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1986-12-10 第107回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年十二月十日(水曜日)     午前十時開議  出席委員    委員長 新井 彬之君    理事 臼井日出男君 理事 太田 誠一君    理事 亀井 善之君 理事 塚原 俊平君    理事 森田  一君 理事 永井 孝信君    理事 山田 英介君 理事 伊藤 英成君       岡島 正之君    加藤 卓二君       北川 石松君    左藤  恵君       佐藤 静雄君    吹田  愰君       柳沢 伯夫君    緒方 克陽君       関山 信之君    野坂 浩賢君       木内 良明君    玉置 一弥君       辻  第一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   葉梨 信行君  出席政府委員         警察庁交通局長 八島 幸彦君         総務庁長官官房         交通安全対策室         長       矢部 昭治君         運輸省地域交通         局長      熊代  健君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省貨物流通         局長      松村 義弘君         建設省道路局長 萩原  浩君  委員外出席者         大蔵省主計局主         計官      佐藤  謙君         大蔵省銀行局保         険部保険第二課         長       阪田 雅裕君         文部省体育局学         校保健課長   下宮  進君         厚生省健康政策         局医事課長   阿部 正俊君         厚生省社会局生         活課長     矢野 朝水君         通商産業省機械         情報産業局総務         課長      牧野  力君         工業技術院標準         部機械規格課長 森田 昭三君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         労働省労働基準         局監督課長   松原 東樹君         自治省財政局財         政課長     柿本 善也君         特別委員会第一         調査室長    木村 俊之君     ───────────── 委員の異動 十二月十日  辞任         補欠選任   正木 良明君     木内 良明君 同日  辞任         補欠選任   木内 良明君     正木 良明君     ───────────── 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ────◇─────
  2. 新井彬之

    新井委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左藤恵君。
  3. 左藤恵

    左藤委員 私、選挙以前の通常国会におきまして交通安全の問題について若干御質問申し上げたいと思っておりましたが、その機会がなかったために若干古い案件なんかも入ってくると思いますけれども、交通安全、特に自動車事故防止の問題について幾つかの点でお尋ねを申し上げたいと思います。  昨年の五月、東京都で、環状線の柿の木坂で発生しましたタンクローリーの横転炎上事故というのがありました。これが周辺の市街地まで延焼を起こしまして、新しい形の都市災害ということで社会に大きな不安を与えたわけでありますが、この事故原因については警察調査は既に済んでおられるだろうと思います。新聞なんかで見ますと、運転者単純ミス運転ミスというような結論が出されているのですけれども、しかし、これは学者とか専門家の間ではトラック低速横転あるいはトレーラージャックナイフ現象、こういった問題などが指摘されておりまして、NHKなんかの報道番組でもそういった車両構造上の問題だというような提起の仕方をしております。関係当局でこの種の事故発生状況やその原因についてどのように把握をしておられるのか。  また、我が国自動車技術は世界の最高水準だというふうに言われておるわけでありますけれども、この種の事故防止する安全構造について西独とかアメリカなどの欧米諸国に比べて立ちおくれているということがあるのではないか、このように思いますので、こういった点の安全構造上の問題について、これは運輸省の方からお答えを願いたいと思います。特に、積載貨物トラック共振現象、これを緩和する装置としてコンペンセーターあるいはアンチロックブレーキといったマイクロコンピューター制御によりますジャックナイフ現象防止対策というものが欧米では既に講ぜられているというふうに聞いておりますけれども、我が国車両安全基準について早急に見直す必要があるのではないか、このように思いますが、この点についての御見解をお伺いしたいと思います。
  4. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  御質問交通事故につきましては、運転者につきまして既に業務上過失傷害罪及び道路交通法違反容疑で検察庁に送致をいたしております。  事故車両構造上の問題につきましては、六十年の七月十日、十一日の両日にわたりまして当該トラック、トラクター、トレーラー走行装置制動装置等について鑑定を行いまして、さらに七月二十一日に全く同じ型の車につきまして事故時の状況と同様の条件を設定し走行実験による鑑定を行いましたが、現在までのところ、横転事故に直接結びつくような車両構造上の異常があったという結果は出ていないという報告を受けております。
  5. 神戸勉

    神戸政府委員 お答えいたします。  この事故原因については、先ほど警察庁の方の調査では運転操作上の問題であるというようなことを我々伺っておりますけれども、今回の事故関係しまして、大型トラック構造面安全対策について、制動装置だとかあるいは操縦安定性等についていろいろ考えられますけれども、連結車のこういう安全規制としましては、欧米に比べまして、旋回時の制動試験だとかあるいは車線の移り変わり試験だとかいうようなことを日本は行っておりまして、安全規制面ではかえって日本の方が厳しい形になっております。ただ、先生おっしゃられたようにコンペンセーターだとかアンチロックブレーキとかいうものは大型車でも欧米では開発されて使われているものでございまして、それぞれそれらの装置の一長一短のところもあり、非常によい効果を発揮している部分もありますけれども、また一面ではマイナス面も若干あるとも伺っておりますけれども、このようなものについてより一層の安全性向上するように、日本自動車業界にもそういうような研究開発を促進するように我々指導してまいりたいと思っております。
  6. 左藤恵

    左藤委員 今お話がありましたけれども、単に製造業者だけにそういった研究開発を任しておくということではなくて、やはり運輸省なら運輸省がそういうことについて強い指導をして、そしてこれは非常に効果が大きいというふうなことが判断されたものはどんどん取り入れていって、そしてそれは場合によっては車の安全構造上の義務づけを何か考えていくべきではないか。特に最近は人の省力化といいますか、そういうようなことで人の点で運転者が一名であるとかいうふうなことにもなっていくというようなこと、それから長距離の運転をする、高速道路を走るというような問題も出てきたりする場合に、そういった特にトレーラーだとか大型の車につきましては運転者にかかる負担というものが大きいわけですから、そういった点について、単に運転している人自身の安全だけではなくて、ほかの車に及ぼす影響、ほかの周辺の人に及ぼす影響という問題まで考え安全構造というものについて一層の努力をしていただきたい、このように思います。  次に、毎年のように繰り返されるのですが、名神高速道路の雪害による混乱ということで関係者は大変に困っておるわけであります。この名神高速道路は特に関ケ原及び甲良、この付近がもう何回もそういった事故があるわけですが、数十台にも上る通行車玉突き衝突ということがありまして、多数の交通死亡事故がいまだに絶えておりません。関係者の間では魔の関ケ原とかあるいは魔の甲良地区と呼んで、欠陥高速道路というふうなことを言う人もあるわけであります。  この両地区はいわゆるゲリラ降雪というのですか、予想もしないときに突然集中的に大変な降雪を見る。このことは地勢の関係上避けがたい自然現象ではあろうと思いますけれども、それだけに過去毎年のように交通障害交通事故が発生しておるわけです。またことしも募れから来年の当初にかけて同じような犠牲者が出ることが予想されるわけでありまして、事は極めて重大である、私はこのように考えておるわけでありますが、この両地区におきます冬季交通対策を抜本的に見直して、例えばシェルター設置するとか、あるいは関越高速道路のような自動融雪装置ですか、こういうものを取りつけるとか、何か根本的な改善措置を検討すべきときが来ているのではないか、このように思います。  最近の事故の例を見ましても、五十六年には三十三台で死者四、重軽傷者十六、それから五十七年にはやはり同じ関ケ原で五十台の追突事故重軽傷者が十一人、五十八年は同じところで七台の追突事故死者一人、重軽傷者三人、それから五十九年の二月には、これは滋賀県の多賀町ですが、ここで四十三台追突事故死者一、重軽傷者十四人、それから六十年の一月には甲良町で四十台の追突事故重軽傷者九人、こういった最近のことを考えましても、非常に多重追突事故というのですか、というものが発生しておるというふうなことで、この抜本的対策が喫緊の要事だと考えますが、これに対します何か対策考えておられるかどうか、お伺いをいたしたいと思います。
  7. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のように、名神高速道路の彦根―関ケ原地区は厳しい積雪地域でございまして、冬季の安全で円滑な交通の確保ということについてはもう非常に重要な課題であるというふうに認識をいたしております。これまでにも除雪機械等の増強であるとかあるいはチェーンベース増設等各種対策を講じてまいりましたけれども、さらに冬季交通障害を軽減させるために、昭和五十八年度から日本道路公団におきまして名神雪氷対策委員会設置をいたしまして、雪氷対策のあり方について調査研究を進めているところでございます。先生指摘シェルター設置という問題も検討さしていただきましたけれども、非常に長い区間にわたりましてシェルター設置しなければならないということ、あるいは夏の期間はこれがトンネルとして機能いたしますために、非常にまた別の意味での問題も起こるということのために、何とかして除雪対策を増強するのが一番の問題ではないかということで今検討いたしております。  そのうちの具体的対策といたしまして、第一に、従前は必要の都度作業機械を出動させまして除雪であるとか薬剤散布を行っておりましたけれども、今先生指摘のように、当地は、ゲリラ雪現地で呼んでおりますように、非常に突発的に降雪が出てくる、下の方は晴れておる、こういう状況でございますので、その期間になりましたら作業機械を梯団化いたしまして、二十分から三十分間隔でぐるぐる回っている、こういうやり方を昭和六十年の雪の時期から試験的にやってみました。その結果、いわゆる交通どめの回数というのは降雪回数にどうしても左右されますので、交通どめの回数は前年に比べましてむしろふえておりますけれども、閉鎖時間はむしろ百五十時間から大体百時間に減っておるということでございまして、この施策はいわゆる交通円滑化ということにつきましてはかなり効果を発するであろうというふうに考えております。  第二番目といたしまして、雪氷障害箇所におきます凍結防止対策といたしまして、定置式薬剤散布装置を現在つけております。この薬剤散布装置の中に温水を入れる、ボイラーでお湯を沸かしまして温水を入れるということを今試験的に行っております。先ほど先生指摘関越道路トンネル新潟側には、トンネルから出ます湧水を利用いたしましてチェーン着脱場の消雪に利用いたしております。これは非常に効果を上げておりますけれども、現地ではそのような温水が出ませんので、ボイラーで沸かしながら何とか融雪効果を上げて、そして路面の凍結、それによるスリップ事故、それから一回事故が起こりますと雪だるま式事故が大きくなる、そういう現象を何とか防ぎたいというふうに考えておる次第でございます。今後、これらのいろいろな施策を積み重ねて、少しでも交通円滑化あるいは交通事故防止に懸命の努力をいたしたいというふうに考えております。  なお、大変長期的なお話でございますけれども、この関ケ原地区は何といいましても気候的に雪が降るところでございます。しかも、その前後は全然雪がないところにいきなり雪が降るということで、気象的に非常に難しいところでございますので、非常に長いバイパスといたしまして豊田から四日市まで伊勢湾岸道路を六十二年度から着工すべく、現在予算要求をいたしております。これをすることによりまして東名阪西名阪を通って大阪南部にバイパス的に交通が通るということも機能できると存じますけれども、何さま、現在の名神高速道路産業、経済に果たす役割を十分認識をいたしまして何とか雪氷対策の実を上げたい、今後とも努力してまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  8. 左藤恵

    左藤委員 今お話しのように、冬季におきます交通規制は私はやむを得ないだろうと思いますけれども、そういったいろいろ試験されてこれは大きな効果があるのだ、こういうふうに考えられたものについては積極的にどんどん進められて、今のような玉突きによります大きな事故を起こさないような工夫をしていただく。それから、スピード制限をしていただくだけでなくて、一定の間隔を保持するような何か指導、よく百メートルか、メートルがずっと書いてあるような標識があるわけですけれども、ああいったものはただあるだけで余り実際に守られてないと思うのですけれども、車間距離というふうなものについての指導ももう少し何か積極的に考えていただく。特に冬季について、そういった点があれば、夏季とかその他の時期と比べまして二倍くらいの車間距離というものを置かせることについて法的なことまで考えていただいてもいいのじゃないか、このように思うわけです。これは、ひとつそういうことで検討をしていただくことを御要望申し上げるわけであります。  昨年道路交通法が改正されまして、皆様も非常に期待をされてやられました自動車運転者同乗者を含めてのシートベルト着用の義務づけという問題にっきまして、法が改正されてから関係当局で強力に指導し、PRもされてきて、交通安全のために努力をしておられるということに対しては敬意を表したいと思います。  そこで、この改正法が実施されて今一年二カ月ですか、経過した段階において、着用率はどういうふうに向上したか、かなりの着用率があったから法の施行に入られたのじゃないか、こう思いますが、その点と、そして、着用率向上することによって、事故が起こった、その事故に対しまして、重篤人身被害というのですか、重傷者とか死亡者とかそういった人身被害の重いものの発生率ですか、これはどの程度抑制されているか、このことについてまずお伺いをいたしたいと思います。一部でバスとか大型トラックとかそれからキャブオーバー型の車両の場合はシートベルト効果がないのじゃないか、こういうふうな疑問視をする人があり、そしてまた着用していないようなケースもあるわけですが、今申しましたバスとか大型トラックとかそういった車両を当事者とする交通事故の場合のシートベルト着用効果というのは上がっているのかどうか、この点についても実績はどうなっているかということについてお伺いをいたしたいと思います。
  9. 八島幸彦

    八島政府委員 まず、お尋ねの第一点のシートベルト着用率状況でございますが、いろいろ警察だけではなくて関係行政機関着用率向上につきましてPRあるいは指導等を行いまして、着用率は確実に上昇をしてきておりましたが、具体的にペナルティーと申しますか、行政処分点数をつけるようになるまでは五〇%台に達していたのが最高でございまして、それ以上はなかなか向上しておりませんでしたが、御承知のように、昨年の九月から高速道路におきまして、また本年の十一月から一般道路におきまして、非着用者に対する点数付与の政令を施行したわけでございます。ことしの十一月二十五日から二十七日までに行いました特別調査によりますと、飛躍的に着用率向上いたしておりまして、高速道路運転者が九九・二%、助手席同乗者が九七・五%、一般道路運転者が九五・九%、助手席同乗者が九二・三%という着用率でございました。  第二点のお尋ねの、着用率向上に伴ってどの程度事故減少効果が上がっているのかということでございますが、昨年九月から実施しております高速道路について見ますと、着用率が飛躍的に向上しました九月の前後十カ月間を比較しますと、供用区間延伸等に伴いまして事故件数が一〇・四%ほど増加している中にあって、死者数は逆に九%減少いたしております。  それから、一般道路におきます座席ベルト着用義務違反に対して点数を付与することにしましたのは、先ほど申しましたように十一月一日からでございますし、なお二十日間を指導期間にいたしましたので、まだ具体的に着用効果が間違いないというような資料は収集されておりません。しかし、月別の対前年同月比で交通事故死者数を見てみますと、ことしの四月から九月まで六カ月続いて対前年同月比プラスでございましたが、十月からこれが減少に転じておりまして、十一月、十二月も昨日現在で九%程度減少しております。こういう結果を見てみますと、やはり確実にシートベルト効果があらわれてきているのじゃないかというふうに考えているところでございます。  それから第三点の、バス大型トラック等キャブオーバー型の事故についてシートベルト効果があるのかというお尋ねでございますが、座席ベルトの装着によりまして車外放出あるいはハンドル、計器類等に衝突することを免れ、事故被害が軽減されるということにつきましては、いわゆるキャブオーバー型の車両についても構造上異なるとは考えられませんので、それなりに効果があると考えております。現にキャブオーバー型のトラックを逆転して追突し、あるいは横転した場合におきまして、車両は大破いたしましたが、座席ベルトを装着していたために軽傷で助かったというような事例もいろいろ報告を受けておりますので、こういうタイプの車両についてもシートベルトは有効であるというふうに考えております。
  10. 左藤恵

    左藤委員 このことにつきまして、今後の指導の点について。  一般道路におきましてもどうしてもやらなければならないというなら、公平な指導をしていただくことが一つと、それからシートベルトのたるませ器とかいうのが大量に出回っているということがおとついの新聞にあった。ただ窮屈でかなわぬから緩めるのだろうと思いますけれども、かえってこういったものが売れるということ自体、また売らせるということ自体も、私は本来のシートベルト効果の点で問題があるのじゃないか、このように思います。そういう意味ならば、初めからシートベルトしなければいいのかもわかりません。そういったものが出回っているということに対しても、私は何か強い行政指導をやっていかなければならないのじゃないかと思いますし、ベルトの位置だとかそういったものについてももっと工夫をして指導もしていく必要がある。せっかく規定だけつくってもこういったことで効果があらわれないような、また実際意味がないようなことをやっておったのではしようがないと思いますので、十分指導をしていただきたいと思います。  それから、これは小さな問題かもしれませんが、ドアミラー安全性のことについて。  最近の新車は、タクシーとかそういった営業車を除いてほとんどがドアミラーになっている。ドアのところにすぐサイドミラーがついているわけです。これはきっと外車をまねて導入されたものと思われるのですけれども、従来のフェンダーミラーの場合はちょうど車幅の中に入っておったと思いますが、ドアミラーの場合はそれぞれ十センチか二十センチぐらい左右突き出しているわけですから、車が横へ走ったときに、これと歩行者とかバイクとかいうものの接触事故危険性というものが、私は非常に多いのじゃないかと思うのです。タクシーが積極的に採用しないのは、安全性に問題があるのではないかとも思いますし、何かファッション性が先行しておるというようにも思いますので、こういう点について何か指導考えていただきたいということでございます。  もう時間がありませんので、あともう一点、駐車違反取り締まりの問題についてちょっとお伺いをしておきたいと思います。  道路交通法を改正して、違法駐車に対する抜本的な有効な方策を講じるというようなことを警察庁で検討しておられるわけでありますけれども、最近の都市の慢性的なと言っていい違法駐車は目に余るものがあると思います。消防活動とか救急車の運行とか、いろんなものに支障を来す状況にもあります。これは何か遅きに失したような感じもするわけでありますが、今から道路環境交通環境改善に強力な有効な措置がとれないものかどうかと私は思うのであります。  この駐車対策に関連しまして、何か自動券売機のような方式で駐車チケットを交付して、路側帯に短時間駐車ができるような場所をつくろう、こういうお考えがあるように聞いておりますけれども、幹線道路にもこういったものを設置されるのかどうか。こういった違法駐車対策というものについてなかなか抜本的な対策ができないし、特に取り締まり交通関係警察官の要員の問題とかいうこともあって、なかなか難しい問題だろうと思います。中には、マイカーなんかの中で、有料駐車場に入れるのが面倒だからというようなこととか、そういうふうな勝手な理由で違法駐車する人もあるわけでありますから、社会の円滑な生活を営む上においてどうしても避けることができない社会的な駐車需要というものとの関係で、これに対してもっと根本的な対策考えていただかなければならないと思います。  例えば高層ビルが非常にふえてきますと、そこへ配達しなければならない郵便物とか宅配の小包とかの車だとか、あるいは冠婚葬祭の車だとか引っ越し貨物とか粗大ごみの収集車だとか、実際にとめざるを得ないような社会的な需要のある車がふえてきます。そういうものと、今私がお話ししたような個人的な勝手なものとの間を区別して、必要なものは特別に警察で許可を与えていく、その他のものについては厳しく取り締まるとかいうように、そういった問題の根本的な対策警察庁指導として考えていただくべきじゃなかろうか、私はこのように思います。  いろいろ難しい問題はあろうかと思います。また、取り締まり要員の問題もあろうかとも思いますけれども、私には余りにも最近の状況が目に余るわけであります。道路のちょうど出たようなところに車を駐車してありますと、向こうから来る車が見えないということで、飛び出しの事故だとかが起こります。そういうことで、違法駐車というのは、最近の状況から見まして、交通安全対策上ほっておくことができないような問題もあるように私は思います。これについての警察庁のお考えをお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  11. 八島幸彦

    八島政府委員 先生承知のように、さきの通常国会におきまして、駐車問題を解決するための道交法改正をお願いいたしまして、明年四月一日から施行になることとなっております。  この中身でございますが、先生指摘のように、必要やむを得ない駐車もある、そのために現在ある路上駐車のスペースを約三倍程度には拡大するとともに、一方において悪質あるいは危険な違法駐車をなくする、そういう目的のために駐車の移動措置命令のステッカー、標章を張る制度、それは勝手に取り除きますと二万円以下の罰金になるわけでありますが、そういう制度、あるいは指定法人に委託をいたしましてレッカー移動を活発化するというような措置も盛り込まれているわけでございます。今改正によりまして駐車問題が抜本的に解決するかどうかは別といたしまして、私どもは、明年四月一日から施行になればかなりの程度違法駐車がなくなっていくであろうと期待しているところでございます。
  12. 左藤恵

    左藤委員 それからミラーの問題。
  13. 神戸勉

    神戸政府委員 ドアミラーの件につきましてお答えいたします。  ドアミラーが安全かどうかということでございますけれども、ドアミラーの規制につきましては、前回の保安基準の改正で採用できるような形にしたわけでございます。ドアミラーのメリットといたしまして、ミラーの曲率が一定とした場合にフェンダーミラーよりもワイドな映像が見られる、そういうメリットもあるわけでございまして、一概にドアミラーが悪いとはいえない感じがいたしております。ただ、車体から外側に突出したミラーにつきましては、歩行者とか二輪車、自転車等々との接触事故考えられますので、そういう面で保安基準の中で、地上一・八メートル以下のところの突出しているミラーにつきましては、歩行者等に接触した場合に衝撃が緩和できるような構造にするように義務づけてございます。安全対策としてはそういうことで対処しているわけでございます。  なお、先生がおっしゃいましたように、タクシー車両フェンダーミラーが一般に使用されている理由としまして、私どもが事業者の方から伺っている内容としましては、ずっと前の方についておりますから視線の移動が少なくて容易にできる、あるいは突出量がドアミラーよりも少ない、そういう意味で車庫ベースの対応がいいとかいうようなことを聞いております。ただ、突出量につきましては、先生おっしゃられたようにフェンダーミラーが五十ミリくらいの突出量になっておりますけれども、ドアミラーですと、大きいものになりますと百ミリ程度で、五十ミリ程度余分に出ているのが実情でございます。
  14. 左藤恵

    左藤委員 終わります。
  15. 新井彬之

    新井委員長 緒方克陽君。
  16. 緒方克陽

    ○緒方委員 私は、今日の交通問題の中で過積み、過積問題それから過労運転の問題についてお尋ねをしたいと思います。  過積み問題あるいは過労運転の問題というのは、交通安全施策の重要な柱として位置づけられまして、今日まで当委員会あるいはその他を含めてさまざまな議論と一定の施策がされてきたということは承知をしているわけでございます。しかしながら、いろいろな資料を調べてみますと、この過積みというのは減るどころかますます増大している、そういう状況にあります。貨物業界、特にトラック業界の過当競争がこういうことをさせていると思うのでありますけれども、結局そういう中で重夫な事故を起こしているということでありまして、見過ごすことのできない問題であろうと思います。  そこで、率直に運輸省お尋ねするわけでありますが、ことしの十一月二十一日の参議院の国鉄改革の特別委員会におきまして、運輸大臣がこういうふうに言われているわけでございます。道路運送秩序の確立に関する決議、これは五十八年の参議院の決議でありますけれども、このことについては「関係各省庁の協力をも得ながらこの解決に鋭意取り組んでおる」と答弁されているわけでございます。決議をされたのが五十八年四月でございますが、それに比べていわゆる過積み、過積の問題について今日までどういう改善の取り組みをされてきたのか、それが一つ、それからその取り組みによって具体的にどう改善されたのか、その実績を数字でお示し願いたいと思います。
  17. 松村義弘

    ○松村政府委員 過積載の防止ということは、トラック輸送の安全確保を図る上で極めて重要な問題であると我々認識しております。大臣の答弁にもありますとおり、この問題に対処するためには関係省庁による総合的な施策が必要でございますが、その総合的な施策につきましては、まず中央におきまして、総務庁、警察庁、通産省、農水省、建設省それから運輸省でございますけれども、関係六省庁で提携をとりまして指導取り締まりを図っております。また、各地方、これは都道府県単位でございますけれども、警察、都道府県、陸運支局、これは運輸省の下部機構でございますが、この三者から成ります過積載防止対策連絡会議設置して、関係省庁と提携の強化を図って取り締まりに当たっております。  運輸省独自でやっておりますことは、監査という道を通じまして過積載の防止に取り組んでいるわけでございますけれども、決議がありましたすぐ後に過積載の実態把握ということを非常に重要視しまして、これを重点項目として監査するようにという通達を出しました。その結果監査が重点的に行われておりますけれども、その過積載の改善状況というのはまだつかんでおりませんが、監査の結果を率直に申しますと、過積載の違反件数が非常にふえております。  その数字を申してみますと、過積載防止違反の処分件数として報告されましたのが、五十八年度に九百七件、五十九年度には千三百四件、六十年度には千七百四十六件と増加の傾向をはっきり示しております。これは実態的に悪化しているのか、または重点的に施策を講じた結果実態がはっきりわかってきた結果数がふえたのか、その辺はまだ分析ができておりませんけれども、いずれにしましても、このように多数の違反が出るということは我々非常に遺憾に思っております。関係省庁の御協力を得ながら厳重な取り締まりをして、何とかこの撲滅を期してまいりたいと思っております。
  18. 緒方克陽

    ○緒方委員 そこで、再度お尋ねしたいのでありますが、同じ参議院の国鉄改革特別委員会におきまして、これも十一月二十一日でありますが、松村局長は、いわゆる過積載が交通事故の重要な原因であるということを指摘されて、取り締まりをするということを言われておるわけであります。問題は、今も言われましたように、過積載を監査対象の重点項目にして監査をやっている、その結果違友が減っているということであればそれでいいわけなんですけれども、実は過積載の取り締まりというのは警察庁でやっておるわけなんですね。その状況によりますと、過積で取り締まりを受けたもののうちで制限の倍以上、つまり十トン車に二十トン積んでいるというものの違反が、五十四年では八千四百三十一台であったわけですけれども、これが昭和六十年になりますと二万三千八百七十九台、そういう数字が警察庁の資料では出ているわけです。つまり、端的に言いますと、過積で違反取り締まりを受けたもののうちの二二%ですから、四・五台に一台は倍以上の荷物を積んで走っているわけであります。  ですから、さっき答弁がありましたように、取り締まりをして警察庁の調べでの違反件数が減っているということであればいいわけですが、運輸省の監査でも警察庁取り締まりでもどんどんふえている、結局そういうことが問題ではないか、効果が上がっていないのではないか。そういう事実について、私、今数字を申し上げたわけでありますが、これは運輸省なり警察庁が公表されている数字でありますからもう間違いないと思うのですけれども、そういう数字に間違いないかどうかということが一つ。  それから、こういう実態について、果たしてこれでいいのかどうか。抜本的な対策をしなければならないのではないか。こういう数字はまことに遺憾であると私は思うのですが、運輸省警察庁双方からお答えを願いたいと思うわけです。
  19. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えをいたします。  先ほど先生指摘の数字はそのとおりでございます。警察といたしましても、過積は交通事故の重大事故に結びつきやすいという観点から、従来からも違反取り締まりの重点の一つとして取り組んできているところでございまして、先ほど御指摘のように、過積載の違反件数は年々増加しているところでございます。昨年は約十万件検挙いたしておりますが、私どもの基本的な認識といたしましては、その背景と申しますか、過積をせざるを得ないような条件をできるだけ排除していく、そういうことがやはり必要であろうと考えております。  また、御承知のように、道交法でもその使用者の責任を追及する規定がございまして、そういう過積載につきまして、命じたり、あるいは過積することを認める、そういう違反につきましては、道交法七十五条によりまして運転者と同様に罰することになっております。その結果、昨年一年間で五千二百九十一件の背後責任の追及をやっているところでございます。
  20. 松村義弘

    ○松村政府委員 対策の強化という点でございますけれども、運輸省のやっておりますのは、一つには、取り締まり体制をできるだけ充実強化したいと考えております。貨物輸送監理官というのを各運輸局に置いておりますけれども、六十一年度二十九名、これは前年に比べて四名増員を獲得しております。また、六十二年度要求もやはり四名の増員要求をしております。  それから、これは公務員だけでは手が足りませんので、業界の中で良識ある方々に講習を受けていただきまして、その手助けを受けながら取り締まるという方法をとっております。貨物自動車輸送秩序改善指導員という方々でございますけれども、その方々、六十一年度百七十二名、これは前年に比べて九名増員を図っております。こういったような対策を講じまして厳重な取り締まりを今後続けてまいりたいと思っております。  取り締まりを強化すると同時に、過積載の実態を見ますと、実態に対する荷主さんの理解を深めておくということが一方で絶対必要だと思っております。したがいまして、荷主懇談会というものを各地で開催しております。こういった懇談会を開きまして、輸送秩序の維持がどんなに大切か、またその中でも、特に過積載という問題が重大事故につながるおそれがあるので、特にこの対策は熱を入れなければいかぬということをPRし、啓蒙をしております。六十年におきましてそれを三百九十二回開催しておりまして、こういったような対策も講じております。  また、過積載ということは、事業者のこれはいけないことだという自覚を確立する必要がやはりあると思っております。それを啓蒙するために物流政策懇談会というものを開いております。これは、運輸省関係事業者、関係の労働組合、この三者の構成で成り立っておるものでございます。中央においては、五十年六月に設置以来二十回開きました。毎年開いております。地方におきましてはもっと頻繁でございまして、運輸局単位でございますけれども、六十年におきまして十三回開いております。こういった懇談会を通じまして、過積載に対する予防措置をよく啓蒙してまいりたいと考えております。
  21. 緒方克陽

    ○緒方委員 今具体的な対策についてお話があったのですが、私がここで確認をしたかったのは、五十八年の決議があって、決議というのはいろいろな内容があるわけですが、それから運輸省としても重点的に監査をし、警察庁としても取り締まりしながら、なおかつ毎年毎年一%、二%ふえている、そういう事実について、そういう数字は間違いないということですけれども、そのことは非常に重大な問題である、そういう認識をされているかどうか、その点だけ再度両者からお答えを願いたいと思います。
  22. 八島幸彦

    八島政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、過積の事故は重大事故に非常に結びつきやすい、そういうことから、交通取り締まり等の一つの大きな重点として取り組んでいるところでございまして、この種の違反の重大性は今後とも十分認識して対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  23. 松村義弘

    ○松村政府委員 過積載の防止ということは、トラック輸送の安全確保のためにも、また関係する労働者の方々の生命の問題に関しても、やはり非常に重要な問題だと思っております。今後とも一層厳しい取り締まり、監査体制をしいてまいりたいと思っております。
  24. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういう認識の中で、さらに話を進めていきたいと思うわけであります。  運輸省としても監査をやっている、警察庁としても取り締まりを厳しくやっているのが一向に減らない。その要因は幾つかあるということは先ほどの御答弁の中でも出たわけですが、その要因についてあらゆる手だてをしないと、結局これは減っていかないのではないかというふうに思うわけです。実はこの問題について、関係労働組合でつくっております運輸労連というのがあるわけでありますが、ここでアンケートをとっているわけです。その中で、運転者交通安全に向けてのアンケートのトップの要求の中に、三五%もの人がいわゆる過積の解消を何としてもしなければならぬ、そのために政府や荷主に交渉してもらいたいし、自分たちの労働組合でも交渉しなければならぬというふうに言っているわけです。  そこで、先ほど取り締まりとそれから監査の状況を言われたわけですが、例えばいわゆる交通安全白書を警察庁は出されているわけですが、この中では検挙されているうち運転者が十万六千七百五十六件ですか、使用者の背後責任が五千二百九十一件ということになっているようですね。そのうちの四一・一%が営業用ナンバーでありまして、もちろん白トラの問題もありますけれども、ここでは事業用のトラックということで限定いたしましても、これだけ検挙をされているわけです。結局は何にも力のない運転者だけが罰されて、背後責任は非常に問われ方が少ないのじゃないかということで、この問題についてはやはり運転者自体、荷主とありますが、特に荷主自体が結局のところまたやられたかという感じで終わっているのではないかという意味で、事業者の責任が非常に問われていないという点についての矛盾、その実態について問題があるのじゃないかというふうに思うのですが、この辺についてのお考えを一つ。  それから二つ目には、事業者と同時に荷主の自覚が非常に足りないということがあると思うのです。この辺、先ほどの局長の答弁でもあったのですけれども、さらにさらにやらなければならぬと思うのです。この荷主の自覚の問題について、いまだ不十分ではないかというふうに思うわけですが、その点の問題についてお聞きをしたい。  それから三つ目に、これは運輸省の方にお尋ねしたいし、総務庁もお見えになればお尋ねをしたいのですけれども、そういう決議に基づいていろいろな施策がやられているわけでありますが、そういう施策の中で、政府レベルでは総務庁が中心になって会議がやられているようですが、やられている割に効果が上がっていないということについて、一体総務庁としてはどういうふうにお考えなのかということと、運輸省の方にお尋ねしたいのですけれども、都道府県別に過積載防止対策連絡会議というのをやりなさいということで、運輸省の方から、開催されている県の状況などを一覧表として、決議以降のものを資料としてもらったのです。これによりますと、例えば山形県とか新潟県では五十九年に一回やられて、六十年度はゼロ、そして六十一年度は何か課長会議があるからという形でやられているようでありますが、やられている県は毎年二回も三回もやってちゃんと点検している、やっていない県は六十年度は一回もやっていない、そういうところもあるわけですね。  それで、私思うのですが、行政というのは、年度の方針とかその他を出して連絡をとって、そしてその半年後か一年間に一体それはどういう結果になったかということをするためには、会議というものがあればやはりこれは年に二、三回ぐらいして、ちゃんとやらなければ、名目上つくっている、形だけあるということになりはしないか。そういう意味で、六十年度は一回もやってない県などがあるということになりますと、これは運輸省として、総務庁もいろいろ関係があるようですが、運輸省が主管で、各県では形式的にやっている、号令はかけているけれども、具体的な詰めの作業はされてないということに会議の実態としてはなっているのではないかという意味で非常に問題ではないかというふうに私は思うのですが、その点についてきちっとしなければならぬことがされていないことについてどうお考えなのか、今後の考えも含めて運輸省の方に最後の点については特にお願いしたいというふうに思います。
  25. 八島幸彦

    八島政府委員 背後責任の追及が十分行われてないのではないかという御指摘でございますが、運転者の十万件に比較いたしますと、五千件程度は確かに少ない数字ではございますが、先生も御承知のように背後責任の追及の条文は、使用者がそういうことを下命した、あるいはそういうことをすることを知っていながら認めた、こういう場合に限られておりまして、したがいましてなかなか立証も難しいものがございます。そういう中でも、警察といたしましては最大限努力をいたしまして五千件程度を検挙しているわけでございまして、これは五年前に比較いたしますと二六%ほどふえております。今後とも引き続き御趣旨を体して背後責任の追及に努力してまいりたい、かように考えております。
  26. 松村義弘

    ○松村政府委員 運転者のみ取り締まられている実態ではないかという御質問かと思いますけれども、警察の方からは悪質な過積載、違反につきましては直ちに運輸省の方に通報が参ります。そうしますと、それを受けますと、我々は特別監査を行います。年間を通じて計画的に監査しているわけでございますけれども、それとは別に特別監査を行います。そしてそれに基づいて必要な行政処分を行っておるわけでございますけれども、その行政処分も初犯の場合と累犯の場合と、それから特に悪質な場合と、いろいろなケースがあるので多岐にわたっております。一番軽いものは警告書の発出にとどめておりますけれども、重いものにつきましては車両の使用停止処分をしております。この車両の使用停止処分というのは事業者にとっては非常に痛うございます。  ちょっと数字を申し上げてみますと、五十八年度の使用停止処分をいたしました車両数は千四十九台でございます。五十九年度は千百七十八台、六十年度は千四百五十一台というふうに年々増加しております。また、警告書を手渡しましたものは、五十八年度は千五百六十九、五十九年度は千九百五十一、六十年度は二千七十五というふうに年々増加しております。これもやはり我々の重点的な取り締まりを反映した結果ではないかと思っております。今後もそういった取り締まり、監査は続けてまいりたいと思っております。  それから第二点の、都道府県単位の過積載防止対策連絡会議の開催状況が近年少ないのではないかという御指摘でございます。おっしゃるとおりでございまして、五十九年度からやっているわけでございますけれども、初年度の五十九年度は全国で九十六回開かれました。六十年度は六十三回でございます。その中で確かに山形県、新潟県は開催してございません。これは事実でございます。これは通達の方が、必要に応じ随時開催となっておりますので、通達違反という問題は起きないのでございますけれども、やはり一年に一回も開かない、問題はそれでいいのかどうかということは確かに御指摘のとおりだと思います。ただ、開かないから取り締まりを手抜きしておるということではございませんで、三者の間で一定のルールができまして、取り締まりの結果をお互いに通報し合っております。その通報し合った結果、各自の権限において必要な監査を行い必要な処分をするというルール化が進んでおる結果、必ずしも会議を開催しなくてもいいのではないかという判断が現地にあろうかと思いますけれども、いずれにしても年一回は最小限開いて、取り締まりの実態がどう変わってきているか、また今後どうあるべきかの真剣な討議が必要だと私は思っております。そういう方向で指導してまいりたいと思っております。
  27. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 この過積載防止の問題につきましては、ただ取り締まりということ、これはもとより必要ですけれども、そういった問題だけでなくて、やはり荷主だとか事業者であるとか運転者といったようなものも絡みますので、そういったものの自粛の問題であるとかあるいは流通とか輸送面での合理化の問題、適正化の問題、こういった問題の解決を図るための根源的な対策というものがなければ実質的な効果は上がらないということでございます。そういった意味では、やはり関係省庁間の緊密な連携によって総合的な対策を強力に進めていくということが基本であろうと思います。  五十三年に道路交通法が改正されまして、自動車の使用者等の義務の強化を内容としたものでございますが、これを契機にいたしまして五十四年の一月に、これは六省庁でございますが、関係省庁で過積載防止対策連絡会議というものを中央においては設置いたしまして、毎年度定期的に開催するほか、必要に応じて随時に開催するという形をとっております。特にことしに入りましてからは、これはことしの三月の十九日に今の六省庁、関係省庁の申し合わせで、過積載防止の申し合わせをさらにいたしまして、従来の施策の上に立って、これはダンプカーの差し枠装着車の一掃に関する対策でございますが、こういったものをさらに強力に進めていくということで、そのための会議あるいはフォローアップのための会議というものをことしに入りましてからも二月、三月、六月と既に三回中央レベルにおいては開催されております。先ほどお話がございました五十八年四月の参議院運輸委員会の決議の趣旨を踏まえまして、今後さらに過積載防止のための総合対策、根源対策を進めるための措置を強力に進めていきたいと考えております。  なお、地方レベルにおきまして、この会議の活性化の問題をお尋ねでございましたが、これは先ほど運輸省からお答えございましたように、これは陸運支局が中心となって県警本部あるいは都道府県の交通安全対策担当課をメンバーとする過積載防止対策連絡会議設置されておりますが、これにつきましても今後ともさらに積極的に行われるように都道府県の交通安全担当課を指導してまいりたい、かように考えております。
  28. 緒方克陽

    ○緒方委員 今の連絡会議の件ですが、確かにいろいろ事情をお聞きしてみますと、最近はテレファックスとかそういうものもあってちゃんと連絡しているからというような感じですが、問題は、こんなに私がしつこく言うのは、過積というのが減っていればいいわけですが、なかなか減らずに逆にふえているという実態の中で、やはりあらゆる手だてをしなければならぬ。そういう意味で言うと、こういった会議も、とにかくそういう情報連絡をしているからいいということじゃなしに、連絡調整の機関かもしれないけれども、年に二回ぐらい開いて真剣に議論するということがなければやはり本当に取り組んでいるというととにならないんじゃないかという意味での私の指摘でありますから、それぞれ関係省庁としては全力を挙げてそういう指導をしてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  それで、次に移っていきたいと思いますが、先ほど言いましたように、いろいろ対策はとっているけれども事態はなかなか進行していかないということで、抜本的な改善対策というのをやらなければならぬのじゃないかというふうに思うわけで、そのためにはいろいろな手だてがあるわけですが、一つは、その中で違反については行政処分ということをやらなければならぬと思うのです。先ほど一定お答えになりましたけれども、昭和六十年度の道路運送違反のうちに過積載違反が千七百四十六件ということになっているわけでありますが、結局警告とかあるいは車両の停止というものが多いというのであって、稼ぐためにはそれよりももっと多く過積で積んで、結局もうかって、その分はしょうがないというようなことになっているのではないかという意味で、そういうことになっていないのかどうかということですね。  もう一つは、いわゆる再犯といいますか、そういうものについてはやはり厳重な処分をしないといけないのじゃないかということで、いわゆる常習犯とか再犯というものについては営業の停止その他をやらなければならぬと思うのです。問題は、もう一つお尋ねしますけれども、この処分の中で、免許の取り消しとか車両の停止とか改善命令とか警告とかあるのですが、免許の停止というようなものがあったのかどうか、再犯を犯している場合でもそういうことがあっているかどうかということも含めてお尋ねをしたいと思います。
  29. 松村義弘

    ○松村政府委員 お尋ねは、免許の取り消しの事由として過積載防止違反ということはあったかということだと思いますけれども、六十年度に十四件の免許の取り消しをしております。その取り消しの事由が過積載に基づくものかどうかちょっと手元の資料ではわかりませんので、後ほど調べまして先生に御報告申し上げたいと思っております。  それから、車両の使用停止でございますけれども、これは法律によりまして最高六カ月までできるということになっております。現在我々運用基準をつくってやっておりますけれども、累犯を重ねて、相当悪質な場合には六十日の車両停止をするようにしております。また、特に悪い場合には九十日まで処分をするという措置をとっております。
  30. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、取り消しということはないのじゃないか、それから、いろいろなそういう処分をされる場合には、単に過積だけではなしに、そのほかのいろいろな違反も含めてされているようですけれども、そういう中で、今お答えになりましたが、いわゆる車両の停止というのは、時期的に見れば、車が余っている場合もあるし、その分ほかに回すというようなこともいろいろされているのじゃないかという、これは私の憶測ですけれども、それだけでは不十分じゃないか。やはりもっと厳しいことにしなければ、結局その場逃れになっているということがあるのじゃないかという気がしますから、その点については、いわゆる重大事故防止という観点から厳しくされるように、この際強く要請をしておきたいと思います。  次に移りたいと思います。  次に、これまた局長がことしの参議院の委員会の中で言われていることですが、過積の防止それから過労運転防止というのは交通事故対策として非常に重要な要因だと考える、これをなくすためにはまず事業者の自覚、それから地域懇談会の開催、あるいは荷主の理解をいただくということで荷主の懇談会なども開く、そういうふうに言われているわけですね。そして実際開催もされているわけですけれども、実効が上がっているのかどうか。効果としては少しも上がってきていないということでありまして、その地域懇談会、荷主懇談会のまとめをされていると思うわけです。その結果と、それからそれを今後の行政指導にどう生かされようとしているかということがお尋ねしたい一つです。  それからもう一つは、過当競争で運賃の問題があると思うわけです。後ほどお尋ねしょうと思っているのですけれども、いろいろな競争の中で、結局過積みをしなければならぬというようなものもあるわけですけれども、一つとしては過積をしてはならぬという指導をすると同時に、やはり認可運賃があるわけですから、できるだけそれに入るように、認可運賃が守られるような指導もされなければならぬし、またされていると思うわけですけれども、そういうものが必ずしも効果を上げていないと思うのです。そういう運賃の適正というものについてどういう対策をなされているかということについてお尋ねをいたします。
  31. 松村義弘

    ○松村政府委員 まず第一点、過労運転防止対策について運輸省はどのように施策を講じているかということだと思いますけれども、過労運転防止対策連絡会議というものを中央で持っております。これは総務庁、警察庁、建設省、労働省、運輸省でございますけれども、年一回連絡会議を開いております。  それ以外に、実際一番関係するところは労働省でございますので、運輸省と労働省だけの連絡会議を開いております。これは昨年十一月十日に第一回を開きまして、それから六回開いております。それから、労働省の方は労働基準法に基づきましていろいろ監査をしておりますけれども、また、その中で違反件数について運輸省の方に通報が来るという制度をつくっております。労働省から運輸省へ通報されましたのは、五十五年十月から実施しておりますけれども、累計で三百七十二件でございます。また、運輸省の監査をいたしました結果、労働省に通報すべしという件数が百八件ございます。こういった各省庁間の連絡体制を強力にしまして過労運転防止対策を講じているというのが実態でございます。  過労運転ということで最近の違反内容の数字を申しますと、五十八年度で百五十件、五十九年度で百八十六件、六十年度で百七十件の違反を我々として摘発しております。こういった監査をし、取り締まりをする一方、やはり根本的には運送事業者の自覚、荷主の協力というのは絶対必要だと思っております。そういった観点から、荷主懇談会を六十年に三百九十二回開いたというのが実態でございます。こういった方向で施策を進めると同時に、運転者が休息をとれる施設を道路の脇につくる必要があると我々は考えております。そういった休息施設の整備のために運輸振興センターで全国に二十カ所のトラックステーションを現在整備し、供用しております。この充実強化を図るために、さらに十カ所の地点において計画を進めているというのが実態でございます。なかなか決め手になるものはございませんけれども、そういった各般の施策を通じまして過労運転防止に努めてまいりたいと思っております。  第二点のお尋ねでございます、いわゆる適正な運賃を収受してないのではないかということでございます。過労運転、過積載防止と並びまして、ダンピングの実態把握というのは最重点事項の一つに指定されております。監査をした場合には、運送伝票を一枚一枚調べるなどをしてダンピングが行われているかどうか厳重に検査をしております。五十九年では、ダンピングということで六十五件の摘発をしております。ダンピングといいますのは企業体力を損ない、それがひいては交通安全の確保に重大な支障を来しますので、この取り締まり、監査は今後も厳重に続けてまいりたいと思っております。
  32. 緒方克陽

    ○緒方委員 運賃の問題で、これは質問というよりも次回取り上げるということになると思いますが、少し運輸省の方にお願いをし、また、こういった通運業者の中小企業が大変苦しんでいる問題についてこれから取り上げていきたいと思いますから、この際、申し上げておきたい問題を言っておきます。  これは十二月三日の朝日新聞、毎日も載ったと思うのですけれども、いわゆる自動車業界のかんばん方式、時間指定に基づいてとにかく荷物をちゃんと運びなさいということで、それにおくれるとペナルティーが科せられるということだけではなしに、結局業界から仕事を外される。そういうことも含めていろいろ問題があるということで、公正取引委員会がこれを調べて、その一部については独禁法あるいは下請法違反の疑いがあるのではないかということで調査をされた結果を今一部公表されたり、これから検討されるということになっていると思うのです。  通運業者というのは、みずから物を運ぶのではなしに頼まれて仕事を受けてやるわけで、大変弱い立場にあるわけですね。そういう意味でいろいろな運賃の問題あるいは過積の問題というものも起きてくるわけでして、きょうの問題提起というのは、公取の方で調べてみましたら、要するにかんばん方式が即独禁法違反であるというふうにならない。では一体、そういう問題の取り扱い、政府の責任はどこなのかということを聞きましたら、いや私のところではないと思いますみたいな形で、まだ窓口がはっきりしていないのですけれども、この問題についてはこの委員会にするのか別の委員会かわかりませんが、中小のトラックの業者あるいは働く人を含めて大変問題のある形に追い込まれているのではないかという意味でいずれ取り上げていきたいと思いますので、それなりの資料なりいろいろなことを含めて準備をこの際、この席でありますけれども、運輸省の方に要請をしておきたいと思います。  次に、二七通達の問題について入りたいと思います。  今も言いましたように、過積の問題、過労運転の問題というのは非常に重要な問題だということで、いろいろな事故が起きて、つい八月ですか、新聞にも載っておりましたけれども、函館―岡山ですか、三千キロを七十時間くらいで走れという大変な仕事を命ぜられて、結局交通事故を起こして三人の方が亡くなられるというような事故があったわけですけれども、そういう形で事故が続出をしているわけです。その防止をするという意味で、二七通達をどう守っていくのかということが大きな問題ではないかというふうに私は思うわけです。いろいろな資料でも、この違背というのは実は五〇%を超えている実態になっているというのは明らかになっているわけでありまして、さらにトラック業界自体も、この関係労働者の長時間労働とかいうことを含めた大変な劣悪な条件であるということは認めているわけです。そういう中でどう改善をしていくかということは、まさに緊急の課題だというふうに思うわけでございます。  そこで、労働省の方にお尋ねをしたいと思うのですが、何か聞くところによりますと、まだきょうの午後らしいのですけれども、労働時間法制化の問題について中央労働基準審議会が開かれて、労働時間短縮についての建議がなされるというふうに仄聞をしているわけです。これはあくまでも仄聞でありますけれども、そういう中で出ております内容を聞いておりますと、通運関係自動車運転者の内容については、その五項の(2)の中で「自動車運転者の労働時間等の規制に係る問題については、関係労使等を加えた検討の場を設けて引き続き検討する。」――「検討の場を設けて引き続き検討する。」というふうな内容になっているわけですけれども、そういうことが仄聞するときょう建議をされるというふうに聞いているわけです。これは、要するに二七通達と重大なかかわりがあるし、これからの労働時間の問題について重大なかかわり合いがあるわけです。  そこでお尋ねをしたいのですけれども、その中でいわゆる「関係労使等」というふうになっているわけですが、「関係労使等」というのは一体どういう構成なのかということが一つと、それから、私たちは二七通達は法制化をすべきであるというふうに思っているわけですが、この検討というのは法制化の前提であるのかどうかということが二つ目ですね。それから三つ目に、「検討の場を設けて引き続き検討する。」というふうになっているようですけれども、これは来年の通常国会あたりで法改正をするということで準備をされているようですけれども、そういった内容に絡めての問題というふうに認識していいのか、そういう形で並行して作業をされていくということになるのかどうか、その点についてお尋ねをしたいと思います。
  33. 松原東樹

    ○松原説明員 自動車運転者の労働時間の問題につきましては、御指摘のように労働時間等を含めました労働条件の改善とあわせまして、交通事故防止といった見地から、昭和五十四年十二月二十七日に「自動車運転者の労働時間等の改善基準について」という、いわゆる二七通達と称しておりますものを定めまして、重点的に指導をしてまいったところでございます。  この問題につきまして、昨年十二月に労働時間法制を中心といたしまして労働基準法研究会から労働大臣あてに報告がなされまして、この二七通達の内容の法制化を含めて自動車運転者の労働時間の規制のあり方について検討すべきだ、こういう提言をいただいたところでございます。この労基法研究会の報告を受けまして、ことしの三月から中央労働基準審議会、労使入りました三者構成の審議会でございますが、ここで労働時間の問題をあわせまして議論をしてきていただいておりまして、お話しのように本日午後審議会の総会が開かれまして意見が取りまとめられる予定になっておりまして、そういうタイミングでございますのでなかなか申し上げにくい状況でございますが、お話しのような方向で議論が煮詰まってきておることは事実でございます。  いずれにいたしましても、建議を受けまして関係方面と相談をしつつ、適切に対応していきたいというふうに考えておりますので、よろしく御了解願いたいと思います。
  34. 緒方克陽

    ○緒方委員 そういうことで、確かに小委員会では既に案文はまとめられているようですが、その前に内容を、中央労働基準審議会の委員の皆さんに目に触れてない方もあるという中で答弁しにくいという問題があるということは承知をするわけですけれども、この自動車運転者の問題というのは、先ほども私が言いましたように、もう既に七年間たっていて、いろいろ調査をしても違背率が実に五〇%という状況で、結局法律ではないわけですから指摘をされるだけで、注意をされるだけという形で、そういう状態の中で、結局事故とか過労という形で大きく事故の要因になっているということもあると思うわけです。したがって、きょう労働省から課長が見えておりますけれども、そういった自動車運転者の立場といいますか、そういう今の厳しい現状、それから、先ほどからの議論を聞かれているかどうかわかりませんけれども、大変な厳しい労働条件に置かれているという状況などを理解の上に、労働省としても、事務方あるいは一般的な行政指導といいますか、あるいは施策を出していく、省としても自動車運転者の問題について積極的に取り組んでもらいたいということをこの際強く申し入れをしておきたいと思います。  そこで、このことで運輸省お尋ねをしたいと思うのですが、実は五〇%を超える違背があるという実態であるわけです。これが実に七年間も続いている。では、この先一体どうなるのかということで、七年たっても八年たっても九年たっても五〇%ということになれば、結局法的規制がないから同じ状態が続く。そうすれば自動車運転者トラック労働者は同じような状態で苦しんでいかなければならぬ、過積み、過積問題も含めて。そういうことが続くというのは、非常に問題があると私は思うわけです。したがって、時間的に七年間もたって違背率も五〇%を超えているという今日の状態の中で、運輸省としてはいわゆる法制化に向けた抜本的措置をするということで取り組んでいく、そういう時期ではないかというふうに思いますけれども、その点についての見解をお聞きしたいと思います。
  35. 松村義弘

    ○松村政府委員 二七通達の違背状況というのを労働省の方から報告を受けたわけでございますけれども、五十九年度までは、本当にわずかながらでございますけれども、だんだん改善する方向が見られた。ところが、六十年度になりましてこれが増加する傾向を見せているというのは、我々としても非常にショックを受けております。  法制化の問題につきましては、これは労働省の方の御所管でございますのでちょっと発言は控えさせていただきますけれども、運輸省といたしましては、法制化が可能な方向に向けていろいろ環境を整備すべきだと考えております。業界を指導すると同時に、先ほどもちょっと触れましたけれども、貨物自動車運送事業振興センターというものを活用しまして二十カ所の休憩施設をつくるとか、そういったものを整えまして何とか法制化に向けての環境整備を進めてまいりたいと思っております。
  36. 緒方克陽

    ○緒方委員 それで、今所管が労働省だからということで直接言及はできないが環境づくりという面で検討したい、努力したいというお話があったわけでありますが、実はこの問題について、これも仄聞するところでありますけれども、業界団体が労働大臣に対して反対というような要望を出されているというふうに聞くわけでありますが、反対なら反対で違背がなくなるようなことになればいいわけですけれども、違背の事実は五〇%を超える実態が七年も続きながら、しかもこれがずっと放置をされるということになれば問題ではないかというふうに私は思うわけです。労働省は労働省としてのそれは考えもあると思うのですけれども、特に運輸省の場合には交通安全ということと労働者の生命といいますか、そういうものの両方の問題を考えなければならぬ、そういう官庁であると思いますし、交通事故をなくすという点ではその責任は大きくあるところでございますから、そういった主たる官庁としてこの問題について一体どういうふうにお考えなのか、お尋ねをしたい。ちょっとダブったような感じになりますが、業界の考えも出ているという中で、再度この件についてお尋ねをしたいと思います。
  37. 松村義弘

    ○松村政府委員 運輸省の所管いたします業界団体が法制化に反対の意向を示しているのは我々聞いております。やはり業界団体というのはいろいろな方々から構成されて、その意見を率直に反映するという機能を持っておりますので、そのあらわれではないかと思っておりますけれども、我々としては、労働環境の整備というのは今後一層力を入れなければならぬ問題だと思っております。我々の力を使って何とか業界を法制化可能なような環境に持ってまいりたいと考えております。
  38. 緒方克陽

    ○緒方委員 これで質問を終わります。どうもありがとうございました。
  39. 新井彬之

    新井委員長 永井孝信君。
  40. 永井孝信

    ○永井委員 ただいま私の同僚委員から過積みの問題が随分と集中的に質問されました。初めに若干それに関連をしてお聞きをしておきたいと思うのであります。  認可運賃の問題、最近は円高不況で大変なんでありますが、先日も私北九州へ調査に行ってまいりました。いろいろな業界の代表の方に集まってもらって懇談をする中で、トラック協会の皆さんもいらっしゃったわけでありますが、大企業が減量経営しなくてはいけない、コストで競争しなくてはいけないということから、現在北九州では、荷物の運搬についても認可運賃の平均四〇%程度の運賃を強要されているという事実が明らかになってまいりました。荷主の側にすれば、どこかで削らないと企業が成り立たないということもあるのでありましょうけれども、認可運賃の大体平均七〇%程度で運んでおったようでありますが、これが五〇%を割ってしまった。割ってしまっても何とか運送業務をやらないと、自分の運送企業にも従業員を抱えているということから、泣きの涙で、四〇%程度の認可運賃を割り込んだ値段で荷物を運んでいる。そのことが結果として、背に腹はかえられませんから、過積みを承知で二倍以上の荷物を運ぶことになる。この悪循環がますます交通事故に大きな影響を与えていると私は思うのでありますが、こういう実情について、公安委員長という立場でどの程度まで御認識ですか、初めにお聞きいたします。
  41. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 先ほど緒方先生からも御質問がございまして、過積みの問題についていろいろな角度からのお話が出、また今、行政官庁としての対応について御答弁申し上げたところでございます。過積みは重大な事故につながるということでございますので、厳重に取り締まりを行って交通事故防止していこう、こういうことで取り締まり当局としては対処しておりまして、そういうことから、いろいろな事情がございましょうが、違反検挙件数も増加をしているところでございます。これらの事案を防ぐためには、安全運転管理者としての使用者による安全運転管理をさらに一層徹底させることがまた必要でございますので、運転者の違反を取り締まるだけでなくて、管理者についても背後責任を追及していくという態度でこれからも臨んでいきたいと考えているところでございます。  また過積みにつきましては、先ほどからの御議論でもよく認識されるところでございますけれども、運輸省を初めとする関係省庁と連絡を密にしながらいろいろな対応策をとって、こういうことがなくなるようにこれからも努力をしていきたいと考えております。
  42. 永井孝信

    ○永井委員 管理者の責任を追及するという話がございましたけれども、トラック運送業者の管理者なのか。むしろ私は、もちろん運送業者にも責任はかなり多くの部分があると思うのでありますけれども、安い運賃でないと荷主側としてその業者を使おうとしない、その荷主の側に私は一番大きな問題があると思うのです。この関係について、認可運賃を定めた運輸省として、この種の問題について、検挙と言えば言葉が適切でないかもしれないけれども、荷主側に対して、その事実を把握した上で指導したとか一定の行政上の措置をしたとかということはどの程度ありますか。
  43. 熊代健

    熊代政府委員 先ほどまで担当の貨物流通局長がおりましたけれども退席いたしましたので、私は地域交通局で旅客をやっている者ですが、おっしゃるように貨物トラック運賃等については上下一〇%の幅運賃ということでやっております。これはおっしゃるように認可制をとっております。荷主と零細企業の多いトラック事業者との関係において、先生のおっしゃるような力関係というものが認可運賃が守れないという状況を醸し出すことについて、荷主団体あるいは輸送団体に対して、認可運賃はこういうことになっておるから上下一〇%ずつ二〇%の幅の中で、時期等によってその上に行く場合もあるでしょうけれども、その幅の中でやるようにやってもらいたいということを要請してきたと思います。  それからもう一点は、事業者自身もそういう認可運賃割れを余儀なくされることについて、団結してといいますか相互に荷主団体等と協議をして、そういうことが起こらないようにするという指導をやっておるというふうに存じております。  担当の局でございませんので、その程度お答えできるかと思うのです。
  44. 永井孝信

    ○永井委員 荷主側に対する指導などについて、担当局長ではないのですけれども運輸省として受けとめてもらいたいのですが、上下の幅二〇%の認可運賃の制度になっている。それに輪をかけて、認可運賃の定めた上下幅の範囲内で荷主が発注することは最近ではもうごくまれなんです。それほど認可運賃という制度は形骸化してしまっている。そのことが過積みに拍車をかけているのです。きょうここでいきなりの質問でありますから細かいことは答弁は要りませんけれども、公安委員長もいらっしゃるわけですから、荷主側に認可運賃をきちっと守らせるという徹底した指導と、場合によっては、それを大幅に破る者については公安委員会としても適切な対応をしてもらいたいということをきょうは特段に申し上げておきます。  さて、総務庁にお聞きしたいと思うのでありまますが、第四次交通安全基本計画の策定に当たって交通事故死者数を八千人とするという目標を立てているわけですね。第三次のときも同じように八千人という目標を立てました。しかし、それをはるかに超えてしまって、連続四年間九千人台という結果に終わっているわけであります。第三次の計画がどのように実行されて、その結果このようなことになっていった、ここが不十分だから目標達成に至らなかった、いろいろな理由があると思うのでありますが、当然それらを総括した上で第四次の策定というものがされてきたんだと私は理解しているわけであります。ところが、第四次の初年度のことしも十一月末現在で既に死者数が八千四百八十九名、これは特定の時間内の死亡者ですから、それ以降に死亡した人もいるわけです。負傷者数は何と六十四万八千六十七人という数字になっているわけです。このままいきますと、恐らくことしじゅうにまた九千人を突破することは残念なことだけれども間違いないだろうと思うのでありますが、策定に当たった立場から総務庁としては、実際には至らなかったところ、不十分なところにどのように対処しようとしておるのか、基本的な考え方をお聞かぜいただけますか。
  45. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 第三次の計画が目標どおり達成できなかったじゃないかという点につきましては、車なり免許保有者数なりの増加とかその内容の多様化の問題とか、いろいろな交通情勢の変化というのが大きいと思います。交通事故そのものの増加につきましては、道路環境あるいは車の性能とか機能の問題とか人間の注意力の問題など、いろいろな要素が複合しておりますので一概に決めにくいわけですけれども、そういった問題を十分に踏まえまして、次の計画におきましては専門の調査研究委員会に予測をしていただいたわけでございます。この予測によりますと、内的、外的要因が従来と同じような状態で続いていき、かつ従来と同じような事故防止努力を続けるならば、自動車交通量の五年後の伸び等を勘案して約一万六百人になるだろう、こういうことでございます。したがいまして、この三次のときのいろいろなものの点検であるとかその後の交通情勢の変化、今の予測、さらに今後新たにやるべきであろうところの新規施策、そういったことを踏まえまして八千人という目標を掲げたわけでございます。  先生今御指摘ございましたように、昨今の状況を見ますと大変厳しいわけでございます。例えば高齢者、七十歳以上の歩行者を中心とした事故の増加であるとか、やや減少の兆しがありますものの若者を中心とした二輪車の事故の問題、あるいは自動車乗車中の事故の問題であるとかいろいろございますが、第四次の基本計画の精神に基づきまして、道路交通環境の確立あるいは自発的な交通安全意識の高揚、今の事故の実態を踏まえた運転者、特に青少年層とか高齢者層の安全運転の確保、こういった問題について基本計画の掲げておる施策の実現に全力を挙げて今後取り組んでいきたい、かように思っております。総務庁といたしましては、この基本計画が単に計画に終わることなく実効が上がるように、目標達成を目指して関係省庁とも緊密な連携をとりながら今後鋭意進めてまいりたい、かように思っております。
  46. 永井孝信

    ○永井委員 最近、新聞紙上で悲しい事故のニュースがよく報道されるわけでありますけれども、例えば通学の子供の列に車が突っ込んだとか、そういう大きな事故が残念なことに年に何件かあります。その場合の運転者というのはまず十八歳、十九歳の若者が運転しておった乗用者で起こした事故というのが多いのですね。もちろん、十八歳から免許証を取れるわけでありますから免許証を持つことはいいのでありますが、新聞で少年と書かれるような対象者に対する交通安全指導には特段に力を入れてもらいたい、このことをつけ加えておきたいと思います。  さて、自動車の保有台数の問題ですが、六十一年度首において五千万台を超えたと言われております。三十年前の保有台数と比べるとざっと三十倍になっているわけであります。自動車は三十倍になって、そのことが示すように庶民にとっても生活に不可欠な、日常の足になり切ってしまっているわけでありますが、残念ながら、交通安全施設の整備というのはその当時に比べて三十倍になっているとは私は思えないのです。こういう自動車の保有台数がどんどんふえていくことに対して建設省はどのような重点施策考えているのか、これをまず明らかにしてください。
  47. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘のとおり、自動車保有台数は年々増加をいたしております。それから、それに付随をいたしまして自動車の走行台キロもある程度のスピードで増加をいたしております。したがいまして、自動車が非常にふえていくということは疑いのない事実でございますので、私どもといたしましては、それに対する道路の整備というものを第一段の基本施策として鋭意進めているところでございます。人と車が一緒に走っているようなところにつきましては、バイパスを築造することによりましてかなり事故減少が図れます。このように車と人あるいは通過交通と近隣交通とを分ける、そのような道路整備を第一段階の施策として進めておりますけれども、何さま、ただいま申し上げましたようになかなか需要に供給が追いつかない、こういう現状でございます。したがいまして、それと並行いたしまして現在の道路について、その安全性を確保するために先生御存じのように既に三次にわたります五カ年計画、その前には三カ年計画もいたしまして既存の道路交通安全施策を進めているわけでございます。この交通安全施策の中で歩道の設置自動車歩行者を分けるということをまず大前提といたしまして懸命の努力をしておりますが、第四次交通安全施設等整備五カ年計画の中におきましても、この歩道の整備を第一の眼目として進めているところでございます。
  48. 永井孝信

    ○永井委員 今御答弁にありました歩道の関係は後で触れますから、またそのときに御答弁いただきたいのでありますが、全般的に高速道路、特に首都高速道路を含めてそうでありますが、高速道路や一級国道などについても大変な混雑なんですね。どういう割合で査定すればいいのかわかりませんけれども、そういう主要幹線道路と言われているのは、七五%以上が渋滞道路になるとさえ言われているわけです。そのためにいらいら運転が起きる。こんな委員会で発言するのは適切かどうかわかりませんけれども、せんだって新聞で検事総長さんの談話も出ておりました。制限速度どおりに走っておったのでは渋滞してしまってどうしょうもないから、つい追い越す、追い越して事故を起こすケースがあるという、まあ当たり前のことを言っておられると私は思うのであります。すいているところではもう少しスピードが出せるのに制限速度が厳し過ぎる、都会へ入ってくると全く動かない、運転者はいらいらのし通しで、このことが事故につながっていくと私は思うのです。だから、これについても、今言われたようにバイパスの建設をするなど、できるところは集中的にやってもらいませんと、私の地元でもそうでありますが、主要地方道で、バイパスの建設を五年越し、六年越しでお願いしたって一向にらちが明かないのですよ。その間にどんどん交通事故死がふえていくわけでありますから、バイパス道路などの建設で解消できるところは全力を挙げてやってもらいたい、このことも強く指摘しておきたいと思うのであります。  その上に、最近は公共事業の前倒しということもあるのでしょうけれども、非常に道路工事が多いのですね。それも建設の道路工事じゃなくて道路に対する埋設工事、下水道とか電線とか電話線とかいろいろあるのですが、そういう工事がやたらと目につきますね。そのこと自体は、一生懸命やっておられるわけでありますから悪いことじゃないんだし、どんどんやってもらったらいいのでありますが、問題は、自分自身で車に乗って気がつくのでありますが、必ずそこには安全のために整理員を置いているわけですね。警察官じゃなくて、いわゆる警備保障会社の警備員を置いているのですが、若い警備員もおりますけれども、案外年配の警備員の方々も多いわけですよ。ところが、その警備員の交通指導交通整理というものが極めてあいまいな場合が多いのですね。通れと言っているのかとまれと言っているのかわからぬとか、中には白旗と赤旗と一緒に二本持ってしまって振っているとかいろんなケースに私出くわします。これはずっと数年来見てきたことでありますが、やはりそういう道路上の工事をするときなどの警備員の配置については、その警備会社あるいはその警備員自体交通安全のための指導についての教育が十分にされているのだろうかということを疑問に思わざるを得ないのですね。これは警察庁、どのように取り扱っていらっしゃいますか。
  49. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、警備会社のガードマンが交通の整理をやっておりますが、率直に申しまして、従来必ずしもそのガードマンに対する教養の制度というのは十分ではございませんでして、そういうことからさきに警備業法に基づきます規定を改正いたしまして、交通だけではありませんけれども、必要な業務について講習を受けるというような義務化を図りまして、今後そういう教育面でも充実強化していく、こういうことにいたしたところでございまして、今後交通の整理の面でも遺憾のないように措置してまいりたい、かように考えております。
  50. 永井孝信

    ○永井委員 万全を期してもらいたいと思いますね。  次に、十一月二十八日に、御案内のように特定交通安全施設等の整備五カ年計画が閣議決定されましたね。この計画どおりに当然達成されなくてはいけないし、達成すべきものでありますが、この円高不況の中で、どうやら政府は増減税とんとんという話も片方でありますけれども、大変な税制改革が今なされようとしているのでありますが、財政事情がどう変わっていくのかという見通しがまだまだ定かでない。そんな状態の中でこの閣議決定に基づいて一〇〇%達成が果たしてできるか、私は非常に心配をするわけですね。それは、第一次を除きまして、第二次五カ年計画では九四・九%の達成率でした。第三次では六九%しか達成できてないのですよ。この六九%しか達成できなかったというその理由が仮に財政事情にあったとすると、これからの新しいこの閣議決定された五カ年計画というものに私は大変な危惧を抱かざるを得ない。これは公安委員長もそうでありますが、総務庁、建設省含めて、ひとつ具体的に、一〇〇%達成でき得るという決意も含めてですけれども、ちょっと基本的な態度だけは明らかにしてもらいたいと思います。
  51. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、第三次の交通安全五カ年計画が昨年終わったわけでございます。これは、計画を策定しましたときは千九百億円でございましたが、実際に終わってみますと千三百十一億円、達成率六九%でございます。これは財政事情が大変困難になってきたために、我が方としましては、予算要求は毎年計画どおりに達成したいということでやっておったわけですが、現実にはこういう結果を来したわけでございます。  この経験を踏まえまして、第四次につきましては、期間中、財政事情も引き続き厳しいであろう、そうであるとするならば、第四次五カ年計画は現実的に達成可能な線で策定し、その予算をつけていくことが現実的ではないであろうか、こういうことから千三百十一億円を若干上回る程度の現実的な千三百五十億円という規模を決めたわけでございます。そういうことでございますので、第四次五カ年計画の達成につきましては、交通情勢も大変厳しいものがございますので、重点的に予算の確保に努めまして、第四次五カ年計画が完全に達成されるよう努力をしていきたい、こう考えているところでございます。
  52. 萩原浩

    萩原政府委員 道路管理者分の五カ年計画につきましては、第四次の特定交通安全施設等整備事業五カ年計画、二千億の調整費を含めまして一兆三千五百億円を計画に取り込んだところでございます。第三次の五カ年計画達成率は八九・六%でございまして、先生指摘のように、残念ながら一〇〇%の達成には至りませんでした。この安全関係は何とかゼロシーリングあるいはマイナスシーリングの枠外にしていただきたいということを私どもも要求をいたしたわけでございますが、財政厳しい折からこれができなかった。したがいまして、道路事業費の中でこの安全問題についてはかなり傾斜配分をいたしましてやっと九〇%弱の達成率を達成できた、こういう実情にございます。  今回の第四次五カ年計画につきましても、残念ながら六十一年度がやはりマイナスシーリングの壁がございました。したがいまして、初年度の立ち上がりがやはり少しくおくれておりますので、今後懸命の努力をいたしまして、何としてもこの一〇〇%完全達成をいたしまして事故を一件でも減らしたい、こういうふうに考えている次第でございます。何とぞまたよろしくお願い申し上げたいと存じます。
  53. 永井孝信

    ○永井委員 公安委員長、閣議決定で五カ年計画を策定し、それに必要な予算も大枠で決める、そして単年度ごとの予算編成のときにはマイナスシーリングでそれを削り込むことをまた同じ閣議で決める、こんな話は国民に通用しないですよ。五カ年計画で人命を尊重する立場から交通安全にこれだけの金が要るんだということで閣議決定したのなら、責任を持ちなさいよ。公安委員長、どうですか。
  54. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 それはおっしゃるとおりでございますが、それ以上に財政事情が厳しかった、過去の経緯から申しますとそういうことではないかと思います。先ほど私も答弁申し上げましたように、これからは、手がたく第四次交通安全五カ年計画を策定しておりますので、毎年毎年の予算要求におきましてお約束が果たせるように努力をしていきたい、こう申し上げたいと思います。
  55. 永井孝信

    ○永井委員 きょうは大臣が公安委員長しかおりませんので、あとの交通安全委員会に関する担当のそれぞれの大臣がいらっしゃいますから、それぞれ各省庁はこの話を持ち帰って大臣にちゃんと、きちっと言っておいてくださいね。  さて、その五カ年計画の達成率が極めて低い理由として、公安委員会分について言いますと、特定財源を持たずに一般財源が充てられているからだとよく言われるのですね。交通安全に係る整備事業というのは、道路整備と交通管理施策というものが有機的に一体的に進められて初めて達成できると私は思うのですが、この地方単独事業の財源とされている交通安全対策特別交付金の中身を見てみますと、これは実績でありますが、道路管理者分は七〇%、公安委員会分は三〇%ということに結果として終わっているわけですね。これは適正なものと思いますか、どうですか。
  56. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、実績といたしましては道路管理者が約七割、警察が約三割ということになっておりますが、公安委員会の地方単独事業は全体的にその必要額が地方財政計画に計上されておりまして、特交金を含めて交付税等によって所要の財源措置がなされているわけでございます。特交金の配分割合が公安委員会の交通安全施設の分としてどの程度充てられているかは、各都道府県の財政当局の判断の結果によるものでございますが、それぞれ財源構成を踏まえて措置された結果が七割対三割になっておるというふうに理解をいたしております。
  57. 永井孝信

    ○永井委員 いずれにいたしましても、双方が一体になって初めて対応がうまくいくわけですから、結果論として七〇%、三〇%になっていますけれども、より適切な方向でそれぞれの予算配分がなされますように、あるいは予算措置がなされますように、これも強く要望しておきたいと思います。  その次に、第三次計画を振り返ってみますと、地方単独事業は道路管理者分も公安委員会の分もともに従来の特定事業から見ると実績が下回ってしまっているわけです。第四次計画において、公安委員会分のうち今まで特定事業で実施していた信号機の新設とか可変標識とか固定大型標識などの整備については地方単独事業に振りかえられていったわけですね。今、交付税を含めていろいろな面で地方自治体に対する予算措資が厳しくなっている。そのことが結果としてはね返ってしまって、この地方単独事業の遂行に困難を来さないかという心配があるのですが、これは今度は自治大臣としてお答えいただけますか、使い分けで悪いけれども。
  58. 柿本善也

    ○柿本説明員 詳細の話でございますので、かわりましてお答えいたしたいと思います。  御質問のように、六十一年度におきまして、信号等の新設につきまして補助対象から外されたわけでございますが、この補助対象の区分の見直しの趣旨は、国において、特定事業のうちの対象事業を規模の大きな必要性の高い事業、例えば交通管制センターのようなものに重点を置くということで、補助額から見ましてもおおむね同額で、国費を減額したということにはなっておりませんので、我々としては地方にしわ寄せするということではなくて、事業を重点化された、こういうふうに考えております。  なお、今回の措置に伴いまして、信号機が単独事業に回されたわけでございますが、これにつきましては必要額を地方財政計画で、単独事業としては六十一年度は六百四十六億でございますが計上いたしましたし、あるいは信号機の事業実施につきましては、適債事業については地方債の対象にするなどして事業実施に支障のないように対処している次第でございます。
  59. 永井孝信

    ○永井委員 今まで事業に対して補助制度をとっておったものが、今度は地方単独事業に変わっていって予算措置の仕方が変わってきた。この財源はどこに求めていくのですか。
  60. 八島幸彦

    八島政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、地方単独事業の必要額につきましては、地方財政計画に所要額を計上いたしておりまして、六十一年度の場合は六百四十六億円でございますが、そういうふうに計上されたものにつきましては、特交金等含めて、あるいは交付税等によりまして必要な財源措置が講じられているというふうに理解をいたしております。  なお、それを目的としたものではなくて、あくまでも交通安全を目的としたものではございますけれども、明年四月からは反則金も値上げになりますので、結果的には特交金も増額になる、そういうことになりますので、一つの財源措置にはなるのではないかというふうに考えております。
  61. 永井孝信

    ○永井委員 今、御答弁の中でちょっと反則金の問題が出ました。来年の四月から反則金も値上げされるので特交金も増額をされることは可能だ、こういうことですね。ちょっと今聞いて、非常に気になるのですよ。取り締まりのための取り締まりはしないということをこの前の委員会でも決議しているのですが、交通違反を取り締まるときに、前も私聞いたことがあるのですが、予算上の裏づけを図るために反則金を一応これだけ取ることができる、徴収することができるという目標を立てて、その目標に到達させるために取り締まりを強化するのではないかという質問を私は繰り返してやってきたことがありました。いみじくも今局長から、来年から反則金が上がるから特交金も増額することができるという御答弁があったのですが、これは結果として、反則金というのは予算を確保するために、到達させるためにノルマ的なものになっていきはしないのか、これはどうですか。
  62. 八島幸彦

    八島政府委員 ただいまの御質問でございますが、例えば六十一年度の反則金見込み額は対前年比マイナスになっておりますが、私どもは、決して安全施設の予算が足りないから反則金の予定額をふやすとかそういうようなことは一切やっておりません。現に、ことしに入りましてからも、取り締まり件数は対前年比で、一番新しい数字でございますけれどもマイナスになっております。そういうことで、従来からも繰り返し御答弁申し上げておりますように、そのために、取り締まりのための取り締まりになるようなことは絶対にないように一線を指導してまいっておりますし、また今後ともそういうふうに指導してまいりたいと考えております。
  63. 永井孝信

    ○永井委員 繰り返して恐縮ですが、ことしの二月二十五日の当委員会の中で、局長が同じように答弁されたわけですね。財源措置については「国の特定事業、地方単独事業あわせまして、第四次計画におきましては完全達成を目指して」その財源措置については努力をいたしますという趣旨の答弁をされているわけであります。その財源措置の中に今言った反則金の徴収分がかなり大きな部分を占めるわけでありますから、なるほど反則を犯して反則金を納めるのは当たり前のことかもしれませんけれども、そのために、とにかくもうすべて切符を切るということじゃなくて、その場その場の実情に合わせて、厳しく取り締まるものもあればあるいは厳重に注意をして反省を促すということだけで済ませる場合もあってもいいのではないか。  これだけ犯罪がどんどんふえてくる世の中ですから、やはり第一線の警察官が市民から親しみを持たれるということが、捜査を進展させるためにも第一の条件だと私は思うのですね。一般の市民というのは主として交通問題で警察官との接触はありますけれども、他のことでは余り一般的な接触はないのですよ。だから、交通取り締まりに当たる警察官の対応が警察そのもののイメージになっていくわけでありますから、その辺のところは私はあえて強く申し上げておきますが、取り締まりのための取り締まりにしないように特段の指導強化を重ねてお願いをしておきたいと思いますが、どうですか。
  64. 八島幸彦

    八島政府委員 十分に配慮して一線を指導してまいりたいと思います。
  65. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 実は先生がおっしゃったようなことにつきましては、国家公安委員会が開かれました機会に、ほかの公安委員先生方同席のところで、警察庁の長官にも適切な交通違反の取り締まりをするようにということを私が申し渡しておりまして、八高局長が今申し上げましたこともそういうことも含んでいると私は考えております。
  66. 永井孝信

    ○永井委員 次に、最前歩道の問題が出ましたのでもう一回ここで触れておきたいと思うのですが、歩道の必要延長距離というのはざっと二十四万キロだと聞いているのですが、それに間違いございませんか。
  67. 萩原浩

    萩原政府委員 歩行者及び自転車利用者の安全を確保するために、長期的には道路延長で約二十三万キロの歩道の整備が必要であろうというふうに考えております。ただし、これは長期的なものでございます。とりあえずはその前にある基準を定めまして、緊急に歩道を整備する区間を定めて整備するということでございますが、長期的には先生おっしゃいますように約二十三万キロ、正確に申し上げますと二十三万六千キロという数字をはじいてございます。
  68. 永井孝信

    ○永井委員 必要延長距離は今お聞きしたとおりだと思うのでありますが、実際に整備されておるのはまだまだ三〇%から三五%程度にとどまっているわけですね。だから、この必要延長距離を一〇〇%達成するために御努力をいただくわけでありますが、ここで一つだけ注文があります。それは、これだけ交通事故死者が多いわけですから、非常に困難なことかもしれませんけれども、交通渋滞の激しいところ、交通量の多いところ、特に事故件数の多いところなどに予算の措置についても集中的な配分などができないだろうか。そういう本当に実効の上がるようなことを念頭に置きながら、単に進捗率だけで評価するんではなくて、進捗率プラス実際行われた整備の内容で評価されるようなことを、これは御答弁要りませんので特段にお願いしておきたい。その中で、とりわけ既存のストックの有効活用を図ることであるとかあるいは盲人用の信号チャイムなど求めているところも非常に多うございますので、そういう問題についても特段の配慮をしていただきたい、こう思います。  時間の関係であとは省略をしておきたいと思います。  その次に、保険の関係についてちょっとお聞きをしておきたいと思うのですが、損保協会あるいは農協共済あるいは生活協同組合としての自動車共済などがあるわけですね。この中で、例えば自動車共済について無事故割引の通算に関して私が百二国会で質問したことがありました。そのときに大蔵省当局は、自動車共済にはデメリット制度がないから無事故割引の通算は難しい、問題が多いのではなかろうかと考えているという答弁が当時なされているわけであります。その後、いろいろ経過を調べてみますと、自動車共済連は、去る十一月二十八日の総会で組織、経営機構改革というものを促進する立場から、損保協会や農協共済が実施している十六等級制度というものと同様の制度を導入することを決めたわけですね。まだ具体的な作業が完成したわけではありませんけれども、この制度が導入されたとすると、この前の答弁からいってこの適用、割引の一元化等について検討されるべきではないかと考えるのですが、これは非常に恐縮ですが、時間の関係で短い答弁で大蔵省、厚生省両方からお答えいただけますか。
  69. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 先生今御指摘のように、自動車共済側で今般、損保がとっておりますと同じような十六等級のいわゆるメリ・デメ制を導入することを決めたというふうに聞いております。その点では、先生もおっしゃいましたように、損保と共済の自動車保険についての一元化でございます。いわば土俵ができつつあるというふうに考えております。  ただ、自動車共済につきましては、今までいわゆるデメリット制度なしに運営されてきたわけでございます。自動車共済の新しい制度のもとで当面六等級、これは新規の契約者について適用される等級ということになるわけでございますが、その六等級に格付されることになります契約者の中には過去に事故歴を有している、したがって、損保にずっと加入していれば三等級であるとかあるいは一等級、そういった低い等級が適用されるはずである契約者というのが混在しているという問題がございます。そういう意味で、今直ちに二つの制度を統合するということは、その個々の契約者について、自動車共済が適用される等級を損保の方で引き継ぐということになるわけですけれども、契約者間の公平という問題もあって、なかなか問題があるのではないかというふうに思います。ただ、先生指摘のように、自動車保険あるいは自動車共済の契約者の利便ということは必要でございますし、今申し上げました点は、自動車共済がこれから新しいメリ・デメ制度のもとで運営の実績を積まれていくということによって解消される問題でもあるというふうに考えておりますので、最終的には損保業界が決める問題ではあるわけですけれども、自動車共済の方からお申し出があれば、将来の一元化が可能かどうか両者間で十分話し合いをするように、私どもとしましても損保業界を指導してまいりたいというふうに考えております。
  70. 矢野朝水

    ○矢野説明員 先生の御指摘のとおり、先般の自動車共済連の総会におきまして損保と同じような料率体系を導入する、こういう決定を行われたわけですけれども、まだその具体的な認可申請が上がってきておりません。具体的な話がありましたら、これは前向きに対処して支援してまいりたいと思っております。
  71. 永井孝信

    ○永井委員 具体的なことについてはこれからの作業になっていくと思いますけれども、従来の経緯がありますので、ひとつ十分な配慮をお願いしておきたいと思います。  その次に、交通事故に伴う保険金の不正請求の問題でありますが、これも私今まで何回も質問してまいりました。指導体制の強化も要望してまいりました。しかし、昭和六十年中の保険金詐欺事件というのは、私の調べたところでは、間違っておったら御指摘願いたいのでありますが、件数にして九百九十四件、前年比では三百五十五件ふえているわけですね。被害額は十八億九千八百九十三万円と私どもは承知をしているわけであります。当たり屋事件というのもたくさんありまして、二百三十三件が摘発をされている。被害総額は八千九十五万円。あるいは示談に絡む恐喝事件というのも三十六件出ておりまして、これの被害額が三千十三万円。これは全部警察が摘発したものなどの表に出たものだけでありますから、実際はもっともっと水面下にあると私は思うのです。これを全部合わせますと大変な件数と被害額になっていくわけであります。これが損保協会あるいは農協共済、自動車共済全般の交通保険に対して大変な影響を与えていることは事実でありますから、この犯罪というものは徹底的に取り締まらなくてはいけないと私は思うのです。その中で、保険プロと言われているような代理店あるいは一部の不心得な医師あるいは暴力団が連携してこういう犯罪を犯しているわけです。これを防止するためには、例えば警察だけではいかぬと思うのです。厚生省もあるいは保険を管轄する大蔵省の関係も、全部が相互に連携をきっちりとって対応しないことには、この不正請求というものは排除することはできないと思うのですが、これについて公安委員長を初めとして関係当局からの見解、対応策を簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  72. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 おっしゃいましたようなことは起こってはならないことでございますので、関係省庁連絡を密にいたしまして、そのようなことが起こらないような体制をさらに強化していきたいと思います。
  73. 八島幸彦

    八島政府委員 警察といたしましても、保険金詐欺等の事件は保険制度の根幹を危うくする悪質なものだという受けとめ方をいたしておりまして、先生先ほど御指摘のように六十年中に九百九十四件を検挙いたしておりますけれども、これは五年前の取り締まり件数に比べますと約二・八倍になっております。また御指摘のように、組織的に暴力団等が時には医者と結託して行うような不正請求もございますので、この不正請求の防止につきましては、大蔵省その他関係機関とも十分連携をとりながら、交通警察の今後の取り締まりの一つの重点として取り組んでまいりたい、かように考えております。
  74. 永井孝信

    ○永井委員 行政側の相互連携も大切でありますけれども、当然のこととして保険業務を扱っている損保協会、自動車共済あるいは農協共済、こういうところなどに警察も入ってお互いに情報交換できるとかいうことにしていきませんと、それぞれの保険会社とか共済が自分のエリアだけはということの考え方で対応しておったのでは、なかなかこういう犯罪に対して対応し切れないと思うのですね。これについても特段の配慮をしてもらいたい、こう思うのです。  もう一つは、これは厚生省にお聞きするのですが、負傷の程度が軽いもので負傷と言えないような状態のものでも簡単に診断書を出す病院や医師がいるんですよ。全部じゃありませんよ。そういう不心得な医師がいるのです。私の一つの最近の経験でいきましても、これはもう名前をはっきり申し上げますが、姫路の河野医院という医院について警察庁にも厚生省にも私は実情を訴えてまいりました。これが警察によって院長、事務長が逮捕されるまで一年かかったわけですよ。その一年間の間にも同じようなことがどんどん起きてきていっているわけですね。そしてその医師がどうなったのか、まだその結論は聞いていないのですけれども、今までの経験でいくと、一定の期間は営業停止処分というのでしょうか、あるいは保険医の資格を取り消すというのでしょうか。しかし、その種の悪徳医師が医道審議会にかかって医師の免許を取り上げられたというケースを私は聞いたことがないのです。こんな悪徳医師は徹底的に追放するぐらいのことをやらないとこういう不正請求というものは後を絶たないと私は思うのですが、厚生省どうでございますか。
  75. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  言うまでもなく、診断書というものを通じて医師がかかわっているケースがあるわけでございますが、診断書というのはまさに医師固有の業務でございますし、しかもそういうことで社会的なある種の信用というものを持たされているものでございますので、その信用を悪意で経済的に利用するというふうなことに出るというのは断じて許されざることであろうというふうに思っております。そんなことで、従来その種の交通事故に絡む保険金詐欺事件ということについて若干の甘さというものもあったのかというふうなこともありまして、五十九年から特に医道審議会の会長談話というものを出しまして社会的な警告を発しながら、自今、より厳正な態度で処分に臨むということにしてございます。ただ、個々の案件についてすべて免許取り消しといいましょうか、そういうことが妥当かどうかということは医道審議会の審議にまたなければなりませんけれども、行政当局といたしましても、そういった趣旨にのっとってできるだけ厳正な態度で対処するというようなことで今後とも臨みたい、こんなふうに考えているところでございます。
  76. 永井孝信

    ○永井委員 交通事故にかかわる問題だけではなくて、一般的に保険の不正請求とかあるいは詐欺的な行為とか、いろいろなことが随分ありますね。一年間のうち新聞でそういう不正医を摘発された記事というのは幾らでもあるんですよ。全般的に見て医道審議会の対応はどうも手ぬる過ぎる、ちょっと舌をかみますけれども手ぬるい、簡単に言えば。医者というのは、例えば保険医の指定を取り消されても、その間自分の病院が営業できなくても、医師の免許を持っておればどこの病院でもアルバイトか何か知りませんけれども働くことはできるわけですよ。一定の期間が来るとまた保険医の資格は取り戻せる、営業も再開できる。これじゃばれもとで、ばれたときにはしょうがないけれどもそれまではやりほうだい、こういうことになるんですよ。だから、そういう不正な医師に対してはもっともっと厳しい対応を厚生省としてもとるべきだということを特段に、もう答弁要りませんけれども、私は申し上げておきたいと思います。  さて、時間がなくなりましたので予定した質問が全部できないのですが、あと一つだけ聞いておきたいと思うのです。  運輸省の大島技術部長さんいらっしゃいますね。十二月六日の新聞で「日航機事故再発防止策建議へ」というニュースが出ました。ここに切り抜きを持っておりますが、その中で、例の昨年のあの日航機事故ですね、このことについてちょっと文章を引用しますと、「大阪空港でしりもち事故を起こし、メーカーの米国・ボーイング社が後部圧力隔壁などの修理を受け持ったが、その修理に手落ちがあったことが、事故後、わかった。修理ミスを見逃していた日航の責任とともに、修理・改造後に合格の証明を出した運輸省の対応の問題点も指摘されており、改めて検査体制の充実を求めるべきだとの立場から検討している。」というニュースが出ているわけです。  昨年、日航機の墜落事故のときに私も大島さんにかなり厳しいことを申し上げたのでありますが、例えば検査官の数が少な過ぎる。だから、検査の合格証を発行する際に、検査官が自分の目で確かめて一つ一つすべて点検をして合格証を発行することは事実上難しいというお話もございました。正確な答弁は、今資料を持っていませんけれどもね。あるいはサンプリング検査について私が指摘をいたしましたら、大島技術部長はその当時、高度な精密機械を使っている飛行機をすべて検査をするために、オーバーホールじゃありませんけれども、やりますとかえって事故につながるおそれがある、だからサンプリング検査というやり方は正しいんだという答弁を私になさいました。しかし、その後聞きますと、サンプリング検査自体についてもその方式を改めることを運輸省は検討されたとか、いろいろなことを新聞報道などで見るわけでありますが、やはり事故調査委員会が指摘されておりますように、合格の証明を出すための検査体制というものにもつと権威を持たせなくてはいけないし、そのことがやはり事故防止に大きく役立っていくと私は思うのですね。  だから、どういう建議が出るのか私はまだわかりませんけれども、この建議が出るまでは運輸省としてもその建議を待つ姿勢なのか。あるいは具体的に、もう去年から一年以上たっているわけでありますから、そういう経過を踏まえて運輸省自体としてもう既に改善をしていらっしゃるのか、その辺のところを大島さんからお聞きしたいと思うのです。
  77. 大島士郎

    ○大島説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘新聞報道につきましては、私どももそのような動きがあることは承知しておるところでございます。ただ、具体的内容については現在の段階では承知しておらないわけでございますが、私どもといたしましては、昨年の日航機の事故以降やはり検査体制の強化ということで航空会社の整備についての監督指導体制を強化いたしました。具体的には、整備審査官というものを新設いたしまして、従来よりもきめ細かな監督指導を行っていく。それからまた航空会社につきましては、特に日本航空の立入検査等を通じましてジャンボ機の整備点検等の強化、あるいはただいま御指摘のサンプリング検査につきましても内容的に改善すべき点を幾つか指摘いたしまして、そのような強化を図っているところでございます。具体的に事故調査委員会の建議がどのようなものになるか予測はできないわけでございますが、建議が出た段階でさらに必要な措置があれば真摯に受けとめて改善に努めていきたいと考えているところでございます。
  78. 永井孝信

    ○永井委員 時間が来ましたから終わりますけれども、事故調査委員会が出された建議について的確に対応することは当然なことでありますけれども、国会のこの委員会の審議の場でいろいろな疑問点が出されたこと、あるいは当局としての対応に不備な点があったことを指摘したこと、ここらについては、事故調査委員会がどのような建議をしようとすまいと、それは運輸省として的確に対応してもらわなくては困るわけですね。そのことを私は申し上げているのであって、もう一言だけ答えてください。
  79. 大島士郎

    ○大島説明員 私どもも日ごろから航空の安全についてはみずからできる限りの努力はしておるつもりでございますが、いろいろこれまでの御指摘、疑問の点もございます。私どもそれらも踏まえまして、今後とも航空の安全に努めていきたいと考えております。
  80. 永井孝信

    ○永井委員 質問を終わります。
  81. 新井彬之

    新井委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十一分休憩      ────◇─────     午後一時三十分開議
  82. 新井彬之

    新井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。木内良明君。
  83. 木内良明

    木内委員 我が党は先ごろ第二十四同党全国大会を開催いたしました。矢野新委員長、大久保新書記長の体制でフレッシュ、オープン、エキサイティングというキャッチフレーズとともに新しいスタートを切ったわけであります。とりわけ、我が党が立党以来掲げてまいりました生命の尊厳ということは今なお我が党の伝統と歴史の中に息づいているわけでありまして、この生命の尊厳という観点から考えますと、本委員会の果たす役割というものは極めて重大である、こういう認識を持っているわけであります。私自身、かつて本委員会の理事を務めさせていただいたこともあり、きょうはそうした新しい決意でまた質疑に臨みたい、こういうふうに考えております。  思い出しますのは、昭和五十九年四月でございましたけれども、本委員会で交通安全対策の基本的な施策に対する私の考え方をるる申し述べ、またその中で、今後の我が国における交通安全対策のあり方というものは、大別してハードとソフトの両面にわたる施策の充実が図られなければならないということをるる指摘をしたわけでございます。すなわちハードの面、これは道路環境の整備であるとか標識であるとか、いわゆる交通環境の整備というものが極めて重要でありますけれども、同時に重要なものは、いわば現代社会におけるモータリゼーションの文明の中にあって、人がいかに車を使い、いかに秩序ある、また安全な交通社会を形成する取り組みができるかという、ソフトの面における政治環境あるいは行政環境の整備というものが必要であるということを再三にわたって訴えてきたわけでございます。  そして当時私は、幾つかの交通安全対策の基幹をなす施策というものは考えられるけれども、当時、昭和五十八年において九千五百二十人、一万人に及ぼうとしていた交通事故死亡者減少させるには、やはりソフトの面でのシートベルト着用率向上を図ることが切り札の一つである、こう多くの時間を割いて提案をしたわけであります。その後、本委員会におきましては、全会一致でシートベルト着用向上を図るための決議が行われ、政府においては、これを受けた形で新規立法の措置が講ぜられ、今日に至っているわけであります。すなわちその第一段階におきましては、高速道路シートベルト着用義務化を図り、そして本年十一月の一日から一般道路においても着用の義務化が行われてきている、こういう経緯をたどっているわけでありまして、本日のこの委員会でシートベルトに関する質疑を行うに当たって、私は、一般道路はもとより高速道路、あるいは国民の皆さんのシートベルトに対する関心の高さと着用率向上を町で実態として目の当たりにするにつけて、実は感無量の感慨を持っているわけであります。  そこで、まず初めに大臣にお聞きをするわけでありますけれども、巷間よく喧伝されておりますのは、シートベルト着用効果ということでありますが、一つは、やはり最も印象強く訴えられているのが、事故時における、いわゆる衝突時における人命保護効果ということがよく言われるわけであります。しかし、シートベルトは実は副次的な効果を多く持っているわけであります。すなわち、ベルト着用によりまして安定姿勢を保持できる、そのために疲労軽減効果があり、また同時に動態視力の向上が図られ、加えて安全意識の高揚というものも促進されるという面もあるわけであります。したがいまして、本委員会のこの審議の場を通じて、この問題については十分に御理解のある大臣でありますけれども、そうした副次的効果についての認識が大臣にはいかなるものであるか、まずお尋ねをします。
  84. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 おっしゃいますように、シートベルトを締めるということは安全対策として専ら啓蒙が行われているわけでございますが、また先生が今、後段で触れられましたように、姿勢を正しく保つということで疲労を軽減するという効果、あるいはシートベルトを締めることによって安全意識が高まる、緊張して、だらけた気持ちでなくきちっとした気持ちで運転をする、こういうことで効果があるということは事実でございまして、こういう効果があるということをもっともっと広く一般の運転者の皆さんに認識していただくようにこれから努力をしていかなければならない、このように考えているところでございます。
  85. 木内良明

    木内委員 大臣から答弁をいただいて先に進むわけでありますけれども、こうした本来的な効果に加えて、副次的効果の非常に有用なシートベルト着用率向上は、各種の措置によってこれまで講ぜられてきたわけでございます。ただ、お上が締めなきゃいかぬのだぞということで強制的に着用をさせるという印象は、国民の皆さんのお立場に立ってみればこれは避けなくてはいけないことであります。同時に、行政環境としてのシートベルト着用義務化に伴ういわば受け皿づくりというものも必要になってくることだと思うわけであります。そのためにまず基本となるのは、国民各位におけるシートベルトへの認識を深めていただくことが極めて重要な課題であると言えるわけであります。  その意味から、私はこれまで提案を幾つかしてまいりました。例えばシートベルトによって事故のとき助かった人たちの体験談、体験者大会を開いて、そうしてこれをPRすべきである、あるいはまた体験談集を発行をして各種団体を通じてこのPRを行うべきである。あるいはそれこそ具体的に、滞米中でございましたプロゴルファーの岡本綾子さん、この方がオープントーナメントに参加をする数日前に、みずから運転する車で事故を起こしたわけでありますけれども、シートベルトをしていたために助かって、その数日後のトーナメントで優勝をしたというようなことから、時の人でもあり、岡本綾子さんなどもぜひこうしたPRに参加をしてもらうなどどうか。いろいろ申し上げたわけでありますけれども、それらはすべて行政当局の手によってこれまで実施をされてきた経緯があり、私はその努力に大変高い評価を行うものであります。その結果、今日の着用率向上が図られてきたわけでありますけれども、まず簡単で結構ですから、これまでの広報活動のあり方、それからこれは一過性のものに終わらせてはいけませんので、本年は体験談集の発行があり、あるいは体験者集会等が、全国で何カ所ですか、御答弁をいただければと思いますけれども行われた。これはぜひとも恒常的に今後続けていき、なおかつ幅広い国民的すそ野の広がりの中で実施をされたい、このことをまず要望をすると同時にお尋ねをいたします。
  86. 八島幸彦

    八島政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、シートベルト着用は強制されて着用するということではなくて、自主的に必要性を理解していただいて着用するということが一番好ましいわけでありまして、そういう意味で私どももこれまでいろいろな広報活動をやってまいりました。  その主なものを申し上げますと、交通事故に遭いながらシートベルトをしていたために助かった人々の体験談を集めました「まさか自分が…」という題の小冊子でございますが、これを約六十万部つくりまして頒布いたしております。それから、交通事故の悲惨さとシートベルト着用効果警察の広報誌「けいさつのまど」においても、これは十四万部ほど出ておりますが、特別に取り上げております。また、シートベルト着用を呼びかけたポスター、チラシ等六十六万枚を作成、配布いたしておりますし、政府広報といたしましても、新聞、週刊誌、月刊誌、テレビ、ラジオといったマスメディアのほか、電話ニュース、電光板ニュース、ビデオネットワーク等考えられるあらゆるメディアを活用しまして着用を訴えたところでございます。また、先生先ほど御指摘のように、シートベルトをしていて助かった人の集いを東京と大阪で開催いたしまして、生々しい体験談を発表していただいた。これは大変好評でございました。あるいはこれも先生指摘のように、プロゴルファーの岡本綾子さんの御協力をいただきましてパンフレットを全日本交通安全協会で作成しまして、これも相当部数一般に配布いたしたりしたわけでございます。今後とも、自主的に着用するということに向けまして引き続き広報活動に努力してまいりたい、かように考えております。
  87. 木内良明

    木内委員 特に問題になるのは、引き続き努力をしてまいりたいという答弁、来年度以降さらに規模の拡大とかあるいは頻度を高めてこうした集会を開くなりなさるということで受けとめてよろしいですか。
  88. 八島幸彦

    八島政府委員 実は今回のそういう集い等を開催するに当たりましては、公益信託シートベルト基金というものを設定いたしまして、これはある特定の民間団体の協力によりまして基金一千万円で設定したわけでございますが、そういう基金等を活用して開催したところでございます。私どもとしましては、引き続き予算措置等も講じながら継続的にこの種の会を開いてまいりたい、かように考えております。
  89. 木内良明

    木内委員 ここで大臣にも、今予算措置という話が出ましたので、ぜひとも精力的にこの面の予算の獲得にひとつ御努力を願いたいと思いますので、一言で結構ですから答弁をお願いします。
  90. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 できるだけそのように努めたいと思います。
  91. 木内良明

    木内委員 申し上げたように、法制化の受け皿としての環境づくりが大事であるわけでありまして、特にきめ細かな行政指導なりあるいは現場に対するPRというものが今後必要になるであろうと思います。  そこで、具体的な着用率状況についての数字を見てみたいわけでありますけれども、まず初めに、地域別の着用率の格差の問題であります。かねて、一般道路着用義務化がまだ実施されておらなかった段階では、東京、大阪を初めとする大都市部において、比較論でおりますけれども、着用率が低かったという点が指摘されておりましたが、最近における資料によりますと、例えば北海道の九七・七%あるいは四国の九八・一%というぐらいに非常に高いところもある。しかしながら、交通安全対策特別委員会委員長として今まさに敏腕を振るって行政への精力的な御努力もなさっておられる新井委員長の近畿の方では、県名は申し上げませんが、残念ながらまだ八九・二%という、これは一般道路における助手席の数字でありますけれども、比較の上から都市圏において若干低いのではなかろうか、こういうふうに思います。この点についてどういう認識をされ、今後どういう対応をしようとしておられるのか、簡単に答弁願います。
  92. 八島幸彦

    八島政府委員 まず、全国の平均着用率について申し上げさせていただきますが、ことしの十一月二十五日から二十七日にかけて行いました特別調査によりますと、一般道路運転者が九五・九%、助手席同乗者が九二・三%、高速道路運転者が九九・二%、助手席同乗者が九七・五%ということで、かなり飛躍的に着用率向上いたしております。ただ、これも御指摘のように、地域間で見てみますと、北海道、東北、四国などは高いのでありますが、関東、近畿など大都市を抱えた地方では相対的に低くなっております。また、地域別ではありませんが、男女別にも若干着用率の差があることが調査によってわかっております。  私どもといたしましては、こういう地域的に着用率が比較的低いところにつきましては、頻繁に指導活動を行うとか、あるいは各種の講習会等でもできるだけこの種のPRをやるとか、そういうことで警察側においてもそれなりの努力をしてまいりたい。また、女性の着用率の低さにつきましても、母親クラブとかあるいは女性ドライバークラブとか、そういう組織に働きかけまして、より着用率向上を図ってまいりたい、かように考えております。
  93. 木内良明

    木内委員 地域別と男女別の着用率の格差について分離してお聞きしようと思ったけれども、御丁寧に答弁いただきましたから結構でありますが、地域的にはいろいろな隘路もあろうかと思います。例えば交通煩雑な地域であるとかあるいは都市機能の錯綜する中での指導が難しいとかいうことはあると思いますけれども、ぜひとも都道府県警察部長会議等でこの点の徹底を願って、実際問題、国民世論の納得の中で各地域が一斉にレベルアップしていくような指導をお願いしたいと思います。  それから女性についても、着用率の低さということについてはいろいろ理由はあると私は思うのです。やはり女性の特性に見合った、今言われたような指導も願い、男性並みにと言うとまた差別発言と言われるかもしれませんし、私は選挙では婦人の方にも大変お世話になっているわけでありますから、これは発言に気をつけなければいけないわけでありますけれども、ぜひこの点の配慮も願いたい、このことを要望しておきたいと思います。  そこで問題になりますのは、いよいよ十一月一日から一般道路での着用の義務化が行われました。私は、こうした国権の最高機関たる国会の審議の場で、この着用法制化の後の大事なフォローとして、効果がどのように上がっているかということが明確にされる必要があると思うのであります。そこで何点かまとめてお聞きをいたします。  まず一つは、一番近いところでは本年十二月六日、七日、これは土日の数字でありますけれども、週末というのはこれまでのデータから事故が多発するということになっております。曜日別のカーブもいろいろあるわけでありますけれども、仮に十二月六日、七日の例をとってみますと、昨年の死者は六日の場合は三十六人であった。これは金曜日です、金曜日になるそうですね。それが本年の六日は二十八人になっている。それから、十二月の七日は、昨年はこれは土曜日だったわけでありますけれども三十九人であった。本年は三十二人である。ここだけを切り出して着用効果云云と言うことは短絡的なそしりを免れないかもしれませんけれども、しかし、大きな要素となってこうした数字にあらわれているのではないかと私は考えたい点もこれあるわけであります。こうした一日単位の数字、これはごく至近の、最近の例でありますが、警察当局としてはどういうふうな数字のとらえ方をしておられるのか。  それからもう一点は、月間の死者数でありますけれども、十二月の一日から七日の資料になっていますね、死者数が百六十八人、前年比でこれは三十人減っているという数字が出ております。昨年は、例えば一月一日から十二月七日までは死者数が八千六百五十七人であったわけであります。実は、これは恐らく警察庁の方でも単純にベルト着用効果の結果としての数字はまだはじき出されてはおらないと思いますし、またこの増減については、ベルトをしている方がふえてきたために死者数の総計でなかなか明確にできない面も確かにあろうかと思うのですけれども、しかしながら、実際にベルト着用がこのように実施された段階で随所に数字として散見ができるわけでありまして、ぜひともデータの上から着用効果についての明確な見解をひとつお示し願いたい、こういうふうに思います。
  94. 八島幸彦

    八島政府委員 シートベルトの義務化に伴って事故減少効果が上がっているのかというお尋ねでございますが、昨年九月から高速道路につきましては行政処分点数を付する政令が施行になっておりまして、この高速道路の施行の前後十カ月間を比較してみますと、供用区間の延長等に伴いまして全体の事故が、これは物損事故も含めてでございますが、一〇・四%増加している中にあって死者数は逆に九%減少という結果を示しておりますのは、やはりシートベルト効果ではないかというふうに考えられているところでございます。  それから、一般道路における義務化につきましては、御指摘のように十一月一日から点数を付することにいたしたわけでありますが、実際上は二十日間を指導期間にいたしましたので十一月二十一日から、こういうことでございます。この効果でありますが、そういうことで、まだそれほど日数もたっておりませんので、正確に、これは間違いなくシートベルト効果であるというようなデータというのは目下のところございませんが、私どもは、例えばことしの月別単位で対前年同月と比較をしてみますと、ことしは四月から終始増加傾向にありまして、六カ月連続して増加をしておりましたが、十月に入りましてこれが減少になっておりまして、十月、十一月それから十二月も昨日現在では約九%程度減少いたしておりまして、三カ月連続減少ということを示しているのは間違いなくシートベルト効果である、それがすべてかどうかは別といたしまして、そういうふうに認識をいたしております。  なおちなみに、本年、プラスが最高となった日は十月十八日の土曜日でございまして、これは前年同日に比較しますとプラス百十三人までいったわけでございますが、現在は六十名程度ということで、かなりいわば借金を返してきている、こういう状況でございます。
  95. 木内良明

    木内委員 今の丁寧な答弁の中にも確認できるように、ベルト着用効果というものは間違いなくあるんだということで本委員会においても理解をしたい、こういうふうに思います。特に、今なおこの賛否両論が世論の中にあるわけでありますけれども、私は、自信を持って政府当局においてもこの着用率向上について推進方を願いたい、こういうふうに思うのであります。私の地元でもやはりそういう意見はありますけれども、そのたびに私が答えるのは、これは五年、十年タームでぜひ見てもらいたい、必ず我が国社会の歴史というものがこのシートベルト施策については間違いでなかった、正しかったんだということが理解されるんだからということでいつも言っているわけであります。  これは余談になりますけれども、プロスケーターの渡辺絵美さん、東名高速で事故に遭って、中央分離帯の芝生の上にもんどり打ったときにシートベルトをしていなくて助かった。これはレアケースなんですけれども、そうした有名人の事故があるたびに、おまえがつくった、おまえが提案したあの法律があるから逆のケースも出ているんじゃないかということで取材が来て、週刊誌でよく言われるわけでありますけれども、私は、この施策については自信を持って、今後もともどもに知恵を出し合いながら進めてまいりたいと思っておりますし、きょうはその意味での重大な確認ができた、こういうふうに満足をしたいのであります。  そして具体的に、やはりこの着用については国民の理解と共感を得られるような指導警告の現場における実施が必要だと思います。ただやみくもに、これはスピード違反をしたとか物を盗んだとかいう犯罪とは違うのでありまして、取り締まりのあり方にも今後やはり十分な配慮を払う必要があるのではないか、まずこういうふうに私の取り締まりに対する要望をしておきます。そこでお聞きすることは、現在の着用指導の実施と取り締まり状況はいかなるものになっているか、私の要請も踏まえてお答え願いたいと思います。
  96. 八島幸彦

    八島政府委員 まず、シートベルトの非着用者に対する取り締まりの基本的な考え方でございますが、シートベルト着用しないことによりまして重大な被害に遭うというのは、二次的にはその他の人にもいろいろな形で迷惑を及ぼすというようなこともございますけれども、一次的には、何といいましても自分の身を守るというものでございますので、他の悪質な交通違反と同じような考え方で取り締まりをやるということは考えておりません。  そこで、取り締まり状況でございますけれども、特に一般道路につきましては先月の二十一日以降でございますので、余り時日もたっておりませんことからまだ集計はしておりませんが、十一月二十一日に全国一斉のシートベルト指導取り締まりを行いました結果を御報告さしていただきますと、高速自動車国道で三百三十八件、自動車専用道路で百二十三件、一般道路で一万二千八百十三件、合計一万三千二百七十四件の座席ベルト装着義務違反について点数切符を交付をいたしました。しかし、これの約二倍の件数が指導警告でとどめておりまして、そういうことで、検挙一本やりといいますか、そういうことではない結果がこの取り締まりの結果にもあらわれておるのではないかというふうに理解をいたしております。
  97. 木内良明

    木内委員 指導警告がこの二倍という答弁でありました。ぜひ本来の立法の趣旨を踏まえて配慮の行き届いた現場での対応を願いたい、これはお願いをしておきます。  次に、これまで本委員会で私も再三訴えてきたことでありますけれども、より快適な利便性のあるシートベルトの開発あるいはその基準の統一を行うべきだということを運輸省にも言ってまいりました。時の細田運輸大臣は大変理解がありまして、私のこの提案に対しては、航空機もそうであるから統一をすることが望ましいという答弁が会議録に厳然と残っておりまして、これを受けた形で運輸省の方では道路運送車両法の保安基準の改正を六十一年に行い、そしてこれをまたフォローする形で六十二年、来年の九月あるいはまた三月をめどにこの保安基準の改正実施をされるという段取りで今進んでいるわけであります。  そこで、ここにその資料があるのですけれども、私が主張してまいりましたのはエマージェンシー・ロッキング・リトラクター、装着が非常に楽で快適で、いわゆる固定式で体が縛られる感じのないものが必要であるということを訴えてきました。その結果、行政当局においてはこのような保安基準の改正内容になっているわけであります。すなわち、きょうは特に前席について申し上げるわけでありますけれども、乗用車、定員十人以下のものについては来年三月からELRの三点、こういう基準ということになる。それからトラックの小型及び軽自動車については三点、それから前席の左については乗用車三点同じく軽、小型トラックについては三点、こうなっているわけであります。そこで、トラック等の操縦性の問題からいきまして二点ということはうなずけるのでありますけれども、この前席の左、すなわち助手席が二点になっているわけであります。これはちなみに横並び、まことに文字どおり横並びで運転者助手席同乗者が同じスタイルということの配慮かなと思うのですけれども、申し上げた本来の趣旨からいきますと、助手席については三点式の方がよろしいのではないか、こういうふうな指摘をせざるを得ないのであります。この点はどうでしょうか。
  98. 神戸勉

    神戸政府委員 お答えいたします。  先生おっしゃるとおりの形で私ども保安基準の改正でしたわけでございますけれども、トラックにつきましては、特に重いトラックでは先生おっしゃるとおり二点式という形になっております。これは横並びという形でしているわけではないわけでございまして、重量の重いトラックにつきましては、重量の軽い乗用車などと比べまして、これは比較の問題でありますけれども衝突時の乗員に対する衝撃が非常に少ないわけでございます。そういう意味で、今のところ二点式のシートベルトで十分であろうということを考えているわけでございまして、特に運転手につきましては、先生おっしゃるとおり運転操作上も特に好ましくないということで二点式にしたわけでございますが、ただそれも先ほど申し上げましたように、衝撃が少ないということで二点式で十分であろうという割り切り方をしたわけでございます。
  99. 木内良明

    木内委員 今の問題については、今後この推移を見守ってまいりたいと私も思っております。本日のところはその答弁で納得であります。  それから、今はポリエステルになっているのでありますけれども、かつて指摘をされていたシートベルトの耐光性、耐用年数の問題があるのであります。古い型の中にはナイロンでできているようなものがある。このナイロンといいますのは大体四年程度で、紫外線に弱いという材質上の点から、いざというときに用をなさなくなるので、ぜひこの材質上の問題についてもチェックが必要であろうということは私が指摘をしてきたのであります。今新しいものは非常に堅牢な材質のポリエステルに変わってきているということも聞いております。あくまでもこの道路運送車両法の保安基準の要件を満たさなければならない、クリアすべき要件としてあるものはその自動車製造時のものであって、これが例えば五年、十年、人によっては十五年も車を使う人がいるわけでありまして、こうしたいわば材質のチェック、今後の研究開発というものが当然必要であろう。これだけ政府がシートベルトは安全なんだと言って、何年かこれから逆転をされる方がいざ事故に遭う、そのときぷっつりいってしまったというのでは、これは法律の重さもなければ行政への信頼性も損なわれるわけでありますので、この点について今後いかなる研究開発体制を考えておられるのか。あわせてこれは通産省の方にもきょう来ていただいておりますので、JIS規格との関連の中でお答えを願いたいと思います。
  100. 神戸勉

    神戸政府委員 お答えいたします。  シートベルトの耐久性につきましては、自動車の型式指定の審査の際に耐摩耗性だとか耐久性というものをテストして、その性能を確認して行政処理をしているわけでございます。特に先生指摘の耐劣化性につきましては、座席ベルトの技術基準において定められている項目でございますけれども、耐寒性だとか耐熱性それから耐水性、そういうようなものに加えまして、先生指摘の耐光性試験と申し上げましょうか、太陽光に相当するアークライトランプで暴露させた素材を、十分な引っ張り強度があるかどうかという測定テストを行っているわけでございます。そういうことで、ただ使い方によってその劣化のぐあいに相当差が出ようかと思いますけれども、そういうようなことで、相当長期間にわたって使えるようなものになっていると我々は思っているわけでございます。ただ、ナイロンにつきましても単なるナイロンというだけではなくして、やはり先生指摘のように、光に対して非常に弱い性質があるわけでありまして、そういう性能を強化する意味で光安定剤というのをナイロンの中に入れて光に対する劣化を防ぐような、実際にはナイロン繊維といえどもそういうものを使っているのが実情でございまして、我々も前回先生の御指摘を受けた後相当のテスト、どういう使い方をしたシートベルトかということはちょっとわかりかねますけれども、一番古いのは二十年近い前の廃車になったときのシートベルトをテストして、本数は少ない本数しかテストしておりませんけれども、すべてのシートベルトが適合した状態になっておりまして、極端な使い方まで全部いいということは申し上げかねますが、大体普通の使い方をされているシートベルトについては相当の期間耐え得るものだと我々思っている次第でございます。
  101. 牧野力

    ○牧野説明員 今の先生の御指摘の問題でございますけれども、現在のところ、私どもといたしまして特に問題があるというふうには聞いておりません。ただ、この安全性については最大の問題でございますし、シートベルト着用を大いに普及させるという観点から見ましても、この安全には十分に今後とも意を用いていかなければならぬということは全くそのとおりでございます。  具体的に申しますと、今お答えがありましたように、現在耐久性においてナイロンより若干まさると言われておりますポリエステルがほとんど使用されておるというふうに聞いておりますし、その寿命も一般的な車齢が大体十年から九年と言っておりますが、それと変わらないと聞いております。特に今申し上げましたように問題が生じているというふうには認識しておりませんが、いろいろ技術の進歩もございますので、このJIS規格の見直し等につきましては前向きに検討いたしたい。特にこの問題、道路運送車両法との関連もございますので、運輸省とも十分連絡をとりまして、安全のために総意を用いてまいりたいというふうに考えております。
  102. 木内良明

    木内委員 ぜひ鋭意検討を願いたい。要望いたします。  次に、シートベルトと関連してよく議論されるのが幼児の生命保護の問題であります。例えば昭和六十一年十一月末の幼児の自動車乗車中の死者数は四十四人であります。幼児というのは、自転車乗用中であるとかあるいは歩行中の死者もトータルでよく言われるわけでありますが、自動車乗車中の幼児の死者数はこういうぐあいになっています。特に、これはたしか六歳以下のデータだと思いますけれども、こうした幼児は、いわば自分の生命をドライバーあるいは同乗している親にゆだねているわけでありまして、あわせて幼児の生命保護ということも議論をされなくてはならないと思います。  そこで、よく言われますのがチャイルドシートであります。このチャイルドシートにつきましては、まだ一般的な認識がよく行われておらないのが現状だと私は認識しています。そこで、チャイルドシートの現在の開発状況、それから信頼性の問題、何問かあわせてお聞きしたいと思うわけであります。それから、これは通産省にもお願いしたいのでありますけれども、JIS規格の内容を満たしているからこれが果たして安全かどうかという問題、それから今後のチャイルドシートの着用推進に当たっての警察庁のスタンス、すなわち固定式のチャイルドシートだけでいくのか、あるいは肉体的に小さいお子さんたちが助手席に乗る場合に、シートベルト着用のためのいわば補助的な手段としてチャイルドシートあるいはこれに類する器具を使うような考え方でいるのか、いずれにしても、快適でそして生命保護が行われ得るような今後の行政の対応というものが必要であろう、こういう観点からお聞きをいたします。
  103. 八島幸彦

    八島政府委員 チャイルドシートにつきましては、今回の道交法改正によりましてシートベルトを義務化する際にも、実は庁内でいろいろ議論が出たところでございます。チャイルドシートにもシートベルトをつけているのが普通でございますので、そういうチャイルドシートを利用することによって、同じように幼児についても被害軽減が図れることは間違いのないところでございます。そこで、今回の改正では、まだ国内での普及等も十分ではございませんので義務化等はいたしておりませんが、ただ、実際上はチャイルドシートを利用することが交通の安全に間違いなく有効でございますから、今後警察といたしましても、できるだけそういう利用を推奨してまいりたい、PRに努めてまいりたいと考えております。
  104. 森田昭三

    森田説明員 チャイルドシートにつきましては、JISは昭和五十八年三月一日付で制定されております。これにつきまして、JISマークを張るという品目指定に五十九年三月にいたしております。それで、各メーカーに対してJISマーク表示許可を取得するよう関係工業会等を通じて指導しておったところ、現在二工場がJIS規格工場になっております。さらに一件申請中でございます。それから、JISそのものにつきましては、現在のところ対応は〇・五歳から四歳まで、そういう幼児を対象にしておりますので、これを拡大したい、ゼロ歳から十一歳から十二歳までの範囲ということで現在改正を審議中でございます。  以上でございます。
  105. 神戸勉

    神戸政府委員 私の方も若干関係があろうかと思いますので、私どもの現状を報告させていただきます。  一般的に、自動車を設計するときに、どれぐらいの人ということで考えているわけでございます。メーカーによって若干の差はありますけれど、大体一メーター四十数センチの人から一メーター九十数センチの人を対象にして設計いたしておりまして、やはり幼児、小児になってまいりますと、そのままのシ-トベルトでは使いづらいし、また効果も発揮できない形になっております。そういう意味で、チャイルドシートにつきましても我々必要だと思っておりまして、技術基準を定めるわけでございますけれど、今、細目の検討に当たりまして、既に実績を相当積んでおります欧米の基準等を参考にして検討している段階でございます。
  106. 木内良明

    木内委員 私の質疑の持ち時間が終了いたしました。  そこで最後に、要望でありますけれども、シートベルトの議論と並行してチャイルドシートというものも重大な関心を持ってまいらなければならないわけであります。私がこの発言をいたします真意をひとつ理解願いたいのでありますけれども、このチャイルドシートはシートベルトのように法制化を行ったりあるいは義務づけを行うべきものではないと思っております。今局長の答弁にもあったように、この利用を推奨してまいりたいという表現でございますので、ぜひその範囲にとどめていただきながら幼児の安全を図っていただきたい、こういうふうに思います。なお、やはりJISマークがついておりますチャイルドシートといいますのはそれなりにユーザーの信頼性があるわけでありますから、運輸省においてもあるいは通産省においても、ぜひ安全で信頼性の高いものにしていかれるよう要望をしておきます。  なお、きょうは学校、とりわけ高校教育における三ナイ運動の問題についても私の立場からの質疑を行いたいと思っておりまして、お忙しい中、文部省からも来ていただいておりましたが、時間の関係で割愛をさせていただきますことをおわびをいたしまして、私の質疑を終わります。
  107. 新井彬之

    新井委員長 山田英介君。
  108. 山田英介

    ○山田委員 毎年九千人を超えるような交通事故による死者数を見ているわけでございますが、事人命にかかわる数字でございまして、大変重い意味を込めて受けとめなければならないというふうに思っております。それだけに、極めて重要な問題でございまして、関係の皆さんが今日まで大変な御努力をなさってきているわけでございます。したがいまして、自動車の安全政策、あるいはまた、具体的にはいろいろございますが、交通渋滞の緩和策とかこういうことは非常に重要な施策になってくると理解をいたしております。  先ほど永井委員からもお話が出ておりましたけれども、この交通渋滞の緩和ということについては、渋滞がありますがゆえにいらいらした状況で車を運転をしなければならない、それが無謀な運転を誘発をする。それから、最近また大変心配をされているわけでございますが、高齢者を中心といたしまして自動車運転中の突然死などということにもこの渋滞によるいらいら等が関係をしているのではないか、こんなふうにも言われている昨今でございます。  いきなり具体的な質問に入らせていただきますが、そういう中で埼玉県と東京都の都県境にございます国道十七号線の笹目橋から埼玉、群馬県境の地点まで、延長約八十キロと伺っておりますが、信号系統システムというものをこのほど整備されて、十二月一日から運転を開始された、このように伺っております。そこで、この信号系統システム導入あるいは整備のねらい、それから運転が開始されたばかりでございますが、その評価などにつきまして簡単に教えていただければ幸いと存じます。
  109. 八島幸彦

    八島政府委員 第四次の交通安全施設等整備事業五カ年計画におきましても主要な事業内容として実施することにいたしておりますが、信号の系統化ということによりまして一定の速度によって走行すればほとんどとまらないで走行できる、こういうことがございます。  先ほど御指摘の件は、埼玉県の国道十七号線が大変交通が混雑しているということから、東京都県境から群馬県境までの約八十キロに設置してあります信号機百二十六基を交通管制センターに結びつけまして、時速五十キロメートルで走行すれば可能な限り赤信号で停止することなく走行できるようにしたものでございます。具体的に申しますと、従来まだ管制センターにつながっておりませんでした百二十六基を今回管制センターにつなげてコントロールできるようにしたとか、右折車両が多く交通渋滞の原因となっている九つの交差点について青色の矢印標示を出すようにしたとか、横断交通量が夜間等には日中に比べて大幅に減少します十九の交差点につきまして、国道十七号側を青として横断交通があるときだけ赤に変えるというような閑散時半感応制御方式を導入したとか、そういう総合的な措置を行いました結果、その効果といたしまして、旅行時間で見ますと、夜間等の交通閑散時が二時間十九分から一時間四十五分へ三十四分、これは二四%に当たりますが、短縮された。あるいは昼間ですと二時間三十三分から二時間六分へ二十七分間短縮、これは一七%の短縮になりますが、そのような顕著な時間短縮の効果があらわれているところでございます。
  110. 山田英介

    ○山田委員 私は、この信号系統システム、今局長からるる御説明いただきましたが、円滑な自動車交通確保という観点から極めて有用なシステムであると心から期待を申し上げているわけでございます。もっとも、信号をコントロールしていくという趣旨のシステムというのはこれまでもあったわけだろうと思います。ただ問題は、五キロとか十キロとか、二、三十キロがせいぜいといいますか、そういう極めて短い区間においてこれが整備され、運用されてきたということで、やはりこれは八十キロという一つの大きな間隔の中で整備をされたところに大きなポイントがあるのだろうというふうに理解をいたしております。  それで、今後の整備の方針ということでございますが、この国道十七号線に限らず、例えば、魔の四号線などと言われておりますけれども、渋滞あるいは事故多発路線の一つに国道四号線というのがあるわけです。その四号線を初めとして全国それぞれ重要な幹線というものがたくさんあるわけでございまして、できる限りこの信号系統システムというものを交通警察行政の一つの大きな目玉として位置づけていただいて、積極的な整備をお願いしたいと思っているわけでございますが、この点につきましてお考えのほどをお伺いしたいと思います。
  111. 八島幸彦

    八島政府委員 今回の第四次の交通安全施設等整備事業五カ年計画の最も中心の事業がこの交通円滑化に資する面があるわけでございます。交通管制センターとか、先ほど申し上げましたような系統化システムとか、あるいは信号機に感知器をつけまして車両を感知しない間は幹線を常時青にしておくような高性能の信号機に置きかえるとか、そういう関係の事業を中心に今回の五カ年計画、特定事業を計画させていただいております。  なお、御指摘のように、これは五キロとか十キロとかいう単位ではなくて、時には県境をまたいで相当長距離にやらなければ効果が上がらないものでございまして、まさに国が全国的な規模で見て優先度を決めまして重点的に実施していく事業にもなじむものであるというふうに理解をいたしておりますので、今度の計画の完全実施に向けてまた努力をしてまいりたい、かように考えております。
  112. 山田英介

    ○山田委員 次に、交通事故による死亡者数を年齢階層別に見てまいりまして特に指摘ができるのは、一つは、十六歳から十九歳までの若い年齢層の皆さんの特に二輪車による事故が激増しているという点だと思います。いま一つは、高齢ドライバー、七十歳以上あるいは六十五歳以上の高齢の人たちの自動車死亡事故件数、傷害事故件数というものが非常な勢いで増加の傾向にある。少なくともこの二点は指摘ができるわけでございます。  そこで、九千人を超えるというたくさんの毎年の死者数を減らしていく上におきまして、高齢ドライバーの安全対策という点も極めて大事な対策であると思います。例えば、七十歳以上の自動車運転免許の保有者を見てまいりますと六十二万人を超えている。これは、五十年を基準にいたしますと四・六倍という保有者数の激増です。それに伴いまして、例えば五十九年では百三十人もの高齢ドライバーの方が亡くなっている。これは、五十年を基準にいたしますと三・七倍という事故死者数の増加になっているわけです。さらに本年の九月までの死者数は百四十二人ということで、戦後最悪の推移となっているわけでございます。  それで、ちょっと大ざっぱな聞き方になって恐縮でございますが、申し上げましたように、七十歳以上の特に高齢ドライバーの皆さんの死亡事故発生率などは、若い人たちも含めた他の年齢層のそれと比べまして二倍から三倍というような異常な高さでございますので、まず包括的に、この高齢ドライバーの事故防止対策ということにつきまして簡単に御報告をいただきたいと思います。
  113. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、高齢化社会が進展してくるに従いまして高齢者の事故も大変ふえてきております。高齢者の事故で、一方において運転者事故もふえておりますが、高齢者の歩行者事故も非常にふえてきております。そこで、我々としましてはこの二つの面の高齢者対策を今後講じてまいらなければいけないと認識しております。  そのうちの高齢運転者対策につきましては、考え方としては、例えば一定の年齢に達すれば特別な義務を課するとかあるいは更新の期間を短くするとか、いろいろ制度的には考えられるわけでありますが、しかし、これも御承知のように、高齢者につきましては非常に個人差がございまして、肉体的あるいは反射神経等も含めましてそういうものの衰えというのは、一律に年齢で制限をするということにはなお慎重に検討を要する面があるのではないかというふうに考えております。  そこで私どもといたしましては、当面は例えば更新時講習におきまして高齢者学級というようなものを編成いたしまして、お年寄り特有の視力とか聴力等の衰えの傾向とかあるいはお年寄り特有の事故の傾向だとかあるいはその他のいろいろな運転能力の衰えとかいうようなものを任意に講習等で教え、いろいろ実態をお知らせすると同時に、また、任意に種々の検査器具を使って実際に自分のいろいろな衰えを自分で認識していただいて、その後の逆転に活用していただくというようなことを始めているわけでございます。  そういうことで、今後ともお年寄りについて自分みずからが認識して安全運転に資していただくという方向で、今後私どもの施策もいろいろ知恵を絞って対策を講じてまいりたい、かように考えております。
  114. 山田英介

    ○山田委員 今まさに局長お話しなさいましたように、例えば七十以上の高齢ドライバーの一人一人が、御自身で今の自分の自動車運転の適性とか能力とか判断力とかいうものを自覚するということ、現在の自分の能力等を正確に自覚するということが、局長おっしゃるとおり一番大事なことなんだろうというふうに思います。一定の年齢を超えた方々には更新時に視力検査などのほかに特別の検査をまたしなければならないなんということになりますと、これはいろいろな議論を積み重ねてコンセンサスを得ていかなければならない問題である、おっしゃるとおりだろうと思います。問題は、そういう配慮が全国規模で積極的になされているのかどうか、あるいはこれからなされるのかどうかという点が一番大事だろうというふうに思います。  伺いますと、例えば高知県警察本部等で実施をされているということでございますが、局長おっしゃいました高齢者教室ですね、シミュレーターなどを使いまして現在のドライバー本人がみずからの状況を自覚し得るという、それも六十五歳以上の方々で、更新時に見えて希望のある方に任意という形をとっておられるわけで、強制ということはどうかと思いますので、確かにその意味では私は当面それでよろしいのだろうと思いますけれども、これを全国各都道府県警察本部で実施をされるという形には持っていけないものかどうか。今、運転免許センターで十数県はそういう免許更新時の自発的な適性検査といいますか、そういうような機会を設けておられるようでございますが、それを十数県にとどめることなく、この第四次五カ年計画の中で当面現時点までで考えられることは、要するにそれが仮に非常にすぐれているなという御判断に立つことができるならば、私は全国的な高齢ドライバーの安全対策の一つとしてこれはぜひとも推進をすべきではないかという考えに立つものでございますが、局長いかがでしょうか。
  115. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、まだ高齢者学級等の編成をやっている県は全都道府県に及んでいるわけではございません。高齢者学級について申しますと、現在実施しておりますのが十九道県でございまして、まあ半数足らず、こういう状況でございます。それからいろいろな検査機器や模擬運転装置等を利用して適性診断を実施しておりますのが現在十七都道府県でございまして、これにつきましては、御指摘のようにできるだけ早期に全都道府県で実施されるように指導してまいりたい、かように考えております。
  116. 山田英介

    ○山田委員 葉梨大臣もお見えでございますので一言賜りたいのでございますが、今局長との質疑応答の中で、この高齢者ドライバーの安全対策を講ずるに当たりましては、運転の世界から単にお年寄りだからといって遠ざけていく、あるいは隔離をしていくという形の対策の進め方というのはよろしくないだろうというふうに思います。むしろ積極的に、この高度に進展をしてまいりました車社会の中でいかに高齢者ドライバーの皆さんが安心して車社会から利益を享受できるかというような、そういう進め方でなければならないだろうと思っているわけでございます。それとともに、今日まで御関係の方々が進められてまいりました総合的な交通安全対策というものをより一層決意を強めて進めていくことが大事であると思うわけでございます。特にそういう高齢者の安全対策を進めるに当たりましての大臣のお考えを一言お聞かせいただきたいと思います。
  117. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 若いときから運転していて高齢者になられた方、それから中年で免許を取られた方、六十前後から取られた方、いろいろおられると思います。いずれにいたしましても、年をとりますと非常に慎重になってまいります。ですから、交通安全という面からいきますとそう危なっかしい運転はされないであろう。それからまた運転ということで若返ると言ってはおかしいのですが、非常に五官を使って運転をされるということでむしろその人自身にとっても大変いい結果というかいい影響を与えて、活力を持つ、私はふだんからそういうことを考えておりました。そして、車社会でございますから、若者だけではないあるいは働き盛りの方だけではない、お年寄りも大いに車を運転し、仕事もなさる、あるいはレクリエーションもされるということが必要であろうと思います。参加意識を持って、安全運転を心がけながら高齢者の皆さん方が、今五千万人とか言われるドライバーの中で大いに活躍されることを御期待申し上げるものでございます。また、局長初め御答弁申し上げましたように、安全運転については十分に周知徹底し、認識を持っていただくようにこれからも努力をしたいと考えているところでございます。
  118. 山田英介

    ○山田委員 最後のテーマでございますが、「昭和六十一年中における交通警察の運営」という資料がございます。いろいろ述べておられるわけでございますけれども、実は指定自動車教習所と非指定自動車教習所の関係につきまして、一、二質問あるいはお願いを申し上げてみたいと思っております。  こちらの資料によりましても、「運転者対策の積極的な展開」という項で「非指定自動車教習所に対しても適切な教習が行われるよう指導する。」こう明らかにされているわけでございます。単刀直入にまいりますけれども、自動車教習所の指定制度の意義ということについては、いろいろな言い方ができるのだろうと思いますが、そのポイントは、公安委員会から指定をされた自動車教習所の発行する卒業証明書を有する運転免許の受験者といいますか、その方々には、実技試験というのでしょうかこれを免除するところにその意義のポイントがあるわけでございます。私は全国に指定自動車教習所が約千五百カ所と承知しておりますが、それに対して非指定の自動車教習所、これは、道交法で定める一定の基準、職員とかあるいは設備等がその一定の基準に達しない、大きさでいえば規模の小さな自動車教習所、これが非指定というふうに言われているわけでございます。この非指定教習所が全国で約三百、その中の約二分の一の百五十ほどの自動車教習所が社団法人非指定自動車教習所協会というものを三年ほど前に警察庁から許可をいただきまして結成し、公益法人として今一定の車社会といいますか初心運転者教育に貢献をしている、あるいはさらに一層貢献しようとして努力をされておる、こういうことでございます。それで、年間この非指定自動車教習所から送り出される新たに自動車運転免許を保有するに至った人たちの数はと見れば、万人単位、数万人というふうになっているわけでございます。したがいまして、この九千人を超えるような年間の死者数を数える、まさに交通戦争でありますが、その中において果たすべき役割というものは決して小さいものではないというふうに私は思います。確かに初心運転者の教育は、指定自動車教習所がその中核的、中心的な役割を担い、果たされているということはよく承知をいたしているわけでございますが、そのような現状を踏まえまして、自動車教習所の指定制度の趣旨あるいはその根幹に外れない限りは、私は、運転免許を取ろうとする受験者に対して、教習を受ける国民に対して、指定と非指定、この違いの中で、免許取得に至るまでのいろいろな教習そのものに、あるいはその手段に、余り格差を残してはいかがなものかと考えるわけでございます。指定校制度の意義、指定された教習所から卒業証明書をいただければ実地試験というものが免除されるというこの根幹の部分を崩さない限り、できるだけ受験者の立場に立って格差というものを縮小していってあげることが一つには大事なことではないだろうかというふうに思うわけでございます。それはもう私が今さら申し上げるまでもなく、例えば道交法の八十九条、居住地の問題、住居を定めているところの試験場じゃなければ受けられないとか、あるいは指定教習所はその居住地にかかわらずどこででも受けることができるとか、あるいはまた指定自動車教習所の受講生の皆さんはふだん練習をしているコースで仮免あるいは本免許といいますか卒業時の検定免許というものを試験をしていただくことができるけれども、非指定の自動車教習所の受講者の皆さんというのは都道府県の運転試験場へ出かけていってそこで初めて体験するコースで検定を受ける、そういう違いもあるわけでございます。あるいはまた八八ナンバーの問題とか、指定自動車教習所では、固有名詞を出して恐縮でございますけれども、例えばカペラとかルーチェとかブルーバード、そういう小型の車で試験を受けることができる、練習することができる、ところが非指定の教習所の方の皆さんは、セドリックとかクラウンとかいわば標準車の中の大型の車種でもってしか練習あるいは試験を受けることができない。数え上げれば幾つもあるものですからこのぐらいにしますけれども、そういうことで、結論的に言えば試験場での試験は難しい、それから指定教習所の試験は易しい、端的に言えばそういうような受け取り方が一般化されようとしているわけです。したがいまして、繰り返すようでございますが、卒業証明書があれば実地試験が免除されるというこの制度の根幹をゆるがせにすることでない部分においては、非指定教習所も交通安全教育あるいは初心運転者の教育に一定の貢献をしている点をぜひひとつ踏まえていただきまして、そしてできるだけの対応をして差し上げていただきたいな、このように実はお願いを申し上げるわけでございます。  時間が参りましたので一点だけ具体的にでございますが、例えばこの指定と非指定、どうして分けたかというのはよくわかるわけでございます。あるいは別の次元の話では公認と非公認とか、やはり非があるとないとではえらい感じが違うわけでございます。したがって、この社団法人の非指定自動車教習所協会の皆さんの願望としては何とか非という文字をとっていただいて、そして別の名称を使わせていただきたい、こういう願いが大変強くあるわけでございます。それでその非指定協会の皆さんは全国自動車運転教育協会、こういうような名称にぜひひとつ変えていただけないかというわけでございまして、現実には全日本指定自動車教習所協会といいますか、そういう公益法人があることを承知しておりますが、名称が紛らわしくないのであれば、類似ということでなければ、ぜひ前向きにひとつ御対応いただきたい、お願いでございますが、御答弁をいただきたいと思います。
  119. 八島幸彦

    八島政府委員 ただいま名称のことについての御要望がございましたが、初めてこの場でお伺いした名前でございまして、特に問題はないとは思いますけれども、何かまた別な意味でいろいろな関連で問題があるかもしれませんので、ひとつその点は今後検討させていただきたいと思います。  それから、いろいろ確かにございますけれども、指定自動車教習所でないということからくる法的な、どうにもしようがないという制約も当然あるということだけはひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。
  120. 山田英介

    ○山田委員 最後に局長の御答弁でございますが、名称の点につきまして、当面特段の問題がないようでございましたら前向きに御対応をぜひお願いしたいことを重ねて申し上げまして、少し時間がオーバーで失礼でございましたが、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  121. 新井彬之

    新井委員長 伊藤英成君。
  122. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 まず最初に交通安全の問題についてお伺いをいたします。  政府が本年度から新たに始まりました第四次交通安全基本計画を作成して各般の交通安全対策を強力に実施することにしておりまして、これによって昭和六十五年までに死者数を年間八千人以下にするということを目標にしております。総務庁の交通安全対策室が最近行いました交通事故発生状況に関する長期予測調査によりますと、交通安全施設等に対する投資が現行の状態で推移した場合には昭和六十五年には年間の死者数が一万五百七十九人に達するであろう、こういうふうに予測をされております。にもかかわらず現在八千人に目標を立てている理由はどういうことであるのか。そしてまた、おとといですか、十二月八日現在の死者数を聞いてみますと八千六百九十二名にも達しておるということであります。今後どのように対策をとられようとしているのかお伺いをいたします。
  123. 矢部昭治

    ○矢部政府委員 第四次の計画において六十五年までに事故死者数を八千名以下にするという目標を立てた理由につきましては、先ほど申し上げました専門の調査研究委員会による調査予測の調査結果、それから第三次の交通安全基本計画において実施をされましたいろいろな施策につきましての点検をした結果、あるいは最近の交通情勢の変化、あるいは現に実施をいたしておりますシートベルト着用の義務化であるとか原付のヘルメットの着用の義務化、その他もろもろの考えられるであろう新規施策の導入効果、こういったものを勘案いたしまして、約一万六百人の予測に対して八千人という目標を定めたわけでございます。  ただ、現在のところ、先生指摘のとおり事故が逆に大変ふえておるという大変厳しい情勢にございます。その中身は先ほど来いろいろ議論ありましたような主として七十歳を超える老人、これもドライバー、歩行者、自転車乗り等々、両面からの事故がふえておるということ、あるいはやや鈍化の兆しを見せておるもののやはり若者を中心とした二輪車事故がふえておるということ、あるいは自動車事故が依然としてやはり大きな比重がある、こういったことでございます。したがいまして、そういった問題につきましては、第四次の交通安全基本計画に基づきまして、道路交通環境の整備であるとか交通安全思想の普及徹底であるとかいろんな施策関係行政機関と緊密な連携をとりながら一層進めてまいりたい、かように思っております。  なお、ちょっと具体的に申し上げますと、当面考えております交通安全施策の重点といたしましては、まず第一点は、先ほど来話が出ております死者数減少に特に効果が著しいと思われますシートベルトあるいはヘルメットにつきましての一層の着用の徹底、総務庁といたしましては、そのために現に昨年から動いております官民挙げての組織であるシートベルト着用推進会議であるとかあるいは春秋の安全運動等の重点等を通じまして、今後はさらにこのシートベルト着用率を限りなく一〇〇%に近づけるということ、これは後部座席も含めてでございます。そういったこととともに、正しい着用の徹底、それから誤解をなくして正しい着用についての理解をするためのインフォメーションを与えていく、こういったことを積極的にやってまいりたい。  次に第二点は、若年者の事故がございますので、これにつきまして特に二輪車事故防止のための総合対策を推進してまいりたい。既にこれは関係五省庁の申し合わせによりまして、ことしの五月二十一日の申し合わせでございますが、二輪車事故防止対策推進会議というものを設置いたしております。これは二輪車事故は安全マインドにかかわる問題が非常に多うございますが、そのほか施設の問題であるとか運転者教育の問題であるとかいろいろございますので、そういった総合的な面を検討していこうという会議で、その具体的な施策といたしまして、今年度から三カ年計画で二輪車の総合的事故防止対策推進のための調査研究関係省庁の協力を得てやっております。こういったものをさらに精力的に進めてまいりたい。  そして最後に第三点でございますが、先ほど来話がありました高齢者事故でございます。高齢者事故防止のための安全対策を進めたい。特に総務庁といたしましては、高齢者の安全、いわゆる交通安全教育につきましては、幼児とか児童生徒、そういった一連の生涯教育の流れの中でとらえていきたい。しかも高齢化社会ということで中身についてまだまだ研究しなければならない部面がございますので、ドライバー、歩行者両面を踏まえまして、そういったもののプログラムの策定等を踏まえた調査研究を現にことしから三カ年計画で進めております。そういったものを関係省庁の協力を得て強力に推進をしてまいりたい。こういうことで増勢にある事故減少の方向に何とか持っていきたい、かように考えております。
  124. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 いずれにいたしましても、本年も含めてそれこそ五年連続九千人を突破するというような状況でもございますので、最大限の力を振り絞って頑張っていただきたい、こう思います。  交通安全対策の問題につきましてはまた別の機会に取り上げてみたい、こう思っておりますので、本日はほかの問題についてお伺いをいたします。  交通事故による医療費の支払いの問題でありますけれども、それの中の診療報酬基準案についてでございます。  今までも、医療費支払いの適正化のために診療報酬基準案の策定をしなければならぬということで、自賠責審議会でもこれは昭和四十四年から何度かにわたりまして答申がされてきました。私も、本委員会でもあるいは他の委員会でもそうでありますけれども、この診療報酬基準案の作成について強く要請もしてまいりました。現在、関係者それぞれが御努力をされていると思いますけれども、まず大蔵省に現在の進捗状況についてお伺いをいたします。
  125. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 伊藤先生に本委員会あるいは予算委員会等の場で何度も御指摘を受けておりますし、また、今もお話がありましたように五十九年十二月、最も最近の自賠責審議会の答申でも診療報酬基準案の作成を強く要請されておるわけでございますが、これらを受けまして、昨年の八月から日本医師会それから損害保険業界の間で今まで二十数回にわたって大変精力的に協議が進められてきております。  今の状況を申し上げますと、診療報酬基準案の作成の前提条件と申しますか、例えば診療報酬基準案ができたときにその基準案と社会保険の適用の優先順位をどうするか、あるいは過失相殺の問題をどう扱うか、さらには支払いのルール化をどうやっていくかといったような問題、あるいは診療報酬基準案の中身としてどういうものを具体的に盛り込んでいくかというようなことにつきましては、損保業界側と医師会側でおおむね話がついた、要するに大筋で合意に達したということでございます。  ただ、その後引き続き、各診療項目について料金をどのように設定するかという問題に入ったわけでございます。それにつきましては医師会それから損保業界、それぞれがそれぞれの案を示すという形で協議を始めたわけでございますけれども、残念ながらその額について大変乖離が大きいということでございまして、今までのところ、その乖離が縮小する、解消されるというような状態にはなっておりません。何分問題が問題だけに近近にそこにつきまして両者の合意ができ上がるという見通しは暗いのではないかというふうに懸念しておるところでございます。
  126. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実は、去年の三月に予算委員会でこの問題について質問をいたしました。そのときに大蔵省の保険部長の答弁では、六十年度中に作成をしたいというふうに約束をされた、こういうふうに思うのですが、何が原因でこのようにおくれていると思われますか。
  127. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 今申し上げましたように、前提条件等につきましては合意に達しました。あと問題は金額の問題でございまして、損保業界側としましては、これは専ら自動車事故に係る医療費支払いの適正化を図るためにつくるものであるということで適正な水準ということを強く主張しております。これに対しまして、医師会の方では、会員である医師を抱えておりますので、その医師たちが現在得ております収入、これを確保しなければならない、今よりも大変低い水準になりますと、会員である医師の納得が必ずしも得られないという立場の相違がかなり鮮鋭でございます。それが一番大きな原因ではないかというふうに思っております。
  128. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今医師会の話等いろいろ出ましたけれども、医師会の方もあるでしょうけれども、行政当局の方のリーダーシップにも大きな責任があるのだろう、こういうふうに私は思うのです。特にこの自賠責特会を預かる運輸省はこの問題について具体的に何をしてきたのか、御説明をしていただきたいと思います。  それは六十一年六月に出されました総務庁の特別会計の管理運営に関する行政監察の報告書の中でも、診療報酬基準案の作成について「運輸省は、関係省と協力して、医療費の適正化を図る措置を一層推進する必要がある。」こういうふうに勧告をされているわけであります。そういう意味で、運輸省にこの問題について具体的にどういうふうにやってきたのかについてお伺いをいたします。
  129. 熊代健

    熊代政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、我々、強制保険である自賠特会を預かる身としましては、事故を減らす、それから支払いを適正化するということが自賠特会を健全化するために欠くことのできないものであるという考え方で、具体的にこの医療の診療報酬基準案の関係につきましては、この問題は自賠特会だけの問題でございませんで、自動車保険をやっております大蔵省が中心にならざるを得ぬ面を持っておるわけでございますけれども、我々といたしましても、料率算定会でいろいろな支払いの現実の情勢分析等々につきまして、具体的な実態の積み上げといいますか、そういったものを指導する、あわせて、別途御議論あるかと思いますけれども、厚生省と大蔵省と三省でもって連絡協議会を開き、それに基づいてそれぞれができるだけ指導していくということをやってまいっておるものでございます。  先生指摘のように、我々として消極的だとかいうようなことは私自身思っておりません。ただ、医師会と損保業界との話でぎりぎりした点がなかなか乖離があって歩み寄りが見られないというところが一番の問題点になっておりますので、こういう点につきまして、厚生省さんの方の御協力も仰ぎつつ進めたいということでやっている次第でございます。
  130. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実は、私は今の答弁では、では本当に運輸省は具体的に何をしたのかよくわからぬなというのが率直な感じであります。  その前に、では、今お話に出ました厚生省はこの件に関してどういうふうな措置を講じているのでしょうか。
  131. 阿部正俊

    ○阿部説明員 自賠責保険の診療報酬の基準策定等につきましては、私どもも三省協議会に参加をいたしまして、先ほど大蔵省からお話がございましたような、いわば料金そのものの部分以前の問題、前提問題とおっしゃっていましたけれども、そういったことについての整理をどうするか等について、参加をして具体的な意見を申し上げ、それなりの御協力をしてまいっているつもりでございます。  ただ、現在の料金そのもの、個々の行為についての料金の算定をどうするかということにつきましては、率直に申し上げまして、現在の制度下において、厚生省、医師会というふうな関係で何らかの指導といいましょうか、そこには大変限界があるということも事実ではなかろうかというふうに思っております。御存じのとおり、個々の診療の行為の内容については、それはそれなりの適正なものでなければいけませんけれども、それに伴う個々の料金の設定については、私どもの言葉で申し上げますと一つの自由診療という形になっていますので、それについてはやはり基本的には医師会といいましょうか診療側との基本的な双方の合意というものがどうしても前提にならざるを得ませんので、料金そのものについての基準設定というのは、行政的な対応としてはそう容易なことではないなというふうなことで、私どももできるだけ協力はするつもりでございますけれども、個別の料金設定についての何らかの強制的な対応というのは非常に無理があるところではないか、こんなふうに考えているところでございます。
  132. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の厚生省のお話は、私は無責任だと思うのですね。要するに、今までも例えば医療費の問題について自由診療でやってきて、そのために二倍以上にもなっているじゃないか、だからこれは問題なんだよということで、医療費の適正化のために診療基準をつくらなければいかぬという経緯を経て今日に至っているわけですね。そして関係者がそれぞれ御努力をされていると思うのです。だから、自由診療になっているから難しいというような議論はおかしいと私は思うのです。しかも、今までの経緯から見れば、厚生省からも、例えば健保並みの、要するに健保で適用して云々というような通達も出されたりしたこともございます。あるいは労災との関係でどういう位置づけにした方がいいのだろうかとか、そういう意味で、医療行政を厚生省が担当しているのであるならば、私はもっともっと積極的にどういう水準が望ましいのだろうかというようなことは検討してしかるべきだと思うのです。御意見ございますか。
  133. 阿部正俊

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  自賠責保険制度というものはそもそもどういうふうな制度であるべきなのかというふうな議論は当然いろいろおありでございますし、検討されてしかるべきだと思うのでございますが、現在の制度体系のもとで、例えば社会保険医療だとかあるいは労災保険あるいは公害被害者等の救済法等と同じような形あるいはそれと横並びで、交通事故等の診療報酬体系はいかにあるべきかというふうに論ずるのは制度論として大変無理があるということを申し上げるので、私どもとしても、両者の合意ができれば、診療報酬体系をそれなりにつくり上げるということは大変望ましいことだと思いますけれども、個々の料金そのものについてどうなのかということでは、現在の制度全体の体系の中では、行政的ないわば介入といいましょうか、それなりの制約を受けざるを得ないということを申し上げておるわけでございます。
  134. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 もっともっと長くいろいろやりたいのですが、先ほど来お話のあるとおり、これは運輸省にしてもあるいは大蔵省にしても、厚生省にしてもそうでしょうけれども、それぞれ協力してやりますというふうな話なんですね。ぜひこれは協力してやっていただきたい、こういうふうに思うのです。  先ほど出ました自賠責保険の医療費適正化の三省協議会ですね、これも五十三年に設置をされました。それからずっと、五十七年を最後にして以後長く開催をされていなかった、こういうふうに思うのです。だから、先ほど来も話が出ておりましたけれども、この三省協議会をそれこそちゃんと機能をさせて充実したものにしなくてはいかぬ、そして診療基準案の作成についてもちゃんと生かさなければならぬ、こういうふうに思います。  で、今までの三省協議会の審議内容についての詳細を、これは後ほどで結構ですので届けていただきたい、こう思います。今、その審議の概況だけで結構ですけれども、御説明をお願いいたします。
  135. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 今御指摘の三省協議会でございますが、先生お話がありましたように、五十七年を最後にしばらくやっておりません。ただ、やっておりませんでしたけれども、特に医療費支払いの適正化のための診療報酬基準案の作成につきましては、三省適宜その都度協議を行いながら我々としては損保業界を指導する、それから日本医師会にも協力を求めるという形で打ち合わせは行ってきております。  その五十七年までに協議をし、具体的に損保業界に対して措置を求めたことといたしましては、例えば診療報酬明細書の添付を励行しなさい、あるいは自賠責保険請求事案ごとに内容の精査を行うために事前調査システムを実施しましょう、さらには損保業界とそれから各地区の医師会の間で都道府県単位で医療協議会を設けて、医療費請求についてトラブルがある事案については解決をしていく、さらには交通事故医療に関する資料の集積を図るといったようなことをやってきたわけでございます。
  136. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間が余りありませんので、先ほどお願いしたように、この審議の状況については、後で細部をまたお願いいたします。  この問題について最後にお伺いしますけれども、とにかくこの問題は一刻も早く診療基準をつくらなければならぬ、こういうことでありますし、先ほど申し上げたとおりに、大蔵省も六十年度中に作成したいという意向でもあったわけでありますので、今の時点でいつまでに作成したいと思っているか、その決意を大蔵省、運輸省、厚生省、それぞれにお伺いをいたします。
  137. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 再三申し上げておりますように、今の時点で見通しをすることが大変難しいわけでございますが、損保業界それから医師会、両者とも昨年来のたび重なる精力的な協議、交渉を通じて構築してまいりました診療報酬基準案作成の前提条件あるいは大枠についての合意は大変貴重なものだという評価をしております。損保業界といたしましては、こういう信頼関係を前提にして、最終合意に向けて最大限の努力をしたいという意向を有しております。  私どもとしましても、基準案が早期に作成されるように今後とも精力的に業界の指導に当たっていきたいというふうには思っておりますが、実はことし夏の段階で、年末ごろに双方合意に達しましょうという約束といいますか合意が医師会の方と損保業界の方でできておったわけでございます。ところが、先ほど申し上げましたように、実際の料金の交渉に入りますと、両者がそれぞれ思っていたのとは相手側の主張が非常に違っていたというようなことがありまして、若干その点、デッドロックに乗り上げたような格好になっております。ただ年内にさらに何回か交渉を予定しておりまして、問題点の整理をするということになっておりますので、年が明けた段階で少し先が見えるのではないかということを期待はしております。
  138. 熊代健

    熊代政府委員 先ほど先生指摘のように、六十年度中にということでやってまいった問題でございます。しかも、今まで各地区ででこぼこがあったりトラブルがいろいろあったということに基づいて、基準案をという話は損保業界、医師会ともにそっちの方向について大筋の合意を見ているわけですから、我々としてはできるだけ早急に合意を見て基準案を作成すべく努力していきたいというふうに思っております。
  139. 阿部正俊

    ○阿部説明員 業界それから医師会の双方の合意ということを基本にいたしまして、私どももそれをできるだけ早期に実現できますように、側面的にならざるを得ない面がございますけれども、できるだけの努力をしてまいりたい、こんなふうに思っております。
  140. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 事の重要性はそれぞれ十分に御認識の話でありますので、ぜひ積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思います。また途中経過等、私もぜひいろいろ教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。  次に移りますけれども、この自賠責の問題の運用益の収支改善の問題でありますが、ことしの一月の自賠責の審議会に料率引き上げ後の収支状況報告をされました。それによりますと、六十年度の損害率が一〇七・八%になっておりますけれども、この一〇七・八%ということについてどういうふうに評価をし、その七・八%分の赤字をどういうふうに補てんをしようとされるのか、大蔵省にお伺いします。
  141. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 六十年度の自賠責の収支検証におきますところの六十契約年度の損害率、今御指摘ありました一〇七・八%ということになっております。これは、六十年四月の料率引き上げのときに五十九年度の検証に基づきまして見込んでおりました損害率が一〇七%ちょうどでございますので、若干悪くなっております。この原因は、先生御案内のように、料率の引き上げが当初一〇七%と見込んでおりましたときは六十年四月一日を予定しておりましたが、十五日おくれまして四月十五日からとなりました。そのずれ等が影響しているかと思いますけれども、おおむね予想されたとおりであるというふうに考えております。  この七・八%の赤字の補てんをどうするのかということでございますけれども、損害率の一〇七・八%は六十年度収支検証におきますところの六十契約年度の予定損害率でございます。現実の決算数値ではございませんが、決算が検証どおり一〇七・八%の損害率になるというふうに仮定いたしますとすれば、七・八%の分は保険料で賄えないということになります。そこで、この部分につきましては、五十九年十二月の自賠責保険審議会答申にのっとりまして、五十九年度末までの累積運用益、これで補てんするということになろうかと考えております。
  142. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 運輸省にお伺いしますけれども、その五十九年の十二月の自賠責審議会の答申では「これらの累積運用益を責任保険の収支に充当するため、将来、手続上の所要の措置を講じる必要がある。」こういうふうにありますが、「所要の措置」というのはどういうことでありますか。
  143. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように、五十九年十二月の自賠責審議会の答申に基づいて、六十年四月十五日から保険料率の改定がなされたわけですけれども、この改定のときに、五十九年度末における自賠特会及び保険会社に留保されている累積運用益の合計約六千五百七十億円、これをもって保険収支の改善に充当することによりまして全車種平均で約二九%の引き上げにとどめる、純保険料率で約二〇%の抑制を行ったということでございまして、このように保険料率の引き上げ幅を圧縮したために生じてまいります、契約年度ごとに出てまいります保険収支の赤字額について、それぞれ自賠特会及び保険会社の累積運用益を取り崩して充当するということに相なる次第でございます。この場合、先ほど六千五百七十億の累積運用益と申し上げましたが、自賠特会に約五千六百五十億、保険会社が約九百二十億と、保険の再保険料は六割を再保険しているわけでございますが、六、四の比率になっていない状態でございますので、保険会社サイドの九百二十億ばかりのものを充当して足りなくなるという場合に、自賠特会からそちらの方に補てんしてまいるということが必要になるわけでございます。この「所要の措置」とは、自賠特会法は現在そういうことを予定しておりませんので、この改正を含めた措置意味しているということでございます。
  144. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 大蔵省にお伺いしますけれども、損保の方に再保険されない原付の赤字があるために、特会と損保の赤字残高は六対四になっておらぬ、こういうふうに聞きます。そういたしますと、六十二年度中にもこの損保の運用益、さっき言われた九百二十億は使い果たしてしまうということになりはせぬかな、こう思いますが、どうでしょうか。
  145. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 今六十一年度の検証が出ておりませんので、六十年度の収支検証ベースでお話を申し上げざるを得ないわけですけれども、そのベースで見ますと、自賠責保険は六十一年度から累積収支ベースで赤字に転落いたします。民保の方ですが、六十一年度は累積赤字で三百三十八億円、それからさらに六十二年度で千九百四十四億円の赤字が加わりまして、六十二年度末までに累積赤字は二千二百八十二億円になるというのが現時点の予想でございます。  この赤字額は損保会社分と特会分に分かれることになりますので、この区分が現在ではちょっとはっきりいたしませんけれども、損保会社分の赤字は損保会社分の累積運用益九百十九億円を恐らく超えることになるのではないかと思われます。そういう意味では、六十二年度決算を終わった時点で損保側はみずから保有しております累積運用益を使い果たすことになるという先生の御指摘のとおりかと予想しております。
  146. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今の大蔵省の方の見方でいきますと、運輸省としてはこの法改正を六十二年度中にやっておく必要があるのではないか、そのための準備をしなければいかぬのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  147. 熊代健

    熊代政府委員 我々は、これの充当の仕方を、決算が確定した次年度に補てんすべきものがあれば補てんする、こういうことで考えております。したがいまして、先ほどの六十二年度の決算といいますか、五十八年度分が確定したという段階だと思いますが、その時点で損保会社に残っております運用益を充当し、なおかつ欠損が出たというものは六十三年度以降に補てんするという形になろうかと思いますので、当面、六十二年度中の特会法の改正といいますか、それは必要でないのではないかというふうに判断をしているところでございます。
  148. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のお話ですと、要するに六十二年度の途中で損保の方は赤字になる感じだと思うのですね。大蔵省の方から見ますと、損保の方のことを考えればというふうに言った方がいいのかもしれませんが、これは六十三年でも構わないのですか。
  149. 阪田雅裕

    ○阪田説明員 六十二年度の累積収支の赤字が幾らになるかというのは、結局のところ、六十二年度の決算を見てみないとわからないといいますか、確定しないということで、六十二年度中に補てんしていただくというのはなかなか難しいのかというふうに考えますので、六十三年度法改正が行われ、かつ、補てんが行われるということで結構であるというふうに考えております。
  150. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 そうだとしますと、そのための準備は早急にしなければならぬ、こういうふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。  それから、時間が余りありませんが、その運用益の返済についてお伺いをいたします。五十八年度予算で一般会計に二千五百六十億円流用をされました。そのときの返済条件は三年据え置き七年返済、しかも無利子というふうになっておりました。そういたしますと、六十一年度が返済の初年度でありまして、そのときに返済額は五十五億円でございました。要するに、二千五百六十億円を七年で返済をする、そのうちの初年度が五十五億円という数字であったわけであります。累積運用益が収支改善に充当することが決まっているために、無利子のまま一般会計に流用をされていれば特会の運営にも大きな支障を与える、私こう思うのですね。本来ならばもっと前倒ししてもしかるべきじゃないかというふうに私は思いますし、悪くても均等返済くらいは考えなければならぬ、こう思うのです。均等返済とすると三百六十六億円となりますけれども、先ほど申し上げたように、初年度分の六十一年度が五十五億円でありました。運輸省はこのときに五十五億円で納得をしたわけでありますか。
  151. 熊代健

    熊代政府委員 御指摘のように、五十八年度予算で自賠特会の中、保険勘定から二千五百億、保障勘定から六十億のものを一般会計に、いわば会計間の繰り入れですから無利子ということで繰り入れて、これは御指摘のように三年据え置きの七年、六十一年度から六十七年度までの間で返済する、分割して繰り戻す、ただ、その場合に、国の財政事情と自賠特会の収支状況等を総合的に勘案して、分割して繰り戻すということにいたしておりました。御承知のようなこの二千五百六十億を一般会計に繰り入れるとき、かなり当省としての御意見も申し上げましたが、ただ、当時の運輸大臣も国務大臣としてやむを得ないという御発言のもとに行われたものでございまして、六十一年度予算におきまして五十五億円というものが繰り戻されることになったわけでございます。これは国の財政事情が極めて厳しい状況の中で、財政当局といたしましても当省との約束を果たすべく最大限の努力をしてくれた結果で、自賠特会の収支につきまして、計算上の問題は別といたしまして、準備金その他預託しております金が一兆円の余ありまして、そういう意味では資金繰り的な問題は現時点で特にない。先生先ほど御指摘の損保会社の赤字が埋め切れなくなった場合にそれに入れていくときの事情等はありますが、六十一年度の自賠特会の収支状況を勘案した結果、運輸省としてもやむを得ないというふうに判断したものでございます。
  152. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 無利子で貸しておって、しかも七年でちゃんと返済するんだよという約束でやっておるわけでありますから、これは最大限の努力をしてもらわないと困る。しかも、五十五億円云云というのは本当に残念だったというふうにぜひ思っていただきたいと思うのです。  それで、六十一年度は一応終わったわけでありますけれども、六十二年度予算では、言うなら六十一年度のときに本当はもっと返してほしかったという部分まで乗っけてお願いをするというぐらいが本音だと私は思うのです。六十二年度の概算要求書、あの中には入っておりませんけれども、運輸省は幾ら返済要求をされたのでしょうか。
  153. 熊代健

    熊代政府委員 八月の概算要求の段階では、例の概算要求基準との関係もございまして、数字は政府原案をつくるまでにいろいろ固めて協議して決めていくという前提で、未定という格好で要求をいたしております。
  154. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 未定というのはどういうことなのか。要するにどのくらい欲しいとか、そういうのはないのですか。
  155. 熊代健

    熊代政府委員 先生おっしゃるように二千五百六十億から五十五億を引きました残りを多少の逓増とかをしますと三百数十億というような数字になるのも事実でございます。ただ、先ほど申し上げましたように、自賠特会の収支の状況と国の財政事情を総合的に勘案してということでございますので、額は明示しない、ただ、そういう最大限のものを要求するという意味で、未定という形で協議の上要求をさせてもらったわけでございます。
  156. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 なかなかわかりにくいな、こう思うのでありますが、では返済条件の三年据え置き、七年返済でやるよというのはちゃんと守るつもりでございますか。
  157. 熊代健

    熊代政府委員 私の方としては、大臣同士の約束でもございますし、当然守っていただけるものというふうに思っております。  なお、財政当局も見えているようですから、財政当局のお考えは財政当局の方から聞いていただきたいと思います。
  158. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 お言葉ですので、大蔵省の方にもこの問題についてどういうふうに考えておられるかお伺いしたいと思います。
  159. 佐藤謙

    佐藤説明員 御答弁させていただきます。  五十八年度予算におきまして自賠特会から一般会計に二千五百六十億円の繰り入れをいただいたわけでございますけれども、これにつきましては、その当時の両大臣間のお話し合いで、原則として六十一年度から六十七年度までの間におきまして国の財政事情とそれから自賠特会の収支状況を総合的に勘案して、分割して繰り戻すこと、こういうことにされているわけでございまして、ただいま先生から御指摘がございました六十一年度につきましては、私どもといたしましても、非常に厳しい予算事情にございましたけれども、こういった両大臣間のお話し合いがあるという経緯を踏まえまして、ぎりぎり五十五億円の繰り戻しをさせていただいた、こういった経緯になってございます。  六十二年度につきましては、これも改めて申すまでもございませんけれども、非常に厳しい財政事情にございまして、こういった国の財政事情とそれから自賠特会の収支状況等を踏まえさせていただいて、今後、運輸省御当局ともよく御相談の上詰めてまいりたい、かように思っております。
  160. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 時間がもう終わってしまいまして非常に残念でありますが、こういう約束事は、建設省の道路局長も来ていらっしゃいますが、実は建設省の関係でも自動車重量税のオーバーフロー問題というものがございます。似たような形で一般会計に流用されたりしております。先回も、建設大臣が、この問題についてはちゃんと取り組んでやらなければいかぬ、約束は守らなければならぬということで発言もされておりました。私は、この自賠責の問題についても、この七年返済の問題はちゃんと守らなければそれこそ政治に対する信頼の問題にもなる、こういうふうに思うのです。そういう意味で、財政事情なかなか苦しいところでございますけれども、関係者はそれこそ最大限の努力をして、六十二年度の返済につきましてもその達成のために力を注いでいただきたい、このようにお願いを申し上げまして終わります。どうもありがとうございました。
  161. 新井彬之

    新井委員長 辻第一君。
  162. 辻第一

    ○辻(第)委員 ことしも残り少なくなってまいりましたが、どうも今の状況では本年度の交通事故は深刻な状況で、五年連続死者が九千人を超える状況だというふうに聞いているわけであります。  そこで、今年度、最近までの事故件数、それから死者数、負傷者数、それと対前年比ですね、お答えをいただきたいと思います。
  163. 八島幸彦

    八島政府委員 お答えいたします。  本年の十一月末現在の交通事故発生状況でございますが、発生件数が五十二万六千三百三十一件、これは前年同期比では二万二千二百六十五件、四・四%増でございます。死者数が八千四百八十九人、これは前年対比で八十六人、一・〇%増でございます。負傷者数が六十四万八千六十七人、これは前年対比で二万五千六百九十四人、四・一%の増でありまして、すべて前年を上回っております。しかしながら、七月から十一月までの下半期と六月までの上半期とに分けまして比較をしてみますと、発生件数は上半期が七・一%増でありましたが、下半期は一・六%増、死傷者数が六・四%増から一・四%増へ、それぞれ著しく増加率が低くなってきておりまして、これは原付のヘルメットの義務化あるいはシートベルト着用義務化等の効果が後半になってあらわれてきた結果ではないか、かように考えているところでございます。
  164. 辻第一

    ○辻(第)委員 皆さん方の大変な努力の中、また国民の皆さん方の大変な努力の中、後半は改善をされておるということは非常に喜ばしいことでありますが、しかし、五年連続九千人を超えるだろうということは、やはり深刻な事態として受けとめなくてはならないと思います。  そこで、今十一月末の御報告をいただいたわけでありますが、警察庁交通交通企画課から「昭和六十一年十月末の交通事故発生状況」という冊子をいただきました。私読ましていただいたのですが、その中で「年齢層別・状態別死者数状況」というところに、七十歳以上の高齢者が増加をし、二輪車乗車中が減少したという一つの特徴が挙がっておるわけであります。殊にその七十歳以上の高齢者の増加、ずっと見てまいりますと随所に出てまいります。私も間もなく六十一歳になりますので、みずからを考えて非常に不安になるわけでありますが、七十歳以上は千二百七十四人、一六・七%で、年齢層別では一位ですね。それから、前年同期に比べてこの時点では七十歳は一六・三%ふえ、千二百七十四人、百七十九人ふえております。それから七十歳以上の死者でありますが、歩行中が七百六十二人で、前年同期より百四人ふえて、その伸びは一五・八%、自転車は二百五十一人で、十三人ふえて五・五%増、自動車の乗車中の方が百二十三人で、前年より四十九人ふえて六六・二%増、自動二輪では二十八人で、前年同期より十五人ふえて一一五・四%の増、こういう数字であります。本当に大変だなと思うわけであります。全体として七十歳以上の高齢者の方が非常に死者数がふえました。しかも、自動車乗車中でありますとか自動二輪の乗車中というのは恐ろしいほどの伸びを示しているわけであります。  そこで、原因といいましょうか、毎年毎年お年寄りの交通事故がふえておるということでありますが、もちろん当然高齢者がふえていくわけですからそういうことですけれども、その伸び以上にことしは特に多いということで、私は二重に愕然としたわけであります。その辺の原因というものがもしありますれば教えていただきたいと思います。
  165. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、高齢者の交通事故はいずれも増加傾向にございまして、自動車乗車中の死者もかなりふえておりますが、絶対数といたしましては歩行中の死者、特に七十歳以上のお年寄りの歩行中の死者が大変ふえております。  そこで、その原因についてのお尋ねでありますが、基本的には老齢者人口が非常にふえたということは御指摘のとおりでありますけれども、それにしてもふえ方が大きいのはこれが間違いない原因だという確たることまでは申し上げられませんが、一応考えておりますのは、それなりに交通量がふえてきている。一方、お年寄りも一応の安全知識は持っておりますけれども、実際には、例えば歩行者で申しますと、自分では早く歩いているつもりだが足は意識のようには早く歩いていないというような意識と実際の行動とのずれというものがあって、あの辺に車が来ている、今渡れば安全だと思って横断したところが車の方が早く来てしまったというような事故が非常にふえてきているのではないか。場所によっては渋滞等も起こっておりますが、道路が舗装されるとかいうことで主として夜間については非常にスピードを出す車もふえておりまして、そういうようなことが歩行者事故の増大につながっているのではないかというふうに感じております。
  166. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、ことし高齢者対策はどのようにとられてきたのか、簡明にお答えをいただきたいと思います。
  167. 八島幸彦

    八島政府委員 高齢者対策といたしましては、まず運転者につきましては、更新時講習等の際にお年寄りの学級を設けて、お年寄り特有の事故とか肉体的、精神的な衰えの特徴等を十分理解していただくということに努力をいたし、また、お年寄りのゲートボールクラブとかその他のいろいろなクラブに働きかけまして、組織的に安全広報に努めてきたところでございます。歩行者につきましては、そういうクラブ等についても働きかけましたが、問題はそういうクラブに属していない人たちもおりますので、そういうところを一軒一軒回って、民間のボランティアの方々にもいろいろ御協力いただいて安全教育等に努めてきているところでございます。
  168. 辻第一

    ○辻(第)委員 そこで、これから先の対応ですけれども、今言われたのはことしのを簡明にお答えをいただきたいと言いましたのでそういうことだったと思いますが、そのままではこれから先大変だというふうに思うのですね。殊に歩行者の問題もそうでございますが、高齢者の運転、これも二輪車も自動車も含めて非常に大きな事故の伸びを示しているということであります。こういう点で自動車というのは私も何度かもう危ないからやめようと思ったことがあるのですが、やはり便利ですし、また、ドライブなんかの快適さというのは非常な魅力で、どうしてもやめがたい、一週間に一回ぐらい大体乗るのですけれども。お年寄りが車をやめていただくなんということはとてもできないことでありますし、もっともっとお年寄りが自覚をしていただくということも大事でしょうけれども、私なんかも自覚はしているのです。自覚してそんなにスピードも出しませんし、慎重に走っているつもりでもやはりとっさのときの対応というのが非常に鈍いなというのを自分でも感じます。それから、都市へ行きますとますます複雑化してきている、交通量が多い状況の中で、うまくマッチしないのですね。ああ危ないなというようなことがしばしばあるということであります。  そういうことでありますので、できることをいろいろ考え努力していただきたいと思うのですが、高いところにある標識をもう少し低くしていただけないかあるいは書いてある内容をもう少し大きくわかりやすくしていただけないか、こんなことも考えるのですが、いかがですか。
  169. 八島幸彦

    八島政府委員 標識の大型化についてのお尋ねでございますが、これは御指摘のとおりそういう方が望ましいと思っております。  従来、大型標識等につきましては国の特定事業として補助事業の対象にしておりましたが、今回の計画からは都道府県単独事業といたしましたのも、都道府県の実態を踏まえまして、従来の単独事業で実施しておりました通常型の標識とあわせて整理統合し、なおかつ見やすいように大きくするという観点もあったわけでございまして、今後、都道府県単独事業としてではありますけれども、積極的にその方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  170. 辻第一

    ○辻(第)委員 先ほどの公明党の方の御質問の中で、局長は、ことしから三カ年目標で既に調査研究をしているというふうにおっしゃったのですが、今の時点で考えておられることについて、高齢者対策についてお尋ねしたいと思います。
  171. 八島幸彦

    八島政府委員 高齢者対策につきましては、いろいろ学者その他の専門家の皆さん方のお知恵も拝借するという観点から、従来もいろいろ調査研究の委託をしてきております。これまで高齢運転者運転行動の特性とか事故の特徴等に関する調査研究自動車安全運転センターあるいは交通管理技術協会等の機関団体に委託をいたしましてそういう調査研究をある程度進めてきております。これにつきましてはまだ完全に十分に研究ができているわけではございませんので、引き続きその種の委託をやりまして調査研究をやってまいりたい、その結果を踏まえて、また知恵を絞りまして、高齢運転者対策に資してまいりたい、かように考えております。
  172. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、国家公安委員長にお尋ねしたいのですが、本当に高齢者の交通事故対策というのはこれから非常に重要な課題になろうかというふうに思います。急速に高齢化社会を迎えていくわけでありますので、いよいよ重大な課題であろうと思うのですが、大臣の御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  173. 葉梨信行

    ○葉梨国務大臣 今まで先生と政府委員との間の答弁、御質問のやりとりの中に出てきていると思いますが、急速な高齢化が進み、みんなが長生きできる時代になってきたということは大変結構なことだと思います。特に、お年寄りの方々で免許証を持っている方もたくさん出てきた、それはある意味でお年寄りに活気を与えることになるであろう、いいことだと思います。同時に、困ったこととしては交通事故に遭う方がたくさんふえてきている、中には大変お気の毒にも死に至る方がいらっしゃる、どうやってそういうマイナスの面を防いで少なくしていくかということがこれからの対応策、課題であろうと思います。  一番大きな問題は、社会全体がやはりお年寄りを大事にし、いたわり合うという気持ちを持つことであろう、社会にそういう気持ちは今でもございましょうけれども、もっともっとそれを深めることであろうと思います。そういう意味では、子供のころから教育の中で、自分自身の交通安全教育と同時にお年寄りをそういう災害から守ってあげましょうというような趣旨の方向づけの交通安全教育を行っていくべきであろう。それからまた、お年寄りのドライバーなりについての教育がありましょうし、それから町の中での施設の問題、先ほど先生交通標識をもっと低くしたらどうかとおっしゃいました。そう簡単にできないとも思いますけれども、それにしましても、例えば盲人に対しまして交差点でオルゴールを鳴らすというような何かお年寄りに特に効果的な方法があれば実施していく、そういうことについては先ほど答弁申し上げましたが、そういうことに着目していろいろ研究をしてみたいと思っております。  要は、高齢化社会の中でいずれ自分もお年寄りになるのだ、先生もお年寄りになられつつあるとおっしゃいましたけれども、そういう気持ちをみんなが持つこと、そして具体的にいろいろな細かな施策をあわせて総合的に交通安全対策をつくり上げていく、こういうことであろうと思う次第でございます。
  174. 辻第一

    ○辻(第)委員 急いで十分な対応をしていただきたい、重ねて要望しておきます。  次に、シートベルトの問題でお尋ねをいたしますが、十一月一日からシートベルト着用義務が一般道路、助手席にも拡大されましたが、その結果ベルト着用率はどのように変化したのかお尋ねいたします。
  175. 八島幸彦

    八島政府委員 十一月二十五日から二十七日にかけまして全県で一定の基準に基づきまして特別調査を行いましたが、その結果によりますと、高速道路運転者が九九・二%、助手席同乗者が九七・五%、一般道路運転者が九五・九%、助手席同乗者が九二・三%ということで、点数付与の前には一般道路では五〇%台でございましたが、飛躍的に向上していることがわかった次第でございます。
  176. 辻第一

    ○辻(第)委員 これまでに一般道路、助手席関係着用義務違反により行政処分一点が科せられたのは何件ほどあるでしょうか。
  177. 八島幸彦

    八島政府委員 一般道路におきまして着用義務違反に点数を付与することにいたしましたのは十一月一日からでございますけれども、実際には二十日間指導期間を設けましたので二十一日から点数告知をいたしております。したがいまして、まだ一カ月足らずでございまして、この間の点数告知件数は集計しておりませんが、二十一日に全国一斉に実施いたしました指導取り締まりでは、高速自動車国道が三百三十八件、自動車専用道路が百二十三件、一般道路が一万二千八百十三件の点数告知をやっておりまして、なおほかにもこの二倍、二万五千五十五件の指導警告にとどめたものがございます。
  178. 辻第一

    ○辻(第)委員 シートベルトの問題については、きょう午前中の質疑の中にもありましたけれども、取り締まりのための取り締まりにならないように特に留意して指導に重点を置いて対応していただきたいということを強く要望しておきます。  着用義務の免除の問題でありますが、一般道路への拡大に伴って具体的にいろいろな問題があり、私どもなどへもいろいろ問い合わせがあるわけであります。道路交通法施行令や座席ベルトの装着義務の免除に係る業務を定める規則に具体的に例示してある業務はよいのですが、その規則の中の「その他物品の小売業」とありますね。これについて、もう一つはっきりわかりにくいというところで、いろいろ小売業関係の方の不安というようなものがあって、私どもにも問い合わせなんかも来るわけであります。この「その他物品の小売業」ということでは、もう少し具体的にそういう業者について明らかにしていただくことはできないものか、このように考えるのですが、いかがですか。
  179. 八島幸彦

    八島政府委員 装着義務の免除に関する規則でございますが、できるだけ細かく網羅的に規定をできればいいのでございますけれども、立法技術的にもなかなか困難な面もございまして、ある程度の類型的なものを例示したわけでございます。例示されている業務以外にも、現在、我々が解釈上、免除と解釈している業務について若干申し上げますと、「物品の小売業」といたしましては、料理品小売業とか灯油小売業とか新聞販売業等がございます。それから「飲食料品の製造業又は卸売業に係る業務」といたしましては、製氷業とかパン、菓子製造業、農畜産物卸売業などがございます。  そういうことで、基本的には先生承知のようにこういう業種に属する車はすべてシートベルトが免除になるということではございませんで、乗降が頻繁なそういう業務に従事しているときに免除になる、こういうものでございます。これは当然頻繁に乗降するということですと、どうしてもつけたり外したりすることによって余計な時間がとられるとかいろいろなことを配慮した結果でございますけれども、ただ、そういう業務に従事しているからといって、交通事故に遭われたときに被害が軽減されるわけでも何でもございませんので、私どもといたしましては、仮にそういう免除事案に該当している場合でも、できるだけ装着するように努めていただければありがたい、かように考えているところでございます。
  180. 辻第一

    ○辻(第)委員 現場といいましょうか第一線のところでは、いろいろそういう点で問題があろうかというふうに思いますので、できるだけわかりやすく、具体的に明らかにしていただければというふうに重ねて要望しておきます。  次に、いわゆる車庫証明のことでお尋ねをしたいと思うのですが、奈良県あたりには公団住宅などのそういう集合住宅団地がたくさんあるわけでありますけれども、その中での路上駐車などもやはり非常に多いわけであります。交通安全上も、あるいは災害のときに消防車なんかが入れないというような問題もあるわけであります。そういうことも含めてそういう過程の中でこの車庫証明の話が出てまいりまして、今自宅と車庫との距離が大体五百メートルが基準になっているようでありますけれども、そういう奈良の新しい住宅地なども含めて非常に土地が高騰いたしまして簡単に車庫が求められないというような問題、また、求めようと思っても非常に遠くしか車庫が求められないということがかなりあるようであります。五百メートルを超えて、例えば七百メートルとか八百メートルぐらいのところの車庫を借りておられる方もかなりあるのですね。そんなことは常識的に考えられないと思ったのですが、いろいろお話を聞きますと、そういう遠いところへ車庫を借りておられる方がたくさんある。ところが、そこは車庫証明が大体今の基準ですともらえないのですね。そんなので、そこの車庫を借りようと思ったのだけれども、車庫証明が受けられないのならやめておこうかというようなことで比較的近くに車庫が持てなかった、あるいは持たなかったというようなことも含めて路上駐車が多いというような話も聞くわけであります。この車庫証明の基準はきちっと五百メートルということで決まっているわけじゃないようでありますが、おおむね五百メートルということなんでしょうか。ですから柔軟に、その地域の現状に合った対応をしていただきたい、通達というとちょっとオーバーですが、そういう第一線への御指示をいただけないものか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  181. 八島幸彦

    八島政府委員 御指摘のように、保管場所がその住宅のおおむね五百メートル以内という基準によりまして運用しております。  ただ、先生も御承知のように、余り遠いところに保管場所を確保することを認めますと、どうしても、確かにそこは保管場所としては契約をしておりましても、現実には随分歩いていかなければいかぬというのが面倒だというようなことから、すぐうちの前の道路にとめるとかいうような問題も生じてまいりますので、それほど遠いところまで認めることはいかがなものか。ただ、私どもとしては、おおむねということでございますので、五百メートルをちょっとでも超えればもうだめだ、そういうしゃくし定規的な運用をすることのないように指導はしてまいりたい、かように考えております。
  182. 辻第一

    ○辻(第)委員 細かいことでなになんですが、重ねて聞きますけれども、七百メートルでは無理ですか。
  183. 八島幸彦

    八島政府委員 今のところはおおむね五百メートルということでございますから、おおむねという概念にはちょっと七百メートルは問題があろうかと思いますが、一応検討はさせていただきます。
  184. 辻第一

    ○辻(第)委員 現地ではそういうことがあるようです。ですから、ぜひというようなお話も聞いたのできょうはお願いをしたわけでありますが、十分検討していただいて、そういう対応をしていただければというふうに考えます。  最後に、電動車いすの制限速度がアップをされる方向だと新聞などに報道されているわけでありますが、私もこの委員会で昭和五十七年四月二十二日にこの問題を取り上げて、六キロ程度を認めるべきではないかというふうにお尋ねをいたしたわけでございます。当時は、なかなか難しい問題だ、今後状況に応じて勉強していきたい、こういうふうな意味の御答弁をいただいたわけであります。どうも実現をしていただくような方向だというふうに聞いているわけでありますが、具体的にどうなるのか、お尋ねをいたします。
  185. 八島幸彦

    八島政府委員 電動車いすにつきましては、御承知のように現在はおおむね四キロというふうにしているわけでございますが、これは歩行者の平均歩行速度が四キロということからこのように定めているわけでございます。ただ、実際問題としては、特に急ぐようなときにはもう少し引き上げてもいいのではないかという御要望もしばしばございまして、我々としても検討しているところでございますが、通産省の工業技術院におきましてもこの最高速度をどの程度まで引き上げることができるかというようなことを試作機等もつくりまして現在検討をしているようでございます。私どもとしましては、そういう検討も踏まえましてできるだけ早く当庁としての結論を出してまいりたい、かように考えております。
  186. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは終わります。どうも御苦労さまでした。
  187. 新井彬之

    新井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時十三分散会