○小澤(克)委員 大変国民の注目を集めましたソビエトの
チェルノブイル原発事故からかなりの日数がたったわけでございます。去る九月九日に
原子力安全委員会の
ソ連原子力発電所
事故調査特別委員会による「
ソ連原子力発電所
事故調査報告書 第一次」と称するものが
発表されております。それで、本来であれば、国民代表のこの議会、特に当
委員会におきましてこの
報告書について詳細な報告をいただき、批判的な観点からいろいろ
検討するということがあってしかるべきだろうと思いますし、また、ぜひそのような
機会を近く設けていただきたい、これは
委員長にお願いをするわけでございますが、とりあえずきょうは、一般
質問ということで時間も余りございませんので、この
調査報告につきまして、一応これはもう聞いたといいますか読んだという
立場から、若干疑問点を何点かお尋ねをしたいと思うわけです。
この報告によりますと、いろいろ技術的な観点からの報告となっており、まあ基本的にはソビエト当局の
発表したものを紹介しているのが大部分だというふうに思うわけですけれ
ども、
結論といたしまして、
本件事故はその背景に、この炉型の
一つの特性といいますか、具体的にはボイド係数がかなり大きい正の値をとるということ、それから原子炉停止機能を初めとする安全
対策について十分な配慮がないというような設計上の問題、こういうものが背景にあり、その上に人為的ミスがあって
本件事故を惹起した。人為的ミスについては、ソビエト当局は六つばかりの要素を挙げているけれ
ども、その中で直接関係が深いと思われるのは
三つないし四つであるというような
結論というふうに読めるわけでございます。そしてその結果、「本
事故が
我が国では考えられ難い
事故であったことがほぼ明らかになった。」このように
結論づけているわけでございます。
そこで、これにつきまして大きな疑問があるわけでございますが、その
一つに、まあボイド係数の問題、これは確かにこの炉における
一つの特性だろうということはわかりますけれ
ども、これに対しまして制御系としては、一応十分なといいますか、制御系が用意されていたのではないかということがむしろこの
報告書からは読めるわけでございます。いろいろ世間では、ソビエトのこの形の炉は暴走しやすい上にブレーキの効きが悪いのだというようなことが言われているようですけれ
ども、この
報告書を見ますと、まず制御棒の作動速度が一秒間に四十センチということで比較的低速であるということが
指摘されておりますが、同時に、制御棒の数量の多いことにより比較的低速であることが補われているという記載がございます。これが
報告書の十八ページにあります。
それからボイド係数がかなり大きいということが
一つありますけれ
ども、それを含めても、この
報告書にございます反応度操作余裕という概念があるわけですけれ
ども、これが規定どおりになっていたならば、緊急保護システム作動の初期の負の反応度の投入速度は一秒間に一ドルということであって、これは正のボイド係数の効果を補償するのに十分である、こういう記載もあるわけです。これは二十三ページにございます。
このように見てきますと、規定どおりの運用がされていたならば、一応十分な制御系を備えていたのではないかというのがむしろこの
報告書の率直な読み方ではないかと思うのですが、この点いかがでしょうか。