○岩垂
委員 私がなぜそんな
質問を導入
部分でしてまいりましたかというと、ことしの十月六日、横須賀市の日の出町三丁目十七番地に所在する日本保温有限会社前の路上に、約一・五トンのアスベストを含む廃棄物が放置されているという連絡を市役所が受けまして、直ちに
調査の結果、日本保温という会社は四、五日前から閉鎖されている、社長さんの所在も捜しても不明だということで、その会社の家主さんである森本商店というところにその善処方を協議して、そして家主さんの経費負担で専門の産業廃棄物処理業者に依頼して路上から回収し、業者のストックヤードに管理の上で、十月七日、横浜市内の産業廃棄物処理場へ搬出して処分を終了した。
実は、この問題が起こってから横須賀市は非常に速やかな対応をいたしまして、翌日、米海軍横須賀基地民事部長を訪ねまして、基地内のアスベストが放置された件についての
調査依頼と、今後かかることのないよう基地内のアスベスト取扱業者の
指導方について要請をしたということになっております。そして、横須賀市は庁内で、助役を初めとして
関係部長の
会議を開きまして、アスベスト
対策について今後その方向づけを
検討することにして、アスベスト
対策検討委員会というものを発足することになりました。実は、そこの席上を含めて、これは私
ども社会党の市
会議員の荒井銀次郎という人がかかわってきたわけですが、その荒井さんの
質問に対して市の
鈴木生活
環境事業部長が発言をしております。「十一月初めにも保健衛生部を事務局として、庁内でアスベスト問題に総合的に取り組む
対策委を発足させる」というふうに明らかにした上で、「国に法整備を早急にしてもらわないと、
地方自治体で出来ることに限度があるが、法が出来るのをただ見ているのではなく、廃棄されるアスベストがどこで
発生し、最終的にどう処理されているか追跡
調査したい」「まず、
指導を受けている県に話をして国への行動を起こすほか、清掃問題を協議する全国都市清掃
会議でも問題を提起していきたい」という横須賀市の立場の表明がございました。
実は、ミッドウェーの大改修に関連をいたしまして、ボイラーだとかエンジンルームだとかヒートパイプだとか居住区だとか、あるいは電子装置のカバーから飛行甲板にまでアスベストが多用されている。非常に古い船だものですから、アスベストが非常に多用されているということが問題になるわけでございますけれ
ども、その取りかえ作業が行われているのですから、大変な量の廃棄物が外に出されてきたという実態がまず
一つございます。
それで、先ほ
ども申し上げましたように、横須賀の市役所が米軍基地の民事部長をお訪ねしてお話をしたところが、米軍自身はかなり厳しい規制というか管理をしているのです。ところがその米軍も、日本側業者の直轄工事の場合、軍財産処理局というセクションがあるのですが、そこは直接タッチせずに業者が処理することになっている、処理料も請負契約中に含まれている、日本保温のアスベスト処理のルートについては秘密だから言うことができない、実はこういう返事でございました。つまり、アメリカ自身も、完全に処理されているということについての確信を持つことはなかなか難しいと素直にお認めになったわけでございます。
その後、横須賀市の
調査によって、アスベスト
関係の処理のフローが大体明らかになりました。ここに私も資料を持っているわけでございますけれ
ども、例えば、今申し上げた日本保温などという会社は、企業規模や従業員数も必ずしも明確でございませんけれ
ども、私
どもが調べたところによると、社長と留守番のおばさんだけで、
仕事があれば多いときは三十人あるいは四十人の労働者が集まってくる、それ以外のときは四、五人、現在は労災保険にも入っていない。店の看板には「各種保温・保冷・防音 ダクト工事 その他プラント工事」というふうになっているわけでございます。これは実は処理業者ではないのですけれ
ども、こういう小さな下請といいましょうか、そういうところがアスベストを外に持ち出しているという実態があるわけでございます。
ちなみに、実はきょう、私はアスベストの放置されたものを持ってまいりました。余りオープンにしてもいけないのですが、米軍がつくった赤い袋は、「注意 石綿の粉じんを吸うと健康を害する恐れあり」というふうに日本字で書いてありますし、また同時に英語でそういうことが書かれているわけです。処理をする規則がございまして、赤、白と
二つ袋があってそれぞれ二重、三重にしなければならぬということがあるわけですが、この業者は二重、三重ではなくて一重になっているわけです。
それで、実は私の仲間がいろいろあちこち聞き取りをやってまいりまして、その聞き取りの結果をちょっとランダムに御紹介しておきたいと思うのですけれ
ども、黒いラバーの上のものはアスベスト、クリソタイルのファイバーで織ったものに白ペンキを塗ってある。これは私
ども専門のところで調べていただきました。労働科学
研究所の分析でございます。ここにございます黒いラバーの上にあるものがそれでございますが、まさにアスベストそのものでございます。それで、日本保温のもとの
関係者の話を伺ったところ、赤袋、白袋の中身は空母ミッドウェーのボイラーパイプの保温材であるという証言を得ています。それから、社長さんからはいまだに連絡がない、店舗の看板などは次の入居者が外して日本保温のトラックに積み込んだ。横須賀市がそういうルートを明らかにしたわけです。
それから、この二十一日に証言した基地の退職者、八五年十二月に退職された方ですが、アスベスト廃棄物の基地外持ち出しということに関連をして、業者のアスベスト処理はずさん、日本保温だけでなく他の業者も持ち出している、基地外へ出てからのルートはわからない、あるいはドックサイドに業者が艦船から出したアスベスト廃棄物が、業者の責任ですぐ持っていかねばならないのにアスベストコンテナにも入れずにいつまでも野積みにされている。
あるいは、同じ日本保温の
関係者の話でございますが、高校生がアルバイトに使われているというようなことも聞いたことがある。中学生から高校生、とにかく中学を出たばかりのえらく若い者を使っていた。さらに、八六年九月に退職をした基地の退職労働者に聞きますと、ミッドウェーのような大工事になると高校生やおばさんのバイトが入っていたと思う、人数は不明だがかなりの数ではないか。
それから、下請労働者の作業実態については、これも八五年十二月に退職した基地の退職者から伺ったわけでございますが、業者の従業員は、草履履きで入って草履履きで出てくるのもいた。もう一人のことしの九月に退職をした基地労働者は、コントラクター、下請はミッドウェー各所でアスベストのリップアウトをやっている。これはばらし作業のことです。SRF安全課ではアメリカの人が大変厳しいチェックをしているけれ
ども、一〇〇%のチェックは非常に無理だということでございます。専門の保温屋さんがやる場合には、アスベストのリップアウトのときは一応安全課に届けて許可をとるけれ
ども、パイプ屋やその他の業者は、小作業のリップアウトだと届けないでやってしまうので安全課もつかめないことが多い。
さらに、もう一人の基地退職の労働者に言わせると、コントラクターもSRF安全課の支配下で、アメリカ人が一人いて、安全、防じんに対して先ほど申し上げたように大変うるさいということで、一応紙製の円管服それからマスク、ゴム手袋、その姿で朝から作業にかかる。昼、上がりのときにバキュームルームに入り、その円管服やマスクやゴム手袋の脱じんをして、脱衣をしてシャワーを浴びて着がえをして食事をする、こういうことになっているわけでございます。ところがそういうことをやらない。特にアスベスト・リップアウトの人たちは、エアラインマスクなんというのはほとんど使わないということも証言を得ているところです。また、先ほど申し上げましたばらし作業といいましょうか、リップアウトというのは四人一組でやる。周囲を青いシートで覆って、入り口に一平米の黄色い「部外者立入禁止」の看板を立てる。ただしこれは建前で、
仕事が押してくると他のショップ、他の職種の労働者との混在作業が非常に多い。他のショップの労働者は、安全課
指導に基づき防じんマスク、眼鏡をつけるけれ
ども、白のいわゆる紙製の円管服は着ないというふうなことなど、いろいろな形で証言を得ているわけでございます。
私がここで申し上げたいことは、率直に言って、外へ持ち出されてからどこへ消えているのかわからないということがまずあるわけです。しかし、持ち出されるいわゆるルートというのは横須賀市が確認をいたしまして、それを私
どもの仲間と一緒に私も
調査をいたしてまいりました。
一つの場所は、基地から運び出しまして、横浜の戸塚というところに中間処理の施設がございまして、実はMという企業の名前でございますが、(写真を示す)こういう形で余りしっかりした覆いのないところで中積みをしているわけですね。ここであるいは破砕をする
可能性も十分にある。また、そういうことを言われている向きもございます。その周りには、例えば直径四百メートルでとってみて病院がございます。それから大きな団地が
二つもあります。それから老人ホームも中学校も小学校もあります。そういうところで実は中間処理をやる。この中間処理をしたところから今度は千葉県の佐倉市に持っていく。佐倉市へ行きますと、これはまた現場の人に聞いて大変びっくりしたのですけれ
ども、M企業というところは実は袋を外して持ってきてくれるので非常にいいお得意様だというわけです。つまり、そこでみんな袋をとってしまうわけです。それで一般の廃棄物なんかと混在をして、結果的に佐倉の処理場でこういう形で埋め立てられているわけであります。もう何が何だかわかったものではありません。アスベストもへったくれもあったものじゃない。
私、さっきもこのアスベストについて
調査したと言いましたが、それだけでなしに、横須賀の市営の廃棄物処理場でもアスベストが捨てられている。これも実は労働科学
研究所で調べてもらったらやっぱりアスベストなんですね。これはミッドウェーだけじゃないのです。そういうものがこの際どんどん捨てられているという状態が一方にあるわけであります。先ほど
大気保全
局長が、普通の状態のもとでは危険はないというふうにおっしゃったけれ
ども、こうなってまいりますと、私は危険がないなどとのんびりしたことを言っておられるだろうかとあえて言いたいのです。
ここで申し上げたいことは、中間処理の施設を通って埋め立てのところまでいく。その間に、アスベストであったものが袋もとられちゃって破砕されて——破砕することがいけないのです、
大気に飛び散るわけですから。そういう形でどんどん処理されている。佐倉の処理場の周りにも、ちょっと離れていますけれ
ども住宅地帯がございます。こういうことを
考えると、
二つ問題があると私は思うのです。
一つは、先ほど申し上げましたように、アメリカは大変厳しいアスベストの規制がある。日本で修理するというのは、アスベストの規制のない日本でやっているのかな。つまり、アメリカのアスベストの廃棄物処理場に日本が使われているのではないだろうかというふうに言わざるを得ない実態がある。アメリカ自身は精いっぱい安全管理のために努力をしている。しかし、その目の届かないところで実はどんどんこういう実態がしり抜けになって現実に出ているということになれば、さっき言ったようなことも
考えざるを得ない。
それからもう
一つは、基地の中は危険物で、基地から一歩外へ出たらもう安全、何をされても仕方がないという形で処理されている
一つの物の流れを見たとき、あるところまでは危険物で、あるところからは全然
関係がございません、そんな理屈が通るだろうか、こんな状態でいいのだろうか。しかも、大変高い発がん性を持っているということを
考えれば
考えるほど、何とかしなきゃいかぬ、こういう感じでいっぱいでございます。
そこで、実はこれは各省に
お願いを申し上げたいのですが、外務省、大変長い間お待たせをいたしました。
お尋ねをいたしますが、日米合同
委員会で
環境問題を取り扱うセクションもあるそうでございますので、アメリカ海軍当局に、ミッドウェーを初めとする米艦船の修理に関連して、アスベストの廃材などが出る場合はできるだけ日本側に明らかにさせていただく。軍事秘密に関するものもあると思いますから、細かく数量まで云々というようなことを申し上げるつもりはございませんけれ
ども、できるだけそのことを明らかにするための努力を
お願いしたい。同時に、日本の業者に対して、特にこれは下請でございますが、安全についての
指導を徹底して、厳格な防護
措置をとっていただくようにアメリカに対して要求をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。