのでございますが、その点いかがですか。
  260. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私はやはりその三千三百三十ヘクタールの用地の売却益というものは、最終的に国民に御負担を願わなければならなくなるその負担というものを少しでも軽減することに使うのが本来であろうと思います。その上で私は、共済の問題は別途その対応を考えなければならないと考えております。本当は国庫負担で全部ができるといいなという気持ちがこの辺まであるのですけれども、これは極めて希望的な私の夢だけでありまして、今どういう対応をするか本当に真剣な検討をしている最中ですが、その三千三百三十ヘクタールの売却益をそちらに充てるということはいかがなものかと私は思います。
  261. 大橋敏雄

    ○大橋委員 じゃ時間も非常に迫ってきておりますので次に移りますけれども、「国鉄の自助努力」の次は、大臣、聞いておってくださいよ、「国の負担を含め、」とあるのですよ。国の負担も含め対処していくとある。この国の負担というところは非常に重要な、一番大事なところですから後に回しますからね。  その次は「諸般の検討」とあるのですよ。諸般の検討というのは、他の公的年金との統合一元化のことを描いているのではないかなと私は思うのでございますが、その点はいかがですか。どちらですか。——時間がないから、じゃ国鉄年金の大幅赤字に対してその穴埋めの国の責任、つまり負担ですね、これを明確にしないで、仮に地方共済に行って統合してください、あるいは厚生年金に行って統合してくださいと言っても、これはすんなり受け入れることはないと思うのですね。これは不可能だと思うのです。だからやはりここで、国の負担というものはこうあるべきだということを当然明確にしなければならぬわけですね。これは六十一年度中に結論を出すということですから、今返事はできないでしょうけれども、ここは極めて重要なところなんですよ。重要なところだということはおわかりですか。
  262. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 重要なことであることは十分認めておるつもりであります。
  263. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それでは、国の負担の問題について。  先ほど申しましたように、追加費用というのは本来国の責任と負担で補われなければならない内容のものであったのだ、私はこう理解しております。その責任と負担を国鉄の運賃収入の財源に転嫁したのは非常に問題であって、ここに国鉄共済年金の財政悪化と大幅赤字発生の根本的な原因があると私は指摘をしたいわけであります。  その一例を、古い資料になって恐縮ですけれども、昭和五十五年度の国鉄年金の給付総額を見てまいりますと四千三百三十五億です。これを一〇〇としまして——今から読むのが追加費用に当たるところですよ。軍人期間として百九十九億円、四・六%。その次に、満鉄等の期間が二十億円で〇・五%。恩給公務員期間、これは文官ですね、これが八百五十億で一九・六%。雇用期間というのは、これは昭和二十四年から変わりますけれども、それ以前は国の職員ということですから、千六百六十五億で三八・四%。このいわゆる追加費用を合計しますと二千七百三十七億で六三・一%。肝心の新法期間に対するお金は千六百一億で三六・九%ですよ。国が負担しなければならぬものをまるで国鉄の運賃に転嫁してきたわけですね。それで、国鉄の共済年金がいよいよ赤字に転落していくわけですよ。  このことについては、先ほど大蔵省の説明した方が言っておりましたように、国鉄共済組合年金財政安定化のための研究会、船後委員会の答申の最後にもこうありますよ。   この負担額の増大は、産業構造の変化、就業構造の変化という経済的、社会的な要因に基づくものであり、激しい競争市場裡に運賃を以って回収するに相応しくない——言い換えるならば、国鉄経営努力の範囲を超えた過大な負担でもあるので、国鉄年金負担額に対する何らかの措置を併せて考慮する必要があろう。 こうはっきり指摘しておりますね。  また、社会保障制度審議会の答申、五十八年三月一日の諮問に対する答申内容も、まさに国が、国の負うべき負担、これを明確にしないで統合にばかり走ろうとしている、けしからぬという意味のことを言っていますよ。「これまで、国は、公的年金制度全般の将来展望を明らかにしていないにもかかわらず、今回の諮問を公的年金制度の再編・統合の第一段階として位置づけていることは、甚だ理解に苦しむところである。」第一段階も第二段階もないじゃないか、まだ、決めるべき国の責任、国の負担をはっきりしてないじゃないか、こう指摘しているわけですよ。それからまた、「早急に公的年金制度の将来の在り方の具体策を改革の手順を含めて明らかにするよう強く要望する。」  そのほかたくさんあるのですけれども、時間が迫ってきましたのでこの程度にしておきますが、そういう意味で、今度、六十一年度中に結論を出される中で、当然国の負担を明確にあらわすべきだ。これがはっきりしない限りは将来の統合一元化も非常に無理な問題であるということで、強く要望しておきます。では、一言、そのことを頭に入れて答弁してください。
  264. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 先ほどから、四閣僚で協議をいたしておりますことの内容、そこにいろいろ議題になり、話題になっておりますことの幾つかの問題点は申し上げました。それは、先ほどから大橋委員がお触れになっておられますようなもろもろの問題に関してでございます。私どもも、この昭和六十一年度中に六十四年度までの結論を得ませんと、六十五年度以降の問題、ただいまいろいろお話しになられましたような展開はこれは確かに困難である、そういうことはよく認識しておりますので、そういう意味におきましても、六十一年度中に六十四年度までの問題についての結論は必ず得るようにいたします。
  265. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今まで申し上げた私ども気持ちが十分反映されるような姿で結論が出ることを強く要望しておきます。  最後に、これは厚生大臣にお尋ねしたい。また大蔵大臣にも関係するわけでございますが、退職後あるいは老後の生活保障として年金が今非常に重要視されているわけでございまして、六十年度に、二十一世紀に向けての公的年金のあるべき姿というもので大論議をしたわけでございます。その結果、長期的、安定的な社会保障年金の水準としては、勤労者の平均賃金の六八%程度が適当であるとしている。また、生活保障年金としては基礎年金を導入しよう。これは五十九年度価格で五万円。我々公明党は、五万円では低過ぎるということで異論があったわけでございますが、いずれにしましても、成立したのは五万円。そして、厚生年金の夫婦モデル年金としましては、年額で二百十一万四千四百円、月額で十七万六千二百円、こうなったわけでございます。つまり、我が国の社会保障年金としての基本的な水準が確定されたと私は理解しているわけです。  そこで、老後生活を年金に一〇〇%依存している高齢者が増大している今日ですけれども国鉄の退職者も今四十四万人を超えたといいますが、年金の果たし得る役割は極めて重大なものと言わねばなりません。そこで、基本的給付水準を下回るような改悪は断固排除せねばならぬということを私は主張したいわけです。というのは、課税強化の話題が最近出ているわけでございますけれども、これは、高齢者夫婦の一カ月分に相当する額が税金として持っていかれようとしているわけですね。時間があれば内容を詳しく説明するところでございましたけれども、時間が来ましたので、最後の要望を申し上げまして厚生大臣と大蔵大臣のお気持ちを聞いて終わりたいと思います。  老齢年金の給付につきましては、標準的年金額年額二百二十万円、月額十八万円までを非課税としていただきたい、それを上回る年金額については、現行よりも課税強化とならないように、所得税法あるいは租税特別措置法、地方税法上で措置をしていただきたい、こういうことを強く要望して、御意見を聞いて終わりたいと思います。
  266. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 ただいま大橋議員から御指摘をいただきましたように、公的年金につきましては、老後生活を支える非常に大きな重要な部分を占めております。そしてまた、さきに行われました年金改革の際にも、今後将来にわたる年金水準また将来にわたる負担等について、おおむねの国民的合意がなされて、将来の年金構想というものができ上がっていると考えるわけであります。そういう中で、今後将来にわたる年金に対する信頼を確保してまいること、また現在年金で生活しておられる方々の生活設計をしっかりとしたものにしてまいることなどを考えますときに、今御指摘がございましたような現在の控除水準であります年額二百二十万円というこの水準を維持いたしてまいり、そして社会保障水準が切り下げにならないように私も全力を挙げて努力をいたし、各方面に要望をいたしてまいりたいと考えております。
  267. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 政府の税制調査会におきまして検討されておりますのは、国全体がいわゆる老齢化いたしますと、年金が所得に占める割合というものは、つまり国民所得全体の中における年金部分というものはどうしても大きくなってまいりますから、その課税をどう考えるかということを政府税調は検討しておられるのでありますが、聞くところによりますと、課税を強化するというよりは課税の合理化と申しますか、もう少し筋道を立てて整理をしたいということを考えておられるようでございます。  なお、まだ答申が出ておりませんので、出ました段階で善処をいたしたいと思っております。
  268. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  269. 細田吉藏

    細田委員長 これにて大橋君の質疑は終了いたしました。  次に、米沢隆君。
  270. 米沢隆

    米沢委員 私は、雇用確保の問題と国鉄共済年金の財政問題、時間があれば三島、新しい会社経営見通し等について御質疑をさしていただきたいと思います。  まず最初に、雇用確保の問題でございますが、これは今度の国鉄改革法案の審議を通じまして、中曽根総理運輸大臣も、雇用確保に関して最終的には一人たりとも路頭に迷わせることはない、こういう発言をしておられますが、今でも一貫してそのような考えでございますか。
  271. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 そのつもりで全力を尽くしております。また、これからもそうするつもりであります。
  272. 米沢隆

    米沢委員 私は、雇用確保の問題を考える際に、このような一大事業をやろうとするわけでございますから、公の責任、政府の責任は重大であろうと思います。したがって、既に政府が約束をされておりますように、公的部門の三万人は確実に達成するという約束については完全に実施してもらわねばならないと考える一人でございまして、この公的部門の動向いかんが雇用対策の成否のすべてであろう、このように考えます。  そこで、ちょうどことしの四月の衆議院の運輸委員会における公明党の石田先生に対する運輸大臣答弁といたしまして、雇用対策、特に公的部門三万人、これが明確になることが他の産業界一万人あるいはそれを超す対応について理解していただく唯一の基本であり、三万人は政治の責任、政府の責任で実現をする、これに違背があってはならないと当時の運輸大臣お答えになっておりますが、現職の橋本大臣もその気持ちでございますか。
  273. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私も同じように考えております。
  274. 米沢隆

    米沢委員 そこで、先般政府は、九月十二日の閣議決定におきまして、再就職を必要とする職員数を六万一千人として分野ごとの内訳を決定されて、公的部門を三万人とされておりますが、その前提となる六万一千人、これは既にかなり変動含みのものであることは御案内のとおりでございます。  現在、既に三月末の国鉄の要員は二十五万二千人と聞いております。最終的には新会社に二十一万五千人異動するわけでございますから、その差は三万七千人。そして今年度中、御案内のとおり退職金の上積み等でかなりスムーズに、再就職する場所があったらそれをもらって国鉄を出るという方がたくさん出ておられるようでございまして、その三万七千人と二万人がもし満額達成できたとしたときには五万七千人、したがって六万一千人の要再就職対象者が既に現在の段階で五万七千人、四千人ショートしておるわけですね。そういう意味で六万一千人というものは既に五万七千人ぐらいになっておる。しかし、五万七千人になっておろうとも、公的部門は三万人は確実に確保するという理解をしてよろしいのですね。
  275. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 現実に委員指摘のような状況が出つつあることは存じておりますが、あくまでも私どもは、公的部門も含めて六万一千人全員が就職できる態勢ということで全体の準備を進めております。
  276. 米沢隆

    米沢委員 全体の態勢として六万一千人の再就職という、それはよくわかりますが、しかし、先ほど大臣が最初に私の質問に対して御答弁いただきましたように、その中で公的部門三万人というのは、少々他の民間にいろいろあろうとも三万人だけは確保するというのが先ほどの答弁の趣旨ではなかったのですか。
  277. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、今三万人の雇用ができる情勢をつくることに全力を尽くしております。これからも尽くすつもりであります。
  278. 米沢隆

    米沢委員 となれば、公的部門三万人は上方修正はあっても下方修正はないと見てよろしいですか。
  279. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 これは私自身立場ではそのとおりでありますが、これはちょっと主管官庁の方から答えてもらわなければならぬことでありましょう。しかし、私としては変えるつもりはございません。
  280. 米沢隆

    米沢委員 主管担当の方からお答えいただきたい。
  281. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 内閣の雇用対策本部の事務局でございますが、先生おっしゃいました六万一千人が五万七千ぐらいになるのじゃないかという御指摘でございますが、それは、例えば五十五歳以上の国鉄職員が年度末までにかなり退職するというようなことも見込みとして入っているわけでございます。御案内のとおり、六十年度中は年金制度の改正等もございまして非常に退職者が多うございました。しかし、六十一年度につきましてどの程度五十五歳以上の人が退職するかとか、そういうことについて不確定な要素もございます。それからまた、具体的に雇用の場の申し出がありまして、それからこれに対応して国鉄職員が希望するわけでございますが、そのマッチングがうまくいくかどうかというような問題もございます。そういうようなところから、雇用の場としては比較的多目に用意した方がいいんじゃないかということで六万一千人という目標を立てたわけでございまして、それぞれの分野別に目標数を立てたばかりの段階でございますので、私どもは現段階におきましては、この策定したばかりの計画の達成に向けて全力を挙げて取り組んでいる、こういうことでございます。
  282. 米沢隆

    米沢委員 変動要素はいろいろありますけれども、公的部門で三万人は確保するという趣旨は生かす努力をするということですね。
  283. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 公的部門が三万人、それから関連企業が二万一千人、それから一般産業界が一万人、それぞれの分野につきまして今申し上げた数字の雇用の場を確保すべく全力を挙げて取り組んでいるということでございます。
  284. 米沢隆

    米沢委員 先般、閣議決定によりまして国の採用率は一四%にする、こういうことになっております。そういうことを前提にして計算をしますと、国のノルマであります一万三千人というのは、どう計算しても一万三千人になりませんね。六十一年度分が千二百人、三年半かけて大体毎年一万五千三百人ぐらい採用予定であろうから、それの一四%分を国が採用するという計算をしましてもそれは七千五百人、六十一年分の千二百と合わせまして八千七百人にしかなりませんね。一万三千名の雇用を確保する、こう言いながら、実際国が閣議で決定したものは八千七百人、この差の四千三百人というのは一体どうするのですか。
  285. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 先生がおっしゃいましたように、九月十二日の閣議で再就職計画を決定いたしました。その中で国、狭い意味の国ですが、これが分担をする分が一万三千人というふうに定められています。我々はその前から随分精緻な計算もしてまいりました。実際の各省の退職状況、年々によって変わります。六十五年度首までに一体どのように退職者が動いていくのか、そこら辺も過去のデータをかなり精密に分析して推計をやったわけです。  それで、あといろんな要素がございます。一四%と定めましたのは、各省のいろんな状況も勘案して閣議で決定すれば、国の場合には完全に各省に対する義務づけになるわけです。したがって、一四%以上という形で決めまして、その一四%ということでいきますと、先生がおっしゃいますように六十一年度千二百人、これは一〇%ですね。六十二年度以降八千六百人ということで九千八百人になります。それでそのほか、これは最も省庁の中での責任もあります運輸省、それから副本部長もやっております私ども総務庁、労働省、自治省、ここら辺はやはりその他の省庁に率先してやるべきだというふうに考えて、さらに上積みをお願いする。それから各省にもさらに努力をお願いするということで三千二百名見込んでおります。これらを合計すると一万三千人になる、そういう計算をしております。
  286. 米沢隆

    米沢委員 このいわゆる一万三千人との乖離の部分ですね。今おっしゃいましたように、国の採用の母数とされる一万五千三百人についてはかなり詳細に調査をされた、それは信じてあげましょう。そのほか退職増の見込み分が九百人。特に運輸省や総務庁、労働省、自治省は努力分として千五百人、協力分が千九百人とありますね。協力分が千九百人、そうですね。この運輸省や総務庁、労働省、自治省、これは割増し採用を義務つけることは既に閣議で決定されたんですか。この一万三千人に乖離が生じておる姿であるにもかかわらず、閣議決定にはここらが明瞭になっておりませんね。
  287. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 閣議決定におきましては一四%と決めておりません。一四%以上と決めております。現にこれはかなりはっきりしてきておりますが、六十一年度、これは一〇%ということで既に昨年決めております。  それで正直に言いますと、各省は厳しい定員削減の中で新陳代謝を図っていかなければいけないわけですから、本当はフレッシュマンが欲しいわけです。しかし、この問題の重要性はやはり各省とも理解していただいて、六十一年度につきましては、本来なら千二百名弱になるべきところを、もう既に千五百名を超えるということでやっているわけです。そういった協力分は当然期待できるということでやっております。で、運輸省それから私ども、労働省、自治省、率先して千三百名になるように、目下申し出の方もだんだんそういうことになってきております。
  288. 米沢隆

    米沢委員 この特別協力分については国家公務員削減計画の例外として扱うということは、これは閣議で認証されておるんですか。
  289. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 定員削減とはこれは別のものとして考えております。定員削減は定削で、これは国として必要なことである。しかし、その厳しい定員状況の中でも各省はやはり採用は行っていくわけです。それの六十一年度でありますれば一〇%、六十二年度以降については最低一四%はやっていただく、そういうことでやっているわけでございます。
  290. 米沢隆

    米沢委員 ということは、公的部門の三万人、国の場合には一万三千人を何しろ確保するために、従来の定員では考えられない新しい定員みたいなものを別につくって採用してあげる、こういうことですか。
  291. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 鉄道公安官などは確かに現在国鉄にある仕事が移るわけです。ただ、その他の仕事について考えますと、現在の国鉄の仕事が少したりとも国の方に移るわけではございません。それによって国の仕事がふえるわけではございません。したがって、あくまでもその採用の中の一部を国鉄に割いていただくということで各省に協力をお願いしているところです。
  292. 米沢隆

    米沢委員 特殊法人、それから地方自治体が確保するとされる数字の根拠はどういうことですか。
  293. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 三万人につきましての国と特殊法人とそれから地方公共団体の割りつけの問題があろうかと思います。その場合の考え方でございますけれども、やはり国鉄改革というのは国の施策として実施するわけでございますので、まず国が率先して雇用の場を提供するということでございまして、その次が特殊法人、これは広い意味での国の機関でございますので、国と同様に国鉄職員を採用してもらう、それからまた地方公共団体は、この国鉄改革によって鉄道事業が本当に再生すれば地域交通体系として望ましいものが整備されるわけでございますし、また余剰人員問題というのは同時に地域の問題でもあるわけでございますから、国が講じます措置に準じて積極的に国鉄職員を採用してもらう、こういう位置づけになろうかと思います。  そういう各分野ごとのその立場の違いということがまずございまして、そしてまた、それぞれの分野におきます過去の採用の実績、そしてまた、これに基づきます今後六十五年度当初までの採用の見込みというようなことを勘案しながら決めたわけでございまして、国が一万三千人、それから特殊法人につきましては、これは特殊法人と認可法人で三千人でございまして、そのほかに清算事業団、こちらで引き継ぎました非事業用地について付加価値をつけるための基盤整備事業等を行います、また債務の処理等に従事する職員があるわけでございまして、これが約二千五百名ございますので、これを含めまして特殊法人として五千五百名、それから地方公共団体に一万一千五百、合計して三万人という計画にした次第でございます。
  294. 米沢隆

    米沢委員 公的部門の三万人の各省庁別の既に申し出のあった事例等の数字を見ますと、例えば総務庁が十月二十一日現在で四十八人、これは六十一年から六十五年度初分と書いてありますね。したがって、これはもう既に採ろうとするものは六十五年分まで洗いざらい出して、ここで確定した数字と見るのか、それともこの数字は今から努力によってどんどんふえていく数字なのか、これはどういう見方をしたらいいのですか。
  295. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 総務庁の場合には率先垂範組でございます。ということで一四%をはるかに上回る率で採っていただきたいというお願いをして、総務庁の採用は比較的少ないものですからこういう数字になっておりますが、総務庁につきましては、これが六十五年度首までの採用予定数ということになります。ただ全部がそういうことではございませんでして、まださらにお願いしているところもございます。
  296. 米沢隆

    米沢委員 そうしますと、その他でも今からふえるようなことを今言われましたけれども、しかし大部分、申し出のあった分は、郵政省を除きまして、大体六十一年から六十五年分すべて見通しを立てて採る数だという感じになっておるのですね。それが現在の段階でわずか五千八百人ですね、トータルで、私がいただいた資料によりますと。一万三千人採ろうとするのにまだ現在の段階で五千八百人にすぎない。一体こんな数字を明らかにして、三万人を採るなんという信憑性を疑わざるを得ないじゃないですか。
  297. 手塚康夫

    ○手塚政府委員 多少御認識いただきたいのは、国の場合には厳しい定員管理、規制が行われているわけです。ですから、本来ですと年度一〇%と決めれば、その年度が済んだ後でおまえのところは一体何名採用した、その中で国鉄職員はこれでは一〇%にならないではないかというようなチェックをする仕組みになっているわけです。ただ、国鉄の職員のことを考え、また国に採用するからには国家公務員としての適性を持っている方を広く選考した方がいいのではないかということで一括選抜、残念ながら一括採用は国の場合は定員規制の関係でできませんが、一種先づけで決めておくということでございますが、一括選抜をやるということで今のような数字が出てきているのです。ですから、各省が一括選抜で考えるものは、いわばコアとなる中心的な事務の職員ですね、これはやっぱり早くからつばをつけなければいけないというような感じがしているわけです。ただ、それ以外の職種等になりますと何も最初から採る必要はないわけであって、六十五年度までに一四%を超えるどのくらいの数字かということを各省それぞれ考えるわけです。  ただ、一つ問題がありますのは、各省の場合には六十五年度首までのその退職、採用、これは綿密な計算はなかなかできにくいはずです。我々の方はマクロで計算しましたからかなり自信がございますが、各省の場合にはなかなか難しい。その辺は今後我々指導して、まあこの程度は必要じゃないかというようなことはサゼストしていこうかというふうに考えております。
  298. 米沢隆

    米沢委員 これからの各省庁別の採用等がどう変化するかまだ未確定な部分がありますから、定かにここですべて六十五年までのことを発表しろとは言えませんが、しかしながら、この審議の山場に差しかかって、この段階において一万三千人を予定しながら五千八百人しかいないということ自体、果たしてこれからの努力が一万三千まで到達できるものになるのかどうかという、これは私はやっぱり信憑性の問題としてははなはだ不確かなものではないか。そういう意味ではもっともっと努力をしてもらわねばならない、そのことを特に申し上げたいわけでございます。  そこで、今この年度別採用予定数を本当は聞きたかったのでございますが、そんな数字を聞いても実際不確実でございますから僕はやめます。  これから一括選考を行うというふうに今おっしゃいましたが、採用内定者というのは採用までの間はどういう取り扱いになっていくのか、これが一つです。それから、一括選考を行う過程で、選考の結果採用予定数に満たなかった場合、不足分をもっと採れという努力をしなければいけませんわね。そういう取り扱いは一体どうなるのか、この点についてお聞かせいただきたい。
  299. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 最初の御質問でございますが、一括選抜をしましていわば採用が決まるわけでございますが、しかし各省庁あるいは地方自治体等におきましても、定員の管理の問題がございまして、直ちに身分をそれぞれに切りかえることができないということで、実際の身分を切りかえます採用はかなり後になるというケースが多いわけでございます。その間の採用内定者の扱いでございますけれども、これはいろいろなケースがございますが、一般的に申し上げれば、身分は国鉄なりあるいは清算事業団の職員ということになるわけでございますので、国鉄なりあるいは清算事業団が行います実務研修、これに従う。そして、実際には採用されました各省庁なりあるいは地方公共団体などにおきましてこの研修を受けているという形になるわけでございます。現に、例えばNTTにおきましては千百人の採用を決定いたしておりまして、身分を切りかえますのは六十三年四月一日でございますが、その間は実務研修ということにいたしまして、国鉄職員あるいは清算事業団の身分のままで実務研修ということでNTTの業務に実質的には従事する、こういう形でございます。  それから、一括選抜に当たりましてその応募者が予定数よりも少ないという場合どうするかという御質問でございますが、一括選抜の申し出がありました場合、国鉄側におきましては、求人側の要請に従いまして、その職務に見合う資格、経験を有する者、そういう採用条件に合う者を採用予定数に何倍かしまして応募者を出すということを原則にいたしておりますので、御指摘のような場合というのは例外的な場合と思いますけれども、仮にそういう事態が生じた場合につきましては、国鉄側におきましてもう一度さらに十分な候補者を確保するように措置いたしまして、そういう準備を整えた上で可能な限り追加募集を行う、そういうことによりまして採用予定数の達成に向かって国鉄側も努力するし、それから採用側においても努力していただく、こういうことで進めてまいりたいと思っております。
  300. 米沢隆

    米沢委員 ちょっと話の流れとは別になりまして、官房長官がお時間がないそうでございますから、一言聞いておきたいと思います。  これは後で述べます国鉄共済年金問題についてでありますが、今御案内のとおり国鉄年金閣僚懇というのが行われるようになったそうでございます。後でまた詳しくは御質問したいと思うのでありますが、これは一体だれが主宰するのか、この年金閣僚懇においての議論の推進に関してだれが主たる責任を持つのか、その点について官房長官の御意見を聞いておきたいと思うんです。余りおもしろくない話なものですから、みんなこんなのは責任のなすり合いで会議が一向に進まないというのが今までの悪い例でございました。官房長官、御意見がありますか。
  301. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 国鉄の改革を進める上で共済問題が重要な問題であることは、これはもう当然のことでございますが、ことしでしたか、先国会に前の官房長官から政府の統一見解が出ているんですね。つまり、六十四年度までの対応策について政府としてどうするんだといったようなことを方針を決めるということになっているわけですね。で、それ以後についてはそれ以後として考えていく、こういう統一見解が出ております。それに対応して六十一年度中に六十四年までの政府としての考え方を詰めなければならないということで、大蔵大臣それから厚生大臣運輸大臣と私と四人で、あの統一見解に従って六十一年度中にどのように対応したらいいのかを、これは内閣もかわりましたから、人がかわっておりますので、いま一度集まって検討しようということでお集まりを願って第一回の会合をいたしました。  そこで、御質問のだれがやるんだ、こういうことでございますが、この会合そのものは、四人の閣僚が集まりまして、ともかく年金担当大臣は厚生大臣でございますので、厚生大臣に座長といいますか行司役をお願いしたい、こう言ってあるわけでございます。もちろん、現在の内閣の建前上そこで意見は恐らくまとまると思いますよ、私は。しかし仮にまとまらなければ、総合調整は内閣でやる、こういうことになりますから、最終は官房長官のところで取りまとめざるを得ないな、こういうふうに今の段階は考えているわけでございます。
  302. 米沢隆

    米沢委員 お帰りになって結構でございます。  それから、同じく公的部門三万人の各省庁別あるいは自治体別、特殊法人別等の数を明らかにしてほしかったのでございますが、これも一応割愛さしていただきます。  問題は、やめる、やめざるを得ない人が北海道や九州は多い。しかしながら、就職する場所は民間も少ない、こういうことでございますので、これはもう御検討いただいておると思いますが、例えば公的部門の三万人を採るにしましても、各地域別にどれぐらいの数を公的部門で北海道は消化しよう、九州は消化しようというめどみたいなものは、計画を立てられて、そして公的部門の三万人を地域別に内訳を明らかにしながらやっておられるのでしょうな。もしそれがあれば、三万人の地域別内訳を明らかにしてもらいたい。
  303. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 三万人の地域別の計画でございますが、私ども、計画策定の段階におきまして、できればそういうことをしたいというふうに考えました。しかしながら、実際の採用によってその地域というのは異なってくるわけでございまして、三万人につきまして各分野別にこれからそれぞれの採用の詰めを行っていく段階でございまして、そういう中で、地域別に最初から割りつけるということは現実的でないということで、その点は決めておりません。そして、実際に三万人につきましてそれぞれの分野での申し出が出てまいりまして、結果的にそれぞれの地域別の数字が出てまいるということになっております。  今日までの三万人の中での申し出の状況でございますが、北海道につきまして約一千人、それから本州につきまして一万三千六百人、それから四国につきまして五百五十人、九州につきまして千七百五十人、地域がまだ決まっておりませんのが三千六百ということで、合計いたしまして約二万五百名の申し出がある、こういう状況になっております。
  304. 米沢隆

    米沢委員 今数字を明らかにしていただきましたように、北海道は、余剰人員と言われる人は一万三千ぐらいいるんですね。ところが、今北海道は、公的部門ではわずか千人しかまだ申し込みがない。九州は大体一万一千人ぐらいの余剰人員が出る予定でございますが、公的部門はわずか千七百五十人しかまだ申し出がない。これは、本州、四国は大体まだうまくいっておる方だそうでございますが、北海道、九州、ここらは公的部門で採用するという数が極端に低いという問題点が明らかになっておるんではないかと思います。そういう意味で、地域未定の分とありますね、このあたりができ得れば九州、北海道に割り当てられるようにやはり当局としても努力をしていただきたいものだということを申し上げておきたいと思いますが、何か御答弁ありますか。
  305. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 私ども立場としましても、できるだけ環境の厳しい北海道、九州地区において公的部門の採用の申し出があることは望ましいことでございまして、そういう方向で働きかけをしたいと思っておりますけれども、ただ、実際に北海道、九州におきます現在の公務員等の分布状況といいますか、そういうものを見た場合にも、できるだけ努力をいたしますが、やはり期待されるものというのは限界があろうかと思います。そのほか、関連企業、民間産業界におきましてもそれなりの努力をいたしておりますけれども、やはり雇用の場が北海道、九州においては相当数不足するというのが現実でございます。
  306. 米沢隆

    米沢委員 だから、どうするの。
  307. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 そこで、一つは、雇用の場といたしまして、北海道、九州におきましても極力その現地で確保するようにいたしますけれども、やはりかなりの数の方々が本州に異動して就職をしていただくということが必要になるわけでございます。国鉄改革の実施以前にそういう重圧といいますか、それをできるだけ緩和しようということで、国鉄におきましては広域異動ということを行いまして、既に第一次の発令を終えておりますし、現在第二次の募集を行っている状況でございます。
  308. 米沢隆

    米沢委員 今お答えいただきましたように、この余剰人員対策の難しさは、余剰人員の発生する地域雇用の場のアンバランスがあり過ぎる、こういうことだろうと思いますが、今御答弁いただきますように、精力的にそのあたりは頑張っていただきたいと思います。  そこで、おっしゃいましたように、国鉄は既に広域異動を積極的に進めていらっしゃるわけでございますが、問題は、宿舎の問題が非常に現実的な問題としてあると思います。したがいまして、清算事業団移行後も広域再就職は避けられないものでございますので、その際、広域異動と同様に、問題となる宿舎と子弟の教育、この問題について簡単に御見解を承っておきたいと思います。  特に、雇用の場を確保いたしましても、通勤可能な範囲に住居がなければ雇用の場を生かすことはできないのでございまして、政府は、国鉄から転職する者の住居についてどういうような対策を持っておられるのか。同時にまた、労働省の雇用促進事業団あたりを利用しましての宿舎、住居の確保等々について何か対策でもあればお示しいただきたい。  それからもう一つは、広域異動者あるいは広域再就職者の高校在学中の子弟の転入学について特段の配慮があるべきだ。これもるるいろいろと質問があったと思いますが、確認をさせていただきたいと思います。
  309. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 確かに、清算事業団において再就職が必要となる方々の職場を確保するために広域異動を行う、その場合の宿舎の手配というのが大切なことは御指摘のとおりであります。基本的には、私どもは、その再就職先での確保あるいは御自分の手配が望ましいとは思いますけれども、しかしそうは言っておられません。状況に応じて公的住宅の活用など総合的な検討を行うことも必要だと考えておりまして、きめ細かな配慮をしてまいりたいと思います。  また、もう一点御指摘のありました、殊に高等学校、公立高等学校在学中の子弟をお持ちの場合のケースでありますが、実はこれは、第一期の広域異動を行いました際にも文部省当局に非常な御努力、御協力をいただきました。しかし、残念ながら、八十七名のお子さんのうちでどうしても十名だけ公立高校での受け入れができなかったケースがありまして、私ども本当に残念な気持ちでありますが、こうした配慮というものはもちろんこれから先も当然していかなければなりませんし、関係各省庁の御協力を得たい、また、得られると考えております。
  310. 平井卓志

    ○平井国務大臣 再就職をされる方々の広域異動のケースの場合、その宿舎について雇用促進事業団ではどう考えておるか、こういう御質問でございますけれども、従来から雇用促進事業団では、移転就職者用の宿舎の貸与を行っておりまして、国鉄職員の方につきましても、広域的に再就職をする等の一定の要件に該当いたしましたら貸与を行うことといたしております。現在、既存の住宅においても一定の空室を確保いたしております。移転就職者用宿舎は毎年建設をいたしております。宿舎の運用については諸般の事情を勘案いたしまして、広域的な再就職がスムーズに促進されますように十分に配慮してまいりたいと考えております。
  311. 米沢隆

    米沢委員 例えば、この法案が成立し、改革を具体的に進めることになった場合に、最大の問題は職員の配属の決定問題でございます。改革法第二十三条によりますと、新事業体の新規採用として、設立委員の定める採用の基準に基づいて作業が進められることになるわけでありますが、この際、公平、適正な決定がなされることが肝要だと考えます。したがって、採用に当たっては当然勤務成績がその重要な基準となると思うのでありますが、運輸大臣、いかがですか。
  312. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、実は従来から、設立委員から示されるであろう採用基準というもの、これは今私どもが決定をすることではありませんけれども、健康でありますとか年齢でありますとか適性といったものが出てくるであろうと想定をいたしておりました。また国鉄総裁は、従来からその御答弁の中で、勤務成績といったものもその中に入るであろうという想定をされております。
  313. 米沢隆

    米沢委員 勤務成績を評価されるための資料としては、当然国鉄が持っておられます職員管理調書が使われるものと思いますが、この職員管理調書というものは十分に客観的で公正な、妥当なものであると考えてよろしいでしょうか、国鉄総裁。
  314. 杉浦喬也

    杉浦説明員 職員管理調書は、今先生おっしゃいましたように、現場の職員あるいは管理者が各本人の実情を十分にチェックしたものでございますので、客観性があり、また公平、妥当なものであるというふうに思います。
  315. 米沢隆

    米沢委員 職員管理調書、いわゆる国鉄の勤務成績の調書の中には、当然業務命令違反、職場規律違反等の違法行為、例えば違法ストへの参加及びリボン、ワッペンの着用、点呼の妨害に対する日本国有鉄道法に基づく処分あたりが入っておりますが、そのあたりも十分考慮されるものと思いますが、そう考えてよろしいですか。
  316. 杉浦喬也

    杉浦説明員 職員の勤務は厳正でなければなりません。今おっしゃいましたような諸点につきましては十分に中に入っております。
  317. 米沢隆

    米沢委員 次は、共済年金の問題を御質問いたしたいと思います。  国鉄共済年金の問題は、現在、財政調整五カ年計画に基づき、国家公務員等から財政援助を受けることとなって、六十四年までは収支均衡するとされておったわけでありますが、その後の経営改革の段階で、計画に比べて要員が約十万人以上縮減することになるなど、人員合理化が急ピッチで進んだ、あるいは進むことが見込まれる結果、財政的には年平均約七百億円の不足額が生じることが見込まれ、今その計画の再検討が必要となっておるということですね。  このことは、計画のずさんさそのものは指摘されねばなりませんが、この際これは棚上げいたしまして、計画時点ではこんなに人員合理化が急ピッチで進むとは予想していなかった、したがって、五カ年間は収支均衡すると見ておったものが、人員合理化が急ピッチで進むことになったために、年金財政的には一挙に支出が増大して、その結果ピンチに見舞われることになっておるということでございますから、見方を変えますと、年金財政は計画時点より厳しくなったことにはなりましたが、国鉄経営改革という意味ではかなり前進しておるという見方をしていいのではないかな、こう思います。  といいますのは、なぜこんなことを申し上げますかといいますと、今再検討が必要になっている国鉄年金財政を、ただそれだけに焦点を当てまして近視眼的に厄介者扱いしながらこの共済年金議論をするのか、それとも、トータルとしては国鉄改革が全体的に進んでいる中で国鉄共済が一挙に支出増がふえて今困難な状況にあるというふうに見るか、その視点によってこの取り扱いが心情においても変わってくるだろう、こう思うのでございますが、運輸大臣、いかがですか。
  318. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 国鉄共済、私は主管をする立場ではありませんのでお答えのできない部分もあります。しかし、私個人からいたしますと、この国鉄共済の今後の推移というものには極めて大きな関心を持ち続けております。  それは、今後他に職場を求めていただかなければならない方々の採用基準の設定等につきましても微妙な影響を及ぼす問題でありますし、また、退職を既にされた先輩の方々にも、老後生活の設計その他に大変大きな影響を与えることでもあります。また、この推移によっては個々の職員の負担がいやが上にも増大しかねない危険性もあるわけでありますし、また、その給付水準等々の問題もあります。以上のような視点から、私といたしましては極めて大きな関心を持っております。
  319. 米沢隆

    米沢委員 国鉄年金の収支見通しを見ておりますと、先ほどからるる議論がなされておりますように、六十三年中にはこのままいけば支払い不能になる可能性がある、こういうことで、さきの国会における共済年金の改革法案の審議に際しまして再検討についての政府統一見解が示されて、現在、その統一見解に基づいて、六十一年度中に支払いに支障が生じないための対策について結論を得ようということで国鉄年金閣僚懇が開かれて今日に来ておるわけであります。  従来、この国鉄共済年金の問題は、昭和六十四年までの対策と昭和六十五年以降の対策とに分けて議論されていたわけでございますが、これから先はこの閣僚懇がそのいずれについても論議される予定なのか、それとも六十四年までの閣僚懇なのか、これははっきりしておるのですね。
  320. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 国鉄年金問題に関する閣僚懇の行司役といたしまして御答弁をさせていただきますが、今回設けられましたこの懇談会は、六十四年度までの当面する問題について協議を行うために設置されたものでございます。
  321. 米沢隆

    米沢委員 六十五年以降の対策についてはこれとは別物をつくってこれから対処しようというわけですね。このままいくのですか。そうなると、入ってくる大臣の数が違うんじゃないか、これは。
  322. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 六十五年度以降の問題につきましては、六十四年度までの分について本年度中に結論を得、その後速やかに検討をいたしてまいる。その場合に、どのような形でどのように検討していくかということについても検討をいたしてまいりたいと思います。
  323. 米沢隆

    米沢委員 この六十四年までの対策につきまして、政府統一見解によりますと、先ほどからいろいろと話が出ておりますように、「政府として、国鉄経営形態等の動向を踏まえつつ国鉄の自助努力と国の負担を含め、諸般の検討を加え、支払いに支障のないようにいたします。」こういうことになっておるわけでございますが、先ほども議論になっておりましたが、この際の「国鉄の自助努力」とは一体何が考えられるかですね。ちょっと簡単に教えてほしいと思います。
  324. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄の自助努力といたしまして二つあるわけでございますが、まず、いわゆる事業主としての国鉄自身の努力、それからもう一つは、共済組合側に立って組合の方の自助努力はどうかというふうに二つになります。  この前者の事業主たる国鉄、これの自助努力がどうであるかということにつきましては、大変いろんな面で問題があるわけでございますが、今後検討をしてまいることになると思います。  それから二つ目の共済組合自身の問題、これは今までも掛金を相当大幅に増額をいたしております。あるいはまた、給付の制限などもやってきておるわけでございまして、こうしたことを踏まえましてなお一層の努力が可能であるかどうか、その辺の検討もする必要があろうかと思います。
  325. 米沢隆

    米沢委員 先ほどの論議を聞いておりまして、国鉄の自助努力として、事業者の自助努力はもう土地を売ることではない、同時にまた、国鉄共済の給付、負担の両面においてこれを抑制することはもうかなり限界であると答弁がありました。となると、国鉄の自助努力というのはほかになくなるわけですね。それ以外に何かありますか。土地年金には使わない、そして国鉄共済の給付も負担もこれ以上はもう厳しくできない。何かほかに国鉄の自助努力というのはありますか。
  326. 杉浦喬也

    杉浦説明員 おっしゃいますように、今まで出すものを出してきておりますので、今後どういうものがあるか、非常に困難な問題ではございますが、なお検討をしたい。私どもの方はお願いをする一方でございますので、自分自身ももう少し検討はしてみたい、こう思います。
  327. 米沢隆

    米沢委員 そこで大蔵大臣、この共済年金法案を議論するときに、私大蔵委員会におりまして、この政府統一見解を出させるために、時々お休みしたりして頑張ったものでございます。その際に、どうしても入れなければならぬ言葉がこの「国の負担」だったのですね。この「国の負担」という言葉を入れない入れないと一生懸命頑張られて、とうとう入ったようなものです、これは。だから、この「国の負担」というのは非常に意味がある言葉なんです。意味のある言葉なんでございます。そういう意味で、何か責任を感じていらっしゃいますか。
  328. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 いろいろ経緯がありましてこのような統一見解になりましたことは、よく承知をいたしております。
  329. 米沢隆

    米沢委員 今大蔵大臣、えらいそっけない御答弁なんでございますが、この政府統一見解をつくる際に、いかにして国の負担を感じてもらうか。もう国鉄の自助努力は満杯になっただろう、これ以上負担はもうかけられない。かける手段もそうない。したがって、これからの議論でどういうふうに閣僚懇で結論が出されるかわかりませんけれども、その結論は、やはり国の負担というのがある程度腰を入れてもらわないと検討結果の結論は出ないのじゃないかと思うのですね。そういう意味で、難しい事情はよくわかりますが、もっともっと大蔵大臣が裁量を大きくされて踏み込んでいただくことを期待するのでございます。御意見をちょっと聞かせてほしい。     〔委員長退席、佐藤(守)委員長代理着席〕
  330. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 このような統一見解が出るに至りました事情も承っておりますし、統一見解の中で支払いに支障を生じないようにいたしますということも申し上げておりますので、この統一見解の線に沿いまして年度中に結論を出さなければならない、かように考えております。
  331. 米沢隆

    米沢委員 これは運輸大臣から聞かせてほしいのでございますが、この統一見解に基づいて閣僚懇で議論をされても、国の財政事情が財政事情でございますから、非常に重い結論にならざるを得ないだろう。そうなった場合に、いわゆる六十四年度までの再検討の物の考え方は、六十五年以降の対策とはちょっと切り離して議論して統一見解になった経緯がございますが、ひょっとすると今議論されておる中身の中で、六十五年度以降の対策まで踏み込んだ議論までしていかないと結論が出ないのではないかという危惧の念を持つのですね。例えばあの当時議論のありましたように、公務員グループをまずくわえ込むとか、そのあたりがもう六十一年度の結論の中に出てくる可能性もあるのじゃないかなと僕は思っておるのですが、大臣はいかがですか。
  332. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どうも主管でない人間が、大変申し上げにくいのでありますけれども一般論として、私どもが当時確かに米沢さんにさんざんかみつかれながら、あの統一見解の原案をすり合わせておりました当時には、相当長期間にわたってのさまざまな将来像が論議をされたことを私も記憶をいたしております。その限りにおきまして、六十四年度までの対策を考えております間にも、六十五年以降に連動する考え方まで論議をしなければならなくなる可能性というものは決して否定ができない、私もそう感じております。
  333. 米沢隆

    米沢委員 今までこういう共済年金の、特に財政調整の議論をする際にいつも感じておったのでございますが、すかっとした結論が出しにくい、出たとしても関係者の皆さんの合意を得るのにまだ時間がかかる。そういう意味では、一つはこの六十一年度結論を得た後、それからすぐ六十五年以降の検討に取りかかるという話でございますが、これはもう本当に早くて悪いことはないぐらいにまさに早くやってもらわないと、私は六十五年以降の対策も何か中途半端な結論が出されそうな気がしてならぬのですよ。当面、国鉄共済年金は六十五年以降もこういうことでまず対処しようなどと、何か絵にかかれたような感じがするのですが、まさかそんなことはないでしょうね。六十五年以降の対策については、年金一元化の閣議決定にあるようにすかっとした結論を得られるのでしょうね、厚生大臣
  334. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 年金担当大臣としてお答えをいたしたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、六十五年度以降のことにつきましては、六十四年度までのことについて結論を得た後、速やかに検討をいたしたいと考えておりますので、今明確なお答えができないことは御理解をいただきたいと思います。     〔佐藤(守)委員長代理退席、委員長着席〕  同時にまた、先ほど御指摘がございました昭和七十年をめどといたした年金の一元化へ向けての作業というものも進んでいくわけでございます。その際には、いわゆる報酬比例部分等についての負担の調整、またこれまでのいろいろな歴史、沿革に基づくばらつきの調整等もいたしながら慎重に進めてまいらなければならないと考えております。この国鉄共済年金も公的年金一つでありますので、当然国鉄共済年金についての検討も加えられるという側面を持っておるわけでございますが、そういう中で進めてまいりたいというふうに考えております。
  335. 米沢隆

    米沢委員 時間がなくなりましたが、厚生大臣にお聞かせいただきたいと思います。  五十九年二月の「公的年金制度の改革について」という閣議決定の中には、六十一年度以降においては、給付と負担の両面において制度間調整を進める、そして、年金一元化に向けて、昭和七十年をめどに完了させる、と書いてあるのですね。しかし私は、考えますに、給付についてはもう既にかなり調整がなされて、これから微調整の域に達しておるだろう。問題は負担の一元化ですね。これは言うべくして難しいですね。私はちょうど年金議論のときにも、七十年に、給付はわかったとしても負担の一元化は完了するのですかと言ったら、お答えがなかったですね。それほどに七十年に負担の一元化まではいかないのではないか、こう私は思うのです。特に、国鉄を六十五年以降の対策の中でどう救済していくのかという議論になりますと、これはそう簡単に負担の一元化なんて言うほどに進まないだろう。したがって私は、すかっとした対策ではなくて、当面はまだ何とかしようという、二、三年あるいは五年ぐらいのめどで対策は盛られるであろうという感じがしてならぬわけです。  と同時に、一つ問題になりますのは、そうであればあるほど、国鉄年金と他の年金のより厳しい条件を緩和してもらいたいという声になっていくと思いますね。現在までの人は何らかのしがらみがありますから仕方がないという気持ちがあるかもしれませんが、新しい会社に新しく就職した人が保険料だけは物すごくばかでかく高くて、給付は厚生年金などと一緒だという議論はやはりちょっと問題だということになって、結果的には負担の一元化あるいは負担の調整みたいな議論をせざるを得ない時期が当面やってくると思いますね。その場合に一体、年金担当大臣として国鉄の、特に若年者の負担を軽減するというような話は是なのか非なのか、どういうふうに考えられますか。
  336. 斎藤十朗

    ○斎藤国務大臣 今、米沢議員が御指摘になられましたように、一元化に向けていろいろな作業をしていく場合に大変難しい問題をはらんでおると考えております。そういう中で、いずれにいたしましてもそれぞれの年金制度の中にある方々が十分御理解をいただき、納得のできるようなそういう状況をつくり出し、それに基づいてできるだけの一元化へ向けての努力をしていくということであろうと考えております。
  337. 米沢隆

    米沢委員 最後に。負担の一元化は大変難しいだろう、したがって六十五年以降の対策も大変ぬえ的な対策にならざるを得ないであろう、その際にやはり問題になるのは、他の年金国鉄年金が半永久的に厳しい条件をそのまま維持するかどうかが大きな焦点になると思いますね。そうした場合に、例えばこの前の年金改正で決まりましたように財政調整期間は職域年金はやらないと書いてあるのですね。だから六十五年以降になっても、これは財政調整には間違いないわけです、国鉄にとっては。そうしたら半永久的に職域年金はないなんということになりかねないという問題を含んでおりまして、私は非常にこれは重大な問題だろうと思うのです。したがって、財政調整期間は職域年金はやらない、これは少なくとも六十四年までの議論であって、六十五年以降はこれは外すのか外さぬのか、ここらが重大な問題になってくると思うのですが、大蔵大臣どうですか。
  338. 宮澤喜一

    ○宮澤国務大臣 とにかくただいまの段階では六十四年度までのことを考えておりまして、六十五年より後になりますと問題は大変により大きくなってまいりますので、全体として新しいいろいろ発想が必要になろうかと思います。
  339. 米沢隆

    米沢委員 終わります。
  340. 細田吉藏

    細田委員長 これにて米沢君の質疑は終了いたしました。  次に、工藤晃君。
  341. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 我が党は、これまで、国鉄財政破綻は政府が、政府の政策がその原因をつくり出したものであり、したがって分割民営化というのは全く根拠がないこと及びこの分割民営化推進そしてまた法案の内容、仕組みそのものの中に民主主義の重大な破壊がある、攻撃がある、これらを明らかにして撤回を求めてまいりましたが、きょう私は、この分割民営化で一体何をしようとしているのか、何が必ず起こるのか、この問題について質問いたします。  さて、私が振り返ってみますと、四年前に臨調第四部会で分割民営化が出され、同年基本答申でそれが出されて以来我が党は、その当時から分割民営化でそれぞれの鉄道会社が立派にやっていけるというならばどういう収支になるのかという根拠を示しなさいと何度も言ってきましたが、一向に示されませんでした。そして昨年監理委員会意見書とともにその数字が出てまいりましたが、根拠が書いてない。私は、監理委員会の事務局の人に部屋に来てもらいまして、どういうわけだ、いろいろ聞いても説明が全くない、こういう状況でありました。そして、いよいよ当特別委員会、これに対しまして資料がありましたけれども、それは監理委員会の数字を若干変えたものであって、なぜそれぞれの会社が今赤字なのに黒字に変わるのか、何によって黒字になるのか、その根拠を示してほしいという要求をしたところが、もうこの委員会が始まってから一週間ぐらいたって十月十三日やっと資料が私の手に届いたわけでありますが、しかもこれは大変まだ不完全なものと言わざるを得ない。根拠が十分示されていない、こういうことである。  そこで、私は、運輸大臣に伺いたいのは、長い期間こういう最も基本的な資料が出せなかった理由は一体どこにあるのか。いまだに十分な根拠をもって示せない理由は一体どこにあるのか。仮に資料に自信がなかったとするならば、それで根拠なしに法案を提出したということになるのではないか。また、この分割民営化の当否を判断するのに極めて重要なこういう資料がいまだに十分出されない、もともと、もっと以前に出すべきではないか。
  342. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  343. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 それが民主主義というものではないか、この点について伺います。
  344. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 理事会の決定によって提出を命ぜられた資料はその都度提出をいたしております。
  345. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私の質問答弁してください。  各社がなぜ黒字になるのかという具体的なちゃんとした根拠を持った資料を出してください。それがいまだに出てない。これは、四年前から私たち要求したのが出てこなかったわけだ。なぜそんなことが起きるのか。資料をつくるのに自信がなかったためにそういうことになったのか。仮にもこの分割民営化の当否の判断にかかわるこういう重要な資料は国民の前にもっと早くから示すというのが民主主義じゃありませんか。そのことについてどうお考えですか。
  346. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 四年前には分割民営という姿にはなっておらなかったのではなかろうかと思いますが。
  347. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 臨調の第四部会、基本答申はいつですか。
  348. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私の記憶では、五十七年の七月だったと思います。
  349. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 五十七年だったら、今六十一年で、四年前と違いますか。私は、四年前と言っていますよ。まだ何かあるのですか。
  350. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 臨時行政調査会の基本答申が提出をされましてから、それを受けて国鉄再建監理委員会が設立され、国鉄再建監理委員会の答申が出されたのは昨年でございます。
  351. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 監理委員会というのは基本答申を受けてつくったのじゃないですか。あれを受けているじゃないですか。だから、そういう言い逃れはもうだめです。  そこで、委員長、資料をちょっと皆さんに配ってください。
  352. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  353. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 私は、言い逃れはいたしておりません。事実の経過を正確に申し上げただけであります。
  354. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 資料を配っていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  審議を妨害するような発言は、委員長としてぜひ取り締まっていただきたいと思います。  さて、ここの資料は運輸省からいただいたものであります。そこで、一番上の「総括表」というのは、その全体を見るために私がまとめたものであり、根拠はすべて運輸省の資料にあります。
  355. 細田吉藏

    細田委員長 お静かに願います。
  356. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そこで、運輸大臣に伺いますが、各社が営業費用を六十年度から六十二年度に大幅に削減される。例えば北海道の場合、千七百四十四億円。それについて「要員数の減少に伴う支給給与、退職金負担の減、追加費用等を引き継がないことによる年金負担の減、鉄建公団借料免除による負担の減等」これはただ北海道一社について私が例を挙げたわけでありますが、ともかくこの営業費用が大幅に軽くなるわけでありますが、中身として項目が書いてあるけれども、それぞれの項目の数字はどうなっているのか、それを見ないと根拠ある資料と考えられないが、これは今示していただけますか。
  357. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 事務的な数字のようでありますから、事務局からお答えをさせます。
  358. 林淳司

    林政府委員 これは既に委員会の御要求に応じていろいろ資料はお出ししております。委員会から正式な御要求があればそれはお出しいたしますけれども、あとは私どもはそれなりの精密な計算をしておるつもりでございます。
  359. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 要するに、これは今言った、運輸省が出した資料です、私の要求で。そしてこの中にあるそれぞれの項目というのは、まだ出せないわけですね。説明できないわけですね。説明できるかできないか、言ってください。
  360. 細田吉藏

    細田委員長 御静粛に願います。
  361. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私、質問しております、今の林さんの答弁に対して。なぜ答えないのですか。
  362. 林淳司

    林政府委員 先ほど申し上げましたように、委員会から正式な御要求があればいかなる資料でも御提出を申し上げます。
  363. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私が要求したのは何で正式——私はここの委員で、要求したら、何で正式じゃないのですか。そんなでたらめなことないですよ。質問に当たって、質問に必要な資料を出せというのは当然じゃないですか。そうでなきゃ審議できませんよ、こんなこと。
  364. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 ですから、理事会から正式に御要請のありましたものについては提出をいたしております。
  365. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 じゃ、今の点について、どうか理事会で諮って直ちに提出をしてください。
  366. 細田吉藏

    細田委員長 資料は、理事会で御要求のあったものについてはその都度協議をして提出をさせております。
  367. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これについても協議をしてください。今私の言ったのも協議をしてください。
  368. 細田吉藏

    細田委員長 改めて共産党のオブザーバーからその旨を申し出てください。
  369. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 さて、この「総括表」を見ていただきたいわけでありますが、積み上げた数字がないという点はありますけれども、なぜ六十年度に大きな経常損益の赤字を出しながら六十二年度になると黒字に変わるのか。これを見ると、営業費用がうんと減る、利子負担がうんと減るということになりますが、特に営業費用が減るのは要員数の減、人減らしであります。むちゃくちゃな人減らしによる人件費の減であります。それとともに、いわゆる特定人件費を清算事業団の負担に変えて、そういう特別措置によって負わなくなることであります。さらにまた、保有機構、こういう特殊法人をつくったことによりまして、東海道、山陽、東北などの減価償却費や上越新幹線の賃借料がその分減るということにもなります。なおこのほか、保有機構によって特に東日本、西日本は事実上の補助金みたいなものを受けるようになって、こういう結果が出ます。営業外損益ではこの利子が大幅に減る。結果として国鉄全体の長期負債の一九%しか新会社は引き継がない。そのほか三島への基金からプラス利子がありますが、その三島基金というのも清算事業団がこれを負担する、こういう結果になっているわけであります。  そこで、大臣もぜひこのまとめた表を見ていただきたい。六つの旅客会社で営業費用と利子の軽減は一兆一千七十四億円、六十二年度営業収入の三四・五%、貨物を加えると、営業費用、利子軽減一兆二千九百五十六億円で、六十二年度営業収入の三八・四%です。個別に見ると、北海道が三〇〇・七%、四国が一九〇%、九州が一八五・二%、最も財界が望んでいると見られる東日本も三五・四%ということでありますが、こういうやり方は民間資本への事実上の補助、補助金と言わないまでも補助的な措置と言えなくはない。そうだと思いますが、いかがでしょうか。
  370. 林淳司

    林政府委員 これは二枚目以降の資料をどのようにおまとめになったか、私はよく存じませんけれども、いずれにしても今回の改革におきましては、従来の国鉄の過重な負担、これは今先生もいろいろ御指摘ありましたけれども、長期債務もそうでございます。それから、先ほど来議論になっております追加費用、あるいは要員体制の軽減、その他もろもろの過重な負担を除去いたしまして収支採算がとれるような姿で新しい会社をスタートをさせる。その場合に、今後の会社が従来の延長線で赤字を出さないように分割民営化によって効率的、活性化された企業体としてスタートを切る、こういうことを基本にしてやっているわけでございますから、過去の過重な負担というのが除去されれば収支が改善されるのは当然でございます。
  371. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 総裁に伺いますけれども、監査報告書によると国鉄の損益にかかわる助成金は幾らでありますか。運輸収入の何%ですか。これは二百六十三ページにありますから早く答えてください。
  372. 山田度

    山田説明員 六十年度の助成金は、損益勘定、資本勘定、特定債務を合わせて……
  373. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 損益勘定だけで結構でございます。
  374. 山田度

    山田説明員 損益勘定だけを申し上げますと二千四百二十一億円であります。
  375. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 これは、終わりの総括表によりますと、また二千八百七十一億円という数字があってこちらの方が多いわけでありますが、これとても営業収入の八・七%ですね。この場合はそういう国からの補助を除いた営業収入であります。  どうですか。国鉄に対しては営業収支にかかわるこの補助というのが収入の八・七%、それが民間会社国鉄を譲り渡すという段になると途端に四割近くなる。これは一体どういうことですか。やっていることが逆じゃありませんか。この八・七%というのは一体何を意味するのか。国民の足を守る、交通権を守る、そのため公共サービスを進める国鉄に対して国が責任を持って財政的な支持を与える、こういうことをやっておれば、今日破綻する原因は生じなかったし、破綻することはなかったわけであります。ところが、そういう国の責任を果たすどころか、逆にとんでもない無謀な借金による設備投資を押しつける。あるいは特定人件費などの負担もどんどんかぶせていく。こういうことに対して、それを反省しないばかりか、今度は分割民営化だといって利潤追求第一の民間資本に対しては驚くべき補助をつけるということは、大変びっくりするわけでありますが、これはどうですか、逆じゃありませんか。国民は、本当に国民の足が守られる、公共サービスが守られる、そういう公共企業体、それに国がきちっとした支援をするということなら納得しますけれども、そういうことをやらないで国鉄を破綻させておいて、今度は民間資本になるからといってこれほど手厚い援助を行うということは、全くやり方が逆じゃありませんか。
  376. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今、大変私どもとすれば予想外の御論議をいただきました。そして私の個人の意見では御信頼をいただけないと困りますので、世論調査の数字を引いてお答えをしたいと思います。  国民国民がとおっしゃいましたが、国鉄改革が必要だとされる国民は、世論調査の結果七二・六%であります。
  377. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私が聞いたのは、公共サービスを担う国鉄に対し、国が責任を持ったことをやらないで破綻の原因をつくっておいて、そして今度は民間資本、利潤追求になると途端に四割も補助をするというのはどういうことか、そういうことを聞いているのです。それに答えてください。
  378. 林淳司

    林政府委員 新しい体制で四割補助をするという、その四割という数字もよくわかりませんが、補助をするという考え方は違うわけです。補助じゃなくて、これは、新しい体制は過去のいわゆる過重な負担というものを切り離しまして身軽にして、今後活性化された企業運営をやっていく、こういう考え方でありますので、新しい会社に対する補助ではございません。いわゆる過去の過重な負担に対する今後の整理、こういう考え方でございます。
  379. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 補助と言って、さっきもうちゃんと中身は言っているでしょう。例えば特定人件費これを外すということや、それぞれが事実上補助的な制度であることは間違いないじゃないですか。例えば土地をただ同様で使わしてもらって、それで営業収入の四割もどこかから補助が来るというのは、これを民営化と言えますか。こんなのは民営化じゃないじゃないですか。一〇〇%の民営化で、政府監理委員会はすべてうまくいくと言ったけれども、結局はこういうことじゃありませんか。結局、国の補助事業みたいなものでやっとこさ何とか黒字転化するというやり方だと思います。  しかも、この四年来私たちが要求したところの、どうしてこれらが黒字の経営を安定して続けられるのかというのが示せなかったのは、本当に皆さんたちは、政府監理委員会民営化すれば何でもかんでもうまくいくと宣伝してきたけれども、実はそういう手法ではいかないということがここではっきり証明されたんじゃないですか。いかがでしょうか。
  380. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 極めて独自な御見解を拝聴いたしました。しかし、先ほどから申し上げておりますように、審議に必要な資料としてこの委員会の理事会から御請求のあったものは全部出しておりますということをもう一度繰り返して申し上げます。
  381. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 私が聞いたのは、この「総括表」というのは運輸省からいただいた資料をただまとめただけであります。だから、こういうふうにして民営化になる段になると物すごい手厚いことをやろうとして、その負担は一体どこに行くのですか。結局清算事業団を通じて国民の負担じゃないですか。そういうことをかぶせようとしているわけじゃありませんか。  しかも、もう一つ伺いますけれども、問題なのは、人件費の問題にもかかわるわけですが、今度の六旅客会社、六十二年度の人件費対営業収入比は幾らになりますか。
  382. 山田度

    山田説明員 六十二年度営業収入対人件費の比率は三二・三%でございます。  ただし、この場合、旅客会社には新幹線という大変装置化された鉄道がございます。また、幹線系線区においても私鉄にない特急、急行等の、優等列車と我々言っておりますけれども、大変高度なサービスを提供する列車も走っております。そのような関係で、国鉄の人キロ当たりの賃率は大変高いわけでありまして、そのような構造的に違う、差のあるものを一概に私鉄と比較することは当てはまらないものというふうに考えております。
  383. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 いや、私が私鉄と比較するというのは、政府がいつも私鉄並みにすると比較してきたから言っているのであって、私のせいにしないでくださいよ。そうでしょう。私鉄の方の対売上高人件費、五十八年度は三五・二%。五十九年度は三四・七%台。これは、六十年度に特定人件費を除く人件費対補助金を除く営業収入というのは三五・八%ですから、もう既に三十万ちょっと切ったところだと思いますが、もう私鉄並みになっている。だから、今まで私鉄並みにやるやると言ってきて、そうして実ははるかに超えるようなことをやっている、これは明らかに何とか黒字という計算を出すために、ともかくそれに合わせて人員数を決めたり、そこには全く本当の意味での運輸のサービスとか、あるいは労働者の権利だとか住民への配慮だとか、そういうものを考えた上の積み上げでないということは実にはっきりしたと思いますが、この問題ばかりやっておれませんので、次に移りたいと思います。  さて、今度は株式を一〇〇%放出するということになりますが、その意味で完全な民営会社になるということでありますが、問題は、今度できる会社の財務制度の面からいいますと、さっき言いました売上高の四割近いようないろいろな支えを得て、そしてやっとこさ黒字という格好をとるから、まるで国の補助事業みたいになっている。しかし一たび一〇〇%株式を放出しますと、まさに利潤追求第一ということになるから、これで一体国民にとって大事な交通権の問題だとかあるいは公共交通のこれまでの存続、発展ということはどうなるか、ここでも極めて重大な問題があります。  ここで鉄道事業法案の第二十八条に、一体事業の休廃止はどういうことになっておりますか。
  384. 林淳司

    林政府委員 今度の鉄道事業法案の二十八条におきまして、事業の休廃止は、鉄道事業は公益事業であるということを考慮しまして許可制にしております。要するに許可がなければ休廃止はできないということでございます。
  385. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そういう説明をされましたけれども、読んでみれば「公衆の利便が著しく」この著しくというのはいつも逃げ言葉なんですが、「阻害されるおそれがあると認める」これはだれが認めるのか、公衆が認めるんじゃない、大臣が認めた場合でなければ、「許可をしなければならない」ということになっているわけであります。私鉄の歴史というのは、この二十年間振り返ってみてもまさに廃線の歴史であります。輸送密度別に国鉄民鉄の輸送量は幾らか答えていただきたいと思います。
  386. 林淳司

    林政府委員 国鉄の場合ですと、これは四ランクに仮に分けますと、八千人未満の輸送密度の場合は百六十一億人キロ、これは六十年度でございます。それから八千人から二万四千人までが百五十四億人キロ、二万四千人から九万六千人までが三百七億人キロ、九万六千人以上の輸送密度のランクでは七百九十八億人キロでございます。  それに対しまして私鉄の方は、同じ区分でいきますと八千人未満が同じく六十年度で十億人キロ、それから八千人から二万四千人までが九億人キロ、二万四千人から九万六千人までが四百八十億人キロ、九万六千人以上が七百八十六億人キロでございます。
  387. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 運輸大臣、これを見ると、八千人未満のところでは国鉄の輸送量は民鉄に民べて十六・一倍ですね。八千人から二万四千人未満は約十七倍ですか、十七・一倍。二万四千人から九万六千人で国鉄の方が六四%。九万六千人以上で九八%ということになります。これは、八千人未満の国鉄の営業キロ数というのは、たしか一万三千キロとか一万四千キロというのは、それはわかりますか。——委員長審議の妨害だ。
  388. 細田吉藏

    細田委員長 今答弁します。
  389. 山田度

    山田説明員 六十年度におきます地方交通線の営業キロは九千五百四十四・五キロでございます。
  390. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 その数字はまだわからないようですが、はっきり言ってこれを見たらわかるように八千人未満のところ、二万四千人未満のところというのは私鉄はもう事実上撤退してしまっているじゃありませんか。大臣も言われましたね。今度国鉄のこれまでの公共性というのは私鉄並みにするということを言いましたら、そういうことをすると、それこそ八千人未満、二万四千人未満、こういうところから撤去するということになると考えざるを得ませんが、いかがでしょうか。
  391. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どうも大変お耳にたまたまとまった部分だけを引用されるようでありますが、私は何遍もこの委員会で申し上げております。特定地方交通線については、これは本当にバス転換あるいは第三セクター化等々の方向を進めていただかなければなりません。しかし、その他の地方交通線についてはむしろこれから先も存続できるようにしていきたい、そのためにもこういう努力を払うんだと繰り返して申し上げております。
  392. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 運輸大臣がこの委員会で、公共性が私鉄並みになる、そうならざるを得ないわけですよ。だから結局こういうことになりますよ。民営化すれば何でもうまくいくと言って、それで結論として言えばさっき言った補助事業みたいなことをやる。しかし、今度は採算性第一ということだから、結局路線を廃止する自由ということになってしまって、これじゃ国民は、その補助みたいな部分の負担を負わされた上に地方線がどんどん廃止される、あるいは幹線だって廃止されるかもしれない、そういうことになって踏んだりけったりだと思います。  私は、四国の高松に地方公聴会で行って意見陳述者の意見を伺いましたが、この場合、分割民営化賛成だと言われる方も、空港が開かれる、高速道路がどうだ、本四架橋がどうだ、運賃値上げをしていく、これで一体どうなっていくんだろうか、これだけ老朽化しているあるいはまた複線化、電化という課題がある、大災害の心配がある、こういう資金、こういう経営でやっていけるのか非常に心配だ、結局国が何とかやってくれなければいけないということになる。ここらあたり、まさにこういうやり方をやると、事実上私鉄に対してとんでもない補助が与えられる一方、国民はそういうやり方で迷惑をこうむるということが実に明らかでありませんか。  さて、もう一つこの問題で伺いたいことは、これからの旅客会社の輸送量ですね、それがだんだん減る傾向にあるということになっております。そして運賃値上げも相当やっていくということになっております。この数字は挙げません。そういうことをすれば一体この鉄道の営業がどうなっていくかという問題もあるわけでありますが、ともかく民営化ということですから、会社の戦略として収益を上げようとすれば主として関連事業になっていくと思いますが、何を一体関連事業として考えているわけでありましょうか。
  393. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 今の御質問に答えます前に、先ほど御自分で締めくくられた点について反論をしておきたいと思います。  値上げ値上げとおっしゃいましたが、これも資料で何遍も御説明を申し上げておりますとおり、確かに今後の新会社が値上げをすることはあり得ます。しかし、それは数字でもお示しをしておりますとおりに、現在までの国鉄の平均の値上げ率よりもはるかに低い数字であることも事実として申し上げておきたいと思います。  また、道路あるいは航空等の五カ年計画をも十分に計算に入れてそれぞれの新会社の設計をしておることも申し添えておきます。
  394. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 では、どういう関連事業でやっていくというのですか。
  395. 林淳司

    林政府委員 今回の収支試算におきましては、関連事業は現在国鉄がやっております関連事業、例えば駅ビルでありますとか、それから附帯事業でありますが直営売店でありますとか、そういうものが今後、かために見てどの程度伸びるであろうかということを前提に今回は収支試算をしてあるということであります。したがいまして、これからは、この法案が通りましたら、もっとこの法律をフルに活用しましていろいろな多角経営をやっていくということになりますが、これについては、将来それだけの経営努力が実れば、それは今回の収支試算にさらにプラスして収入増になるというものでございます。  それから、ちょっとつけ加えさせていただきますけれども、先ほど四ランク別に私鉄と国鉄の輸送人員、輸送人キロというものを申し上げたわけでございますけれども、あれは私鉄七十社の実績でランクを分けたわけでございまして、その七十社のうち三十三社、約半分が八千人未満の会社でございます。したがって、国鉄の地方交通線に該当するようないわゆる八千人未満の会社があの半分を占めているわけでありまして、それは立派にそれぞれ経営をしておるということをつけ加えさせていただきます。
  396. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そんな、運輸省の示す資料でこの分野では国鉄が私鉄の十六倍の仕事をやっている、それでいいじゃないですか。そういうことでしょう。  それで、大体その関連事業になるというけれども、中曽根首相も大手私鉄みたいなものになるかもしれない、そういうことを言われましたが、まさに鉄道の方ではそう輸送が見込まれないとすると、関連事業で収入を上げるということを図るとするならば、結局地域の独占とか不動産を生かす、こういうことになって大手私鉄型に次第に近づいていくと思います。大手私鉄の場合、中には鉄道の方が副業になっているところ、大分ありますが、御存じでしょうか。もう答えなくていいですよ。これは東京急行電鉄、その場合でも一社で鉄道の営業収益が三三・八、不動産が六七・三%。しかも東急だとか西武だなどというのはまさに不動産をやって、その不動産の収益を高めるために鉄道をやっているという、そういう姿になっているのであります。こういうことを考えると、今度の分割民営化ということで、特に大都市に根拠を置くような会社はそれこそ鉄道を副業化するという方向になる、こう判断せざるを得ないわけであります。  こういうことを見ると、さっき言いましたように分割民営化でうまくというのは、実際の受ける財務の上での面から見ると全くそんなことになってない。国鉄時代以上にはるかに厚い補助を受け、国民が負担する。しかしこの鉄道はもう路線廃止の自由、この鉄道業を副業化するような自由ということで、そして国民に対してはこれまで維持してきたところの全国的な公共サービス交通権に対する配慮、こういうことが全くなくなると考えざるを得ないわけであります。  そこで、質問の時間がいろいろありますので次に移りますけれども、今度の国鉄分割民営化というのは、先ほど私も述べましたけれども一〇〇%の民間資本になっていくということであります。日本の明治維新以後、国の財産が民間資本に譲り渡されたという例は何度かありました。三井、三菱が急速に富を増したのはそういうことであります。戦後もあります。しかし考えてみると、この国鉄という国民の財産、一〇〇%の民間資本の手に渡っていくわけでしょう。そうですね。この会社の大株主になった資本グループというのはこれを支配することができるわけですね。しかもこの百十五年間国民が蓄積をしてきた大きな財産であり、今の価額にすれば何十兆円か何百兆円かわかりませんけれども巨大な価額になる。こういうことを言いますと、この国民の財産を一〇〇%の民間資本に譲り渡すということは、戦後いや戦前を、歴史を通じてかつてない大規模な民間への譲渡ということになる。それだけに、国民の前に実際にどういう財産価額を持っているか示すべきでありませんか。いかがでしょうか。
  397. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 電電公社あるいは専売公社がそれぞれ民営の歴史をつい先日歩んだことも委員が御承知のとおりであります。また資料といろいろとお話がありますが、お示しすべき資料はお示しをいたしております。
  398. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 全く答弁にならないじゃないですか。どういう価額か示せと言っているじゃないですか。これは電電とたばこは違いますから、電電の場合は政府の持ち分が三〇%とかあって、今度の場合とはいささか違います。それで、売却用にするのではないから帳簿価額で構わない、これは口実になりますか。私はならないと思いますよ。第一、さっき言ったように国民の共有財産が民間資本の手に渡るというとき、国民の前に、実はこれは再取得価額あるいは時価でこれこれの値打ちのあるものです、価額のあるものであります、これをまずはっきり示すこと。その上で、しかしこれこれの事情で民間会社経営を考えるときには簿価にした方がいいと考えるという、その事情をはっきり示す。この前段なしに後段だけを言っているから、前段をはっきりさせるのが、国民の前にはっきりするというのがこの問題の一番重要なポイントになってきているではありませんか。
  399. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 例えばこれから先の鉄道営業を完全にやめてしまうのであれば、それはそうした資産を時価として国民の前に明らかにする必要はあるでありましょう。しかし、例えば山手線を我我はやめるつもりはないのです。これから先も運転を続けて、国民の足として活用していただくのです。その山手線の線路敷をなぜ時価に移しかえなければならないのか。これは私は、その後における新会社の税その他の負担等を考えてみても、どうもおっしゃる意味が全くわかりません。
  400. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 国民の財産を民間資本に譲り渡すとき、ともかくこれはこれだけの値打ちがあるものであるということを示す必要があるじゃないですか。その上で、鉄道を続けるためにはこういう理由で簿価にしたいということを、これで伺いを立てるべきじゃありませんか。  今、山手線のことを挙げましたね。村上委員がこの前出した資料というのは、あれは駅の用地ですね。駅の用地で、簿価で言うと実は七十九億円であるけれども今買おうとすれば恐らく十八兆円ぐらいになるであろう。こうすると二千三百二十八倍。こういう二千三百二十八分の一の価額でともかく移るということ。こういうことを国民の前で明らかにすると、こういう分割民営やり方はいいのか悪いのか、これで問題になってくるじゃないですか。もしこんな二千三百二十八分の一の価額で渡さなければ鉄道がやれないというなら、それはそもそも民営化でやろうというのが間違っているのですから、民営化をやめてくださいよ。やめればそんなことは起きないのだから。
  401. 橋本龍太郎

    橋本国務大臣 どうも全く私には御答弁を申し上げたくてもお答えをするすべのないぐらいユニークな御発言だと思います。しかも、その二千何倍という数字を今述べられましたが、駅はこれからも国民が毎日乗りおりをして使うのです。売り払う資産ではございません。
  402. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 もう不動産業界の間では、東日本会社は大変有望だ、ともかく山手線の各駅の駅前の開発は大きな利権になる。その場合、当然駅を、何もなくすなんて言っておりませんよ。走ってなければ大変なことになりますよ。だから、その駅の用地を多角的に利用するとか、もう建設大臣の構想も出たり、あれはどうか知りませんけれども、そういうことになることによって、こういうところで大きな収益が上がるではありませんか。それだけではありませんよ。そういう多角的に利用し実際に含み資産を持っているということによって、それこそこれから抵当権を設定して資金を有利に手に入れて新しい事業に出る、こういう利益がみんなそこから出てくるではありませんか。  最後に一つだけ聞きますけれども、なぜ今度の会社は社債の発行限度、普通の今の限度法でのいわゆる純資産または資本金プラス資本準備金、その二倍までというのが十倍になるのですか。
  403. 林淳司

    林政府委員 これは他の特殊会社、例えばNTTとかたばこの場合でも同様でございますけれども、今回の新しい旅客会社でございますが、これは国鉄の長期債務を、それ相応の長期債務を承継するわけでございます。その場合の大部分の長期債務は鉄道債券でございます。これはいわば会社における社債でございまして、これにつきまして、これを引き継ぐ以上、現在のいわゆる二倍という商法の特例法、これでは適当ではない。したがいまして、それだけのいわゆる鉄道債券というものが引き継げるだけの社債発行の枠を持っていなければいけない。  今後その社債をどういうふうに償還していくかということでありますが、当然その償還に伴いまして借りかえということもあり得るわけでありまして、それをすべてローンというわけにはまいりません。やはり社債発行ということでこれをやっていく必要がある。そういうことから、結局今回の場合は商法の特例を設けざるを得ない、こういうことでございます。
  404. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 NTTのような巨大な資産を持ったのと横並びになるということ自体、いかに含み資産を持って渡すかということじゃないですか。  きょうは、最後のこの表について十分議論したかったのでありますが、これも今度委員会に出された資料に基づいてつくったのです。  要するに、なるべく新会社資産を圧縮する。圧縮すれば、それから資本金というのを売り上げの二割、退職給与引当金、これも決まっている、差っ引く、残りが引き継ぐ債務として非常に少額になる。それに加えて例の新幹線の機構というのをつくって、一層これを圧縮することができて、それで補助金みたいなことで東日本も非常に大きな黒字が出るような仕組みをつくる。そして、そういうことは結局国鉄の全体の負債の大きな部分というのが清算事業団に残り、さらにそれに加えて、鉄建公団や何かわけのわからないものをいっぱい積み上げて、これをみんな国民の負担にする。つまり新会社資産を圧縮することによって、含み資産は大きく出て、そしてそのかわりとして国民はますます大きな負担を受ける、こういうことになるわけであります。  実はこういう全体の新会社、さらには保有機構、基金、清算事業団、こういうもの全体で国民がどんなにひどい目に遭うのか、このことが重要であります。私聞きましたけれども、今度四国でも鉄道がどんどん廃止されれば……
  405. 細田吉藏

    細田委員長 工藤君、時間が参りました。
  406. 工藤晃

    ○工藤(晃)委員 そういうところでもさっき言った三十七兆に積み立てられたその重い負担がかかってくる、鉄道はなくなるけれども税金だけは重くなる、こういうことになるわけでありますから、我が党は、この分割民営化がいかにひどいか一層明らかになったし、これをやめさせなければいけないと考えるわけであります。  これをもちましてやめます。
  407. 細田吉藏

    細田委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。  次回は、明二十三日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十二分散会