○大原(亨)
委員 それは大体一割が二千八百億円、こういうふうに出ておるのですが、かねてから議論されておることなんです。そういうふうに
補助金を
地方に回していくのは、民主的とは言わぬし分権とは言わぬわけですね。
行政改革は「増税なき財政再建」ということが目標なんです、
政府が言っているのは、中曽根さんが言っているのは。しかし、
行政改革というのは、簡素化とか効率化とか公平化とか信頼性とかということを言いましたけれ
ども、そういう
趣旨からいいますと、最近の
国民健康保険において
国庫負担をカットして財政調整率を下げている、それから退職者医療
制度で見込み違いをやる、これは
国民健康保険の中に勘定をつくりましてやっているのですから、
市町村が言うなれば
団体委任事務としてやることになります。それから、老人保健法を三年前のものをさらに
改正しまして、加入者按分率を一〇〇%にするものをどうしてもやるというふうに
政府は言っているんですね。
例えばそれだけをとってみましても、
昭和六十二年には約七千七百億円くらい大企業、大手の組合管掌の健康保険でも出すわけですから、
政府管掌もそれと同じように出して、一兆五千億円くらい。それから皆さん方の共済の短期給付も出すんですね。拠出金をふやしていくんですね。今までは、五〇%以下という議論を三年前に私も予算
委員会等で徹底的に議論して、参議院で修正しました、あなたはおられたと思うのですが。以上であったものを以下にしたわけです。加入者按分率を以下にした。それは、私が提起しましたけれ
ども、
憲法違反であるという議論ですよ。秋田の地裁の
国民健康保険の判決等を引用しましてやったのですが、それを五〇%以下にしまして加入者按分率を四四・七%というふうにしたわけです。半分以下にしたのです。
今度はこれを一〇〇%に上げていく、ことしが八〇で途中九〇で六十五年に一〇〇にするのです。
昭和六十二年でやりますと七千七百億円ほど組合健保がありまして、
政府管掌がそれと同じようにありまして、それで共済の短期給付も拠出金を出すんですね。合計しますと保険料
負担が二兆円近いですよ。一兆九千億円くらいあるんですよ。一方では
所得税減税、
所得税減税と言いながら、片っ方では拠出金
制度を変えて保険料をふやしていく、青天井でふえていく。そして、必要な医療費に至りましては、今
行政監察について言われましたように、GNP以上に増大するだけでなしに、物すごい不平等がある。それをそのままにしておいてああいう老人保健法のようなむちゃくちゃなことをやる。
ここにもありますけれ
ども、亀井正夫という有名な人がいますね。筋を通すところもあるし、むちゃくちゃ言うところもあると思うのですが、あの人は臨調以来ずっとかかわってきているのですよ。土光さんの後継ぎじゃないかと言われるぐらい。この人が健保連のどこかで大演説をしておりました。これは労使がみんな行っておるわけです。今度の拠出金の取り方というのは、社会保険
制度のメリット、
自主性、保険料を出した者がお互いに給付を出して支え合っていくというコンビネーションを崩してしまう、医療費が増大するときに拠出金を青天井で出していくような
制度をつくることは、まさに租税法定主義、保険料法定主義に違反するというふうに、私も言っておるわけですけれ
ども、これからも議論を続けようと思いますが、実質上の増税であって、「増税なき財政再建」という
行政改革の
趣旨に全く反するということを亀井さんは断言して演説をしておりました。私は、その点だけはさすがに筋を通して議論する人だなと思いました。経営者
負担が多くなるということもあるでしょうけれ
ども、しかし増税じゃないかと言っておる。
財政のやりくりをして、その中でマイナスシーリングのしわを実際上福祉に寄せる。これは一部の人のように軍事予算だけのことを目標に置いて私は議論しないですよ。福祉にしわを寄せるというふうなことでやりくり算段をして
制度をめちゃくちゃにする、社会保険
制度の、自分たちで自分たちのものとしてよくやろうじゃないかということについてなくしてしまう、保険料を拠出金というふうに、税金と同じように取り上げてしまう、そして、四、五年後には飽和状態、パンク状況になるというのですよ。そんなことを公然とやっておる。私は、そういう今
政府がやっておることは
行政改革でも何でもない。
地方自治体が引き受けている
機関委任事務、固有
事務で医療費に
関係するものはたくさんあるわけですが、退職者医療についても窓口になっておるのですが、非常に複雑ですよ。この勘定を扱っておるのは
市町村ですけれ
ども、
国民健康保険の中にあるのですから。老人保健法に至りましてもそうなんですね。老人保健は特別会計ですけれ
ども、
国民健康保険としては
市町村がやるということになりますね。私は、これから租税や保険料を
負担する際に、老人保健法のような、稼得能力のない人は税金で見ていくしかない、そして、サービスの点を考えていかなければなりません。そういう改革をしなければいかぬということになります。
そういうことから考えてみまして、私が申し上げたいのは、
国民健康保険
制度は今のままでいかぬわけです。そうかといって、医師会の言うように被用者保険と一本にするわけにいかぬわけです。一元化というのは、
制度は分かれておるけれ
ども整合性があるようにするというのですが、
国民健康保険を大改革をしなければいけない。そのことをやっておいてこういうたくさんの施設をやっていかないと、日本の医療
保障制度は行き当たりばったりということになる。こういうことは、
行政改革といたしましても、分権といたしましても、
権限委譲といたしましても、背景にある国全体の政策としてこれは根本的に大きな問題があるという点を私は
指摘をしておきます。
時間が参りましたから、その
指摘に対しまして長官の御見解を聞きまして、私の質問を終わります。