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1986-11-25 第107回国会 衆議院 内閣委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十五日(火曜日)     午前十時二十八分開議  出席委員    委員長 石川 要三君    理事 北口  博君 理事 竹中 修一君    理事 戸塚 進也君 理事 船田  元君    理事 宮下 創平君 理事 上原 康助君    理事 鈴切 康雄君 理事 和田 一仁君       有馬 元治君    小川  元君       大村 襄治君    河野 洋平君       鴻池 祥肇君    武部  勤君       月原 茂皓君    前田 武志君       宮里 松正君    谷津 義男君       角屋堅次郎君    田口 健二君       市川 雄一君    斉藤  節君       川端 達夫君    児玉 健次君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総務庁長官) 玉置 和郎君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 栗原 祐幸君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         総務政務次官  近岡理一郎君         総務庁人事局次         長       田中  史君         総務庁行政管理         局長      佐々木晴夫君         総務庁行政監察         局長      山本 貞雄君         防衛庁長官官房         長       友藤 一隆君         防衛庁人事局長 松本 宗和君         国土庁防災局長 山本 重三君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         自治大臣官房審         議官      森  繁一君         消防庁次長   山越 芳男君  委員外出席者         警察庁警備局災         害対策官    小山田 潔君         国土庁長官官房         審議官     能勢 邦之君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       林田 英樹君         厚生省社会局庶         務課長     瀬田 公和君         厚生省社会局施         設課長     福田 孝雄君         厚生省社会局老         人福祉課長   真野  章君         厚生省児童家庭         局企画課長   市川  喬君         厚生省児童家庭         局母子福祉課長 柏崎 澄雄君         農林水産省構造         改善局農政部構         造改善事業課長 白井 英男君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         建設省住宅局住         宅総務課長   三井 康壽君         自治省財政局財         政課長     柿本 善也君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ───────────── 委員の異動 十一月二十五日  辞任         補欠選任   住  栄作君     小川  元君 同日  辞任         補欠選任   小川  元君     住  栄作君     ───────────── 十一月二十一日  国家機密法制定反対に関する請願工藤晃紹介)(第一八五四号)  スパイ防止法制定に関する請願伊藤宗一郎紹介)(第一八五五号)  同(内海英男紹介)(第一八五六号)  同(衛藤征士郎紹介)(第一八五七号)  同(榎本和平紹介)(第一八五八号)  同(加藤紘一紹介)(第一八五九号)  同(田澤吉郎紹介)(第一八六〇号)  同(津島雄二紹介)(第一八六一号)  同(長谷川峻紹介)(第一八六二号)  同(畑英次郎紹介)(第一八六三号)  同(堀之内久男紹介)(第一八六四号)  旧台湾出身日本軍人軍属補償に関する請願愛野興一郎紹介)(第一八六五号)  同(石川要三紹介)(第一八六六号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務整理及び合理化に関する法律案内閣提出第一四号)  臨時行政改革推進審議会設置法案内閣提出第一八号)  一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二四号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案内閣提出第二五号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案内閣提出第二六号)      ────◇─────
  2. 石川要三

    石川委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務整理及び合理化に関する法律案臨時行政改革推進審議会設置法案一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の各案を議題といたします。  順次趣旨説明を求めます。玉置総務庁長官。     ─────────────  地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務整理及び合理化に関する法律案  臨時行政改革推進審議会設置法案  一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案  特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  3. 玉置和郎

    玉置国務大臣 ただいま議題となりました法律案のうち、まず地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務整理及び合理化に関する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府は、国、地方を通ずる行政改革を当面の重要課題一つとして位置づけ、その推進に取り組んできているところであります。その一環として、昨年末の閣議決定昭和六十一年度に講ずべき措置を中心とする行政改革実施方針について」において、臨時行政改革推進審議会答申で指摘された機関委任事務及び国、地方を通ずる許認可権限等整理合理化事項について答申趣旨に沿って措置する旨、決定いたしております。  今回は、これらのうち所要法律案を国会に提出するものとされた事項を取りまとめ、ここにこの法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、機関委任事務整理合理化に関する事項としましては、社会経済情勢変化等により実質的な意義が失われたものについては、これを廃止することとし、地方公共団体事務として既に同化定着しており、その自主的な判断によって処理することが適当なものについては、団体事務化することとし、市町村において処理することが効率的であるものについては、これを市町村委譲することとする等、合わせて五十事項措置することといたしております。  第二に、国、地方を通ずる許認可権限等整理合理化に関する事項としましては、性質上全国的統一性等を確保すべきものについても、地方実情を踏まえた事務処理を行うことが望ましいものについては、これを都道府県知事に委譲することとし、十一事項措置することといたしております。  この法律案は、以上のとおり、地方公共団体自主性自律性を強化しつつ、地域の実情に合った総合的、効率的な行政の実現及び事務運営簡素化を図る観点から、機関委任事務及び国、地方を通ずる許認可権限等整理及び合理化を行うため、十一省庁四十三法律にわたる改正を取りまとめたものであります。  なお、これらの改正は、一部を除き公布の日から施行することといたしております。  次に、臨時行政改革推進審議会設置法案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  政府は、さきに述べましたとおり、かねてから行政改革を国政上の緊要な課題一つとして位置づけ、これに取り組んできたところでありますが、引き続き行政改革推進が要請されている現下の情勢にかんがみ、今後とも所要施策実施に努めてまいらなければなりません。  そのためには、各界有識者の御意見を聴取しつつ諸般の施策推進することが、重要かつ有益であると考える次第であります。  去る六月二十七日をもって存置期限を迎え、解散した臨時行政改革推進審議会行革審)も、その最終答申において、国民の全般的な協力を得つつ改革推進を図る観点から、行政改革のための審議機関を引き続き設置することが必要である旨を提言しているところであります。  そこで、政府といたしましては、今般、総理府に改めて臨時行政改革推進審議会を設置することとし、ここに、この法律案提出した次第であります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  今般設置しようとする、いわば「新行革審」ともいうべき臨時行政改革推進審議会は、行政改革に関し臨時行政調査会の行った答申並びにさきに解散した臨時行政改革推進審議会の述べた意見及び行った答申を受けて講ぜられる行政制度及び行政運営改善に関する施策に係る重要事項について調査審議し、その結果に基づいて内閣総理大臣意見を述べるほか、内閣総理大臣の諮問に応じて答申することを任務としており、審議会意見または答申については、内閣総理大臣はこれを尊重しなければならないことといたしております。  審議会は、行政改善問題に関してすぐれた識見を有する者のうちから、両議院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員七人をもって組織することとしております。  また、審議会は、行政機関の長等に対して資料の提出意見の開陳、説明その他の必要な協力を求めることができることとしているほか、特に必要があると認めるときは、みずからその運営状況を調査することができることとしております。  なお、審議会臨時機関として設置されるものであり、政令で定める本法律施行期日から起算して三年を経過した日に廃止されることとしております。  このほか、関係法律について所要改正を行うこととしております。  最後に、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について、一括してその提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  まず、一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  本年八月十二日、一般職職員給与について、俸給及び諸手当改定等内容とする人事院勧告が行われました。政府としては、その内容検討した結果、人事院勧告どおり本年四月一日から給与改定実施することとし、このたび、一般職職員給与等に関する法律について所要改正を行おうとするものであります。  次に法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、全俸給表の全俸給月額を引き上げることといたしております。  第二に、初任給調整手当について、医師及び歯科医師に対する支給月額限度額を二十三万五千円に引き上げるとともに、いわゆる医系教官等に対する支給月額限度額を四万二千五百円に引き上げることといたしております。  第三に、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を一万五千円に、配偶者のない職員扶養親族のうち一人に係る支給月額を一万円に引き上げることといたしております。  第四に、宿日直手当について、勤務一回当たりの支給限度額を、通常の宿日直勤務にあっては二千三百円に、入院患者の病状の急変等に対処するための医師または歯科医師宿日直勤務にあっては一万二千円に、人事院規則で定めるその他の特殊な業務を主として行う宿日直勤務にあっては四千二百円にそれぞれ引き上げるとともに、常直的な宿日直勤務についての支給月額限度額を一万三千円に引き上げるなどの改善を図ることといたしております。  第五に、非常勤委員、顧問、参与等支給する手当について、支給限度額日額二万五千四百円に引き上げることといたしております。  第六に、筑波研究学園都市移転手当の改廃に関する措置についての人事院勧告期限昭和七十一年十二月三十一日に改めることといたしております。  以上のほか、附則において、施行期日俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定することといたしております。  引き続きまして、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。  この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職職員給与改定に伴い、特別職職員給与についても所要改定を行おうとするものであります。  次に、法律案内容について、その概要を御説明申し上げます。  第一に、特別職職員俸給月額を引き上げることといたしております。  具体的には、内閣総理大臣等俸給月額については、内閣総理大臣は百七十六万六千円、国務大臣等は百二十八万八千円、内閣法制局長官等は百二十三万千円とし、その他政務次官以下については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、百四万九千円から九十一万千円の範囲内で改定することといたしております。  また、大使及び公使俸給月額については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使は百二十八万八千円、大使号俸は百二十三万千円とし、大使号俸以下及び公使号俸以下については、一般職職員指定職俸給表改定に準じ、百三万九千円から六十七万五千円の範囲内で改定することといたしております。  さらに、秘書官の俸給月額についても、一般職職員給与改定に準じてその額を引き上げることといたしております。  第二に、委員手当については、常勤の委員日額手当支給する場合の支給限度額を四万五千二百円に、非常勤委員支給する手当支給限度額を二万五千四百円にそれぞれ引き上げることといたしております。  第三に、内閣総理大臣及び国務大臣給与の一部返納について、所要特例措置を講ずることといたしております。  第四に、旧国際科学技術博覧会政府代表俸給月額を百三万九千円に引き上げることといたしております。  以上のほか、附則において、この法律施行期日適用日等について規定することといたしております。  以上が、これら法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 石川要三

    石川委員長 次に、栗原防衛庁長官。     ─────────────  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案    〔本号末尾掲載〕     ─────────────
  5. 栗原祐幸

    栗原国務大臣 ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  この法律案は、このたび提出された一般職職員給与等に関する法律の一部を改正する法律案に準じて、防衛庁職員給与改定を行うものであります。  防衛庁職員給与改定につきましては、参事官等及び自衛官俸給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校学生学生手当一般職職員給与改定の例に準じて改定するとともに、営外手当についても改定することとしております。  この法律案規定は、公布の日から施行し、昭和六十一年四月一日から適用することとしております。以上のほか、附則において、俸給表改定に伴う所要の切りかえ措置について規定しております。  なお、一般職職員給与等に関する法律規定を準用し、またはその例によることとされている事務官等俸給扶養手当宿日直手当医師及び歯科医師に対する初任給調整手当等につきましては、一般職職員と同様の改定防衛庁職員についても行われることとなります。  以上が、この法律案提案理由及びその内容概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 石川要三

    石川委員長 これにて各案についての趣旨説明は終わりました。  この際、暫時休憩いたします。     午前十時四十三分休憩      ────◇─────     午後二時三十一分開議
  7. 石川要三

    石川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出地方公共団体執行機関が国の機関として行う事務整理及び合理化に関する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田口健二君。
  8. 田口健二

    田口委員 私は、法案質問に入る前に、この十日ほど多くの国民が関心を持って注目をいたしております三原山噴火の問題につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。  冒頭に、今回の三原山噴火によりまして被災をされました大島町の町民の皆さん方に、心からお見舞いを申し上げます。  同時にまた、今回の災害によりまして大変な御苦労をいただいております地元大島町当局、さらには政府関係の各機関御苦労に対しまして、心から敬意を表させていただきます。  質問でありますが、最初気象庁の方にお尋ねをいたしたいと思います。  私は、今回の三原山噴火報道をずっと見ておりまして一つ気がついたことがございますが、それは国民の受けとめ方として物珍しいという感じ言葉をかえて言いますと、やや観光気分的な見方でこの問題が受けとめられておったのではないか、その背景には、今回の噴火はまあ大丈夫だ、そう心配するような事態には至らないという考え方があったのではないか。現地からのテレビの報道などを見てまいりましても、溶岩流が内輪山を越えることがあっても外輪山までには到達しないんだ、こういうことなどもしばしば報道されておりました。  ところが、二十一日になって御承知のような大変な大噴火になりまして、島民全員が避難をしなければならないという深刻な事態にまで陥っておるわけでありますが、この背景に、気象庁からの火山情報の伝達という点について非常に不十分な点があったのではないか、あるいは不十分というよりもデータ分析判断において誤りがあったのではなかろうか、私は実はこういう気がしてならないわけでありまして、マスコミの方も、一部に今回の気象庁の対応について批判をする論調というのも見えておるわけでございます。  そこで、お尋ねをしたいのでありますが、今回の三原山における観測体制は一体どのようになっておったのか、そして、そこから出てくるデータ分析についてどのように判断をしておったのか、そのことをまずお尋ねをいたしたいと思います。
  9. 鈴置哲朗

    鈴置説明員 気象庁火山監視体制について御説明申し上げます。  気象庁では、現在、伊豆大島に関しましては、桜島、阿蘇山、浅間山と並ぶ四つの火山、これは精密観測火山と我々は類別しておりますが、十七ある常時監視火山の中で最も力を入れて監視をしている火山一つでございます。  その内容を申し上げますと、御存じのように、地震観測でございます震動観測、これを五台の地震計、要するに五点に配置いたしまして地震観測をしております。これらは、地元測候所大島測候所がこの監視官署になっておりますが、大島測候所にすべてテレメーターされております。二十四時間絶えず監視を続けているわけでございます。それから、現地におきましては、当番が絶えず決められた時間に火山状況測候所から遠望観測というのをしておりまして、噴煙の状況等をいつも監視しております。それから、測候所における監視はそのようなものでございますが、そのほかに現地観測、これを定期的にしております。  それから、やや平常と変わった様子が見受けられるというような場合には、事の大小にかかわらず、直ちに現地観測をいたします。これは臨時観測と申しております。  先ほど申し上げました地震計の五点というのは、地震計は少なくとも三点以上ありませんと、震源その他が決まりません。伊豆大島におきましては、五点の地震計地震のあるたびに可能な限り震源地震の大きさ等を決めてまいりました。監視体制といたしましては、そのように二十四時間絶えず慎重に監視を続けてきているわけでございます。  それで、それらの結果得られました情報につきましては、定期観測に関しましては定期火山情報というのを出させていただいております。そして、臨時観測いたしましたときには臨時火山情報、それから、先ほど申し上げました幾つかの観測の種類がございますが、それらによってある種の異常が感じられた場合には、直ちに臨時火山情報を出しております。  ちなみに、今回、伊豆大島中央火口丘三原山最初噴火でございますが、その異常が見つけられましたのが実は八月の末でございまして、これは十二年ぶり火山性微動という非常に小さな微動が見つかりました。これは十二年ぶりという大変珍しい事件でございまして、それ以来、御案内の十一月十五日の三原山における溶岩噴泉の噴出に至るまでに、臨時火山情報を実は十二回出しております。  これらの情報と申しますのは、普通のいわゆる火山情報臨時火山情報でございますが、これらは市町村それから指定行政機関報道機関その他に直ちに連絡させていただいております。それらを通じて一般市民に周知していただく。  それから、今回も激しい噴火が始まりまして人身に災害が及ぶ、あるいは及ぶ可能性があるというときに出さねばならぬとされております活動火山対策特別措置法による火山活動情報というのを出しておりますが、こういういわば最大級の警報のような感じのものでございますが、火山の場合はまだ予知ができませんので、予報的なことはできないことになっておりますので、すべてこういう情報でカバーしておりますが、活動火山情報というものを出させていただきます。これは直ちに関係都道府県知事担当官署から通報担当官署を通じていち早くお伝えいたしまして防災に役立てていただく。  このような形でずっと対応してまいりましたので、私どもとしては最大努力を払って監視を続けてきたというふうに思っておるところでございます。  以上でございます。
  10. 田口健二

    田口委員 最大努力を払ってきたというふうに言われるわけですけれども、確かに火山予知というのは学問的に見ても大変難しい問題だというふうに私どもも聞いておるわけです。今私がお尋ねをいたしましたのは、いわゆるそういったさまざまのデータ分析等にやはり判断誤りがあったのではなかろうか、こうお聞きをしたのは、十一月二十日に予知連絡会でいわば小康状態という宣言が出されておる、これが非常に多くの島民を初め国民皆さん方一つ安心感を与えていったのではなかろうか。  ところが、ある新聞にこういう記事が出ているのです。現地測候所の所長さんが、「噴火は一時衰えたが、私はこれは小康状態ではないと感じていた。大島町、東京都支庁、大島署測候所共同会議で〝必ず大きな噴火がくる〟と強調し続けた」、こういう実は発言をされておるわけですね。ですから、こういう状況というのは一体気象庁の方で理解をしておったのでしょうか、そしてこの予知連絡会は、こういうものを考えながらあのような小康状態であるという宣言をなされたのでしょうか、その辺を実はお聞きをしたいと思うのです。
  11. 鈴置哲朗

    鈴置説明員 御説明申し上げます。  先ほど申し上げました私ども観測の結果につきましては、情報については私たちが発表させていただきますが、その詳しい内容検討等につきましては、私ども事務局をさせていただいております火山噴火予知連絡会ですべて御検討をいただくことになっております。  それで、今御指摘の点でございますが、小康状態という言葉そのものは大変よい方に向かっているという印象を与えるかもしれませんが、予知連絡会での議論の内容は必ずしもそうではございませんで、現在の状態が小康状態のように見えるという判断でございますので、必ずしもそのような解釈は正しくないのではないかと私は思っております。  御存じだと思いますが、火山噴火予知というのはまだ大変難しい問題でございますので、先生方も随分議論をされ、現状を正しく把握してコメントあるいは統一見解という形で出させていただいておるわけでございますが、実際にはそういった背景で統一見解等が出ているものでございまして、必ずしも安心であるということを表現しているものではないと我々は思っております。
  12. 田口健二

    田口委員 そういう御答弁だから、気象庁は無責任ではないかというやはりマスコミの論調が出てくるのですよ。気象庁はそういう集めたデータだけを予知連絡会に出して、後は予知連絡会の方で勝手に判断をしてくれ、こういう態度ではないかというふうに指摘をされているのですね。  先ほど申し上げましたように、現地測候所の所長という部内の人が、これは問題があると言って発言をしている。ですから、そういうことがなぜ気象庁としてこの予知連絡会の方に反映できないのか、そういう点がやはり非常に無責任な態度ではなかろうかというように私は思うのですが、どうでしょうか。ただ集まったデータだけを連絡会に出して、判断は連絡会でやってくれということだけですか。
  13. 鈴置哲朗

    鈴置説明員 御指摘の連絡会には、実は特別に、伊豆大島の活動も盛んになっておりました関係上、現地官署の官署長である大島測候所長さんも当時の会には臨時委員として出席されておりましたので、恐らく会の雰図気をそのように感じての発言ではないかと私は考えております。
  14. 田口健二

    田口委員 どうも納得できないのですが、そういう答弁ならそれとしまして、今島民皆さん方がやはり一番関心を持っておるのは、いつになったら帰島できるのかということだろうと思います。昨日、この予知連絡会が統一見解というのを発表しておるようですけれども気象庁としては今後の見通しについてどういう判断を持っておられるか、それをお尋ねしたい。
  15. 鈴置哲朗

    鈴置説明員 昨日発表されました統一見解でございますが、今後の推移ということでございますが、先ほども申し上げましたように、火山活動の推移を予測するというのは大変難しいことでございます。ですから、現在の活動状況をいかに正しく把握するかということが一番大事なことでございます。  それで、現在の状況も、去る二十一日、二十二日あたりの活動に比べますとかなり静かな、一見静かな状態にございます。しかしながら、よく活動の状況を見ますと、相変わらず北西から南東へ向かっての軸に沿いましてかなり海の方で盛んな地震活動が見受けられます。それから、御案内のように、特に東測から南にかけてでございますが、周辺の海岸に変色水域が多々見受けられます。それから、ある情報によりますと、温度が少し高いのではないかという情報もございます。それから、筆島の陸側のやや入ったところですが、道路に亀裂が走っている。これも最初見つけたときに比べますとかなり長いものであるということがわかっております。  それから、南東部では傾斜計が、傾斜計というのは地殻の動きを見る計測器の一つでございますが、かなり激しい変化をしている、そういったこともございます。それから、その他、地殻の変動をはかる、体積のひずみをはかる測定器もございますが、そういったもろもろの測定結果を見ておりますと、地表で激しく感じるわけではございませんが、かなり地下での動きが感じられるという状態でございます。  伊豆大島は、歴史的には大きな噴火と言われるのが過去十二回ほどございます。平均しますと百数十年、百二、三十年置きにございまして、その中でも五百年置きにいわゆる大爆発がございます。今回の爆発は、今の状況から見ますと五百数十年前に起きました大爆発に似ておりまして、既に安政の一七七七年の爆発を超えている状況でございます。こういう一つ一つのバリアを超えますと次の爆発に結びつく確率が非常に高くなると言われておりますので、これからはそういったことを、歴史的な事実、それから現状の観測事実を踏まえて、より慎重に、もちろん我々だけの観測データでございませんで、関係省庁でおやりになっている各種の観測データ、結果等を利用させていただく、あるいは十分に連携を保って観測を続けていきたいと思っております。  それで、見通しでございますが、これは大変難しいことでございますけれども火山噴火予知連の統一見解にもございますように、全体としては予断を許されない状況に今はあるというふうに我々は考えております。  以上でございます。
  16. 田口健二

    田口委員 限られた時間でありますので、災害対策本部という立場で国土庁に……(鈴置説明員委員長、訂正がございますが」と呼ぶ)
  17. 石川要三

    石川委員長 訂正してください。
  18. 鈴置哲朗

    鈴置説明員 ただいま一七七七年安政の噴火と申し上げましたが、安永でございます。
  19. 田口健二

    田口委員 災害対策本部としての国土庁にお尋ねをしたいのであります。  一つは、二十一日だったと思いますが、一万人を超える大島町の住民に対して避難命令が出されておるわけでありますが、この避難命令というのはどこで出されたのか、またどういう判断に基づいてこのような全町民の避難命令が出されたのか、さらに政府として災害対策本部あるいは気象庁という機関でこの避難命令が出されるときに関与をしておったのかどうか、これを、今後もこの種のさまざまな状況というものが考えられるという点からも、ひとつお尋ねをしておきたいと思います。
  20. 山本重三

    山本(重)政府委員 今回の伊豆の大島噴火の避難指示は、災害対策基本法第六十条の規定に基づきまして、大島の町長が二十一日の十七時五十七分から二十二時五十分にわたりまして六回にわたって指示したものでございます。  今回の指示に当たりましては、特に大島につきましては従来から火山対策について鋭意その体制を整備しておりまして、地元の町長のほかに東京都の大島支庁長、それから大島測候所長、それから警察署長、この四者協議会が設立されております。この四者協議会でその状況判断して今回の避難指示を出したものと思います。  私どもも、やはりこういった災害に対して的確な避難行動をとるためには災害の発生に対する事前の情報の収集というのは非常に重要であると思いますので、こういう点から私どもも関係省庁と密接な連携をとりながらこの指示等につきまして情報を収集しておりましたが、現地で具体的に指示が出された段階におきましては、現地におけるこの四者の協議において、この四者の中に伝えられました気象庁等からの情報判断しながら的確な指示がなされたものと考えております。
  21. 田口健二

    田口委員 そこで、被災者対策について二、三点お尋ねをしたいと思うのでありますが、今回の場合非常に緊急事態でありまして、島には家畜を初めすべての財産がそのまま置かれたまま、いわば着のみ着のままで緊急的に避難を住民の方はされておるわけですね。そこで、これも報道されておりますように、二十三日からは東京都が派遣をいたしました家畜救助隊であるとかあるいは園芸組合の代表の方などが現地に帰島してこれらに緊急的に対応された、こういう報道もされておるわけです。  今後、先ほどの気象庁の御答弁の中にもありましたように、全く予断を許さないという大変厳しい状態であるということになれば、相当長期化をすることも考えていかなければならないわけで、こういう今申し上げたような点で、やはり一時帰島をしてこれらに対応しなければならないということがずっとふえてくるのではないかと思います。そうなった場合に、これら帰島に要する費用であるとかあるいは交通機関の確保とか、こういうことが問題になってくるわけでありますが、その点についてはどのように対応を考えておられるか、御答弁をいただきたいと思います。
  22. 山本重三

    山本(重)政府委員 今先生お尋ねの一時帰島の問題でございますが、実際に避難された方々はほとんど着のみ着のままで避難されてきております。それで、現在一番皆さんが望んでおることは、やはり一日も早く帰島したいという要望を持っていることも十分私ども聞いておりますが、しかしながら、先ほど気象庁からお話ございましたように、今後の噴火活動については全島的にまだ相当厳重な監視、観察が必要だという状況でございます。そういう観点からしますと、どうしてもやはり、せっかく全員無事に避難したわけですから、私どもとしても、人命第一に、安全の確保を最優先にして、帰島ができるかどうか、そういったものを具体的に検討してまいりたいと思います。  先ほど先生からお話ございましたように、現在、安全面を配慮しながら、例えば具体的に緊急時にはいつでも避難がとれるように、海上保安庁の巡視艇とかあるいは自衛隊の自衛艦あるいはヘリコプター等を配置しながら、家畜の世話を行う方々の代表を一部帰島させることなど実施しておりますが、しかしながら、全島民について現在帰島させるかどうかということは、予知連の昨夜発表されました統一見解から見てもまだそう予断を許す状況じゃございませんから、そういう問題は現在の段階で考えることは非常に問題であろうかと思います。  そういうことで、私どもも今後専門家の判断というものを十分踏まえつつ、また、噴火に関します監視観測体制というものを十分強化しながら、島民の帰島問題というものを十分考えていきたい、その中で今御指摘の問題についても今後検討してみたい。現在におきましては、具体的に例えばきょうも実は消防団八十名を帰島させるということで準備をしたわけですが、これは自衛隊のバートル四機で輸送することで計画しておりましたが、天候の関係できょうは見合わせざるを得ませんでした。そういうことで、現在の段階では自衛隊等の協力を得ながらこの問題を扱っていきたいと考えております。  今後の問題については、情勢の変化を踏まえながら十分検討してまいりたいと考えております。
  23. 田口健二

    田口委員 さらに、東京に避難をされておる方々の生活の問題でありますけれども、これまた先ほどの御答弁によりますと、やはりかなり長期化をするのではないかという懸念があるわけでありまして、現在は体育館などにそれぞれ避難をされておるのでありますが、これから寒空に向かうわけでありますから、現状のままでいいとはだれしも考えないと思うわけでありまして、被災をされた方々の衣食住、この点について、例えば仮設住宅の建設であるとか、そういう点についてはどのように検討されておられるのか、わかればお聞かせをいただきたいと思います。
  24. 山本重三

    山本(重)政府委員 御案内のように、避難が開始されました二十一日の十九時には災害救助法を発動いたしまして、避難住民のために、現在東京都におきましてこの災害救助法に基づきます食料、生活必需品の給与あるいは医療の実施所要の応急措置を講じておるところでございます。  また、避難しております児童生徒の就学の問題が特に避難者の方々で大変心配されております。そのための緊急措置を講じますほか、当面の生活資金に充てるために便宜を供与するため、郵便局の臨時窓口等を開設する等預貯金に関する非常取り扱い、さらには、きょうは、避難者が一時就労等の希望がある場合には就労の受け入れをするというために、労働省におきましては飯田橋の公共職業安定所に就労窓口の開設をするなど、その対応を今進めておるところでございます。  なお、今後これが長期化するかどうかということにつきましては今鋭意検討するところでございまして、まだ現在の段階で具体的な長期滞在の対策を検討するのはいかがなものかと思いますが、私どもは現在の応急対策を推進すると同時に、今後帰島することが困難な場合をも考慮した対策というものをあらかじめ十分検討を始めておいて、避難された方が不安感を持たないように最善の努力をしていきたいということを、きょう十一時に開きました第二回の本部会議で決定したところでございます。
  25. 田口健二

    田口委員 今もお話がありました教育の問題、文部省にお尋ねをしたいと思うのでありますが、小中高校生千八百八十四人というふうに言われておるわけですが、こういった子供さんたちの今日の就学状況はどうなっておるのか。とりわけ進学の時期も非常に間近に迫ってきているわけでありまして、期末試験が一体どうなるのであろうか、こういう声も聞かれておるという大変深刻な問題を抱えておるわけでありまして、これら進学対策を含めて、今日の避難をされてきた方々の就学状況についてお聞きをいたしたいと思います。
  26. 林田英樹

    ○林田説明員 児童生徒の受け入れの問題につきまして御説明をさせていただきます。  先生御指摘のように、大島には現在十二校の小中高等学校がございまして、千八百八十四人の児童生徒が学んでおったわけでございますけれども、いずれも本土の方へ避難をしておるわけでございます。文部省といたしましては、これらの子供たちの就学について遺漏がないようにする必要があるという考え方のもとに、東京都に対しましてこれらの伊豆大島から避難した児童生徒の就学について適切な措置を講じるよう指導いたしますとともに、報告を求めてきているところでございます。  東京都教育委員会といたしましては、小中学校の児童生徒につきましては、児童生徒が寄留する地区にある小中学校に臨時に入学させる、就学継続を図るという方針で、関係の区市町村教育委員会に対しまして文書でもって受け入れについて特段の配慮方を指導したところでございます。  各区等におきましては、現在父母に対します説明会を催しますとか、入学の準備をいたしまして、小中学生の受け入れに万全を期すよう努力をしておるところでございます。近日中に入学が可能になるような体制が整いつつあるというように報告を受けておるわけでございます。  また、高等学校につきましては、現在二校の高等学校があるわけでございますけれども、学校ごとに教員の指導体制を確立いたしまして、適宜場所を確保して教育活動を行うことといたしておるわけでございます。既に、二十七日以降大島高等学校につきましては都立の紅葉川高等学校、大島南高等学校につきましては旧新宿区立の淀橋第二小学校を教育活動の場として予定しておるという報告を受けておるわけでございます。  なお、今御指摘ございました進学の問題でございますが、東京都教育委員会におきましては、目下全力を挙げてこの就学対策ということで緊急措置を講じているところであるわけでございます。仮に噴火が今後長期化した場合、東京都教育委員会としては進学問題にも支障がないように対策を講じてまいりたいというように考えておると報告を受けております。  今後文部省といたしましても、就学の状況等を勘案しながら、これらの教育上の措置が適切に行われますよう指導助言しますとともに、必要な援助をしてまいりたいと思っておるわけでございます。
  27. 田口健二

    田口委員 時間の関係がありますので、一応三原山関係の質問はこれで終わりたいと思います。関係者の皆さん、ありがとうございました。  それで法案でありますが、機関委任事務整理合理化法案についてお尋ねをいたします。  最初に、法案の中身について具体的にお尋ねをする前に、機関委任事務の基本的な考え方、概念というものについて二、三お尋ねをしてみたいと思います。  六十一年四月二十五日の衆議院本会議で、我が党の五十嵐議員が質問をいたしまして、機関委任事務とはまことに疑問の多い制度であり、地方自治法の規定を全部ひっくり返しても機関委任事務という文字は出てこない、現行法制上、国の機関とする規定もなく、任命行為もないのに、単に事務を処理する権能が法律により与えられただけで国の機関になるとはおよそ考えられない、知事が任命制であった戦前の地方制度をそのまま引き継いで制度をつくったことによる、こういうことで、一体、機関委任事務とは何か、法律、政令で一方的に事務を費用もほとんど払わずに押しつけられる根拠は一体どこから来たものであるか、こういう質問をしておるのでありますが、これに対して具体的な回答があっておらないわけです。  一体、機関委任事務というのはどういう内容のものであるのか、どのような根拠によってこのような制度が今日存在をしておるのか、こういう点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  28. 玉置和郎

    玉置国務大臣 私は、前から日本の民主化というものは地方自治を大事にしなければいかぬという論者であります。かつて読んだ本の中に、これはディズレーリの本だと思いましたが、地方自治こそ民主政治の土壌であるということを言っております。ところが、日本の政府というものはもともと朕の政府なんです。天皇の政府なんです。国会を見てごらんなさい。国会は、大臣が本会議で上へ並ぶのですよ。下にずっと民の代表がおるのです。これが朕の政府の象徴的なものです。この辺からそもそも直さなければいかぬ。  そこで、僕は、やはりこの民主政治の土壌である地方自治というものを育てるためには、一遍にはいきません、なかなか長い伝統の中の日本でございますので、それだけに今度の機関委任事務というのは、そういういろいろな御疑問があろうと思いますが、私はこれは民主化を緒につける一つの仕事だと思っておりまして、今度の法案はそういう趣旨のもとに提案を申し上げて、御審議を願うというふうになったわけでございます。
  29. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今機関委任事務の概念につきましての御質問でございますので、これにつきまして簡単にお答えを申し上げさせていただきたいと思います。  機関委任事務というのは、先生御承知のとおり、いわゆる学問的なといいますか、講学上の概念でございまして、いわば個別の事務の類型に着目をいたしましてこういう機関委任事務という言葉を使っておるわけでありますけれども、その内容としては、おっしゃるとおり、法律またはこれに基づく政令の定めるところによりまして、地方公共団体執行機関、これは知事あるいは市長、こうしたような方々が処理すべきこととされた事務でありまして、この事務の執行に当たりましては、主務の大臣の指導監督を受けるということを特徴とする制度であります。確かに、中身としましてその根源はどこから来るかという話になりますと、沿革的な事情もあるかと思います。  今、機関委任事務の費用負担の問題につきまして御質問がありましたけれども、これにつきましては、国と地方の財政負担のあり方を定める基本法である地方財政法におきまして、地方公共団体の執行する事務に要する費用につきましては、機関委任事務であると団体事務であるとを問わず地方公共団体が負担することを基本としながらも、国が進んで費用を負担すべき事項がさらに列挙をされておる、こういうことでありまして、その場合の国が費用を負担する形式としましても、補助金や地方交付税によるなどの種々の状況にあるというふうなことであります。  なお、詳細につきましては、地方自治法あるいは地方財政法の所管官庁であります自治省からお答えをしていただきたいと存じます。
  30. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 お答えいたします。  先ほど行政管理庁の方からお答え申し上げましたように、機関委任事務といいますのは、知事、市町村長その他の地方団体の機関に委任された国または他の地方団体その他公共団体の事務をいう、これが講学上の定義になっております。  この機関委任の制度は、全国的な統一性、公平性の確保などの観点から、国の事務とされましたものにつきまして、地域住民の意向を反映し、地域の実情に即した処理を必要とするなどの事情がありますので、その管理、執行を地方公共団体機関にゆだねたものでございます。  財政措置につきましても、先ほど行政管理庁の方からお答えしたとおりでございます。
  31. 田口健二

    田口委員 一般の国民にとっては、地方自治体が行っておる仕事の中で、これが国の機関委任事務であるとか、これが団体委任事務であるとか、これが自治体の固有事務であるとか、そういうことはわからないのですよね。ですから、住民がさまざまな要求をして、意見を持っておって行っても、今度は自治体の方では、これは機関委任事務ですから私の方には責任がありません、私の方で解決することはできません、国に行ってください、こういうことになってしまったのでは、これは先ほど総務庁長官も言われましたように、まさに民主主義の原点は私も地方自治にあると思うのですが、これはやはり住民の側から見ると、機関委任事務というのは私は大変おかしな制度ではないかというように思うのです。こういう制度というのは廃止をするのが本当ではないでしょうか、その辺をひとつ御見解をいただきたいと思うのです。
  32. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今、機関委任事務につきましていろいろな御議論があることは承知をいたしておるわけであります。  この機関委任事務につきまして検討いたしました昨年の七月二十二日の行革審答申というのがございますけれども、そこで言われておりますのが、この「機関委任事務制度は、国の行政サービスや規制について、全国的統一性・公平性を確保しつつ、地方実情に即した行政を行うもので、地方行政の総合性の確保や、住民に身近な行政機関での事務処理実施が図られるとともに、行政コストの面からも全国に国の出先機関を設けることは不経済であることから、それが正しく活用されるならば有効な制度である」、このような御指摘をいただいておるわけであります。すなわち、機関委任事務制度自体の存続は肯定をしていらっしゃるわけであります。  今先生、住民の立場からというお話がございましたけれども、国と地方の関係というのは、共通の行政目的を実現をしていく、そのためにお互いに責任を分かち合うという関係にあるものと考えておりますけれども、そういう意味において機関委任事務というのは、地方自治の原則と、それから全国的統一性、公平性の確保の原則、この二つの調和を図る上で有効なものであるというふうに考えておるわけであります。また、今後とも、全国的統一性を確保しつつ、地域の実情に応じて処理することが適当な事務というのはあるわけでありまして、地方への権限委任を今後進めていく受け皿としても機関委任事務というのは重要な役割を果たすものだ、このように考えております。  そういう意味で、機関委任事務制度そのものを直ちに廃止することは困難であるわけでありますが、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方自治の尊重の観点に立ちまして、国と地方の機能分担の見直しを推進していくことは行政改革の重要な課題でありますので、今後とも機関委任事務整理合理化、個別の事務整理合理化は進めてまいりたい、このように考えておるわけであります。
  33. 田口健二

    田口委員 全国的な統一性とか公平性ということを言われるわけですけれども、しかし、それは団体委任事務であっても、必ずしも機関委任事務でなくても、国の関与のあり方いかんによっては私は十分その辺は担保できるのではないか、こういうように考えるわけです。  そこで、この団体委任事務にするのか機関委任事務にするのかという基準というものは、一体どのようにお考えになっておるのですか、どこでそういう基準というのが決められているのですか。さらに法案を作成する段階、法令審査の段階でそういうものが機能的にチェックできるのかどうなのか、あるいはそこで決まっていくのかどうなのか、その辺をひとつお尋ねをしたいと思います。
  34. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 個々の行政事務を、国が直轄で行うのか機関委任あるいは団体委任という形をとるのか、これにつきましては、基本的には一つ行政施策を行う場合の行政施策の体系、それに伴います行政事務の性格、あるいは類似の事務との関連性等の観点から決められているわけでありまして、その意味で、個々的にいわば政策体系の中で定まっていくというふうに考えております。  なお、法令の制定に当たりまして、これは各省庁間において協議が行われているわけでありますが、その際、自治省が地方自治に影響を及ぼす国の施策につきまして必要な意見を申し出る権能を有するという立場があるわけでありまして、個別事務につきまして、地方が処理すべきか国が処理すべきか、あるいは機関委任とすべきか団体委任とすべきか、こうしたことについて調整に当たっていらっしゃるわけでありますので、その際の考え方が一つの参考になるのではないかと思いますので、その点については自治省の方から御答弁があるというふうに考えます。
  35. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 事務実施主体を国、地方団体のいずれとするか、機関委任方式で処理するか、あるいは団体事務として処理するかといいますのは、先ほど御説明のありましたように、それぞれの事務の根拠となる法律の立案段階におきまして、それぞれの事務の性質などに応じて決定をしておるところでございます。私どもといたしましては、地方行政にかかわりのあります法令等が立案されるごとに協議を受けておりますので、その法律の立法趣旨等を勘案しながら、その事務の性質等に応じ決定をいたしておるところでございます。  私どもとしましては、基本的には機関委任事務の概念を排しまして、国の責任において処理すべき事務は国の事務地方公共団体の責任において処理すべき事務地方公共団体事務と端的に考えまして、地方公共団体事務とされたものについて、その性質に応じて行政の均等性の確保の観点などから必要な国の措置検討することが最も適切である、こういうように考えておりますが、なお、当面機関委任事務の積極的な整理合理化推進してまいりたい、かように考えております。
  36. 田口健二

    田口委員 五十八年十月六日、これはたしか自治大臣の答弁ではなかったかと思うのですが、基本となる機関委任事務の概念が明確になれば、新しい法律ができる場合にチェックできる、それから第二臨調の第三次答申でも、やはりこのチェックすることについての答申が出ておるわけですね。  ですから、今も総務庁の答弁では、自治省がそこの調整機関的な役割を持っておるような言い方をしておりますが、こういう答申の中にもあるのですが、一体どこの機関でこの機関委任事務についてチェックをするのか、それをひとつお伺いをしたいと思います。
  37. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 機関委任事務の新設につきましては、先ほど申しましたように、法律の企画立案の段階におきます法令協議を通じまして、真に必要なものに限定するという観点から自治省は意見を申し述べているところでございます。  また今度は、既存の機関委任事務整理合理化につきましては、第一に各省庁による見直しが期待されておりますけれども、先ほど御指摘のありましたように、行革審最終答申において、機関委任事務等につきまして見直しを政府全体として着実に推進することとし、各省庁は地方公共団体、民間団体等の意見を徴しつつ、定期的な見直しを推進する仕組みを確立するとされておりますとおり、政府全体による組織的な取り組みが行われることを期待しているところでございます。
  38. 田口健二

    田口委員 今回の法案の中身を見ていった場合、最初に補助金カットありきで、それから機関委任事務のいわゆる団体事務化という方向が出てきておるような気がしてならないのであります。こういうことになりますと、金を出さないからこれは機関委任事務を団体委任事務にいたします、金を出す分についてはあくまでも従来どおり機関委任事務でやっていきます、こういうことになっていくんじゃないか、このような気がしてならないわけですね。その辺はお考えとしてどうでしょうか。
  39. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 この法律機関委任事務の団体事務化をいたしておりますものは、補助率の総合的見直しと関係のあるものはそのうちで厚生省関係の五法律、十八事項であります。機関委任事務整理の関係で合わせて五十事項ございますけれども、今申しました十八事項が今回補助率の総合的見直しと関連を有するものであります。これらの事項は、行革審答申に沿いまして補助金問題検討会の報告を踏まえつつ措置することとしたものでありまして、その際、補助金問題検討会の報告においても述べられておりますとおり、補助率という面からいいますと、補助率は、基本的には、国の当該行政への関与の度合いや関心の強さ、それから地方の住民に与える利益の程度、国、地方の財政状況等を総合的に勘案の上、決定されるというふうに言われておりますけれども、このように事務の見直しと補助率の見直しとは一面において関連する部分もないとは言えませんけれども、すべてがすべてそうであるということは言えないわけであります。  今回の団体事務化は、あくまでも地方自主性自律性の強化を図る観点から、恒久的措置として今回改正を御提案申し上げているわけでありまして、この点では、国、地方の財政状況を勘案しつつ三年間の暫定措置とされております補助率の見直しとは大きく趣旨を異にしておるわけであります。
  40. 田口健二

    田口委員 今度新たに団体事務化ということが出てきているわけですが、これは国の事務であることには間違いはないというふうに感じるわけです。政令で定めるところにより自治体の条例で具体的に決めていく、団体事務化の場合にはそういうパターンになってくるわけですね。  そうすると、これは考えようによっては政令でもって新たに自治体を拘束をしていく。従来のように直接的に国の、主務大臣の指揮監督権でもって関与していくのじゃなくて、政令でもって自治体を拘束していく、これは考えようによったら別の意味での機関委任事務になるのではなかろうか。まさに言われておるような地方自治体の自主性を尊重してやる団体事務というものが求められていくということにはならないのではないかという気もするわけですが、その辺の御見解がありましたらいただきたいと思います。
  41. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 おっしゃるように、今回機関委任事務を団体事務化するに当たりまして、所要の政令を定める旨の規定を盛り込んだものがございます。ただし、その趣旨は、法律に引き続きまして行政の基本的枠組みを示しまして全国の行政水準のレベルを確保するところにあるわけでありまして、その一方では、今まで大変詳細に定まっておりました省令等による基準は、これは簡素合理化をされるということでありまして、全体としましては国の関与は大幅に緩和されるということになっておるものであります。  なお、団体事務化に伴いまして、従来主務大臣の指揮監督があったわけでありますけれども、これが及ばなくなったわけでありまして、そういう意味でも地方自主性自律性が強化されることになるわけであります。
  42. 田口健二

    田口委員 それでは、地方制度調査会の答申、さらには地方六団体の要望事項の中で、整理合理化というものが残されておる件数というのは一体どのぐらい残っているのか、それからそれらについては今後どう処理をされていくのか、まずその辺をお聞きいたしたいと思います。
  43. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 今先生御指摘のように、地方制度調査会あるいは地方六団体等におきましては、繰り返して機関委任事務整理合理化答申、提言してきているところでございます。例えば第十次の地方制度調査会の答申、これは昭和四十年の九月でございますけれども、百二十一項目の機関委任事務整理合理化が提言されております。このうち、今日まで部分的な処理も含めまして措置された項目は五十五件でございます。なお、今回の法改正ができますれば、さらにこの上に十件が加わる、合わせて六十五件ということに相なります。  また、地方六団体がまとめました「機関委任事務のあり方の見直しと整理分類について」、これは昭和六十年二月の提言でありますけれども、現行の機関委任事務のうち機関委任事務として残す必要があるのは八十二事務でありまして、残り四百四十七件は何らかの形で整理されるべきであるという旨の提言をいたしております。このうち、今回の法改正で十六件が措置されることになっております。  なお、現行の機関委任事務につきましては、先ほど来申し上げておりますように、できる限り地方公共団体自主性、総合性を尊重すること、あるいは住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において処理すること等を基本としまして、事務の中に不必要なものがないかどうか、廃止縮小の問題、あるいは指揮監督権を維持する必要がなく団体事務とした方がいいのではないか、いわゆる団体事務化、あるいはまた都道府県から市町村への事務移譲を適当とするものがないかどうか、いわば市町村移譲などの観点からさらにその整理合理化推進していきたいと考えております。
  44. 田口健二

    田口委員 それでは、総括的な質問の中での最後に、機関委任事務と団体委任事務では国の財政責任というのはどう違ってくるんだ、その基準は一体何かあるのか、このことをお尋ねしたいと思うのです。  今までの機関委任事務の中でも、例えば戸籍事務なんというのはほとんど国が財政負担をしておらないのではないかというように思うわけですし、選挙の場合は、これは選挙事務については委託費になるのでしょうか、一応財政的に保障がされている。そのほか国保の事務費であるとか自衛隊募集の事務費であるとか、それからこれは自治省の関係になるんだと思うのですが、交付税の交付事務というのが実際にはやられておるけれども、こういうものについては国は一銭も払ってないというのが現状ではないかと思うのですね。現行の機関委任事務でも、この中身を見ますと国の財政負担というのが非常にちぐはぐになっておると思うのです。  そこで、今申し上げましたように、機関委任事務と団体委任事務では国の財政の責任というのはどう違ってくるのか、変わらないのか、あるいは変わるとすれば、その基準は一体どういう基準で財政負担が決まっていくのか、その辺をひとつお尋ねをしたいと思うのです。
  45. 柿本善也

    ○柿本説明員 お答えいたします。  地方機関委任事務、団体委任事務の財政面から申し上げますと、自治法あるいは地方財政法の規定にございますように、両者はいずれも地方団体において実施されるという点で、両者を財政責任の面では区別しておらないわけでございます。  例えば地方自治法の二百三十二条の規定におきましては、この機関委任事務あるいは団体委任事務を区別しないで、「国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない。」という形で国の財政責任を規定しているわけでございます。あるいは地方財政法におきましても経費負担の責任は地方団体に統一的に帰属させまして、できるだけ地方行政の自主的な運営を確立するという趣旨に基づきまして、これらの団体委任事務機関委任事務あわせまして同法の第九条で、原則的には「地方公共団体又は地方公共団体機関事務を行うために要する経費については、当該地方公共団体が全額これを負担する。」という原則を決めておるわけでございまして、この原則に関する限り両者の事務の差はないわけでございます。  ただ、国の責任ということで、補助金等の面でいいますと、第十条以下で、例えば生活保護とか義務教育のような国と地方で相互に利害があるような事務、あるいは公共事業のように国の計画に基づいて行うような事務、あるいは災害復旧のように局地的に起こるような事務、あるいは先ほど例に出されました国の選挙のような専ら国の利害に属するような事務、それらの経費につきましては、その事務の性格に応じて経費の全部または一部を国が負担するという体系になっておりまして、機関委任事務と団体委任事務という事務の区別とは直接的な関係づけをすることなく、対象事務に対する国の利害あるいは国の関与の度合いというようなものを個別に検討した上で定められている、こういうことでございます。  それから、御存じのように、そういう国庫負担を除きました地方の経費につきましては、最終的に交付税で必要な経費を算出して必要な経費の財源措置をしているという体系になっている次第でございます。
  46. 田口健二

    田口委員 それでは個別法で少しお尋ねをしたいと思います。  まず、児童福祉法の関係でありますが、この二十四条で保育所の入所措置が今度団体事務化をされてくるわけですが、まず条文の解釈についてお尋ねをしたいと思います。  旧来の条文でいきますと、「保育しなければならない。」こういう規定が、今回は団体事務化に伴って「保育する措置を採らなければならない。」というふうに表現をされておるわけです。この辺の違いはどういう意味があるのか、まずお伺いをしたいと思います。
  47. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと存じます。  御指摘の点についてでございますが、特にその条文上意味合いの違いというより、一つの技術的な文章の整理というような観点でございます。内容的に特に変わるという趣旨ではございません。
  48. 田口健二

    田口委員 それでは、この二十四条で団体事務化をすることになったわけでありますが、「市町村は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。」こういうことに改まっていったわけですが、問題は、この二十四条でつくる新しい政令の実は中身ですね。これが非常に重要な問題になってくると思うのですが、これをひとつ具体的にお示しをいただきたいと思います。
  49. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと思います。  政令に定めるところと相なるわけでございますが、政令で基本的な要件を定めまして、その基本的要件の範囲内で条例でお定めいただくということでございます。  政令案につきましては、今後政府部内で検討することといたしておりますが、私ども厚生省としては、現在通知で定めております入所措置基準の基本的な事項を定めることとしたいと考えているところでございます。  例えばでございますが、日中両親が就労している場合あるいはその片親が死亡等によりいない場合、あるいは母親が出産の前後、疾病、心身の障害の状態にある場合、母親が同居の親族を常時看護している場合を定めまして、その他保護者がこれらと同視し得るような状態にある場合につき、地方実情に即して市町村でお決めいただくこととしたい、私どもとしては現在こういう感じで考えております。
  50. 田口健二

    田口委員 それでは確認をいたしますけれども、今厚生省の方で考えておられるのは、児童福祉法による保育所への入所措置基準の内容が政令の中で定められていく内容であるということになりますかね。  そうなりますと、今厚生省の方で出しておる一連の通達というのは当然廃止をされてくる、このように理解をしていいのでしょうか。
  51. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと存じます。  ただいま先生御指摘がございましたように、現在の通達は廃止される格好になるわけでございます。
  52. 田口健二

    田口委員 それから、「政令で定める基準に従い条例」ということになるわけですが、例えばその自治体に保育所が公立、私立を問わず一カ所もない、そういう自治体で、政令で定める基準に従い条例をつくらないということができるのかどうなのか、その辺をひとつお尋ねしてみたいと思います。
  53. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明申し上げます。  保育所がないということでございますと、特にあえて条例をおつくりいただくということまでは出てまいらぬわけでございます。
  54. 田口健二

    田口委員 保育所がないからこういった条例はつくらぬ、そういうこともあり得るだろうということになれば、これは児童福祉法二十四条の中で規定をされている基本的な考え方がおかしくなってくるのではないか。そういうところでそのような該当する子供が出てきたときに、一体どういうふうに措置をするのですか。
  55. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明申し上げさせていただきたいと存じます。  保育所がない市町村の場合でございますが、当該市町村の近隣の市町村に保育所がある場合もございます。したがいまして、私ども管外委託と言っておるわけでございますが、もちろん、保育に欠ける子がありましてそのような措置が必要な場合については、管外委託をしていく場合はこのような条例がありませんと措置ができないわけでございますので、その場合にはやはり条例が必要に相なってくるということでございます。
  56. 田口健二

    田口委員 機関委任事務から団体事務化するわけですから、地方自治体の自主性を尊重しながら、その意味の中において地域のニーズ性といいますかそういうものも十分にくみ上げながらやっていくという基本的な姿勢というものは必要であろうと思うのです。  仮に今のようになったときに、これは機関委任事務ではないのですから、厚生省としては何か指導する根拠というのはあるのですか。これは団体事務化ですから、その自治体でおれのところはそんなものはつくらない、こう頑張ったときに、一体これはどうなるのでしょうか。
  57. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明申し上げます。  地方自治法に基づきます一般的な指導その他がございます。
  58. 田口健二

    田口委員 政令の中身は先ほど確認させていただいたわけでありますが、今後は団体事務化されて地方自治体が具体的にやっていくわけですから、この政令を定めるに当たって当然地方自治体やこれらの仕事に直接携わっておる人たちの意見を聞くべきではないかと私は思いますけれども、厚生省の御見解はどうでしょうか。
  59. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明申し上げます。  今回政令で基準を定めることといたしております入所措置等につきましては、私ども厚生省の方といたしましては、従来通知に基づき実施しているもので既に相当程度地方行政に定着していると考えておりまして、今回の政令の策定に当たりまして改めて地方自治体等の意見を聞くことまではまだ考えていないところでございます。私どもの考えについては、先ほども申し述べたところでございます。
  60. 田口健二

    田口委員 そこで、先ほどもちょっと出てきたのですが、補助金問題検討会報告を見てみますと、入所措置にかかわる団体委任事務の問題について、「多様なニーズにきめ細かく対応できるよう、地方公共団体自主性の尊重の観点から、入所の措置については、団体委任事務に改めることとし、入所対象者についての基本的要件に限って国が定め、具体的要件については、地方公共団体に委ねることとすることが適当である。また、福祉施設の最低基準及び費用徴収基準については、できる限り簡素・合理化する必要がある。」このように言っているわけです。  このことの趣旨を考えてみた場合に、団体委任事務化に当たって保育所などの措置水準が低下するようなことがあってはならない、このように理解するわけでありますが、厚生省のお考えを聞かせていただきたいと思います。
  61. 市川喬

    市川説明員 児童福祉法全般にかかわる事項でございますので、私の方から御説明をさせていただきたいと思います。  御引用になりました補助金問題検討会報告でございますが、私ども、今回の法律改正もこの報告の趣旨にのっとりまして検討いたし、御審議に供するように提案いたしておる次第でございます。  御指摘にもございましたように、この報告の趣旨にものっとりまして今回児童福祉施設への入所措置等事務を団体事務化いたしたわけでございます。この目的でございますが、御案内のように多様な福祉ニーズにきめ細かく対応できますように、地方公共団体自主性を尊重する観点から法律改正をしようという趣旨でございます。  ただいま私どもの方からも御説明申し上げましたように、児童福祉施策の基本的な枠組みは児童福祉法の法令でしっかりと規定をしておるわけでございます。したがいまして、私ども、あるべき児童福祉水準の確保は万全であろうというふうに考えております。また、地方公共団体におきましても保育所等児童福祉行政は定着をしておるわけでございますので、そういう事情をいろいろ勘案いたしますと、今回の改正によりまして児童福祉の水準が低下することはないというように私どもは考えておる次第でございます。  次に、施設の最低基準でございます。これにつきましても、御指摘ございましたように、検討会の趣旨にのっとりまして私どもその最低基準の簡素合理化をただいま検討中でございます。今後関係審議会の御意見等も伺いながら検討を進めていきたいと思っておるのでございますが、あくまでも入所児童の処遇の水準の低下を来さないということを前提にいたしまして、地域の実態等に即して施設自体の創意工夫がより生かせるようないわゆる基準の簡素合理化検討してまいりたいと考えておるわけでございます。  最後に、費用徴収基準でございますが、御案内のように、今回の改正によりまして保育所を含め児童福祉施設の費用徴収に関する事務地方公共団体の団体事務ということになるわけでございます。これは実は現行の制度下におきまして老人福祉施設などの他の社会福祉施設関係の費用徴収事務が既に団体事務化されておりますので、それに倣って改正をしたという経緯もあるわけでございます。今回の改正によりまして、従来は国の指揮監督を受けて地方公共団体が費用徴収を行っていたのでございますが、今後は地方の自主的判断により費用徴収事務が行われ、これに伴いまして国から示します費用徴収基準の意味も従来とは異なりまして、措置費の国庫負担の精算を行う場合の精算基準という意味になるわけでございます。  以上でございます。
  62. 田口健二

    田口委員 そうしますと、児童福祉施設最低基準施行について、この省令を今後見直しをしていくということになるのか。また、費用徴収の問題で、「児童福祉法による保育所措置費国庫負担について」という通達、さらには「児童福祉法による収容施設費国庫負担金の交付基準について」、これらに関連をして徴収金基準額というものをこれから見直していくことになるのかどうなのか、この辺をお尋ねしたいと思います。
  63. 市川喬

    市川説明員 ただいま御説明申し上げましたように、児童福祉施設の最低基準の簡素合理化検討を行っておるわけでございますが、この結論が出まして簡素合理化すべき事項というものが出てまいりますと、御指摘の最低基準に関します省令を改正いたす、こういう手続になろうかと思います。  それから、費用徴収の方でございますが、先ほども申し上げましたように、国から示します費用徴収基準の意味が変わるわけでございまして、現行では、私ども示しております費用徴収基準、先ほど御指摘の通達によっておるわけでございますが、これは措置費の国庫負担の精算を行う場合の算定基準ではありますが、同時に、現在機関委任事務下におきまして、地方公共団体がこれに従って費用徴収をしていただきたいという基準の意味も持っておるわけでございます。今後費用徴収自体は各地方公共団体が自主的な判断でおやりになるということになりますので、厚生省から示します基準は、措置費の国庫負担の精算基準としての意味にとどまるということになるわけでございます。  そこで、御引用になりました通達等変えるのか、特にその金額等変えるのか、こういうことでございますが、保育所及びその他の児童福祉施設の費用徴収基準でございますが、これにつきましては、金額につきましては、御案内のことと思いますが、例年措置費の単価アップなどに伴いまして所要改定を行っておるわけでございます。このような例年の改定は別にいたしまして、今回費用徴収事務が団体事務化されるということに伴う改正といたしましては、従来から要望等のございます事務処理件数の多い保育所の徴収基準につきまして、費用負担の階層区分を簡略化いたしまして、地方公共団体事務の便宜を図る方向で現在検討中でございます。  以上でございます。
  64. 田口健二

    田口委員 そうしますと、その児童福祉施設の最低基準については簡素合理化ということで今検討中である、したがって、検討の結果によっては当然これが見直しということも出てくるわけですね。  そこで、先ほど確認しましたように、こういう簡素合理化によって措置水準の低下があってはならない、このことについては確認できますか。
  65. 市川喬

    市川説明員 御説明いたします。  先ほど御説明申し上げましたとおり、私どももそういう考え方で現在検討しておる段階でございます。
  66. 田口健二

    田口委員 そこで、後段のお答えのところが私は非常に問題になってくるのではないかと思います。徴収金の基準については、団体事務化をするわけですから、それぞれの自治体でもって今後そのものが決められていくということになれば、それは今日の自治体間による財政力の格差あるいはいろいろな考え方、今日でもかなりのところが基準を上回って徴収をされておるというふうにも聞いておるわけですが、この辺に対する自治体に対する指導といいますか、その辺はどのようにお考えでしょうか。
  67. 市川喬

    市川説明員 費用徴収については、先ほど御説明申し上げましたように、今後は地方公共団体が独自に金額等を設定されて徴収されるという建前になるわけでございます。ただ、地方公共団体がそういう基準を定められる際の参考に供するために、私ども国といたしまして準則等の形でお示しをしたいということを考えております。こういう方法をとることによりまして地方公共団体の円滑な費用徴収が行われますように助言指導をしてまいりたい、こう考えております。  さらに、私ども、先ほども申し上げましたが、児童福祉行政、長年の歴史がございまして、地方公共団体に相当同化定着をしておるというふうに認識をしておりますので、地方公共団体におきます児童福祉に関する関心なり認識も十分高まっておるというふうに考えておりますので、適切、妥当な費用徴収が行われるものと考えておる次第でございます。
  68. 田口健二

    田口委員 この五十六条関係で一、二お尋ねをしたいわけですが、従来の旧条文では、この二項の最後のところですけれども、「当該費用は、前項の区分に従い、国、都道府県又は市町村が代わつて負担しなければならない。」こういうふうに規定をされておったものが、「その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を徴収することができる。」というように改めておるわけですね。従来の、「国、都道府県又は市町村が代わって負担しなければならない。」というのが消えているわけです。  じゃ、この部分は一体だれが負担をするのかということになるわけですが、これはどうでしょうか。
  69. 市川喬

    市川説明員 児童福祉法の五十六条の改正でございますが、これは、この条文の表現でございますが、実は費用徴収の事務が、先ほども申し上げましたが、既に団体事務とされております老人福祉法等の他の福祉関係法の当該規定とその表現を合わせたものでございます。ちょうどその表現が改正前と改正後では表と裏という関係にあるわけでございますけれども、意味自体は同じと申しますか、国なり地方公共団体の負担の責任あるいは行政の責任という点では変わらないわけでございまして、改正後も、施設入所等の措置に要しました費用から費用徴収による徴収金を控除した残りの金額につきましては、改正前と同様、国、地方公共団体が児童福祉法の他の負担規定によりまして負担義務が生じておりますので、国なり地方公共団体行政責任と申しますものは、この規定の変更によって何ら変わるものではないというふうに理解しております。
  70. 田口健二

    田口委員 同じく五十六条の三項の中で、旧条文では「児童福祉司、社会福祉主事又は児童委員意見を聞き、本人及びその扶養義務者が負担することができないと認める額を控除した額」云々とあるわけですね。ところが、新しい条文の中ではその「児童福祉司」以降が消えてしまって、「本人又はその扶養義務者に対して、その負担能力に応じ、その費用の全部又は一部を」云々ということになっているわけですね。これは、削除をされたこの意味はどういうことでしょうか。こういう、意見も聞かずに、その負担能力というものを勝手に判断してこういうことを命ずることができるというふうにも受け取られるわけですが、この辺の意味をひとつお尋ねをしたいと思います。
  71. 市川喬

    市川説明員 御指摘のございました意見聴取の部分でございますが、これにつきましては、実は児童福祉法の制定当初は、費用徴収に際しましての負担能力の認定の仕方といたしまして、対象者の個々の資産を個別に調査するという方式によっていた時代があったわけでございます。その当時は当該規定の意味があったわけでございますが、昭和三十三年度以降は所得税などの税制による方式がとられております。この方式によりますと、社会福祉主事等の意見を聞くまでもなく、客観的かつ合理的な基準に基づき負担能力を認定することができるというふうに考えておりまして、御指摘の条文につきましては、現在では余り意味を持っておるものではないというふうに理解しておるわけです。  さらに、繰り返し申し上げますが、既に費用徴収事務が団体委任事務となっております老人福祉等の他の社会福祉各法の当該規定もこのような条文になっておりますので、これに倣ったわけでございます。今回、費用徴収事務地方判断による事務に改めるということになりましたので、負担能力の認定手続についても地方にお任せするという趣旨で削ったわけでございます。
  72. 田口健二

    田口委員 それから、現行法の五十八条関係で審査請求さらには再審査請求という制度が廃止になっておると思うのですが、これは当然残すべきではないか。団体事務化ということもあろうかと思うのですが、少なくとも異議申し立てという条項はやはり挿入すべきではなかろうかと思うのですけれども、この辺の審査請求が廃止された理由についてお尋ねをいたしたいと思います。
  73. 市川喬

    市川説明員 御指摘の現行の児童福祉法の五十八条の三と五十九条でございますが、これは現行の措置事務等が機関委任事務であるという前提で、不服審査につきましても当然に審査請求の対象となるという前提に基づいて設けられている規定でございます。しかしながら、今回の改正によりましてこれらの措置事務等は機関委任事務ではなくなりますので、不服審査につきましても異議申し立てが原則ということになりましたので、これらの規定は削除したものでございます。  さらに、異議申し立ての条文を児童福祉法に置くべきではないかという御指摘でございますが、これは御案内のとおり、団体事務化ということで、その事務執行につき不服のある者は、行政不服に関します一般法であります行政不服審査法による異議申し立てができるわけでございますので、他の法令等も参考にいたしまして、特段当該児童福祉法で規定を置く必要はないというふうに考えた次第でございます。
  74. 田口健二

    田口委員 老人福祉法の関係で二、三お尋ねをしたいと思うのです。  第十一条の第一項二号ですが、この中で、「精神上又は環境上の理由及び経済的理由」として「(政令で定めるものに限る。)」、の「政令で定める」というのは、上の条文でいくならば「経済的理由」というところにだけかかわってくるのかどうなのか、その前段の「身体上若しくは精神上又は環境上の理由」というところまでかかわってくるのか、そのことをまずお尋ねをし、「経済的理由」というところにだけ限定をされるということになれば、なぜこのようなことが政令で定めることになるのか、あるいはその政令で定める内容についてはどういうことを考えておられるのか、そのことをまずお聞きをしたいと思います。
  75. 真野章

    ○真野説明員 お答えいたします。  養護老人ホームの入所の措置要件でございますが、「六十五歳以上の者であつて、身体上若しくは精神上又は環境上の理由及び経済的理由(政令で定めるものに限る。)により居宅において養護を受けることが困難なもの」ということになっておりますが、「政令で定めるもの」は「経済的理由」に限るというふうに私どもは考えております。その理由は、経済的理由が法律上なかなか明らかでないということでそれを補う、また、経済的理由を法律上決めておりません特別養護老人ホームとの均衡を勘案して政令で定めるということにしたものでございます。  それから、その中身でございますが、私ども、これから政府部内で検討させていただきますが、内容につきましては、今考えておりますのは、生活保護法による保護を受けている世帯に属する場合など、現在社会局長通知で示している内容を政令で定めたいというふうに考えております。
  76. 田口健二

    田口委員 今もちょっとお話がありましたが、特別養護老人ホームの入所に関しては政令で定めるという特段の規定を設けなかった、もう一度これの関係を教えていただきたいと思います。
  77. 真野章

    ○真野説明員 お答えいたします。  特別養護老人ホームの入所要件は、「六十五歳以上の者であって、身体上又は精神上著しい障害があるために常時の介護を必要とし、かつ、居宅においてこれを受けることが困難なもの」というふうになっておりまして、昭和三十八年以来その中身を通知でお示しをいたしておりまして、福祉事務所においては十分その内容を周知されているということから、今回、政令ということは限定を設けなかったものでございます。
  78. 田口健二

    田口委員 それから、お尋ねをしますが、昭和五十九年の九月二十日付の局長通知だと思いますが、「老人ホームの入所判定について」という通知が出されておると思いますが、これの扱いは今後どういうふうになってきますか。
  79. 真野章

    ○真野説明員 お答え申し上げます。  団体事務化に伴いまして、今先生のおっしゃられました「老人ホームの入所判定について」という昭和五十九年の社会局長通知につきましても所要の見直しを行いまして、私ども実施主体に入所判定の際のガイドラインとしてお示しをする予定でございます。ただ、このガイドラインは、現在のようにそれに拘束をされるというものではなくて、参考にしていただくというものでございます。
  80. 田口健二

    田口委員 それから、同じく第四号の養護受託者に関して、「政令で定めるもの」というのが挿入をされておるわけですが、その考え方と中身についてお尋ねをいたします。
  81. 真野章

    ○真野説明員 お答えいたします。  お尋ねの養護受託者につきましては、現在法律上、「老人を自己の下に預かって養護することを希望する者であつて、都道府県知事、市長又は福祉事務所を管理する町村長が適当と認めるものをいう。」という内容になっておりまして、法律上その内容が明確にならないということで、「政令で定めるもの」というものを挿入させていただいたわけでございます。  現在私ども検討中の政令は、養護受託者の内容につきまして基準を示しておりまして、例えば、身体的、精神的に健康な状態であるとか、その住居の規模、構造及び環境が老人の健康な生活に適することといった内容の政令を予定いたしております。
  82. 田口健二

    田口委員 第十一条で新たに「(老人ホームへの短期間入所等)」という項が設けられておるわけですね。これについて、短期入所などの基準を「政令で定める基準」、こういうことになっておるわけですが、その内容はどういうことになっておりましょうか。  それからまた、入所施設についても、「養護老人ホーム、特別養護老人ホームその他厚生省令で定める施設」ということになっていますが、これはどういう施設を指しておるのか。さらにまた、入浴などのデイサービスについても同じように「厚生省令で定める施設」、こういうことを言っているわけですが、これはどういうところを指すのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  83. 真野章

    ○真野説明員 お答えをいたします。  今回新たに入れていただきました条文のショートステイ、デイサービスの政令による基準でございますが、私ども現在検討いたしておりますのは、ショートステイを行う場合の理由でございますとかデイサービスの対象者の範囲、そういうものを規定する予定でございます。例えば、介護者の疾病、出産、冠婚葬祭等によりましてお年寄りの介護ができなくなるというような要件とか、デイサービスの場合には、身体が虚弱などのために日常生活を営むのに支障がある者というような規定を考えております。  それから、ショートステイにつきまして厚生省令で定める施設につきましては、現在ショートステイが養護老人ホーム、特別養護老人ホームで行われておりますので、当面厚生省令でそれ以外の施設を規定する予定はございませんが、将来的には軽費老人ホーム等もショートステイができる体制が整えば対象とするということも考えられるかと思っております。  それから、デイサービスにつきまして厚生省令で定める施設は、現在デイサービス事業は養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、老人福祉センターで実施をしていただいておりますが、デイサービス専用の施設でも行われておりますので、厚生省令ではこのような単独設置型のデイサービスセンターを規定することを現在考えております。
  84. 田口健二

    田口委員 そこで、最後になりますけれども、もう一度改めて確認をする意味でお尋ねをしたいと思うのでありますが、言うならば、機関委任事務から団体事務化をしていく、そういう中で、児童福祉法においてもあるいは老人福祉法においても、「政令で定める基準」ということが随所に出てくるわけですね。ですから、冒頭私も申し上げましたように、この「政令で定める基準」というものが、内容いかんによってはこれによって自治体を拘束し、いわば形の変わった機関委任事務ということになっては大変なことになる。したがって、「政令で定める基準」という「政令」についてはどういうものを決めていくかという点を、ここでひとつ総括的にもう一度確認をいたしたいと思います。
  85. 市川喬

    市川説明員 児童福祉法関係について御説明を申し上げますが、先ほど保育所につきましては母子福祉課長の方から御説明申し上げましたように、対象者の範囲等につきまして法律規定だけですと不明確でございますので、その範囲をより明確かつ具体的にするという政令を現在検討中でございます。  なお、児童福祉法関係でもう一つ、障害児童の短期入所、デイサービスにつきまして、「政令で定める基準」という規定がございますが、これも当該事業の運用の実態を踏まえながら事業の基本的な要件を定める、こういうスタンスで現在検討中でございます。  いずれにいたしましても、法律趣旨に沿って法律規定なり趣旨なりをより明らかにする、より具体的にする、そういう趣旨でこの二つの政令を決めたいというふうに考えておる次第でございます。
  86. 田口健二

    田口委員 その施設基準に関連してでありますけれども行革審の場合に措置施設の最低基準の見直し、廃止の検討という方向を出しているわけですが、法律十七条の、地方社会福祉審議会意見を聞き施設の基準を定める規定というのはどうなっていくのだろうか、このことをお尋ねしたいと思います。  それから、基準の中で、在宅福祉の中軸を今まさに担っておる家庭奉仕員、この方々についての何らかの配置基準といいますか、これをきちっと決めるべきではないかというふうに考えるわけですが、その辺についてはどうでしょうか。
  87. 福田孝雄

    ○福田説明員 今お尋ねの最低基準の件でございますけれども、最低基準につきましては、社会福祉施設としての必要な最低限度の設備、運営を規定しておるものでございますので、これにつきましては、入所措置事務が団体事務化された場合でありましても引き続き定めていく必要があるというふうに考えております。  しかしながら、その内容につきましては、入所者等の処遇水準を低下させない範囲内でできるだけ簡素合理化をするように考えているところでございます。
  88. 真野章

    ○真野説明員 お答えいたします。  家庭奉仕員の件でございますが、家庭奉仕員の派遣事業は第一義的には市町村事業でございますので、各市町村において増員その他適当な対応が図られるべきものと考えておりまして、厚生省といたしましても、ここ数年、千六百名から千九百名という家庭奉仕員の増員措置を予算上講じておりますので、そういう市町村の適正配置を助成するバックアップの仕組みはできておりますので、そういう家庭奉仕員の計画的配置を市町村に指導してまいりたいというふうに考えております。
  89. 田口健二

    田口委員 民生委員の委嘱の問題は、自治法の別表第三の中で機関委任事務である、こういうことになっているわけですが、福祉サービスというのは、今回の法改正でもそうでありますが、次第に団体事務化をされていくということになれば、今日の自治体関係の福祉ということに非常に大きな役割を今果たしておるこの民生委員の方々の選任の問題、これは機関委任事務から外すべきではないかという考え方もあるわけですが、この辺について厚生省はどのようにお考えになっておるでしょうか。
  90. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 確かに先生の御指摘のように、民生委員の推薦でございますとか指揮監督でございますとか指導訓練の実施等につきましては、機関委任事務ということになっております。民生委員は、先生御承知のように、社会奉仕の精神を持って社会福祉の第一線において保護指導等の任務を担当しております民間の方々でございまして、この民生委員の仕事というものは、社会福祉の増進におきまして極めて重要であり、かつ御苦労の多いものだというふうに考えております。  こういったことから、社会福祉につきまして全般にわたりまして責任を持つ厚生大臣が委嘱を申し上げて任務の遂行をお願いするということが最も適当であるというふうに考えまして、今日まで機関委任事務として取り扱ってきたものでございまして、現時点では、いろいろ御論議があるということは承知しておりますけれども、直ちに機関委任事務を廃止するという考えは持っておらないわけであります。
  91. 田口健二

    田口委員 最後に、身体障害者福祉法の関係で一つお尋ねをしたいと思いますが、補装具の交付ということで、この中身を少しお尋ねをしたいと思うのであります。  条例でもって団体事務化をされていくわけですから、地方公共団体の自由意思で、いろいろな住民のニーズに対応する、こういう意味で自由に中身について条例で制定をすることは構わないのかどうなのか、この補装具の中身の問題についてお尋ねをしたいと思います。――担当者が出席をしてないそうですから、後ほど直接この点について答えをいただくことにしたいと思います。  ちょっと時間がありますけれども、以上をもって私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  92. 石川要三

    石川委員長 斉藤節君。
  93. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 まず最初に、伊豆大島災害に関する政府の対策について質問申し上げるわけでありますけれども、今回このような災害に被災されました住民の方々に心からお見舞い申し上げる次第でございます。  そこで、去る十一月二十一日、二百年ぶりに大噴火いたしました三原山災害のため、全島住民の約一万三百人の方々とそれから観光客約二千人の方々に対し島外への避難命令が出され避難したわけでございます。現在、静岡県側に避難した住民も東京都内に全員収容されているわけでありますが、今回の政府の対策について質問いたしたいと思うわけでございます。  その前に、まず、日夜奮闘努力しておられます関係省庁の方々、また東京都並びに被災しました伊豆大島の人々、その関係の職員の方々、それからさらに静岡県の職員の方々、こういった方々に、その労に対しまして心からお礼を申し上げるものであります。また、民間の方々も大分御協力いただいているわけでありますので、そういった方々に対しましても心からお礼申し上げる次第でございます。  さて、ここで総務庁長官お尋ねいたしますけれども、国としてこの問題にどう対応していく所存なのか、まず決意のほどをお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  94. 玉置和郎

    玉置国務大臣 僕は、気象庁に聞いたりあちこち聞いたりして最後に私に回ってくるのかと思ったら、トップに聞かれてびっくりしておりますが、これはさっき気象庁が答弁しておりまして、気象庁気象庁なりにやっておると思います。  しかし、けさの閣議の内容を御報告申し上げますと、総理以下非常に深刻に受けとめてこれをやっております。関係各省の大臣もそれなりの対応をいたしております。しかし、私をして言わしむれば、一国務大臣として言うのですが、きょう私は閣議では黙っておりましたが、これは事後報告がほとんどであります。一番大事なのは、これからこういう事態が起こったらどうするんだ、こういう事態が起こったらどうするんだ、最悪の場合はどうするんだという、こういう少なくとも三段階に分けた対応というものを、今から各省協議して練られなければならぬと思う。  非常にお気の毒な大島の立場でございます。テレビを見ましても、本当に胸が詰まるような思いをいたしておりますので、そういうことについては、きょうの議論を踏まえて、私の方からも次の閣議で御報告申し上げて、内閣委員会でこういうやりとりがありましたよということを申し上げたいと思います。  最後でありますが、先生方から、関係各省、また民間の人たちに対して大変手厚いお礼の言葉があったということも添えて御報告を申し上げたいと思います。
  95. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 どうもありがとうございました。  今、総務庁長官言われましたように、連絡、報告、それに対する対応というのは非常に重要な問題だと思うわけでありますけれども、そこで、国土庁にお尋ねいたすわけであります。  きのう、十一月二十四日でありますけれども火山噴火予知連絡会が発表いたしました統一見解によりますと、今後さらに引き続いてかなりの規模の噴火が発生することが懸念されることなどから、住民の帰島問題は、今後予想される火山活動の激化を考えると、島民の避難が二十一日夜にも増して緊急にできる体制を考えないといけない、このように言っているわけでありまして、そのようなことから、現時点で帰島した場合の危険が極めて高いことをここで示唆しているわけであります。避難してもう既に五日目に入っているわけでありますが、これは私の予想では長期化の可能性が非常に濃厚じゃないかな、こう思うわけでございますけれども、どのような判断をしておられるのか、まずお聞きしたいと思います。
  96. 能勢邦之

    ○能勢説明員 ただいまお話ございましたように、伊豆大島の現状につきましては、昨日の火山噴火予知連絡会の統一見解によりますと、海岸での水蒸気爆発に引き続き山頂火口の活動が活発化した場合には、結論として島内広域に危険が及ぶことも考えられる、そういうことで、今後の火山活動の推移については厳重な警戒、監視が必要であるということで、非常に厳しい見方が出されているわけでございます。  政府として去る十一月二十一日に設置をいたしました伊豆大島噴火対策本部が、実は本日も第二回目の本部会議を十一時から開催いたしまして、気象庁の今申しました火山噴火予知連絡会の統一見解をもとにいろいろな情報を交換し、対策について議論をいたしたわけでございますが、今御指摘のございましたこれからどうするんだということにつきましては、次のような当面の重点事項ということで本部で申し合わせをいたした次第でございます。  その内容は、避難住民への応急対策については、避難住民の不安が解消されるようきめ細かい配慮をしつつ、第一回本部会議で決定された当面の重点事項推進するとともに、直ちに帰島することが困難な場合をも考慮した対策を検討するということで、当面の重点項目ということで申し合わせまして、各省それぞれ対応に万全を期そうじゃないかということにいたしておる次第でございます。
  97. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういう重点項目について各省が対応されるということは大変結構なことだと思うわけであります。  そこで、建設省の方にお尋ねいたします。  中曽根総理は、安全な場所を探して可能なところから帰島させるよう指示しておられるようでありますけれども、先ほど申しました予知連の見解からもわかりますように、総理の言われているようなことは当分見込みがないのじゃないかなと私は思うわけであります。そうなりますと、避難してこられました住民の方々の住宅の問題を考えてやらなければならないのじゃないのか、そのように思うわけでございますけれども、建設省としてどのようなお考えでおられるか、お聞きしたいと思うわけでございます。
  98. 三井康壽

    ○三井説明員 住宅対策につきまして御説明をさせていただきたいと思います。  現在約一万人の方、四千世帯の方が島外に御避難になっておられるわけでございます。長期化をするかもしれないというふうな予想がございますので、これに対します住宅対策をどうするかというのは大きな問題として出てきているわけでございます。  通常、災害がございますと災害の応急仮設住宅というのを建てまして、入居期間二年間くらいでございますがお入りいただいて、災害の被災対策が終わりましてからまたお戻りになる、あるいは公的な住宅にお入りになる、こういった措置を講ずるのが通常でございます。したがいまして、災害救助という観点からの応急仮設住宅の建設につきましても都あるいは厚生省において御検討が進んでおると思うわけでございますけれども、建設省といたしましても、これに加えまして公営住宅でございますとかあるいは供給公社、公団といった公共住宅につきまして、現在入居しておらない住宅というのもございます、そういったものも大いに活用するという方向で、都、あるいは都に限らずに関係の隣県あるいは公団、公社と相談をいたしまして、十分な対策ができるようにしたいというふうに検討を開始しているところでございます。
  99. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういう公営、公団の住宅などであいているところで間に合えば結構ですけれども、プレハブ住宅なども建てなければならないような事態が起こるかもしれない、そういうような場合は予算とかなんとかどういうふうになりますか。
  100. 三井康壽

    ○三井説明員 ただいま御指摘のプレハブ的な仮設の住宅というのは、私が御答弁するのもなんでございますけれども災害救助法に基づきまして厚生省の方で応急仮設住宅という相当程度国費でやる制度がございます。ただ、これを直ちに適用できるかどうかというのは厚生省の方で御検討なさっておられるわけでございまして、これだけでは足りないということで、建設省として、公共住宅につきまして、既に存在する住宅があるわけでございますから、これに入っていただくということも前向きに早く検討したいということで、関係県に要請、指示をしているところでございます。
  101. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では次に、厚生省にお尋ねいたしますけれども、避難住民の健康保持のためにどのような対策を講じようとしておられるのか、また衛生管理はどのようにしているのか、その対策について。特に老人だとか幼児あるいは病人の方、あるいは妊産婦も入るわけでありますけれども、こういういわゆる体力的に弱い立場にある人々に対してどのような対策を講じようとしておられるのか。それからまた保育園児についてもどのような対策があるのか、その辺を含めて御答弁願いたいと思います。
  102. 福田孝雄

    ○福田説明員 今お尋ねの避難住民の中で御老人であるとかまた病人であるとか、そういう社会的な弱者に対する対応でございますけれども、まず、大島町には特別養護老人ホームが一カ所ございます。老人ホームの入居者六十八名いらっしゃったわけでございますが、この方たちは既に避難を済ませておりまして、うち六十七名の方が既に東京都または下田の病院の方に入所されておるところでございます。残る一名の方につきましては家族に引き取られておるという状況でございます。  また、避難当時大島の医療施設等におきまして入院とか治療を行っておられた方につきましても、それぞれ病院等に収容されておるところでございます。  そのほか、避難の過程でけがをされるとかまた体力が弱られるとかという場合があるわけでございますけれども、そういうような方々も含めまして、東京都におきまして救護班それから巡回医療班等を編成いたしまして必要な医療活動を現在行っているところでございます。  そのほか、保育所等の福祉施設を利用されておられた方々につきましても、今後、東京都を通じましてそれらの方の措置につきまして万全を期すように指導していきたいというふうに思っております。
  103. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういったことについてはわかりましたけれども、例えば今現在東京都のスポーツセンターみたいなところで大量の人が寝起きしているわけですね。ああいうところのいわゆる衛生面だとか健康状態、ああいう中には病気の方もいらっしゃるかもしれませんし、わからないわけですけれども、そういう人が一カ所に広いところで生活しているということになれば当然その辺が心配になるわけですけれども、その辺はどうでしょうか。
  104. 福田孝雄

    ○福田説明員 先ほどお話し申し上げました救護班、これは医療関係者によりまして構成されておるものでございますが、救護班は三班設けられておりまして、それぞれ大きな収容施設、避難施設等に常駐するような形で診療活動を行っております。  また、そのほか都内にばらばらに多くの避難所があるわけでありますけれども、そういうところに対しましては、巡回医療班を設けまして、巡回をしながら必要な医療活動等を行っているところでございます。
  105. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その辺、万全にやっていただきたいことをお願いしたいわけであります。  次に、文部省にお尋ねいたしますけれども、現在就学中の高中小学校等の生徒児童、こういう方々の就学対策についてお聞きしたいわけでありますが、こういう人、いろいろ新聞報道などで聞いておりますけれども、どういう状況にあるか、詳しくお願いしたいと思います。それから幼稚園児についてもお尋ねしたいと思うわけであります。  これには受け入れ側の施設設備の点もありましょうし、予算面の対策などもありますし、それから、先ほども田口委員の方からも質問があったようでありますけれども、中三、高三のいわゆる受験期を控えているこういう生徒に対していろいろ問題があると思うのでありますけれども、その点などもお聞かせ願いたいと思います。
  106. 林田英樹

    ○林田説明員 就学対策につきまして御説明させていただきたいと思います。  文部省といたしましては、噴火によって避難しております児童生徒の受け入れにつきまして万全を期したいということでございまして、東京都に対しましてこの就学について適切な措置を講じるよう指導し、報告を受けておるところであるわけでございます。  現在、東京都におきましては、小中学校の児童生徒につきましては、それぞれ児童生徒が寄留しております地区の小中学校に臨時に入学をさせ、就学の継続を図るということを基本的な考え方といたしまして、関係の区市町村教育委員会に対しまして配慮方を指導するとともに、各関係の区市教育委員会におきましては、既に説明会を開催いたしまして生徒の受け入れをしているところもございますし、近日中にこういう説明会、入学を終えるように現在手続を進めておるところもあるわけでございます。まだ寄留の地域がはっきり固まらないとか、受け付けの手続事務が渋滞をしたとかというようないろいろなことも聞いておるわけでございますけれども、こういう点について、現場において支障がないように東京都の教育委員会を通じながら引き続き指導してまいりたいと思っております。  それから、高等学校につきましては、これを臨時に別の学校に入学させるというのではなくて、それぞれの学校について学校ごとに教員の指導体制を確立いたしまして、適宜場所を確保して教育活動を行うということにしておるわけでございます。大島には大島高等学校と大島南高等学校があるわけでございますけれども、それぞれ臨時に教育を行う施設を確保いたしまして高等学校の教育活動を続けることにいたしておるわけでございます。  それから、教科書、教材、文房具等につきましても、これが必要な子供たちに渡るように現在所要の指導措置を講じておるところでございまして、ほぼ体制が整っているところでございます。今後とも引き続きこのような措置が支障なく行われますように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、いわゆる中学生や高校生の進学問題であるわけでございます。この点につきましては、正直のところ、東京都教育委員会におきまして目下当面の就学対策について緊急措置を講じることに全力を挙げておる段階であるわけでございます。今後、仮に噴火が長期化してまいりました場合には、東京都教育委員会としてもこの問題を十分考え、進学問題に支障がないように考えてまいりたいと言っておりますので、文部省としても必要に応じて指導を行い、支援もしていきたいと思っているわけでございます。
  107. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。  次に、農林水産省にお尋ねいたします。  マスコミ報道などによりますと、農家が飼育していた畜産動物などに対して飼料などを与えているということでありますけれども伊豆大島全体としてどれくらいの畜産動物がいるのか、それらの対策についてどうされておられるのか、お尋ねをしたいと思うわけでございます。  もちろんこれは激甚災害ということで取り扱いになると思うのでありますけれども、今回の災害によって、これは予想でありますけれども、そういうことにならぬことを祈っておるわけでありますが、全農産物が全滅するようなことがある、そういうことも考えなければならないわけであります。そうなりますと被害額はどれくらいになる見込みなのか、それからそれに対する補償についてどう考えておられるのか、この辺をお聞かせ願いたいと思います。  それから、漁業の方も山林もあると思いますので、この辺のことに対する対策を農水省さんはどういうふうに考えておられるのか。
  108. 青木敏也

    ○青木政府委員 畜産農家の戸数というお話がございましたが、ただいま手元に資料がございませんが、島全体でどれくらいの家畜がおるかということをまずお答え申し上げます。  手元の資料によりますと、牛、乳牛が主体でございますが百三十三頭、それから豚が八百四頭、ヤギが十二頭、鶏が約六千羽、馬が四十八頭ということになってございます。  なお、島の農林水産物関係につきましては、特に農作物でありますが、農作物の生産額というのは年間約十三億を超える金額でありますが、そのうち約十億弱は花卉類の生産額でございます。  実は、第一次の当初の噴火の時点におきましても、降灰によります農作物被害が真っ先に懸念されたものですから、農林水産省としましては直ちに現地に専門官から成ります調査団を派遣いたしまして、第一次の噴火の段階におきます被害状況は約二億弱ということで把握をいたしておるわけでありますが、この二次噴火でまた大規模な被害がこれに加わっておるわけでございます。  ただ、現在、島にそういう現地を十分調査する体制がございませんので、二次噴火に伴います農作物被害、また先生御指摘の林業、漁業等の被害につきましては、現状においては的確に把握ができていない、残念ながらこういうことを申し上げざるを得ないわけでございます。  なお、いずれにいたしましても、これら農林漁業者の被害、災害等につきましては、農林水産省といたしましても、特に生活資金面での資金対策等、それからまた島に残しております家畜の緊急飼養管理のためのチーム派遣等につきまして、都とも緊密な連携をとりまして対策の万全を期してまいりたい、こういうふうに存じております。
  109. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 最後に、警察庁にお尋ねいたしますけれども、島の警備対策はどういうようになっておるか、お聞かせ願いたいと思います。
  110. 小山田潔

    ○小山田説明員 お答え申し上げます。  十一月十五日に噴火が始まりましたときには、直ちに警視庁から機動隊五十名を地元大島警察署に派遣いたしまして、百名の態勢で、立ち入りの禁止とか交通規制の措置をとってまいったわけでございます。その後、十一月二十一日に大規模な噴火が起こった際には、直ちに本土からさらに百名の機動隊員を増派いたしまして、二百名の態勢で警戒に当たったわけでございます。  具体的には、第一には、全島民をいかに安全に円滑に避難させるかということで全力を注いだわけでございます。避難後におきましては、犯罪の防止、それから残留島民の発見、保護、危険箇所の警戒等に当たったわけでございますが、ただいまの段階では、このような警戒態勢をずっと続けるとともに、島内の防犯パトロールとか、それから特に避難住民の困り事の相談ということに乗りまして、避難された住民の皆様方の不安が少しでも解消されるようにというような活動に重点を置いております。  以上でございます。
  111. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ここでちょっと、老婆心でございますけれども、警察庁さんにお伺いするわけでありますけれども、島の周り全体はきれいに監視されているのでございましょうね。そんな者はいないと思いますけれども、このときに乗じて船か何かで知らないうちに行っちゃって空き巣をやる、そんなことはない、そんなことはできませんと思いますけれども、その辺の警備状況についてお尋ねしたいと思います。
  112. 小山田潔

    ○小山田説明員 お答え申し上げます。  ちょっと細かい話になるのですけれども、避難後の島内においては、幾つかのブロックに分けまして、そこには警察官を一つは要点に、それからさらには、私ども言葉で遊動配置と申しまして、広く車両等によって見回るというようなことによって、漁船等による外部からの不法な侵入者をチェックするということも私どもの重要な仕事として実施しております。
  113. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 どうぞよろしくお願いしたいと思います。  これで三原山関係は私の質問を終わりますけれども、私の時間内で鈴切委員が関連の質問をさせていただきたいと思いますので、委員長、その辺よろしくお願いいたします。
  114. 石川要三

    石川委員長 関連して、鈴切康雄君。
  115. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 委員長並びに委員の皆様方の御配慮によって、関連質問をさせていただきます。  私は、実は大島を選挙区にいたしておりますので、島民の方々の救援活動あるいは激励等にずっと当たってまいりました。  今回の大島の大噴火に伴う島民の皆様方の不安というものについては、はかり知れないものがあるわけでございます。大島島民のいわゆる生活基盤であった島を離れたということで、現在は若干の所要の方々がおられましてそれぞれ活動されておりますけれども、言うならば無人島に等しいわけでございます。その中で、やはり島民の財産を保全するということは重要な問題だ、私はそのように思っております。  それにはやはり火災からいかに守るかということでございますけれども一つは、山火事に対する消火の態勢ができているかどうか、あるいはまた溶岩流に伴う火災をどう食いとめていくか、三番目には、これから季節風が強まる中で類焼というものをどう食いとめていくのか。実は大島の元町という一番大きな繁華街は、かつて季節風で火災がありまして全部焼け野原になってしまった、そういう言うならば季節風と火災というものは非常に怖い状況にあるわけでございます。  それには大島町の消防組織ではとても対応できない問題であろう。その上、消防団員の確保とか緊急に備えての火災消火のためのヘリ使用とか消火剤の散布等、もちろん東京都がやることは当たり前でありますけれども、やはり国として島民の財産を守るためには消防体制の強化をどうやって図っていくか、この問題について島民皆さん方大変に御心配でございますので、御答弁願いたいと思います。
  116. 山越芳男

    ○山越政府委員 消防関係の御質問にお答え申し上げます。  まず第一点の山火事の問題でございますが、今回の伊豆大島噴火災害に対しまして、地元の大島町長から要請がございまして、東京消防庁では二十二日から逐次職員を派遣いたしまして、三十名の職員を交代で派遣しておるところでございます。それで、大島町の消防本部それから消防団の方々と協力をいたしまして、特に御指摘がございました元町の方に溶岩流が流れてきておって、それが一番問題なものでございますから、それから発生する山火事等の防止に当たっているところでございます。これからも、先ほども昨日の予知連の統一見解のお話がございましたが、そういったこともございますので、火山の専門家の話も十分拝聴いたしまして山火事の対策に万全を期していきたいというふうに考えております。  それから、特に第二点の溶岩流の問題でございますが、私ども、これが当面最も大事な問題であるというふうに理解をいたしております。もしも溶岩流が元町の方まで迫ってまいりますと、これは一番人家に重大な影響を与えますので、この問題に対処することを最大の重点として現在対策に取り組んでおります。  具体的に申し上げますと、溶岩流が火葬場のところから五十メートルぐらいのところまで来ているわけでございますが、昨日から、冷却放水と称しまして、ポンプを八口ほど用意いたしまして、それによりまして溶岩流に対しまして上から注水をいたしましてこれを冷却する、冷却をしていってその流れをとめる、こういう戦術でございますが、それを昨日から実施をいたしておりまして、本日も引き続き実施をいたしております。  つい先ほど入りました情報によりますと、溶岩流の先端部から百メートルほど上流のところに二本ほど亀裂ができたそうでございまして、その亀裂の中に水を大量に投入すると中の溶岩流を冷却する効果が非常に大きいのではないかということでございまして、その効果が現在期待をされているところでございます。これからもその溶岩流の冷却作戦を最重点に置いて実施をしていくということで、東京消防庁と地元の消防が相協力をして対策に当たっているということでございます。  地元の消防本部、消防団は、消防職員は十一人でございまして消防団員は四百九十五人でございますが、それで十分かというお話については、大きな災害が発生したわけでございますから必ずしも十分でないことは御指摘のとおりでございます。その意味におきまして、東京消防庁からとりあえず三十名ほどの職員が応援に駆けつけているわけでございますが、私ども消防庁といたしましても、東京消防庁に対しまして、もしも東京消防庁だけで不十分だという場合には、例えば横浜とか他の消防本部からも応援に出すべく用意があるということは申し上げておりますけれども、東京消防庁の現時点の判断といたしましては、まだまだ余力がある、したがって、必要があればさらに職員を増強して対策に当たりたいということでございますので、当面は東京消防庁が中心になって応援をしていく、そういう形で進んでいくことになっております。  私どもとしましても、これからも十分情報をとりまして、不測の事態に備えまして、機を失せずに万全の対策をとってまいりたいと思います。  以上でございます。
  117. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ありがとうございます。  それから一つは、現在東京の方の施設に入っておられる島民の不安というものをいろいろと聞いてみますと、自分の住んでいる町はどうなったかということ、これが非常に関心が強いわけでございます。自分たちの住んでいる部落はどうなったかという問題が一番気になるわけでございます。当然、自分の家はどうなったかということにつながることではございましょうけれども、しかし部落はどうなったかということでございます。ところが、情報は大変に断片的なのですね。非常に情報は断片的に伝わってきまして、情報伝達の方法としてはテレビあるいは新聞ということなんですけれども、テレビだって、大きい何千人というところに一台しかないとか、そういうことではとてもだめなわけでございますから、少なくとも伊豆大島噴火対策本部の的確な情報を、やはり島民の方々に館内放送をしてホットなニュースを、情報を流してあげるというようなことが非常に必要じゃないだろうかと思うのです。  実は、テレビとかあるいは新聞では、元町に迫るところの溶岩流が映し出されたり、あるいはまた、筆島の海水が大分変質をしてきたというところ、あるいは亀裂が出ているとか、こういうところは映るわけでございますけれども、しかし大島の場合においては、御存じのとおり泉津、岡田、元町、野増、クダッチ、差木地、波浮と、こういう部落があるわけですが、この部落については全然何も触れてないので、どうなったかなというようなことになって、実は情報不足が島民の不安を大きく駆り立てているという状態でございますから、この点についてどういうふうに対処されるのか。  恐らくこれから雨も降るでしょう。雨が降りますと、泥流が流れますとこれまた大変なことにもなるわけでございまして、そういう対策はどうされているか、その点についてお伺いします。
  118. 能勢邦之

    ○能勢説明員 御指摘にございましたように、避難島民に適時適切な情報を伝達するということが、御安心いただくためにも非常に重要なポイントであるということで、私どもも全く同じような考え方でその必要性を認めておるわけでございます。最初の対策本部でも、政府の本部でございますが、そういう議論をいたしました。実は本日も、本日の本部では東京都の職員にも入っていただきまして、できるだけきめ細かい配慮をして今のような点をカバーしていこうじゃないかということでおるわけでございます。東京都の方から聞いておりますことでは、東京都の方でも今のあたりは十分留意しておりまして、それぞれの避難場所ごとに避難者の名簿をつくり、テレビを配置し、さらに回覧板とか館内放送等により随時情報を知らせる努力をしているが、さらに中身を充実していくように努めたい、さらに、各避難場所ごとに都の職員を配置して、避難者からの要望、問い合わせ等に対応できる態勢をとっているというようなことを聞いておりますが、私どもとしても、政府で各省から集まります情報を、できるだけ的確な情報を素早く都の方にも連絡をいたしまして、都とそれぞれ連携をとりながら、避難しておられる皆様方にできるだけ御安心いただけるように留意して努力してまいりたいと思っております。
  119. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 私は関連ですから、これ一問で、総務庁長官にちょっとお伺いいたします。  大島噴火対策本部長は国土庁長官でありますけれども、きょうは忙しくてどうしても出られないということでございましたので、国務大臣である総務庁長官にお聞きしなければならないと思うわけでありますが、先ほど斉藤委員と私と質問をしましたから、それをお聞きになっておられた総務庁長官としては、噴火が急激であったということで大変に政府も苦労されておられると思いますけれども、しかし、それにしても余りにも大島噴火予知がおくれてしまったということ、それから対策がみんな後手後手なんですね。これでは、大島の方々が、避難されてきておるわけでございますけれども、安心していられないのではないかというふうに思いますので、国務大臣としての総務庁長官、やはりこの問題についてはかなり関心のあることだと私は思いますけれども、どういうふうに対処をされようとされておりますか。政府を代表してということになりましょうか、御答弁願って終わります。
  120. 玉置和郎

    玉置国務大臣 さっきの斉藤先生の御質問の中に帰島の問題がございました。予知連の広域にわたる大変な危険性があるという発表、これは科学者の発表でございますので、科学者としての自信を持っての報告だろうと私は思います。片一方では、総理、東京都知事がなるべく早く帰島させてという話があります。相矛盾するものがあるんじゃないかと私は思いながらも、しかし、総理も東京都知事も、帰心矢のごとしという島民皆さん方の気持ちを代弁するような形でおっしゃったのじゃないか、こう思います。  しかし、さっき言いましたように、そうした自然災害、特に火山の場合はこれからどういうふうに展開するかわからない、そういうときには人命を第一にして、帰島の問題についてはやはりここで慎重に慎重を重ねてやる必要がある、私は一国務大臣としてそう思います。それだけに、空き家になった元町だとか波浮だとかそういったところの部落の皆さんに対しては、安心のできるような対策が必要であろうかと思います。  さっき先生からおっしゃっていただきました情報の問題、これももっともでございますし、それから元町に迫っておる溶岩流措置もやはり大事だ。閣議できょう、発表というか国務大臣綿貫君が言っておりましたが、とにかくまず溶岩流の先を冷却して、一つの堤防というか何かのさくをつくるんだという話でございました。余分なことを言わぬ方がいいなと思って黙っておりましたが、私は全く素人ですが、その溶岩流の下の方に緊急に大きなブルドーザーを入れて、そして横へ流すような道をつくってやったらどうだろう、そうすると元町に落ちて来ないということも私なりに考えた、これは私なりの未熟な考え方でございますので、きょう来ております建設省の専門家の皆さんにぜひ検討していただきたい。  それだけに、火災についてはきょうは自治大臣が消防庁の意見を代表するようにお話をしておられまして、さっきお答えをしたとおりでありますが、もう一つつけ加えますと、この際もう海水を使うんだ、海水を使ったときに、とにかく消防機材が長くもたない、もたなくても仕方がない、今の措置としてはここで海水を使って、それでまず溶岩流を冷却し、そして山火事を防ぐというような措置を講じたい、こう言っておりました。こういう熱意をどうかひとつ御理解をいただいて、いろいろな面において御協力をいただきたいと思います。  最後に、きょう初めてこの大島三原山火山の問題がここで出ましたが、ふっと思いましたのは、ここで委員の中に、選挙区の方はだれがおるのかなといったら、先生一人。だから先生が主導権をとるというと、おいおい自分の選挙のためになりますからこれはお控えになった方がいいと思いますが、委員長理事の間で御協議願って、何がしかの、我々、国権の最高機関ですから、御見舞い金を募って、内閣委員会が率先してやったということで委員長理事の先生方にお願いをしたい。私もそれなりの協力をいたしますので、大した協力じゃございませんが、協力いたしますので、私から提案するのはおかしいですが、委員長、ひとつお諮りをいただきたいと思います。
  121. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 関連でございますので、これで私はバトンタッチします。どうもありがとうございました。
  122. 石川要三

    石川委員長 斉藤節君。
  123. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、機関委任事務に関する質問をこれからやらせていただきます。  本年四月二十五日に行われました本会議において、地方自治法の一部を改正する法律案趣旨説明に対する質問に対して、中曽根総理は機関委任事務について次のように答弁しておられます。  すなわち、「住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体で処理する方向で、国と地方の機能分担の見直しを推進することは、行政改革の重要な課題となっております。このような観点から、今後とも、機関委任事務整理合理化推進努力する考えであります。」このようにあるわけでありますが、今回提出されている本法案はこの総理の答弁に沿ったものであると考えてよろしいかどうか、総務長官、お答えを願いたいと思います。
  124. 玉置和郎

    玉置国務大臣 私もこの内容を読んでみまして、総理の答弁も読みました。臨調、行革審の精神にもこれはもちろん沿っております。そこから出たものでありますが、総理の考え方と全く同じでございます。     〔委員長退席、戸塚委員長代理着席〕
  125. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そこでさらにお聞きいたしますけれども、「機関委任事務及び国・地方を通ずる許認可権限等の在り方」と題した臨時行政改革推進審議会地方行革推進委員会から出された小冊子の「はじめに」というところに、前文に地方公共団体の行革について次のように述べておるわけであります。  すなわち、「地方公共団体行政を時代の変化に即し簡素・効率的なものとすることである。」中略しまして、「また地方公共団体が真に必要な役割をより多く果たすことを可能とする。」とありますが、機関委任事務をただそのまま地方公共団体に委譲したのではかえって事務の煩雑化を招くのみと思うのでありますけれども、この委譲に当たってはどれくらい事務簡素化を図って行われるのか、お尋ねしたいと思うわけでございます。
  126. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今御指摘の昨年七月の行革審の小委員会の報告並びに本委員会答申におきまして述べております点は、恐らく二点あると思います。  その一つは、御指摘のように地方公共団体行政を時代の変化に即して簡素効率的なものとするということであり、その第二が機関委任事務を団体の事務として裁量の余地を拡大する、それとともに国の権限を地方公共団体に委譲していくことによって地方公共団体自主性自律性を強化する、この二点があるのだと思います。  この趣旨を踏まえまして、政府としては、第一点の地方公共団体行政を簡素効率的なものとするという観点から、これは自治省の方で御措置願ったわけでありますが、地方行革大綱を策定して、地方公共団体に対し自主的、積極的な改革努力を求める一方、第二点の地方自主性自律性を強化するという観点から、本法律案を初めとしまして機関委任事務整理合理化及び地方への権限委譲を推進しているところであります。  御指摘のように、国の権限の地方への委譲等を行った場合、一部に事務量増があることは事実でありますけれども、本法律案による改正によりまして、地方の裁量の拡大、すなわち地方自治の充実とそれから地方行政の総合性の強化が図られるものでありまして、その効果の方がはるかに大きい、このように考えているわけであります。  なお、この法律案によりましてどの程度の行政事務の軽減になるかということにつきましては、これは定量的にお答えすることは大変困難なんでありますけれども、この法律案の中で六十一事項改正を行っておるわけでありますけれども、そのうちの機関委任事務の廃止十事項はそのまま行政事務の軽減につながる、例えば試験事務の民間委譲というのがありますけれども、これは相当数の事務量減になる、このように考えているわけであります。
  127. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では最後に、総務長官にまたお尋ねでありますけれども、今回出されておりますこの法案は十一省庁の機関委任事務に関する事項が提案されているわけでありますが、これを内閣委員会で一括審議することの趣旨について、それからまた、こういった問題は専門的立場から審議しなければならない項目が多いと考えるのでありますけれども、その辺どうかな、こう思うのであります。また、不十分な審議結果となるようなことになれば国民の理解が得られにくいのじゃないか、そんなことも考えるわけでありますけれども、総務長官、いかがでございますか。
  128. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 若干技術的な問題でありますので、私から御答弁をさせていただきたいと思います。  今回の一括法案は、先ほど申しましたように、昨年七月の行革審答申に沿いまして地方自主性自律性を強化する措置内容としておるわけでありまして、具体的には、機関委任事務の廃止、団体事務化、市町村委譲、それから国の許認可権限の知事への委譲などを盛り込んだものであります。これら一連の改革措置実施によりまして、地方の裁量の余地の拡大や地方行政の総合性の強化が図られ、地方公共団体地方住民の要請に責任を持ってこたえていく基盤が一層強化されるということになるのだと思っております。  法案の具体的措置は、御指摘のように十一省庁、四十三法律、六十一事項内容とし、行政の各分野にわたるものでありますけれども、これらの改正趣旨、目的が今申しましたように地方自主性自律性の強化という統一性のあるものになっておるということ、また、個別の法改正で対処するよりも一括取りまとめを行った方が一連の改正趣旨や全体像がはっきりし国民の御理解が得やすいと考えられるということから、一括して取りまとめて国会に御審議いただくことが妥当と判断した次第でございます。
  129. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、本法案で見直された場合、経費の節約額の見通しについてお尋ねしたいと思いますけれども、人件費はどのくらいなんですか、それから事務経費がどのくらいになるのか、その辺、軽減される割合をお聞かせ願いたいと思うのです。
  130. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、この法律案地方自主性自律性の強化を図ることを目的として、機関委任事務整理合理化、それから地方への権限委譲を行うものでありますので、直接に経費の節減を目的としているわけではないわけであります。  そこで、お尋ねの経費節減効果につきまして定量的にお答えすることは困難でありますけれども、例えば試験事務の廃止によりますその都道府県の行政事務量の減、あるいは国の許認可権限の地方への委譲に伴う国の事務量の減というふうなものは、これはいろいろと出てこようかと思います。例えば、例を言いますと調理師試験の廃止というふうなことによりまして毎年約七万人の受験者に係る試験事務の負担が知事部局から減る、また宅地建物取引主任者資格試験の廃止ということによりまして、これは民間委譲でありますけれども、毎年約十万人の受験者に係る試験事務の負担がそれぞれ軽減をされるというふうなことで、それ相応のいわば経費の減というものが出てまいる、このように存じております。
  131. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 それでは、地方自治体へ移管した場合、地方負担分の救済はどうするのか、その辺をお聞きしたいのです。交付金の増額を行うのか、それとも地方債の発行によって行うのか、どのように考えておられるか。
  132. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 これはむしろ自治省からお答えする方が適当であるかと思いますけれども機関委任事務を団体事務化します場合も、これは従来から地方財政法におきまして、地方事務それからいわば国の執行機関として行う事務、このあたりをともに地方公共団体の経費として処理するというのが原則でありまして、今回の機関委任事務の団体事務化は、従来国の事務として地方公共団体の長が処理することとされていた事務地方公共団体事務に、つまり団体事務化をするということで、事務の性格を変更するものでありますから、国の指揮監督権が緩和されて地方自主性が強化されることになるとはいうものの、事務処理そのものは従来の地方公共団体で行うものであります。その意味で、先ほど申しました地方財政法によりまして、基本的に事務の性格の変更が行われても費用負担面での変更の必要はないということになるわけであります。  ただ、本法律案の団体事務化のうち厚生省関係の五法律、十八事項につきましては、あわせまして補助率の見直しを行っておるというふうなことの関係で、これにつきましては補助率の見直しという面から経費の増減が生ずるということでありまして、その関係で、今年度の地方財政対策におきまして一兆千七百億円の補てんを、例えば地方たばこ消費税に係る交付税の増あるいは建設地方債の増発というようなことで講じておるというふうに承知をいたしておるわけであります。
  133. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 同じようなことを繰り返し聞いて恐縮でありますけれども市町村事務が委譲された場合、その事務を担当可能な職員がいないような場合には訓練によって行政を行う心要があるのではないかと思うのでありますけれども、そうやって行政を行うのか、それとも職員の出向を行うのか、その辺お聞かせ願いたい。
  134. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 おっしゃるとおり、この法律案によりまして事務市町村委譲やそれから国の許認可権限の知事への委譲が行われた場合にありまして、基本的には新たな事務を処理することになるために所要事務処理体制を整えることが必要になる場合があります。その場合には、例えば一定の準備期間を置きまして、研修を行うとかそれからいわば職員の養成を行うというふうな必要を生ずる場合も若干ございます。そうした場合につきましては、それらの事項につきましては本法の公布後に一定期間を置きまして施行することといたしておりまして、この法律附則におきまして所要手当てを行っておるところでございます。  なお、市町村委譲関係事項の中には、既に地方自治法の百五十三条に基づきまして都道府県知事から市町村長に対して事務委譲が行われている場合がございます。その意味で実質的に事務処理能力が備わっている場合がある、また、権限委譲関係事項の中に経理事務を従来処理しておったということで実質的に実務経験が蓄積されている場合もありまして、そうしたような場合には、これは円滑な事務の処理体制の委譲が行われるというふうに期待をいたしております。  研修等を行うものを個別、具体的に申し上げてもよろしゅうございますけれども、長々しくなりますから、これは数少ない例でありますけれども、そうしたものが若干ございます。
  135. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 本法案によって権限が地方公共団体に委譲された場合、委譲事項の中には引き続き指導監督しなければならないものもあると思うのでありますけれども、そのような場合はどうされますか。
  136. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 この法律案では、国の許認可権限を地方に委譲するに当たりまして、知事への機関委任事務としておるわけであります。大臣から知事に権限をおろします場合に、これは機関委任事務としておるわけでありまして、その意味で国の指揮監督権は留保されておるわけであります。これが十一事項、つまり権限の知事への委譲十一事項であります。  それから機関委任事務の団体事務化に当たりましても、これは厚生省関係中心でありますが、政令で事務運営の基本的枠組みを示すなど、国全体としての一定の行政水準を確保する上での必要な配慮を行っておるわけであります。  いずれにしましても、その内容は各改正事項の事柄の性質に応じまして具体的に決定されたものでありまして、行政水準を落とすというふうなおそれはない、このように考えております。
  137. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 同じようなことばかり聞くのでありますけれども、委譲事項によっては民間法人に対する立入検査をしなければならぬような場合もあると思うのですけれども、そのような場合は法的根拠はどのようにして行うのか。
  138. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 この法律案におきまして民間団体に事務を委譲し行政事務を廃止するものとしましては、調理師試験事務の民間団体委譲、それから宅地建物取引主任者資格試験事務の民間委譲、この二つがあるわけであります。この二つにつきまして、いずれも民間団体、これは指定団体になりますけれども、そちらに対してこれを委譲することが予定されているわけであります。  これらの民間団体に対しましては、守秘義務を課するとかその他所要規定が設けられておりますけれども、特に宅地建物取引業法につきましては、建設大臣の報告徴収、立入検査権限を法律に盛り込んでおるところであります。
  139. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 厚生省関係の福祉に関する事項の中で、団体事務化によって総合的な福祉サービスが実現されるとあるわけでありますけれども、これまではこれらができなかったのかどうか、それはなぜなのか、その辺ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  140. 瀬田公和

    ○瀬田説明員 社会福祉に関する事務につきましては、現在までも国と地方公共団体とが相互に協力をいたしまして、また、責任と機能を分担しつつ総合的な福祉サービスの実現を目指して努力してきたものであるということでございます。  今回の法律改正におきましては、これまで機関委任事務とされてきました社会福祉施設への入所措置等を団体事務化することによりまして、現在既に地方公共団体事務でございます家庭奉仕員の派遣等のいわゆる在宅の福祉サービスと法律上の性格が同一となるわけでございまして、そういった意味から総合的なサービスの実施体制というものがより整備されるものとなるというふうに考えております。また、これまでも総合的な福祉サービスの推進に努めてきたところでございますけれども、今後とも一層その推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  141. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 時間が大分なくなってまいりましたので、先にちょっと具体的なことについて質問させていただきたいと思います。  それは厚生省関係の児童福祉法に関する問題でございます。児童福祉法の改正の中で、保育所の問題について先ほども田口委員の方からもいろいろこの点に関しまして質問があったのでありますけれども、私からもこれにつきましてもう少し詳しく質問を申し上げたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。  まず、六十年十二月二十八日の閣議決定、当面の行政改革実施方針及び本法案の骨子によりますと、児童福祉法第二十四条の改正趣旨は、保育所への入所措置事務機関委任事務から団体委任事務に変更することにあると考えられるわけでありますけれども、しかし、この法改正案文を読んでみますと、その解釈に不明確な部分が見られるわけであります。今後の運用に当たりまして問題が生じてはならないと思いますので、明確にする必要があると思いますので、この点について質問したいと思います。  まず、この法令を見ていただけばわかるのでありますが、二十四条のこの法文でありますけれども、新たにここに「政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、」という部分があるわけであります。これが、この条文の第二十四条の中で「児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、」というこのところに係るのか、それとも「保育する措置を採らなければならない。」このようなところに係るのか。今まで入っていなかった「政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、」というこの文言が入ったわけでありますけれども、これはどちらに係るのか、その辺まず明らかにしていただきたいと思います。
  142. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと存じます。  先生、二点、引用関連部分をおっしゃられましたが、その後者に当たります「保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。」という、こちらの方に係るわけでございます。
  143. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そうなりますと、後者に係るという御答弁でございますので、その場合に、もし条例が制定されないときは措置義務も発生しないということになるのか、先ほども田口委員の方からもこの点についていろいろ質問あったわけでありますけれども、改めてさらに御答弁願いたいと思います。
  144. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきます。  法二十四条の趣旨は、児童福祉法に基づく保育所への入所措置を行う場合には、必ず条例により基準を定めて行わなければならないということでございます。
  145. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、先ほどもあったのですけれども市町村によっては条例をしかない、そういうような場合も都合によりましてあり得るかと思いますね。保育所がない場合にはやらないのだという話もありましたけれども、あっても都合でやらないというような場合もあるのじゃないか。そうなると、そういう入所措置をとらないということになるのじゃないですか。その辺いかがですか。
  146. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 福祉の制度と申しますか、とりわけ保育所の関係でございますが、おかげさまでこの保育というものは地方自治体にも大変定着しているところでございまして、そのようなことはないのではないか、かように考えているところでございます。
  147. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そういうところはないということでありますから、そんなことのないように指導していただきたいと思うのであります。  そこで今回、同様に団体委任事務化しようとしているほかの社会福祉施設への入所措置規定改正案では、「条例で定めるところにより、」という文言はないわけでありますけれども、なぜこの保育所関係の規定改正案のみにこのような文言を挿入したのか、その辺の趣旨を御説明願いたいと思います。
  148. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと存じます。  保育所への入所要件につきましては、政令でその基本的な枠組み、要件を定めまして、その範囲内で具体的な要件を条例で定めることになるわけでございますが、これは、地域によりまして保護者の就労の形態や生活形態が異なりまして、地域の実情に即し、その保育ニーズに的確に対応する必要があると考えられるところでございますが、そういうところから当該市町村の議会により定められる条例という法形式によることとしたものでございます。
  149. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 「政令で定める基準」というふうにあるわけでありますけれども、政令で定めるのは何に関する基準なのか、その辺いかがでございますか。
  150. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明申し上げます。  政令案につきまして今後政府部内で検討することといたしておるわけでございますが、私どもといたしまして、本件につきましては、現在通知で定めております入所措置基準の基本的な事項を定めることとしたいと考えておるところでございます。
  151. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 既に昭和三十六年二月二十日に、厚生省児童局長通知書でございますが、「児童福祉法による保育所への入所の措置基準について」という通知があるわけでありますけれども、大体これと同じような内容ということになりますか、その辺どうですか。
  152. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 私どもといたしましては、現在通知で定めております入所措置基準の基本的な事項を定めることといたしたいと考えているところでございます。
  153. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 基本的な事項といいますと具体的にどんなようなことですか、もう少し具体的に説明してください。
  154. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 例えばでございますが、日中両親が就労している場合、片親が死亡等によりいない場合、母親が出産の前後または疾病、心身の障害の状態にある場合、母親が同居の親族を常時看護する場合を定め、そのほか、保護者がこれらと同視し得るような状態にある場合につき、地方実情に即して市町村でお決めいただくこととしたいというような感じで考えているところでございます。
  155. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 今おっしゃられたことでしたら、大体今まで既にやられているこれとまずほとんど同じじゃないかなと思うのですけれども、では、これと同じような内容というふうに解釈しておいてよろしいわけですね。
  156. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 基本的にさようでございます。
  157. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 わかりました。  これまでの二十四条の規定は「保護者の労働又は疾病等の事由により、」云々、そして「児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、」云々、「保育所に入所させて保育しなければならない。」こういう文脈になっているわけでありますけれども、この文脈からいきますと非常に不明確さが生じるように思うわけでございます。  そういうことで老婆心ながら質問させていただきますけれども、他の施設と同じように、例えば「保護者の労働又は疾病等の事由(政令に定めるものに限る。)により、」こうすると明確になるんじゃないかなと思うのですけれども、その辺はどうでございますか。
  158. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと存じます。  この改正案文での条文の規定で、現在その案文の規定では、「定めるところ」というのは、冒頭、私、御質問に対しまして御説明したとおりでございまして、十分にその趣旨が理解できるところと存じております。
  159. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その辺、文脈が不明確であると解釈が幾重にでもできるわけでありますから、やはりはっきりと政令に定めるものに限るというふうに限定された方がはっきりするんじゃないかと思うわけでございます。答弁は結構でございます。  では、政令は、条例で定めるべき措置基準のいわゆる最小限界、つまりローアーリミットを示すのか、それとも最大限界、つまりアッパーリミットを示すのか、その辺どうでございましょうか。
  160. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと思います。  政令で定めます基準は、入所措置すべき児童の基本的な要件、基本的な枠組みを示すという性格のものでございます。
  161. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 では、これは最大限を示すとか最小限を示すというようなことではないわけでございますね。
  162. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 最大限、最小限という、高い、低いというよりは、入所措置すべき児童の基本的な要件を示すものであるということでございます。
  163. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もしローアーリミットをいうのであれば、国庫負担の対象となるものの最大限は何によって示すか心配になると思いますし、またアッパーリミットを決めるような場合には最小限界は示されないわけですから、条例によってどうにでも決められる、狭められるというようなことになりますので心配するわけでありますが、その辺心配ないわけですね。
  164. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 基本的な枠組みということでございますので、基本的な要件に従わずに保育所への入所を制限するような条例を定めることはできない、こういうふうな意味も含めまして基本的枠組みということでございます。    〔戸塚委員長代理退席、委員長着席〕
  165. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 これまで保育所への入所措置の要件に経済的要件は入っていなかったわけでありますけれども、入所措置の条件から困窮者、貧窮者ですか、こういう政策的要素を取り払った点にこそ戦前の託児所から戦後の保育所への大きな前進があったというふうに考えるわけでありますけれども、入所措置の要件に経済的要件を入れることは、今後これからの将来考えられませんか。入れませんか。どうですか、その辺。
  166. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 御説明させていただきたいと存じます。  児童福祉法の規定によりまして、保護者の経済的状況のいかんにかかわらず、保育に欠ける乳幼児を保育所に入所させることとしております。今後それを変更する考えはないところでございます。
  167. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 それは確認させていただきます。将来そういう経済的な要件というものは入れないというふうに確認させていただいてよろしゅうございますね。
  168. 柏崎澄雄

    ○柏崎説明員 現行の児童福祉法、先ほど御説明したとおりでございまして、それを今後変更する考えはないということでございます。
  169. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 要望としまして、これからもしそういうような経済的要件を入所措置の条件に入れるような場合、ないと言われるから、もう確認しましたからいいわけでありますけれども、当然法改正によって行われると思うのですけれども、その辺しっかりと、政令だとかそういったようなもので、条例でやらないようにひとつお願いしたいと思うわけでございます。お願いでございます。  以上です。ありがとうございました。  では次に、時間のある限りちょっと先ほどの質問を続行して、いわゆる一般的な理念について質問させていただきたいと思います。  そこで、市町村委譲事項でいわゆるきめ細かな行政運営が可能となる、このようにあるのでありますけれども、これまではどうであったか、もしできていなかったとすればなぜできなかったのか、その辺総務庁の方でお答え願いたいと思うのです。
  170. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 機関委任事務市町村委譲は、行政実施主体を都道府県レベルから住民のより身近な市町村に移すということでありまして、これは臨調基本答申の中にもありますような、「住民に身近な行政はできる限り地域住民に身近な地方公共団体において処理」すべきという考え方に沿ったものであります。  市町村委譲の結果、地域に密着したきめ細かな行政を展開することが可能となりますけれども市町村委譲を進めるためには、社会経済情勢変化等を踏まえ、それから当該行政に係る市町村行政能力の状況あるいは同種、類似事務との関連、こうしたものを勘案して見直しを行っていくことが必要であります。  今回の市町村委譲は、そういう観点から行革審において検討されて提言が行われたものであって、この点を受けて所要の法改正を行ったわけであります。能力の拡充というふうなことがやはり多分にあったと思います。
  171. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 これはちょっとこの法案にはないのでありますけれども地方自治法の別表三にこういうことがあるわけです。北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法、これは地方自治法の別表の六十二番目、それから六十二の二に南九州畑作営農改善資金融通臨時措置法、こういったものがこれに載っているわけでありますが、こういうものはいわゆる全国的な法規の中に吸収合併してしまってはどうかなと思うのですけれども、その辺いかがでございましょうか。
  172. 白井英男

    ○白井説明員 お答えいたします。  先生おっしゃった二つの法律はいわゆるマル寒、マル南法と言われる法律でございますが、これは御承知のように北海道、南九州――南九州の場合には宮崎県と鹿児島県でございますけれども、それらの厳しい自然条件のもとにある特定の畑作地域を指定いたしまして、地域内で営農改善を図ろうとします農業者に対しまして、農林漁業金融公庫が必要な資金を長期かつ低利で融通することによりまして、地域における農業者の経営の安定を図ることを目的としているところでございます。  また、本法に基づきまして農業者が低利資金の融通を受けるに当たりましては、道県知事が営農改善資金の貸し付け資格の認定、それから営農改善計画の作成またはその達成等につきましての必要な指導等を行っているところでございます。  それで、これらの地域におきまして、農業経営が不安定であり、また自力または他の現行制度で営農改善を図ることが困難である農業者、この農業者の経営の安定には、営農改善計画の樹立なり長期かつ低利の総合融資、濃密な営農指導を制度的に直結させる手法をとることが必要であるということで、特定された地域を対象とする単独法が制定されたわけでございます。  現行制度は昭和五十八年度に、その必要性にかんがみまして五カ年間延長ということで行われておりまして、関係農家の経営の安定に寄与しているところでございます。なお、法期限となります六十三年以降の取り扱いにつきましては、今後私どもとして検討をしていかなければいけないというふうに考えておるところでございます。
  173. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 臨時行政改革推進審議会地方行革推進委員会の報告書と本案の関係について質問したいわけでありますけれども、本法律案提案理由説明総務庁長官が述べておりますように、「臨時行政改革推進審議会答申で指摘された機関委任事務及び国・地方を通ずる許認可権限等整理合理化事項について答申趣旨に沿って措置する旨、決定いたしております。」このようにあるわけでありますけれども、これに間違いはないわけでありますか。
  174. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 それは間違いございません。
  175. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 臨時行政改革審議会答申によりますと、国の業務都道府県知事等に委任しているいわゆる機関委任事務約五百事項のうち、今回百三十四事項について答申があったわけであります。すなわち、機関委任事務のあり方として八十事項、それから国、地方を通ずる許認可権限等のあり方五十四事項となっているわけであります。しかるに本法案では、機関委任事務整理合理化事項は五十事項、それから地方への権限委譲十一事項、合わせて六十一事項にすぎないのであります。今回の法案に含まれている事項はどのような関係で取り上げたのか、また各省庁との協議の上でこのようになったのか、お尋ねしたいと思うわけであります。  後で質問しようと思っていたのでありますけれども法案の中で団体事務化の事項の中には、特に国で厄介である、あるいはあってもなくてもいいといったような事項が含まれているような節も、私これは全く個人的にそう思っているわけですから、そうじゃないかもしれない、誤っているかもしれませんが、そんなようなことが思えるものもあるわけでありますので、その辺どういうことなのか、御答弁願いたいと思います。
  176. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 若干その数の関係でもって御不審があったのだと思いますけれども、今回の一括法案は、基本的には昨年七月の行革審答申におきまして提言された事項のうち、法律改正を要するものについて一括して措置することを内容とするものでありまして、このほかに政省令関係で七十二事項整理しておるわけであります。  このあたりの数字の関係を若干申し上げますと、行革審答申のうちで法律改正を要する事項は、機関委任事務整理合理化地方への権限委譲を合わせて四十八事項ということになっておりますが、このうち既に措置済みとなっている事項、これは地代家賃統制令の廃止などでありますが、及び中長期的課題として答申された事項、これは農地被買収者に対する給付金の返還に関する事務、輸送監理関係事務などを今回の措置から除きました。また、答申において抽象的な提言にとどまった事項、これは福祉関係法律に基づく福祉施設への入所措置等でありますけれども、これを具体化する際に事項数を再整理するなどで整理を行った結果、今回の一括法案による措置事項六十一事項というのが出てまいったわけであります。今申しましたように、政省令関係事項がこのほか七十二事項あるわけでありますけれども、これは現在ほとんど措置済みとなっておるわけであります。
  177. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 質問がたくさんあるのでございますけれども、時間があと一分少々しかなくなってしまいましたのでこの辺で終わらせていただくわけでありますが、いずれにしましても、行政改革観点から、五百項目からあるわけでありますから、できるだけ地方公共団体に委譲して事務簡素化を行っていっていただきたいということをお願いいたしまして、いろいろ各省庁の方々お忙しいところ来ていただいたのでありますけれども質問の時間がなくなってできなくて大変失礼でありましたが、その点御容赦願いたいと思います。  これで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  178. 石川要三

    石川委員長 川端達夫君。
  179. 川端達夫

    ○川端委員 それでは質問させていただきたいと思います。  現在、国会それから国民も含めまして税制の論議というのが非常に活発に行われているわけです。増税が先であるとか減税が先であるとか、レベニュー・ニュートラルであるとか、いろいろな議論があるわけで、非常に重要な議論がされているわけですけれども、現在の議論を見ていますと、不公平税制の改革という非常に大事な大きな部面の御議論と、いわゆる長期的な財政再建の問題あるいは単年度の歳入欠陥の問題等々が混同して議論をされているのじゃないかなと感じるわけです。本来、この税制の論議、臨調答申では「増税なき財政再建」という方向が明確に打ち出されているわけですけれども、これと同時に、税金を使う方の議論、より効率的に、より安く政府行政機構をやるというのも、これは税制と絡む非常に大きな問題であるし、むしろこちらの方が大事じゃないかなと感じているわけです。  といいますことは、税金を使う方の観点でのいわゆる行政改革というものをもっと迅速に大胆に実行すべき時期が今ではないかと思います。特に、山場を迎えております国鉄という問題があるわけですけれども、それよりももっと大きな基本的な問題としての地方行革というものがほとんど手をつけられていないのではないかと感じるわけです。今回の前にいわゆる国の関与、必置規制に関する整理法案というのがされましたけれども、今回それに続く法案ということで、機関委任に関する一連の法案が提案されているわけです。  いわゆる地方行革という観点から見まして、長官にお伺いしたいのですが、今の時代における地方行革というものの持つ意味合いといいますか、そのものに対する基本的なお考えとそれに取り組む決意、そういうことを御披露いただきたいと思います。
  180. 玉置和郎

    玉置国務大臣 国と地方自治団体というのは車の両輪のようなものでございまして、今や地方自治体の予算総額は国を上回るほどになっております。また職員の数も大変なものであります。それだけに、ここで私は御理解をいただきたいのは、臨調、行革審の中でこの問題についてしっかりやりなさいという御答申をいただいております。しかし、具体的なことについてはまだ多くの詰める場所が残っております。これが今回の機関委任事務でもあります。  そこで、今考えておりますのは、まだ発表はしておりませんが、一番大きな問題の一つは、自治体の中で、四十七都道府県ありますが、それぞれ富裕県と貧困県というのがありまして、最近貧困県、いわゆる貧乏県でありますが、二十三の知事が寄りまして、こういうものについてどうしてくれるのだというような会議を持っております。それだけに、こういった地方自治体におきます財政のアンバランス、例えば今度御審議をいただいております老健法の中でも、健康保険から赤字の出ておる国保に対してシフトする、こういう考え方が、四全総の中にはそういう財政的なものの配慮はありません。そこで、今度我々としてはこの問題を契機にして、今から御審議をいただきます新行革審の中でも、こういった問題について成立後思い切ってやってみたいということを考えておりまして、関係各省庁と協議しながら進めていきたい。  今や地方自治体がしっかりしなければならない、そのためには、国の機関委任事務整理合理化、委譲ということで、地方自治体の権限を強化して、地方自治体に本当にしっかりしてもらうことが日本の民主政治を確立していく上で非常に大事だ、こういうふうに考えております。
  181. 川端達夫

    ○川端委員 基本的には私も全く同感だと思うのです。そういう部分で、今回の行革審答申というのは一つの大きな目安、基本的な思想のバックグラウンドになっていると思うのです。  その中で、先ほども御議論がありましたけれども地方行事の計画的な実施ということには大きく分けて二つの考え方がある。一つは、簡素効率的な運営をするべし。それから、今回の機関委任事務に関連します部分での自主性自律性を強化することである。今長官がおっしゃいました自治体がしっかりするというのは、この自主性自律性を強化するということが不可欠な要素だというふうに感じるわけです。  ほかのいろいろなところにも書かれているわけですけれども、五十九年七月二十五日に出された「当面の行政改革推進方策に関する意見―国の行財政改革地方行革の推進―」という中に、「地方行革の原点は、自らの地方公共団体を簡素・効率的で真に地域の要請に応え得るものにしたいという住民の意志にある。これに応えた地方公共団体の自主的な改革努力があってこそ、自立自助の精神に立脚した行政サービスについての「選択と負担」に対する住民の理解が一層深まり、地方自治をより実りあるものとすることができよう。」とありますが、まさにおっしゃるとおりだと思います。  そこで、お伺いしたいのは、その後続けて「地方行革を阻害する要因としてまず挙げなければならないのは、国による過剰な関与や介入が地方行財政の膨張を招いていることである。」こういうふうに指摘されているわけですけれども、こういうものに対して長官はどういう御感想、御認識をされておるのか。まさにそのとおりであるのか、総論としてはそうだけれども、実際やろうとしてみると難しいと思っておられるのか、そこら辺をお伺いしたいと思います。
  182. 玉置和郎

    玉置国務大臣 ここで御理解をいただきたいのは私は常日ごろこう考えておるのです。  先ほども質問にお答え申し上げましたが、日本の政治の仕組み、やはりここから地方自治体の問題は考えていかなければならぬ。日本の政治というのは天皇の政府から始まったのです。だから、言うなれば上意下達、知事も政府の任命であったのです。そういうことから考えますと、これは本当に民主政治の構成ができておるのかどうかということです。  アメリカでも、私が専務理事をやっております豪州でも、もともと野良仕事をして、汚れた長靴を履いて、疲れをいやすためにパブへ行って、とまり木にとまってウイスキーをなめながら、隣の人たちと、おい、これだけ人数が集まったから、そろそろ我々の仲間で政治とかいうものをつくらなければいかぬなというところから始まったのです。そしてピラミッドの底辺ができて、州というものができた、その上に連邦ができたのです。だから州権は非常に強い。連邦政府が持っておるのは外交権と資源に関する問題、この二つです。あとはもう州が全部持っておる。  豪州の例を引きまして恐縮ですが、それだけに、時によっては、西豪州、クイーンズランド、この州の二人の首相が、頑張って、おい、独立しようじゃないかという運動を起こしたのです。そのときは連邦政府がびっくりした。それほど強いのです。それは、クイーンズランドも西豪州も大変な金持ちで、連邦政府に随分金を出しておる、そういうふうな積み上げの上の連邦政府、国家の政府だったものですからね。しかし日本はそれと全く反対なんです。  だから、我々が本当に民主政治を行おうとするならば、やはり地方自治団体に権限を委譲して、しっかりした地方自治団体を育てていくという意味においては、余り介入せぬ方がよろしいと思います。ここに官僚の人もおりますが、介入するとますます官僚が強くなるばかりですよ。我々から見ると、政党人が小そうなっておらなければならぬ、こういうことでございますので、どうかひとつ御協力をお願いします。
  183. 川端達夫

    ○川端委員 非常にわかりやすくお答えいただきましてありがとうございます。まさに民主主義の原点、それから地方自治というものがどうあるべきかということを非常に示唆されている御答弁だったように思います。そういう中で現在まで、臨調から行革審、その答申を含めて、例えば今回、機関委任事務法案が出てきた、その分では、今長官がおっしゃったような趣旨をどうも十分に酌んでいないのじゃないかなと思わざるを得ないわけです。  いろいろと長官自身にお伺いをしたいのですが、お約束もありますので、あとは各論に移らせていただきます。今基本的に考えをお伺いした部分で、これ以降の行革に関して長官として手腕を振るっていただきますことを御期待申し上げて、次の質問に移らせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  それで、今のに関連しまして、答申の中で「地方行革を阻害する要因としてまず挙げなければならないのは、国による過剰な関与や介入」だという指摘をされているのを受けて、自治省としてはどういうふうにこの文面をお受けとめになっているのでしょうか。
  184. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 機関委任事務の問題につきましては、いろいろ御批判があるわけでございます。その一つといたしまして、今先生がお示しになりましたような国による過剰な介入、関与というのが例に挙げられておるわけでございます。  私どもの方といたしましては、基本的には国の事務地方団体の事務とを峻別いたしまして、必要な場合には国の方で適正な関与を施す、そういう方策を講ずることが一番いいのではなかろうかと考えておりますけれども、現に地方制度調査会からもそのような答申をいただいておりますが、当面は機関委任事務整理合理化を積極的に進めたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  185. 川端達夫

    ○川端委員 基本的な考え方なんですけれども、今の自治省の御答弁では、きっちり性格を分けたらいいというふうに言われているわけです。今回法案として整理される、これは答申に沿っての形なんですけれども、発想の原点が、移すべきものは何かという議論なのか、残すべきものは何かということで随分違うと思うのです。先ほどの長官の御趣旨も含めて私ども理解しておりますのは、国の過剰な介入を排除するという意味では、本当に国がやらなければいけないものは、いわゆる残すべきものは何なのか、それ以外は全部移すべきであると考えるのが妥当じゃないかなと思うのですが、どうも行革審の議論を含めて今回の法案の流れを見ますと、移せるものは何かというふうな発想があるやに感じるのですけれども、どうでしょうか。
  186. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今の御質問趣旨をあるいは若干取り違えているのかもしれませんけれども、この機関委任事務の問題、いろいろな御議論があるのは御承知のとおりであります。臨調、行革審にありましても、この機関委任事務の問題あるいは国の関与の問題につきまして諸般の議論が行われた経過は御承知のとおりであります。  これにつきましての私どもの物の考え方といたしましては、やはり国民に対して行政を行うということは、これは国と地方と両方が行うんだ、それ相応に国も責任を持ち地方も責任を持つ、そういう意味で、国民に一番いいサービスをできる体制はどうであるか、その場合にあって国と地方公共団体とは相協力してその責任を分担し合いながら行政を行っているのである、このように考えるわけであります。  したがいまして、国と地方の連携の仕方というのはいろいろな仕組みがあり得るわけであります。機関委任事務につきましては、これは主務大臣が指揮監督をするという形をとっております関係でもって、地方のサイドからいえば、いわば過剰介入だというお話もありますけれども、これは、それ相応に国の責任はこういうこと、地方のいわば事務の処理の仕方というのはこういうことと、特に全国的に統一性を有し、ないし公正を要するというふうなものについては、これは一つの有効な仕組みであろうと思います。臨調、行革審もまた同様な物の考え方である。要は、国、地方とも国民に適切な行政サービスを提供するために相協力をしているんだ、そういう中でこういう問題を考えるべきであろう、このように思います。もちろん、過剰介入というのは、これはあるべきことではありません。このあたりについては今後とも見直していきたい、このように思います。
  187. 川端達夫

    ○川端委員 国と地方おのおの責任分担をしてという、今おっしゃることはそれなりには理解できるのですけれども、そういうものを議論していくときの根幹の思想ですね。先ほど長官がいみじくも言われたのは、天皇制のもとにもともとできたのが日本の歴史的な行政機構である、いわゆる上意下達の思想。これからの地方行政というものがどうあるべきなのか、それの延長線上で手直しをしていくというものでいいのか、思い切った発想の転換の中に、地方自治というものを、本当に住民の一番密着したところで行政というのは行っていくという立場に立つのかということがやはり根底にあると思うのです。  その部分の議論ということで受けとめますと、今の御答弁の部分では、やはり旧態の流れをくむ、要するに、そういう今あるベースを考えながら、移せるものがあったら移そうかというふうに感じるのですけれども、そこら辺ちょっとくどいですけれどもいかがですか。
  188. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 長官から先ほどお答えをいたしましたことも、発想の原点としては確かにそういうことでなければならないと思うのです。いわば民主国家であって、地方公共団体もそれ相応に成熟をしてきておるという点は、これは長官のお述べになったとおりであると思います。  ただ、我が国の行政というのが、先ほども申しましたように国、地方公共団体が相協力をしてやっていくという仕組みになっておる。したがいまして、これは大臣がいわば許可、認可の権限を持っておる、それを機関委任して地方公共団体の知事が、例えばこれについて措置をいたしておる、処分を行っておる、そこでもし異議がある場合には、大臣の方に都道府県知事を通じまして、さらにその審査請求がある、こういうふうな一つの仕組みがありますものですから、先ほど私からお話をしましたように、こういう協力関係は維持しつつも、地方自主性自律性を阻害するようなものにつきましては、これは常時見直してこれを排除していく、こういうことが今後とも大事な視点ではなかろうか、このように思うわけであります。
  189. 川端達夫

    ○川端委員 やや議論がかみ合わないような気がしますけれども……。  具体的に答申の中では廃止が十一、団体事務化十八、市町村委譲十二、その他二十六という個別の整理合理化事項が挙げてあるわけですけれども、今回の法案とそれから政省令の改正、ちょっと先ほどのと重複するかもしれませんけれども、合わせて、この答申に盛られている項目の、要するに打率というのですか捕捉率というか、それで漏れている部分はどのようなものがあるのでしょうか。
  190. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 行革審答申との比較で申し上げたいと存じます。  機関委任事務整理合理化関係でありますが、これを順次申し上げますと、機関委任事務の廃止につきまして、法律事項として行革審では十一事項を述べております。これに対しまして、この措置にありましては十事項措置をいたしております。その一事項漏れておるものといいますのは、行革審で中長期的な課題と言われました、いわば農地被買収者に対する事務の関係、これが一件、これはなお検討を要するということで漏れておるわけであります。  それから団体事務化につきまして、行革審では十六事項を述べております。これに対しまして今回措置をいたしましたのは三十三事項であります。したがいまして、これは十七事項多いわけでありますけれども、これは福祉四法、それから母子保健法の関係、行革審がやや抽象的にこの全部をひっくるめて検討せよというように述べておりましたのをさらに具体化をいたしました結果としまして十六事項が三十三事項になっておる。ここで一事項行革審答申で欠けておりますものがありますけれども、公害紛争処理につきましてのその仕組みというのにつきまして、これも中長期的な課題として述べております。この点については今回は措置をいたしておりません。それから、政省令で行革審が二件団体事務化を言っておりますけれども、これについてはいずれも措置をいたしております。  それから市町村委譲の関係、これは行革審が七事項を述べておりまして、これに対しましてこの法律では五事項措置をいたしております。これは二事項措置をいたしておりませんが、実は母子手帳の交付ということにつきまして、これを市町村委譲というのを団体事務化をいたしたものですからそちらの方で処理をした、実質マイナス一、こういうことになろうかと思います。  それから事務整理合理化につきましては二事項でありますけれども、これはいずれも措置をいたしております。なお、これに関する政省令事項は二十四件でありますけれども、これはすべて措置をいたしております。  それから権限委譲の関係でありますけれども行革審で知事への委譲と言われましたものが十二事項ございます。これにつきまして今回十一事項措置をいたしておりますけれども、これも中長期課題と言われました輸送監理関係事務につきましては、これはただいま関係都道府県と協議中でありますので、この中には入っておりません。それから政省令関係で二十一件ありますが、これはいずれも措置をいたしております。  それから国の出先機関への委任につきまして、行革審で政省令段階につきまして六件言われておりますけれども、いずれも措置をいたしております。  それから事務整理合理化の関係で行革審で十六件さらに言われておりますけれども、これについて二件、これは保安林とそれから農地転用規制緩和につきましてなお若干検討を要するものがありまして少しおくれるものがありますけれども、十四件はすべて措置をいたしております。  合わせまして行革審答申は四十八件の答申法律事項としてありまして、これにつきまして今回の法律措置としましては六十一事項措置し、合わせましてこれよりも十三件多い数に一応なっておる、それから政省令関係では七十四件の指摘を受けまして七十二件を既に措置をいたしておる、二件はなお今後これを検討してまいる、おおむねこれは全体ほぼすべて行革審どおりに措置をいたした、こういう内容になっております。
  191. 川端達夫

    ○川端委員 四十八件に対して六十一件ということで、件数が多いということだったのですが、これは今の御説明では、抽象的に書いてあるものを具体化していったら数がふえた、こういうことで、項目として行革審答申で指摘をされたもの以外には、要するに独自のものはございませんか。
  192. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 行革審答申に出ましたものは、今申しましたように大体すべて措置をいたしました。それ以外につきましては今回加えておりません。
  193. 川端達夫

    ○川端委員 答申の中にも、別にこれがすべてではなくて、いわゆる「その他の事項についても不断に見直しを行う」、こういうことで出ておるわけです。しかも答申が、皆さんの受けとめはどうか知りませんが一年前に出ておるわけです。非常に国家的な大きなことであるということで暇がかかるということは理解をするわけですけれども、先ほどの議論でもありましたが、まさに十年一日のごとし、本当にこれで大丈夫なのかな、民間の企業等でいろいろな問題があるといえば、本当にもうその日でも変えようということでしなければ、この激動の時代にやっていけないということで努力をしているわけなのです。  そういう中で御質問すれば、恐らくこれからも不断の見直しをやっていきますということになるのでしょうけれども、気になりますのは、行革審、こういうものの答申が出たら、それは尊重するという法の精神も含めて、一〇〇%に近く実行される、そこに出ないものは全然手がつけられない、いろいろな臨調あるいは行革審の討議の中でセレクトされてしまって、そこでフィルターがかかってしまうのじゃないか、こういうふうな懸念があるわけなんです。  これからまた、いわゆる新行革審の設置法案、きょう御提案がありましたけれども、これが本当に成立するかどうか、まだ提案されたところなのでわからないわけですが、ただ、万が一、我々もあれはぜひとも設置してやってほしいという基本的な思いを持っておるわけですけれども、設置ができなかったら、当然答申ができない、あるいはもうおくれているわけですから、おくれる。そうすると、今の進み方から見ますと、そういうものでの答申が出ないと一歩も前に進まない、これでは本当の行革ができないというふうに懸念をするわけです。  そういう意味で、その他の事項、要するに自助努力としての不断の見直しはやって、具体的に法案として出していきますということであってほしいので、その部分の御見解をお伺いしたい。
  194. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今回この法律を提案しましたその経過につきましてちょっと説明をさせていただきますけれども、これは御承知のように基本は臨調があるわけであります。五十六年三月にこれができまして、臨調の基本答申、これが五十七年七月に出されておりますけれども、その中にありまして、この機関委任事務の見直しということが指摘をされたわけであります。  その間にあって、地方行革につきまして、今先生お話しのようないろいろな問題意識が非常に出てまいったということでありますが、その際にもろもろ論議をされたのを受けまして、政府としてはさらに行革審ができました五十八年六月の段階で、これに対しまして、この機関委任事務のあり方について諮問をすることを閣議で決めたわけであります。  そういういわば臨調以来の問題意識は政府全体の問題意識となりまして、閣議決定でもってこの行革審にさらに十分内容検討してもらおうじゃないか、そうしたようなことでありましたところ、昨年の七月二十二日にその答申をいただいた、そういうことでありますから、それにつきまして昨年末の六一行革大綱と称する閣議決定の中でこれをすべて実行するんだということを決めたわけであります。前国会にこれを提案したわけでありますが、不幸にしてこれが通らなかったということで再提出をしたわけでありますけれども政府部内といたしましてもいろいろとそういう臨調、行革審の御論議を踏まえながら検討してまいり、行革審の御論議の中にもろもろ資料も一応提供いたしたというふうな経過があるわけであります。  ポスト行革審の御提案を申し上げておりますけれども、こうしたような地方自主性の強化という面につきましてはさらに留意しながら、機関委任事務合理化あるいは規制といいますか、政府の無用な関与といったようなものにつきましては今後ともこれを排除していくというふうな努力を行いたい、このように思います。
  195. 川端達夫

    ○川端委員 法案を提案されるという立場で、いわゆる機関委任の、これ以降の話ですけれども、ということで、いわゆる今までの行革審での答申、一連の流れというのは十分理解をしているつもりなんですけれども、お伺いしたかったのは、そういう手順といいますか、臨調あるいは行革審という答申が出て、閣議決定をしてこう進んできたというその枠というもの、これからもポスト行革審をつくろうとされている、そういうもの以外でもこういうものは出てくるというふうに理解をしていていいのかどうかということです。
  196. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 極めて率直に言いまして、この臨調、行革審なかりせば機関委任事務整理はできなかったということは事実であります。臨調で一割整理と言われまして四十五件の整理をした。今回行革審から言われまして今回の六十一事項整理をしておるというわけであります。  ただ、今後やはりこういうものについての見直しは、政府自体としてもそういう物の考え方をしなければならぬな、このように思っている次第であります。
  197. 川端達夫

    ○川端委員 今まで取っかかりとしてはそういう経過は理解をしますけれども、これからの部分というのはまさにみずからの手でおやりになるということが必要ではないか。  そのことも含めましてお聞きをしたいのは、地方意見の聴取、これは地方自治、まさに地方行革というのは、そこに住んでいる人のニーズに適応して迅速、柔軟に行政サービスができるように、なおかつ効率的にできるようにという趣旨だと思うのですけれども、その部分で、臨調の答申の前には地方六団体が「機関委任事務のあり方の見直しと整理分類について」という意見書をお出しになっておられる、あるいは六十一年二月には地方制度調査会が「機関委任事務等に係る当面の措置についての答申」を総理大臣にお出しになっている、こういうふうに、今回に至るまでにいろいろなところで、要するに地方の実務のベースの御意見を聞いておられるわけですけれども、これは答申にかかわってくることの枠ですのでお答えになりにくいかもしれませんが、今回法案を出されたという立場で、今までの地方の六団体あるいは地方制度調査会の意見というものが今回の法案の中に、いや非常によく聞いてあげたというふうに御認識をされておるのか、言われたことはよくわかるけれども、ちょっと考え方がなじまぬのでそうもいかなかったというのか、どういうふうに受けとめておられるのかということです。
  198. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今回の行革審の論議の中にあっても、地方六団体及び地方制度調査会の御意見というのは十分そしゃくされて議論をされたというふうに承っております。もちろんそのすべてができたわけじゃありませんで、数としては大変限られた数にはなっておりますけれども地方六団体からは行革審に対していわば意見を出されたし、あるいは地方制度調査会の答申等もこれは十分参考にされたというふうに承っておりまして、その結論に従いまして私ども今回この法案改正案として提出をいたした、そういうことであります。
  199. 川端達夫

    ○川端委員 十分に議論に付されて尊重されて出されたという御見解ですが、例えば具体的に地方六団体自体は、臨調答申そして今回の法案としての提案に対して、これは前回にも提案されているわけですから、六団体自体がどういうふうに受けとめておられると理解をされておりますか。
  200. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 地方六団体の意見は、先ほど先生もお示しのとおり、大幅に機関委任事務整理して地方団体の方に移譲してほしい、こういう主張でございます。それで、先ほど先生のお話にありました哲学の違いというのが一つあろうかと思いますけれども、ニュアンスといたしましてはできるだけ地方団体に事務を移譲してほしい、こういうトーンでございます。そのトーンに基づきまして、これまでたびたび地方六団体の方から意見の提言が出ております。  それで、今回の機関委任事務整理に関する部分につきましては、地方六団体の要望がすべて酌み取られたものとは理解しておりませんけれども、これまでよりも一歩前進という感じでございますので、今後さらにこの機関委任事務整理が一層積極的に進められますような希望を地方六団体としては持っておるはずでございます。
  201. 川端達夫

    ○川端委員 百二国会ですか、ちょうど一年ぐらい前に御議論されている部分でも、知事会の事務総長さんが、「まことに残念ながら不十分である」とかなり不満の御意見を述べておられるのですけれども、結局実際やっておられるのは地方である、それをいろいろどうしようかというのが国になる、そして、形としては行革審の中でいろいろな意見を聞いていただくけれども、思いがつながらない、やはりここに基本的にいわゆる中央集権の最たるものがあらわれているんじゃないかな。地方でいろいろ思う、だけれども中央でそれは決める、そのときにはいろいろ言ったけれども、一歩前進という表現をされましたけれども、そんな大したものを移してもらってないというふうな理解しか現場では受けとめていない。こういうものは結局地方に任しておけないという基本的な地方に対する不信というか、中央集権的な思想がやはり非常に強いんじゃないかなというふうに思わざるを得ないのですけれども、これから進めていかれる中で、その地方団体の意見が制度的にも反映されるような措置が保障されていかなかったらいけないんじゃないかなと思うのですが、そういうことの具体的な可能性はいかがですか。
  202. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 地方公共団体意見の制度的な保障云々ということにつきましては、これは自治省の方からお答えを願いたいと思います。  ただ、一言、いわば中央集権であったのではないか、確かにそういう側面があると思います。行革審の場でいろいろと論議されたというのは、いわば地方公共団体の御議論と中央省庁の物の考え方とがある程度ぶつかり合った場だと思うのです。従来は、いわば一方的な見解が示されるだけで、そういう機関委任事務等につきましてもお互いの接触がなくて、一方だけの話が出ておったというのが実相だったと思うのです。今回それが少しでも結実をしたということが今回の法律案提出できた理由であろう、こういうふうに思っておりますので、そのあたりはひとつ御理解を願いたいと思います。
  203. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 地方団体側の意見を十分聞いてほしいということでございますが、これまで現行法でも国家行政組織法なり地方財政法などによります意見の申し出、あるいは自治法によります地方議会の意見書の提出権などが認められておりまして、そのほか事実上の要望、陳情その他の意向把握というやり方をとっておるわけでございますが、なお制度的には十分でないということで、本年二月三日の地方制度調査会の答申におきましては、国と地方公共団体との関係改善観点から、地方公共団体の意向が国政に適切に反映されるような方途を講ずべきである旨、提言されております。  自治省といたしまして別に地方自治法の一部を改正する法律案を今国会にお願いいたしておりますけれども、その法律案の立案に当たりまして、先ほど申し上げました答申に沿いまして、地方公共団体の全国的な連合組織の意見提出権を制度化いたすべく粘り強く折衝を続けたところでありますが、各省庁の納得が得られるに至らず、残念に思っておるところでございます。しかしながら、今後とも引き続き地方公共団体の意向が国政に適切に反映されますよう努力してまいりたいと考えております。
  204. 川端達夫

    ○川端委員 自治省の御努力は非常にありがたいと思うのですが、今の御答弁の中で、各省庁の理解が得られないという部分、どういう理由なのかということだけちょっとお教えいただけませんか。
  205. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 各省庁いろいろ御意見をお持ちだったようでございますが、帰するところは現在の制度で十分ではないかというのが表向きの議論であったように記憶いたしております。
  206. 川端達夫

    ○川端委員 結局、総論としての行政改革地方行革をやるべしという言葉だけは勇ましいのですけれども、具体的になると各省庁がおのおのの権限の枠を放したくない、これに終始をしているのが今の行革ではないかなということを非常に残念に思います。先ほど長官が冒頭におっしゃいましたけれども、本当の民主政治、地方自治、地方政治のあり方を考えるときに、そういう、余りいい言葉じゃないかもしれませんが縄張りを感じ権限を持つということにこだわるということで進められている、これでは行革ができないんじゃないかなという危惧さえするので、いま一度また御議論をお願いしたいな、自治省も頑張っていただきたいなというふうに思います。  続いて、財政的な問題で二、三お伺いをしたいのですが、機関委任事務の費用負担、今までどういうふうになっていたのかということを教えていただきたいと思います。
  207. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 機関委任事務の費用負担の現状についてのお尋ねでございますが、初めに、現在の法令の仕組みを少し御説明させていただきたいと思います。  地方財政法上は、地方団体及びその機関実施する事務につきましては地方団体において全額負担するというのが原則とされております。そしてその例外といたしまして、国、地方の相互の利害に関係があり、国が経費を負担してその円滑な運営を期すべき事務、あるいは国民経済に適合するよう総合的に樹立された計画に従って実施されます公共事業、災害復旧事業あるいは専ら国の利害に関係する事務について、例外的に国がその経費の全額または一部を負担するという仕組みになっておりまして、これらの規定上からいいますと、機関委任事務かどうかというのは必ずしも直接関係がないものでございます。なお、具体的な負担区分につきましては、それぞれの事務に係ります個別の根拠法において定められているわけでございます。  一方、地方自治法の規定によりますと、法令で地方団体またはその機関に国の事務を処理させる場合等にあっては、国は、そのために要する経費の財源につき必要な措置を講じなければならない、こうなっております。この規定を受けまして、各事務ごとに国庫補助負担金あるいは地方負担に係る地方交付税算入措置あるいは手数料徴収等のそれぞれの財源措置を講じまして、事務執行に支障が生じないよう措置をしているところでございます。  なお、団体事務あるいは機関委任事務を問いませず、地方団体が必要といたします経費はすべて地方財政計画に計上いたしまして所要財源を確保することといたしております。
  208. 川端達夫

    ○川端委員 地方財政法の十条で具体的な事例として規定をされている部分と、それから例えば地方交付税に算入するとかいうことで見ておられる部分といろいろあるわけですけれども、地財法の十条とそれ以外と大別したときに、何か基準というのがあるのでしょうか。
  209. 森繁一

    ○森(繁)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、機関委任事務につきましては、地方公共団体が行いますいわゆる団体委任事務とそれから今申し上げました機関委任事務とが、ともに地方団体が負担をする、こういうことになっておりますので、その点での区別はございません。
  210. 川端達夫

    ○川端委員 今回の法案では、権限委譲で大臣から知事というふうな部分が何項目かございますけれども、これは新たに機関委任事務になるというふうに理解してよろしいのでしょうか。
  211. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 そういうことでございます。
  212. 川端達夫

    ○川端委員 その分の費用負担というのはどういうふうにされるのか、お伺いしたいと思います。
  213. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 これにつきましては新たに財源措置をする必要がありまして、これにつきまして地方財政計画の中に必要なものについて計上される、このように承っております。
  214. 川端達夫

    ○川端委員 トータルどれぐらいになるか、お教えいただきたいと思うのです。
  215. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 今の段階、まだそのあたりの推計はできていないというふうに承知をいたしております。
  216. 川端達夫

    ○川端委員 地方行革の精神というか、その計画的実施で二項目、先ほど御答弁されたのとも関連して言いますと、簡素効率的なものにするべしということと、自主性自律性を強化するべし、機関委任事務自主性自律性を強化するべきだから財源的な部分には関係がないような御趣旨の御答弁が先ほどありました。  今お伺いして、例えば新たに費用負担が発生するという部分に関してはまだわからないというか、恐らくこれからわかるのかどうかも定かでないと思うのですが、結果的に費用負担が発生するということは、トータル的な国の行政としては負担になるわけですから、その分がどれぐらいであるかということを検討されてないというのはちょっと考えられないのですけれども、いかがなんでしょうか。
  217. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 先ほど、今回の趣旨について申し上げたのはそのとおりであります。ただ、先ほど申し上げましたのは、今回はいわば仕組みの変更であるがゆえに計数的な効果については実は必ずしもわからないんだ、こういうことを申し上げたわけでありますが、この権限委譲の関係でいいますと、具体的には社会福祉法人の設立認可権限の委譲とか、これにつきましては相当大きな事務が知事に与えられることになるわけでありますけれども、実は今まで経由措置を、つまり厚生大臣に対して都道府県の方でいわば副申をつけまして経過事務を行っておったわけでございます。  そこで、これにつきまして新たに地方財政計画の中に算入するわけでありますけれども、そのあたりの、今までの経由事務とそれから今回の権限の関係、これにつきましては実はストレートにその数が出てまいらないわけであります。  そういう今まで知事部局が各大臣に対して経由措置を講じておったというふうなものがいろいろとありますものですから、具体的にその数は出てこない、またあるとしましてもわりかし少額の負担程度のものである、このように一応承知をいたしておるわけであります。
  218. 川端達夫

    ○川端委員 結局、実質的にはほとんど地方でやっていたものを中央に上げて暇かけて印鑑を押していたものをやめたにすぎないというふうに理解をするわけです。結局そういうふうなものばかりの寄せ集めじゃないかな、本当に中央でコントロールしていたものをもう思い切って地方でやりなさいというふうな感じではないのじゃないかなという感じがするわけです。  それにしましても、少なくとも中央本庁でおやりになっていた幾ばくかの事務量が現になくなることは事実であります。その分をどういうふうにアカウントされているのか、それからそのことがいわゆる省力化にどうつながるのかということを検討するのは当然だと思うのです。もともと人を減らすためにやっておられる趣旨ではないというのは理解をしておるのですが、それにしても、物理的に仕事量が減るということに関しては、これは民間であれば、当然その分要員の設定というものに関しては非常にシビアに財政的な部分を見ざるを得ないという状況で運営をしているわけですから、そういうことに関しての御検討の経過について、わかる範囲でお教えいただきたい。
  219. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 まず、例えば先ほどの社会福祉法人の関係でありますと一万数千件あるわけであります。ただ、これにつきまして、今申しましたように各大臣に対して、今まで経由といいますか、その報告に副申をつけておったというふうな事務があったわけであります。それを差し引いた場合に、いわば知事部局においてどういうものがふえるかといいますと、知事所管の法人に対する監督責任が増大するというふうなことはありますけれども、これは必ずしも目に見えない部分があるというのが率直なところであります。ただし、これによっていわば社会福祉法人の認可の時間は大体三カ月短縮される、相当大きな効果があるわけであります。  それから、国のサイドでも逐一そうした報告書類について処理をする必要はありませんから、これはそれだけのいわば経費の節減になるということではあるのですけれども、そのあたりの具体的な経費につきまして直ちにこれの算定はできないというのが実相でございます。  なお、中には手数料等によって財政措置をとるというようなものもあるわけでありますけれども、トータル勘定で最後にこのあたりで不足する部分につきましては地方財政計画で見る、このようなことで御措置を願うということを予定しているわけであります。
  220. 川端達夫

    ○川端委員 お答えの部分はわかるのですけれども、権限を含めていろいろな事務整理をしていくということで、地方が本当に自主的、自律的に運営をしていくということでいろいろ御努力されているような流れというのは理解をするのですけれども、その中で国の過剰な介入であるというふうに指摘をされている部分で、あるいは地方の行革をしてほしいという地方の思いという部分でいいますと、いわゆる二重構造ではないか。二重、三重にいろいろなことを地方が中央に対してお伺いを立て許可をもらいということをなくしてほしいという思い。二重、三重であるということは、それを余分に、中央の省庁のお役人も、本来もっとすべきことがあるのに、そういうことに、副申までついているようなものまでかかわっておられたということではなくて、本来の仕事、大局的なことをやっていただきたいと思うのです。  そういう中でいいますと、当然ながら経費の合理化も含まれるはずなんで、その分が何となく、そういう趣旨ではないから、しかも額的にも実態としてはほとんど上がってこないようなものでしかないということは、例えばマスコミなんかでも今回の答申はいわゆるくず物整理であるというふうな酷評までされる一つのあれじゃないかなと感じるわけです。  そこで、冒頭に若干議論をさせていただきましたいわゆる地方の自治というものが本当に自治となるためには、機構もそうですし財政的な裏づけもそうだと思うのですが、そういう意味で今回またポスト行革審の設置を提案されましたけれども、それも踏まえ、それからなおかつそれ以外にも独自に不断の努力行政改革地方の自治に向けての実行がされるように特にお願いをしたいと思うのですけれども、その分に対しての、長官はもうお帰りになりましたのであれですが、実務の責任ある立場としての決意のほどをひとつ御披露いただきたいと思います。
  221. 佐々木晴夫

    ○佐々木(晴)政府委員 政府が、臨調以来、行政改革を国政の最重要課題一つとして位置づけていることについては御承知のとおりであります。これにつきまして、臨調、行革審の物の考え方というのを踏襲をして、今後ともその行政合理化に取り組まなければならない、このように考えておるわけであります。ポスト行革審の御提案も既に申し上げているわけでありますけれども、当然そうしたところでも諸般の論議を受けるわけでありますが、これに御協力を申し上げ、それからまた、私たち政府自体としてもいろいろと努力をいたしたい。  今お話しの地方行革のためのいわば地方自主性自律性の強化という点につきましては、この法律を今回提出いたしたわけでありますけれども、これをもって終わりとせず、今後ともさらにその合理化につきましては努力をしてまいりたい、このように思います。
  222. 川端達夫

    ○川端委員 時間が参りましたので、以上にいたします。どうもありがとうございました。
  223. 石川要三

    石川委員長 次回は、来る二十七日木曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時五十三分散会