○
田中(美)
委員 熱意なんていうのは、それはあなたは公務員としての熱意を持ってやっていらっしゃるかもしれませんけれども、私も熱意を持ってお
年寄りが屈辱を感じない、本当なら
年寄りに尊厳を守った
生活をしていただきたい、こう思いますけれども、せめて屈辱にまみれないような
生活をお
年寄りにしていただきたい、早急にしていただきたい、こういうふうに思うわけです。
しかし、今お話を聞いていますと、私も
国会に来てもう十何年になりますけれども、毎回社労で話すときに、将来のお
年寄りまでが安定するように、いつもこういうふうに言われるんですね。そうすると、何となく将来よくなるようですけれども、十何年たちましたけれども、いつも今のお
年寄りというのは置いてきぼりになるのですね。ですから、十年先になったら、また十年先の
年寄りがちゃんといくようにと、またそのときの
年寄りはだめになるのですね。私なんか絶対間に合わないなというふうに思うのです。今のお
年寄りをどうするかというところからいかなければいけないのに、今はほっ散らかしておいて、そして将来とも
制度をつくっていく、こういうわけですから、そういうことで熱意を持っていたのでは、今ここにいらっしゃる方たち全部いなくなってからどんなものができるかわかりませんけれども、年をとって大変なことになるというふうに思うのですね。
国が責任を持たない。十カ所つくるのに四億と言っていますでしょう。百カ所二十八億でしょう。森進一だかだれだか忘れましたけれども、北島三郎だったか忘れましたけれども、その人一人の家でも三億だとか四億で家を建てているという人がある
時代に、お
年寄りに快適に住んでいただくものを百カ所つくるのに二十八億円の金を出して、この熱意を御理解くださいなどと言ったって、これはその費用はみんなそこに入所する人にかかってくるのですよ。ですから、二十万と言ってますけれども、
措置費の十九万というのは建物も全部別ですからね。これで二十万が平均として、約二十万近くが特養の場合には使われていくわけですけれども、
老人保健施設の方でしたら、この二十万というのは家の建設費から皆入っていくわけですからね、実際には物すごい金を取られる。その上に自由契約でしょう。自由契約をしなさいというわけですから、いわゆる何々病院というようなものをつくって、その病院がお
年寄りを入れて、それであなた幾ら払えますか。自由契約ですね。国は五万だとか十万だとかというような形でガイドラインを決めて、これぐらいのところにしておきなさいよというふうに言うだけであって、これは
法律事項でも何でもないわけですから。
今だっていろいろなところでお世話料なんかを十万も十五万も取っているところがたくさんありますでしょう。今
入院費は一日三百円といっても、お
年寄りが
入院していますと平均十万円ぐらいかかっているのですよ、差額ベッドだとかそういうので。特別高いところは別ですよ。それぐらい本当はかかっているのですよ、三百円と言ったって。今度五百円になって、一年間になったら十倍になって十八万になる。これは十倍に上がると言っていますけれども、本当は一年間
入院して十八万円で済むものではないわけですよ。そうでしょう。差額ベッドもあればお世話料もあれば、いろいろな形で取られる。そうしましたら、この
老人保健施設なんというのは全くの自由契約ですから、金持ちは幾らでも金を出して特別室に入るとか、食費がみんな違う。私は、これは五年ぐらい前のことですからちょっと古いかもしれませんけれども、アメリカのナーシングホームを三十カ所ぐらい見てきました。十階建てぐらいのところで、各階によって値段が皆違うのですね。食べ物も全部違うのです。部屋の大きさも違うのですね。これは実に屈辱的ですね。ですから、アメリカの
老人問題というのは本当にひどいものだというふうに私も思ってびっくりしたのですね。日本は全体のレベルは低いですよ、低いですけれども、これを平準化しながら一歩一歩上げていくという形で、
福祉元年のときから少しずつきたわけでしょう。
ところが、中曽根内閣になってから、一気に戦後の総決算などと言い出して、そして
福祉の総決算をする。今度の
老人保健施設というのは、まさに
措置費をなくすということですね。ですから、これはほかの精薄だとか乳児院だとか、そういう
福祉施設の
措置費までこれから取られていくんじゃないか、保育所もやられていくんじゃないか。
福祉関係の研究者もまた
福祉関係のところで働いている人たちもそういう心配をしているのです。ですから、今度の
老人保健法は単なるあれだけではないんだと、千円になるとか
入院費が高くなるだけではないんだと、一番大事なところはここなんだと、この
老人保健施設のところなんだと富岡氏が言っているじゃないですか。新聞に千円とか
入院費だけがひとり歩きしているけれども、一番大事なところは、この
老人保健施設のところなんだ、こう言っている。ということは
措置費を崩していく。今までは補助金をカットするという形だった。今度は柱を削っていくのですよ。だから、富岡さんがこれは一番大事なんだ、何としてもこれは通さなきゃならないという熱意はわかりますけれども、こういう熱意ではたまったものではないわけですよ。ですから、
措置費
制度のない
福祉施設みたいなものをつくるということは、これは——なぜ特養にもっと医者をふやし、PT、OTを置いて、これを早急につくるということはできないですか。
大臣、こんなわけのわからない、いいかげんなものでなくて、今の特養はちゃんとわかるわけですから。この特養はどこが足らないか。責任は国が相当持っている。私はそういう意味では精神的には立派だと思います、特養は。ですけれども、PT、OTがいないとか医者が嘱託医しかいないとか、こういうことではおかしいと思うのです。その点ちょっと
大臣お願いします。