○栗原国務
大臣 私は、先般ワインバーガー国防長官の招待により、九月二日から九月八日までの間米国を訪問し、同長官との定期
協議を行うとともに、ブッシュ副大統領、ポインデクスター大統領補佐官、ホワイトヘッド国務副長官、アスピン下院軍事
委員長及びヘイズ太平洋軍司令官と
会談し、また、海軍兵学校を視察してまいりました。
ワインバーガー長官との
協議の概要は、次のとおりであります。
まず、私から、かねてより
米ソ間における
軍備管理・
軍縮の
進展に
注目してきた旨を述べたところ、ワインバーガー長官から、米国はこの問題に真剣に取り組んでいるが、その実質的な
進展を図るためには、
西側同盟諸国の結束と一貫した
努力が重要である旨の発言がありました。
次に、私から、
我が国は、自由主義諸国の有力な
一員として、国際的責務を痛感しているが、憲法及び基本的な
防衛政策に従い、従来からの目標である「
防衛計画の大綱」水準の達成を図るため、中期
防衛力整備計画を着実に実施するよう最大限の
努力を払いたい旨述べました。
これに対し、ワインバーガー長官から、現在の
日本の
防衛上の目標は適切なものであると
考えているが、米議会においては
防衛と貿易をリンクさせるなど危険な兆候が見られることを考慮すると、現在の
日米関係を弱化させないためにも、
防衛面における
日本のなお一層の
努力を
期待する旨の発言がありました。
この点に関しては、さらに私から、
米側の
事情はよく
承知しているが、
我が国も極めて厳しい財政
事情のもとにあることについて米国に対し理解を求めるとともに、自主的判断のもとに、国民の理解を得ながら、継続的かつ計画的な
防衛努力を行っていく
考えであることを述べました。
いずれにせよ、双方ともに最善を尽くし、日米
両国の健全かつ強固な協力
関係を維持していくことが重要であることで意見の一致を見ました。
また、米軍の艦載機着陸訓練場確保の問題に関しては、ワインバーガー長官から、その必要性を強調し、早期解決の
努力を希望する旨の発言があり、私から、本件適地としては三宅島以外にはないので、引き続き地域住民の理解を得るよう私の責任において最大限
努力したい旨述べました。
さらに、日米
防衛協力については、私から、共同研究、共同訓練、武器技術交流等各般の分野で具体的な
進展が見られるが、日米安保体制の効果的運用を図るために、今後ともその充実に努めていく
考えであることを述べ、ワインバーガー長官からは、各般の分野における日米
防衛協力
関係の
進展を
評価するとともに、
米側としても引き続き
努力したい旨の発言がありました。
ブッシュ副大統領との
会談においては、同副大統領から、
日米関係は全体として非常に良好であり、その中で日米
防衛協力の
進展を高く
評価する旨の発言があり、また、議会における厳しい対日
防衛努力期待を紹介しつつ、在日米軍の支援を含め、
日本の一層の
防衛努力に
期待と信頼を有している旨の発言があり、私から、
我が国は、自主的判断により、
我が国としてできる範囲で最善の
防衛努力を尽くす
考えであることを述べました。
ポインデクスター大統領補佐官、ホワイトヘッド国務副長官及びアスピン下院軍事
委員長との
会談においては、それぞれの
立場により若干の相違はあるものの、
米側からは、現在の基本的に良好な
日米関係を今後とも維持していくため、米国民の中にある孤立主義的な志向をも考慮し、
防衛分野においても
日本の一層の
努力を
期待する旨の発言がありました。
私からは、それぞれの発言に即して、
我が国の基本的な
考え方を説明するとともに、日米
両国が相互理解を一層深めるため
努力することを希望する旨述べ、この点につき意見の一致を見ました。
ヘイズ太平洋軍司令官との
会談では、日米共同訓練、在日米軍駐留支援等について意見を交換しました。
最後に今回の
訪米を通じての所感を申し上げます。
ワインバーガー長官との定期
協議を初め
米側関係者との
会談において、
日米関係及び
防衛上の諸問題について忌憚のない意見の交換を行うことができたことは、大変
意義深いものであったと
考えます。
米側は、
我が国の自主的な
防衛努力を
評価しつつも、今日の厳しい
国際情勢のもと、
我が国が一層の
防衛努力を行うことを
期待しております。
我が国としては、あくまでも自主的判断のもとに、継続的かつ計画的な
防衛努力を行い、日米
防衛協力の一層の
進展を図る必要があるものと
考えます。
以上をもちまして、私の
訪米報告を終わります。(拍手)
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