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河野(正)
委員 私は、薬というものは、
一つは安いがいいです。しかし、安いがいいといって安ければよろしいということじゃない。安全性がなければならぬ。それからもう
一つは、やはり安定供給ができなければならぬですね。あるときはあったけれ
ども、やみですからその次はなかった。これじゃいかぬ。ですから、私はこれは三原則と言っているのですが、
一つは安全性、
一つは安価ということ、もう
一つは安定供給、この
三つがそろわなければいかぬと言っているわけですね。
大体現金問屋がなぜ安いかといったら、異常な形で流れてくるわけですね。例えば試薬のごときは、メーカーから証紙がないのですよ。これは税金
対策で証紙を張ってないのです。それで中身は同じですね。そういう形で流れてくるわけです。
それから、かつてある医療機関が所得税法違反で摘発されましたけれ
ども、大量に銘柄品を買って、そしてそのままそっくりブラックマーケットに流したわけですね。そうすると、それは病院としては一応買ったことになっていますから支出になるわけですよ。そして実はゾロ商品というのがあるのですね。ゾロゾロという
意味ですからゾロ商品。そういう薬を新たに買い込んで、そして不正請求をするわけですね。実際に請求する場合には、銘柄の薬を使ったと言う、そして実際的にはゾロ商品を使っている、そういうことで摘発された。これは一例ですよ。そういうことがありました。とにかくいろんな非常にやましいルートで入ってくるわけですね。
安くするというのは、これは当たり前のことです。ですけれ
ども、それが本当に安全性があるのかないのかということですね。それからもう
一つは、安定供給ができるのかできないのか、そういう問題がある。現実にやはり県立病院とか市立病院とか、実はそういうにせ薬を買うて
患者さんに使っているわけでしょう。そして保険料を請求しているわけですから、保険
局長、これは一体どうだという
質問をしたのですけれ
ども、公的医療機関がそうですよ。だから私
ども、市立病院とか県立病院はともかく、少なくとも国の機関だけはできるだけそういう危険性に近寄らないようにした方がよろしくはないか、こういうふうに忠告をしてきたところですね。ところが、とにかく経費を抑えろ、そのためには安ければいいぞ、安いのを買え、こういう指導が行われておるやに聞いております。だから結局、各病院で点数を上げようと思えば、そういうやみ市場から買うて安い薬を使った方が経費をうんと抑えることができるわけですから、そういう傾向まで出てきておる。
それともう
一つは、薬価基準ができるでしょう。ところが薬価基準を決める場合はバルクラインがありまして、
厚生大臣初めてでしょうが、それで高いところから安い方に一列に並べて何%で切る。その際に、そういうやみ市から買うてくれば非常に安いですね。そうしますと、それが薬価基準をつくるときの材料になるわけですよ。国が薬価基準をつくっておいて、国
自身が薬価基準を破るような行為をやっているわけですね。これはやはり問題ですよ。
ですから、それを全面的に排除するというわけにはいかぬでしょうけれ
ども、できるだけそういう危険な道は歩まない方がよろしいですよ、こういう
指摘はしておるところですけれ
ども、
先ほど言うように、
局長は、その後
調査しておりませんからよくわかりません、私が結論がわからぬと言うたのはそこを言うたのです。
国会で
質問をしたら、やはりきちっと
調査して、
調査を続けて、こういう
状況に立ち至っております、改善されつつございますというような答弁をするのがしかるべきじゃないでしょうか。それがやはり
国会の議論を尊重するということじゃないでしょうかね。といっても、とにかく
委員会が済めばよろしい、
委員会の間だけとにかく耳に栓をして二時間頑張っておればよろしいぞというような、これでは私
どもが一生懸命勉強して、一生懸命ここで主張しても何にもならぬですよ。しかし、それは私
ども、点数稼ぎじゃないですよ、
国民の命を守るために言っておるのですよ。ところが今のような、
局長も医者で私も医者ですから、非常に申しわけないけれ
ども、やはり医者なればそういう命に関連する商品というものについてはもっと慎重に配慮さるべきじゃなかろうかと私は思います。そういう
意味で私は
局長に期待をしておるわけですよ。
でございますから、その後
調査しておるかわからぬとおっしゃったが、少なくとも今国立関係の医療機関が二百七十ぐらいありますか、そのうちの四十二が取引しているのですよ。そう少ない方じゃないですよ。二百七十のうちの四十二ですから少ないことないですよ。ですから、それをゼロにするということはなかなか難しいでしょう。でしょうけれ
ども、やはり審査を適切にして、とにかく厳正なる審査をして、そしてこれは確かだということで選定をして入札させるというのが今の
政府の
お答えです。ところがそうなってないからそういうにせ薬が入ってくるわけです。ですから、その原因は、やはり何といってもずさんな薬務行政にある、こういうふうに御
指摘──これは警察庁が
指摘されたところじゃないが、新聞にそう書いてありますから。そういう
意味で私
どもは、これはやはり
厚生省自身が
反省されて、そしてそういう誤りがないようにやられるのにはいいのじゃないか、こういうふうに思うわけですから、もう一度
局長、申しわけないが登壇して、ひとつ前向きな──私が言うのは前向きですから、前向きな答弁をひとつ
お願いしたいと思う。