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1986-11-20 第107回国会 衆議院 地方行政委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十日(木曜日)     午後六時開議  出席委員    委員長 石橋 一弥君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君    理事 野呂 昭彦君 理事 安田 修三君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石渡 照久君    魚住 汎英君       臼井日出男君    江口 一雄君       金子 一義君    北村 直人君       熊谷  弘君    熊川 次男君       鈴木 恒夫君    竹中 修一君       中山 利生君    古屋  亨君       松田 九郎君    五十嵐広三君       加藤 万吉君    左近 正男君       佐藤 敬治君    山下八洲夫君       小谷 輝二君    宮地 正介君       安藤  巖君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     葉梨 信行君  出席政府委員         警察庁刑事局長 仁平 圀雄君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁警備局長 三島健二郎君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         自治政務次官  渡辺 省一君         自治大臣官房審         議官      渡辺  功君         自治省行政局選         挙部長     小笠原臣也君         自治省財政局長 矢野浩一郎君         自治省税務局長 津田  正君         消防庁長官   関根 則之君   委員外出席者         経済企画庁調整         局財政金融課長 大塚  功君         国土庁土地局地         価調査課長   森   悠君         法務省民事局第         三課長     田中 康久君         大蔵大臣官房参         事官      森田  衞君         大蔵大臣官房企         画官      杉井  孝君         大蔵省主計局主         計官      武藤 敏郎君         厚生省保険局国         民健康保険課長 加納 正弘君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 委員の異動 十一月二十日  辞任         補欠選任   染谷  誠君     臼井日出男君   竹下  登君     熊谷  弘君   竹中 修一君     熊川 次男君   友納 武人君     江口 一雄君   柴田 睦夫君     安藤  巖君 同日  辞任         補欠選任   臼井日出男君     染谷  誠君   江口 一雄君     友納 武人君   熊谷  弘君     竹下  登君   熊川 次男君     竹中 修一君   安藤  巖君     柴田 睦夫君     ───────────── 十一月十四日  地方自治法の一部を改正する法律案内閣提出第一五号) 同日  ボーリング場娯楽施設利用税撤廃に関する請願小泉純一郎紹介)(第一一二四号)  同(田名部匡省紹介)(第一一二五号)  同(玉沢徳一郎紹介)(第一一二六号)  同(藤尾正行紹介)(第一一二七号) 同月十七日  ボーリング場娯楽施設利用税撤廃に関する請願佐藤一郎紹介)(第一一六八号)  地方財政の確立に関する請願村上弘紹介)(第一二一四号) 同月十八日  ボーリング場娯楽施設利用税撤廃に関する請願中西啓介紹介)(第一三九九号)  同(堀之内久男紹介)(第一四〇〇号)  同(宮下創平紹介)(第一四四二号) 同月十九日  ボーリング場娯楽施設利用税撤廃に関する請願愛知和男紹介)(第一四九六号)  同(大西正男紹介)(第一四九七号)  同(浜田卓二郎紹介)(第一四九八号)  同(武藤嘉文紹介)(第一四九九号)  同(相沢英之紹介)(第一五六二号)  同(小川元紹介)(第一五六三号)  同(田邉國男紹介)(第一五六四号)  同(松永光紹介)(第一五六五号) 同月二十日  ボーリング場娯楽施設利用税撤廃に関する請願(自見庄三郎君紹介)(第一七三五号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  地方交付税法等の一部を改正する法律案内閣提出第二一号)      ────◇─────
  2. 石橋一弥

    石橋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 最初に、最近税制改革問題が大変問題になっておりますので、政府税調答申、それから自民党山中税調議論税制改革に対する論議が大変いろいろ華やかといいましょうか、あるいは来年の税制改革に向かって各党とも真剣な討論がなされております。せんだって新聞に、減税財源に対する個別増税の拡大ということで、大蔵省自治省がそれぞれリストを出されていらっしゃいます。当然自治省としては、この税制改革地方財政に大変な影響を持つものでありますから、関心があると同時に、単なる関心だけではなくして、これに対する自治省側一つスタンスといいましょうか、あるいは基本的な対応といいましょうか、これがなくてはいけないと私は思っているわけです。当然のことですが、財政当局を預かるそれぞれの局長あるいは大臣のサイドでも、部内討議あるいはそれに向かっての対応策がとられていると思うのです。どうでしょうか、今度の税制改正、言うところの四兆五千億に上る減税、片方の、まだ出ておりませんけれども大型消費税の導入、それに伴いましてリンクすべき交付税減額あるいは地方財源の増減、それぞれがあろうかと思うのですが、自治省としては基本的にこれにどういう対応をされようとしているのか、まずその視点をお聞きしたいと思います。
  4. 津田正

    津田政府委員 お答えいたします。  昨年の九月、内閣総理大臣より政府税調に対して、税制抜本的改革抜本的見直し、こういうような諮問を行いまして、先月末に答申が出たわけでございます。その趣旨は、御承知のとおり、公平、公正、活力、選択さらには国際化等の問題も含めまして、そういうような理念に基づき、現在のシャウプ税制で戦後税制が立てられて以来の社会経済情勢の変化に対応した、ゆがみあるいはひずみの是正、こういうような観点答申が出されておるわけでございます。  そういうような税制におきますひずみ、ゆがみ是正、それぞれの問題点指摘あるいは是正策というものが出されているわけでございますが、その答申対応いたしまして、現在政府部内におきまして具体案というものを検討しておる段階でございます。そういう意味で、政府案というものについてまだ確定しておるわけではございません。ただ、そのときの考え方としまして、政府税調答申に沿ったひずみ、ゆがみ是正というような税制上の考え方同時に、現在の財政事情等に照らして所要の財源措置については税収中立性の中で処理しなければならない、こういう方向で進んでおるわけでございます。  税制調査会におきましては、審議の過程におきまして種々の減税案あるいは増税案というものが検討され、その検討を進める一つの手段としまして、仮の計算でこの程度こういうもので減税し、この程度財源補てんをするというようなものが出されておるわけでございます。幾つかの案が出されておるわけでございますが、よく新聞紙上等で取り上げられておりますのは、所得課税で二兆七千億円、それから法人課税で一兆八千億円、これに対応する新間接税あるいは利子配当等非課税措置見直し、こういうような一つの仮の案ということで検討された経緯もございまして、これが新聞紙上出ております。  仮に、今申しました所得課税二兆七千億というような場合には、おおむね所得税で二兆弱、それから個人住民税で七千億強、大ざっぱな見当でございますが、このようになるかと思います。それから、法人課税につきましては一兆八千億と言われておりますが、法人税で下げて、それに対応して法人税割が下がる。いわゆる法人税割法人税課税標準としておりますので、税率をいじらないでも、法人税自体が落ちてまいりますと法人税割が落ちる。こういうような仕組みを前提といたしますと、大体一兆五千億ぐらいが法人税の減といたしますと三千億弱ぐらいが法人税割の減になるであろう、このように考えられるわけでございます。合わせまして地方税で一兆円ということでございます。  それと同時に、法人税あるいは所得税交付税算定税目でございます。したがいまして、これら税の減税に伴いまして地方交付税への影響ということも考えられるわけでございまして、その交付税への影響をそのまま受けるとすると、やはり一兆一千億円程度交付税の落ち込み、したがいまして、地方財政にとりましては地方税で一兆円、地方交付税で一兆一千億円程度減収、これをどうするか。もともと出発点税制検討するに際しての仮の案の数字でございますが、いずれにしましても、今後税制改正を詰めていく際に、地方財政としましては地方税の問題と同時国税減収に伴います地方交付税両者を含めた減収措置というものを考えていかなければならない、税制上の仕組みあるいは財政上の仕組みを考えていかなければならない、かように存じております。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 税務局長、前の税調答申による経過あるいは中身についてはそれぞれ承知をしていますから、一兆円の減収、一兆一千億円の交付税への影響、こういうものに対して自治省としてはどういう対応をしようとしているのか、ここが聞きたいのですよ。
  6. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 税制改正考え方、すなわちシャウプ以来のゆがみ、ひずみの是正地方税制改正はもとよりその線に沿って行われなければならないということにつきまして、ただいま税務局長から申し上げたとおりでございますが、御承知のとおり仮の案、数字とは申しながら、四兆五千億というような大きな負担軽減策、これは地方財政に非常に大きな影響を及ぼすわけでございます。私どもとしては、財政的にはあくまでも税収中立性を保っていただきたい、そうすべきである、その場合においては国、地方間の実質的な税財源配分対応した税収中立性でなければならない。端的に申しますと、地方税、それから国税負担軽減減税に伴う地方交付税、この両者を含めて税財源中立性が保たれなければならない、このような考え方で基本的には臨んでおるわけでございます。  現段階におきまして、財源確保策の方の具体的な案、これはまだ煮詰まっていない段階でございますが、そういうものの煮詰まりに対応いたしまして、私どもとしては地方税財源確保に全力を挙げて努力をしてまいりたい、こういう考え方でございます。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私も細かな、現実に今どういうようなことが検討されているかということは内部的なことですから申しませんが、基本的なスタンスをどこに置くかということはきちっとしておきませんとこれからいろいろ出てくるであろう問題点対応できないと実は思っているのですよ。  私は、山中先生がおやりになっている自民党税調幾つかの問題点指摘、実は共感するところがあるのです。例えば増減税同額同時という問題。これには山中先生の方から税調に対する批判が出ていますね。それにはビジョンがない。財政再建へ向かうためのビジョンが欠けているじゃないか。それはそうですね。増減税同額でしたら、一体今までの赤字国債とかあるいは国債をどこでどういう償還をしていくんだというセンスがないわけですね。同じように自治省が、今地方団体が持っておる借金、地方債を含めまして、あるいは特別会計の借り入れも含めましてどう変えていくのかということが、この税制改革の中から一定の方向性というものが出てきませんと、単に現状で、国と地方との財源配分だけで問題を見るというのはやはり間違ってくると私は思うのです。私はそこの面については実は共感はするのです。ただ、中身については私は全く反対です、山中さんとは反対の意向を持っていますけれども。単なる増減税、しかも同時実施というこの方向だけではできないと私は思っているのですよ。  例えばどうですか、地方税でも、国税でもそうですが、仮に減税を六十三年度から実施をしまして、同額のものが、仮に税調から出る幾つかの案をもちまして六十三年度それだけの財源収入が、税収入があるでしょうか。私はないと見ているのです。減税はできますよ、六十三年四月一日から。しかし、税収の方はどうなりましょうね。  例えば現実にそれが地方税リンクをされてくる、あるいは交付税リンクをされてくる等々見ますると、今度の増税案がどういう形に出るかわかりませんけれども、仮に出している税調幾つかの案をとってみても、六十三年度、入ってくるのは六十四年の一月から入ってくるお金で、そのお金が私どもの推定では大体七千億ないし八千億ぐらいではないかというふうに見ているのです。もし所得税だけで二兆七千億をやりますと、仮に七千億入ったとしても二兆円、六十三年度に限ってみれば歳入欠陥になりますね。そうするとその二兆円を何で埋めるかということが今度は出てこなければいかぬのですね。これは建設国債でやるか赤字国債でやるか、何らかの形でやらなければだめですよ。ですから同額同時という実行はできない。したがって、最近の新聞では、自民党さんいろいろ研究されまして、初年度減税額は大体七千億ぐらいだろうという新聞報道ども出ているわけです。もしも今のような形でいくとするのであれば私はそうなると思うのです。いわゆる同額同時実施というのは不可能に近い。  同じように、もしそれが、地方税にはね返ってくる、税制改革が起きた場合には。地方税におけるような、例えば個人住民税減額になりました、今おっしゃいましたように一兆円、事業税も含めまして一兆円前後の仮に減額になりました、それを同年度同額を埋めることはできますか、どうですか。これは仮定の話で申しわけないですけれども、今の税調の、六十三年度から実施した場合、地方税はどういう歳入欠陥が出るのでしょうか。
  8. 津田正

    津田政府委員 政府段階におきましてはまだ検討中でございますので、政府税調におきます答申スタンスをまず申し上げますと、基本的に税収中立性、こういうような意見で集約されております。さらにその上に踏み込みまして、「この税収中立性の原則については、改革の全体図としてはもとより、これを具体化する各年度においても維持されるべきだとする指摘」も実はなされております。  今後私ども具体的な税制改正作業、また補てんの問題、財政問題も含めてでございますが、やはりこのような御指摘というものも留意してまいりませんと、現在の財政事情におきましては混乱を招くのではないか、そういうような留意を十分しながら対処してまいりたい、かように考えております。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 税制改革が、今度の場合は、税調答申によって当面は増減税四兆五千億前後。単にそれだけではない、将来的なものを内容的に持つがゆえに、相当慎重にしかも自治省としては対応策という具体策をある意味においては持ちながら、例えば大蔵あるいは各セクションで行われる税制審議対応される必要があると私は思うのですね。まさか腕をこまねいてなんて私言いませんよ。言いませんが、相当積極的な発言自治省側からなければ、今おっしゃったことすら確保できないと私は見ているのですよ。  さて、それでもし六十二年度から実施をするというふうに仮定しましょうか。そうしますと、六十一年度年度だけで始末をしなければならない地方税がありますね。  例えば、まずたばこ消費税、これなどはもう具体的に六十二年度予算の中で地方財政計画の中でどうするかが出てくるわけでしょう。それからいま一つは例の赤字法人の一年繰り入れ延期がありますね。これも六十一年度限りですね。そうしますと、六十二年度にもし税制改正が行われて、どんな形であれ大型消費税が出てきた場合、この六十一年度に単年度限りだと決めたこととこの新しい税制のドッキングをどうされるのか、これは具体的な問題ですよ。六十二年度にもし税制改革が出た場合に、今六十一年度、単年度であるものをどういう形で繰り込んでいくかという発言がなければ、地方税たばこ消費税が仮に二分の一ずつで下がったら千二百億欠陥ですね。それからこれは後経済企画庁に聞きますけれども赤字法人繰り入れ地方財政への影響はたしか六百八十億だったと思いますけれども交付税リンクするものが。これも六十一年度地方財政計画歳入欠陥になるわけです。これなどはどう扱われるのですか。
  10. 津田正

    津田政府委員 先生指摘のとおり、いわゆる抜本的税体系見直し、こういうような観点とまさしく御指摘たばこ消費税、あるいは赤字法人におきます法人税の特例の一年停止というような影響があるわけでございます。したがいまして、現在まず作業としましては全体像の構築、こういうようなことからやっておるわけでございますが、現実のこの十二月の予算編成等におきましては、まさしく先生指摘の問題もあわせて解決しなければならない、こういうことを認識しておりまして、税体系の全体像とともに具体的な来年度地方財政に対する措置というものを考えてまいりたい、かように思います。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 考えていきたいと思いますというのはいいんですが、もう概算要求が出ておりますね。六十二年度地方財政計画を含めて予算編成年度内に行われますか、あるいは今国会が少し延びそうですから、年度内予算編成が難しいかもしれませんけれども概算要求折衝段階では例えば今言ったような問題は、たばこ消費税の問題ないしは赤字法人繰り入れの問題はどういうふうに大蔵省と接触されているのですか。
  12. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 明年度予算編成の大詰めの時期を間近に控えまして、私どもの方といたしましても、明年度地方財政収支見通しを立てて、そのもとで明年度地方財政の運営に支障のないような方策を講じなければならないと考えておるわけでございます。ただ収支見通しにつきましては、現段階ではまだ経済見通しなりあるいは国税税収動向等が明確でございませんので、その辺は明らかにすることはできませんが、御指摘のような昭和六十一年度補助負担率の引き下げに伴う影響の第二年度目の問題、これに伴って例に挙げられましたたばこ消費税の問題、そういった点も含めまして、これは当然に検討を進めておるところでございます。  ただ、一方では明年度の場合、先ほどから御指摘になられるような税制抜本改革という問題と実は両方一緒になって議論をしておるわけでございます。この場合において税制抜本改革とそれから昭和六十二年度における各般の措置というものをどう結びつけていくかということは、実は大変難しい問題でございます。しかも抜本改革の方につきましては、現在まだ具体的な見通しはこうだということが、それが早い時期に決まるという情勢にはなかなかございません。まだ現在論議の最中でございます。そういう意味ではそういう論議とそれから六十二年度そのものの地方財政の対策、両方を含めまして一気にいろいろな議論を出し、結論を出していかなければならない、そういう局面が十分予想されるわけでございますが、いずれにいたしましても私どもはその両者を踏まえまして、明年度地方財政についてもちろん適切な方策を講じていきたいというつもりでございます。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 難しいと思うんです、率直に言って。難しいだけに次官、大蔵省との折衝でも、これは自治省側から相当強いアプローチをしなければ、税制抜本改正と六十二年度地方財政財源確保の問題は短期間でできませんよ。私はそれだから税制改革の問題と単年度で起きるであろう問題とを早く自治省側からアプローチをするか、ないしは税制改革分野にもその問題の提起をしていきませんと六十二年度財政計画ができませんよと、実はこう申し上げているのです。まだ結論が出た段階でどうだという詰めの話じゃありませんけれども、この視点だけは財政局長税務局長もしっかりひとつ踏まえてもらいたいと思うんですね。  大蔵省お見えになっていますが、六十一年度赤字法人繰り入れのいわゆる一年間停止に基づきまして、財政収入がたしか二千二百三十億だと思いましたけれども、もし数字に間違いがあれば訂正をいたしますが、これはリンクして法人税割に、交付税になってきますから、この見通しは間違いがございませんでしたか。どうですか。
  14. 森田衞

    森田説明員 お答えいたします。  昭和六十一年度税制改正で講じられました欠損金繰越控除の一部停止措置にかかわります改正増収でございますが、先生の御指摘のとおり初年度二千二百三十億ということになっております。  その実績見込み等でございますが、現に年度途中でございますので、まだ確かな数字は出ておらないというところでございます。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私はことしの二月の審議の折にこう申し上げたのです。六十年度赤字法人だったものが六十一年度黒字になるはずがない。それは景気の見通しから見て、主として中小企業分野にかかわる問題が多いものですから、これは黒字になるはずがない。したがって、その面からもいわゆるリンクする交付税収入の六百何十億ですかの金を見込むのは間違いではないか、こう申し上げたのですよ。年度途中ですから今のところ数字が明らかになっておりません、こうおっしゃいますが、法人税全体の収入が今少ないわけでしょう。結果として今度の交付税法改正に見られるような形での歳入欠陥が生まれたわけですね。どうなんですか、その見通し、間違いということはなかなか言いにくいのでしょうけれども、当初の見込みに対してどういう現況、あるいは見通しを持たれるかくらいのことは言えるのじゃないでしょうか。
  16. 森田衞

    森田説明員 お答えいたします。  先生指摘法人税収でございますが、六十一年度当初予算額では十二兆七千六十億で計上いたしたわけでございますが、御指摘のように昨今の経済情勢等ございまして、今般の補正予算では九千八百十億の減を出したところでございます。したがいまして補正予算額では十一兆七千二百五十億となっておるところでございますが、今後の見通しにつきましてできる限りの的確な見通しのもとに補正予算を組んだわけでございますが、これが決算となった場合にどのような形になるのかということにつきましてはなかなか見通しが難しい、しかしながら、この数字はできる限り正確に見込んだつもりでございます。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 経済企画庁、見えていますね。ことし財政計画をつくる折に、日本の経済成長率を四%ととりまして、せんだって、これまた新聞にも報道されているとおりでありますが、経済企画庁下方修正をしましたね、三・五%。どうですか、三・五%経済成長率下方修正をされたということは、今大蔵省が言っていらっしゃる、六十一年度はできる限り法人税で十二兆七千億の税収見込みをします、またそれに近いようにいたしますということは可能な経済成長方向でしょうか。
  18. 大塚功

    大塚説明員 本年度経済成長率でございますが、今先生下方修正したのかというお尋ねでございましたけれども、私どもまだそういうふうなことをやっているわけではございません。そのような報道がなされたことは承知いたしておりますが、私ども段階下方修正といった形でまとまった見通しを出しているわけではございません。  私どもといたしましては、六十一年度経済成長率につきましては、現段階ではまだ第一・四半期の実績が出たのみでございますので確たることを申し上げる段階にはないわけでございます。ただ定性的に言えますことは、内需につきましては、個人消費にいたしましても住宅投資にいたしましてもいろいろな指標から見る限り大変堅調に推移している。ただ一方、外需の方につきましては対外不均衡の是正という局面でありまして、輸出数量が停滞し輸入数量が伸びるというようなことでございますので、相当の減にならざるを得ないのかというふうな見通しでございますけれども、そういう背景がありまして、先般九月には総合経済対策を出しましたし、またつい先日その骨格となります補正予算が通過をしたということでございます。現段階ではこの総合経済対策なりあるいは補正予算なりの実施につきまして全力を投入して実施をしているという段階でございまして、また一方、公定歩合も先般下がりましたし、それから円高とか原油安に伴いますいわゆる交易条件改善効果というものがございまして、こういったものが今後内需面にも出てくるというようなことを考えておりまして、我が国経済は着実に成長するというふうに考えておる次第でございますが、その結果の数字がどうなるかということにつきましては現段階でははっきり申し上げることはできないわけでございます。  なお、税収との関係についてお尋ねがございましたけれども、私ども税収につきましてはよく承知をしておりませんが、経済成長率と直接リンクするというものではなくて、税目別に税収実績等を踏まえて積み上げて算出をしているというふうに聞いているところでございます。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ちょうど大臣もお見えになりましたから、お聞きをしておいていただきたいと思うのですが、今、経済成長率四%、下方修正したのかどうか、いや今のところは総合経済対策を立ててそれが進行中ですから答えが出ません、こういうお話でございました。そうじゃないのじゃないですか、企画庁さん。ことしの六月段階経済企画庁は、今年度経済見通しの上から立って下方修正をするかあるいは総合経済対策を立てなければならぬという意見をお持ちじゃなかったのですか。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕 現実には、御案内のように六月解散・総選挙ということがございましたから、これは余り表に出なかった話ですけれども、その段階でもう既に六十一年度経済見通しについては下方修正せざるを得ない、だからあそこで三兆八千億前後の総合経済対策を改めて決めて九月に、今度の補正予算ないしは交付税の関係に出ている新しい総合実施計画を確立された、これが本当のところじゃないですか。  私は、この前の二月の国会で大塚さんともここでやりとりをいたしましたね。そのときに、どう見ても民間の調査の方が正しい、当時私は三%ないしは三・五%前後じゃないかという発言をしたのですが、いや今民間投資が大変旺盛ですから多分輸出関係の多少の伸び悩みがあってもこの成長率は可能です、こうおっしゃいましたよね。そして今のお話でいきますと、今度は総合的な新しい計画を立てそれを実施に移しますからできる限り四%に近い範囲で成長率は保たれるでしょう、成長率と税収とは税目によって変わりますから、こう言いますけれども、一番大きいのは地方税関係、国もそうですが、法人税、法人事業税、非常に大きいのですね。この成長がとまれば税収の面でそれとリンクする税収の減というのは当然起きることですよ。ですから、成長率と税収とは関係ありませんという議論にはこの場合はなりません。少なくとも法人税に関する限りはならないと思うのですね。ただそこで、新しく九月で決めたいわゆる総合計画ですけれども,この総合計画の中に災害、公共事業そして地方の単独事業の八千億、繰り込まれていますね。そういうものを総合してみて四%に近い経済成長率を保とう、これが経済企画庁の計画ですね。間違いありませんね。
  20. 大塚功

    大塚説明員 総合経済対策を策定する際に考えましたことは、円高の進展というものが当初考えておりましたものよりもはるかに急なペースで起こったということで、これは対外不均衡の是正という点では極めて望ましいわけでございます。しかし、一方で国内経済に対して非常に抑制的効果があるということでありますので、やはりこの抑制的効果あるいは生産に対する影響というものをなるべく埋め合わせをして、それで当初考えておりました経済の姿になるべく近づける、そのためにどうすればいいかということで考えたわけでございます。  なお、九月の対策より以前におきましても、そういった円高の進行に合わせまして、四月にも公共事業等の施行促進等でございましたが対策を打ちましたし、五月にも中小企業対策を中心にいたしましてあるいは円高差益還元というようなことを中心にいたしまして対策を打ったわけでございまして、こういうことでいろいろやってまいったわけでございます。そういうことでございますが、その結果、九月の対策を策定し、それを踏まえまして現在実施面につきまして全力を投入しているということでございます。そういう考え方でやったわけでございます。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その計画によって内需を押し上げてその効果が年度間で〇・七%ぐらい出るだろう、このために内需が四・七%ぐらい、当初計画から見てGNPは上がっていくだろう、そういうものを含めて内外需合計しても三・五%前後だ、こう言われているのじゃないですか、経済企画庁では。民間の調査機関ではもっと厳しいですね。それをやっても三・五%いかない。まごまごすれば二%台ではないか、こう言われているわけですね。  さてそこで、今の総合経済対策の中には当然のことですが、先ほどちょっと御指摘しました地方の単独事業の八千億も含まれているわけですね。大臣は本会議で、八千億の単独事業は地方団体は消化可能です、こういう答弁をされておりました。これを興味深く聞いておったのですが、これは新たなる地方団体の単独事業の追加を見込んでいらっしゃるわけでしょう。経済企画庁、どうですか。
  22. 大塚功

    大塚説明員 総合経済対策の効果につきましては、地方単独事業につきましては当初に対する追加補正というふうに私ども理解をいたしておりまして、八千億につきましては当初の経済に対してその八千億に見合った経済効果を持つものと考えておるわけであります。  ただし、技術的な話になりますけれども、その中で用地費に相当するような部分は国民所得統計の計算上は除かれるというようなことになりますので、そういったものは除いて考えなければいけないと考えております。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長、今おっしゃったように八千億というのは新しい追加事業。地方財政計画では八千億はもう繰り込んでいるのじゃないですか。八千億は繰り込まれておって、地方単独事業は全部で幾らですかね、八兆何千億ですか、今ここで数字を拾うことはちょっとできませんけれども、繰り込まれておるものと新しい追加事業とは違いますよ。私は後で大臣にも聞きたいと思うのですが、新しい追加事業八千億を負担する地方団体財政が可能かどうか、これは後で引き続き議論します。  その前に、新しい地方の単独事業八千億を追加する結果、あわせて内需が四・七%増加し、全体では〇・七%GNPを押し上げるだろう、経済企画庁はそう言っているのです。違うのじゃないですか。
  24. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 今回の総合経済対策に盛り込まれました八千億の地方単独事業、これは地方団体がいわゆる九月補正及びそれ以降において、当初の、それまでの予算に対して追加をする見込み額、こういうことでございます。したがいまして、この中身については地方団体現実に追加をするわけでございますので、当初予算に比べてそれだけふえることはこれは間違いないということでございます。  ただ、それが地方財政計画との関係でどうなっておるのか、こういう御質問でございますので、その点についてお答えいたしますと、地方財政計画におきましては、既に見込んだ地方単独事業の範囲内、こういうことになるわけでございます。現実の総合経済対策では、具体的に地方公共団体がそういった補正という具体的な行動をした、その事実をつかまえて、これが景気にどう影響するか、こういうような御判断を経済企画庁の方においてはなさるもの、このように考えております。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そこで大臣にお聞きしたいのですよ。  今財政局長は、九月ないしは来年の二月の地方団体補正予算でそれぞれ事業量として八千億程度ふえていくだろう、しかし、それは地方財政計画に織り込んだものだと。恐らく経済企画庁は、八千億というのは新しい総合開発計画ですから、それは織り込んでないのですよ。プラスなのですよ。そういうとらえ方をしなければ、円高で落ちている今の日本の景気、この浮揚策が出てこないのです。  そこで、八千億を新しい追加事業としてやる場合には、当然それに伴う地方財源負担というものは裏打ちされてこなければならぬわけですね。ですから、恐らく大臣は本会議の答弁で八千億はできます、こう言ったのは、地方財政計画上はちゃんと組み込まれているわけですから、それに伴う地方財政もそうあるわけですから、これはできるでしょう。まあ、これから地方財政問題は別途しますけれども、少なくとも今までの進行ないしは今までの計画の段階ではできるのです。大臣の答弁に間違いはないのです。しかし、経済企画庁が言っているように新たな追加事業で八千億ということになりますと、さあこれはできますかどうか、大臣、どっちの観点で答弁されたのですか。
  26. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 地方財政計画とそれから現実地方公共団体の予算の追加といういわばある意味では大変技術的な問題を含んだ御質問でございますので、私よりお答えさせていただきます。  先ほど申し上げましたように、八千億円の追加見込み額に対しては改めて財源措置をしておりません。それは当初の地方財政計画において財源措置をしたということになるわけでございます。ただ、現実には、地方財政計画というのはあくまでもマクロのものでございますから、個別の地方公共団体において、その地域、地域の実情に応じて、単独事業を計上する場合に具体的には地方債といったようなものをより弾力的に活用する必要があるというような場合には、私どもの方としてはそれに積極的に対応するという意味でのいわば財政的な手当てにとどまる、このように申し上げてよろしいかと思います。  今回の総合経済対策において八千億の追加を地方公共団体が行ったということと、それからそれが本年度経済成長にどのように影響をもたらすかということと、それからもう一つはそれが既に地方財政計画の枠内ではないかということとの絡みについての結局は御質問だろうと思いますが、これは私どもの方からお答え申し上げるのが適当かどうかと存じますけれども経済企画庁の方におかれて経済成長率を計算される場合には、地方財政計画に盛り込んだ単独事業そのものの絶対値を基礎にして行われているわけではないのではないか。いわば地方公共団体の単独事業の決算上と申しますか、実績というのが従来あるわけでございます。こういう成長率を計算するのは随分以前から行われているわけでございますが、その時点からのいろいろの従来の実績がある、そういったものをかみ合わせて当初の見通しを立て、そして、その上にさらに今回の八千億を地方公共団体が追加するとすれば、それがどのように成長率に影響を与えるか、こういうような判断をされているのではなかろうか、このように考えます。
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 相当明らかになりましたが、五十三年度のときに景気浮揚策、たしか五十三年度かと思いますけれども、二千何百億か追加事業をやったことがありますね。あのときには、いわゆる単独事業として追加をしましたから当然地方債を増発する、同時にそれを交付税会計にリンクさせる、こういう措置をとられたわけです。たしか、五十三年度ですかね、年度が間違っておったら訂正します。今度八千億を今財政局長が言われたような形でやるならば、経済企画庁が考えておられるのは今の地方財政計画プラス八千億の中で経済成長率をこう見ておられるのじゃないかと言うならば、もしもその成長率を維持させようとするならば、八千億に対する地方財政財政的な裏づけというものは別途新たな視点で、しかも強力な財政負担ができるような指導なり条件が整いませんとできませんよ。これは前の、五十三年度ですか五十二年度ですか、もし間違っておったらそこは訂正しますが、そういう措置をとられたわけです。今度だってそうでしょう。そうしなければだめでしょう。ですから、私は、大臣が八千億の単独事業は可能だと言ったときに、はてな、大臣はそこを御存じかなという感じが実はしたのですよ。これは、大臣になられてまだ間がないからなかなか難しかったかもしれませんけれども。もし、経済企画庁が求められているように、数字の上でなくて、実効としても八千億を繰り込んで内需の拡大を四・七%に押し上げて、全体では〇・七%押し上げて、なおそれでも三・五%という経済成長率なんですが、とするならば、それに対する、地方単独事業に対する財政的な措置というものは相当強力にされませんと可能ではないのじゃないですか。どうですか。
  28. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 委員指摘のとおり、確かに昭和五十三年度でございます。  このときには、総合経済対策といたしまして地方単独事業について二千七百億円の追加をいたしました。この二千七百億円につきましては、主として地方債によって措置をした、あとは給与改善費の残等が地財計画の中に見込まれますので、そういうものを充てるということをしたことがございます。このときには、地方債そのものをさらに増発するという形でのいわば経済対策としての具体的措置であったわけでございます。その後、例えば昭和五十七年あるいは昭和五十八年、それから昨年の昭和六十年と、いずれも総合経済対策を行っておるわけでございますが、この段階におきましても五千億、四千五百億あるいは昨年の場合八千億というものを同じように見込んでおるわけでございますが、これらにつきましては、当初の地方財政計画の中で既に財源措置をしてあるものという考え方のもとに対応しておる、こういうことでございます。  したがいまして、御指摘の点は、さらに八千億についてそれ以上の財源措置をするならばより効果が上がるのではないかという意味では私どもわかりますけれども、今回の総合経済対策においては、財源措置そのものは当初の枠内であって、ただ、地方債の弾力的な措置、これについてはいろいろ地方公共団体からの御相談に応じてまいりこの追加措置の実効が上がるようにしたい、このように私どもの方の立場としては考えた次第でございます。
  29. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どこに問題点があるかおわかりいただいたと思うのですが、相当な地方財源の裏づけというものを考えませんとこの実効は上がらないと私は思いますから、財政局長はもうベテランですから、そういう地方財政上、弾力的な運用とおっしゃいましたけれども、実際は地方債の増発をどう考えるかということなしにはこれはできませんよ。当然のことですが、ひとつ措置をしっかりとされるように期待をしておきます。  さて大臣、今度の補正予算ですね、大蔵大臣は、今度の補正予算はやや今の景気の落ち込みに対する緊急避難的な、しかも景気浮揚策を含めた内容として公共事業ないしは災害その他行った、こう言っていらっしゃいますが、大臣も今度の補正はそういう性格のものだというように御認識ですか。
  30. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 先生おっしゃるとおりだと認識しております。
  31. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私は、もしそういう認識だとするなら将来大変問題が起きるような気がするのです。なぜかといいますと、景気浮揚のためにさまざまな今ある投資プロジェクトを全面的に解禁することになりますよ。私は、宮澤さんなりあるいは伊東政調会長がおっしゃっている今年度のこの補正予算は十八カ月予算だということに実は非常に興味を持っているのです。ということは、これは緊急避難的、しかも景気の落ち込みに対して、円高に対して公共事業を起こして浮揚させて、ところによっては地盤沈下を起こしているところに重点的な枠組みをしてやる、こういうお話、そこまではわかります。理解ができます。ただ、それでは十八カ月にならぬのですよ。それはあくまでもこの三カ月なりないしは六十一年度補正の展望しか出てこないのです。  私は、六十二年度に日本の経済動向というのは一体どうなるだろうかと見てまいりますと、六十一年度の今の下降している経済の状況がそのまま続くと見ているのです。そうしますと、六十二年度は、これは財政計画をつくるときもそうですけれども、まず六十二年度地方財政計画をつくるときの発射台が六十一年度の当初では当然だめですね、当然補正なり修正をされて発射台をつくると思うのです。さてそこで、六十二年度経済見通しに対して認識の統一をしておきませんと、今度は六十二年度地方財政計画審議するときにまた再びその議論をしなければならぬのです。というのは、私は、六十二年度経済見通しは、六十一年度の今の動向、しかもカンフル的な注射をしても三・五%前後しか伸びない、あるいは二%台に落ち込む可能性すら実は持っている。そうしますと、六十二年度に何を景気浮揚としてやるのか、どこに重点的な日本の経済の動向を持っていこうとするのかという発想のもとに六十一年度補正についてはどこに重点的に投資をする、どこに誘導的な政策の視点を持ちながらやるということがなければだめなんですよ。これは後で、今度の補正に伴うそれぞれの地方債あるいはその事業の張りつけも行ったようでありますから、その計画も聞きたいのですけれどもね。そういう発想になりませんと、六十二年度の計画が出てきません。六十二年度の日本の経済の動向はここを中心にしてぐっと上げていきますよ、そのモメントになるべき国の財政投資の誘導的効果が出てこないのです。  もし大臣がおっしゃるように、景気浮揚ですよ、当面の不況に対する対応ですよ、こういうことになりますと、あらゆるものが解禁になってしまいますよ。今それぞれが持っていらっしゃるいろいろなプロジェクト計画がありますよ。あれも景気浮揚策、これも地盤沈下に対する地場の産業の誘導の政策、したがって云々ということになって、まさに財政計画は野方図になってしまいますよ。  私は、これは前の小沢大臣にもお願いをしたのです。今や日本の財政再建という問題は棚上げをしなさい、日本の経済動向がこれだけ落ち込んでいるのですから、抑止した投資と切り詰めた行政改革だけで六十一年度から六十二年度に向かう日本の経済の動向は出ませんよと。石炭がだめになって、石油化学が代置する産業として日本にはあった。石油化学がだめになりまして、自動車と電機産業という次のハイテク産業があったわけです。今は自動車がだめでしょう。電機産業の分野は、どこの分野に公共投資を行うかによって実は次の日本の代替されるべき基幹産業になるかどうかという瀬戸際になっているのですよ。  そうなりますと、投資をする内容があれもこれも、これもあれも景気浮揚ですよ。この計画では将来的な日本の財政再建も含めて展望は出てこないのです。したがって、これは先ほどの山中さんのお話じゃございませんけれども税制改革も一定の方向性を持たなきゃだめですよ。これは先ほども言ったように僕も賛成なんです。同じように補正予算も、これは予算委員会でやることでしょうけれども、こことこことこことに重点的な配分をして、今、失業地帯で困っているところにはそういう張りつけもします、同時に、今度の補正の中でもここに重点的な投資を行うことによって日本経済は六十二年度はこうこうこういう方向性になりますよ、そういう視点がなければ、実はこの補正予算は単なる景気刺激策ないしは単なる今年度経済のつじつま合わせだけに終わってしまうのですね。  六十二年度の日本の経済の成長を仮に今年度並みに四%にしようとするならば、それこそ抜本的な投資の誘導計画あるいは政策上の転換をしなければできないと私は思っている。それの前段なんです。ですから、伊東さんもあるいは大蔵大臣の方も、本年度補正予算は十八カ月計画の中の一端です、こういう話が横っちょに、裏に出てくるのですね。大臣、私はぜひそう見てほしいと思うのです。そういう計画の中で、後でお聞きしますけれども、この事業の張りつけなども考えていただきたい、こう思うのです。いかがでしょう。
  32. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 私、おくれて参りまして大変恐縮でございました。  先生経済企画庁に対していろいろ御質問されておりますお気持ちはよくわかるなと思いながら伺っておりました。本年度の当初の経済見通しに対して景気が予想外に落ち込んでいる。その落ち込みに対しまして総合的な経済対策を九月に発表し、今般補正予算を通していただいた。そしてまた、先生がおっしゃいますように、それは今度の補正予算だけで来年度の景気の見通しがつくものではない。十八カ月予算ということを宮澤大蔵大臣が御答弁申し上げているように、その景気への下支えを持続して、さらに安定成長を続けていくような手だてが新年度予算編成において必要であろう、こういう御指摘もごもっともなことであろうと思うのでございます。  そして、先生が先ほどおっしゃいましたように、景気対策が長期を見通し、また産業構造の変化等を踏まえたものでなければならないというのは、まさにそのとおりでございまして、そのような観点から、政府は毎年度経済見通し経済運営の基本的態度を決定いたしまして、必要に応じ総合的な経済対策を定め、実施に移しているわけでございます。繰り返しになりますが、今回は九月に決定いたしました総合経済対策の中に公共投資等の拡大が掲げられたことを受けまして、景気の持続的拡大をより確かなものにするために補正予算におきまして緊急的措置を講ずることとしたものでございまして、そのように御理解願いたいと思います。  そして、特に地方単独事業につきまして、八千億追加されて、それが果たして実行できるのかという御懸念に対しましては、財政局長から御答弁申し上げましたように、個々の地方自治体が行います単独事業につきまして地方債等によって措置をいたします。地方公共団体の中には財政的に非常に困難なところもございます。それらにつきましては、それら個々の財政事情をよく聞いて対応を指導してまいりたい、こう考えているわけでございます。  それから、先生は来年度地方財政計画どうするんだ、こういうこともお触れになっておられましたけれども明年度地方財政計画につきまして申し上げますと、明年度の国の予算税制改正経済見通し等が明らかになった段階でこれらとの整合性を保って作成されるべきものでございます。  地方交付税につきましても、当然のことでございますが、税制改正の内容を織り込んだ明年度の国の当初予算計上の国税税収入見込み額を前提とした額を計上することとなろうかと存じます。  来年度につきましては、これからの対応が大事であろうということを私どもとしてもしっかりと認識しているつもりでございます。
  33. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長税務局長どちらでも御答弁いただきたいのですが、今十一月ですね。経済の成長率は今やりとりがあったとおり民間の調査機関では三%そこそこ。そうしますと、六十二年度の——税制改革がどう行われるかは少しおきましょう、従来のとおりでいくと仮定します、じゃないと論議になりませんから。地方財政計画をつくって来年度は財源不足額は出ませんか。
  34. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 明年度地方財政収支見通し作業につきましては、私どもも、もとよりいろいろな場合を想定して作業を進めておるところでございます。ただ、明年度の本当の経済見通し、つまりこれから、年度後半からの経済情勢からさらに引き続き明年度がどうなるかというような点など諸要素がわかりませんので、現在では確たることは申し上げかねるわけでございます。ただ、今回御審議をいただいておりますように、本年度国税税収が減少ということになった結果、地方交付税補てん措置をしなければならない、四千五百億円余でございます。それから一方におきましては、同じく地方の法人関係税が約五千五百億円程度、これが当初見込みを下回るという予想でございます。両方合わせますと、これで本年度地方収入として約一兆円、既に発射台で減ってくるということでございます。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕  この発射台をもとにいたしまして明年度のいろいろな場合を想定をして考えますと、例えばことし、今年度の場合には一般の収支では均衡するということで、ただ、補助負担率の変更に伴う分が地方財源不足ということになったわけでございますが、六十二年度の場合におきましては、そういった今申し上げました本年度地方税収あるいは地方交付税等の状況から考えますと、自然体で考えてまいりますれば一般の収支においても地方財源の不足が出る可能性があり得る、このように私ども考えておりますが、具体的にはそれ以上のところはまだわかりかねるというところでございます。
  35. 加藤万吉

    加藤(万)委員 十一月ですから、もうそんな一般的には不足額が出るだろうけれども具体的にはなどという話は、専門家としては少し答弁としては気に入りませんね。出るのですよ、間違いなく。出る可能性よりも、出るのですよ。今おっしゃったとおりでしょう。だって法人税関係——交付税で四千五百億ですからね。それからリンクする地方税関係五千五百億ですね。一兆円足りないですね。だから、前提に置きましたのは現行の条件でいってということを前段に置いていますから。  さてそこで、今度の交付税措置ですね。例の自治大臣大蔵大臣との覚書で特会の借り入れは原則的にやらない、こうおっしゃいましたね。覚書で決めました。私たちもいいなと思ったのです。そして今答弁がありましたように地方財政としては過不足ゼロ、ただし、補助金の一兆一千七百億円がありましたから結果的にはああいう財政状況になったわけです。どうですか、この覚書は事実上もう破棄ですか。
  36. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 昭和五十九年度地方財政対策に際しまして、それまで続けてまいりました交付税特別会計の新規の借り入れ措置を原則として廃止いたしまして、今後の地方財源措置としては、地方財源措置としての地方交付税総額の確保地方交付税法附則第三条に特例措置を定めまして、この特例措置により行うことにしたことは御指摘のとおりでございます。当時といたしましては、まさに借入金が非常に大きな額になってまいりまして、全体で十一兆を超える金額になってまいった。そういった借入金の増加をこれ以上重ねるべきでない、また全体としての考え方が歳出の抑制によって財政の立て直しを図っていくべきである等々の理由からそのような措置にしたわけでございます。  今回、昭和六十一年度におきましては、今後はそういった特例措置方式ということでございましたが、年度中途におきまして所得税法人税につきまして一兆四千億円以上もの大幅な減収が見込まれるという予期しない状況のもとにおきまして、地方財政の円滑な運営を維持するためのやむを得ざる緊急避難的な措置として特別会計の借入金により交付税の総額を確保するということにしたわけでございます。ただ、借入金の利子につきましては全額国に負担をしていただくということによりまして実質的には交付税法附則三条の特例措置と変わらないようにする、あるいは昨年度のようないわゆる特例法によって当初の額にとどめるという補てん措置、こういうものと変わらないようにしたわけでございます。昭和五十九年度におきまして行いました見直しは原則として借り入れはやらないということでございます。その意味というものは、私どもとしては経済の変動などによって財政が非常に大きく変わるというような事態が起こればそれに応じてまた必要な措置を考えなければならないけれども、そういった場合以外には新規の借り入れ措置は行わない、こういう考え方でやったわけでございます。そういう意味では、昭和五十九年度におきまして両省間で合意をいたしましたこの特例措置方式については、決してこの考え方を捨てるということではなくて、今後とも基本的にはこの考え方は維持してまいりたい。ただ、今回の場合にはまことにやむを得ざる緊急措置であった、こういう点を御理解賜りたいと存じます。
  37. 加藤万吉

    加藤(万)委員 財政局長、経過はいいですよ。それから、お互いに十年来この問題をやっているわけですから、私が言っているのは六十二年度に財源不足額が出るでしょう、そしたら特会からの借り入れはせざるを得ないんじゃないですか。したがって、五十九年度の覚書というのは事実上六十二年度予算編成の中ではもう適用できませんね。できないでしょう。財源不足額が恐らく、税法改正でどうなるか不確定要素はありますけれども、したがって前段として現行のままでいけばという前提を置いての話ですけれども、それでも一兆円超えるんじゃないでしょうか。ましてや六十一年度の発射台はもっと下げて、経済成長率その他から見て発射台を下げて地方財政需要額を出していけば、その差というのは二兆円近くなりはせぬかという心配を実は持っているわけです。それだけの財源不足が出ますと、この覚書は事実上なきに等しいですよ、六十二年度で見てみても。六十三年度はどうなるかわかりませんよ。したがって、私は、緊急避難的に六十一年度でこの措置をとりました、御了解をということは率直に言ってどうもできない。そこでうなずくわけにいかないのです。六十二年度もそうなるとするならば、六十二年度の財源不足額を見越して特会の措置というものは一体継続するのかしないのか、改めてここでそういう方向性をきちっとすべきではないかと実は思っているのです。  私はもっと極端に言えば、今度の場合の特会の借り入れ問題も、これはいいかどうかひとつ議論のあるところでしょうけれども赤字国債を発行すべきだ。もし長期的な展望に立つ安定的な景気浮揚策として本年度補正をやるとするならば、国は一般会計で埋めます、そのかわり赤字国債も発行します、そのぐらいな大胆な政策的な踏み切りがなければ、六十二年度、六十三年度に向かった日本の景気浮揚策は出てきませんよ。したがって、私は小沢大臣のときも言ったのですけれども、もはや財政再建計画、六十五年度赤字国債をゼ口にするなどという政策はおやめなさい。それよりも現実に、あのときは六十一年度審議ですから、六十一年度からこれから先を見越して、日本はこういう経済的な視点、こういう方法をとりますよ、そのために誘導的な政策としてこうこうこういうものが必要ならば当面は国債の発行をする、あるいはそういう景気誘導刺激策をとる。とった中で、先ほど経済企画庁から話があったように、今公定歩合が一番低いわけですから金を借りてもいいじゃないですか。金を借りた分でそれで景気刺激を与えて、そして財政再建の新しい方向というのを見出していく。そういう積極的な財政政策が必要だ、私はこう言っているのです。  したがって、六十一年度のこの補正予算に伴って交付税特別会計から借り入れて、そしてこれは緊急避難ですよ、単年度ですよなんていう答弁はどうも私はうなずけないのです。六十二年度だけを見てももう特会からの借り入れはせざるを得ないという状況があるならば、地方財政が別の面でうんと伸びるというふうに私は思えないのです。これは今年度も当初のときに議論しましたけれども地方税については別途例の土地関係に対する税法の改正をやりましたから、国の方の経済が落ち込んでもそっちの方で地方財政は豊かになりますから、多分つじつまが合いますよという答弁でしたよ。しかし、現実にはそれは合わないでしょう。地方税法の改正によって法人事業税なり、あるいは法人割の県民税、市民税がそれを埋めるだけの財政措置はできておりませんよね。できません。とするならば、私は、この際、特別会計からの借り入れ問題という問題を単に単年度の緊急避難なんということでごまかさないで、来年度もあるいは六十三年度に向かってもそういう措置をとるかもしれません、だがしかし、それはやがて来るであろう次の日本の景気浮揚の方向、その中で税制収入を得てやがて埋めていきますよという長期的な財政再建計画の中にこの問題が配置をされるべきだというのが私の見解なんです。そういう方向をもうとるべきじゃないですか。  私は、財政経済政策の転換を思いっ切りやりなさいという実は意見なんです。それをしませんと、当面を糊塗した政策しか出てこないのです。したがって、六十五年度赤字国債の脱却などできないじゃないですか、こう総理に詰め寄っても、それは先ほどのお話じゃありませんけれども、各大型プロジェクトが一斉に花開いてしまうものに対する歯どめぐらいにはなりますよというのが大蔵大臣の答弁ですよ。ちょっと私は無責任な答弁だなとは思いましたけれども、しかし、それはそれなりの効果はあるでしょう。しかし、もう六十二年度を見越し、六十三年度を見越し、日本の財政再建をやるとするならば、まさに国のマイナス財政シーリングのマイナスのところでとどめておくのでなくして、もっと積極的な公共事業投資、社会資本投資、一方においては行政改革も常にマイナスという財政計画の中で行うのではなくて、もっと積極策を前に出してみてそれで財政再建の展望を見ていく。私は、六十五年度赤字財政の脱却が破綻したなんという、そんな攻撃的な話をしたってこれは議論になりませんから、もっとそういう財政政策の転換をすべきだ。その見解から見ていきますならば、むしろ特別会計はこういう形で借り入れざるを得ませんでした、五十九年度の覚書は五十九年から六十年度を見越した中ではそうであったけれども、これから六十一年度のこの補正の結果を見、六十二年度経済展望を見ると、そのことは既に不可能です、可能ではありません、したがって、その上に立ってこの特別会計からの交付税の借り入れの措置をお認め願いたい、こういうのが正直な答弁じゃないでしょうかね。いかがでしょう。
  38. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 我が国の経済の現状を踏まえた財政政策のあり方をどのように考えるべきかということに関する委員のただいまの御指摘、御意見を拝聴したわけでございます。これはいろいろ議論のあるところだと思います。  いきさつを繰り返すつもりは決してございませんけれども、かつて昭和五十年代の前半におきましては、いわば当時の経済政策として積極策をとり、そのためにしきりに借り入れをふやしたわけでございます。交付税特別会計の借り入れも毎年積み重ねましたし、また、地方債の増発も行ってまいったわけでございます。ただ、その結果がやはり特別会計において非常に大きな借入金の累積となった、十一兆を越える累積となったわけでございます。しかも、一方では政策としてこういった十一兆の借金をこれから税の増収によって賄っていくというよりは、むしろいわゆる「増税なき財政再建」ということで歳出の抑制、縮減によって賄っていく、そういう路線が引かれたこととこの特例措置加算方式に切りかえたということとは、そういう意味ではまさに関連があったのではなかろうかと思います。  なお、私ども自身ももちろん財政の果たすべき役割という点については、これは十分考える必要があると思うのでございますが、しかし、そのためにさらに借入金をどんどんふやしていくということについては一方でやはり危惧を感じる、そういう意味から五十九年はああいう考え方をとったわけでございます。ただ、五十九年の特例措置と申しますのは、これはその後の実績を見てみましても、当該五十九年度においては千七百六十億円、その後六十年、六十一年においては国庫補助負担率の変更と関連をして一千億あるいは一千二百億という程度の規模のものでございます。そういう意味ではこの特例措置方式というのが、非常に大きな経済の変動によって大幅な落ち込みが生じたというような場合にはなかなかこれをもって対応はしにくいという点もあろうかと思います。  今回の場合、国の財政再建路線というものが御承知のとおりあるわけでございますが、赤字国債によってそれを賄うということが今回は非常にできにくいというような政府全体の事情もあり、その幅が非常に大きかったということもあって、いわば緊急措置としての特会借り入れを行ったわけでございます。明年度以降においてさらに財政政策をどうするか、これはもちろん、国、地方ともに基本的な歩調を合わせていかなければなりませんし、その中において歳入がどの程度見込まれるか、あるいは歳出をどのように考えていくかということはこれから方向が定まってくるわけでございます。そういった中で、私どもの方としては地方財政そのものの健全性ということもやはり頭に置きながらどういった措置を講ずるかということを考えていかなければならないと思うわけでございます。
  39. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私もあえて少し荒っぽい議論を実はしているんです。  なぜかといいますと、財政局長がおっしゃったようなことは従来のパターンの上での問題なんですよ。さて、それじゃ従来の経済政策なり財政政策の中で地方が持っている五十八兆円に及ぶ地方債ないしは特会の借り入れを含めまして、解消が可能かというと可能でないですよ。来年度を見まして、いろいろ新聞報道その他で出ていますように、僕は来年度補助金のカットはもうないだろう。一兆一千七百億円、向こう三年間補助金の問題についてはこれで触れませんという当時のやりとりでしたね。今六十二年度予算編成段階で再び二分の一以上の補助金については検討を加える、こう出ているでしょう。これはまた補助金のカットですよね。補助金か何かわかりませんけれども、とにかく二分の一以上の補助率を持っているところは再び検討してみて、そしてその財源をいま一遍公共事業投資として伸ばして、それに今度はその財源分だけ公共事業を伸ばして、それに今度は地方債を加えてくるわけですから、一兆一千七百億円のあのときの投資的経費の伸びと同じなんですよ。こういうことをやりますと、地方財政はその分をまた地方債としてかぶらなければいかぬですね。  ですから、財政局長がおっしゃったようなことをやっていっても地方債はどんどん累積していくのですよ。したがって、どこかで遮断しないとだめなんです。どこかで遮断するには、経済政策の転換か財政政策の思い切った転換をしなければその遮断ができない、できる方向が見出せない。だから、私は実はあえて少し荒っぽい議論をしているのです。それをやりませんと六十二年度以降も再び地方は、二分の一カットした分だけ事業量をふやしなさい、裏負担地方債でやりなさい、それについてはこうこうこういう財源的な措置を講じますよ。何のことはない、結果的には地方債がまた膨らんでくる、こういうことになるのですね。  そうではなくて、日本の経済政策はもうここまで来たんですから、しかも次に代替すべき基幹産業という分野がない。代替すべき基幹産業は何かといえば、これはもう内需だと言われているわけですね。内需の何が中心になるかといえば、これから起きるでありましょうソフトウエアの部面を地方公共事業の中に、あるいは施設の中に、投資の中にどう組み入れていくのか、それに伴う投資の張りつけはどう行われていくのか、それに必要な財源は、少し無理かもしれぬけれどもこの際思い切って財政的裏づけをしてみる、そして次に日本の経済が発展すべきであろう産業の視点に目を向けて全体として増収を図っていく、こういう方向がなければ、私は今言ったこの悪いリンクといいましょうか、ぐるぐる回っている状況を断ち切ることはできないと思うのです。  私、当初山中税調会長が言ったことを少し引用しましたけれども、恐らくあの発想の中にも、減税と増税が同時では日本の経済の転換はできないのじゃないか。今、国が持っている国債の発行を彼の場合には増税で別の面でやろうとしているかもしれませんけれども、私はそうでなくて、経済の新しいリズムを、条件をつくってみる、その中で国も地方もやがて今借り入れている金が減少していく、いわゆる一方における増益、増収によって得ていくという発想にならなければだめだということを実は言いたいのです。それには今度の交付税の特会の借り入れも、単なる今年度は緊急避難です、あるいは財政不足が出ましたからこれを五十九年度の覚書とは違った形で出します、こういう答弁だけではいかにも将来的な展望に対する自信と確信を地方団体に与えることはできませんよ。私はそこを言いたかったわけです。  どうでしょうかね。これから予算が編成される段階ですから、そういう方向性を見出すような、六十二年度予算編成ないしは地方財政計画の中にそういう視点を重心的に置くという発想をぜひお持ちいただきたいと私は思うのですが、いかがでしょうか。
  40. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 現在の日本の経済のこれからの動向を踏まえた経済政策がいかにあるべきか、あるいはそれに伴う財政政策をどのように考えていったらいいのか、これは大変重要な問題であり、大きな問題であろうかと思います。  率直に申しまして現在の財政というものが、そういった経済とそれから現実財政がこれまでにたどってきた歩みというものの両方の間の実はある意味では相克に悩んでいるのではないか、こういうような気もするわけでございます。端的に申しますと、先ほど申し上げましたように国家財政地方財政も結局非常に大きな借金を抱えるに至ってしまった、この点がやはり現在のような財政考え方を志向せざるを得なくなった大きな原因でございます。  もとより財政の役割というのは、単に借金を返すことだけでは決してないと思います。ただ、これからの財政をどうやっていくかということは、あくまでも国、地方の双方で基本的に考えていかなければならない問題でありまして、私からそういった点についてこの場で、そういった方向はかくあるべしという新たな発想をしていくというのは、率直に言って私自身の能力に実は余る問題ではなかろうかと考えております。  今回のこの措置につきましては、しかしまさに日本の経済がことしの場合非常に大きな予想せざる変化を遂げたということに伴って講じざるを得なくなった措置だという点は御理解を賜りたいと思うわけでございますが、これから後どうするかというような問題、これはまた明年度地方財政対策、その中における経済政策の方向、国、地方合わせた財政方向というものを十分見きわめながら対応をしていく必要があろうかと思うのでございます。
  41. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、やりとりはおわかりいただいたと思うのです。大臣、これからも日本の政治を背負ってもらう閣僚でもありますし、これから長い間日本の財政あるいは地方財政に対する責任をお持ちいただく大臣でもありますから、失礼な言い方かもしれませんけれどもこれでおしまいだという大臣と違いまして、これから背負っていただく大臣だけに、今のことはしっかりとひとつ頭の中にたたき込んでおいていただきたいと思うのです。これは小沢大臣のときにも私は言ったのです。もはや財政抑止政策の中で日本の財政再建をやることは無理ですよ。今までの六十五年度の赤字脱却などというそんなことは私はもう言いません。しかし、その枠組みを外して財政再建というものを本格的に考えてもらいませんと、これからの日本の財政はまさに今のまま雪だるま式に膨らむだけであって遮断することはできませんよ。したがって、私は大臣にお願いしたいのは、今のやりとりを通しまして六十二年度地方財政計画の編成段階でもあるいはこれからいろいろ起きるでありましよう大蔵省との折衝段階でもぜひそういうスタンスをもって財政計画をおつくりいただきたい、こうお願いしたいし、後で大臣の決意をひとつお聞きしたい。  さてそこで、今度地方交付税の減、四千五百二億、これは交付税特会の借り入れですね。それから国の補正予算に伴う追加されることになった一般公共事業、この裏負担もありますね。それから法人住民税や法人事業税減収見込み額が五千五百七十一億円と言われておりますね。それから災害復旧。それから関連公共事業に係る地方負担額も当然これはありますね。全額に近く国庫が負担するようです。しかし、地方負担が相当ありますね。税収の落ち込み、補正予算に対する一般公共の追加の裏負担交付税の特会の借り入れ、それだけ今度は地方団体財政負担がふえるわけですね。一方、先ほどの八千億の問題も含めまして収入の面では六十一年度大分落ち込んでいますね。これは六十一年度九月現在の都道府県の税収徴収実績調べを私いただきました。道府県民税で九七%、法人事業税関係では九七・三%ですね。  どうでしょうね。これだけ一方で歳入の面ではマイナス、支出の方では今言ったようないろいろな負担をせざるを得ない。そこで、先ほどの公共事業の消化が可能でしょうか。これは五十九年度決算を見なければわからないのですけれども、六十一年度の決算と物すごい乖離が起きるんじゃないでしょうか、実際の問題の事業消化については。先ほどの八千億も含めまして、この地方財政状況の中でどう処理をするのか。よほど自治省財政的な手当てというものを地方団体に目配りをしませんと不可能じゃないでしょうか。  それから、あえて加えて申し上げますならば、地方団体間の税収格差が物すごく拡大しつつありますね。これは産業構造の大きな変化が地方団体歳入に対する格差を呼び起こしているわけです。したがって、今度の補正予算に伴う事業の張りつけの問題も含めまして、よほど配慮しませんとこの事業消化ができませんね。補正予算そのものの消化ができないと僕は実は見ているのですよ。したがって、例えば福岡なら福岡県を神奈川県と比較してみまして、神奈川県の場合には、比較的産業構造としては公共産業は持っていますから可能でしょうけれども、福岡の場合には不可能に近くなってくるんじゃないでしょうか。今度の補正予算に伴う執行が、地方の公共事業、災害を含めて可能でしょうか。
  42. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 今回の補正予算に伴う公共事業費の追加につきましては、その地方負担に対しては、これは年度中途のことでございますので、その確実な消化を期するために、全額地方債をもって財源措置をいたす予定でございます。  なお、この地方債につきましては、後年度、その元利償還費については、その一定の部分を地方交付税の基準財政需要額の中に算入をしていく、このような措置をとる予定でございます。
  43. 加藤万吉

    加藤(万)委員 一兆一千七百億円の補助金をカットしたとき、投資的経費部分についての国のいろいろな財政的な手当てがございましたね。私は、そのくらい厚い措置をとられる必要があると思うのですよ。今、ある部分についてはというお話がありましたけれども、ぜひひとつそういう措置まで含めて御検討いただきたいと思うのです。でなければ消化ができないと実は私は思っているわけです。  かてて加えて、今お話ししましたように、地方減収見込み額、これも全部減収補てん債ですからね。そうなってくると、各団体、十月の補正で、ないしは二月の補正でどのくらい組むか、正直言って、さっき言ったように、決算を見てみなければわかりませんけれども、こっち側が見込んでいるほどは実は地方団体は消化できないという状況が生まれてくるのではないでしょうか。相当緻密な財政的な裏づけをしていただかないとだめだ、私はこう思うのです。  当然なことでありますが、公共事業、災害のそれぞれの事業費の張りつけは、今はもう終わったんでしょうか。
  44. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 今回の補正予算によりまして計上された災害復旧事業費あるいは一般の公共事業費、このいわゆる張りつけは、関係各省、建設省が一番大きいと思いますが、既に行われつつあるようでございます。私どもも正確にまだ情報は把握いたしておりませんが、各都道府県、公共事業でございますから都道府県が中心でございますけれども、既に臨時議会を開くところ等もございます、あるいは十二月の議会を早目にもう招集をして補正予算を提出しようというところもございます。そういった点から見ますと、張りつけはかなり進んでおるものと考えております。具体的には、各省のそれぞれの措置でございますので、どこにどういうような措置が行われているかということはちょっとまだ明確にはわかりませんが、例えば建設省あたりの方針としては、できるだけいわゆる景気の落ち込みの激しい地域に傾斜配分をする、そういう方針のもとに張りつけを行う、このように聞いておるところでございます。
  45. 加藤万吉

    加藤(万)委員 第一義的には、今おっしゃいましたように、例えば石炭、造船、鉄を含めまして失業多発地帯、そこに傾斜配分、これは第一義的にとられることだと思うのですね。それから、第二義と言ったらおかしいですが、やはり十八カ月予算の中の投資計画というものを常に頭に置いて張りつけを考慮される必要性があると思うのですね。これは私の見解でいけば、財政再建という問題は、産業構造の変革と同時に新しい視点を見出さなければできないという視点ですから、当然第二義的には、ならば公共事業のどこの分野をどう拡大することによって日本の産業はどうなっていくんだ、経済成長はどう保たれていくんだということが用意をされていかなければなりませんね。ですから、財政局長がおっしゃるように、建設省だけにお任せしようとなると、建設省の方でもそう考えておられるかもしれませんけれども、私はやりとりする場所がございませんから、相当その辺は留意をしてやりませんと、一般公共事業のプロジェクトが全部解禁になってしまって、傾斜配分のところでも、いやおれのところはこういう失業地帯になっている、おれのところはこういう産業がなくなったんだからそこの公共事業あるいは災害事業を起こしてくれと言うだけの総花的な配分になってしまうのですよ。ですから、まず第一義的に、今の不況の中で落ち込んでいる地域ないしは失業者多発地帯、こういうものに対してどういうものをやるのか。第二義的には、これから六十二年度予算の中でも編成されるであろう公共事業投資、国も地方も含めて、それを何の政策的な目的を持ってそしてどういうように張りつけを行うのか、予算化するか、その辺は、概算要求から本予算に入る段階ですから、ぜひひとつ配慮していただきたいと思うのです。  大臣、先ほどの問題等含めて、私どもの申し上げたそういう経済政策の新しい転換というものに対する御決意をひとつお聞きしたいと思います。
  46. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 先ほどから先生のいろいろな御主張を伺っておりまして、よくわかるということでございます。同時に、先ほど財政局長からも申し上げましたように、国、地方財政が大変困難な事態にある、この財政の健全化を図らなければならない、こういう二律背反的な問題を解決していかなければならない、そこに非常に難しさがあるわけでございます。  同時に、大蔵大臣がこの間補正予算審議の過程でちょっと触れておられましたように、いろいろ積極的に日本の潜在的な成長力をくみ上げてそして経済を発展させ、その経済発展によりましてまた財政の再建を図る、こういうことにつきましても、決して我々が知らないわけではないし、そういうことについて研究していないわけではございませんが、国も地方も、財政再建を第一に考えながら、いかにしてそういう日本の成長力をくみ上げる客観的な条件をつくり上げるか、それはいろいろあると思いますけれども、そこに苦心が存するところがある、こう考えるわけでございます。  いずれにしましても、先生のおっしゃいました意味はよくわかるということを申し上げておきたいと思います。
  47. 加藤万吉

    加藤(万)委員 時間がありませんから、税制改革税制問題で一つだけお願いしておきたいことがございます。  例えば水利水源税問題ですね。各地方議会でも今大変問題になっておりまして、いわゆる一般水利用者に水源ないしは水利の関係を含めて税としてこれを徴収するのはいかがなものかというので、各地方団体反対の運動が起きています。反対の議会決議などもしております。ところが、最近、建設省の方から地方議会にいろいろ圧力がかかっておりまして、一遍この利用税導入には反対だという決議をした議会が今度は賛成だという決議に変わっているというところがあるのですね。ここで指摘をしないでも、新聞がたくさんありますからおわかりになるかと思いますけれども、宮城県あたりでは、各市町村に大分そういう状況が出ているようです。これは、建設省が、せっかくおれたちが見出した財源に対してけちをつけるのか、したがって激特などの財源については今度は考えないぞという圧力をかけている、そういう動きがあるということを新聞などが報道しています。行政局長、きょうは見えませんが、行政官庁を通してそういうことは好ましい状況ではないですね。それぞれの地方議会がよしとしないものに対して、決議をしたものを再び財政的な恐喝のような形でその決議を変更させるということは余り好ましいことではないと私は思うのです。したがって、建設省との間で注意を喚起するような行動をぜひ展開していただきたい、こう思います。具体的な事例は幾つかここにありますけれども、時間がありませんから申し上げませんが、ぜひひとつそういうような指導をあるいは建設省との間に御検討をいただきたい、こう思います。  最後に、国保の問題で質問をさせていただきます。  きょう社労でようやく老健法の問題が委員会としての可決をされるという話を聞いています。実施時期は十一月末を想定してあらゆるものを取り決めしてまいりましたけれども、十一月実施というのはもう事実上困難ですね。十二月実施になった場合の国保に対する財政的な措置はどうなっていきましょうか。例えば七百四十億円で自治省で妥協といいましょうか、あるいは解決を見たお金の問題なども、十二月実施になりますと一カ月二百何十億か違ってくるわけですから変わってまいりますね。この辺はどういうふうになっていくのでしょうか。
  48. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 老人保健法の成立が、当初政府が予定いたし、考えておりました実施時期よりもおくれたことによりまして、国の方では国庫負担金、それから地方財政といいますか国保財政そのものでは本来これによって軽減さるべきところの保険料の負担が軽減されない、そういう影響が生ずるわけでございますが、御指摘のように今回の補正予算におきましては七百四十億円が計上されたところでございます。これは十一月分の一部まで含まれたという形に数字的にはなるわけでございますけれども、これが十二月実施ということになりますと、本来軽減さるべき額よりもそれでもまだ措置としては不足ではないか、こういう考え方はもとよりあろうかと存じます。  また、今回の措置は国の大変厳しい財政事情のもとで当面やむを得ないものと私ども考えておりますが、国保財政が非常に困難な状況にございます。自治省といたしましては、国保財政の今後の推移を十分注視いたしながら、市町村の国保の安定を図るために今後とも所要の補助金が確保されるよう、この点は所管省に対してさらに強く要請をしてまいりたい、このように考えておるところでございます。
  49. 加藤万吉

    加藤(万)委員 新聞では、十一月実施は事実上困難、十二月分にかかわる財政的な不足額をどうするか。今おっしゃったように当然考えているということでしょうが、例えば、世上言われているように按分比が変わってまいりますね、あるいは個人負担が千円が八百円になるとか等々の問題が出てきますね。これらも含めて、国保の財政に対する将来的な検討は行われますか。
  50. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 加入者按分比率の引き上げにつきましては、これはまさに国保財政そのものの窮状に対する措置という意味が最も大きいわけでございます。したがいまして、加入者按分率の引き上げにつきましてはいろいろ御議論があるようでございますけれども、市町村の国民健康保険財政の立場からは一日も早くこれを引き上げていただきたい、一〇〇%に上げていただきたい、それによって老人の多い国保財政負担が軽減をされるわけでございますから、私どもはぜひそうお願いいたしたいと思っております。いろいろ御議論があるようでございますけれども、私どもとしてはそのような考え方のもとに、なお現実の制度の推移を踏まえ、国保財政の状況を踏まえて、これに対応した適切な措置がとられるよう関係省に対してもさらに強く要請をしてまいるということでございます。
  51. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どういう形でこれが成立していくか今のところまだ不明確ですから、十一月実施のできないことは間違いなく何とか確定できますけれども、按分率あるいは老人の個人負担の拡大の問題等々から起きる国保財政への影響、阻害のないような措置をぜひ講じていただきたい、こう思うのです。  厚生省おいでいただいていますが、老人保健法と例の退職者医療制度の関係ですね。御案内のように、五十九年度と六十年度で二千八十億ですね。それに対する補正で千三百六十七億、差し引き七百十三億。これは先ほどの七百四十億で六月から十一月実施の面を埋め合わせる。と同時にこの面の五十九年度、六十年度の差はどうなっていくのでしょうかね。六十一年度は今言った七百四十億の特別の措置をとりましたから、これに十一月実施の分も加算をされていきますからまあまあという見方ができるでしょうが、五十九年度、六十年度の国が補正で手当てをした差額分はどうなってくるのでしょうか。私は退職者医療制度のしりぬぐいを実は老人保健法の改正案で行おうとした、お金の面でのやりとりはできるかもしれませんが、制度上のやりとりとしてそういう状況をつくり上げたことは間違いだと思っているのですよ。厚生省の方ではこの辺はどうお考えになっているのでしょうか、お聞きしておきたいと思うのです。
  52. 加納正弘

    ○加納説明員 お答えいたします。  退職者医療制度の創設に伴う国保財政への影響につきましては、今後とも市町村国保の運営の安定化を図るという見地から誠意を持って最大限の努力をいたしてまいりたいと考えております。  それから、今回の老人保健制度の改革が退職者医療制度の補てんを目的としたものではないかという趣旨の御質問でございますが、老人保健制度の改革は、現在老人医療費に対します各医療保険制度の負担が不均衡になっておりますので、この不均衡を是正する、したがいまして、公平に負担するという趣旨から改正をお願いいたしておるものでございまして、その結果として国保事業の健全な運営が図られるものというふうに考えておる次第でございます。     〔委員長退席、野呂委員長代理着席〕
  53. 加藤万吉

    加藤(万)委員 答弁としてはそれしかできないと思うのですが、政策的には極めてまずい政策のとり方をしたものだという気持ちを率直に申し上げておきたいと思うのです。  国保財政がこういう状況でありますので、国保全体の制度上の検討をさらにすべきではないか、例えば国保の基盤を府県単位まで拡大をすべきではないかという制度上の改正問題が時々出ているわけですが、厚生省の方ではこの辺は検討されているのでしょうか。  同時に、時間がありませんから、もしそういう提起、いわゆる府県単位までその財政的な基盤を拡大をするというような提起があった場合には、自治省はどういう対応をされようとしているのでしょうか。
  54. 加納正弘

    ○加納説明員 お答えいたします。  国保はほかの制度に比べまして医療費の多くかかる高齢者でありますとか保険料負担能力の低い低所得者が多く、その運営が次第に困難になってきております。このため、まず老人保健制度の改正によりまして老人医療費の負担の公平化を図りました上で、高齢化の進展でありますとかあるいは産業構造の変化などを考慮いたしつつ、将来にわたります国保財政の安定化のための方策を今後幅広く検討してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  55. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 国民健康保険の基盤が所得の低い方々を中心といたしておりますので、そういう意味では非常に苦しくなってきている。したがいまして、この市町村が保険者になっておりますところの国保を今後医療保険全体の中でどう考えていくかという問題は極めて大きい問題だと思います。  ただ、その中の一つ考え方として、市町村では区域が狭過ぎるから、これを都道府県に広げてはどうかというようなお考えが時々見受けられるわけでございますが、私どもとしては、自治省としては、この国民健康保険の保険者というのは市町村としているこの現行制度、これはやはり変更すべきではないと考えております。  理由といたしましては、被保険者の把握とかあるいは保険料や保険税の賦課というものが、これがやはり住民基本台帳とか住民税とか固定資産税とか、そういったようなものによらなければならない、これは最も市町村と密着をしておるものでございます。また市町村が行っておりますところのいろいろないわゆる保健のための事業、いわゆるヘルス事業と呼ばれておるようなもの、こういったものとの一体的な実施という観点からもやはり市町村が保険者であることが望ましいと考えられるところでございます。いわば府県単位に広げるという考え方は、何か保険は広域化の方がいいという考え方はあろうかと思いますが、結局所得の低い基盤、階層をもとにしておるわけでありますから、これを府県単位に広げるということは決して問題の解決には基本的にはならないのではないか。しかもまた、そういう府県単位ということになりますと、これは多かれ少なかれ新たな機構とか職員とかということをまた必要とすることになりますし、行政改革の趣旨という観点から見ても、こういった府県移管という考え方については私どもはやはり賛成をいたしかねるし、国保財政のあり方、国民健康保険のあり方についてはもっと広い全体的な視野からやはり考えていかなければならない問題であろう、かように思っておるところでございます。
  56. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そのとおりだと思うのですね。ぜひ新しい、広い視野で御検討いただきたいと思うのです。  特に私が心配をいたしますのは、退職者医療保険制度がああいう形になりまして、国保財政がいやが応でも窮屈になりましたから、地方団体では全部三〇から四〇%近い保険料ないしは保険税の引き上げを行いましたよね。それはほとんどの市町村と言っていいでしょう。さらに加えて、高齢化社会に向かって医療費が拡大をしますね。これはそれぞれの団体が医療費を相互に負担はいたしておりますものの、やはり何といっても国保に加入している人が一番多いわけですから、そういう面では医療費の増高に対する国保の財政的な基盤というものを相当きちんとしませんと、再び個人負担の増加、あるいは今言いましたように一番接点にある地域からその単位を上に引き上げて、何か財政的なつじつま合わせだけが先行してしまう、こういうことになりかねないわけですから、今言ったようなことはぜひそういうことにならないように、そういう視点で国保財政の健全化に向かっていっていただきたいと思います。  特に退職者医療制度については、率直に言って当時見込んだ人員と違った結果として五十九年度、六十年度、御案内のような赤字財政をしょい込んだわけです。しかもそれに対する財政的な補てんというものがしっかりされていないわけですから、そういう面も含めまして国の国保財政に対するあり方というものは、高齢化社会に向かうことを含めて改めて検討してみる。いわば国保財政が住民の即負担にならないような処置として指導される、このことが必要だと思いますので、ぜひその点はひとつ十分な御検討とそれから今後の施策をとっていただきたい、このことをお願いをしまして、私の質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
  57. 野呂昭彦

    ○野呂委員長代理 次に、宮地正介君。
  58. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは地方交付税法の一部改正案を中心といたしまして、最近の社会情勢の重要課題について何点か質問をさしていただきたいと考えております。きょうは夜なべの審議ということで,大臣以下皆様方には大変御苦労さまでございます。  まず最初に、本日の自民党税制調査会におきまして、特に正副会長会議という大事な会議のようでございますが、中曽根総理がさきの衆参同日選挙で国民に公約をいたしました大型間接税の導入はしない、またマル優の制度の廃止はしない、こういう公約に反するがごとく日本型付加価値税の線あるいはマル優制度の廃止の線、この方向がほぼ固まったような報道がされているわけでございます。  中曽根内閣の主要な閣僚の一人として、まずこの点について自治大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  59. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 さきに政府税制調査会からの答申をいただいたところでございます。国、地方を通ずる税制の抜本的な改革につきまして諸先生方に長い間御討議をいただきまして、その結果を御答申いただいたわけでございます。ただいま御答申をいただきまして、自民党税制調査会において審議中と聞きますけれども政府といたしましては、十分にそれらの議論も伺った上、政府として選挙の公約にも反さないように、しかもここ戦後四十年近く行われてまいりました税制抜本的改革という、非常に今後の経済社会の発展にとって大事な課題をしっかりと踏まえて解決のために努力をしていきたい、こう考えているわけでございます。  細目につきまして、今先生がおっしゃいましたようなことにつきましては総理から累次御答弁申し上げましたように、公約に反しないように、しかも税制改革、抜本的な改革という大事な課題をぜひ実現したい、こういう考え方でございます。
  60. 宮地正介

    ○宮地委員 どうもきょうの正副会長会議ではその内容についても相当踏み込んで議論がされておる。その議論の内容につきましても、例えば大型間接税の問題につきましても非課税品目の範囲を広くする。そういう中で、例えば大蔵省あたりは売上高一億円未満の業者を非課税とした場合、企業数では八七%の業者が非課税となるが、取引高では、大企業同士の商売がほとんどを占めるので、売上高は一〇%が非課税取引となるのにとどまる。あるいは免税事業者の範囲を五千万円未満、二千万円未満などとさらに縮小すれば、課税対象となる企業数はふえるものの税収はそれほど膨らまない。いわゆるEC型付加価値税を日本型に、税調答申の幅広く薄く、この基本理念に沿って修正した形のいわゆる大型間接税なんですね。これはまさにちょうど大平内閣のときの一般消費税(仮称)、これをさらに免税の範囲を広げた新しい日本型付加価値税の間接税なんですね。さらにマル優の廃止につきましても、課税方式について一律課税の源泉徴収方式、それももう既に二〇%、こういう税率が具体的に内容が示されてきているのです。これは大変重大な国民に対する不履行だと思うのです。自民党内にも相当反発の強い反対意見もあるようですけれども、まず四兆八千億円の減税が示され、所得税減税法人税減税、相続税減税、相続税の三千億円については山中会長はまだ承諾してない、こう報道されています。  まず減税ありき、その後にその財源としての今言った二つの、大型間接税、マル優制度廃止、それも中身がもう明確になっている。それで事実上の自民党税調の重要な議決の機関といえば正副会長会議でしょう。ここがほぼ合意を見た。こうなれば国民の目は明らかにいよいよ来年度税制改正から国民の公約と反した方向に行くのかな、こう思うのは私一人だけじゃないと思うのです。やはり中曽根内閣の重要な閣僚の一人である自治大臣としても、これは国税のみならず地方税に対しても影響のある、当然表と裏の関係の大変重要なお立場にある自治大臣でございますから、大臣としてこうした現実の動きというものに対してどういうふうにお考えになるのか。私は、これは中曽根総理は公約違反、国民をだます何物でもないのではないか、こういう感じがして非常に怒りを感じておるのですけれども大臣はどういう所見を持っていますか。
  61. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 総理がたびたび委員会の席上等で申し上げておりますように、戦後税制ゆがみ、ひずみを正し、しかも増収減収、プラス・マイナス・ゼロという原則のもとに公約を実行していきたい、こう考えているわけでございます。しかもなお具体的な検討はこれからしよう、こういう段階でございます。そのように御理解願いたいと思います。
  62. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、あなたの所見はどうなんですかと私は伺っているのです。そこをちょっとお聞かせください。
  63. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 ただいま申し上げましたように具体的な御相談はこれからするわけでございますので、今とやかく申し上げる段階ではない、こう考えるわけでございます。残念ながら……。
  64. 宮地正介

    ○宮地委員 そういうことをしていますと、また大蔵省に押し切られた税制改正案などが出される可能性があります。  そこで、本題の地方交付税法の今回の一部改正案についてですが、先ほどもお話が出ておりましたが、特に昭和五十九年度地方財政対策の見直しによりまして、昭和五十九年度以降は交付税特別会計において新たな借入金措置は原則として行わないこととされているという大蔵大臣と自治大臣の覚書があるわけですね。今回この改正に当たりまして臨時異例の措置、この得意わざがまた出てきたわけですね。自治大臣、あなた、前任の自治大臣の覚書を継承した自治大臣としてこれは約束ほごだと思うのですよ。これについて大臣として、この臨時異例の措置について国民にわかりやすく説明してほしいと思うのです。
  65. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 昭和五十九年度地方財政対策の見直しにおきまして、交付税特別会計の新規借入金措置を原則として廃止し、今後の地方財源措置としては地方交付税総額の確保地方交付税法附則第三条の特例措置によって行うことに、先生今おっしゃいましたようにしたところでございます。しかるにこの昭和六十一年度におきましては、年度途中におきまして、御存じのように所得税法人税につきまして一兆四千億円という大幅な減収が見込まれるという予期し得ない状況が出現したわけでございまして、地方財政の円滑な運営を維持するためのやむを得ざる緊急避難的な措置として交付税特別会計からの借入金により必要な交付税総額を確保することとした次第でございます。また、もう先生御存じのように、この借入金の利子につきましては、全額国が負担することとしておりまして、地方交付税法附則第三条の特例措置または昨年、昭和六十年度のように特例法によって補てんした場合と地方財政負担は実質的に変わらない、こういう状況であることを御理解いただきたいと思う次第でございます。
  66. 宮地正介

    ○宮地委員 私は、この臨時異例の措置という政府の国民に対する約束を不履行にしていくということは、これは財政運営の責任者としても猛反省してもらいたいと思うのですね。臨時異例の措置というのはもう幾らでも、悪い言葉で言えば悪用できる言葉ですよ。ましてや今回の償還方法というのは、五年の据え置きそして十年償還でしょう。昭和六十七年度から七十六年度までに償還することになる。こういうことになったら「増税なき財政再建」を掲げている中曽根内閣にとっては、私は非常に逆行しているんではないか。特に今回の補正後における公債依存率を見ましても、当初予算のときより一・二%アップしているのですね。当初予算が二〇・二%の公債依存率、今回は二一・四。こういう財政運営をしていく上において、何か政府は継ぎはぎを張っていくような、そういう感じで当面国民の目をそらして何とか乗り切っていく。一つの中長期的なビジョンの中に本当に信念を持って財政運営していこうという、そういう魂があるのか、責任感があるのか、こう疑いたくなるのですね。この点について、大臣、どういうふうにお考えになりますか。
  67. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 先ほど大臣がお答え申し上げましたように、昭和五十九年度におきましては、それまで昭和五十年代に、あるいは景気対策等のために積み重ねてまいりました交付税特別会計の借入金が大変大きな額になってしまった。十一兆円を超える巨額なものに達することになった。そういう状況を踏まえまして、しかもそういった借金を今後税収の増加によって、増収によって賄っていくという情勢にない。いわゆる歳出の抑制なり縮減によって対応していかなければならない。こういう情勢下において、こういった借入金措置は、原則としては今後していかない、借金の上積みをしない方向でいこう、こういう両省間の合意のもとにそういった改正を行い、法律に定めたわけでございます。  私ども、やはりそういった財政の積もり積もった借金というものを今後返していかなければならないという財政の厳しい状況を踏まえつつ、なおかつ一方では、地方財政の役割、日本の内政を支えていかなければならない地方財政の役割というものを踏まえながら、本年度の当初におきましても地方財政計画を立て、必要な対策を講じたわけでございます。これが予期せざる経済の変化によりまして、交付税におきまして大きな減収を伴うことになったわけでございますが、しかし、そういった当初に定めた地方財政計画考え方、これに基づいて運営を行っておるところの地方団体のその財政運営に支障が生ずることはあってはならない。そういう意味で、まことにやむを得ない緊急措置として行った次第でございます。  これによりまして、一方地方税減収補てん債の発行等の措置とあわせて、個々の地方団体の本年度財政運営に支障のないようにしよう、こういう意図を持つものであることを御理解を賜りたいと存じます。
  68. 宮地正介

    ○宮地委員 そういうようなことをしていますと、そろそろ大蔵省は来年度の公共事業の補助率をさらにカットをしよう、こういう動きが出ているようですね。  大蔵省にちょっと伺っておきたいのですが、大蔵省が最近、補助金の整理一括法で今年度から三年間固定されているこの公共事業補助金の補助率を、来年度さらに引き下げることによりまして国費を約二千五百億円削減し、その削減分を新規事業に振り向けて、今年度以上の公共事業量を確保する方針を決めている、こういうことが言われておりますが、これは事実ですか。
  69. 武藤敏郎

    武藤説明員 公共事業の補助率につきましては、ただいま先生から御指摘がありましたとおり、六十年度及び六十一年度におきまして事業費確保のために引き下げが行われたわけでございますが、六十二年度の公共事業の事業費確保のためにどうするのかということにつきましては、現在いろいろ検討しておるわけでございますが、まだ具体的なことを申し上げる段階にはございません。したがいまして、新聞に報ぜられたようなことは事実ではございません。
  70. 宮地正介

    ○宮地委員 今申し上げたような内容について検討もしておりませんか、検討しておりますか。
  71. 武藤敏郎

    武藤説明員 公共事業の事業費の確保につきましては、現在のような大変厳しい国の財政事情のもとでどういうふうにしていくかというのが現在の大きな課題であると考えております。  現下の経済情勢等を勘案いたしますと、マイナスシーリングという厳しい国費の状況の中で何とかその事業費を確保していきたい、そのための工夫をいろいろしたいということで、事務的にはいろいろ考えておるわけでございますが、具体的に今申し上げましたような、六十年度、六十一年度にとられましたような補助率の引き下げを具体的に考えておるというようなことはございません。
  72. 宮地正介

    ○宮地委員 その辺が、だんだん時がたてば見えてくるわけですけれども、もう既に、来年度は補助率が二分の一を超えるものを対象に補助率をさらに二分の一まで引き下げる、そこまで具体的な検討に入っている、そして来年度の公共事業の国費は財源難から引き続きマイナスとする方針だ、その一方で、円高による地域経済への影響を考慮して、事業量は今年度比四%増程度、約十四兆円を確保して内需拡大をしよう。既に宮澤大蔵大臣だって、来年度は積極財政にしていこう。ニューリーダーの竹下幹事長だってあるいは安倍総務会長においても、緊縮財政を破って積極財政にしていかなければならない、内需拡大をしていくにはある程度建設国債を発行していかなければならない、こういう発言がぽんぽん今出ているわけです。当然、今申し上げたような補助金のさらなる切り込み、それによっての財源を今度は内需拡大に回そうという発想は事務当局の中にあるじゃないですか。今時期的にそれがあなたの段階では正式にはコメントできないにしても、既に大蔵省は底流でやっているじゃないですか。  私が自治省に言いたいのは、一つ一つの大事な大蔵大臣との覚書が、緊急避難的とか臨時異例の措置などといっていつも切り崩されておると同じようなことが、またこの三年間の凍結された補助金の問題だって切り込まれちゃいますよ。来年の通常国会の中になって青くなったって遅いのです、大臣財政局長。私は今それを心配しているから言っているのですよ。もし大蔵省がこういったさらなる補助金カットに切り込んできたときに、大臣、体を張って食いとめますか。その決意をちょっと伺っておきたいと思います。
  73. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 補助率の問題に関しまして、マスコミからいろいろ報道されておりますのは承知しておりますが、自治省として正式に相談を受けたことはございません。  国庫補助負担率は三年間の暫定措置とされまして六十一年から実施されているわけでございますが、その旨、暫定措置という趣旨につきましては百四国会で成立を見ました補助金特例法でも規定しているところでございます。また、六十一年度予算折衝の際に大蔵、自治両省間で、今後三年間は国、地方間の財政関係を基本的に変更するような措置は講じないということを覚書で確認しております。今先生おっしゃったとおりでございまして、かなりの財源不足が見込まれます地方財政の現状にもかんがみ、仮に提案がありましても、自治省としては受け入れる考えはございません。
  74. 宮地正介

    ○宮地委員 また時間がございましたら、後ほど少し財政問題、経済問題についてお話ししたいと思います。  ここで、最近地方税の通達について納税者の間からもう少し改善をしてもらえないだろうか。現在の地方税通達制度というのは、いわゆる地方自治体を通じて通達をするというやり方ですね。これは納税者にはなかなかわかりにくい。また、納税者が税務の相談をしている税理士の先生方からも、この問題についての改善はできないものか、こういうお話が大変にあるわけでございます。この点について自治省地方税通達制の現状を改善していく考えがあるのか、あるとすればどういう方向に持っていくのがベターと考えているのか、この点についてちょっと伺っておきたいと思います。
  75. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 通達問題についてお答えを申し上げます。  地方税の賦課徴収につきましては、通達あるいは解釈実例等が数多く出されております。こうしたものにつきましては、私どもは、地方税当局、県とか市町村の税務当局がこれをよく知って適切な運営をしていただかなければならないものですから、それに通知をするわけでございますが、同時に納税者の便宜に資することも考えまして、通達実例集という形で取りまとめまして一般の方の入手の便も講ずるように公開をしているところでございます。  したがいまして、原則として公開しているわけでございますが、お話のような議論は、結局そうしたものが出た場合にできるだけ早く税理士の方々がわかるようにしてもらいたいということだろうと思います。そこで、それにつきましては、私どもの方から地方団体あてに通達を出す場合に、同時に日本税理士会連合会に対してその写しを通知するというような取り扱いをすることとしてはどうかというふうに考えて税理士会ともお話をしているところでございます。なお、今後ともよく連携をとってまいりたい、こんなふうに考えております。     〔野呂委員長代理退席、委員長着席〕
  76. 宮地正介

    ○宮地委員 今お話しのことは非常に大事な点だと思うのです。地方の自治体に実例を添えて通達するとき自治省が日本税理士会などに同内容の通達内容を提示する、これは一歩前進だと思うのです。とにかく今までは納税者に対しての地方税通達制度の公開というものに対して閲覧のシステムができないものか、いろいろ言われてきておりまして、どうも公開制を少し閉ざしているのではないかという声も大変聞こえるわけでございまして、今これは具体的に日本税理士会と詰めの検討をされておる、こう伺っておりますが、これの実行に当たっては大体いつごろをめどに検討に入っておりますか。
  77. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 公開制の点につきましてはかねてから、ここに二つばかり持っておりますけれども地方税法令通達集であるとか地方税関係通達実例集というようなものをつくっております。したがいまして、税理士さん方もこうしたものを配ってもらいたいというときに、これの料金がただの方がいいということをおっしゃっているわけじゃない、そういうことではなくて、先ほども申し上げましたようにできるだけ早くそれをわかるようにしてもらいたいということだろうというふうに考えておりまして、私どもとしましては既にそのことについて連合会と話しておりまして、そういう方向で取り運びたいということでございます。  なお、つけ加えて連携をとってまいりたいと申し上げましたのは、今後ともそういういろいろな問題が出てまいりましたときによく連絡をとって十分適切に対応してまいりたいということを申し上げたわけでございまして、そういう方向について連合会との間で話し合いができているということでございます。
  78. 宮地正介

    ○宮地委員 渡辺審議官がそういうことであれば私は一歩前進の発言だと思うのです。あなたも言葉足らずで、「地方自治体には実例を添えて通達を出している。だが、通達は複雑で、見ても簡単に理解できないので閲覧というシステムはとられていない。担当職員に質問してほしい。」なんて、こういう発言をいろいろ業界でされたことが少し反発を買っているのです。そういう点で、私は、今あなたが日本税理士会といろいろ検討をして今後日本税理士会等を通じてこの地方税の通達を積極的に進めていくというふうに考えておられることに敬意を表したい、こう思うのです。こういう問題は、いいことは早ければ早いほどいいのです。ですから、検討されてもまたこれから一年も二年も三年もじゃ困るので、ぜひその点について来年度地方税通達に間に合うように対応していただきたい、こう思いますが、この点についてだけ簡単に御答弁いただきたい。
  79. 渡辺功

    渡辺(功)政府委員 ただいま委員指摘の点は、年度改正がありますと大きな通達が必ずされますから、そのときにしかとできるようにというお話だと思いますが、通達実例は年度途中でも来ますので、そういう通達が今後行われるときにはできるだけ早い機会にそういった方向に処理ができるようにしたいということで税理士会連合会と話をしておりますので、そういうことであるというふうに御理解をいただきたいと思います。
  80. 宮地正介

    ○宮地委員 それでは、次に抵当証券の問題について少しお伺いをしてまいりたい、こう思います。  この問題につきましては、私は、本年四月十日にこの地方行政委員会におきまして、最近の低金利時代を利用して悪質な抵当証券会社がはびこってきておる、どうも金によるペーパー商法をやった豊田商事と非常に類似した抵当証券という新たなペーパー商法が今度は横行しておる、この問題についても今後社会悪にならないように、大蔵省初め関係当局はぜひ厳重に監視をし、チェックをしてほしいと警告を発しました。その中で、当時ナショナル抵当證券の問題を私が具体的にパンフを示して警告を発したのは、恐らく自治省、警察庁、大蔵省のいらっしゃる皆さんは聞いておったのを覚えていらっしゃると思うのです。ところが、このナショナル抵当證券が私の警告どおりワルになったわけなんです。この点について、当時私が警告を発したことについて、大蔵省あるいは警察庁はこの間どういうふうに取り組んでこられたのか、まず報告していただきたいと思います。
  81. 杉井孝

    ○杉井説明員 抵当証券の問題につきましては、先生指摘のように、現在抵当証券取り扱い会社が行っております取引手法というのは、抵当証券を売買するに当たりましてモーゲージ証書なり預かり証を発行いたしまして売買をしているという取引形態になっておりまして、その取引形態の関係上、一部悪質な会社が入り込む余地があるという問題点については全くおっしゃるとおりでございます。  その後先生の御指摘もございまして、法務省とも相談をしながら、私どもといたしましては、内部でいろいろ法律的な問題を含め研究を行ってきたところでございますが、先般、御案内のように法務省と共同で、投資家保護を図る観点から、法的な整備の問題も含めまして御検討いただくということで、学識経験者をメンバーといたします抵当証券研究会を設けまして、現在鋭意検討をお願いしているところでございます。
  82. 漆間英治

    ○漆間政府委員 お答えを申し上げます。  抵当証券商法につきましては、一部の悪質な業者がこの業界に参入をいたしまして、抵当証券の販売に藉口して一般の消費者に被害を与えるおそれがあると思われましたことから、警察といたしましては、消費者保護、被害防止の観点からこの商法に強い関心を持って臨んできております。  警察の摘発の状況でございますが、これまで、十月十五日に静岡県警察が静岡市所在の日証抵当証券株式会社、十月十八日には広島県警察が岡山市所在の中国抵当証券株式会社、また、十月二十七日には警視庁が千代田区所在の信組財形株式会社、さらに本日、大阪府警察が大阪市所在の千代田抵当証券株式会社を、それぞれ詐欺罪等で検挙または検挙に着手をいたしております。  警察といたしましては、今後ともこの種の事犯に対しましては、法令を多角的に活用しまして、違法行為があればこれを徹底的に検挙していきますとともに、先生がおっしゃいましたように、被害の未然防止、拡大防止のために、広く一般消費者に対しまして抵当証券商法の問題点を広報しまして啓発活動を進めていく所存でございます。
  83. 宮地正介

    ○宮地委員 四月十日に私が当委員会でこのナショナル抵当證券の問題に警告を発しまして、チラシをいろいろお見せした。そのときナショナル抵当證券の「″新しい時代″の資産づくり」「高利回り・確定利率・元金保証 少数限定!!」「七・六% 二百五十万円 二年間のお受取り額 二百八十八万円」「ドリーム」、こういうチラシを私は大変に心配して警告をしたわけです。  このナショナル抵当證券が、突如といたしましてこの十月一日に商号変更したわけです。そして株式会社丸和モーゲージという会社に変わったのですね。ところが、まずこの商号変更にも問題がある。これは、十月八日に東京法務局の港出張所に変更登記をいたしました。ところがこれは、御存じのように貸金業法の違反の疑いがある。この貸金業法八条には、二週間以内に商号変更は都道府県に届け出の義務があるのですね。ところがいまだにこの届け出がないのです。そういうことで東京都の金融課あたりでは、十月一日以降についてはこれは無届けの営業じゃないか、十一条に当たる、さらに、届け出がないということは変更届け出の義務違反じゃないか、まず一つはこういう商号変更のところから問題がある。  そして、この丸和モーゲージの親会社といいますかオーナーと言われるのにレブコ・ジャパンというのがある。この丸和モーゲージは、今申し上げた旧社名のナショナル抵当證券株式会社、港区の赤坂二丁目に所在しております。十月二十三日には事実上閉鎖状態になっておる。そして、この丸和モーゲージの親会社と言われるレブコ・ジャパンは、不動産会社、三鷹市にある。これも十月三十一日に事実上倒産しているのですね。  問題は、時間が限られておりますからきょうはその焦点を私がお示ししながらお伺いをしてまいりたいのですが、この丸和モーゲージが、レブコ・ジャパンの所有している土地が岡山市の郡というところに約五万四千二百平米、これを岡山の法務局が抵当証券、有価証券として二十八億七千万円発行しているのですね。ところがこの土地は、株式会社レブコ・ジャパンが昭和六十年七月二十九日から昭和六十一年、ことしの二月二十七日までに取得した価額は十億二千百七十五万円なんですね。それで、法務局が抵当証券として発行したのが二十八億七千万円。ところが、この十億二千百七十五万円の土地を地元の土地鑑定士が鑑定評価したのです。その鑑定評価額が何と三十五億九千五百六十九万円なんです。ことしの二月に取得したとき十億の土地が三十五億九千万円、約三倍強に鑑定している。その鑑定評価額の証明書を丸和モーゲージが持っていって岡山の法務局で申請をしたら二十八億七千万円の発行が認められた。これは明らかに鑑定評価額に水増しの問題があるのではないか、こういうことで岡山弁護士会所属の弁護士の河田英正先生がこれを綿密に調査した。そして十一月六日に東京地方裁判所にこの調査報告書を出したのです。皆さんも御存じのように、二十八億七千万円の抵当証券が岡山法務局で認められれば当然この丸和モーゲージは二十八億七千万の抵当証券の抵当権を設定いたしまして、十七億七千万円を七百四十五名の消費者に販売しているのですね。こういう事態が今起こってきている。  抵当証券の販売については、今までの形として一番問題になったのは、当初私がことしの四月に指摘したときは空売りとか二重売りとか三重売り。空売りというのは、抵当権の担保が設定されてないままにモーゲージ、預かり証をばんばん発行して売りつけるものです。二重売り、三重売りというのは、一つの担保の抵当権を二社、三社にわたってあらゆるところで二重、三重、多重売りです。そういう悪質な業者がはびこってきた。ところが今回の新手は、抵当証券、有価証券の根底の担保そのものに、今度は土地鑑定士が三倍の水増しをしたということになるとこれは大変な問題です。  まず法務省に伺います。法務省は、抵当証券を発行するときに、土地鑑定士の証書が出てきたとき、それをチェックして発行することがどの程度できますか。
  84. 田中康久

    ○田中説明員 私どもの法務局というのは、この土地がどういう価額であるかということについて、私は専門家でございませんので、私どものところでチェックするのは非常に困難でございます。そのために、この土地が本当に担保するだけの価値があるかどうかについて国家資格のあります鑑定士のつくった評価書を出していただいて、それがよほどのことがない限り、私どもの方でこれはおかしいということのチェックは不可能に近い状況にございます。
  85. 宮地正介

    ○宮地委員 ということは、土地鑑定士の鑑定した証書は信用する以外ない、こういうことですな。
  86. 田中康久

    ○田中説明員 そのとおりでございます。
  87. 宮地正介

    ○宮地委員 国土庁に伺います。  このレブコ・ジャパンが所有していた岡山市の郡所在の元材木工業団地内の土地五万四千二百平米、これを土地鑑定をしたこの土地鑑定士、これについて事情聴取をした、こういうふうに確認されておりますが、その事情聴取された内容について報告してほしい。
  88. 森田衞

    ○森説明員 丸和モーゲージの抵当証券の事件に関係いたします岡山の土地につきましては、報道等がなされまして以来、国土庁といたしましても事実関係の確認を行うべく、職員の現地への派遣でございますとか、当該不動産鑑定士からのヒアリング等を実施しておるところでございます。  ただ、現在なお調査を継続中でございまして、最終的な結論を得るに至っておりませんので、具体的内容につきましては申し上げる段階でないので御理解を賜りたいと思います。
  89. 宮地正介

    ○宮地委員 これが三倍の水増しの土地鑑定が行われたとしたら、国土庁としてはどういう制裁措置があるのですか。
  90. 森田衞

    ○森説明員 不動産の鑑定士制度と申しますのは、不動産の鑑定評価に関する法律というものに基づいて実施されておるわけでございますけれども、仮に不当な鑑定評価というものが認定されました場合には、同法に基づきまして懲戒処分というものができることになっております。  処分の内容といたしましては、当該不当な鑑定評価が故意に行われたと認められる場合には登録の消除あるいは一年以内の期間を定めての業務従事禁止、また相当な注意を怠った結果であると認められました場合には一年以内の業務従事禁止、こういう制度がございます。  本件につきましては、先ほど申しましたように、現在鋭意調査中でございます。
  91. 宮地正介

    ○宮地委員 そこで、この株式会社丸和モーゲージがいわゆるこの「お知らせ」と「御連絡」ということで消費者に通達をしているわけですね。  これはまず十月一日に突如商号の変更をしたとき、株式会社丸和モーゲージの代表取締役の楠原大輔という人ですが、これがこういう通達を出しているんですね。   今後弊社は、業界の健全な発展を目指す協会の主旨に賛同し、加盟したことにより、その自主規制にのっとり抵当証券本証書を協会に保護頂けし、審査を受けた後、協会の監査承認印の押捺された保護預かり証書をお客様にお渡しすることになりました。 と、まずこうある。これは、この文書をもらうと、あたかも現在の大手の健全な抵当証券会社が加盟している協会と間違えちゃうんですね。ところが、ここで言う全国不動産抵当証券協会というのは、自分たちがつくった二つの同じ仲間しかない協会なんです。  そして今度はいわゆる閉鎖状態になった十月の三十一日、今申し上げたいわゆる水増し鑑定評価の問題についてどう言っているか。  「御連絡(第二回)」、わかりやすく少し前半のところを省きまして、まず「弊社の資産状態」「弊社が法務局より発行をうけた抵当証券の総額は、二八億七〇〇〇万円であり、その対象となった土地は、株式会社レブコ・ジャパン所有の岡山市郡所在の元木材工業団地内の土地であります。」これは私が先ほど説明したとおり。「但し、これまでに同業二社に対して、」同業二社というのは和興抵当証券というのと大成モーゲージです。後でまた時間があれば御説明しますが、全部これは豊田商事の流れです。この「二社に対して、七億四四〇〇万円の抵当権譲渡をしておりますので、現に弊社が所有する抵当証券の総額は、二一億二六〇〇万円であります。」  「抵当権設定の対象となった土地は、以前は工業地域で地価も低かったのですが、右抵当証券発行時点までに住宅を建てることのできる準工業地域となりましたので、坪当たりの時価も一八万円程度となり、公正な鑑定評価にもとづいて、右抵当証券が発行されております。」何ら反省してない。  「なお、一部マスコミに報道されたような、水増し鑑定評価の事実は全く事実無根でありますので、この点につきましては、御心配に及ばれませんよう、お願い致します。」開き直っているのです。これは十月三十一日の閉めたときです。  そこで、先ほど申し上げた岡山弁護士会所属の弁護士の河田英正先生が、これはおかしいというので調査した。国土庁は今調査中なんておとぼけしておりますけれども、民間の弁護士の先生が自分のお金を費やして積極的に足で稼いでこれだけの調査報告書ができているのだ、国土庁。あなたのところは手足がたくさんあるのだ。今調査中だなんてとぼけたことを言っていること自体、こうした重大な問題に取り組む姿勢が弱過ぎるんだ。猛反省して早急にやってもらいたい。民間レベルで出ているのですから。  この先生の調査の内容の一部を御披露申し上げますと、特にこの「鑑定評価の異常について」、まず第一番目に「本件各土地については、担保の充分性を証する書面として鑑定書が法務局に提出されていて、右鑑定書記載の鑑定評価額は別紙価額表鑑定評価額欄記載のとおりであり、」これは三十数億のものです、「異常に高額となっている。右評価が異常であることは、右鑑定前に鑑定依頼を受けた複数の」、複数のですよ、「不動産鑑定士が高額の評価をレブコ側から期待され、」これが問題なんだ、「複数の不動産鑑定士が高額の評価をレブコ側から期待され、鑑定を辞退している事実からも明白であり、右鑑定は何らの参考にならない。」これが一つ。  それから、ここの土地は現実にもう先生方がこうやって現場へ行っているのです。足で稼いで目で見ているのです。児島湾のところにある。「本件土地は埋立地であり地盤が弱く、地盤沈下が著しく、現在は右地盤沈下の原状回復としての廃棄物の埋立が行われている状況にあり、観光・レジャー開発施設の建設には適していない。また、現在のところ全く具体的な計画は何もだされてなく、土地対策課にも何らの情報もないとのことであった。」これは県のです。その上、「この土地周辺の地盤沈下は深刻な悩みであり、児島湖締切堤防もこの影響を受けて、現在では大型車両の通行が禁止されている状況にある。」さらに、公有水面に接しているかなりの部分は、満潮時には浸水する状況にあるというのです。こういう問題の土地である。  そしてさらに、「国土利用計画法による指導はほぼ坪あたり六万円強と予想される中でこれを三倍以上も超える価額で契約が成立しうる状況がないことは明白である。なお、レブコジャパンとの交渉と併行して坪あたり五万五、〇〇〇円の話が進んでいたところからみて、坪あたり実勢価額を六万円位とみるのが妥当と思われる。」こちらはしゃあしゃあと十八万円と言っているわけです。  国土庁、もっと真剣に調査をして足を運んで——こういう重大な土地の鑑定が水増しをされていたということであれば大変な事態です。こんなことが今後日本全国で行われたら、今度は抵当証券の原券に問題が出る。この点について国土庁としてどう取り組むお考えでありますか。
  92. 森田衞

    ○森説明員 不動産鑑定法を所管し、また不動産鑑定士を監督する立場にございます私どもといたしまして、今回のような不当な鑑定評価の疑いを受けるような事件が発生しましたことは、まことに残念に思う次第でございます。こういった不動産鑑定評価制度に対します一般の信頼を確保してまいりますためにも、ただいま先生からいろいろと御指摘をいただきました点も含めまして今後十分な調査を行いまして、結果によりまして、厳正に対処してまいりたいと思います。  また、一般の不動産鑑定士に対しましても、これは従来から、不動産鑑定士あるいは業の団体でございます日本不動産鑑定協会を通じましていろいろと啓蒙してまいったところでございますけれども、これにつきましても今後より徹底をしてまいりたいと考えております。
  93. 宮地正介

    ○宮地委員 さらに大変なことが起きているのですね。それは、この土地の所有者の株式会社レブコ・ジャパンが、十月三十一日に事実上不渡りを発行して倒産した。どこに不渡りを発行したかというと、あの有名な金ペーパー商法の、六十億を集めて倒産した日本相互リースという会社なんです。これは旧三和信託です。ここの管財人が東京地裁に財産の保全の仮差し押さえの申請をしている。東京地裁が十一月七日に財産保全を決定して仮差し押さえをしたのです、日本相互リースの大川隆康という管財人の破産申し立てに対して。ということは、先ほど申し上げた七百四十五人の十七億七千万円を出した消費者は今後どうなるのかということです。  先ほど申し上げた丸和モーゲージはこういうことを言っているのですよ。「弊社がモーゲージ証書を販売いたしましたお客様の数は七四五名、販売総額は一七億七七〇〇万円であります。従いまして、モーゲージ証書の販売額は、抵当証券額の総額内のものとなっており、モーゲージ証書の二重売り、カラ売りのようなことは絶対にしておりません。」今後の弁済について、「すでに、抵当権の設定されている土地の所有者レブコ・ジャパンよりは、全ての土地を任意売却することの承諾を得ており、この売得金により、お客様各位に対して元本の一〇〇パーセント弁済を目的として努力を致したいと考えております。」  しゃあしゃあと言っているのです。十一月七日にもう差し押さえられてしまう、何が売却できますか。消費者から見れば、将来売却して返ってくると思ったその土地が、もう既に日本相互リースの破産申し立てでそこは仮差し押さえされてしまって、今度は日本相互リースと消費者の二百七十五人が争いをしなければならない。こういう実態なんですね。  警察庁、私は、こういうような一つの具体的な事例をして今国土庁に、厳重に今後の不動産鑑定士法に基づいた不動産鑑定士についての対応を追及しました。私は、こういう一連の資料をもとにして、これは明らかに詐欺罪に当たるのではないか、こういう感じがしているのですが、警察庁はこの問題について今後積極的に捜査を進めていく考えがあるかどうか、その点について伺いたいと思います。また、この丸和モーゲージについて現在捜査中であるのかどうか、その点についてもあわせて伺いたいと思います。
  94. 漆間英治

    ○漆間政府委員 お答え申し上げます。  御質問の会社につきましては、ナショナル抵当證券と称していました時代から、各種の苦情や相談が多い会社の一つでございました。その商法に問題があるのではないかということで、私ども関心を持って情報収集に当たってきたところでございます。  今日突然休業状態になっておりますけれども、これまでの営業方法全体を見まして刑罰法令に触れる行為があるのかないのかということで、必要な捜査を行うように関係警察に指示をいたしてございます。その結果刑罰法令に触れる行為があるということになりますれば、当然厳正に対処する所存でございます。
  95. 宮地正介

    ○宮地委員 法務省においても、この登記所における抵当証券の発行について、先ほどは、不動産鑑定士の鑑定証書をもとにチェックをせざるを得ない。しかし、こうした社会的なワルの一つの大きな問題点が出てきた今日、この登記所における改善について検討する余地がないのかどうか、この点についていかがでしょうか。
  96. 田中康久

    ○田中説明員 私どもも、先生が御指摘のような過大評価の鑑定書があるのではないかということについては非常に心配をしていたところでございます。ただ、私どもの能力を超える部分でございますので、私どもとしては適当な対応策がなかなかとれなかった点でございますけれども、こういう問題になりまして、今私どもの方で国土庁さんの方に、抵当証券発行の際の評価書の取り扱いについて何らかの基準的なものができないかどうか、問題が起きないような状態にならないかどうかの検討をお願いしているところでございます。そういう形で何らかの対応策がとれれば、評価の際の間違いは大部分は解消するのではないかと思っております。
  97. 宮地正介

    ○宮地委員 貸金業の法律を担当している大蔵省、投資家保護のために、こうした事件が今後とも起きないために何らかの規制立法——現行の法律で対処できるのか。難しいなら、関係省庁が額を集めて新規の規制立法をすべきではないか。きょうはお隣に片岡先生がおりますが、当衆議院物価対策特別委員会で超党派で議員立法をしてネズミ講防上のために、消費者保護のために闘った同じ仲間の一人として、私は、こうした抵当証券のワルのはびこりを規制するためにも何らかの規制立法というものが必要ではないか、こういう感じもしているのです。大蔵省として現在研究会ができているようですが、そうした方向に向かっての研究なのか。次の通常国会あたりに何らかの形のそうした新規立法の提案をするぐらいの決意で取り組んでもらいたいと思いますが、この問題についてはどう考えておりますか。
  98. 杉井孝

    ○杉井説明員 先ほどもお答えいたしましたように、現在抵当証券研究会で検討をお願いしているところでございまして、この検討を依頼した観点は、先生指摘のように投資家保護を図る観点から法的な整備が必要かどうかというところまで含めて検討をお願いしているところでございます。まだ検討の途中の段階でございますので、今後の審議状況などは具体的に申し上げる状況にございませんが、できるだけ検討を急ぎたいと考えております。
  99. 宮地正介

    ○宮地委員 こうしたペーパー商法のワルが一つ経済の状況を利用してはびこらないように、政府としてもぜひ特段の努力をしてもらいたい、私はこう思うわけでございます。特に警察庁に再度私はお伺いしておきたいと思いますが、いわゆる丸和モーゲージあるいはこのオーナー会社と言われるレブコ・ジャパン、あるいは先ほどの日本相互リース、あるいは丸和モーゲージが抵当証券を一部譲渡した和興抵当証券、大成モーゲージ、これは全部源は豊田商事の残党である。その人脈の中で、お互いの相互関係の中で組織的に行っているとも言えるワルのやり方なんです。警察庁としてはその辺の背後については十分承知していると思いますが、どうかそうした一つの流れを断ち切るための捜査努力をしていただきたい、こう思いますが、きょうは仁平刑事局長も見えておりますので、この点についてお伺いしておきたいと思います。
  100. 漆間英治

    ○漆間政府委員 ただいま御質問のような点につきましては、私どもよく承知をいたしておりまして、そういうことを念頭に置きつつ捜査を進めている段階でございます。
  101. 宮地正介

    ○宮地委員 国家公安委員長であられる自治大臣、今いろいろと具体的な事例を中心として今日の抵当証券会社の特に悪質な一つの事例、そして新手のそうした大変な悪徳商法のやり方を御説明しながら各省庁と議論してきたわけでございますが、国家公安委員長である大臣の今後の政府としての取り締まり、規制、対応、こういうものについての御所見をお伺いしておきたいと思います。
  102. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 ただいま先生の御質問を伺っておりまして、私としてもこのままにしておいてはいけないということを大変痛感したところでございます。現在の経済社会は大変複雑でございますが、この社会、経済仕組みにつきまして十分な知識を持っている方はそう多くございません。そういう弱い立場に立つ方々につけ込んで悪質な行為をしているということは許すことができないところでございまして、消費者保護の立場から何らかの規制措置を講ずる必要があろう、こう考えます。また、今先生が仰せられました岡山県の事案につきましては、保安部長からも御答弁申し上げましたように必要な措置をとっていきたいと考えております。
  103. 宮地正介

    ○宮地委員 その辺をぜひ大臣からの前向きの答弁に期待をして、この問題については今後を見守るということで一応本日のところは終わりにさせていただきたい、こう思います。  最後に、時間もあと少々でございますので、お伺いしておきたいと思います。今、連日テレビで大変にいろいろと問題になっております三原山の火山噴火の問題について、私も大変心配をしているわけでございますが、現在の状況についてまず気象庁から御報告をいただき、農作物などの被害の状況について農林水産省からお伺いをしたいと思います。
  104. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 三原山の活動状況につきまして御説明させていただきます。  御案内のように十一月十五日から活発な噴火を繰り返しておりまして、その結果、溶岩が十九日十時三十五分に内輪山を越えましてカルデラ内に流下し始めたわけでございます。この溶岩の流れは、二十日未明にはほとんど停止している状態にございます。また、噴火活動そのものも十九日二十三時ごろ急速に弱まってきております。一方、噴火とともに活発化しておりました有感地震の回数は、十九日の十四時以降極めて少なくなってきております。それから、噴煙の高度でございますが、この高度は、大島測候所からの遠望観測によりますと、十七日、一時三千メートルまで達しましたが、二十日になりますとほとんど噴煙は観測されていない状況でございます。  この間の気象状況でございますが、本日夕刻十八時の観測を含めましてほぼ良好な天気経過でございます。それから風の状況でございますが、地上を吹いております風につきましては、多少の揺らぎはございますが、平均的に東寄りの風でございます。ただ風の場合は、高さによって風の速さあるいは方向が変わりますが、千メートルあるいは二千メートル、それ以上のいわゆる高層風という風でございますが、これにつきましてはほぼ北西風が卓越しているという観測事実がございます。今後、あす、あさっての予報等によりましても天候の急変はなく良好な天候が継続する、そういうふうになっているようでございます。  以上でございます。
  105. 青木敏也

    ○青木政府委員 農作物の被害の状況につきましてお答え申し上げます。  私ども現在のところ、作物といたしましては野菜関係がキヌサヤエンドウというのがございます。それから、これは波浮を中心といたしておりますが、地元ではカンコギクと言っている観賞用の菊、それからツバキ等の花木、それからブバルデアという花等がございまして、現在のところ被害金額は合わせまして約一億八千七百万程度、こういうふうに理解をいたしてございます。
  106. 宮地正介

    ○宮地委員 消防庁はこの三原の火山噴火に対しての消防体制、これはどういうふうに今取り組んでおりますか。
  107. 関根則之

    ○関根政府委員 どうも三原山が少し様子がおかしいじゃないかという話は八月ごろからあったようでございまして、気象庁等からいろいろ連絡をいただきまして、消防体制としては八月の末の時点で現地に警戒態勢をしくように連絡をいたしておったわけでございます。それに基づきまして現地の消防は、例えば立入禁止の札等をきちんと整備をいたしましたり、あるいは非常事態があったときの避難命令を伝えるための防災無線の聞き取りの状況等のテストをやったり、そういう準備もしていたところでございます。  今回発災、噴火が始まりまして、十五日の時点で現地大島町の消防本部といたしましては、直ちに三原山噴火対策本部を設定をいたしまして、被害が生じるような状態になったときの防護態勢ないしは避難態勢等について万全を期しているところでございますし、また東京都におきましても、三原山噴火対策会議を設置いたしまして、随時関係機関が寄りまして対応策に遺憾のないようにしているところでございます。  私どもといたしましても現地へ職員三人を、十八日だったと思いますが派遣をいたしまして状況を調査をいたしておりまして、消防全体を通じまして万全の体制をとっていきたいと考えておるところでございます。
  108. 宮地正介

    ○宮地委員 三原山の噴火問題についてはどうか人命をまず優先して警察、消防、また政府としてもしっかりと対応をお願いしたいと思います。  また農作物も大変に、キヌサヤエンドウとか菊とか、野菜関係も火山灰で相当やられておるようでございますので、農水省としてもどうか万全の対策で対処していただきたいと強く要請をいたしまして、時間が参りましたので私の質問を終わります。ありがとうございました。
  109. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、岡田正勝君。
  110. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私が用意しておりました質問の大半を今までの質問で尽くされてしまいましたので、二番せんじをするのもどうかと思いますので、実は今非常に緊急な対策を急がなければならないという問題がありますので、事前通告をしておりませんけれども、常識的におわかりになることでございますので、気分を楽にひとつお答えをいただきたいと思うのであります。  今、日本というのは産業の構造不況、それへかてて加えて円高不況というダブルパンチを受けまして大変な状況になっておることは御承知のとおりであります。このことを私は一口に言うならば、乱暴かもしれませんが、昨年の九月二十二日、G5、すなわちイギリス、フランス、西ドイツ、アメリカ、日本、この五つの国の財政担当者が集まって、ドルを少し安く導こうではないかということでお互いが協調することにした。このことは、言うならば日本の政府を含めて日本の産業を寄ってたかっていじめておる、私はそういう理解をしておるのであります。  その一つの例が、私が出ております広島県のことになって恐縮でございますが、造船の問題を一つ例に取り上げてみますと、御承知のように全世界でつくられておる船の量の半分、建造船の半分は日本がつくっております。その日本全体を一〇〇といたしますと、そのうちの二〇%をつくっておるのが我が広島県でございます。したがいまして、構造不況だけだったら乗り切っていけるだけに体質改善をしておった造船業界も、円高不況で、四五%近くもばたっと上がったわけですから。ここで一つの具体的な例を申し上げてみますと、ことしの一月一日から先月の月末までに至る国際的な船の競争入札における結果、まことに惨たんたるものでありまして、タンカーも今切りかえどきに来ております。ことしだけでも二十八隻も大型タンカーのつくりかえの注文が出ました。だが韓国が二十八隻全部とりました。我が日本はゼロ隻であります。まさに二十八対ゼロ、惨たんたる状況です。  それで、その他の船を含めて一月から先月末まで六十四隻注文が出ました。これに対して韓国が六十隻、我が日本がたったの四隻です。こういう惨たんたる状況、それもそのはずですね。とにかく向こうの人件費が日本に比べて安いということをのけたとしましても、我が日本は今まで二百四十円だったものが四五%もばたっと上がったわけですから、百円で売っておった品物は五十五円でしか売れないわけですね。ですから全然コストが合いません。ところが韓国、台湾、フィリピン、シンガポール、こういうところはドルにリンクしておりますから、痛いもかゆいも一つもないわけです。全然痛手をこうむっておりません。ますます産業が発展をしていくばかりであります。それに引き比べて我が日本の産業、なかんずく造船の落ち込みというものはすさまじいものがあります。  これは一つの例でございますけれども、私の住んでおります隣の町に因島市というところがあります。人口三万とちょっとの町でありますが、島全体が一つの市です。そこに日立造船という会社の因島工場というのが存在しております。歴史は七十年間です。去年の春まで三千三百人も従業員がおったのにかかわらず、あの構造不況を何とか乗り超えてきたのに円高不況がぐぐっと出てきたものですから、現在この十一月では第一次合理化で千八百名に三千三百名が減っております。これが第二次の合理化で来月十二月の月末になったら何と二百名になるのです。去年の春三千三百おったものが来月の末には二百名になる。まさにこれは工場がなくなったのと同じじゃないでしょうか。すさまじい状況であります。  そういうことで、ちょっと余談に入るかもわかりませんが、私が大臣にぜひお心の中に入れていただきたいと思いますのは、そういう島ぐるみ、町ぐるみ、造船とミカンにしか頼っていない町でありますから、造船がばったり火が消えたら失業者ばかりがあふれるわけであります。もう既に千五百の失業者があふれております。雇用保険も、来月の十二月から一月、二月、三カ月の間に全員雇用保険が切れます。そこへもっていって来月また千二、三百の人が追加して失業するわけであります。大変な状況です。町の中に三千百名からの失業者が出るのです。まさに火が消えたのと一緒でありまして、商店街を歩きましてもシャッターをおろした店がほとんどです。開いておるのは八百屋さんぐらいです。こういう状況でありますから、ほかにとりたてて産業がありませんので、その工場がだめならほかへ行って転職しようと思いましてもその就業の場がありません。求人倍率はまさに〇・〇五でありますから、百人希望者がおっても五人しか勤めることができないという極端に悪い状況に相なっております。  そこで、家庭を持っておりますと、主人がそういう状況なら、今職安に通って一生懸命職を探しておりますが、職業がないということになると家は火の車になりますから、奥さんがやむにやまれず子供をほったらかしてパートに出ようといたします。ところが、そういう町ですからパートの勤め先もありません。それではその島から、連絡橋が今かかっておりますが、その因島大橋という長さ千二百メートルの連絡大橋を渡りまして、その次の尾道大橋というのを渡って尾道や三原あるいは福山というようなところへパートに出かけようといたしますとどういうものがあるかといいますと、だれでも車を運転すればガソリン代がかかる、車の償却費がかかるのは当たり前です。これは別にとりたてて申し上げるつもりはございませんが、皮肉なことに、連絡船は橋がかかったために本数が制限をされたり、全然航路がなくなったりしておりまして、できるだけ橋を渡らせるように、渡らせるようにという政策を国はとっております。したがってその橋を渡らねばなりません。その橋を渡るのには 一メートル通過するのに一円です。これが相場です。そうすると片道、その因島大橋を渡るだけで千二百円、尾道大橋を渡るのに七十円、合わせて千二百七十円、往復したら二千五百四十円かかるのであります。それでパート代は幾らいただけるかといったら、一時間五百円で五時間勤めて二千五百円です。そうしたら四十円持って出なければいかぬのです。こんなあほなことできますか。だからパートにも行かれぬ。御亭主も勤めるところがない。はてさてどうしたらいいものだろうかとみんな思案投げ首。雇用保険の切れたときが私は一番危ないときだと思う。だから今、町の中ではその市の首長ですら三千百名からの人が失業ということになってきたら、何か不穏な動きがあればひょっとすれば暴動でも起こるのではないかと戦々恐々としておるような状況であります。  これは私一つの例を申し上げたのでありますが、これは何も私の住んでおる広島県だけではないと思います。日本全国水産業の産地あるいは石炭の産地あるいは鉄鋼の産地あるいは非鉄金属の産地、繊維の産地、同じような似たような状況があると思うのでありますが、全国のかわいいかわいい三千三百二十三の地方自治団体のお守りをしておられるおやじさん役の自治省といたしましては、この日本全国の自治体が見舞われておる不況の実態について把握をしていらっしゃるかどうか、まずそれからお答えください。
  111. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 目下直面をいたしておりますところの、特に円高の急激な進行に伴う深刻な不況の打撃につきましては、私どもも全国の各地方自治体からいろいろな方がお見えになられますので、そのお話をいろいろろと承っております。自治省全体としてそのこと自身についてどういう調査をしているかと申しますと、これは内容が非常に複雑でございますから、体系的な調査ということを現在しておるわけではございませんけれども、しかしいずれにいたしましても、そういうものについて地方公共団体としてこれは手をこまぬいて見ておるわけにはまいらないわけでございますから、とにかく当面対症療法にしても何らかのことをせざるを得ない。そうなりますと、例えば特別交付税の算定の際、そういった不況の状況についてはこれはやはりそれなりの調査をして、地方団体自身が当面とにかく対応しようとする施策についての何らかの財源措置をしていくというような必要もございますので、そういった機会を通じて今後よく調べていくということになろうかと存じます。
  112. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 非常にいいお答えをいただきましてありがとうございました。突然の質問なのにやっぱりさすがですね。いや驚きました。そこで私は次に、さてその困っておる我が子の、かわいい子供たちのその実態をどう救済していかれる御予定ですか、こう言って聞こうと思ったんですよ。先に答えられてしまいましたね。これはもう十分特交などで配慮しなければならないというふうに今おっしゃられましたので、特交等による財源補てんはいかがでございますかという質問はもうやめることにいたします。  それで、不況になってしまったわけですから、当然これで法人税は落ち込むし、住民税は落ち込むし、税金は入ってこぬし、さりとて職員を首にするわけにはいかぬしというので地方自治団体も四苦八苦しているのですよ、正直言いまして。今さらすぐに首にするわけにもいかぬ、さりとて銭がない、一体どないしたらいいんやろうと言って、ふうふう言っておるのが実態でありますから、ひとつ特別交付税配分等につきましても御配慮いただきますようにぜひよろしくお願いいたします。それから次の関連でございますが、こういう地方自治体というのは手をこまねいておるだけではいかん、とにかく何かほかに仕事をつくらなければいかん、どこにも勤めに行くところがないとするならば、せめて市で何か公共事業をやろうじゃないか、何か特別事業をやろうじゃないかというので必死になって事業を行っているんですね。それで広島県の、県の財政だけを申し上げてみますと、この六十一年度予算の中で例えば陸橋のペンキ塗りをやらせるとかいろいろなことを、あれやこれや勘定しましてもう考えられるだけのものをかじってきて全部で二十五ぐらいの事業を編み出したのです。それでそれに投入いたしました予算が、まだ使い切っておりませんが、六十一年度予算に造船不況だけの関係で計上した金額は二十三億五千万円です。それに対して国はどのくらい補助を出しているだろうか、これは私が最も気になるところなのです。これは自治省のことを言っているのじゃないですよ。運輸省、建設省、労働省その他の問題がありますから、そういうところの補助金がどのくらいいっているかということを調べてみたら、何と葉梨大臣驚くじゃありませんか、二十三億五千万の総事業費に対して国の補助金は一%ですよ。百分の一、一割ないのです。その金額は二千三百九十万円です。驚きましたね。私は県庁に調べに行って恥をかいて帰りました。いやしくも国会議員ですよ。自分の出身県の県庁に行って造船不況に対して県はどのくらいの手当てをしておりますかと言って、いい調子になって質問したのはいい、表も詳しくくれました。二十三億五千万、これは県の予算ですからそうそうはとれないでしょう。繊維の不況もある、木工の不況もある、金属の不況もありますから、造船だけの不況対策といえば二十三億五千万、まあ広島県としたらよくやっている方じゃないでしょうか。私も一応よくやっているなと思いましたが、国の補助金はそれに対して幾らもらわれましたかと要らぬことを聞かぬでもいいのに聞いたのです。そうしたら一%ですよ、二千三百九十万円。私は耳が間違ったのかと思って、二億三千九百万と違いますかと言ったら、 いえいえ一%、二千三百九十万円ですとおっしゃるのです。そのときの知事の本当に苦しそうな顔、私をさりとて責めるわけにもいかず知事は非常に複雑な気持ちじゃなかったかと思うのですね。それを思いますと、これは自治省の責任ではございませんけれども、連日新聞をにぎわしておるのは、やれやれ労働省はこういうことをやったああいうことをやった、建設省はこういうことを考えておる、厚生省はこういうことを考えておるといってぱっぱぱっぱ華やかに毎日毎日不況対策で新聞に出ないことないでしょう。あれぐらいじゃかすか出ているのに、実際の地元に行ってみたら一%も国庫補助が出ていない。百分の一ですよ。私は本当に恥ずかしかった、穴があったら入りたいくらいでした。そういう私の気持ち、大臣、一国会議員としてどう思われますか。
  113. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 きょう三菱の高島礦が閉山いたしました。また鉄鋼、造船その他水産等全国各地で不況の波に洗われ、大変な困難に直面している産業、地域また地域住民のことは承知しているつもりでございましたが、今先生のお話を聞きまして本当に慄然たる思いがいたします。自治省としての対応につきましては、ただいま財政局長が御答弁申し上げましたが、政府としてこういう深刻な事態にいかに対応すべきかよく協議をしたいと考えます。
  114. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 率直な御回答ありがとうございました。  それで、今度は非常に細かくなりますが、今度の企業城下町法、今月中には参議院を通過することは間違いありません、だれも文句を言う者はいないわけですから。全国で四十ほどの地域がその指定を受ける予定でございますが、恐らく因島と尾道はその指定地域に入る、それから三原、この三つの市がだんごになって一つの地区として入るであろうと私は確信をしております。  さてそこで、今因島のことを言いましたが、尾道の問題でちょっと私の方から特別の御配慮をお願いしたい。尾道も同じような造船で地獄のような状態になっておる町でありますから、そのことでお願いをしたいのでありますが、御承知のように尾道はもう大分早くから新幹線尾道駅をつくりたい、請願駅です。それで、よろしい、そのかわり銭こはあなたたち地元が全部出しなさいよというので、東海道線の中にもそういう地域があります。我が広島県にも尾道と東広島というところ、二カ所あります。全国で五カ所です。全部請願駅です。一〇〇%地元で持ちなさい、よろしゅうございますという約束で出発したことは間違いないのです。それは間違いないのですが、こういうふうに急激な不況が襲ってまいりますと、市の方としてもこれは全く計算が狂ってしまいますね。  それで、駅舎を建てるだけで六十億円です。関連する駅前の道路だ、広場だ、そういうような関係が約四十億円です。合計百億円の金が要ります。そのうち二十億円は広島県が気の毒だと言って出すことになりました。だから、残り八十億円を段取りせにゃいけません。工事は今どんどん進んでおります。国鉄さんの方はお金をもう絶対に待ってくれません。早く出せ、早く出さなけれが工事をやめるぞ、こういうことになるわけです。これは当然でしょう。特に今分割・民営ということで急いでいるわけですから当然のことだと思います。  さてそこで、八十億円のうちの半分以上はもう市民の諸君から寄附金が集まりました。だが、こういう突如襲ってきたこの不況のために町全体が沈んでしまっているわけですから、今ごろ寄附金なんてそれはむちゃだよというのが正直なところです。それで、事業の進行に大変苦慮しているわけです。  そこで、そういう道路や公園やいろいろなものを今一緒につくっておるわけでございますけれども、何せ町のど真ん中です。町を活況化するために、この尾道という町を何とか生き返らせるために新幹線駅をつけてもらおうというので始めた事業ですから、まさにまちづくり事業のはずであります。そういうことについて、こういう特殊な事情があるわけですから、初めは一〇〇%持つ、市民も出す、そのつもりでやっておったけれども、こんなとんでもない不況になったものですから事情が変わってきたということを御勘案いただきまして、自治省として何らかの対応措置がとれないものか。例えばこの地方財政計画の中にもございますところのまちづくり特別対策事業費、これが本年度も三千三百億円、去年と同じですね。一昨年から始まった事業でありますが、去年も三千三百億、ことしも三千三百億、もう配当は全部済んだのでしょうけれども、一応計画書としては上がっております。それからさらに特別単独事業費といたしまして六千三百七十五億円、これは毎年続いておる分ですが、このうちの道路分ということになると六千三百じゃございませんね。そういうものがあるわけです。いわゆる単独市費でやる。まさに単市で新幹線の駅を引き受けたわけですから単独市費ですね、早く言うたら。こういう形のものがあるわけでありますが、金繰りで物すごく困っておるのでありますけれども、こういうまちづくり特別対策事業あるいは特別単独事業というものに当てはめていただいて、そして起債の対象にしてやってもらうことはできないものだろうか。これは私が見るに見かねて言っているわけです。そのことについて大臣のお気持ちをお聞かせいただきたいと思います。
  115. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 新幹線の駅をつくりたいというのは地元の大変な熱意の高まりのもとにお始めになられたお仕事だと思います。ただ、新幹線駅そのものにつきましてこれを何らかの形で地方財政上の措置をすることは、私どもはこの種の事柄の内容から見て当該地元の地方団体財源措置をするということは今までも一切してまいりませんでしたし、また、私どももそういう考え方は持っていないところでございます。  確かに突如襲った不況のために町全体が沈滞し、市民の熱意がなかなかかなえられそうもない、そういう御事情はわかりますけれども、駅舎そのものについての財源措置は、仮に起債という形であっても、従来一切認めたことはございませんし、私どもとしては、新幹線の仕事というのはこれは全国的な交通の基幹になるべきものでございますから、本来地方団体負担をすべきものでない、もしその負担地方団体にさせ、それに対して仮に起債にしても財源措置をするということになればこれはもうおよそ歯どめのきかない話になる、そういう観点からやってないわけでございます。  ただ、そういう駅舎をつくりまして、そのことには私ども財源措置は一切できない、そういう方針でございますが、それに伴っていろいろとまた整備を行っていく、都市の再開発なりあるいは開発整備というものを行っていく、このことは地方団体として担当すべき事業というものがあろうかと思います。その事業を、現在の尾道市の財政状況等から考えてみて、どの程度のテンポで進めていくということになるのか、あるいはそれがただいまお挙げになりましたようないわゆるまちづくり特別対策事業といったようなものに該当するのかしないのか、その辺は十分見きわめが必要だと思います。そういう意味で、私もその駅舎関連事業の内容を実は十分承知いたしておりませんので具体的なお答えはちょっとできかねますけれども、そういった市自身が本来行うべき事業については起債の対象になり得るものもこれはあるわけでございます。もとより起債の許可に際しましては、当該市の財政事情等もよく考えて行う必要があることは言うまでもないところでございますが、そういった点について、尾道市なりあるいは尾道市を指導しておりますところの広島県の所管当局、こういった点にまたよく話も聞いてみたいと思うのでございます。
  116. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。非常に丁寧なお答えでありまして感謝しておるわけでありますが、これは県、市の方にも私の方からもお伝えをいたしまして、十分御説明に上がり、御陳情も申し上げるようにさせていただきたいと思います。  今までお話しになりましたように、冒頭に答えられましたように、今までは一切こういうことはやっておりません、それをやり出したら、例えば駅舎なんかをやり出したらもう歯どめがききませんとおっしゃることもよくわかります。よくわかりますが、しかし、市全体がもうどうもならぬような状況になって、市の鉱工業生産の額、その額の三五%以上を占めておったような産業がばたんといくようなときは、これは企業城下町にすくい上げなければいかぬ。それから、求人倍率が今まに例えば〇・六であった町、それがこの不況のために〇・三に落ち込んだ、二分の一以下に落ち込んだといえば、これは企業城下町に指定をしなければいかぬ。そして、企業城下町法の法律によって不十分ながら手当てをしていこうという法律が現にこの国会にかかっているわけですね。今、言うならば特別の異常な状態なのですから、だから、こういうことがなかったら私もこんなこと初めからお願いしません。それは市も市民も、よろしい、百億全部持とうという決心をして抱いたのですから、これはもうそんなことを申し上げる方がやぼだと私もよく存じております。だが、事は非常事態です。非常事態ですから、ぜひともひとつ町のど真ん中にできる駅であり、そしてその周辺整備で道路や公園をつくっていく、物すごい買収費がかかるわけですね、町の真ん中につくるわけですから。そういうようなことで膨大な金をつぎ込んでやっておりますので、県と市の方から改めて御説明、陳情に伺うようにいたしますけれども、せっかく去年の当初予算のときに、その町を活性化させるためにまちづくり特別対策事業費というものを計上して、そして全国の地方自治体にもひとつ大いに活用してもらいたいという御説明があったばかりでしょう。そういうことから考えてみますと、こういうことにひとつぜひぜひ御理解をいただきたい。そして、できれば周辺整備だけではなくて、今それは無理だよ、歯どめがきかなくなるよと言った駅舎の関係についてもぜひひとつ考えていただきたい。  これは、駅舎ができたからといって、何も尾道市民がチョコレートを食うみたいにかじって食うのじゃないのですから、日本の国民がみんな使うのですから、だれが乗ったりおりたりしちゃいかぬという制限があるわけじゃないのですから、そういう点もぜひひとつお考えいただいて、超非常時のときには超非常時のように、やはり災害対策と一緒じゃないかと思うのですが、そういう考え方で、ひとつ温かく抱いてやっていただきたい。そして、不況産業で落ち込んでもう涙も出ぬようになっている人たちから感謝の涙が改めて出るような政治をやっていただきたいということを重ねて要望するのでありますが、大臣、いかがでございましょうか。
  117. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 先生のおっしゃるお気持ちはよくわかります。同時に、財政局長が申し上げましたこともまた理の通ったことであろうと思います。それらを踏まえましていろいろ相談をしてみたいと思います。
  118. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは、もう時間がありませんから最後の問題にさせていただきます。  地方自治の確立ということを言われてもう既に久しいですね。ところが、実際には御承知のとおり、ほかの役人の人が聞いておったら胸くそが悪くなるかもわかりませんが、とにかく財源でいえば三割自治、それから許認可事務なんかもほとんど国が握っているというような状態で、何かやろうとすればすべて東京へ東京へと出てこなければ事は進まない。こういう実態に対して、皆さんお利口ですから、首長も地方の議員も決して東京に来て膨れっ面はしません。みんな笑顔をして、そしてみんな頭を下げて、実に礼儀正しく陳情をやっておられます。だが、腹の中では決してそれがうれしいと思っておる者は、正直言って一人もおらぬと思います。  地方自治の確立のためには、やはり許認可事務の移譲だとかあるいは財源の大幅移譲だとかいろいろな問題がありますが、時間がありませんのでそのことを申し上げませんけれども、私が当初申し上げたこの不況です。地方自治の確立と言ったところで、例えば一つ地方自治体が本当に自治を確立していこうと思ったら、その町から人間が、こんな不景気な町にはおれぬわいと言ってどんどん逃げていくような町だったら何で地方自治の確立ができるでありましようか。一番大事なことは、やはりそこに住んでおる市民たちが生活の安定がある、産業が発達している、働こうと思えば働く場がある、雇用の安定がある、そういうところでなかったら町として成り立たないと私は思うのです。  そのことを考えると、不況産業でめためたになっていっておる地方自治体なんていうものは全く、正直言いまして、地方自治いずこにありやという状態ですよ。だから、市民の中からは、何だ、おまえさんたちはいい生活しているじゃないか、おれたち民間産業に勤めておる者は税金をせっせと納めておるが、何かちょっと景気が悪いと、まず残業をやめてくれ、残業をやめただけで自分がせっかく建てた住宅のローンが払えないから、そのせっかくの新品の住宅を売り払わねばいかぬというようなことになってしまうじゃないですか、そして、それがもう一歩進めば、一時帰休で一カ月のうちに半分は休んでくれ、給料は六割渡す、それでもいけぬようになったら、今度は希望で退職をしてもらいたい、それでもだめだったら指名して解雇する、その指名解雇でもやめぬと言うのなら工場は閉鎖する、こんなことが民間ではしょっちゅう行われておるのであります、そういう痛みというものが市役所へ勤めておる人たちにわかるでしょうかと。好況も不況も全然関係なし、給料が上がるのは民間のベアの平均で上がっていく。そして中央の、皆さん方のような優秀な国家公務員よりも六%も高い平均給与をいただいておる。したがって、退職金も高い、年金も高い、すべてが恵まれておる。そういう人に、こういう民間で首を切られていく——国鉄の職員だったら政府が責任を持って国の機関、地方の機関、そして民間の主要な企業に対して応援を求めて、 一〇〇%以上の募集人員があるじゃありませんか。国鉄の職員はそれほど恵まれておるのに、日本の復興のために今まで何十年と命をささげてきた我々に対しては何にもないのか、冷たいじゃないかという声が地方自治体に向かって投げられておることも事実であります。  地方自治の確立というのは、生活が安定すること、産業が栄えること、そこに雇用の場があることだと私は信じておりますが、その不況から脱するためには、何としてもそこへ企業誘致をするとかあるいは別の産業を発達させるとかというようなことにも、そんなものは通産省のことよ、そんなものは労働省のことよ、道路をつくるのは建設省のことよ、自治省というのは起債の許可をすればよろしいということはない、そんなことを考えてはおらぬと私は思っておるのでありますが、大臣の決意を伺って、終わらせていただきます。
  119. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 私から先にお答えをさせていただきますが、岡田委員指摘のとおり、地方自治体の役割というのはまさにそうあるべきだと思います。先ほどお示しになりましたように、造船不況に対して広島県がともかくも二十数億の県の予算をつぎ込んでおる、これはまさに地方自治体のそういう状況に対して敏速に対応し得る特質をよく発揮しておると思います。  私どもの役割としては、そういった地方自治体が一生懸命やるということについて、できるだけのこれに対する配慮をしあるいは財源的な手当てもしていくということが基本にあるかと思います。一方では、財政運営そのものについての指導、あるいは行政そのものの運営について襟を正すべきものについてはそれなりの指導、これも同時にやっていく必要があろうと思います。そういう観点から自治省においても、単に起債とか交付税とかという観点からだけではなくて、例えば昭和五十年代半ばころからは、自治省自身も一つの地域経済対策というものを我々としても勉強し、地方自治体の自主性のもとにおいて行われるものについて自治省としても相応の力を入れるべきだ、こういう姿勢に変わってきておるところでございます。  段々お話しのように、直面しております、またこれから深刻化する可能性の大きいこういった円高問題を契機として発生をいたしました日本の、特に地域の経済問題については、私どもはより一層の力を入れてまいりたいと考えておるところでございます。
  120. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 ありがとうございました。よろしくお願いします。
  121. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、経塚幸夫君。
  122. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初に、これも先刻来論議をされておりましたが、税制の問題についてお尋ねをしたいと思います。  日本型付加価値税、いよいよ導入が本決まりになるのではないかとの昨今の状況でありますが、これがもし実施されたとした場合、それで案としてはC案の日本型付加価値税。それから非課税品目は、昭和五十三年十二月、一般消費税大綱で定められております輸出取引、有価証券等々七項目、これを非課税品目とする。そして、税率は三兆五千億のいわゆる逆算四・四%でありますから、これを適用したとした場合、地方公共団体の新たなる負担増はどれくらいになるとお考えですか。
  123. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 御指摘の新税についていろいろ仮定の条件をただいまお挙げになりましたけれども、私どもとしては現在こういうものについて具体的に税率の水準がどうなるのか、あるいは非課税の範囲とか免税業者の範囲、こういったものがどうなるのか、これは明らかにされておりませんし、また地方団体が購入する財貨サービスのうちの免税業者からのものの割合あるいは非課税財貨サービスの割合というものの推計もできないために、地方財政への影響数字的に示すということはなかなか困難かと存じます。いずれにいたしましても、こういった種類の税が仮に導入されるとすれば、地方団体も財貨サービスを購入するわけでございますから、その部分については地方団体もそういった税の負担をすることになるわけでございます。ただ問題は、そういった負担が具体的に歳出の増加にどうつながるかということについては地方団体の歳出の態様などによっても異なってまいるかと思いますので、新税の導入により地方財政への影響を推計することはなかなか難しいことだと考えております。
  124. 経塚幸夫

    ○経塚委員 推計は難しいとおっしゃいますが、いわゆる非課税品目は昭和五十三年の一般消費税大綱の七項目に基づいてそれで試算ができるはずだ。現に大蔵省は三兆五千億の中で、いわゆる公共財貨の購入分については三千五百億ないし五千億、こういうことを我が党の委員に対して説明しているわけなんですよ。これは地方公共団体の分を自治省は本当に試算をなさっておられないのですか。私はこれはおかしいと思うのですよ。一体、日本型付加価値税を導入した場合どれくらいの負担増になるのか。  それじゃちょっとお尋ねいたしますが、こういうものは課税の対象になるんじゃないですか。例えば物件費、維持補修費、普通建設事業費、災害復旧費、この中からいわゆる既に課税されておる品目を除く、あるいは人件費を除く、これは当然日本型付加価値税の課税の対象になりますね。どうですか。
  125. 津田正

    津田政府委員 今御指摘があったようなものは資材の購入という中の価格の中に織り込まれてまいると考えます。
  126. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、これはもう決算でも地財計画でも出ているわけですから、矢野さん、本当にこれは試算できないはずはないと思うのですよ、自治省ともあろうものが。私は、ちょっと膨大な数字になり過ぎるから内々腹ではもう見積もりはしておりまんのやけれども公には言えまへん、こういうことじゃないかと思うのですが、そうではないのですか。今税務局の方でおっしゃった四つの費用を総計いたしますと、五十九年度、これは決算で十四兆九千四百三十六億円になるのですよ。この中から当然用地取得費は、一般消費税のときもこれは除外となっていますから、これは二兆九百六十億引きましょう。そうしますと、十二兆八千四百七十六億。それで地方公共団体が購入する場合には、いわゆる免税業者、売り上げの低い業者から余り物は買いません。大手が相手であります。それから一般個人の消費支出と違いまして、 いわゆる非課税の消費支出というものは、率はそんなに多くないと見なければなりません。大体間違いなく、今言いました性質別の四つの経費につきましては課税されるものだと推計されます。そうしますと、これは一般会計だけで五千七百億円ですよ、四・四%としまして。企業会計がございます。企業会計も、同じような計算でいきますとこれが約千八百億。これをトータルいたしますと約七千五百億円に上るのですよ。このほかに人件費への押し上げが出てくるはずなんですよ、いわゆる職員の給与の収入に対する消費支出への課税がきますから。そんなものは、新型間接税を導入したから、いわゆる実消費が影響を受けたからといってもう給与の問題は棚上げだというわけにこれはいきませんよ。これらをあれやこれや含めますと、私の試算ではございますが、一般会計それから公営企業、人件費等々を含めますと優に一兆二千億円前後の影響額に達する、こう試算しているのですが、これは、反論がございましたらひとつお聞かせいただきたいと思います。
  127. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 先ほど申し上げましたように、こういった新税の導入の問題について論議がされておるわけでございますが、その具体の仕組みあるいは税率の水準がまだ明らかでないという状況のもとで、私どもの方としては具体的な試算はいたしておりません。  ただ、税の性格上、そういうものが当然に地方自治体の歳出に影響してくるということは、これはもう御指摘のとおりでございまして、それがただいまお示しのような数字になるのかどうか、あるいは、地方自治体自身がそういった状況に対して具体的に歳出面でどう対応するのか、地方自治体の歳出増加に対してどう対応するのかといういろいろなビヘービアの面もあろうかと思います。そういった点を考えますと、そういった数字を具体的に計算してこうだということはなかなか断定をしにくい、推計をしにくい面があろうと考えております。
  128. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そういう支出増にどう対応するかというのは、それは地方自治体のそれぞれのいわゆる課税された際にとるべき態度の問題であって、私がお尋ねしておりますのはそのことをお尋ねしているのじゃないのですよ。少なくとも、新型間接税と称するいわゆるC案、日本型付加価値税が導入されれば地方自治体は一体どれくらいの負担増になるのか、それくらいのことは税制改革される以上は前提条件として検討してしかるべきだ。それを全くむとんちゃくにお考えになっておるのか。大臣の御答弁では、このいわゆる新型間接税の導入問題につきましては随分と御丁寧な御答弁だったと思いますけれども、しかし私は、何ぼ考えても中身がよくわからぬわけであります。仮に新型間接税を、いわゆる日本型付加価値税を導入するというようなことになれば、地方公共団体は一体どんな影響がくるかというのは、自治省、これは計算したって当たり前じゃないですか、私のような鈍な者でもこれだけの数字が出てくるわけでありますから。御計算なさるのですか。
  129. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 こういった税が導入される場合における地方自治体の負担増という御指摘でございますが、現実にはやはり地方自治体の歳出増の問題であろうかと思います。そういう意味では、歳出の増加というものがどうなるかということは、地方団体自身のそういう歳出に対応するやり方によってもやはり変わってくるかと思います。ただ、地方財政計画等を策定いたします場合の歳出というような問題についてはいろいろ経済の状況等の要因を考えてまいります。しかし、一方ではまた行政経費の節約というような点もあわせて考えるわけでございますから、そういった歳出を計算いたします場合に経済的な諸条件と同時にそういった要因を含んで考えていくということは、私どもとして決してそういう役割を否定するわけのものでもございませんが、具体にこの税そのもののみについてどう歳出増につながるかという点については、具体のそういった推計は特にいたしていないというお答えでございます。
  130. 経塚幸夫

    ○経塚委員 計算をしておらないということは繰り返しおっしゃっておりますけれども、それは推計にしろどんな影響を与えるか計算をすべきだ。地方財政が今日大変な状況であることは今さら申し上げるまでもございません。重ねて強くこのことを要望しておきます。  それから、これは新聞報道されておりましたが、何か電信電話税ですか、新税を検討されているのですか。
  131. 津田正

    津田政府委員 一種の地方間接税というような形での電信電話に対する課税という問題につきましては、かねてから地方団体の間でも研究されてきております。それから、具体的にもこの数年間市長会からそのような新税創設の要望が出てきております。  現在までの経緯を申しますと、御承知のとおり「増税なき財政再建」というような中で新税をつくらないというような格好でございましたので、市長会の要望はございましたが、特に論議はなかったわけでございます。しかし、最近先生承知のとおり、新型間接税の中に幾つかのタイプがあり、製造業者売上税というようなタイプが検討されておりました。そのときに、製造段階だけではなくて、やはりバランスをとるためにサービス段階に対する課税の問題というものも論議する必要があるのではないかというような政府税調審議もございました。そういうような中で私どももこれについて勉強してきておるわけでございます。ただし、新型間接税がどういう形のものになるかいろいろ論議があるところでございます。そういう意味で、私どもとしては勉強はしてまいるつもりでございますが、現在具体的に税制改革の中にどういうふうな格好で持ち込むかというような検討はしておりません。
  132. 経塚幸夫

    ○経塚委員 どうもちょっと歯切れ悪いですね。地方団体からは検討せいという要望がある、それで自治省は勉強はしている、しかし、新たないわゆる新型間接税の中へどういうふうに組み入れるか入れるべきでないかというようなことは検討しとらぬ。これはあっちへ行ったりこっちへ行ったり、結局何を言うとりまんねん、こうなりまんがな。私は具体に課税すべく検討しておるのかと聞いているのです。  また同じような答弁になるから聞いておきますが、絶対にこんなものは改めてとるというようなことは考えておりません、それは言い切れますか。
  133. 津田正

    津田政府委員 御承知のとおり、今回議論されておりますのは抜本的な税制改正ということでございまして、特に所得課税法人課税と並んで間接課税体系をどうするかというような議論が進められている最中でございます。その中核というものが新型間接税をどうするかというような問題でございます。むしろそれが中心で現在は論議されておるということでございますので、勉強はしておりますが、具体的に課税するとかしないとかいうようなものではない、かように考えております。
  134. 経塚幸夫

    ○経塚委員 余計わからぬようになってきたわけですが、勉強しているということになると、何もやりもせぬことに知恵を使う必要はないわけでありますから、やはりこれはやるための勉強かな、自治省もやりもせぬことを一生懸命勉強するほど暇じゃないと思いますので、どうもこれはきな臭いなと感ぜざるを得ません。まあしかし、それはまた姿形になってあらわれるわけでありましょうから……。  そんなところへ知恵を使うよりも、私はかねがね主張しておりますけれども、特に大企業法人の非課税措置を見直す、これこそ検討すべきだと思いますが、どうなんですか。これは、税調答申でも法人課税については課税ベースを思い切って拡大する方向見直しを進める、こう言われておるわけです。東証の一部上場企業の九十社が三年間非課税ということが言われておりますが、三菱石油、日本鋼管、住友金属工業、川崎重工業などもそうですね。  それから外国税額控除も五十年千五百二十四億が五十九年四千八百四十一億、三倍以上ですね。しかもこれは四千二百十四億円、八七%が資本金百億以上で占めているわけでしょう。いつも問題になります伊藤忠、丸紅、九大商社中七大商社みんな入っておるわけでしょう。これもちょっと試算ですが、地方税影響額が五百三十五億円と見込まれるわけですね。そのほか私鉄関係、それから電気、船舶、鉄軌道その他等々約三千億前後、電気税を含めまして、あるわけですね。  これは大臣にお尋ねいたしますが、今度地方税関係ではこういうものは見直しの対象にされますか、いかがですか。
  135. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 地方税におきます非課税等特別措置は、主として租税負担の軽減を通じて一定の政策目的を誘導するために設けられたものである、先生御存じのとおりでございますが、個々の政策目的と税負担の公平の原則との調和を図るという見地に立ちまして、社会経済情勢の推移に応じてその既得権化や慢性化の排除のため、常に見直しを行い、その整理合理化に努める必要があると考えているところでございます。今回の答申では、現行税制ゆがみ、ひずみを是正することを眼目といたしまして、我が国税制の基本的方向を示すものでありますから、そういうことからしまして個別の非課税等特別措置については逐一言及はされておりませんけれども、税負担の公平確保の見地からその整理合理化を図るべきであるとの基本的考え方が示されていると考えるわけでございまして、今後とも十分その方向で努力をしてまいりたいと考えるわけでございます。
  136. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはぜひひとつ見直していただかなければならぬ問題だと思います。そうでないと公平、公正というのはかけ声だけのことになるのですね。  これも私の試算でありますが、例えば今採用されると見込まれておりますいわゆるタイプIII、これを適用いたしまして先ほどの四・四%のいわゆる日本型付加価値税、それからマル優廃止の影響が仮に分離課税一五%と見た場合に、通常のサラリーマン、夫婦と子供二人の場合は、年収三百万は確かに三六・三%減税になりますが、一方、先ほど言いましたマル優の廃止と日本型付加価値税C案が加わる、こういうことになってまいりますと、標準世帯、三百万で差し引き五万四千百二十五円の増税になることになります。ところが二千万の標準世帯になりますと、これは確かに減税で、十九万四千円減税になる。中曽根総理は中堅サラリーマンを中心にした思い切った減税、こう言っておりますが、六百万、七百万では、マル優の廃止あるいは日本型付加価値税を相殺しない場合でも、これは一四ないし一五%前後の減税でありますから、おっしゃっているほどの中堅サラリーマンに重点を置いた減税ということにもならない。これはマル優廃止、大型間接税が入りますと、八百万までは逆に増税になるわけでありますから、実に九割までが増税、こういう結果になるわけでありますから、これは確かに公平、公正という以上は、大臣御答弁のとおりひとつぜひ大企業の非課税措置についてもこの際見直しをしていただきたい、かように考えております。  次に、交付税の問題についてお尋ねをいたしますが、これは肝心の問題ですから、最初にちょっと大臣にお尋ねします。  地方交付税が四千五百二億の減収になる、この原因と責任でございますが、これは国にあるのですか、それとも地方にあるのですか。これはどっちにあると判断したらいいのですか。
  137. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 今回の補正予算並びにこの法律案でお願い申し上げております交付税四千五百億の減の原因となりましたものは、所得税法人税減収でございます。  当初の段階におきましては、経済情勢見通し等に立って的確な見通しを行ったつもりでございますが、予期せざる経済の変動によりまして生じたものでございます。これを直ちに国の責任あるいは地方の責任と言うわけにはなかなかまいらないかと思うのでございます。
  138. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国の責任でもなければ地方の責任にもない。それならどこから降ってわいたのですか、三原山の噴火じゃないですけれども。ここは、自治省自治省の立場として明確にしておかなけれは困ると思うのですよ。私、先ほども矢野局長の御答弁を聞いておりまして、今後の財政はどうあるべきかという加藤委員の質問に対しまして、国、地方ともども考えていかなければならぬ問題だ、こうおっしゃっていますが、自治省地方の立場でやってもらわないと困るですよ。  引き続いてお尋ねをいたしますが、これ、二分の一、五十三年度特会借り入れ、国の責任だ、こういうルールがしかれましたね。このときの答弁を、私、ちょっと見てみたのですが、これは五十四年四月二十四日、地方行政委員会財政局長がこう言っているのですね。「いまお話しのように借入金の金額を国庫で負担してもらっていいじゃないか、こういう御意見は確かにあるわけでございます。しかし、将来の国と地方財政の状況あるいは財源配分、いろいろ考えてまいりますと、たとえば地方の一般財源、これは大宗が地方税地方交付税でございますが、そのうち国税の動向によりまして影響を受ける部分というのは大体二分の一程度というふうに考えられます。」云々ありまして、「国と地方との一般財源の割合は、交付税地方に寄せて再計算しますと半々ということになっておるわけでございます。そのようなことを彼此勘案いたしまして、国の将来における償還費の負担は二分の一というふうに大蔵省との間で考え方の合意を得て」、さらに引き続きまして、「成立いたしました五十三年度法の考え方を将来にわたって変更をするという考え方は私どもとしては持っていないのでございます。」  これは五十三年にルールがしかれたわけでしょう。今度はどうなんですか、これは。これもあなた、パアにしてしまったのでしょう。全額地方でしょう。それでもって、五十九年の約束もパアにしてしまったのでしょう。交付税特会借り入れはやらない、地方財政の今後のことを考えると。五十九年といったら何十年も前でしたか。違いますがな、これは。これはまだ二年前ですがな。これを称して朝令暮改と言いますねん。字引、引いてみなはれ。朝言うたことと晩言うたことと、ころころ変わるの、そう言うとります。だから、五十三年のルールはもう御破算にしてしまうわ、二年前の約束は御破算にしてしまうわ、そうしてこれは全額地方負担ですやろ。円高の影響による、これはもうG5を初め、いわゆる地方交付税法上も国の責任ということははっきりしておりますがな。それで、口では地方財政余裕論に対しては、そんなことはもうもってのほかだ、お尋ねすればきょうも大臣はそうお答えになると思うのです。言っていることとやってることと違いますがな、これ。これでどんどん、どこまで後退したら気が済むんかいなと思うのですよ。何ぼでも土俵を後へ後へと持ってきておりますねん。相撲で言うたら後がない、残った残った、はっけよい、もうしまいや、こう言っていたが、しまいかなと思ったら、土俵をずっと客席の方へ持っていっておりますねん。何ぼでも後退だ。それでお客さんを迷惑に巻き込んでしまっておるわけだ。これじゃ地方自治法を守らなければならぬ立場にあります自治省と言えませんがな。どこまで後退すれば気が済みますねんと、私はこう言いたいわけですよ。  少なくとも自治省としては、今の地方財政の危機の実態を考え、そして税調でも地方財政余裕論というものが言われたそうでありますけれども、それには反論を何かなさったとかなさらぬとかと言われておりますけれども、口でおっしゃるなら行為でそのことを示すべきなんですよ。なぜこれはここまで後退をしてきているのですか。この点ひとつお考えをお聞きしたいと思うのです。
  139. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 昭和五十三年に決めました仕組み以降の推移を踏まえての御質問でございますが、昭和五十三年当時におきましては地方財源不足が極めて巨額に上り、いわゆる地方交付税法の六条の三、第二項に該当する事態が生じた。これに関連いたしまして、直ちに地方交付税率の引き上げということができないという状況のもとから、御指摘のような仕組みをつくったわけでございます。  その後、そういった方式によりまして借入金を重ねてきておったわけでございますが、昭和五十九年の時点で、そういった借入金を償還をしていくという将来の財政負担を考えますとこれ以上借入金を重ねるべきではないということから、自治、大蔵両省合意のもとに地方交付税法附則第三条に規定されますような特例措置方式というものに切りかえたわけでございますが、これはやはり財政の状況というもの並びにこれに対する考え方というものが変化をしてきた、またそういった観点から地方財政というものを今後どう考えていかなければならないかといういろいろな配慮から、そのような仕組みにしたわけでございます。今回の場合、予期せざる大きな経済上の変動によりまして地方交付税の落ち込みが生じたわけでございますので、いわばやむを得ざる緊急避難措置として特別会計の借り入れ方式をとったわけでございます。五十九年に御指摘のように今の特例措置を定めたわけでございますが、この特例措置によって交付税を加算した場合にも基本的にはこれは後年度において精算をする、こういう考え方をとっておるものでございますし、また、いわゆる経済情勢の変動によって交付税の額が予算額と最終的に異なったという場合には、御承知のようにこれは精算という規定、通常二年度目に行っておりますが、そういう方法で行われるわけでございます。  今回行われました措置地方財政措置として後退ではないのか、さらに後退をしておるではないか、こういう御指摘でございますが、そういった場合と比較してまいりますと、今回の措置については、確かに借り入れでございますけれども、その利子については全額国が負担をしていただくということでございまして、これは特例措置方式における考え方、あるいは昨年行いましたいわゆる総額を当初予算で固定する形での実質補てんを行うやり方と、実質的には異ならないものと考えております。地方財政としての後退ではない、このように考えておる次第でございます。
  140. 経塚幸夫

    ○経塚委員 局長もそれは答弁、苦しいだろうと思うのです。ここまで後へ後へと下がってきておって、なお後退ではないと言うわけでありますから、これは了承できません。  時間もございませんので簡単にお答えいただきたいのですが、これも報道されておりましたが、この義務教育費国庫負担法に基づく学校の事務職員と栄養士の問題、給与の問題ですね、これの一般財源化、こういうことのようでありますが、これは十一月四日、宮澤大蔵大臣予算委員会で、予算編成の過程で自治省の方と相談することがあろう、こういう御答弁のようでありますが、これは大臣、御相談を受けましたか。あるいは御相談があった場合にこれは断るべきだと思いますが、いかがですか。
  141. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 お話のような義務教育職員の国庫負担の一部を地方負担に振りかえるというお話は、公式に私どもとしてまだ相談を受けておりません。私どもは、義務教育の基本、現在の負担制度の基本的な枠組みというものは、これは維持さるべきものと考えております。御指摘のようなことの相談を受けておりませんけれども、しかし、そのことが国の負担を単に地方に転嫁するというために行われるということであるならば、これは地方財政の立場からは到底認めることはできないと考えております。
  142. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大臣、いかがですか。
  143. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 今局長が御答弁申し上げたとおりでございます。
  144. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは絶対に受け入れるべきでないし、私は、義務教育費の一般財源化のときにこれはお尋ねをしました。地方影響を与えぬ、こう言っておったのですがね。これが一般財源化されました結果、どうですか、東京都四千万のマイナスでしょう。北海道六千二百四十万、マイナス三%ですか。福岡県マイナス七%ですね。これは明らかに教育上支障を及ぼしてきたわけですから、財政局長言うように単に地方への負担転嫁とは単純に言い切れないというような考え方では困ると思うのですね。これは断固として拒否すべきであります。  最後に、タイ国際航空機の事故問題についてちょっとお尋ねをしたいと思うのですが、警察庁からいただきました資料によりますと、押収した密輸けん銃が五十六年五十二丁、五十九年四百十九丁、六十年が二百二十六丁、五十六年から比べますとこれは随分ふえておるわけですね。六十年は五十九年より若干減っておりますが。うち、暴力団関係が五十六年五十二丁のうち四十丁、五十九年は四百十九丁のうち何と四百五丁、六十年も二百二十六丁のうち百五十七丁。これに従って、暴力団関係の銃火器による抗争事件も五十九年六十八件から六十年二百四十六件、これは一挙にふえておりますね。これは残念なことに、検挙率五十七年一〇〇%が六十一年六〇・三%、どういう理由か下がっておりますが、これはきょうはさておくといたしまして、フィリピンからのものは五十九年、六十年、それぞれ比率はどうなっておりますか。
  145. 漆間英治

    ○漆間政府委員 六十年の分で計算をいたしますと、フィリピンが九六・二%、アメリカ三・一%、メキシコ〇・八%ということでございます。
  146. 経塚幸夫

    ○経塚委員 五十九年もお尋ねしておるのです。
  147. 漆間英治

    ○漆間政府委員 五十九年は数字だけで、パーセンテージは持ってきておりません。
  148. 経塚幸夫

    ○経塚委員 九六・二%がフィリピンからの密輸ですか。私の数字に間違いがなければ五十九年は九三・三%ですね。だから、推計するところ、五十九年の時点ではもう密輸けん銃のほとんどがフィリピンから密輸されていたという事態がわかっていたと思うのですがね。この時点で、これは公安委員長にもお尋ねしたいのですが、何らかの形で外務省なりに対策を要請しておりましたか、どうですか。
  149. 漆間英治

    ○漆間政府委員 捜査に関する事柄につきましてはICPOルートあるいは外務省ルート、事柄において使い分けはいたしておりますが、必要がある場合には関係国にいろいろな要請をいたしてございます。本件のような銃器等の密輸に関する事柄につきましては、国の治安の根幹にかかわることでもございますので、その種の情報を入手した場合には直接に外務省あるいはICPOのルートを通じて申し入れるほかに、私どもの方で五十九年、六十年と捜査員をフィリピン等の関係地に派遣をいたしておりますので、その際に相手方の対応機関とこの種の事柄について協議をいたしておりまして、捜査あるいは事案の未然防止等につきまして有効な手段を話し合っているというのが現状でございます。
  150. 経塚幸夫

    ○経塚委員 外務省関係と同時に、私はこれは大蔵省に対してもしかるべき対策を求めるべきだと思うのです。といいますのは、税関の職員でありますが、これは窓口でのチェックが大変大事だと思うのですが、五十七年度千八百四十三人、これが六十一年度は千八百九十七人、わずか三%しか伸びておらないのですね。ところが、出入国者の数は千四百十五万人から千七百五十八万人、実に二四%ふえております。ところが、これは税関職員が三%しかふえておらぬものですから、税関関係者は人員増を要求しているんですね。ところがなかなかこたえられておらない。こういうことで対応策に大変苦慮しておられるようでございます。国家公安委員長としてこの点につきましてもいわゆる万遺漏なきチェック体制がとれるように大蔵省にも要請すべきだ、この際行うべきだ、こう考えておりますが、最後にこの点いかがなものでしょうか。
  151. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 外国からの武器の密輸問題につきましては、国内の治安を維持する見地から、私どもといたしましても大きな関心を持っておるところでございます。特にこの密輸事件につきましては、当該国からの流入する地点での防止ということが大事なことではないであろうか。同時に、先生おっしゃいますように、日本に到着いたしまして、税関を通って入ってくる場面における取り締まりもまた必要ではないかと思いますけれども、それら両面につきまして各般の措置をとり、また関係官庁とも連絡を密にして対応していきたいと考えております。  税関の職員の増員等につきましては、これは今の行政改革が各省庁を通じて行われております中で、なかなか困難な御要望であろうと思いますけれども、十分に相談をしてみたいと考えるところでございます。
  152. 経塚幸夫

    ○経塚委員 事は人命に関することでもございますし、暴力団対策とも関連のあることでございますので、厳重な対応策を講ぜられるように要望いたしまして、終わらせていただきます。
  153. 石橋一弥

    石橋委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  154. 石橋一弥

    石橋委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、順次これを許します。岡島正之君。
  155. 岡島正之

    ○岡島委員 私は、自由民主党を代表して、政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案に賛成の意見を表明するものであります。  本法律案は、昭和六十一年度補正予算における国税減額補正に伴い、地方交付税減額されることとなったため、これに対処し、昭和六十一年度分の地方交付税の総額を確保しようとするものであります。  すなわち、今回の補正予算における所得税及び法人税減額補正に伴い、地方交付税においても、当初予算計上額に対して、四千五百二億四千万円の落ち込みを生ずることとなったのであります。  このような事態に対処するため、政府においては、交付税及び譲与税配付金特別会計における借入金を四千五百二億四千万円増額することにより、地方交付税の総額を確保し、地方財政の運営に支障のないようにすることといたしております。  なお、当該借入金の利子相当額については、その発生年度において、一般会計より精算不要の特例措置として交付税及び譲与税配付金特別会計繰り入れるものとし、実質的に地方財政負担が生じないよう配慮しているところであります。  このような措置を内容とする政府提出の地方交付税法等の一部を改正する法律案は、現下の経済情勢、国及び地方財政状況等を勘案するとき、地方財政の円滑な運営を図る上で妥当なものであると考える次第であります。  政府においては、今後とも、地方交付税制度の安定充実に真剣に取り組んでいただくことを要望し、賛成の討論を終わります。(拍手)
  156. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、安田修三君。
  157. 安田修三

    ○安田委員 私は、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、日本社会党・護憲共同を代表し、反対の討論を行うものであります。  以下、簡明に反対の諸点を申し上げるものであります。  第一は、著しい見通しの誤りは責任重大であります。今年度地方財政計画は五十二兆八千四百五十七億円であります。その枠組みは、地方自治体の切り詰めと昨年度に続く国からの支出抑制が行われ、それに地方税収の伸び並びに地方債でようやく収支均衡が図られたものであります。  昨年に続く補助負担金の大幅一律削減が行われ、一兆一千七百億円が地方団体に肩がわりさせられました。そのため新たな借金を九千三百億円も背負わされたのであります。  第百四回通常国会において、我が党は、当然地方団体に借金がふえることを指摘いたし、その改善を求めました。今年度地方財政計画及び地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する質疑を行う中で、政府経済政策の誤りから生じてきた急激な円高と不況、内需の冷え込みによって、昨年から計画ベースより落ち込んでいる税収が今年度にも及び、政府の言う地方財政の均衡がはかなくも崩れることを主張してきたのであります。  今日、事態はまさにそのとおりとなりました。国税地方税ともに大幅な減収をもたらし、著しいその見通しの誤りと施策の失敗によって、本来なれば関係閣僚が責任をとるべきものであります。  第二は、交付税の安定的確保がなされていないのであります。地方財政の安定のために借入制度をなくするとして五十九年度から交付税特別会計の借り入れをやめ、新たに年度ごとの特例措置制度をつくりました。そして、それまでの特会に累積された借入金の約半分を地方団体の責任において償還することとし、今日その利子を負担しているのであります。  深刻な財政危機に見舞われた地方団体は、五十年度途中から主として特別会計借入金によってしのぎ、その利子を全額国が負担し、借り入れ増加額についてもその二分の一を後年度臨時地方特例交付金として繰り入れるというルールが一応成り立ったのであります。しかし、これも五十八年度から破られ、五十九年度新たに、さきに述べたごとき制度に変えるという全く一貫性のない地方財政対策がとられてきたのであります。  今日、臨時異例の措置という名分を立て、またしても制度の変更を行い、かつてのごとく地方団体負担をさせないという保障もなく、まさに国の御都合主義によって地方団体が振り回される結果となっております。  こうした不安定な交付税制度は、地方団体財政の硬直化、補助負担金の削減継続、国の景気対策で行われる公共事業などの負担のための地方債の増発と相まって、ますます地方団体財政の不安が強まっているのであります。  我が党は、地方交付税法第六条三の二項の原則に従い、地方交付税地方団体固有の財源であり、その財政調整機能を改善して地方団体財政を強化するために、税率の引き上げなど地方交付税総額が安定して確保されるような制度の確立を求めるものであります。したがいまして、交付税の性格上、審議には十分の配慮をいたしましたが、本案のような行き当たりばったりの手当ての仕方に反対するものであります。  以上で終わります。(拍手)
  158. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、草野威君。
  159. 草野威

    ○草野委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして反対討論を行います。  まず、初めに、地方交付税法案及び地方財政対策についてであります。  今回、地方税で五千五百億円余、地方交付税で四千五百億円余に上る大幅な減収が見込まれる中で、この対策として、地方税減収は、全額地方債の増発により、また地方交付税の減少は、交付税特別会計の借り入れにより措置しようとされております。  交付税特別会計の借り入れについては、その利子を国の負担とするというものの、今回の措置により借金体質が一段と進むことになることには変わりなく、今後の地方財政の硬直化の大きな原因となることは明らかな事実であります。  また、交付税制度について見ると、従来、交付税の不足が生じた場合、交付税特別会計が借金して措置するという制度は地方財政の健全性を害するということで五十九年度に取りやめ、交付税が不足した場合、国の一般会計からの繰り入れにより措置するという特例措置制度に改めたばかりであります。その制度をわずか三年もたたないうちにもとの制度に戻そうとしておりますが、これでは借金体質からいつまでも脱却できず、また制度の一貫性がなく、地方財政はそのときそのときの政府の思うままに左右されるばかりで、主体的な財政運営はほど遠いものとなっております。  今回の地方財政減収は、円高不況によるものであり、政府経済政策の見通しの誤りであり、その失政を地方に押しつけるものであります。  これが第一の反対理由であります。この際、地方財政の確立を強く要求するものであります。  次に、地域に即応した対策の実施についてであります。  最近の地方財政地方経済は、地域的な格差が一段と著しくなっており、特に円高不況の影響をもろに受けた企業城下町と言われる地域の実態はまことに深刻であります。こうした実態から見て、今日の国の画一的な地方財政対策では、地域の実態に十分対応した対策を行うことは、極めて困難と言わざるを得ません。どうしても個別的、具体的対策が必要になっておりますが、今回の地方財政対策はこうした実態に十分こたえたものとは到底言いがたいものであります。きめ細かな、具体的な対策の実施を要求するものであります。  これが反対の第二の理由であります。  最後に、今回の財源不足の原因となった国の経済政策についてであります。  今回の財政の大幅減収は、円高による景気の後退によるものであり、我々は、これまで内需の拡大による経済政策の転換を強く要求する一方、不況対策として補正予算の早期提出を要求してまいりました。しかし、政府は、円高不況にあえぐ中小企業や国民の強い要求である景気浮揚対策を先送りし、また、そのための補正予算の提出も引き延ばし十分な景気対策を怠っていたため、事態は一層深刻化しております。しかも、今回の景気対策のための一般公共事業の大半は、六十二年度予算の先食いである。国庫債務負担行為であり、減税見送りとあわせて景気浮揚効果はほとんど期待できません。今日の深刻な不況をもたらした政府の責任は、極めて重大であると言わざるを得ません。今後、適切な景気対策を強く要求するものであります。  以上で、地方交付税法等の一部改正案に対する反対討論を終わります。(拍手)
  160. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、岡田正勝君。
  161. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 私は、民社党・民主連合を代表して、ただいま議題となっております地方交付税法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行うものであります。  反対の第一の理由は、昭和五十八年度において、地方団体財政運営の節度を守るなどの視点から、それまで続けていた交付税特別会計の借り入れをやめたにもかかわらず、今回、この前言を翻して再び借り入れを行ったことであります。これは、赤字国債の発行を抑えたいという国側の一方的な理由により地方に借金を押しつけたものであり、断じて認めるわけにはまいりません。  第二の理由は、今回の措置は将来の地方交付税額を先食いする措置であり、地方交付税総額の安定的確保に支障を来すおそれがあるということであります。  政府は、国税三税の減収分を今年度減額せず、交付税特会の借り入れを行うことによって地財計画で計上した交付税額を確保したことを強調されております。しかし、この借り入れは、将来交付すべき交付税額を先食いするものにすぎません。地方団体の健全な財政運営を維持するためには、借り入れによってではなく交付税額の増額によって対処すべきでありました。私は、政府の今回の措置に強く不満を抱くものであります。  以上、反対の理由を申し述べ、私の反対討論を終わります。(拍手)
  162. 石橋一弥

    石橋委員長 次に経塚幸夫君。
  163. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行います。  反対の第一の理由は、税収見積もりの誤りに対する国の責任を放棄し、減額分を地方の共有財源である地方交付税の先食いという形で補てんしようとしていることであります。  地方交付税減収四千五百二億四千万円、地方税法人関係税の減収五千五百七十一億円の落ち込みが円高不況にあることは明らかであります。しかも、政府は、異常円高に対して何ら抜本的な是正対策を講じないばかりか、円高をてこに中小企業、農業、石炭産業を切り捨てようとさえしておるのであります。税収見込み違いによる責任と税収減額の原因である異常円高を容認してきた二重の責任を政府は負うべきであります。  ところが、政府は、その当然の責任を放棄し、国税減収に伴う地方交付税減額四千五百二億四千万円を全額地方の共有財源である地方交付税の先食いという形で措置しているのであります。これは、地方財政の財源不足について、曲がりなりにもその二分の一を国が責任を負うとした昭和五十三年度の制度改正をさらに後退させ、地方財政の財源不足の補てんにかかわる国の責任を放棄するものであります。また、毎年度地方団体歳入歳出総額の見込み額の提出と公表を内閣に義務づけた地方交付税法第七条の趣旨にも反するものと言わなければなりません。  反対の第二は、一昨年の地方交付税法の改正の際に、今後は交付税特別会計における借り入れは原則として行わない、こう言明しながら、わずか二年後に臨時異例の措置を理由に特会借り入れを再び行うという朝令暮改の政府の態度であります。  当時の石原財政局長は、どういう事態になろうとも、地方財政計画上見込まれる財源不足について、云々、これは国の一般会計がどんなに苦しくても必要な額は確保していく、必要な特例措置は講じていくという考え方で臨みたいと私どもは考えております、こう言って、財源不足については特例措置補てんをしていくと答弁しているのであります。ところが、今回、こうした経緯をも全く無視し、わずか二年前に自治省みずからが、財政体質を一層悪化させてしまうとして廃止した交付税特会の借り入れ方法を再び行おうとしているのであります。しかも、特会借り入れの元金の二分の一は国負担という従来の慣行を無視し、全額地方の借金としていることは全く容認できません。  地方財政運営の指針となる地方財政計画において、一般歳出の伸びを国の一般歳出と同程度に抑制をする、地方財政関係経費、その他地方財政対策の見直しを行うとした臨調第一次答申以来、地方へ転嫁された負担増は六兆円を超す巨額なものとなっております。この結果、臨調以前の五十六年度の決算と臨調後五十九年度の決算を比較いたしますと、地方財政歳入歳出総額が全体として抑制される中で、地方税が実に一九・二%、使用料、手数料が二一・五%と大きく伸びております。ところが、国庫支出金は三・五%のマイナス、地方交付税は二・二%のマイナスと、際立った対照を見せております。これが補助金カットと特例措置の結果であることは明らかであります。  三年間の暫定的な国庫補助率カットに加えて、今また、学校事務職員、栄養士の人件費補助の一般財源化、公共事業の補助率の引き下げなど新たな補助金カットが意図されております。また来年度は、円高不況による地方財政の財源不足が見込まれております。この財源不足が特例措置だけで補てんできないことは、歳入歳出総額の伸び八・四%にはるかに及ばない交付税総額の伸びマイナスニ・二%であるというこの間の事実の結果からしても明らかであります。  国庫補助金の補助率をもとに戻し、交付税率の引き上げなど地方財源の拡充こそが、自治体と住民の要望にこたえ、地方自治発展の道であることを申し添えまして、討論を終わります。(拍手)
  164. 石橋一弥

    石橋委員長 これにて討論は終局いたしました。     ─────────────
  165. 石橋一弥

    石橋委員長 これより採決に入ります。  地方交付税法等の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  166. 石橋一弥

    石橋委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  167. 石橋一弥

    石橋委員長 この際、ただいま議決いたしました法律案に対し、渡海紀三朗君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。渡海紀三朗君。
  168. 渡海紀三朗

    ○渡海委員 私は、この際、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・民主連合の四党を代表し、地方交付税法等の一部を改正する法律案に対しまして、次の附帯決議を付したいと思います。  案文の朗読により趣旨の説明にかえさせていただきます。    地方交付税法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について善処すべきである。  一 昭和五十九年度における本法改正の趣旨にかんがみ、地方交付税原資の安易な借り入れは厳にこれを慎しむとともに、地方交付税の対象税目の拡大等を含め総額の長期的安定的確保に努めること。  二 毎年度地方税収入については、慎重かつ的確な見積りを行うこと。  三 国・地方間の税源配分について抜本的に見直し地方税源の安定確保策を講ずべきであり、当面、税制改正に当たって地方財源が減少を来すことのないよう万全の措置を講ずること。  右決議する。 以上であります。  何とぞ皆様方の御賛同をお願いいたします。
  169. 石橋一弥

    石橋委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  170. 石橋一弥

    石橋委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、葉梨自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。葉梨自治大臣
  171. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。     ─────────────
  172. 石橋一弥

    石橋委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
  173. 石橋一弥

    石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  174. 石橋一弥

    石橋委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後十時五十二分散会