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薮仲委員 私はここで二つ
指摘しておきたいのですが、もしもこれがことし限りというなら非常に不公平の感を免れない。いわゆる持ち家をつくる人に、
景気対策のためにわずか数ヵ月間やったのか、十月一日以前にやった方は非常に損をした、こういうことが建設行政の中であってほしくない。やはり国民が納得できるような、取ってつけたようなことであってはほしくないわけです。
これは
課長、専門ですからちょっと、なぜそれを問題にするかというと、これは長官よく知っておいてください、これはいわゆる家を建てるというときには、建てたいという世代があるわけです。今の住宅公庫融資、二十五年です。三十歳から三十九歳で建てないと、例えば六十とか七十、高齢化社会が来ますが、そこから建てようというと大変なんですね、やはり老後の生活、医療等で。やはり建てる世代というのは三十から三十九歳なんです。
きょうは
数字だけ簡単に申し上げておきます。厚生省の人口の統計が出ているわけでございますけれ
ども、この中で、五十五年から六十一年までは三十歳から三十九歳が大体二千万近いのです。ところが、六十二年以降年々百万ずつ減ってくるのです、団塊の世代が移ってくるものですから。六十二年になりますと千九百万、六十三年は千八百万、六十四年は千七百万、六十五年は千六百八十七万と、三十代の男女の数が減ってくるのです。ということは、家を建てようとする世代ががくんと減っているのです。これは建設省が専門ですからよくわかっているのです。
私の言いたいのは、持ち家志向といっても最近の若い方は所得と、住宅の値段が高過ぎるのです。きょうは本当はやりたいのですが、乖離が五倍近いのです。四倍、五倍なんです。もう手が届かないのです。そうすると、楽しい生活を送るために借家でもいいやというニーズが、先ほど言ったように分かれているのです、今どっちへ振ろうかな。しかも
一つ、建てようとする世代の人口が減ってきます。このときに、こうやって
経済対策とはいえやるということ自体いかがかなといる気がするのです。
もう
一つは、新しく家を建てるのは、今住んでいる持ち家の人が建てかえ
需要なんです。これも建設省の住宅統計でいきますと、五十四年が二十一万五千二百、これが五十五年にいきますと二十万八千二百、そして五十八年の統計でございますが、十六万五千と減っているのです。ということは、建てかえの意欲も非常に落ち込んでいる事実がございます。
今、住宅金融公庫等でぽんと建てやすいようにしました。でも、そこに欠けてくるのは地価の
対策なんです。これは地価
対策をしっかりやりませんと、このように上物だけをやりますと必ず地価が高騰してきます。きょうは国土庁もお見えいただいて地価の問題もやりたかったのですが、
総合経済対策というものはやはり取ってつけたようなことをおやりになると、どこかで非常にきしみが出てくるし、長い
計画の中でやっていることが非常におかしな形になりはしないかなという懸念は、私これで感じておるのです。
また、この中で多くの規制緩和をやっていこうということは認めます。でも、さしあたってすぐできるような規制緩和というのは非常に少ないわけです。特に、金科玉条のごとくいつも出てくるのは、東京環状七号の内回りの一種を二種にすれば建物が建ち上がるごとく言います。幻想です、あれは。八%です。この八%の一種を二種に変えられるかというと、これはもうなかなかそうはいかない。なぜいかないか。これは現在の建築基準法に前面道路幅によっての建ち上がりの斜線制限があります。それからまた北側斜線制限、日照権、
地域住民の同意がなければだめです。ですから、この環状七号の内回りの一種住専を二種に変えればいいんだ、こういう言い方をすること自体が、ある意味においては私は説得力のある話に見えますけれ
ども、これを本気になってやろうすると、とてもできない話です。建ち上がりません。こういうことが今度は出てくるわけです。ですから私は、やはりこの中で、例えばガソリンスタンドの上に喫茶店でも設けよう、ファーストフードを設けよう、これはいいと思うのですよ。でも、右のものを左に移したぐらいで
経済効果があるのかなという懸念も、私は読んでいて感じます等々、この
一つ一つを見てまいりますと、私は非常に
経済効果といいますか、疑問のある点があるわけです。
きょうは残念ながらこれで終わりますけれ
ども、私はもう少し本当の意味で国民
経済を下から底上げするような
対策をやっていただきたい。特にこの中で、私は見るべきものとは言いませんけれ
ども、もしも民間活力で、わずかの金で一千億
程度のあれが出てくるということができればいいですけれ
ども、中にはもう仕事にかかってますよという方もあるわけでございます。
ただ私ここで、最後の御答弁でお願いしておきたいのは、さっきちょっと落としましたけれ
ども、金属鉱業、この金属鉱業の状態は非常に深刻でございます。特に、これは
資源エネルギー庁の所掌だと思いますけれ
ども、いわゆる緊急金属鉱業
対策の基金というものは非常に大事でございますので、ぜひともこれは実現をしていただきたいと思うわけでございます。
最後に、両
大臣にお願いがございます。
経企
庁長官はきょうはこのくらいで終わったわけでございますけれ
ども、やはり来年度の予算編成にしっかりとした
景気の
対策を織り込んだ予算を組んでいただいて、なるほど大丈夫だなという手ごたえが国民にわかるようにしていただきたい。
それから
通産大臣に、これは意見として、
考えとしてお伺いしたいわけでございますが、
経済構造を変えるという話がよく出てまいります。しかし、我々五十代あるいは四十代、両
大臣ともそうだと思いますが、人生の生き方が余りにもかたくなな部分がございます。仕事を趣味としてというような生き方で生きてきたり、まじめ一方で働くことを人生の生きがいのように生きた数多くの人がいます。しかし、これから
日本の社会も
経済構造を変えると同時に一人一人の生活の感覚を変える必要があるのじゃないか、もっと文化的な素養やいろいろな知識を学びながら人生は楽しもうというようなゆとりのあるような生活の状態をつくらなければならない。これは学校教育だけじゃできない、社会教育だけでもできない、やはり今は会社ぐるみで何となくそういう空気もつくっていく必要があるのじゃないか。
日本の国の全体がもう少し生活を幅広く文化的に、ゆとりを持って生活するような
方向性を築いていかないと、単にぎしぎしと
経済の
構造だけを変えればよくなるかというと、やはり人間の生活様式、生活の感覚、そういうものも政治の中で、教育だけではなくて、すべての
企業やあらゆるところで生活慣習を変えていかないと、生活の取り組みを変えていかないとミスマッチが起きてくるんじゃないかな、私はこのようにも
考えられます。
いずれにいたしましても、この総合
経済政策、私は非常に不十分じゃないかなという懸念を持ちながら雑駁な質問をさせていただきましたけれ
ども、来年の予算編成等を踏まえて最後に両
大臣の御決意を伺って質問を終わりたいと思います。