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1986-11-27 第107回国会 衆議院 逓信委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十七日(木曜日)     午前九時一分開議  出席委員    委員長 深谷 隆司君    理事 白川 勝彦君 理事 関谷 勝嗣君    理事 田名部匡省君 理事 額賀福志郎君    理事 吹田  愰君 理事 田並 胤明君    理事 木内 良明君       尾形 智矩君    川崎 二郎君       木村 守男君    熊川 次男君       佐藤 守良君    園田 博之君       虎島 和夫君    中島  衛君       野中 広務君    二田 孝治君       穂積 良行君    宮崎 茂一君       森  喜朗君    阿部未喜男君       伊藤 忠治君    上田 利正君       井上 和久君    遠藤 和良君       森本 晃司君    阿部 昭吾君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 唐沢俊二郎君  出席政府委員         科学技術政務次         官       志村 哲良君         郵政大臣官房長 成川 富彦君         郵政省貯金局長 中村 泰三君         郵政省通信政策         局長      塩谷  稔君         郵政省電気通信         局長      奥山 雄材君         郵政省放送行政         局長      森島 展一君  委員外出席者         科学技術庁研究         開発局宇宙開発         課長      向井  保君         建設省建設経済         局調整課長   角地 徳久君         自治省行政局選         挙部管理課長  岩崎 忠夫君         会計検査院事務         総局第五局長  小川 一哉君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      中村 有光君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     松本 幸夫君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     尾西 清重君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     植田  豊君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     井上  豊君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   松村  勇君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事長)   大澤 弘之君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    船川 謙司君         逓信委員会調査         室長      古田 和也君     ───────────── 委員の異動 十一月二十七日  辞任         補欠選任   亀岡 高夫君     熊川 次男君   久野 忠治君     中島  衛君   渡辺 紘三君     木村 守男君   遠藤 和良君     井上 和久君 同日  辞任         補欠選任   木村 守男君     渡辺 紘三君   熊川 次男君     亀岡 高夫君   中島  衛君     久野 忠治君   井上 和久君     遠藤 和良君     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書      ────◇─────
  2. 深谷隆司

    深谷委員長 これより会議を開きます。  日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書議題とし、審査に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件審査のため、本日、参考人として日本放送協会及び宇宙開発事業団の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 深谷隆司

    深谷委員長 まず、郵政大臣から説明を求めます。唐沢郵政大臣。     ─────────────  日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  5. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 ただいま議題となりました日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書国会提出につきまして、概略御説明申し上げます。  これらの書類は、放送法第四十条第三項の規定により、会計検査院検査を経まして国会に提出するものであります。  日本放送協会から提出された昭和五十八年度の貸借対照表等によりますと、昭和五十九年三月三十一日現在における資産総額は、二千六百五十五億六千四百万円で、前年度に比し、百三十一億四千九百万円の増加となっております。  これに対しまして、負債総額は、一千二百五十四億七千七百万円で、前年度に比し、二百六億六千百万円の増加となっております。  資本総額は、一千四百億八千七百万円で、前年度に比し、七十五億一千二百万円の減少となっております。  資産内容を見ますと、流動資産五百八十八億八千九百万円、固定資産一千九百十六億八千四百万円、特定資産百四十五億六千六百万円、繰り延べ勘定四億二千五百万円であり、固定資産内容は、建物六百六億八千八百万円、機械五百四億七千八百万円、土地二百九億八千八百万円、その他の固定資産五百九十五億三千万円となっております。  また、負債内容は、流動負債四百三十二億八千七百万円、固定負債八百二十一億九千万円であり、固定負債内容は、放送債券四百八十六億二千万円、長期借入金百八十七億二千万円、退職手当引当金百四十八億五千万円となっております。  資本内容につきましては、資本七百五十億円、積立金七百二十五億九千九百万円、当期欠損金七十五億一千二百万円となっております。  次に、損益について御説明申し上げます。  経常事業収入は、二千九百二十六億二千三百万円で、前年度に比し、四十八億七千七百万円の増加となっております。  これに対しまして、経常事業支出は、三千億四千百万円で、前年度に比し、百九十四億一千三百万円の増加となっております。  この結果、経常事業収支は、七十四億一千八百万円の欠損となっております。  これに、特別収入四億七千九百万円及び特別支出五億七千三百万円を含めまして、事業収入は二千九百三十一億二百万円、事業支出は三千六億一千四百万円で、事業収支は七十五億一千二百万円の欠損となっております。  以上のとおりでございますが、何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 深谷隆司

  7. 川原正人

    川原参考人 ただいま議題となっております日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書概要につきまして御説明申し上げます。  まず、財産目録貸借対照表当年度末現在の資産総額は、二千六百五十五億六千四百万円で、この内訳は、流動資産五百八十八億八千九百万円、固定資産一千九百十六億八千四百万円、特定資産百四十五億六千六百万円、繰り延べ勘定四億二千五百万円で、このうち固定資産内容は、建物六百六億八千八百万円、土地二百九億八千八百万円、機械五百四億七千八百万円、出資十一億六千八百万円、その他の固定資産五百八十三億六千二百万円でございます。  当年度資産総額を前年度末と比較しますと、百三十一億四千九百万円の増加となっておりますが、これは主として、当年度建設計画に基づくテレビジョン放送網建設放送設備整備等の実施、及び通信放送衛星機構等に対する出資により固定資産が二百九億七千四百万円増加し、一方、前年度からの繰越金当年度において債務償還及び事業収支財源不足に充てて使用したことなどにより、流動資産が百十三億四千九百万円減少したためでございます。  一方、これに対する負債総額は、一千二百五十四億七千七百万円で、この内訳は、流動負債四百三十二億八千七百万円、固定負債八百二十一億九千万円で、このうち固定負債内容は、放送債券四百八十六億二千万円、長期借入金百八十七億二千万円、退職手当引当金百四十八億五千万円でございます。  当年度負債総額を前年度末と比較しますと、二百六億六千百万円の増加となっておりますが、これは長期借入金増加等により固定負債が百八十四億三千七百万円増加し、また、受信料前受け金の増加等により流動負債が二十二億二千四百万円増加したためでございます。  また、資本総額は、一千四百億八千七百万円で、この内訳は、資本七百五十億円、積立金七百二十五億九千九百万円及び当期欠損金七十五億一千二百万円でございます。この当期欠損金により、資本総額は前年度末と比較し、七十五億一千二百万円の減少となっております。  次に、損益計算書により経常事業収支について見ますと、まず、受信料等経常事業収入は、二千九百二十六億二千三百万円で、前年度と比較し、四十八億七千七百万円の増加となりました。  これは主として、受信料増加によるもので、極力受信契約維持増加に努めた結果でございます。  なお、有料受信契約件数は、三十九万件増加し、当年度末には二千九百九十四万件となりました。  次に、経常事業支出は、三千億四千百万円で、この内訳は、給与一千二十五億九千五百万円、国内放送費八百十九億三千八百万円、国際放送費十八億八千万円、営業費四百四十五億九百万円、調査研究費三十四億七千九百万円、管理費四百二十七億三千百万円、減価償却費百八十七億九千六百万円、財務費四十一億一千三百万円となっております。  これは前年度と比較し、百九十四億一千三百万円の増加となりましたが、主として、放送番組内容充実刷新受信契約維持増加対策推進及びこれらの事業遂行に伴う維持運用費等増加によるものでございます。  以上の結果、経常事業収支は七十四億一千八百万円の欠損となり、これに、特別収入四億七千九百万円を加え、特別支出五億七千三百万円を差し引いた事業収支全体では、七十五億一千二百万円の欠損となりました。  なお、この欠損金については、前年度からの繰越金をもって、補てんすることといたしました。  これをもちまして、協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書につきましての概要説明を終わらせていただきますが、今後の事業運営に当たりましても、公共放送としての使命と責務を銘記し、一層放送事業発展努力してまいる所存でございます。  何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第でございます。
  8. 深谷隆司

    深谷委員長 次に、会計検査院当局から検査結果について説明を求めます。会計検査院小川第五局長
  9. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 日本放送協会昭和五十八年度決算につきまして検査いたしました結果を説明させていただきます。  日本放送協会昭和五十八年度の財産目録貸借対照表及び損益計算書並びにこれに関する説明書は、昭和五十九年七月三十一日内閣から送付を受けましたが、その検査を終了しまして、同年の十二月四日内閣に回付いたしました。  同協会の会計につきまして検査いたしました結果、特に法律、政令または予算に違反しまたは不当と認めた事項はございません。  以上、簡単でございますが説明を終了させていただきます。
  10. 深谷隆司

    深谷委員長 これにて説明は終わりました。     ─────────────
  11. 深谷隆司

    深谷委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。二田孝治君。
  12. 二田孝治

    二田委員 自民党の二田孝治と申します。  本日は、NHK決算につきまして、新人にもかかわらず質疑の機会を得させていただきまして、大変光栄に存ずる次第でございます。とともに、本日の許可を与えてくださいました委員長並びに先輩各位の御配慮に対しまして感謝を申し上げる次第でございます。  最初に、決算内容とは少し異なる質問をさせていただきます。  ちょうど一週間前の二十一日、伊豆大島三原山記録史上最大の安永六年の噴火に匹敵する二百九年ぶりの大噴火となったのでありますが、この噴火の生々しい様子島民の不安や恐怖の情景等テレビをもちまして逐一報道されております。そしてまた、全国民テレビの前にくぎづけにした記憶はまだ生々しいものがあります。  さて、このような緊急事態におきましては、放送速報性というものが最大限生かされるべきだと考えるところでありますが、今回の報道に当たってNHKはどのような態勢で臨まれたのかお伺いいたします。
  13. 尾西清重

    尾西参考人 お答え申し上げます。  今度の大島三原山爆発でございますが、これに限らず、災害報道につきましては、私どもはまず何よりも住民の安全確保が第一であろうと考えております。そして、そのため、正確な情報を迅速に伝えるということが基本かと存じます。ただ、自然災害は極めて予知が難しいものでございます。専門家予測を超える事態がしばしば起きるものでございます。今回もそうでございました。ただ、我々といたしましては、いかなる状況の変化にも対応できる態勢をとって報道に当たるということを常々心がけているところでございます。  今度の大島三原山爆発につきましては、九月から三原山様子が少し変化しているということで私どもはかなり態勢、準備を整えてまいりました。そして、十五日の爆発がありました後、続いて二十一日夕方から二十二日にかけましてはほとんど連続放送をいたしました。テレビにおきましては十七時間五十五分、ラジオにつきましては十五時間二十八分にわたって特別番組放送したわけでございます。第二次爆発が四時十七分にございましたが、この状況を四時半には相撲を中断いたしまして放送いたしております。大体、大相撲の中入り後の試合の続行中でございましたが、四十分にわたってしばしば中断をして、大島三原山噴火をお伝えしたわけでございます。  現在、幸いなことに鳴りを潜めておりますが、いつまた爆発が起きるかもしれないという専門家予測でございますので、私どもは厳重な警戒態勢をとってこの事態に即応できるようにしているところでございます。ただ一方で、避難された島民の方々がもう一週間にもなる避難生活の中で一体どういうことに困っておられるのか、あるいはどういうことを求めておられるのか、現在の取材はそっちの方向に重点を置きましてお伝えしているところでございます。
  14. 二田孝治

    二田委員 二十一日以来島外に避難されている皆様が一日も早く御帰島できることをまずお祈り申し上げます。そしてまた、このような非常災害時の報道態勢強化を今後なお一層お願いする次第でございます。  ただいま郵政大臣川原会長からご説明がありました決算内容につきまして少し質問させていただきたいと思います。  五十八年度はNHKにとりまして経営計画のない非常に厳しい年であったのではないかと存じ上げます。五十五年から五十七年度の三年間で経営計画よりも百四十五億円の収支改善ができ、この結果五十八年度においては受信料が据え置かれたところでありますが、また、五十八年度は百四十一億円の収入不足にとどまったことから、五十五年から五十八年度の四年間でほぼ収支が均衡したところであります。五十八年度においては予算で百七十億円の収入不足を予定していたようでありますが、これがこのように改善された事情につきまして、いろいろと経営努力をなされたことと存じますが、このような結果に対する御説明をいただきたいと思います。
  15. 井上豊

    井上参考人 先生御指摘のように、五十八年度の予算編成時におきましては、事業収支におきまして百四億円の赤字、これに加えまして債務償還必要額が六十六億ございましたので、いわゆる百七十億の赤字を覚悟しまして、前年度までの繰越金の百六億を充当したといたしましても六十四億円の欠落を考えていたわけでございます。しかしながら、年度内事業収入におきまして、先ほども説明ございましたように、受信料につきましては目標総数に達しなかったこともございましておよそ四億二千万円の欠落となったわけでございますけれども、私ども年度内事業経営の中で副次収入、つまりテキスト編集手数料の増などで努力いたしまして九億九千万円の副次収入の増に努めたわけでございます。それから財務収入増等によりまして六億、さらには前々年度以前の受信料の収納にも努力いたしまして、収入全体といたしましてはおよそ十四億円の増収となったわけでございます。  一方、支出におきましては、物価の鎮静化もあり、また為替レートの若干の変動もございました。さらには効率化強化によりまして、私ども都市受信障害対策見直しでございますとか口座化のより一層の推進でございますとか健保料率負担見直しでございますとか、そういうものによりまして六億七千万円の節減強化をいたしました。さらに、予備費の残九億九千万円、また財務費減等もございまして、およそ十五億円の支出減につながったわけでございます。  したがいまして、十四億の増収と十五億の減少ということで、二十九億の収支改善によりまして百七十億の不足額が百四十一億にとどまったわけでございます。また、前年度、五十七年度の決算によりまして三十九億の収支改善がございました。当初申し上げましたように、六十四億円の欠損につきましても、この五十八年度の二十九億の収支改善と加えまして六十八億円となりまして、結論といたしまして四億の残ということになったわけでございます。
  16. 二田孝治

    二田委員 今の御説明NHKの五十八年度の事業運営が明らかになったところでありまして、非常にその経営努力を多とするものであります。  ちょっと要望がありますけれども、時間が十分間削られておりますので、どうかひとつ御答弁を明快にお願い申し上げる次第でございます。  ただいまの御説明に対する郵政大臣のお考えをお伺いいたしたいと思います。
  17. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 簡単にせよというお話でございますから簡単に申し上げますと、今先生おっしゃるとおり、五十八年度の決算は、事業支出抑制等によりまして、当初百四億円の欠損というのが七十五億円の欠損にとどまったということと、要員の効率化についてほぼ計画どおり純減を図ってきた、こういうことからいたしまして、まだ十分とは言えませんが、おおむね評価できると考えております。
  18. 二田孝治

    二田委員 次に、数字的な問題ではなくして、NHK関係で注目を集めている衛星放送についてお伺いしたいと思います。  いわゆる衛星放送は、放送ニューメディアの中でも非常に大きな可能性を持っておるものであります。地上では実現が難しい高精細度テレビなどの新しい放送ができるとともに、日本全国どこにでも同時に電波が届くということで、その発展が待ち望まれているところであります。  しかしながら、現在衛星放送BS2a中継器に生じた故障のために一チャンネルのみの試験放送にとどまっており、こうした現状の中で、本年二月、予備機であるBS2bBS2aの経験を踏まえて打ち上げられましたが、国民BS2bに大きな期待を寄せていると考えます。  ところが、その後姿勢制御系故障があったとか、よくない知らせも聞いたりしたのでございますが、BS2bの打ち上げから現在に至るまでの経過と、BS2bが今どういった状況にあるのかといった点につきまして御説明いただきたいと思います。
  19. 中村有光

    中村参考人 お答えいたします。  BS2aは二系統のうち、故障いたしまして、残りました一チャンネルは約二年半安定に運用してきました。現在aの方はbの方の予備となっておる状況であります。また2bの方につきましては、打ち上げた後、六月一日から三日にかけまして、御指摘のような姿勢制御系の異常を生じまして、予備系の方に切りかえて、その後これまで半年間安定に動作をしておる状況にございます。また、aで発生いたしました故障を2bの方に適切な処置を施した結果、打ち上げ後二回目の食の期間を経過しまして安定性が確認された。このことにつきましては、さきの宇宙開発委員会においても、適正な処置だということで評価されております。現在15チャンネル試験放送を、また11チャンネル試験電波を出している状況でございます。
  20. 二田孝治

    二田委員 ただいまの御説明でその対処の方法、今後の方向というものはよくわかったわけでございますけれども、次に衛星放送目的について少しくお伺いしたいと思います。  衛星放送目的の一つは難視聴解消であるというふうにお伺いしておりますけれども、難視聴解消は、テレビの見えにくい地区人々にとっては極めて大切なことはよく理解ができます。  さて、その難視聴世帯というのは果たして全国でどのくらいあるのか、郵政省NHKはよく実数を把握していると思います。そこでお伺いしたいのでございますが、衛星放送ではこれまでどの程度の資金をつぎ込んでいらっしゃるのか、また今後放送衛星三号が打ち上げられるというふうに聞いておりますけれども、三号の打ち上げにつきましてどのぐらいの資金が要るのか、放送衛星打ち上げ資金の国とNHKとの負担割合はどのようになっているのか、以上三点をお伺いします。時間がございませんので、簡単にひとつお答え願います。
  21. 森島展一

    森島政府委員 衛星放送は難視聴解消を主たる目的として始めたものでございますが、難視聴世帯、これはNHK電波の届きにくいという点からいいますと四十二万世帯ございますが、最近の実態調査で、実際にNHKテレビが見られないという世帯は十万、これは自主的ないろいろなアンテナ等努力によって十万世帯までに減っておるというふうに推定しております。  それから衛星放送の経費でございますが、BS2の場合は打ち上げ費用、これが五百九十九億円。国とNHK分担比率が四対六でございます。それからBS3の場合は打ち上げ費用が七百八十七億円。この場合は国が三・五、三割五分負担いたしまして、残りの六割五分は、NHKと民間の衛生放送、これが二対一の割合残りの六・五割を負担する、こういうことになってございます。
  22. 二田孝治

    二田委員 ただいまの御説明によりますと、衛星放送には莫大な資金が投じられているということがよくわかりました。  NHK放送衛星につぎ込んだ資金はすべて全国視聴者の貴重な受信料であると思います。放送衛星によって難視聴地区人々恩恵を受けることも非常に大事なことだと思われます。ただ、単にそれだけでは、同じ受信料を払っている大多数の視聴者に何の恩恵がないのもまた非常に残念なことではないかと思われるわけでございます。受信者の数は二千数百万世帯、三千万世帯に近づいているとお伺いしておりますが、ただ単にお金を出しているだけで何ら恩恵を受けないことには、受信料で成り立っているNHKとして不公平ではないかと思われますが、それでは公共放送としての社会的責任は果たせないのではないか、そうも考えられます。  そこで、難視聴解消とあわせて、地上テレビとは違った内容の新しいサービスを行ってこそ、NHK国民の支持となお一層の信頼を得ると考えますが、NHK並び郵政省の御見解をお伺いいたします。
  23. 林乙也

    林参考人 お答え申し上げます。  ただいまも郵政省の方から御説明がありましたように、放送衛星開発のためにNHKといたしましても巨大な資金を投じて現在に至っておるわけでございまして、その開発の成果を国民に積極的に還元していく必要があるというふうに考えております。幸い、BS2bも一応二チャンネルによる放送が可能な状況でございまして、今後は衛星放送の普及発達に努力していくということが私どもの課題ではないかというふうに考えておりまして、ただいまも先生の方からお話がございましたように、そのためには何よりもまず放送衛星の特徴を生かした衛星独自の番組というものを積極的に展開することによりまして全国視聴者の御期待にこたえていくようにいたしたいと考えております。
  24. 森島展一

    森島政府委員 衛星放送につきましては、難視聴解消目的とするほかに、衛星放送の普及を図るという観点からいろいろな番組を工夫いたしまして、地上では地域放送とか再放送に使っておる部分を衛星の場合は独自の番組編成というような工夫により衛星放送の普及が図られるということで、この点はNHK努力してもらいたいと思いますが、ただ、こういった範囲を超えてさらに広く独自番組を衛星放送によって実施するということになりますと、難視聴対策をどうするかとかNHKの業務範囲は一体どの程度にすべきか、それからそのための財源をどうするか、こういった点を幅広く検討しなければなりませんので、衛星放送の普及を図るという観点も非常に重要だというふうに考えておりますので、今後も積極的に検討していきたいと思っております。
  25. 二田孝治

    二田委員 衛星放送につきましては、国民皆様が受益できるようにひとつよろしく御配慮をお願い申し上げる次第でございます。  まだまだこの面につきまして、また国際放送等の面につきましてもお尋ねしたいことがあったのでございますけれども、時間の制約がございますので、私の質疑を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
  26. 深谷隆司

    深谷委員長 園田博之君。
  27. 園田博之

    ○園田委員 一年生でございますので、どうぞよろしくお願いいたします。  私は、二田先生に引き続きましてNHK経営問題について質問させていただきたいと思います。  先ほど五十八年度決算の報告の中で、五十五年から五十七年までの三カ年計画と比べれば、この三カ年間で、また五十八年度も含めて大変改善ができた、こういう御報告でございました。五十九年度には受信料が改定をされておるわけですが、その際に五十九年から六十一年まで三カ年の経営計画の策定がされております。本年度はその最終年度に当たるわけでございますが、この三カ年計画は一応三カ年で収支がゼロという計画になっておりますが、現時点での状況、今後の予測につきましてちょっと御報告をいただきたいと思います。
  28. 井上豊

    井上参考人 お答え申し上げます。  現在六十一年度の事業計画を実施半ばでございまして、私ども、先生御指摘のように、三カ年間の事業計画につきましては全体といたしましては順調に推移をしているというふうに考えているわけでございます。例えば放送番組の拡充にいたしましても、総合テレビの時間を三十分延長いたしましたし、ローカル放送につきましてもラジオ、テレビとも三十分増というようなこともございます。国際放送につきましても放送時間を三時間増加いたしましたし、先ほど議論がございましたように、衛星放送につきましても、現在は一波でございますけれども、近々に二波の送出が可能になろうかというふうに考えているわけでございます。  収支につきましては、三年間で収支とんとんといいましょうか、三年間で収支が相償うという考えでやってまいりましたけれども、六十一年度はまだ年度後半でございますが、六十一年度の予算編成の段階といたしまして三カ年間でおよそ百五十四億の収支改善が見込まれたわけでございます。そのことによりまして、六十二年度以降の財政安定化資金といいましょうか、これに活用し得るという見通しを得ておりまして、総体といたしましては、収支につきましてもこの三カ年計画の目標をほぼ達成し得るのではないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  29. 園田博之

    ○園田委員 大変御努力の結果結構なことだと思っておるわけですが、六十一年度の予算審議のときに、当委員会で会長から、既に計画には若干改善がされておるので六十二年度の料金については現行で大体遂行できるのではないか、こういうお答えをいただいております。今御報告をお聞きしておりますと、その際よりもさらに改善がされておるわけでございますね。そういう前提で、まず一つは六十三年度の料金についてどうお考えになっておるのか、それからもう一つは六十二年以降の経営計画について数字の上でどういう計画を立てておられるのか、二つお聞きしたいと思います。
  30. 川原正人

    川原参考人 六十二年度につきましては、昨年もお約束したとおり現行料金で予算は編成いたします。現在その作業に入っておりますけれども、まだ最終的にはまとまっておりませんが、必ず料金は据え置きで予算を編成いたします。  それから、六十三年度につきましては、実は今六十一年度の予算執行状況がまだはっきりめどがついておりませんことと、六十二年度から三年度にかけまして放送衛星を初めいろいろなニューメディアも充実していかなければなりませんし、片一方で合理化等はさらに一層進めてまいりますけれども、そのほかに今度ふえる要素として今一番問題になっておりますのは、ソウル・オリンピックの放送権交渉がかなり大きな金額をめぐって議論が行われておりまして、これの成り行き等も見定めませんと、六十三年度は今のところ何とも申し上げられないという状況でございます。もちろん、考え方として料金はできるだけ据え置きを続けたいとは思っておりますけれども、不確定要素が余りに今の段階で多過ぎます。最終決定まではもうしばらく時間をちょうだいしたいと思っております。
  31. 園田博之

    ○園田委員 六十二年以降の計画については何かもう策定しておられれば……。
  32. 林乙也

    林参考人 昭和五十九年から六十一年までの三カ年計画を一応経過いたしまして、来年度は計画期間外に入ってまいるわけでございますけれども、六十二年度の事業計画、予算につきましては現在編成中でありますことをただいま会長からも御説明申し上げたとおりでございます。それで、六十三年度以降の点につきましても会長の方から御説明申し上げた次第でございまして、私どもNHKといたしましては、六十三年度以降におきましても、公共放送としての責務を全ういたしますとともに、一層効率的な経営の徹底を図るということを基本としてまいりたいというように考えております。  そのため、国民の期待にこたえます番組の充実あるいは衛星放送サービス等のニューメディアへの着実な取り組み、国際放送の充実強化、さらには、ただいまお話もございましたようなオリンピック等の国際的なビッグイベントに対するNHKとしての積極的な取り組みというものを織り込みながら今後の事業計画の検討に入ってまいりたいというように考えております。現在なお六十二年度の予算編成の過程でございますので、そこらあたりの確定をにらみながら六十二年度以降につきましても固めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  33. 園田博之

    ○園田委員 わかりました。  お話しのように、今後のことを考えますと、テレビの普及も飽和状態になっておりますし、そういった意味では、受信料といいますか契約者の伸びはほとんど期待できないだろうし、一方では、今おっしゃったように、衛星放送などニューメディア実施の経費も大変かかってくるだろうと思います。しかし、いずれにしろ御努力をいただいて、受信料値上げなどに安易に求めないようにひとつ御努力をお願い申し上げたいと思っております。  ただ、NHK経営をこういう状況の中でどうやって安定させるのかというポイントはやはりNHK側としてもお考えになっている点があろうかと思いますので、今後の経営上の最重要課題といいますか、そういった点について御報告をいただきたいと思います。
  34. 川原正人

    川原参考人 やはり受信者へ多額の負担をかけないということで私ども経営を進めていかなければいけないと思います。一方、先ほど申しましたように、どうしても新しい事業あるいは新しく金のかかる問題は出てまいります。それをどう賄うか。  私どもとしては、一つには、もちろん部内の合理的な経営ということはさらに徹底してまいりますが、もう一つ、関連の事業と力を合わせまして、従来NHKでやっていたものも関連の事業でやることによって経費をもう少し合理的に上げる、あるいは番組その他の放送の材料等を他へ売ることによって副次収入をもっと多額に上げる、そのような合理的な経営を進めながら、できるだけ受信者への負担を過大にしないということを心がけてまいりたいというふうに思っております。
  35. 園田博之

    ○園田委員 経営効率化は、収入を伸ばして経費を減らせばいいわけです。簡単に言えばそういうことになるわけですが、収入ということになりますと受信料収入がほとんどを占めるわけでございますね。これはちょっと後に回しますが、片一方で経費を減らすという点、この点についてもいろいろ御努力をいただいておると思いますが、経費節減策は現在どういう方向NHKの方で取り組んでおられるのか、これを御説明をいただきたいと思います。
  36. 林乙也

    林参考人 お答え申し上げます。  NHKにおきまして効率的な経営というものが永遠の課題であるといいますか基本的な課題であるということを肝に銘じまして、各年度の事業計画を策定いたします場合には関係の業務というものにつきまして基本的に見直すというようなことで、新しい業務に必要な経費につきましても極力経費の効率化の中からその余力を生み出していく、あるいは要員につきましても、現在一万五千人の体制というものを目指して効率化に取り組んでおる次第でございますけれども、それを着実にまたできるだけ速やかに達成していく、さらには組織の活性化に努めていく。また、ただいま会長からもお話がございましたけれども、従来NHKが直接行っておりました番組制作その他の業務につきましても、これを関連の団体に委託するなどの方策を講じますことにより、より経費の削減を目指して進めていくというようなことなどを中心に、効率的な経営に当たっておるところでございます。
  37. 園田博之

    ○園田委員 経費の面でそういう御努力をされておるのでしょうが、数字の上では、私どもが見てすぐ気になるのが受信料の契約収納のための経費なんですね。例えば六十一年度予算では約六百二十億になっております。これは事業支出の一八%に当たるわけです。これを何とか縮小できぬものだろうか、こういうふうに我々は考えるわけですが、この取り組みを現在しておられればひとつ御答弁願いたいと思いますし、今後一つの対策を、考え方を持っておるということでもあればひとつお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 松本幸夫

    ○松本参考人 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、受信料の収納経費が六百二十億かかり、それが一八%を超える状況にあるということについて、私どもとしても、この経費の削減ということは経営課題として最も大きなものの一つであるというふうにとらえて検討している次第でございます。  ただ、御理解いただきたいと思いますのは、御承知のように全世帯の総数が今三千八百万という数でございます。一方で有料契約者の数が三千百万ということになっておるわけでございますが、この全国に三千八百万ございます世帯の方々を一応我々としては見て、契約収納活動をやってまいらなければならぬというふうに思っております。そのためにはどうしても人手を必要とする。つまり、この六百二十億という経費につきましても、その大部分は人件費もしくはそれに類する事務費というような形になるわけでございます。  そういった点から考えまして、我々としては何としても今の業務体制を抜本的に見直してみる必要があろうというふうに考えまして、昨年の五月以来、私どもとしてできる限りの、新しい仕事の仕組みをどういうふうに組み立てていくかという検討を進めているわけでございます。さらに、民間の機関にも依頼いたしましてその助言を求めつつ、具体的な構想をどういうふうに立てていくのかということで鋭意努力してまいっているところでございます。  これは、日ごろの日常的な仕事の能率を下げずに仕事の仕組みを変えていくという大変難しい問題も抱えているわけでございますので、これもまた慎重に検討してまいらなければならない。幾つか仮説を立て、またそれを試行的に実施し、あるいは仕事全体をコンピューターシステム等によって具体的にどういうふうな形でサポートしていくのかというその設計もやってまいらなければならないということでございまして、今その具体的な構想を立てる作業を鋭意進めておりますが、これにつきましては、御報告申し上げるには若干の日時がかかろうかというふうに考えております。
  39. 園田博之

    ○園田委員 大変困難な問題だと思いますが、大変多くの経費でございますので、ひとつ御努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、収入の面で受信料のことについてちょっとお聞きしたいと思うのです。  御報告をいただきました資料によりますと、収納率というのが九六、七%、滞納率が三・何%しかないということになっておるわけです。意外に高いなと思っておりましたけれども、よくよく考えてみますと、これは契約した人の収納率であって、契約してない人がかなりおるわけですね。これは数はなかなかつかみにくいと思うのですが、推定でどのくらいおられるのか。それから、契約拒否者もおられると思います。それらの対策をNHKの方ではどう考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  40. 松本幸夫

    ○松本参考人 お答えいたします。  先ほど申しました今の全国世帯の数が三千八百万ということでございますが、この三千八百万の内容も、二人以上の世帯の場合と単身世帯ということに分かれるわけでございますが、単身世帯の方がどの程度受信機を持っておられるのかというのもある種の推定に頼らざるを得ない。これは経済企画庁等の統計を参考にいたしたりして一応の推定をする。それから、二人以上の世帯の方はほとんど持っておられるだろうというふうに考えております。そのほかに世帯以外の事業所の契約もあるわけでございます。この事業所の数も、これも総理府等の統計で七百万を超える事業所があるわけでございますが、この事業所の持っております受信機がどのくらいあるのかということになりますと、これも私どもに立入調査権があるわけでもございませんので、なかなか実態がつかみにくい、これもやはり推定という形にならざるを得ないという幾つかの困難な問題があるわけでございますが、私どもの今考えております幾つかの数値を、あるいは実態調査等も踏まえた推定値を当てはめますと、およそ三百万くらいの方がなお未契約という状態にあるのではなかろうかというふうに思っております。  ただ、この三百万と申しますのも、契約世帯の方々が移動をなさいます。これは恐らく年間これまた三百万近い移動の数があるわけでございまして、この未契約の方々がすべて未契約の状態でそこに居住しておられるというわけではございませんので、移動している状態がある。これは私どもの今の契約活動が二ヵ月単位で行われておりますので、どうしてもタイムラグという問題が起こってまいります。そういったものを含めまして、全体の数としてはまだ三百万くらいの未契約の状態にある方がおられるというふうに推定いたしております。
  41. 園田博之

    ○園田委員 早くも時間が参りましたので、これで質問を終わらしていただきますが、いずれにせよ大変困難な状況がこれからやはりやってくると思います。しかしながら、国民の間ではやはりなるべく受信料は値上げしないで、そしてNHKの機能をもっともっと生かしてほしい、こういう要望が当然あるわけでございますから、今後経営上、経費を減らしていくという面でも、一方ではニューメディアを追求する、こういった面でも御努力をお願い申し上げまして、質問を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
  42. 深谷隆司

  43. 田並胤明

    ○田並委員 それでは時間の関係もありますので、かいつまんで郵政省並びにNHK会長に質問を申し上げたいのですが、NHKは、大変公共放送の使命に徹しまして、国民の信頼にこたえて公平、公正、不偏不党、表現の自由を確保するために日夜努力をされていることについては心から敬意を表したいと思うのです。あわせて、取り巻く環境は大変厳しいわけですが、収入の確保、さらに経営効率化による支出の削減、節減といいましょうか、その努力をされていることについては非常に私どもとしても高く評価をするわけでございますが、今後一層それらの努力を進めてほしいという観点から、幾つかの点について質問したいと思うのです。  その一つは、特に経営のトップに立っていらっしゃる方々の言動というのが非常に長年NHKに信頼を寄せておった国民の信頼を損なう結果を招来しては困るということで、読売新聞の十一月二十日付の例の「顔」欄という、トップクラスの人を紹介をする「顔」欄という記事がございます。十一月二十日号に掲載をされておったのを私もちょっと見て、内容が少しこれは問題なのかなという感じがしたものですから、この点についてまず第一点聞きたいと思うのです。  ここで書かれている内容というのは、NHK経営委員長さんに新しく就任をされた磯田委員長さんの紹介なんですね。もちろん新聞記事ですから、かなり長い間しゃべったものを要約をして、あるいは新聞記者の方の主観が入るのかもしれませんけれども、三つほどこの中で新委員長の抱負というようなもので書かれているわけです。  その一つは、NHKは、いいものは高くつく、こういういうふうに言うけれども、そういう発想じゃ困る。安くていいものをつくるのが使命じゃないか。もうちょっと行革を進める必要があるということが第一点。二つ目は、公平、公正な報道と言っているけれども、どうも一面の真実しか伝えておらない嫌いがある。要するに、もっと要約すれば、NHKは偏向放送をしているのではないか、こういう意味にもとれると思うのですね。三つ目は、海外放送の今のあり方というのは戦後のニュートラルの考え方でずっと来ている、したがってこれは国策放送にすべきではないか。要約するとこの三点をNHKの新経営委員長さんが発言をされているわけです。それがこのとおり新聞に出ているわけですね。  そうすると、どうもこういう記事が出たということは、私どもにしてみますと、この磯田さんは昭和五十七年から経営委員会の経営委員をやっていらっしゃるわけです。しかも参考資料としていただきました日本放送協会五十八年度業務報告書及び郵政大臣の意見、五十九年度も持っていますが、この中に、経営委員会が年に三十回とか二十八回とかそれぞれの年別に会議を開いて、重要な事項については要するに法律に基づいて議決をしなければならない案件というのが経営委員会にあるわけですから、これらも審議をして決議をした、あるいはその他重要な基本的な問題についても審議をしたということが全部書かれているわけですよ。それに参画をされているわけですね、今までこの磯田委員長さんは。そうすると、そういう中で当然こういうようなお考えを持っているとすれば出すべきだし、あるいは放送の編集の自由というのはNHKさん持っているわけですから、その立ち入っていい部分と立ち入ってはいけない部分というふうにあると思うのですが、少なくとも重要事項の決定、国内放送の番組基準だとか国際放送の番組基準だとか、あるいはその他重要な事項については当然経営委員として今日まで五十七年以降ずっと参画をしておる方でありますから、そういう意味ではどうもこの発言が私どもとして腑に落ちないわけですよ。  どういうお考えでこのような発言をされたのか。きょうは委員長さんにもぜひ参考人として来てほしいというように当初要望いたしましたが、大変多忙な身だそうでございますので、どうもNHK会長にそういう話を聞いて本当に真実が私どもに伝わってくるのかどうかちょっと疑問は持ちますが、NHK会長という立場でぜひひとつ御意見などを聞かしていただければありがたい。  その前に、この新聞記事を会長さんごらんになったのかどうかということ。それともう一つは、先ほど私が申し上げましたように、経営委員に就任されたのは五十七年でありますから、今日までずっと経営委員でやってこられた。この間に恐らく、先ほど言った法定議決事項の審議あるいは重要な基本的な問題についての審議に御参画をされておったと思うのですね、磯田さんは。その中で特に何か問題があって決定事項が決定されなかったり、重要な基本的な事項が具体的に決定されなかったりという事例があったのかどうか。この二点だけまずお聞かせを願いたいと思うのです。
  44. 川原正人

    川原参考人 新聞の記事は私読んでおります。それから今までの経営委員会で、これは経営委員会はいろいろなことを率直に御議論いただいておりますし、いろいろな経緯はございます。しかし国会等に提出いたしますあるいは私どもの業務執行の基準になりますいろいろな事業計画それから番組編集の基本計画、これはすべて経営委員会において、磯田さんもほとんど御出席であったと思いますけれども、全会一致の形で全部議決をいただいております。したがいまして、基本的に現在私どもが執行の規範とし、また国会に御提出申し上げております各種のそういう基本事業計画については御異論があるはずはございません。
  45. 田並胤明

    ○田並委員 そこで郵政省にもちょっとお聞きをしたいのです。これは大臣じゃなくても結構です、局長の方で結構ですが、経営委員会の権限というのはこの法律、放送法できちっと規定されていますですね。それとあと経営委員長の役割についても規定をされていると思うのですが、改めてどういうものなのかお聞かせを願いたいということ、それだけまず聞かしていただきたいと思うのです。
  46. 森島展一

    森島政府委員 経営委員会につきましては、NHKの最高意思決定機関としまして、NHK経営方針その他NHKの業務の運営に関する重要事項を決定する権限を有しております。  それから、経営委員長委員会の会務を総理するということになっております。
  47. 田並胤明

    ○田並委員 それともう一つは、局長、ここに書かれている、例えば「公平、公正な報道。どうも、一面の真実しか伝えていないきらいがあるねえ」ということは、番組の編集に経営委員長として明らかにタッチをしているということですね、この言葉が本当だとすれば。それと、国際放送は国策放送であるべきだと断定的に言っていらっしゃるわけです。  私は非常に申しわけないと思うのは、経営委員長さんがおいでになれば新聞に書かれていることの真実がどういうものだったかということがわかるわけですが、いないところでこういう質問をするのは経営委員長に対して非常に失礼だと思っているのですよ。だけれども、お出にならないのですから、聞くところがないものですから今会長に聞いたり郵政省に聞いているので、その辺はひとつ経営委員長に会ったらよろしく言っておいてもらいたいと思うのです。本当のことを言うと非常に困るんです、何だか靴の上から足をかいているみたいな感じでね。NHK会長がこう言われても、NHK会長経営委員長というのは人格が違うわけですから。こういうふうに本心をばっと出してくれた方が、我々としてはその方を知る上では非常によろしいことなんですが……。  まあそういうことは別にして、とにかく先ほどのNHK会長からの御答弁のとおり、経営委員会でもずっと満場一致できた、あるいは異議なくずっときたということになりますと、御本人が言っていることというのは、はっきり言って、この五十八年度の業務報告書及び郵政大臣の意見、ここに書かれていることについては異議があるということにつながるのじゃないかと私は思うのですよ。もっとひどい話をすれば、経営委員としての責任をあなたは今まで果たしておったのですかどうなんですかということにまでつながるような気がするのですね。その辺のところは会長としてどうお考えですか。もっとも、会長経営委員会から選ばれている会長だから大変でしょうけれども
  48. 川原正人

    川原参考人 私も経営委員会にはほとんど全部出席をさせていただいております。したがいまして、過去数年のことはほとんど記憶にございますけれども、先ほど申し上げましたように、結論として、番組の基本計画とかNHKの事業計画、これについて御異論はなく全部議決をいただいておりますが、ただ、審議の過程におきましては、これは十二人の経営委員会、それぞれいろいろな御専門の立場もありますし、いろいろな立場での御経験の豊富な方々でございますから、いろいろな御意見が出ます。これは本当にかんかんがくがくと申しますか、時として私も、私の立場での議論をかなり執拗に展開しまして理解をいただくという場面も随分ございます。したがいまして、そういう過程ではいろいろな御意見があるのは事実でございます。ただ、結果としてこういう国会あるいは郵政省に提出する文書につきましてはきちんと議決をいただいておりますが、そういう御議論はございますし、また、経営委員の方々としてのいろいろな御意見はおありだと思います。  そういうことがいろいろなときにあるいは別の形で出てくることはあろうかと思いますが、基本的には、私どもとは十分意見を交換してお話をさせていただいております。その点では問題はないと思います。今のNHKの私ども以下が執行しておりますことについて、非常に根本的に全然反対の御意見を持っておるということはございません。それはないはずでございます。
  49. 田並胤明

    ○田並委員 そこで、この新経営委員長さんの新聞の記事による発言について、経営委員長というのはここまで入り込んでいいのかどうか。例えば、これは偏向放送のようだというように言っている意味でしょう、中身を見ると「公平、公正な報道。どうも、一面の真実しか伝えていないきらいがあるねえ」こういうようにおっしゃっているのですから。そうすると、どうも今のNHK放送というのは偏向のようだ、こんな感じがする。あるいは、今の国際放送というのは、日本の実態を多くの外国の人に知らせると同時に、在留邦人に日本のニュースを正しく伝えていく、公平に公正に伝えていくというような目的を持ってNHKが、政府の命令放送のほかに自主放送として番組をつくって報道しているわけでしょう。これを国策放送にするべきだというふうに断言しているわけですから、こういうところまで経営委員長さんというのは、まあ個人ならいいですよ、何を言ったって構わないのですが、少なくとも経営委員長ということになるとそれこそNHKの最高のトップでありますから、そういう立場からして、こういう発言が妥当なのかどうかというのは私は非常に疑問に思うのですよ。その辺の御見解が一つ。  もう一つは、これは逓信委員会の権威にもかかわると思うのですね。逓信委員会はNHK予算を決めるときに必ず附帯決議をつけて、第一点目に報道の公平、公正、さらにもう一つは不偏不党、しかも表現の自由を確保すること、これは委員会の決議として満場一致で毎回の予算審議する際にやっているわけですよ。ということを、ではNHKは守られてこなかったんじゃないか、もしこの新経営委員長さんの発言をそのとおりだとすれば。私たちの決議をしたことをNHKはどうやっていたんだと、逆に私たちは会長に聞きたくなりますね。その辺も含めてひとつ。
  50. 川原正人

    川原参考人 この新聞の記事につきましては、率直に磯田さんとお話を私はいたしました。それで、全体としてそのようなことを磯田さんもお話しになっておられるということはもちろんおっしゃっておりますけれども、その言葉の端々といいますか語尾のところについては必ずしもそういう表現をしたつもりはないんだが、こういうことはおっしゃっていて、実は私も三点のことできちんとお伺いしております。  まず第一点のところにあります、いい番組は金がかかるけれどもそういうことだけじゃ困る、これは私も、いい番組はお金がかかるということはしばしば経営委員会でも申し上げておりますし、本国会でも申し上げていると思いますが、しかし、だからお金は幾ら使ってもいいなどと私自身も考えておりません。一方では当然経営の合理化を図らなければなりませんし、人間の数につきましてもかなりの数を合理化しながら、今、一種の行革といいますか部内の改革を実行しておりますし、この点も、磯田さんもそういうことをおっしゃっているのであって、別にそう大きな食い違いはございません。  それから第二点目の問題も、磯田さんは別の場所で、たしか委員長就任直後の記者会見で、NHKの番組は非常に信頼できるということをはっきりとおっしゃっているわけです、番組全体として信頼できると。  ただ、今までもいろいろな場所で御意見はありましたけれども、これは私どももいつも反省をしているのです。それでは私どもの番組あるいは報道が常に完璧でどこにも非の打ちどころがないかというと、これはなかなかそうはまいらないので、私どもはほとんど毎日のように、あの日のあのニュースのあの言い方は何だとか、あのリポートはおかしいではないかとか、常に部内でも反省をしておりますし、そういうことは経営委員会でもいろいろな形で折に触れて、それは経営委員会でございますから、私どもは報告を申し上げますし、また御意見もちょうだいいたします。いろいろな御意見がございます。経営委員会でございますから活発に自由に御意見を出していただくのが筋だと思いますけれども、これを外に一々申し上げるということは、やはり逆に経営委員会の活発な御議論ができなくなる節もあるのでそれは差し控えておりますけれども、そういう中でしばしば、あの日のあのニュースはちょっとおかしくなかったかということはございますし、そういうことを磯田さんがお触れになったのだろうと思います。磯田さんも、原則的にNHKの番組は非常に信頼できるということを記者会見でも繰り返しておっしゃっている。  それから、三番目の国策放送云々については、これはそういう言葉を使ったのは事実のようですけれども、磯田さんのおっしゃるのは、要するに、国の国際放送というのは国内の放送とはまた違って、海外に対して日本の立場といいますか、これをはっきりと伝えるべきだろう、そういう意味では、政府の重要な決定事項とかあるいはいろいろな各界の立場というか国の立場というのをはっきり伝えるべきだ、このことをおっしゃっているので、これは私どもも、国内の番組の編集計画と国際放送の編集計画をきちんと分けて、それから政府の命令放送にも、政府の重要な政策なり意見は伝えるということも書いてございますが、これは十分にやっておりますし、そのことを強調されたものだというふうに伺っております。その点では基本的にそんなに食い違いはございません。  まして、国会の決議にあります不偏不党、表現の自由を確保せよということについては、これは私どももそうですし、経営委員会にもそのことはきちんと報告しております。経営委員の皆さんがそのことに異議を持っていることは全くございません。それは忠実に守るように、経営委員会も私どもに指示をしておられる点でございます。
  51. 田並胤明

    ○田並委員 どうも時間がないので、大臣からも御答弁をいただこうと思ったのですが、私の方から要望として、誤解であれば一番ありがたいのですが、少なくともこういう公共放送ですから、従来から院で決議をしているように不偏不党、表現の自由の確保、公平、公正な公共放送の使命に徹するということで、これからも監督官庁の郵政省の方からもNHKに対してはぜひひとつ指導方をお願いしたいという要望を申し添えまして、この点については終わりたいと思うのです。  あと一点、会計検査院の方がお見えになっておりますのでお聞きをしておきたいと思うのですが、五十八年度末の収納率が九六・六三%、さらに五十八年度末の滞納契約数九十八万二千件というふうにこの報告書には出ております。先ほどの会計検査院の御報告によりますと要するに適正かつ合法的に処理がされているということですから、それはそれでいいのですが、検査院としては収納率九六・六三%というのはかなり努力をされている──NHK努力をされている結果がこういう数字になっているとは思うのです。ただ、でき得れば一〇〇%に持っていく努力というのが常になければいけないと思いますし、しかも滞納契約数九十八万二千件というのは、三千百万件のうちの九十八万二千件、約百万件ですから、パーセンテージにすれば非常に少ない数字かもしれません。ただ、受信料というのは単なる料金というものではなくて、前から言っておりますように一種の税金に準ずるようなものでありますから、余り不公平があっては受信料を払っている人にとってみるとおもしろくないわけでありまして、会計検査院の方でもこれらの点についてはメスを入れて、NHKに対してもいろいろな指示をされていると思います。  したがって、この収納率九六・六三%、約九七%、それから滞納契約数九十八万二千件というのは今のNHK努力の範囲からすればおおむね妥当な数字というふうに判断をしたのかどうか、それだけ一点聞かせてください。
  52. 小川一哉

    小川会計検査院説明員 お答えいたします。  受信料の滞納を減少させるというふうなことにつきましては、日本放送協会におかれましても非常に努力をしておられます。この受信料の収納率の増加というふうなことを経営基盤強化のための最大課題として取り組んでおられます。会計検査院といたしましても従来からこの問題につきまして深い関心を持って検査を実施しているところでございます。  九六・六三%が果たして妥当かどうかというふうな御質問でございますが、協会の御努力の今後の増大というふうなことを期待をいたしまして、今後とも協会検査に当たりましては先生の御指摘も踏まえながら慎重に対処してまいりたいと思っております。
  53. 田並胤明

    ○田並委員 終わります。
  54. 深谷隆司

    深谷委員長 阿部未喜男君。
  55. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NHKの皆さんには大変お忙しいところ、御苦労さんでございます。  今同僚の田並委員からも質問がありましたが、田並委員は非常にお人柄がいいものですから、経営委員長によろしくおっしゃってくださいと申しておりましたが、私はよろしくおっしゃってくださいと申す気持ちは毛頭ありません。経営委員長がかわられまして、恐らくあれはインタビューだったのだと思いますけれども経営委員長としての抱負をお述べになっておる。その内容については既に議論したところですが、お話のありましたように、NHK経営委員会はNHKの最高の議決機関として重要な政策のすべてを決定する機関でございます。その経営委員長に新しくおなりになったわけですから、私は当然委員会に御出席をいただいて、そういう抱負も聞かしてもらいたいし、また、視聴者の立場を代表する我々の議論についてもぜひお耳にとめてもらいたい、そういう趣旨で実は委員長を通じて、経営委員長のこの委員会への御出席を要請をしたわけでございます。大変お忙しくて出られないということで、私は委員長の方にお願いしたのですけれどもNHKの職員の方から何とか今回は出ぬでいいように頼みますと僕のところへ言ってきたわけですが、これはどういうシステムになっておるのか、会長の指示ですか。
  56. 川原正人

    川原参考人 私も昨日、その経緯は間接的に伺っておりますが、別に指示ということではなくて、委員長大変御多忙でどうしてもということなんでその趣旨のことを、これは今までの慣例もございますのであるいは委員長の方にも先生の方にも御連絡申し上げたかと思いますけれども、別に私が指示したとかなんとか、そういうことではございませんので、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。
  57. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 先ほどのお話では、経営委員会ではけんけんがくがくの議論が行われておる、こういうお話でございましたが、私はかねてから、経営委員長は逓信委員会に出席をされて、先ほど申し上げましたような視聴者を代表する国会での議論等についてはぜひお耳にとめてもらいたいし、また、その抱負等について承りたい、だれでしたか、出席せよということを義務づけられると困りますけれども、なるべくそういうふうにいたしたいと思いますという当時の経営委員長からの答弁を私はいただいておるのです。会長はあのとき多分会長じゃなかったですね。お休み中だったでしょうか、よく知りませんが、そういう経過があったことは間違いありませんけれども、そういう経過の上に立って、特に今回は新任の経営委員長さんですから、本来ならば、大臣、政務次官ならばごあいさつをされるところなんです。当然御出席されるものと私は期待しておったのですが、忙しくて出席ができない。国会出席ができないような経営委員長さんにNHKの最高議決機関の責任者をお任せするということがいいことなのかどうかと思いますが、大臣、監督官庁の責任者としてどう思われますか。
  58. 森島展一

    森島政府委員 経営委員長国会出席することの可否につきまして郵政省が直接どうこう言うことはできませんが、都合のつく限り出席されることは望ましいとは考えております。
  59. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣も大体そういうお考えですか。
  60. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 都合がつく限りできるだけおいでいただきたいと思っております。
  61. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それで、特に今回は経営委員長としては初めてなんです。万障差し繰って御出席をされるべきだと私は思いますし、また、もしどうしても事情があって御出席になれないなら、要求した私に経営委員長からお話があってしかるべきではないのでしょうか。だから私は、経営委員長が本当に忙しいのかどうか疑っていますよ。来たくないから職員を使って来ないように取り計らったのではないか。ただ会長、朝晩顔を合わせておるNHKの職員の皆さんから言われると、こっちも弱いのですよ。仕方がないから了承しましたが、ただ条件はつけてあります。次の機会には出席をしていただくように最大限の努力をいたしますという条件はつけてありますが、これは監督官庁の責任者としても、あるいはNHKを代表する会長としても、今後こういう場合には万障差し繰って経営委員長出席できるように配慮を願いたいと思います。ちょっとお二人から決意を聞かしておいてください。
  62. 川原正人

    川原参考人 今までの逓信委員会での御議論、それから、経営委員長が吉武さんあるいは工藤さんがお出になったときの答弁は、私も勉強して承知しておりますし、前の郵政大臣の御答弁も承知しておりますので、今回、阿部委員の重ねての御要請でございますので、そのことは新しい経営委員長にも十分お伝えしておきます。
  63. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 国会の御要請がありましたときには、御都合のつく限り、できるだけ御出席いただくようにお願いをいたしたいと思っております。
  64. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 きょう出席のないことはやむを得ないということで、とりあえず今回は了承しますが、今後はひとつ……。どうも国会に来るのが嫌なのかどうか知りませんが、それだけの責任があると常に私は思っているのです。  次に入ります。  BS2bの打ち上げについては、2aの失敗を反省して慎重に取り組むように、私は関係機関に強く要請してまいりました。そうでありますのに、BS2bは打ち上げ後、六月三日と思いますけれども、CPUに故障が生ずるという事態が惹起されました。この責任はどこにあるのか。あれだけ注意を重ねてきたのにまた失敗を繰り返した。これは、事業団に責任があるのか、あるいは監督官庁の郵政省に責任があるのか、あるいはNHKに責任があるのか、それをどうお考えになっておりますか。これは大臣と会長から答えてください。
  65. 川原正人

    川原参考人 もちろん、この衛星の打ち上げについては私どもに全く責任がないということではなくて、長い経緯の中で、宇宙開発事業団あるいはその間にあります通信放送衛星機構あるいは郵政省等々といろいろなことを十分御相談しながら、基本協定もつくりましたし、契約も結びまして仕事をしております。その限りにおいて、私どもは決して責任逃れをいたすつもりはございませんけれども、今度のCPUの事故等につきましては、余りにメーカー、つくる側の、過失ではないということかもしれませんけれども、あれだけ多額の金をかけ、しかも宇宙に打ち上げる機械をつくるのだから、その責任をもっととっていただきたいものだというふうに感じております。また、それを監督されました方に対しましても、もっと強い姿勢でメーカーを御指導いただけないものかという気持ちでおります。
  66. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 大臣へのお尋ねでございますが、ひとまず私の方から答えさせていただきます。  この問題につきまして先生からたびたび御指摘をいただきまして、私どもは大変申すべき言葉もない次第でございます。責任の問題ということになりますと、国の宇宙開発計画の一環といたしまして、国、NHK通信放送衛星機構、宇宙開発事業団が一体となりまして取り組んでまいったわけでございますが、今回、2bについてこういった重要な事故が起こったということにつきまして、私ども、関係機関を含めまして大いに反省しているところでございます。
  67. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 NASDAには後から聞きますけれどもNHK会長もこの問題についてなかなか腹に据えかねたと見えまして「放送衛星2bの引き取りにあたって」という談話を発表されております。何となく、「合理的な」というような非常に協調的な言葉が多く、若干わかりにくいところもあるのですが、ひとつ真意を御説明いただけますか。
  68. 井上豊

    井上参考人 先生御指摘のように、BS2bは、六月一日から三日にかけまして、姿勢制御系のCPUに故障が起こったわけでございます。当時から、この故障は偶発的なものであるという話を私どもは聞いていたわけでございますし、予備系の部品の信頼性などから、今後の運用には支障がないということも言われていたわけでございますけれども、このCPUが寿命保険の対象から除かれたということ、それから、先生の御指摘にもございましたように、2aあるいはこの2bにつきましても幾つかの故障がございましたし、今後の安定的な運用に不安を持たざるを得ないという立場から、六月二十六日でございましたか、この引き取りの期限でございました七月十一日に向けまして関係機関といろいろ協議を重ねまして、今後の扱いにつきまして確認をいたしまして、その上でBS2bを引き取ったわけでございます。
  69. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その確認の内容なんですけれども、七月十一日にNASDAの方からの発表がありまして、さっきちょっと申し上げましたように「引渡し後放送不能となった場合は、これによって生ずる諸般の問題について、合理的な対応措置がとられるよう最大限に努力する。」大臣、これは政府の答弁に非常によく似ていますね。実はどういうことをやるのかということを聞かせてもらいたいのです。どういうことを具体的におやりになるという約束なのか、そこです。
  70. 井上豊

    井上参考人 今御指摘の「合理的な対応措置」これは、ユーザーあるいは開発者側、メーカー、それぞれいろいろな立場があろうかと思いますけれどもユーザーとしてのNHKの立場ということで申し上げますならば、今後不幸にして寿命保険の対象から外されましたCPUの事故によりまして放送が不能となるといったような事態が発生した場合には、関係機関はその具体的な措置につきまして、その時点で誠意を持って協議をしていただけるものだ、こう理解をしております。
  71. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その辺が実は非常にあいまいなんですよね。従来の契約から見ても皆そうなんですけれども、最大限の努力をするとか、誠意を持ってとか、政府答弁に非常によく似ておって、もし本当にCPUに事故が起こったら具体的にはどういう措置をとるのか。例えば、その場合は事業団の方で責任を持って措置をします、あるいは通信放送衛星機構がやりますとか、ユーザーの方はお引き取りになるわけですから、引き取った後に生じた事故について、CPUに関する限りはかくかくのところがこういう責任を持ちます、これが本当は契約というものであって、誠意を持って対応するなんと言ったって、これは具体的な契約の内容になっていないのですよ。あの談話を見ますと会長はかなり御心配されたようです。ただじゃ済まさぬぞというお気持ちだと思うのです。しかし、契約の内容は決して具体的ではないし、もしも事故が起こったときはまた大変な混乱を起こすことになるだろうと思うのです。  そこでNASDAの方ですけれども、これは具体的にはどういうふうにお考えになっているのですか。
  72. 船川謙司

    ○船川参考人 先生の御質問の件でございますけれども、実際にそれが起こります時期だとか、それがどういうふうに起こるかとか、そういうことでどういう対応措置をとるべきかということも当然変わってくるだろうと思いますが、そういうことが起こりましたときには、関係機関と十分御相談させていただきたいと考えている次第でございます。  一例としましては、我々としましては、やはり誠意を持ちましてそういう現象の究明に当たりまして、回復措置が可能かどうか十分検討するということ、あるいは我々は、もし万一重過失があった場合には、しかるべき損害賠償を取るというような協定をメーカーと結んでおりますので、そういうことを適切に行使したいと考えております。
  73. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、今のお話をお聞きになって、なるほどこうなるんだなというふうに胸に落ちますか、落ちないでしょう。  例えば重過失があった場合に向こうが補償するのは、これは初めから決まったことであって、そのことを私聞いておるのじゃないのです。CPUの事故があった、故障があった場合には、NASDAが責任を持ってその損害を償いますとか、NHKに三割持ってください、NASDAが七割を持ちましょうとか、そういうふうなことが私は契約の内容でなければ意味がないという気がするのですよ。ただ誠意を持って取り組みますとかおっしゃられても、どうもこれはあいまいな契約だと思います。しかし、これは追及してももう契約してしまったわけですから仕方がないと思うのですが、この次やるときは会長、こういう契約にならないように、しかと内容を確かめて契約をしてもらいたいと思うのです。  そこで、この事業団の報告によりますと、いわゆるこのCPUの主系統に故障が生じたので、そこで予備の系統を使って支障がないんだ、こういうふうに大体書かれております。当面支障がなく動いておるんだと思うのですけれども、しかし、NHK、ユーザーにとってはまだ実験放送の域を出ることができない。これは僕は、支障はあっておるんじゃないかという気がするのですよ。NHKはこれは支障がないと思っておられるのか、このCPUの事故がNHKの営業上に大きな支障になっておるとお考えになっておるのか、どうなんですか。
  74. 中村有光

    中村参考人 お答えいたします。  予備系に切りかえましてからこれまでに半年たちまして、現段階では安定に動作しております。また、これについて宇宙開発委員会でも御評価をいただいておるわけでして、私どもとしてはそのことを信頼する、そういう気持ちであります。ただ一方、若干時間は経過してまいりましたけれども、ただいま御説明したような格好の万が一の状態というのは絶対ないんだということには思っておりません。
  75. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 この会長の談話の中のどこかにあったと思うのですが、視聴者の皆さんの期待にこたえ得る放送ができなく、まことに遺憾でございますというふうにお述べになっておられます。私は、視聴者を対象にして考えた場合に、NHKがユーザーとしてこれだけの投資をして、しかもこれで難視地域を解消して受信料がいただける、それが大体大きなねらいじゃなかったのですか。一つのねらいは難視地域の解消にあったはずですよ。当然、難視が解消されればそこから受信料がいただける、これがNHK経営上の一つの放送衛星を打ち上げた根拠だったわけでしょう。それができなくて、受信料がもらえる状態になってなくて支障がないんですかと、こう聞いておるのです。
  76. 川原正人

    川原参考人 予定しました電波、二つのチャンネルが物理的に出るように今なっているという点では、一応私どもの計画、そこまでいったわけでございますから。  しかし本来、衛星というものは、二つ上がって一つが予備で一つが本機で、それで運行して初めて安全な体制だと言える。それが、そもそも最初の一つが一つしか真空管が生きてない、しかも二つ目が、また心臓部であるCPUが、二つあるうちの一つが故障して、片肺というか、バックアップ措置のないままで今運行して、保険会社がその面の事故について保険を引き受けないという状況に置かれていることを考えますと、私どもが当初予定した衛星放送の計画は、そのとおりにいっているとは私は判断できないのです。したがいまして、ここから先の、確かに物理的に二つの波は出ている、このことは確認はいたしておりますけれども、これを事業として経営として運営するに当たりましては、今までの計画どおりというわけにはいかなくなっているというのが実情でございます。
  77. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 これはBS2bの場合でも、確かにaと合わせれば二つの衛星が上がって波が出ておることは間違いないです。しかし、実験衛星の域を出ないというのはまだ自信がないということを意味しておると私は思うのです。  というのは、CPUの予備系がもう絶対に故障が起こらないという保証がないわけでしょう。だからなかなか踏み切れないというのが実態だから、NHK、ユーザーにとってはこれは大変な支障を生じておるというふうに理解すべきであって、NASDAがおっしゃるように支障はない、機械は支障がないのかどうかということはわかりませんが、ユーザーにとっては大変な支障を生じておる、やっぱりそう理解してあげなければ、NASDAの責任も済まないのではないかという気がするのです。  そこで次の問題をお伺いしますけれども、2bの方の保険の関係、付保の関係について何か努力をしておるということを書いてあったようですが、結果的にどういうことになったのですか。
  78. 井上豊

    井上参考人 衛星の保険には打ち上げ保険とそれから寿命保険というものがございます。打ち上げ保険につきましては、これはBS2bを打ち上げる前に保険を付保するわけでございまして、これは私ども宇宙開発事業団と共同して掛けているわけでございますが、ユーザーとして引き取りました後は、これはNHK独自で寿命保険を掛けているわけでございます。  先ほどお話し申し上げましたように、CPUの事故、予備系は生きているわけでありますけれども、保険会社の立場としてはそこを含めた包括的な保険は引き受けられない、こういう答えがございましたので、私どもいろんな角度から検討いたしまして、このCPUの部分について免責であっても、つまり責任がないという保険であったとしても、私どもはその余の部分についてやはり衛星の財産を保全するという立場から寿命保険を付保したわけでございます。  先生御案内のように、昨年の夏以来、この衛星保険市場は、相次ぐ衛星事故、これは外国の例でございますけれども、スペースシャトルに至るまでのいろんな事故がございまして、保険業界、非常に料率が高騰しておりました。そういう中で私どもは六%といった料率で寿命保険を一年間付保しているのが現状でございます。
  79. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大体経過はわかるのですけれども、大臣、私はかねてから主張しておるのですが、宇宙開発というのは、これは国策として科学技術庁がおやりになっておるわけですね。たまたまNASDAという事業団をつくってこれをやらせておる。ところが、国策でもって宇宙開発をやるのに、ユーザーから先に金を取ってやらせるというのが妥当かどうかということです。おやりになるならば、国は出資ですよ――科学技術庁、お見えになっていますね、出資になっておるはずです。事業団に出資をする。出資をして、放送衛星を仮に打ち上げた、これが機能する、機能する段階でユーザーにこれを貸与する、そのかわり料金を取る、これが私は最も正しいシステムだと思うのですよ。しかし、初めからユーザーの方に六割負担さして、事業団、国の方が四割を負担する、そしてそのかわりあと何にもないのです。出資をしたのに何にも見返りがないのです、これは。こんなばかなあり方が許されるだろうか。これは私はかねてから科学技術庁にもお伺いしておるのですが、この辺、検討されてみましたか、どうですか。
  80. 向井保

    ○向井説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のとおり、宇宙開発事業団に対しましては国は出資という形で資金を投じておるわけでございますが、確かに物として、経費というような物の形ではほとんど残らないわけでございますが、研究の成果といったものはノーハウ、特許あるいは知識といった形で蓄積されまして、それを活用することによりまして究極的には我が国の経済社会の発展に資することになるということでございまして、つまり研究開発の成果というのは国民にとりまして有形無形の資産になり、将来国民全員がその利益を享受できるといったような観点から、出資という形が一番望ましいと我々考えておるわけでございます。
  81. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 十分議論する時間はありませんけれども、私は、それはもう補助金的な性格を非常に強く持っておると思うのですよ。ユーザーが何かおやりになると、事業者がおやりになると、そこに国が補助金としてお出しになる、そういう性格が非常に強いと思うのです。出資として、しかも国の責任で宇宙開発をおやりになるというのならば、放送衛星を打ち上げて、それが十分に機能する、そこでユーザーから料金を取ってこれをお貸しする、これなら出資であるし、ユーザーの方もまた安心してこれを使うことができる。ところが、最初からユーザーに大きな危険、リスクを課して出資をさせる、金を出させる、そして技術的な蓄積があるからそれは出資が至当であるなんというお話であるけれども、それなら補助金だって、やはりそういう技術的な蓄積とかいろいろなものは残っていくのですよ。  性格上どうしても、これは国があくまでも国策として宇宙開発をおやりになる、それででき上がったものをユーザーにお貸しする、それならば出資という趣旨もはっきりするし、結果的に帳じりが合う合わぬ、これは別ですよ、国策でおやりになるのですから。帳じりが合う合わぬは別にして、性格としてはそうあるべきものだということを私はかねてから主張しておるのです。  既に3についてももうユーザーの方から金を出しておるわけですから、恐らく3までは変更できぬでしょうが、その後引き続いてずっといくわけです、放送衛星は。その段階では、これは大臣、会長、科学技術庁を含めてもう一遍検討してみてもらえませんか。どうでしょうか。
  82. 向井保

    ○向井説明員 お答え申し上げます。  確かに、人工衛星の開発を進めるに当たりましてはいろいろな経費の負担方式というのがあろうかと思いますが、私どもといたしましては、やはり技術開発と実利用、いわゆる相乗り衛星と申し上げておりますが、こういう開発に当たりましては、ユーザーの方々に開発段階の最初から参加していただくというのが結果といたしましてユーザーの使いやすい衛星が開発できると考えて、従来こういう方式でやっておるわけでございます。  確かに、先生御指摘のように放送衛星三号につきましては既に協定ができておるわけでございます。ただ、それ以降につきましては現在まだ全く白紙の状態でございますので、ユーザーサイドのいろいろな御意見を参考にして開発を進めていきたいと考えておるわけでございます。
  83. 志村哲良

    ○志村政府委員 ただいま御説明申し上げましたことと若干重複いたしますが、技術開発と実利用の相乗り衛星に関しましては、ユーザーが開発段階から積極的に関与できるということから、現在の分担開発の方式はすぐれたものであると理解をしておる次第でございます。
  84. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 先生のお話を伺いますと、やはり宇宙開発ということは国策とすべきであるという御議論でございまして、それも確かにおっしゃるとおりだと思いますが、今科学技術庁が申しましたように最初からユーザーがこれに参画するということもやはり一面において必要ではないか、そういうようにも考えますので、この点は大変難しい問題であろうかと思いますが、今後とも科技庁とよく相談をさせていただきたいと思います。
  85. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 政務次官、ユーザーが計画段階から参画をするということとユーザーが最初からそこにお金を出すということは別なんですよ。ユーザーですから、当然計画段階からいろいろな注文もありましょうし、希望もありましょう。それをお出しになって参画をするということと、最初からリスクの大きい出資をしなさいということは別なんですよ。だから、ユーザーが参画するために金を出せと言うのはおかしいのであって、開発はもともと国策としておやりになるわけですから、進めればいいのですよ。その開発の段階でユーザーの意見も十分聞いていく。意見を聞くから金を出せ、これはちょっと理屈がおかしいでしょう。意見を聞くということとお金を出すことは別ですよ、それは。どうですか。
  86. 志村哲良

    ○志村政府委員 先ほど大臣からの御答弁にもありましたように、私は先生の御意見にも十分傾聴に値するものがあると存じますが、この問題は複雑な内容を含んでおると思います。また私も十分検討させていただきたいと思っております。
  87. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、監督官庁として、例えば国際放送、きのうもちょっとお話があったように承っておったのですが、国際放送等につきましても国が法定どおりの負担をしない、命令した分を必ずしも出していない。私の持論は、もう毎年毎年NHKと大蔵省の間でけんかをしなくて済むように、国際放送の総枠はわかっておるわけですから、総枠が決まった段階で国が何%国際放送分を命令分として負担する、NHKが何割負担する、これを決めなさい。どうも煮え切らないのです、大蔵省が怖いのか何かわかりませんけれども。その方が非常にすっきりして、その年度の、例えばことし五十一億ぐらいだったと思うのですが、五十一億の国際放送費用が要るならば、そのうちの何割は命令分ですということを、どんぶり勘定になっちゃうから、決める以外に方法がないのですよ、政治的に取り決めて、六割は国が負担する、四割はNHK負担するとか、それは逆でもいいですよ、これをやりなさいと言うのですが、なかなかこれはやらないのですが、大臣、ひとつやってみませんか。  それからもう一つついでに、時間がありませんから申し上げておきます。例えば国際放送では八俣の送信所、これはKDDがおやりになっておるのですが、きのうもちょっと議論したのですが、KDDも新規参入を受けて大変な経営状態になるだろうと思うのです。しかし、現実にはあの国際放送をKDDが八俣でやっておるために、実際は大分大きい負担をしておるのですよ。おおむね年間十億と私は見ておるのですが、十億程度、NHKの国際放送をやっておるために、あるいは国が国際放送を命令しておるために何でKDDが負担を強いられなければならぬのか、これもおかしいのです。  だから、負担すべきものは負担すべきもの、負担せぬでいいものは負担せぬでいいもの、明確に区別をしていくべきだという考えを私は持っておるのです。片方では役にも立たぬ放送衛星を打ち上げて大きな金を出して、片方ではいつまでもKDDにおんぶして十億かそこらの金をお願いしますと言わなければならぬ、そういうNHK経営の姿勢というのは改めて、当然NHK負担すべきものは負担する、国が負担すべきものは国が負担する、負担しなくていいところには負担をかけないという明確な経営姿勢というものを打ち出してもらいたいと思っております。もう時間がありませんから、それだけちょっとあれしまして……。  それからもう一つ、今の状況でいきますと、会長、まだ当分受信料の改定はありませんね。これもあわせて答えてください。
  88. 森島展一

    森島政府委員 最初の御質問でございますが、国際放送につきまして国の負担する分とNHK負担する分との割合を明確にすべきではないか、先生のかねての御指摘でございます。従来、大臣もこの点については検討をしてまいりたいという御答弁も差し上げておりますが、御承知のように非常に財政事情の厳しいという問題と、今後の国際放送のあり方ということで検討を続けてきましたけれども、まだ結論を得ておりません。今後も幅広く検討してまいりたいと思っております。
  89. 川原正人

    川原参考人 国際放送については、もうかねて私申し上げておるとおりで、願わくはそういう形になる方が私どもとしてはありがたいと思っております。  料金につきましては、基本的に現行料金をできるだけ維持してまいりたいと思っておりますけれども、まだ年度のことにつきましてはいろいろな不確定条件がございますので、もう少しお時間をちょうだいしたいと思います。
  90. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それらについていずれ次の年度の予算の問題もございましょうから、そこでお伺いすることにして、質問を終わります。
  91. 深谷隆司

    深谷委員長 上田利正君。
  92. 上田利正

    ○上田(利)委員 NHKの質問に入る前に、この委員会におきまして各委員の先生方の少額貯蓄非課税制度存続の質問に対しまして、郵政大臣は、国民のための郵政三事業をあくまでも堅持していくんだ、そして郵政事業をより発展をさせていくんだという中で、郵政審の答申を尊重していく、体を張ってまでとはおっしゃいませんでしたけれども、それに近いような御熱意のにじみ出るような御答弁を拝聴させていただきました。私のところにも連日、婦人会を初め老人クラブやあるいは中小零細企業の経営者あるいは勤労者などから、非課税制度は何としても守ってほしいというような激励や陳情がずっと来ておるわけでございますけれども、私きのう唐沢郵政大臣の御答弁をお聞きしまして、さすが職員と一緒に汗を流してよりよい郵政事業を、国づくりをということで、非現業官庁と違いまして現業官庁の大臣、こういう感じを非常に強く持ったわけでございまして、率直なところ感銘もいたしたような次第でございます。と同時に、この大臣に任しておけば間違いないじゃないか、大丈夫だというふうな期待感を一層強くしたわけであります。  ところが、けさのマスコミ、新聞にいろいろ報道がされております。この中で、自民党の税制調査会が昨日大体方針をお決めになったようでございまして、郵貯資金の一部の自主運用を認めるということを条件に、ここにはマル優廃止の見返りだということで自主運用、きのうも非常に委員の先生方からこの点御質問がございました。四兆四千四百億円ぐらい減税をするかわりに新財源を確保しようということで、四兆五千億ぐらいの財源をつくっていこう、これは財源がなければどうにもならない問題でございますから否定はいたしませんけれども、手段といたしまして特にマル優、郵貯に平均二〇%の課税措置を講ずる、ここに書いてございます。そして新財源を得よう、そうしますと、全体の四兆五千億の中の三六%ぐらい、一兆六千億を言うならば非課税貯蓄制度から利子課税として取っていこう、こういう形になるわけでございまして、三分の一近い、こういう報道が実はされておるわけでございますけれども、私も国民の一人といたしまして、驚くと同時にきのうの経過からしますとちょっと怒りを感じたような気持ちなんであります。  きのう開かれました郵政事業懇話会というのも報道されておりますけれども、この懇話会には、代理の先生方もいらっしゃったようでございますけれども、四百十三名くらい与党の国会議員の先生方がお集まりになりまして、郵便貯金の非課税については、どうしてもあくまでも反対をしていくんだ、これを堅持していくという並み並みならぬ決意が採択されたというふうに報道がされておるわけでございます。その席に大臣も出席いただいたというふうに書いてございますが、これは本当かどうか、まずひとつ大臣にお伺いをいたします。また同時に、きのうのこの委員会での御答弁につきましては、きょうの時点もいささかも変わっていないかどうか、郵貯の非課税を守り抜く決意は担当大臣といたしまして揺るぎないものなのかどうなのか、まず最初にお伺いをしたいと思います。
  93. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 非課税の問題につきましてはいろいろな報道がされておるようでございますが、このような事実はございません。私の考えはもう昨日も再々申し上げておりますので差し控えさせていただきますが、郵政審議会からいただきました答申を踏まえまして、郵便貯金の利子非課税制度の堅持のための努力を続けてまいる所存であります。
  94. 上田利正

    ○上田(利)委員 大臣のかたい御決意をいただきまして本当に心強く思っておりますが、マスコミでは、大蔵大臣あるいは竹下幹事長それから唐沢郵政大臣などが中に入って、自主運用を認めさせて、財源確保のためには郵貯の非課税制度はなくなってもやむを得ないんだというようなことが書いてあるだけに私は冒頭質問させていただきましたけれども、今の御答弁どおりぜひ頑張っていただきたいと思います。  次に、日本放送協会決算にかかわりまして二つ、三つの問題点についてお尋ねをしたいと思います。  その第一は、各放送局ごとに実施をされております視聴者会議というのがございます。実は私も山梨におきまして視聴者会議のメンバーとして何回も何回も参画をさせていただきまして、出席させていただきまして、あらゆる面で非常な勉強になりましたし、NHK内容はこうなのかということで認識を深くしたわけでございます。構成メンバーを見ましても、とかく役職や勲章のついているような人ばかりを集めるという傾向がいろいろな審議会その他でもございますけれども、この視聴者会議はあらゆる階層から選出をされておりまして、NHK経営方針の問題あるいは予算あるいは技術開発など諸施策を含めまして、放送番組などあらゆる面で話し合いがなされております。そして、その中では視聴者の生の声が出てきておるわけでございますが、この生の声が中央に反映されるよう非常に工夫もされておりまして、そう言ってはおかしいのですが、私NTTに所属をしておりまして、お客様代表者会議というのがございますけれども、それよりも非常に充実したすばらしい視聴者会議だと実は感心をしておるところでございます。  そこでお尋ねしたいのでございますが、この会議の集約というのが、一年間やりまして、そしてそれが視聴者会議ごとに集約されて協会の方に報告されるわけでございますけれども、これらの視聴者会議の生の声を放送協会としてどのように取り入れているか、これをまず最初にお尋ねいたします。
  95. 松本幸夫

    ○松本参考人 お答えいたします。  先生御自身視聴者会議に御出席いただいたというお話を伺いまして、大変感謝しております。  私どもこの視聴者会議全国五十三カ所に持っているわけでございますが、私どもとしては、視聴者から御意向を承る一つの柱としてこれを組織的、継続的に続けていきたいと考えて、五十二年度から実施してきているわけでございます。これも十一の分野に分けまして、それぞれの分野からオピニオンリーダーの方々に御意見を承るというシステムにしているわけでございます。これは、先生も直接御出席いただいておられますので十分御承知かと思いますけれども、各視聴者会議ともに局長以下それぞれの放送局の幹部が出席して、直接御意見を承っているということが一つございます。直接仕事の上に御意見を反映していくということが一つございます。  それからもう一つは、月間でも視聴者の意向リポートというのを取りまとめておりますが、年間でも視聴者意向集約という形で取りまとめておりまして、それを理事会に報告いたしますと同時に、各関係部局に全国視聴者の御意向を伝えて、できるだけ仕事に反映させていくようにするということを心がけております。  こういった視聴者会議と同時に、私どもとしてはいろいろな形での視聴者懇談会というものも全国で実施しております。これは全国の累計で申しますと年間千回くらいの、いろいろな角度からの視聴者懇談会という形で意見をちょうだいいたしております。  それからさらに、組織的な形の視聴者の御意向を承るといる形で世論調査というものも毎年実施しているわけでございますけれども、そういった世論調査なり、各種フェイス・ツー・フェイスの会議、懇談会というもの、あるいはイベントを通じての御意向、あるいは日常、電話、投書等でいただく御意向、そういったようなものをまとめて、先ほど申しましたような形での視聴者の意向ということで関係部局あるいは理事会、これは経営委員会にも御報告することがございます。
  96. 上田利正

    ○上田(利)委員 御努力内容、わかりました。私自身もう少し具体的に、どんなふうに協会の方で重視してそれらを取り入れておるかということを、マクロ的でもよかったのですけれどもお聞きしたかったのですが、時間の関係で次に移ります。  この視聴者会議の中では、全国放送、全中と言っておりますが、これも非常に重要でございます。公共放送としてのNHKの使命としては重要ですけれども、やはりローカル放送を重視をしてほしい。ローカル放送の番組の中身、あるいは放送時間帯をもう少しふやしてほしい。放送時間帯なども五十八年はたしか一時間三十分だったと思うのですが、五十九年になりまして一時間四十分、そして昨年度から二時間になったと思うのでございます。非常に努力して改善はされておりますけれども、私参画している中では、このローカル番組をよくしてほしい、あるいは時間帯を含めましてそういう意見が非常に圧倒的に多かったわけでございます。そういう中で、もう少し時間帯などをふやすような考え方があるかどうか、簡単で結構でございますけれども、お答えを願いたいと思います。
  97. 尾西清重

    尾西参考人 お答え申し上げます。  今先生御指摘のように、テレビで申しますと五十九年から六十一年までの間に三十分時間をふやしまして二時間にいたしました。ラジオは二時間を二時間半にふやしております。この結果、さらに先生のおっしゃるように、地域において地域放送の拡充ということが望まれているとすれば、我々のこの三十分増の、新ローカル放送と呼んでおりますが、その構想が成功しているものというふうには考えたいわけでございます。さしあたって来年度は、三カ年計画でしゃにむに時間増をやってまいりまして、全国的に申しますとまだかなりのばらつきもございますので、その成果を十分検証しつつ次のステップを考えたいと存じております。
  98. 上田利正

    ○上田(利)委員 これからもぜひ努力をしていただきたいと思います。  続いて、実は「甲信越ところどころ」というローカル番組がありまして、山梨、長野、これは唐沢郵政大臣も同じエリアになります、新潟の三放送局が一緒になりまして番組をつくっておる、非常に好評でございます。私も時々見ておるわけでございますけれども、こういう番組をもっと拡大して、個々だとどうしても予算上お金がかかります。単一放送局ごとのローカルということになります。したがって、広域経済圏といいますかブロックと申しますか、そのような単位に、できれば全国を五つか六つに分けましてローカル番組をつくりながら、その地域に居住する皆さん方にいろいろなローカル色のある番組を提供していく、こういうようなことがいいと思うのですが、こんな点もぜひ工夫をしていただきたいと思うわけでございます。  それから、特に要望しておきたいことは、NHKは、先ほどからも他の委員の先生からもございますが、民放と違って視聴者の手によって経営といいますか、運営がされてきておる、受信料で賄われておるということでございます。こういう中ですから、公共放送としての使命をいつも忘れずに、ローカル番組には金がかかってしようがないというような短絡的なことでなくて、ぜひこれからもどしどしそういう工夫をしながらローカル番組を拡大をしていただきたいと思う。  と同時に、ローカル局で働く職員、誇りと情熱を持って頑張っていただいております。しかし、とかく人事、任用などの問題の中では、東京へ来なければ管理職になれない、いろいろなものがありまして、異動もたくさんあるようでございますけれども、いい番組をつくるためにはあるいは自分の能力を発揮するためには、東京とか大阪とかという、こういう総局へ行かなければだめなんだということで、そっちに目が向いてしまうような場合が多々あるわけでございます。しかし、こういうようにローカル放送が充実されてきますと、中央に行かなくても、我々は地方の放送局へ残ってその任務を情熱を傾けて頑張っていくんだ、こういう意欲が出てくると思うのです。そういう点につきましても、ローカル放送局に働いている職員の労働条件などについても改善をしてほしい、こう実は視聴者会議の中から私は受け取っておるわけですが、それに対しましてどんなお考えであるか、ちょっとお尋ねをしたいと思うのです。
  99. 尾西清重

    尾西参考人 先生の御指摘のございましたブロック放送でございます。  先ほど申し上げましたのは時間増の問題だけでございましたけれども、私どもはその時間増と同時に多様なブロック放送というものを考えて、それを指導しております。生活圏、経済圏、交通圏、そういうものを共通する各県が一緒になって、先生御指摘の甲信越のような場合もそうでございますけれども、いろいろな形のブロック放送というものを推進しております。それはかなり成功しているというふうに私どもは考えております。今後ますますこれを推進してまいりたいと思います。  それから、地域に根差したジャーナリストを育てるという御趣旨かと思いますけれども、私どももそれを大きな懸案と考えておりまして、地域に根差し、地域に根をおろした考え方を持って仕事ができる人たちを育てたいというふうに思っておりまして、何も東京に向かって仕事をすることだけがすべてではございませんので、おっしゃるような方向で指導してまいりたいと思います。
  100. 上田利正

    ○上田(利)委員 次に、もう時間がございませんから放送衛星の関係を二、三お聞きしたいと思いますが、一つだけお尋ねをしたいと思っております。  阿部先生からも御質問の中にございましたが、BS2a、2bを打ち上げて、二十年くらい前から計画されて今実用になっておるわけでございますけれども、これに要した経費は、二田先生からの御質問もございましたように六百億くらいかかっております。国が四〇、NHKが六〇、四〇対六〇という割合でこの予算を組んで対応してきたということでございますけれども、これから三号の打ち上げも六十五年度を目標にということで決められ、先ほど御答弁の中で七百八十七億円くらい予算がかかる、新たにまたお金がかかる、こういう御回答でございます。  そこでお尋ねしたいのですけれども、聞くところによりますと、新しい三号打ち上げに対する予算は、国が三五%、NHKが六五%、しかし、そのNHKの中には民放も入っておりますから、一チャンネル分とって二対一だ、先ほども御答弁がございました。こういうことになっておりますけれども、今までは2a、2bは四対六、これが今度は三五対六五ということですね。国の方のいわゆる予算措置が軽くなってしまいまして、その分NHKが、民放が入るからいいんじゃないかということで、民放を入れれば四四くらいになるんだ、前よりも少ないんだということを言っている向きもあるようでございますけれども、なぜこういうふうになるのか。  先ほども国の責任でということで、経営のことにつきましても阿部先生からもお話がございましたけれども、何でこんなふうにしたのか。逆に重くなってきている、これが受信料にまたはね返ってくるんじゃないかと思うだけに、しかも値上げをしなければならぬという事態になったら大変だと思うのでございますが、この点を郵政省の方にお尋ねしたいと思います。
  101. 森島展一

    森島政府委員 先ほど申し上げましたように、確かにBS3になりますと、NHK負担は六五%のうちの三分の二ということになるのでございますが、六五%ということでBS2の六〇%よりふえましたのは、やはり実用の要素が増してきた、こういうことから、国の財政事情等もありましてこういう分担率になったものでございます。
  102. 上田利正

    ○上田(利)委員 もう時間がございません。最後ですけれども、先ほどからも質問の中で出ておりますように、今地上放送を中心に放送衛星も含めて機能しておるわけでございますけれども、これから二十一世紀に向けましては、何といってもソフト面の中ではこの中で活路を見出して、第二の国鉄にならぬようにしていくためには、やはり放送衛星を重視した番組編成、地上主導型から言うならば衛星主導型の経営へ転換をしていかなければならぬ、これも早くやらなければならぬ。しかし、主務官庁の郵政省のお考えは、先ほどの御答弁を聞いている限りではちょっと消極的なように思うのですね。今だからこれはやっていかなければならぬ。しかも三号を打ち出していくわけでございますから、六十五年ごろからそちら側に向いて番組も全部変えていく。今、難視解消でずっと来ておりますけれども、これも十万ということでほぼ目的は達せられてきておるわけでございます。今度は、それを十分活用した、言うならば新しい放送へ向かって放送衛星を利用していく、活用していく、このことが重要だと思います。  時間がございませんから、そのことを最後に強く要望いたしておきまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  103. 深谷隆司

  104. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 きょうはNHKの皆さんに大変お忙しい中をお越しいただいているわけでございますが、最初に放送行政全般にかかわる問題といたしまして、青少年の教育とテレビ番組のあり方ということについて大臣に若干お伺いしたいと思います。  実は、我が公明党では、ことし一月に全国の国公私立の全小中学校三万六千百十一校を対象といたしまして、学校教育に関する校長、教員、父母の意識調査を行いました。  その中でいじめの問題でございますが、いじめの主な原因というのは一体どこにあるんでしょうかという設問に対しまして、校長先生の三〇・五%、七千二百三十二人の方がマスコミにある、それから教員の三二・一%、六千九百六十九人が、やはりマスコミにあるというふうな御回答があったわけでございます。  それから総理府の世論調査を見ましても、青少年の非行の原因がどこにあるかということで質問いたしますと、その一七%が社会環境とか社会風潮にある、その社会風潮とか社会環境の中で主な原因は何かといいますと、その三九%の方が低俗な雑誌やテレビ、ラジオ番組が多いということを答えているわけでございます。  それから、同じくまた総理府の世論調査でございますけれども、いわゆる性表現が露骨だと思うかということに対しまして、やはり多くの方々がテレビや週刊誌の性の表現が大変露骨である、これは数字は、大体全体の五四%の方が週刊誌は露骨である、二五%の方がテレビは大変露骨な表現が多い、こういうふうなデータがあるわけでございます。  私、一人の女性からお手紙をいただきまして、その手紙にこうありました。   テレビ放送には、映倫のような検査がなされているのでしょうか。毎日毎日たくさんの暴力、殺人、好ましくない性風俗など、とても子供たちに見せたくない画面があります。低年層の犯罪や非行など今の子供たちに与えるテレビの影響を考え「青少年の教育」という観点から、ひど過ぎるテレビ番組についてはある程度規制をする対策が必要ではないでしょうか。単に視聴率の高さだけを追うのではなく、十分な内容チェックを望みます。 こういうような国民の声も届いているわけでございまして、最近のテレビ番組における暴力とか殺人とか、あるいは好ましくない性風俗などの青少年の教育に及ぼす悪影響について、大臣はどのような御所見をお持ちでありましょうか。
  105. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今、青少年教育に非常に関心をお持ちの遠藤先生から御高説を承りまして、私も十年前、文部政務次官をいたしておりまして、本も書いたことがある、そういう意味で大変傾聴いたしておったわけでございます。  ただ、私は特に番組につきますと、いろいろ参議院にも御質問があるのですが、郵政大臣というのはやはり憲法二十一条、放送法第三条、表現の自由を最も大切にしなければならない自由で民主的な大臣でございますので、常識的な御答弁になるかもしれませんが、放送国民の日常生活に不可欠な存在であり、放送の持つ社会的影響力、教育的効果は先生おっしゃるように極めて大きい。また放送は、次代を担う青少年の健全育成に大きな役割を期待されており、また果たさなければならないわけでございます。そこで、放送事業者においても、放送が青少年の人間形成に与える影響の大きさを認識して、今後とも放送番組の充実向上に努められるように期待をいたしております。
  106. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 いわゆる憲法に保障された表現の自由でございますね、これと要するに番組の規制の問題、かなり微妙な問題でございますけれども、今お話がありました放送法の四十四条には、今度は「国内放送放送番組の編集に当つては、」「一 公安及び善良な風俗を害しないこと。」など四項目が定められておりますね。また、放送局の開設の根本的基準の中の第三条には「国内放送を行う放送局は、」その「放送番組の編集及び放送は、」放送法第四十四条と全く同じ文言でございますけれども「(1) 公安及び善良な風俗を害しないこと。」などが明示されているわけでございまして、たとえ表現の自由ということが憲法に保障されておりましても、公安及び善良な風俗を害するものについては放送の免許を与えない、取り上げるという権限が郵政大臣にあると私は認織するわけでございますが、いかがですか。
  107. 森島展一

    森島政府委員 おっしゃいますように、放送局の免許に当たりましては、放送法四十四条三項に適合している番組を編集するかどうかということが新しい免許の場合には審査されますし、既設の放送局の場合にはそれの再免許に当たってそういう審査がなされるわけでございますが、ただ個々の番組が放送法四十四条三項に適合しているかどうかどいうことにつきましては、表現の自由という観点あるいは放送事業者の自主的な規制を建前としている、こういうことから、判断することが非常に難しいことでございまして、現実にそういう困難さがありますために、実際再免許の審査に当たりましても、この点は、過去にはこれによって再免許を拒否したというような事実はございません。
  108. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 大変微妙な問題であることは私も理解するわけでございますが、純粋な法理論として郵政大臣にはその権限がある、これはそう理解してよろしいですね。
  109. 森島展一

    森島政府委員 法理論的にはおっしゃるとおりでございますが、現実にその適用ということが報道、表現の自由にかかわるということで非常に難しいということを申し上げたいと思います。
  110. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 ところで、いわゆる公安及び善良な風俗を害するというのは大変抽象的な表現でございまして、これを具体的に行政官庁が一々チェックするのは無理だろう、これはわかります。当然、あってはならないことかもわかりません。したがって、放送局の側でいわゆる放送番組審議会をおつくりになる、そして自主的な御判断をいただく、こういうことに機構上なっているわけでございますが、どうもこの放送番組審議会というのが活性化していないのではないかという認識があるわけでございますが、放送番組審議会の実態というものは一体どのようになっているのでしょう。
  111. 森島展一

    森島政府委員 放送番組の内容の適正化につきましては、繰り返し申し上げますように、放送事業者の自主的規制ということを建前としておりますが、それを担保する手段といたしまして、放送法により番組審議会を設けなければならないということになっておるわけでございます。  この番組審議会の機能が十分果たされているかどうか、こういう批判がおっしゃいますように大変出ておるところでございまして、特に昨年はいろいろな問題がございまして、番組審議会の機能の活性化ということにつきましては郵政大臣からも放送事業者に対して、あるいは番組審議会の委員長に対して要望したところでございますが、特に具体的に番組審議会の活性化の方法等につきましてもいろいろ指導しているところでございます。
  112. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今の昨年のお話でございますけれども、昨年、昭和六十年の二月二十日、当時の左藤郵政大臣が一般放送事業者各社社長並びに各社放送番組審議委員長あてに通達をお出しになっておる。これは私の手元にあります。  特に、中でも「今日、放送のもつ社会的役割、特に青少年の人間形成に与える影響力にかんがみますと、放送事業者の責務には、誠に重大なものがあると考えます。」云々の文言があるわけですね。それから、これを出した後にいわゆるテレビ朝日のやらせリンチ事件というのがありまして、その後、同じようなものをまた出していますね。これは十一月一日でございますか、やはり左藤郵政大臣から一般放送事業者の社長、それから放送番組審議委員長あてにお出しになっているわけでございます。これはただ出すだけではなくて、その後どういうふうになったかということも追認されていると思いますが、お出しになった結果はどのように判断されておりますか。
  113. 森島展一

    森島政府委員 先生おっしゃいますように、昨年の二月に郵政大臣から特に青少年等に対する影響を十分考慮してほしいという趣旨の要望を出しておりますし、昨年の十一月一日は、これは放送局の再免許の日でございますが、その際も同様の要望を出しております。これに基づきまして放送事業者の方も番組審議会に対しまして、こういう要望がなされたということを報告し、その審議に反映する、こういうことが行われておりまして、その結果の、この要望の趣旨に沿う改善措置等についても報告を受けておるところでございます。  今後も私どもは、こういった趣旨を放送事業者及びその番組審議会が十分尊重していってほしいというふうに期待しておるわけでございます。
  114. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 国民の側からの感触で申しますと、どうもこれは通達を出したので終わっているような感じでございまして、何だか余計にエスカレートしているのではないかという印象もあるわけであります。これは監督官庁である郵政省さんが通達を出したわけですから、その結果、どうなっているのかという報告をちゃんといただくのが当たり前のことでございますし、青少年の教育というのは大変大事な問題でございますから、これが国民にいたずらな不安を招かないようにしかるべき適切な措置をおとりになるべきだ、こういうふうに考えるわけでございますが、大臣の御決意というものをお伺いしたいと思います。
  115. 森島展一

    森島政府委員 先ほど番組審議会の機能の活性化についていろいろ報告を放送事業者から受けておりますと申し上げましたが、各放送事業者も番組の編成についての自主性ということの担保として番組審議会の重要性ということを認識しましていろいろな措置をとっております。  従来、番組審議会の回数も少なかったとかいうようなこともありますが、こういうことの改善とか、それから視聴者から不平、不満があるような番組について、特にこの番組審議会に諮って意見を聞くとか、また放送事業者の内部の組織としましてもいろいろその番組の審議の機関を充実する、こういった措置を聞いておりますので、私どももこういった指導は今後十分していきたいと思いますが、基本としては、やはり放送事業者の番組編成に対する自主性ということを十分認識していただく、こういうことになるのではないかと思います。
  116. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 きょうはNHKが本来でございますので、時間がありませんので先に参りたいと思います。  いわゆる国際放送でございますが、ラジオ・ジャパンに対する国の交付金が少ないということは従来から言われてきたわけでございますが、明年度の予算に対する要望額が十四億九千万円と伺っております。前年比二億五千万円の伸びになるわけでございますけれども、現在のところの大蔵省の感触と申しますか、それからこれをとるための大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
  117. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 国際放送の重要性は昨日から先生方に大変御関心を持っていただいて、在留邦人の皆さん、また今こそ日本の正しい姿を知らしめなければいけないのですが、正しく海外の人に知っていただくという意味で、私は、これは郵政事業の目玉であると本当に思っております。  そしていろいろな計画もございまして、それも申し上げたとおりでありまして、将来はいよいよラジオからテレビの時代ではないかということで映像交流懇談会を設けて今勉強をいたしておるところでございますが、とりあえず来年二億五千万増額できますと、ガボンから中南米向けの放送もできるし、またサックビルの放送時間も延長することができるということで、まず六十二年度において前年度比二億五千万円の増額を要求いたしており、何とかこれを実現するということで全力を挙げて今取り組んでおるところでございます。
  118. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 中曽根総理もこの国際放送に関して発言をしておりまして、いわゆる日本が文化の受信国から文化の送信国にならなければならないというお話であるようでございます。  確かに近年の経済摩擦というものも、より深い次元から考えると、日本文化に対する理解がまだ諸外国に十分でない、したがって日本の文化とか日本の歴史あるいは日本人の物の考え方、こういうものをやはり諸外国の皆さんに十分に理解していただくことがより根本的な問題になる、こういうことでございますが、先進国と比べても国際放送は大変貧弱でございます。  例えばアメリカ、イギリス、西ドイツ等と比べましても、日本の国際放送の送信出力は十二分の一から三十二分の一、それから放送時間も三分の一から八分の一、予算も五分の一から十二分の一という状態でございまして、やはり少なくとも先進国並みに引き上げるべきであると考えるわけでございますが、いかがですか。
  119. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 全くおっしゃるとおりで、例えばひどい場合、外国の教科書の日本の紹介で、お嬢さんがマスクをやっていまして、これは風邪を引いてマスクをやっていると日本人ならわかるのですが、そこの説明には、公害から身を守るためにマスクをしている、こう書いてあるわけですね。日本というのは偉大なる国だという認識と、なかなか理解しにくいという面がありまして、日本こそ外国に負けないだけの国際放送を充実していかなければならない。ゲーテインスティチュートがどうしたとかブリティッシュカウンシルがどうしているとか、私もいろいろ聞いております。本当に先生方が次々言われるのは、いかにこの問題が重要か。予算委員会でも吹田理事が質問されたのですが、これは私は、役所ベースで話すときはいろいろあるかもしれませんが、総理初め外務大臣、大蔵大臣、再々外国へ出張しておりますから重要性は非常によく知っておるわけでございます。先生方の御支援をいただきまして何とか頑張りたい、このように考えております。
  120. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 これはNHKの問題ではなくてやはり国の問題として考えなければならない問題であると私は思います。こういう基本的な考え方を申し上げておきたいと思います。  それからNHK経営でございます。これは会長に伺いたいわけでございますけれども、これまでNHKは大体四年サイクルで受信料の値上げをして、いわゆる経営を安定してきた経過があるわけでございますが、このサイクルでいくと昭和六十三年度値上げという形になるわけでございます。大体そんなお感じでございますか。
  121. 川原正人

    川原参考人 過去二回ほど確かに四年ごとに料金を改定していただいた事実はございますが、私どもは四年でというふうには考えておりません。少しでも料金は長く維持をしていきたい、そして受信者の方に御迷惑をかけないようにしていきたい、かように考えているわけでございます。  ただ、もともと今の料金は、理論的には必要な金額を毎年国会にお諮りして決めていただくのが放送法の建前だと思いますが、それではいかに何でも受信者が迷惑だということで、一応三年の経営計画を立てまして、この料金で三年間はやりますということで最近のところ国会の御審議をいただいているわけです。その関係からいいますと、我々努力しますけれども、どうしても四年ぐらいまでは努力してもその次は非常に苦しくなるという事実が片一方にございます。特に、今も何とか少しでも長くと思っておりますけれども、何せニューメディアの開発には相当のお金も要りますし、いろいろな放送権料等が上がってまいりまして、特にソウルのオリンピックというのが今ちょっとけた違いの数字がいろいろな形で見え隠れしておりますので、この辺の処理いかんによって先をどう考えるか、もらしばらく先に決定をさせていただきたいと思っております。しかし、現行料金はできるだけ長く維持してまいりたいというその基本の考えは変わっておりません。
  122. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 いわゆる行政改革と申しますかNHKのスリム化、経費あるいは要員を減少してできる限り受信料を値上げをしないでも経営を安定していく、こういう方向にあろうかと思いますけれども、経費と要員の減少というのもやはり限度があると思うわけで、その辺の兼ね合いというものもあるのではないか。そうしますと、はっきりお話はありませんでしたけれども、六十三年、六十二年ぐらいはないかもわからぬが、六十四年ぐらいにはまた改定ということは、これは議論に当然なってくる問題であると受けとめてよろしいですか。
  123. 川原正人

    川原参考人 大変微妙なところでございますし、六十三年度についてもまだ少しいろいろな要素といいますか、これからの変化を見きわめませんと今何とも申し上げかねる状況でございます。ただ、現行料金をできるだけ長く維持したいと思いますけれども、やはり一つの限度はどうしても出てくるかと思っております。御質問のような時期が一番、今六十三年度あたりが大変私は苦慮しているところでございます。
  124. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 では、大体六十二年度はないが六十三年以降は白紙である、このように理解してよろしいですね。  それで、経営のスリム化と関連するわけでございますけれども、いわゆるNHKの番組の外注の問題でございます。最近、番組を社内でつくらないで外注がふえているような実態があるようでございますけれども、それはどういう状態であるか、また今後の見通しはどういうふうであるか、あるいは外注に依存する適切な割合というものをどういうふうにお考えになっているか、その点をお聞きしたいと思います。
  125. 尾西清重

    尾西参考人 お答え申し上げます。  NHKがこれまでほとんどすべての番組を自主制作してまいりましたことは御承知のとおりでございます。六十一年度からかなり大幅な番組制作委託をNHKの関連団体でございますNHKエンタープライズにしております。この実態でございますけれども、総合テレビで約三%、教育テレビで約四%、平均しますと三・五%というのが番組制作の委託の現状でございます。これに、調達番組と言っておりますが、海外、国内の映画その他が三%ございますので、合わせて六・五%がいわゆる外部制作番組でございます。したがいまして、残りの九三・五%は依然として自主制作番組でございます。  一体どのようにこの外部委託を考えていくのかという御質問だと思いますけれども、私どもとしては、あくまで番組制作委託というものをふやす、そしてある一定の数字を設けてその目標に向かって走るということよりは、今我々が出しておりますところの番組の水準の維持向上ということでございます。しかも、我々がNHKで自主制作しておりますよりも、そういったNHKの関連団体に委託することによってより効率的に番組の制作ができるということと、違う立場で発想することによって視聴者のニーズの多様化にも対応できようかというふうに思っております。したがいまして、あくまで比率が目標ではございませんので、一体どの程度外部制作委託をするのかという御質問には直接お答えしにくいのですけれども、現状の成果を検証しつつ、来年はさらにふやしてまいりたいというふうに考えております。
  126. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 今NHKエンタープライズの話がありましたけれども、ことしの一月二十七日に、そのNHKエンタープライズと電通、都市銀行ほか二十二社が加わりまして株式会社総合ビジョンというのができております。この会社はどういうことが目的なのでございますか。
  127. 尾西清重

    尾西参考人 私どもはこれまで番組の二次利用というのをやってまいりましたが、私どもは営業行為ができませんので、NHKの蓄積された長年の素材、番組のソフトといいますか、そういうものを国内外に対して積極的に頒布してまいりたいということで、これをNHKエンタープライズに委託しているわけでございます。NHKエンタープライズは、基本的にはその責任を負ってNHKの番組を外部に頒布し、同時に外からNHKの番組としてふさわしい内容の番組を購入するということをやるわけでございますけれども、いずれにしてもNHKの出身者といいますか出向者で占められておりまして、我々の方には余り売り買いのノーハウというものがございません。したがいまして、そういう売り買いのノーハウについては外部の人たちと一緒になってやってまいりたいというのが総合ビジョンをつくった趣旨でございます。
  128. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 外注に依存するということは必ずしも悪いことではないわけでございまして、社会の要請を踏まえた一つの選択ではないか、こういうふうに思うわけでございます。ただ、それによって今まで保ってきたNHKの質的な水準が今後も保てるものかどうか、あるいはNHKという公共放送の使命の確保というものが損なわれないかどうかということを心配するわけでございます。そこのところはやはり、外注に依存をするといってもNHK放送するわけでございまして、国民の側から見ればこれはNHK放送であるわけでございますから、きちっとした水準を明確に保ちつつ、より水準を向上させる意味での外注であるべきである、このように考えるわけでございますが、最後に会長の御決意を聞いて、質問を終わりたいと思います。
  129. 川原正人

    川原参考人 私ども、単に番組を安くつくるためにだけ外注を考えているわけでは毛頭ございません。むしろ外の新鮮なアイデアというものを私どもの番組の企画の中に取り込んで番組の水準をもっと高める、それを第一の目的としてこのことを考えております。当然のことながら、あわせてさらに合理的な経営に役立つようにということで事業を進めているつもりでございます。
  130. 遠藤和良

    遠藤(和)委員 終わります。ありがとうございました。
  131. 深谷隆司

    深谷委員長 木内良明君。
  132. 木内良明

    ○木内委員 きのうに引き続いての質疑であります。きのうの私の少額貯蓄非課税制度に関する質疑で私自身が最も懸念しておりました問題について大臣の所見と決意を伺った中で、仄聞するところ今自民党税調の中でいろいろな議論がたけなわで、とりわけ郵貯百年の歴史の中で非課税制度に今大きな障壁が事実として立ちはだかっている、仮にもこの非課税制度廃止の見送りとして郵貯資金の自主運用であるとかそのほかの成果をもって妥協してはならないと思うけれどもどうかという趣旨の指摘を申し上げたところ、大臣から重大な決意を持って対処してまいりたいという意味の答弁があったわけであります。これは言ってみれば数時間前の質疑でありまして、きょうまた――私は必ずしも報道関係の記事をうのみにするわけでもありませんし事実の確認もいたさなければならないけれども、火のないところに煙は立たないという、これも事実をついて余りある俚諺だ、こういうふうに思っているわけであります。  改めて今確認をするわけでありますけれども、仮にけさの朝刊で報道されているような事実があるとすれば、我が国の国政をつかさどる最も権威ある院の、とりわけこの問題を所管する逓信委員会における議論が無意味なものになってしまうし、我々が額を寄せ合い、知恵を出し合い、激励し合い、チェックし合いながら行う審議が極めて空疎なものとなってしまう、こういう思いを強くしているわけであります。  すなわち、国債の窓口販売あるいは郵貯の限度額三百万を五百万に、さらに郵貯資金の自主運用、これがとれるならば非課税制度の廃止もやむを得ないという方向に政府・自民党関係者並びに大蔵、郵政両省の首脳によってこの話し合いが行われ、ほぼその方向で固まってきたという記事が出ております。私は、申し上げたようなこの国会論議の直後でもありますので、これを重大な事実として受けとめなければならないと思うし、この点を今、唐沢郵政大臣に申し上げれば、今後さらに審議会の答申に基づいて、三事業の存続はもとより、非課税制度の存続に向けて体を張って頑張るという、恐らく修飾語の多くついた答弁になるのではないか、こういうふうにも思うわけであります。  そこで、まずお聞きするわけでありますけれども、大蔵、郵政両省の間で、非公式ではあるけれども折衝が行われたという、この折衝の当事者は、仮にこの経緯にあるとすれば、だれになりますか。
  133. 成川富彦

    ○成川政府委員 私、つまびらかに聞いておりませんですけれども、貯金局の事務当局で向こうからの申し入れはあったようでございます。
  134. 木内良明

    ○木内委員 貯金局の事務当局は、これは局長ですか、官房長。
  135. 成川富彦

    ○成川政府委員 まことに不徳で申しわけありませんが、詳しく存じておりません。
  136. 木内良明

    ○木内委員 事務当局たるこの貯金局の当事者の大蔵とのすり合わせで、このような重大な内意、合意が見られるようなことがあり得るのですか。
  137. 成川富彦

    ○成川政府委員 申し入れはあったようでございますけれども、交渉等一切やっておりません。
  138. 木内良明

    ○木内委員 それじゃ官房長、この事実は全くなかったというふうに考えてよろしいか。
  139. 成川富彦

    ○成川政府委員 先ほど大臣もお答えしたとおりでございまして、新聞報道は事実に反して……
  140. 木内良明

    ○木内委員 冗談じゃない。私は大臣の答弁を聞いておりません。私の質問をやっているんだ。何言っているんだ。
  141. 成川富彦

    ○成川政府委員 失礼いたしました。申しわけありません。新聞に報道されているような事実は全くございません。
  142. 木内良明

    ○木内委員 新聞に報道されている事実は全くないということで、大臣、確認ですが、よろしいでしょうか。
  143. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 その非課税制度の問題につきましては、いろいろ報道されているようでございますが、報道されたような事実はございません。
  144. 木内良明

    ○木内委員 再三にわたって本委員会でこの問題については言及をされているわけでありまして、大臣の決意もこれあり、私もぜひ大臣のこの姿勢を信頼し、また期待もいたしたい、こういうふうに思うのでありますけれども、仮に大蔵、郵政の両当局者並びにトップ同士の話があるとしても、これはもう断固けられる、きのうの御答弁に変わりはないと私は信じたいのであります。  それで、自民党税調と唐沢郵政大臣との位置関係についても聞きたいのであります。すなわち、申し上げたように、郵政百年の歴史の中で今ほどにわかに根幹を揺るがすような事態に立ち至ろうとする入り口の議論が盛んになっているときは、今をおいてないと思うのでありまして、その意味から申し上げれば、歴代の郵政大臣の中では恐らく私は最も有能で、また最も主要閣僚としての位置づけが行われ、このたびの閣僚就任であろう、こういうふうに思うわけであります。この数日における自民党税調の中での郵政大臣の動き、大蔵省への働きかけ、これが具体的にどのように行われているのか。恐らく、それだけの決意を披瀝されるわけですから、かなり活発に、そしてまた国民の立場に立った名郵政大臣としての動きこれありと私は確信したいのであって、確認をさせていただきたいと思います。
  145. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 大変御激励をいただきましてありがとうございます。  先ほど官房長の答弁いたしましたのは、役所同士ですから、親のかたきじゃありませんから、話し合うのは、これは常々やっておると思います。しかし、私は何ら報告は受けておりません。  それから税制の問題でございますが、これは先生御高承のとおり、政府税調で答申がなされる、それを受けまして今党税調で審議をしておるわけでございます。私も、一昨日ですか、山中会長にはお会いをいたしてまいりました。さらに、自民党の通信部会の委員の皆様、また、やはり昨日は、郵政事業懇話会は四百名を超える議員が集まられたわけでございます。大体、我々の主張は党税調の場でもうかんかんがくがく、けんけんごうごう議論がなされておるようでありまして、いろいろ逐次報告を聞いておりますが、我々の意図するところは、本当に郵政事業の将来を考える、しかもこれは国家国民のためにという立場で考える議員が大勢おりまして、いろいろ主張していただいておりますが、私も事あるごとにこの立場を表明いたしております。逐一申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。
  146. 木内良明

    ○木内委員 聞くところによると、自民党税調の最後の意思決定というものはトップの高度な政治的判断によって行われるというようなケースがこれまでたびたびあるわけでありまして、自民党税調の中の問題ですから我々は踏み込んだ議論をできる立場ではありませんけれども、しかしまた同時に、聞くところによれば、この数百人の税調メンバーの発言は多分にガス抜きの感があって、最終的にはトップの判断にゆだねられてしまうということがどうも言われるわけであります。  そこで、一昨日の山中税調会長郵政大臣との会見の中では、この問題についてはどんな感触でありましたか。
  147. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 もう大体議論は出尽くしてまいりまして、もう一々申し上げることはない、きのうからお話ししていたとおりのことを山中会長にもよくお話をしてまいりました。まあ大体向こうは聞いておられるという立場でございます。その前にも、私、三役にも全部行ってお願いはしてあります。     〔委員長退席、額賀委員長代理着席〕
  148. 木内良明

    ○木内委員 いずれ重大な関心を持って推移を見守りたいと思います。この非課税の問題についてはこれ以上続けません。  ただ、けさほども理事会で私は、本委員会と大蔵委員会の連合審査を明日あるいは本日深更に至るまで持つべきであるという主張をしたわけでありますけれども、自民党理事さんの方の奔走にもかかわらずこれが実を結ばない結果になりまして大変不本意であります。しかし、いずれにしても、国民とともに歩んできたこの郵貯非課税の歴史を守るためにも、逓信委員会として今後できるだけの対応をしてまいらねばならないという決意は同じだと思いますので、大臣にもこの点は御理解をいただきたい、こういうふうに思います。  なお、昨日質疑を行いました中で、伊豆大島三原山噴火に関連して大臣並びに郵政当局から大変に心温まる配慮が答弁の中に如実に出まして、私もきのう早速またこのスポーツセンターへ行ってまいりました。そうして、NTTの電話の移設の費用負担は一切無料であるとか、あるいはまた郵貯の払い戻し限度額十万を、中長期的にわたれば当然これも拡大をする方向でまいるという内容のことを伝えましたところ、大変に避難者の方々は喜んでおられましたので、この場をかりてまず大臣に報告を申し上げたいと思います。  そのとき出た話でありますけれども、やはり二十四時間まんじりともしないで避難会場のかたい床の上に待機をするというのは、親も子も大変な苦痛なわけでありまして、懇談をしておりました中で、今度の土、日が学校も休みになるわけですよね、新編入した学校。この土、日に、こういう事態の中でありますけれども、お子さんたちにぜひ国の施設、博物館等の見学の機会をつくってもらえないかという話がありました。  実は、先刻文部省に出向きまして、国立科学博物館あるいはそのほかの国の施設については、その受け皿をつくっていただけるという方向で話が進んでおります。きょうは、NHK決算審議の時間でありますけれども、ぜひ郵政当局においても、逓信博物館であるとか、あるいは電気通信科学館というような施設もありますしね。ぜひ、各省庁、といっても文部省が主になりますけれども、横並びで様子を見ながら、そういう話があれば対応もしていただきたい。こういう事態の中でありますので、官民財挙げてぜひこの一万大島島民の方々のための温かい配慮を行っていただきたいと思いますので、時間の関係で一言だけで結構です。答弁願います。
  149. 成川富彦

    ○成川政府委員 逓信博物館の関係につきましては、昨日東京都の方に手配をいたしまして、無料入場券を六千枚ばかり手配いたしております。また、無料入場券のない方でも、博物館の方へ直接来ていただいて大島島民ということでおっしゃっていただければ無料で入場できるようにしたいというふうに思っております。
  150. 木内良明

    ○木内委員 これは大変朗報だと思うのですね、細かいことだけれども。特に、大島島民であるということでも入れるわけですね、口頭で言えば。  そのやり方を、文部省に申し入れた後の手続の問題を私、聞いていませんが、文部省も同じようですか、科学博物館。――これは御存じない、逓信関係についてはそういう配慮があるということですね。
  151. 成川富彦

    ○成川政府委員 どうも文部省の方まで気が回りませんでしたけれども、逓信博物館の方につきましては、昨日先生からのお話もございましたものですから、すぐに手配をいたしまして、入れるようにいたしたところでございます。
  152. 木内良明

    ○木内委員 NHK決算審査に先立って、やはり三原山の災害に象徴される災害時の対応について聞きます。  噴火が起こった直後、あるいは災害発生の近い時期においては、かなり社会の関心も高いし、マスコミの方も報道等よく行っていただくわけでありますけれども、日がたつにつれて、例えばこの大島の一万島民の方々にとっての情報の過疎化といいますか、情報がどんどん遠のいてしまうといううらみがあります。そこで、公共的な性格を強く持っているNHKとして、例えばこれも提案でありますけれども、通常の番組編成に入らない最近における大島の状況等を、航空撮影等ビデオ収録したものがあるわけでありますから、独自にこれを編集をされて、ビデオ化して、そして各避難会場における受像機でこれが見られるような措置を実施できないか、このことも提案したいわけでありますが、NHK、どうでしょう。
  153. 松本幸夫

    ○松本参考人 災害発生と同時に、私どもとしましては、できるだけ避難された方々の情報へのニーズにこたえるために受信機を五十台ほど手配いたしまして、見ていただけるような態勢をとったわけでございます。同時に放送番組の方では、ローカル放送等の時間を特に島民向けに切りかえまして、生の形で島民の方の役に立つ情報が伝わるような編成もいたしております。  また、そういった時間帯をぜひともごらんいただきたいというふうにも考えまして、こういう時間に島民の方々向けの放送がありますよということもお伝えするような手配もしているわけでございますけれども、今御指摘のビデオテープでやるかどうかという点につきましては、やはり今のところは何としても生の情報をできるだけ見ていただくということに重点を置いた施策を進めているというのが現状でございます。
  154. 木内良明

    ○木内委員 ちょっと勘違いされているようなんですね。ビデオといっても昔のビデオじゃないのです。要するに、例えば一時間分いろいろな地域の状況を撮ってきた、そのうちオンエアされるのがごく一部にならざるを得ないわけで、これは、番組以外にこぼれたビデオについて、状況説明等安心させるような措置がとれないか、こういう話なんですよ。
  155. 松本幸夫

    ○松本参考人 現在の状況では私どもとしてはなかなかお言葉に沿う形にならないのでございますけれども、生の形で情報を提供いたすことに重点を置いてやっておるわけでございまして、オンエアされないビデオを編集して見ていただくというところまではちょっと手が回りかねるというのが実情かというふうに申し上げざるを得ません。
  156. 木内良明

    ○木内委員 今回間に合わないにしても、今後は一般的な災害に対応する一つの行き方としてぜひ検討をいただきたい、このことを出し上げておきます。  決算内容に触れます。  話がどうも前倒しになってしまって恐縮ですけれども、五十八年度の収入支出決算表の事業収入の項になくて、五十九年度に新たに設けられた項目として、副次収入というのがあります。五十九年度からこの項が新設された理由、それから今後NHKの財政基盤の中における副次収入の位置づけ、三点目として、今後いかなる割合副次収入が占めるべきか、この三点について簡単に答弁願います。
  157. 井上豊

    井上参考人 先生御指摘のように、副次収入につきましては五十九年度から項目を新たに起こしましてこの予算を計上するようにしたわけでございますけれども、私どもといたしましては、やはり副次収入というものを重視をいたしまして、これにつきまして明確に勘定もはっきりさせたいということで新たな項目を立てたわけでございます。  現状を申し上げますと、過去三年間の副次収入の推移は、五十八年度におきまして二十一億八千万円、五十九年度で二十二億六千万円、六十年度で二十四億九千万円ということでございます。私どもといたしましては、受信料以外の収入につきましても、それ自体としては必ずしも大きな額ではございません、全体の事業収入に占めます割合が大体〇・七%強ということでございますけれども副次収入増加につきまして一段と努力をしてまいりたいというふうに考えております。  内容といたしましては、放送番組の二次利用あるいはテキストの発行、特許権等の実施許諾あるいは技術協力料等でございますけれども、ただ何といいましてもNHKの基本的な性格から申し上げまして、やはり公共性を堅持しながら、今後予測されます新しいメディアの多様化の傾向に応じまして、関係団体とも連携を深めて積極的な施策を展開してまいりたい。  今後の額につきましての見通しは今定かではございませんけれども、今後五年間程度の中で私どもの希望的な観測も含めましてこれを倍増できないか、こういう考えでございます。
  158. 木内良明

    ○木内委員 一つは五年間で倍増ですね。それからもう一つは、関連団体との連携を深めてという話がありました。  私も、実はこのNHK経営者の感覚で物を申し上げたい立場なのでありますけれども副次収入をぜひ拡大をしてもらいたい、こういうふうに思います。特に、放送法の第九条「協会は、前二項の業務を行うに当つては、営利を目的としてはならない。」ということではありますけれども、しかし関連団体との有機的なこの法の運用といいますか、よって立つ性格を十分踏まえながらも、副次収入というものが今後いかに拡大できるかを検討願いたいと思います。  特に、先ほど直前に確認したのでありますが、出版協会で出している「NHKブックス」というのが、これは豊かな情報網と機動力を生かして大変立派なものがあるんだけれども、聞いてみると出版部数というか、意外と読まれていない。もったいない話でありまして、これは恐らく今言われた関連団体の範疇に入るものでありましょうから縛りは受けないわけでありますけれども、この九条に基づいてぜひとも多角的な経営のあり方というものを検討願いたいと思うのであります。特に関連団体との有機的な連携の深化の中でどうお考えになっておるか、簡単で結構ですから答えてください。
  159. 井上豊

    井上参考人 先生御指摘のように関連団体と私どもが寄り寄り協力を深めまして、副次収入の増という目的だけでなく、NHKのいわゆる全体の企業集団として新しいメディアの多様化の時代に対処してまいりたい、そういうふうに考えております。
  160. 木内良明

    ○木内委員 時間がなくなりました。私の質疑時間が終了いたしましたので、要望だけ申し上げて終わりたいと思います。  政見放送に手話導入を自治省が検討しておる。これに対する技術的な問題もまたいろいろあろうかと思いますけれども、より多くの国民の方々に政治、選挙との接点を持っていただき、さらにまた国民の皆さんの政治意識というものを高める上からも極めて重要なテーマであろうと思っております。ぜひこの点はNHKとしても、諸般の事情はよくわかりますけれども、前向きに受けとめていただいて対応願いたい、こういうふうに思います。  この問題できょうは自治省にもおいでいただいておりまして、答弁の機会をなくしてしまったことを大変恐縮しております。同じく会計検査院からも決算検査概要についての御報告をいただくつもりでおりましたが、時間の関係で割愛をさせていただきますことを最後におわびして、私の質疑を終わります。
  161. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 阿部昭吾君。
  162. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私は、NHK決算のことで発言をいたしますのは初めてなんであります。ある意味では全く素人なんでありますが、そういう立場から若干お尋ねをしたいと思うのであります。  今までいろいろな質疑をお伺いしまして、NHK経営に関しましてはいろいろな角度からの努力をされて、それなりに一つのめどというものを持ちながら進めてこられた、大枠こういうふうに感じておるわけであります。  先ほども御論議がございましたように、ことし、来年程度は受信料の値上げなどということはなしに考えておる、その先のことになるとまだ白紙ということであります。公共放送として受信料を中心に、ほとんど大部分を受信料収入NHKの大きな運営をやっていらっしゃるというお立場なわけでありますが、これからの時代はどんどん変化をしていくのであろうと思うのであります。そういう意味でNHKの五十八年度の決算が今ごろというのは、三年前のことを今ごろ国会でやっておるというのも、しかし国会は承認をしなければならぬという仕組みでありますからしようがないのでありますが、NHK自体は自体として、独自の立場で経営の現状、将来の展望というものをいろいろな角度で努力をされておるものだろうと思うのでありますけれども、今後将来のNHK経営というものを基本的に言うと、どういう角度から見通しを発展せられようとなさっておるのかということを、端的に会長の方から伺わせていただければありがたいと思っております。
  163. 川原正人

    川原参考人 確かに今の世の中、本当に急激な変動を続けております。経済状況、社会状況はもちろんでございますが、私どもが従事しております放送事業におきましても非常に新しい、ニューメディアというのが続々と展開しておりますので、その中で私どもこのニューメディアというものを的確に国民の有効な資産として活用し、そのメリットを視聴者の方々、国民の方々に還元していくべき任務があると思っております。そして、それらの事業を展開する基本的な力は何といっても受信料だと私は思っております。  もちろん、受信料だけに頼るということはいたずらに視聴者負担を増す結果にもなりかねませんので、受信料以外の収入、副次的な収入、いろいろなメディアを統合しまして、あるいは関連事業を全部統合しまして、いろいろな収入をふやしたいと思います。しかし相対的に見ますと、財政的にはそれはごくわずかな比重しかどうしても持ち得ませんので、やはり基本のところは受信料だと思います。ところが、この受信料は、実際の日本の世帯増加が国勢調査を見ましてももう一%すれすれのところあるいは一%を削るような状況でございますので、これは私どもがどう努力しましても、これまたそれほどの伸びが期待できないという幾つかのジレンマの中にあります。  したがいまして、私どもいろいろな副次収入を上げ、あるいは番組の制作単価を切り下げ、あるいは部内的には人員等もさらに一段と合理化しつつ余裕の財源は見つけていきますけれども、長期的に見た場合はどうしても受信料をもって支えるしかない、それでなければまた私どもの自主的な番組の編成、表現の自由も確保できないというふうに考えますので、したがいまして、諸般の事情を考えればどの段階かでやはり受信料の改定をし視聴者の方に御負担をお願いせざるを得ない、これは正直に申しましてそういうことはどうしても避けられない。しかし、少しでもその時期は先に延ばしたいということで、今いろいろな経営の内部の工夫を凝らしているところであります。
  164. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 私も、今会長さんはそういうふうに申されるというふうに思っておりました。  NHKNHK独自の立場というものだと思うのでありますけれども、唐沢大臣の方は、郵政省としては、将来のNHKというものに対してそういう意味でどういう経営、運営の考え方を持っていらっしゃるのか、もしあればお聞かせを願いたい。
  165. 森島展一

    森島政府委員 NHK経営につきまして六十一年度の予算のときに郵政大臣の意見を付してございますが、NHK経営は非常に厳しい状況にあるということで、今後も経費の節減、収入の確保、こういうものに一層努力され、受信料の値上げというような受信者負担増は極力長期にわたって避けてほしい、こういう意見を郵政大臣として国会に提出したこともございますので、NHK経営は非常に厳しい状況だというふうに郵政省も認識しております。
  166. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 今郵政省当局が経費の節減あるいは収入増加努力をすると言われましても、今会長さんお話のようにそう格別にこれが決め手ですというようなものは簡単には出てこない。しかし、いろいろな意味で放送の社会というのもどんどん変化を遂げていくであろう。その場合に、受信料の値上げだけが将来の経営収入確保の有力な一つということだけでいいのであろうかという思いを私は常々持っておるのでありますが、これが公共放送である以上一定の枠組みというのはちゃんと縛られているようにも思うわけであります。したがって経費の節減、収入増加ということでありますけれども、経費の節減といいましてもやはり限界があるわけであります。したがって、収入増加というものをどのようにするかということについては、NHKNHK独自の立場でいろいろ努力をする、掘り下げてみるということと同時に、国は国として、NHKの将来の展望というか経営の姿というか、こういうものについて、今まで何とか努力しながらやってきた、これから先どのようになるのかということは受信料以外に道はありませんということだけでいいのかどうか、検討してみる必要があるのではないかというふうに私は思っている一人なんであります。  御答弁いただけるかどうかわかりませんが、ありきたりの経費節減、収入増加、こういう総論的なことのほかに、やはりもうちょっと突っ込んだものを国は国、郵政省郵政省として掘り下げてみる必要があるのではないか、こういうふうに思うのであります。
  167. 森島展一

    森島政府委員 公共放送のあり方というような長期にわたる放送政策の大きな展望をしなければならないということで、郵政大臣の懇談会で放送政策懇談会というところでもいろいろ学識経験者の方にちょうど御議論いただいているところでございますが、NHKがこれからニューメディア時代に対応してどういう経営の展望をしていくかという点を国としても今一生懸命そういう場で御審議いただき、何とかいい方法を見出したい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  168. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 なおこの問題は郵政大臣が中心になって、NHKの将来の経営という問題に対してある意味でいえば国としての立場からの具体的な中身をいろいろつくってみる努力をしてほしいという希望を申し上げたいと思います。
  169. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 今ずっと会長がいろいろ述べられましたし、また先生方も指摘されましたように、NHKというのは事業収入を伸ばすのはなかなか難しい、また事業支出増加が避けられないという収支不均衡の体質を基本的に持っている。しかし、料金というものはできるだけ改定して上げるようなことは差し控えていただきたい。さらに、公共放送としての使命は遂行しなければならない。さらに、ニューメディア時代に向かいましての放送のあり方、ビジョンについても今一生懸命調査研究している。私は、川原会長初めNHKNHKでよく取り組んでおられると思うのです。ですから、我々郵政省としてもそのようなNHK努力を受けとめまして、今お話のありましたように放送政策懇談会でも研究をいたしておりますが、我々も郵政省一丸となってよくこの問題に取り組んでまいりたいと思っております。
  170. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 わかりました。ぜひひとつ努力をしてほしいと思います。  そこで、先ほども御論議になっておりましたが、衛星放送でありますけれども、ゆり二号など約六百億円になんなんとする投資を必要とする。この問題は、今のNHKの全体の枠組みからいえば大胆な、相当の覚悟をして取り組まれようとしておる問題だろうと思うのであります。この中で、従来の衛星のいろいろな一連の故障の発生というような事態も起こってきておる。しかしながら、今度のこの新しい計画というのはどうしてもやらなければいかぬわけであります。  そういう意味で、いろいろな意見があるのでありますけれども、新しい放送衛星というものに対して民活というものをという議論もあるのであります。先ほどいろいろ議論がございましたけれども、民間活力をこの新しい事業の中にという議論があるのでありますが、このことに関しまして、先ほど私も拝聴しておったのでありますが、大臣の方から考えを聞かしていただきたいと思うのであります。
  171. 森島展一

    森島政府委員 放送衛星開発につきましての民間の力の活用ということでございますが、BS2は国とNHK負担しておりますけれども、BS3になりますと民間の衛星放送事業者というものを予定して、もう既に六十年度から開発を進めておるわけであります。その負担割合、先ほども申し上げましたようにBS3の経費の六五%のうちを二対一でNHKと民間放送事業者で分担する、こういうことで民間の力もBS3の段階から入れるということで進めておるわけでございますが、さらにその先の将来にわたりましては、民間のそういうニーズとか技術開発の動向とか、こういうことをBS2、3の状況を見ながらいろいろ検討してまいりたいと思っております。
  172. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 民活という角度で3の場合に進めておるわけでありますが、この場合、実際の運営の面では余り心配するような問題は起こらぬというふうに考えていらっしゃるか。運営の問題でどういう点がある意味でいえばいろいろ考えねばならぬ点だというように思っていらっしゃるのか。運営面では民間とペアでやった場合にどういうような問題が起こるのか、この点もお聞かせ願えたらありがたいと思います。
  173. 森島展一

    森島政府委員 御承知のように、BS2、3とも、衛星の開発という面と実用の面と相乗りの衛星でございますので、開発という面からしますといろいろまだ技術的にその開発の中で考えていかなければならない面もございますが、実用ということがそういう経験の中で非常に信頼性を持って進められていくというふうに期待しておるわけでございます。したがいまして、その民間の力にどの程度将来ともこの衛星放送につきまして入っていただくかということにつきましては、そういった状況を見ながらでございますが、やはりこの放送に対する多様なニーズが出てくるという点から、民間の方からも積極的に将来は参加をしていただくということになるものと思います。
  174. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 民間とNHK、これが協力し合ってやっていく場合の関係というものが円滑にいくような一つの基準というか、運営の枠組みというか、こういうものを、一部にはいろいろ言う向きもあるのでありますけれども、今の時代でありますから、私どもはその辺のところは余り心配せぬでいいものだろうと思っているのでありますが、ぜひきちっとした形になるように期待したいものだと思っておるところであります。  それから、時間の関係で多くを申し上げられませんが、これもお話ございましたが、ソウル・オリンピック大会の放送権の交渉ですね。これが現状どのようになっておるのか、交渉に悪い影響が出ない限度内でお聞かせをいただければありがたいと思います。
  175. 尾西清重

    尾西参考人 現在、NHKと民放と共同いたしましてジャパンプールをつくって放送権料の交渉に当たっております。御承知のように、放送権料は回を重ねるごとに高騰を続けておりまして、私ども放送事業者にとっては大変大きな悩みになっております。しかし、私どもとしては視聴者の皆様にも御納得いただける金額で何とか決着をつけたいというふうに思っておりますけれども、ソウル・オリンピック組織委員会の方では、日本と韓国の歴史的、政治的、経済的な関係とか、あるいは十二年ぶりに開かれる世界規模の大会であるとか、あるいは日本と韓国の間に時差がないとかというようなことを挙げておりまして、さらに、日本のGNPはアメリカの三分の一であるとか、目下円高・ドル安があるではないかとかというような理由を申しまして、伝えられるような、我々にとっては到底支払うことのできない高額を要求しているわけでございます。既に三回交渉を持ちましたけれども、現在のところ全く見るべき成果はございません。したがいまして、私どもとしては、この両国の間にある大きな主張の差というものを縮めるということはかなり根気のいい交渉を続けなければならないだろうというふうに思っております。
  176. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 日本と韓国との間には最近いろいろな問題があるわけであります。そういう中で、向こうは向こうなりにいろいろなことをおっしゃるのは当然なわけでありますが、この交渉は大変御苦労が多いのだろうと思うのでありますけれども、円満な妥結がつくよう御尽力を願いたいと思うところであります。  最後に申し上げたいのでありますけれども、私は最近NHKの番組につきまして、民放との比較で物を言おうとは思わぬのでありますけれどもNHKのよさというのは、最近、全体として情報というものが、マスメディア全体でありますけれども、都市側からの情報が非常に多いというふうに思うのであります。ローカルな側からの情報というのは非常に少ないというふうに、私どもローカルな立場というものに立っておりますから。その中ではNHKの番組というのはローカルに軸足を相当大きく置いてきた。例えば、昔「明るい農村」なんという番組がありました。私はあの番組を見ないとその日が始まったような気がしない。もっとも、あの番組の中にも明るいものばかりじゃなくて後ろ向きな暗いものもございましたけれども、それでもさすがNHKだな、こういう思いをしてまいりました。  私は、NHKの立場というものを私なりに見ますると、非常に客観的ないろんな角度から番組をつくる努力をされておる、こういう感じを持っているのであります。それにしても、最近はマスメディア全体が全部都市側からの情報のはんらんであります。そして、ローカルな側からの情報というのはある意味で言えば根幹のところには触れていない感じのものが非常に多くなりつつある。私は、NHKは我が国全体の中にあるローカルな側に細心の目を配った番組編成、今、NHKはマスメディア全体の中でそういう努力を非常に客観的にやっておられる、こういう感じなんでありますけれども、今後ともぜひそういう角度を大いに重視をしてもらいたい。  今のように都市の肥大化というのがこれ以上進んでいったら、ある意味では国全体が成り立たぬようになるのではないか。もう片道通勤時間が一時間半か二時間もしなければ都心に入ってこれないような、都市の肥大化というものがそこまで来ておる。一方、地方の方は集落の崩壊のような現象がどんどん始まっている。この現象は全体としては非常に憂慮すべき姿なんではないか。そういう意味で、この流れ方を促進しておるものに、やはりマスメディアの一つの傾向というものがいろいろな意味で今のような現象をつくり出してきた一端もあるんではないか。その中でNHKというのはやはりローカルな立場に相当軸足を置いた番組編成その他をやってこられたなという感じで私は受けとめておるのであります。今後とも公共放送としてのNHKはそういう立場というものをぜひひとつ重要に考えてほしい、こういう希望を持っておるのであります。この点につきまして郵政大臣及び会長さんの御意見をお伺いしたい。
  177. 川原正人

    川原参考人 確かに、最近のマスメディアの傾向が中央から地方へ情報を流すという性格が強くなってくるのは御指摘のとおりだと思います。これは、現実にはやはり日本のいろいろな経済的な問題あるいは政治問題の決定が、中央の方の決定が非常に大きな影響力を持っているということがあると思いますし、さらに加えて国際的な環境の中で日本全体が非常に大きな影響を受ける国になってまいりました。  そうなりますと、今度は中央どころか国際的な影響力というのが、現実に住んでいる地方の農民の方にも中小業者の方の中にもどんどん及んでいくので、勢い私どもはそういう情報をもっと的確に流さなければいけないと思う余り、時として情報が国際的にあるいは中央に偏重しがちでございますけれども、しかし同時に、御指摘のように、実際に住んでおられる方はその地域にやはり生活の根拠を持って住んでおられる、生活しておられるわけですから、その方たちの日常の生活に必要な情報というのを的確にお届けしなければならないし、また逆に、そういうことが中央でいろいろ政治なり経済の基本的な政策を決定される方に十分に反映されなければいけないと思いまして、その点については、御指摘のようにさらに一層力を入れてまいりたいと考えております。
  178. 唐沢俊二郎

    唐沢国務大臣 ただいま伺っておりますと、先生、さすがはと言って、NHKを大分評価されたわけでございますが、私は、さっき申しましたように表現の自由を一番尊重する大臣ですから、いろいろ番組のことは申し上げられないわけですが、海外に行きまして、日本から提供したフィルムとかあるいは国際放送のニュースが高く評価されておりまして、大変私はうれしく聞いておるわけでございます。  今、ローカル放送のお話でございますが、地域に密着した自由な放送は大体民放で、NHK全国的な公共放送だという考え方もございますけれども、やはり地域放送というものは、各種の情報源が大都市に集中する傾向の中で、地域に密着した情報として地域社会において重要な役割を果たしております。郵政省といたしましても、今後とも視聴者の要望を踏まえて、地域放送の充実に努めていただきたい、このように考えております。
  179. 阿部昭吾

    阿部(昭)委員 以上で終わります。
  180. 額賀福志郎

    ○額賀委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十二分休憩      ────◇─────     午後一時十七分開議
  181. 深谷隆司

    深谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について質疑を続行いたします。佐藤祐弘君。
  182. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 決算予算に大きく係る問題としまして、衛星放送の問題でお尋ねをしてまいりたいと思います。  きょうもいろいろ議論がありました。BS2bもまた故障をするとかいろんなことがありまして、議論があったわけであります。私は、この衛星放送放送衛星の問題ですね、ずっとこの経過などを見ておりまして、率直に申し上げましてなかなか大変だなという感じがしているのです。聞くところによりますと、NHKの内部でもBS撤退論というのも出てきておるというふうに聞いておるんですね。いずれにしましても、いろんな問題が続いていますだけに、きちっと対策を立てるといいますか、そういうことが必要な時期に来ているのではないかというように感じております。  これまでいろいろトラブルが発生して、大急ぎでそれに対して対応するとまた次のトラブルが出るというようなことでありまして、関係者の皆さんは大変御苦労も多かったし、その中でやってこられたんだと思いますが、そういう言い方が適切かどうか、対症療法的といいますか、というような感じがなくもないわけなんです。そういう点で、やはり国民の、視聴者の信頼を失わない、期待にこたえるという意味で、本当にこれまでのいろんな問題点をきちっと整理をして、視聴者が納得できるような対策といいますか、よしわかった、そういうことならもう少し待とうとかいうような状況にならないとうまくないのじゃないかという気がするんですね。NHKが九月にNHK放送衛星計画に関する委員会というのを新たに設けられたということも聞いております。そういうことも含めまして、そういう大きな状況全体について会長がどうお考えか、その点をまずお聞きしたい。
  183. 川原正人

    川原参考人 放送衛星につきましては、何分二十年という長い経緯の中で打ち上げられたということ、その二十年間に客観的な状況はどんどん変わってきている。技術的な進歩もありますし、いろいろなマスメディアの状況も変わってきている。それから、難視聴解消ということでありましたけれども、難視聴世帯がかつて二十年前二百万近くあったものが今や十万世帯になってきている。そういうような一番基本的な状況の変化もございます。それから機械そのものが、正直言いまして私どもが想定していた以上に不安定なことがあるというようなことで、私どもとしましては、やはり二十年前あるいは十年前に定めた一つの方針にそのままいつまでもしがみついているということは、かえってむしろ、せっかくの非常に高性能の国民の財産である衛星をむだ遣いするおそれがあります。  衛星というのは非常な能力を持っております。とにかく赤道上空に一個上げれば日本全国完全にカバーする、場合によればアジア全体さえカバーする能力を持っているのを、わざわざ外国に出ないように電波の出る範囲をむしろ狭めながらやっているぐらいの非常な能力を持っております。それから、出せる番組の質も、地上の番組では出せないようなハイビジョンとかPCMとか、いろいろなものを出せる能力を持っております。何としてもこれは国民の財産として成功させたい、有意義に使いたいと私は考えておるわけでございます。  今申し上げましたように、この使い方なり、あるいはそれの保有の仕方なり、あるいはお金の分担の仕方なりについては、まだまだいろいろな検討すべき余地が残されている、そういうふうに考えておりまして、これから先のNHKの取り組みにつきましても、私どもは私どもなりに経営の責任を持って対策は考えてまいりますけれども、世の中の有識者の御意見も率直に伺いたい。そういう御意見の中から参考になる示唆があればそれも参考にさせていただいて、今後また、あるいは国会とか関係の役所とか、あるいは国民の方々にも、新しい使い方なり新しいこれの運営の仕方なり、そういうものについてどんどん御提案をし、どこまで私どもの意見が通るか、それはまた別としまして、いろいろなことを御提案しながら、せっかくの非常に能力の高い新しいメディアであります放送衛星というものを十分に視聴者の方にメリットを還元できるような方策を考えてまいりたい、かように考えております。  そのために、放送衛星に関する私どもNHKの、私の諮問機関として委員会を設けさせていただいたわけでございます。
  184. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 概略はわかりました。  それで、このNHK放送衛星計画に関する委員会、これは私も非常に関心を持っておるわけなんですが、この委員会の目的、検討項目といいますか、そういったものと、また、九月十七日に第一回会合を開かれたというふうに聞いておりますが、それ以降何度開かれてどういう議論が行われたか、主なポイントを御説明いただけるとありがたいと思います。
  185. 林乙也

    林参考人 NHK放送衛星計画に関する委員会の設置の趣旨につきましてはただいま会長から御説明申し上げたとおりでございます。第一回会合を九月十七日に開きまして、その後十月六日、十一月十日と三回ほど開催をいたしております。  この三回の御検討の中で、放送衛星計画の経緯と現状、それから放送衛星の技術的特徴とそれに関連する信頼性の問題、それから放送衛星の製作、打ち上げに伴うリスク回避あるいは分散に関する諸方策の問題、そういうような事項につきまして御検討といいますか御審議をいただいておるところでございます。  今後、放送衛星の利用のあり方、あるいは将来の事業展望、そういったものにつきましても御検討いただく中で、ただいま会長が申しました、NHKといたしましてこの放送衛星計画に取り組む基本的な考え方というものを確立し、今後の誤りなきを期したいというように考えておる次第でございます。
  186. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今お話がございましたが、放送衛星自体の問題その他いろいろ検討を始めておられるということですが、まず何といっても放送衛星そのものが安定するといいますか、信頼できるものでなければならぬ、これは絶対の条件だと思うのですね。同時にほかにも、会長もちょっとおっしゃたのですが、放送内容の問題、難視聴との関係の問題もありますし、それからハイビジョンその他の問題もあります。そういった問題もやはり同時に詰めていく必要があるんじゃないかというふうに私は思っておるわけです。  それで、そういう問題を今後進めていく場合に、一つこれは提起をしたいと思うのですが、できるだけ議論をオープンにするといいますか、視聴者も参加できるようにしていくということが大事じゃないか、必要じゃないかというように思うのです。もちろん皆さん御承知のとおりで、昭和四十一年に開発計画がスタートして以来二十年で六百億を超えていますか、それだけの費用もつぎ込まれておるわけですね。これはもちろん受信料でそういうことが行われておるわけですから、視聴者の中でも、当初NHK予算でこういう難視聴解消のために放送衛星を打ち上げるのだという審議をいたしまして、それはいいということでスタートもしてきているのですが、これだけ本放送がおくれますと、一体どうなっているのだろうという疑問、これはだんだん膨らんでくるわけですね。ですからやはり視聴者にもそういう意味でもっとよく知らせていく必要があるし、発言し参加する機会といいますか、こういうものもつくっていくという構えが大事ではないかというように思うわけです。  それで、具体的には、私がぜひともお願いしたいと思っておりますのは放送衛星委員会です。これは我々のいろいろな委員会についての一貫した主張なんですが、原則公開制ということでやられるべきである。少なくとも論議のポイントは視聴者にもわかるように絶えず明らかにしていただきたい。これが一つです。  それから二つ目には、国会にも必要な資料をもっと提出してもらえないだろうか、逓信委員会でももっと詰めた議論ができるようにしていく必要があるんじゃないかということです。  それからさらに、視聴者会議その他でも皆関心を持ち心配もしているわけですから、議論のテーマにする、あるいはアンケート調査をよくNHKはやられるわけですが、衛星放送に絞ったそういうアンケートなどもやっていただいたらいいんじゃないかというように思うわけです。  それからもう一つ、最後に、放送衛星の問題自身を番組でも取り上げてはどうかということも提案したいのです。やはり言っておりますようにいろいろ疑問、関心をずっと持っているわけですから、番組を通じて現状はどうなっているというようなことも視聴者説明する責任もあるだろうと思うのです。あるいはそこで議論もしていくというような、先日テレビ報道をめぐっての特別番組NHKはやられましたけれども、そういう番組にして、やはり視聴者によくわかるし、またいい意見も吸い取れるといいますか、そういうこともぜひ考えていただいたらいいのではないかと思うわけですが、その点いかがでしょうか。
  187. 林乙也

    林参考人 NHK放送衛星計画に関する委員会の設置の趣旨の一つには、私どもの直接の当事者だけでは、とかく従来の経営にとらわれ、あるいは非常に狭い視野の論議の中でいろいろ検討されるというようなこともありましたことにかんがみまして、忌憚のない第三者あるいは部外の方の御意見を広くざっくばらんなところをいただきたいということで、そこに委員会を設けました一つの趣旨もあるわけでございます。その際に、委員の方だけでなしにこの関係につきましての専門家の方にもいろいろヒアリングをしながら進めていこうということでやっておりまして、その外部スピーカーからのヒアリングをめぐりまして、委員との間にあるいは私どもNHKの担当者との間にいろいろなざっくばらんな意見を交わして進めていくという形をとっておりまして、この運営の際にどのような外部への説明をいたすべきかということで委員会にもお諮りいたしたわけでございますけれども、個々の論議の一つ一つにつきましては、やはりざっくばらんにお互いに検討していくという建前から公開を前提とするということについては問題があるのではなかろうか。ただ、やはりどういうような形で進められているかというようなことについては、新聞報道などに対しましても十分外部の方からも御理解いただけるように措置をしてまいりたいということで、委員会の方でそのようにお取り決めをいただいておるところでございます。私どもといたしましては、その取り決めをいただきまして措置いたしておるわけでございますが、国会の関係の先生方にもまた必要な点については十分御説明をしてまいりたいと考えております。  それから、BS2bに関してのアンケートの点についてお話がございましたが、私ども自身といたしましても放送衛星開発の成果を積極的に国民の方々に還元して行く際に、視聴者の方々が衛星放送に対してどのような希望、需要を持っておられるか、またどのような放送サービスをすることによって衛星放送の普及発達につなげることができるかということを、実際に番組を見ていただきながらの意向調査あるいは需要調査というものをこの際改めて本腰を入れてやっていきたいと考えておりまして、BS2bによる二チャンネル放送開始とあわせてそういった調査などにも積極的に取り組んでまいりたいというように考えておるわけでございます。またBS2bによる二チャンネル放送を開始するに当たりましては、衛星放送の趣旨あるいは番組等の紹介につきまして放送の面でも積極的に御紹介をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  188. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私が申し上げた一つのポイントは視聴者ですね。多くの視聴者の方が疑問を持ったりしておられるわけですから、そこをひとつ重視して考えていただきたいということであります。  きょうは余り時間がありませんので一、二あとお聞きしようと思います。  一つは放送内容といいますか放送番組の問題です。これもいろいろ議論があるわけですが、基本的な構え方ですね。これまでの御説明では、総合、教育、衛星第1、第2というのがありますね。それぞれについて再放送分などを除いては基本的に地上と同じものを流す、それ以外の時間帯で独自のものを出していくんだ、こういう説明でありました。しかし、同時に、最近そういうやり方ではなくて、地上波のものは圧縮して一チャンネルにしてしまう、もう一チャンネルはフリーにしてそこで独自番組チャンネルにしていくんだ、そういう構想も出ていると聞いているんですね。そうなりますと、かなりこれまた新たな議論になってくるということになると思うのですが、そのあたりはどうなんでしょうか。
  189. 林乙也

    林参考人 放送衛星計画の目的の一つに難視聴解消の対策があるわけでございます。この点につきましては、従来四十二万世帯というように把握されておりました難視聴地域内におきます世帯の受信実態の調査の結果、現実には約十万の方々が必ずしも良質な品位で受信していないというように、いわゆる難視聴の実態が四十二万世帯から十万世帯というようなことになっておることが明らかになってまいりました。また、本来、放送衛星開発の成果というものを積極的に国民に還元してまいりますためには、何よりもまず受信の普及を図っていかなければならないというようなことが考えられておるわけでございます。  そういった中で、BS2b及び3へ向けての放送サービスというものがどのようなものでなければならないかということをNHKといたしましても積極的に検討してまいっておりまして、その一つの考え方といたしましては、地上放送番組とともに放送衛星の特徴を生かした独自の番組というものを編成していくことが必要ではないか、また、衛星放送計画の趣旨にも沿うことになるのではないかと考えております。それを視聴者の方々にどのようにはっきりした形で御理解いただくかということといたしましては、一つのチャンネルにいわゆる衛星放送番組を集約的に放送していくということがやはり一番わかりやすく、かつ御理解いただく上でもよろしいのではないかと私ども考えておるわけでございますけれども、これらの点につきましては郵政当局の方とも十分お話をいたしました上で具体的に取り組んでいくということにいたしたいと考えております。
  190. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の問題、もっと詰めたい問題があるのですが、ちょっと先へ行きます。  ハイビジョンの問題が実際上普及上の問題として私は大きいだろうと思うのです。NHKとしてはハイビジョンをやりたいということはあるわけです。あるわけですが、ともかく放送受信のためにはパラボラアンテナとチューナーで現在でも三十万ぐらいかかるということなんですね。それだけの三十万円の費用を出してそういう受信施設を整えても、今度ハイビジョンの放送となりますと、今までの受像機では見れない、新しい受像機が必要だ、これはまた高いわけですよ、ということになりますね。ですから、現在受信設備を整えた方も、ハイビジョンでいくということになった場合にはさらに経費が必要である。莫大な国民負担になっていくという問題があるわけです。そういう経済的な問題と同時に、白黒、カラー移行の場合と違って互換性がないという問題ですね。つまり従来型の受像機では見ることができないということになるわけですから、そのあたりは大変難しかろうという気がするのですね。ですから、ハイビジョン移行といいますか、これはなかなか難しいということもあって、八方ふさがりだという議論も実はあるんだというふうにも聞いているのですね。このハイビジョンの問題ではどう考えておられるのか。必ずしもBS3段階からではないというような御説明もこれまでありましたけれども、どの程度検討は進んでいるのか、簡潔に。
  191. 中村有光

    中村参考人 お答えいたします。  ハイビジョンにつきましては、番組をつくるために必要な機械開発等をほぼ終わった段階でありますし、また電波、衛星から一チャンネル放送できます方式というものも技術的な見通しが得られた状況にございます。これからは、国際的にもこの規格を統一するために努力をしてまいりたいと思いますし、また今先生御指摘の受信機の問題ということにつきましても低廉化を図っていきたいと考えておりますし、また出しますハイビジョンの番組のソフトというものについても開発を続けてまいりたいというふうに思っております。  今後は、BS2の段階で技術的な実験というものを深夜行いながらBS3の段階ということで実用を目指したいというふうに考えております。
  192. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 あとは費用分担の問題とかお聞きしたかったのですが、もう一つ別の問題、受信障害の問題でお聞きしたいと思いまして、建設省にも来ていただいていますので、そちらに進めます。  いわゆる都市再開発が進みましてどんどんビルが建っていく、簡単に申し上げますと。そうしますと難視聴地域が広がるということがあるわけです。現に、いただきました資料でも、毎年四十五万世帯以上が新たな難視聴地域になっている。それはそれなりに解決もされていっているのですが、積み残しもありまして、積み残されている世帯が六十六万世帯あるということなんですね。だからこの対策は非常に重要だと思うのです。  これはまず郵政省にお聞きしますが、郵政省としては昭和五十一年三月六日付の通達「高層建築物による受信障害解消についての指導要領」で対処しておられると思うのですが、そのとおりでしょうか。
  193. 森島展一

    森島政府委員 先生おっしゃいますとおり、昭和五十一年の通達で原因者負担の原則ということで、この原則に基づいて当事者間協議によって解消をということで指導いたしております。大部分の障害はこれで解消しておるところでございます。
  194. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 建設省にお聞きします。  建設省は、昭和五十四年十月十二日に「公共施設の設置に起因するテレビジョン電波受信障害により生ずる損害等に係る費用負担について」という事務次官通達を出しておられるわけですね。この中で、共同受信施設の維持管理費費用負担は二十年とするというようになっておるわけですが、この根拠はどういうことでしょうか。
  195. 角地徳久

    ○角地説明員 御説明申し上げます。  公共施設の設置に起因してテレビジョン電波受信障害が発生いたしまして、社会生活上受忍すべき範囲を超える損害等が生ずると認められる場合につきましては、先生お話しの建設事務次官通達に基づきまして、当該損害額をてん補するために必要な費用を企業者が負担するということにしてございます。  その範囲でございますが、共同受信施設の設置により電波障害の改善を行う場合につきましては、受信アンテナ等の設置費、それから二十年の共同受信施設の維持管理費及び諸経費を負担するということにしておるわけでございます。  維持管理費負担を二十年といたしましたのは、電波障害に対します対応の仕方といたしましては、送信施設の改善によるものと受信施設の改善によるものと双方の側からの対応があるわけでございます。例えば都市内の土地の高度利用というようなものが一般化した段階では、それに応じた放送サイドでの技術的対応が必要になるなどのことも考えられるわけでございますので、電波障害に対する対応につきましては、公共事業の企業者のみが全面的な責任を負うものではなく、あくまで現在生じている受信障害を除去するため、暫定的な措置として費用負担をしているものでございます。したがいまして、維持管理費負担につきましては、学識経験者等の御意見も伺いまして二十年間というふうにしたものでございます。
  196. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 難視聴地域が広がるというのはNHKの方も大いに関係をしてくるわけですが、今の説明でもなぜ二十年かという説明は結局ないわけですよ。私は、二十年たてば何らかの理由で受信障害が消えてなくなるというようなことは現在のところではあり得ないと思うのです。もっとも、どんどんビル建設が進んで、あるいは該当地域にCATVが普及していくというようなことはあり得るかもしれませんし、もう一つの仮定では、衛星放送が普及してほとんどの地域が衛星放送を受信しているということになればビル受信障害はなくなってくるわけですが、それはいずれも仮定の話でありまして、前もって二十年で打ち切っちゃうというのは不当であるというふうに思うわけです。二十年たった段階で、そのときの状況を見てまた検討するということであればいいわけですし、多くのところの協定書ではそうなっているのですね。いろいろな場合の協定書を私も持っておりますけれども、技術の発展によって必要がなくなればまた別だという協定になっている。そういうことであればいいわけですが、二十年と限定してやっておられるのは納得がいかぬと思うのです。  時間が来ましたので、これは郵政省に対する最後の質問にします。つまり、郵政省が五十一年に出された通達では年限は切っておらないわけですね。ここに現物もありますけれども、年限を切ったものではありません。しかし、その後建設の通達で、これは主に公共建設事業に係る建築物という限定がついているのですが、二十年というのが出ました。その結果、それ以降自治体とか公共建物だけでなくて、年限を切るというやり方が今民間にまで広がりつつあるのです。ですから、本来電波の主管庁は郵政省で、郵政省の通達では年限を切るような指導はしていないにもかかわらず、建設の通達で二十年というのがひとり歩きし始めている状況がある。私は、これは非常に遺憾な状態である、国民の利益からいって非常によろしくないというふうに思うわけです。この点、二十年と前提を決めてかかるのではなくて、やはり障害がある限りは解決しなければならぬわけですから、そういうことで郵政省の通達の観点で今後とも全体が進むようにしてもらいたいということであります。そういう点で郵政省の御意見をお聞きしたい。
  197. 森島展一

    森島政府委員 先ほど申し上げましたとおり、今後とも原因者負担の原則ということで、その経費の負担の実際のあり方について建築主と地域住民との協議によって決めていただく、こういう方針でございますが、建設省におきまして次官通達で、受信障害に対する一つの補償方式といいますか、費用分担方式として渡し切り方式ということをとられたのも、これも一つの方法であるというふうには考えております。
  198. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これで終わりますが、今申し上げたように、勝手に年限を切るというようなことじゃなくて、障害がある限りは、この解決に原因者責任で当たっていっていただくということを重ねて強調して、終わります。
  199. 深谷隆司

    深谷委員長 以上で本件に対する質疑は終局いたしました。     ─────────────
  200. 深谷隆司

    深谷委員長 これより本件について討論に入るのであますが、討論の申し出もありませんので、採決をいたします。  日本放送協会昭和五十八年度財産目録貸借対照表及び損益計算書について採決をいたします。  本件について異議がないと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 深谷隆司

    深谷委員長 起立総員。よって、本件は異議がないものと決しました。  なお、ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 深谷隆司

    深谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  203. 深谷隆司

    深谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十一分散会      ────◇─────