運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-10-23 第107回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十月二十三日(木曜日)     午前十時二分開議  出席委員    委員長 石橋 一弥君    理事 岡島 正之君 理事 片岡 清一君    理事 渡海紀三朗君 理事 西田  司君    理事 野呂 昭彦君 理事 安田 修三君    理事 草野  威君 理事 岡田 正勝君       石渡 照久君    魚住 汎英君       金子 一義君    北村 直人君       竹中 修一君    中山 利生君       古屋  亨君    加藤 万吉君       左近 正男君    佐藤 敬治君       山下八洲夫君    小谷 輝二君       宮地 正介君    経塚 幸夫君       柴田 睦夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長     葉梨 信行君  出席政府委員         警察庁長官官房         長       新田  勇君         警察庁警務局長 大堀太千男君         警察庁刑事局保         安部長     漆間 英治君         警察庁警備局長 三島健二郎君         自治大臣官房長 持永 堯民君         自治省行政局公         務員部長    柳  克樹君         自治省財政局長 矢野浩一郎君  委員外出席者         文部省体育局体         育課長     岡  行輔君         参  考  人         (地方公務員災         害補償基金理事         長)      柳沢 長治君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ───────────── 十月二十三日  地方財政の確立に関する請願外七件(近江巳記夫君紹介)(第三三三号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案内閣提出第一七号)      ────◇─────
  2. 石橋一弥

    石橋委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公務員災害補償法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として地方公務員災害補償基金理事長柳沢長治君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 石橋一弥

    石橋委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────
  4. 石橋一弥

    石橋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左近正男君。
  5. 左近正男

    左近委員 この法案質疑をやらしていただく前に、一、二の問題について大臣所見をお伺いしておきたいと思います。  この十月二十一日に人事院勧告完全実施閣議決定されたわけであります。これは一般職については六年ぶりだと思いますが、指定職も入れれば八年ぶりと、これは政府は非常に不当な経過を今日までたどっておったわけです。閣議決定完全実施、これは非常によかったと私は思っております。この給与改定について各地方公共団体に対して自治省としてどのように対応されるのか、見解をお聞きしたいと思います。
  6. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 ただいま先生がおっしゃいましたように、一般職国家公務員給与につきましては、一昨日、人事院勧告どおり改定を行うことを閣議決定いたしたわけでございます。その閣議決定にもございますように、地方公共団体において地方公務員給与改定を行うに当たりましては、現下の厳しい財政状況及び各地方公共団体給与事情等十分検討の上、国と同様に経費の節約を行う等歳出の一層の節減を図るとともに、既に国家公務員または民間給与水準を上回っております地方公共団体にありましては、早急にその適正化を図るため必要な措置を講ずるよう指導することといたしまして、同二十一日付で次官通達を出したところでございます。地方公務員給与決定につきましては、地方公務員法等にのっとりまして適切に決定されるよう自治省といたしまして指導及び助言を行うこととしておりまして、介入をしたりすることはございません。
  7. 左近正男

    左近委員 自治省として指導なり主導するということについては、これは自治省の職務の一部かもわかりませんが、各地方公共団体においては、自治省が不当な介入をいつもやっておるのじゃないか、こういうような声も非常に強いわけです。したがって、閣議決定されたのですから、各地方公共団体において速やかに自主的に問題の解決を図っていく、こういうような考え方地方としてはおってもいいのかどうか、その辺についてお伺いしておきます。
  8. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 おっしゃるとおり、自主的に行っていただく、同時に、地方財政現状等にかんがみ、やはり適切に節度を持って給与決定を行っていただきたいということであろうと思います。
  9. 左近正男

    左近委員 それでは、これは速やかにやはり各地方公共団体においては取り組んでいくべきだという判断を私は今の大臣答弁からしておりますが、それでよろしいですか、大臣
  10. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 仰せのとおりでございます。
  11. 左近正男

    左近委員 わかりました。  それでは、国に準じて給与改定を行う場合、所要財源はどれぐらいか、また、この財源措置をどうされようとしておるのか、お伺いをいたします。
  12. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 地方公共団体が国に準じまして給与改定実施いたします場合の所要額は総額で三千五百六十億円、義務教育負担金等特定財源を除きました一般財源ベースでは二千九百五十億円、このように見込まれております。この財源につきましては、地方財政計画上で年度中途における予見しがたい財政需要に備えるためにあらかじめ計上してございます追加財政需要額、これを充てることにより対応することといたしております。追加財政需要額の全体の額は五千億円でございますが、もとより災害その他いろいろ他に予見しがたい財政需要もございますけれども、ただいま申し上げました一般財源ベース二千九百五十億円はこの中で対応し得る、こういうように考えております。
  13. 左近正男

    左近委員 今の答弁であれば、各地方公共団体は今回のベア完全実施するに当たって財政上心配は要らない、こういう受け取り方でよろしいですか。
  14. 矢野浩一郎

    矢野政府委員 財源措置の面では仰せのとおりでございます。
  15. 左近正男

    左近委員 よくわかりました。  そこで、地方公共団体には多様な団体があるわけでして、私は交通の出身でございますが、交通事業というのは今財政的に大変行き詰まっておるわけであります。過去においてなかなかベア実施できなかった、そういうような体験を私自身もしておるわけでありまして、当然こういう交通事業等についても一般職員と同様な取り扱いをすべきである、私はそう思っておりますが、大臣も恐らくそうだと思います。大臣としての所見をお伺いしておきたいと思います。——簡単なことだから大臣答弁させなさいよ。よろしいやないの、そんな簡単なことを何を言っておるの。
  16. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 企業職員給与は、地方公営企業法第三十八条第三項において、生計費、第二には同一または類似の職種の国及び地方公共団体職員並びに民間事業従事者給与、三としまして当該地方公営企業経営状況、四としてその他の事情を考慮して定めることとされております。地方公営企業に従事する職員給与改定につきましては、これらの原則にのっとり、国及び地方公共団体一般会計における給与改定実施状況を考慮しながら、当該企業経営状況をも踏まえて対処されるべきであると考えているところでございます。
  17. 左近正男

    左近委員 そんなしゃくし定規な答弁を僕は求めてないわけでして、同じような地方公共団体で働いている者は、今回のベア改定については同様な取り扱いをしていくということは当然じゃないですか。何も法案の説明を長々僕は聞くわけではないわけであります。だから、その辺の基本的なことだけきちっと言うていただいたらよろしいのです。
  18. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先生のおっしゃるお気持ちもよくわかりますけれども、同時にまた公営企業ごと企業内容、それから経理状態等々ございますから、そういことをきちっと踏まえながらできるだけの努力をしてほしい、こういうことでございます。
  19. 左近正男

    左近委員 だから、一般職地方公営企業等については当然差別のない形で賃金措置をすべきだという原則の上に立って、今大臣の言われるような考え方という理解でよろしいですか。
  20. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ただいま大臣から御答弁いたしましたように、公営企業の場合には一つ当該企業経営状況ということもございますので、その辺を十分考慮しながら、しかも一般会計で負担しております職員給与にも配慮しつつ、それぞれの企業において適切に対処していただきたい、こういう気持ちでございます。
  21. 左近正男

    左近委員 それなら大臣一緒じゃないか。僕が質問しているものに答えてないじゃないですか。
  22. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 要するに、その当該公営企業経営状況というのはやはり考慮すべきである。その場合に、当該地方団体における公務員給与についての配慮というのはもちろん考えなければいけませんが、やはり地方公営企業法に書いてあります趣旨というのは十分尊重していただきたいということでございます。
  23. 左近正男

    左近委員 それなら、経営状況が悪ければ今回のベアはやらないのですか。
  24. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これはそれぞれの当該公営企業において検討し、結論を出すべきことであろうかと存じます。
  25. 左近正男

    左近委員 自治省は干渉しないね。今の答弁であれば、各当該地方公共団体が自主的に判断したらよろしいですね。
  26. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 自治省におきましても、当然ながら給与問題に限らず一般経営状況について当該団体に対する指導ということもしなければならない場合も当然あろうかと思います。
  27. 左近正男

    左近委員 どういうことですか。あなたの答弁はわからないですよ。六年ぶり、八年ぶりでわずかな金額が、国においても二・三一%でしょう、こういうペアについて当然一般職と——今交通企業なんか大変財政的に厳しいですよ。だけれども、今まできちっと一緒にやってきているでしょう。やってないですか。差別しましたか。今大臣答弁されたような内容を十分踏まえながら労使いろいろ話をして、合理化するところについてはしながら円満にやってきたじゃないですか。そういう実績をあなたは否定するのですか。そういう今までのやり方できちっといいのですねということを僕は聞いているだけであって、こんな深追いをするつもりはないのです。もっと単純に答弁して下さい。六法全書の答弁は要らぬよ。
  28. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 たびたびの御指摘で恐縮でございますが、それぞれの公営企業実情というのもございますから、直ちに一律にこうだと申し上げられないということも御理解いただきたいと思います。
  29. 左近正男

    左近委員 それはわかっておる。その上でどうせいというのですか。
  30. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 従来から行っておりますことについては、その事例というものはやはり今後も考えていかなければならないと存じます。
  31. 左近正男

    左近委員 結局従来の何年間かやられている。公営交通といったら昭和三十五年からもうずつと全国的に赤字なんです。そういう中で苦しみながらベア問題について対応してきているのですね。そういう歴史的な経緯があるわけです。今回のベアについても、十分過去の経過を尊重しながらやはり対応していくというということでいいのでしょう。どうですか。
  32. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 確かに、労使交渉といいますのは長い経緯を持って行われておりますものですから、ことしだけを見て直ちにどうこうするというものではないと存じます。
  33. 左近正男

    左近委員 余りこういうので時間をとりたくないわけです。だから、一般職ベアについては財源的にも十分いける、これは速やかに対応すべきだ、こういう大臣答弁もあった。それとともに、やはり公営交通というか地方公営企業体の問題についても、当然道義的に過去の経過を尊重しながら同一に取り扱っていくべきだという自治省指導理念、こういうものはお持ちでしょう。もうこれ以上質問しませんから。そういうことでしょう。どうですか。
  34. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げられましたように、いろいろの項目の中にもちろん一般の市長部局あるいは知事部局職員給与というものも配慮しなければいけないということは当然でございます。
  35. 左近正男

    左近委員 それでは、そういうように各地方公共団体は対応すると思いますので、自治省は不当な介入をしないようにひとつ強く申し上げておきたいと思います。  次にもう一点、週休二日制ですか、四週六休の問題について、閣議で十一月三十日から国家公務員の四週六休の試行実施するということが決定されたということでございますが、地方公共団体の四週六休問題について自治省として具体的にどのように指導されようとしておるのかをお聞きしたいと思います。
  36. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ただいま御指摘のように、国家公務員につきましては十一月三十日の週から始めるということになったわけでございますが、地方公務員につきましても基本的にはやはり四週六休制といいますか時短ということは必要な方向であろうかと存じます。しかし、国家公務員に比べまして地方公共団体の場合には、例えば窓口事務でございますとか、あるいは交代制の職場が多いとか、いろいろ難しい問題がございます。そういう問題についてどういうふうに対処していくのかということも検討しながら今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  37. 左近正男

    左近委員 国もいろいろあると思うのですよ。出先もあればいろいろ大変なんですよ。それを今日の国際情勢なり国内の週休二日制の実態、そういうものを踏まえてことしの人事院勧告の報告に基づいて十一月三十日から試行せよという決定、これは英断だと僕は思うのですよ。そうであれば、国家公務員がやられる試行に合わす形で各地方公共団体についても、いろいろ問題が今言われたようにあるけれども、これは当然試行に入るべきだと私は思うのですが、あなたらは給料の問題は重箱の隅をつつくような指導をしておって、こういうことについては手抜かりが多いわけですよ。今の答弁では僕は納得できないですよ。だから十一月三十日からやはり試行に入る、各地方公共団体についてこういう強い考えを持ってくださいよ。大臣どうですか。
  38. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 おっしゃるように、原則としてはそういうことで対応していったらいいと思いますが、職種によりましてはやはり既に申し入れのあるところもありまして、これは国立病院看護婦さんの問題でございました、地方公務員ではございませんが、十一月三十日にはいろいろなローテーションを組むのに時間が足りないから少し実施をおくらせてほしい、こういうような話も厚生大臣から聞いておりましたりして、職種によってすぐに試行が行われるところ、あるいは慎重にもうちょっと検討しようかというところ、いろいろあろうと思います。要は住民と申しますか、一般の地域の方々に対するサービスを従前と同じように行える、そういう前提のもとに試行に入ってほしい、こういうことでございます。
  39. 左近正男

    左近委員 結局、過去の四週五休問題についてもそうでありましたし、やはり原則をはっきりさせなければいかぬと思うのですね。十一月三十日から四週六休に入るという原則をはっきりさせて、その上で今大臣の言われるように窓口業務に支障を来さないように、あるいは市民の皆さん方に、国民の皆さん方に迷惑のかからないようにどう対応していくかということだと私は思うのですね。いろいろ障害があるから試行は延期だということでは私はだめだと思うのですよね。だから、自治省としても、この十一月三十日に各地方公共団体に対して、四週六休について試行に入る、そのためのいろいろな障害を最大限排除するために知恵を絞りなさい、こういうことではないかと、国家公務員決定を見て私は思うのですがね。いかがですか。
  40. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先生も御承知のとおり、実は地方公務員について現在まだ四週五休制に入っていない団体もあるというのが実情でございます。ただいま大臣からもお答え申し上げましたように、やはり四週五休あるいは四週六休ということを取り入れるべきであるということは私ども十分その方向努力しなければいけないと考えますが、いろいろの当該団体における事情というものもございますから、直ちにすべての団体についてそういうふうにしなさいというわけにはなかなかまいらないということも御理解いただきたいと思います。  ただ、もちろんその環境が整備されているところからは逐次そういう国家公務員と同じようなことをやっていただきたいというふうに考えております。
  41. 左近正男

    左近委員 もう僕は余り深追いはしないですが、それじゃ大臣、結局国家公務員も十一月三十日から四週六休試行に入るのだから、各地方公共団体もやはりその時期くらいには試行に入ることが望ましいという考え方は持っておられますね。やれるか、やれないかは今答弁あったようにいろいろあるかもわかりません。だけれども、大臣としては、やはり十一月三十日から国家公務員に合わせて四週六休の試行に入ることは望ましいという見解はお持ちですね。
  42. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先生おっしゃるように、望ましいことであろうと思います。
  43. 左近正男

    左近委員 わかりました。  それでは、本法案質疑に入らせていただきます。  この公務災害という問題でありますが、これは五十九年度四万八千六百九十九件、これは年金分も含めてでございますが、発生をしておるわけです。私はこの公務災害は、統計上出ておる数字よりも実際の現実はもっと多いのではないか。これは共済の短期給付肩がわりをしたり、あるいはまた健康保険組合健保を持っておるところもございますから、健康保険肩がわりをしておるというような実態がある。ここに出てきている統計というのは氷山の一角とは言いませんけれども、かなりの数が底辺に隠されておる。これは僕は現場におったのですからね、よくそのことはわかっているのです。それで近年、この公務災害の件数というのが減少するどころか増大傾向にある。これは大変ゆゆしいことだと私は思うのですね。やはりこういう現実について、所管の大臣としてどういうようなお考えをお持ちなのか、ひとつ御答弁をお願いします。
  44. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 公務災害は本来発生してはならないものでございまして、何はさておき、まず第一にそれが起こらぬよう周到な対策を講ずる必要がございます。したがって、使用者であります地方公共団体といたしましては、関係法令及びみずからの条例にのっとり、災等の予防及び疾病の発生防止に万全を期すべく一層の努力をするよう心がけるべきであると考えます。  自治省といたしましては、かねてから地方公務員の安全と健康を確保するための施策を推進するよう指導してまいりましたが、今後ともその充実強化を図るよう努力していく所存でございます。しかし一方、不幸にして災害が起こりました場合には十分な補償を行う制度を確立しておくことが、職員が後顧の憂いなく安んじて公務に精励する上で必要不可欠の要素であることは当然でございます。  従来からこうした認識に立ちまして地方公務員災害補償制度の見直しを行ってきているところでございますが、今後ともよりよい災害補償制度となりますよう、労働者災害補償制度及び国家公務員災害補償制度の動向を踏まえながら改善について検討を行ってまいりたいと考えております。
  45. 左近正男

    左近委員 私、現場公務災害が近年かなり増加傾向にあるということについてもう少し深刻に受けとめて、今大臣答弁されたように、ひとつ真剣に取り組みをしていただきたいと思います。  そこで、具体的な問題でこれから少しお聞きをしますが、今回の改正年金の基礎になる平均給与額最高限度額最低限度額を設けたわけですけれども、その理由は何ですか。
  46. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これは基本的と申しますか、労災と国公災に準じて設けたものでございますが、その理由は、年金たる補償と申します、あるいは公務災害補償自体がその人の稼得能力がなくなった、そういうものを補てんしようという趣旨で行われておるわけでございますけれども、年金たる補償ということになりますと、これは非常に長期にわたりますものですから、そういたしますと、例えば若年時に災害を受けたという場合の人と、それから壮年時にかなり給与が上がってから災害を受けたという場合に不均衡が生じる、あるいは非常に壮年時の一番給料が高いところに来たところで災害を受けますと、その方がずっと相当高齢者になられてもその額で年金をもらえるというような事態、現在の制度ではそうなっておりますが、最近の高齢化によりましてかなり高齢者の方が出てまいりますと、一般勤労者との均衡考えた場合に、例えば六十五歳あたりで被災しないでリタイアされたというような方と比べても随分補償額が高いというような問題もございまして、その辺のところを勘案いたしまして、大多数の一般勤労者が所属しております九〇%の範囲内で年金たる補償を支給することにしよう、こういう趣旨でございます。
  47. 左近正男

    左近委員 結局今回の改正は、年金受給者が年々ふえておる、そういうことでやはり最高限度額を設けることによって財政的に削減をしていこうというような意図がありありなんですよね。そういう面は否定されませんか、否定されますか。どうですか。
  48. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ただいま申しましたように、現行の制度と比べますと、高齢者になった場合にその額が従来よりも下がる場合が中にある、要するに九五%を超えた水準年金をもらっておられる方でありますが、そういう人の場合に年金が下がるということは事実でございますが、ただ、全体の分布状況から申しますと非常に割合が少のうございまして、財政問題として取り上げるというほど大きな額というものではございません。もちろん、財政的に若干の支出が減るということは否定できませんが、そうじゃなくて、先ほど申し上げましたように、この制度改正といいますのは年金受給者間それから一般勤労者との均衡がねらいであるということを御理解いただきたいと存じます。
  49. 左近正男

    左近委員 それでは、最高限度額最低限度額の設定により影響を受ける受給者の数及び財源はどれぐらいですか。
  50. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 五十九年四月の状況でありますが、年金受給者が三千百八十五人でございます。そのうち最高を超える者が二百九十七人、最低以下の方々が二百二十二人ということでございます。  そして、財政的な影響といいますのは、この法律にも書いてございますように、現給保障の仕組みができておりますのでスライドが停止されるということだけでありますが、そのほかに新規発生ということになりますと、これはいろいろな事例がございますのでなかなか試算が難しゅうございますので、その辺のところを仮定した上でございますけれども、昭和六十二年度の状況では支出の増が約二千百万、それから五年後の六十七年度にまいりますと支出の減というのが、今度は減の方でございますが、約五千八百万というような状況でございます。
  51. 左近正男

    左近委員 結局、今言われたように、最高限度額、現給保障だけれどもスライド条項は適用しないわけでしょう。結局そこでとまっているわけだな。だから、これは財政効果は長期的に見れば私はかなりのものだと思うのです。だから、今言われるように、財政的には余り大したことじゃないんだということでは私はないと思うのですね、このねらいは。やはり最高限度額を抑えることによって長期的には年金全体の給付費が非常に節約できる、そういう方のねらいがあるということははっきりしているわけですよ。それは最低限度額も引き上げますからそういうメリット部分もありますよ。だけれども、私はこの最高限度額の頭打ち問題はやはり大きな問題だと思うのです。今後、年金水準を引き上げていくというようなことで、やはりこういう問題について将来的には一つの解決を図っていただきたいな、私はこういうことを強く申し上げておきたいと思います。  そこで、この最高限度額最低限度額平均給与額を出すに当たって賃金構造基本統計調査を用いられるわけですが、これは公務員の年齢別賃金水準実態が全然違うわけですね。だから、これは傾向値は一致しておりますか。今あなたのところでは——賃金構造基本統計調査では、民間では五十歳—五十四歳が賃金のピークだ。それでは、公務員の賃金のピーク年代は何歳ですか。
  52. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先生もう既に御承知のとおり、公務員の場合には要するに在職者について見れば給料表に乗って動いていくわけでありますから、当然ながら年齢の上の方のところへ高い数字がいくわけであります。(左近委員「ピークは何歳かと聞いているんだ」と呼ぶ)その数字はちょっと今手持ちいたしておりませんけれども、そういうことはもちろんそうなると思います。しかし、ただいま申しましたように、これは一般勤労者との問題でございまして、一般勤労者の場合にはかなりの方がリタイアされるとかいうような問題もございます。そういう一般勤労者との均衡を配慮して定めたものでございます。  なお、先ほど申しましたように、約二百九十人ほどの方が限度額を超えることになっておりますが、この限度額を超えるというような事態は、先ほど先生もおっしゃいましたように、件数から見て非常に率は少ないというのは実態としてはございます。
  53. 左近正男

    左近委員 実際、公務員給与をもらって、けがをして、公傷で、その給付についてやはり公務員給与実態に基づいて給付をしていくというのは、これは当然じゃないですか。まして民間の賃金統計と昇給カーブが、給与カーブが一致しておるんだったらよろしいですよ。かなりの違いがあるわけですね。それを無理に合わせていく。国には人事院という制度もあるわけですよ。非常に厳格な給与実態調査がされているわけですよ。なぜそういう資料を用いないのですか。これは僕はちょっと理屈が合わぬのじゃないかと思うのですが、どうですか。
  54. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 公務災害補償といいますのは、これは国家公務員災害補償に準じるというふうに法律でなっておりますけれども、要するに事業主の支配下にある場合に起こった災害について補償するという考え方で労災、国公災、地公災というものがそれぞれ同一水準ということを基本にしてつくられた制度でございまして、そういう制度全体の構えの中で、一般勤労者、要するに全体の勤労者との均衡を配慮して今回の制度改正を行いたいということでございます。
  55. 左近正男

    左近委員 僕はやはり少し理屈が合わぬのじゃないかと思うが、もう時間がないからやりとりしないですけれども、民間の賃金基本統計のデータと公務員の賃金実態とは、民間もいいところもあれば悪いところもある、いろいろ違うわけですね。今まで飯を食っておったところの賃金を何で適用しないのか。僕は少しおかしいと思うのですよ。これは、そういう問題点があることだけを指摘しておきます。  そこで、技術的な問題ですが、本法案は、平均給与額については六十二年二月一日から実施をするということですね。そのときの平均給与額決定をする賃金構造基本統計は何年度のものが基準になるのですか。
  56. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 昭和六十年六月のものでございます。
  57. 左近正男

    左近委員 六十二年二月の給付について六十年六月なんて、非常に前の、古い——古いということは低いわけですよ。これは修正を加えないのですか。
  58. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 六十年六月現在のものでございまして、これが約一年の集計期間を要して六十一年の八月にまとまるわけでございますが、それをもとに行うということでございます。  なお、その後四月からは、さらにそれに国家公務員給与改定の率を乗じて新しいものをつくっていく、こういうことでございます。
  59. 左近正男

    左近委員 四月からは国家公務員の率を乗じて新しいものにする。それなら、国家公務員給与が例えば六%未満であってもそういうことをされるわけですね。
  60. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 そのとおりでございます。
  61. 左近正男

    左近委員 これは今、民間とすべて一緒にするということですが、労災と地公災のスライド実施時期が違っておりますが、これについてはどういうことですか。
  62. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 年金スライド実施時期と限度額の改定時期を一緒にするということで、公務員の場合には四月、労災においては八月ということになっておるわけでございます。
  63. 左近正男

    左近委員 その違いによってどういう問題点が出るのですか。
  64. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 来年の六十二年四月のことを考えていただきますと、ことしの八月に賃金構造の調査が出まして、それに公務員給与改定率を掛けて四月から実施をする。一方、労災の方につきましては、四月の段階では六十一年八月にまとまった調査によることといたしまして、六十二年八月、要するに四カ月おくれた八月、おくれたかどうかは別にいたしまして、八月に来年の調査をまとめますから、それを使って行うということでございます。
  65. 左近正男

    左近委員 今スライド問題が問題になっているのですが、前国会ですか、このスライド問題もやられたと思いますが、ことしの八月二十五日の社会保障制度審議会の答申では「本件とは直接関係はないが、制度によってスライドの在り方に相違があるので、将来検討されることが望ましい。」という附帯意見ですか、答申がされているのですが、このことはどういうことですか。
  66. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ただいま御指摘のとおり、社会保障制度審議会におきましてそのような意見が出されております。これは労災、公務災害におきましては六%以上の場合に賃金スライドをする、それから厚生年金等におきましては五%で同じように年金スライドをするということを指摘されておるのではないかと存じます。
  67. 左近正男

    左近委員 今言われたように国民年金、厚生年金、共済年金は五%条項ですね。国公労災、地公労災、労災法が六%条項。同じ年金でありながら結局健康な人の方が五%で、障害を持って苦しんでいる者が条件が悪い。これは実際考え方が逆じゃないですか。これは将来少なくとも五%条項に合わすべきだ、こういう附帯答申も出ているのですから、国としては当然そういうような考え方になるべきじゃないかと私は思うのですが、どうですか。
  68. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これは大変難しい問題でございまして、これからいろいろ検討しなければいけないと存じます。この六%というものを念のために御説明いたしますと、補償の等級間の差を参考にいたしまして、これが約一三%ですが、それの半分ぐらいのところであらかじめ改定していかないと実質的な年金の価値が下がるというようなことで決められたと聞いております。また一方、厚生年金等については物価を基準にして行っておりますので、大きな目で見ますと確かに非常に制度間で問題があるのかもしれませんが、災害補償制度年金、それぞれ見ますと、これはそれぞれにおいて均衡といいますかバランスがとれているというふうにも考えられるわけであります。  しかしいずれにいたしましても、こういうような指摘もございますので、これから労災あるいは国公災とも相談をしながら検討をしていくべき事項だと考えております。
  69. 左近正男

    左近委員 この点は答申で指摘されているように、政府としても近い将来善処していただきたいと私は思います。  そこで、このスライド公務員は物価というよりも給与問題でやっているわけですが、公務員給与改定がされればスライド条項が適用されるという理解でよろしいか。
  70. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 公務員給与水準が一年間で六%以上変動があればスライド条項が動く、こういう規定になっております。
  71. 左近正男

    左近委員 規定はいいわけよ。これは国家公務員法の二十八条でも五%未満云々の問題は今問題になっているようにあるわけでして、だから当然、本体の公務員の賃金が変わればそれが六%未満であってもやはり改定された率についてはスライドを適用するということではないのですか。
  72. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これは自動スライドの規定がございまして、前年の四月一日と例えばことしの四月一日の公務員給与を比較した場合に、それが六%以上間があいておればスライドしてよろしい、こういう規定でございまして、六%を下回るような場合にはこの規定が動かないというような仕組みになっております。
  73. 左近正男

    左近委員 僕は全くこれは弱い者いじめだと思いますね、実際。本体の公務員については五%未満であってもこれは当然ことしのように二・三一%賃金改定をする。それであれば、やはりけがをして障害を持って年金をもらっている人についてもそれに準じてスライドしていくのは当然じゃないですか。それを法のしゃくし定規どおり六%以上でなければスライド条項を適用しないということは、余りにも血も涙もない政治じゃないですか。どう思いますか。あなたは高い給料をもらっておるからそうぴんとこないかもわからぬけれども、やはりけがをして障害を持って年金をもらっている人、本体の自分が勤めておったところの賃金がわずか二・三一%でも上がったら、ああ障害年金も二・三一%程度スライドしてくれるんだなあという期待感を持つのは当然じゃないですか。これを六%いくまで据え置きだというようなことは僕は政治じゃないと思いますよ。  大臣、どうですか。私とのやりとりを今聞いておって、私の方が情があるか、どうですか。大臣、一遍あなたの人間性を聞きますよ。
  74. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 なかなか難しい問題でございまして、やはりいろいろな規定というものがありますからそれに準じてやらざるを得ないということであろうと思います。まあ情に——何ですか、夏目漱石の小説がございましたね。なかなか世の中というのは難しいものでございます。
  75. 左近正男

    左近委員 この五%、六%問題もスライド条項の率の問題も僕は理屈が余りにも形式的だと思うのですね。これ以上やりません。本法案についても我が党賛成らしいですから、これ以上やりません。私、個人的にはこんなもの反対ですよ。本当ですよ。いろいろ問題あるのですよ。だから、もうちょっとそこらの点、僕はもっと、ああ僕の言うていることがわかるなあというんであれば、こんなものは法律上はこれでいいんですから、自治省、具体的なものでやってくださいよ。
  76. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 類似の労災とか国公災等の横並びの制度がございますから、それらにつきまして比較検討しながら、いろいろと考えていきたいと思います。
  77. 左近正男

    左近委員 僕は近い将来善処をしていただくということを強く今の大臣答弁から感触として受けましたので、ひとつそういう理解をしておきたいと思います。  次は通勤災害問題について、もう時間も四十分ぐらいしかないので余り詳しいことはできないんですが、今回、通勤災害の問題で一般的に通勤の範囲について拡大されたという理解を私らはしておるわけです。現行法では「日用品の購入その他これに準ずる日常生活上必要な行為」、こう法に明確に規定されているわけですが、これよりも今回の改正案は範囲の拡大がされたという理解をしてよろしいか。
  78. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ただいま先生おっしゃいましたように、従来の規定でいきますと非常に弾力性に乏しい書き方になっておりますものですから、自治省令におろしていただくということにいたしまして、拡大の方向検討したいということでございます。
  79. 左近正男

    左近委員 今の答弁ではかなり拡大されるという心証を受けましたが、それでは具体的にどういう部面が拡大されるのか、御答弁願います。
  80. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これもまたたびたびで恐縮でございますが、労災とか国公災との均衡がございますので、あちらの方もにらみながら行わなければいけない問題でございますけれども、現在考えられておりますのは、学校で教育を受けるために通勤経路から外れるという場合でありますとか、それから人工透析のような生命維持に不可欠な医療を受ける場合などを考えております。
  81. 左近正男

    左近委員 勤労学生の問題、人工透析等範囲の拡大をしていただける、これは結構なことですが、もっと思い切った原則的な問題でこの解釈を変えていただかなければならぬと僕は思うんですよね。  あなたのところでよく逸脱、中断という言葉を使うんですね、通勤の場合。立ち寄り先の経路についても当然認めるべきじゃないですか。この辺どうですか。これが問題なんですよ。通勤災害問題ではこの逸脱、中断問題を解決しなければもう小手先になるんですよ。この問題についてなぜもっと前向きに考えないんですか。逸脱、中断、どうですか。
  82. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これは公務災害補償の性格にかかわる問題であろうかと思いますが、公務災害と申しますのは、言うまでもなく、使用者の支配下にあるという場合に起こった災害について補償するということでございます。それで、通勤はこの公務と非常に密接な関係があるということで、通勤途上までも範囲を拡大しておるということでございまして、通勤といいますのは最初に申しました意味では使用者の支配下にはないわけでございまして、ないけれども、これは非常に密接な関係があるということで対象にしておるということでございます。したがって、さらにそこから先生おっしゃいますような立ち寄りをしたというような場合にまで範囲を拡大するというのは非常に難しいという問題であろうかと思います。
  83. 左近正男

    左近委員 あなた、僕の質問をよく聞いてるの。  今、人工透析に行ったとか夜間学校へ行ったとかということについては、結局もとへ戻った時点から認めるわけでしょう。それなら人工透析する病院まで行く期間について何で認めていないのかということや、僕の言うてるのは。何もかも範囲拡大して、何でもせいと僕は言うてないでしょう。今自治省が範囲を拡大して、今までも認めておるものについての経路については対象にしたらどうですか、これは当然ではないですかということを言うておる。僕は物すごい常識人なんですよ。常識的な質問しかしないのですよ。これはおかしいじゃないですか。
  84. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 例が適当かどうかわかりませんが、例えば通勤途上でそういう立ち寄りをしないで真っすぐうちへ帰ったといたします。その後例えば病院に行って透析をするというような場合も当然あるわけでございまして、やはりその通勤途上というところに限定をしなければなかなか線の引き方が難しいということでございます。
  85. 左近正男

    左近委員 いやいや、そんなことを聞いていない。通勤途上に学校へ行くあるいは人工透析に行く、その行く病院なり学校までの期間についても、結局今の逸脱、中断という認定でペケにしておられるわけやな。だから僕は行く経路についても、範囲の拡大をされてそういうことは適用するんであれば、その経路についても認めてあげてほしいということを言っているんですよ。意味わからないかな。
  86. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 御説明が足りないかもしれませんが、私が申し上げておりますのは通勤途上についての道、まずその経路については、これは先ほど来申し上げておりますように、公務と密接な関連があるということで、これはそこまでは認められるというのがまず一つでございます。  それから、学校に行くという場合に、その学校に行く経路のことをお聞きになっているということも十分わかっておるつもりでございますが、仮にそういうものを範囲に入れるという場合を考えた場合、その人が通勤経路上にない大学あるいは通勤経路上にない病院に一遍うちへ帰ってから出かけるということも当然ある、事態としては想定されるわけでございまして、そうしたらそれはどうなるんだというような話も当然あるわけでございまして、ここは公務と密接な関連のある部分というところに限定をせざるを得ないと考えております。
  87. 左近正男

    左近委員 僕は会社から家へ帰り着くまでが通勤やと。家へ帰ってきてお母ちゃんの顔を見てまたどこへ行くか、こんなもの勝手やないの。だからあなたが要らぬ心配する必要ないねん。だから、通勤の帰りに夜間高校へ行く、そんなら夜間高校までの期間何で認めへんねん。何もかも認めるのじゃないですよ。今範囲の拡大したかて、それは二つぐらいでしょう。だから限定されているのですよ。あなたのところは非常にセレクトしているわけや。だからそれぐらいのものは途中経路についても認めてあげたらどうか。この逸脱とか中断という言葉をやめてもらったらどうかということを僕はお願いをしているわけですよね。それを家へ帰ってからどうのこうの、ちょっと論議のすりかえやと僕は思うな。どうですか。
  88. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 認定の問題としてはいろいろな事例があることは存じておりますが、基本的な考え方として申し上げておりますのは、従来からのものとして例えば日用品の購入というものもこのいわゆる逸脱、中断中に入るわけでありますが、そういう場合で申し上げた方があれかもしれませんけれども、例えば床屋に行くというものを、通勤途中に行くか、それからうちへ帰ってから行くかによって取り扱いが違うというようなことでは困るということもございますし、もっと基本的には、先ほど来申し上げておりますように、通勤というものが公務と密接に関連のあるというところに着目して制度は組み立てられておるということを御理解いただきたいと存じます。
  89. 左近正男

    左近委員 僕はこれだけでも長い時間やりたいけれども、きょうはちょっといろいろなことを——基金の理事長さんもお忙しいところ来ていただいているのでこれ以上やらないけれども、これはもう少し前向きに検討してくださいよ。どうですか。検討もしないのか。ちょっと、するかしないか、するのやったら次に移るわ。ちゃんと検討せなあかんよ。
  90. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 通勤災害の範囲についてはこれからも検討しなければいけないと思いますけれども、仕組みの点についてはなかなか難しい問題であるということをぜひ御理解いただきたいと存じます。
  91. 左近正男

    左近委員 理解できないよ、また別の機会にやるよ。  そこで、一、二、通勤の問題で、先ほど週休二日制の話がいろいろ出ましたが、かなり単身赴任者もおるわけです。そういう場合について、通勤災害取り扱いを今日的な社会の情勢としてすべきじゃないか。その点はどうですか。
  92. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 単身赴任で、いわゆる土帰月来、そういうようなことをおっしゃっておられるのだと思いますが、これについてはその認定についていろいろと事例がございまして、結論だけ申し上げますと、認められている場合もございますし、それからこれは住居としてはなかなか認められないという場合もございます。しかし、現在の社会情勢といいますか、それと密接な関連があるものでございますから、その住居性についてはこれからも十分検討していかなければならない問題だと考えております。
  93. 左近正男

    左近委員 今までも論議があったと思いますが、教師の家庭訪問中の交通災害については、私はこれは公務災害だと思いますが、原則的にはそういうことでよろしいですね。
  94. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 家庭訪問の場合でございますが、これもいろいろ具体的な事例で認定をしなければならないものでございますから、非常に一般的な話としましては、公務のために生徒宅に立ち寄ったということになろうかと思います。したがって、公務災害の対象となり得るだろうと思います。
  95. 左近正男

    左近委員 次に、二十八条の休業補償問題。「監獄、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されている場合」、これは具体的に何を指すのですか。
  96. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 拘禁されている場合でございますが、これは拘留に処せられた者は拘留場に拘禁されることになりますし、それから拘留場は監獄の一種であるということでございます。
  97. 左近正男

    左近委員 今のこと、そんなもの答弁になってないよ。  これは非常に問題のある条項だと思うのですね。ここに、二十八条に「拘禁」という言葉を使うているわけです。「拘禁」とは刑法第十六条の「拘留」を指すのか、「労役場」というのは刑法第十八条の「労役場留置」を指すのか、明確にしてくださいよ。
  98. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 刑法十六条の「拘留」はこれに該当いたしますし、それから「労役場」もおっしゃるとおりでございます。
  99. 左近正男

    左近委員 結局これは刑法第十六条、十八条の適用ということでございますが、これは非常に問題があると僕は思いますね。破廉恥なんかの場合にはこんな公務災害年金の対象とかなんとかになるはずはないわけでありまして、これの対象になるのは業務上派生する問題なんですね。特に、例えばバスの運転手。大きな事故が起こった、本人もけがをしてあれだ、これは当然業務上過失ということで取り調べを受けますね。当然警察に何日間か勾留されるわけですよね。こんな場合もこの法案を適用するのですか。
  100. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 基本的には先ほど先生のおっしゃったような規定になっておるわけでございますが、例外として、自治省令で除かれるものがあることになっております。例えば公務によって自分も負傷した、刑事責任に問われるという場合などの取り扱いにつきましては、細部について労災、国公災等の状況を見ながら検討していかなければならないと思います。
  101. 左近正男

    左近委員 あなたのところは主体性ないんかいな、よその状況ばかり見ると言って。  だから、刑が確定以前の拘禁については対象にしないということでよろしいんですね。
  102. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 よろしゅうございます。
  103. 左近正男

    左近委員 その上に立って、さらに、バスの運転手なんかが、これは本人の不注意であれば別ですが、不可抗力的なものでも今日業務上過失適用になるわけでして、こういう場合に支給しないというのは少しおかしいんじゃないですか。家族は何で生活せいと言うんですか。一遍自分がそういう立場になったと仮定して考えてみてくださいよ。まじめに仕事をして、今日の交通戦争の中で業務上起こった、本人は一生懸命やっておったけれども法的には業務上過失でいかれた、それで一年なり刑務所に入った、その間家族は何で生活するんですか。こんなばかな法案あるかいね。あなたはどう思いますか。そんなことは何もしてやらへんの。
  104. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 この休業補償の制限につきましては、先ほども申し上げましたように、その具体的な細部についてはこれからさらに詰めなければならない問題でございます。先生のただいま御指摘のようなことにつきましても十分念頭に置きながら検討していかなければならないと思っております。
  105. 左近正男

    左近委員 これは配慮してくれますな。こんなのせんかったらあかんよ。もう一遍はっきりしてくれよ。
  106. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 まだ労災の方でも結論が出ていないところでございまして、労災の方でも宿題が出ておるようでございます。向こうとも相談をして検討してまいりたいと考えております。
  107. 左近正男

    左近委員 前向きに検討するの。前向きやな。後ろやったら何ぼ検討してもあかんのやで。
  108. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 十分念頭に置かしていただきます。
  109. 左近正男

    左近委員 さっきから言うように、僕は常識的に物を判断してほしいと思うのですよ。  そこで、執行猶予なんというのは当然関係ないですね。
  110. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 執行猶予の場合には働いておられるといいますか、拘禁されませんので、当然対象になりません。
  111. 左近正男

    左近委員 それでは、もう時間もありませんので、地方公務員災害補償基金理事長の柳沢さん、どうも御苦労さんでございます。少し御質問をしたいと思います。  当委員会でも、例えば六十年六月十三日の百二国会で附帯決議がされているわけです。その一項目を申し上げますと、「地方公務員災補償基金審査会及び同支部審査会の運営の適正化を図るとともに、審査案件の処理の迅速化に努めること。」こういう附帯決議が付されているわけですが、理事長としてはどのような所信で今基金の運営をされているんですか。
  112. 柳沢長治

    柳沢参考人 お答えします。  審査会は不服申し立ての審査をする機関でございまして、職員の生活の安定あるいは福祉にかなり密接な関係がございます。そういう点で、中立的な第三者機関として公正な審査をなるべく迅速にしていただきたい、このように考えております。
  113. 左近正男

    左近委員 それでは、本院のこの委員会決定された附帯決議の趣旨に沿って今業務の遂行をしておられるということでよろしいですか。答弁してください。
  114. 柳沢長治

    柳沢参考人 その趣旨に沿ってやっております。
  115. 左近正男

    左近委員 それでは、少し具体的な問題でお聞きをしたいと思いますが、基金本部は理事長以下何人の職員で構成されておりますか。
  116. 柳沢長治

    柳沢参考人 役員三名と職員四十六名、それで四十六名の職員のうちアルバイトが四名ということでございます。
  117. 左近正男

    左近委員 この職員構成で基金運営は円滑かつ迅速にされておるという確信をお持ちですか。
  118. 柳沢長治

    柳沢参考人 御存じのとおり、基金の業務の実施はほとんど支部でやっております。そういう点で、本部の方では一応支部の指導あるいは支部職員の研修、災害統計の収集というふうなことを中心にやっておりますので、この四十六人の職員を適正に配置して一応円滑に運営されている、このように考えております。
  119. 左近正男

    左近委員 私が聞くところでは、役員、職員とも自治省や人事院などの天下りや出向者が非常に多い。基金におられる期間も非常に短い。したがって、専門的な知識をしっかりと身につける前にもとの古巣へ帰られるとかそういうようなことがあるということでございますが、この辺はどうですか。事実ですか。それとも私の聞いているのが間違いですか。いかがですか。
  120. 柳沢長治

    柳沢参考人 基金の職員につきましては、自治省並びに人事院から大多数の方に出向していただいております。平均在職期間は二年半くらいでございますが、その間、職員の研修等を通じまして基金の業務については一応支障がない、このように考えております。
  121. 左近正男

    左近委員 昭和四十二年から約二十年近くになるわけですが、プロパーの職員はこの中で何人おられるのですか。
  122. 柳沢長治

    柳沢参考人 基金本部は四名でございます。支部につきましては百三十三名でございます。
  123. 左近正男

    左近委員 今理事長は非常に円滑、迅速に行われているということですが、実際四十六人のときにプロパーの方々が四人、あと二年半したら全部順送りに交代される、こういうようなところで、基金問題について、特にこの審査の専門的な問題について、十分職務に堪能しておるというような状況が基金の中でつくられておるとは思われないのです。その点理事長として懸念はないですか。あなた自身、どこから来られたのですか。
  124. 柳沢長治

    柳沢参考人 御指摘の点でございますが、職員の平均勤続年数が二年半と申し上げましたのは、昨年までは休職という制度を利用しまして自治省ないし人事院から派遣していただいておったわけですが、休職期間が三年ということで二年半程度の回転になったと思いますが、今度は制度が変わりまして、一応退職をして派遣されるということで五年程度までは勤務できる、こういう形になりますので、自治省、人事院についてはなるべく長く職員を置いていただきたい、こういうことをお願いしておるところでございます。  私はかつて自治省の行政局長を務めさせていただきました。
  125. 左近正男

    左近委員 そこで、この地方公務員災害補償基金審査会、ここにいろいろ問題点があるわけですが、この再審査請求された件数は今日までどれくらいなのか。その中での棄却件数と救済件数を具体的にひとつ教えてください。
  126. 柳沢長治

    柳沢参考人 基金の発足以来、昭和六十年度末までに審査会が受けた再審査請求の件数は二百八十九件でございますが、このうち二百六十一件について裁決等の処理が行われておりまして、そのうち二百三十件が棄却、十三件が取り消しまたは一部取り消し、十八件が却下となっております。
  127. 左近正男

    左近委員 それでは救済件数は何件なんですか。
  128. 柳沢長治

    柳沢参考人 取り消し、一部取り消しというのが救済件数でございまして、十三件でございます。
  129. 左近正男

    左近委員 これは救済件数が非常に低い。例えば民間の場合の労働保険審査会、同じような機能をしている機関ですね。ここと対比をしても地方公務員の方は数段に低いわけですね。低いというのは、厳しい。だから審査会の審査の内容なり、その委員の選定の問題なり、もろもろの問題が今日出ているわけですよ。あなた方もそういう声は聞いておられるだろうと思うのです。この審査は密室でやられておる。民間の労働保険審査会ではどれぐらい救済されておると思われますか。どうですか。わかりませんか。  私の調べたのでは一五%以上救済されておるということですね。その辺、今いろいろ答弁ではこの労災の関係や何か言われるけれども、肝心の審査会の実態というのは、公務員の場合は私はどこかに欠陥があると思うのですよ。何でこんなに救済件数が低いんですか。どう思われますか。
  130. 柳沢長治

    柳沢参考人 大体一年の請求件数が三万五千件くらいございますが、公務災害と認定されたものは九九・二%ほどございます。それで、〇・八%が一応非該当である。その非該当になられた方が支部審査会、それから審査会、こういうふうにくるわけでございますが、大体審査会で救済されるのは五%くらいでございます。支部審査会の方では三〇%くらい救済されます。そういう点で、公務災害の認定が非常に難しいというふうなものが出てくるのではなかろうかと思いますので、この点はやむを得ないのではなかろうか、こういうふうに考えております。
  131. 左近正男

    左近委員 これは機構は民間の労災と同じじゃないですか。今言われたような状況ではないですか。
  132. 柳沢長治

    柳沢参考人 民間も二審制をとっておりますし、私の方もそうですから同じだと思います。
  133. 左近正男

    左近委員 だから、民間の労働保険審査会では大体一五%以上の救済件数である、ところがあなたのところでは五%です。非常に開きがあると思うのです。同じような二審制をとっているんですよ。やはり認定基準の問題とかいろいろな問題に少し欠陥がある、欠陥まではいかなくとも運営に問題があるなというような判断をされませんか、どうですか。
  134. 柳沢長治

    柳沢参考人 今、私、手元に資料がありませんので正確なお答えができないと思いますが、地方公務員の場合には九九・二%まで最初の段階で救済しております。民間の方はそこまでの率はいっていないのではなかろうか、こういうふうに思いますが……。
  135. 左近正男

    左近委員 一応実態を一遍調べてみてくださいよ。  そこで、こういうような問題が出るのはなぜかということですよね。公務災害の認定基準に非常に問題があるんじゃないか。僕は専門家ではないのでわかりませんが、今あなた方が認定の基準にしておるのは、業務遂行性と業務起因性、これが相当因果関係がなければならないということを大前提にしておるわけですよね。私はこの考え方が理屈ではわからぬことはないけれども、この解釈は余りにも厳格過ぎるんじゃないか、もう少し合理的な関連性、こういうものを公務災害の中に入れるべきじゃないかと僕は思うのですね。その辺、あなたの方ではどうお考えでしょうかね。これが基本なんです、ここが。これをもう少し、あああの病気は一〇〇%ではないけれども業務によってかなり影響を受けているなということであれば、それはやはり救い上げてあげるということがこの制度趣旨ではないかと私は思うのですよね。それが、物理の方程式みたいな、起因性なり遂行性がイコールにならなければ認めないというような、厳格なしゃくし定規の運営のところにこの棄却件数が非常に多くなっている原因がある、ここが問題だと私は思うのです。その点について、あなたの方ではどういうような運用をされているのか。私が今言うことについては、君は理にかなわぬことを言うておると思うのか、どうですか。その辺、僕はここをはっきりしていただきたいと思うのですね。これは職員を救うための制度でしょう。何もかも救えとは私は言っていないのですよ。相当合理的な因果関係があれば、やはり認めるべきじゃないかということを申し上げているわけで、この辺いかがですか。
  136. 柳沢長治

    柳沢参考人 補償の認定に当たりましては、災害公務と相当因果関係があるかということで判断しております。その間に公務の遂行性あるいは起因性という問題が絡んできますが、基本は災害公務との間に相当因果関係があるかどうかということで判断しております。これは労災も国公災も全く同じ考え方でございまして、我が国の補償制度の基本的な考え方でございます。  ただ、今先生が御指摘になられましたように、職員をできる限り救済するというのが法律等の趣旨でございますので、基金といたしましては、できる限り職員に有利な資料を集めるというふうな形で、できる限り救済をするという形でやっております。
  137. 左近正男

    左近委員 今理事長が言われたように、やはり職員の生活なりそういうものをきっちり保護すると言えばおこがましいわけですが救済をしていくというような観点から、やはり本法なりあるいは基金運営を私はしていただかなければならぬと思うのです。  そこで、職業起因性の疾病として、今腰痛問題、それと頸肩腕障害、それと循環器系の障害、この三つがかなりあなたのところの審査の中でチェックされているわけですよね。我々は、特に頸腕障害については当然相当因果関係があるというような判断をしているわけですね。これは裁判所のいろいろな判例もあるかもわかりませんよ。あるかもわかりませんが、やはりその辺についてもう少し前向きにあなたの方では考えていくべき時期ではないか。最近の業務の内容を見ていただきたいと僕は思うのですよね。この種病気になる方々が非常に多い。だから、そういう点について今日、特にこの頸肩腕障害問題についてどういうような見解をお持ちなのか、お聞きしておきたいと思います。
  138. 柳沢長治

    柳沢参考人 頸肩腕につきましては、そのすべてが職業病とは認定されてないということになっておりますが、例えば、せん孔とかタイプ、電話、電信等で特に上肢に過度の負担がかかるというふうな職種に従事する職員につきましては認定していくという形にしております。  また、保母とか調理員がよく問題になりますが、これは医学的にはなかなか職業病として解明はされておりませんが、基金といたしましては、個々の実態を審査しまして、公務と相当因果関係がある、こういうものについては認定していくという形で考えております。  それから脳心事案につきましては、なかなか医学的判断が難しい、本人の素因によるものであるか、あるいは公務過重性によるものかという判断が非常に難しいわけでございますが、先ほどお答えしましたように、なるべく職員の立場に立って考えていくというようなことでやっております。
  139. 左近正男

    左近委員 頸骨腕障害についてもケース・バイ・ケースで対応するという答弁でございますので、今後この労災の認定基準の中にしっかりと位置づけをしてもらいたいという強い希望を私はこの際申し上げておきたいと思います。  そこで、今日、基金運営について支部があるわけですが、私は、やはり現場で起こってくるこういうようなもろもろの問題について、もっと支部に認定の権限を与えるべきじゃないかと思うのですね。あなたのところでは、何か認定の相談をすべき、支部長から理事長に協議すべき事項の指定について、こういうような文書で、特に第七項では、そのことをかなり厳格に指定をされているわけですね。私は、こういうようなやり方について、少し硬直過ぎるんじゃないか、もっと支部の段階のそういう判断を尊重すべきじゃないか、こういう考えを持っていますが、いかがですか。
  140. 柳沢長治

    柳沢参考人 補償を迅速、公正に実施するという点につきましては、できる限り支部に権限を委任するということにつきましては御指摘のとおりだと思います。  現在、理事長協議事項としてある項目がございますが、これは、支部長がなかなか判断が困難であるという問題につきまして協議するという形になっております。また、ある事案につきまして全国的に問題があるというふうな、全国的な統一をしなければならぬという事案もございますので、こういうものについては一応協議事項として残さざるを得ない。しかし、なるべく支部に権限を委譲するという考え方については私も賛成でございます。
  141. 左近正男

    左近委員 そういうことで、きょうは時間が余りございませんでしたが、理事長の所見を伺えば、私が質問した数項目についてかなり前向きな御答弁もいただいておりますので、理事長に対する御質問はこれで終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。  そこで、ちょっと関連する事項で、もう時間もございませんので、二、三質問をしておきますが、この補償の請求権の時効が二年間になっているわけで、これは障害補償なり遺族補償は五年でございますが、これは今日交通事故等の問題を考えれば、むち打ち——この二年という期間については民法上もいろいろな期間設定があるわけでして、私はこの二年というのはやはりもう少し延長すべきじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。
  142. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 時効の設定についてはいろいろ御意見があろうかと思いますが、言うまでもなく、これは制度の安定という観点でそれぞれ定められておるものでございます。この療養補償、休業補償等の場合、例えば療養補償の場合でいいますと、療養費用の支払い義務の確定日から時効が始まりますものですから、ということは、この場合に例えて申しますと、もう療養が終わっておるわけでございますね。ということもございまして、現在のこの二年というのでもう十分……
  143. 左近正男

    左近委員 一回病院へ行ってそれで終わりの場合もあれば、それから後で出る場合もある。
  144. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ですから、支払い義務の確定した日、そこから二年が始まるわけなので、ですから十分対応できるんじゃないかということを申し上げておるわけでございます。
  145. 左近正男

    左近委員 いや、僕は、例えば業務上むち打ち的なものになった、お医者さんへ行った、これは何もないわということで、それでもう終わってしまうわけだな。それが二年後、やっぱり障害が出てきたという場合に、これは請求権がありますか。
  146. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 発症したときからでございますので、二年過ぎておっても大丈夫なわけでございます。要するに、何もなくて後でむち打ち症が発症した、二年たって発症した場合のことを言っておられるわけでございますね。(左近委員「二年後でもいいの」と呼ぶ)そのとき、その発症したときから始まるということでございます。
  147. 左近正男

    左近委員 何でや。それなら何年までいいのや。僕はむち打ちで軽いと思っておったわけよ。それでお医者さんへ行って、それで一回治療を受けてもう治ったということでまたずっと仕事をしておったわけだ。それで、二年後、二年以降にそういうようなちょっと首がおかしくなったというような障害が出たわけよ。二年後でもいいんですね。
  148. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 もちろん、当然ながら公務災害であるという前提のお話でございますけれども、そこでその病気、それが公務災害によるものであるということで認定さえしておけば、そこで、当然それについて療養費を払わなければいけなくなるわけですが……(左近委員「療養費なんか要らぬわ。もう簡単に済んでいるんだよ」と呼ぶ)ですから、いや、そこから時効は始まる話なので、病気にいつかかったかということじゃなくて、支払い確定日から数えるということですから、時効の話と直接関係はないんじゃないかと思いますが。
  149. 左近正男

    左近委員 そうかな。僕は勉強不足だからよくわからぬね。それだったら何年でもいけるわけだな、未来永劫に。そういうことでいいな。
  150. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 公務災害であるという前提を置いていただきたいと存じます。
  151. 左近正男

    左近委員 僕はもう質問時間が終わってしまったから、一件だけちょっと。  学校給食の調理人が今指が曲がる現象が、自治労の調査では学校給食の調理人の八人に一人に指曲がり現象というのが出ておる。この実態について承知されておりますかな。
  152. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 そういうレポートが自治労から出ているということは存じております。
  153. 左近正男

    左近委員 これについて、あなた方は知らぬ顔しているの。
  154. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これにつきましても、要するに公務によるものであるということが認定されるならばそれは当然公務災害の対象になるだろうということでございます。
  155. 左近正男

    左近委員 僕は形式的なことを聞いているんじゃないのですよ。自治省としてもやっぱり具体的に一遍調査をしていただいて、どういう状況かひとつ報告してください。  質問を終わります。
  156. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、小谷輝二君。
  157. 小谷輝二

    ○小谷委員 最初に地公災の問題に関連いたしまして、この補償にかかわる受給者の最も多いのが警察官であるようでございます。  そこで、もちろん警察官は厳しい訓練を初め、暴力団また過激派暴力集団等の制圧検挙、これに努めておられるわけでございますから、その点については敬意を表しておるところでございますが、最近の過激派によるところのゲリラ事件、けさも早朝四時から千葉県内で警察施設が二カ所も爆発炎上するというゲリラ事件があったようでございます。特に最近におきましては自治省とか警察庁を初めとする官公庁を攻撃目標にしたゲリラ事件が起こっておるようでございます。  特に飛距離三キロというふうな高性能の迫撃弾、また圧力がまを利用したところの地雷型の爆弾の輸送事件等々が発生をしておるところでございますが、治安を誇る日本の警察として、その最高責任者である国家公安委員長の、この一連のゲリラ事件に対する御見解をまず伺っておきたいと思います。
  158. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 極左暴力集団が法と秩序を乱し、暴力を用いて事を遂げんとすることは断じて許されることではございません。極左暴力集団は非公然化、軍事化の傾向を強め、凶悪なテロ、ゲリラを敢行し、社会に多大な被害を及ぼしております。特に十月十二日検挙いたしました中核派非公然活動家は、殺りくを目的とする強力な爆発物を開発するなど、これをめぐる情勢は極めて厳しいものがございます。  警察といたしましては、現在総力を挙げて極左対策に取り組んでいるところでございますが、さらに関係各省庁の御協力を得まして、総合的に極左対策を推進してまいる所存でございます。
  159. 小谷輝二

    ○小谷委員 この過激派暴力集団によるところのロケット弾また爆弾等によって例えば警視庁、ここで警察官が災害を受けたような場合、これは地公災の適用はどうなるのか。また警察庁、自治省、このような国家の施設、ここにおる公務員等がこのような災害を受けた場合、これは国家公務員災害補償法適用ということになろうと思いますが、この点についてはいかがですか。
  160. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 ただいま先生仰せになりましたような事案につきましてはその適用が一般的には困難でございますが、具体的なケースに応じまして警察業務の特殊性について十分理解していただくよう努力したいと考えているところでございます。
  161. 小谷輝二

    ○小谷委員 この制度の中に特殊公務災害制度、これが法第四十六条、政令二条、ここで決定されておるわけでございますが、警察官、消防士また麻薬取締官等が身体の危険の及ぶ場所へあえて公務のために任務につき災害を受けた場合、この場合は給付金の五〇%の上積みが決められているようでございます。これが、過激派によるところの爆弾テロ事件が彼らが目的とする場所で、彼らが目的とする役所で、官公庁で発生した場合、そこで働いている職員がこれによって例えば死亡したり障害を受けたときには特殊公務災害制度の適用はどうなるのか、この点はいかがでしょうか。
  162. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 一般的な話でございますけれども、警察官が例えば過激派の活動が予想されるというような場合に警備中であって過激派の暴力活動により被災したという場合、これは通常公務災害に該当するであろうかと存じます。
  163. 小谷輝二

    ○小谷委員 部長、私が聞いているのは、要するに警視庁なら警視庁、特殊な場所で過激派のゲリラ行動の一環として、彼らが目的とする場所で爆発物とかロケット弾が打ち込まれて、そこで警察官なり働く職員が死亡したり災害を受けたり負傷したりした場合には、特殊公務災害の適用はどうなるのかということです。
  164. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 その場合には、特殊公務災害までいくというのは非常に難しかろうかと存じます。
  165. 小谷輝二

    ○小谷委員 要するに、無差別にということではなくして、こういう勤務場所であったがゆえにということであっても、特殊公務災害制度には乗らないのか、適用されないのかどうか、これはどうですか。
  166. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 まず公務災害、特殊ではなくて一般的な公務災害の話でございますが、その場合には恐らく公務災害としてなり得る場合が多いだろうかと存じます。  特殊公務災害の場合では先生もごらんになりましたように、この政令におきまして、警察官の職務、限定がございまして、一般的には特殊公務災害ということにはなりがたいのではなかろうかと存じます。
  167. 小谷輝二

    ○小谷委員 くどいようですけれども、例えば警察の派出所であるがゆえに、また空港関連の的に絞ったところのゲリラ活動が激しいわけですけれども、空港関連の役所であるがゆえに、こういう場合、非常に危険性を常に伴っておるということが明らかな場合、あえて公務のために勤務をしているわけです。ここで災害を受けた場合はどうなのか、こう言っているわけです。
  168. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 いろいろな事例があろうかと存じますけれども、最初に先生おっしゃいましたような政令の規定で読めるかということになりますと、なかなかこの該当に、中に入ってこないということでございまして、例えば非常に危険な場合でありまして、警察官でない職員で同じようなところで働いているような場合ももちろんあるわけでございまして、その警察官の場合に特に特殊公務災害ということが認められましたのは、こういう職務が非常に危険であるという前提で法が構成されておりますので、該当は非常になりにくいというふうに考えます。
  169. 小谷輝二

    ○小谷委員 今後検討課題として十分検討を加えていただきたいと思います。  それから最近の過激派、極左暴力集団と言われておるこの集団は五派二十一流、三万五千人、このように言われておるわけでございますが、これによるところの最近の事件の概要並びに動向について、警察庁の方から御説明をいただきたいと思います。
  170. 三島健二郎

    ○三島政府委員 お答えいたします。  最近のゲリラの傾向でございますが、昨年、六十年一年間におきまして八十七件のゲリラが起きております。それからまた、本年に入りましてから、既に八十四件の発生を見ておりますが、先ほど先生指摘の、けさ起きました事件二件につきましては、現在、現場で確認中でございます。その数字はこの中に入っておりません。したがいまして、千葉県下で起きましたけさの事件がゲリラということで認定されますと、八十六件ということになります。  それでゲリラの内容でございますが、重立ったものを御紹介申し上げますと、ことしの前半、特にサミットをめぐりましてのゲリラが多発をいたしました。その中で、例えば三月二十五日には、戦旗荒派というグループでございますが、これが皇居の半蔵門及びアメリカ大使館に向けまして火炎びんに柄をつけたものを三発ずつ発射するという事件が起きております。それからまた、三月三十一日でありますが、これは革労協というグループでございますが、これが南元町から迎賓館方向へ向けまして金属弾、これは金属の塊でありますが、それを発射いたしました。そのうちの一発が赤坂の御用地内で発見されるという事態がございました。それからまた、五月四日でございますが、これは中革派でございます。牛込の矢来町のマンションから迎賓館へ向けまして発射物を五発発射をいたしまして、これは青山通りあるいは赤坂付近のマンション等の付近で着弾しているのを発見いたしたということでございます。  これがサミットをめぐりまする主なゲリラでございますが、その後もゲリラがございまして、特に最近の発射物のゲリラという点から見ますると、十月十四日に戦旗荒派が運輸省及び首相官邸へ向けましてそれぞれ三発ずつ、これも火炎びんに柄をつけたものを発射し、それが途中で落ちているといった状態でございます。それから、九月二十四日には、首都圏で国鉄のケーブル線を二十二カ所で同時に切断するというゲリラが起きておりますが、これも中革派のグループでございまして、そのために交通機関が混乱するという事態がございます。そのほかのゲリラは、例えば運輸省の航空局の職員のお宅に時限式の発火装置をセットして火をつける、こういったふうな事件がございます。
  171. 小谷輝二

    ○小谷委員 これに対する警察の対応については種々検討され、努力されておるものと思っておりますが、この一連の今まで報道された事件の内容の中で、特に私たちの目を引くものが、すべて盗難車が利用されておるという犯行が多いようであります。警察の対応の中の一つとして、自動車のナンバーの自動読み取りシステム、これが逐次増設されておるようにも思います。そのほか武器の製造に必要な火薬類の管理とか、また警察官の動員等々があるように思いますが、これらのゲリラ事件に対する現在の警察の対応はどのようにされておるのか、この点、御説明いただきたいと思います。
  172. 三島健二郎

    ○三島政府委員 このようなゲリラ事件に対しまして、警察といたしましては、その総力を挙げて実はこれに取り組んでいるところでございます。特に、サミットの時期にあのようなゲリラが多発をいたしたわけでございますので、サミット直後に直ちに警察庁長官通達を全国に発しまして、ゲリラに対しまして警察が全総力を挙げてその取り締まりあるいはゲリラを行いますところの極左の非公然組織の発見、壊滅に努力をするように指示をいたしたところであります。  そういう状況がございまして、例えば昨年からことしにかけまして、極左のグループが犯行の拠点といたしております各種のアジト、こういうものを十九ヵ所摘発いたしておりますし、このような犯行を重ねるグループであります非公然組織のメンバーを三十七名検挙いたしておるところであります。ごく最近では、十月十二日に、先ほど先生の御指摘にもございましたが、これは中核派の者が圧力がまの中に火薬をいっぱい詰めて新型の爆弾をつくって、それを運搬中のところを発見、検挙いたしているところであります。  いずれにいたしましても、このような極左のゲリラ、テロに対しましては、警察の総力を挙げてこれに取り組むということで、現在も所要の装備資器材の整備あるいは警察官の増員等につきまして、関係方面にお願いをしているところであります。さらにまた、科学的資器材を十分活用して、これらに対応するということを考えておるところであります。  さらにまた、警察のみならず、総合的な対策が必要であるということから各省庁にもお願いをいたしまして、人事管理の徹底あるいは自主防護措置を行っていただくこと、あるいはライフラインの安全確保措置指導あるいは関係業界に対しまする指導等をいろいろお願いいたしまして、全体として総合的な極左対策を進めていきたい、かように考えているところでございます。
  173. 小谷輝二

    ○小谷委員 警備態勢の根本的な見直しが必要ではないか、このように思われるわけであります。例えば十月十四日の火炎弾の発射ゲリラ事件、これなんか全く警察庁、警視庁のひざ元で起こった事件でありますし、しかもこの周辺には多数の警察官が常時配置されて警備に当たっておりながら未然に防止できなかった。これは既に警備態勢に限界があるのではなかろうか、態勢を根本的に見直す必要があるのではないか、このように思われるわけでございますが、この点はいかがですか。
  174. 三島健二郎

    ○三島政府委員 ただいま御指摘の事件は、この十月十四日に東京地検のあのわきから、これは戦旗荒派でございますが、火炎瓶に柄をつけたものを発射して、それが霞が関一丁目の交差点まで届いたといったふうなものであります。これにつきましては確かに、成田に関連いたします情勢、それからまた国鉄改革をめぐりまするところの反対の動き等を踏まえまして、警視庁といたしましても警備態勢をしいておったところであります。あの周辺におきましても警察官が現に警戒に当たっていたわけでありますが、その間にちょうど地検の横で乗用車がとまっているというのを発見いたしまして、直ちのその現場へ駆けつけました。そして、そのナンバーを無線で照会をいたしたわけであります。その瞬間に実は後ろのトランクがあいて、そこからただいまの発射式火炎瓶が飛び出した、こういう状態であります。したがいまして、その警察官は直ちにそのトランクを手で閉めました。したがいまして、二発目の発射式火炎瓶はそのトランクの閉めたふたにぶつかってその場に落ちました。しかし、その勢いでトランクが再びあきましたので、三発目がまたさらに外へ出た、こういったふうな状態であります。     〔委員長退席、西田委員長代理着席〕 いずれにいたしましても、警視庁といたしましてはそれなりの態勢というものをしいて、それに対応すべく処置をしておったということであります。  このような事件を未然防止するということになりますと、やはり膨大な警察官の配備というものが必要になってまいるわけであります。同時にまた、事前に防ぐということになりますと、例えば乗用車であってもすべて厳重な検問によるところのチェックをしなければならないといったふうな事態が生じます。こうなりますと、国民の方々にも大変大きな御迷惑がかかるといったふうな状況になるのは、あのサミットのときの状況をごらんいただいてもわかることだと思います。したがいまして、警察といたしましては、ゲリラ情勢に即応いたしまして、それに対応するような形で必要な警戒態勢をしいてきているということでございまして、今後ともゲリラ情勢の判断というものを誤らないようにしながら十分な警戒態勢、警備態勢というものをやってまいりたい、こう思っております。
  175. 小谷輝二

    ○小谷委員 過激派集団が当面の重点闘争として十月二十六日の、あと三日ですね、成田二期工事阻止成田集会、これを予定しておるようでございます。これは五十三年の管制塔占拠事件、大変な事件でございましたが、これを上回るような規模の反対闘争が行われるのではないかとも言われておるわけであります。ここで飛距離三・五キロというふうな迫撃弾が撃ち込まれるとかいうふうなことになれば、これはもう警備範囲も膨大な拡大化を図らなければならぬことになりますし、これに対応する警備態勢、これはできるのかどうか非常に心配されるわけでありますが、これに対してはいかがですか。
  176. 三島健二郎

    ○三島政府委員 御指摘の、一〇・二六と言っておりますが、この十月二十六日の成田におきまする極左等の集会、デモについてでございますが、この関係につきましては確かに相当厳しい反対の行動を示すという動きがございます。ただいま御指摘の五十三年に、開港当時例の管制塔占拠事件等がございましたが、あの当時は九千を上回る極左の動員がございました。今回はそこまでの人数にはならないだろうというふうに見ているところでございます。  ただいままさに御指摘のとおり、例えば三・五キロも飛ぶような発射弾がある、あるいは新しい形の爆弾が製造されているといったふうな事態、それからまた、この秋の闘争は例えば去年もそうでありますが、去年は十月二十日に同じような形の闘争が行われまして、その際に機動隊に対して火炎瓶、投石、さらに鉄パイプでもって襲いかかりまして機動隊員百五十数名がけがをするといったふうな事態も起きております。その際、二百四十一名を現場で検挙いたしておりますが、いずれにいたしましても、この時期の闘争というのは彼らが大変積極的に警察に対して攻撃をしかけてくる、こういう傾向のある闘争でございます。そういう意味では、それを踏まえまして、警察といたしましては必要な警備態勢を全国的に動員いたしましてとりましてこれに対応すべく、現在その準備を進めております。そして、問題はやはり空港そのものの円滑な運営ということでございますので、それにつきまして十分な努力をしてまいりたい、かように思っております。     〔西田委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 小谷輝二

    ○小谷委員 ゲリラ対策の柱となるものは、未然に防止をすることである、このように私たちは思うわけでございます。  その一つとしては、犯行の謀議の拠点、もう一つは発射機とかの製造場所とか、車両の改造場所、こういうふうな工場となるような拠点、また、もう一つは爆発物の資材、火薬等の収集製造拠点、こういうふうなアジトを発見することによって未然に防止することが最大の要件であろう、このように思われるわけであります。それには、一つには全国にそれぞれ所管の警察署があり、警察官が管内のそれぞれの地域で実態の把握に努めておるわけでございますが、警察官の実態の把握と情報の収集、特に広範な国民各層の理解と協力が必要である、このように思われるわけでございます。これがなければ、過激派のゲリラ活動の根絶はできないのではないか、このようにも思われます。したがって、特に外勤警察官の管内の実態の把握につきましてはかなり努力もあると思いますけれども、これも人数その他機動力等によって限界があろうかと思います。したがって、国民の幅広い各層にわたる、子供からお年寄りまで警察に協力しようという、こういうゲリラの拠点等についての情報がどんどん警察に集まってくるというふうな措置、これが必要であろうかと思いますが、この点について警察当局としては事件の未然防止という大きな意味からもどんな方針でどのような考え方で国民の協力を得ようとされておるのか、その点御説明いただきたいと思います。
  178. 三島健二郎

    ○三島政府委員 極左暴力集団のゲリラを行っておりますグループは、極左暴力集団の中でもいわゆる非公然組織と言われている部分でございます。これは全く表には出てこない組織でございまして、何食わぬ顔をして一市民のごとくアパートあるいはマンション等に住まっておりまして、そこでせっせとゲリラのための準備活動、例えば調査活動を行う、各種の研究をする、あるいは武器等を製造する、こういうことでありまして、しかもそのグループは完全に一つの線で縦にしかつながっていない組織でございますので、お互いに横には全然、だれが何をしているかわからない、こういう非常に高度な非公然性を持った組織でございます。そういう意味では、彼らが拠点としている各種のアジトというものを摘発することがこの種のゲリラの防止の上に大変重要であるということはまさに先生の御指摘のとおりでございます。そのための努力を現在までも警察といたしましてはいろいろな形でやってきているわけでありますが、その一つに警察の総力といいますか、とにかく警察は全国的に派出所あるいは駐在所を幅広く持っておりまして、それぞれ日本のあらゆる地域を全部管轄をしているわけでございますので、したがって、その外勤警察官等が自分の管内の実態というものを十分つかまえて、その中から、もしもそのような極左暴力集団が潜んでいるならばそれを発見するというような形の努力をしているのが一つでございます。  さらにまた、各種の彼らが潜みそうな場所といいますのはやはりアパートあるいはマンション等でございますから、そういう場所に対しまするいわゆるローラー作戦ということで、これは専門的な態勢をしきながらも、それぞれ彼らの、一市民の中に溶け込んではいるけれどもちょっと見せる不審点といったふうなものを発見するためのいろいろな努力をしている、こういうことでございます。  そして、もちろんそういう努力を積み重ね、発見するために一番大事なことは、住民の皆様方、国民の皆様方からの御協力をいただくということでございます。そのために我々もいろいろな形で幅広く、例えば政府広報を通じ、あるいは現場的な点から申しましても、警察署においてもいろいろな会合等で極左暴力集団についての説明をし、いろいろな点で国民に対しまして御理解をいただき、あるいは御協力をいただくような形の努力を積み重ねてきているところでございまして、そのような国民の御協力のもとに、我々としては全力を挙げて彼らのこのようなアジト、拠点を発見してまいるように努力をしているところでございます。
  179. 小谷輝二

    ○小谷委員 五十九年四月に、大阪府庁の関西空港対策室並びに大阪科学技術センター、ここに爆発物が置かれまして、爆発、炎上し職員が一酸化炭素中毒で手当てを受ける、このような同時多発事件があったわけでございますが、これはもう既に二年からの経過を経ておるわけでございますが、その後の捜査状況はどうなっておりますか。
  180. 三島健二郎

    ○三島政府委員 ただいま御指摘の事件は、昭和五十九年四月四日の午前十一時三十分ごろでありますが、大阪にあります大阪府庁の本館四階、ここには空港対策部の関西国際空港本部があったわけでありますが、その前の廊下で一件、それからもう一件は、同じ大阪府内でございますが、財団法人大阪科学技術センタービルの三階で、ここの二階には実は運輸省の大阪航空局の関西連絡室が入っておったわけでございますが、この三階の廊下、この二カ所におきまして時限式の発火装置が発火をいたしまして、この関係で、両事件で約十名の方々が一時的に一酸化炭素中毒を負ったという事件でございます。  この事件につきましては、直ちに大阪府警本部におきまして、警備部長を長といたします捜査本部を設置いたしまして、その後この犯行を行ったのが中核派であるということが判明いたしましたので、中核派の事務所などの活動拠点に対しまして捜索を実施いたしたところでございます。その後、現場にありましたところの各種の遺留品の捜査あるいは中核派自体に対しますところの組織捜査というものを鋭意続けてきているところでございますが、現在までまだ犯人の検挙には至っておりません。
  181. 小谷輝二

    ○小谷委員 関西国際空港建設工事がいよいよ着工となるわけでございますが、反対闘争は一層激化するものと思われます。大阪府警を中心にして警備力の強化、これが急務である、このように思っておるわけでございますが、関西国際空港警備態勢強化についてどのようにお考えになっておるのか。例えば増員、装備等の要求が大阪府警からも出ておると思いますが、警察庁はどのようにこれに対応されておられますか。
  182. 三島健二郎

    ○三島政府委員 関西国際空港につきましては極左暴力集団それぞれ各派におきまして、この空港は巨大軍事空港であるといったふうなこと、あるいは資本主義の延命のための空港である、あるいはまた、生活環境を破壊する空港である、こういったふうな認識でとらえておりまして、この空港に対しますところの反対の行動を現在までも示してきているという状況でございます。  このような極左暴力集団を中心といたしますところの各種の反対闘争等につきまして、警察といたしましてはその都度現在まで必要な警備態勢を整えてその警備の万全を期してきているところでございますが、この新空港の進展に伴いまして、現在もその進展状況を把握しているところでございますし、同時にまたそれをめぐりますところの極左の警備情勢の推移というものを見守っていきたいと思いますが、そのような工事の進展状況なりあるいは警備情勢の変化というものを踏まえながら必要な警備態勢の確立というものを図ってまいりたいと考えているところでございます。当面のところは、全国の警察から所要の警察官の応援等を得ながらその警備に当たっている、こういう状況でございます。
  183. 小谷輝二

    ○小谷委員 いろいろ警察幹部の方々も、特に警備に万全を期すように精神的な訓示なり激励なりはあるようでございますが、当然必要なことはそれに伴うところの人員と装備、これは不可欠でありまして、それは精神的な激励だけで摘発できるものでもなければ未然に防止することができるものでもない、このように思われるわけであります。したがって、この人員の増員の要求も警察庁から大蔵その他の関係省庁に対しても予算の要望等を通してかなりの要望が出ておるようでありますが、昨年度は全く認められていないということも聞いておりますが、この点について、今後の重要な問題であろうと思います。日本の国に対する国際信用の問題にもかかわる問題が空港周辺に起こってくるわけでございます。極左過激暴力集団の活動もますます技術がレベルアップしてきているような状況の中で警察の態勢、装備もより必要だと思います。このことについて大臣考え方、これからの取り組み方、一言お聞きしてこの問題を終わりたいと思います。
  184. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 先生から先ほど来大変御理解のある激励を交えた御質問をいただきまして感謝を申し上げます。  ただいま警備局長から御答弁申し上げましたように、警察の全体制を動員いたしましてただいまこの極左暴力集団に対応しているところでございます。同時に、先生もおっしゃいましたように、世論の支持がなければこれは全うすることができないと思いますので、そのような努力をこれからも続けていきたい。また、全省庁を挙げて、やはり政府全体の総力を挙げて対応することが必要であろうということから、 一昨日の閣議におきましてそのような発言を私もいたしたところでございます。また、国家公安委員長といたしまして、装備の近代化、充実並びに地方警察官の増員につきましては、概算要求におきまして必要な額並びに人員を要求しているところでございます。今のような財政状況の中でなかなか困難でございますが、この日本の自由な社会を守り国民生活の平穏を保つという大事な目的がございますので、政府財政当局に対しましてはさらに熱心に要求を行いまして、先生がおっしゃいましたような装備の充実と人員の増員ということが実現できるように努力をしたいと思いますので、またよろしく御協力をお願い申し上げる次第でございます。
  185. 小谷輝二

    ○小谷委員 地方公務員災害補償法の一部改正法律案につきまして、百二回国会、これは六十年の六月十三日本院の本委員会におきまして、先ほども質問がございましたが、附帯決議がなされております。この内容と、決議を踏まえてどのように善処されたのか、この点をまずお尋ねしたいと思います。
  186. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 附帯決議の内容でございますが、第一には「年金額のスライドについては、引き続きその改善に努めること。」第二には「地方公務員災補償基金審査会及び同支部審査会の運営の適正化を図るとともに、審査案件の処理の迅速化に努めること。」第三には「本法における「福祉施設」という用語については、再検討を図ること。」の三点でございました。  これに対しまして、その趣旨を尊重しまして、処理の迅速化に努めるなど善処しているところでございます。  詳細につきましては政府委員から答弁いたさせます。
  187. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 まず第一点の年金額のスライドでございますが、これは先生御承知のとおり、昭和六十年の法改正におきまして、六%を超えて変動した場合に自動スライドをするということになっております。この改定要件についてさらに改善するということについては、なかなか難しい問題もあるわけでございますけれども、これからも国公災との均衡等を十分図りながら検討していかなければいけない問題であろうかと存じております。  それから、基金の審査会、支部審査会の問題でございますけれども、これまでもこの処理の迅速化につきましては指導に努めてきたことでもありますが、これからも引き続き遺漏がないようにしてまいりたいと思います。特に、処理の迅速化につきましては、案件の九八%以上が二月以内に処理を行っておるところでございまして、昨年の御審議の際に、受理後一年以上経過していたものが七十五件あるということもあったわけでございますけれども、これにつきましては本年十月一日現在に八件にまで減少をしておるところでございます。  それから「福祉施設」という用語につきまして、これも基金と関係機関との間で検討をしておるところでございますけれども、先般の国会でもいろいろと御説明しておりましたように、定着しておる用語ということでございまして、いろいろ意見がございましたが、まだ変更を行うに至っておりませんけれども、今後もこれについては十分意を体していかなければいけないと考えております。
  188. 小谷輝二

    ○小谷委員 国会の委員会の付帯決議ですけれども、これはこの問題だけに限らず、国会の総意であるということで軽々に考えるべきものではない、私はこのように思っております。特に、附帯決議の後にはそれぞれ大臣がその決議を踏まえて決意発表がなされておるわけです。ところが各省庁におきましては案外これを検討されてない。こんな用語の問題なんか何もそんな重要視しなければならぬ内容のものではないというわけです。あえて国会で、検討すべきであるということでこの委員会で決議しているのですよ。そのままやりっ放しですよ。だれが見たってこの言葉が内容と全然マッチしない。随分論議された問題、何もなされてない。そこらを、国会決議をどう考えておるのか。委員会の付帯決議をどのように受けとめて対応していこうとするのか、このことに対して私は省庁の対応に非常に不信を抱いております。どうですか。
  189. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 「福祉施設」の点を例示して特におしかりをいただきましたが、私どもの方といたしましても、この附帯決議の趣旨を体して、先ほども御説明いたしましたように関係機関等とも相当詰めたわけでございますけれども、現在までのところなおまだ結論に至っていないという実情でございます。これからも引き続き努力してまいりたいと存じます。
  190. 小谷輝二

    ○小谷委員 これは警察庁また消防庁、自治省、各省庁ともにですけれども、この国会の附帯決議を踏まえてどのように考えておられるのか。きょう警察庁警務局長がいらしておられるので、一言、国会附帯決議に対してどのように考えていらっしゃるのか。
  191. 大堀太千男

    ○大堀政府委員 国会の附帯決議というものは、私どもにとりまして仕事をやっていく上において非常に重要なものと考えておりますので、なかなかその実現について時間のかかるもの、関係機関等との折衝を要するもの等ございますけれども、誠心誠意その実現に努めるよう努力をしてまいりたい、かように考えております。
  192. 小谷輝二

    ○小谷委員 昨年の六月十三日に地災法のこの法案の審議をいたしましたときに、我が党の吉井議員から、遺族補償年金受給者の家計、生活の実態等の調査を早急にやるべきではないか、このような意見がありまして、当時の古屋自治大臣も早急に実施をいたしますということで、六十年八月に実施されたようでございます。  この実態調査は十年に一回なされるそうでありますけれども、この調査の目的は公災法の改善、また補償、福祉施設の適正な実施のための資料とするということで調査されたようでございますが、調査の結果、現行制度で適正なものと判断をされておるのかどうか、この点はいかがですか。
  193. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 この調査におきましていろいろと御意見が出てまいったことは事実でございまして、これらについてはできるものからしかるべく真剣に取り組んでまいらなければいけないと考えております。  先ほどもお話し申し上げましたように、例えば年金水準の引き上げ、それから相談窓口を設置してほしいとか、その他の援護金も引き上げてほしいとか、いろいろと御意見がございました。これらについても、できるものからそれぞれ改正をするなり、真剣に取り組んでいかなければいけないと考えております。
  194. 小谷輝二

    ○小谷委員 今度の改正は労災法に準じたもので、最高限度額最低限度額を設けて高い年金を抑制し、低い年金を引き上げる、こういう実態に即したものにする、こういうふうに認識をしております。  そこで、現在の受給者の中で今回自治大臣が設定される最高限度額を現時点で超えるもの、これは経過措置として現年金額は保障されるという措置がとられておるわけでございますけれども、一応現在のところで限度額を超える者は何人くらいあるのか、それは全受給者の何%くらいの比率になるのか、この点御説明いただきたいと思います。
  195. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 五十九年四月の状況でございますが、年金受給者が三千百八十五人に対しまして、この試算によって計算をいたしますと最高限度額を上回る年金を支給されている者は二百九十七人、九・三%でございます。
  196. 小谷輝二

    ○小谷委員 おおむね三百人、一〇%弱ですね。これは非常に高い率じゃありませんか。最高限度額の設定が、現在の水準に比べて、一〇%の人が頭打ちなんですからかなり頭打ちの率が高い、したがって、要するに限度額が低いのではないか、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  197. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 今回の制度改正が行われますと、先生御承知のとおり高年齢者のところで一般勤労者稼得能力との関係からかなり山が下がってくるという関係にございます。ただいま申しましたように、一般勤労者との関連ということで一般勤労者全体のおおむね九〇%、高い方からいいますと九五%のところで大多数の方が受けておられる、そういうものを補償しようという考え方でございますので、たまたま現在のところこのように高い率になっておりますけれども、これは比較的高年齢者のところに寄っているのもまた実態でございます。
  198. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回の改正案で、最高及び最低の限度額を労災法の最高最低の額を考慮して自治大臣が定める、こういうことになっておりますね。ところがその考慮、これはどの点をどのように考慮するということなのか私はわからぬわけですけれども、公務員の特殊性というのは社会的にも裁判所でもいろいろな問題で加味して判断をしている。そういう公務員の独特の公務の特殊性、こういうものを十分考慮して高く査定をしようとするのか、特殊性を加味してどう考慮したのか、それともただ考慮というのは労災の水準に合わせるということなのか、この点はどうですか。
  199. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 再々申し上げて恐縮でございますけれども、これは要するに一般勤労者との均衡、したがって労災、国家公務員災害補償との均衡を主眼として行おうとするものでございます。この「考慮して」といいますのは、スライドの時期あるいは限度額の設定の時期が労災が八月でございまして私どもの方は四月でございます。その点がありますために労災の額を基準としながらも、それをもとにして計算をした額ということでございまして、実質的には労災と地方公務員災害補償法国家公務員災害補償法はすべて同一水準ということでございます。
  200. 小谷輝二

    ○小谷委員 公務員公務の特殊性というのは一切考慮しておらぬ。またこの法律改正案では考慮する必要は述べておらぬし、またそういうふうに考慮する考え大臣としてはないということですか。
  201. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 この労災の額を考慮してというのはただいま申しましたとおりでございまして、今度の制度改正のねらいといいますのは、災害補償による年金受給者それから一般勤労者稼得能力との均衡を考慮して定めておるものでございますので、この場合に先生のおっしゃるような公務員の特殊性のために何らかのことを考えるというものではございません。
  202. 小谷輝二

    ○小谷委員 労災制度最高最低限度額の設定は、今もちょっとございましたけれども労働省が六月に実施しております賃金統計調査、これを基礎にして設定されておる、このように思っております。ところがこの労災制度の限度額を水準にして地公災の限度額を決定するということになりましたらちょうど一年以上のおくれがありますね。ずれが出てきますね。だからその一年以上のずれをどのように考慮するのですか、この点は。
  203. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これは年金スライド考え方でございまして、六十一年の八月に出てまいります賃金の実態調査、それに基づいて労災の方ではことしの限度額を算定する、それから公務員関係の場合には、二月一日施行の場合には労災と同じ額で始まりますけれども、四月からはそれに公務員給与のベースアップ率を掛けるというやり方で行うわけでございます。  これは確かに、先生指摘のように公務員給与改定あるいは民間の賃金の状況の調査結果をもとにいたしておりますので、一年おくれというのが出てまいりますけれども、これはそういうスライドのやり方としてすべての年金において現在までとられておる方法でございまして、これを直ちに改善するというのは非常に難しい問題でございます。ただ、再々申し上げておりますように、この年金水準のあり方については常に検討をしていかなければならない問題であろうかと考えております。
  204. 小谷輝二

    ○小谷委員 今回の改正案の柱の一つに通勤の定義の改正があるわけですけれども、日常生活に必要な行為、これは省令で定めるものというところがあるわけでありますが、そのうち特に学校への通学等も含まれるということに今回新たに改正されておるようでございます。この学校の種類、通学の頻度、例えば週に一日とか週に二日とか週に三日とか、これはどのような段階で決定されるのですか。
  205. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先生指摘のとおり、学校等への通学が対象になるわけでございますが、この場合に本人の、職員の職務能力の開発向上に資するということ、そういうものでなければいけないわけでありまして、単に個人的趣味で学校に通うというものは対象にならないわけでございます。  その場合に、通学の頻度といいますのは、その頻度によって職務能力の開発向上に資するか否かという場合の、非常にたまにしか行かないというような場合にはなかなか能力の開発向上に資するという点で欠ける場合も考えられると思いますけれども、直ちにその頻度だけでどうだこうだということにはならないと考えております。
  206. 小谷輝二

    ○小谷委員 先ほどちょっと語句の問題で附帯決議等の問題がありました福祉施設として給付金とかまた援護金が出されておるわけでございます。休業援護金、これは労災の支給基準、支給規定に準じたものとして福祉施設ということで休業援護金として支給されておる、また公務災害の三つの年金、これは傷病、障害、遺族ですか、これらの特別給付金、こういうことで要するに福祉施設という名目の給付金とか援護金が出ておるわけですが、これはすべて二〇%ですね。この二〇%の根拠は何ですか。
  207. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 実はその点についていろいろと勉強してみたわけでございますけれども、具体的にこれのために二〇にしたというものを発見するに至っておりません。ただ、例えばILOの百二十一号の条約あるいは勧告でもってこういう災害補償についての水準最低が決められておりますが、そういうものとの均衡などもあるいは配慮に入っているのではないかと存じます。
  208. 小谷輝二

    ○小谷委員 きょうは本会議がありますので、あと二、三分ありますけれども、以上で質問を終わります。
  209. 石橋一弥

    石橋委員長 この際、暫時休憩をいたします。     午後零時三十分休憩      ────◇─────     午後一時四十二分開議
  210. 石橋一弥

    石橋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。岡田正勝君。
  211. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 最初に、データをお示しいただきたいと思うのですが、地方公務員災害発生状況は一体どのようになっているかということについて、できましたら職種別、年齢別、それから特に地域別について発表願いたいと思います。
  212. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 公務災害は本来起こってはならないものでございますが、万一このような災害に遭いました職員またはその遺族に対しましては、公務災害補償制度によりまして迅速かつ公正な保護を及ぼし、これら職員または遺族の福祉の増進を図ることとしているところでございます。  昭和五十九年度に公務災害の認定を受けました件数は三万四千三百六十件でございまして、この数年間おおむね三万五千件前後で推移しております。内訳の詳細につきましては政府委員から答弁させます。
  213. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 昭和五十九年度中に公務上の災害及び通勤災害として認定した件数は三万四千三百六十件でございます。  職種公務別に申し上げますと、警察職員が六千七百二十一件、それから清掃事業職員が五千九百二十六件、それから義務教育学校職員以外の教育職員五千三十五件、それから義務教育学校職員が三千二百二十五件などでございます。  それから、地域別には、最も多うございますのは関東地方で一万七百五十四件、近畿が八千百十件、中部が四千二百七十一件、北海道、東北地方で三千八百七十七件、九州地方三千百五十八件、中国地方二千百三件、北陸地方千二百四十六件、四国地方八百四十一件の順でございます。  年齢別の認定状況については、資料を作成しておりませんので、お許し願いたいと存じます。
  214. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今、地域別の件数の発表がありましたけれども、非常にばらつきがありますね。地域が、人口密度からいいましてもちょっとばらつきがあるなという感じを受けるのでありますが、地域によって差があるというのは一体どういうわけなんでしょうかね。それから、地域によって災害の認定の取り扱いに差がひょっとしたらあるのかなというような気もするのでありますが、そのことについてお答えください。
  215. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 御指摘のように、地域によって認定件数に差がございますが、これは、例えば都市化の度合いでありますとか、そういう地域性の問題でありますとか、職員職種の構成等で出てきておるのではなかろうかと考えております。  もう一つの御指摘の、公務災害の認定の場合でございますけれども、まず一般的なものとして、統一的な事務処理がなされるように認定基準、これを本部でつくっております。それから、特に支部において取り扱い困難な事例や判断の統一を保つ必要があるというものの認定については本部へ協議をするというような取り扱いをいたしておりまして、認定に差異が生ずることのないようにしておるつもりでございます。
  216. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 じゃ、ちょっと予定外の質問に入らせていただきますが、一応認定基準はつくっている、そうでしょうね。そうだと思いますが、そういたしますと、例えば顔に傷を負ったというような場合ですね。例えば卵大の傷を負ったというようなとき、その認定基準は男女別あるいは年齢別でどういうふうになっていますか。
  217. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 公務によってそういうけがをされたという場合には、そのことによって男女別に差を設けるというようなことはございませんで、そのけがの大小によってしかるべき補償をするということになっておるようでございます。ただ、後その傷が残ったというような場合には、これはまた男女によって若干の差があるということでございます。
  218. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこらは、これは道路交通法なんかでも一般的に言われておる障害でございますから、一般の人が一番よく知っている障害なので、顔に卵大の大きさのけがを負った、その場合の補償、それから後遺症が残った場合、それと男女別などというのは一番簡単な分じゃないですか。一般的な分じゃないですか。
  219. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 十二級のところに「女子の外貌に醜状を残すもの」というものがございまして、したがって、これは十二級の対象になります。それから十四級の方に「男子の外貌に醜状を残すもの」ということで、二級の差があるということでございます。
  220. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこらはもうちょっと楽な気持ちでやろうじゃないですか。例えば十二級だ、十四級だと言っても我々にはちょっとわからぬ、表を持っていませんから。例えば十二級でしたら何百万円です、十四級でしたら何百万円ですというようなことぐらいはちょいとこう、言ってもらうと味があるんですがね。
  221. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 大変失礼いたしました。一時金でございますが、十二級は十五万六千円でございます。それから十四級の場合ですと五万六千円ということでございます。
  222. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 今のは後遺症についてですか。
  223. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 さようでございます。
  224. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 大臣、今お話がありましたように、道路交通、いわゆる交通安全ですね、交通安全の関係で、交通傷害を受けた、こういうような場合は自賠責保険の基準からいいましたら、女性の場合、卵大の傷を後遺症として顔に残すというようなことがあった場合は、年齢に関係なく、お年寄りであろうが若い方であろうが、そういうことに関係なく九百四十九万円、それから男性の場合は二百十七万円、こういう差がついているのですね。それで、今公務員災害の分でお尋ねをいたしましても、十二級で、女性の場合が十五万六千円、男性の場合が五万六千円というような発表がありました。  そこで、予定外の質問でありますが、何でこんなに交通傷害においても公務員災害においても同じ傷があるのに男女の差があるんでしょうか。
  225. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 これはやはり男女における顔の位置づけというものが違うという社会一般の通念に従って決められたものじゃないかと存じます。
  226. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 相当の差ですよね。地方公務員の分におきましても約三倍でしょう。約三倍の差がありますね。それから交通傷害の場合におきましたらちょっと四倍、四倍とは言いませんか、四・五倍ぐらいの差がつくのでありますが、そういうことなんかについては全然奇異に感じない、全然これを改めようとは思っていない、一つも不思議ではない、男と女にそれだけの差があっても当たり前、こういうお考えですか、今現在は。
  227. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 現在の情勢といいますか社会事情からしてそういうふうになっておるのでありましょうが、やはりそこのところが、社会の事情が変わってまいりますれば当然ながら検討すべきことであろうかと思います。  それから、私ちょっと先ほど失礼いたしまして、十五万六千と申し上げましたが、これは百五十六日分でございまして、例えば平均日額が五千円ならその百五十六倍、こういうことでございます。
  228. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 日数ね。男もですか。
  229. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 男の場合も同じでございます。さっき申しましたのは日数でございます。
  230. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それじゃ、次へ進ませていただきます。進ませていただきますですが、とにかく今、顔の傷の問題だけを一つ申し上げたのですけれども、そういうふうに交通傷害においても公務員災害においても男女の差が三倍から四倍もあるというようなことは、これは私は尋常とは思えないと思うのですよ。特に男女雇用平等法が通りました今日、やはり顔に傷ができるというのは男だって余りいいことはないですよ。人をおどかすときの道具にはなるかもしれぬが、それ以外は随分支障があると思いますね。もう不愉快で見たくないというようなこともあるんじゃないでしょうか。だから、こういう点なんかも私は将来ひとつじっくり見直しをお願いをしたい。世の男性軍を代表してお願いしておきます。  次に、心臓病や精神的疾患など公務上の災害であるかどうかという判定が極めて難しい、そういう疾患が今後ますますふえてくると思うのでありますが、どのような基準で認定をしていらっしゃいますか。
  231. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先生おっしゃいますように心臓病等の認定というのは非常に難しゅうございまして、その場合に業務が精神的、肉体的に過重な負担となったものかあるいは職務遂行上の種々の事態が医学上疾病発生の原因とするに足りるかどうか、その業務による過度の負担と発症までの時間的間隔がどうであったかというようなことを十分解明をして、その公務災害の認定に当たる、こういうことになっております。
  232. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その認定の際に医師の判断ですね、医師の診断というのが大きなポイントになってくるんではないかと思うのでありますが、同じ疾患について医師の診断が人によって異なるというような事例はありませんか。
  233. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 御指摘のようにお医者さんの場合によっていろいろと認定といいますか診断があろうかと思います。ただし、この公務災害の認定の場合には意見がいろいろ違うものについてはこれを本部と協議をするなどいたしまして、十分統一的に処理ができるように努力をしておるところでございます。
  234. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 実際にこういう心臓病とか精神的な疾患とかということで疾病を起こされた御家族の皆さんとしたら、この判定が出るまでが大変だと思うのですね。随分長いことかかるんじゃないかと思うのですよ。  それでちょっと突っ込んでお尋ねをするのでありますが、お医者様といえどもコンピューターでありませんので、そのお医者様によってそれぞれ違うと思うのですね。だからこういう場合には一人のお医者さんの診断で本部の判断を伺うのでしょうか、あるいは三人以上の医師の判断をもってそれを本部の診断にお任せをするんでしょうか、どういうシステムになっているんですか。
  235. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 いろいろ事案によるようでございますけれども、非常に難しければ難しいほどたくさんの方に聞くということで、例えば専門医三人ほどの方には意見を聞いているということのようでございます。
  236. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 三人ほどの専門医の意見を聞く、これは当然だと思いますね。当然だと思いますが、大体こういう心臓疾患とかあるいは精神的な疾患とかというような場合には認定がおりるまでにはどのくらいの平均的な日数がかかっておりますか。 一番長いのはどのくらいかかっていますか。
  237. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 本部に上がってまいりましてから三月以内に処理できるように努力しておるということでございます。
  238. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 例えば家族の皆さんからは公務上の疾病だということを申し立てておる、本人はそれを申し立てる能力がないというような場合がありますね。そういう場合に三月以内に、今まで全部三月以内に済んでおりますか、三月を超えたことは一件もありませんか。
  239. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先ほど申し上げましたように、三月内にできるように努力しているということでございまして、ただ、非常に難しい案件についてはそれ以上かかっておるのもあるのも事実でございます。
  240. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 その間の家族、本人の生活はどういうふうになっておるのでしょうか。
  241. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 一般的には公務員の場合には休職が発令されるかあるいはまず病休で休みましてそれから休職になりますから、その病休のときの給料あるいは休職給が出ているということであろうかと思います。
  242. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 それでは次に入らせていただきます。  災害障害を受けた場合、障害を受けたということは将来いつの日か治るということですよね。治癒される、治る、ということが想定されるわけでありますが、あなたはもう治りましたという認定基準はどういうふうになっておるのですか。
  243. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 個別の事例について主治医それからその相談員などの判断によって治癒であるかどうかを決めるということでございます。
  244. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、最近のでいいですから、治癒の認定件数というのはどういう状況でございますか。
  245. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先生の御指摘の数字にぴたりと合っているかどうかはちょっと問題があろうかとは思いますが、通勤災害公務災害の認定件数が三年間、五十七、五十八、五十九の三年間の平均で三万五千百六十五件でございまして、これに対しまして療養開始の後一年半を経過して、そのときに傷病が治癒していないと言われた者が千百六十四件、したがいまして、この割合でいきますと、三・三%が治癒していないということでございます。
  246. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 もし、既に治っている、治癒しているのにかかわらず、治癒認定も受けず、病気のままで補償を受け、仕事も軽減されるというようなことがあるとしたならば、職場での正常者の皆さんの勤労意欲を大変阻害することになると思いますが、そういう実態は全くありませんか。
  247. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 基金におきましては、ただいま申しましたように、一年六カ月かかったところで傷病がまだ治っていないといった場合には、その者から現状報告書を徴しましてその状況を把握しているということでございます。また、治癒報告書を被災職員は出さなければいけないわけでありますが、これを出していないという者については主治医などに療養の現状、治癒の見込みの時期を照会いたしまして、治癒しているかどうかということを押さえていっているわけでございます。  先生のおっしゃるような事例がありますと、大変困りますものですから、そういうことのないように、例えて申しますと、今のような手続で押さえておるというようなことでございます。具体的な事例として先生がおっしゃるようなことがあったというふうには聞いておりません。
  248. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そこで、例えば治癒しておるということを認定するのは、一般的に言うて、例えば通院なさっておる、あるいは入院なさっておるというような状態のときにお医者様が診て、これはもう治っていますよ、もうあなた、出勤可能ですよと言って、出勤になるというのが通常ですね。ところが、お医者さんが積極的にあなたはもう治っておるということを言うような社会情勢に今ありませんね、どっちか言いましたら。ここから先を言うと、また中曽根さんみたいな発言になるから言いませんけれども、私の言っていること、大体わかるでしょう。そうすると、治癒しているということが、なかなか認定が出てこないという現象があちらこちらにいっぱいあるのじゃないかと私は思いますよ。  例えば、どこやらの学校で自動車の中へ閉じこもって出てこない先生がありますね、そういう人にだって悠々と給料払っているわけですね。これはその公務災害の認定を受けたわけではありませんから、事件は別かもわかりませんが、大体こういうようなものですよ。授業にも何にも出てこない、学校へ出ていって子供に教育を教える、それが教員の任務でありながら、実際には学校には出ていっても運動場の片隅で自動車の中に閉じこもっている、それでも悠々と給料は払っている。それであの人はちょっとおかしいんだ、そうだろう、正常者ならあんなことはせぬだろう、こんなことでかえって同情を呼ぶような格好で、給料だけはしゃあしゃあと払われておるというのが今日の御代ですよ。  そういうことから考えますと、仕事に嫌気も差した、職場の空気も気に入らぬ、それから仕事の内容もえらい。もうこのついでに休んでおれば何ぼでも給料をもらえるのだから、治癒認定を受けずにそのままいっておけばいいというような状態が起こり得る可能性があると思うのです。私はここの中にあるとは言いません、想定として。そういう場合には、だれが見ても、あの人は治っておるじゃないか、何だ、あれはぴんぴんしているじゃないか、どこにも異常はないじゃないかとみんなが言っておるのに、本人が治癒の認定を受けないということがあった場合、お医者さんを差し向けて治癒認定の診察をするとかあるいはその病院へ出頭せいというようなそういう命令を下して、そこで診察を行うのですか、そういうことをやるのですか、やらぬのですか、本人任せですか。
  249. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 まず一般的な話としては、地方公務員の場合にもやはり休職でうちでぶらぶらしているよりも、県庁なり市役所に出てきて働きたいという人の方が多いことは、まず御理解いただきたいと思いますが、中に例えば先生のおっしゃるような人があるかもしれません。そういう場合がありませんように、まずさっき申しましたように、治癒報告書などを本人から出させる、それが出てこない場合には主治医に聞きに行く、それからその主治医のところにあるいは本人に言って出頭させるというようなことで、おっしゃるようなことがないように努力はしておるつもりでございます。
  250. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そういうことがないことを私も願っております。願っておりますが、ありそうな話であります。どこにも転がっているような話だと思います。十分ひとつ気をつけていただきたいと思います。  それから、平均給与額についてでありますが、公務災害をこうむった地方公務員補償の算定の基礎となる給与日額の平均は幾らでございますか。
  251. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 年金たる補償に関する平均給与額昭和五十九年度でございますが、九千二百二十六円でございます。
  252. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 この平均給与額というものの算定に当たりましては、私どもの聞いているところでは俸給プラス手当ですね、期末手当を除くすべての手当、いわゆる期末手当だけはのけて、あとはもうどの手当も全部含めてあるというふうに聞くのでありますが、本当ですか。
  253. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 期末手当に勤勉手当を含めておっしゃっておられると思いますが、そのおっしゃるとおりでございます。
  254. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 そうすると、通勤手当や住居手当というようなものも皆含まれておるということになるのでありますが、これは一体どういうわけでそれに含まれるのでしょうか。それから、もっと範囲を広げて言うならば、地方公務員さんの場合は何十種類という手当がありますが、そういうものも全部入ってしまのですね。そうですか。
  255. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先ほど先生指摘のように、期末、勤勉手当以外の手当はすべて平均給与額の算定の基礎に入ります。
  256. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 何十種類もの特殊勤務手当、いわゆる特勤、特勤とよく言われていますが、そういうものまでも全部含まれて給与、それの平均というふうになってくるのだとなりますと、端的に言いますと、行政改革をまじめにやっておる地方自治団体とええころかげんにやっておる地方自治団体とでは大いに給与の差が出てきますね。また、公務員災害補償においても差がぐんと出るわけです。これはもうしょうがないですか。
  257. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 給与の問題については、国家公務員水準とバランスのとれたものにしなければいけないということで、私ども常日ごろ指導に努めておるわけでございますが、現在のところまだ一部の団体におきまして先生おっしゃるような実態になっておることは非常に残念なわけでございます。しかし、この公務災害補償という場合には、労働者災害補償あるいは国家公務員災害補償との均衡の上にできておりまして、これは基本的な考え方として、稼得能力を失ったそのものを補てんしようということで始まっておりますものですから、始まっておるといいますかそういう考え方補償額が定められるものでございますから、そういうことからいたしますと、そのときまでにその人が稼得しておった手当まで対象にするということで仕組みが成っているということでございます。
  258. 岡田正勝

    ○岡田(正)委員 時間がなくなりましたのでこれをもって終わりますが、今私が指摘しました関係も、言うならば行政改革をまじめにやっている人たちは損をする、やってない者は得をするというこの仕組み、こういうことは私は許しておくべきではないと思うのです。行政官庁としましてそういう点はよろしく調整をとるべきである、そのぐらいのことは世の中の公正を保つために自治省は力を発揮してもいいのじゃないかと私は思っておるのであります。  時間がなくなりましたので、これをもって終わります。どうぞ御検討願います。
  259. 石橋一弥

    石橋委員長 次に、経塚幸夫君。
  260. 経塚幸夫

    ○経塚委員 最初に、法案に関してちょっと数字的なことをお尋ねしたいと思います。  御質問に対する御答弁の中で最高額を超える者の割合が九・三%というお答えがあったわけでありますが、これは年齢階層ごとに分類をいたしますとどういうパーセンテージになりますか。
  261. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 ただいま御指摘のように二百九十七人、九・三%の者がおりますが、五十五歳から五十九歳までの階層に七人、六十歳から六十四歳までの階層について二十五人、六十五歳以上の階層について二百六十四人でございます。それぞれの階層についての割合は、最初の七人が一・一%、次が五・五%、次が五〇・〇%でございます。
  262. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それから、これも御答弁の中にありました影響額、六十二年度は二千百万プラスになる、ところが六十七年度は五千八百万逆に減額になるという御答弁だったのですが、六十二年度、六十七年度それぞれその総額、幾らが幾らになるということなんですか。
  263. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 いろいろ難しい計算がございまして、その六十二年、六十七年にどれくらいの補償額がというところまではちょっと出しにくいのでございますけれども、六十年度の決算における補償額は百四十二億四千三百万でございます。
  264. 経塚幸夫

    ○経塚委員 部長、今の答弁は解しかねるのです。あなたの答弁では六十二年度はとにかく二千百万円ふえることになるのだ、六十七年度は減るのだということですが、しかし、その補償給付総額がわからぬで何でふえます、減りますということが言えまんのかな。その推計数字があってこれだけふえまっせ、減りまっせという話が出てきたと私は思うのです。
  265. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 私どもの試算といたしまして、先生のところにも何度か御説明に行った際にお話を申し上げたのではないかと思いますが、この試算は非常に難しゅうございます。年金額の改定状況というだけでの問題ではございませんで、どれくらい新規発生するかというようなことも考えに入れなければいけないわけで、そこで現在の年金について、それがスライドをしないでとまっておる、その額を想定したものでございます。ですから、根っこは変わりませんで、上積みのところを起算したということでございます。
  266. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そういたしますと、この六十年度の百四十二億ベースから見てこれだけふえる、これだけ減る、こういう計算と判断していいのですね。
  267. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 この百四十二億をもとにして計算しておるということでございます。
  268. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それから、収監中の休業補償不支給の問題であります。  これは昭和二十三年七月十三日に労働省からの通達としてこういう解釈が出ておったわけです。「業務上の事由によって災害を蒙った労働者が、監獄、留置場又は労役場に拘禁又は留置された場合又は矯正院又は感化院に入院せしめられた場合でも災害補償原則として行うべきである。」理由として「休業補償は苟も負傷疾病が労働することができない程度のものであるときは、使用者において休業補償を行うべきものであって、補償を受くべき労働者が右の施設にあると否とは何等影響を及ぼすものではない。」恐らく今回は、地公は国公に倣え、国公は労災に倣え、こういう並び方できたと思うのですが、もともとは、支給していた理由はこの通達によってきたものと思うのですが、そうすると、この通達の趣旨は間違いだったということになるわけですか。
  269. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先生のおっしゃるような通達が出ていることは私ども確かに承知いたしておりますが、休業補償を支給するに際してみずからの行為でもって働けないというような事態が発生した場合にはこれについて休業補償を支給するということはやや問題があるのではないかということで、今回こういうような取り扱いに変えよう、先生おっしゃるように、労災もそういうふうにするのに倣って私どももそういうふうにしたいということでございます。
  270. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それでは何のために支給しておったものを不支給にするのかという理由がもう一つはっきりいたしません。ずっとこれで戦後通してきたわけでしょう。だから、支給しておったものを不支給にするにはそれなりの重大な理由がなければならぬと思うのですよ。それをお伺いしているのです。四十年近く続けてきた通達の精神がどこか重大な間違いがあった、瑕疵があった、こういうことで変えられるのか、何となしに変えるということになってきたのか、私はその変える理由を聞いているのです。何か特別の事情があったのか。
  271. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 先ほど申し上げましたように、休業補償といいますのは、災害を受けたことによって勤務ができなくなるということについて支給をするものでございますが、その場合に同じ勤務ができないという状態でありましても、自分の行為によってそういう事態になったという場合には、むしろその勤務につかないというものが、一般的に働けないという場合と若干違うのではないかということでこういうふうな改正をしようとするものであろうかと存じます。
  272. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは全然答弁になってませんがな、私の聞いていることの。通達の趣旨を、部長もう一回言いましょうか。「使用者において休業補償を行うべきものであって、補償を受くべき労働者が右の施設にあると否とは何等影響を及ぼすものではない。」こう言っているのです。全然無関係な問題なのだ、こう言っているのですよ。時間もございませんので、これは変える理由についてはさらさら意味がよくわからない、こういうふうに私の方で解釈をしておきます。  文部省、お見えになっておりますか。文部省にお尋ねをいたします。  昨年幾つかの例を挙げまして、障害児教育に携わっている教職員の腰痛、頸腕それから妊娠障害、こういうものが非常に多発しておるということでお尋ねしましたところ、文部省は調査について検討いたします、こういう御回答だったわけですが、これは調査されましたか、されたのでしたらその結果を簡単に御報告いただきたいと思います。
  273. 岡行輔

    ○岡説明員 お答えいたします。  昨年七月に、文部省では養護学校教職員の腰痛それから頸肩腕症候群、それと妊娠障害実態につきまして都道府県教育委員会を通じて抽出調査をいたしました。その実態は、昭和五十九年度におきます疾病異常の状況でございますが、その状況を簡単に御報告いたします。  まず全国的に見ますと、腰痛につきましては寮母が二一・九%、教員が一六・二%、頸肩腕症候群につきましては寮母が一〇・五%、教員が四・八%、それから妊娠障害につきましては、早産、流産の兆候と言われますいわゆる切迫流産でございますけれども、これは寮母が二一・三%、教員が二〇・九%、早産は寮母が一・九%、教員が二・四%、流産につきましては寮母が六・三%、教員が七・五%、全国的にまとめますと以上のとおりでございます。
  274. 経塚幸夫

    ○経塚委員 京都、大阪は、パーセンテージで結構ですが、腰痛、頸腕、妊娠障害それぞれトータルでどうなっていますか。
  275. 岡行輔

    ○岡説明員 京都府及び大阪府についてのお尋ねでございますけれども、腰痛につきましては、寮母が京都で二三・五%、大阪府はゼロ%でございます。教員につきましては京都府が二五・七%、大阪府が五六・三%。それから、頸肩腕症候群でございますけれども、寮母が京都府で五・九%、大阪府がゼロ%、教員につきましては京都府が八・六%、大阪府が二六・二%。妊娠障害でございますけれども、切迫流産は、寮母が京都府で一五・四%、大阪府はゼロ%、教員につきましては京都府が四五・五%、大阪府が三七・五%。早産につきましては、寮母が京都府、大阪府ともゼロ%、教員につきましては京都府が四・五%、大阪府はゼロ%でございます。流産は、寮母が京都府、大阪府ともゼロ%、教員につきましては京都府が一八・二%、大阪府が一八・八%という状況でございます。
  276. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今の結果をお聞きいたしまして、昨年お尋ねしましたときには五十四年の調査の御報告だったわけですね。五十四年の調査のときには腰痛が四・七%、今回の調査では一六・二%ですね。頸腕につきましては、五十四年の調査では一%だった。今度は四・八%。ですから、かなりふえておりますね。特に異常だと思いますのは妊娠障害ですね。これはトータルいたしますと実に三九・六%。京都、大阪に至りましては、トータルしてその他を含めますと七二・七%と八一%になりますね。これは大変な事態だと思います。文部省としてどういうふうに対応されるのか。  大阪の調査、昨年七月に全障害児学校教職員千五百七十四名について調査をされておりますが、その調査結果によりますと、改善を希望しておるものの順位を若干申し上げますと、施設設備の改善、三五%要望しておるのですね。それから、休憩をとれるようにしてもらいたいというのが四〇%です。それから、職員定数をふやしてもらいたい、六〇%に上っているのですね。とにかく重複児の数がふえてきているのです。そこへ持ってきて過密過大でしょう。これが五十四年度の調査と比べて今回の調査結果で障害が急増してきておる一番大きな原因じゃないかと思うのです。そこで、施設の改善、職員増、さらにこれから公務災害申請が出てくると私は思うのですが、公務と疾病との因果関係というものも明確にすべき段階じゃないかと思うのですが、その点について文部省の御見解はいかがなものですか。
  277. 岡行輔

    ○岡説明員 施設の改善あるいは教職員定数の改善という御指摘でございますけれども、もちろん設置者の方で努力すべき点もございますし、文部省として措置を講じなければならない点もあると思います。特に養護学校の教職員定数の改善という点につきましては、先生御承知のとおりでございますけれども、昭和五十五年度を初年度といたしまして十二年計画によって現在その改善が進行中でございます。引き続きこの教職員定数の改善について努力してまいりたいというように考えております。  いずれにしましても、養護学校の教職員につきましてその職務が特殊な面がございまして、勤務も非常に大変なことは事実でございます。文部省としましても従来から学校の設置者に対しまして、これらの教職員の職務の特殊性にかんがみまして、健康管理を一層徹底するとともに勤務環境の整備を図るために適切な措置を講ずるように指導をしているところでございますけれども、この面につきましても今後とも指導してまいりたいというように考えております。
  278. 経塚幸夫

    ○経塚委員 文部省の方では早く手を打っておいてもらいませんと、妊娠障害などがこんなひどい状況なんです。前回お尋ねしましたときには重複の重度障害児の率、これは四十七年八・三%から五十九年が三六・二%、こういう御答弁だったわけですが、今回も資料を求めましたところ、推計としまして大体五倍ぐらいふえているんですね。ところが教員の数は二・七倍しかふえておらぬわけですよね。こういう実情でありますから、この点かたがた事故を、災害を未然に防止するためにもしかるべき対策を講ずるように強く求めておきます。文部省の方、結構でございます。  それからこれは自治省の方にお尋ねをしたいのですが、これも私は昨年度問題として取り上げたのですが、認定までの期間、随分時間がかかり過ぎるじゃないか、三年も四年もかかっている、これはどういうことなんだ、こうお尋ねしたのですね。第一条に「迅速かつ公正な実施を確保する」、こうなっているんですね。古屋大臣も御答弁になりまして、これはひとつ速やかにやる、こういうことだったんです。これはどんな指導をされたんですか。
  279. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 認定事務は速やかに行われなければならないわけでございますが、現状を申し上げますと受理後一カ月以内に処理されるというものがほとんどでございまして、しかし残念ながらわずかにそれを超えるものもあるわけでございます。このような難しい事案につきましては、資料の収集だとか医学的判断に時間を要するというようないろいろなやむを得ない事由があるわけでございます。認定事務の迅速化につきましては機会あるごとに私どもも基金の方に申しておりますし、また自主的に基金におきましても研修を実施するとか参考図書を配付するというようなことを行いまして、できるだけ早くできるように努力しておるところでございます。
  280. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは去年の答弁と同じですよ。  これは大阪の例でありますが、まだほかにもたくさん例がありますけれども時間がございません。枚方の松岡久子、五十六年十一月申請、堀絹代、友田寛子、これはいずれも五十八年申請、それから寝屋川の保母さん、五十七年七月申請、京都府小谷美世子、これは一番新しくて六十年五月七日申請。長い人は五年ですよ。まだ認定がおりてないんですよ。どないなってますねん、五年も。私は去年例を挙げたときは長くて四年だったんですよ。これは当時の古屋大臣の御答弁もございますが、「ただお話のようにそんなに長くかかるということはどういうわけかと言われますと私もわからないわけでございますが、わからなくてもとにかくこの問題は基金を通じましてできるだけ速やかに処理するように、その調査を早くして早く結論を出すように」督励いたします。これは大臣、今さら改めて申し上げるまでもなく、基金に対しましては大臣としては指揮監督権が強くあるんですね。報告を求められる。命令を出すことができるんですよ。それで私は指摘したんですよ。ところが今申し上げましたように、これは五年たってまだ認定がおりない。これは申請を出した者にしたらたまったものじゃないですよ。この申請書の提出というのはいずれも頸腕だとか腰痛だとか、自分で食事をするのにはしを持つことさえできない状況の中で、申請を出さないことにはと言って同僚、朋輩に助けられながら半年かかり、三カ月かかりして申請書を出した。それが五年間も何の認定もされない。どういうことですか。去年は、これは直ちに改める、こう言ったんですよ。  お尋ねしたいんですが、これは法第一条で「迅速」となっているんですが、「迅速」というのは読む人によって一カ月も迅速なら一日も迅速なら五年も迅速や。読む人で変わってきますのか。「迅速」というのは大体どれくらいの期間と御判断をされておりますのか。これをひとつ聞かせてください。
  281. 柳克樹

    ○柳(克)政府委員 期間をどれくらいということは、もちろんそういうつもりではありませんで、できるだけ早くという御趣旨だろうと思います。  そういうことで処理をいたしておりまして、例えば、その数字を申し上げて恐縮でございますが、六十年で二カ月以上認定にかかっているというものは一・九%でございます。これは五十六年から比較いたしますと、若干ながら改善が認められておるというふうに考えております。もちろんこれで十分だというわけではございませんが、そういうふうに努力をしているということも御理解いただきたいと思います。  それから、昨年の委員会の際に一年以上経過の件数が七十五件あったわけでございますが、これにつきましても、その後努力をいたしました結果、八件にまで減らしてきておるということでございます。
  282. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 前大臣のときにも御答弁申し上げましたとおりの精神で、この補償基金に対しまして災害の認定及び補償事務につきまして円滑に実施するように指導してまいっておりますが、今後ともそのようにさらに改めて指導をしてみたいと思います。  ただいま公務員部長が申し上げましたように、目に見えてこの認定がおくれている案件の数が減っております。六十一年三月三十一日現在で受理後一年以上経過分の件数は六十一件ございますか、昨年が七十五件、ことしが六十一件、六十一年十月一日現在で未処理の件が先ほど申し上げましたように八件でございました。その基金ではそれぞれできる限りの努力をしているということもお認めいただきたいと思います。  やはり困難な事情がそれぞれの案件にあるのであろうと思いますが、御本人にとりましては大変気の毒な状況でございますので、さらに一層この事務の処理を円滑にさせるように通達をしてみたいと思います。
  283. 経塚幸夫

    ○経塚委員 一・九%に減ってきている、こういうことなんですが、これはけがをしたとか現場災害性の認定は早いんです。問題は疾病、腰痛、頸腕、この公務と疾病との因果関係が絡む問題が何年とかかっているんです。しかも、その間の忍耐心というのは大変なものなんですね。それで、しかも何年もかかってあげくの果てはどうなるかというと公務外という認定が非常に多い、ここが問題なんです。私も去年問題にしたのはこの件を問題にしたんですよ。現場で腰を抜かしたとかけがをしたとかいうのは、これは当たり前なんです、はっきりしていますから。それで、こういう腰痛、頸腕等の疾病について、特に職種としては保母、給食婦それから養護学校教職員等々のいわゆる因果関係について明確に結論を出すようにしなければ三年、五年かかりますよ、こういう指摘をしたんですよ。  それからもう一つ、体制上の問題なんですよ。全国的に早く処理されてきておりますと言いますが、これは府県によって随分違いがあるんですよ。何で違いが出てきておるかといいますと、その問題は体制上の問題なんですね。これも資料をとって随分こんなに差があるのかなと思ってびっくりしたわけでありますが、例えば基金の専任職員、基金支部五十七支部の中で専任職員を置いておりますのは三十五支部でしょう。あとは専任職員おらぬじゃないですか。全部兼務でしょう。そして、この場合は、午前中も論議されましたように、二年か三年出向して兼務をしておりますとかわるんですよ。経験が蓄積されまへんがな。この専任職員がおるところも地方によって随分違いますよ。東京は職員一人当たり二百四十七件の処理です。ところが、大阪府は四百三十九件の処理なんです。専任職員の数としては少ないんですよ。名古屋などは専任職員が多いわけでありますから、七十二件の処理で済むんです。こういうところは早いんです、先ほど言いました極めて複雑困難な問題の処理につきましても。だから、なぜこれは対象をふやさないのか、これが一つの問題点であります。  それからもう一つは、これも去年、これは職権主義じゃなしに申請主義になっているのはどういうことなのかと尋ねたら、公務員部長お答えになった、地方公務員の場合は職種が非常に複雑だ、したがって申請主義によっております、職権主義はとっておりませんと。それが申請主義の理由なら、なぜ申請書をもっと尊重しないのかと言いたいのであります。長々と申請書を書かして、そして添付書類を次から次へと提出を求めて、そして三年たち、四年たち、五年ほったらかしで、やっと決裁がおりたと思ったら公務外認定。それで、その理由は何かと言えば、厚生省設置基準によればというのが理由の大半なんでしょう。こんなもの、厚生省の設置基準というのは昭和二十三年につくられたものですがな。戦後の経済が混乱をして、今日ほどでない状況のもとでつくられた設置基準を基準として、これに該当しておるから労務は過重とは認めないというのが大半の理由なんでしょう。こんなことは理由にならぬと思うのですよ。  私はちょっと例を申し上げておきますが、これは吹田市の保母の江口さんという人の例でありますが、申請が五十七年六月、認定が六十一年三月でありますから、これも四年近くかかっておる。それで、あげくの果てに公務外の認定。  この経過を見てみますと、五十七年六月三十日に申請が出ました。本人請求はこれよりはるかに早く、五十五年十月に本人請求しておるわけでありますから、本人請求から見ますと実に六年たっておる勘定になるのですね。この間どんな経過かといいますと、追加資料を出せと言うてきたのが本人請求してから四年目、申請から実に二年六カ月後に初めて基金の方から追加資料を請求してきた。そうしたら、二年六カ月何をしておったんかということになるのですよ。そうして、引き続いて主治医への照会がございましたが、主治医への照会があったのは六十年十月二十三日ですよ。本人請求して実に五年たってから初めて主治医への照会が来たんですよ。これも何しておったんかということになるのですよ。果たして、本人の申請を尊重し、そして本人の申請を尊重する立場からの認定事務作業が進められたかどうか、これは極めて疑問なんですよ。こんなことは改めるべきですよ。あくまでも申請主義をとらせるなら、本人の申請書類というものを、一〇〇%と言わなくても、大方はこれを信用するという立場に立って対処すべきだと私は思います。  時間が参りましたので、最後に大臣にお尋ねをしておきたいと思うのですが、これは民事訴訟の損害賠償事件と私は性格を異にすると思うのですよ。民事事件上の損害賠償請求事件ならば、加害者、被害者双方対等の立場でどうなんだというやりとりが行われなければならぬと思うのです。しかし、そもそもこの災害補償に関する法制定をされました趣旨は、生活権と同時に労働権をどう保障するかという立場から、憲法の精神に基づいてこの法律が制定されたと思うのです。だから、基本はあくまでも救済ということが目的であり見地でなければならぬと私は思うのですよ。そういう労働権と生活権を保障する、救済の観点に立つならば、まさに法律どおり速やかに決裁が行われなければなりませんし、内容としてはあくまでも本人や主治医の申請の趣旨が十分尊重されなければならぬと思うのですが、その点再びこんなことをお尋ねすることがないように、ひとつ的確、公正、しかも迅速な処理を求めたいと思うのですが、最後に大臣の所信をお伺いしておきたいと思います。
  284. 葉梨信行

    葉梨国務大臣 最後に先生が言われました的確、迅速かつ公正に、職員の立場に立ちまして、認定するように指導してまいりたいと思います。
  285. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わります。
  286. 石橋一弥

    石橋委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十六分散会