○村沢牧君 私は、日本社会党、公明党・国民
会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ革新共闘の五派共同提案による
昭和六十一
年産生産者米価の決定に関する決議案を提出いたします。
まず、提案の趣旨について御
説明いたします。
政府は、昨日、
米価審議会に対して、
昭和六十一
年産生産者米価を昨年に比べて三・八%引き下ば、一俵六十キログラム
当たり一万七千九百六十一円とする
試算値を提出いたしました。
これは、全国の
農業者や
農業団体が、最近における稲作と米をめぐる情勢を踏まえた上で切実な
要求米価を決定するとともに、これを支持する野党共闘とも
どもその実現に向けて運動を展開してきた経過を全く無視したものであり、極めて遺憾であります。
また、今回の
諮問米価算出の基礎となっている
算定方式については、三割弱の稲作
農家の第二次
生産費をカバーしているにすぎず、
家族労働費の
評価にしても、
都市均衡労賃とは名ばかりの地方労賃が用いられている等、極めて問題が多く、その改善が強く叫ばれてきたにもかかわらず、何ら
基本的な改善措置が講じられてこなかったことも極めて大きな問題であります。
政府は、稲作
農家が、長期にわたる減反政策や低
米価政策等によって負債の累増を招き、
農業経営の維持が困難となる中で、
農業の将来に展望を持ち得ないまま
生産意欲を失いつつある
状況を真摯に受けとめるべきであります。
一方、農政は、市場開放問題への対応、六十二年度以降に予定されているポスト三期
対策の推進など、ますます困難な局面を迎えています。このような中で、政策の円滑な推進を図ってまいりますためには、何といっても
政府と
農業者との信頼
関係が保たれることが極めて重要であります。
ところが、
政府は、
我が国農業の長期展望とそれに至る具体的なタイムスケジュールを明確に示そうともしない
状況のもとで、さきの乳価や麦価の
引き下げに続いて今回は三十年ぶりの
生産者米価の
引き下げ諮問を行うなど、
価格抑制策のみを先行させる政策を強行しており、農政に対する信頼感を著しく傷つけているのであります。
耕種
農業における生産性の向上は、
我が国農業の最も大きな課題ではありますが、その目的達成のためには、特に高地価を背景とした小
規模経営が大勢を占めている
我が国農業の歴史的な背景を理解し、生産基盤整備のための積極的な投資や、ソフト面の条件整備を推進するなど、長期的な視点に立った誘導措置が必要不可欠であります。しかしながら、今回の
生産者米価の
引き下げ諮問が、このような措置を前提とした条件のもとで行われたとは到底考えられないのであります。
したがって、
政府は、
昭和六十一
年産生産者米価の決定に当たっては、残された時間の中で
関係者と十分な協議を行い、稲作
農家がその将来に希望を持てるよう、少なくとも現行
価格を下回ることのないよう特段の配慮を加えるべきであります。
また、
政府は、良質米奨励金を初めとする米の生産、流通、管理等に関する補助金等の確保、減反政策の根本的な見直し、米の需要拡大、超多収米の開発利用の促進、食糧管理制度の堅持、
農業生産資材
価格の円高差益を含めた値下げ指導、固定化負債の解消、基盤整備、経営
対策等の抜本的な実施、
国民生活を優先した内需拡大政策への経済政策の転換、農産物の輸入自由化・枠拡大をやめ、
農業の再建と食糧自給率向上政策を確立する等の諸点の実現に向けて誠意を持って取り組むよう強く
要求し、決議案提出に当たっての趣旨
説明といたします。
それでは、次に決議案を朗読いたします。
昭和六十一
年産生産者米価の決定に関する決議(案)
政府は、昨日、
米価審議会に対し、
昭和六十一
年産生産者米価について、三・八パーセントの引下げ
諮問を行った。
これは、全国の
農業者や
農業団体が多くの主張を持ちつつも稲作をめぐる諸般の情勢を踏まえて、かつて例のない現行
価格以上という
要求を集約した経過を全く無視したものであり、極めて遺憾である。
また、
政府は
諮問米価の
算定に
当たり、
昭和五十八
年産米以降適用されている「潜在
需給ギャップ反映必要量
平均生産費方式及び一ヘクタール以上
農家平均生産費方式を総合勘案」した
算定方式に基づいて
試算を行っている。
この
算定方式については、従来から、
生産費カバー率の在り方、
家族労働費の
評価、企画管理
労働に対する
賃金付与、
自己資本利子率の取り方、
自作地地代の元本
評価、生産性向上分の生産者への還元等の諸点について極めて問題が多く、「
生産費及び
所得補償方式」の理念を逸脱したものとして見直しを強く迫ってきた。
しかし
政府は、このような
関係者の真摯な
要求に背を向け、財政主導の
米価決定を行おうとしている。
これは、長年にわたる
生産者米価の実質的な据置きと、六十万ヘクタールに及ぶ転作等に耐えつつ、経営
規模の拡大や生産の合理化に努力してきた稲作
農家の意欲に水をさすものであり、国民食糧の
安定供給と近代的稲作経営の確立にとって極めて大きな問題である。
よって
政府は、
昭和六十一
年産生産者米価の決定に当たっては、稲作
農家の
所得を補償し、米の再生産を確保するため、少なくとも
農業団体等の主張する
米価を下回ることのないよう特段の配慮をすべきである。
右決議する。
以上でございます。
何とぞ
委員各位の御賛同をいただき、本委員会一致による御採択をお願いします。
この際、私は
委員長に特にお願いします。
この決議案は、取り扱い上は野党の共同提案ではありますが、
農業団体の
要求を支持するという三百七十数名の署名の自民党の
皆さんも、当然御賛成を得られるものと思います。したがって、本日午後の委員会再開の
冒頭、全会一致で議決をしていただくよう
委員長において各段の御配慮をお願いいたします。
なお、このことについて理事会において
意見の一致を見ないような事態になった場合には、本委員会の採決によって賛否をとり、決議案を処理していただくよう要請いたします。その扱いいかんによっては、我が党は午後の審議について重大な考えのあることを申し上げまして、提案といたします。
以上です。