運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1986-11-26 第107回国会 衆議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月二十六日(水曜日)     午前十時三分開議  出席委員    委員長 佐藤 信二君    理事 臼井日出男君 理事 奥田 幹生君    理事 加藤 卓二君 理事 与謝野 馨君    理事 城地 豊司君 理事 二見 伸明君    理事 青山  丘君       甘利  明君    尾身 幸次君       大坪健一郎君    大西 正男君       奥田 敬和君    梶山 静六君       粕谷  茂君    熊谷  弘君       玉生 孝久君    野田  毅君       野中 英二君    山崎  拓君       緒方 克陽君    奥野 一雄君       上坂  昇君    関山 信之君       浜西 鉄雄君    水田  稔君       薮仲 義彦君    野間 友一君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      近藤 鉄雄君  出席政府委員         経済企画庁調整         局長      川崎  弘君         経済企画庁物価         局長      海野 恒男君         通商産業大臣官         房審議官    末木凰太郎君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    加藤 昭六君         通商産業省基礎         産業局長    鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局長  児玉 幸治君         通商産業省生活         産業局長    浜岡 平一君         資源エネルギー         庁長官     野々内 隆君         資源エネルギー         庁石炭部長   高橋 達直君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡松壯三郎君         中小企業庁長官 岩崎 八男君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   越智 俊典君         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       百瀬  信君         国土庁計画・調         整局計画官   入沢  元君         国土庁土地局土         地政策課長   原  隆之君         大蔵省銀行局銀         行課長     中平 幸典君         農林水産省経済         局農業協同組合         課長      嶌田 道夫君         農林水産省畜産         局食肉鶏卵課長 太田 道士君         農林水産省食品         流通局食品油脂         課長      増田 正尚君         食糧庁管理部企         画課長     日出 英輔君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部技術企画課長 松波 正壽君         労働省職業安定         局業務指導課長 矢田貝寛文君         労働省職業安定         局高齢者対策部         企画課長    木村富美雄君         労働省職業能力         開発局能力開発         課長      大月 和彦君         建設大臣官房政         策課長     斎藤  衛君         建設省道路局企         画課長     三谷  浩君         建設省道路局高         速国道課長   小林 芳夫君         建設省道路局道         路防災対策室長 寺田 章次君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 十一月六日  辞任         補欠選任   甘利  明君     宇野 宗佑君   奥田 敬和君     奥野 誠亮君   熊谷  弘君     海部 俊樹君   中山 太郎君     松野 幸泰君   野田  毅君     村田敬次郎君 同日  辞任         補欠選任   宇野 宗佑君     甘利  明君   奥野 誠亮君     奥田 敬和君   海部 俊樹君     熊谷  弘君   松野 幸泰君     中山 太郎君   村田敬次郎君     野田  毅君 同月二十六日  辞任         補欠選任   工藤  晃君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   野間 友一君     工藤  晃君     ───────────── 十一月十日  科学技術開発評価体制に呼応する開発工学技術者に関する請願嶋崎譲紹介)(第八一二号) 同月十一日  独占禁止法強化改正に関する請願近江巳記夫紹介)(第一〇一一号)  繊維設備共同廃棄事業に関する請願外一件(藤原ひろ子紹介)(第一〇一二号) 同月十四日  悪質商法防止規制に関する請願近江巳記夫紹介)(第一一〇四号)  繊維設備共同廃棄事業に関する請願藤原ひろ子紹介)(第一一〇五号) 同月十七日  円高差益還元に関する請願経塚幸夫紹介)(第一一九〇号)  同外一件(石井郁子紹介)(第一三二八号)  同(経塚幸夫紹介)(第一三二九号)  同(東中光雄紹介)(第一三三〇号)  同外一件(藤田スミ紹介)(第一三三一号)  同(正森成二君紹介)(第一三三二号)  同(村上弘紹介)(第一三三三号)  独占禁止法強化改正に関する請願井上一成紹介)(第一三二二号)  同(石井郁子紹介)(第一三二三号)  同(左近正男紹介)(第一三二四号)  同(東中光雄紹介)(第一三二五号)  同(藤田スミ紹介)(第一三二六号)  同(村上弘紹介)(第一三二七号) 同月十八日  悪質商法防止規制に関する請願井上一成紹介)(第一三九〇号) 同月十九日  中小企業信用補完制度堅持のための財政援助強化に関する請願小沢貞孝紹介)(第一五五七 号)  繊維設備共同廃棄事業に関する請願藤原ひろ子紹介)(第一五五八号) 同月二十日  中小企業信用補完制度堅持のための財政援助強化に関する請願串原義直紹介)(第一六六二号)  同(清水勇紹介)(第一六六三号)  同(井出正一紹介)(第一七六四号)  同(小川元紹介)(第一七六五号)  同(小坂善太郎紹介)(第一七六六号)  同(中島衛紹介)(第一七六七号)  同(中村茂紹介)(第一七六八号)  同(村井仁紹介)(第一七六九号)  同(若林正俊紹介)(第一七七〇号)  同(宮下創平紹介)(第一八五三号)  悪質商法防止規制に関する請願東中光雄紹介)(第一八三三号)  円高差益還元に関する請願浦井洋紹介)(第一八三四号) は本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ────◇─────
  2. 佐藤信二

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。尾身幸次君。
  3. 尾身幸次

    尾身委員 最初に、円高差益還元問題について伺いたいと思います。  現在、通産省電力ガス円高差益還元問題について検討中と伺っておりますが、これにつきましては、産業界を初めといたしまして国民各界各層早期実現の強い要望があるわけでございます。私は、この差益還元はできるだけ早く実施すべきだと思っているわけでございますが、今後のスケジュール及び規模などにつきまして、どうなっているかお伺いをいたします。
  4. 田村元

    田村国務大臣 既に御承知と思いますが、まだ先行き不透明な点は多々ありますけれども、国民のニーズ、また産業界状況等を眺めて、相当のリスクは覚悟しつつも、思い切って還元ということに踏み切ったわけであります。  審議会にお願いをしておるわけでございますけれども、どの程度になるかということは、今後の為替レートあるいは原油ガス等価格にもよりましょうから、これは今後御審議願うとして、時期としては、本来ならば三月末までが第一次の還元ですから四月からということでしょうけれども、思い切ってお年玉ということで一月元旦からということを私は強く求めております。
  5. 尾身幸次

    尾身委員 私は、ただいま大臣から御答弁のありました、これに対する通産省の積極的な対応というものを非常に評価しているわけでございます。  そこで、この差益還元につきましていろいろ問題があると思いますが、その実施に当たりまして三つほど私の要望を申し上げておきたいと思うわけでございます。  その一つは、現在の非常に厳しい経済状況の中で、特に円高で非常に悩んでいる鉄鋼とかあるいは化学、非鉄というような電力消費産業、それから円高で非常に苦しんでいる中小企業皆さんに対して電力コストの低減をする、そういう要望に十分こたえていただきたい、この点が第一点であります。  第二番目には、現在のエネルギー需給緩和状況を踏まえまして、今とられている電気逓増料金制度産業用業務用については特別料金制度家庭用電力については三段料金制度という制度がございまして、設備を新増設をして電気をたくさん使った場合には、産業用にしても家庭用にしても使えば使うほど電力料金が高くなる、こういう制度になっているわけでございます。しかし、これはオイルショック後のいわゆるエネルギー不足のときにできた制度でございまして、エネルギー需給緩和が実現されている今の状況のもとでは、この逓増料金制度というものは内需拡大観点からも可能な限り緩和ないし縮小すべきであると考えているわけでございまして、この点を二点目の要望として申し上げておくわけであります。  三番目に、御存じのとおり電力ガス生活経済必需品であります。そういう意味で電力料金ガス料金については長期安定ということが必要であると考えているわけでございます。先ほど大臣お話がございましたように、円レートの問題にいたしましても原油価格動向にいたしましても、まだまだこれから先行き不透明な状況にあるわけでございます。そこで、料金考えていただく際に、下げていただくのは非常にありがたいわけではございますが、電力料金ガス料金を下げて、その後すぐに例えば円高円安になる、原油価格が上がるというようなことで、またすぐに引き上げるというようなことになったのでは非常に好ましくない、そういう感じがするわけでございます。多少のゆとりを持って、長期安定という観点を十分に踏まえて差益還元における電力ガス料金の決定をお願いしたい、こういうふうに考えるわけでございまして、以上三点を要望として申し上げるわけでございます。この点について大臣のお考えを一言お伺いしたいと思います。
  6. 田村元

    田村国務大臣 全く同感でありまして、まことに適切な御指摘だと思います。今審議会でそういうもろもろの点を御審議いただいておりますが、今の料金制度が今おっしゃったような状況下で定められておるというようなこともありますし、また公共料金安定化ということも当然のことであります。まさにおっしゃるとおりでございまして、そういう点で十分の配慮をしていきたいと思っております。
  7. 尾身幸次

    尾身委員 次に、日本経済全般の問題についてお伺いをさせていただきます。  急激な円高の進展のもとで、我が国経済製造業中心として非常に大きな影響を受けております。とりわけ輸出関連中小企業の方々は非常に厳しい経営を強いられている。そして、地域によりましては失業問題、雇用問題が非常に深刻な問題となってきているわけでありますが、通産省はこの日本経済現状というものをどう認識しておられるか、この点からまずお伺いさせていただきます。
  8. 杉山弘

    杉山政府委員 円高影響によりまして輸出数量がこのところ減少をいたしておりますし、また輸出代金円手取りというものも大きく減っております。一方では安い輸入品が大幅にふえてきておりまして、国内市況というものは極めて低下をしてきておりまして、製造業中心として企業収益が大きく悪化をしている、こういう状況でございます。このために、石炭とか非鉄金属とかということだけではなくて、製造業の基幹的な分野でも雇用調整の動きが出てきております。  また、地域的には、輸出産地中心とした中小企業の多い地域、さらには先ほど申し上げました製造業影響を受けている業種に属するような企業城下町といったところを中心地域経済にも大きな影響が出てきておる、かように判断をいたしております。
  9. 尾身幸次

    尾身委員 そういう経済現状の中で、他方海外との貿易動向を見ますと、ずっと貿易収支黒字が続いているわけでございますが、昨年の円高以来、さらにことしにかけましてこれだけ急激な円高があるにもかかわらず、一方ではいわゆるJカーブ効果がありますし、他方では石油価格の下落という問題もありまして、対外的な貿易収支はむしろ不均衡拡大をしているというふうに考えられるわけでございますが、今の我が国経常収支現状及び見通しがどうなっているか、この点についてお伺いをいたします。
  10. 畠山襄

    畠山政府委員 現在の経常収支状況でございますけれども、六十年度、昨年度の上半期、四—九で二百六十四億ドルでございました経常収支黒字が、今御指摘のような理由によりまして六十一年度の上期は四百七十三億ドルと七九%もふえております。四百七十三億ドルで上期でございますから、下期がこの勢いでいきますと九百数十億ドル、単純に二倍計算すればそういうような状況になっているわけでございます。  ただ、現在までのところは御指摘のようにこういった経常収支黒字拡大傾向にございますが、今後どうなるかということでございますが、輸出数量が先ほどの円高数量ベースで見ますと若干微減傾向になっておりまして、ことしの四—十月で見ましてマイナス〇・六%ということでございますし、輸入はまた数量がふえまして、一七・七%と同じ期間にふえておりますので、そういう輸出の減り、輸入のふえということで、この傾向が続けば今後は少し経常収支黒字幅減少に向かうのではないかと期待しているところでございます。
  11. 尾身幸次

    尾身委員 そういう経常収支黒字幅が、むしろ六十一年度は九百億ドルに達するというような非常に大幅な黒字幅が出そうだというお話であります。じゃ、その黒字幅が出て、日本にだけドルが集まってしまって一体どうなるのかという心配も片方ではあるわけでありますが、しかし他方、これに見合う大幅な資本流出といいますか対外投資といいますか、そういう資本収支赤字が続いておりまして、やはり同じく九百億ドルないし一千億ドル経常収支黒字幅に見合うような資本収支赤字が出ているわけであります。そして、その大部分対外証券投資に向かっているというふうに聞いているわけであります。特にアメリカ向けが非常に大きい。そして、アメリカ向けもそのかなりの部分アメリカ財政赤字を賄う国債の購入に向かっているのではないか。つまり日本貿易収支黒字で得たドルを、資本支出という形でアメリカ財政赤字を賄っているような形になっているのじゃないかということを聞いているわけでございますが、その辺の実態について通産省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  12. 畠山襄

    畠山政府委員 まず我が国長期資本流出でございますが、六十年には八百十八億ドルという額でございまして、今お話しの米国向けはそのうち三百五十四億ドルというところへ、これは昨年の数字でございますがなっております。  それで、ことしの状況がどうかということでございますが、日米間の数字はちょっと来年にならないと出てこないのでございますけれども、全世界向けに一月から九月にかけて九百三十七億ドルという額が出ておりまして、先ほど申しました経常収支黒字に見合った資本収支赤字ということになっているわけでございます。そういったものでアメリカ政府が発行いたします国債を購入している割合が高いのではないかという御指摘でございますが、非常に高うございまして、これも昨年の数字で恐縮でございますが、八五年に米国政府が一年以上の国債を二百九十億ドル新規に発行いたしておりますが、そのうち約百八十億ドル日本が購入している、これは六二%のウエートを占めているというような状況になっているわけでございます。
  13. 尾身幸次

    尾身委員 ただいまそういう日本黒字で得た外貨を海外に向かって資本流出をしているという状況を伺ったわけでございますが、それでは振り返って国内を見ると、我が国の例えば道路とか住宅とか公園とか下水道とか、そういう社会資本というものが現在先進諸国と比べて本当に十分なものになっているのかどうか、そういう点を我々としては考えなければいかぬわけでありますけれども、きょうは建設省の方にもお越しをいただいておりますから、この日本社会資本欧米諸国と比べて一体どうなっているかということについて質問をさせていただきます。
  14. 斎藤衛

    斎藤説明員 今御質問欧米諸国との比較でございますが、著しく立ちおくれております。  幾つかの数字を挙げまして御説明申し上げますと、下水道普及率では日本の三六%に対しましてアメリカでは七二%、イギリスでは九七%、したがいまして欧米諸国の大体二分の一から三分の一程度になっております。  また、一人当たり都市公園面積などで見ましても、東京都区部では二・二平米でございますが、これに対しましてロンドンでは三十・四、パりでは十二・二平米と、主要都市に比べまして大体十分の一というような状況でございます。  それから道路舗装お話もございましたが、道路舗装率では日本は五五・七%という数字になっておりますが、イギリスでは一〇〇%、西ドイツでは九九%、したがいまして欧米諸国の二分の一程度という感じでございます。  それからさらに高速道路延長などもいろいろ議論されておるわけでございますが、自動車一万台当たり高速道路延長で見ますと、日本は〇・八キロぐらいでございますが、これに対しましてアメリカが四・九、西ドイツが三・〇というようなことでございますから、これも欧米の大体二分の一から五分の一程度。  それから最後に、住宅関係が非常に比較されますが、新築住宅平均床面積で見てまいりますと、日本は今のところ八十三・一平米ぐらいでございますが、これに対しましてアメリカは百三十四・八平米、こういうような状況になっております。
  15. 尾身幸次

    尾身委員 ただいまのお話でありますと、例えば下水道についても欧米諸国と比べてまだまだ二分の一か三分の一ぐらいの整備状況である、道路公園住宅についても今欧米諸国と比べると非常に低いという状況であります。そういう一方でお金が余って資本輸出をしているという状況でございますが、建設省も非常に苦労されていろいろ道路とか下水道とか公園とかあるいは住宅のいわゆる五カ年計画とか、そういう計画を持っているわけでございますけれども、ここ数年間、厳しい財政状況のもとでゼロシーリングあるいはマイナスシーリングを強いられているわけであります。そういう状況のもとで、社会資本を充実させるためのいわゆる何カ年計画というものがどの程度実現されているのか、私はこの点非常に立ちおくれているのじゃないかという心配をしているわけでございますが、その実情についてお伺いをいたします。
  16. 斎藤衛

    斎藤説明員 建設省が持っております五カ年計画都市公園、下水等々八本ぐらいございますが、今お話もございましたように、公共事業関係費は、昭和五十五年度以降になろうかと思いますが、ゼロまたはマイナスというような形で抑制されてまいりました。その結果、昭和六十一年度の公共事業関係予算国費を見てまいりますと、昭和五十五年度の国費の〇・九三五倍というような形になっております。このため、昭和六十年度を最終年度といたします五カ年計画都市公園等々ございますが、個々に見てまいりますと、都市公園では七六・六%、下水道では七五・六%、海岸では八二・二%、特定交通安全施設では八九・六%、住宅では九二・七%というような進捗状況になっております。
  17. 尾身幸次

    尾身委員 今のお話を実は通産大臣によく聞いていただきたいと私は思っているのでありますが、先ほど来ずっと質問をしてまいりましたが、我が国は一方では貿易面で非常に大幅な黒字が出ている、ことしも経常収支黒字幅が九百億ドル前後にまで上がろうという大幅な黒字が出ているわけであります。そして、その大きな黒字を一体どうやって使っているかといえば、やはり九百億ドルから一千億ドルにも上るいわゆる対外投資、これは証券投資が大部分だと思いますけれども、その対外投資を行ってこれを海外流出させている。そしてよく見ると、その相当部分アメリカ財政赤字を賄う国債を購入している。アメリカは去年は二千億ドル赤字でありましたが、ことしは二千二百億ドルまで財政赤字が膨らんでいると伺っているわけでございますが、そういう状況を、我が国輸出で得たお金外国に回して貸している、そういう状況が一方であるわけであります。  他方日本国内状況を見ると、先ほど言いましたように雇用問題になるほどの深刻な国内不況円高中小企業やその他製造業関係皆さんが大変に苦しんでいる景気の停滞が一方であります。そうして、それでは日本社会資本はどうかというと、先ほど建設省からお話がございましたが、大臣下水道等については非常に専門家でおられるということを私も伺っておりますけれども、欧米諸国に比べまして二分の一とかあるいは三分の一とかいう低い水準の社会資本状況にある。そして今社会資本の充実が順調に行われているかといえば、ゼロシーリングマイナスシーリングという予算の組み方のもとにおいて、いわゆる五カ年計画等が遅々として達成できないという状況にある。国にお金が余っていて外国お金を貸していながら、国内の私どもが住む住宅とか公園とかあるいは道路とかそういう社会資本外国よりもはるかに貧弱な状態でいる、そういう状況にあるこの現状を私は本当に憂えるものであります。  そして、こういう状況を総合的に考えてみますと、これからの経済運営の方向を今までの引き締め一辺倒から転換をしていただかなければならない、私はその時期が今であるというふうに考えているわけでございます。そして今こそ必要に応じて建設国債の増発を行って積極的に公共事業拡大し、財政面から景気拡大を図る必要があると私は確信をしております。そういうことによって日本経済拡大し、それがまた輸入の増大につながる、経常収支黒字幅が縮小する、それによって対外的な貿易摩擦が解消に向かう、我が国経済拡大均衡が実現できる、私は今こそそういうことをやるべきであるというふうに考えているわけでございます。  こういう国の内外の状況を踏まえまして、最有力閣僚の一人でございます田村通産大臣におかれましては、勇断をもって積極的に建設国債などを増発していただき、財政の出動によって景気回復を図っていただくことを私としては強く期待しているわけでございますが、この点について最後通産大臣のお考えと決意のほどをお伺いさせていただきます。
  18. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、何といっても社会資本に投資するということは経済波及効果が非常に大きいわけであります。でありますから、財政が牽引力になっていくということは今一番必要なことだと思うのです。私は建設大臣ではありませんから余り立ち入ったことを申し上げるのもどうかと思いますが、下水道の進捗率が七〇%台であるということはちょっとまた若干違った意味もあるのですけれども、それはそれとして、私は先般ガットで、ある外国大臣から言われたのです。あなたの方は財政が苦しいと言うが、我々から見たら苦しいとは思わない、なぜならば、日本国政府は国民から借金しておるけれども外国から借金してない、子供から親が金を借りておるのと同じようなものじゃないか、他人から借りておるわけじゃないということを言われて、私は翻然目が覚めるような感じがいたしました。  要するに、私たちは今もちろん財政改革という大旆をおろすわけにはいかないと思いますけれども、この余りにも急激な円高によってもたらされた不況に対応するためには、今財政的にも緊急避難という考え方を強く持つべきであると私は思うのです。でありますから、本年の補正予算で八年ぶりにあれだけの建設国債を発行して予算を組んだという財政当局の英断を私は大いに称賛してもよいと思いますが、六十二年度の予算編成に際しましても、やはり緊急避難という考え方をもって公共事業社会資本投資に対して英断を下すべきだというように思っております。全く同意見でございます。
  19. 尾身幸次

    尾身委員 ありがとうございました。  以上で質問を終わります。
  20. 佐藤信二

    佐藤委員長 浜西鉄雄君。
  21. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今御発言がありました与党委員の方と考え方は基本においては同じ立場で、今の日本経済、産業全体の問題について大変心配しておるわけですが、私は前回、ここで質問した際に申し上げておきましたように、秋田県大館市、小坂町、いわゆる北鹿地域と言われるところの鉱山を見てまいりました。関連する鉄工所など、これも具体的に手に取り、さわって直接関係者と話しながら実情をつかんでまいりました。  そういう立場からかなり広範な角度で質問するわけですが、まず冒頭に基本的な問題として、私はこの商工委員会でも主張しましたし、それから物特委員会でもずっとこのことを主張してまいったわけですが、やはり産業構造全体の問題としてとらえて、鉄鋼はこうなったとか、造船が不況になったとか、あるいは金属鉱山が大変不況になったとか、それぞれ手当てをしていくことについて今急がれておるわけですが、その部分部分の問題と別に基本的な問題として、これから先の日本の産業構造全体を持っていく方向の一つの写真というか、こういうものをつくっていかなければならぬときに来ておるのではないかと思います。  ただいま前の方の発言の中にありましたように、やはり一億財テクブームと申しますか、持っておる金を高金利のところにうまく運用しながら少しでも利益を得ていこうというような動き、けさのテレビでも言っておりましたような、豊田商事残党のようなインチキをして金を集める、またそれにやすやすと乗るというこの財テクブームというものが私はその反面にあらわれてきておるというように思うわけです。したがって、このままでいきますと、日本の企業がもうけたお金が結局二重、三重のまた利益として、つまり外国に資本投下されて、そこで安い労賃で生産をされて日本のレッテルを張ってまた売るということ、あるいはそれから得た利益によって外国の社債を買い、証券を買い、その利息なりあるいは配当なりでまた利益を生むというような、そういう時代に今入っておると思うのです。このままでは、外国のNICSが追い上げておるとよく言いますけれども、そういった今日本に追いつこうとしておる国々から見れば、日本の今の状態は絶好の機会だと思うのですね。これは放置できないと思う。  三全総が既に経過をいたしまして、四全総というものが明らかにされるとされたこの秋に、全く四全総の姿があらわれてこない。御承知と思いますけれども、この全国総合開発というものは、その基本にバランスのとれた産業構造というものを志向しておるはずです。そういうものを目指しておるはずです。さらにまた最近では軽薄短小の時代と言われるように、先端産業を中心として、昔ほど大きなもの、重たいものを運ぶという必要性もなくなった。だからなおさら道路整備その他によってバランスのとれた組み立て工場、生産工場、そういうものを日本列島に平均して分散しながらそこで働く人の定住性というものを求めていこう、これが総合開発の法律の私は基本だと思っております。  第四次が間もなく出てくると思いますが、これらはただ通産大臣考えてこうしたいああしたいと言っても、それはそれぞれ例えば道路をつくれば建設省が必要になってくると思う。そういういろいろなところを総合的に国土庁がイニシアチブをとって四全総の中にどのような生かし方をするのか、低迷しておる今の産業界をどのように発展させていくのか。物すごい失業者がある。来年の春には二百万人ぐらいの失業者になるだろうと言われております。こういう状態をどのようにして食いとめて、今は確かにつらいが将来こういう方向で立ち直っていこうではないかという写真が四全総に組み込まれるべきだと私は思いますが、その状況について現時点でわかる範囲内で結構でありますから、大臣の方から、見通し、現状におけるところの認識、これをお願いします。
  22. 入沢元

    ○入沢説明員 我が国の産業構造といいますのは、国際経済社会との調和あるいは国内の需要構造の変化、需要の多様化であるとかそういった需要構造の変化といったものに対応していく中で急速に変化をしていき、その適応の仕方いかんによって経済成長というか景気、そういうものが大きく左右されるということになります。そういうことですから、四全総におきましては、これらの状況を踏まえまして技術革新あるいは情報化の進展といった近年の潮流、こういうものを積極的に受けとめまして、将来の産業構造の姿について検討してまいりたいと思っております。  ただいまお話のございました例えば一部の輸出型産業の縮小の問題であるとか、あるいは製造業海外に立地をする海外立地の進展、そういったことにつきましては地域の雇用環境に対して非常に厳しいものがあるというふうに認識をしております。そこで四全総におきましても、工業の分散であるとか再配置の方針を維持しつつ、地域産業の振興策として技術力の高度化、あるいは高次のサービス産業の育成等、多様な方策を検討してまいりたいというふうに考えておるところでございます。  以上です。
  23. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 今国土庁の方からありましたが、もともと三全総の次に来る新しい計画として四全総がこの秋に出ることになっておったわけです。この委員会でも二カ月くらい前でしたか、そのような答弁もあったわけで、我々はそれを期待しておったのですが、その後、これは新聞紙上ですから確かな話ではありませんが、仄聞するところによると、中曽根総理大臣は、四全総の方向を当初考えられた方向よりか少し修正、つまり都市型、大都市中心の産業構造ということを志向しておるやに聞くわけですが、そういった内容の変化というか、そういうものが四全総に盛られるのかどうなのか、その辺ちょっと聞いておきたいと思います。
  24. 入沢元

    ○入沢説明員 先日新聞で報道されました四全総中間報告でございますが、国土審議会計画部会では、これまでの調査審議を踏まえ、基本的な考え方を中間的に取りまとめる作業を現在行っているところでございます。近く取りまとめが終了する予定でございます。  それから、都市的な観点ということでございますが、それにつきましても検討を行っておるところでございます。
  25. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 どうも答弁があやふやでよくわからぬわけですけれども、ずっと来まして、三全総から今度四全総が出てくる段階ですから、言いかえてみれば、その精神が受け継がれていくのかということです。だから、中曽根総理の発言としてそれが修正されるようなことが、どの新聞かはっきり覚えておりませんがちらちら載りましたので、そういう方向に行くのかどうかという物の考え方を聞いておるわけです。答弁を聞いてみるとしゃんとしないわけですから、また後日、国土庁長官など責任ある人からこの問題については聞いておきたいと思いますが、国土庁はもう少し自分の任務というか役割が今一番大事なときに差しかかってきておるという認識の上で各省庁に、さっきも言いましたが、イニシアをとるような形での提言あるいは連絡会議というものをやってしかるべきだと思います。  おかげで通産大臣が産業調整などの会議を持たれる発想ですが、私はこれは大変結構だと思う。そういう発想をもともと国土庁が持つべきだと私は思うのです。そして、関係するそれぞれの省庁に対して、日本の将来はこうあるべきだ、あるいはこうありたい、通産省はいかが、建設省はどうか、農水省はどうかといろいろな形でそういうものを連絡調整しながら四全総に反映させていくということも一つの任務ではないかと私は思うのです。これは長期的な立場です。長期的な方針としてはそのように持っていかないとどんどん追い上げられて、結局日本では円高によってますます赤字になるから同じつくるならば安い労賃のところへ行って、つまり外国に投資をしてそこで生産した方がはるかにいいというようなことが、もう中小企業に至るまで今そういう空気が蔓延しておると思うわけです。これでは日本の将来はないわけですから、将来構想をつくってそこへ持っていくためのそれぞれの行政指導、あるいは自助努力するような指導のあり方なども含めて、全体をそこへ持っていくというような強い指導姿勢がなければいけない、私は国土庁にそういうことを思うわけであります。今までの答弁からすると大胆な答弁ができないようでありますから、これは要望として言っておきます。  ひとつ通産大臣の方から、ちらちら聞いておりますところの産業調整の会議と申すか、そういうようなものについての構想、物の考え方を聞いておきたいと思います。
  26. 田村元

    田村国務大臣 四全総につきましては、現在、もちろん申すまでもなく国土庁を中心に国土審議会計画部会において、これまでの審議の経過を踏まえまして調査審議経過報告を策定中であると聞いております。十二月の初旬に計画部会から国土審議会に報告を行う予定だというふうに承知をいたしております。  通産省としましては、おっしゃるように国土の均衡ある発展を図ることが重要な課題であると考えておりますし、今後産業構造の転換が進展する過程で、地域における産業の適正立地、雇用機会の確保等を図っていくためには、工業の分散、再配置を引き続き推進するとともに、テクノポリス構想とかリサーチコアの構築とかの推進によりまして、先端技術、それから研究開発機能など高次機能の分散を図っていくことが必要と考えております。現在、審議経過報告にこのような通産省考え方を盛り込んでもらうように事務方で折衝中でございます。  今御意見を承っておって、全く私も同意見でございます。ただ、きょうは国土庁は計画官が来ておりますが、計画官に雄大な構想を言えと言ってもこれは無理かもしれません。通産省側からは我々の意見、希望というものは国土庁側に常時十分述べております。
  27. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 基本的な考えはわかりました。わかりましたが、私ども、大変ショッキングなこととして、けさのNHKのテレビでも、あれはたしかイギリスの貿易相の発言だったと思いますが、かなりの日本企業がイギリスに来ておるというようなことが言われておりました。日本企業が五十七社もイギリスに進出しておるというふうなことで、言ってみれば日本企業に対してかなり反発するような、余りいい印象の話ではなかったように私は受けとめています。そして、イギリスだけではないわけです。かなりのものが世界のあちこちに、夜逃げとまではいきませんが、日本でこのまま企業を続けたのではとてもじゃないが立ち行かないというので、海外へ逃げていくと言っては悪い言葉ですけれども、海外投資という格好であちらでいろいろ企業活動をする。つまり日本経済の空洞化。かつて我々はアメリカ経済の空桐化ということをいろいろ言っておりましたが、今やアメリカどころの騒ぎではない、日本そのものがそういう状態になっておると思うのです。  週刊朝日の一番新しいものですが、これを読んでみたら、「韓国大移動」「日本列島・失業二百万人時代に拍車」という見出しで、かなりの日本企業が今韓国に進出するためのいろいろな行動が開始されておるというわけです。名前も具体的にこの中に挙がっております。エレクトロニクス、精密機械、金属産業、何々電池といったような、日本では余りもうからない、あるいは日本ではもう企業縮小せざるを得ないようなところが、近いからでしょうが、韓国へどんどん進出しつつあるということがかなり大きな見出しで載っておるわけであります。したがって、通産大臣の基本的な考えはわかりましたが、このまま放置しておくと大変なことになるわけでありますから、ぜひ日本の自力の生産力、技術というものを外国に分散しないで、国内で、それこそバランスのとれた、そういう四全総というものに立脚をした産業構造の転換に全力を傾注してもらいたいと思います。そのことを強く訴えておきます。  秋田の鉱山に行ってまいりましたから、今から具体的にその話に移りますが、委員長、私は現場から石を運んでまいりましてここに持ってきましたから、これを展示することの許可をお願いしたいと思います。よろしゅうございますか。
  28. 佐藤信二

    佐藤委員長 はい、許可します。
  29. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 小さいから目に入りにくいと思いますが、ここにきらきらした、一見素人にはこれはひょっとしたらかなり金が入っておるのじゃないかなと思われるような石もある。かなり重たいです。それから真っ黒い石、これは小さい割に大変重たいです。これの専門的な分析の結果は私は余り知りませんが、この黒い方がなかなか値打ちがあるという話を聞いたわけです。これは黒鉱といいます。複雑鉱ともいいますが、名前のとおりこの中にはたくさん含まれておるわけですが、一番多いのは亜鉛、三〇%のようであります。それから鉛の一〇%、バライトが一〇%、銅が二%、あと金とか銀、これは少ないようでありますが、こういうふうな金属を含んだ鉱石が秋田県の大館市を中心とした一帯にあるわけであります。  ここが何とこの円高不況によるしわ寄せというものをもろに受けて、今や閉山したところもあるし、縮小をして、もうからぬものは手をつけない。つまり何とか採算のとれる黒鉱ぐらいを掘り進んでそれで頑張る以外にない。これとても、とてもじゃないが見通しの明るい状態ではない、こういうのが一口に言って現地鉱山の実態であるわけです。莫大な人が、既にもう千人を超す人が失業をして、今訓練所に行ったりあるいはあっちこっち職業を探しに行ったり、大変な状態になっておるわけです。  まず基本的な問題として、この種の鉱山は、もしそれぞれ企業努力でやれということで、政府なりあるいは県なり、行政の側が何もこれを保護してやらなかった場合には、結局私はつぶれるというふうに理解してまいりました。あるいはつぶれないにしても、もうからぬような石はもうほったらかして、何とか採算がとれるだろうという石だけを選んで掘り進めば、山全体の寿命も短くなる。もっと手を加えればたくさんのレアメタルがとれる、それをみすみす捨ててしまう、こういう結果になりかねない。  なぜ私はそれを言うかというと、レアメタルは御承知のようにほとんどアフリカが産出国であります。日本がこれにも期待をし、ここから買っておることも承知しております。ソ連からも買っております。これから先の産業というものにいろいろな種類のレアメタルが必要であるということは、私がここで言う必要はないと思います。現地でちょっと聞きましたが、国策上多少の備蓄というものをやっておられるようでありますが、まず物の考え方として、そのレアメタルをこれから必要とするから備蓄をやっておると私は思うのですが、このレアメタルの必要性というか、これからはそういうものがいろいろな先端技術、先端産業を発達させるために必要だと私は思いますが、このレアメタルについての政府側の認識というか、これについて先に伺っておきたいと思います。
  30. 野々内隆

    ○野々内政府委員 レアメタルは、御指摘のとおり、今後日本が高度情報化社会に移行する、あるいは高度先端技術を開発をしていくという場合に必要不可欠な物質でございます。残念ながら現在のところほとんど一〇〇%に近い輸入に依存をいたしておりますし、かつその産出国が南アフリカあるいは共産圏というふうに、どちらかといえば政情不安定な地域に偏っているというのが世界的実情でございます。したがいまして、私どもとしましては、この長期的な安定供給というものについてエネルギーと同様今後ともできるだけの努力をしていきたいというふうに考えております。
  31. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 日本全国、私の地元でも鉄鋼それから造船不況、たくさんございます。今や大変なことなんです。先般ここで成立しました中小企業対策の法案どおりやるとすれば、大体四十カ所ぐらいという目安で作業が進められておると思うのですが、そういう全体的な中で、特にこういう金属鉱業というものは職種の転換もできなければ、ほかに方法がない、ただひたすらに地下資源を掘り進むだけのところでありますから、これについて国策的にも別建ての手だて、これを救済するというものがなければ自然消滅してしまうのじゃないかと私は思うのであります。したがって、備蓄というものをもっと国策的に考える必要があると思いますが、私が言うのもあれですが、例えばクロムあるいはマンガン、これらは特殊鋼生産には必要欠くべからざるものだ。それからコバルトがなければ強力なエンジンもできないというふうに、私も素人なりきにこういうレアメタルがどんなものに必要になってくるかほぼわかっておりますから、そういうものについて国策上これからもっと備蓄体制をやっていく必要があると思いますが、今の備蓄はどういう状態の備蓄なのか、将来どういう方向で備蓄しようとしておるのか、これを聞いておきたいと思います。
  32. 野々内隆

    ○野々内政府委員 備蓄というのが緊急の事態に対応して非常に有用な方法であるということで、できるだけ備蓄に努めたいと思っておりますが、現在レアメタルの中の七つの鉱種を選びまして国家備蓄、共同備蓄、民間備蓄という形の三つの方式によりまして備蓄を行っておりまして、六十一年度で二十六・四日分の備蓄がございます。私どもとしましては、国内消費の六十日分まで備蓄を持っていきたいというふうに考えておりますが、なかなか現在の苦しい財政事情で思うに任せませんが、着実にこれを進めてまいりたいというふうに考えております。
  33. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 外国に依存をしておるという中に、恐らく南アフリカのことだろうと思いますが、南アフリカが大体七〇%ぐらいではないかと思うのです。昔はかなり多かったわけですが、それ以外にフィリピンとかブラジル、インド、ジンバブエなどあるようですが、大半、六五、六%、七〇%ぐらいを南アフリカに頼っておると思うのです。  御承知のように南アフリカは、アパルトヘイトの問題あるいは過激派グループの動き、ソ連の進出、いろいろの複雑な国際情勢があるわけでして、これは百も承知と思いますが、そういう中でただ輸入だけに頼っておっていいだろうか、万が一ということを考える場合。日本の高い水準にある技術、それをもって私どもは国際的に日本の工業生産というものを輸出してもうけなければならない、技術立国ですから。その技術に必要なこんなレアメタルはほとんど外国からということ、しかも政情不安定な南アフリカということになると、先のことが大変心配であるわけです。これは何にもないから平気でおられるわけですが、万が一ということを考えた場合に、日本のこの種のとれる鉱山、この中に十分含まれておるわけであります。ただ比率によってかなり違いがありましょうが、あるわけであります。これらの製錬技術が随分進んでおるかに私は聞いております。粉末にしてそして何かシャボン玉、泡状のところにくっつけて重たいものは下へ下がる、くっついたものを集めてまた遠心機にかけるとか、大変高度な技術の発達によって昔はとりにくかったレアメタルがとれるという技術まで出てきておるわけです。  そのやさきに円高でぺしゃんこになって、その技術も山も労働者もそこを見捨ててどこかへ転職していくというふうなことが今まさに起こりつつあるわけでありますから、その技術保存のためにも、あるいはそういった鉱石がたくさんあるわけですから、これらについて、私は政情不安定を何回も言うようでありますが、はるかかなたのアフリカに依存するのではなくして、できるだけ備蓄という体制がいつでも切りかえられるような、そういう国策としての取り組みがこの金属鉱山に対しては必要ではなかろうかと思うわけですが、もう一遍その辺について。
  34. 野々内隆

    ○野々内政府委員 どうも特定の国が政情不安というのを申し上げますとはばかりございますので、そういう言い方は取り消しますが、やはり特定の国に多くを依存するというのは非常に危険であると思います。かつてアフリカのある国で紛争が起こりまして供給が途絶えまして、レアメタルが一挙に値段が六倍にも上がったというようなこともございました。したがいまして、私どもは、今後ともそういう特定の国に多くを依存しているような物資につきまして、何とか供給地域を分散するという方向で考えざるを得ない。  その場合に、国内供給というのはやはり最も安定した供給源であるという認識に立っておりまして、鉱業審議会におきましても、国内鉱山というのは最も安定的な供給源であり、これを大事にすべきであるという御示唆もございまして、二十九地域がレアメタルの賦存の可能性のある地域として鉱業審議会から建議がございまして、そこを重点的に六十年度から探査を始めております。
  35. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それで今の答弁と関連をするわけですが、大臣が参議院の方へ行かれる時間帯があるようですから、ここでちょっと大臣に聞いておきたいと思うのです。  前回の委員会で一応結果として否定をされた形になっておりますが、この種の国益上、私が言うのは鉱山の品質と製錬技術という人的な資源ですね、これを保護し育成するためにも、特殊なこういった鉱山については、これは国家的見地からの対策が必要だろうと思うのです。普通の場合でしたら、輸出入で、つまり円高によってもうかったところは電気料金などで社会還元をするとか、あるいは工場の使用する電気料が安くなればそれだけ助かるとか、そういったものも一つの方法として私は理解いたしますが、この種のことについてはこういう価格調整のための特別な配慮が必要だろうと私は思うわけです。  鉱山の社長以下皆さんが技術革新を怠つて、あるいは汗水流すのを怠って、そしてだんだん衰退していくということはある意味ではやむを得ない。しかし、一生懸命になっておっても外的要素、つより円高によって閉山あるいは縮小せざるを得ないということでありますから、これを国策上、他の産業と違う特殊的な事情として、価格補給金制度という名前を前回私は使いましたが、名前はどうでもいいと思うのです。そういう技術を残すために、あるいはそういう鉱山をただぽいにしてしまう、だめにしてしまうよりか、やはりいいものはとって、その中からレアメタルを初めとする貴重な資源というものを国策としてこれに視点を合わせて対処していくということが必要になると思うので、将来ともの話で結構でありますが、この種の、ほかには類のないこういう貴重な地下資源というものに対しては特別な措置、配慮が必要だと思いますが、その点、考え方について大臣の意見を聞いておきたいと思うのです。
  36. 田村元

    田村国務大臣 鉱業審議会の場におきまして、価格差補給金について関係業界や労働組合の代表の委員から切なる要望があった、しかし結局審議会の建議では取り上げられなかったというふうに聞いております。国内鉱山の救済は重要な政策課題でございますが、価格差補給金につきましては、我が国が現在求められている産業構造調整の流れとの関係、また海外からの批判を招く可能性が大きいこと等、いろいろ難しい問題を抱えておると思います。  政府としましては、むしろ超低利の金属鉱業経営安定化融資、あの例の二・二%という非常な超低利でございますが、これについて十分な枠を確保するという方向がより現実的でかつ有効な対策と考えておりまして、先般成立を見ました補正予算によりまして、当初予算では貸付枠が不足する下期融資分について所要の予算を確保いたした次第でございます。
  37. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 時間の関係があるわけですから、大臣、行かれて結構であります。——また延びたのですか、向こうが。それではしばらくおつき合いをお願いします。  それで、審議会のメンバーをばかにしたような言い方は失礼ですが、本当にこれから先の、特に先端技術を必要とする、情報化社会を志向した、そういう前提でいろいろの生産物をこれからつくっていく過程にレアメタルがいかに大切かということ、それからレアメタルの備蓄の現状、今さっき報告がありましたとおりでありますが、わずかで、今度は六十日体制というふうなことを希望を持っておられるようですが、それにしても大したことはないと思うのです。政情不安だということが国際的にどうかは別としても、南アフリカは間違いなくごたごたしている国でありますから、そういうレアメタルの供給源である国の状態、日本のレアメタルの自給体制というか備蓄体制というものを、心細い話でありますが、これら全体を見た上で審議会皆さん方が十分検討されたのか、私はどうしても納得できないわけでありますから、今日以降も、将来日本の産業には欠くべからざる大事な資源であるレアメタルについて、何回か機会があるはずでありますから、鉱業審議会に対してもそのことを反映するような努力を、通産大臣の方からも主張してもらいたいと私は希望するわけであります。  それからこれに関連するわけですが、やはり法的な措置とすれば鉱業基本法、仮称でありますが、鉱業基本法というものによって国策として国益を守る立場からの法律をつくって、根拠のある地下資源というものの対処の仕方というものに将来持っていくべきだと思いますが、今の今直ちにというわけにはまいらぬとしても、そういう基本的な物の考え方を網羅をした鉱業基本法というものについて御検討願いたいと思いますが、大臣のお考え、どうでございましょうか。
  38. 野々内隆

    ○野々内政府委員 実は本年、鉱業審議会におきまして、最近の鉱業が置かれている緊急事態を解消するための方策について議論が行われました。その段階で、委員の中から鉱業基本法というものをつくってはどうかという御意見も出たことは事実でございまして、これにつきましても鉱業審議会で議論されましたが、鉱業基本法というものをつくるにしても、まず中身の方が大事であろう。したがって中身というものをよく検討してみて、鉱業基本法がなければ対応策がとれないということであれば、鉱業基本法そのものについてもあるいは考えられるかもしれないという雰囲気でございまして、当面各種の施策について議論をするというのが中心でございまして、審議会としては鉱業基本法という方向をとらなかったわけでございます。私どもとしましては、法律があるなしにかかわらず、必要な施策というものは今後進めてまいりたいというふうに考えております。
  39. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 それじゃ今後ともその問題については、もう少し内容の必要性というものも頭に入れた上でこれから先も論議していきたいと思いますので、次へ進みます。  現在、言ってみれば次の鉱脈というか、これを探す探鉱、これについていろいろ探鉱する方法が、私は素人でわからぬのですが、広くどの辺に分布しておるかということ、それから今度は重点的に絞って地質精密調査だとか、調査の仕方に段階なりいろいろ方法があると思うのですが、その調査について国がどの程度の助成をしておるのか、これを聞いておきたいと思うのです。
  40. 野々内隆

    ○野々内政府委員 探鉱助成につきましては、いわゆる三段階方式というものをとっております。  第一段階は広域地質構造調査ということでございまして、金属鉱床の調査を促進する地域、こういうものにつきまして地質調査あるいはボーリングというようなもので広い地域について地質構造調査をするというのが第一段階でございまして、これは金属鉱業事業団が国の委託を受けて行うという形で全額国が負担をする形をとっておりまして、六十一年度予算では六億四千六百万円がついております。六十一年度では十三地域がこれで調査をなされております。  第二段階は精密地域構造調査でございまして、これは広域調査の結果優秀な鉱床があるという地層がある地域につきまして、ボーリングとかあるいは構造坑道によりまして精密調査を行うという方式でございまして、これは金属鉱業事業団が国の十五分の十という補助を受けまして、都道府県の補助と若干の鉱業権者の負担を得て実施をいたしておりまして、六十一年度では八地域が行われております。予算が七億四千万円でございます。  その後企業探鉱に移るわけでございますが、特に中小鉱山につきましては中小鉱山振興指導事業費補助金というものがございまして、中小鉱山の開発とか生産計画について助言を行うとともに、坑道掘進につきまして補助金を交付するということにいたしておりまして、これは六十一年度で十二億九千四百万円でございます。そのほか大企業につきましては融資をするという方式をとっております。
  41. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 この金額が十分なのか不足なのか、私にはちょっと素人でよくわかりませんが、第二段階で十五分の十ということですから、十五分の五というものは、それじゃこれは国は助成はしてないわけですね。そうすると第三段階、十二億九千何万円ですか、これの関係はわかりましたが、中小の場合にはそういう補助の仕方ではなくして、探鉱補助金というか、何かそういうふうに聞いておるのですが、だから中小の場合と大きなところとの違いがあるやに聞いておるのですが、その辺をわかりやすくちょっと説明してください。
  42. 野々内隆

    ○野々内政府委員 第二段階の場合には、十五分の十が国の負担でございまして、残りを、十五分の二を都道府県、十五分の三が鉱業権者になっております。  御指摘の中小鉱山につきましては探鉱、掘進の補助が、主として二分の一でございますが、二分の一補助が中小鉱山に対しては行われます。それから大手に対しましては融資ということで行われております。
  43. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 大体様子はわかりました。  問題は、鉱山はいろいろなところにある。地形のいいところ悪いところ、高いところ低いところ、水の出るところ、たくさんあると思うのです。そういう鉱山の条件の違いというものもあったり、それから結果として補助単価というものが、そういう複雑な条件の中でさらに精密調査というか、それをやるわけですから、やはり今の二分の一というのは本当の二分の一にならないで三分の一ぐらいというふうなことも現地でたしか聞いたような気がするのですが、もっとその辺の補助単価の見直しというものを考えてやるべきではなかろうかと思うのです。この点については何か検討されておるようなことがあるのですか。中小の場合です。
  44. 野々内隆

    ○野々内政府委員 補助率の引き上げというのは最近の財政事情からいいますとなかなか難しゅうございまして、私どもも中小鉱山の苦境というものもよくわかっておりますので、財政当局とも相談をし、あるいは中小鉱山の方のいろいろ御意見を伺いながらやっておりまして、できるだけ援助をふやしたいと思っておりますが、いかんせん最近のこういう情勢でございますので、総額として減らさないでいきたい。実はシーリングマイナスになっておりますが、この中小鉱山補助だけは、ほかの方を減らしてでも何とか前年度程度のものは確保する、そのあたりが私どもとしては最大限の努力でございます。  ただ、このほかに実は税で減耗控除制度という制度がございまして、これによりまして探鉱費については積立金、準備金あるいは税額控除という形での支援もあわせて行っております。
  45. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 なかなかいい回答が出てきませんですな。  そこでちょっと角度を変えますが、こういった鉱山が外的要素で大変困って、私が名前を挙げるまでもなく全国的にはかなりのところがやられておるわけでありまして、閉山をしたようなところ、それから縮小したところ、秋田県は小坂町、鹿角市、大館市、あるいはほかには宮城県から岐阜県、福井県、兵庫県などあるわけですが、これはすべて外的要素だと思うのですね。企業努力が足りないでこういうふうに閉山やむなきに至ったということは聞いておりません。したがって円高という外的要素なんですが、今までいろいろ質問しましたけれども、鉱業基本法も今のところ、それから今言う補助率の引き上げも余りぱっとしない答弁。ということになると、こういったところに対する価格安定政策というものが、これはどこかで動かない限りは絶えずこういった状態で日本の地下資源というものは、あるいは地下資源を掘っておる企業者にこういった不安定はつきまとうわけであります。しかし、価格安定政策というものを政府が考えておれば、何とかこの急場をしのぎ切って、また日の当たるときもあろうということで、希望を持って皆さんが汗を流すことができると思うのですが、価格安定対策というか価格安定政策というものがありましたら、この場で述べてもらいたいと思います。
  46. 野々内隆

    ○野々内政府委員 非鉄金属の地金の価格決定方式というのは非常に特異でございまして、国際相場を為替レートで換算をする方式をとっております。したがいまして、国際的な不況で国際相場が下がっている上に急速な円高ということで今大変被害を受けておりまして、一ドル十円動きますと年間大体百億円の減収になるというふうに言われておりまして、残念ながら鉱山数も昨年の四月に五十九でございましたが、ことしの十月には四十五に減るという形で、各企業とも懸命の努力をしているわけでございます。  それで、何とかこの価格を安定させたいということで、例えば国内に取引所をつくってはどうかというような議論もございまして検討もいたしましたが、現在のような開放体制下では、国際相場と離れて独自の国内相場をつくるということは実際上不可能でございます。結局そういうことができないということで、私どもとしましては、経営安定のためにできるだけ超低利の、五年間平均二・二%、初年度〇・三%という非常に超低利でございますが、これはプライムレート連動でございますので、最近のプライムレートの引き下げに応じましてまたこの引き下げも検討してみたいと思っておりますが、非常に低い金利で緊急の融資をすることによって何とか切り抜けていただきたい、将来の合理化という方向に持っていきたいと考えておるわけでございまして、外国相場を切り離して国内の相場を一定の水準におさめるということは経済的になかなか無理があるというのが考え方でございます。     〔委員長退席、奥田(幹)委員長代理着席〕
  47. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 銅あたりはロンドン相場とかいろいろ複雑な為替相場になっておるようですから、ここで即座に結論の出る代物ではないということは承知で聞いたわけですが、考え方とすれば最大限価格安定のための対策、国際的ないろいろな問題があろうかと思うが、今後ともそれは努力を続けてもらいたいと思います。  さて、そこで労働省にお尋ねいたしますが、炭鉱離職者の場合は失業保険三年、特別措置がありますね、臨時措置法ですか。同じ穴の中で掘る石炭と石の違いなんですが、これについて同じような扱いをしてあげなければ大変な状態だと思います。その点、どうですか。
  48. 矢田貝寛文

    ○矢田貝説明員 御説明申し上げます。  今御指摘ございましたように、この鉱山労働の関係、大変厳しい状況にございますので、私どもは現在、私どもが持っております特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法という長い名前の法律がございますが、これに基づきまして、こういった業種について指定するとともに、地域につきましても不況地域というようなことで指定いたしまして、雇用調整助成金を支給するあるいは各職業訓練を受けていただくといったようなことを講ずるほかに、雇用保険の分野につきましても、一般的にはこの方々は三百日前後の給付期間がございますが、必要な場合についてはこれをさらに個別延長給付するといった方法で、最善の努力をいたしておるところでございます。
  49. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 これは法律適用ですから今ここですぐ結論というわけにはいきませんが、今言われたようなことの措置も必要ですが、場合によっては炭鉱離職者と同じような扱いにすべきだと私は思うので、これは検討に値すると思うので、労働省に検討してもらいたいと思います。  それから失業者、秋田の北鹿地域に行ってきたわけですが、この秋田県で鉱山の関係者だけで既に、これは十月三十一日現在、ちょうど行ったときの締め切りのあれで聞いたのですが、解雇者が千二百二十八名、そのうち就職がよそに決定したのが四百十九名ということで、最近ちょっと名前を変えましたが、昔は私どもは全総訓と言っていましたが、技能開発センターですか、そこの先生方、職員の人も大変一生懸命何とか次の転職に可能なような訓練をやっていました。れんがを積んだり崩したり、木工をやったり、自動車部品を分解したりやっていました。  問題は、私が見た範囲では、今のところ受け入れ態勢というものはまずまず、受け入れる側もこれは一生懸命何とかしてあげなければならぬという熱意があるし、結構なことだと思いますが、出口がない。入り口はあっても出口がない。つまり、次への就職あっせんというのが非常に難しい。県の側の意見を聞いても、例えばあそこは秋田杉という有名な杉があるじゃないか、あるいは民謡に出てくる大館曲げわっぱ、あれも大量生産をしてはどうかという私の考えに対して、それはわからぬでもないが、とてもじゃないが大量生産で失業者を救済するようなところまではいかない。そういうことなどを考えてみますと、これは出口のことも考えるような体制、だから訓練を施せばよろしいという技能開発センターと同時に、どういうところに人を求めておるところがあるということを知って、それに見合うような、つまり出口に見合うように入り口の段階で技術を習得させるという一貫性のある、揺りかごから墓場までというのはおかしい例えですが、そういうものがこれから必要になってくると思います。  今、自動車が一台しかない、できれば広範囲に通勤可能なところまで出かけていって、ここで何人ほどとってもらえないかというようなことも含めて行動半径を広げていけば多少なりとも何とかなるのじゃないかという現地の意見もございまして、小型自動車でもいいですから就職あっせん用に広範囲に行動できるような、そういうような対処をしてもらいたいと思いますので、その点、ここでオーケーの返事をもらえますか。
  50. 大月和彦

    ○大月説明員 先生御指摘のとおり、現在、北鹿地域で公共職業訓練施設二校において離職者に対する職業訓練を実施しております。ただ、今おっしゃられましたように、入り口よりもむしろ出口、就職の問題が重要であるという点は全くそのとおりでございまして、したがって私どもは、職業訓練を行います場合には、既設の訓練校はもちろんでございますけれども、訓練を修了した方々に、地元が中心でございますが、一体どのような求人があるかという求人の職種も考えながら職業訓練を実施しておるわけでございます。  それで、今先生が御指摘されましたように大型特殊自動車運転とか、あるいはこれはまだやっておりませんけれども、地元の業界と相談いたしまして、例えば造園というようなものが地元の業界の方の協力を得て修了した場合に果たして受け入れてもらえるのか、そういうようなことを訓練科目の決定には配慮しておるわけでございます。  さらに就職あっせんの件でございますが、現在のシステムは、離職者の方々が職業安定所に相談するわけでございます。そこで職業安定所の方の、この人はこういう職業訓練を受けた方がいいという判断、指示に基づいて私どもの職業訓練校の方に入っているわけでございますので、したがって修了した段階でも原則的には職業紹介専門家である公共職業安定所の方にお願いしているわけでございますが、ただやはり実際に職業訓練を担当している指導員の方々、この方々は離職者の訓練生の方々をよく知っているわけでございますので、こういう指導員の方々も地域の企業等にいろいろ接触をいたしまして、安定所と協力しながら就職口の確保、これを図っているところでございます。
  51. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 システムとして、大変今難しい状態もあるようですが、できればそういった職業安定所というものと一つのセットで考えていかないとうまくいかないということを考えていますので、さらに出口が見やすいような、つまり再就職先を見つけて、それに見合う訓練という生きた訓練をしたいという現地の希望であります。これは大変前向きの姿勢ですから、最大限そのための手当てはしてやってしかるべきだ、こう思いますので、現地から要望があったならば、最大限それにこたえてもらいたいと思います。  それから中小企業関係、今たまたま出ましたように造園なら造園、問題は造園するほど景気のいいところならば造園も、風が吹けばおけ屋がもうかる式で、その逆の話でありまして、もうからぬ話にずっとこう傾く。したがって、中小企業対策としても、いろいろな組み立て工場にしても何にしても、木工所にしてもこれから誘致をしたりいろいろ行政的な地域の活性化に向けて努力しなければならぬと私は思うのです。中小企業庁とすればそのことを考えていると思うのですが、これは建設省にも関係するわけですが、そのためにはやはり道路網というものが必要になってくると思うのですね。  道路で一、二点お伺いしたいのですが、あそこの地域活性化という意味で、当面公共事業として小坂町のインター、この工事をあそこでやってもらえば、とりあえず失業救済にもなるし、一時的にせよ町の活性化にもなる、そういうことが一つ。これはひとつ何とか一時救済にしてもそれを実現してもらいたい、それが一つ。それから二つ目は、高規格道路という話をちょこちょこ耳にするわけですが、これは秋田県に通すのか、あるいは全国的にそういった将来の道路の規格として何か一定の構想があるのか、これを聞かしてもらいたいと思います。
  52. 小林芳夫

    ○小林説明員 お答えいたします。  今の先生お話しの小坂インターチェンジは、東北縦貫自動車道の青森線に、ことしの一月二十日に審議会が開かれまして、その議を経て設置が決まった追加インターでございますが、現在、接続する道路の管理者の連結申請というものに基づきまして建設大臣が許可をして、それから地元と協議をして用地買収をして、それから工事をする、こういう段取りで進んでいくことになります。現在、接続道路の管理者であります秋田県の県当局が設計、そういうことをやっておりまして、近々申請が出てくる、こういうふうに聞いております。  なお、事業を進めていく段階におきましては、先生今御指摘のような地域の実情というようなものを十分踏まえてやっていきたい、こういうふうに考えております。
  53. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 前向きの答弁を聞いて一応は安心いたしました。最大限地域活性化につながるように、いい結論が出るようにお願いをしておきます。  それから、高規格道路とはどんなような将来構想があるのか、ちょっと参考のために聞かしてもらいたいと思うのです
  54. 三谷浩

    ○三谷説明員 高規格道路は、昭和四十一年に現在の高速国道七千六百キロが決まっておりまして、その後二十年間たっております。そこで、三全総のときにもこういう七千六百キロを含みます道路をもう少し広げた格好で、例えば三全総では高規格の幹線道路網ということで現在の国土開発幹線自動車道、先ほど申し上げましたように七千六百キロでございますが、そのほかに日本海沿岸縦貫等々のこういう路線を含めました一万キロメーター余で形成をされるというようなことで提言がされております。それを受けまして建設省では昭和五十八年から第九次道路整備五カ年計画を現在進めておるわけでございますが、その計画期間中に現在の一万キロ余で形成されます高規格幹線道路網について、その路線、整備手法等について調査を推進して計画をつくりたい、こういうことを言っておりまして、現在進めておるわけでございます。  先ほどからもお話がございましたように、四全総が現在国土庁におきまして策定中でございます。その際においても、検討中ではございますが、定住と交流という関係からいわゆる交通施設、こういうものの整備をどう考えるか、こういうこともございます。したがいまして、私どもはそれらを踏まえまして現在高規格道路というものについての検討を進めておるところでございます。したがいまして、これは全国ペースでございますので、もちろん秋田県においてもそういうような要望がございますので、いろいろな検討をしておる、こういうところでございます。
  55. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 最後中小企業庁にお尋ねしますが、現地のたくさんの山も見てきましたし、関連する鉄工所も大変仕事がなくなって、だから親ガメがこけたら皆こけたという調子で次第次第に旗色が悪くなって、工場の中はがらんとして、わずか残った注文だけを細々とやっておるという状態が目につきました。木工関係、木材関係も大半が身売りしております。そうすると、中小企業対策として、全国的な問題ではあろうと思いますが、特にほかに何にも、道路事情もよくない、冬は雪は降る、秋田県というところは大変、私初めて行ったわけですが、よほど政策的に工場誘致だとかというものを、現地の自治体、県、市あるいは町、こういったところに積極的にそういう相談に乗ってやって誘致できるような、そのために道路の話もちょっと出たわけですが、最大限行政指導を、つまり相談に乗った上での行政指導を十分やってもらいたいと思いますが、その点、基本的な考え方を聞いておきたいと思うのです。
  56. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 確かに非鉄金属工業、現在非常に厳しい状況にあるということは私どもも十分承知をいたしております。そういうところにあります関連中小企業あるいは関連の商工、小売段階まで含めいろいろな影響が出ているというふうに認識をいたしております。そういう地域に対する中小企業対策として、今回特定地域中小企業対策臨時措置法というものを御提案申し上げ、御審議をいただいたわけでございますけれども、申しわけないことながら私どもの期待よりややおくれまして、本日ようやく参議院本会議で成立という運びになるやに聞いております。私どもとしては、この法律の制定時期いかんにかかわらず、鋭意どういう地域をその対象にするかということで検討してまいっておりますけれども、法律が正式に成立いたしませんと正式の各関係省庁、関係自治体等との協議ができませんので、現在お取り上げになりました秋田県の非鉄金属工業の地域をこの法律の対象にするかどうかについては、なお最終的には確定できないでいるというのが現状でございます。  ただ、その地域指定のいかんにかかわらず、新転換法あるいはいろいろな小規模企業対策等を最大限活用いたしまして、私どもとしてはそういう困難な地域中小企業対策に万全を期したいと考えております。
  57. 浜西鉄雄

    ○浜西委員 これで終わりますが、法律が現在、形の上では審議中、通ることは間違いないと思いますけれども、そういう段階ではっきり地域指定はできぬと思いますが、今さっきからかなり私もいろいろな実態を述べましたが、北鹿地域を一つの地域として、だから小坂町なら小坂町が不況地域という考えじゃなくして、大館も小坂もずっとあの辺の市町村、これらを包含をして、鉱山城下町というか、これらを一つにして、一地域というふうな数え方にしての地域指定というものをお願いをしておきまして、私の質問をこれで終わります。
  58. 奥田幹生

    奥田(幹)委員長代理 上坂昇君。
  59. 上坂昇

    ○上坂委員 ずばりお聞きをいたします。円高影響についてでありますが、今浜西議員から問題になりました特定地域の指定の問題であります。城下町は確かに一つの産業で大体成っていますが、そこへ通っている人が多いので、これはその町に限ったのでなくて、大体遠くから通っておる、今はかなり交通網が発達していますので相当な距離から入っていますから。そこに企業があり、あるいは幾つかのだめになる企業がある。例えば福井県なんかに行きますと、鯖江と福井というのは同じところにあるわけですね。大体二十キロしか離れてない。そこに、片一方は眼鏡で大変困っているところがある。片一方は、そこの眼鏡のところにはまた繊維がある。その繊維はずっと福井まで延びている。今度は福井市に行きますと、福井市では工作機械が大変な時期になっている。ということになりますと、相当広い地域を指定しないと、広域を指定しないとこの法律は役に立たないと思うのです。  どうも、局長がかわったり長官がかわったりすると、何か自分の点数をとりたいと思って、うまいこと出して法律だけいいものをつくったつもりでいるのだけれども、今までなかなかこれが有効に機能していないというのが実態でありますから、今度の岩崎長官はそういうことはないと思うので、中小企業庁長官として、すばらしい成果を発揮できるような形で、この特定中小企業の対策法が成立しましたら、これはみんなに影響を及ぼすような形でひとつ指定について十分考えていただきたいと思います。これが第一点。     〔奥田(幹)委員長代理退席、臼井委員長代理着席〕  第二点は金利の問題でありますが、最近金利がずっと下がっている。ちょっとここに資料がありますが、九月中に全国銀行の貸出金利の平均は、長期で〇・〇四八、短期で〇・〇三三低下している。したがって、九月中の総合低下は〇・〇三〇%、九月末のいわゆる総合的な金利は五・六五%、こうなっておるわけです。大分下がりました。それで、今度は特定中小企業の対策によると三・九五%のものも出てくるという形になります。公定歩合が十一月一日から三%になったわけですね。  そこで今度問題なのは、借りる方から見ると、金利が幾ら下がったって借りられない。それはなぜ借りられないかというと、大体、事業をやっていますと前の借金があるから、この借金を返さないうちは借りられない。しかも、この借金の金利というのは大体九%程度なんですね。九%以上なんです。これと、今度の例えば六月十五日から実施されている六%台の金利はどういうふうにやっていくのか。例えば一年間だけやるんですか。具体的にどういうやり方で貸すのかということを、これは素人でもわかるようにひとつ説明をしてもらいたい。これが第二。  この二つです。お願いします。
  60. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 第一の地域指定の広がりの件でございますけれども、これは御指摘のとおり一つの経済圏をなしておりますので、もちろんいろいろな指標の計算、こういうものは市町村単位にやりますが、それからまたそういうものの依存度、これは市町村で差がありますのでそのすべてということにはいかないかもしれませんけれども、私どもは基本的には一つの地域というものは複数市町村から成る、そのように考えて、現在具体的な地域の広がり、これを各地域において詰めておるところでございます。  それから、金利水準につきましては、先ほどの公定歩合の引き下げ、これは非常に歓迎すべきものと考えておりまして、それができるだけ早く全国各機関の実効金利に浸透していくことを期待しております。それから、さらに長期資金についてもこの二十八日から長期プライムレートが〇・二%下がるということでございますので、私ども中小企業関係の政府関係機関におきましても、それに連動して一般的な金利水準を下げるべく現在関係当局と折衝中でございます。  それから今御指摘の既往金利、既往債務にかかわる貸付金利の引き下げ、これは具体的にはいろいろな形で事実上進んでいる面があると思います。それは借りかえということ、あるいは返済猶予、これは金利にはかかわりませんけれども、返済猶予というような形での現在の困難性の中での一つの対応、これもかなり広がっていると思います。それから、特別に私ども、この六月の決定に基づきまして、これまで七・四%超で借りていた貸し付けについて、特に赤字企業で必要があるものについてはそれを引き下げるということで、元利合計全部の借りかえという形で金利負担を軽減するという方式を六月から向こう一年間の期間にわたって制度をつくったわけでございます。これは、五十二年でございましたか、当時の急速な円高の中での一つの措置としてつくられたものに倣っております。したがいまして、そういう赤字企業で七・四%超の既往債務の負担に苦しんでおられる中小企業者は、政府系金融機関の窓口に申請いただきますと、そのような便宜をできるだけ図っていくという体制になっております。
  61. 上坂昇

    ○上坂委員 今の既住金利の問題ですが、例えば一億円借りたとしますね。これを五年間で払うとする。今ちょうど三年目に入ったとする。前のものは元利払ってきた。残っているのはあと二年分残っているとする。そうすると、その残っている分から一年間だけ、例えば九%だったら六・四%を引きますね、そうするとその既往金利との差は二・六%。この二・六%というのは一年たったら今度はそれが加わっていくのかどうか、払っていくのかどうか。そこの一年間分だけは払わなくてもいいのか、一つはそこの問題ですね。その差額は後まで響いてまた払っていかなくちゃならないのか。そうしたら今度は九%に今までの二・六%が加わったら一一・六%になってしまう。そんなふうな計算になってしまうから考えてしまうのですね。そういう具体的なことがなかなかわからないのですよ。ここが知りたいというわけです。  それからもう一つは、借りかえと言うのだけれども借りかえができないのです。現実に商工中金でこれをやらない。商工中金は民間的な色彩が多いからというふうに言うけれども、実際問題としては政府のいわゆる三金融機関としてこれは認められている。そこですらやはり拒否してしまう。前にお金を貸しているから新しいのはだめですよ、書きかえなんかとてもだめですよ、こうなってしまうのです。これが民間企業ですと、幾つも銀行と取引があれば、こっちの銀行に行って、こっちの銀行から高い金利で借りていたものを、こっちの銀行で安くなったものを呼んできてこっちへくらがえするぞ、だから書きかえろと言うと書きかえるのですね。しかし、これは力を持っていなければだめだ。力を持っていないと書きかえてくれない。ところが、倒産しそうな中小企業が力を持っているわけがないのです。担保物件は目いっぱい出している。保証人は目いっぱい、それ以上保証してくれるところはないのです。そういうところを救わなければ円高対策にはならないのです。円高というのはそれが問題なんです。  こういう法律をつくったから、こういう制度を設けたからといったって、どんどんつぶれていったのでは、そんな制度は絵にかいたもちにしかすぎないというところに私は問題があると思うのです。これを指摘したいのです。だから本当にその金利を、今金融が借りかえを本当にやってくれるならばその企業が助かる、その業界が助かる、こういう円高対策を、ひとつ実のある円高対策をやってもらいたいというのが私の考えです。そこで、具体的な問題をもう一回聞かせてください。
  62. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 非常に技術的でございますけれども、今年六月から一年間に返済期限が来る額につきまして、それを借りかえさせ、新しい金利で契約するわけですから、その金利軽減分がさらに追加負担になるということはございません。それが第一でございます。  ただ、こういう借りかえとか、あるいは借りかえの信用力もない場合は、金利そのものを減免いたします。その金利減免はやはり金融常識的に言うと非常に異例のことでございます。したがって、窓口において一般的な金融審査の中で個々にあるいは断られたりした例はあるのかもしれませんけれども、基本的には私ども、そういった制度のための中小公庫、国民金融公庫の予想される減益については、予算上手当てをしているつもりでございます。  ただ、商工中金というのは御承知のとおり組合が共同で設立したものでございますので、やや性格を異にいたしますけれども、私どもとしては中小公庫、国民金融公庫に準じてこの制度を運用していただくように鋭意お願いをしているところでございます。
  63. 上坂昇

    ○上坂委員 それでは大店舗の問題に入ります。  福井県に三方という三方五湖のある町があります。ここでショッピングセンターの設立をめぐっての問題が生じております。  その前に、通産省では五十九年三月ごろに、小規模な市町村における大型店舗の出店はできるだけ自粛するよう指導したのでありますが、この指導なり通達なりはいまだに生きているかどうかということが第一点であります。  もう一つは、大型量販店の小売業者は相変わらず各地に出店計画を持っておりまして、大型店舗の出店をもくろんでおります。したがって、それに基づいて三条届け出がどんどん出ておりますが、人口が一万人にも満たないような町村の出店については特にどういう指導をしておられるか、現状について御説明をいただきます。
  64. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 五十九年三月の通達によりまして、いわゆる小規模市町村に対する出店につきましては知事を通じまして出店の自粛指導をするという通達が出ております。現在におきましても、これにつきましてはこの通達に基づきまして出店の予定者に対する自粛指導を行っているところでございます。  それから、全体の出店状況でございますが、五十四年ぐらいにピークがございまして、非常に多数の出店届け出がございましたが、その後五十七年、五十九年の措置を経まして、現在は全体としては鎮静化しております。そういった中にありましても、なお五十九年の通達、ただいま申しましたようにこれに従ってやっている状況でございます。
  65. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、先ほど言いました福井県の三方町、これは人口が一万人以下でありますが、ここに第一種大規模小売店舗の届け出が出されております。これが受理をされていると思っておりますが、地元の小売業者が非常に困っております。これのいきさつについて知っていることを明瞭簡潔に説明してください。
  66. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 福井県三方町の出店の案件は三方ショッピングセンターという名前でございまして、届け出面積三千二百四十九平米のものでございます。これにつきましてはいろいろの経緯がございますが、簡潔にということでございますので要点だけ申し上げますと、五十八年九月に協同組合、これは中小企業協同組合でございますが、協同組合三方ショッピングセンターほか地元の企業二社、都合三社から出店の意向が表明されました。その後、昭和六十年八月十三日に三条届け出、いわゆる店舗新設の届け出が受理されておりまして、同年の九月十八日からいわゆる事前商調協が開催されております。事前商調協は都合十二回にわたって開催されました。そうして六十一年九月十日、第十二回の商調協におきまして三条についての結審がされたものでございます。それを受けまして、九月二十六日に五条の届け出、小売業の届け出でございますが、これがなされまして、十一月六日以降いわゆる正式商調協が開催されているところでございます。  以上が簡単な今日までの経緯でございます。
  67. 上坂昇

    ○上坂委員 三方町に小売店舗がどのくらいあるか、そしてまた量販店と言われるものは幾つぐらいあるのか、ちょっと説明してください。
  68. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 三方町にあります小売店の数は、六十年の商業統計によりますと百四十三店舗と承知しております。それから量販店は、これは量販店の定義をどうするかでございますが、いわゆる大店法の調整の対象になるような第一種大規模小売店舗あるいは第二種大規模小売店舗はこの町には存在しておりませんが、何といいますか、いわゆる近代的な装いのスーパーと申しますかコンビニエンスストアといいますか、その種のものは承知しているところでは七店あるかと思います。規模としては六十平米程度から二百三十平米程度まで分布しております。
  69. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、このショッピングセンターは今おっしゃられたように三千二百四十九平米、ところがこのうちテナントとして入店しているいわゆる核店舗は農協が出資して設立した協同会社店舗、いわゆる俗にAコープというふうに言われておりますが、コープ三方五湖と言われておりますね。このことを商調協はもちろん知っていてやったんだと思いますが、事前商調協がずっと行われてきた、あるいは通産省が受理もしたということでありますが、これは農協が明らかに入っているということを知って受理をしたんですか。また、商調協を進めてきたわけですか。
  70. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 この中には、先ほど三社から出店の意向が表明されたと申し上げましたけれども、その三社のうち二つが株式会社、今先生おっしゃったものじゃないかと思いますが、いわゆる核でございまして、その一つがコープ三方ですか、これは農協が一〇〇%出資した株式会社でございます。もう一つの核が、やなぎやという衣料品の会社でございますが、これがもう一つの核でございます。そのほかに地元の小売商の方々が十四名でございますが入る、こういう計画になっております。  そこで、この株式会社コープ三方につきまして、この株式会社の資本はだれが持っているかということを、一般の場合に、常にこういう出店表明があった場合あるいは届け出しようとした場合に、株主を全部子細に調べた上でそれをチェックして受理するという制度ではございませんけれども、本件、このコープ三方が農協の一〇〇%子会社であるということは関係者、私どももたまたま承知しておりました。
  71. 上坂昇

    ○上坂委員 農水省の方来てますね。農協店舗あるいは農協出資の今のコープ、これの出店について農林水産省が今まで指導してきた状況を御説明いただきます。
  72. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 農協店舗の出店及び運営につきましては、従来から地域におきます中小小売店舗との調整に配慮いたしまして、適正に行われるよう指導してきているところでございます。  農協系統組織の自主規制の徹底、それから行政指導の強化を図るということで、昭和五十七年四月に農協店舗に対します私どもの経済局長通達を出しまして、現在これに基づき指導を行ってきているところでございます。これによりまして、最近地元中小小売店舗との摩擦というのでしょうか、このような問題はほとんどなくなってきたような状況にございます。  今後とも、農協店舗の出店につきましては、地元小売店舗との間で無用な摩擦が生じないよう、十分指導してまいりたいというふうに考えております。
  73. 上坂昇

    ○上坂委員 末木審議官、あなたは協同組合法を読んだことがありますか、答えてください。
  74. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 農業協同組合法でございましょうか、それとも中小……
  75. 上坂昇

    ○上坂委員 農業協同組合法。
  76. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 農業協同組合法は以前読んだことがございますけれども、今現在子細に覚えてはおりませんが、読んだことはございます。
  77. 上坂昇

    ○上坂委員 農業協同組合法の第一条にどういうふうに書かれているかというと、知らないから教えてあげるからね。第一条は「この法律は、農民の協同組織の発達を促進し、以て農業生産力の増進と農民の経済的社会的地位の向上を図り、併せて国民経済の発展を期することを目的とする。」ところが、第八条に「最大奉仕の原則」というのがあるのですよ。ここが問題なんです。「組合は、その行う事業によつてその組合員及び会員(以下この章において組合員と総称する。)のために最大の奉仕をすることを目的とし、営利を目的としてその事業を行つてはならない。」こう書いてある。  そうすると、協同店舗というのは、これは営利を目的とする店舗であるか、農民のためにつくった農業協同組合が出資した会社であるか、その点を御説明いただきます。
  78. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 農業協同組合そのものについては、今ここで先生お読みいただきました第八条を今私も見ておりますけれども、これの解釈については農水省にゆだねたいと思いますが、多分御質問の趣旨は、この三方コープ、この会社が営利法人かどうかということだと思いますが、この会社は、株式会社でございますから、営利法人だと思います。
  79. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、「農業協同組合の生活購買店舗等の設置及び運営の適正化について」という、先ほど嶌田農業協同組合課長の方からお話があったように、五十七年四月の通達が農林水産省から出ているわけですね。これによりますと、農業協同組合はもちろんであるけれども、協同会社店舗についてもこの指導に準ずるとちゃんと書いてある。「組合が出資を行う株式会社が設置・運営する生活購買事業に係る店舗(以下「協同会社店舗」という。)についても、農業協同組合活動の一環として、その適切な運営を期するため、今後、上記指導に準じて組合を指導するものとする。」こうなっておる。そうすると、あなたの方の解釈とこれは全く違ってしまう。そうすると、通産省は、農林省なんか問題にしないで、勝手に通知でも何でも出しておけ、おれの方は勝手にやるから、こういう態度になってしまうのだけれども、その点、そうですか。
  80. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 ただいま先生御指摘の農水省の通達について、その正確な解釈を私は今はお答えできないのでございますけれども、その準ずるというのがどの程度準ずるのか、あるいは指導するというのがどういうように指導するのか、これは農水省にお答えいただくのが適当かと思いますが、そういう指導のもとにあって株式会社をつくって、そしてその株式会社が商法上の会社として申請人になっておりますと、大店法上はその株主によって差別をしておりませんものですから、従来、受理をしているということでございます。
  81. 上坂昇

    ○上坂委員 農協が出資をしているものであっても、株式会社で法人だから、それは営利活動を目的としているものだ、こういうふうにあなたは解釈するわけですね。だから大店舗法の規制の対象になってくる、こう解釈するわけですが、そうなりますと、農業協同組合の立場からいって、この出資会社のAコープというのはあくまでも営利を目的としている法人の小売店舗である、そういう解釈をするのかどうか、それとも農業協同組合法の八条に定められているいわゆる最大奉仕の精神の原則にのっとってこれが運営をさるべきであるというふうに解釈しているのか、その点について農水省の方からお答えをいただきたい。
  82. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 今先生から御指摘ありましたように、農協が過半の出資をしておりまして実質的に農協の子会社となっております、これを協同会社と言っておりますが、これにつきましては、先ほどの答弁と同じように、その五十七年四月の通達で同じような取り扱いをしているところでございます。  それで、農協が出資しています会社につきましては、先ほど通産省の方からもお話がありましたように、これは株式会社でございますので、農協法とはまた別な世界というふうに私ども理解しております。
  83. 上坂昇

    ○上坂委員 言葉じりを合わせるような答えをしてもらっては困る、そんな感じがしてならないけれども、そうすると、この通達はせっかく出したけれども、いわゆる株式会社である協同会社にはこれは適用しない、こういうふうに解釈するのですか。いいかげんな答えをするなよ。
  84. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 今御答弁いたしましたように、農協と同じように協同会社につきましても、この通達の趣旨に基づきまして出店の自主規制等につきまして行っているわけでございます。そういうことでして、今回のコープ三方五湖、これは農協等が出資しています会社でございますけれども、これにつきましても地元の小売店との調整ということが当然行われるわけでして、先ほど来通産省の方から答弁ございましたように、地元の商調協等の場でもって調整、協議が行われているものというふうに考えております。
  85. 上坂昇

    ○上坂委員 もう一点聞きますが、この指導、通達は、県知事の段階でこれをやるものじゃないのですか。
  86. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 はい。この通達は知事に出しておりまして、各都道府県知事がそれぞれの情勢等を考えまして、農協店舗に対する指導を行っています。協同会社につきましても農協店舗と同じようなことでやっておるということでございます。
  87. 上坂昇

    ○上坂委員 そうしますと、農協の場合には要するに営利を目的としてそういうものをやってはいけない、こういうふうに農協組合法でうたっているのだけれども、別な会社をつくってやれば幾らやってもいい、こういうことになっちゃうのですか。そうすると、員外利用なんていうのは要らなくなっちゃうんじゃないですか、会社をどんどんつくればいいんだから。どんなスーパーをつくったって、何をつくったって。その辺はどうですか。
  88. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 農協が直営しています店舗につきましても、それから農協が出資しております協同会社形式によります店舗につきましても、これはともに農協資本が入っておるものでございますから同じような取り扱いということで、五十七年四月に、出店等につきましては地元との間に摩擦が生じないというような形でやるべきであるということで通達を出しておるわけでございます。  そういうことでして、今回の三方町のことでございますけれども、経緯等を私ども聞いている範囲では、現在三方五湖農協の店が三方駅のそばにございまして、このショッピングセンターの方から店舗として入ってほしいというような話がありまして、入った段階では既存の店舗を閉鎖するというようなことで、現在商調協等の場で検討されているというふうに聞いております。そういうことでして、農協と協同会社との扱いということにつきましては、出店及び運営につきましては全く同じ扱いということになっております。
  89. 上坂昇

    ○上坂委員 今持っているのは二百三十平米程度なんだよね、それが今度は四百九十九平米になるわけだ、これは倍以上になるわけですね。そういうふうになってくるのですから、片一方は閉鎖することになると思うのですが、ショッピングセンターの方から求められようと求められないにしても、農業協同組合が出資をして会員のためにやられることを目的としている会社、そういうのが営利事業をやるところにまざっていくことについて認めるということは一体どういうことなのか、それが第一点。  それから通産省の方には、そういうふうにちゃんと通達が出ているのに、一〇〇%出資のこの協同会社が出資をしてここへ入って、そして同じような小売店舗と競合していくということについて、これを何も審議しないで黙って受け入れてしまうというのは一体どういうことなのか。法律を知らないでやっているのか。知ってやっているとすれば、これはまことに言語道断だ。要するに、ほおかぶりをしてやっているというふうに私は思わざるを得ないけれども、どうですか。
  90. 嶌田道夫

    ○嶌田説明員 私どもの方は、先ほど来答弁していますように、農協直営と協同会社は同じような扱いで通達を出しておるわけでございまして、この通達の趣旨といいますのは、地元小売店との無用なあつれきを生じないように十分調整してほしいということでございます。  そういうことでして、今回の三方五湖農協が出資しています協同会社につきましても、地元の小売店との調整ということで、現在商調協等の場で調整、協議が行われているということでございますので、私ども、通達に従った形で今回は扱われているというふうに考えております。
  91. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 繰り返しで恐縮でございますけれども、法律論といたしましては、その株主のいかんによって申請者の差別をいたしておりませんので、法形式としては平等に扱うということになります。  しかし、それではこの法律のつくられた背景だとか現在置かれている状況からいってどう考えるかという現実論でございますけれども、先生御承知のように、中小の小売商と農協、生協とはいろいろなところでしばしば問題があることは御承知のとおりでございます。したがいまして、農協がこのような事業を行うことを、一般論として、中小小売商の事業機会の確保というこの法律の立場からいえば、非常に結構なことだ、うれしいことだ、ありがたいことだということはございません。けれども、それでは法律上は差別がないということとの関係でどうするか、それは結局、個々の案件について、このケースについては農協の出資した会社がこういう店をつくるけれども、これをどう評価するか、この場合にはこう評価する、別のケースでは別の評価の仕方をするというようなことを、商調協の場で地元の関係者で御検討いただいて一つ一つ結論を出していくというのが、現在の法制上もそういうふうになっておりますし、現実的に妥当な姿ではなかろうかと思っております。
  92. 上坂昇

    ○上坂委員 今度のショッピングセンターに入る場合、要するにあなたの方では調整を行った、調整がうまくいったから届けを受けて商調協でずっと進めているんだ、こういうふうに言うんだろうと思うけれども、実際問題としては、三方町の八〇%の商店が、農協の協同店舗が出ることによって、コープが出ることによって非常に影響があるから困るという判断をして、三方町の商店を守る会という会までつくって何回も陳情し、商調協の場においても、小売業の代表の人四人はここに出席をしてない。というのは、通産省に今まで私が聞いたいきさつを何回聞いてもあいまいな返事しかしない。しかも、地元の商工会が通産局に問い合わせで出した書類によると、農業協同組合が出資をしているAコープであるなんということは一言も書いてない。あくまでも地域の、三方町の小売商工業者が集まって地元の近代化、活性化のためにこのショッピングセンターをつくるから賛成をしてくれ、賛成をした、こういう報告をしているわけです。ところが、この商業者の委員の人たちは、これが協同組合の店舗であることをちゃんと知っていて、あなたの方に何回も問い合わせをしているんだけれども、これに対する明確な答えが出てこない。出てこないために、商調協は進めるべきではないということで商調協に出席をしてないんだ。大店舗に出店されて一番影響があるのは小売業者なんですからね。その小売業者が全然参加をしていない商調協が継続されて、何回も何回も開かれて結審してしまうというのは一体どういうことなんですか。もうそういうのは相手にしないということなんですか。  そうすると、だから私が言うように、一つは、九十三店もの商店が農協のそのコープが出ることに反対をしているということは調整が効いていないということ。そうでしょう。しかも、その人たちは、小売商店だけでこれをやるならば地元の活性化のために私たちは賛成をします、こう言っているのですよ。しかし、農協が来るということは農業協同組合法の趣旨に反するからそれはいけませんよ、こういうことを言っているのです。私はこれは筋が通っていると思うんだね。そういう筋が通っていることには目をつぶって、そして筋の通らないことばかり通産省は許可をするから、これは前にもあったので僕は何回もやっているのだけれども、そういう例が非常に多いから通産省というのは非常に信用がなくなってしまって、通産省というのは大企業省である、こういうふうに言われるゆえんになってしまうのですよ。だから岩崎中小企業庁長官は何ほど困っているかわからないのです。今のどうですか。
  93. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 この審議の過程におきまして、先生御指摘のように商業者委員が欠席をした回があります。それは事実でございまして、十二回事前商調協が開かれた中で五回欠席しておられます。残りの七回は出席して議論をしておられます。それから、これは先ほどごく簡単にかいつまんで経緯を申し上げましたけれども、この事前商調協の場以外の外の場でもいろいろな折衝、協議が行われておりまして、商業者委員の見方なり御意見なりは伺って今日まで来ていると思います。  それにしましても、最終回のときに商業者委員が欠席でございましたから、私どもも商業者委員欠席で結審したというのは決して好ましいことだとは思っておりません。できるだけ皆さん出席していただいて結論を出していただきたかったと思いますけれども、そういうことで結審しております。  今後につきましては、これは今までありましたのは事前商調協でございますから、これからは正式の商調協でございます。正式の商調協で今御指摘のありましたようなことを含めて議論が行われるのではないかと思いますけれども、ぜひ全委員が出席をして十分議論をしていただきたいものと思っております。
  94. 上坂昇

    ○上坂委員 そうすると、事前商調協の方はあなたの方で納得がいかなくても、小売商業の代表が出なくても——これは納得いかない話ですね。だけれどもそれは認める。今度は正式な商調協が開かれたら、これはどうするのですか、出席しなかった場合。納得しなければ出席しませんよ。その場合でもそれは仕方がないから認めるということになるのですか。これはこれからの運営に重大な影響を及ぼすから、きちんと答えてもらいたいね。
  95. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 これからのことについて当然欠席されるであろうという前提でお答えをするのは適当でないと思いますので、私はあくまでも全員出席をしていただきたい、また、全員出席されるように通産局を通じてできるだけ側面的にそういう環境の醸成に努力をしたいと思います。
  96. 上坂昇

    ○上坂委員 出なかったことを前提にして言っているのじゃなくて、出ないということを予想して言っているのです。前提にしているのと予想しているのとは違うからね。その点誤解しないようにしてもらいたい。予想したって構わない。出ないだろうと考えたって構わないのだからね。そういうことを考えて、出なかったらどうするのだ。では出なかったらどうするのですか、予想して。
  97. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 予想ということでございますので、そうしますと、予想すべき事項がたくさんありまして、どういう状況でなぜお出にならなかったのか、出ないということのほかに、例えばほかにどういう折衝があるのかないのか、いろいろな状況を判断しなければならないと思います。したがいまして、出席されない場合の予想はできると思いますけれども、それの結果について今、その場合にはどうするというのは、突っ込んで申し上げるのは適当ではないと思います。
  98. 上坂昇

    ○上坂委員 出ないというのは納得できないからです。通産局あるいは通産省の本省の回答なり何なりが非常にあいまいで、先ほど私が言ったように農業協同組合法でやってもそこのところの事前に調整を行わないで、そしてとにかく何でもいいんだ、そして協同組合というものは株式会社なんで、あくまでも営業の小売商店なんだから、これは出してもいいから、大店舗の調整の対象になるのだ、こういう判断のもとにやってしまっている。そのことについての疑問があるから今まで紛糾を重ねてきているわけですよね。これは予想される状況なんですよ。私が何回も言っていることです。これは予想されることなんですよ。だから、その予想されることでできなかった場合、それでもあなた方は結審をして、商調協はどんどん進めていってしまうのだ。しまうのかどうか、しまわないというのかしまうというのか、それだけ答えてくれればいいよ。理屈は要らない。
  99. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 商調協をどういうふうに運営していくかにつきましては、通産省がその運営を指示する立場じゃございませんで、通産省は地元にどうお考えかと伺っているわけで、その伺った答えを議論する場が商調協でございますので、私どもは先生おっしゃったような農協法の問題も含めて、事態をできる限り明確にして運営の正常化に努めるということを最大限やりたいと思います。
  100. 上坂昇

    ○上坂委員 時と場合によってうまいことばかり言ってはだめなんだ。今までの人は、こういうことを指導するとか、こういうふうに持っていくとかという、そういう言葉で言っていたのだよ。あなたは全然指導もしなければ何にもしないということなんだね、今の答えでいくと。勝手にやりなさい、やったことの回答が来ればそれで判断するだけだと、こういうことだと私は認識をして、そういう認識に立ってこれからの大店舗の運営について、これは今後の問題として、あとの問題があるからとっておきたいと思う。この次もう一回やらせてもらう機会をつくってもらうことを委員長並びに理事皆さんにお願いをいたしておきます。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕  次は、京都市北区の北野に白梅町というところがあるのです。そこにイズミヤが昭和四十八年十二月に出店の計画を持ち出したのです。そして五十三年四月に三条届け出が行われたのです。第一回の商調協の際に地元商店街の出店反対の小売業者がハンストまでやったんですよ。六十年四月に反対のイズミヤ対策協というのが反対署名運動、近隣から七万九千名集めてそして提出したのです。それでずっと八年間も今続いてきているわけですよ。  ところが最近、六十一年二月に、その中に浅野という小売業関係の商調協の委員がいるわけですが、その委員に買収行為が行われた、こういうことがあったのです。だれがやるかというと、これはある暴力団だそうでありますが、それが入ってきたということなんです。ところが、この浅野さんという人はこれを突っ返してしまった、そういう非常に大きな問題が出てきているわけです。  そして問題なのは、こればかりではなくて、実は株式会社関西西友というのが、五十八年一月に京都市の上京区千本通一条上ルの千本店というのですかね、これの大改造計画をつくったんです。そして三月二十四日に京都府に第三条届け出をして、それにはもちろん反対運動が起こりましたが、五十九年三月二十四日にこれを受理してしまったのですが、このときもまたその浅野という人に対してお金を百万円出したということで、そういううわさが出たのです。そのうわさをやったのは関西西友の開発課長なんです。これがいわゆる公言をしてしまったのです。そこで名誉棄損ということで裁判が行われまして、この裁判ではそれは捏造であったということになったんです。というのは、浅野という人以外にお金を渡して、それで工作資金としてやってくれ、こういうことだったと思うのです。ところが肝心の人は受け取らないし、渡っていないわけです。それを受け取った領収証まで持っている、こうなってしまったわけです。それで裁判をやった結果、裁判では、ことしの九月に浅野さんの方が名誉棄損が勝訴したわけです。  こういう事件があって、京都というところはいろんなのが介在してきたり買収行為が行われておる。こういう買収行為が行われているそういう出店計画については、通産省はこういうものは断固として認めない、あるいは暴力団が入ってきたような場合にはそういうものは認めないぞ、こういうことが一体できないのかどうか。いかがですか。
  101. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 一般的に申し上げまして、買収ですとか暴力団の介在とかいうことで公正な審議が行われていないということであれば、これは厳正な処置をとらなければなりません。おっしゃるとおりでございます。  本件につきましては、御通告でございましたので、京都白梅町のイズミヤの経緯については調査をいたしました。おっしゃるように、大阪通産局あるいは私どもの方にも暴力団が介在して云々というようなお話が過去にございました。私どもの方も、それにつきましてできる限りの事実調査をしたところでございます。その結果といたしまして、私どもが調べた限りにおきましては、そのような事実は認められなかったということでございます。いま一つの案件の方につきましては、今私調査の資料を持っておりませんけれども、第一の方については結論はそういうことでございます。
  102. 上坂昇

    ○上坂委員 先ほど西友が言ったのは、これは事実としてここに裁判所の書類もあるんだけれども、事実として結審して、裁判の結果は西友側が負けたわけだ。開発課長はわび状までちゃんと出したんですよ。そういうことがあっても増床についてはこれを認めるという結果になっちゃうんだ。そうすると、あなたがさっき言ったように、そういう好ましい姿についてはなんて言っているけれども、現状は好ましかろうと好ましくなかろうと、みんなどんどん出店しちゃうじゃないですか。どうするんですか、これを。そうしたち、社会的な商業道徳も何もなくなっちゃうじゃないですか。こういう人を連れてきて入れればいいんだ、暴力団がいろいろと買収しようと何でもいいんだから。今は、大店舗が、あるところに出店するという場合には一平米当たり一万円使うんですよ。そうすると、一万平米だったら一億円使うんだ。そういうときなんだ。だから買収行為は幾らでもできる。  ところが、買収行為がなぜできるかというと、商調協の委員は法律できちんと決められたものではないんだ。あれはあくまでも商工会議所なり何なりが指名してなってもらった人なんだ。どんなことをやったって罪にならないわけだ。つながれないんだね。だから贈収賄が関係ないんだ。だからろくなことをやらないんだ。そういうことを承知で、むしろそういうことがいいと思って通産省は大店法を運営しているような嫌いが見られる。この間の雨貝論文だって、今の大店法は大変ないい法律で、これが一番いいなんて書いているのだけれども、どうもそういう傾向が強いような感じがする。だから大店舗が出すと、どんなに地元の中小商店街が困っても構わない、こういう結果になってしまうから小売商業者は助からない、地元の商店街はどんどん大変な状況でつぶれていくというような状況が出てくるということになるのですよ。今私が言ったことわかりますか。わかったら答えてください。
  103. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 前半の方で先生おっしゃいました平米一万円とかいうようなことで、それでいいと思ってやっているのかということですが、当然のことながら、とんでもないことだと思います。あくまで厳正に商調協で議論していただかなければいけません。しかし、制度的にそれは担保されていないじゃないかとおっしゃるので、法律論としては碓かに公務員扱いになっておらないわけでございます。  そこで、これは五十九年の行政措置、五十七年の行政措置を五十九年に改定、延長したときに、その議論もいろいろとございました。したがいまして、現在のところでは最終的な審議を大店審で、審議会できちっと最後のけりをつける、制度論としてはそういうことで努力をしよう。それから、もちろん商調協の委員のあり方についても、できるだけ身を正すための措置を講ずるようにやってきておるわけでございますけれども、これは日々その意識を持って努力しなければならない問題だと思います。適当なことがあってもいいなどとはつゆほども思っておりません。
  104. 上坂昇

    ○上坂委員 そこで、商調協から出てきたものはよくても悪くてもこれは受け付ける、こういう結果になってしまうわけですね、今のようなことだから。断固とした措置ができないわけだ。だから、それは制度的には大店審で、今度は審議会でやるんだ、こう言っている。だけれども、大店審というのはそっちから出てきたものを、商調協の方から出てきた、地元から出てきたものを、それをこれは全部受けることになっているんだ。今までの経験でそうなんだ。それは受けない場合にはどういうことが受けないかというと、出店をゼロにした場合には突っ返すというのが大店審の今までのあり方なんだ。その出店をさせないということに、出店を認められないということに対しては、認めなさいというふうに突っ返すんだよ。ところが、とにかく認めるというものを出したら絶対に引き受けてしまうというのが今までの大店審のあり方なんだね。これはあなた、ずっと調べてみると皆わかるのです。そうなっちゃっているんだ。  だから、今私が言ったように、どんなに買収行為のようないわゆる悪い商行為が行われておっても、こうした道徳の、いわゆる商業モラルが低下するような状況が行われても、結局それは通産省は認めてしまう、こういう結果になってしまうのです。これをそうでなくするのには一体どうするかということを考えたことがありますか。ちょっとお答え願います。
  105. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 大店法の運用をよりよくフェアなものにし、経済的にも合理的なものにしなければならないというのは、私どもの毎日の課題だと思っております。
  106. 上坂昇

    ○上坂委員 その毎日の課題に取り組んでいるのか取り組んでいないのか。私から見れば、これは全然取り組んでいないと考えざるを得ないわけであります。  私がここで一つ提案をいたしますが、このような状況になっていわゆる暴力団が介入をしたりそういうような場合には、これは営業を取り消す、停止を命ずる。あるいは五条出店ですね、まだ建物がどんどんつくられていかない、あるいは出店が開始されていない段階においては、これは完全にストップさせる。もし出店をしてしまった段階であるならば営業を停止させる。やはりそこまで措置をしないと、全国的にこういうことが行われるような習慣がついたら、これはもう大変なことになって商店街はえらい損害を受ける。そういうことを考えてもらいたいと思うのですが、考える気がありますか。
  107. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 先ほど申し上げませんでしたが、たまたまこのイズミヤの件につきましてはそういうお話があったものですから、イズミヤの社長さんほか担当の役員を通産局に来てもらいまして、詳しくその状況を聞いた上で、なおかつ具体的な調査、社長さんは知らなくても下がやっていたのじゃ困りますから、調査を命じました。さらに、商調協の委員さん方がそういった圧力によって自由な議論ができないようなことになっていないかどうか、いろいろな方法でそれもチェックをいたしましたし、この件につきましてはできるだけの調査をしたわけでございます。  一般的に申しまして、いかなるそのような不正行為、暴力行為があってもなりませんので、不正な行為が介在した場合には過去にもそれなりの処分を厳しくしてきております。今後ともそのような不正に対しては断固たる姿勢で臨むつもりでございます。
  108. 上坂昇

    ○上坂委員 西友の場合には、買収をしたとかなんとかいって小売業の商調協の委員を陥れるようなことをして、そして商調協を促進させて、それを結審をしてしまった。その後で裁判をやってみたら、それは真っ赤なうそ偽りだった、こういう結果になっても、西友の出店あるいは増床については何ら関係がない、こういう結果になっているということになれば、それは一体どういうことになるのですか。断固たる措置などと言うけれども、さっぱり断固たる措置なんかとってないじゃないですか。それからまた、小田原のニチイでも買収行為が行われたのです。これについても断固たる措置なんか全然とってないよ。とったと言うなら、ちゃんととった証拠をあらわしてもらいたいと思う。僕は、時間がなくなって終わりだから質問できないけれども、私のところへ、こういう措置をとったというのをちゃんと書類にして提出をしてもらいたい。委員長、お願いします。
  109. 末木凰太郎

    ○末木政府委員 後ほど資料を御報告したいと思います。
  110. 上坂昇

    ○上坂委員 じゃ終わります。ありがとうございました。
  111. 佐藤信二

    佐藤委員長 年後一時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時四十一分休憩      ────◇─────     午後一時十二分開議
  112. 佐藤信二

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  113. 薮仲義彦

    薮仲委員 私はまず最初に、十一月十二日に第八次の石炭鉱業審議会の答申原案が提出されたわけでございますけれども、この問題を正確に認識しながら、通産大臣初め関係の方々に幾つか御質問をさせていただきたいと思います。  この答申原案を拝見いたしまして、大変厳しい内容になっているという認識を持ちます。現状を冷厳に見詰め、経済合理性の面からだけ考えるならば、当然輸入炭との競争力を失っておる今日の国内炭の現状はやむを得ないかなという面もございます。しかし、現実に数字の上で考えてみますと、昭和六十年の供給実績が千八百万トン、それを昭和六十六年には一千万トン体制にするとのことでございます。先ほど申し上げましたように、経済合理性の上からはやむを得ないことは理解できるわけでございますけれども、しかしこの問題は一つの鉱山という企業の終えんを意味するだけの問題ではないと思うのであります。  昨日来いろいろと報道されておりますように、一つの町、一つの社会が消滅するということは非常に深刻ではないか。三菱の高島炭鉱の場合もそうですが、先般爆発しました三原山、あの大島町の方が東京へ避難なさる、あの事態を考えてみましても、一つの町で非常事態が発生するということは大変な状態だな。特に、大臣も御承知のように、高島炭鉱の場合は一町一企業でございます。約六千名の町が一瞬にして、一瞬とは言いませんけれども、そこで終えんを意味するわけでございます。これは単なる産業政策というよりも、社会的な大きな問題があるのではないか。さらにこれは、これからお伺いいたしますけれども、高島だけではなくて幾つかの鉱山に同じようなケースが考えられるのではないか。こういう事態は非常に重大だと私は思いますので、まず大臣の御見解を承りたいと思います。
  114. 田村元

    田村国務大臣 多くの炭鉱のあります町、この町々はその経済的、社会的基盤のほとんどを炭鉱に依存しておる状況にあることはおっしゃるとおりであります。第八次答申原案は、このように炭鉱が地域経済社会に重要な役割を果たしていることに十分配慮しながら、国内炭の生産の段階的縮小はやむを得ないものの、一時に閉山が集中し大量に失業が発生するような事態を回避するとともに、地域経済、雇用への影響をできる限り緩和していくことが必要であるという基本的な考え方に立っておるものと思います。  政府といたしましても、これまでも産炭地域振興に努めてきたところでありますけれども、最終答申を得た後、その内容も踏まえ、地域経済、雇用への影響緩和するため、産炭地域の振興対策に万全を期してまいりたい、このように決意をいたしているところであります。
  115. 薮仲義彦

    薮仲委員 この問題はだんだんと深めてまいりますけれども、その前に周辺の問題を整理しておきたいと思うのでございます。  国内炭の需要先というのは、何といっても原料炭は鉄鋼業でございますし一般炭は電力でございます。しかし、電力の方は差益の還元という言葉もありますように、経営自体は非常に安定、黒字傾向にございますけれども、原料炭を引き取る方の鉄鋼業の状態について、大手五社と言われておりますけれども、経営の実態、収支の実態等、ごく簡単で結構でございますから御説明いただきたいと思います。
  116. 鈴木直道

    ○鈴木政府委員 鉄鋼業の現状でございますが、鉄鋼業は昨年以来の円高によりまして大変厳しい局面になっております。ことしの上期の収益動向に関しまして先般発表がございましたけれども、実質赤字が千八百億円を超えるというような状況でございます。円高による円手取り減少あるいは円高デフレによります国内出荷の減少等々による影響を非常に受けているという状況でございまして、現在合理化という面で大変な努力をしているというのが現状でございます。
  117. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し数字を正確に整理してお伺いしておきたい。国内炭に限ってちょっと数字をお聞かせいただきたいと思うのですが、昭和六十年の国内炭、その中でも一般炭についての需要量と生産量、これの六十六年時点での答申の目標数値、どれくらいにおさめるのか。同じように原料炭でございますけれども、昭和六十年度の国内需要量と生産量、六十六年時点での答申の目標数値、ちょっと念のためにここで数字を並べてください。
  118. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 まず一般炭の状況でございますが、六十年度の需要量が千三百八十九万トンになっております。これに対しまして生産量でございますが、千二百四十六万トンというのが実績になっております。  なお、この生産のほかに、原料炭から一般炭に転用した分が六十年度実績で三十二万トンございまして、そのほかにいわゆるカロリー調整などに使います雑炭が百七十六万トンございますので、供給量全体といたしましては千四百五十四万トンという実績になっておりまして、需要量と供給量の差は在庫増という形で六十五万トンばかり六十年度末で積み上がっている状況でございます。  その六十六年度の様子でございますが、御案内のとおり、十二日に出されました石炭鉱業審議会の答申原案におきましては、「今後は、需要動向をも十分勘案した生産体制とすべきである。」という指摘がなされておりまして、その結果、答申の中では、六十六年度の一般炭の引き取り量といたしましておおむね一千万トンを見込んでおります。ただいま先生からも御指摘があった数字でございます。したがいまして、六十六年度の需要量はおおむね一千万トンということになるわけでございまして、供給の方も基本的にはこれと大体同じ数字になろうかと思っております。在庫の状況等で多少の調整はあろうかと思っております。  次に、原料炭の方でございますけれども、六十年度の需要量は三百八十九万トン、生産量は三百九十九万トンの実績になっております。一般炭ヘの転用が生産のうち先ほどの一般炭で申し上げました三十二万トン、これはマイナスできいてくるわけでございまして、したがいまして、供給量全体としましては三百六十七万トンということでございまして、需要量の方が上回っておりますが、この分は在庫の減という格好できいてくるわけでございます。  なお、六十六年度の見通しでございますが、答申原案にもございますように、需要業界とのいろいろな調整の結果、原料炭の引き取りについては六十六年度はゼロとせざるを得ないということでございますので、六十六年度については原料炭の需要を見込むことは困難でございますので、この辺今後各社においては、生産に当たってもこれを前提にして生産を行っていくという格好になろうかと思っております。
  119. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは大臣にお伺いしたいのでございますが、今の答弁にございますように六十六年度時点ではゼロ、ただし大臣は、なだらかに、一挙に閉山という事態が起きないようにしたいということでいろいろ御努力をなさっていらっしゃるようでございます。原料炭の大宗を使用していただくところの鉄鋼連盟会長との合意といいますか、協議がなされたと伺っております。大臣からこの合意の内容について正確にお聞かせいただきたいと思います。
  120. 田村元

    田村国務大臣 第八次石炭政策中の鉄鋼業界の引き取り協力につきましては、石炭鉱業審議会のいわゆる七人委員会における調整を経まして、鉄鋼業界が厳しい経営状況にある中でぎりぎりの協力を得るに至ったものであります。私は率直に言って、鉄鋼業界御自身が大変苦しい、その中でよくあれだけのものを引き取ってくれた、約束してくれたと本当に感謝もし、また御同情も申し上げておるところであります。  その具体的内容につきましては、次のとおりであります。これは、文書にいたしまして私の談話として出したものでございまして、「原料炭の引取りは、六十五年度までとする。 六十一年度の引取数量は、百七十万トン程度とする。 六十二年度から六十五年度までの引取数量は、漸減の方向で、毎年度、需給両業界が話し合って決定することとする。 六十一年度の原料炭基準炭価は、六十年度基準炭価水準の千円引きとし、次年度以降は、原則としてこれを据え置くものとする。」これが合意の内容でございます。
  121. 薮仲義彦

    薮仲委員 先ほど鉄鋼業界の経営状態を聞きましたが、一千八百億の赤字である。その中でさらにこれだけの赤字を覚悟で引き取ってくださった鉄鋼業界の苦しみというものは、ただいま大臣お話しのとおり私にはよく理解できるわけでございます。  その反面、これはやはり原料炭に依存度の高い鉱山にいたしますと、非常にこの問題は深刻でございます。特に今の合意で、とりあえず六十一年度については百七十万トン、よく御努力いただいたものでございますが、では六十二年度以降引き取り量についてどうなるのか。例えばこれは通産大臣として、六十二年度も百七十万トン台あるいは少し減るよとか、ある程度の見通しというものは——しょせん閉山というのは、閉山するとかあるいは継続するとかいう決意をするのは経営者みずからの判断かもしれません。しかし、その経営者が判断をする一つの材料として、原料炭をどの程度鉄鋼業界が引き取ってくださるかなという、六十二年度以降の数量についてある程度の感触というものも必要なんじゃないかな。それがないと閉山のスケジュール、と言うとこれは何か極端な言い方で、むしろ閉山をしたくないという気持ちの方が強い鉱山の皆さんにとって大変失礼な言い方で申しわけないのでございますが、仮に閉山という最悪の事態を考えるにしても、六十二年度以降の引き取り量、その見通しについて大臣はいかがお考えでございますか。
  122. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、来年度以降の問題につきましては「毎年度、需給両業界が話し合って決定する」ということになっておるわけでございますが、その際に、方向といたしましては「漸減の方向で、」ということに相なっておるわけでございます。一方、先ほど大臣お話にもございましたように、六十一年度の引き取り数量は百七十万トンということでございますので、この今年度の百七十万トンという引き取り量は一つのスタート台といたしまして、これを漸減の方向で需給両業界が話し合って決める、こういうことになりますので、一応の方向は、需給両業界にとってのめどは出ているという状況にあるわけでございます。  それでは具体的にどのくらいになるかということにつきましては、やはりそのときそのときの需給両業界の環境その他状況もございますので、具体的にはその年度に、最終的には石炭鉱業審議会の中に需給・価格部会というのもございますし、そういった審議会の場での議論などを通じて決まってくるものと御理解いただきたいと思います。
  123. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つ聞いてから次の質問に移りたいのですが、今鉄鋼業界については伺いました。大臣電力業界との間で、電力業界が一般炭をどの程度引き取ってくれるのかということは、一般炭を主力に出炭している鉱山にとっては、これまた原料炭と違った意味で、電力業界の引き取り量はどうなんだろう。この電力業界の引き取り数量については、電力業界と大臣との間でどのような話し合いが、具体的に話し合いがあったということは扱っておりませんけれども、どういう合意が一応なされているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  124. 田村元

    田村国務大臣 第八次策中の電力業界の引き取り協力につきましては、石炭鉱業審議会の意向を踏まえまして、今月七日、私が電事連の那須会長と会談を行いました。その結果、次のとおりの協力を得るに至ったものであります。「引取数量は、当面現在の水準を維持することを基本とし、以降漸減の方向で、毎年度需給両業界が話し合って決定することとする。なお、六十六年度の引取数量は八百五十万トンとする。六十一年度の一般炭基準炭価は六十年度基準炭価水準の五百円引きとし、次年度以降は、原則としてこれを据え置くものとする。」これが合意でございます。
  125. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうしますと、現時点では数量でいえば一千万トンということですか。
  126. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  127. 薮仲義彦

    薮仲委員 ここで私がまた、じゃ六十六年度八百五十万トン、六十七年度以降も電力業界が協力していただけますか、こう聞くと、またそこでこんにゃく問答とは言いませんけれども、非常に推定しにくいお話であろうかと思うのです。しかし、六十七年度以降電力業界が、このように輸入炭の倍以上のコストの国内炭を引き取ってくれる可能性について、これはやはり一般炭を出炭していらっしゃる鉱山にとって、電力業界の方向性というのはどこかの時点で明らかにしていただかないと判断をつけかねる問題であろうと思うのです。  そこで、今の数字の上からもう少し突っ込んだ御質問をさせていただきますけれども、原料炭については今大臣御答弁のように、六十年の需要量、ざっとこれは四百万トン弱だと思うのですね。需要量はざっと見て三百六十七万トンとの数が出ておりますけれども、大体四百万トン弱が需要量としてある。ところが、六十一年度は鉄鋼業界が百七十万トンしか引き取りませんよ、こういうことになってまいりますと、六十年度で鉄鋼業界が三百十五万トンも引き取ってくださったのが六十一年度で百七十万トンといいますと、この差し引きは百四十五万トン、これは生産過剰といいますか、引き取り手がないわけでございます。百四十五万トンの原料炭という量は、これは大変大きな数量だと思うのです。後ほど原料炭の依存度の高い鉱山をお伺いいたしますけれども、百四十五万トンという数字だけでも、出炭量の多い鉱山で一つの山、あるいは少ない鉱山だったら二つか三つの複数の鉱山の出炭量に該当すると思うのです。そうしますと、もう六十一年度段階で幾つかの鉱山は出炭を見合わせなければならないような事態というのがこの数字の上ではっきりしているわけですね。六十一年度段階でこれだけ、数山の閉山という状態、これは待ったなしだと思うのですが、来年になればもっと事態は悪くなると思うのです。  そうしますと、では本年度に幾つかの山を閉山しなければならないという事態、こういうスケジュールでこの問題は進んでいくんでしょうか、大臣、いかがでしょう。
  128. 田村元

    田村国務大臣 特に鉄鋼業界を中心として、それぞれ随分困難な事情があったにもかかわりませず、ぎりぎりの御協力をいただいた、こういうことでございますが、政府としては、いずれにいたしましても一時に、いつときに閉山が集中して大量に失業が発生するような事態を回避することを基本として、この最終答申が出ましたらこれを踏まえて、過剰在庫対策等ででき得る限りの努力をいたしたいと思っております。  と同時にまた、不幸にして閉山というような事態が起こった場合、あるいは起こることが目に見えてきた場合、通産省が持っておりますあらゆる諸施策を講ずる、あるいは他省庁に御協力をお願い申し上げる、このように考えておる次第であります。
  129. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではもう少し、ちょっと正確に実態を知りたいので教えていただきたいのですが、いわゆる主要炭鉱、十一炭鉱あるわけでございますけれども、この十一炭鉱の中で、今問題になっております原料炭の依存度の高い鉱山を上から五つだけ言ってください。それでその原料炭のといいますか、原料炭、一般炭、両方出てくると思いますので、出炭コスト、幾らなのか、上位の五つだけ、依存度の高い方から五つだけ言っていただけませんか。
  130. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 原料炭の出炭の多い山でございますが、六十年度の実績の資料でございますが、何と申しましても一番多いのが福岡県の大牟田市にございます三井三池でございまして、出炭量四百五十三万トンのうち百三十万トンが原料炭という状況でございます。  それから次に多いのが長崎県の外海町にございます松島池島炭鉱でございまして、全体百五十三万トンのうち四十八万トンが原料炭という状況でございます。  それから同じ程度でございますが、北海道の夕張市にございます北炭の真谷地炭鉱、これが七十万トンの出炭量のうち四十八万トン。たまたま外海町の池島と同じでございますが、そういう数字になっております。  それから、今度閉山提案で最終段階に来ております高島町の三菱高島炭鉱でございますが、五十八万トンのうち三十四万トンが原料炭、こういう状況になっているわけでございます。  それから出炭コストの方でございますけれども、大体山によりまして差異がございまして、トン当たり一万五千円から二万数千円というところかと思いますけれども、個々の炭鉱につきましては経理内容にもわたりますので、御説明を差し控えさせていただきたいと思います。
  131. 薮仲義彦

    薮仲委員 質問の趣旨を正確に理解してもらいたいのです。出炭量で言ったんじゃないのですよ。出炭のうちの原料炭依存度を言ったのです。私の方で計算してありますから言いますから。  依存度が高いのは三菱南大夕張です。これは七〇%。二番目が北炭の真谷地です。これは六九%。三番目が三菱高島五九%。その次は三井芦別四三%。後で計算してください。私の言ったのは、出炭の中で原料炭の依存度の高いところはどこですかと言ったのです。やはりこういうところは経営の中で原料炭におぶさっているところが多いわけです。しかも原料炭は出炭がゼロなんです、六十六年は。こういう炭鉱の将来というのは、幾らきれいごとを言っても、依存度が高いということはそれだけ非常に経営を圧迫しています。  私の手元にある程度のコストがありますが、これは企業にかかわる問題だということでやめておきますけれども、その中で特に高いのはトン当たり二万五千七百円とかあるいは二万二千五百円とか、大変なコストでございます。こういうコストですと、やはり無理かなということをどうしても判断せざるを得ないような事態になります。今申し上げたような依存度の高い鉱山からこれは大変なのかなという感じがします、後で大臣にお伺いしますけれども。  それから、一般炭についても改めてお伺いしておきたいのですが、六十一年度一千万トン。これがいわゆる六十四年以降最終段階では八百五十万トンまでしか引き取りませんよ、こういう状態になってまいりますと、この今の段階の一千万トンから仮に八百五十万トンといいますと、百五十万トン引き取り量が変わってくるわけです、電力業界だけで。百五十万トンというのは、今いみじくも部長がお読みになりましたけれども、出炭規模からいきますとこれは数山危ないのかな、百五十万トンというと大変な数だな、こう私は判断するわけです。  そうすると、やはり原料炭の依存度の高いところ、あるいは一般炭についてもこのように百五十万トンいやでも応でも引き取れませんということになってくると、最後の出口といいますか、終着駅は決まっているわけです。その中でなだらかにというと、今のようなあいまいな形で果たして、今度答申そのものが出てくるわけですけれども、もう少しこれは、ある意味では一体だれがどういう判断を何によってしなければならないのか。  私はここで必要なのは、確かに閉山する閉山しないは経営者の判断だと思うのです。でも、経営者が判断するときに、少なくとも判断材料がなければできないと思います。と同時に、そこに勤めて一生山で過ごした御家族あるいは周辺の関連の企業の皆さん方、何とかこの山をつぶさないでくれというお気持ちになると思うのです。だれかがその決定をいつか下さなければならないと思うのですけれども、私はやはりある意味では冷厳にこの数値の上で、言葉の上ではなだらかにとかいろいろ言えますけれども、では現実に立ち返ってみますと、もう終着駅は決まっているわけです。原料炭はゼロですよ。一般炭は八百五十万トンしかとりません。しかもそこから先、高い国内炭をこれからもとってくれるかどうかはわからない。どこかでだれかがこの判断材料等をきちっとしなければならないと思いますし、また、さっき大臣もいろいろ言われましたけれども、万が一閉山したときに絶対困らせないという何らかの対策がきちんとしておりませんと、経営者としてもその判断はつきかねると思うのです。  今回ちょうど三菱高島がみずから閉山をお決めになって、これからそれが進んでいくわけでありますけれども、この三菱高島が本当にスムーズにいけば、後の方も、ああ、ああいうやり方があるのかなとわかるかもしれません。今私が伺った範囲内であって、あと何もなくて、では判断しなさいと言ったら、ただ経済合理性だけでずばずばとやったときに、一つの町、特に北海道の空知地区に鉱山が集まっていますが、あの地域は将来一体どうなるんだろう、そういう不安というものはぬぐい切ることができないと思うのです。  そういう意味で、この問題だけに余り時間をかけておられませんので、大臣最後にお願いしたいと思うのです。  日本のエネルギー政策の中で将来どういう位置に国内炭を置くのか。それから、なだらかな閉山ということはわかりますけれども、どういう形でこれが行われていくことが一番好ましいのか。あるいはまた、閉山した場合の関連の対策というものは万全なのかどうか。この辺一つ誤りますと、経済構造調整という言葉はありますけれども、この石炭であるとか造船であるとか非鉄金属であるとか、すべてのものが大きくきしんでくると思うのです。このような円高不況の中でいこういうきしみというのは非常に社会不安を及ぼしかねないと私は思うのです。大臣のこれからの政策、あるいはこの転換の円滑化が非常に望まれるところでありますので、最後大臣のこの問題に関する御決意を伺っておきたいと思うのです。
  132. 田村元

    田村国務大臣 八次策の最終答申が出てから申すべきかもしれませんけれども、これは一応向こう五年間を一つの区切りとして、一つのラウンドとして答申がされるということでございます。ではその後はどうなるか。その八次策の五年間の経過を踏まえてまた新しく考えるということになるのだろうと思いますが、いずれにいたしましても、石炭が置かれておる非常に厳しい姿ということは肌で感じていかなければならないことだと思うのです。  もう既に御承知と思いますが、先般も私は事務次官を連れて労働省へ伺って、労働大臣並びに担当局長に、どうか今後事務次官を長とするハイレベルの協議の機会を持ってもらいたい、これを常置してもらいたい、それは単にしりぬぐいということではなくして、予防策も講じてもらいたい、あるいはあらかじめの対応策もよく練ってもらいたい、こういうことをお願いいたしました。それは私が労働省の政務次官や労働大臣をした当時から離職者対策——緊就なんというのは私の政務次官のときの仕事でございますが、よくよく御縁があったわけでありますけれども、労働省の協力なくしてはできません。  また、建設大臣にもお願いをいたしました。そして、傾斜配分ということで重点的な取り扱いをしていただく。ただ、空知の方へは、積寒地域でありますから、補正予算で十分の傾斜配分ができないという事情はあるようであります。六十二年度予算におきましては、私は、石炭はもちろんでございますが、鉄鋼等いろいろな不況業種のある地域公共事業の大きな傾斜配分をお願いしたいと思っております。  また、それは建設省だけでなく、運輸省にしろ農水省にしろあるいは厚生省にしろ、公共事業を持っておる各省庁に対しては、私は、自分で頭を下げて歩こうと思っております。一省の大臣が他省の大臣を訪問して頭を下げることは役人は嫌がりますけれども、気の毒な人々のために働くということは、これは当然のことだと思いますから、私は、もうメンツも何も考えないで取り組んでいきたいと思っております。  いずれにいたしましても、そういう気持ちでございますが、ただ、今おっしゃった高島、私は高島を何とか一つのモデルケースにしたいと思っておるのです。けれども、高島は離島であります。空知は今度は山の中なんです。全然立地条件が違うのです。でございますから、高島に対応したことでもって空知に対応するということは、これは異質のものでございますから、そこいらのことは、通産省だけのひとりよがりでなしに、これから十分各省庁の御意見も承って万全を期していきたい、このように考えております。
  133. 薮仲義彦

    薮仲委員 石炭というものが言うはやすく非帯に厳しいということは、大臣の御答弁の中ににじみ出ておりますように、我々も商工の委員として同じ胸の痛みを抱えながらおるわけでございまして、大臣の今後の御努力、また我々もこの審議の中で実りある結果を得られるように祈りつつ、この推移をさらにまた見守ってまいりたいと思っております。  ちょうど今大臣から労働省のお話が出ましたが、先般我が党の大橋衆議院議員が現地高島へ行ってまいりました。いろいろと現地の御要望等も承って、これは通産大臣も労働大臣も先刻御承知のことでありますけれども、きょうはもう余り時間がありませんので、手っ取り早く、これは細かいことというよりも、基本的な問題はもう万全の体制で労働省がやってくださっていると思いますので、具体的に高島の町の方がどんなことを悩んでいるのか、これに対して労働省は具体的にどう答えてくれるのか、二、三労働省にお伺いしたいと思うのです。  例えば、いわゆる黒手帳、炭鉱離職者求職手帳ということでございますけれども、通称黒手帳、この黒手帳に対して、関連下請企業に雇用されている営繕工、電工、炊事婦、この方々にも離職者求職手帳を発給してください、こう書いてあります。  また、新しい職業につかなければならない、この方は非常に深刻であります。長崎にあります高等職業訓練校の分校を高島に開いてください、こういう要望もございます。  それから、炭鉱離職者がいわゆる求職活動に入ったとき、今の雇用促進住宅、きょうは建設省はおいでになりませんからお伺いできませんが、県営、市営等のいわゆる公共住宅、こういうものは前年度の所得によって入居基準が決まってまいります。炭鉱で働かれた方、特に坑内の方は非常に給料が高い場合もございます。そうしますと、入居基準から外れるということがございます。やはりそういう方に対して特段の入居の条件緩和をしてほしい、こういう要望もございます。  こういう問題について労働省、簡単に一つ一つこういう対応をするということでお答えいただけますか。
  134. 木村富美雄

    ○木村説明員 まず第一点は、御指摘の関連下請企業からの離職者に対する手帳の問題でございますが、炭鉱の関連下請企業からの離職者のうち、坑内業務等に従事しておられた方につきましては、いわゆる炭鉱離職者求職手帳が発給されるということになっております。しかしながら、この手帳の発給の対象にならない方につきましても、今般、石炭鉱業を特定不況業種・特定不況地域雇用安定法に基づく特定不況業種として指定したことに伴いまして、この法律に基づく特定不況業種離職者求職手帳が発給されるということになります。この手帳を持っておられる方につきましては、職業指導あるいは職業訓練等を通じてその再就職の促進に努めてまいりたいと考えております。  それから住宅関係でございますが、私ども労働省の関係では、雇用促進住宅の建設あるいはその入居にかかわる運営を図っておるところでございますが、現在高島の方では、関連の商工業に働いておられる方も含めてアンケート調査を実施しており、その集計中と聞いております。その結果、地元の方たちの意向も踏まえて、住宅の問題について労働省としても対処をしてまいりたいと考えております。
  135. 大月和彦

    ○大月説明員 離職者に対する職業訓練の件でございますが、普通の場合ですと最寄りの既設の公共職業訓練施設で受けてもらうのが一般的でございますけれども、今度の高島町の場合は、離島であるとか一時に非常に多くの離職者が出るというような状況がございまして、既設といいましても長崎市の近くにあるわけでございますが、そこへ通校するのは非常に困難であります。したがいまして、私どもは、長崎県あるいは地元の町からの要望かございましたことをいろいろ検討しておりますけれども、今御指摘がございましたように、県立の長崎高等職業訓練校の分校という形で、臨時的にではございますが、この高島町に来年の四月から設置する方向で今県と協議しているところでございます。
  136. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはもろもろお伺いしたいのですが、各省庁に言っていると時間がかかりますので、最後大臣にちょっとお願いをしておきます。  大臣、この中で特にこういう閉山のときに問題だなと思うのは、教育対策ということが出ているわけです。ここでどういうことが書いてありますかというと、高校生の転校の問題です。特に高校生の転校が円滑に行われるようにしてほしい。特に、これは大臣も御承知のように、地域によっては私立の高校の方がレベルが上で県立高校が下であるとか、あるいは地方によっては県立が上で私立が下であるとか、受験に一つの高校のレベル等がございます。転入学のときに非常にその円滑さを欠くのは、これは企業の場合も会社で転勤になったときに、高校等の場合非常に転入学をしにくいという現実がございます。この閉山等でやむなく離職なさって転校なさるとき、子弟の方が教育環境が変わる。中学は義務教育ですから構いませんけれども、特に問題になってまいりますのは、高校生の方々が大変心を痛めるようなケースもございます。  また、ここでは医療の対策も出ておりますし、あるいは港湾整備、企業誘致等々出てまいります。やはり一つの鉱山が閉山いたしますと、大臣がおっしゃられたようにいろいろな問題が連鎖反応で出てくると思います。大臣は今いみじくも、労働事務次官、優秀な方をメンバーとして集めてすべての対策ができるようにというお話がございました。やはりこういう閉山対策の中で、教育の問題、医療の問題、出てくる問題が各省庁にまたがって、万全の対策をとっていただきたいという要請が出ております。出てきた問題に関係省庁すべてがまとまって迅速かつ適切に対処できるように、どうか大臣のところで御配慮をいただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  137. 田村元

    田村国務大臣 各省で話し合いはしておるようでありますけれども、私が先ほど申し上げましたのは、労働問題は特に雇用政策は大変なことですから、それと傾斜配分の問題は大きな問題として申し上げました。別にほかのことが小さいという意味ではありません。  それで、実は一つ一つ申し上げますと時間がかかって薮仲委員の持ち時間に影響を与えると思って、私ここでは余り話をしなかったのですけれども、高島の問題はもう目の前でございますから、高校の場合も当然文部省に我々からお願いをしてやらなければならぬ問題だと思います。例えば高校の一つ一つの格式とかレベルとかに余りこだわることはないんじゃないか。これはもう塩川君に私からお願いするつもりでございますけれども、この炭鉱の閉山の問題は、求めてやったのではなくて一種の災害なんですから、やはり緊急問題として、かつ重要な問題として協議の場を持ちたいというより、むしろ私はお願いを申し上げに行きたいというふうに思っております。
  138. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか将来を担うかわいい子供たちが不安に陥らないように、十分な配慮をよろしくお願いをいたしておきます。  それでは、これは中小企業庁に要点だけお答えいただきたいと思うのですが、時間の関係でまとめてお話しいたします。  私は、最近の企業倒産の件数の推移を見ますと、非常に不況というのは深刻だなというのを感じております。地元のいろいろな業界の皆さんと懇談しても、為替レートの問題、輸出の陰り、こういう問題は企業経営を非常に圧迫いたしております。また、先般通産大臣に我が党は中小企業のアンケート調査を行った結果で申し入れに参りました。このアンケートの結果を見ましても、やはり事業内容が厳しいなということを肌で感ずるものがございます。私は、総合経済対策だけで本当に景気の回復、中小企業の経営が守れるのかなという不安が率直に申し上げてございます。これから暮れにかけてどうなんだろう。また、よく事業転換ということがあります。この事業転換ということが果たしてできるのかどうか。この事業転換というのは、言うはやすいが非常に難しい。自分の持っているノーハウあるいは技術を持ってそれに関連するところへと思っても、意外と競争が激しくてできない。特に産炭地域の関連企業の方がどういうところへ職業転換できるのかなという不安も心をよぎってまいります。  こうなってまいりますと、やはり中小企業庁が、鉱山はもちろん、あるいは今度新転換法あるいは新城下町法を通される、しかしこれによって十一鉱山全部救われるのかなというと、私は全部がひっかかるかどうかなという懸念もございます。全部ひっかかればあの十一鉱山は非常によかったと思うのですけれども、全部はどうなのかな。全部ひっかかるならひっかかると御答弁いただきたい。私は非常に大変だなという感じがいたします。と同時に、やはり中小企業の方々は、何といっても我々が行ったときにすぐ口を開くのは、景気をよくしてください、仕事を下さい、税制とか金融よりも仕事が欲しい、こうまず言われます。為替レートがもう少し、こう言います。三番目に確度の高い情報が欲しい、こういう要望がございます。やはりこういう不況の中で真剣に仕事を守り抜いている中小企業皆さんのために、中小企業庁の今とるべきいろいろな施策があるかもしれませんけれども、一遍に申し上げました。これについて、中小企業庁の持つべき役割、果たすべき責任、そして期待というのは大きいと思いますので、御答弁いただきたいと思います。
  139. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 確かに現在中小企業は非常に厳しい状況に置かれておりまして、御指摘の倒産状況を見ましても、円高関連倒産が毎月七十件前後生じております。昨年の十月から今年十月、この十三カ月に円高関連倒産四百九十四件ということで報告されております。これは前回の円高の五十二年から五十三年にかけて十三カ月とってみますと百九十八件でございましたので、今回そういう円高関係の倒産は非常に高水準であるというふうに判断をしております。そういう中で私どもできる限りの中小企業対策、しかもきめ細かな対策の総動員が必要であるというふうに思っております。  御指摘地域指定問題、これは本日、先ほどようやく法案可決、成立をいたしましたので、最大限スピードを速めまして地域指定確定をしていきたいと思います。現在どういうところかというのはなお具体的に確言申し上げるような状況にはございませんけれども、年末を控えておりますので、できるだけ早く指定し、その実効を期したいと思っております。  ただ、そのほかにも私どもことしの二月に成立させていただきました新転換法初めいろいろな中小企業施策を持っております。事業転換につきましては、今おっしゃった情報の提供、これは非常に重要だと思っておりますので、ついせんだって転換の事例集というものを、非常によく調べました六十選ということで六十例の事例集をつくりまして、各地域へ配付し利用に供しておる。それからまた、各地域におられます中小企業の指導関係にあられる人に転換指導マニュアルというのもつくりまして、そういういろいろな中小企業者の新しい活路を見出される努力に対しての指導マニュアルということで、これも配付をしたところでございます。  それからまた、年末を控えますので年末金融に遺漏なきを期したいということで、政府系金融機関の資金枠の確保、それからこの前の総合経済対策でできましたいろいろな資金あるいは金利の引き下げ、それから関係の民間の金融機関の中小企業に対する年末金融の円滑な体制整備、こういうお願いをしているところでございます。
  140. 薮仲義彦

    薮仲委員 中小企業の方々の現状は今長官おっしゃられたとおりでございますが、非常に深刻な状態にあることを私も肌で感じております。どうか中小企業皆さんが希望に燃えて新しい年、ことしもまたつつがなく過ごせるように万全の配慮を重ねてお願いをいたしておきます。  次に、十二月の声を聞きますと一度は伺っておきたいことがあります。これはスパイクタイヤ浮遊粉じんの問題であります。  通産大臣も御承知のように、ドライバーが即被害者、加害者が被害者という非常に残念な事態でございますが、浮遊粉じんは、来月十二月の時点でスパイクを装着する段階、それから春先の融雪期、この二回にわたって最も問題が提起されるわけでございます。関係省庁が大変御努力なさって今日までいろいろと改善努力をしていらっしゃると思いますが、きょうはどういう状況にあるのか御説明を伺いながら、さらにこのスパイクタイヤによって健康被害等が起きないような対策を祈りつつ、何点か経過をお伺いさせていただきたいと思っております。  最初に、環境庁お見えだと思いますので、環境庁にお伺いしたいのですが、基本的な点でお伺いしたいと思います。  いわゆる浮遊粉じんといいますけれども、浮遊粒子状物質、これは法律では大気汚染防止法上の環境基準があると思うのですが、大体この環境基準はどの程度のものか。  それから環境庁が札幌、仙台、新潟と調査をなさっていると思います。この報告書を私いただいておりますが、この報告書を要約して、各地域が基準値をどのような形で、ちょうど十二月あるいは三月の時点等が非常に状況が悪いように伺っておりますけれども、浮遊粉じんの量は環境基準を上回っている状態がどの程度なのか。  それから、このような浮遊粉じんの健康に及ぼす影響をどう認識していらっしゃるか。しかも、これは国民の健康にかかわる問題でございますので、あるときやったということではなくして、正確な調査というものを絶えず継続的にやって、健康被害が起きないようにしていただかなければならぬと思いますが、正確な調査をやっていれば、その結果どうであったか。  それから四番目に、スパイクタイヤはこれだけ毎年騒がれました。各省庁非常に努力をしていらっしゃる。通産省通産省でタイヤを、あるいは建設省は路面の舗装の技術を、あるいは警察庁は安全の面からどうあるべきか、いろいろ知恵を出して御努力いただいておるわけでございますが、その結果今どの程度環境が改善されたのか、それも含めて環境庁さん、今の四点、要点を簡潔にお答えいただきたいと思います。
  141. 百瀬信

    ○百瀬説明員 それではお答えいたします。  浮遊粒子状物質につきましては、これは大気中に浮遊する粒子状物質でございまして、その粒径が十ミクロン以下のものを言っているわけでございます。  さて、お尋ねの浮遊粒子状物質の環境基準は、昭和四十八年の五月に環境庁告示におきまして設定されておりまして、一時間値の一日平均値が大気一立方メートル当たり〇・一ミリグラム以下であり、かつ一時間値が同じく一立方メートル当たり〇・二ミリグラム以下というふうになっております。  さて、環境庁の調査の問題でございますけれども、環境庁では五十七年度札幌市、五十八年度仙台市、五十九年度新潟市で粉じんの実態調査を実施したわけでございますけれども、幹線道路沿道におきましては次の結果を得ております。  一つにSPMでございますけれども、これは浮遊粒子状物質のことでございますが、スパイクタイヤ装着期には非装着期の約二ないし四倍に増大しております。それから、降下ばいじん量は非装着期の約二ないし十倍に増大しております。それから、粒径が一・一ミクロンを超え十一ミクロン以下の浮遊粉じん中に占めるアスファルト混合物の割合は、非装着期では約三〇ないし四五%でありますけれども、装着期には約六〇ないし七〇%に増加しているという推計結果が出ております。以上によりまして、冬季における粉じんの増大は、スパイクタイヤによる粉じんの影響を大きく受けているということがわかったわけでございます。  それから、スパイクタイヤによる粉じんの健康影響につきましてですけれども、スパイクタイヤの装着による多量の粉じんが発生した場合には、目、鼻、のどなどに刺激症状が認められるという報告がございます。しかしながら、慢性的な影響につきましては、職域におけるじん肺が高濃度かつ長期間の暴露を受けて初めて発症するというふうに言われていることなどから、現時点で評価することは困難でございます。このため環境庁としましては、昭和五十九年度から、スパイクタイヤによる粉じんの小動物への長期暴露実験を実施しておりまして、当面その結果を待つということにしておるわけでございます。  以上でございます。
  142. 薮仲義彦

    薮仲委員 最近どの程度改善されているか。
  143. 百瀬信

    ○百瀬説明員 失礼しました。スパイクタイヤによる粉じんの改善状況について申し上げます。  札幌市、仙台市では、スパイクタイヤによる粉じんは、官民関係者の取り組みによりまして低減傾向にございます。  札幌市におきましては、昭和六十年度におきまして、降下ばいじんにつきましては、昭和五十八年度に比較をいたしますと、スパイクタイヤの装着期の十一月から四月までの平均値及び最高値は両者とも約三五%低減しております。それからSPMにつきましても同様に、平均値では約四〇%、最高値では約五五%低減しております。  次に仙台市でございますけれども、昭和六十年度において、昭和五十七年度に比較しますと、降下ばいじんでは平均値で約五〇%、最高値で約五五%低減しております。それからSPMにつきましては平均値で約二五%、最高値では約二五%低減しておる次第でございます。  以上でございます。
  144. 薮仲義彦

    薮仲委員 関係省庁、自治体等の御努力で大分改善の様子でございますけれども、念のために建設省にごく簡単にお伺いしたいのです。  道路の舗装というのは、今のような交通状態ですと、一晩のうちにアルファルトをはがして舗装を直して朝は車が通るというような状態だと思うんですね。養生期間が非常に短いという中で硬度を上げるということは非常に困難だと思うのですが、相当な研究はしていらっしゃると思うのです。現状こういうことを努力しているというその点だけお答えいただけますか、建設省
  145. 寺田章次

    ○寺田説明員 お答えいたします。  アスファルト舗装の耐摩耗性を向上させるためには何点かございます。まず一点は、アスファルト量を多くするということでございます。二点目は、骨材の最大粒径を大きくするということでございます。三点目といたしまして、かたい骨材を用いるということでございます。  この骨材関係につきましては、こういった要素を持ちます骨材というものを経済的にいつでも手に入れるということはなかなか難しゅうございます。  それからアスファルトを多くするということにつきましては、なるほどアスファルトを多くいたしますと耐摩耗性は向上いたしますが、夏温度が上がってまいりますと流動する、やわらかくなってしまうという問題がございます。そこで、私ども現在このアスファルトを改良いたしまして、耐流動性、耐摩耗性にすぐれたものがないかどうかといったようなことを土木研究所を中心に研究いたしております。現在、筑波一号という改質いたしましたアスファルトを開発いたしまして、二十五カ所におきまして試験的に施工いたしまして、施工性でございますとか耐摩耗性でございますとか、そういったことを鋭意研究しているという状況でございます。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 通産省にお伺いしたいのですけれども、通産省はスパイクピンのフランジの径を小さくする新基準をつくって、何とかスパイクによる影響を少なくしようという努力をしていらっしゃると聞いておりますし、またスタッドレスタイヤの改良を重ねていらっしゃる。現状どうなのか、特に恵庭と札幌で試験をおやりになっていると思いますが、どの程度改善されているのか、要点だけお答えいただけますか。
  147. 鈴木直道

    ○鈴木政府委員 スパイクタイヤの改善の方法につきまして、先生御指摘のとおり、一つはスパイクタイヤにかわるスタッドレスタイヤの普及でございます。特殊なゴムを使いましてなるべくその摩擦によってとめるということで、スパイクを使わないタイヤでございますが、これにつきましては既に相当性能の向上が行われておりまして、実際上乗用車につきましては問題はないという状況にまで達しておりますので、積極的に現在普及に努めているという点でございます。  それから、お話がございました軽量のスパイクを使用したスパイクタイヤでございますが、これにつきましては現在開発途上にございますけれども、御指摘のように現在試用している段階におきましては一〇%の改善が見られる、こういう報告がございます。  私どもとしましては、いろいろな方法で新しいタイヤの改善あるいは開発に努力しているわけでございまして、工業技術院におきましても特殊の合金を使った方法など、現在鋭意努力中でございます。
  148. 薮仲義彦

    薮仲委員 最後に警察庁、様子をお伺いしたいわけでございますけれども、やはり警察庁の立場というのは、何か取り締まるというと、これは好ましくないよという判断で大変御苦労なさっていらっしゃるようでございます。しかし、仙台などは住民の皆様の合意の中で、装着する期間をある程度決めましょうというような条例等も努力してつくられていらっしゃるようでございます。しかし、運転する側にとっては安全という何物にもかえがたい問題もございます。しかし、ドライバーの教育であるとかいろいろな指導であるとか、スパイクタイヤを不必要なときには使わないような啓発啓蒙、この辺も大変大事なことだろうかと思います。警察庁は今日までスパイクタイヤでどういう点を努力していらっしゃるか、お聞かせいただきたいと思います。
  149. 越智俊典

    ○越智説明員 スパイクタイヤ問題につきましては、道路の除雪とか凍結防止措置、あるいはタイヤの改善状況、あるいは冬場の自動車利用のあり方等を勘案しまして、交通の安全と環境の保全の調和を図る観点から総合的に検討すべき問題でありまして、警察としましても、当該地域の交通実態等十分踏まえまして、関係機関と連携しながら対策を進めておるところでございます。まず第一に、スパイクタイヤに起困する障害に対して、関係都道府県では、スパイクタイヤの不必要な期間における使用自粛についての指導、広報に努めております。  また、スパイクタイヤの使用自粛及びスタッドレスタイヤの普及が進んでいるところから、交通の安全のために冬道での安全運転の教育を進めておりまして、若干具体的に申しますと、北海道では夏場に運転免許を取った人のうち希望する者に対しまして、冬場に運転免許試験場とか一部の指定自動車教習所におきまして、アイスバーンやわだちのできた道路の走行法について実地の教育を行っております。また、六十二年秋には、年間を通して利用可能な訓練コースが旭川の運転免許試験場に完成する予定であります。宮城県でも、四カ所の指定自動車教習所において、教習生に対して滑りやすい路面におけるコーナリングやブレーキングについての実地の教育を行っております。これらの教育につきまして今後さらに一層推進してまいりたいと思っております。  なお、宮城県におきましては、昨年十二月スパイクタイヤ対策条例が制定されたのを受けまして、宮城県の道路交通規則、これは公安委員会規則でございますけれども、これの改正を行いまして、四月一日から十一月三十日までの間におけるスパイクタイヤの使用を原則として禁止いたしました。いわゆる履きつぶしの禁止でございます。この措置をとっておりますけれども、他の道県につきましても、スパイクタイヤの利用状況とかあるいは道路の除融雪の状況、住民の意識等考慮しながら、必要があれば同様の措置をとってまいりたいというふうに考えております。
  150. 薮仲義彦

    薮仲委員 関係省庁大変御努力いただいておるようで、私も一人の国民として大変感謝をいたしております。これは加害者が被害者であって、やりきれない問題でございますが、どうかこれからも関係省庁の英知を集められて、この問題で県民が困らないような環境をおつくりいただくように重ねてお願いをして、この質問を終わりたいと思います。今スパイクタイヤで御答弁いただいた方、ありがとうございました。お引き取りいただいて結構です。  それでは次に、最近問題になりましたタクシーの、タクシーといってもLPGタクシーでございますけれども、新聞報道によりますと、タクシー用LPG乗用車のNOx、窒素酸化物排出量が都内の実走行で基準をかなリオーバーしている、これが東京都の環境保全局の調査結果で明らかになった。国の判定法であるテンモード、これは確かにこの中ではおさまるけれども、実走行ではオーバーしますということが新聞報道されております。  環境庁にお伺いしたいわけでございますが、この指摘がそのとおりであったかどうか、これがまず第一点。それから現在のNOxの許容基準値、この数値だけ言ってください。それから実走行でオーバーしている車両があると思いますが、実際はどの程度で走っていると認識しているのか。この三点を最初にお答えください。
  151. 百瀬信

    ○百瀬説明員 お答えいたします。  我が国の乗用車等の自動車排出ガス規制は、都市内の走行実態を代表するテンモードによりまして自動車を走行させ、このときの排気管から排出される排出成分の量を規制しております。御指摘のLPG乗用車につきましては、この規制を満足しております。先生のお尋ねは、車速の高い領域でNOxの排出が増大するものがあるということでございますけれども、そのような事実はございます。  それからモードの問題でございますけれども、排出ガス規制当たりましては、今申し上げましたように、都市内の一般道路の走行を基礎としましたテンモード等の試験方法によりまして実施をしてきているところでございます。しかしながら、テンモード等の設定以来かなり時間が経過しておる、そういったことから、都市の高速道路の伸長等もございまして、走行実態が変化をしている可能性もあるということから、現行の走行モードの妥当性を検討するために、五十九年度から大都市地域における走行実態の調査を実施しているところでございます。  それから、車の走行の実態といいましょうか、どのようなスピードで走っているかということでございますけれども、私どもも最近、小規模でございますが、タクシーのタコチャートというのがございまして、自動車につけられてタクシーについているわけでございますけれども、そういうカードの分析をいたしました結果から申し上げますと、東京都内のタクシーでございますが、朝の六時から夕方の六時くらいまでの平均車速は大体十七キロ前後というふうな状況でございます。現在のテンモード走行の平均車速は十七・六キロメートルでございますので、大体昼間の走りぐあいは同じレベルである、こういうふうに考えていいと思います。しかしながら、先ほど申しました夕方の十八時以降になりますと、夜間はかなり道路がすきますので、タクシーはもう少し高いスピードで走っている、こういうふうな状況になろうかと思います。  以上でございます。
  152. 薮仲義彦

    薮仲委員 私の質問をよく聞いていてくださいよ。私はそういうことを聞いたのじゃないのです。私が聞いたのは、この新聞の指摘は正しいのですかと聞いたのです。正しいか正しくないか言えばいいのです。二番目は、NOxの許容基準はキロメーター当たり幾らですかと聞いたのです。これは私はキロメーター当たりわかっていますからいいですよ。私が聞いたのは、キロメーター当たりどのくらいなのですか、実際に実走行の中で排出しているのはどのくらいの数値なのですかと、この三つを聞いたのです。もう少し質問していることを正確に聞かなければだめですよ。これを聞かないと、何が悪いのかわからない。新聞の言っていることが正しいのだったら正しい、そして許容基準を実走行ではこれだけオーバーしています、私のところに資料がありますから、時間がないから結構ですけれども、やはりこういう点はきちんと質問を聞いていてくださいよ。  それから、運輸省にちょっとお伺いします。これはエンジンの型式を指定していらっしゃるお立場からお伺いしたいわけでございますけれども、我々専門家の方に聞きますと難しいことを言うのですね。理論空燃比から現在最も浄化率の高いところは一五・二のレベルにNOxの対策をとっておる、しかし燃費の効率をよくするために空燃比を少し空気の多い方ヘシフトしています、こういう言い方をするわけですが、これを我々みたいな素人がわかるように言うと、タクシーは燃費効率を重視するために排出ガス低減対策装置が十分機能していないようなものになっておりませんか、こういうことを伺いたいわけです。これが事実であるとすると、先ほどの数値、こちらで言いますと、キロメーター当たり〇・四八グラムです。実走行の中で出ているのは、四十キロ走行、六十キロ走行、八十キロ走行、百キロ走行とありますけれども、キロメーター当たり六十キロで一・一四、八十キロで一・九〇、百キロで二・四一、実走行にしますと確かに基準をオーバーしているのが現実でございます。  そうすると、運輸省としても、大気汚染の進行等を考えますと、これが決して好ましいことではないと思うのです。確かに経営上燃費効率をよくしようというお気持ちはわかりますけれども、運輸省としては、環境基準を守るべく適正に排出機能が操作するような指導をしていただきたいと思いますし、特にこれから出てくる新しい車また既存の車等についても、技術的にそれが困難でなければ改善を、もちろん新しい車はやっていただけると思いますけれども、既存の車の対策等を含めてどういうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  153. 松波正壽

    ○松波説明員 お答えいたします。  三点あったかと思いますが、まず第一点につきましては、先生御専門の御指摘もございましたが、なるべく簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。  今般、LPGを燃料とする乗用車につきまして関係自動車メーカーから事情聴取などを行いましたところ、当該乗用車につきましては、先生も先ほど触れられました型式指定の際に審査をいたしまして、排出ガス規制に適合しているということを認めているものでありますけれども、高速走行時におきまして、窒素酸化物にかかわる排出ガス低減対策技術と燃料経済性との間に技術的調和を欠いている面があるということが明らかになったのであります。  したがいまして、第二点目のお答えになろうかと思いますけれども、今御説明を申し上げましたような調査結果を踏まえまして、しかも自動車公害防止対策は、先生御案内のとおり生活環境の保全等の上から非常に重要な問題であることにかんがみまして、運輸省といたしましては、この十一月十八日付をもちまして、自動車排出ガス対策の実施に当たりましては、今日の社会的要請にこたえるべく大気汚染防止を最大に配意した排出ガス対策を実施するよう、日本自動車工業会に対し要請をしたところでございます。したがいまして、現在、要請を受けました日本自動車工業会におきましてどう対応するかについて検討中でございます。その段階でございますから、我々といたしましてはその進捗状況を今見守っているところでございます。  今先生のお尋ねの新車に対する排出ガス対策についての展開につきましては、現在採用しておりますところの排出ガスシステムの設計変更等技術的な問題があるかと思います。そういう意味で相当な時間を要するとは思いますが、今回の要請の趣旨を受けまして、業界として早期に対応するものと私は考えております。  さらに、お尋ねの使用過程車につきましてお答えを申し上げたいと思います。使用過程車につきましては、その改善対策が新車と同様に、例えば燃焼制御に必要な電子機器とか空燃比制御に必要な検出装置とかERG装置、触媒装置、大変専門的な話で恐縮でございますが、こういうようなエンジンの燃焼制御系から排気系に至るまで相当広範囲にわたり、かつ高度の技術を必要とすると考えられることから、今町に走っている車両、すなわち使用過程車につきましては、これらの対策を適用することは難しいかと考えております。
  154. 薮仲義彦

    薮仲委員 環境庁に重ねてお伺いしておきますけれども、テンモードは現在の社会環境、道路事情に合わせて改善すべきである。改善しますね。
  155. 百瀬信

    ○百瀬説明員 お答えいたします。  現行の走行モード、つまリテンモードの妥当性を検討するため、先ほど申し上げましたけれども、走行実態の調査を実施しているところでございます。とりあえずこの実態調査を急ぐとともに、既に開始されております中公審の場で検討いただき、できるだけ急いでいただくというふうなお願いをしていきたいというふうに考えております。
  156. 薮仲義彦

    薮仲委員 できるだけ早期にテンモードを今の実走行に合うようにしていただくことをお願いいたしておきます。  最後大臣にちょっと手っ取り早くお伺いします。  電力の差益の問題でございますけれども、大臣が先般再差益の還元について御発言がございました。私は大変適切であると理解をいたしております。これはきょうは細かくお伺いをしたかったわけでございますけれども、六月時点、差益を還元した時点では一バレル十九ドル為替レート百七十八円ということであった。しかしそれは、六十年時点で五十九年度平均値で推定したときには一バレル二十九ドル、一ドル二百四十五円であった。ですから、その差益を六月の時点で還元をなさった。約一兆三千億超でございますが、今回また再差益の還元ということで、十月の時点ですと、一バレル十三ドル、一ドルが百五十七円というような推計値を出されておるわけでございます。このことによりましてざっと五、六千億の差益、これは単純な最も粗っぽい計算でございますが、さきの一兆三千億プラス五、六千億ぐらいの差益の金額になるのかな、これはこちらの粗っぽい計算でございますから決して正確な数じゃございませんが、大臣もよく御承知だと思います。  この差益の還元大臣としてはいつごろの時点で、どのような形で行われようとなさっておるのか。特に、これは国民生活を守る上で非常に好ましいことでありますし、また、電力会社がさらにこの差益を事業増という形で事業をふやしていただく、これもまた景気浮揚に非常に効果がございます。時宜を得たものだと思いますので、大臣の、いつごろ、どのような形でということをちょっとお伺いしたいのです。
  157. 田村元

    田村国務大臣 既に六月から電力ガスの差益約一兆一千億余りが還元されておることは御承知のとおりであります。  それから、私は就任してからも経過をじっと眺めておりました。既に御承知のように、当時、今でも若干その気味なきにしもあらずでございますけれども、為替レートは非常に投機的であった、そしてまた原油も暴落と言ってもいいぐらい安くなっていった。だからといって、為替が投機的ということはどういうふうに乱高下するかわからない。またOPECの状況を見ても不透明なところが多い。そこへもってきてヤマニ氏が解任されて、それまでシェアを確保しようという考え方であったサウジが、どうもイランあたりと同じような意見で、価格主義へ移ろうというようなこともちらほらと聞くというようなことで、私は非常に迷ったのです。でございますから、この委員会でも随分お尋ねがありましたけれども、もし料金を下げても、すぐに引き上げなければならぬというようなことになったら大変だ、ぬか喜びになるということもあって、そのリスクに対して非常に慎重に推移を眺めておったのです。  ところが、宮澤・ベーカー会談で、どうやらこれ以上の円高ということは避けられそうだということ、油の方は不透明な面がなお残っておりますけれども、しかし国民のニーズ、それから今特に製造部門が非常に困っておるというようなことを考えれば、その額がどの程度であるかはとにかくとして、電力ガスに差益を還元してもらうということに踏み切った方がいいのじゃないかということで、思い切ってああいうことにしたわけであります。  今両方とも審議会にお諮りをしておりますから、どの程度の額になるかということはまだしばらく推移を見守らなければ——電力が十二月四日、ガスが十二月五日にそれぞれ報告をしていただく予定になっておりますが、金額はどういうことになりますか。  それから、六月から二月までの暫定、第一次というか、現在の差益還元があるわけです。ですから、本来ならば四月一日からということが常識だろうと思います。ところが、同じいいことをするのなら急いだ方がいいだろうということで、一月元旦からお年玉還元、こういうことで指示をした、そういう点も含めて審議会で御審議を願う、このように思っております。
  158. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間がかかりますので以上で終わりたいと思います。  最後大臣、一つだけこれはお願いです。御答弁は結構です。  料金の算定といいますか、料金の設定の仕方でございますが、産業用家庭用いろいろございます。特に家庭用は三段階、いずれも漸増になっております。これはナショナルミニマム、当時は百二十キロワットアワーを基準にしておりますけれども、現在は二百十キロワットアワーでございます。このようにふえているわけでございますが、私はこの料金改定の中で、ナショナルミニマムの考え方も賛成でございますが、やはり今度、福祉料金体系といいますか、生活弱者に対して逆に料金を安くして電力等を使いやすくするような方向での料金をお考えいただきたい、このことをお願いいたします。
  159. 佐藤信二

    佐藤委員長 青山丘君。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
  160. 青山丘

    ○青山委員 昨年秋以降の急激でかつ大幅な円高のために産業構造の調整が避けられなく、なってきておりますし、そのピッチもかなり上がってきているように思います。  最初に大臣に所見をお伺いして、石炭部長さんの方からその対策について少しお尋ねをいたします。  円高による産業調整の推進のためにいろいろな摩擦は避けられないことだと思います。しかし、その摩擦というものはできるだけ少なく抑えていかなければなりません。今回の石炭政策の見直しといいますか、石炭鉱業審議会から出されました第八次石炭政策、これは朝からの論議の中にも繰り返されておりますが、国内炭のこれからの見通しについて大変厳しい状況になってきます。相当ドラスチックな調整に伴う摩擦の解消対策、これはよほど性根を据えて取り組んでいただかなければなりません。このあたりの御所見を大臣から、そして個々の、例えば閉山対策であるとか離職者対策あるいは残存炭鉱の問題、離職者の再雇用の問題、産炭地の地域経済の問題、産炭地の中小企業問題等々総括的によほどしっかりと取り組んでいただかないと、これは大変なことになる、私は深く憂慮いたしております。前川レポートが出た段階からこれはもうお互いに一定の覚悟をしておるということでしょうけれども、これからの取り組みが問われてきます。まず大臣の御所見からひとつぜひお聞かせいただきたいと思います。
  161. 田村元

    田村国務大臣 第八次答申原案は、エネルギー政策上の観点と同時に産業構造調整の一環としての観点からも検討を行った結果、国内炭の一定の役割を評価した上で、生産規模の段階的縮小はまたやむを得ないとしてあり、地域経済、雇用への影響緩和して生産体制の集約化を円滑に行うことが必要としております。御承知のとおりであります。  このような基本的な考え方に立ちまして、この原案では、御指摘の稼行炭鉱対策、閉山対策、離職者対策、地域対策のそれぞれについて次のような方向を示しております。今各項目に関して政府委員からというお話でございましたが、私から基本的な問題についてまとめて御答弁申し上げたいと思います。  まず稼行炭鉱対策でございますが、石炭企業の自己努力を前提として、政府は現行の支援を基本として、炭鉱の規模縮小の円滑化、保安確保の強化の観点に立って所要の見直しが必要であるとされております。  閉山対策につきましては、石炭企業は離職者の再就職、閉山に伴う債務の処理に最大限努力すべきである。政府は現行の閉山制度について所要の見直しを行いつつその活用を図ることが適当であるというふうにされております。  離職者対策につきましては、政府は閉山に伴う離職者の再就職を円滑に推進するため現行の離職者対策を充実し、関係地方公共団体とともに再就職あっせん対策に最善の努力を払うことが必要である。  それから地域対策につきましては、各地域は相互に連携し、広域的視野に立って地域振興に主体的に取り組むことが重要である。石炭企業等の地域振興への積極的な貢献が必要。地元経済関係者を初めとする民間関係者の一体的な取り組み、協力を期待しておる。政府は関係地方公共団体と連携を保ちつつ所要の支援を行うことが必要である。  こういうことでございますが、通産省といたしましては、石炭鉱業審議会でさらに審議を尽くしていただいた上で、できるだけ早く最終答申が得られることを期待いたしますとともに、答申をいただいた後、その内容も踏まえて石炭鉱業の生産集約化、その摩擦の解消に全力を挙げて取り組みたいと思っております。と同時に、先ほど来申し上げましたように、あらゆる省庁に協力を要請し、あらゆる努力を尽くしていきたい、このように思っております。
  162. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 ただいま大臣から石炭政策の基本的な考え方について申し上げたわけでございますが、やや具体的に若干私から御説明申し上げます。  まず、今度の答申におきましては、御案内のとおり現在の千八百万トンぐらいの供給規模をおおむね一千万トンということで、これから五年間に八百万トンばかり縮小の方向にいかざるを得ないということでございますので、その際に、今後とも稼行といいますか操業を続けていく炭鉱の対策、それから閉山を余儀なくされた場合の閉山対策、それから閉山に伴いましてそこにいろいろな問題が出てくるわけでございますが、特に離職者の問題、それから地域対策、こういった問題は今度の答申原案におきましても非常に力点を置いたポイントになっているわけでございまして、先生御指摘のとおりでございます。  具体的に、今後とも操業を続けていく炭鉱の対策につきましては、現在御案内のとおり経営安定のための補助金であるとか、あるいは坑道を掘削する場合の補助金であるとか、あるいは極めて重要な点でございますが保安の確保に対する補助金、こういった補助金、あるいは新エネルギー総合開発機構を通じます融資、こういった融資を今後とも基本として、基本的には支援を続けていく。さらに今後の縮小に伴った対応策として所要の見直しをすべきであるという方向になっているわけでございます。  それから閉山対策でございますが、現在の閉山対策につきましては、退職をした方々の退職金に対する補助金その他の補助金が出ておりますけれども、これも、答申原案におきましては基本的にはこれを継続すべしという趣旨でございまして、私どもとしてもそのあたりを中心に今後とも閉山対策の充実を図ってまいりたいと思っております。  離職者対策につきましては、労働省を中心にいろいろと考えておりますけれども、就職のあっせんその他これは極めて重要な問題ということで、私どもといたしましても、産炭地域振興関係各省庁等連絡会というのがございますので、この会の活用なども図りまして政府全体としてこの問題に取り組んでいきたい、かように考えております。  また、地域対策の問題も極めて重要でございまして、特に閉山が今後余儀なくされる地域におきましては、炭鉱への依存度が極めて高い地域ばかりでございますので、この地域に対する対策は、地元それから道県それから政府が一体になってやっていかなきゃいけない。当面の閉山に伴う緊急対策といたしましては、そこへ住んでおられる方々の生活上、民生上の問題、それから離職者となられる方々に対する対策も当然あるわけでございますが、また住民に対する公共サービスをどう維持していくか、例えば水道などをどう維持していくかとかいういろいろな公共的なサービスの維持の問題がございます。こういった当面の緊急対策につきましては、先ほどの各省連絡会を通じまして政府としてもできる限りの支援をしていくという構えになっておりますし、また中長期的にはやはりその地域を脱石炭型の地域経済構造に変革をしていかなければいけないという大問題があるわけでございまして、この問題につきましても、これはみんなで知恵を出し合って、地道な努力になるかとも思うわけでございますけれども、政府としてもできるだけの支援をしていく、かような考えで進みたいと思っております。
  163. 青山丘

    ○青山委員 しっかりと知恵も出していただかなければなりませんし、資金的な裏づけもきっと必要になってきます。これがきょう参議院を通過した特定地域の指定との絡みはどのようになっていくのか、中小企業庁長官、どうでしょう。
  164. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 ただいま鋭意具体的な地域の詰めを行っておりますけれども、石炭産業、これもそういう内外の著しい経済環境によって著しい影響を受けている地域という一般的な概念に入りますので、全国的な基準に合致する限り産炭地域についても指定の道を閉ざしてはいない、そのように考えております。
  165. 青山丘

    ○青山委員 昭和五十八年十一月に「長期エネルギー需給見通し」というものが示されております。これは日本のエネルギー政策の基本になっているものでありますが、このように石炭政策、とりわけ国内炭の見通しが大きく変わってきておりますから、このときでは五年先は千八百万トンから二千万トン、これが一千万トンくらいに縮小していく見通しに大きく変わってきておる。こういうことになってきますと「長期エネルギー需給見通し」の見直しも必要になってくるのかと思わざるを得ません。内外のエネルギー情勢を踏まえて需給見通しをどのように考えておられるのか。あるいは産業構造の大きな変化というものがまたこれから出てまいります。この点も含めて考えていくと見直しがまた必要になってくる、こういうふうに理解しておるのですが、これは国内炭だけの問題だというふうな受けとめ方なのか、総合的に一遍見直しをしなければいけないと考えておられるのか。総合的な見直しをしなければいけないと考えておられるとすれば、いつごろをめどに作業に入られるのか、その辺の見通しはいかがでしょうか。
  166. 高橋達直

    ○高橋(達)政府委員 石炭の需要見通しに関連する問題でお尋ねでございますので、私から御答弁申し上げさせていただきますが、先般も総合エネルギー調査会の会合が開かれまして、そのときに最近のエネルギー消費の状況についての御議論があったわけでございますが、そのときの結論では、現在の状況は御指摘のございました五十八年十一月につくりました「長期エネルギー需給見通し」のラインの中に一応入っておるということで、全体のエネルギーの見通しについて現在直ちに改定をする必要はないのではないかという御結論であったかと記憶しておるわけでございます。  ただ、御指摘のように、石炭全体の問題といたしましては、今回の第八次石炭答申によりまして昭和六十六年度の石炭の消費がおおむね一千万トンということでございますので、五十八年の十一月につくりましたときの数字からまいりますと、それでは千八百万トンから二千万トンという数字になっているわけでございますので狂いが出てくるわけでございます。ただ、石炭全体の需給ということになりますと、これもおおむね五十八年十一月の需給見通しのライン、すなわち昭和六十五年度で一億八百万トン程度、それから昭和七十年度で一億二千八百万トン程度という数字のラインで走っておりますので、いわば石炭の中での国内炭と海外炭との入れかえがあり得るかということでございまして、エネルギー見通し全体としては、今後、状況によりまして改定が必要となった場合に、国内炭との問題についてはそのとき修正をするというような方針で進んでまいりたいと思っております。
  167. 青山丘

    ○青山委員 石炭だけではなくて産業構造が大きく変わってきますと、エネルギーの需給見通しも変わってくるのではないかと私は思うのです。  実は、産業構造の調整については、もう既に具体的、現実的な政治課題として、あるいは産業界の深刻な課題として今出てきておりまして、鉄鋼、繊維、造船、非鉄金属、化学、幅広くその対応に実は苦慮しているところであります。造船産業だけを見ても、さきに新聞報道でありますが、石川島はこの二、三年に七千人ほどの人員削減をしていかなければならない、日立造船に至っては八千人ほどの人員削減が計画されている。こういう新聞報道だけでも二万五千人ほどの人員削減計画が今伝えられておりまして、この産業構造の調整に伴って深刻な失業、摩擦の問題がこれから出てきます。これはできるだけそうありたくないとは思ってきたけれども、長い目で見ればやむを得ない一面もあるわけでありまして、そういう点でこれからの重要な政治課題だと私は思う。  ただでさえ今円高のために先月あたりは百七十万人くらいの失業者、過去最高の失業率がずっとこの七月、八月、九月、十月と出てきて一喜一憂しているのが実は実情でありますが、産業全体から見てまいりますと、こうした産業調整に伴うところの摩擦、つまり失業をマクロでどのような形で新しく吸収することができるのか、産業政策としてどのように考えておられるのか、通産省の御見解をぜひ聞かしていただきたい。
  168. 田村元

    田村国務大臣 最近の円高の急速な進展や中長期的な国民のニーズの変化に伴う産業構造の転換に対しては、産業の発展基盤の整備、それから新規産業の育成、企業の新規分野の進出努力への支援等を通じまして雇用機会を確保していくことが必要であると思っております。  具体的には、適切なマクロ経済政策の運営によりまして、内需中心の高目の経済成長を図っていくということが大切であります。これが基本になるわけであります。それから、基盤技術研究促進センター事業の一層の充実等を通じた基礎的、創造的な技術開発の促進、それからソフトウエア開発の促進、データベース整備の推進等を通じた情報化の推進による産業の発展基盤の整備や、マイクロエレクトロニクス、新素材、バイオテクノロジーなど潜在的に高い成長が期待される新たな産業分野の開拓に努めることが重要であります。今後ともこれらの諸措置によりまして雇用の受け皿となる産業の育成、成長を促してまいりたい、このように考えております。
  169. 青山丘

    ○青山委員 高目の経済成長、内需中心経済成長については後でちょっとだけ触れさせていただきますが、失業の問題というのは、円高に伴って海外への進出、特に主要産業の海外現地生産という問題から起因する問題がきっとこれから出てくると思うのであります。十年ほど前であったと記憶しておりますが、例えばカラーテレビの輸出が自主規制をされました。それに伴って雇用の減少が避けられないものか、雇用の減少が出てくるのではないかと心配をいたしておりました。ところが、これはなるほど現地で生産することによって雇用の減少心配されたのでありますが、コンパクトディスクみたいな新しい、より高度な先端技術製品の需要を国内で創出することによって、トータルな面での雇用減少の問題は回避されたと思っています。ところが今般、例えば自動車産業の現地生産、海外への進出、それに伴うところの国内の失業の問題、雇用の減少の問題については、これは相当避けられないのではないかと実は深く憂慮しているのです。  今おっしゃられたような産業分野で、実際に製造業として、新しい製造業の分野で雇用の創出というものを十分図り得ることができるのかどうか、スムーズな吸収というのが可能かどうか、そして新しい産業分野でその辺の見通しは十分立つと考えておられるのかどうか、この辺の御見解はいかがでしょうか。
  170. 杉山弘

    杉山政府委員 ただいま御指摘のように、最近の円高に伴いまして海外投資というものが急速に進んでまいっておりまして、それに伴う国内の雇用面の影響が懸念されているところでございます。  従来もこういったケースがございましたが、ただいま御指摘のように、同じ企業内あるいは同じ産業内で新しい成長分野が出てまいりまして、そちらで吸収をするということで雇用問題は表面に出ないで済んだわけでございます。これからも、先ほど大臣が申し上げましたように、国内の産業構造調整に伴う問題とこの海外進出に伴う雇用問題につきましては、全体として高目の成長を維持し、一方で新しい産業分野をつくり出していく、こういうことで対処をしていくわけでございますが、これまでと違いますのは、やはり同一企業内ないしは同一産業内で必ずしも新しい分野が出てくるという保証はございませんので、そういう場合の労働力の転換というものをいかに円滑にしていくかといった点、これまでと違った苦心の要るところかと思うわけでございます。こういつた点につきましては、私どもこれから産業構造転換を進めていく上での最大の課題と考えて努力をしたいと思っております。  具体的に新しい分野でどういったものが考えられるかということでございますけれども、とりあえず見通し得る範囲内で申し上げれば、やはりマイクロエレクトロニクス化というのはこれまで以上に進んでまいります。したがって、エレクトロニエクス関係での新しい分野というものは十分期待できるものと思いますし、新素材なりバイオテクノロジーなりといった技術分野でも新しい産業の分野が開けてくるものと思います。  こういった製造業以外にも、先ほど大臣申し上げました、情報化等を通じますいわゆる対事業所サービスの分野、それから最近の高齢化、高学歴化、さらには女性の社会進出といった社会的な変化を背景にいたしまして新しいサービス需要というものも出てきておりますので、そういった分野でのサービス産業の育成ということも心がけていかなければならないと思うわけでございます。
  171. 青山丘

    ○青山委員 今からその見通しというのはなかなか困難であろうと思いますが、ひとつそれこそ知恵をみんなで出し合って、この摩擦を少しでも解消する方向で取り組んでいただきたい。その一点で、私かなり期待しておる問題を後でちょっと触れさせていただこうと思っております。  第一勧業銀行の調査によりますと、一ドル百五十五円からあるいは百六十円くらいで、百六十円前後で日米の賃金コストで比較してまいりますと、例えば化学、鉄鋼、精密機械、電気機械、これらはなべてアメリカよりも割高になっていて、わずかにこれを見ると自動車だけがアメリカに比べて均衡した賃金コストになっておる、こういうように出ておるわけでして、このあたりの分析を通産省としてはどういうふうに理解しておられるのでしょうか。これが第一点。  それから、日米製造業の賃金コストの均衡相場を見てまいりますと、大体一ドル百七十五円くらいが相場ではないかというふうに示されております。私も、少しこれでも低いかなと思っていますが、そういうふうになっていくと、日本の産業というのは結構したたかで強いところがあるのかというふうに一面では頼もしく思っているのですけれども、しかし先般の官澤・ベーカー共同声明では、百六十円前半が現時点における均衡水準だという報道。私は、あれは百六十円以降はいけない、無理だ、日本の産業はとてもやっていけないというふうには率直に受けとめられなくて、日本の大蔵大臣も百六十円前半ぐらいで日本経済が十分太刀打ちができるのだというふうに見ておられるのかなという印象を持ちました。しかし、現実には百六十円前半ではとても無理じゃないかという気が私はします。やっていけない産業が多くあるわけですけれども、多くの産業を所管しておられる通産省としては、現状円高の水準百六十三円何十銭、このあたりをどういうふうに見ておられるのか。  また経済企画庁長官も、一体幾らぐらいの水準を念頭に置いて、それをもとにして経済運営をしていくべきだとみずから受けとめておられるのかどうか、このあたりもぜひあわせてお聞かせいただきたいと思います。
  172. 田村元

    田村国務大臣 宮澤大蔵大臣が先般も、今の水準でよいとは思っていないということを申したそうであります。私も、もちろん今の水準でよいと思ってはおりません。  ただ、お互い経済閣僚でありますから、恐らく企画庁長官も同じ立場でありましょうけれども、では幾らがいいかということを具体的に私どもの口から申し上げるということはできない。それこそ経済の二面性もありますし、業種によっていろいろとまた異なった性格もありますし、第一、うっかり物を言えば投機が投機を呼ぶことも起こり得るということもございます。でございますから、具体的に申し上げることはこの際差し控えたいと思いますが、宮澤君もああいうふうに言っておりましたし、私も今のままでよいという満足感は持っておりません。
  173. 近藤鉄雄

    ○近藤国務大臣 通産大臣から御答弁もございましたが、円レートがどの水準が適正であるかということは、なかなかこれはいろいろな見方がございまして、客観的に決めにくい面もございますが、お話がございましたいわゆる宮澤・ベーカー共同声明の中でも、「プラザ合意以来達成された円とドルとの為替相場の調整は、今や、現在の基礎的諸条件と概ね合致するものであるとの相互理解」に達した、こういう表現を使っておるわけでございます。したがいまして、今の百六十円前半の水準、これが一つの水準であるというような考え方ではないかと思うわけでございますが、最初に申しましたようないろいろな見方もございますので、ここで一概に申し上げるわけにはいかないわけであります。  ただ、私どもといたしましては、この急激な円高が、輸出産業を中心として日本の産業に相当深刻な影響を与えてまいっているということも十分認識をしているわけでございますので、今後、少なくとも現在の水準で安定をするということが望ましいのではないかな、急激な変動はどうしても避けるべきである、こういう認識でございます。
  174. 青山丘

    ○青山委員 私は、やはり急激に過ぎたし、しかも幅が大幅に過ぎた。これで対応できなくなってきておるのであって、この間、東海銀行の調査部の人たちから話を聞きますと、将来はもっと円高の方向に行くであろう、それも五年単位に五十円くらいずつ、やがて今世紀末などと言うと大げさに聞こえますが、あと十数年先にはそうなんですが、一年に十円くらいの上がり幅というのは避けられないのかもしれないというような感触を実は私は得ております。しかし、現時点では余りにも急激過ぎたということで、鉄鋼にしても繊維にしても造船にしても非鉄金属にしても大変な苦しみようです。  実はまだたくさんの質問を持っていますので余りここでいつまでも時間が使えないのですが、私は率直に申し上げて、もう一回G5を開いていただいて、日本の産業の実情はとても現時点ではやっていけないということを強く訴えてもらいたい、こういう気持ちが強くあります。これはまたいろいろな形でお話もし、お願いもしようと思っておるのですが、そういう気持ちを強く持っていることだけひとつ御理解をいただいておきたいと思います。  それから、これは中小企業庁長官にお尋ねしますが、先般公定歩合の引き下げがありました。せっかく内需拡大のための一環として公定歩合が下げられても、私も資金運用部資金の預託金利の法律改正の問題はわかっておりますが、しかし政府系の金融機関の金利も連動して下げていかないと実効が上がってこないのではないか。特に、民間の中小企業者にとっては必要な資金は市中金融機関に頼った方が有利だというようなケースが出ておりますと、せっかくの制度が有効に活用できない。目の前にちらちらと見せていただいておるだけで、いざ活用しようと思うと民間の市中金融機関にお願いする以外に手はないというような印象が強くあるのです。それではせっかくの制度が十分生かされないという気がするのです。したがって、政府系の金融機関の金利もできるだけ早急に引き下げていくべきだ、私はかねがねそう思ってきたのですが、今回の公定歩合の引き下げでなお強く感じました。いかがでしょうか。
  175. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 御指摘のとおりでございます。ただ、公定歩合というのは短期金利体系に響きます。そういう意味で、政府系金融機関に限らず、全国銀行の金利水準が公定歩合に連動して逐次できるだけ早く下がっていくということを期待しておるところであります。聞くところによりますと、別途長期のプライムレートが近々下げられるということであります。そうしますと、私どもとしては、政府系金融機関、中小企業金融公庫、国民金融公庫の基準金利はぜひ下げなければいけないというふうに思っておりまして、今関係方面と折衝中でございます。これは今後とも長期プライム並みに確保していきたいと思っております。  ただ、そのためにも、今御指摘でございますけれども、それから通産大臣たびたび強調しておりますけれども、その原資でございます財投の預託金利が下がらないとなかなか効率的な運用ができませんので、この面については政府全体としてぜひその方向で実現が早いことを私どもとして期待しているところでございます。
  176. 田村元

    田村国務大臣 誤解があるといけませんので、今企画庁長官とも話し合ったのでございますけれども、我々二人の認識が一致しておりますのは、百六十円台で上がりどまった、天井を打ったということについてやれやれという気持ちだということでありまして、あとは我々の努力によって、あるいは日本の企業、産業の努力によって、ぜい肉を落とし、あるいは黒字を途上国へ還流するとか、海外へ進出するとか、いろいろな努力によって輸入を促進するとかということによって適正な為替レートヘこれを向けていかなければならぬ、こういう意味でございます。我々二人の意見が今ちょっと異なったような印象をお受けになったかもしれませんが、今二人の意見は全く一致しておりますので、その点誤解のないように願いたい。あくまでも今の水準では困ります、これを申し上げたいわけであります。
  177. 青山丘

    ○青山委員 全く同感です。今の時点でまさにそのとおりですし、もう少し長いスタンスで物を考えればあるいはやがてはもう少し円高の方向にいくのでしょうが、わずか一年の間に四〇%も五〇%も上がったということでは、まさにこれは円高直撃という印象を免れ得ません。同じような受けとめ方でいていただけると思っています。  それから、ちょっとだけ触れておきますが、来年度の経済見通しについて、簡単に御答弁いただきたいと思いますけれども、来年度は一%か二%ぐらいの経済成長率、貿易黒字幅も八百億ドル以上になるのではないかという心配があります。したがって、四%成長というのはできるだけ近づけたいと以前通産大臣は言われましたけれども、なかなか今のままでは困難ではないか。したがって、本当に国内経済成長率を内需を中心として高めていこうと思えば何かもう一つ考えなければいけないのではないかと思いますが、このあたりいかがでしょうか。  ついでにお尋ねいたしたい。西ドイツ経済も大体日本と同じような経済状況に置かれておりまして、日本は卸売物価が比較的順調に下がってきております。西ドイツ円高ではなくてマルク高ですけれども、卸売物価が四%しか下がっておらないのに消費者物価は比較的順調に、一年前の消費者物価よりも下がってきております。ところが、日本では卸売物価が一一%も下がってきておるのに消費者物価というのは前年を下回っておらない。この違いというのは一体どこにあると考えておられるのでしょうか。  それから、何点もついでに聞いて申しわけないが、農林水産省、輸入小麦の価格が一年前に比べて相当下がっております。四〇%以上下がっていると思います。牛肉あるいは大豆の輸入価格というのはどのようになっているのでしょうか。それに関連して、国内の小麦あるいは牛肉、豆腐、こうしたものの市場価格というのはどのように変わってきているのでしょうか。
  178. 近藤鉄雄

    ○近藤国務大臣 今年の経済見通しにつきましては、四—六月期四半期の国民所得統計に続きまして、七—九月期四半期の国民所得の推計が出てまいりますのが十二月の初めになっておりますので、それを見た上で正確に実績見込みをつくりたい、こういう考えでございますが、お話にございますような急激な円高によって民間設備投資、さらには貿易収支の面からくるマイナス相当予想されるわけでございます。これをカバーしようということで御案内の総合経済対策、三兆六千億を発表し、今鋭意この年度内施行に向かって内閣挙げて努力している次第でございます。  同時に、ことしに入って四度目の公定歩合の引き下げによりまして一般の金利水準はさらに低下しつつありますし、同時に、これもお話がございましたが、円レートに対してフェーバラブルな影響を与えて百五十円台、百六十円台に戻ってまいっておりますから、こうした円高是正が進みますとまた産業界経済に対する見通しも明るく変わってまいる、かように考えるわけでございます。  そういうことで、今年度そして来年度どのような経済成長率を達成するか。私たちいろいろ努力をしているわけでございますが、やはり基本的には、今年度に引き続いて来年度におきましてもある程度の積極的な経済運営をする、こういうことで民間企業も投資、消費を促進をしていくということが必要であろう、かように考えている次第でございます。  西ドイツの物価につきましては、物価局長が参っておりますので説明をいたさせます。
  179. 海野恒男

    ○海野政府委員 我が国西ドイツとの間の物価の相違でございますけれども、まず卸売物価は、日本は非常に下がっているのにもかかわらず西ドイツが四%程度、それに対して消費者物価は、日本の場合には安定しているとはいえまだプラス、それに対しまして西ドイツマイナスになっているというふうなお話でございましたが、まず一つ御理解いただきたいのは、日本の卸売物価と西ドイツの卸売物価はとり方が違うということでございまして、日本の場合には輸入素原材料が大体一二%程度のウエートをもちまして卸売物価の中に入っておる。これが大体四割以上下がっておりますので、それだけで五%程度の引き下げる寄与度があるということです。それに対して西ドイツの場合にはそういうものが入っていないで、純粋に国内で生産されたものだけを集計しているという技術的な違いがあるということを、まず一つ御理解いただきたいと思います。  それから、西ドイツの消費者物価と日本の消費者物価との間で、向こうの方がパフォーマンスがいいという御指摘でございますが、確かに御指摘のように、例えば七月の数字を見てみますと、日本の場合には、安定しているとはいいながら〇・一%プラスであります。それに対しまして西ドイツの場合には、既に四月ごろから前年に比べてマイナスの水準になっておりまして、同じ七月だとマイナス〇・五%になっております。  これの内訳を見てみますと、石油製品とそれ以外の商品というように二つの大きなカテゴリーに分けてみますと、日本の場合には〇・四%程度石油製品が寄与度において下がっておるのに対しまして、その他は〇・五ということで、その差が〇・一ということになっておりますが、西ドイツの場合には、逆に〇・五%総合で下がっておるわけですけれども、そのうち石油製品が一・九%の寄与度をもって引き下げております。それに対しましてその他は一・四ということで、その差が〇・五%マイナスになっておるわけです。つまり、西ドイツの場合には石油製品価格の値下がり率が非常に大きかったわけですけれども、逆に言えば、その他の商品の価格日本の方がはるかに下がっているということでございます。  西ドイツの場合に石油製品価格がこれだけ下がっておるのに対しまして、日本の場合には比較的下がり方が緩やかであったという理由は、一つには、その前、既に五十九年の段階から始まりまして過当競争でありましたので、おととしから去年にかけまして相当下がっておったということがございましたので、去年とことしを比べますとそれほど大きな下がりぐあいではなかった。それに対しまして西ドイツの場合は、それまでそれほど下がってなかったのがことしに入って急激に下がった、こういう事情がございまして寄与度が大きく出ておるということでございます。いずれにいたしましても、それ以外の分野では日本の方がはるかにいいパフォーマンスを示しているということでございます。
  180. 臼井日出男

    ○臼井委員長代理 日出課長。時間も過ぎておりますから……。
  181. 日出英輔

    ○日出説明員 食糧庁でございますが、小麦の関係を先生がお触れになりましたので、一言お答えしたいと思います。  確かに、円高で小麦の買い付け価格が下がってきております。小麦につきましては、先生御案内のとおり、元輸入ということを政府がやっております。これを受けまして、麦の政府売り渡し価格につきましては毎年十二月に米価審議会を開きまして価格のあり方を決めるということになっております。ことしもこういったやり方でこの十二月に麦の売り渡し価格につきまして決めたいというふうに思っておるわけでございます。
  182. 太田道士

    ○太田説明員 牛肉の円高差益還元問題について御説明申し上げます  牛肉につきましては、今年度の四月の総合経済対策、五月の当面の経済対策等を受けまして、指定店や肉の日における小売目安価格の引き下げ等を行ってきております。また、八月からは事業団の売り渡し価格を一割程度引き下げたということでございます。また年末対策といたしまして、十一月から、指定店それから肉の日における小売目安価格の再引き下げを行っておりまして、また事業団の売り渡しも一割ぐらいを増加しておるというようなことで、十月の消費者物価指数で輸入牛肉につきましては大体九一・三ということで、対前年比八・七ぐらい下がっておるという状況でございます。
  183. 増田正尚

    ○増田説明員 豆腐の関係について御説明いたします。  豆腐の小売価格は、総務庁の小売物価統計によりますと、五十九年四月以降百グラム当たり二十六円、これは東京都区部でございますが、その後変化なく推移しております。輸入大豆は下がっているわけでございますが、これが小売価格に結びついていないという点につきましては、豆腐の小売価格の中に占めます原料大豆のウエートが一割未満ということで小さく、私どもの試算では、原料大豆の価格低下で豆腐価格への影響を試算いたしますと、百グラム二十六円当たりで四十銭という程度になります。それから、原料に輸入大豆のほかに国産大豆を使っていることもあるということ、また豆腐は全国で約二万五千という中小零細な豆腐製造業者により生産されているというような事情がございまして、円高の効果が小売価格になかなか反映しにくい事情があることによるものではないかというふうに考えております。
  184. 青山丘

    ○青山委員 もう時間が来ましたので、それぞれの問題については、続きをまた必ずこの次の機会にやらせていただきたい。  一つだけ触れさせていただきたいと思いますが、通産省の方で進めておられるニューオフィス推進委員会が設置されております。私も実はかねがねこの問題には関心を持ってきておりまして、最近、工場の快適化、効率化という点では非常に進んできておりますが、まだまだオフィスの状況というのは、とても狭くて、余りきれいでなくて、疲れやすくて、この状況ではよくない。ホワイトカラー、サラリーマン層にとって大切な一日の勤労の時間、仕事の時間、長い人生の中でもこの時間というのは非常に長くて、生活空間の意味も非常に深くある。これがこれからもっともっと整備されていかなければいけないというように実は私もかねがね考えておりました。  そこで、ニューオフィス推進委員会の方でどこまで検討しておられたのか。例えば今後のオフィスのあるべき姿をどうとらえ、踏まえておられるのか、我が国社会資本整備の一環としてどのようにこれから整備の方向へ持っていこうと考えておられるのか、これが内需拡大の効果はどれくらいを考えておられるのか、ちょっと行き過ぎかもしれませんが雇用の拡大までそれがつながるのかどうか、その辺の御見解を示していただきたいと思います。
  185. 浜岡平一

    ○浜岡政府委員 御指摘のとおり、紀元二〇〇〇年ごろにはオフィスで働く人の数は三千万人を超える状況になりまして、働く人の数の過半はオフィスで働いているというような状況になることが見込まれるわけでございます。  しかし、現在のオフィスの状況を見ますと、OA化が急速に進んでおりまして、果たして機械と人間がうまくオフィスの中で共存できるかどうか、大変難しい状況でございます。スペースの面でも、あるいは騒音、発熱等の面でもいろいろと問題がございまして、むしろオフィス環境は悪化しつつあるというような状況ではないかと思われるわけでございます。  しかし、まさに今御指摘のとおり、人間の生活の場として、またさらには企業の立ち居振る舞いのあらわれの場として、さらには日本の国際化の最前線として、さまざまの意味合いをオフィスが持っているわけでございまして、快適で機能的という二つの要請にこたえるべきさまざまの努力が今後必要であろうかというぐあいに考えているわけでございます。  日本のオフィスは現在一人当たり約十平方メートル強でございますので、合計で三億平方メートルぐらいのストックになろうかと思われるわけでございます。大体一平方メートル当たり五万円ぐらいの装備がかけられている、建物、OA機器は別でございますけれども、一平方メートル当たり五万円ぐらいというぐあいに言われております。もしこれが新しくさらに五万円上積みされる、あるいは更新されるというようなことになりますと、単純な掛け算でございますけれども十五兆円というような数字が出るわけでございまして、内需喚起という面での意味も大きいというぐあいに思われるわけでございます。  雇用面での効果はなかなか難しいわけでございますけれども、仮に金属家具業界の状況を見ますと、約一千億円の出荷額がございました場合には五千四百人ぐらいの雇用をもたらすというような状況でございますので、かなり大きな雇用効果もやはり持ってくるのではないかというぐあいに見ておりまして、意欲的に取り組んでまいりたいと思っている次第でございます。
  186. 青山丘

    ○青山委員 五千四百人ですね。  どうもありがとうございました。     〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
  187. 佐藤信二

  188. 野間友一

    野間委員 私はまず、最近の異常な土地の暴騰、これに関連して今の金融機関の融資のあり方、これらを中心にお聞きをしたいと思います。  国土庁にまずお聞きをしたいわけですが、昨年の七月二十六日、ことしの四月十五日、いずれも大蔵省の銀行局長あてに「土地関連融資の取り扱いについて」という国土庁の土地局長名義の要請を二回行っております。この要請は当然地価高騰対策の一環として大蔵省になされたというふうに私は理解しておりますけれども、いかがですか。
  189. 原隆之

    ○原説明員 御説明申し上げます。  地価の問題は、先生も御案内のとおり、全国的には安定をいたしておりますが、東京を中心といたしまして商業地、住宅地、ともに地価上昇の著しい地域拡大をいたしております。こういったことを受けまして、背景には金融緩和状況というのがございまして、これが買いかえ需要あるいは事務所のビル需要というものに拍車をかけておるという認識に立ちまして、先生御指摘のように、大蔵省当局に対しまして、土地局長の方からこれらにつきまして的確な御指導方をお願いをしたところでございます。
  190. 野間友一

    野間委員 大蔵省、この土地局長の要請を受けまして、各金融機関にそれらについての何らかの施策、対策をやられたと思うのですけれども、どういうことでしょうか。
  191. 中平幸典

    ○中平説明員 御説明をさせていただきます。  ただいま国土庁の方から御説明がありましたわけでございますが、金融機関の融資につきましては、基本的にはみずからの判断、金融機関の経営判断において決定をするということが基本でございますけれども、金融機関につきましてはその公共性を十分自覚をして業務を行うようにということを指導してきておるわけでございまして、先ほど御説明のありました国土庁からの要請も受けまして、私ども銀行局長通達を出しまして、投機的な土地取引を助長するということがないように指導をいたしておるところでございます。
  192. 野間友一

    野間委員 国土庁の要請、これは去年とことしと比べてみますと、かなりことしの方が厳しく指摘をしておりますね。つまりことしのを見ますと、四月ですが、特に具体的に「東京においては、都心五区の商業地等で極めて著しい地価上昇が見られるとともに、地域的にも一段と広がりを見せ、一部住宅地への波及も見られるところである。」こういう認識をされまして、それで銀行局が各金融機関に局長から出されたものについても、これを受けてかなり昨年に比べてことしは厳しくなっておる、こういうことですね。今うなずかれましたけれども、文書はそうなっていますね。  これは政府系の金融機関、特に商工中金を初め中小企業関係の機関についても同じように当てはまると思うのですが、それを受けたかどうかということと、これについてどう考えるのか、長官から伺いたいと思います。
  193. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 当然政府系金融機関もそのような方針で運用すべきものだと考えております。
  194. 野間友一

    野間委員 日銀の統計調査、これは大蔵来ておると思いますが、調べてみますと、都銀十三行、不動産の貸出残高ですね、これは七月末で十兆百六十六億円、物すごいですね。それから、これは前年の同月の残高に比べて四〇・三%の急増。それから全国の銀行の、これは全国の銀行合わせたものですが、六十一年六月末で不動産業者に対する不動産の貸し出しの残高が二十三兆五千億円と、物すごいものですね。  この事実の確認と同時に、日銀の澄田総裁が十月三十一日、臨時政策委員会の後、全銀協など金融団体の代表に対しまして、こういうような土地の高騰につながるおそれがあるから節度ある融資態度を維持されるようにというふうに強く要請された事実がありますが、これについても事実の確認をまずしたいと思います。
  195. 中平幸典

    ○中平説明員 日本銀行の統計と日本銀行総裁の記者会見での話に関しての御質問でございますが、私手元に持っております数字はちょっと六月末でございませんけれども、基本的には今先生がおっしゃったような数字になっております。  それから日本銀行総裁、どういうふうに記者会見されたか私ども必ずしも正確にはつかんでおりませんけれども、当然私どもが指導をしておるということを御承知の上でおっしゃったものであろうかと思っております。
  196. 野間友一

    野間委員 新聞報道やいろいろな雑誌にたくさん出ておりますし、私も事実関係をかなりよく知っておるのですけれどもね。  国土庁は要因については触れられませんでしたが、土地投機の資金源になっている金融機関の不動産業者への貸し付け、それから大手デベロッパーの意を受けたいわゆる地上げ屋の土地買い占めあるいは底地買い、それから国公有地の高値の払い下げとかあるいは大型民活、こういうものがかなり大きな地価高騰の原因だというふうに私は思っておるわけであります。  国土庁にお聞きしますが、六十一年七月の都道府県基準地価調査、これをまとめましたね。これを見ますと、首都東京の都心部商業地の地価高騰が周辺の住宅地まで波及し、これは通達にもありましたが、昭和四十七年、四十八年の狂乱地価並みの上昇を示している。例えば東京の都内二十三区の対前年比の上昇率の平均は、商業地が四〇・五、昨年は一四・二%ですね。住宅地で三〇・五%、これは昨年が五・五%。坪当たり商業地の最高価格は銀座の八千四百十五万円、べらぼうですよね。しかも、実際の取引はこれよりも数倍も高いということも御承知のとおりであります。  国土庁は今まで、高騰は局地的で上昇傾向も頭打ちであるとか、都心の地価高騰は周辺地域に及ばないと言ってきました。六十年の七月に初めて融資を抑制するような要請文を出しましたけれども、私は、ちょっと遅かったと言わざるを得ないと思うのですね。だから、現状認識が非常に甘くて、やっと昨年の七月から、これはこれはということでやられた。ですから、今申し上げたように、東京都の都心部あるいはその周辺部に対しても異常に土地の高騰が進んだということをつくっておると思うのですね。やはりこの責任は感じてもらわなければならぬ、遅いと私は言わざるを得ないと思いますが、国土庁はどういう認識でしょうか。
  197. 原隆之

    ○原説明員 地価上昇の要因は、基本的には都心部における旺盛な事務所需要があるということと、その都心部におけるいわゆる業務地化に伴いまして、住宅地の買いかえ需要が周辺区等の条件のよい住宅地で増大をしておるということ、こういう二つの需要の増大を見込みました不動産業者等の手当て買いが活発化しているということを基本的な要因としておるというように私ども理解をいたしておりまして、先生御指摘になられましたように、昨年の状況では、全国的に見まして五年連続で地価上昇率がまだ下降しておるという状況でございましたし、また、東京における今申し上げました要因というものがどういう推移をたどるのかということにつきまして、まだはっきりとした認識を持つに至らなかったということもございましたが、先はど申し上げましたように、金融緩和ということが背景にあるということで大蔵省当局にお願いをした、こういうことがございます。
  198. 野間友一

    野間委員 いや、ずっと前から異常なそういう底地買いとかあるいは地上げが横行していたということは、最近の情報でももう十分承知だろうと思うのですけれどもね。私は、これは国土庁だけではありませんけれども、政府の責任が非常に大きいというふうに思うのです。  そこで、一つ具体的に商工中金の問題についてお聞きしたいと思います。  これは御案内のとおり、中小規模の事業者の構成する団体に対する貸し付け、これが中心ですね。中のいろいろな法律とか規則等を調べてみますと、それでは現在で貸し付けの限度額は幾らかといいますと、組合貸し付けの場合には二十七億円、これは五十九年当時は二十一億円、構成員ヘの貸し付け、組合員に対する場合には二億七千万円、五十九年当時は二億一千万円、こうなっておりますけれども、これは間違いありませんね。
  199. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 そのとおりでございます。
  200. 野間友一

    野間委員 商工中金の果たす中小企業金融の役割というのは非常に大きい。私も何度かいろいろなお願いもしたことがあるのですけれども、今なかなか厳しいのですね。ところが、これから申し上げますが、一方では異常な貸し付けがなされておるということであります。  そこで、具体的にお聞きしたいわけですが、きょうの新聞の一部に大きく出ております。これは私も事前に申し上げていたのでお読みいただいたと思いますけれども、これを見ますと、資本金百万円の松尾企画という株式会社、これに限度額二百億という根抵当権の設定がされて金が融資されているという事実は御存じでしょうか。
  201. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 これは私どもも商工中金から事情を聴取しましたところ、そのとおりでございます。
  202. 野間友一

    野間委員 先ほど申し上げたように、商工中金が貸し出す限度額は、今も長官が認めたけれども、二十七億ですね。それから組合員貸し付けが二億七千万。ところが、五十九年当時、二百億円の根抵当権の設定がされて実際に貸されておる。これは具体的に幾ら貸したのか。どういうふうに聞いておりますか。
  203. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 五十九年初めに約百三十億程度の貸し付けがなされたと聞いております。
  204. 野間友一

    野間委員 冗談じゃないですよ。トータルで百二十四億とも百二十九億とも言われます。私もいろいろ関係者から聞きました。それは間違いないでしょう。
  205. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 今申し上げたとおり、約百三十億というふうに聞いております。
  206. 野間友一

    野間委員 これはもう大変な額ですよ、希有の額ですよ。私も今までいろいろなものを読みましたし聞きましたけれども、せいぜいこの額を上回っても大体十億前後というのが今までの私の経験です。日総リースは十三億円というのがあります、これはきょうは触れませんけれども。これは希有の貸し出しと違いますか。
  207. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 商工中金の貸し付けの一つの案件としてはかなり大きな規模だと思います。
  208. 野間友一

    野間委員 かなりどころの騒ぎじゃないですよ、物すごい異常ですよ。  ちょっと資料を参考のために、委員長通産大臣と長官に渡してください。
  209. 佐藤信二

    佐藤委員長 はい、許可します。
  210. 野間友一

    野間委員 今お渡しした資料は、登記簿謄本に基づいて私の方でまとめたものであります。その一枚の紙は、土地についてのいろいろな推移を、甲区、乙区に分けまして登記簿謄本から整理したものです。それからもう一枚の紙は、その上の建物についての権利の移転関係をまとめたものです。それで、たしか登記簿謄本が渡してあると思いますが、これがその問題の土地であります。  若干私の方で御説明申し上げたいと思いますが、この土地は業界では転がし物件としてつとに有名な物件であります。この所有権の権利者の関係を調べてみましても、三十七年に林兼、これは株式会社ですね、これが売買で取得をしている。それから、五十九年の三月に新日本観光開発株式会社にこれが売買で移転しました。ところがここから、この権利関係を調べてもらったらわかりますように、これは登記簿謄本にもありますが、六十年九月十三日に日本抵当証券研究所、それから六十一年九月十日に丸金商事、それから同じく同日に日本モーゲージ株式会社、これは錯誤で抹消されて、それから建財株式会社、今所有者はこれになっておるわけですね。ですから、五十九年から六十一年まで所有者が転々としておる。その間、錯誤による所有権の抹消とか真正な登記名義の回復と称していろいろな手だてがされながら動いておる物件であります。  そこで、今長官も認めましたが、この表を見ていただいたらわかりますように、五十九年三月二十六日に根抵当権設定、これは当時所有者が新日本観光開発、債務者が新日本国内航空株式会社、五億四千万円の極度額で根抵当権の設定がありますね。その次に、五十九年四月二十一日に同じく根抵当権の設定、これは債務者が松尾企画。ですから新日本観光というのは物上保証をしておるわけですね。担保を提供しておるわけです。松尾企画が債務者で極度額が二百億、債務者が商工組合中央金庫、つまりこの時点では二番抵当なんです。しかも、平和相銀が設定した五億四千万と比べまして商工中金は二百億。今長官が認めたように、百三十億円の貸し出しがあるというふうに言われましたけれども、これは異常なんですよ。私はこういうやり方は異常だと思うのです。  特に、このもう一つの紙を見ていただいたらわかるわけですけれども、これは上には五十五戸のマンションがあるのです。これは区分所有です。ですから、土地については借地権だと私は思うのです。登記簿上は、共有、区分所有の土地に対する登記はありません。これを見ていただいたらわかるように、左から三つ目の所有権移転登記、新日本観光、ここでこの日付を見ていただいたらわかるように、極度額二百億円を設定した後に第三者から新日本観光に移っておるわけです。つまり、この商工中金から松尾企画に出したお金が権利関係の整理、要するにマンションの買い占めに使われております。今調べてみますと、五十五戸のうちで他人名義で残っているのは十幾つです。そして上の区分所有は、土地と同じように、権利関係が新日本観光開発から日本抵当証券研究所、丸金商事、日本モーゲージそれから建財へと移っておる、こういうことですね。この建物は、昭和二十九年に少し建てて、それから三十九年に増築して、四十四年に上が十一階で地下二階というふうに建築された建物なんです。ですから、このお金でそれぞれの居住者に対して買い占める、そういうお金に使われたということがこれで明らかだと思うのです。  だから私は、一つはこの額が異常に大きいということ。それから、担保力を調べてみますと、当時は坪が約三千万から四千万、これはトータルしますと四百四十三坪ありますから、二年半前の時価にしまして大体百七十六億円。しかしこれは借地権がありますから、その担保価値はうんと減るわけですよ。そんなものに何で二百億もの限度額の抵当権が設定されたのか、これが二つ目の不思議です。それから、短期間で三井信託に根抵当権、つまり担保つきの債権を譲渡しておる、こういうことですね。銀行取引ということで借りながら、わずか七カ月半で債務者も抵当権者もころっとかわっておる、こういう不思議。それから、今申し上げた地上の建物買収はこれによってうんと急速に進んだということ。  それから、その次の表でごらんいただいたらわかりますように、ことしの十月六日に、三菱信託が新たに債務者建財に対して三百九億円の極度額の根抵当権の設定がしてあるわけです。ですから、五十九年の四月に極度額二百億、これもべらぼうに高い。ところが、ころころ上の区分所有を買い占めて点から面にしていく中で、ほとんどが今土地の所有者と同じように建物の権利については移っておるわけですが、三百九億円に極度額が上がっておるということ。だから、これを地上げ屋のしわざというのです。こういうことで土地の価額が次から次と上がっていく。  こういう経過からいたしますと、私は商工中金が当時、個人に対しては二億一千万しか貸すことができないのに二百億も極度額をつけて百三十億も貸した。そして、それぞれの部屋買いをした。ですから、これは結果としては土地の値段がうんと上がっておるわけです。だから、商工中金が異常な、内規にも反してこういう投資をする者に金を貸した、これが土地の高騰を招いた。私はこのことについては、指導機関としての中小企業庁、通産大臣、大きな責任があると思うのですが、いかがでしょうか。
  211. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 確かに土地の投機あるいはそういうものを金融機関が助長する、そのこと自体は一般的に戒めるべきことである。その一般論は私は先生と全く同意見でございますけれども、本件に関する限りは、ややそれと一緒に考えるべきではないのではないかというふうに考えます。と申しますのは、本件は私どもも事情聴取しましたけれども、まずこれは五十九年、一昨年初めのことでございます。一般的に言いまして、もちろん土地の投機は防止すべきでありますけれども、東京におけるビルの需要の確保あるいは住宅の確保、そういうことは進めていかなければいけないわけで、この問題につきましても、その当時ある一流建設会社の下請のある建設業組合が、自分たちが都市の再開発をするためにここのマンションの更新というものを企画し、それを御指摘の松尾企画というところをいわば代理人として、商工中金との貸付契約によってここを更新、ビルを新しくしようとした。  ただ、今おっしゃったとおり、土地の買収はできましたけれども、その借地人が多岐にわたりますので、その借地権の全部の整理、買収合意ができなかった。そこで、建設業組合はこれを断念いたしました。したがって、商工中金が五十九年四月に貸し付けたそれは、八カ月後には返済を受け、この計画は放棄されております。  今御指摘の六十年以降のこの土地のいろいろな所有権その他の移転というものは、商工中金とは無関係にその後なされておるものでありまして、商工中金としてはこの中小建設業組合の一つの新しい仕事を支援するという視点からこの問題に取り組んだもの、そのように私は考えております。
  212. 野間友一

    野間委員 これからなんですが、残念ながら時間が参りましたので申しわけないのですが、それはおかしいのです。だって、人が住んでおる借地権のある区分所有の建物はいっぱいあるわけですよ。それを全部整理して追い出して、新たにまた再開発するのでしょう。それへの投資でしょう。そんなものを商工中金が金を出して手助けするなんてもってのほかですよ。それを是認しますか。もう一遍確認しておきたいと思いますが、それだったらいっぱいやりますよ、我々は。
  213. 岩崎八男

    ○岩崎政府委員 これは合意の問題で、その合意ができればそのような形で都市の再開発が行われる場合もありますし、そうでなければその計画は挫折せざるを得ない、このような問題だと思います。
  214. 野間友一

    野間委員 いや、そんな住んでいる人まで札束で面を張って追い出して整理するのに、たとえ中小企業だからといって、実際百万の資本の会社でしょう、それはできもせぬことですよ。そういう者に百三十億も金を出すような、そんなことを商工中金がやっていいのか。もし長官がそれを認めようとするなら、私は異常だと思うのです。地上げ屋に手をかすのが商工中金だと言われても仕方がないと思うのですよ。最後通産大臣から答弁を求めたいと思います。
  215. 田村元

    田村国務大臣 実は私もきょうこの御質問があるとは知りませんでしたが、東京新聞で読みまして、コピーをして持ってきたのです。たまたまこれを読んでおりまして、あなたの御質問が出たわけですけれども、中小企業庁長官の方で調べたんでしょう、ああいう答弁になっておりますが、どうも私は、別に新聞がどう書いたからというわけではないにしても、新聞がここまで書くということは、やはりよりハイレベルで検討していいのではなかろうか、このように思います。でございますから、私なりに一度調査をしてみたいというふうに思います。
  216. 野間友一

    野間委員 終わりますが、ただ新聞の報道で面積四百六十一平米と書いてありますが、千が抜けていまして、千四百六十一平米の誤りですので、それだけつけ加えて終わりたいと思います。
  217. 佐藤信二

  218. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 非鉄金属国内価絡というのは、ロンドンにありますLMEの価格に直結をして、為替レートの変動に直接左右をされるということです。したがいまして、国内非鉄金属鉱山は、昨年来の円高によりましてどの鉱山も大変深刻な危機に追い込まれているわけです。私ども日本共産党もこれは重大な問題だということで、十月には秋田県にあります同和鉱業小坂鉱山、花岡鉱山に調査団を派遣をいたしました。今月の十九日と二十日には私自身も宮城県の鶯沢町にあります三菱金属の一〇〇%出資をしております細倉鉱山に行きまして、町長さんや労働組合、それから商工会の会長さんやあるいは会社幹部の方、農協の方々、さらには零細業者や教育関係者など多くの皆さんから実情を伺ってまいりました。  細倉鉱山は鉛、亜鉛を中心といたしました鉱山で、大同元年に操業を開始をいたしております。三菱系列の経営になりましてからも五十年余りの歴史を持っておりまして、かつてはこの三菱金属のドル箱だということで盛んにやられた鉱山であるわけです。この細倉鉱山は、今月の七日、労働組合に対して来年一月末をもって採掘を終了をし、撤収作業が終わり次第閉山をするという提案をしてきたわけです。当該の労働組合はもちろんのこと、下請関連中小企業十六社を含みます従業員は約千人いるわけです。地元鶯沢町初め町の当局や商店、それから病院あるいは学校、隣接する十カ町村、一万人以上の人たちは会社提案の衝撃の大きさに本当に茫然としておられるという状況です。  鉱山の一方的な閉山ということによって山の灯が消えるということは、町全体の灯が消えるということにつながるわけです。関連下請中小企業を含めました雇用確保対策あるいは代替の企業誘致をする、そういう対策がないままの一方的な一月閉山を許すわけにはまいりません。三菱金属及び細倉鉱山は、物言わぬ石の後始末にはまことに計画的に進行をさせているようですけれども、その土地で働き、会社に貢献をしてきた生きた人間、暮らしている労働者やその家族に対しては、まるで後足で砂をかけるというような石のように冷たい仕打ちであり、私は心から憤りを覚えて帰りました。  一月閉山というようなむちゃくちゃなことは絶対に再考すべきだと思うわけです。通産省はこの点につきまして強く指導を行わなければならないというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  219. 野々内隆

    ○野々内政府委員 最近の経済社会の変動というのは、非常に大きな変革の時代を迎えているという感じがいたします。私ども資源エネルギー庁が担当いたしておりますいろいろな業種につきましても、大きな変革期を迎えておるわけでございます。こういう変革期にどのように立ち向かおうかというのは、やはり基本的には企業の経営判断の問題であり、また労使間の十分な協議を経て決められるべきであろうというふうに考えておりますが、私どもといたしましては、この問題が地域あるいは雇用に及ぼす影響というものも大きいとは考えておりますので、十分事態の推移を見守っていき、必要な手は打ちたいと思っておりますが、基本的にはやはり企業の経営判断ということであろうかと思います。
  220. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 通産省は細倉鉱山に対しましては毎年探鉱補助金を出しておりますね。今年度だけでも年間に四千万円を超える補助金を出しているわけです。さらに金利が二・二%という超低利の融資です。これも残高で十億円も融資しているという状況ではありませんか。そうすると、非鉄金属という我が国経済活動にとって必要不可欠な資源を産出する企業だということであればこそ、これだけの国費も投入をしてきたのではないでしょうか。それを円高という一時的な理由、いわゆるそういう問題の中で、わずか一年間の経営困難を理由にして企業がいとも簡単に閉山を決定する。それどころか、細倉鉱業におきましては、アタック操業と申しまして高品位の鉱脈だけをむちゃくちゃにも先掘りをしておく。むちゃ掘りをして閉山を意図的に早めてきたというふうにしか考えられないような状態であるわけです。  通産省の資料、先ほどいただいたものによりますと、三菱金属関係だけでこの一年間に六鉱山、六つも閉山をしているわけです。同じ三菱金属の子会社であります兵庫県の明延鉱山でも、一月末の閉山ということが提案をされているわけです。これに対して、閉山するかどうかは個別企業の問題でございますというのは、通産省自身国民への責任を全く回避するものではないか、こう思うわけです。あくまで一方的な一月閉山ということを再考するように三菱金属を指導すべきだ、こういうふうに思うのですが、もう一度答弁をお願いしたいと思います。  それからさらに、時間がないので続けますが、細倉鉱山の問題とあわせて指摘したいのは、我が国の金属鉱山の動向です。通産省の資料によりますと、我が国の金属鉱山、昭和四十五年に二百四十六あったものが昨年の四月には五十九の鉱山に減っているわけです。それがこの異常な円高で閉山が加速をされて、ことしの十月には五十九が四十五の鉱山になっているわけです。このまま円高が続きますと、鹿児島の菱刈金山など幾つかの優良鉱山を除いてみんな閉山に追い込まれるのではないか、こういうことも言われているわけです。これは今申しました当該地域、ここが壊滅的な打撃が与えられるというだけではなくて、資源小国であります我が国の将来にとっても取り返しのつかない重大な損失ではないか、こう思うわけです。経営困難な鉱山は閉山に任せるべきだというような政府の態度は直ちに改めて、必要な対策を講じるべきではないだろうか、こういうふうに思うんですね。そういう点で今の二点の問題、この一月閉山というようなむちゃくちゃなことはやめるようにしなさいよという指導をやはりもう一度通産省としても強力にすべきではないか。今もう一つ申しました我が国全体の立場に立っても、政府の態度をやはりここで必要な策を講じていくという態度に変えていただくことが大変大切ではないかと思いますので、御答弁をお願いをいたします。
  221. 野々内隆

    ○野々内政府委員 非鉄金属我が国の今後の発展のために非常に重要な物資でございますし、特に先ほど浜西先生からも御指摘ありましたレアメタルは、今後の日本の技術開発にとって必要不可欠な物資でございます。何とかこれの安定供給に努めたいということで鋭意努力をいたしておりますが、経済性というものを全く無視してすべて丸抱えで国で行うということも、現在の体制からいってもやはり無理がございまして、私どもとしてもできる限り国内鉱山を応援をすべく今まで努力をしてきたわけでございますが、特に今回の補正予算におきましても超低利の融資の融資枠を拡大をいたしまして、また鉱山の探鉱開発その他の補助金等も苦しい財政の中からできるだけ支援をし現在に至ったわけでございますが、何分にも非鉄金属価格の決定方式が国際的な相場と連動いたしておりまして、国際的な不況並びに円高、両方のダブルパンチで最近非常に苦しい状態になっております。  鉱業審議会の九月の答申でも、これを三つのランクに分けまして、合理化によって生きるものはできるだけ生きるように支援をするという方向をとっておりますが、やはり基本には経済性ということを考えざるを得ないというふうに考えております。今後ともできるだけ私どもとしても支援をし、残すべく努力はいたしますが、どうしても経済性について見通しのないものにつきましては、それぞれの企業の経営判断によって閉山にならざるを得ない、残念ながらそういう判断をせざるを得ないというふうに考えております。  あと、そういう場合にいかにしてその地域の雇用あるいは経済への影響緩和していくかという点について、今後いろいろ考えてまいりたいと思っております。
  222. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 私はすべて丸抱えで国がこの対策をとってくれなどとは言っていないわけです。十一月七日に閉山通告、二カ月後にもうおしまいというようなことを再考すべきだということを指導してください、こう言っているわけです。大企業には金を出すけれども口は出さない、また円高不況で苦しんでいる中小零細企業には、出す金は減らすけれども口は出すというような政治はよくないということを申しているわけです。いろいろおっしゃったわけですけれども、やはりもっと抜本的な立場で対策をとるべきだということを強調をいたします。  そこで、どうしても許せないことではあるけれども、もし万一最終的に閉山というような事態になった場合、地元での雇用確保の対策あるいは代替企業の誘致対策、こういうものについては親企業の三菱金属はもちろん、同じ宮城県で国や県の支援を受けて「二十一世紀プラザ」プロジェクトに取り組んでいる三菱地所あるいは三菱銀行、麒麟麦酒等々三菱グループ全体の責任で解決をするように指導すべきではないでしょうか。また廃水処理等の鉱害対策、それからカドミウム汚染、こういうものの鉱害対策、労災、職業病対策については細倉の親会社であります三菱金属が最後まできちんと責任を果たすように指導をすべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。
  223. 野々内隆

    ○野々内政府委員 本年九月の鉱業審議会の建議におきまして、やむを得ず休山に至る場合においても可能な限り地域、雇用面での努力がなされることが必要であるというふうに建議をいたしておりまして、その際にも御指摘のとおり「企業、特に系列鉱山の場合の親企業は可能な限り代替工場の配置等により、地域・雇用面での万全の配慮を払うことが望まれる。」と述べておるところでございまして、そういう努力がされるように期待をいたしておりますし、また必要に応じまして私どもとしても企業に要請をしてまいりたいと思います。  また、鉱害その他の問題につきましては、当然社会的な責任があるわけでございますから、しかるべき措置がなされるべきものというふうに考えております。
  224. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 最後大臣に一問だけ簡単にお尋ねしたいと思います。  それは電気ガス料金円高原油値下がり差益還元策です。先ほどから大臣は思い切ってお年玉に一月一日からとおっしゃり、今回再値下げを決定されたことは、先日の本委員会で私が試算を示した要求などを反映されたものとして積極的に受けとめているわけでございます。しかし問題は還元策の中身ですね。今の細倉鉱山でも一キロワットアワー当たり一円料金が下がりますと年間で一千万円電気代が安くなるというふうに聞いているわけです。国民中小企業の切実な要求にこたえまして、真の内需拡大を実現するためにも差益を少なく見積もったり大企業本位の設備投資に回すのでなくて、差益の全額を国民に返していただきたい、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  225. 田村元

    田村国務大臣 全額返せば一番いいんでしょうけれども、この対応は審議会で御検討いただいておるわけであります。全額返す、それが一番いいのは当たり前なんでしょうけれども、しかしいろいろ不透明な要素が非常に多いということ。例えば原油でもスポットでもう十五ドルになってきた。それから円だってそうでありまして、恐らくあなたの党も我々もみんな円が高くなることを望んでおる者はないと思うのですね。円が安くなることを望んでおる。それを、円が安くなることを考えないで全額還元ということになりますと、今度は電力会社九電力で御承知と思いますけれども十九兆円という借金を背負っておるわけです。毎年金利だけで一兆三、四千億円払っておるというような状態で、実は財務体質というのは余りいいとは言えないのです。ただ円高の差益というものが非常に大きいということで一兆一千億からの還元をしてもらったこと、それから設備投資、これも四兆円になんなんとする設備投資の発注契約をしてくれた、そういうことでありまして、もうほとんど絞り切った手ぬぐいをもう一つ機械に挟んでねじ上げて絞り上げてしまうと、今度は為替レート原油価格の変動があったときに余裕というのは全然なくなる。ですから、そういうリスクに対する対応というものはしなければならぬと思うのです。  これは人間の体だってそうでありまして、胃袋がこれだけの大きさがあるから胃袋いっぱい入るだけ飯食えと言ったら、体を壊すのは当たり前のことなのです。でございますから、ある程度の内部留保ということはこれは当然。それと従来十二月末までの余分に出た円高の差益というものを留保させるということは、これはむしろ一億何千万の国民のすべてが利用しております生活必需品と言ってもいい電力ガスでございますから、だから当然のことだと私は思うのです。でございますから、お気持ちはわかります。私とて全部出してもらいたい、場合によったら借金してでも出してもらいたい、本当にそんな気持ちですよ。けれども、だからといって、ちょっといじくったら倒れるような電力業界の無力化をしてしまったらどうなるであろうかということも考えれば、若干の留保というのはリスクに対する対応でございますから、それは率直なことを言って、私はある程度危険を踏み越えたのです。これは藤原さんでも、これで終わると言っておられるから僕もちょっと時間をいただいて物を言っているのですが、必ず円がこれより下がることはないと思われますか、絶対安くならないと思われますか、あるいは原油が絶対高くならないと思われますか。わからぬでしょう。僕も本当のことはわからぬのです。ということであれば、ある程度の内部留保は要るのじゃないでしょうか。これがゆとりというものです。  これがまたよくできているのですよ。一遍値段を下げて、あなたのおっしゃることを僕がそのまま聞いて全部絞り上げた、そうしたらがたがきた、円が安くなった、原油が上がった、そこであわてて料金引き上げだとなったらまたあなたにしかられる。あなたの言うことを聞いて、そして下げてまた上がったら、上げたり下げたり何をしているのだということになるわけでございますから、この点は一月一日に踏み切ったということだけどうぞ褒めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  226. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 内部留保の問題などいろいろ論議をしたいところでございますが、委員長も大変お気遣いをしておられます。大臣もお急ぎのようですので、とにかく差益の全部は国民に返してほしいというのは強い要望でございますので、ぜひよろしくお願いしたいということを要求しまして、終わらせていただきます。ありがとうございました。
  227. 佐藤信二

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十四分散会