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1986-11-05 第107回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十一月五日(水曜日)     午前九時開議  出席委員    委員長 佐藤 信二君    理事 臼井日出男君 理事 加藤 卓二君    理事 田原  隆君 理事 与謝野 馨君    理事 城地 豊司君 理事 二見 伸明君    理事 青山  丘君       逢沢 一郎君    麻生 太郎君       甘利  明君    尾身 幸次君       大坪健一郎君    大西 正男君       梶山 静六君    粕谷  茂君       木村 義雄君    武部  勤君       玉生 孝久君    中島  衛君       中山 太郎君    西岡 武夫君       野田  毅君    野中 英二君       林  義郎君    牧野 隆守君       松本 十郎君    水野  清君       宮下 創平君    山崎  拓君       緒方 克陽君    奥野 一雄君       上坂  昇君    関山 信之君       浜西 鉄雄君    水田  稔君       新井 彬之君    斉藤  節君       竹内 勝彦君    薮仲 義彦君       米沢  隆君    野間 友一君       藤原ひろ子君  出席国務大臣         通商産業大臣  田村  元君  出席政府委員         経済企画庁調整         局審議官    田中  努君         経済企画庁総合         計画局審議官  冨金原俊二君         通商産業政務次         官       中川 秀直君         通商産業大臣官         房長      棚橋 祐治君         通商産業省貿易         局長      畠山  襄君         通商産業省産業         政策局長    杉山  弘君         工業技術院長  飯塚 幸三君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岡松壯三郎君         中小企業庁長官 岩崎 八男君         中小企業庁次長 広海 正光君         中小企業庁計画         部長      小林  惇君         労働大臣官房審         議官      佐藤 仁彦君         労働省職業能力         開発局長    野見山眞之君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局取引部下         請課長     鈴木  満君         大蔵省国際金融         局為替資金課長 井坂 武彦君         労働省職業能力         開発局企画室長 松崎  朗君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ───────────── 委員の異動 十一月五日  辞任         補欠選任   甘利  明君     逢沢 一郎君   奥田 敬和君     林  義郎君   粕谷  茂君     西岡 武夫君   熊谷  弘君     中島  衛君   牧野 隆守君     木村 義雄君   山崎  拓君     武部  勤君   長田 武士君     斉藤  節君   工藤  晃君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   逢沢 一郎君     甘利  明君   木村 義雄君     牧野 隆守君   武部  勤君     山崎  拓君   中島  衛君     熊谷  弘君   西岡 武夫君     粕谷  茂君   林  義郎君     奥田 敬和君   斉藤  節君     長田 武士君   野間 友一君     工藤  晃君     ───────────── 十一月五日  悪質商法規制に関する陳情書外一件(第九八号)  円高等に対応した中小企業対策の強化に関する陳情書外十六件(第九九号)  繊維産業における設備共同廃棄事業早期実施に関する陳情書外一件(第一〇〇号)  大島紬の不況対策等に関する陳情書(第一〇一号)  水力発電施設周辺地域交付金交付期間延長に関する陳情書外一件(第一〇二号)  非鉄金属鉱山経営危機救済に関する陳情書(第一〇三号) は本委員会に参考送付された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  特定地域中小企業対策臨時措置法案内閣提出第二二号)  中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出第二三号)      ────◇─────
  2. 佐藤信二

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定地域中小企業対策臨時措置法案並びに中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  3. 関山信之

    関山委員 プラザ合意からもう既に一年を経過いたしておるわけでありまして、先般、日米共同声明によって円高に終止符などという見出しも出る昨今でございますけれども、そういう意味ではいささか遅きに失したという特定地域中小企業対策臨時措置法案審議でございますが、中身は意外とその割にはお粗末というのが率直な実感でございまして、その割に審議時間が極めて短いということも私どもには大変不満なところでありますが、どうぞ短時間の間にできるだけこの法案の効果あらしめるための積極的な御答弁をお願い申し上げたいと思うのです。  一番最初に、昨日もちょっと予算委員会で御議論があったようでございますが、申し上げました共同声明について通産大臣立場での御見解なり受けとめを伺っておきたいと思うのですが、その前に、大蔵省からもおいでをいただいておりますので、この共同声明で「円とドルとの為替相場調整は、今や、現在の基礎的諸条件と概ね合致するものであるとの相互理解」こういう文句があるわけなのですけれども為替相場の問題は今までも随分御議論があったようですし、これ自体非常に難しい理屈を持った議論なのでありましょうが、私はそこで、今ファンダメンタルズだけでどうこうといったような議論をするつもりはないのですけれども、いずれにいたしましても、この言葉の意味するところは何なのか、きょうは大臣おいでをいただいておらぬわけでありますけれども、お聞かせをいただきたいと存じます。     〔委員長退席加藤(卓)委員長代理着席
  4. 井坂武彦

    井坂説明員 お答えいたします。  先生御案内のとおり、昨年の九月二十二日にG5がございましてプラザ合意があった、その時点ではドルレートが高過ぎるといいますか、経済ファンダメンタルズと乖離している、是正する必要があるという共通の認識があったわけでございます。それ以来一年間ドルは大幅に下落をいたしました。今回の合意は、今や円との関係ではドル経済ファンダメンタルズにおおむね合致することになった、すなわち、特定水準を念頭に置いているわけではございませんけれども、しかし少なくともこれ以上の円高は必要がないといいますか、これ以上の円高は我が国の経済成長にも好ましくない、こういうことで合意がなされたというのが今回の合意意味するところでございます。
  5. 関山信之

    関山委員 問題はやはり水準の問題になるわけでありまして、今そうとしかお答えになれないのかもしれません。しかし、ここでは「為替相場調整は、今や、」こうおっしゃっているわけでありますから、ここで言う「今や、」というのは、この間推移をいたしております百五十円台のレベルのことを言うのか、あるいはこの時期百六十一円から百六十四円という共同声明を挟んでの数字がございますが、あるいはまた、かなり幅を持ってこの辺の為替調整というものを見ているとすればどういう幅でお考えになっていらっしゃるのか、受けとめていらっしゃるのか、あなたのところでお答えがいただけるようでありましたらお答えをいただきたいと思います。
  6. 井坂武彦

    井坂説明員 繰り返しの答弁になるかもしれませんが、要するにG5以来のドル高調整過程推移をとらえて、今やもうこれ以上の円高は必要がないのだ、むしろ経済成長に有害なのだというふうな合意であるということで御理解をいただきたいと思います。
  7. 関山信之

    関山委員 あなたにそれ以上聞いても無理なんでしょうが、通産大臣いかがでございましょうか、この委員会でも、一定の適正な為替レート幾らであるというようなことはなかなか言えないことであるということは承知はいたしておるのですけれども、いろいろな角度で御議論があったことも事実でございますし、百六十円というのはなかなか厳しいという大臣の御発言があったやに伺ってもおるわけでありますけれども、この合意をどのようにお受けとめになっていらっしゃるか。高位安定、何が高位、高値と言えるかというのはありますけれども、従来のいろいろなレートをめぐる議論からすれば、百六十円といってもまだ高位、高値、こう言わざるを得ないのだと思うのですけれども、その辺のところは逆に高値安定となる心配はないのかという点についてあわせお聞かせをいただきたい。
  8. 田村元

    田村国務大臣 為替相場幾らが妥当かというのは、恐らく政府でも個人の考えも違いましょうし、政党でもそれぞれお考えが違うだろうと思うので、これはといってぴしゃっと当てることはほとんど不可能に近いと思いますけれども、ただ、この共同声明が金曜日、三十一日でございましたでしょうか出されたことは、百六十円台でそれ以上に高くなることは望ましくない、有害である、こういうことで円の頭を打った、天井を打ったということを声明したものと私どもは受けとめております。その意味では今後の円高不安感というものを払拭したと考えております。  先般、私がこの程度で円が安定したら困りますねと言いましたのは、ちょうど百五十三、四円のころでございましたから、それからちょうど約十円近く上がったところでの共同声明ということでございます。しかし、だからといって、きのうあたりは百六十四円ということでございましたけれども、それをもって能事終われりとなすものではない、やはりより適切な方向へ行ってもらいたい。これは大蔵省感覚と我々の感覚と若干違うと思うのですよ。私どもは現実に産業を扱っておる立場でございますから、大蔵省の場合はいわゆる金融政策論という面でございましょうし、我々の場合は現場ということがございますから、それは欲を言えば切りがないわけでございますけれども、今申し上げたように、将来の円高不安感というものがここで一応打ち切りになったことは好ましいことと思っております。
  9. 関山信之

    関山委員 なかなかお答えにくい問題なのだろうとは思うのですが、ただ、今までと状況が変わっておりますのは、それでも共同声明が出たということがございますものですから、あえてお伺いをしておるわけでありますけれども、今大臣もおっしゃっておりますように、この問題については、これ以上上がっては困るという問題と幾らが妥当かという問題と、新聞なんかのいろいろな業界その他の受けとめを見ておりますと、全体として、為替相場が乱高下することは困るという意味で、安定という問題が一つのポイントになっておるようでありますし、今大臣の御答弁にもそこがあるわけですけれども、より適切とより安定というのはまさに両輪なのだろうと思いますが、仮にやはり安定をするということになれば、より適切なゾーンというのを大臣としてはお持ちになっていらっしゃるのだろうと思うのですが、重ねて、いかがでしょうか。例えば百五十五円から百七十五円ぐらいというような言い方もあるのですね。私どもも、この時期、申し上げたような共同声明相場の安定というものにつながってくれればそれはそれなり対応の仕方もあるという意味では、やはり一つのターゲットをお示しいただくことはそれなりに大きな意味があるのじゃないかと思いますので、重ねて、いかがでございましょうか。  それから、あわせて協調介入の問題については、きのう大蔵大臣の方はこれ以上円高ということになれば介入もあり得るというようなニュアンスの御発言があるようですが、その辺の問題については通産大臣としてはどう御対応になるおつもりでございますか。
  10. 田村元

    田村国務大臣 先ほども申し上げましたように、幾らが妥当かということになりますと、ちょっと私もお答え申し上げるのに窮するわけでございますが、何といっても乱高下というのが一番恐ろしいわけでございます。そして同時に、高値安定ということも恐ろしいことでございます。でありますから、ある程度だれが見てもまあまあという線へ落ちついていってくれるということが一番望ましいことである、このように考えております。  数字のことを申し上げることができないことは大変申しわけありませんが、私も実は、幾らがいいかと言われても、例えば業種によっても違いましょうし、ちょっとそれは一概に言えないと思います。  それから、協調介入、いわゆる政策介入、これはもう当然円が高くなればお願いしなければならない。共同声明でこれ以上の円高は望ましくないということを極めて明確にしておるわけでございますから、望ましくない方向へ行けば協調介入は当然あり得るものというふうに期待をいたしております。
  11. 関山信之

    関山委員 もう一つ伺っておきますが、G5もつまりは経常収支の不均衡是正ということが大きなテーマだったと思うのですが、この間、一体経常収支の不均衡というのにこの為替相場調整が本当に役に立ったのか、あるいはまた今後、この時点でこの経常収支の不均衡解消の見込みはあるのか、この辺の御判断はいかがでしょうか。
  12. 畠山襄

    畠山政府委員 ことし九月までの経常収支動向を見ますと、今御指摘のニュアンスにございましたように、貿易収支は六十一年度上期で五百五億ドルというプラスになっておりまして、依然として大幅な黒字が続いているわけでございます。これは御案内のとおり、いわゆるJカーブ効果という輸出面の話と、それから原油価格値下がり等による輸入面支払い節約と、両方から起こっている現象でございます。しかしながら、数量ベースで見ていただきますと、最近は昨年に比べて輸出微減傾向でございます。輸入増加傾向でございまして、輸入数量は、例えば九月をとってみますと二一%ふえておるということでございますので、今後この傾向が続いて経常収支拡大に歯どめがかかるということを期待しておるところでございます。
  13. 関山信之

    関山委員 この問題の締めくくりというわけじゃありませんが、改めて一年前のG5というものの意味考えさせられるのです。この点は、どちらがどうということを申し上げるつもりはないのですけれども、いわゆるサンファン合意以来の円フロートということを基軸にしながら国際間の為替調整が自然な成り行きに流れるということ、本来円高は今のような日本の体質からいけば避けがたいことであったということを考えますと、二度のいわば政治的な介入というのでしょうか、一つの契機によってこの円高問題に一つ一つの節目がつくられていくということを考えますと、逆にG5自体が一種の政策判断としては誤りだったのではないだろうかという見方もあるわけでございますけれども、この点については大臣はどのようにお考えでございますか。
  14. 田村元

    田村国務大臣 G5のころはドル対非ドルの、特に円等に対してドル高値ということで、あの会合はあの会合それなりに有意義であったと私は思うのであります。ただ、その後がいけないので、余りにもドラスチックな逆転現象が起こって円高というものになって、それがもうとどまるところを知らずというような形でわずかの間にいってしまったということでございましたから、G5のあのとき自体はやはりそれなりに有意義であったというふうには私は思っております。
  15. 関山信之

    関山委員 この問題はその辺でとめておくことにしましょう。  二番目に、円高差益還元の問題について一つだけお考えをただしておきたいのです。  政府経済対策によってこの間差益還元についてはそれなりに御努力をいただいておることは承知をいたしておるところなのですが、私自身、常々差益還元というものがこういう手法だけでよいのかという感じを持っております。電気ガス料金の引き下げというようなことに特に象徴されるわけですけれども、一般的にあまねく国民に対して差益還元をされるという部分についていえば、食料品でありますとか、そういうようなものが差益還元の対象になって輸入拡大に結びつくことは大変結構なことなのですけれども、しかし、一方でこの円高差益を生む陰で、その反対側円高差損のために苦しんでいるさまざまな産業があるわけでありまして、特に電気料金なんかを一律に消費者、家庭に還元をするということだけがいいのか、それが実際悪いとは言っているわけじゃないのですけれども、もう少し発想を変える必要はないのだろうかという感じがいたしますし、とりわけこの間の企画庁の差益還元のレポートなんかを拝見いたしておりますと、流通過程でかなりな部分が吸収されてしまうというようなことがありますと、やはりこの差益は、ある意味でいえば取るべきものを取ってしわ寄せされておる部分に集中的に還元をするといったような問題の発想手法があってもいいのではないかというふうにも考えるのですが、いかがなものでしょうか。     〔加藤(卓)委員長代理退席委員長着席
  16. 田村元

    田村国務大臣 一般論としましては、差益は相当還元されております。物価はある程度幅下がってまいっております。具体的には局長から御説明申し上げると思いますが、各百貨店、スーパー等から取り寄せましたデータによりましても、よく下がったものでは約五〇%下がっておるものもあります。これは輸入品等が特に中心になっておりますが、その他の差益還元されておることは事実でございます。  そこで、電力ガス等でございますけれども、公平の原則というのがございますから、そこいらの問題があって、もちろん不況業種にそれを差し上げれば一番いいのでしょうけれども電力ガス料金の立て方の原則というものを曲げるわけにもまいりませんので、やはり一般国民に広く還元するということがよかろうかというふうに思っております。  ただ、では再還元するのかということでございますけれども、これにつきましては、去る六月に一兆一千二百億円御承知のように差益還元をいたしました。それからまだわずか五カ月そこそこでございますから、その点でちょっと今時期を見なければならぬ点もありましょうけれども、最近になっていろいろな面で不透明な点が出てまいりましたので、ちょっと簡単に結論を出しにくいというところがございます。  例えば原油価格が、今後の需要動向の問題とかOPEC生産調整継続の影響とか、それから今度のヤマニ石油相の解任ということがあって、サウジアラビアが従来のシェアの防衛主義から価格優先主義に復帰するのではないかというような見方もございます。そうなりまして、それからまたOPECとしても大体十七ドルから十九ドルぐらいで比較的高値で安定させたいというような意向も強いようであるというようなこと、さらに非OPEC動向がいま一つ予測がつきにくいということ、それから為替レート先ほど来のお話のように高値警戒感がなくなって、これからどういうふうにグラフを描いていくかそれがまだ不透明であるということ等々がございまして、我々としてはこういう不透明な諸要素を眺めてまだちょっと判断がつきにくい、目下のところ白紙の状態でおります。これは、最近急に諸情勢が変わってまいったということ等も、まさかヤマニ石油相の問題まで出てくるとは思わなかったのですが、そういうこと等もひとつ御理解を賜りたいと存じます。
  17. 関山信之

    関山委員 ちょっと私の伺っていることが正権に伝わっておらぬようですが、私の申し上げておるのは、そこら辺のこともさることながら、差益還元については、もちろん電気料金電気事業法によって料金算定の方式が決まっていますからそうむちゃくちゃなことはできないのは私もわかりますけれども、しかし少なくとも、今回特定地域中小企業対策が行われるわけですけれども、やはり一律還元ではなくて、円高被害を受けているところにもう少し円高差益還元するというような発想にお立ちになってはいかがか、こういうことを伺っておるわけでありまして、ぜひ御検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  18. 田村元

    田村国務大臣 おっしゃるお気持ちはよくわかるのです。私も個人的にはよくわかりますけれども、先般も、内需拡大策という点では、不況地域に対して公共事業傾斜配分をしてもらうということでお願いも私はしてまいりましたが、差益還元特定業界に絞って渡すということがいいのかどうか、これはちょっと一遍考えてみたいと思います。
  19. 関山信之

    関山委員 ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  そこで、特対法について以下お尋ねをいたしてまいります。  最初地域指定考え方についてでありますけれども、実は私ども地元に燕、三条という全国でも屈指の円高不況被害をもろに受けている地域があるのですが、先般私ども社会党でもあるいは各党からも現地の御調査などいただいておるのですけれども、ここで今一番問題にしておるといいましょうか心配をいたしておりますのは、これは燕だとか三条だとかいうのは明らかでありますけれども、いずれでもそういう形態はあるのでしょうが、その周辺市町村にいわば圏域として業種が広がりを見せておるわけでありまして、いわゆる自治体のエリアで区切られるとこれはやはりちょっと実態に合わないという問題がありまして、何とか圏域としてこれをとらえるようにしてほしいという要望が強いのでありますけれども、この辺の問題の考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
  20. 岩崎八男

    岩崎政府委員 私どもが今回特定地域中小企業対策についての法案を御提案申し上げておりますその背景にあります地域、これは輸出型産地とかあるいはいわゆる企業城下町とかあるいは北洋漁業関係で非常に大きな減産に見舞われているところとか、こういう地域をティピカルに考えておりますが、そういうところは当然に、特に輸出型産地等においては複数市町村がそういう産地を形成している、こういうふうに考えておりまして、したがっていろいろな統計上の把握、これは市町村単位が一番やりやすいのでございますけれども、最終的な地域指定ということになりますと、当然にそういった複数市町村という形でできるだけ一つ圏域をカバーするような、そういう形で指定することになろうかと思っております。
  21. 関山信之

    関山委員 それから、いささか地元のことにかかわって恐縮なんですけれども、他にもそういう例があればその辺の御配慮は同時にしていただかなきゃならないことなんですが、この法律で、当然のことでありましょうが、その地域雇用の機会の水準その他雇用に関する状況を考慮してという項目があるのですが、そこだけとらえますと、例えば燕なんか必ずしも有効求人倍率は低くないといったような数字が出てくる。これまた非常に特殊な関係が御承知のとおりございまして、何分にも十名以下の事業所が全事業所数の八九%を占めるという、まさに一人親方みたいなのが町じゅうに散らばって、あるいは周辺市町村に散らばってゴルフのヘッドやスプーンを磨いているというようなパターンになっておるものですから、そこら辺のところはいわゆる通常の雇用関係の指標にあらわれてこないという問題がありまして、その辺のところは十分な御配慮をもって御判断をいただきたいな、こう思っておるわけですが、いかがでございましょうか。
  22. 小林惇

    小林(惇)政府委員 雇用に関する着眼点につきましては、特に相当数離職者の発生でありますとか、あるいは近い将来に離職者が発生することが確実である、そういった状況を見ることにしてございます。具体的には、有効求人倍率というものを主としてポイントにしたいと考えておりますけれども、今先生御指摘のような現実に失業の発生している状況、特に雇用保険の失業給付の受給者の増加状況、こういったようなものも判断材料に加えるべきであるというふうに考えております。
  23. 関山信之

    関山委員 どうぞひとつその辺は十分実態を踏まえて御判断をいただきたいと思っております。  ところで、地域指定の時期は、今法律審議を大変急いでおられるのですけれども地域指定は大体いつごろのことをお考えになっていらっしゃるのでしょうか。これは後ほど触れますけれども、この補正予算等との絡みや公共事業等への配慮やら、これはともかく急がなければならぬということが大前提だろうとは思いますけれども、それにしても指定の時期の見通しなどお聞かせをいただけるようでしたらぜひお聞かせをいただきたい。
  24. 岩崎八男

    岩崎政府委員 私どももこれはできるだけ急がないといけないというふうに思っております。それは一つには、この対策の裏づけとなる地方自治体のいろいろな予算措置その他を十二月県会でやってもらわないといけません。それからまた、年末は金融の繁忙期でもございます。したがって、そういう時期に十分間に合うように地域指定をしなければいけないという事情が一方にございます。ただ、片や、やはり法律が通りませんと具体的にあるいは形式的にいろいろな関係方面との御相談とかいうこともできかねますし、さらにまた、現在は懸命に全国の各市町村のいろいろな統計データ等を自治体の御協力を得ながら集めておる段階でございまして、こちらは八分どおり整っておりますけれども、そういうもののデータ等を見ながら、法案が通りましたら関係方面と正式ないろいろな御協議、地方自治体との協議等がございますので、現在のこの法案審議状況いかんにもよりますけれども、私どもとしてはしりの方が切られておりますので、でき得るならばこの月内、あるいはどんなに遅くとも十二月早々には地域指定の運びにしなければいけないなというふうに考えております。
  25. 関山信之

    関山委員 わかりました。  そこで、中身の話でありますけれども、この法律は新分野進出等の円滑化対策と地域の活性化のための対策、この二つに分かれるわけでありますけれども、この新分野進出等の関係について、これは従来転換法では事業転換と経営安定という二つの柱でやってきたものを、この特定地域についてはいわば両方のみ込んだ形で、この対策を新分野進出等という三つ四つのテーマを掲げて計画の承認を得て対象事業を確定していく、こういうことになっておるわけなんです。  そこでちょっと気になるのは、この新たな事業の分野への進出というものと事業転換、まあ事業転換という問題についてはいろいろと議論があるところなんですが、それはそれとして、この新たな事業の分野への進出ということの意味には、それぞれ事業転換と経営安定の双方の努力というものがのみ込まれているのかどうかという問題と、もう一つは事業規模の適正化ということですね。これは転換法でもなかなか転換計画というのをつくることが容易でないという問題があったりしまして、特に今回はその地域の商業、サービス業等も含めてより零細なところへも手が届くように、こうなっておるわけでありまして、そうしますと、この計画作成というのが現実問題としてはなかなか大変ということになってまいりますと、一番出しやすいのは、事業規模の適正化に関するいわば合理化計画あたりが一番集中しはしないか。つまり、逆にこれが首切り促進法みたいな感じになってしまったら大変だという心配が正直言って一方にあるのですね。この辺のところはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  26. 小林惇

    小林(惇)政府委員 この法案三条に「新たな事業の分野への進出に関する事業」以下いろいろな項目が載ってございます。最初のお尋ねの新分野進出事業と事業転換の関係でございますけれども、新分野進出事業の中には、新商品等の開発あるいは新市場の開拓といったことに加えまして事業転換が含まれておる、いわば事業転換を含むより大きな概念が新分野進出という言葉の中に込められておる、こういうふうに考えてございます。  それから、その条項の後ろの方に「事業規模の適正化に関する措置」というような表現がございますけれども、その言葉の中には、経営の安定を図るために事業規模を縮小するというような計画も当然に含まれておるというふうに考えております。
  27. 関山信之

    関山委員 事業規模の縮小というのには、この計画の承認については雇用の側面から何にも歯どめがないということになりますと、これはいささか問題だということになるのですが、そこらあたりはどのように対応なさるおつもりでございますか。
  28. 小林惇

    小林(惇)政府委員 ただいま事業規模の適正化に関する措置というものの内容には人員の合理化も含み得るということを申し上げましたけれども、そういった措置を計画の対象にした趣旨というのは、首切りを助長しようということにねらいがあるのではなくて、内外の事情の変化に対応して実際に事業規模の縮小等適正化を図ることによって経営の安定を進めまして、その結果として将来的な新分野の進出を期そうという、中小企業を救済しようというねらいが込められてございます。  当然のことでございますけれども、この法律の運用に当たりましては、不当な人員整理といったことを計画の内容とするものについては、都道府県知事において承認しないように指導していく必要があるというふうに考えております。
  29. 関山信之

    関山委員 そこで、承認基準が政令で書き込まれるわけですけれども、これの中身はどんなようなものが準備されておるのでしょうか。
  30. 小林惇

    小林(惇)政府委員 当該計画の案につきまして、当該中小企業者が新たな経済的環境に円滑に適応するために有効かつ適切なものであるということを中心に基準を設定してまいりたいというふうに考えております。     〔委員長退席、臼井委員長代理着席
  31. 関山信之

    関山委員 抽象的でわかりませんが、ただ、今申し上げました事業規模の適正化についてはぜひひとつ、決してこの法律が首切り促進法だなどと申し上げているつもりはありませんが、しかし都道府県あるいは市町村に認容されてこれが承認ということになるのでしょうけれども、そこに対する歯どめなり御指導なりはやはりきちっとこの基準承認の事項の中に取り込むぐらいのことがあってしかるべきじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  32. 岩崎八男

    岩崎政府委員 現在、特に国際経済の環境の著しい変化によって何らかの対応を迫られている中小企業、これを最終的にはいろいろな新分野等新しい生面を開拓していくということが最終的な解決だと思います。  ただ、そういうことになりますためには、やはりそれ以前にその企業体自体が不安定になり、あるいは倒れるということでは、これは次の生面開拓も期し得ませんので、まずはとにかくその経営が現在の厳しい状況の中で何とか継続する、そういう面が必要だと思います。したがって、そういうことをこの事業規模の適正化等ということで切り抜けるということについて、私どもその段階でも何らかの支援ができないか、こういうことでございますので、そういう中に当然に雇用縮小なり首切りというのを想定しているのではなくて、ある場合にはそういうこともあり得るかもしれませんけれども、それはそういう現実の各企業の中での個々の対応を結果として私ども知事の承認という形で受け入れるということでございますので、何もこちらからそういうことをやりなさいというようなことで推奨するとかそういう性格のものでは、この段階の計画は全くないということでございます。
  33. 関山信之

    関山委員 当然そういうことではありますけれども、どうぞひとつその辺のところについて十分御配慮をいただきたいと思います。  それから、この法律に基づいての新しい施策といいましょうか、その中の目玉でもあります超低利融資の資金確保についてですけれども、この一種、二種の区分けについて被害度というのは一体何を物差しにするのかということと、この融資はどのような仕組みでもって具体的に関係者の手元にその資金が配分されていくのか、その二つ、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  34. 小林惇

    小林(惇)政府委員 先生今御指摘いただきました一種、二種につきましては、金利を一種につきましては三・九五、二種につきましては五%ということで想定してございますけれども、具体的に一種、二種の仕分けにつきましては現在検討中でございます。しかし、売り上げの減少の度合いといったことが中心の材料になろうかというふうに判断してございます。  その資金につきましては、国が信用保険公庫を通じまして各地にございます信用保証協会に無利子のお金を貸し付けまして、それと同じく都道府県の方からも信用保証協会に無利子の貸し付けをやっていただきまして、それらを合わせまして信用保証協会の方から各地の民間の金融機関に預託をしていただきまして、民間の金融機関の利子のついた金とまぜまして中小企業に低利の金を融資しよう、こういう仕組みを考えております。
  35. 関山信之

    関山委員 だんだん時間がなくなるものですから先を急ぎますが、今回保証枠の拡大とてん補率の引き上げ等の措置を講じられておるわけでありますけれども、この問題について二つお尋ねをしておきたいのです。  正直申し上げまして、現場では、保証枠を拡大してもらっても、事実上県の信用保証協会あたりへ行けば八〇%というてん補率に遮られて現実的な運用の面でこれがなかなか思うようにいかない。確かに国のサイドから言えば、信用協会に基金の積み増しをしたり保険公庫にそれなりの財政措置をしたりということがあるのでしょうけれども、やはりそこら辺がネックになっているのが実態のようなんですね。今回普通保険が一〇%引き上げられているのですが、この際、無担保保険あるいは特別小口保険についても、従来八〇%のものをなぜもう少し引き上げられなかったのか、ぜひ引き上げてほしいという問題も含めてお尋ねをしたいのと、もう一つは特別小口保険でございまして、これは事務当局の皆さんともいろいろ意見を交換してみたのですが、確かに制度的に言えばやむを得ないという、いわばこの緊急避難的な無担保、無保証のお金については前年度の事業税、法人税あるいは地方税の所得割を納めてないと借りられないという制約があるのですね。これはこの制度の仕組みから、一般的にこの枠を取り外すことはできないというのは私も承知をしているのですけれども、しかし現実にはこの資金というのが、さあとなると、先ほど申し上げましたような八九%を占める一人親方みたいなところにすれば一番借りやすい、手っ取り早いということになるのですね。特に昨年からことしにかけてひどかったわけですから、ことしはそういう人たちがみんな赤字で所得割なんか払えないという実態にあるわけでございまして、しかもこの年末を控えてそこらあたりが地元関係者としては非常に頭を痛めておるところでありまして、何らかの措置によってこの特例として、ことしの暮れぐらいに限定をしても、例えば前年度の納税証明書ではなくて一年さかのぼった納税証明書でこれを適用するといったような方法が講じられないものか、この二つの問題についてお答えをいただきたいと思います。     〔臼井委員長代理退席委員長着席
  36. 岩崎八男

    岩崎政府委員 確かにこのてん補率が高ければ高いほど保証協会は保証しやすくなるわけでございますけれども、ただ、八割という現在のこのてん補率、これも相当高いように私ども配慮しておるつもりでございますけれども、これをさらに高くするということはそれだけ保険公庫の負担が大きくなることでございますし、また信用保証協会、第一線の信用保証協会の審査というものがある意味では無責任に流れる、そこの接点だと思います。したがって、今八割をさらに上げるということについては私ども実は考えておりませんけれども、ただ保証協会が保証しやすくするために、保険料率を通常の三分の二ということで特別に安くするとか、あるいは今回の補正予算で講じておりますけれども、保証協会への基金補助、これをできるだけ見ることによって保証協会のリスク負担能力を引き上げる、こういう側面での配慮をしたいと考えておるわけでございます。  それから特別小口保険は、先生御承知のとおり、本来保証業務というものは一つの金融業務でございますから、いろいろな審査、あなたは何のためにこれが要るのですかとか、あなたは果たしてこの保証について返済能力が本当にあるのですかとか、そういうのを審査した上で保証する、これが常識でございますけれども、それでは時間的に間に合わないから、いわば一つの駆け込み寺的な機能として、小さい金額ではあるけれどもおいでになったらできるだけ早く保証してあげるという趣旨でできたものというのは先生御承知のとおりでございます。したがって、少なくとも、あなたはここにいるのですねという居住要件、一年間ここの地域で仕事していましたねということの保証と、あなたは過去一年において何らかの所得割の税金を納めていますねという、そういうことだけを確認することで、ほかのことは何ら審査せずにやる制度でございますので、そこのところを緩和するのはなかなか難しいかと思いますが、先生御指摘のような各地域の実情、特に零細企業の実情を考えますと、むしろ県等が計画承認しますものを零細企業についてはもっと何か簡素化してやるという方式を考えることによりまして、スピーディーにやれるという方式はないかなということを今検討しているところでございます。
  37. 関山信之

    関山委員 これは、ぜひひとつその御検討の中に特別小口保険、特に間際に迫っておるものですから、どういう形にせよ、そういうものがほかにあればいいのでしょうけれども、現場の実態はそうであるということを含めてぜひお考えをいただきたいと思います。  委員長、これはちょっとひどすぎるのじゃないですか。これ、流会だね。何とかひとつ、私の時間は間もなく終わりますけれども、御注意いただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、ここは後の同僚議員の質問にゆだねますが、ともかく中身としては、正直言いましてもうひとつ中身がないわけでありまして、この既往の施策、高度化資金の利用にいたしましても、今日まで承認件数は五十四件あるけれども、事業転換はそのうちわずかに一件という数字を私どもいただいております。転換事業では高度化資金の利用をしているものはわずかに一件しかないというような問題やら、あるいは既往資金の借りかえ等についてもいろいろ配慮してほしいといった問題も多々ありますが、時間がなくなりましたので、この問題は一応横へおきます。  一つだけ最後にお尋ねしておきたいのは、公共事業に対する配慮の問題です。これは前の企業城下町法でもこういう配慮規定があったのだそうですけれども、一体これについて具体的にどういう実績があったのか。これは事務当局に、それぞれ建設省なり通産省なり大蔵省なりに聞きましたが、この数字は出てこないのですね。つまり追跡されていないし、実態としてどれほどあったのかわからないという状況にあるわけであります。せっかく訓示規定を設けても、これは何の意味もない。そこで、具体的にどのような配慮をこの条項に基づいておやりになるのか、これをひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。  大臣は大物大臣でいらっしゃいますから、関係公共事業を持つ省庁にぜひひとつ厳しくお伝えをいただきたいと思うですけれども、少なくともその指定された地域の継続事業については何%伸ばすとか、新規事業についてはどうだとか、それから同じ公共事業を選択するにしても、産業連関表で波及効果がどういうものが一番余計かというようなこともわかっておるわけですし、あるいは用地費なんかが二〇%を超えて占める状況にあるわけでありますから、そういうものを十分に配慮をした、まさに配慮をした公共事業地域への配分というものが考えられなければならないと思うのですけれども、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
  38. 田村元

    田村国務大臣 先般私は天野建設大臣に会って、特に不況地域、石炭、鉄鋼等も含みますが、それに対する傾斜配分をよろしくお願い申し上げたいとお願いして、これは大臣、非常に快く引き受けていただいた。その後、通産省から建設省へ役人同士のあいさつも十分させて、そうしてこういう地域という地域の名前を列挙してそれを差し出しました。といいますのは、公共事業というのは例えば鉄鋼なら鉄鋼一つを例にとりますと、海に面しておる臨海地帯だけを考える必要はないので、その地域全体に及ぼす経済の波及効果ということを考えれば、極端な話をすれば砂防堰堤だってやはり効果はあると私は思うのですね。ですから、そういう点で地域を列挙して、この地域でどうぞよろしくお願いしたい。  それに対して、公共事業が及ぼす経済波及効果なんというものは通産省よりは建設省の方が玄人でございますから、そうして同時に、用地費に食われておるような公共事業では間尺に合わぬわけでありますから、継続事業があれば恐らくそれを優先するでありましょうし、新規事業でも可能な限り事業執行のできるようなものを採用するでありましょうし、それはむしろ私が指示して、建設省に任せたらどうだということにいたしました。建設省の方も、お任せください、全面的に御協力を申し上げる、こういうことでございました。
  39. 関山信之

    関山委員 時間がなくなりましたので、最後に労働省にお伺いをしておきたいと存じます。  きょうも新聞で、労働省、通産省の協議が始まったことが伝えられておりますが、最近における円高不況を背景にした雇用調整のテンポは大変な事態になっているのではないかと思うのです。ある民間企業の予測などを見ておりましても、六十年から六十五年までで約九十万人の雇用調整が行われなければならなくなるだろうといったような数字も私の手元にあるのですけれども、今労働省として把握をされております雇用調整の現実と見通し、そしてこの特定地域中小企業対策臨時措置法案との関連で当面どのような対策が準備をされておるのか、これを最後に伺って質問を終わります。
  40. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘ありましたように、最近の雇用失業情勢には大変厳しいものがございます。従来からの構造的な要因により不況に見舞われております造船でありますとか非鉄金属鉱業であるとかそうしたものも、最近の円高の影響によりましてさらに一層厳しさを増しているような状況でございますし、先ほどから議題になっております輸出型の産地におきましても、円高の影響により雇用調整を行う産地の比率が大変高くなり、最近では離職者を出すというような状況にも至っております。  このような深刻な雇用情勢を受けまして、ただいま労働省ではいろいろな施策を講じております。当面の施策といたしましては、総合経済対策に盛られました緊急対策を十月十日から実施いたしておりますし、また産地対策につきましても、この法律の施行に合わせて万全な対策とするよう現在検討を進めております。また、雇用問題が地域的に非常に厳しい状況を呈すところが出てまいりますので、地域対策について抜本的に見直し、次の通常国会には法案を提出し、その面での対策を確立してまいりたい。そういう努力を重ねましてこの失業情勢に対応してまいりたいと考えております。
  41. 関山信之

    関山委員 ありがとうございました。
  42. 佐藤信二

    佐藤委員長 緒方克陽君。  ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  43. 佐藤信二

    佐藤委員長 速記を始めて。  緒方克陽君。
  44. 緒方克陽

    ○緒方委員 今回の法案は、当面する円高不況という状況の中で非常に緊急的に議論しなきゃならぬということで、それなりに我々としても協力対応といいますか、そういうことをしてきたつもりですが、きようの委員会の出席の状況、特に与党の態度については、そういうふうに急いでおられるのかなというような気がしてならないわけでありまして、そういう意味で、先ほど非常に出席が悪いということで質問をしなかったわけでありますが、今から質問したいと思います。  まず第一に、これは意見でありますが、きのう通産大臣の表明がございまして、そのときに初めて衆議院の商工委員会調査室というところから今回の法律の「要点及び問題点」というのをいただいたのでありますが、審議は急ぐ急ぐというふうに言われる割には、二十何時間か前にこういった「要点及び問題点」というのをいただいたのでありまして、我々議員がばかにされているというふうに思うのか、あるいは二十何時間でも十分勉強してやれるというようにお考えなのかわかりませんけれども、今回の問題については準備その他について非常に不満である、そういうことをまず最初に申し上げておきたいと思います。  そこで、この件についても、今後の問題について急ぐ法案であればあるだけ、政府としてはこの法案の具体的な内容について委員に資料を提供しながら十分な審議ができるようにすべきではないかというように思うのでありますけれども、このことについて政府通産大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
  45. 田村元

    田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、一日も早く御提案申し上げ、そしてより濃密な御審議を願いたい、これは当然のことなんです。ただ、財政当局との詰めとかいろいろな問題で相当時間がかかりました。私自身も詰めをしなければならないようなこともございました。といいますのは、やはり通産省は少しでも多く、より効果的な対策を講じたい、これはもう当然のことでございます。でございますから、そういう点で関係省庁との詰めに時間がかかりましたことは御理解いただいてお許しを賜りたい、おくれましたことに対してお許しを賜りたいとお願いを申し上げる次第で、特に予算案との絡みもございましたから、どうぞその点は御理解を願いたいと思います。
  46. 緒方克陽

    ○緒方委員 今そういう大臣の御答弁でありますが、委員会としては法律がきのう提案されて、そしていろいろな条文があるわけでありますが、やはりこれが委員会として議論され、通過した、そして本会議も通ったということになりますと、もしも手落ちとかその他がありました場合には、一体議員はどうしていたのかということが当然問われるわけでありますから、そういう意味で、今後急ぐ問題であればあるだけ、事前に十分私たちが勉強できるように、そして手落ちのない審議ができるようにしていただきたいということを強く要望を申し上げておきたいと思います。  それでは、具体的に質問に入りたいと思います。  まず第一に、今回地域特定したという形を中心にした臨時措置法が提案をされているわけでありますけれども、しかもその中では円高という厳しい状況の中で新分野に進出をする企業対策であるということになっているわけであります。しかし、実際、今円高で大変な状況になっている不況地域などと言われるところでは、もはや新たな研究開発をしたいための借金の借り入れをする力がないとか、あるいは新分野進出というのはそういうふうな状況でありますからあくまでこれは名目ではないかというような意見とか、あるいは私自身もそういう気がするわけであります。  そこで二点お尋ねしたいわけでありますが、この間にもそういった円高を含めた中小企業対策というものがいろいろ議論をされ、あるいは法案化されてきているわけでありますけれども、問題は今日まで、一つはいわゆる転換法というものがあったと思いますし、ことしの二月に成立をいたしました特定中小企業対策臨時措置法ですね、特定事業転換法でありますかね、私が勝手に名前をつければそういうことになるわけでありますが、そういうものがやられてきておりますし、そのほかにもいろいろなものがやられてきておるわけですけれども、転換というものがそんなに簡単にできていないということではないか、もっと抜本的な対策を考えなければ中小企業というのはこれから生きていけない、そういう状況にあるのではないかというふうに思うわけであります。  したがって、まず第一にお尋ねしたいのは、いわゆる事業転換法というものの中で具体的にどれだけ認可をされたのか、そして成果は上がったのかということ。それから、ことしの二月の法律は、確かに成立をいたしましてまだ八カ月しかたっておりませんから十分な成果というのはなかったかとは思うのですけれども、そういうものがこの八カ月間の間でどれだけの成果を上げたのか、認可をされたのかということ、それについてお尋ねをしたいというふうに思います。
  47. 小林惇

    小林(惇)政府委員 先生お尋ねの点は、転換法の実績という点であろうかと思いますけれども、五十一年にできました旧転換法につきましては、本年二月の新転換法によってその旧転換法が廃止されるまでに、事業転換についての認定件数は二百九十三件に上っております。それに対しまして本年二月に公布、施行された新転換法におきましては、十月末現在で事業転換計画の承認件数は五十四件というふうになってございます。五十四件という件数自体は大変少ないように見えますけれども、旧転換法のときの承認件数の三倍のスピード、ペースになってございます。
  48. 緒方克陽

    ○緒方委員 十年間で二百九十三件ですね。あるいは新転換法と言われるものも五十何件ということであります。結局その法律は、実際できても、当面のいわゆる救済ということについては幾らかの役には立っているかもしれないけれども、基本的な中小企業のこれからの生きる道を導き出す、そういうことについては、今お答えとしては二百九十三件ができておりますという話でありますが、私どもに言わせればたった二百九十三件しかできていない、そこが問題じゃないかという意味で、これは大臣今いらっしゃらないようでありますけれども、こういう数字を一体どういうふうに思うのか。というのは、私たちに言わせればこれだけしかないということであって、もっと抜本的な対策というものを考えるべきではないかというふうに思うわけでありますが、その点についてお答えを願いたいと思います。
  49. 岩崎八男

    岩崎政府委員 確かに、製造業で八十万の中小企業者があるわけでございますので、非常に承認件数が少ないというふうに私ども感じます。いろいろ理由はあるんだろうと思います。  一つは、五十一年当時旧転換法をつくりましたときのその転換の必要性みたいなもの、それと今回の四囲の状況におけるのっぴきならない状況、これはやはりある程度違うんではないかというふうにも思います。したがって、今回は何が何でも新しい分野というものを切り開かなければいけないという要請というのは、より強いのではないかというふうに思っております。  それから、それを助成する手段において、旧転換法においては率直に申し上げていろいろ不備があったのではないか、したがって私どもの支援措置をできるだけ弾力的に適用できるよう、今回はこの新転換法におきましても種々の通達等での工夫をしているところでございます。  それから、今回の特定地域中小企業対策は最終的にはそういう業種の転換、多角化等をねらっておるわけでございますけれども、今回においては特にそのための技術の改善、開発、こういう面において過去の対策とは格段に違う支援策というものを講じようとしております。こういう厳しい四囲の情勢でございますので、どうしても中小企業者の皆様の必死の努力と相まちまして、今後できるだけ転換の成功例が多くなるように期待している次第でございます。
  50. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の御回答ではなかなか問題があると思いまして、それは後ほど具体的に申し上げてみたいと思うのです。  質問の第三点は、いわゆる最近の円高の中で輸出型産地の中小企業の影響調査の問題であります。  ことしの二月の法律議論審議された際に実態が調査をされているわけですね。その数字はもう御存じのとおりと思います。いわゆることしの国会での議論をまとめた要綱の中で、当時の円高をめぐる問題で中小企業庁が実施をした調査によりますと、その三項の中で、為替レートが二百円で推移した場合は五〇%以上の企業が経常利益で赤字となるとする産地が多く、百九十円になった場合にはさらに収益が悪化する傾向が強まる、そういう報告が二月の法律議論される段階で出されて、そういう状況の中で法律が通ってきたという経過があると思うわけです。ところが、現在の状況というのはそれがさらに進んでいるということでありまして、本当に厳しい状況にあるわけであります。  今回の法律を出すに当たって中小企業庁としては当然調査をされているというふうに思いますので、その特徴的な点を、いわゆる為替レートが今日のような状況の中で、そういう地域におけるこれからの収支の見通しといいますか経営の見通しといいますか、どういうふうになっているのかということを、特徴的な数字で結構でありますからお答え願いたいと思います。
  51. 広海正光

    ○広海政府委員 円高によります影響が特に大きくあらわれていると思われます輸出型の中小企業産地につきまして最近もまた調査をしているわけでございますが、それによりますと輸出向けの受注残、これが適正水準を五〇%以上下回っているというのが、調査対象は五十五産地でございますけれども、そのうちの四十七産地がそういうようなことになっております。また生産の動向も、二〇%以上下回る産地がこの五十五産地のうちの二十九産地ということで、過半数が二〇%以上下回っている、こういうことになっております。また新規の成約価格でございますが、これも二〇%以上下回っているというのが二十四産地ある、約半分くらいがそういうような状況になっております。したがいまして、生産も減る、それから受注の価格も低下するということで、この経常利益でございますが、百六十円でこのまま推移した場合には赤字になる企業が五〇%以上を占める産地の数が四十一産地。この場合の回答産地数は四十九産地でございまして、四十九産地のうちの四十一産地が赤字になる企業の割合が五〇%以上になる、こういう回答が出ております。  それから企業城下町関係でございますが、これも工業出荷あるいは雇用情勢等その地域全体で長期にわたってずっと低迷を続けておりますけれども、最近の円高等によりましてさらに一段と悪化している、こういう結果が出ております。
  52. 緒方克陽

    ○緒方委員 今そのような数字が発表されたわけでありまして、そういう状況の中で今回の臨時措置法というのが果たして有効であろうかどうかというのは、私はいろいろな団体なり中小企業のお話を聞いてまいりましたので、率直な声として述べながら後ほど御見解もお聞きしたいと思いますが、大変厳しい状況にあるという数字が示されたということで、特に為替レートの問題でありますので、そのことをひとつ質問したいと思います。実は同僚議員の関山先生も質問されたわけでありますがこの問題について質問したいと思います。  先ほど大臣答弁でも、いわゆる円高問題について本委員会の中での議論が報告されたわけでありますが、通産大臣にお尋ねしたいわけですけれども、本委員会の中でも、言葉は正確じゃないかもしれませんけれども、円はこのまま安定ではとてもじゃないが困るというような感じの表現をされたわけであります。それは通産省という立場から当然のことであろうというふうに思いますし、先ほどもそういうお話であったわけであります。ところが、御案内のように十月三十一日に、私に言わせるならばアメリカの言うなりという形で、いわゆる一ドル百六十円前後維持ということで市場安定協力という発表になったというふうに私は理解しているわけです。先ほどのところでは百五十五円か百六十円が上限であるというようなことしか言えないというような話でありましたけれども、実際にはそうではなくて百六十円で安定するということに、そこで協調介入という形になるのではないかというふうに私は共同発表を見ているわけでございますが、そういうようになってきたのは、結局アメリカはけしからぬと私は思うわけです。軍事力増強に金を使って、その赤字の責任を私どもに押しつけてきている、あるいは景気後退の責任を押しつけてきているというふうに私は思うわけです。  そこで、通産大臣にお尋ねをいたしますけれども先ほどの話で言いましたように、当然円はもっと下がるべきであるというふうにお考えになっていると思うわけでありますが、十月三十一日の共同発表というのがあったわけでありまして、その際には、閣議にかかるのか経済閣僚だけの相談なのかわかりませんけれども、当然何らかの政府としての意思統一があっているだろうというふうに思うわけでございますが、そのときに通産大臣、きょうは経企庁長官お見えになっておりませんが、どなたか政府委員の方で結構でありますけれども、どういう意見を述べられたのか、あるいは述べられなかったのか。  二つ目に、一緒に聞きたいと思うのでありますが、二番目の質問として、百六十円というので安定をしていけば、これが続くとなれば、日本の中小企業輸出関連事業は決定的なダメージを受けるのではないかというふうに思うわけでありますけれども、その点についてどういうふうにお考えになるだろうかという二点について、通産大臣と経企庁の方からお答えをいただきたいと思います。
  53. 田中努

    ○田中(努)政府委員 では、経済企画庁の方からまず最初お答えしたいと思います。  今般の宮澤・ベーカー共同新聞発表でございますけれども、これに至ります背景といたしましては、御承知のとおり昨年九月の五カ国蔵相会議、それから今年五月の東京サミットというような国際会議の一連の流れにおきまして、経済政策の協調が必要である、あるいは為替レートというものはいわゆる各国の経済の基礎的な条件と一致したレベルに近づかなければならないというような合意が形成をされてきた、そういう国際的な流れの延長線上に位置づけられるものであるというように私ども理解をしておるわけでございます。  今回の宮澤・ベーカー発表におきましては、その後の円ドルレート調整が進展をいたしまして、基礎的な経済的な条件に近づいてきたという共通の認識がそこで出てまいったと思うわけでございます。同時に政策面でも、日本では内需拡大策が導入をされまして補正予算が議会に提出をされるというようなこともございましたし、アメリカではグラム・ラドマン法が成立して財政の赤字の解消に本格的に取り組むというふうな進展が見られたわけでございます。そういうことを踏まえまして、今後とも為替レートの問題につきましても国際的な協調を引き続き行っていくという合意が達せられたというふうに理解をいたしまして、このことは若干敷衍をいたしますと、円ドルレート調整がかなり進んでレート水準としては少なくともこれ以上円高になるということにはならないように、そういう合意があったというふうに聞いておるところでございます。  持続的な経済成長の達成のためには、もとより安定的なレートというものが前提条件でございますし、特に最近の情勢から見ますと、過度の円安というものが非常に経済に対しても深刻な影響を投げかけているということから考えまして、今回の合意為替レートの安定という意味で非常に高く評価ができるのではないかというように考えておりまして、その後のレートの進展を見ましても、昨日、それからけさの寄りつきもそうでございますけれども、円安の方向に振れているわけでございます。けさの寄りつきの相場を申し上げますと百六十三円八十五銭というところまで円安に戻ってきておりまして、このことはやはり今回の合意が為替市場の相場観にもいい影響を与えたのではないか、そういうように考えているところでございます。
  54. 田村元

    田村国務大臣 先般の宮澤・ベーカー共同声明、これは私どもは何の相談も受けておりません。通告がございました。ただ、平素通産省から大蔵省に対しては、これは大蔵省の専管問題でございますから、大蔵省に対してはいろいろと意見を申し述べておることはこれは当然でございます。今企画庁の審議官からお話があって、大体あれで尽きておると思いますが、私どもの受けとめ方としては、特に大蔵省の説明、通産省、私に対する説明も、今回の合意プラザ合意後今日に至る推移過程をとらえて、既に円ドルレート調整は十分行われておる、特定の具体的水準を念頭に置いているものではないが、少なくともこれ以上の円高は望ましくないという趣旨のものと受けとめてもらって結構、こういうことでございましたから、我々はそのように受けとめておるわけでございます。これは確かにそういう意味においては評価できると私は思います。  先ほど企画庁から、きょうの寄りつきが百六十三円八十五銭という報告がありましたが、九時三十五分現在では八十六銭というようなことで、大体安定しておるような感じでございますが、先高懸念というものがこれでなくなったということを私は評価してよいんじゃないだろうか。  ただ、百六十四円前後が妥当かどうか、これは先ほども申し上げたように通産省はやはり現場でございますから、大蔵省あるいは企画庁と感覚的な違いがそれはあるかもしれません。これは当然のことだと思います。我々は、しかも業種によっては全然違うのですから、そういう点はひとつ御了解を願いたいと思います。
  55. 緒方克陽

    ○緒方委員 これは先ほど通産大臣の前の経企庁の答弁ですが、過度の円安はというふうに言われたのですが、これは過度の円高、そういう意味ですね。そういう御答弁ですね、勘違いしていらっしゃる。
  56. 田村元

    田村国務大臣 私、円安と言いましたか。
  57. 緒方克陽

    ○緒方委員 いやいや違います、経企庁のところで。私もそれは間違いをしますから、別にけちをつける意味じゃございませんで、議事録の関係で申し上げた次第です。  それで、通産大臣としては、現場だからというような意味で、これからもそういう意味で国内の産業、わけても中小企業のこれからの問題点について積極的な立場で意見を発言し反映してもらうように、この際御要望申し上げておきたいと思います。  次に、この法案についてあるいは総合経済対策ということについて少し御質問したいのでありますけれども、この法律案、私も三十一日ですかいただきまして、いろいろな中小企業者の方あるいは中小企業の団体、そういう責任者などにお会いをしてきたわけですけれども、非常に厳しい声があるわけですね。  具体的に申し上げますと、一つ円高不況、これはいわゆる人災である。これは私の言った言葉じゃありませんよ。中小企業の人ですよ。政府はもっとしっかりしなければならぬし、責任を持ってもらわなければならぬということが一つ。  それから二つ目に、事業転換を行えというふうに言うけれども、資金は予算の枠があって、しかも制約があって借り入れが困難である。特に、今までのこの種の臨時措置法の中でもいろいろ議論されてきたと思うのですが、借りかえが現実にはできない。だから、借りかえができれば何とかなるのだけれども、いろんな制約と、新しいものという形できちんと条件が整わなければこれが利用できないという意味で非常に不満があるわけで、この借りかえの問題については、これはできる方向でやはりやっていかないと、その場その場の問題だけで終わってしまうのじゃないかというふうに思いますので、これは後ほど御回答をお願いしたいと思います。  それから三つ目として出ておりますのは、現実この経営状態は多額の負債があって電気料すら払えない、二カ月も払ってないということの状況、そういう企業もあるということで、いわゆる基礎体力がない、したがってこういうことを言われてもなかなかできないのじゃないかということで時期を逸している、そういう御意見ですね。これは率直な意見です。  それから、これからのいわゆる円がどう動くかということで、為替レートの問題も含めて経済の見通しが立てにくいというようなことが言われているわけで、団体からは大変厳しい意見があるわけです。政府それなり考えているつもりかもしれないけれども、これでは不十分だ、問題だという声であります。  そこで、中小企業庁の方にお尋ねしたいのですけれども、この法律では「新分野進出事業等」ということになっているわけですけれども、この「等」の中身は何なのかということが一つと、結局は、その中身は聞いておりませんけれどもお答えになる「等」というのが中心になってこの法律が目的としていますような新分野進出というのは、実際にはなかなかできないのではないかということであります。したがって、二つ目にお尋ねしたいのは、後追い対策ということにならないためにも、やはり抜本的な対策というのを考えない限り、中小企業の転換とかあるいは新分野進出というのはできないのじゃないかというふうに思うわけでありますが、この点についてということでございます。つまり、一つは「等」の中身、それから抜本的対策を立てなければどうしようもないのじゃないかということ、そしてさっき具体的な中小企業団体の意見の説明の中でも申し上げたわけですが、借りかえの問題ですね、これは常に言われていることですけれども、そういう問題ができなければ用をなさないのじゃないかということで、以上三点についてお答えをお願いしたいと思います。
  58. 小林惇

    小林(惇)政府委員 第一の「新分野進出事業等」という点の中身でございますけれども、新分野進出事業の「等」の中身については、一つは新たな事業の分野への進出、事業転換等でございますけれども、それからもう一つの分野は事業の合理化に関する事業ということでございまして、いずれも企業にとっては前向きの対策という性格を有するものというふうに理解していただきたいというふうに考えてございます。  それから、借りかえの問題でございますけれども、これにつきましては、過去に行った別の事業のために借り入れた資金の借りかえということについては、今回の新しい法律の仕組みに従って新たに行われる事業に必要な資金というものに該当しない限り本制度の融資対象ということにはできないというのが一般的な考え方でございます。ただ、現実問題として、いろいろ厳しい状況にある特定地域の中小企業が新たな環境に適応していくために一時的な資金繰りということで妥当性が認められる場合もあろうかと思いますので、その点については十分検討して配慮してまいりたいというふうに考えております。
  59. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の借りかえの問題については、第一の答えでは非常に形式的なお答えがあって、二番目には、特定地域では、いわゆる問題があるようなところでは検討もするというような、一応私としては前向きのような御回答を得たというふうに理解をいたしておりますので、その辺については運用の場では十分配慮されていくように、この際強く御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  次に、今回の法律の問題で労働者と労働組合の関連の問題についてお尋ねをしたいと思います。  先ほど同僚議員、関山先生の御質問の中でも、いわゆる行政指導の中でこれが不当に首切りになるというようなことにならないようにしたいというようなお話があったわけでありますけれども、私は、法律自体がその点について非常に問題があるというような気がするわけでございます。少しその点を申し上げますと、この法律は、中小企業の事業転換を円滑にすることを大きな目的としているということでありまして、事業転換ということは、同時にそこに働く労働者の仕事の内容あるいは労働条件にも大きな影響が出てくることは当然であります。そういう意味で、きのう、きょうの新聞などでもいろんな労働省と通産省の協議などのお話が出ているわけでありますけれども、そういう話を聞いておりますと、転職とかあるいは広域移動というような話などもいろいろ出ているわけでありますが、しかし実際には、住居の問題とかあるいは進学の問題であるとか親の扶養の問題など、大変な問題があるわけでございます。  そこで、そういう意味で私はお尋ねしたいわけでありますが、この法律に基づく事業転換というのがスムーズにいくためには、中小企業に働く労働者の意見というものを当然大事にし、聞くということが必要ではなかったかというふうに思うのでありますけれども、中小企業近代化審議会ですか、事業転換部会というのがあるわけですが、どうもそこに諮られていないように承知しているわけでありますが、その点についてどうなっているか、お尋ねをしたいと思います。
  60. 小林惇

    小林(惇)政府委員 ただいまのお尋ねの点でございますけれども、実は、本法案の提出に当たって中小企業近代化審議会という審議会に諮っておりまして、昨年の十月以来十三回会合を開きまして、種々の角度から今回の法案の内容等についても御検討いただいております。しかし、結論といいますか、最終的な御結論はまだいただいておりませんで、途中段階でございますけれども審議会とは御連絡をとりながらやらしていただいております。  それから、その審議会におきましては、労働側の代表ということで委員にお加わりいただいておりまして、御審議に熱心に参加いただいておるという状況でございます。
  61. 緒方克陽

    ○緒方委員 今のお答えは中小企業近代化審議会ということですが、いわゆる事業転換部会というのがある。私が質問いたしましたのは、そこに中小の代表者、働く人たちの代表者の意見が聞かれているのか、そこに諮られているのかという質問でございますから。
  62. 小林惇

    小林(惇)政府委員 今の点につきましては、十三回というふうに申し上げましたけれども、総合部会の下に置かれております国際化小委員会という委員会において検討が行われておるという状況でございます。
  63. 緒方克陽

    ○緒方委員 だから最初から言っていますように、中小企業の代表者も含めたいわゆる事業転換部会ということでされていないということで、私はお聞きをした上で言っているわけですから、話をごまかさないで、ちゃんとやってもらいたい。そういうことでかかっていれば、当然今回のような法律に私はならないと思うのですね。そこで非常に問題があるということです。時間がありませんから、少し先に進みたいと思います。そういう事業転換部会などに諮って働く人たちの問題が議論をされていれば、こういった欠陥の臨時措置法というふうに私はならなかったのではないかというふうに思うわけです。  そこで申し上げますけれども、本年二月の法律では、いわゆる計画の承認の中で、事業転換に伴う労務に関する事項を入れるということで、いわゆる承認の事項の中に具体的に入っているわけです。それから本年二月の同じような措置法の中で附帯決議がされているわけでありますが、その中でも「事業転換の円滑な遂行とその成果を期するため、転換計画の承認について弾力的な運用を行うとともに、転換に当たっては、当該中小企業者に雇用される労働者の意見が反映されるよう指導すること。」という附帯決議がつけられているわけですよ。  そうしますと、今度同じような新分野進出ということでありますから、性格的には労働者にとっては同じように思うわけでありますけれども、そういうことが触れられていない。しかも、非常に雇用情勢が厳しくなっているということで、法律では第三条で「人材の養成その他の事業の合理化に関する事業、事業規模の適正化に関する措置」というふうになっているわけでありまして、二月の法律ではあったのですけれども、この法律では労働者の意見の反映の場がないということになっているわけですね。一体そのことについてはどういうことになるのかということであります。  そこで、具体的に中小企業庁の方にお尋ねするわけですが、「事業の合理化に関する事業」あるいは「事業規模の適正化」ということは、つまりどういうことなのか。要員削減といいますか人員整理ということも含まれるのかどうかということについてもお尋ねいたします。
  64. 小林惇

    小林(惇)政府委員 お尋ねの「事業規模の適正化に関する措置」という表現の中には、いわゆる設備の縮小などと並びまして人員の合理化というものも含み得るというふうに考えてございます。  こういった事業規模の適正化といった措置を計画の対象とした趣旨は、いわゆる労働者の首切りというものを助長しようということではなくて、事業規模の縮小等その適正化を図ることにより、将来的な新分野への進出を期そうとする中小企業者を救済しようというところにねらいがあるわけでございます。したがいまして、具体的な法律の運用に当たりましては、不当な人員整理といったものを計画内容にするものについては都道府県知事においてこれを承認しないように、厳正に指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  65. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで、労働省の方にお尋ねをしたいわけでありますが、今も言われましたように、つまりこの法律では企業の合理化、人員整理、退職金も含めてこれを出すということになっておりますが、政府答弁ではいわゆる行政指導で、認可の段階でそういうことをしないというふうになっているわけであります。  そこでお尋ねするわけです。二月の法律では、労働者の意見が反映されるという意味で認可の条件の中に入っていたわけですけれども、労働者を保護するという立場での労働省としては、当然この法が法律化され議論されてくる中で相談があっているというふうに思うのでありますが、この法律が施行されて事業が認可されるということになるわけでありますが、結局労働者の意見の反映の場というのはどこでしたらいいのか。前の法律ではあって今度の法律ではない、行政指導だ。しかし、行政指導というのは法律ではないわけですね。労働省としては一体どういうふうにお考えなのか、お尋ねをしたいと思います。
  66. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 ただいまの中小企業庁からのお答えがまず前段にあってのことでございますが、この法案の第三条の適応措置に関する計画の内容に労働者の雇用の安定に影響を及ぼす事項が含まれる場合がございまして、その場合には、そうした事項は十分労使間で話し合われた上で計画が作成されることが望ましい。そうしたことは、経営協議会でありますとか団体交渉でありますとかそういう場で取り上げられ、その結果が計画に盛り込まれることが望ましいというふうに考えております。  また、計画に雇用の安定に影響を及ぼす事項を含む場合には、都道府県知事の承認に当たりまして、職業安定機関と事前に十分連絡調整をいただき、雇用の安定に配慮された運営がなされるよう通産省と話し合っているところでございます。
  67. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の御答弁ではちょっと納得しがたいわけですね。二月の法律では、そういう形でいわゆる労働者の意見が反映される場というものがあるわけですけれども、ここではないわけですね。今の御答弁ではないわけですね。主管である労働省としては、そのことについて何か通産省に働きかけをするべきではないかというふうに思いますし、またこれは通産省の方に御意見を申し上げ、また御質問するわけですけれども、そういう場がないということであれば、この法律は二、三日前もらったわけですけれども法律としては働く人にとっては非常に後退した内容であるということで、納得しがたいというふうに考えるわけでありまして、そのことについての御見解を両方からお聞きをしたいと思います。
  68. 岩崎八男

    岩崎政府委員 新転換法、これはまさに転換というものを前提に置いた、それを促進する法律でございまして、そこで、転換に際しては当然に労務に関する事項があるであろうということで、労務に関する事項を計画の中に入れるという規定になっておるわけでございまして、労務に関する事項について計画を承認する、こういうことでございます。  今回は、私どもは、転換というものあるいは多角化というもの、これは現在の中小企業の置かれている立場からすれば、当然最終的にそういうことの実現ができなければ、なかなか長期的なその当事者の中小企業の経営安定はできないだろうと思いますけれども、そういう転換というものだけを志向するのでは、なかなか現実において今問題に逢着している中小企業者の安定は期しがたいということで、すべての対応、現在の環境に対する適応すべてを網羅するような、すべてを網羅するというのは、すべてがなければいけないということではなくて、どういう形でもいいから、何か私はこういうことをしたいということについて知事の計画承認を得ることによって支援をしよう、こういうことで、そういう何らかの対応というものを類型化した場合に、こういう新分野への進出あるいは人材養成、その他合理化に関する事業あるいは事業規模の適正化、その他新たな経済的環境に適応するための措置一般というような類型化を法律上しているわけでございまして、二月の新転換法における転換というものだけを一つの大きな目標にしたそういう対応の計画でなくてもいいというのがこれの真意でございます。したがって、そこにはいろんなことが出てくるであろうということでありますので、むしろこちらの方がより弾力的な計画でそういう支援をしたい、こういう趣旨でございます。  新転換法におきましても、労務に関する事項を計画として出すということが法律上規定されているだけでございますが、そういう意味では、ここにおいても、いろいろな適応措置の中に労務に影響する部分があれば、当然にその部分が事項として計画の中に入ってくる場合もあり得よう。それは先ほど労働省からの御説明にもございましたように、そういう計画の実現性というものは当然に当事者同士の合意がなければ期し得ませんので、実現性という面から、当然にそういう計画についても知事の承認に当たってチェックすることになると思います。
  69. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 ただいま中小企業庁長官からお答えがあったとおりでございますが、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法におきましては、事業転換が行われるわけで、そこには必ず雇用に何らかの影響を及ぼすということから、労務に関する事項を計画の中に盛り込むことを必須的なものとしているということだと理解しております。  本法案の適応措置に関しましては、適応措置の中には必ずしも雇用に影響を及ぼさないものもあるということから、包括的に適応措置に関することというような言葉で労務に関する事項も含まれていると理解しております。したがいまして、運用におきまして十分な措置がとれるように対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  70. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の答弁で、当然そういうものも含まれるという形でのものでありますが、残念ながら法律に入っていない形、行政指導という形でありますが、非常に問題だと思います。  そこで、私はいま一つ具体的に質問したいわけでありますが、そういう形で、この転換計画の実施に当たっては、例えば労働者の問題として、当該地域の地方労働委員会とか中労委の場合、まあ中労委はほとんどないと思いますが、地方労働委員会などに調停、あっせんその他がかかっている場合には、当然そういう形での認可にはならないと考えるわけでありますが、そのことについてお尋ねいたします。
  71. 小林惇

    小林(惇)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、都道府県知事において本計画の承認を行う場合に、政府として厳正に指導してまいりたいと考えております。
  72. 緒方克陽

    ○緒方委員 具体的に御質問申し上げましたように、例えば知事がそういうふうに認可するわけでありますが、労働委員会その他にかかっている場合は、そういうものに認可するということにならないのではないかという具体的な質問をいたしましたので、見解をお尋ねしているわけです。
  73. 小林惇

    小林(惇)政府委員 具体的には、知事部局におきまして、商工関係部局と労働関係部局と十分に調整を取り合って、現実に計画の承認については対応するものと理解しております。
  74. 緒方克陽

    ○緒方委員 いや、今の問題は、知事部局、労働部局ということでありますけれども、具体的に労働委員会にかかるということは大変な問題であるわけですよね。その場合でも、片一方では労働委員会にかかっていて認可されることになれば、労働者の意見の反映の場はまさしく今の答弁ではないということになるわけでありまして、このことはどうしても譲れない問題でありまして、具体的に、見解ですから、そういうことになるかならないか。ならないということであればこの法律に対する私ども考えも検討しなければなりませんので、そのことについてもう一回お尋ねいたします。
  75. 岩崎八男

    岩崎政府委員 これは知事が承認いたしますので、その知事の承認のときに、その計画が果たして実現性があるのかどうか、これは最大の判断基準でございます。したがって、そういう労働委員会等にかかっている事態においてその計画が実現性があるのかどうか、これは知事が十分責任を持って判断すべき問題だと思います。
  76. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういたしますと、判断権限は知事にあるということでありまして、今のような労働争議の具体的な一つの方法としてかかっていることも知事が判断されるということであれば、結局政府はどう考えるかということをしなければ知事自体判断できないわけですね。そういう意味での知事に指導される政府考え方を聞いているわけです。
  77. 岩崎八男

    岩崎政府委員 知事が承認されるときの運用通達等当然今後つくっていかなければいけないと思いますけれども、そのときに先生の御意見を十分含んでその通達等を考えたいと思います。
  78. 緒方克陽

    ○緒方委員 それでは、そういう御答弁がございましたので、指導通達の中で、具体的に労働委員会などにかかっている事案については認可をされないというような内容であるというお答えをいただきまして、そういうことで理解したいと思います。  電気料金の問題その他もあったのですが、時間がなくなりましたので最後にお尋ねしたいと思います。  これまた労働省にお尋ねしたいわけでありますが、労働者の再就職ということで非常に大きな問題になっておりますし、これからもまた円高その他、北洋問題も含めていろいろな問題が出てくるわけでありますが、私の住んでおります佐賀県の伊万里などというところは、昔は炭鉱地帯であったわけでありますけれども、炭鉱がなくなりまして、その後大変な状況だということで合板ベニヤあるいは造船などが進出してきたわけでありますけれども、その合板も大変な状況、造船もこれまた大変ということで、町は一体どうなるのかという大騒ぎの状況でありますが、そういうことに対して、政府は簡単に労働力の移動というようなことを言われているわけでございます。しかしながら、例えば今国鉄の問題で、御承知のようにいわゆる国鉄の広域異動というのは、宿舎も準備いたしますよ、職場ももちろんありますよ、あるいは子供の教育関係についても、高等学校などについても特別に教育委員会、教育庁など文部省の協力も得て一定の手だてがされております。全部はされておりませんけれども、特に教育なんかは。それでもなかなか行けないということは一体何なのかと言えば、結局そこに働く労働者がなかなか離れられないという事情があるからそういうことになっているのだろうと思いますし、また現実そうだと思います。  したがって、これからの考え方の問題でありますが、労働省はこの際これらの特定不況地域については、いわゆる緊急就労事業であるとか特定地域開発就労事業などというものが今もありまして、縮小の方向にありますけれども、このままではこういった特定不況地域はますます落ち込んで、人口も落ち込んで疲弊の一途をたどるということになるだろうと思います。したがって、労働省としては、もちろん通産省とも相談し政府全体の問題にしなければなりませんけれども、公的な就労事業というのを緊急に起こしていかないと問題は解決しないのじゃないかというような気がいたすわけでございまして、このことについて御見解をお願いしたいと思います。
  79. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  公的就労事業に失業者を吸収することにつきましては、従来の経験から見ましてかえって失業者を滞留させ、あるいは安定した雇用の場への再就職につながりにくいという問題もございました。また、こうした問題がありますことから、失業対策のあり方につきましての学識経験者による調査研究によりましても、今後の雇用失業対策は民間企業における雇用を基本とすべきであり、失業者を吸収するため国等が事業を起こすという方式はとるべきでないという御指摘もいただいているところでございまして、こうした措置をとることは適当でないと考えているところでございます。労働省といたしましては、民間企業に対する雇用の促進を図るため、雇用調整助成金制度や特定求職者雇用開発助成金制度を積極的に活用する等によりまして、離職者の早期再就職に全力を挙げてまいりたいと考えております。
  80. 緒方克陽

    ○緒方委員 今非常に不満な回答をいただいたわけでございますが、政府がそういう考えでおられれば、これからはそういった特定不況地域その他のところにおいては大変な問題が起きるであろう、そういう考え方については私ども理解しがたいということで、これからも政府の抜本的な雇用対策といいますか、そういうものを強く求めて、時間が参りましたのでこれで終わりたいと思います。  なお、あと幾つか質問するということで、関係省庁の方にお願いしておりましたが、時間が参りましたので、申しわけございませんが次回にさせていただきたいと思います。  終わります。
  81. 佐藤信二

    佐藤委員長 竹内勝彦君。
  82. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 最初に、今回の特定地域中小企業対策臨時措置法案、それから中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案、この二案に対し、今回この法案提出の背景でございますけれども先ほど来同僚議員から論議がございますとおり、中小企業は円高不況によって厳しい状況の中に置かれておるわけでございます。  そこで本年二月、本委員会におきまして特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、事業転換法の成立を見たわけでございます。しかし、そのときの状況よりも深刻かつ悲惨なものであることは御承知のとおりでございます。したがって、今回のこの法案を早急に成立させ、その対策を一日も早く行っていく必要に迫られておるわけです。そういう意味で、ぜひ早期実施ということを踏まえて、通産省といたしましてはこの実施時期というものを一体いつに考えておるのか。また、この法案を出してきた背景を踏まえて、この法案の特質は何なのか。今までいろいろな対策を打ってきておりますけれども円高不況で苦しんでおる中小企業をこういった面で救っていくことができるのだ、こういう特質を同時に述べていただきたいと思います。
  83. 岩崎八男

    岩崎政府委員 確かに先生御指摘のとおり、現在非常に広範な中小企業が非常に厳しい状況にございますので、私どもとしてもできるだけ早く追加的な施策を展開したいということで、政府部内において努力してまいりました。補正予算全体の中でようやくこの中小企業対策も具体化できましたものですから、補正予算の政府提案と同時に本法案の御提案を申し上げた次第でございます。したがいまして、私どもとしてはできるだけ早くこれを実施に移したいと考えておりまして、特に十二月という金融繁忙期、さらにまた、この対策の裏づけとなります自治体におけるいろいろな対応を十二月県会においてやっていただかなければいけないというような状況考えますときに、できるだけ早く、でき得れば今月中にでも地域指定という運びに持っていきたいということで、本法案を成立させていただきますと同時に、そのような正式な対応をしたいと思っておるところでございます。  本法案の特徴と申しますのは、私どもとしては、この円高の問題発生以来、御指摘にありましたように、二月にいわゆる新転換法をつくったり、あるいは四月、五月末と追加的ないろいろな円高対策を打ってまいりました。そういうことの中で、今回の円高の影響の一つの特徴として、非常に集中的に影響を受けている地域がある。そういう地域は、その主体をなす中小企業が疲弊することは即将来その地域経済全体の疲弊につながるおそれがあるような状況にある、そういう判断に基づきまして、従来の業種別対策あるいは規模別対策、そういうもののほかに、地域に着目した中小企業の総合対策が必要ではないかということで御提案申し上げるというところが一つの特徴かと思っておる次第でございます。
  84. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 できれば今月中にでもということでございます。そうしますと、これはもうだれしも早急にこの臨時措置法を成立させてその手当をしていただきたいということが願いでございますけれども、手順といたしまして当然もうなされていると思います。そうでないと、そんな簡単にいきません。どういう手順で、そしてまた大体何カ所くらい考えておるのか。聞くところによると四十カ所、そういうことでございますが、果たしてそんなもので足りるのかどうなのか、もっとふやす考えがあるのか、そういった面を踏まえて、手順と数とを御答弁いただければありがたいと思います。
  85. 岩崎八男

    岩崎政府委員 地域指定は、この法律の規定にございますように、特定事業所の依存度の高い地域で、影響が非常に著しく出ている地域というようなことでございまして、現在私ども事務的には、全国の各市町村ごとのそういった特定業種への依存度、あるいはそこにおける現在の影響の度合い、あるいは雇用状況等についての指標を自治体の協力を得まして集めているところでございます。  本法案が成立いたしますと、正式にそういう指標に基づいてある具体的な基準を決め、その基準に適合する地域がどういうところになるかということにつきまして、現場を最も知悉しております各自治体等といろいろ協議しながら、その地域の確定に持っていきたいというふうに思っております。したがいまして、現在どの程度の、あるいはどういうところが指定されるかということについては基本的には白紙であり、まだ不確定でありますけれども、いろいろな施策の厚みというようなことを考えますと、余り多く指定いたしましてもなかなか効果が上がらないという面もございます。そういう面から、予算的にはおおよそ一応のめどとしては四十地域ぐらいかなということを想定しておりますけれども、そういう前後のところで、今後そういう指標、その基準、各自治体の御意見等を踏まえながら確定していきたいというふうに思っている次第でございます。
  86. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこで、ことし二月でございますが、この特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法、新転換法ですね、この施行時の為替相場をどの程度に考えておったのか。いろいろ中小企業庁の調査もございます。「円高輸出型産地中小企業への影響について」これを何回も調査しておりますけれども、一月二十七日に発表したここにおきましても、例えば「今後の見通し」というところで、二百円で推移した場合及び百九十円で推移した場合等々、輸出向け新規成約額あるいは経常利益等の問題に関して調査結果も出ておりますけれども、そうすると、本年二月、この新転換法を成立させ実施さしたときには、これは二百円から百九十円、こういうような想定であったのかなとうかがうわけでございますけれども、それでいきますと、その時点でも円高は進みましたわけですね。それから急速に円高推移していった。こういうことから考えますと、どうやらこれは、この前の新転換法をつくったときの通産省としての見通しが甘かったのではないか、こう考えますが、どんな御見解ですか。
  87. 岩崎八男

    岩崎政府委員 今年二月新転換法をつくりましたときに、必ずしもその法律がある一定の為替レートと一義的につながる、そういう仕組みのものではないと思いますけれども、当時は確かに百八十円前後であったかと思います。その後、御承知のとおり円高は一層急速な進展を見せまして、その中で、私どもとしても四月八日、五月三十日、そして今回の九月十九日、そういう一層の進展という現実の中で、中小企業対策についてもさらに一層の拡充、延長をしてきているところでございます。
  88. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大蔵省に来ていただいていると思いますが、お伺いいたします。  このたび日銀総裁からも発表がございましたとおり、四度目の公定歩合の引き下げが行われましたね。三%、戦後最低であると伺っております。ことし九月の宮澤・ベーカー財務長官の為替相場安定の合意による内需拡大策等諸対策が評価され、急速な円高の進行が薄らいだと報道がございました。また、先ほど通産大臣答弁いただきました、この三十一日の宮澤・ベーカー長官の共同声明で、一ドル百六十円、それ以上高くなることは有害であり、円高は天井を打ったと声明を受けとめている、ただし大蔵省と通産省との立場感覚は違う、通産省の場合は現場でございますからということ、おっしゃるとおりでございます。幾らが妥当か、乱高下、非常に問題がございます。しかし、高値安定となりますと、この二月においての通産省としての一応の見通しとしましても二百円あるいは百九十円、こういうようなものも想定しております。このまま高値安定というようなことになってしまっては、この臨時措置法、緊急避難という意味も含まれております、したがって臨時措置法、それではこれはもう手の打ちようがないという形になってしまうわけでございますので、ここで大蔵省にお伺いしますけれども、大体幾らで安定させようと考えておるのか明らかにさせていただきたい。
  89. 井坂武彦

    井坂説明員 お答えいたします。  先ほども御答弁を申し上げましたが、昨年の九月のG5、いわゆるプラザ合意のときには、そのときのドルレートは高過ぎる、経済のファンダメンタルズと申しておりますけれども、それと乖離をしている、是正する必要があるという共通認識がございまして、それ以来約一年、ドルは大幅に下落をしたわけでございますが、今回の合意は、今や円との関係ではドル経済ファンダメンタルズにおおむね合致する、特定水準を念頭に置いておるわけではございませんけれども、少なくともこれ以上の円高は望ましくない、これ以上の円高というのは我が国の安定成長に好ましくないというようなことで合意をされたわけでございます。  どの水準が適当かということにつきましては、為替市場は相場を形成するに当たりましていろんな要因が複雑に絡まっておりますので、特定水準について申し上げることはできないのでございますけれども、今回のこういった合意を受けまして、私どもといたしましても、先ほど通産大臣から御答弁していただきましたように、先行きの円高感というのが払拭されるという意味では非常に意義のある合意であったのじゃないかというふうに考える次第でございます。
  90. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 じゃ通産大臣にお伺いしておきますが、先ほども見解を述べられましたけれども、宮澤蔵相が昨日も予算委員会でも述べておりますが、為替相場の安定に関する日米蔵相合意について、現在の円相場ファンダメンタルズを反映しているとの認識で一致した。そして、これにより為替相場は市場に任せてもよいと考えていい、こう述べた。また、ただ相場の乱高下に際し介入するのは東京サミットでも認められている。今回の合意でも、市場の諸問題について協力すると言っている点を留意してもらいたい。こうして、乱高下する場合、日米両国の協調介入があり得るとの考えを示唆しておりますね。  そこで大臣にお伺いしたい点は、これまでの変動相場とはこれは構造的に異なるように私は考えます。そこで、五十三年の十月のときにも急激な円高がございましたね。しかし、これはまたすぐに戻しております。そういうものを含めますと、今回のこの臨時措置法、この緊急避難、これで果たしてこの円高不況に苦しんでおる中小企業を救うことができるのか、これだけの大変な状況というものを食いとめることができるのか、あるいはまた大臣として何らかの今後の方策というものを考えておるのか、御見解をお伺いしておきたいと思います。     〔委員長退席、与謝野委員長代理着席
  91. 田村元

    田村国務大臣 昨日大蔵大臣が申しましたとおりでございますけれども、今のこの為替レート、いわゆる為替のあり方というものは、ある意味においては、円にとって上限を固定した変動相場制であるというふうに考えてもいいのではなかろうか。両国が、ドルと円の関係を、これ以上の円高ドル安は望ましくないということで、先行きの円高を否定したわけでございますから、上限を固定した変動相場制。ですからその意味でもうぼつぼついわゆる市場の自由なるフロートに任せてもいいのではなかろうか、しかしそれが乱高下を始めたときには協調介入もあり得る、そのようなことを言ったと私は思うのでございますけれども、この為替相場というのはいろいろな政策によって変動をいたしましょう。例えば内需の拡大ということによって微妙な影響を与えましょう。また、中長期的にはそれなりの対策、極端なことを申しますれば構造改善の中でも、海外に対する直接投資、とりわけ貿易インバランスによる黒字を累積債務途上国に還流するというようなドル減らし、そういうものが仮に進んだとすればやはり大きな影響があるだろうと私は思います。     〔与謝野委員長代理退席、臼井委員長代理着席〕 でございますから、どこがいいとかどこが悪いとかということを今私どもは軽々に言えませんけれども、ただ結論として言えることは、中小企業にとって、今後の対策もさることながら、今が一番苦しいんだという認識を我々は持たなければならない。でございますから、あらゆる方策を猛スピードでとにかく打っていく、そして打っていきながらあすの方策を模索していくというふうに行政というものはあらねばならぬ、このように考えておる次第でございます。
  92. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 通産省が「二十一世紀産業社会の基本構想」、これは五月二十六日の産業構造審議会報告のこの構想の要点を発表しておりますね。最近の対外不均衡拡大をもたらした大きな一要因の一つは、日本の産業構造の特質であるとされておる。輸出入の所得弾性値の差が拡大していることに対して、解決の方法は国際協調的な経済の実現を図っていくことであるとされております。具体的にはどのようなことを二十一世紀に向けて課題としておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  93. 田村元

    田村国務大臣 我々は、二十一世紀に向けて国際協調型の産業構造に改善しつつ国際分業の一翼を担っていく、そういう日本の経済、産業のあり方にしていこうというわけであります。輸出輸入のバランスのとれた、そうして対外直接投資も日本なりに十分にしていく、このようにして国際協調型にしていこう。  ただ、これには大変痛みが伴うことは事実でございます。雇用問題あるいは対外投資による空洞化対策、いろいろな問題が起こります。でございますから、そういう点では私どもは、通産省だけでこれをなし遂げることができるとは思っておりません。当然労働省の強力な応援をお願いしなければならぬでしょう。また我々自体雇用政策を立てていかなければならぬでしょう。また空洞化に対しても、新しい未来産業を興し、あるいはサービス分野等にも意を用いて、そして吸収をしていかなければならぬし、新しい技術を興してその方面に吸収をしていかなければならぬ、このように考えております。そのようにして貿易等におきましても、あるいはまた国内の産業、これも高目の成長を目指してバランスをとっていかなければなりませんけれども、このようにして我々は、もちろん完全なものができるかどうか、それは将来の人が判断することでありましょうけれども、我々なりに理想に近づけていきたいと考えております。
  94. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今、空洞化に関しても御答弁がございましたが、経企庁にお伺いしておきます。  経企庁は、海外直接投資の増加、こういったことに伴う国内雇用の減少、いわゆる雇用の空洞化が深刻な問題にはならないとの判断を固めた、このように報道がございますけれども、この海外直接投資が最近の状況の中で増加傾向にございますが、経企庁として、いわゆる産業の空洞化について特に雇用に及ぼす影響というものをどう判断しておるのか、また中長期的な展望で国内雇用がどのぐらい減るという見通しを持っておるのか、そういった面も含めて経企庁にお伺いしておきたいと思います。
  95. 冨金原俊二

    ○冨金原政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のお手持ちの新聞記事からの御質問かと思いますが、若干記事の報道の仕方について誤解があろうかと思います。私どもは、空洞化を全く懸念してないということではございませんで、一定の仮定を置いて計算した場合の数字を試算したことはございますが、それに対して新聞で伝えられるような形の判断をしたということではございません。御指摘のように、現在円高の中でかなり急速な海外投資が出ておりまして、その結果として雇用にいろいろな影響が出てくるということでございまして、私どもとしてはその問題を注意深く見守っている段階でございます。  ただ、一方で御承知のとおり対外収支の大幅な不均衡がございますので、そういった問題を是正するということは大変必要なことでございます。海外投資が、海外に対して技術移転を行い、あるいは資本を輸出することによってそういった国々の成長にも寄与するという面もございますので、そういったプラスの面も評価すべきであろうと考えておるわけでございます。  雇用に及ぼす影響につきまして一定の前堤を置いて計算しているわけでございますが、今後海外投資がどれぐらいのスピードで伸びていくかということについて、過去数年間の伸び、一四、五%かと思いますけれども、そういったものを頭に置きながら今後どれぐらい伸びていくかという試算を一方でいたしますが、同時に、国内から海外に輸出をしております比率が今後どういうふうになっていくかということによってまた数字も変わってくるわけでございます。仮に輸出比率が五割程度、つまりこれまで輸出しておりましたものの半分ぐらいが海外で生産されるということになるといたしますと、二〇〇〇年までの間に、私ども一つの試算では、二〇〇〇年の時点では全体として八十万人くらい雇用の機会が減るのかなという計算を一応しております。もちろん、今後海外投資のスピードがどうなるか、あるいは輸出がどういうふうに転換していくかによりまして変わってくるものでございますので、一つの参考として計算をしたものでございます。  それに対しまして、中長期的に見て日本の雇用情勢がどうなるかという問題は、国内の成長に依存する面が多うございます。私どもとしても、我が国の持っております力をできるだけ発揮して成長を進めていくということで考えました場合に、それによる雇用機会の増加というものはかなり期待できる。私どもの試算では、二〇〇〇年までに就業者が大体八百万人くらい増加するかと考えておりますけれども、できるだけ成長を図るという前提のもとでは、全体としてはそういった就業者の増加を十分吸収していくのではないかというふうに考えておりまして、そういう意味では成長を続けていくということが大事である。  同時に、国内的に見ましてミスマッチの問題は当然出てまいります。業種別に見てもそうでございますし、同時に地域別にも、あるいは年齢構成別にも差が出てまいります。そういった問題については、今後も積極的に十分な対応を続けていく必要があるという認識を持っておるわけでございます。
  96. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 特定業種関連地域中小企業対策臨時措置法、いわゆる企業城下町法に基づいて指定業種に入っておる造船工場、こういったものを抱えております、私は京都でございますが、京都にある舞鶴市が指定地域に入っております。この舞鶴にある日立造船の舞鶴西工場など三カ所が生産中止になる、こういう発表も十月二十一日いたしましたね。舞鶴市のこの地域最大の雇用規模を有する日立造船の舞鶴工場は不況の度を強めております。最近では円高要因もあり、受注の見通しが立たない、極めて深刻な状況にあるわけでございます。関連下請企業を含め、大幅な合理化も懸念されておるわけでございます。昭和五十三年、五十八年に舞鶴市は企業城下町法に基づき特定不況地域として指定されておりますけれども、今回の新法、すなわち特定地域中小企業対策臨時措置法の対象となり得ると思いますけれども、その辺の御見解はどうなっておるでございましょうか。通産省、お伺いしておきたいと思います。
  97. 小林惇

    小林(惇)政府委員 舞鶴市における日立造船の工業出荷額に占める割合というものは極めて高いということを我々十分京都府等から伺っております。ただ、日立造船の数年も、六十年度までのデータだけでは五十九年度と比べまして若干伸びておるというような状況がございまして、その後先生御指摘のように大変悪化しておる、こういう状況であるというふうに理解しております。  地域の指定の問題につきましては、先ほども長官から御答弁申し上げておりますように、具体的にどの地域を指定するかということについては、現在業種所管省庁、例えば造船については運輸省からも実情をいろいろ伺っておるという状況でございます。
  98. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今御答弁ございました、京都府よりも要望が出ておる、どんな要望が出ておりますか。
  99. 小林惇

    小林(惇)政府委員 京都府下の市町村についての工業出荷額、その推移、それから雇用情勢に関するデータ等でございます。     〔臼井委員長代理退席委員長着席
  100. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 まず舞鶴の実態でございますけれども、京都府北部の中核都市として、地域経済を支える基幹産業である造船のみではございません、化学肥料、合板業界、こういったものが第一次石油危機後構造的な苦境に陥ったのは御承知のとおりでございます。中でも地域最大の雇用規模を有する造船業、日立造船舞鶴工場がございます。不況の度を強めておる、こういう状況です。  そこで、この実態でございますが、私が調べた中にも、若干時間がかかりますが説明させていただきます。  まず造船業に関しては、船舶依存体質の強い日立造船の受注の減少、船価の下落等から業績が悪化している。危機的な状況に直面したために、六十年十二月、従業員五千人の削減を柱とする合理化計画を実施したわけです、これはもう御承知のとおりでございますが。そして、この舞鶴工場では従業員千七百人中二百五十八人が離職し、百六十人が関連会社へ出向することとなって、舞鶴市経済の停滞と雇用不安を招いたわけですね。その後さらに円高の影響も加わり、一段と不況色を強め、手持ち工事量も減少の一途をたどる中で、受注済みのインド商船二隻が円高による船価上昇のために船主より建造中止の通告を受けた。これも報道されておりますので御承知かと思います。工事半ばにして中断のやむなきに至ったわけですね。このため、船殻部門を中心とする余剰の従業員は九月二十四日より職種転換教育を受講することで急場をしのいでいるものの、このインド船の工事再開や新規受注は極めて難しい状況にございます。  新聞に発表になったときもそうでございましたけれども、十月二十一日には、労働組合に対し、造船部門従業員の三千人削減と工場の一部売却を柱とする第二次合理化計画が提示されている、こういう実態ですね。こういう状況にかんがみ、造船下請企業といったものはもう全体的に仕事量が減少しておるわけです。本年の一月ですが、日立造船に追随して合理化を実施し、下請企業関係が合理化、減量化を図ってまいりました。特に、インド船の工事中断によって溶接工事等船殻部門の工事は激減しており、この傾向というものは年末にかけて一段と厳しくなっておるものでございます。このため、各企業においては日立造船以外からの受注に懸命の努力を重ねているが、技術内容もあって受注は容易ではございません。この状況が長期化すれば最悪の事態を招くというようにその要望が出ておりますね。  それから、先ほど申し上げましたように造船のみではございません。舞鶴は中核都市として重要な産業を抱えておるわけでございます。その問題に関して若干触れておきたいと思います。  まず窯業でございますが、これも日本の自動車生産の約五〇%が輸出向けであるために、大幅な円高によって輸出の減少は避けられない、そういうことで既に自動車産業、とりわけ部品メーカーに不況の兆しが顕著になっておる。そういうようなことから、この窯業に関しても従来のような増産は期待できずに、生産量の減少が必至である、こういう報告がなされております。  それから同じく化学肥料、通産大臣、ちょっとよく聞いていてくださいね。この化学肥料関係に関しても、これも業界の構造的な不況と減反政策による需要の低迷、外国製品の攻勢等によって生産調整を余儀なくされ、国の雇用調整助成金を受けての教育訓練を実施するなど、急場をしのいでおります。業績は一段と悪化したために、昨年以来人員削減を中心とした合理化計画が進められております。  同じく木材・合板業界、これも木材需要の長期低迷によって昭和五十五年以降廃業、倒産に追い込まれておるものが多くございます。従業員三百二十人が離職しました。その後も需要の低迷が続き、製品価格の下落も加わって厳しい経営を余儀なくされておる、こういう実態でございます。  それから御承知のとおり日本海にある舞鶴でございますから、水産加工業が重要な地位を占めております。この舞鶴市の地場産業である水産加工業、こういったものに関しても、六十年末以来の日米、日ソの漁業交渉の難航に伴って米ソ二百海里内の水域での操業が不可能となったことから、水産会社の漁獲量が大幅に減少しております。スケソウすり身の入手難と仕入れ価格の上昇、こういったものが伴いまして大幅なコストアップを強いる結果となっており、経営の合理化等が厳しい状況である。こういう実態が京都の中にある舞鶴の状況でございます。  大臣、そこでお伺いしておきたいのですが、大体指定地域として四十地域ぐらいということでございますけれども、今もう今月中にも実施したいという意欲的な発言がありながら、この実態を今私が御説明申し上げましたが、これこそこの新法に対してぜひ指定をしていくに十分な条件がかなっておるやに私は考えるわけでございますけれども、こういった面を考慮する考えはないか。通産大臣、私の今の説明を聞いて、そんなもの大したことないんだと考えるのかどうなのか、御見解をお伺いしておきたいと思います。
  101. 岩崎八男

    岩崎政府委員 通産大臣が御判断になる前に、私、今のお話を伺いまして、造船業は全国的に非常に厳しい状況にあることは私ども承知しております。また、舞鶴はそのほか今御指摘のように窯業あるいは合板等もございまして、新聞報道によりますと、日立造船はさらに船台一台を廃棄するというような報道も承知いたしております。京都府の方からも種々の指標をいただいております。  ただ、舞鶴市が、では全国のいろいろな地域の苦境の中でどういう地位にあるかということにつきましては、私どもやはり全国のいろんなそういう地域の指標等も見まして、各自治体等とも御相談し、あるいは各所管省とも御相談しながら、今後確定していきたいというふうに思っております。
  102. 田村元

    田村国務大臣 法律が成立する前に政令事項の内容まで明確にお答えすることは差し控えるのが当然と思いますが、中小企業庁長官を初め、今の御意見を十分に承ったものというふうに思います。
  103. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一度くどいようですがお伺いしておきます。今回の新法による地域指定は、まず明確な基準になるものというものは一体何ですか、どんな判断でその明確な基準を置いておるのか。  それから、四十地域ぐらいと考えておるようですが、その線引きは非常に難しいと思います。その辺の厳しさはないのか、何しろ急を要すものでございますので、そういった面の御見解、あわせて御答弁ください。
  104. 小林惇

    小林(惇)政府委員 地域指定の基準につきましては、基本的にはその地域において最近の円高等の事情によって影響を受けている業種に対する依存度、先生がさっき御指摘になりました例えば造船業といったものでございますけれども、そういうものに対する依存度、それからそれら事業所の生産等の規模がどういう推移をたどっているかということ、それから地域雇用状況、こういった点が基本になるというふうに考えてございます。  それから、全国的に非常に疲弊している地域が多い中で、線引きといいますか、地域の指定というものをやっていくことについて不都合はないかということでございますけれども、基本的には今御答弁申し上げましたような諸データをもとにいたしまして、十分地域の実情を伺いまして指定の原案をつくってまいりたいというふうに考えてございます。
  105. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 大臣の所信にもございますが、「内需拡大策の内容につきましては、補正予算の編成とあわせ今後具体的な検討を行ってまいることといたしております。」と述べて所信を明らかにしておりますけれども、この内需拡大策といった面でどういうような具体的なものがあるのか、それからいつごろ明確にするのか、御答弁をお願いしたいと思います。
  106. 杉山弘

    ○杉山政府委員 お尋ねの件は、去る九月十九日に発表されました総合経済対策に関連をして大臣が所信表明で申し上げたことについてだと思いますが、この総合経済対策の中で具体的に盛られました事項を、さらにより具体化するということでいろいろとやっていかなければならない問題があるわけでございます。  例えば、例を挙げて申し上げますと、一つは民活事業に対しまして補助金の交付ということが決められたわけでございますが、これにつきましては、御案内のとおり、今回御提案いたしております補正予算で三十三億円の予算を計上いたしております。これは六十一年度及び六十二年度に着工される事業に対してということになっておりますので、私どもといたしましては、できるだけ六十一年度内に着工できる民活事業の数をふやしたい、こういうことでございまして、都道府県等をしまして前倒し要請もいたしております。また、電気事業、ガス事業の設備投資の追加及び前倒しということも対策の中で決めておりますが、その具体化ということにつきましては電力会社及びガス会社と具体的な詰めもやっております。  また、円高差益還元問題につきましては、大臣が百貨店及びチェーンストア業界の首脳を招致されまして、円高差益還元についての協力要請をされましたが、それにこたえて百六社ほどの主要百貨店、主要スーパーから第二次の円高活用プランというのが十月末をもって提出をされました。こういったことにつきましては、つい先ごろこれもまたまとめて新聞発表などもいたしておりますが、総合経済対策の中に盛られました内需拡大対策につきましては、対策決定後その具体化のために私ども関係業界と連絡をとりながら内容の詰めを急いでいるところでございます。  また公共事業の配分につきましては、先ほど来御議論の対象になっておりますような不況地域を対象にその弾力的な配分をお願いをしたいということで、これについては所管の建設省に対して具体的な地域名等を挙げて協力の要請等もいたしておるところでございまして、こういったようなことを今回だけということではなくてこれからもぜひきめ細かく続けてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  107. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 本年二月に出された特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法ですね、この新転換法、これが施行され今日に至っておるわけでございますが、構造的な最近の経済変化、特に中小企業をめぐる情勢は非常に厳しくなっております。そういう構造的変化の中で一番大きな変化が貿易構造の変化であるのです。そういう中で、この貿易摩擦の解消策としてアクションプログラム等によって製品輸入拡大を図っていく、また最近の円高の急激な変動によって二重にダメージを受けている業種に繊維関係が入っておりますね。京都におきましても、西陣であるとか丹後ちりめんであるとかいろいろ繊維関係においての不況、大変な状況でございます。そういう中で事業転換ということはそう簡単にできるものではないわけですね。したがいまして、この特定中小企業者事業転換対策のこの新転換法、それに対して現在まで繊維関係業種がどのぐらい転換したのか、転換件数、内訳を御説明いただきたいと思います。
  108. 小林惇

    小林(惇)政府委員 新転換法の関係で、繊維関係業種で現在までのところ十四件転換計画の承認実績がございます。これは全体の約四分の一に当たってございます。
  109. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 その転換した業種はどのような業種に転換したのですか。
  110. 小林惇

    小林(惇)政府委員 製造業に転換をしましたものと、それから例えば不動産賃貸業といった広い意味でのサービス業あるいは小売関係に転換したものとに二分されるという状況でございます。
  111. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 例えば京都市を例にとって考えます。さきの新転換法によって認定件数は、第九条の第一号、第二号の認定でありますが、六十一年四月二十八日から六十一年十月二十八日までの間で全体で百十四件の受け付けで約九十件が認定を受け、そのうち繊維、衣服その他の繊維製造業の認定件数は約四十件であるということでございます。ところが同じ京都市内の繊維関係の倒産件数、よく知っておいてください、御承知かと思いますが、六十年は八十八件、ことしに入ってから八月までで六十八件もございます。ことしに入って円高に対する緊急経営安定融資の対象として四十件が承認を受けたのでございますが、四十件に対して、ことしに入ってから既に六十八件も八月までで倒産をしているのでございます。  そこで現場の声を調べてみますと、繊維関係業種から相談があっても、その団体、組合に所属していない事業者の場合、不況の証明ができずに対象外となったり、あるいはまた融資を受けるのに手続的に向こう三カ年の経営計画を出すというのも、非常に新しい分野であればあるほど計画の見通しが立たないということが現状です。したがって、政府考えているより、現場では緊急であるにもかかわらず実情は厳しいということを御認識いただきたいわけでございます。  そういう中で、今回のこの新法、この特定地域中小企業対策臨時措置法においては、こういった倒産件数が認定件数よりもはるかに上回っているという点など、そういった状況というものを十分認識した上でひとつ速やかに認定、指定ができるような体制をとっていただきたいと思いますので、もう一度その御決意のほどをお伺いしておきたいと思います。
  112. 岩崎八男

    岩崎政府委員 この転換の難しさというのは私どもも十分よく承知しておりまして、したがいまして今回の新転換法に基づく転換の認定というのも、その後できるだけ弾力化するようにということで、例えばこれまで輸出の市場に向けていたものを国内に向けるという内需転換も転換であるとか、あるいはいろいろ実質的なデザインの変更をしたものをつくるというようなのも転換であるというようなことで、できるだけ弾力的に運用するように各自治体へ指導しているところでございます。今回もそういう意味では、最終的にはもちろん新しい活路を開くべく努力してもらいたいところでありますけれども、そういうところにいくまでの間のできるだけ弾力的な運用というものを心がけたいと思っております。
  113. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 そこでお伺いしておきたいのですが、新転換法とこのたびの新法、それからいわゆる企業城下町法、この三つがございますね。今回これが成立いたしますと、その三法、これによる対象と今度の新法の対象、この関係性、これはどういうふうになるのか。  それから、今回のこの新法による指定地域から外した業種地域、こういった地域へはどのような対策をするのか、こういった業種にはどのような対策をしていくのか、その点もあわせてお伺いしておきたいと思います。
  114. 岩崎八男

    岩崎政府委員 今回の特定地域中小企業対策臨時措置法が成立いたしますと、いわゆる旧企業城下町法は廃止になります。今回のこの特定地域対策法は、従来の企業城下町法あるいは七月に失効いたしました産地法、こういう法律の流れをくむ中小企業対策としては、地域に着目した法制ということになるかと思います。二月に成立いたしました新転換法は、円高等によって著しい影響を受けている業種に着目いたしまして、現在までにたしか二百余業種を指定しておると思いますけれども、そういう業種の新しい転換先への転換促進ということを目的にした支援策でございます。  中小企業対策は、先生御承知のとおりいろいろな視点からやられております。そういう地域に着目したものもございますし、業種に着目したものもございます。さらにまた、今回の円高で特に下請代金支払遅延等防止法、こういう下請企業いじめというものに対する厳正な監視というようなことも私ども心がけております。さらにまた、いろいろな中小企業の指導面、これも今年度予算において、その運用においてできるだけそういった現在非常に困難に逢着しております中小企業者の多角化転換、そういうものの指導というものに重点を置くように、傾斜的な配置を今しているところでございます。  そういう全体の中小企業施策を総動員しまして、現在のこの厳しい環境に対処してまいりたい。今回の地域立法は、そういう全体の支援策、施策の中の地域という面に着目した一つの分野であるというふうに考えておる次第でございます。
  115. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 今回のこの新法、特定地域中小企業対策臨時措置法の予算規模はどうなっておりますか、御説明いただきたいと思います。
  116. 岩崎八男

    岩崎政府委員 九月十九日の総合経済対策で、私どもとしては一兆円の中小企業対策というものを閣議決定をいたしました。ただ、これはいろいろな分野、例えば融資規模であるとか保証規模であるとか、そういうものを単純に合計いたしましたときに一兆円になるということでございます。  その低利融資のためには、当然に政府系金融機関に赤字部分の補給等をいたさねばなりません。あるいは保証の拡充のためにも、その保証機関に対する裏づけが必要でございます。そういう意味で、一兆円の対策規模の裏づけとして、今回の補正予算の中で六十一年度中小企業対策の補正予算として計上しておりますものは二百三十四億円でございます。さらにまた、そのほかに中小企業事業団等の資金を捻出いたしまして、今回の対策における国費としては一応五百億円超を予定をしております。
  117. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 公取、来ていただいておると思います。お伺いいたします。  本年四月八日に決定した総合経済対策、これが実施されておりますけれども、「中小企業対策等の推進」の中で、「親企業の下請中小企業に対する円高の影響の不当な転嫁を防止するため、下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用を図る」ため「下請企業振興協会を通じた下請取引の機動的なあっせんに努める。」また「下請等中小企業に係る相談受付・指導を充実する」等々ございますが、実施の状況はどうなっておりますか。
  118. 鈴木満

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  公正取引委員会は、昨年秋以降の急激、大幅な円高が下請中小企業に及ぼしておる影響を把握するために、この三月下旬から四月中旬にかけまして、約三万社の下請事業者に対しまして、円高がこういった下請事業者にどのような影響を及ぼしているかを調査いたしました。  二割方の下請事業者が円高の影響を受けておるということでございましたが、とりわけ輸出関連向けに部品を供給しておる下請事業者は半数近くが円高の影響を受けておるということでございまして、今先生御指摘ございましたように、この四月の経済対策閣僚会議あるいは九月十九日の経済対策閣僚会議で決定されました総合経済対策に基づいて、公正取引委員会といたしましては今のような調査をいたしますとともに、通産省と共同しまして、十月十七日に約六千二百社の親事業者それから二百八十八の親事業者団体に対しまして、最近の急激な円高の進展等に伴って親企業の下請企業に対する下請代金の減額等の下請法違反行為が増加するおそれがあるので、このような行為の防止に努めるよう要請をしたところでございます。  また、下請法の厳正な運用を図っておるところでございまして、下請事業者の申し立ての有無にかかわらず、下請法上の書面調査の結果、違反被疑行為が認められました場合には違反事件として調査を実施しまして、違反行為が確認できた場合には、例えば下請代金の減額分の下請事業者への返還を指導するなど、下請事業者がこうむった不利益の回復措置をとっておるところでございます。  こうした調査によりまして、約千五百社の親事業者に、現在違反事件として調査をし、指導をしておるところでございます。
  119. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 もう一点、通産省にお伺いして、もう時間でございますので終わりたいと思います。  岐阜県の多治見においてもそうでございますが、陶磁器の城下町として八百年の歴史があるわけです。全産業の七〇%が陶器、食器、モザイクタイル、美濃焼で有名なこの中小九百八十社が生産に従事し、そのうち六〇%がアメリカ向けの輸出をしております。それが六十年十月から六十一年八月まで、陶磁器八百四十七事業所で二百五十三人の解雇、モザイクタイルの関係では百四十カ所で六十六人の解雇となっております。また愛知県の瀬戸市、千年の歴史を誇る陶磁器の城下町、瀬戸焼の本場でもございます。ここでは全事業所百六十五カ所で解雇者は四十五人、残業規制が六十四事業所となっております。ここでもレートの安定化を望んでおります。  陶磁器、モザイクタイルの業界の平均受注は大変厳しく、倒産多発の事態が起きております。昨年九月のG5以降の急激な円高によるそういう状況で、その前の段階であっても韓国や台湾の同業者との競争にぎりぎりで対抗できておったのでございますけれども、このような円高になってきた、こういう中での打撃というものは非常に大きいわけです。我が国は戦後の経済の振興を図るために輸出振興策をとってきたわけでございますけれども、国内へ向けての市場開拓は急激には対応できません。したがって、こういったところは急速な事業転換は極めて困難である。  事業所が訴えているのは、緊急経営安定資金の通常借りられる二、三千万では足りない、つなぎ資金などを考えると一億から二億という融資を希望しておるわけでございます。しかも、それも超低利子で長期の借り入れでなければ返済は厳しい。また担保においても無担保、無保証を希望しておりますけれども、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫から融資を受けるのに担保や保証人が必要となるわけです。したがいまして、この不況地域の企業にだれしも保証人になってもらえるというような状況ではないということから、不況地域の融資条件の緩和、それからもう一つは、今回三・九五%といったものが出てきておりますけれども、思い切って二%台の超低利子、そういったものも必要ではないかと考えますが、通産省としての御見解をお伺いしておきたいと思います。
  120. 岩崎八男

    岩崎政府委員 先生御承知のとおり、中小公庫を例にとりますと、一般貸し付けの枠が運転資金で一億四千万円となっております。そのほかに今回の国際経済の特別貸し付け枠が六千万円でございますので、一応二億までは借りられるということになるわけでございますけれども、現実にどの程度借りているかということになりますと、数百万円、あるいはこの貸付限度枠ぎりぎりまで借りている、いろいろな広がりを持っているというふうに承知しております。どの程度貸すかというのは、ある程度現場の金融判断の問題もございましょうし、この六千万円の別枠を当面御活用いただきたいと思う次第であります。  そのほかに、今回の地域対策におきましては、今先生もお触れになりましたけれども、三・九五%という超低利の特別の融資枠を追加的にこれに用意をしている、これは運転資金においては五年、設備資金においては七年というようなことで運用していきたいと思っている次第でございます。三・九五%がなお高いという御意見はございましょうけれども、現在の金融常識あるいは金利体系の中でいいますと、極めて超低利の水準ではないかというふうに思っている次第でございます。
  121. 竹内勝彦

    ○竹内(勝)委員 終わります。
  122. 佐藤信二

    佐藤委員長 青山丘君。
  123. 青山丘

    ○青山委員 もう重ね重ね質問が続いているのですけれども、昨年秋以降のあの急激かつ大幅な円高によって、国内の産業はさまざまな困難に実は直面しております。中小企業は特に円高直撃のために大変苦しい状況であることは御承知いただいておるし、そのことによって輸出産地あるいは構造的に不況業種を抱えている地域、こうした特定地域は大変厳しい危機的な状況だと言ってもいいと思うのです。そういう状況の中で今回の法律案が出てきた。時期的には遅きに失するという意見もあるでしょうけれども、私は一定の評価をしておきたい。そういう中で若干大臣に質問をし、政府当局に重ねてまた質問をさせていただきたいと思いますが、大臣、時間もございませんし、ひとつ簡潔明瞭にお答えいただきたいと思いますし、私もできるだけ簡潔明瞭にお尋ねいたします。  そこで、このような状況の中で中小企業を取り巻いている内外の経済環境というものをどういうふうに見ておられますか、これが一つ。それから、中小企業の経営実態が大変厳しい中で、それでもたくましく力強くやっている企業も多くありますし、いやなかなかそうではない、この円高で大変な苦しみを受けて経営が思うに任せないという企業も多くあります。中小企業の経営の実態を今どういうふうに見ておられるか、中小企業を取り巻く経済環境を大臣としてどういうふうに受けとめておられるか、また中小企業対策として我々はこれから具体的にどうしていかなければいけないのか、それは短期的、中期的、長期的に見てもこうあるべきであろうという中小企業対策についての御所見をまず承っておきたいと思います。
  124. 田村元

    田村国務大臣 事業所別に見て中小企業は全体の九九・四%を占めております。そのうちの約三分の二が多かれ少なかれ下請をやっております。こういうことを考えますとき、今の円高不況、とりわけ輸出関連あるいは地域的な構造不況は大変なことだ、本当に同情するに余りあるものがございます。そういう基本的な考えを私は持っておりますが、とにかく全精魂を傾けて中小企業を守らねばならぬ。私は就任のとき通産大臣というのは中小企業大臣でもあるのだということを申し上げたわけでございますが、中小企業というのは我が国経済社会の安定と発展の基盤でございます。円高の定着と内外の厳しい環境変化の中で、中小企業がこれに的確に対応して新たな活路を切り開いていけるよう、短期的、中期的両面にわたって積極的な支援策を講じなければならないことは申すまでもありません。  このような観点から、従来から緊急中小企業対策を講じてきたわけであります。また、先般の総合経済対策におきましても経営安定のための金融措置、信用補完措置等、中小企業の当面の経営安定を図るための措置を講ずるとともに、事業転換等を通じ中長期的に構造転換を進めていくための措置をあわせて講ずることとし、また対策規模も一兆円に上る総合的また抜本的な緊急中小企業対策を決定したところであることは御承知のとおりであります。また、来年度の予算要求におきましても、構造転換への支援を重要な柱として当面の資金繰りを円滑にするための措置を含めて広範な中小企業対策を展開することとしております。  今後とも中小企業が環境の変化に適応して我が国経済社会の基盤として安定的な発展を遂げ得るよう中小企業対策に万全を期したい、私は通商産業省としての仕事の中でも中小企業は最も重点的なものというふうに考えております。
  125. 青山丘

    ○青山委員 実はきょう参議院の商工委員会で、私の地元であります陶磁器の瀬戸市へ実情調査に行っておられるようであります。大臣も就任早々世界の国際会議に出ておられまして、四極通商会議、ガットの総会、東奔西走頑張ってこられました。日本の貿易不均衡の是正、それと矛盾するかもしれませんが、国内の企業、国益を守っていく、こういう立場で頑張ってこられたことを私は評価しています。恐らく多くの産地の実情というのを聞いておられると思いますが、忙しい日程の中ではあろうと思いますが、輸出産地で大変苦しんでいる地域がありますし、構造不況的に、不況の問題でその業界に頼っている地域、多くありますので、ひとつぜひ国内の視察日程も組み込んでいただいて現地の生の声を、東京へ来ますといろいろきれいごとになっていく可能性もあるのですけれども大臣が現地へ行ってくださるとそこで生の声が聞けますし、関係者の切実な気持ちというのもひしひしと伝わってくると思うのです。その点いかがでしょうか、大臣
  126. 田村元

    田村国務大臣 私もぜひ現地へ行きたいのです。ただ御承知のように予算委員会、商工委員会でそれこそ飯を食う時間もろくにないというようなことでございまして、東京を留守にすることがなかなかできないということでございますが、冗談話じゃなしにまじめな話が、商工委員会で一日ぐらい私のお暇でもいただければ、ぜひしかるべきところを拝見したい。あるいはもし時間をいただけるならば、予算委員会、商工委員会、それから国鉄等が一段落ついたところでぜひ見たいなと思っております。  特に青山委員地元は私も土地カンを十分持っておりますし、大体企業もどういうものかよく存じておりますが、隣同士ですから存じておりますが、いずれにしてもそういう中小企業の苦しんでおる地域をぜひ視察したいものというふうに思って、いずれ日程を組みたいと思っております。
  127. 青山丘

    ○青山委員 もう一、二問、大臣お願いします。  中小企業の地位についてでありますが、中小企業予算の点で先ほどちょっと触れられましたけれども、調べてみますと、前の商工委員会でもこれは触れられたわけですけれども、製造業で見てまいりますと、事業所数の九九・二%が中小企業なんですね。だから事業所の数でいけばほとんどが中小企業で大企業はわずか〇・八%、もっともこれは出荷額によっては若干違ってきますけれども。それから従業員数、従業者数の割合で見ていきますと七一・九%が中小企業、十人働いているうちの七人以上が中小企業で働いているわけです。工業出荷額で見てまいりますと五一・〇%、製造業だけで見てまいりますと五一・〇%。中小企業の位置というのは大変重い。しかも大臣が言ってくださったように、通産大臣というのは中小企業大臣だと心得ておる、その言葉を聞いたときに私は大変心強く感じましたが、中小企業の給与の実態というものは大企業に比べると、これで見ますと六一・五%、大企業一〇〇と見て六一・五、大変給与の格差が大きい。  政府の予算の中で中小企業対策予算というものを調べてみましたら、政府の予算が五十四兆、その中で中小企業予算が二千五十二億円。割合にしてみますと〇・三七九%。〇・四%を切っている。少し中小企業に対して冷たいのではないかというような印象を実は私は率直に感じます。中小企業者にとってはやはりあすへの展望が開かれる予算、中小企業にとって元気の出る予算、こういうような取り組みをしていただかないと、各種施策はやっていただいておりますが、政府の予算の中の〇・四%を切っている、これは少し中小企業に対しては、中小企業がこの国の産業を支えているんだという実感からしますと、力の入れ方が弱いような気が私はいたします。そういう意味で、ひとつ来年は頑張るぞという決意をぜひ聞かしていただきたいと思います。
  128. 田村元

    田村国務大臣 中小企業対策の予算が少ないじゃないかという御意見であります。これは考え方の問題であろうと思いますが、いろいろな施策が中小企業に及んでおる、そういう波及してくる効果というものも考えれば、計算したことはありませんが、相当大きいことであろうと思いますけれども、それはそれとして、今厳しいマイナスシーリングというようなことで、大変概算要求もやりにくい。そういう中にありまして、中小企業は六十一年度の予算額が二千二百八十二億円でございましたけれども、もちろん産投会計を含んでですね、六十二年度の要求額は二千二百九十三億と、わずかではございますけれどもプラスの額で概算要求をいたしております。でございますから、他の分野は相当差っ引かれておるときに、わずかでもプラス要求をしておるということはひとつ御理解を願いたい。御評価願いたいとまで威張れる数字ではありませんけれども、ぜひこういう時節柄であるだけに御理解を賜りたいと、よろしくお願いします。
  129. 青山丘

    ○青山委員 実は昨日、我が党の塚本委員長が広島県に入りまして、円高で大変苦しい状況にある地方団体の長あるいは業界の代表を県庁へ招きまして実情を聞きました。  そのときに出た話ですけれども、広島県はこの中小企業対策予算として二十三億五千万円ほども措置しているんだそうです。これに比べて国庫補助というのが一%ぐらいなんだそうです、一%。そのときに聞いた数字では二千三百万円ぐらい。少し国の方は薄情じゃないかという印象を強く持っているようなんです。ですから、中小企業に対する予算についてひとつ特段の御配慮をいただきたい。  それから、もう一問通産大臣にぜひお尋ねしたい。  円レート百五十四、五円で安定したんじゃたまったものじゃないという発言通産大臣からありました。そのときに、適正な円のレートはどうかという質問に対して、通産大臣としてなかなか明確な数値を申し上げるわけにいかないというような発言があったと思います。ところが、せんだっての宮澤大蔵大臣発言では、百六十円ぐらいが適正であるかのような発言を聞いて、これはちょっと不適切だなと私も思いました。我が国の産業で百五十円から百六十円ぐらいで対応できるところが一体どれぐらいあるのか、そんな実力があるのか。私はないと思う。そうなってきますと、やはり円安への取り組みは政府としてしなければいけない。円安への取り組みはこういう方法があるんだということで我々も取り組んできているということでなければいけないと思うのです。そのためには関係各方面に働きかけがあったと思うのですが、大臣、円安への取り組み、日本の経済の実態を考えて、実力から見て、私は本当はこれぐらいが妥当だと言ってもらいたいと思うんですよ。例えば私は百八十円から二百円ぐらいが妥当ではないかとは思っております。しかし、日本の中小企業ではその水準でもなお相当厳しいと言われてきました。ことしの春の商工委員会でもそういう声が非常に強かった。その後なお円高になってきておるわけですから、その実情から見てまいりますと、円安への取り組みが必要だと私は思う。大臣の御見解はいかがでしょうか。
  130. 田村元

    田村国務大臣 宮澤・べーカー共同声明というのは、百六十円台が適正ということではない、むしろそこいらで円高が頭を打って、それを超えたら大変なことだ、こういうことだと思うのです。でありますから、我々はやはり適時適切に政策介入、時には協調介入ということを望まなければならないし、またしてくれるものと思っております。中長期的に考えてみれば、我々は産業構造改善をやらなければならない。そして海外直接投資あるいは累積債務途上国への黒字の還流、いろいろな面で円高を防ぐというか、円を現実に幾らということは私もわかりませんし言えませんけれども、適正なところへ持っていくという努力をしなければならない、このように考えております。大変申しわけないことでございますが、予算委員会がぎりぎりになってきましたので失礼をしますが、大体今のように私は考えております。
  131. 青山丘

    ○青山委員 では、大臣どうぞ。  それでは、特定地域の指定について私からもお尋ねいたしておきたいと思いますが、本法案が成立いたしますとすぐに特定地域として指定されていくわけですけれども、その指定基準は一体どんなところにあるのか、それからどれぐらいの地域指定考えておられるのか。先走った話だと言わないで、これは非常に重要なことですので、きちっと答えていただきたいと思います。
  132. 岩崎八男

    岩崎政府委員 地域指定につきましては、まず特定業種、つまりどの業種部分を包摂するかということで、その特定業種の依存度を地域別に計算をいたします。そして、その依存度が大きいところであるかどうかというのが一つ。それから、そういうところに依存しております地域の最近の生産動向、これが端的に言ってどの程度減少しているかということでございます。それからもう一つがその地域雇用状況、これは有効求人倍率と失業保険の給付者数の増加程度というものを一応の指標にして、ある一定の基準以上のものを地域指定をしたいというふうに考えております。  その地域指定の具体的な数というものは、今そういう指標を自治体の御協力を得て集め、どういう指標が妥当であるかということについても業種所管省と相談をしたりしておるところでございます。したがいまして、最終的にその基準に合致する地域数というものがどの程度になるのか、特にこの地域というものの広がりを何カ所と数えるか。一地域ある経済圏域として非常に広く地域指定をしなければいけないところもございましょうし、狭くていいというところもあろうと思います。そういう一カ所の広がりいかんによっても地域数というものは違ってくる可能性がございます。したがいまして、今厳密に何カ所程度というのは申し上げられるような状況にございませんけれども、予算措置その他、私どもがこの対策を考えるに当たって一応のめどとしておりますのが四十地域前後であるというふうに考えております。
  133. 青山丘

    ○青山委員 今回の円高が非常に急激であったこと、大幅であったこと、そのために中小企業が相当幅広く深刻な影響を受けております。ことしの二月の新転換法、実はあの審議の段階でも、当時は一ドル百八十円ぐらいでありましたが、中小企業者の代表がこちらに来て切々と訴えておりました話を聞きますと、百八十円ですら大変な影響を受けておりました。それからなお一層円高は進んできておりますので、それぞれの産地あるいは中小企業者は非常に深刻な状況になっていると思います。  そういう点を考えてきますと、今回の地域指定は指定基準がこうであったというようなことで、今お話しになられたように例えば特定産業、企業への依存度の高い地域、あるいはその企業で生産される度合いで地域経済が大きく影響を受ける、その他雇用情勢、こういうようなことでいろいろな地域における実情というのは違ってくると思うのです。円高によって非常に深刻な影響を受けている地域にまんべんなくこれが指定されるのならばいいんですよ。しかし、財政的な制約があるのでこの程度だというようなことでは一体どうなるのか、その辺の見解はどうですか。
  134. 岩崎八男

    岩崎政府委員 中小企業対策は、各般の対策を総合してやっているつもりでございます。二月の新転換法は、円高によって非常に大きな影響を受けている業種というものに着目して行いました。したがって、これもある基準に従って指定をしたわけで、そのほかにも程度の差こそあれ円高による影響を受けている業種もあろうかと思います。まあしかし、ある基準に従って業種に着目してこれは指定をしたわけでございます。  それからまた、私ども中小企業庁としては、一般的には中小企業の指導事業、これは非常に大きなウエートを持っております。その面における転換指導、現在の困難な状況の中における各中小企業者の対応についてのアドバイス、こういうものについても最大限の努力をしておるところでございます。それから下請企業に対する親企業からの圧迫、これについても厳正な目を特段にこの円高という中で光らしているつもりでございます。  そういう中で、今回地域に着目しましたある総合的な対策を打ちたい、このように考えて御提案申し上げておる次第でございますけれども、その地域についても多ければ多いほどいい、これはまたそのとおりでございますけれども、財政的な事情あるいは各県における対応の違い、そういうものも考えますと、実効ある対策を打つためには、ある程度影響の著しいところに絞ってまずやってみるということが今必要だろうと考えております。
  135. 青山丘

    ○青山委員 中小企業庁長官、実は今回の円高はまさしく政治的な円高なんですね。人為的円高なんです。そのことによって中小企業が大変な影響を受けている。本来貿易摩擦の原因になっているのはこの中小企業じゃないのですよ。でも間接的にレートの問題が出てきて被害を受けている。そして被害を受けている中小企業の地域が比較的まんべんなく指定されてきたということであれば、これは政府の手厚い下支えをしてもらっているという実感が出てきます。しかし、今までの特定不況地域であった、例の企業城下町法で指定されていた不況地域が大体全部入っていくのでしょうか。もし入っていないということになりますと、入っていない地域というのは、景況が立ち直ってきて地域の経済も潤ってきたということじゃないんでしょう。そうじゃなくて、もっと厳しくてつらくて大変なところが多く出てきたからそちらの方に手厚くするんだ、今まで一生懸命面倒を見てきたけれども、財政的な制約があってあなたたちの方は今度は地域指定から外れますよなどというようなことになってきたらこれは大変なことです。そういう意味でお尋ねしておるのです。その辺の御見解はいかがでしょうか。
  136. 岩崎八男

    岩崎政府委員 企業城下町法による指定は五十三地域指定したと思います。その後の推移を見ますと、その後産構法等私ども通産省としてつくりましていろいろ産業構造の改善にも努力してまいりました。地域によってはそういう産構法と相まってある程度の落ちつきというか当面落ちつきを見せている地域もあるし、むしろ指定当時よりはより状況が深刻になっている地域もある、そのように考えております。  今回は、そういう企業城下町的なものあるいは輸出型産地的なもの、そういうものを頭に置いてはおりますけれども、従来の地域の指定には必ずしもとらわれずに、現状においてどのような厳しさかということで全国的な公正さを期していきたいというふうに思っております。
  137. 青山丘

    ○青山委員 それで長官、今回の特定地域として指定されるところの範囲で大体網羅できると考えておられますか。地域指定に対する発想というのは必要だと思って私は評価しているのです。業種別で考えてみても、百五十円や百六十円で対応できる産業というと、せいぜい自動車かコンパクトディスクくらいのものですよ。あとは鉄鋼でも繊維でも造船でも化学でももう大変厳しい状況で、毎日のようにテレビで一時帰休の、特に鉄鋼は発表がなされております。そういった産業に依存している地域経済というのは直接的に影響を受けてきますので、その辺の見解はどうですか。私は、地域指定のこの法律案は先の話ばかりでやっておるわけですけれども、その辺の見通しが立たなければ我々としても困る、こういうふうに思うのですね。どうでしょうか。
  138. 岩崎八男

    岩崎政府委員 限られた対策規模の中ではありますけれども、現状判断について自治体とも十分相談しながら、百点満点とはいかないかもしれませんけれども、おっしゃったようないろいろな問題地域について、できるだけこの対策でカバーできるように努力していきたいと思います。
  139. 青山丘

    ○青山委員 実は私先日聞いたのですが、因島の日立造船はこれまで三千三百人働いてこられたんだそうです。今回はこのままでは立ち行かないということで、三千三百人から二百人に従業員を削減していく。これはもう地域経済の立場から見ても、まさに壊滅的打撃を受けるわけです。ですから地域にとっては、この特定地域中小企業臨時措置法を今非常に関心を持って見ているわけです。ところが、あけてみたら全然身もふたもないというようなことになってはいけないと思うから、私は繰り返しやっているのです。  同じようなことなんですけれども、もう一点は、今回の法律で第八条に企業立地の促進、それから第十一条の後段で公共事業の重点配分、これらに対して規定がされて一定の措置をしていく、こういうことですが、実はその内容がまだ明らかでありませんので明らかにしていただきたいのです。例えば鉄鋼であるとか造船であるとか、こういったような産業に今依存している地域、これは人口であるとか工業の立地の状況から見ますと進出企業があるわけではない。どうしても工業立地誘導の地域ではないと私は思うのですね。そうなりますと、この産業に依存している地域社会というのは恩恵を受けることができない。工業再配置補助金が交付される対象地域というものがむしろ外されていくような方向になっていくのではないか、これでは何にもならないんじゃないかという心配を私は持っております。その辺で、工業再配置法に基づく誘導地域の線引きの見直しであるとか、あるいは特定地域を誘導地域と同様に見ていくとか、そういった取り組みがこれから必要であろうと思うのですが、いかがでしょうか。
  140. 岩崎八男

    岩崎政府委員 工業再配置補助金におきます誘導地域というものは、御承知のとおり全国総合開発計画と非常に有機的にリンクしております。したがいまして、今政府内で四全総の改定作業中でございますけれども、そういう帰趨がどうなりますか、それが一つ今後の問題としてあると思います。  それから、もちろん私どもは現在まだ地域を確定しておりませんので、指定されました地域が現行誘導地域の中に入るかどうか、これは不確定でございますけれども、先生御指摘のとおり、多分すべてが現行誘導地域に入ることはないのではないかと思います。誘導地域に入ります部分については、私ども特別誘導地域として補助率を高いもので工業再配置補助金を適用してもらいたいということで省内一致をいたしております。  別途、現在現行誘導地域の適用を受けないところの地域が指定されました場合に、そういう面のいわば企業誘致のインセンティブというものをどうするかということで、現在私ども対応考えておりますのが、一つが税制でございまして、そういう地域に立地してくれる企業について初年度の特別償却等、これは最終的には租税特別措置法の改正になります。したがいまして四月一日から有効になると思いますけれども、そういう特別償却制度、あるいは買いかえ資産の特例、あるいは試験研究費に対する税制上の減免措置、そういう税制上の誘導措置を強化したいと考えております。  もう一つは、これはいろいろ運用の面での弾力化の工夫が要りますけれども、例えば第三セクター等を通じて中小企業事業団の無利子融資を、そういう地域に外から立地する企業、あるいは現在中におります中小企業が新たな設備投資をする場合等について、その地域については用意をしたいというふうに考えております。
  141. 青山丘

    ○青山委員 長官、一言申し上げたいと思うのですけれども、時間が余りないんだけれども、指定地域についてはこれから決めるということでまだ固まっておらない、こういうことなんでしょうが、本当ならもう少し構想を固めて、法案審議のときに一定の方向がここで述べられるようにされることが必要だと私は思うんですよ。それは中小企業庁で独断でやっていかれるというふうには言いませんけれども、それは国会軽視ですよ。国会においてはもう少し方針を明らかにしていただかないと審議のしようがない。内容によって我々は評価をするのか、そういうわけにいかないのか決めるわけです。ですから政令事項と言わないで、できるだけここでは述べていただきたいと思いますね。  それから事業転換について少しお尋ねいたします。  事業転換は必要だというのは、内外経済情勢から見ますと私どももそういうふうに感じますし、中小企業者も意識の中には必要な時代になってきたのだと受けとめていると思います。ただ、やはり転換先事業分野の見通しがなかなか立たないこと、あるいは転換していって一体どれぐらいの市場が確保できるのであろうかとか、大変見通しが立たないものですからなかなか進んでいかない。そういういうときに、やはり金融の面や税制の面にあわせてソフトの面でのサービスが必要じゃないか。いろいろな相談に乗るシステムがあるとか、指導できることはこういう形でできるとか、アドバイスもできますよとか、その中にソフト面でこういう点で成功してきたとかこういう点で失敗してきたとか、中小企業の立場に立ってのきめ細かいソフトの面での対応というのが必要だと私は思うのですね。その辺はいかがでしょうか。
  142. 岩崎八男

    岩崎政府委員 御指摘のとおりだと思います。私ども、どの分野に転換したらいいということを申し上げられるような能力も立場にもございませんけれども、少なくともこれまでいろいろな中小企業者の皆さんがいろいろな転換先、苦労してこられ、また成功しておられる事例もございます。そこで私ども今回、何百例何千例と集めておるのですけれども、そこの中から六十例を転換事例集ということで、どういう状況においてどういう転換をされたか、その転換の成功のポイントは何であったかというようなものを六十例集めまして実は冊子をつくりまして、多分早々に各自治体、団体、そういう指導的立場の人に五千部全国に配付できるような状況になっております。それからもう一つ、そういう指導的な立場の人が第一線で個別中小企業者の御相談をいろいろ受けられるときの事業転換マニュアルというものもつくりました。これも千五百部つくりまして配付をしたいと思っております。  それから、今後この地域立法に従いまして各地域でいろいろ技術の改善、開発等が必要だと思います。そういう面につきましても、その地域ごとの産学官の共同の一つの指導体制をつくりたいというふうに考えております。
  143. 青山丘

    ○青山委員 設備の共同廃棄事業ですが、現有設備があるので、これの見通しが立たないからなかなか償却もうまくいかなかったしということで事業転換の足を引っ張っているようなところがありまして、設備の共同廃棄事業だついても対象業種を広めていく必要があると思うのです。この辺はいかがでしょうか。  時間がありませんので、ちょっと急ぎます。今、マニュアルをつくってこれから配付されるというようなことですけれども、やはり転換先市場の確保という問題から、今後例えば中小企業の雇用としてこういう産業分野は拡大していくんですよ、しかしこういう産業分野は雇用が縮小していくんでしょうねというような基本的なビジョンがないとこれもいけない。そのあたり、ひとつぜひ基本的なビジョンを示していただきたい。  それからもう一点、海外に進出しようとしている中小企業の一つの例なんですが、投資するゆとりのあるところはまだいいんですけれども、投資するゆとりのないところは、例えば繊維のある会社が現有設備も不動産も全部処理して、そして海外進出で心機一転頑張っていこう、こういう決意をしたのですね。ところが国内では、不動産を処分したものですからこれがまた税金がかかってくる。そして外国へ行くと、外国にはそれぞれいろいろな特典が与えられてはいるようですけれども、我々は何もゆとりがあって外国へ行くんじゃない、できることなら日本で、この産業で頑張りたかった、しかし見通しが非常に立たない、やむを得ずそれこそ先祖伝来の土地を売って心機一転頑張ろうと決意したが、どうも税制面で片手落ちのような気がする、こういう声を聞くのですね。私も全く実感そうだなと思いました。そういう意味で、これからの取り組みも含めて長官いかがでしょうか。
  144. 岩崎八男

    岩崎政府委員 設備買い上げにつきましては、先生御承知のような経緯で、現在鋭意繊維七業種についての関係方面との合意を得るべく努力しております。その他の設備買い上げの政策手段を今後どう使っていくか、これについては五月三十日の閣議決定にありますように、新しい考え方のもとにこれもまた決定していかなければいかぬと思っております。繊維七業種については非常におくれて申しわけなく思っておりますけれども、そういうことで必ずしも新規というわけにもまいりませんので、いろいろな買い上げ価格等についてのこれまでの継続性等を配慮しながら、できるだけ早急に結論を得たいと考えておるところでございます。  それから、今後どういうところが伸びるかあるいは減少するか、これはなかなか難しい問題でございます。今通産省では、各所管原局がいろいろな問題業種について今後どうなっていくであろうかということを懸命に勉強してはおるところでございます。ただ、それが果たして表立った一つの結論になりますかどうか、果たしてそういう自信があるかどうか、ここはなお展望ができていないというのが実情でございます。  それから、中小企業の海外投資につきましては、当面の効果をしては国内の雇用減少になりますし、また残った中小企業をどうするか、あるいは国内経済の空洞化をどうするかというようないろいろな複雑な問題がございます。ただしかし、いろいろな経緯、環境からどうしても海外に進出をしなければいけないという中小企業者も多いかと思います。したがいまして、そういう中小企業者が、中小企業であるがゆえに例えば海外の情報が不十分であるというようなことがあってはいけないということで、私ども中小企業事業団に従来海外投資アドバイザーというものを置いて活用してもらっておりますけれども、これをもう少し充実をして、海外投資センターみたいな形で来年度予算において充実したい、またそういう中小企業者が海外投資するについての資金面についてもこれまで以上の何らかの対応措置を考えたいというふうに思っているところでございます。
  145. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつきめの細かい施策を進めていっていただきたいと思います。  時間がなくなりましたので、最後に貿易局長に一問お尋ねをいたしたいと思います。  十月十五日から十日間にわたってソ連のモスクワで日本産業総合展が開かれてきました。日本は開放経済のもとでしか生きていかれない国ですから、共産圏に対する貿易も必要だと私は思う。ただ、十月十七日の日本経済新聞によりますと、この総合展にはココム規定が適用されているNC工作機械だとか産業用ロボットなど六品目の戦略物資が入っているのではないかという報道がありました。一方ではそれが数十品目にも達するのだよという指摘もあるようですが、そのあたりはいかがでしようか。また、この産業総合展に出された品物が軍事転用のおそれがある、そういう戦略物資になっていくという物品があるという指摘もされております。これは武器輸出原則に抵触するのではないかと思います。アメリカあたりではこれが軍事転用される心配があるのだということを指摘しているのですね。そういう意味では、通産省の方では共産圏向け戦略物資輸出のガイドラインをまとめております。今回の見本市が終了すれば三カ月以内または船積み後一年のいずれか早い日までに積み戻して日本へ帰ってくる、こういうことですが、出品物が帰ってこなかった例もあるのだそうです。また、アメリカあたりは出品されている間にいろいろな情報がとられていくのではないかということを指摘しておりますし、日本は自由陣営の一員としての立場から見ますと、こうした貿易の進め方というのは、諸外国、自由陣営の国々から日本に対する批判をさらに拡大していくのではないか、こういう心配を持つのですが、いかがでしょうか。
  146. 畠山襄

    畠山政府委員 お答え申し上げます。  今のモスクワ見本市にココムの対象物資を展示したことは事実でございます。ただ、ココムの対象物資でございましても輸出承認を行いまして展示をいたしたということでございます。その際に、今御質問の中にもございましたように、持ち帰り条件つきというものをつけまして、向こうへ展示はするけれども輸出してはいけない、売ってしまってはいけないということでやったわけでございます。  そこで、まず第一の御指摘は、それが武器輸出原則との関係はいかがかという点でございますが、ココムの対象物資ではございましたけれども、いわゆる武器輸出原則の対象になっております武器の対象物資は今回含まれておりません。ですから、本件は武器輸出原則に違反することはないということでございます。  それから、それにしてもアメリカ等から批判があって、こういうことをやっていくと日本はそんなことまでしていろいろ輸出に努力をしているのかということで批判が高まるのではないか、あるいは西側陣営の結束を乱すのではないかという御趣旨の御質問がございましたけれども、確かに米国等で昨今西側陣営の安全保障と申しますか、そういった観点から、特にハイテク商品を中心といたしまして余り東側の方へ輸出をしないようにしようではないか、基準を強化していこうではないかということがございます。ですから、私どももそういった要請は要請として受けとめまして、この個々の輸出承認の運用に当たりましては十分慎重を期してまいりたいと思っているところでございます。
  147. 青山丘

    ○青山委員 産業展というのは本来貿易を前提とした産業展ですから、輸出しない品物を展示すること自体がおかしい。しかも、アメリカからそういう危険性があると指摘されている品物について展示していくということは西側陣営の結束を乱すものだ、日本の貿易の姿勢としては決して好ましいものではない。それからもう一点は、確実に回収ができるのかどうか、これの努力をぜひしていっていただきたい。  これで私の質問は終わります。
  148. 佐藤信二

    佐藤委員長 午後六時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時二十九分休憩      ────◇─────     午後六時三十四分開議
  149. 佐藤信二

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。藤原ひろ子君。
  150. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 法案審議の前提といたしまして、基本的な問題についてまず大臣にお尋ねをいたします。  去る十月三十一日、宮澤大蔵大臣とアメリカのベーカー財務長官との間の日米蔵相合意が発表をされました。この合意は、為替相場ドル百五十円から百六十円を長期的に続けるとしたものにほかなりません。全国の中小企業者、国民を苦しめている現在の異常円高をこのまま安定させるというのはとんでもない合意でございます。この春、本委員会で参考人質疑でも明らかにされましたように、せめて一ドル二百円ぐらいの水準に戻してほしいという声が産地中小企業の共通した意見でございます。このことは、ことしの中小企業白書でも、また七回にわたる中小企業庁の輸出産地調査でもはっきり示されております。  先日の当委員会でも、田村通産大臣は私の質問に対して、為替レートでも、百五十四円、百五十五円というところの今の小康状態、これで安定されてはたまらぬと思うのです、下手なことをすれば零細企業は皆もう総倒れになると思うのですと答えておられます。もしこの御答弁大臣の本当のお気持ちをあらわしたものとするならば、今回の宮澤・ベーカー合意は当然直ちに撤回をすべきであるというふうに思いますが、大臣いかがでしょうか。
  151. 田村元

    田村国務大臣 共同声明を撤回するかしないか、これは私には関係のないことですからちょっとお答えのしようがありませんが、今回の合意、実はこれは大蔵大臣から私に対して、こういう共同声明をしましたという通知があったわけです。もちろん通産省の意見はいろいろと事務方では述べておるだろうと思いますが、これは大蔵大臣の専管事項でございますから、私どもは所見だけ申し述べたいと思います。  今回の合意、これはプラザ合意後今日に至る推移過程をとらえて、既に円とドルレート調整は十分行われており、特定の具体的水準を念頭に置いているものではないけれども、少なくともこれ以上の円高は望ましくないという趣旨のものと私どもは受けとめております。これは円の先高懸念を払拭する意味で極めて大きな意義があると考えております。  要するに円はもう頭を打った、これ以上高くなることは望ましいことではないということを両国で合意した、意見が一致したということでございましょう。でございますから、今後はこういうような認識を踏まえて、為替相場の安定のために両国が適切な協力をしていくことを強く期待したいものでございます。私が申し上げましたときは、ちようど百五十三、四円ぐらいのときでございましたが、御参考までに申し上げますと、きょうの終わり値は百六十三円だそうでございます。
  152. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 宮澤大蔵大臣は昨日の予算委員会でも、今日の為替レートは双方のファンダメンタルズを反映したものであるとの認識で一致した、こういうふうにはっきり言っておられるわけです。これはとんでもないことだと思うのですね。そこで通産大臣も国務大臣のお一人として、今回の合意を撤回するというように、そしてあくまでも異常円高の是正に政府が取り組むよう努力をしていただきますように要望をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  それは大企業の大幅な人減らし合理化の問題でございます。  鉄鋼や造船などの大企業による大量の人減らし、人員削減は、労働者や関係下請中小企業、地方自治体など関係する企業城下町全体に対して極めて深刻な事態をもたらしているわけでございます。新聞報道によりますと、鉄鋼高炉五社では、新日鉄の一万五千人を初めといたしまして、昭和六十五年度までに三万七千人も人員を削減する計画だと伝えられております。造船大手五社では、石川島播磨重工の七千人を初め、一万七千九百人もの人減らしが計画をされております。直接人員でこれだけですから、関連下請中小企業でもこれと同数かあるいはそれ以上の影響が予想をされるわけでございます。本当に大変な事態だと思います。こうした超一流大企業の人員削減、大合理化をこのまま放置して許してしまうということになりますれば、幾ら今回の法案が成立をいたしまして特定地域への対策を強めますと申しましても、これは焼け石に水だということにしかならないのではないかと大変私は心配するものでございます。  現に室蘭市では、市長さんを先頭にいたしまして企業誘致に一生懸命取り組まれました。やっと十社の誘致に成功されたわけです。ところが、室蘭に来る前に十社のうち四社が倒産してしまったという事実があるのですね。本法案で企業誘致を支援するといっても、そんなに生易しいことではないわけです。これまでの企業城下町法におきましても、企業誘致については見るべき成果がなかったという報告を中小企業庁から私は受けているわけでございます。  そこで大臣、本法案はもちろん大切でございますが、その前提としてまず大企業の大量の人減らし、合理化を許さないために、大臣としてもあらゆる御努力をしていただかなければならないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  153. 田村元

    田村国務大臣 最近の雇用失業情勢につきましては、特に円高の影響が深刻な輸出産地や構造不況業種において極めて厳しい状況であることは、私がずっと申し上げてきたとおりであります。このために、本年度におきまして我々は四%の経済成長を目指して、限りなくこれに近づけるという努力はやはりしなければいけない、この目標を捨ててはいけない、私はそう思っております。九月十九日に総合経済対策を決定したところでありますが、これからもその着実な実施に努めていく所存でございます。また、中小企業の事業転換等の円滑化、それから企業誘致の促進等の総合的な地域中小企業対策を講ずることとして、今臨時国会において御審議をいただいておる特定地域中小企業対策臨時措置法を一日も早くお通しをいただきたいとお願いをする次第です。さらに今後、雇用の安定等にも配慮しながら、我が国産業構造の転換を円滑化していくため、新規事業分野の開拓等を通じた産業の活力の保持等の対策を総合的に推進していく所存でございます。  御指摘の雇用調整につきましては、具体的事情に応じて労使当事者の話し合いにゆだねることが適当であり、当省としましても、労使が十分な話し合いを尽くし、納得がいく解決が行われるように期待をいたしております。
  154. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 では、特定地域中小企業法案の中身についてお尋ねをしてまいります。  今回の円高はG5の合意に基づく協調介入の結果であり、いわば政治災害であるわけです。ですから、激甚災害対策並みの年三%以下の金利で特別貸し付けをぜひともという声は、今や全国の中小企業者全体の共通の要求となっているわけです。当委員会でもそのことは再三にわたって議論となりました。自民党さんの中にも三%以下にせよという御意見をお持ちの方がいらっしゃると聞いているわけです。ところが、今回予定をされております特別貸し付けの金利は、こうした声に全く背を向けているわけですね。そして年三・九五%と五%の二本立てということになっております。  大臣にお尋ねを申しますが、金利は三%以下に引き下げるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがでしょうか。また、この貸し付けにかかわる据え置き期間や返済期間も、特定地域に絞りました手厚い対策、こういう上からも別途円高対策のための国際経済調整対策特別貸付制度、こういう制度よりも長くすべきだと考えますけれども、いかがなものでしょうか。
  155. 岩崎八男

    岩崎政府委員 三・九五%の金利というのは、私どもとしては現在の金利体系、金融常識の中では非常に異例の低利のものであると考えております。今御引例の激甚災害三%と申しますのは、千万円を限度といたしまして最初三間が三%でございます。その後になりますと通利に戻りますし、三%の適用の限度額も千万円でございます。今回の私どもの三・九五%という金利の貸し付けは、限度額を一応八千万円と考えております。かつ貸付期間、これは五年ないし七年になると思いますけれども、その期間を通じて三・九五%ということで、実質的には、私どもは千万円を限度とし三年間の三・〇%よりは、より金利負担の軽い融資制度ではないかというふうに考えております。
  156. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 岩崎長官は今、三・九五%は異例だと自信を持って威張っておっしゃったわけですけれども、実は東京の葛飾区、板橋区などでは現に二%台の金利で円高緊急融資をやっていますね。それから国自身でも北洋漁業対策特別融資は三%の金利で実施しているではありませんか。要は、中小零細企業者の苦しみ、つまり小指の痛みを政府がみずからの体全体の痛みとする愛情が本当にあるのかどうかということでございます。今、目の前で川に飛び込んで死のうとしている、こういう人を後ろから抱きとめて命の大切さを教え、生きる喜び、働く生きがいを再体得させるという心からの援助を誠意と勇断を持ってやり尽くすのか、それとも、金融の体系、金利の常識はこの程度でございます、三・九五というのは異例のことをやってやっているのだということで一応の手を打っておしまいとするのかどうかという、今大変大切な分かれ道にあると思うわけです。私は、どうしても三%以下に金利を引き下げることが重要であるということを強く要求して、次の質問に進みたいと思います。  では、地域指定について伺いたいと思います。  現行の企業城下町法の指定地域が五十三地域です。中小企業庁が円高影響調査をしている輸出産地は五十五地域です。そして産地中小企業対策法で指定された地域は百五十を超えるわけです。これに北洋漁業、産炭地などを加えるならば軽く二百以上を超えてしまうわけです。今後の雇用情勢の悪化を考えるならばその数はますますふえると思います。地域指定は四十や五十ではとても足りません。必要なところはすべて指定すべきだと思うわけですが、いかがでしょうか。また、一度指定をしても情勢の変化によりまして当然追加指定も必要になってくると思いますけれども、いかがでしょうか。
  157. 小林惇

    小林(惇)政府委員 先生御指摘の地域指定につきましては、法案の成立後早急にやってまいりたいわけでございますけれども、その際、旧城下町法の五十三地域あるいは輸出型産地五十五地域産地法百五十地域という地域数はございますけれども、それぞれの法律の法目的も異なる面もございますし、全体の予算にも限界がございます。対象地域を広げれば広げるほど施策の効果が薄くなってまいります。したがいまして、本法の対象地域としては一応四十地域程度に絞って指定を行っていくことが適当であるというふうにただいまのところ考えておるわけでございます。  それから、御質問の後段でございますけれども、今後の情勢変化があった場合に追加というようなことが必要ではなかろうかという御質問でございますけれども、理論的には、今後の情勢変化によりまして指定要件を満たす地域がさらに出てまいりますれば、特定地域として追加指定することもあり得るというふうに考えております。
  158. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 京都の例を見ますと、西陣織では織物の関係の従業者数は一万七千三百人です。昨年の出荷額約三千億円です。丹後ちりめんは従業者数は一万六千人で出荷額は約千三百億円です。それぞれ長い歴史を持って地域に密着した内需型の産地です。しかし、需要の落ち込みに加えて円高による海外からの安い製品の急増によりまして、これら地域も大変深刻な状態になっております。和装専門商社の倒産も連続して発生し、夜逃げや自殺も出ているわけです。工賃カットや仕事の打ち切りも大変だ。前回、前々回の私の質問で申し上げましたとおりの状況です。こうした地域も指定するのは当然じゃないでしょうか。  また、本法案では東京や大阪などの大都市、こういう地域が、地域への依存度が低いということで指定から外されるのではないかと、関係地域の中小企業者や地方自治体の皆さんは大変心配をしておられます。例えば大阪なんですけれども、一昨年の中小企業白書によりますと、大阪の産地中小企業の生産額は全国の二五%を占めております。いわゆる産地法の指定も二十一業種受けているわけですね。中小企業庁の円高影響調査でも、泉州の敷物、堺の自転車など六業種が対象に入っております。これらの地域の中小企業者の皆さん、いずれもあすはどうなるのかという大変な状態に追い込まれているわけです。東京も同様な姿ですね。こうした大都市部の関連地域も当然地域指定をすべきではないでしょうか、あるいは大都市部の産地中小企業はどうなってもよいというふうにお考えなんでしょうか、いかがでしょう。
  159. 小林惇

    小林(惇)政府委員 御指摘のありました、円高による輸入の増加によりまして影響を受けている場合につきましても、地域指定の対象になり得るというふうに考えております。  それから、大都会周辺地域につきましても、特に特別な取り扱いをするということではなくて、全国の他の地域と同様の判断基準で地域指定については検討してまいりたいというふうに考えております。
  160. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 今回の円高では、国もですけれども関係地方自治体はそれこそ大変な努力をなさっております。ところが、こうした関係自治体の意見を聞くという条項が本法案には全く見られないわけです。指定をする場合には、その地域が属する都道府県の意見をよく聞いて実情に合った地域指定をすべきであるというふうに思います。今回は特に金融対策に都道府県の財政的協力もいただくということですからなおさらのことだと思うのですね。都道府県の意見を十分聞いて、それを具体的に反映させるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
  161. 岩崎八男

    岩崎政府委員 御指摘のとおりだと思います。地域の将来というのは、やはりその地域が最終的には決断し決めていくべきものだろうと思っております。したがいまして、この地域指定に際しましても、現実に私どもむしろ自治体と一緒に今資料の収集等もやっておりまして、どういう地域一つの経済圏をなしているかというような判断、これもまた基本的には地元の自治体が一番よく知っておりますので、そういう意味では自治体と実質的に極めて緊密な連絡をとりながらやっておりますし、今後ともやっていきたいと思います。
  162. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 では、計画についてお尋ねをいたしたいと思います。  今回の法案の特徴の一つが、中小企業者や組合に新しい経済環境への適応計画をつくらせて、その計画を知事が承認すれば計画に基づいて各種の助成を受けられる、こういうようにする仕組みになっているわけですね。その計画には事業規模の縮小や合理化なども含まれており、必ずしも事業転換や新分野への進出のみというふうには制限されていないわけですね。  そこで、中小企業産地を例にとってみますと、新潟県燕の洋食器、京都の西陣織、岐阜県関の刃物など、どこも各工程ごとの分業体制になっているわけですね。そして、そのすそ野はずうっと広い下請構造を形成している、こういう状況です。すなわち、トップの完成品メーカーの中小企業のもとに非常に多くの自営下請加工業者が仕事をしているわけです。ところが、出されております計画によりまして、事業規模の縮小ということで、末端の零細下請業者が切り捨てられてしまうということになっては大変なことだという懸念がございます。こうした末端の下請業者も含めて産地ぐるみで新しい経済環境に適応できるように指導、援助するということが必要だと思うわけです。  また、零細な自営業者や下請業者、その組合などは、計画をつくれと言いましても、私もずっと調査の中で感じたわけですが、なかなか実態は困難と思われる面が多々ございます。しかし、この計画ができませんと助成の道というのは断ち切られてしまうわけですね。ですから、どうしてもこの計画づくりの段階で業者や組合に親切丁寧に相談に乗る、国や地方自治体が手とり足とりきめ細かく援助をしていく必要がございます。  以上申し上げた問題にどういう対処をされるか、お聞かせいただきたいと思います。
  163. 小林惇

    小林(惇)政府委員 計画の中での下請企業に対する配慮の点でございますけれども、当然のことでございますけれども、適応措置に関する計画において下請企業に対する配慮はなされることが必要でございます。したがいまして、計画の承認に当たっては、法律案の中にもございますけれども、「新たな経済的環境に円滑に適応するために有効かつ適切なものであること」というものを基準としてございますけれども、下請企業への配慮もその判断基準の一つになるというふうに考えてございます。都道府県に対する実施要領の中に、下請企業への配慮が担保されるように規定してまいりたいというふうに考えております。  それから、計画作成が困難であるということのないように、計画の必要的記載事項は極めて軽易なものというふうに考えてございますけれども、それにいたしましても、計画作成に当たっての都道府県による指導が必要であるというふうに考えておりますので、そういう点につきましては十分の説明が的確に行われるようにしてまいりたい。  それから、そのほかに運用の弾力化といいますか、都道府県知事の承認のみでなく、一部の事務を市町村長にまでおろして、現実の適用が柔軟に行われ得るように担保してまいりたいというふうに考えております。
  164. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 ぜひともきめ細かな御配慮をお願いをいたします。最初の御答弁配慮が排除と聞こえましてびっくりいたしましたが、絶対排除なさらないで、配慮をお願いしたいというふうに思います。  次に、中小企業信用保険法等の改正案について、二つの点をまとめてお尋ねしたいと思います。  第一に、今回の改正で気がかりになりますのは、最近の保険公庫や保証協会の保証業務の実態から見まして、果たして中小企業者への融資が改善をされて、本当に借りたい人が借りられるようになるのかどうか、ここが心配なんですね。現状を申しますと、借りたい人が借りられないということがしばしばあるのですが、ぜひこの点が改善をされる必要がございます。そのためには、今回の無担保枠拡大が十分に生きてくるように、中小企業信用保険法不況業種指定や新事業転換法の業種指定を実情を踏まえて前向きに、積極的に進めていただきたい、こういうふうに思うのが第一点です。  それから二番目に、保証協会の窓口での審査が異常に厳しくなっている、こういう問題が現実ございます。例えば東京の大田で、区内の円高融資のほぼ半額を世話しておられる蒲田民商の話では、書類では原本確認、臨店では近所への聞き込み、果ては税務署へ行ってまで調べております。これでは貸すための審査ではなくて、貸さないための審査ではないかと思うほどなんですね。しかも、満額保証はほとんどなくて、時には五〇%もの減額を受けておられる、申込額に対する保証額の割合は六七%しかない、こういうことなんです。これは何も大田区だけの話ではなくて、全国的に出ている状況で、私どもの京都でも今年度になりまして一層審査がシビアになっている、こういう状態が出ております。  五十六年九月十六日に中小企業庁長官と銀行局長の連名で出されました「中小企業信用補完制度の健全な運営について」、この通達以来選別は強まるばかりだ、こういう事態が起こっております。その結果、信用保険公庫の赤字は年々縮小をいたしまして、五十六年度の三百七十七億円が六十年度には百二十六億円に縮減される一方、保証がとれないので途方に暮れる利用者が続発する、こういう事態になっているわけなんですね。大変ここに矛盾を感じるわけです。  円高不況の今こそ、保険公庫と保証協会の運営に当たっては、赤字解消、収支改善を第一とするのではなくて、中小企業者本位に改善をして、中小企業を援助しなければならないときだと思うわけです。これは円高を招き、中小企業を苦境に追い込んでいる政府の当然の責務でもあるというふうに思うわけなんですね。  一つ業種指定の問題、一つは審査業務の問題、この二点についてお尋ねをしたいと思います。
  165. 小林惇

    小林(惇)政府委員 信用保険につきましては、その収支改善ということにつきましても当然制度の健全な運営のために必要というふうに考えてございますけれども、一方、この信用保険の政策的な存在意義というものも当然ございますわけで、今回は必要な財政措置を講じていることでもございますし、この信用保険の利用が一般的に進められるようにしてまいりたいというふうに考えております。それから、業種の指定につきましても、状況に応じて弾力的にしてまいりたいと考えてございます。  それから、信用保証協会の窓口におけるいろいろな状況についてお触れになりましたけれども、信用保証協会につきましても、一方で大きな収支改善という目的といいますか問題意識は当然にあるわけでございますけれども、現在中小企業の置かれておる大きな環境あるいはその環境変化といったことを踏まえて信用保証の運営が行われるように指導してまいりたいというふうに考えております。
  166. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 一度、困難であるがゆえにお金を借りているという人たちの苦境の実態を、ぜひ出かけてお聞きいただきたいというふうに思うのです。そうすれば、今のような冷たい答弁をして澄ましているわけにはいかぬだろうというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。  加えて強調をしたいのは、現状では多くの中小企業が保証人を立てられないという状況にあるという問題です。そうなると、どうしても無担保、無保証人の特別小口融資の充実ということになるわけですけれども、今回の措置ではまだまだ不十分です。五十五年度以来三百万円の枠に据え置かれている融資枠を大幅に引き上げるとともに、強い要望がある、赤字であっても貨し出しできるよう改善すべきだと思うのですね。政治災害ともいうべき円高で赤字になったところが全く借りられないというのでは、苦しむ者を真っ先に切り捨てよということにほかならないわけです。政令を改正して赤字企業への貸し出しに道を開いていただくよう重ねて要望をしたいと思うのですが、簡単に御答弁をお願いいたします。
  167. 小林惇

    小林(惇)政府委員 特別小口保険につきましては、小企業を対象といたしました無担保かつ無保証の特別な制度でございますけれども、形式審査によって一般に必要となります保証人を探す手間を省き、簡易かつ迅速な保証手続を行おうとするものでございまして、そもそも初めから返済が困難な者に対して金融ルールを超えて保険に応じようとするねらいのものではないというふうに私ども考えております。すなわち、納税要件によって通常の金融審査の一部にかえようということでございまして、その納税要件にかわる適当な金融審査を迅速に行い得る手段がない以上、本制度の対象を赤字企業にまで広げることは困難というふうに考えております。ただ、一般に無担保保険あるいは普通保険の方につきましては納税要件ということを求めておりませんで、赤字企業であるからということで保険の制度から排除されるということにはなってございません。
  168. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 私は、二つの法案に関連をいたしまして、時間がないのでポイントを絞って質問をしてまいりましたが、極めて不満足な回答しか得られなかったということはまことに残念だと思うわけです。  そこで大臣、本法案の対策を十分に効果あるものにすること、さらには今後ともに必要な中小企業対策の強化充実に努めることが大変大切だと思います。この点につきまして大臣の御所見を伺いまして、終わらせていただきたいと思います。
  169. 田村元

    田村国務大臣 それは当然のことでございまして、こういう対策はより充実せしめ、そしてあすからまた新しい方法を模索していく、そして中小企業者の苦しみをなくしていく、その努力をするのは政治家としても当然の務めでございますが、また通産省という立場でももちろん当然のことでございます。
  170. 藤原ひろ子

    ○藤原(ひ)委員 それでは終わります。
  171. 佐藤信二

    佐藤委員長 奥野一雄君
  172. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 お聞きをしたいことがたくさんあるわけでありますけれども、時間が制約されております。先ほど打ち合わせいたしましたときにもいろいろ申し上げておきましたけれども、若干順序が狂ったりそれから項目を一まとめにしてお聞きをしたりしますので、その点ひとつ御了承いただきたいと思います。  最初に、今までも事業転換法だとかあるいは特定業種関連地域における中小企業対策、そういうような緊急措置というものが何回か出されてきておったわけでありますけれども、その法案審議の際に、私どもの同僚委員の方から、少し手ぬるいのじゃないか、そういうような指摘などを申し上げてまいりました。それはどうしてもこの種の対策というのは後手になりがちだ、そういう嫌いがあるのだろうと思いますが、そういうことで従来出しておりました対策では現状では間に合わないということから、今回また新たにこの二つの法案が出てきたものだと理解をしておるわけですが、なぜ当初の出されてきたいろいろな措置が効果を上げることができなかったのか、この点の原因をひとつお知らせいただきたい。  それから、今回のこの法案を出さなければならないというふうに思われたのは、いつごろからそういう感じを持ってこられたのかということです。これは解散になります前の国会でも随分問題になりまして、各党の方から円高対策についての臨時国会を開くべきでないかという意見もあったわけでありますが、その国会が解散ということにつながっていったわけでありまして、そういう意味では、我々から言わせますとダブル選挙というものも今回非常におくれてきたという原因になったのじゃないかな、こう思っているわけであります。先ほど言いましたように、この法律案を出さなければならなくなったという、その必要性をいつごろから感じてこられたのか。  それからもう一つは、先ほどからも言われておりますけれども、この法律案によって一体どの程度の方々が救われるのか、こう考えてみますと、そんなにたくさんの業種の方々、業界の方々が救われるというふうにはなかなか考えにくい点があるわけであります。転換だとかあるいは新しい分野に進出をするというのはむしろ相当力のある業者であって、家内工業的にやっているとか少人数の従業員を雇っているとか、そういうところの業者の方々というのは、実際には転換をするにもできないし、新しい分野に進出をすることもできないという関係の方々が非常に多いのではなかろうかというふうに思われるわけでありますが、その辺のところはどういうふうにお考えになっておりましょうか。
  173. 岩崎八男

    岩崎政府委員 私どもとしましては、この円高問題が出てまいりまして以降、昨年十二月以来、そのときどきにおいて私どもとして可能な限りの対応を打ってきたつもりでございます。ただ、円高がこの一年間さらに進展してまいりました。そういうときどきに従って、二月の新転換法成立以降を考えましても、四月、五月三十日というふうに追加対策を打ってきた次第でございます。特に新転換法の転換に絡まる例えば承認や融資というものは、半年ぐらいで転換の新しい方向を見出すということは極めて難しい面もあろうかと思いますので、なおその利用の実績は少のうございますけれども、この間の経営安定という面で私どもがとりました特別の融資制度につきましては、最初三千億の枠を考えておりましたけれども、九月末でそのうちの二千五百億は既に消化されてしまったというように、それなりの効果は上げてきているのではないかと思っております。  そういう円高の進展の中で、この七月ごろから私ども、二月の新転換法のような業種対策以外に、特別影響を集中的に受けている地域の中小企業に、業種のいかんを問わず何らかの総合的な対策を打つ、直接影響を受けている中小企業者に限らず、その地域の、例えば小売商と商店街とかそういうところへの間接的な影響も今生じつつあるのではないか、したがってそういう地域の中小企業の安定と振興を図るというもう一つの、横からの対応策が必要ではないか、こういう反省のもとに、七月ごろから具体策を検討するようになった次第でございます。こもの間たまたま、私ども、中小企業審議会の国際化小委員会において中小企業対策の今後の国際的展開のあり方について御審議を願っておりましたので、その場において、今回の国際化という中での一つの中小企業問題でもありますので、この地域対策についても途中御審議を願ったというような経緯がございます。  そういうことで、七、八月といろいろ対応考えまして、九月以降新たなる円高に関するあるいは内需拡大に関する総合対策が政府部内で検討されるようになりましたので、その一環としてこれを組み込んでいただき今日に至っている、こういう経緯でございます。
  174. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 これは前の国会だというように私も記憶していますけれども円高問題で若干質問したことがございます。そのときにG5というのは人為的だ、こう皆さん言われておるわけでありまして、レートが、当時は二百四十円とか二百五十円というレートだったわけでありますが、そういうようなときに、ドル高を是正しようじゃないかというようなことから、ある程度想定したのではないか。例えば百八十円になったらどうなるとか、全然想定しないでG5をやられたとは私は思わない。ですから、二百円になったら日本の国内企業はどういう影響を受ける、あるいは百八十円になったらどんな影響を受ける、そういう見通しというものは当然立てなければならないのではないか、それに伴って事前に手を打っていかなければならないのではないか、そんなようなことを若干質疑をしたことを記憶しているわけでありますけれども、予定よりも、思っていたよりも余りにも円高になるのが急テンポであった、そういうようなことが御答弁としてあったように思っております。この対策を立てるのにとても間に合わなかったということではないのかもしれませんが、そのような意味のことを言われておりましたけれども、その当時の新聞とか雑誌なんかを見ますと、いや大体二百十円ぐらいが限度でないだろうか、たった一人百五十円までいくことを覚悟しなければならないという論文を書いた学者がおりましたけれども、ほとんどの方はそんな想定をしてなかったわけですね。ですから、本来ならば当然そういうものに対応できるようなことを考えながら産業の受ける影響というものについて対応しておかなければならなかったんじゃないか、こういうふうに思っているわけであります。  そういう点からいきますと、今御答弁がございましたように、二月に出した法律では相当救われたと思う、こう言われておりましたけれども、実際にはあれ以外に円高でもってどんどん今倒産がふえたり大変な状況になってきているので、また次の手を打つ。今度は、一つ業種だけやってもだめだから、地域を網羅して地域の活性化という意味も含めてやろうじゃないか、こんなことに進展をしていったのだろうと思うわけでありますけれども、やはりそういう面ではどうも後手という形になってきているのではないか。これは後でまた触れますけれども、今お話がありましたように、これから当然国際社会の中での日本の産業構造ということになっていくと思うのですね。その場合に、もっと早目に手を打っておかなければならない。  そこで、いろいろ議論もしたいのですが、時間もありませんから聞いてまいりますけれども先ほどからの質疑を聞いておりまして、大体四十地域くらいを指定するというようなことになっているわけでありますが、私は、これでは考えておられるような成果を上げることができないのではないかと考えているわけであります。予算の関係もあるということでございますけれども、仮に今考えられておる皆さん方の施策でもって、この程度の地域については何とか活性化を図って、法律案の中にも書かれているように、雇用の問題とかいろいろなものについても対処をしていこう、一つの基準──基準という言葉には当てはまらないだろうけれども、想定されている四十なら四十の地域についてこういう施策をやって、こう守っていこうという一定の尺度というものは考えておられると思うのですね。これはもちろん予算と裏腹の関係になってきますが、仮に今一つのことを想定されて、幾らかの予算を組んで、ところがあっちにもこっちにも出てくる、そうなった場合に、金があればまたたくさん出てきた地域に対して同じような施策をやっていくことができるが、金がなければ総体的に薄められるということになっていくわけですね。そういう面では、どっちの方をお考えになっておられますか。予算さえあれば今想定されているものをさらにふやしていく、あるいは四十だけやればあとはもう大丈夫なんだとお考えになっておられるのか、どっちの方ですか。
  175. 岩崎八男

    岩崎政府委員 なかなか片一方に割り切ってお答え申し上げるのが難しい問題でございますけれども、私どもとしては、二月にできました新転換法が不十分だから今回の特定地域対策をその上に乗っけるというよりは、二月の新転換法は一つ業種対策である、業種という視点から見た対策であって、これはこれで今後とも一つ有効な施策として拡充、展開していきたい。ただ、今回は業種という視点ではなくて地域という視点から、別の視点からの対策をもう一つ組んでみたい、こういう感じの今回の施策でございます。これについてはたびたび申し上げておりますように、現在その地域指定については自治体と緊密な連絡をとりながらいろいろな指標等の整理をしておるところでございまして、最終的に幾つになるか確定的なことは申せませんけれども、一応のめどとしては四十地域ぐらいかなというふうに今思っているところでございます。  これは、超低利融資の制度とか、あるいはそのための裏の信用補完の制度とか、あるいは技術開発についてもある程度まとまった額をその地域に投入し、計画的に技術改善の努力を進めてもらうためにも、ある程度まとまった額を用意しなければいかぬとか、そういういろいろなことを考えましたときに、現在用意している予算措置その他の制度というものは、まあ一応最終的な仕上がりが四十前後というようなことを想定しながら組んであることは事実でございます。ただ、現在作成中であります基準あるいはその基準に当てはめてみた場合の各地域の実情、そういうものによって両方お互いに見比べながら最終的な地域の確定に持っていきたいと思っております。
  176. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 今長官の方から、二月の事業転換対策というものはそれなりの効果があったけれども、視点を変えて、今度は地域の活性化という点から地域指定をしてやっていこうというふうにお考えになった、その点は私は大変いいと思うのですね。だから、仮にそういう必要性がこれからもどんどん出てきたとした場合、それは当然この地域指定の中に例えば追加をしていくとか、あるいはまた何か別な方途があればやられていく、こういうふうに理解をしてよろしいのでしょうか。  それからもう一つついでに、今回の場合には一応円高不況というようなことが表面に出ているわけでありますけれども円高不況だけでないものも出てくる可能性というのがあるのですね。これは、例えば今度の国鉄の改革法案が衆議院は通過いたしました。本州にもたくさんあるかとは思いますけれども、特に北海道の場合には国鉄の町というのがあるのですね。もうほとんど国鉄でもって成り立っているというような町があるわけなんですよ。そういうふうなところで国鉄が大きな合理化をやられますと、やはり町の経済活性化にも非常に大きな影響を及ぼすという地域が幾つかあるわけなんです。そういうような場合には、どうなんですか、これはもう全く関係ないから、そんなのは地域の活性化なんて考えなくてもいい、あるいはもうそれはどこかの省で考えればいいということになるのでしょうか。これは、そのことによって町の商店そのものがだめになっていくわけですから。これは炭鉱でも同じですね。炭鉱の場合には何か今度この地域指定一つの要素に入るようなお話も聞いております。産炭地でありますというと、炭鉱が閉山になったことによって例えば商店街がつぶれる、これは全くつぶれてしまうわけですから、そういうものがある程度この地域指定の中に仮に入るというのであれば石炭関係についてはわかる。しかし、今言ったように北海道には国鉄にほとんど依存してやってきたという町も幾つかあるわけです。そういうのはどういうふうになるのでしょう。お考えになっておられますか。
  177. 岩崎八男

    岩崎政府委員 この法律は私ども一応五年の限時法と考えております。今後円レート等の適正化が進みまして、日本の景気が順調になり、新たなる困難が生じないように期待する次第でございますけれども、もしさらにいろいろを困難が進み、ある基準に適合するような地域がふえますと、その有効期限内におけるそういう追加指定という話も出てくるかと思っております。  それから、この指定のもとになります要件というか原因、これは何も円高に限りませず、内外の経済情勢の著しい変化であればいわば何でもいいわけで、それは円高あるいは石炭あるいは漁業、その他原因は問わないということでございます。  ただもう一つは、これはいわゆる地域振興法ではございません。どうしてもその地域の中小企業を安定させ発展させることを通じて、ひいてはその地域の安定と振興に資するという視点からの地域中小企業対策でございます。したがって、その地域に中小企業等の根があり、そういう中小企業のあるまとまった中小企業群を安定、振興させることがその地域全体として非常に有益であるというようなチャンネルがあるような、そういう地域でないと、せっかく指定しても余り有効性がないのではないかというふうに思っております。
  178. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 五年の時限立法だということは私も承知をしておりますが、私先ほど一番最初に、今までの対策というのはどうも後手後手になってきているのではないか、だから事前にある程度の手を打てるものは打たなければならないのではないか、こういうこともちょっと申し上げたのでありますけれども、例えば我々のこの商工委員会の中でいろいろ法律案審議もやってまいりましたけれども対応とすればあるいは後手なのかもしれませんけれども、我々の見る目では先手を打っているのではないかと思われるのもあったと思うのですね。例えば航空機開発の国際共同の法案があったし、基盤技術の整備もあったし、それからコンピュータープログラム関係の技術者の養成とか、現象から見れば少しおくれているからそういう措置もとられたのですが、一面また見ますと、これは先手を打っているのではないか、こう思われるものもあったのですね。  だから、この種のものというのは、一つ現象が出てこないとどう救済をしていくかという措置というのはなかなかとりにくいと思うのですけれども、これも後で触れますように、これからの産業構造というものを考えた場合には、できる限りやはり先手でやっていくということを考えていかなければ、いつでも問題が発生してきてどうするか。問題が発生してどうするかということになりますと、これは役所の場合ですから、調査をしたり法案をつくったり国会の審議を受けたりということになると、少なくとも最低一年くらいは経過してしまう、そういうような現象というのがあると思うのですね。今後何か起きそうだというような場合に事前は手を打って対策を考えよう、そういうようなお気持ちというのはございますか。  それからもう一つ地域指定をされますね。そうしてそれがスタートしていく。今まで例えばテクノポリスであるとか新産都市であるとか、いろいろな制度というのがございます。そういうものなんかについてアフターケアというのですか、その効果がどうであったのかということについてチェックをしながら対応を立てられておられたのかなという疑問があるわけです。ですから今度のこの地域指定の場合も、単に地域を指定して、そしてそれに合致をしたものに対して融資をするとか何かするというだけで終わりということになるのか、あるいは事後それがどういう効果を上げていったのかというチェックをしていく、そういうようなことはお考えになっておられますか。
  179. 岩崎八男

    岩崎政府委員 できるだけ先見性を持って行政をすべきであるという基本姿勢においては、私どももそのように努めていかなければいけないと思っております。  本法は、これは地域指定した後が大変だと思っております。経営の安定も大変でございますし、ましてや新しい活路を見出す、これは非常に大変なことだと思っております。したがって、現在でも各県に円高関係の県、自治体等を含めた連絡協議会というものを自主的につくっていただいております。そういうような連絡協議会が主体になって、この法律にあります、例えば技術の開発等についての地域の今後の取り組み方、あるいはその地域の各企業のいろいろな新しい活動に対する指導のあり方、そういうものを含め、むしろ地域指定された後が私どもも、それから自治体も、それからその地域にあります中小企業者の皆さんも、実質的な努力を集めていかなければいかぬと思っております。
  180. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 これはちょっと確認をしておきたいのですけれども先ほどの午前中の質疑を聞いておりまして、お答えの中では、将来相当な離職者が出る、そういうふうに予想されるとかあるいは求人倍率なんかについても考慮に入れる、そんなようなお答えがあったわけなんでありますが、これは北海道の場合、今大変な状況だということはもう御案内のとおりでございまして、その中では北洋漁業の規制の問題については言葉の中で触れられておるわけでありますけれども先ほどお答えからいきますと石炭産業、産炭地ももちろん対象になるというふうに受け取れます。それから鉄鋼、造船、こういうものについても、これのいわゆる地域指定になる一つの条件を満たすことになるんだな、こう思っておるわけでありますが、それも間違いございませんか。
  181. 岩崎八男

    岩崎政府委員 内外の著しい環境変化の結果として、その地域の生産なり雇用なりがどういう著しい変化、影響を受けているかというところが指定の基準でございまして、そのもとが石炭産業であるからとか鉄鋼業であるからとか北洋漁業であるからとか、そのことが実はこの地域の問題ではない。原因は何であれ、したがって石炭産業であるから取り上げるとか、北洋漁業であるから取り上げるという逆の視点も実は余り持っておりませんで、そういう原因のいかんにかかわらず、そのことがある地域について非常に著しい影響を及ぼしているかどうか、そこで判断したいと思っております。
  182. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 そうすると、そのことが例えばどのような関係であっても、それによって地域産業に大きな影響を与え、またそこから大量の離職者が発生する可能性がある。例えば有効求人倍率も非常に低い、そういうものについては地域指定の条件に当てはまるというのは変かもしれませんが、そういうふうに理解をすることができると思うのですね。  そういうことになりますと、これは例えば自分の地元のことを申し上げて申しわけありませんが、先日通産大臣も函館どつくのことについては大変詳しく御承知のようでございまして、温かいお言葉もいただいておるわけでありますけれども、函館の場合には、造船関係の影響ももちろんあるし、造船でなくて北洋漁業の規制についての影響ももちろん受けております。これは二つ受けておりまして、一つは製網、船具関係、それからもう一つは今度むしろ漁船を減らすということになるわけですから、漁船を扱っている造船産業も今もろに影響を受けております。北洋それから造船、造船は先日の委員会でも申し上げましたけれども、二〇%の船台能力をカットということになるとこれまた大量の失業者が出る、こういう可能性を持っております。それから、再来年青函トンネルが通れば連絡船が廃止になる。約一千名からの方々は国鉄が面倒を見るということになりましょうけれども、これは離職者だけでなくて、今連絡船を相手にして仕事をしている業界は結構あるわけでありまして、その影響は我々の試算でもあるいは経済界の試算でも、最低で大体五百億の影響を受ける。関連する業者からどのくらいの失業者が出るかまではちょっと予測はつきませんけれども、やはり相当な影響を与える、こういう状況下に置かれているわけでありますけれども、そうするとこれは大体地域指定の条件には合致することになりますか。
  183. 小林惇

    小林(惇)政府委員 私は北洋漁業についての専門家ということではありませんけれども北洋漁業というお言葉が出ましたものですから、農水省からも伺いましたものですから、この地域に対する影響、確かに漁網の関係でございますとか、いろいろ広範多岐にわたるわけでございますけれども、減船ということが一番直接的な北洋漁業の問題ではないかというふうに考えてございまして、減船の率が三分の一程度ということで、その減船される船の母港といいますか、それが一番大きな影響を受ける地域ではないかと考えております。  それからそれ以外の産業、例えば石炭、鉄鋼、造船等、現在すべて不況に苦しんでおる産業でございますけれども先ほど長官からもお答え申し上げましたとおり、内外の急激な環境変化ということで読み取れるものでございました場合には、いわゆるその地域の不況の度合いを読み取るための材料には十分なり得ると考えております。
  184. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 北洋の減船の場合は、これは減船だけを考えてもらっても困るのでありまして、減船されるということはもう新しい船をつくらなくなるわけです。それから修理船も少なくなってしまうのでありまして、そういうものに依拠しているところというのは、これはまた大変な影響を受けることに逆になるのであります。しかし、今のお答えで大体わかりました。  次に、先ほどちょっと触れましたように、これからの新しい産業構造あるいは経済構造ということでは、中曽根総理の諮問機関であります経構研の方から報告が出されておりますし、それから産構審の方の答申を見ましても、これは前国会のこの委員会の一般質問で私は申し上げておったわけでありますけれども、これからどうしても好むと好まざるとにかかわらず国際社会の中では日本の産業構造というものは変わらざるを得ない、そういう前提になっているわけですね。そして、そのためにまずこの国際競争に勝てるような力を、日本の国内産業も技術の向上とかいろいろなことをやってつけなければならない。それでもだめなものは業種転換だ、こんなような形になっていますね。そうして特に第三次産業への転換、サービス業とかレジャー産業とかそういうことなんか言われているわけでありますし、今度の法案の説明をお聞きをいたしましても、事業転換と新しい分野への進出、こういうことなんかも言われているわけであります。  例えば、先ほど言いましたように、地域を指定をされまして新しい分野に進出をしなさいと言っても、それはなかなか大変だと思うんですね。我々のところなんかも、考えてみても、それじゃこの産業が例えばだめになった場合にどんな分野に進出していったらいいんだろう。それから、北海道の経済というのは五%経済ですから、例えば観光開発なんというのはまだ非常に大きなメリットがあるのですけれども、これはもう道内の経済界の状況ではなかなか難しい。本州大手が乗り込んでくれば大きな観光開発なんかもやって相当な成果も上げているようですけれども地元産業界独自ではそれも難しい、レジャー産業だとかサービス産業の方への転換だって非常に難しい、こういう状況です。  したがって、この経構研なり産構審の中身を見ますと、日本は二十一世紀の展望を考えた場合に、やはりどうしても産業構造の転換を図らなければならないのだ、こうなっているとすれば、ただ業界だけにその選択を任せるというのも一つの方法かもしれませんけれども、そればかりではなくて、国としてこういうような産業に転換をしていったらどうだとか、この地域はこういう産業で発展を図るべきでないか、あるいは地域の活性化を図るべきでないかというような誘導策といいますか、あるいは道筋、方向というものをある程度示してやらないと、何に飛びついていっていいのかわからないということになりかねないのではないかな、そういう気がするんです。  今度は地域指定なんかの場合には、いろいろな計画を出させて知事が認可をするというような形になるようでありますけれども、相当難しい要素というのを北海道は抱えているのじゃないかと思うんですよ。だからその場合に、例えば産炭地なら産炭地に対して、ここはこういうレジャー産業を持ってきた方がいいのじゃないか、そういう一つ方向が示されて、そのために国はできる限りの援助をするよという形になれば、やってみようかという意欲もあるいは出てくるのかもわからないけれども、そうでないとなかなか難しいのではないかと思うのですが、そういう二十一世紀を展望してそれぞれの地域における産業構造はどうあるべきかというような方針は、これからお立てになりますか。
  185. 岩崎八男

    岩崎政府委員 私どもも、二十一世紀の日本の産業構造がどうあるであろうかとか、雇用の構造がどうあるであろうか、これは日夜産構審等でいろいろ検討しております。ただ、そのことが直ちにある中小企業のあしたからの具体的な行動の一つの指針になり得るだろうかというと、そこの間には実は非常に差があるように思います。何しろ八十万の中小製造業者が、国民経済の非常に複雑な網の目の中で千差万別の一つの経営資源を持って活動しているわけでございますので、そのおのおのの方々があしたからの行動指針になるような方向というものを示す、これは大変難しいことではないか。したがいまして、個々の中小企業者が、自分の持った経営資源を前提に今後どのように自分の活路を開くか、やはりこれを考えていただくのが基本ではないかと思います。ただ、その参考となるようないろいろな他の事例等をお示しする、これは私どもにもできることだと思います。  それからまた、今回私どもが特に自治体との共同ということを考えておりますのも、財政負担を分担するということもございますけれども、自治体としてその産地なりその地域なりをどう持っていくかというものを、企業あるいは組合を超えて自治体、都道府県なりが考えていただく、その方向の中でいろいろな施策を御活用いただく、そういうふうな考え方もございまして、この施策はできるだけ国と自治体と一緒にやっていきたいと思っている次第でございます。
  186. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 今言われましたことは私もよくわかるわけでありますが、先ほどもたしかお答えがあったように思っておるのですが、いろいろな情報というようなものを知らせてやる、これは速やかに的確にやっていただかないと、経構研とか産構審の中でいろいろなことを書かれておっても、さてどうなるのかわからないということでは、業界の方々だってみずから道を切り開いていくということは非常に難しいと思います。そういう面のこれからの情報を速やかに正確に伝えていくということはぜひやってもらわなければならないと思うのです。これはひとつ御要請を申し上げておきたいと思うのです。  そこで、これは中小企業庁の方にお伺いしてもわからないことなんですけれども、実際に今の円高でいろいろな業界の方々が困っておられますけれども、先日NHKのテレビを見ておりましたら、身体障害者の方々のやっておられる福祉施設で授産所がありますが、円高不況になったものだからその授産所に対する発注が極端に悪くなって、もう授産所の経営の維持もできないような状況になって大変困ったという報道がされております。そういう方面にも影響が行っているわけです。そういうような方々というのは大企業ではないのですよ。ごく零細な企業の方々がそういう授産所などに仕事を頼んでやっているのです。ですから、そういうような業種の方々にも手の届くような対策をやってもらわないと、せっかくの円高対策ということも、企業の中でもある程度上位にある企業の方々が救われても、個人経営だとか家内工業的にやっておられる方々のところまで手が及ばないと私は思うのです、この法案では。ですから、そういう面についてももっときめの細かい配慮をぜひやっていただきたい、このことを強く御要請を申し上げておきたいと思うのです。  次に、労働省にちょっとお尋ねをしたいわけでありますけれども、新聞にもいろいろ報道されておりますが、労働省と通産省でいろいろ対策を講ずるということになっているわけであります。今回のこの法案の主眼はもちろん地域活性化ということで円高不況、それ以外でもというふうなこともございましたけれども、そういうことで企業の方々に対してはいろいろ案が出ているわけですね。労働省の方ではいろいろな対策を考えておられるというのですが、簡単で結構でございますから概略の御説明をいただきたいということと、法案はいつごろ出されるという見通しになっておられるのか。  それから、ついでですからもう一つ聞いておきますが、先ほど打ち合わせでいろいろお聞きしたところによりますと、通産省が指定する地域と労働省が考えておる地域とはかみ合わない部分があるんだということでございますけれども、なぜかみ合わないのかという疑問が一つあるのです。通産の方では、この法案の第一条の目的の中にもありますように「別に講じられる失業の予防、再就職の促進等の措置と相まつて、」こうあるわけですから、重なり合っていないということになれば、これは相まってやれるわけがないのでありますので,その辺のところはどういうふうに調整されるつもりですか。
  187. 佐藤仁彦

    佐藤(仁)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま提案されております法律案の要綱の第一に「別に講じられる失業の予防、再就職の促進等の措置と相まつて、」という文言がございまして、これを受けまして労働省としてそういう地域に対するいろいろな雇用対策を講じていこうとしているわけでございます。  その柱は何かというお尋ねでございますが、第一点は、地域内の全事業所に対しまして雇用調整助成金を適用すること。先生十分御承知だと思いますが、雇用調整助成金は、事業所で経済的な影響によって事業活動が縮小した場合に、従業員に対して休業であるとか出向であるとか教育訓練をする場合に賃金の助成をするとか、そういう措置でございますが、それを業種にとらわれずその地域全体の事業所に対して適用することにしたいというのが第一点でございます。それから第二点は、地域離職者を雇い入れた事業所に対して一定の期間賃金助成を行うという特定求職者雇用開発助成金を支給することにしたいという点でございます。第三点は、離職して雇用保険を受給されている方に対しては、非常に求人が少なく就職が困難な地域でございますから、就職までの間日時がかかるということで雇用保険の給付日数の延長等の措置をとるということでございます。この三つが雇用対策としての柱になろうかということで検討いたしております。  それで、この法案と労働省のいろいろな地域指定関係とでは若干のずれが出てまいります。できる限り地域指定を合わせてやるということで通産省とも話し合っておりまして、通産省の方の指定基準についてもいろいろ考え方を聞かしていただいておりますので、できる限り地域調整して合わせていきたいという方向で検討いたしております。そういうことでできる限りやってまいりますが、地域的なずれが出てまいったといたしましても、通産省の指定された地域につきまして、今申し上げました三点の柱を持つ雇用対策が実質的にそれに準じて行われるように措置したいと考えております。
  188. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 一般的に考えると、通産省の地域指定よりは労働省の方の手を広げなきゃならない範囲というのはむしろ広くなるだろう、私どもはそう理解をしておるわけなんで、ぜひそういう面で対応していただきませんと、通産省の地域指定の方は労働省の方では知らないよなんということであってはこれは何にもならないわけでございまして、これは法律違反じゃないかなんということにもなりかねませんから、その辺はぜひ通産の方と十分連絡をとられまして、通産が指定した地域については労働省としては、無条件ということになりますと労働省のプライドもあるかもしれませんからこれは無理かもしれませんけれども、やはり通産と十分協議をされまして、地域指定をされたところはもう労働省の方もそれに対応していく、こういうことをぜひやってもらわなければこれは大変だということになると思うのです。  先ほど申し上げておりますように、企業の方の関係については、遅まきながらでも先に対応策というのは出てきておるわけですから、労働省の方はそれよりおくれている。もちろん労働省の分野に行くには若干時間がかかると思いますから、多少ずれてもそれはいいのかもしれませんけれども、やはり同じような歩調でやっていってもらいませんとこれは労働者の方が不安になるわけですから、この法律案は、先ほども同僚議員が午前中言っておりましたけれども、下手すると首切り法案につながっていく恐れもあるわけです。  そこで、先ほど質疑の中で、事業規模の適正化ということは人員の縮小もあり得るんだ、こういうふうに言っておられました。その中で不当な人員整理については都道府県知事に、そういう計画の場合には認可をしないように、そういう指導をするというように言われておりました。そのお答えを聞いている限りではもっともだな、こう思うのですけれども、私は不当な人員整理というのは何が不当なのかという判断は非常に難しいと思うのです。私も長い間労働運動もやってまいりましたし、あるいは中小企業の方も扱ってきておりますから、その辺のところはよくわかるわけでありますけれども、どなたがやられたって、あるいは裁判でもそうだと思うのですよ。これが不当だなんというのはそんなに数がたくさんあるわけないのです。しかし、雇われている人から見ると非常に不当だというふうに映るのですね。だから、この不当な人員整理の場合には許可しないように、こう指導されても、受け取る知事の方では何が不当なのか正当なのか、先ほど労働争議に関係している場合には云々ということがございましたけれども、そうなる以前のものだってたくさんあるわけです。したがって、そういう面の指導というものはきちんとやはりやってもらわないと、最終的には影響を受けるのはそこに働いている従業員の方々、この方々が一番大きな影響を受ける。  そのために労働省の方では今お話しのあったような体制もとったり、あるいは職業指導ということもやられるということだと思うのですが、従来の職業指導だけでは私はだめだと思うのですね。御案内のとおり、北海道の場合には、炭鉱労働者の場合でも函館どつくの離職者でもそれぞれ職業訓練は受けておりますが、数年前に職業訓練を受けたけれども、いまだにまだ数百名の方々は再就職ができないという状況でございます。それから、広域の移動とかいうことも言われておりますけれども、これだってなかなか大変だと思うのです。したがって、できる限りそこの地元産業に合ったような訓練を取り上げてもらうということと、それから、通り一遍というのは語弊がありますけれども、単に訓練すればいいということでなくて、今高度な技術を要するものもあるわけですから、そういう高度な技術については、例えば年数を延ばしてもその技術を習得していただく。そうすれば、広域移動なんかで本州へ来て先端技術産業の方に行ける方もあるいは出てくるかもわからない。そういうことも考えられますので、そういう訓練ということもやはり考えていただかなければならないんじゃないかと思うのですが、その辺の対応というのはどういうふうになるわけですか。
  189. 松崎朗

    ○松崎説明員 先生が御指摘のとおり、労働者の再就職の促進といったことについては、職業訓練が非常に重要だと考えております。したがいまして、公共訓練校におきましても、就職しやすい科目の職業訓練を機動的に実施するということに努めておるわけでございますけれども、御指摘のような問題はまだございます。  今後とも、特に第三次産業でありますとか、先生の言われた高度のME関連の職業訓練、こういったものに従来の訓練の科目を転換いたしましてやっていく、それからまた、専修学校、各種学校への委託訓練を行う、この枠も拡大していくといったことによりまして、就職しやすい科目の訓練を機動的に実施するということに努めてまいりたいと考えております。
  190. 田村元

    田村国務大臣 既に御承知と思いますが、先般私が通産省の担当局長を伴いまして労働省へ参りました。そうして大臣、事務次官等にいろいろと御説明申し上げ、そうして一緒にひとついろいろとまた御協議願いたい。と申しますのは、実は私は労働省は御縁が深うございまして、大臣と政務次官と両方労働ではやっておるのです。かつて緊就というのは政務次官時代にやった問題、それから労働大臣のときも離職者対策あるいは職訓等手がけてまいったものでございますから、通産省の役人にももちろん優秀なのもたくさんおりますけれども、労働問題に関してはやはり何といっても労働省は玄人だ。だから、双方で事務次官を長とするチームをつくって、そうして十分に腹を打ち割って協議してよりよき効果をあらわすようにしたらどうか、こういうことでお願いをしたわけでございます。  早速それを実行できまして、昨日お昼に通産、労働両省会いまして、それで第一回の会合はとにかく双方が考えておることを、一応羅列的ではございましたでしょうけれども述べ合ったそうでございます。そうして、これからお願いすべき点はお願いし、また議論すべき点は議論するということで、緊密な連係プレーをやろうというふうにいたしましたので、その点はどうか御理解をいただきたいと思います。
  191. 奥野一雄

    ○奥野(一)委員 もう時間もなくなってきましたので、労働省の方にも特にお願いをしておきたいのですけれども、事業転換でもあるいは新分野ヘの進出でも、私はある程度相当力のある企業だというふうに先ほども申し上げております。それから、小さな企業体になりますと、労働組合がないというのはほとんどなんですよ。ほとんどです。ですから、知事に対して計画を出して認可を受けるときに、やはりそこにいる従業員の意向というものがどのくらい反映されているか、これは非常に大事だと思うのですね。小さな企業になれば、仮に労働組合がなくても、家族的なつき合いの中で経営者とやっているという職場もたくさんあります。ですから、その人たちは本当に雇い主が、経営者が温かい気持ちを持っていれば理解するのです。自分たちに不利だなと思ってもそれで理解をしてしまうというのが大体多いんですよ。  ですから、それはそれなりでいいということでなくて、やはりそういうような従業員の方々が困らないというようなことも一緒に考えてやらないと、適正規模の計画ということになれば、これは合理化ですから、合理化ということは人員を削減するということに当然なっていくわけなんで、削減される方にすればこれは大変なことになるわけです。したがって、そういう面についての配慮は十分指導の中で生かしていただきたい、このことを御要請を申し上げておきます。  あと簡単に一、二大急ぎでやりますが、これはお答えをいただかなくてもいいのでありますけれども一つは、今度の補正予算の中で転廃業円滑化対策一千億予算が組まれております。これは間違いのないようにぜひうまくやっていただきたい。事故を起こさないように。これは一つ申し上げておきます。  それからもう一つは、今度の法案の中で大きく宣伝されておりますのは、三・九五%という安い金利だ、こうなっていますが、実際には、今から想像するのは悪いかもしれませんけれども、この金利を使える方々というのはどのくらいあるのかなとちょっと今まだ疑問に思っております。大いに成果が上がって資金枠が足りなくなるくらい出てくれば、出ればまた産業としては困るわけでありますけれども、そのくらいになってくれればいいなと思うのでありますが、今まででも余りない、こういうことがありますので、その点についてはできるだけ絞らないで、可能性があるならむしろ広げて大いに利用してもらうようなことを積極的にやってもらいたい、これがあります。  それからもう一つは、この融資の場合、先ほど同僚議員の方でもちょっと質問があったのでありますけれども、銀行へ借りに行って銀行が貸すわけでしょう。先ほども民間銀行という話を聞いたわけでありますけれども、なかなか民間銀行というのは簡単に貸さないのですよ。私が不思議に思うのは、事業者から計画を出させて知事がこれを認可するわけでしょう。そうすると、知事は上がってきた計画書をうのみにして判こを押すわけがないと思うのですよ。やはり相当な、基準に合っているかどうかということを調べて認可をするのだと思うのですね。そうしたら、知事が認可をしたら金融機関は文句を言わないで貸し出せ、そのくらいのことをやらないと、今までの状況から見ますとここでトラブルが起きてくる要素が出てくる、こう思いますので、それはぜひそういう方向に持っていけるように、これは大蔵等の関係もあるかもしれませんけれども、積極的にやってもらわないと、知事が認可をしたわ、さあ末端ヘ行って民間銀行へ行ったら、ああでもないこうでもないということばかり言ってそう簡単に貸し出しをしない、そのうちにおかしくなってしまったなんということになったらこれは大変ですから、そういう面について特に御要請を申し上げておきます。  それからもう一つは、今の三・九五というものは、この前の第四次ですか、あの公定歩合が下げられる前の発案でないかと思うのですが、今下げられて、これがもっと安くなるというようなことにはならないのですか。これはそうなりませんか。あれはたしか今の公定歩合が下げられる前に考えられたことでないかと思うのですよ。それだったら何とかなりそうな気もするので、できるだけ安い方にこしたことはないわけですから、これは何か考えてもらってもいいと思うのです。  それからもう一つは、都道府県に財源措置をある程度してもらわなければならないのですけれども、これは都道府県に余り迷惑をかけないようなことでやってもらわないと、北海道の場合なんて全く金がありませんから、これは大変なことになると思うのですね。そういう面の配慮について簡単にお答えを聞いて終わりたいと思います。
  192. 岩崎八男

    岩崎政府委員 今御注意なさいましたこと、一々もっともでございますので、私どもとしてはこの施策が実効あるものにすることが最大でございますから、できるだけ運用に当たってそういう実効ある運用ということでやっていきたいと思っております。
  193. 佐藤信二

    佐藤委員長 これにて両案に対する質疑は終了いたしました。     ─────────────
  194. 佐藤信二

    佐藤委員長 この際、特定地域中小企業対策臨時措置法案に対し、藤原ひろ子君外一名から、日本共産党・革新共同提案による修正案が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。野間友一君。     ───────────── 特定地域中小企業対策臨時措置法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ─────────────
  195. 野間友一

    野間委員 ただいま議題となりました修正案につき、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  今、全国の輸出型産地企業城下町等の中小企業は、一年を超える異常円高のもとで深刻な苦境に直面しています。我が党がかねてより主張してまいりましたとおり、この円高政府の政策として行われている以上、政府被害救済のための抜本的な対策をとる責任があります。特にこの法案に基づく特別貸し付け制度につきましては、激甚災害特別被害者融資など当事者の責任に属さない事情によって被害を受けた場合に実施されたものと同様の措置をとるべきであります。  また、今回の政府原案の特徴は、「特定地域」の政令による指定と、当該指定地域の中小企業者及び組合等が「新たな経済的環境への適応措置に関する計画」をつくり都道府県知事の承認を受けた場合、承認計画に基づいて各種の助成策が受けられるという仕組みにあります。この「計画」の内容につきましては、新分野進出や事業規模の縮小等も含まれていますが、それが関係下請中小企業などの切り捨てにつながってしまっては、法案の目的でもある地域経済の安定に寄与できないことは明らかであります。  さらに、「特定地域」の指定に当たって、当該地域の実情を把握している関係都道府県知事の意見を聞くことは、実情に合った地域指定を行い、施策の効果を上げる上でも不可欠であります。  以上の理由により、政府案の内容を補強するための修正案を提出する次第であります。  次に、修正案の主な内容を御説明いたします。  第一は、この法律に基づき新設される予定の特別貸し付け制度の金利について、激甚災害対策並みの年三%以内とするものであります。  第二は、個別中小企業者や組合等が作成し、都道府県知事の承認を受けるとする第三条の「計画」につきましては、関係下請中小企業の事業の安定に特に配慮すべきであるという規定を置くものであけます。  第三は、特定地域の指定に当たって、政府は、当該地域を管轄する都道府県知事の意見を聞いた上で指定を行うことを明記するものであります。  なお、本修正に必要な経費は約五十億円であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  196. 佐藤信二

    佐藤委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。  この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣において御意見があれば発言を許します。田村通商産業大臣
  197. 田村元

    田村国務大臣 ただいまの修正案につきましては、政府としては反対であります。     ─────────────
  198. 佐藤信二

    佐藤委員長 これより特定地域中小企業対策臨時措置法案及びこれに対する修正案並びに中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  これより採決に入ります。  特定地域中小企業対策臨時措置法案について採決いたします。  まず、藤原ひろ子君外一名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  199. 佐藤信二

    佐藤委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。  次に、原案について採決いたします。  原案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  200. 佐藤信二

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  次に、中小企業信用保険法及び特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 佐藤信二

    佐藤委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ─────────────
  202. 佐藤信二

    佐藤委員長 ただいま議決いたしました特定地域中小企業対策臨時措置法案に対し、田原隆君外三名より、自由民主党、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・民主連合四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。城地豊司君。
  203. 城地豊司

    城地委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     特定地域中小企業対策臨時措置法案に対する附帯決議(案)   政府は本法施行に当たり、最近の内外の経済環境の著しい変化に伴う中小企業の深刻な実情にかんがみ、特に、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 特定地域の指定に当たっては、経済活動及び雇用状況の悪化が集中的にあらわれている地域を弾力的に指定するよう配慮すること。  二 特定中小企業者等の適応措置に関する計画の作成に際しては、当該事業者に雇用される労働者の意見を聴き、雇用安定の確保を期するよう指導すること。  三 都道府県知事の適応措置に関する計画の承認については、地域の実情等に応じ弾力的に対応し得るよう承認基準の策定に配慮すること。  四 適応措置に関する計画の承認を受けた中小企業者に対する融資制度については、超低利の融資制度の趣旨が十分生かされるよう融資基準の策定に配慮するとともに、特定中小企業者事業転換対策等臨時措置法に基づく事業転換に対する融資制度の運用の改善についても検討すること。    なお、中小企業金融については、公定歩合の引下げが適切に反映されるよう配慮すること。  五 特定地域に対する公共事業の重点配分については、その実効をあげるよう十分配慮するとともに、官公需の発注に当たっても、可能な限り特定地域の中小企業者に対し優先的に行うよう努めること。  六 特定地域の企業誘致の促進を図るため、必要な助成措置の拡充について検討すること。  七 一般的な雇用情勢、特に特定地域雇用情勢の実情にかんがみ、関係機関の連携を一層緊密化し、雇用対策に万全を期するよう措置すること。 以上であります。  附帯決議案の内容につきましては、審議の経過及び案文によって御理解いただけると存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  204. 佐藤信二

    佐藤委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  田原隆君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 佐藤信二

    佐藤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、通商産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。田村通商産業大臣
  206. 田村元

    田村国務大臣 ただいま御決議となりました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して、本法案の適切な実施に努めてまいる所存でございます。ありがとうございました。     ─────────────
  207. 佐藤信二

    佐藤委員長 この際、お諮りいたします。  ただいま議決いたしました両案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 佐藤信二

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔報告書は附録に掲載〕     ─────────────
  209. 佐藤信二

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時二十四分散会