○
堀委員 両
取り締まり当局から特に
意見がないとおっしゃることは、この
制度は、現行の
個人本位選挙に比べて
取り締まり上からも望ましい
方向ではないか、こう考えておるわけであります。
そこで、私、この間あるパーティーの席上で
藤田参議院議長にお目にかかったものですから、こういうふうに申し上げたのです。
選挙法というのは
国会議員を定める極めて重要な国の
法律でございますから、ある
一つの
制度ができて、それを直ちに取りかえてしまうというようなことは実は私はいかがかと思いますが、
参議院議長は今度の
検討について、
比例代表という枠内でいろいろと御
検討をいただき
改正されることは大変結構だと思うのでありますが、もう
比例代表をやめてまた別の
選挙制度を導入しようというようなことであれば、これは私はちょっと問題があろうかと思いますが、議長いかがでしょうか、こうお尋ねをしましたら、
藤田参議院議長も、いやそれは堀さん、朝令暮改のようなにとをやるべきではないと思います、私も
比例代表選挙の中で
改正が行われるのがいいんじゃないかと思いますよ、こういう
お話がこの間ございました。
また、ある会合の席上で
久野忠治先生にお会いをしまして、何か
比例代表の問題について
改正論が多いけれ
ども、
久野さん、この
制度のいろいろな問題について、中身の
検討はいいと思いますが、
比例代表制度そのものをほかの
制度に取りかえるということは、私はこの
法案を
大変苦労して
成立をさせた当事者の一人として、そういうことには
賛成できないんですがと言いましたら、
久野先生も、いや堀さん、私も全く同感だ、あの
選挙法をやるときに
自分は
委員長として
大変苦労をしたし、この
制度は決して悪い
制度だと思わないので、私は堀さんの
意見に
賛成ですよと、当時の
公職選挙の
委員長で大変な御苦労をいただきました
久野先生もそういう
お話でございました。
そこで、私が大変古くからこれをやっておるということを御披露いたしましたのは、私は
国会議員でございますけれ
ども、別の角度から見れば、
公職選挙法等については
学識経験者としても外で評価されるというか通用するような
立場にもございますので、きょうは党の問題とは離れまして、ある意味では
学識経験者としての
色彩の濃い
立場から、この問題についての
個人的な見解を申し上げたいと思うのでございます。
といいますのは、私は、当
委員会に
鈴木総理に御
出席を願って、実は
衆議院の
選挙制度についてもここで問題を提起させていただきました。それはどういうことを申し上げたかといいますと、何にしても、
参議院は
一つできたけれ
ども、
衆議院は依然として
個人本位の
選挙制度です。例の
田中角榮さんの問題というようなことは、
田中角榮さんというのは
大蔵大臣として最も有能な
政治家でございましたから、ああいう
事作が起きたことは大変残念だと私は思っているのですが、結果的には
個人選挙というのは
大変お金がかかる。特に、
自民党の場合はすべての
選挙区に
複数候補が出ておられますから、
個人が
選挙をするときに、
政党の
政策を掲げて二人も三人も出ておられるところでは実は
選挙にならないのであります。どうしても
個人の
色彩を強く出して争わなければならない。そうすると、今の現実は、
お金がたくさんあっていろいろと
後援会組織を拡大をして、ふだんに旅行に連れていく、
観劇会に連れていく、いろいろなサービスをすることによって
後援会組織を広げて、そうして
当選をする。そうでない方もたくさんいらっしゃいましょうが、一番手っ取り早いのはそういうことが行われていると見ているのであります。私も
昭和三十三年に
国会に出てまいりまして、今日まで在職二十六年になるのでありますけれ
ども、目の当たりによく見せられているのであります。
そこで、どうしても
衆議院も
政党本位の
選挙制度にしたいということで、実は
西ドイツ式の
比例代表小選挙区制というものを導入してはどうでしょうか、それも、導入するとなれば大変な混乱があると思いますから、どこかで決めて、施行は十年先から施行すればいい。
選挙は大体三年に一回行われますから、十年先ということはその間に三回
選挙が行われるわけであります。私
どもが承知している範囲では、我々の総
選挙で
現職議員の大体二〇%から三〇%
程度は入れかわると言われているわけでありますから、三回やりますとかなりの方が入れかわっている。ですから、十年先に
選挙をやるときにはこの
制度だよということがわかっていればいいんじゃないですかということを
鈴木総理に申し上げたら、
鈴木さんは、堀さん、十年は長過ぎるな、五年でいいんじゃないかなんて言われたですけれ
ども、五年でいいと言ったって、決めなければ五年でいいことにならないんで、私は、すべての
法律についてどこかで決めて、急がない、ともかくも実施ができる、望ましい
方向に行くということが大切だと思っているのでありますが、そういう考え方をもとにして、今の
比例代表を私が
拘束名簿式という
格好で案を書いたわけであります。現在そうなっているわけでありますが、実は私は、
最初から
拘束名簿よりも
有権者が
比例代表の
順位に介入できる
西ドイツ方式の
比例代表の方が望ましいと思ったのでありますが、
最初から複雑な仕組みにしましたら、なかなかこういう基本的な
抜本的改革というのはうまくいかないだろう、一番シンプルなものを提案した方かいい、こう考えて、実は
拘束名簿式比例代表という案を
昭和五十年に私
どもの案にしたわけであります。
選挙をやってみた結果、この前、
金丸さんが話しておられたのですが、堀さん、ともかく
人間が
人間の
順位を決めるなんというのはさたの限りだとおっしゃるので、私は
金丸さんに、あなたの言うとおりだ、私も
人間が
人間の
順位を決めるのはおかしいと思う、
福沢諭吉先生が、天は人の上に人をつくらず人の下に人をつくらずと言われておる、
民主主義の
原則ですから、私もそう思う、だからそれは
改正に値するということを
金丸さんに
お話をしたことがあるのであります。
そこで、今私は
学識経験者という
立場から、ちょっと新しい問題を提起させていただこうと思っております。今皆さんのお
手元に、実はこれは
自治省からいただいた、
比例代表でないのも入っているのですが、「
参議院比例代表選出議員の
選挙の
投票用紙の
様式」、左側が
比例代表の
様式のようでございます。これは、現在は
政党投票でありますから、
政党の
名前だけを書いたものが有効ということに現状はなっているわけでありますが、これに右側にちょっと一枠設けて、
政党名を書く欄と
候補者名を書く欄と、一票でありますけれ
どもそこに二つ書くようにしたらどうだろうか。そういたしますと、
比例代表としては
政党名で
政党の
枠組みは決まります。今度は
候補者は、当然
候補者リストが出ておりますから、その
候補者リストに対して
選挙民が
選択権を持って、
甲野一郎さんという人を
自分は推したいと思えばその人の
名前を書く。ただし、これは
異種政党では無効になります。要するに、
社会党の
甲野一郎というのであれば、
社会党と
甲野一郎という
社会党員が同じであれば有効でありますが、これが
自民党の人の
名前を書いておればこの票は無効になる。ですから、同一
政党同一の
候補者によって
国民がその
候補者リストを見て
投票をして、
投票の一番多い人から今度は
順位がつくという
格好になりますから、言うなれば、
政党の
枠組みは決めましたけれ
ども、その
順位は同時に
国民の
選択に任すということになれば、
政党がそれを決めるのではなくて
有権者がみずから決める、こういうことになるのであります。当初私はこういうことを考えたのでありますが、これをやりますと非常に複雑で、
昭和五十年につくったときに、まだそれが
法律になるとは思ってなかったわけでありますが、もしやるとしたら、まずシンプルにやろうというので
拘束名簿、今度は二回やってこの
制度が定着をいたしましたから、
有権者の
選択をひとつお願いしてはどうか、この
参議院全国区
比例代表制を考えた者の一人として、これがさらに望ましい姿ではないか、こんなふうに実は考えて、今私なりの試案を、
個人的なものではございますが、御提案を申し上げたわけでございます。
今の中身の話もさることながら、
比例代表選挙というものについて、
政党本位の
選挙制度のプラス面、
個人本位選挙制度のマイナス面というようなものをいろいろと申し上げました。簡単で結構でございますから、ひとつ自治大臣から、一体、
比例代表選挙というのは望ましい
制度かどうか、そして今私が申し上げたように、
拘束名簿というのを
政党が決めるということはやはり問題があるというさっきの
金丸さんの
お話も私同感なものですから、今度は
有権者が決めるという方法が今の
拘束名簿式よりはより開かれた民主的な
選挙制度になるのではないかという感じがいたしますので、自治大臣の感触をひとつお答えをいただきたいと思います。