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1986-08-28 第106回国会 参議院 内閣委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年八月二十八日(木曜日)    午前十時三十一分開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         岩本 政光君     理 事                 板垣  正君                 大城 眞順君                 久保田真苗君     委 員                 小島 静馬君                 古賀雷四郎君                 永野 茂門君                 小野  明君                 野田  哲君                 飯田 忠雄君                 峯山 昭範君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    国務大臣        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (総務庁長官)  玉置 和郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  栗原 祐幸君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        内閣官房長官  渡辺 秀央君        人事院総裁    内海  倫君        人事院事務総局        職員局長     中島 忠能君        総務政務次官   近岡理一郎君        総務庁人事局長  手塚 康夫君        総務庁行政管理        局長       佐々木晴夫君        防衛政務次官   森   清君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁長官官房        長        友藤 一隆君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       依田 智治君        防衛庁人事局長  松本 宗和君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛施設庁長官  宍倉 宗夫君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        大蔵省主計局給        与課長      若林 勝三君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査  (一般職職員給与及び週休二日制についての報告並びに給与改定についての勧告に関する件)  (防衛費に関する件)  (米軍艦ニュージャージー等の寄港に関する件)  (閣僚靖国神社公式参拝に関する件)     ─────────────
  2. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  この際、国務大臣及び政務次官から発言を求められておりますので、順次これを許します。後藤田内閣官房長官
  3. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 去る七月二十二日に再度官房長官を拝命いたしまして、引き続いて内閣官房及び総理本府の事務担当することになりました。今後とも誠心誠意職務の遂行に当たる考えでございますので、委員長初め皆様方格別の御指導、御鞭撻を賜ることができまするように心からお願いを申し上げて、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。
  4. 岩本政光

  5. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 御心配をかけておりますが、本当に済まぬと思います。ここへ来ましたら懐かしい人ばっかりで、この場であいさつをせにゃいかぬのかなというぐらいの気持ちで今おりますが、ここにちゃんと書いたものがありますので読み上げます。  このたび総務庁長官を拝命いたしました玉置和郎でございます。私は、簡素にして効率的な行政の実現を目指し、総合調整官庁としての総務庁の果たすべき役割を十分認識し、行政改革推進を初め各般の課題に誠心誠意取り組んでまいる所存であります。委員長初め皆様方格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。  ありがとうございました。
  6. 岩本政光

  7. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 先般、再度防衛庁長官を拝命いたしました栗原でございます。  内外情勢の厳しいこの時期に、国家存立の基礎となる国の防衛という大任を再度担うことになり、責務の重大さを改めて痛感しております。私は、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つために、国民各位理解と支持のもと、防衛力の着実な整備に最善を尽くすとともに、日米安全保障体制信頼性維持強化に努める所存でございます。  本委員会におかれましては、従来から防衛行政に関し格別の御理解と御指導をいただいており、感謝申し上げます。今後とも一層の御協力を賜りますようお願いを申し上げまして、ごあいさつといたします。よろしくお願いいたします。
  8. 岩本政光

  9. 渡辺秀央

    説明員渡辺秀央君) このたび内閣官房長官を拝命いたしました渡辺秀央でございます。  官房長官の御指導を賜りながら職務に精励を尽くしてまいりたいと存じますので、何とぞ委員長初め委員各位の諸先生方の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
  10. 岩本政光

  11. 近岡理一郎

    説明員近岡理一郎君) このたび総務政務次官を拝命いたしました近岡理一郎でございます。  長官を補佐いたしまして全力を尽くす所存でございます。委員長初め皆様方格別の御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げまして、ごあいさつといたします。
  12. 岩本政光

  13. 森清

    説明員森清君) このたび防衛政務次官を拝命いたしました森清でございます。  微力ではございますが、栗原大臣を補佐いたしましてこの重大な責務を全うしたいと存じます。委員長初め委員皆様方格別の御指導と御協力を賜りますようお願い申し上げて、ごあいさつといたします。     ─────────────
  14. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。  まず、一般職職員給与及び週休二日制についての報告並びに給与改定についての勧告に関し、人事院から説明を聴取いたします。内海人事院総裁
  15. 内海倫

    説明員内海倫君) 人事院は、去る十二日、公務員給与及び週休二日制に関する報告並びに給与に関する勧告国会及び内閣に提出いたしました。本日、早速勧告内容について御聴取いただく機会を与えられましたことにつきまして衷心より感謝いたします。  以下、その概要を御説明申し上げます。  まず初めに、勧告内容について御説明いたします。  公務員給与は、従来から民間給与と均衡させることを基本としてまいりましたが、本年も四月時点における官民給与を精密に調査し、相互の給与を厳密に比較いたしました。その結果、官民給与較差金額で六千九十六円、率で二・三一%であることが判明いたしました。この較差民間給与動向を反映して例年に比べ低率ではありますが、なお相当の額の較差となっておりますので、この較差を解消し公務員給与を適正に維持することが必要であると認め、勧告することといたしました。  改善に当たりましては、本年の官民給与較差状況民間企業における給与配分状況公務員在職実態及び生活面等を詳細に検討し、六千九十六円の較差配分として、俸給に五千二百九十六円、手当に四百六十八円、この改善定率手当へのはね返り三百三十二円といたしました。  まず、俸給表につきましては、初任給、四十歳代の職員上級管理職員層に重点を置きつつ、全俸給表にわたって金額改定を行っております。  また、指定職俸給表につきましては、諸般の事情を勘案し、行政職と同程度の改善といたしております。  次に、手当につきましては、本年の官民給与較差状況民間における支給状況等を考慮し、扶養手当について改善を行い、その他宿日直手当、医師の初任給調整手当についても必要な改善を行っております。  特別給につきましては、公務員の期末・勤勉手当年間平均支給月分民間のボーナスの年間支給月分とがほぼ均衡しているので据え置いております。  筑波研究学園都市移転手当については、本年末までにその改廃につき勧告を行うこととされており、本院としましても慎重に検討した結果、学園都市における生活環境状況等を考慮し、引き続き存置することが適当であると認めました。なお、支給割合支給対象範囲については所要の調整を行うこととしております。  また、かねて検討を重ねてきました勤労環境変化等に伴う俸給調整額適正化については、昭和六十二年度から実施することといたしております。  実施時期については、本年四月一日からとしております。ただし、宿日直手当については六十二年一月一日からといたしております。  次に、報告の中で言及しております職員週休二日制について御説明申し上げます。  民間における週休二日制の普及状況とその動向等を考慮いたしますと、職員週休二日制についても、現行の四週五休制からさらに前進させる必要があるものと考えられます。このため、国民生活への影響等に留意しつつ、実地に即した問題点の検証及び対応策検討を行うことを目的とし、昭和六十二年内における四週六休制への円滑な移行を目標に、本年末から、四週六休制試行実施する必要があると認められる旨申し述べております。  以上、勧告及び報告概要を御説明申し上げましたが、報告の中において勧告実施要請等について申し述べておりますので、その趣旨について簡単に御説明申し上げます。  職員給与につきましては、こと数年抑制を受けてきたものの、昨年の勧告については関係各位の御努力により完全実施へ向け進展が図られ、このことが、職員勤務意欲を一層向上させるなど、公務をめぐる環境に好ましい影響をもたらしたものと考えております。  人事院勧告については、申し上げるまでもなく、労働基本権制約に伴う代償措置として行われるものであり、法の定める情勢適応原則に基づき、精密な調査を行って職員給与民間給与に均衡させるため行うものであります。また、人事院給与勧告が、職員にとってほとんど唯一の給与改善のための機会となっていることも御案内のとおりであります。  本院といたしましては、職員をして安んじて職務に精励させ、公務に必要な人材を確保し、将来にわたる国の行政運営の安定を図ることの重要性にかんがみ、勧告実施され、適正な給与が確保されることが公務における人事管理の上で最も重要なことの一つである旨、報告において指摘いたしております。本年における勧告完全実施を強く期待するゆえんであります。  内閣委員会皆様におかれましては、人事院勧告制度が果たしている役割及び職員行政の各分野において真摯に職務に精励している実情に深い御理解を賜り、何とぞこの勧告のとおり早急に実施していただくよう衷心よりお願い申し上げます。
  16. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 次いで、人事院勧告取り扱いに関し総務庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。玉置総務庁長官
  17. 玉置和郎

    国務大臣玉置和郎君) 委員長から特にお許しをいただきましたので、本委員会の御審議に当たり、本年度人事院勧告取り扱いについて、担当大臣としての考え方を述べさせていただきます。  人事院勧告制度は、労働基本権制約代償措置一つとして憲法上の評価を与えられているものでありますから、給与担当大臣としては、この制度を尊重し、国政全般との関連を考慮しつつ、勧告完全実施されるよう最大限努力をしてまいる所存であります。  ところで、近時の公務員給与改定については、財政事情悪化等により、五十七年度改定見送り、五十八、五十九年度政府による俸給表作成等異例措置がとられてきたところであります。しかしながら、職員の間に広がった給与改定に関する不安感を払拭するために、五十九年度給与改定に際しては、官房長官談話で、六十一年度までのおおむね三年間勧告完全実施するよう鋭意努力することを明らかにしたところであります。  さらに昨年度は、こうした考え方に立って完全実施に向けて一層の前進を図るため、実施月は三カ月おくれたものの、そのほかは勧告どおり改定を行うとともに、官房長官談話で、六十一年度以降、人事院勧告完全実施に向けて誠意を持って対処することを明らかにしたところであります。  本年度人事院勧告取り扱いについては、このような給与改定経緯を踏まえ、公務員生活及び士気への配慮、良好な労使関係維持財政事情等国政全般との関連を考慮しつつ、勧告完全実施に向けて最大限努力を尽くしてまいる所存であります。  なお、人事院はその報告において、本年末から四週六休制試行を行うよう提言しております。政府といたしましては、本年五月一日の経済対策閣僚会議で決定された経済構造調整推進要綱などで示されているように、基本的には国家公務員週休二日制を推進する方向でありますが、その推進に当たっては行財政改革推進との関連等をも勘案する必要があり、四週六休制試行についても、これらの点を踏まえて検討してまいる所存でありますので、委員各位の御理解を賜りたいと存じます。  以上、総務庁見解、私はそのとおり誠実に実行してまいりたいと思いますが、一言つけ加えさせていただくことをお許しいただきたいと思います。  参議院に十八年おりました。その間、総務会に籍を置かせていただきまして十四年間、私の過去を振り返ってみて、終始一貫して変わらなかったのは、人事院勧告制度仲裁裁定制度、これはやはり完全実施に持っていくべきである。いろいろ過去にありました。たった一人のときもありましたが、終始一貫してやってまいりました。しかし、その間にいろいろと、高度の政治判断でなければ解決できないという問題にも逢着しまして、私なりに走り回ったこと、ここにおられる小野先生野田先生峯山先生、それから柳澤先生承知のとおりであります。それだけに、今度も、早くやりたい、その気持ちはちっとも変わりません。しかし、いろいろ政治の中で解決しなきゃならぬ問題がたくさんあります。政党間のいろいろな話し合いもあります。その中でやはり解決しなきゃならぬということを私も十分知っております。  それだけに、長年お世話になりました参議院先生方に申し上げたいと思いますが、そういうときに玉置和郎は元参議院の仲間として走ってまいりますので、ひとつ余り無理を言わぬように、いいところで解決してほしい。また、衆議院の皆さん方にはこれからお願いしていきますが、参議院に渡すときはもうがらばっかりで肉もついてないというようなことをしないで、多少の肉をつけて演説のできるようにしてほしい。こういうふうに思っておりますので、過去を振り返りまして、自分が担当大臣になって所感の一端を申し上げて、今後の措置について、大実力者後藤田先生がおられますので、そのおりの中に入った、かつてトラであったが今は羊でございますので、いろいろそのときには来ますから、余り無理を言わぬように、よろしく頼みます。  以上申し上げてごあいさつとします。
  18. 岩本政光

    委員長岩本政光君) それでは、玉置総務庁長官、御退席結構でございます。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  19. 野田哲

    野田哲君 ただいま本年の人事院勧告について人事院総裁から御説明があり、そして担当玉置総務庁長官から考え方の表明があったわけでございますが、なかなか、受けとめ方によっていろんな受けとめ方ができるような、極めて含みのある見解であったように思えるわけでありますが、前総務庁長官であり、そして政府給与関係閣僚会議を主宰する後藤田官房長官から、重ねて政府考え方についてお伺いをいたしたいと思います。
  20. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 人事院勧告取り扱いにつきましては、この勧告制度意味合い、それから過去数年にわたる経緯、こういうことを踏まえまして、ただいま担当大臣である玉置総務庁長官の御発言趣旨を尊重して、最大限努力を払って完全実施に努めたい、私はかように考えておるわけでございます。
  21. 野田哲

    野田哲君 重ねて官房長官、後の予定があるようでありますから、またお帰りになってお聞きしたいこともあるのですが、その前にお伺いしておきたいと思うんです。  九月十一日に臨時国会の召集が予定をされている、こういうふうになっているわけであります。そして、秋の臨時国会に向けての補正予算取り扱いをめぐって、先般中曽根総理宮澤大蔵大臣との間で意見交換がされたということが報道をされております。総理考え方としては、何か補正予算を二回提出する、こういう考え方を持っておられるようでありますけれども、宮澤大蔵大臣はこの秋の臨時国会で一回、こういう考え方を持っておられる、こういうことが報道されているわけであります。この補正予算扱い公務員給与扱いというものは関連をしておりますので、そういう点から秋の臨時国会へ向けて予算扱いはどうなるのか、そしてあわせて、この人事院勧告取り扱いについては最終的にいつごろ結論を出されて給与法の改正案並び給与費補正を行われることになるのか、その辺についての取り扱い官房長官からお伺いいたしたいと思います。
  22. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 補正予算臨時国会に出すのか出さぬのかということについて新聞等でいろいろ報ぜられておりますが、総理大蔵大臣との間にどういった具体的な話があったのか私は承知をしておりませんが、私なりの考え方お答えをいたしておきたいと思います。  それは、補正予算というものを仮に出すとするならば、その出す時点において補正要因として考えられるすべてのものを網羅して出すというのが建前であろう、私はかように考えるわけでございます。そこで、仮に補正予算を出さざるを得ないのだということであるとするならば、補正予算項目、規模、こういうものも歳入歳出両面にわたってよく考えなきゃなりません。そういうようなことで取り扱わなきゃなりませんが、今一番問題になっているのは、やはり私は国内の経済問題、つまり内需振興の問題であろうと思います。これについては既に経企大蔵、通産、三省に対して、現在の国内経済にかんがみて、外国からのいろんな御要望もございますが、内需振興についてどう経済対策を進めていくんだ、それに関連しての予算の問題もあるであろう、こういうことの検討を今お願いして、まだ関係各省で詰まっていない段階でございます。  そういうようなことでございますので、果たしてこの臨時国会補正予算を出すような段階になるのかならぬのかということは、今この席で私がお答えをするだけの自信がございません。これらは現時点においてはまだ検討中である、かように御理解を願いたいと思うわけでございます。  そこで、仮に補正予算を出すということになった場合に、御質問の給与勧告に伴う補正をどう考えていくのだ、こういうことでございまするが、これまた、八日に勧告をちょうだいして、第一回、すぐに給与関係閣僚会議を開きました。ところが例年のとおりでして、各閣僚それぞれの所管のお立場がございますから意見がまとまらない。それではということで、引き続いて何回か開きましょうということでお開きにしておるわけでございまして、この取り扱いをめぐってもまだ結論が出ていない。こういうことでございますから、今この段階で、補正予算を仮に出すということになった場合に、必ず出しますとかといったようなことはお答えできませんが、これについては野田さん既に御案内のように、例年扱い一つのタイプがあるわけでございますから、そこらでひとつ賢明な御判断をしておいていただければありがたい。  ただ私は、いずれにせよ完全実施に向けて最大限努力をするつもりでおりますし、同時に職員諸君不安感を与えるということだけは避けたい、かように考えておるわけでございます。
  23. 野田哲

    野田哲君 官房長官予定の時間があるようですから、あとはまたお帰りになってからお伺いいたします。  人事院総裁にお伺いをいたしたいと思うんですが、人事院総裁は八月十二日の勧告に当たって総裁談話を出されています。この総裁談話を見ると、ちょっと腑に落ちないところがあるんです。それは総裁談話の三項目のところでありますけれども、ここ数年、勧告見送り、または一部実施措置がとられたが、昨年、完全実施に向けて進展が図られた、このため職員勤務意欲を一層向上させるなど、好ましい影響をもたらしたと考える、こういうふうに述べておられるわけであります。これは一体どういう意味であるのか。この総裁談話によると、昨年の措置について職員は大変満足しているような印象を受けるんです。職員勤務意欲を去年の措置で一層向上させるなど公務をめぐる環境に好ましい影響をもたらした、こう言っているんです。  昨年の政府措置は、俸給表は確かに勧告どおりであって、今まで二年ばかり続けられたような俸給表を別のものをつくって率を下げる、こういう措置はとられなかったわけでありますけれども、実施時期は三カ月削減をされているわけでありまして、年間のトータルで言えばやはり三カ月の削減が行われたことは疑う余地がないわけであります。これは民間労働者やあるいは一公社四現業と比較をすると、その取り扱いは明らかに不平等であって、国家公務員法の二十八条に言うところの情勢適応原則に外れているわけであります。それを人事院総裁が肯定的な印象を与える、こういう評価をされるということは一体人事院としてはどうであるのか。私は談話のこのくだりは、人事院総裁としては逆に公務員諸君信頼を失うことになるのではないか、こういう印象を受けるわけであります。  人事院の方がこういう見解を持たれれば、先ほど来総務庁長官なり官房長官が述べられましたけれども、政府としてはやはりまだ勧告どおり完全実施ということを明言されていないんです。含みのある見解を述べておられるわけなんです。昨年の措置についてこういう評価人事院がやった場合には、今回の総裁談話でもあるいは勧告の中でも、この勧告を速やかに実施、こういうふうになっておりますが、この勧告実施という意味が、俸給表さえ勧告どおりやっておれば時期は値切ってもいいのだというふうに安易に受けとめられるのではないか、こういう懸念を私は持つわけなんであります。  そういう点からも私は、この総裁談話の第三項のくだりについてはどうも納得できない。談話ということでありますから、そう目くじらを立てることではないじゃないかという向きもあるかもわかりませんが、私はやはり勧告と一緒に出された談話でありますから、総裁基本的な考え方としてこの席でもう一回確かめておきたいと思います。
  24. 内海倫

    説明員内海倫君) ただいまの野田委員の御所見は私も真正面から承りますが、私のこの総裁談話の真意をこの際明らかに申し上げておきたいと存じます。  既に私どもは、人事院勧告意味と、それを完全実施することのいかに重要なものであるかということは、たびたびいろんな機会に、勧告の際における報告において、あるいは談話において、あるいは当国会におきます私の意見の申し上げにおいて触れてきたところでございます。その気持ちにおいては私はいささかも変わっておるものではございません。とりわけ、昨年におけるこの勧告がどう取り扱われるかということにつきましては、私自身としましては衷心深く決意までしたものでございます。文字どおり、私は私の全力を挙げてこれに当たったつもりでおります。  ところで、勧告自身が過去数年にわたって厳しい、あるいは見送り、あるいは抑制というふうな措置を受けました。この影響というものはもう皆さん御存じのとおりでございまして、いかに厳しい影響を与えておったか、職員における士気の沈滞、あるいは労使関係における非常に厳しい条件というものが私どもにもひしひしと感ぜられたわけであります。それがゆえに私どもは、いろいろな形でこの完全実施国会及び政府お願い申し上げてきており、現在もまたそのお願いをいたしておるわけであります。  昨年、そういうふうな空気の中において、おっしゃいますように確かに実施時期のおくれは三カ月もございました。しかしながら、在来数回にわたって行われた見送りあるいは俸給表の手直しというふうなことが行われない。ここで官房長官国会においてもおっしゃっておりました、三年にわたる期間を通じて完全実施にどうしても持ち込みたいということの考えが、やっと昨年の政府あるいは国会の御決定によって出てきた。私も、あるいは私どもの事務当局も、いろいろな公務員の皆さんといろいろな形で接触し、私自身はしばしば第一線の公務員の勤務状況を視察に行き、その現場でいろいろと意見も聞いてみました。また、部外のいろんな皆さん方意見もいろいろ聴取いたしました。その間におきまして、とりわけ公務員の空気の中に、それ以前においてたゆたっておった暗い感じというものが確かに明るくなっておったように私どもは感じ取りました。これはやはり昨年における一歩前進した完全実施への展望が開けたということの結果であろう、こういうふうに私は客観的に看取いたしました。  そういう意味で、そういうことをこの談話においても述べ、願わくは国会及び政府におかれて、公務員のこの期待にどんなことがあってもこたえてほしい。本年における勧告において、あるいは将来における勧告において、この公務員の切実な気持ちにこたえるということがどうしても完全実施ということにおいて行われなければならない。その強い希望あるいは私どもの決意をこういうふうな報告及び談話の中で申し述べておるつもりでございまして、今野田委員のおっしゃいましたようにあるいは受け取られるということは私は甚だ遺憾でございますけれども、私どもの真意を公務員皆さん方にも受け取っていただきたいと思いますし、この委員会の席におきましてもそういう気持ちを強く申し上げたいと思っております。
  25. 野田哲

    野田哲君 政府次官にお伺いをしておきたいと思うんですが、大臣が病気療養中でありますから、大変責任重大だろうと思いますし、私どももこの問題について病院へ押しかけていくわけにいきませんから、これからあなたのところへいろいろ問題を持ち込んでいくことになると思いますので、大臣を代行するという立場で政務次官に御所見を伺っておきたいと思います。
  26. 近岡理一郎

    説明員近岡理一郎君) 人事院勧告制度は、労働基本権制約代償措置一つとして憲法上の評価を与えられているものであるから、総務庁としてはこの勧告制度を尊重し、国政全般との関連を考慮しつつ、勧告完全実施されるよう最大限努力を尽くしてまいりたいと思います。  本年度給与勧告取り扱いについては、今後も財政事情等が引き続き厳しいものと見込まれるが、職員給与改定に関する不安感を払拭するためにも、昨年度官房長官談話でお示ししたような考え方に沿って、国政全般に配慮しつつ検討を進めてまいりたいと思います。
  27. 野田哲

    野田哲君 週休二日制の問題について伺っておきたいと思います。  人事院の方ではこの問題を報告という形で出されているわけでありますが、雰囲気といいますか環境としては、私は今労働時間の短縮という問題についてはもうちょっと強く打ち出してもいいのではないか、こういうふうに考えているわけなんです。  特に、経済摩擦問題の中で、ことしの春出された経済構造調整研究会のいわゆる前川レポート、これは今度政府がこの前川レポートをもとにして経済構造調整推進本部を総理みずから本部長になって進めていく、こういうことになっているわけでありますが、あの前川レポートの中にも 公務と金融が主導で週休二日制の実施へ入っていけ、こういうことまで提言をされておりますし、それから教育問題を審議しているある機関からも、学校についても五日制を考えろというような提言があったということを仄聞しているわけでありますが、そういう状況の中で、報告という扱いになっているのですが、報告で実効が上がるというふうに人事院は考えておられるわけでしょうか。
  28. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 週休二日制の問題につきましては、民間企業における普及状況とか、あるいはまた労働時間短縮をめぐる国際的な環境国内的な環境、今先生がお挙げになりました前川レポート等もその一つでございますが、そういうものを考えますと、公務員週休二日制もこの際前進させる必要があるというふうに考えます。  その際、現在の四週五休制から着実な歩みということを考えますと、やはり四週六休制ということになると思いますが、四週六休制というのはすべての土曜日に半数出勤だということになるわけでございますが、その半数出勤ということにした場合に一体公務運営の状況はどういうふうになるのか、あるいはまた国民生活への影響はどうなるのだ、特に交代制勤務職員等を中心にしてそういうことをこれから実地に即して検討しなければならない。したがって、交代制勤務職員とか少人数職場、少人数職種、そういうものにつきましては、これから実地に即して十分検討し、そして安定的に実施できる四週六休制の姿を把握していく必要がある、そういうものをつくっていく必要がある。そういう意味におきまして、ことしの末からの四週六休制試行というものを申し上げたわけでございます。  したがいまして、先生がお話しになりますように直ちに勧告ということをするには、なお検討すべき問題が残されておるというふうに考えましたので、着実に四週六休制に入っていくためにはこの際試行という段階を含めまして六十二年中の四週六休制の本格実施というふうに考えた方がいいだろうということで、とりあえず報告という形で私たちは提言を申し上げたわけでございますが、政府の方におきましても、この提言を受けまして、私たちの考えている線に沿って最大限努力をしていただけるというふうに我々は考えております。
  29. 野田哲

    野田哲君 実施する立場に立つ総務庁の人事局長は、具体的にいつからどういう形で実施しようと考えておられますか。
  30. 手塚康夫

    説明員(手塚康夫君) ただいま人事院職員局長の答弁にございましたように、国際的に見ても確かに週休二日制は公務員についても推進しなければいけないという認識に我々も立っておりますし、職員の勤務条件がよくなるという観点からも望ましいことであると私どもも考えております。  ただ、片や厳しい財政事情の中で、行財政改革を推し進めている中で、公務員が一種の先導型になります。現に四割強の民間の人たちは、残念ながらまだ月二回以上の週休二日制は行っていないわけでございます。その中でこれを試行であれやっていくとなれば、どうしても条件としてそのために予算、定員はふやさない、そういう条件をつけて試行を行っていきたいと考えているわけです。  人事院の提言を受けまして、早速そういった条件のもとに各省のヒアリングを始めております。そのヒアリングの結果を踏まえて、いつからということを考えたいと思っておりますが、せっかく人事院の方は本年末からと言っておりますので、それを一つの目途にして努力していきたい、そのように考えております。
  31. 野田哲

    野田哲君 人事院勧告関連をして、防衛庁の方にお伺いしておきたいと思います。  この人事院勧告に基づいて一般職給与の引き上げが行われた場合に、防衛庁としては防衛庁の職員、自衛官の給与についてどのように取り扱われていくつもりであるのか、お伺いをいたします。
  32. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) お答えいたします。  防衛庁では、給与取り扱いにつきまして、一般職の例に準じまして定めるということになっております。したがいまして、政府におきます人事院勧告取り扱いが決定されました段階を受けまして、防衛職員給与法の改定を行う作業に入るということでございます。
  33. 野田哲

    野田哲君 二・三一%、これを完全実施するといたしますと所要額は幾らになるわけですか、防衛庁関係。
  34. 池田久克

    説明員(池田久克君) ただいま申し上げましたように、防衛庁の給与改定が実際どうなるかという点については、さらに今後検討しなければいけない要素が多々あろうと思います。しかし、一応今の人事院勧告趣旨判断いたしますと、公安職の低階級のところの改定率が非常に高いように判断されます。したがいまして、自衛官の場合は曹士がこれに該当いたしますので、一般よりも少し高いのじゃないかと思いますが、一体一%で幾らかかるかという点はまだ定かにはわかっておりません。  しかし、今年度予算を編成する際に、仮に一%分を計上するとすれば幾らになるかという計算をしたのがございます。その計算によりますと一%当たり約百四十四億と計算しておりましたので、それに二・三一%を掛けますと三百三十三億かかるという推定ができます。しかし、先ほど申し上げましたように、具体的な俸給表が少し一般職よりも高くなるのじゃないかと思われる要素もありますので、この数字は変わる要素がある、こういうことでございます。
  35. 野田哲

    野田哲君 栗原長官にお伺いいたします。  今度の勧告に横並びで二・三一%の引き上げが実施されるということになると、現在の予算額の三兆三千四百三十五億四千九百万、これに今説明のありました二・三一%の所要見込み額として三百三十三億を上積みする、単純にそういうふうに取り扱っていけば、GNPの一%以内という従来の歴代政府が守ってきた制約というものを超えてしまうことになるわけでありますが、何か最近の報道を見ると、意識的に人事院勧告実施することをチャンスにして一%を踏み越える口実にしているのではないか。こういう印象を受けるわけであります。  この関係について、今まで何回か、給与改定をやれば一%を超える、それを一%内におさめるために装備費その他所要の経費を節減するとか、あるいはあるときは瞬間的に超えたことがあるわけですけれどもGNPが膨らんでいった、そういうようなこともあって一応それなりに守る努力をされてきているわけですが、まさか栗原長官のときにこんなことを口実にして踏み越えてしまう、そんなことはなさらないと私は思う。一%問題については別の角度でしっかり議論しなければいけないので、単純に、給与費でございますからこうなりました、こういうふうに扱われる問題ではないと思うのですが、お考えはいかがですか。
  36. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) この問題、何か私が意図的にこれを機に一%を突破することを企図しているというような印象をお持ちのようでございますが、私はさらさらそういう意図的なことはございません。ただ、若干申し上げますと、今までの論議の中で例えば新聞社の方々とのインタビューあるいはその他の会合等で問題になりますのは、防衛計画の大綱水準を達成する方が先なのか、あるいは一%を守ることの方が根本なのか、そういう議論がある。それに対して私の所見を述べる、あるいは一%を超えると軍事大国になるのではないか、一%以下であれば軍事大国にならぬというような趣旨のいろいろの御議論がありましたので、それに基づいて私も所見を申し上げたということでございまして、意識的に一%を突破するための伏線をするなどという、そういうことは私は元来性格的にできないわけであります。  この一%問題と人勧の問題でございますが、ただいま局長からもお話をいたしましたとおり、一般職給与改定に伴って防衛庁の職員をどうするかということになりますが、この政府取り扱いがまだ決まっていないという現状でございます。しかもGNPがどうなるかということも定かではございませんので、今の段階でこの点について、仮定の計算はできますけれども、この一%を突破してどうのこうの、あるいはその中身がどうのこうのということを私どもが申し上げる段階ではないと思います。ただ、基本的には三木内閣のときの防衛費に関する閣議決定、これは守ってまいりたい、こういうふうに思っております。
  37. 野田哲

    野田哲君 一%は優に守れる、給与改定を二・三一%やっても守れるはずだということについて、数字の上で私は確かめておきたいと思うんです。  きょうの新聞でも昭和六十二年度予算の要求についての報道が大きくされているわけでありますけれども、昭和六十二年度予算の要求の中では円とドルのレート、これは幾らで計算をされておられるわけですか。
  38. 池田久克

    説明員(池田久克君) ドルのレートでございますけれども、これは御承知のように支出官レートで運用いたしておりまして、この支出官レートは六十一年度は一ドルにつき二百九円でございましたが、来年度は百七十円で要求を組み立てております。
  39. 野田哲

    野田哲君 百七十円というのはかなりこれは安く見ているわけですね、六十二年度。これは大分サバを読んでいるね。  そこで、六十一年度は二百九円で見込んでいるということでありますけれども、アメリカから調達する装備、これは正面装備で千六百三十億円、その他で六百七十五億円、合わせて二千三百五億円アメリカから調達をする装備費があると思うんですが、そういうことで間違いないですね。
  40. 池田久克

    説明員(池田久克君) 合わせて二千三百五億、これはドル以外の外貨を含めた全体の為替の対象額でございます。  アメリカのドルの関係について今先生の御指摘の数字を申し上げますと、六十一年度につきましては正面で千四百九十七億、後方で六百七十一億、締めて二千百六十八億がそのうちドル分でございます。
  41. 野田哲

    野田哲君 四月以降の状況でいくと昭和六十一年度は平均すると大体百六十円ぐらいで円の相場というものが考えられるのではないか、こういうふうに思うわけです。そういたしますと五百億以上の余裕が出てくる、こういうことになるんですね、どうでしょうか。
  42. 池田久克

    説明員(池田久克君) せっかくの機会でございますので我々のドル建ての支払いの状況についてちょっと御説明を申し上げたいと思います。  ただいま申し上げました米ドル関係で六十一年度は二千百六十八億円でございますが、これは大別して三つの支払い形式がございます。  第一はFMSと申しまして、日本政府がアメリカ政府から直接買うものでございます。これはどういう支払いかと申しますと、既に決まりました支出官レートで我々は日本銀行に支払います。日本銀行が実勢レートで米政府に支払います。したがいまして、そこで金が余れば、それはいずれ日本銀行から大蔵省の方へ戻入されることになるはずであります。また逆に、円安になれば日本銀行が我々のかわりに差額を立てかえてくれる、こういう仕組みになっておりますので、支出官レートが変わらない以上動かない、こういう性格でございます、防衛庁としては。  第二の問題は一般輸入でございます。これは防衛庁がいわゆる商社を経由いたしましてアメリカから買うものでございます。これは原則として実勢レートを基本にいたしますが、何せ相手のあることでございますから、そこにネゴの要素が出てまいります。しかし、基本的には実勢レートを基礎に支払いを検討してまいります。  第三の問題は国産品中の輸入でございます。これはどういうことかと申しますと、うちが例えば飛行機とか船を会社に発注いたします。そうすると会社は、その部品とか材料とか、そういうものをアメリカから買います。したがいまして、外国には会社が払う、こういう仕組みになっております。これは基本的には支出官レートを基礎にして会社と一括契約をしておりまして、それは数年にわたりますから、事後に精算する過程で、どの段階でどれだけのドルレートで払ったかということを個々に精算して支払ってまいります。  いずれにいたしましても、こういう形態でございますから、原則として為替建てのものにつきましては特約条項を契約に付しておりまして、もしそこで差益が出たらそれはいただく、召し上げる、こういう特約条項をやっておりますので、防衛庁としては、差益が出たからといって業者や外国政府が不当な利益を得るということがないようにやっております。  問題は、いつどう出るかということでございますが、FMSについては、防衛庁として出ないということは御理解いただけると思います。輸入につきましては、その都度精算してまいりまして、そこで決着がつきます。出れば不用の段階で出てくるわけでございます。国産品中の輸入は、今申し上げましたように数年かかりますので、特に例えば四、五年の発注をいたしますと材料の手だては先行してまいります。例えば、今年度納入される飛行機の分につきましても、その材料はかなり円安の段階で手配せざるを得ないものがあった。だからといって、それを今の実勢で払ったのではこれは商売が成り立ちませんから、それを詳細に精査してまいりますので、今先生が御指摘のように、二千百億にぶっかけて五百と、こういうふうには出てこない、こういう仕組みになっております。
  43. 野田哲

    野田哲君 防衛庁の予算としては戻ってこないという分野があるとしても、国庫としての扱いから言えば、やはり二百九円で見込んでいることに対して、今の実勢で言えば百五十円台、百六十円を上回る、こういう状況になっているわけでありますから、かなり余裕があることはもう間違いないわけですよね。  燃料の方は六百八十三億、こういうことだと思うんですが、原油の値下がりでこれもかなり余裕が生まれてくる、こういうふうに思うわけですが、これは大体どのぐらい余裕が出てきますか。
  44. 池田久克

    説明員(池田久克君) 油の話でございますが、先ほどの為替の話にいたしましても、仮に日銀でどのくらい余るかという点については、油も同じでありますけれども、これはその年度においてドルレートが変動いたしますし、油の値段も変動いたします。したがいまして、初めから相当出るという、この六十一年全体を決めてかかるわけにはいかない。今申し上げましたように、一年間でどれだけ余るかということについては、定かな数字は申し上げられない状況なんであります。確かに今は油の値段が下がっている、ドルも安いということは事実であります。しかし、まだ六十一年全体でどうなるか、これはわかりませんので、今この段階でどれだけ余るはずだというようなことを申し上げる状況には我々ないわけでございます。御理解をいただきたいと思います。
  45. 野田哲

    野田哲君 いろいろ予防線を張ってあいまいな説明をされているわけだけれども、余裕があることはもう間違いないんだし、私もちゃんと、こういう質問をするからそれに対して説明をしてもらいたい、こういう通告をしていたわけだから、余り予防線を張らないでちゃんと答えてもらいたいと思うんだが、もうこれ以上この問題には触れませんが、装備や燃料の問題一つをとってみても、円高によって、あるいは原油の値下がりによって相当の余裕が生じている。だから、今回の給与改定一つ機会として一%問題を踏み越えてしまう、こういうようなことを考える必要はないということだけ私どもは申し上げておきたいと思います。  ニュージャージーの問題についてお伺いをいたしたいと思いますが、まず外務省にお伺いをいたしたいと思います。  今、日本に来ているアメリカ海軍のニュージャージー、ロングビーチ、メリル、この軍艦がアメリカの母港を出港してから日本に今立ち寄っているまでの行動の経過、それから、これから日本を出発してからどこへ行ってどういう行動をやろうとしているのか、これについてどういう連絡を受けているかお伺いいたしたいと思います。
  46. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) お答え申し上げます。  委員御存じのとおり、米艦船の運用の一々につきまして日本政府といたしましてその詳細を承知する立場にございませんが、ニュージャージーにつきましては本年春から西太平洋に展開して、韓国それからフィリピン、タイに寄港している旨公表されております。  それから、今後どのような行動をとるかということにつきましては、九月二日に佐世保を出港するということはわかっておりますけれども、その後のことにつきましては、将来の計画として米軍といたしましてこれを一々明らかにする立場にないし、日本政府としてもそれを承知し、それを明らかにする立場にございません。
  47. 野田哲

    野田哲君 北米局長ね、これは新聞にもうずっと図面まで添えて経路、寄港地、その日付が報道されているんだけれども、そこまで新聞に報道されていてもあなたの方はこの席では、そういうことは知る立場にないということで明らかにできないんですか。
  48. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) 今までニュージャージーがどこを通ってきたか、新聞で地図入りで日付まで書いてあるということは存じております。それからさらに、今後のことにつきましては先ほど申しましたとおりでございます。  今までの点につきまして、そのような行動であったかどうかということについて、日本政府としてこのような場で申し上げる立場にないということを申し上げたわけでございますけれども、従来の行動につきましては、先ほど申しましたように、韓国、フィリピン、タイに立ち寄ったということは間違いないということでございます。
  49. 野田哲

    野田哲君 防衛庁にこのニュージャージーのことでお伺いをしたいわけですが、最近発表された防衛白書、これを読むと、冒頭で世界の軍事情勢が説明をされているわけですが、この中でソ連の軍事力の増強、それからそれに対するアメリカの対応努力が述べられているわけですけれども、この説明の中でアメリカの核戦力の説明がしてあるわけです。  このアメリカの核戦力の説明の中で、「一部艦艇において対地用核弾頭搭載トマホーク巡航ミサイルが運用可能となっている。」、こういうふうにアメリカの核戦力として記載をされているわけですね。この「一部艦艇」というのは、これはニュージャージー等復役艦等が含まれていることはもう明らかなんですが、こういうふうに述べておきながら、そのトマホーク巡航ミサイルを搭載するために大改修を行った復役戦艦のニュージャージーについては、その次の項で「通常戦力」として記述をしているわけなんです。いかにもこれは、ニュージャージーが日本に寄港するときと前後して発表された防衛白書の中で、ニュージャージーがアメリカの核戦力として核弾頭搭載トマホーク巡航ミサイル、これを搭載しているということはもうはっきりしているんだけれども、そこのくだりでは「一部艦艇」、こういうことで名前を明らかにしないで、そして殊さらに「通常戦力」のところでニュージャージーを取り上げている。これはもう明らかに、国民に対して誤った認識を持たせる意識的な記述ではないかと思うんです。ニュージャージーこそが、「対地用核弾頭搭載トマホーク巡航ミサイルが運用可能となっている。」という「核戦力」のところで評価されているそのものじゃないんですか。どうしてこういう記述になったんですか。
  50. 瀬木博基

    説明員(瀬木博基君) ただいまお尋ねの防衛白書の記述についてお答え申し上げます。  防衛白書におきましては、米国の核戦力というものといたしまして戦略核戦力、いわゆる三本柱、すなわちICBM、SLBM並びに戦略爆撃機戦力というものを記述したことに加えまして、最近開発されましたところの対地用核弾頭搭載のトマホークについて記載したものでございます。他方、通常戦力というものにつきましては、通常戦闘遂行能力を有する装備というものについて記載したわけでございます。  この戦力をどういうふうに分類するかということはいろいろな考え方があるかと思いますが、私どもとしては以上申し上げたような形で記載したわけでございますが、ちなみにアメリカの統合参謀本部が出しておりますところの軍事態勢報告というものを見ましても、私どもただいま申し上げました防衛庁の分類と同様な形で分類をいたしております。
  51. 野田哲

    野田哲君 その問題で押し問答はもうこれ以上申し上げませんが、栗原長官とそれから後藤田官房長官にお伺いしたいのですが、政府の方ではこのニュージャージー、今佐世保に入っているわけですが、これには核弾頭は搭載をされていない、こういうふうに認識をされているんですか。
  52. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 政府といたしましては、核弾頭を搭載しておれば当然私は事前協議があるはずだというふうに理解をいたしております。その事前協議がございませんし、私どもとしては核の持ち込みはない、かように理解をしておるわけでございます。
  53. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 官房長官と同意見であります。
  54. 野田哲

    野田哲君 外務省の方にお伺いいたしたいと思うんですが、まず、八五年三月十三日のアメリカの下院の軍事委員会核システム小委員会の議事録があると思うんですが、ページ五百五の中段のところ、ストラットン議員の質問とそれからホステットラー提督、この人の証言があるわけでありますけれども、このホステットラー提督の証言の後段の部分のところを日本語で読んでください。
  55. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) 八五年三月十三日のホステットラー発言の、五百五ページにございます後段というのは多分この点かと思います。  それは、ベイルート展開時、ニュージャージーにはTASM、TLAM—Cが配備されていた、核弾頭トマホークは搭載されていなかった、現在アイオワ及びニュージャージーの両戦艦はトマホークを搭載している。——これは「削除」のところがございます。これらトマホークが厳しい環境のもとで弾薬庫の中でいかに持ちこたえるかを知ることを希望しているところであるが、これらの戦艦は要すればそのような「削除」を発射する能力を完全に備えている。  こういうくだりがございます。
  56. 野田哲

    野田哲君 今の議事録ですが、現在ではアイオワとニュージャージーの両戦艦とも——ここで「削除」、ディリーテッドですね。トマホークを——また「削除」、積載しています、我々はこれらミサイルが弾薬庫の中で環境のストレスにどのように耐えるかを知りたいと考えています、しかしこれらの艦は、必要性が生じるならばこれらの「削除」を発射する十分な能力を持っています。  こういうことで、証言が三カ所削除されていますね。この削除されていることこそ、これは核の存在を私は逆に示しているんじゃないか、こういうふうに思うわけなんです。  だから、削除されたところは、最初のところはこれは「ニュークリア」という字句を入れるとぴたっとつながるわけです。そして二番目のところは「オールウエーズ」、そして三番目の削除されたところは「ニュークリアミサイル」、こういうふうに入れていくと、これは週刊誌のクイズみたいなことですけれども、ちゃんとつながるわけで、そうなるとこの証言がどういうことになるかといいますと、「現在では、アイオワとニュージャージーの両戦艦とも、核トマホークをいつも積載しています。われわれは、それらミサイルが弾薬庫の中で環境のストレスにどのように耐えるかを知りたいと考えています。しかしこれらの艦は、必要性が生じるならばこれらの核ミサイルを発射する十分な能力をもっています。」と、こういうふうにつながってくるわけです。  防衛庁長官、今のこのアメリカの下院での証言、私がそれにちょっと説明、コメントを入れて述べたことについてどういうふうにお感じになりますか。
  57. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) この点につきましては、委員御存じのとおり、アメリカ政府は、一つは核兵器の存在がどこにあるかということを明らかにしないという政策がございますけれども、それとは全く別に、トマホークにつきまして核トマホークが搭載される能力を付与されているかどうかということについても特定の艦船ごとには明らかにしていないというのが従来の政策でございます。  この点につきましてはニュージャージーについても例外ではございませんで、ニュージャージーにつきましては、これがトマホークの能力を付与されたそもそも最初の艦船でございまして、最初通常型のトマホークの能力が付与されたことについては公表しておりますけれども、その後核トマホークが付与されたかどうか、これは艦級については明らかにしておりますけれども、ニュージャージーを含めまして特定の艦船について付与されたかどうかということについては明らかにしていないということでございまして、多分この証言についての削除もそのためかと推測するわけでございます。  したがいまして、ニュージャージーに核トマホーク搭載能力が付与された可能性というものは非常に高いということは、委員の御指摘等からもいろいろな文書からも言えるかと思いますけれども、従来から政府が繰り返し答弁申し上げていますとおり、核トマホーク搭載能力が付与されたかどうか、仮にされたといたしましても、それと、それから現実に核弾頭、核トマホークを所持して日本の港に入ってくるということとは別のことであるということは、累次繰り返し御答弁申し上げているとおりでございます。
  58. 野田哲

    野田哲君 これはそういう説明では、私はやはり国民も核がないということは信用できないと思うんですよ。  二月七日のアメリカの下院の軍事委員会の議事録をお持ちですか。こういうふうに書いてありますよ。七百七十五ページで、「昨年(一九八四年)、われわれは戦域核抑止力のために核弾頭を装備されたトマホーク海上発射巡航ミサイルの配備を開始した。これらは、われわれの攻撃型潜水艦、駆逐艦および復役した戦艦」、復役した戦艦というのがニュージャージーですね、ほかにもありますが。「復役した戦艦において、現在作戦可能な状態にある。」、こういうふうにレーマン海軍長官の声明が載せられているわけですが、そのとおりですね。お持ちですか。
  59. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) ただいま御指摘になりましたのは、去年二月七日、米下院軍事委員会におきましてのレーマン海軍長官発言かと存じます。  レーマン海軍長官は、昨年戦域核抑止のため核弾頭搭載のトマホーク海上発射巡航ミサイルの展開を始めた、トマホークは今や攻撃型潜水艦、巡洋艦、駆逐艦及び再就役戦艦で運用可能である、というふうに述べております。これは先ほど申し上げましたように、核弾頭搭載のトマホークが運用可能である、その能力を付与したということでございます。
  60. 野田哲

    野田哲君 それでは、なお私は議事録から伺いたいと思うのですが、一九八五年三月八日の上院の軍事委員会戦略戦域核戦力小委員会でのホステットラー提督の証言でありますけれども、クァイル議員という人の質問に答えて、「現在の巡航ミサイルは、現場で保守するようには設計されなかったもので、高度に複雑な運搬手段である。個々のミサイルは、工場を出る前に完全にテストされ、発射されるまで、または三十ないし三十六カ月を経て再点検のために回送されるまで、手を加えられないままである。この間、ミサイルは艦内にあって、電気的接続が維持される。」、こういうことで、一回搭載をしたら三十ないし三十六カ月は艦内で電気を接続したまま維持されているんだ、こういうふうな証言もあるわけです。  こういう点からして、栗原長官や後藤田長官は、核弾頭はないはずだ、もし核弾頭があるのであれば事前協議をしてくるはずだ、こうおっしゃっているのですが、アメリカ議会における海軍のそれぞれの担当の部長や提督の証言からすると、そして今度のニュージャージーの行動を見ると、春にアメリカを出航してからずっと西太平洋を行動して八月二十四日に佐世保に入った。もし積んでいないとするのであればどこかへおろしたことになるんです。シャム湾へおろしたんですか、それともフィリピンのスービックにおろしたのか、こういうことになるわけでありますけれども、このホステットラーの証言の中では、積みおろしについてはこれはもう大変な技術者が必要であるし、設備が必要であるということで、そう簡単にどこででもできないんだ、こういう証言もあるわけであります。  しかし、あなた方の説明によると、どこかにおろして日本に来たんだ、こうなるわけですが、そんな非常識なことが納得できるでしょうか。いかがですか、栗原長官
  61. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) ただいまの委員の御指摘の点でございますけれども、委員の前提は、ニュージャージーがアメリカ出航時に核弾頭つきのトマホークを現実に積んできてそれは途中でおろせない、こういうことでございますけれども、これにつきまして日本政府としては、事前協議制度のもとでのアメリカの態度ということで、アメリカが日本の港に持ち込んでいないということを確信しているわけでございますが、今の委員の御指摘の点につきましては、第一点といたしましては、累次アメリカ政府が指摘しておりますように、トマホークというものはそもそもその中心、大部分はいわゆるコンベンショナル、通常の弾頭でございます。一部に核つきのトマホークがあるということでございまして、この点はアメリカのしばしば強調しているところでございます。それが第一点でございます。  それから第二点は、先ほど委員が御指摘になりました昨年三月八日のホステットラーの証言でございますが、その中におきましても委員御指摘の部分の前には、コストがかかることになるということを触れておること。さらに、今の委員御指摘の部分の後には、沿岸配置の兵たん部でのみ取りかえはなし得ることだということで、艦艇上でミサイルの型を変更するということはトマホークに関しては想定されていないという記述がございまして、これは一たんそれで核搭戦のトマホークを仮に積み込んで出航したといたしましても、それ以降全く転換が不可能であるということを述べているわけではございません。
  62. 野田哲

    野田哲君 栗原長官ね、あなたは近くアメリカへ行かれるんだし、日本の防衛問題については総理に次ぐ責任者なんですから、今回のニュージャージーのこの寄港について、私はアメリカの議会でいろいろニュージャージーに関すること、巡航ミサイルに関することについて証言をされていることを、原文を全部取り寄せてそして質問しているわけなんです。  その証言によると、復役戦艦には核ミサイルを、核弾頭つきのトマホークを搭載した、こういう証言があるわけです。削除されておるところこそ私は核の存在を示すから削除したものだ、こういうふうに見ているわけなんです。そしてこれは、一たん積んだ場合は三十カ月ないし三十六カ月はおろさない、艦内で電気系統に接続したままずっと置いておくんだ、こう言っているわけですよ。そしてことしの春出航してから、この核弾頭の積みおろしができる設備や技術者を持ったところへ立ち寄った形跡はないわけです。そうすると、どう見てもこれは搭載したまま佐世保に来ている、あるいは横須賀や呉に来ている、こう言わざるを得ないじゃないですか。  それを、あなた方の方は、積んでおれば事前協議があるはずだということで、アメリカを信じなさい、これだけなんですよ。これで国民を納得させることができるんですか。少なくともこのアメリカでの証言に対して、これを打ち消すだけの具体的な、こうだから核弾頭は搭載をされていないんだ、こういうものがなければ、これだけアメリカの証言があるんですから納得できませんよ。何か否定できるものが具体的にありますか。アメリカを信じる以外にないんだ、これでは私は納得できないと思うんですが、栗原長官いかがですか。——これは大臣に聞いているんですよ、栗原さん。
  63. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) この問題につきましては、政府としては外務省を中心としていろいろお答えをしておる。私がここで自分の私見を申し上げるということは適当でない、こう考えます。
  64. 野田哲

    野田哲君 官房長官、いかがですか。
  65. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 先ほどお答えをしましたように、事前協議の対象になっておる、その事前協議がないわけでございますから持ち込まれていない、かように私は確信をしておるわけでございます。
  66. 野田哲

    野田哲君 いや私は、信じなさいだけでは信じられないから、このアメリカの議会での証言を打ち消すだけの何か具体的な説明資料がありますか、こう伺っているんです。
  67. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) この点につきましては、累次政府が述べているところでございますけれども、安保条約の六条の実施に関する交換公文におきまして事前協議の対象とされている「同軍隊の装備における重要な変更」ということ、これは核弾頭及び中・長距離ミサイルの持ち込みであるということが藤山・マッカーサー口頭了解で行われているということでございまして、その「同軍隊」ということは、アメリカのいわゆる在日米軍、日本に駐留している米軍のみならず、我が国の施設区域を一時的に使用している軍隊、それから日本に寄港する、領海、領空を通過する米軍ということは明確でございまして、したがいまして、アメリカが核を日本に、艦船によるものでございましても、持ち込む場合には事前協議を行う義務が条約上あるわけでございます。  したがいまして、アメリカが条約上の義務を履行するということは、安保条約のような相互の信頼関係を最も大事とする条約におきましてはその基本でございますが、ニュージャージーにつきましては、これにつきまして国会でのいろいろな議論もございましたし、トマホークの能力を付与された最初の艦船ということもございまして、去る八月十六日に、倉成外務大臣はマンスフィールド大使を招致いたしまして、日本国民の核兵器に関する特別な感情を紹介し、日本は非核三原則を堅持するということ、それから米国政府が事前協議の枠組みの中で核持ち込みの許可を求めてきた場合には、政府としては非核三原則に従って対処するということ、それから戦艦ニュージャージーの本邦寄港についても、日本政府としては安保条約及びその関連規定に従って厳格に対処するということを述べました。  これに対してマンスフィールド大使は、米政府は核兵器に関する日本国民の特別の感情を十分理解している、また、核の存在につき肯定も否定もしないというのが米政府の一貫した政策であるということを指摘しながら、米政府としては安保条約及びその関連取り決めに基づく日本に対する義務を誠実に履行していくということを述べたわけでございます。  これだけ日本政府とアメリカ政府の間で話し合いを行っている問題でございまして、その信頼というものは安保条約の非常に根本にかかわる問題でございまして、アメリカ政府が事前協議を行ってこない以上、核トマホークをニュージャージーが搭載して日本の港に入ってはいないということを確信する次第でございます。
  68. 野田哲

    野田哲君 アメリカの国会での証言の議事録からも具体的なところは削除してしまう、そういうことで核の存在については明らかにしない。こういう立場をとっているアメリカが、この問題を事前協議に持ち込んでくるはずはないと常識的に思うんですよ。これはもうまさに虚構な交換公文ということになると思うんです。しかし世間では、木村俊夫元外務大臣が、いつまでも虚構を続けていてもしようがないからこの通過については認めるということを合意しようじゃないか、こういうことを政府としては考えたこともあるのだということを漏らしておられたということも最近大きく報道されておりますが、あれは田中内閣のときですね。後藤田官房長官はその中枢におられた。それからアメリカの元駐日大使とかあるいは高官の、通過、立ち寄りについては核を搭載したままでも了解をするという内々の合意があるのだということがいろいろ報道をされているわけでありますから、事前協議がないから核はないのだという通り一遍のことでは国民を納得させる誠実な態度ではない、こういうふうに私は申し上げておきたいと思うんです。  機会を改めて、またさらに具体的な資料をもって、私はこの問題は政府見解伺いたいと思うんです。  官房長官伺いたいのは、SDIへの参加問題について、政府は寄り寄り関係閣僚の協議を続けられている、そして何か近々九月早々にも結論を出すということで、九月早々に結論を出すことは、栗原長官がアメリカへ行くのでそれのスペシャル何とかだ、特別の土産だ、こういう報道もあるわけでありますが、大体どういう協議を続けられて、いつこの問題にどういう結論を出そうとなさっているのか、官房長官から伺いたいと思うんです。
  69. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) SDIの問題につきましては、官房長官が座長になりまして随時関係の閣僚検討会を開きまして、専門家からいろいろ説明を聞き、そして同時に各閣僚から御意見等も拝聴して今日に至っておりますが、過去四回そういった会合を開いたわけでございます。中身は一々申し上げるわけにはいきませんが、いずれにせよ、技術面あるいは戦略面あるいは制度面、こういったような観点からの説明を聞き、意見を交換しておる、こういうことでございます。  ただ、途中で内閣がかわったものですから閣僚がかわりましたので、私どもは大体この付近で何とか右左の一応の見解とでもいいますか、考え方がおおよそ煮詰まっていくのかなと思っておったんですが、そういうわけにまいりません、閣僚が新しくなりましたから。そういうようなことで、余りいつまでもこれは実は引っ張っていくべき筋合いの問題ではない、右左の考え方というものはしかるべき時期には決めなきゃならぬ、こう座長としては考えておりますが、現時点でまだいつ決めるというところまでは、決めるといいますか、煮詰まるというところまではいっていないと申し上げるのが正確であろう、こう思います。  いわんや、これは極めて重要な問題でございますから、栗原長官が九月の二日ごろからアメリカに行かれることは承知をしておりますが、御質問のようなことを考えておるということは一切これはございません。これははっきりとお答えをいたしておきたい、かように思います。
  70. 野田哲

    野田哲君 SDI官民合同調査団というのが、四月二十三日に報告書を出されているわけです。この調査報告の「SDI研究計画の位置付け」というところ、これは非常にわかりにくい。殊さらにわかりにくく書いてあるのだろうと思うんですが、「SDIは、防衛システムの開発・配備そのものに関する計画ではなく、多岐にわたる基礎研究の実施及び関連技術の実現性の確認を目的とする多数のプログラムからなる研究計画である。」と、研究と開発は別なんだというような、こじつけたようなことが書いてあるわけです。  そして、この報告を見ると、「適切な形でその成果を利用し得る方法でSDI研究計画に参加することとなれば、我が国の関連技術水準の向上にも大きな影響を及ぼす可能性がある」、こういうことで、大体この報告書は研究参加、こういう方向で書かれているように思います。そして、これに参加をすることによって日本においても技術水準に大きな影響をもたらす、こういうふうに結論づけられているわけです。  最近のアメリカの議会での扱いを見ると、研究の成果はアメリカに帰属するということと、それからアメリカに同種の技術を持った企業があれば外国からの企業は断る、こういうような法律の修正が行われるなど、春ごろ官民合同調査団が行かれたときの報告書に記述されていることと大分雲行きが変わってきているのじゃないかと思うんですが、この点はいかがですか。
  71. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) まず、委員御指摘の第一点でございますが、「SDI研究計画の位置付け」につきましてでございますが、この報告書はもちろん政府意見ではございません。あくまで官民合同調査団の報告書でございますが、ここに書いてありますことは、世上SDIと言いますと、アニメなどでいかにも宇宙に物が配備されているというようなイメージを持つわけでございますが、SDIというのは研究計画であるということ、これはアメリカの大統領以下が累次表明している点でございます。その研究計画というのは、SDIというような構想が可能になるであろうか、現実に技術的に可能であるかどうかということを将来一九九〇年代に判断をするような材料を技術的に提供する研究計画である、それがSDIというものであるということを明確に述べたものでございます。  それから、委員御指摘の点でございますが、これは、委員の御指摘は、ことしの八月九日、上院でいわゆるグレン修正案というものが可決されたことを御指摘かと思います。それは、ことしの八月九日に一九八七会計年度国防予算授権法案に対しまして、SDIにかかわる契約事業が米国企業によって適切に実施することができない旨を国防長官が議会に証明しない限り、原則として当該契約を外国企業に与えてはいけないという修正案がくっついたということでございます。ただ、その後下院ではこの趣旨の修正案は通っておりませんので、今後は上下両院の協議会でこれが話し合われていくことになると思います。  なお、アメリカ政府はこれに対して非常に強く反発しておりますので、今後どういうふうになりますかこれはアメリカ議会のことでございますのでわかりませんけれども、法案が通ったということではございませんし、他国の企業の参加ということをクローズしたものであるというふうには考えません。  以上でございます。
  72. 野田哲

    野田哲君 官房長官にお伺いいたします。  関係閣僚会議の中では、宇宙の平和利用ということについての国会決議との関連について検討をされて、新聞の報道による限りは、平和目的に限るこの国会決議については、アメリカが主体的にやっていることに参加をするので、国会決議は日本がやる場合のことを対象にしているのだから関係はないというふうな見解に立っている、こういう報道があるわけですが、そういうことなんですか。
  73. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まさに閣僚意見交換の場での制度面の問題点一つは、やはり今野田さんがおっしゃった国会決議との関連の問題でございます。その中でまだ結論は出ておりません。おりませんが、確かに私は、これは開発、配備の問題でなくて研究計画そのものへどう対応するかという問題でもあるし、しかも、これはアメリカ自身がおやりになる、それに対して日本として、将来の技術の発展、いろいろな面を考慮して参加するのがいいのか悪いのか、こういうことをやっているわけですから、今御質問でおっしゃったような解釈の仕方、これは私は有力な一つ考え方であろうと思いますが、まだ結論は得ていない、かように申し上げておきたいと思います。
  74. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 野田君、時間が来ました。
  75. 野田哲

    野田哲君 一言。  そういう解釈に立てば、非核三原則とかいろいろ国会で国として守るべき基本的に重要な方針を決めているわけですが、アメリカとの関係において、アメリカがやることに参加するんだから、これは日本でやることじゃないのだから関係がないということになれば、これは核の問題だって空洞化してしまうことになるのじゃないか。こういう懸念を持たざるを得ないと思うので、これは私どもはどうしても納得できないので慎重に考えていただきたい、こういうふうに思います。  終わります。
  76. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ─────・─────    午後一時二十分開会
  77. 岩本政光

    委員長岩本政光君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  78. 永野茂門

    ○永野茂門君 最初に、靖国神社公式参拝問題について官房長官にお尋ねいたします。  昨年八月十五日に内閣総理大臣は靖国神社に公式参拝され、戦没者を追悼し、そして平和への決意を新たにされました。このことは、遺族はもちろん多くの国民、私のかつての同僚であります自衛隊員も含みまして同様でありましたけれども、喜んだことでございまして、本年もそれを強く期待していたことは長官も十分御理解のことだと推察いたします。  でありましたけれども、本年はそれが行われなかったことはまことに遺憾なことに感じます。  本件につきまして官房長官は、八月十四日の談話あるいは衆議院の内閣委員会等で、近隣諸国の国民の間にA級戦犯に対して礼拝したのではないかとの批判を生んで、我が国の反省と決意に対する誤解と不信さえ生まれるおそれがあるので、国際関係を重視して近隣諸国の国民感情にも配慮しなければならないので本年は差し控えることとしたと理由を開陳されておりますが、中国でございますとかあるいは韓国等、近隣諸国にこの種の批判が生じて以来、政府はその誤解を解くためにどのような努力をなされたのでありましょうか。また、この誤解はいわゆるA級戦犯合祀について何らかの措置をしなければ解けそうにないと考えられたのでありましょうか。これらを含んで、さらに公式参拝差し控えの理由をお聞かせいただきたいと存じます。まず、理由をお願いいたします。
  79. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 靖国神社のいわゆる公式参拝の問題につきましては、御承知のとおりに随分長い間遺族会の皆様方の強い御要望、あるいは地方団体、都道府県、市町村の議会等の決議等も数多く出されておりましたし、あるいはまた世論調査等を見ましても、国民の多くの方々にやはりこのいわゆる靖国神社への公式参拝を行ってもらいたい、こういう強い御要望があったことは事実でございます。そこらを受けまして、当時自由民主党においても総務会の決議等をもって公式参拝をやるべし、こういうことになったわけでございますが、政府はそれらの各方面の強い要望を受けまして一年間官房長官のもとで靖国懇なる懇談会を開きまして、各方面の学識経験を持っていらっしゃる方々に、この問題をどう考えるのが適当であろうかといったようなことで御意見の開陳を願っておったわけでございます。  そういった靖国懇の御意見をも踏まえながら政府みずからの判断で、昨年はたまたま戦後四十周年という節目の年でもございますし、総理大臣の公式参拝ということに踏み切ったわけでございます。  この間政府としましては、問題はこれは日本の内政問題でございますから諸外国に対して了承を得なければならぬとかいった筋合いのものではございません。ございませんが、やはり問題が問題でございますので、外交当局としては、今回公式参拝をする、しかしそれは日本が特別な、何といいますか、世間で言われるようなことではなくて、あくまでも戦没者を追悼しそして平和を祈念する、こういう意味合いから、そして同時に、国民の大多数がそういった参拝の場所としては靖国神社を望んでおるといったようなことを背景に実行するものであるということの説明はしておったわけでございます。  そこで先般、衆議院の委員会での質疑も同じようなことがございまして、多少私の舌足らずの答弁であったと思いますが、そういう相手方に日本政府の真意というものを説明するという努力はしたわけでございます。我々としてはそれで実行したわけでございますが、思いのほかに厳しいアジア各国の反応があったわけでございます。その中心は何かと言えば、やはりA級戦犯の合祀問題についての点が一番のネックだと私どもは理解をしております。といいますのは、あの私の談話の中にございますように、一緒に合祀してあるからA級戦犯にもお参りをしているのだといったような誤解を生みまして、政府としては個々の祭神とは関係なしに、靖国神社に合祀せられておる方々一般という意味において追悼の誠をささげ、平和を祈念する、こういうことでやってきたわけですけれども、その点についてのやや誤解を生んで、ひいてはその結果、国交回復であるとかあるいは平和友好条約であるとかといったような際の、日本側と相手方との合意している過去の大戦についての日本としては反省の上に立って将来の平和国家を築いていくんだといった事柄自身についてまで、疑念を生ずるおそれが出てきたわけでございます。  こういったようなことを考えますとやはり、何といいますか、あくまでもこれは内政問題ですから何といったって日本人の国民感情、これを大事にしなきゃならぬと私は思っているんです。しかし同時に、そうはいいながら、日本という国もここまで来ますと、過去のそういった国交回復のときの両国間の話し合いとかいろいろな経緯も当然配慮しなきゃなりませんし、相手方の国民の感情というものも私は理解をして、これは何も相手方に強制せられて我々がそう考えるのじゃなくて、そういう反応がある以上は、日本の立場においてやっぱりそこらに対する配慮というものを真剣に私は考えないといけない。殊に、相手方の主張を聞いておりますと、四十年たっても現にまだ被害を受けた人間が、国民がおるんですと、こういったような言葉もあるわけでございますね。だから、そこらを慎重に判断いたしまして、あえてこれは厳しい選択でございました、しかし国益上の判断に立って本年は総理大臣のいわゆる公式参拝は見合わさざるを得ない、こういうことで本年は参拝をしなかったわけでございます。  もちろんこのことは、去年からそうでございますけれども、この公式参拝というのは制度化したものではございませんし、その都度判断をすべき筋合いのものである、こういう私どもの見解は依然として存続させておりますし、同時にまた、靖国懇の意見を受けて、こういうやり方であるならば憲法上なお多少の疑義があるから公式参拝はやらぬのだと政府が言っておりましたけれども、それは、こういうやり方であれば憲法上の、二十条の問題はクリアできる、こういうことになっておりますから、この憲法上のクリアした昨年の見解、これはやはりそのまま存続させておきたい。そして今後とも私はこの問題は、粘り強く日本の真意というものをやはり諸外国にあらゆる機会をとらえましてよく理解をしてもらうという努力が必要であろう。もちろん、先ほど言いましたように外交当局のそういった努力もありましたが、それ以外にも、こういった席で私は一々申しませんけれども、何らかの糸口はないのかということでいろいろなルートを使いまして理解を求めましたけれども、なかなかことしの八月十五日までに理解を得るということはできなくて、相変わらず厳しい批判が続いておるということでございます。  そこで、今後どうするかということになりますと、やはり相変わらず努力を一方でしながら、そして同時に国内的にも、これは政府が言うことではありません、政府が言うことではありませんけれども、みんなでひとつよくお考えをいただいて、大多数のこの靖国神社に合祀せられている方々の御遺族の方々が御満足できるようなやり方を我々としては考えていく必要があるのではないか、かように考えているわけでございます。  やや長くなりましたが、以上が私どもが決断をした理由でございます。
  80. 永野茂門

    ○永野茂門君 政府の苦衷もよくわかりますし、それから国際関係を極めて重視しなければならないというのは当然のことであると思います。政府が公式参拝を否定もしないし、廃止もしない、今後その事態の改善のために最大限努力をなさるということに期待したいと思います。  ただ、一つ確認したいことがございますが、この事態の改善を図るという中に、A級戦犯問題あるいは東京裁判問題をどういうふうに扱うかという重大な問題が含まれておりますが、こういうものについて現在お考えになっておる御見解をお伺いできたら幸いだと思います。お願いいたします。
  81. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いわゆる東京裁判については、いろいろなお立場の人でそれぞれの御意見があることは御案内のとおりでございます。殊にまた、あの当時裁判に参加した国の中にも、パール判事のような、あの裁判それ自身に対する批判を持っておった人もおるわけですから、一概にどうこうというわけには私はなかなかいかぬ面があると思います。しかしただ、国対国の関係におきましては、これは日本政府は、サンフランシスコ平和条約第十一条によってあの裁判を認めておるといった大前提に立って私は事柄を処理せざるを得ないのではないか、かように考えているわけでございます。  なお、A級戦犯の問題は、先ほど言いましたように、一つのネックになっておるということだけを申し上げて、これは政教分離の立場でございますから、これをどうこうということは政府の立場においてはひとつ差し控えさせていただきたい、かように思います。
  82. 永野茂門

    ○永野茂門君 政府の御見解はよくわかりました。私自身は国対国の関係においても政府見解に必ずしも賛成ではございませんけれども、今後の努力に期待いたします。長官、お忙しいようでございますので、どうもありがとうございました。  次は、人事院勧告に伴います恩給改善につきまして総務庁長官の方にお尋ねいたします。  人事院勧告完全実施につきましては、午前中に野田委員の御質問に対して、総務庁長官あるいは官房長官からそれぞれ、政府完全実施について努力するというふうに御答弁がありました。いろんな制約はあっても、それについていろいろと勘案しながら完全実施努力なさるという御答弁がありましたのでそれに期待するといたしまして、昭和四十八年以来、人事院勧告に伴います公務員給与改定の際には、これにスライドして恩給改善措置がとられてまいりました。ところが最近、年金制度の改正がいろいろ行われておりますが、それに伴いまして、恩給と他の年金とのバランスを考慮すべきであるという声を聞いております。しかしながら、恩給そのものは国家補償の性格を強く持っておるものでありまして、その理念は尊重されなければならないと思います。また、受給者は高齢化してきておりますし、その数も減少してきている現況でございます。  こういう現況にかんがみまして、恩給を公務員給与にスライドして改善を図るという措置は今後も踏襲して継続すべきであると考えますが、総務庁の方の御見解を承りたいと思います。
  83. 近岡理一郎

    説明員近岡理一郎君) 公的年金制度改革に関連し、臨調、行革審等から、恩給制度についても年金制度改正とのバランスを考慮した見直しが求められておるわけですが、その最も重要な課題が恩給のスライドの問題であると考えております。鋭意検討を続けてきたところであります。  しかしながら、恩給は国家補償を基本とする制度であり、新規参入がなく、かつ受給者の大多数が極めて高齢であるといった特殊性を有しており、また、制度的にも固有の長い歴史を有し、成熟かつ定着した制度であるため、まだ結論を得るに至っていないというのが現状であります。  今後とも各方面の御意見を参考にしながら真剣に検討してまいりたいと思います。
  84. 永野茂門

    ○永野茂門君 総務庁見解を聴取いたしまして、安心をいたしました。どうか国家補償の理念を通して、その概念でできるだけスライド制を維持するように希望いたしまして、総務庁に対する質問は終わりたいと思います。  次に、自衛官の処遇改善について防衛庁にお伺いいたします。  最近、防衛庁では自衛官給与制度研究会あるいは自衛官年金問題研究会などを開催いたしまして、自衛官処遇改善の核心でありますところの給与あるいは年金制度などの改善を逐次図りつつあり、またさらに改善を図ろうとしておることはまことに結構なことであって、その成果に期待するものであります。  私、この二十五、二十六、二十七と内閣委員の一員として調査に派遣され、札幌、千歳、大湊、三沢の部隊を視察することができましたけれども、ここでも一様に最大の関心事がこの処遇改善、特に年金問題であったことをここに御披露を申し上げておきます。自衛官の処遇の改善確立は、先ほど申し上げました靖国問題などと同様に、あるいはそれよりもっと深く政府防衛に対する姿勢を表現するものでありまして、自衛隊の士気の高揚維持、良質隊員の確保にとって最も重要、基本的なものであると考えられます。  そこで、若干の重要な事項について防衛当局のお考えをただしまして、本質問の終わりに長官の本件に関する御見解をお伺いすることにしたいと思います。  さて、自衛官は、自衛隊の精強性維持のために、いわゆる若年定年制と称する若年で退職することを余儀なくされています。このため、退職後の生活維持安定を図ることが最重要施策の一つと言わねばなりません。先ほど申し上げました自衛官の年金制度の最大の問題として、将来その掛金負担が大変過重になると聞いております。その様相の予想、あるいは現在検討されている解決策など全般について、防衛当局の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  85. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) ただいま先生御指摘のとおり、若年定年制をとっております自衛官にとりましては、退職後の生活の安定の確保ということが非常に重要でございまして、これは隊員の士気の維持あるいは良質隊員の確保にかかわってくる問題でございます。  そこで、御質問の年金でございますけれども、自衛官が若年定年制をとっておるということから、今般の国家公務員等共済組合法の改正におきましても、定年等で退職した自衛官につきましては五十五歳で退職年金を支給するという特例が設けられております。また、他の公務員では廃止されましたいわゆる繰り上げ支給と申しますか、これにつきましても、支給開始年齢の五年前から支給をするという特例が残されております。しかしながら、こういうような特例を残してまいりますということは、現在の財源負担方式をそのまま維持してまいります限り、制度が成熟いたしました段階におきましては掛金が隊員の負担能力の限界を超えてまいるということが予想されるわけでございます。  そういうこともございまして、今回の改正におきましても、国共審の答申あるいは衆議院の内閣委員会での附帯決議等におきまして、この問題について早急に検討するようにということを求められております。これを受けまして、防衛庁におきましては、事務次官を長といたしまして自衛官の年金問題等検討委員会を設置いたしまして、現在鋭意対応策について検討しておるところでございます。
  86. 永野茂門

    ○永野茂門君 掛金負担が大きくなる、制度的にパンクする状態になるということでありますけれども、現在一人を何人ぐらいの人が負担していることになっておりますか。また、将来どの程度になりそうですか。お伺いします。
  87. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) 正確な数字は今持っておりませんけれども、現在のところ一人で約四人というような数字になっておると思いますが、これが成熟してまいりますと、例えば一対一に近づいてくるというような極端な数字になってまいります。これはこのままの現状で推移すればということでございます。
  88. 永野茂門

    ○永野茂門君 今の数字につきましては、後ほど別な機会に詳細を聞かせていただきます。  次に、ただいま御説明にちょっと触れられました、最近開かれました年金問題研究会、これはどのような目的で、どのようなことを審議するものであるか。また、当然給与制度ないしは給与水準にも審議はかかわってくると思いますが、この件について御見解を御説明願います。
  89. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) 年金問題でございますけれども、この年金問題と申しますのは、公的年金制度の今後の推移あるいは国家公務員給与制度、その他もろもろのことと関連してまいります。そういうことで、この検討につきましては非常に幅広くやっていかなければならないという難しい面がございます。  そういうことで、公正妥当な結論を得るためには、現在のように部内の者だけで検討しておったのでは十全を期しがたいというぐあいに考えられます。そこで、そういった面で特に年金問題等につきまして学識経験の豊かな部外の専門家の方々から御意見をちょうだいいたしまして妥当な答えを出したいということで、今般その専門家の先生方にお集まりいただきまして、八月十三日でございますが、まず第一回に現在の情勢、状況につきまして詳しく御説明させていただきました。そういう状況でございます。
  90. 永野茂門

    ○永野茂門君 次に、同じく若年定年であるがゆえに特に施策しなければならないと考えられますことに、就職援護があると思います。近年、定年退職自衛官が急増しておりますけれども、就職援護の円滑化あるいは好条件化などについて防衛庁はどのような施策を行っておりますか。  また、定年退職自衛官の急増の状況説明願えれば幸いでございます。
  91. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) 自衛隊発足後三十余年を経過いたしまして、当時入隊いたしました隊員が定年を迎える時期に来ております。そういうことから昭和六十年度から定年退職者が急増してまいりまして、今後数年間約六千人ないし七千人という数字で退職者が発生すると見込まれております。これらの隊員ほとんどが、先ほどからも話題になっておりますように若年定年で退職するわけでございまして、大部分の者が再就職を余儀なくされるということは御指摘のとおりでございます。  そこで、防衛庁といたしましては、従来から退職者に対する就職援護という施策を重視しておりまして、制度的に可能な範囲内で職業訓練等の施策を実施しております。また、組織の面で申しますと、幕僚監部に援護室または各地方連絡部に援護課などを置きまして、退職予定自衛官に対しまして、その求職条件に適合した職を確保してやれるようにということを、職業安定機関等とも密接に連絡をとりながら実施しておるところでございます。さらに今年度昭和六十一年度でございますけれども、内部部局に援護企画室というものを設けまして、今後援護の統一的かつ効率的な実施を図ってまいるという所存でございます。  なお、防衛庁は就職援護につきまして、いわゆる職業紹介にかかわる権限を持っておりません。そういうことから昭和五十四年度に隊友会の中に援護本部というものを設けまして、その後逐年支部も整備いたしまして現在七支部の体制をとっておりますが、ことに職業安定法に基づきます労働大臣の許可を得まして、退職予定自衛官のための無料職業紹介事業を実施するということを行っております。  ただ、退職予定自衛官の再就職につきましては、防衛庁の努力だけではございませんで、やはり受け入れる側の社会の事情、企業の意識等によるところが非常に大でございます。その意味から申しまして、いわゆる自衛官特有の若年定年制というものに対しまして幅広く国民の皆様方の御理解を賜りたいと考えておる次第でございます。
  92. 永野茂門

    ○永野茂門君 就職援護につきましては、援護本部あるいは援護企画室等の制度を設ける、それから民間の雇用促進協議会のようなものを特につくるとか、それだけではなくて、自衛隊の中、防衛庁の中の組織のUC転換ですね、制服からシビリアンへの転換でありますとか、あるいはさらに業務の民間委託等を今の防衛行革の中で検討されておると思いますけれども、これらと関連して就職援護を拡大するということは非常に大事なことだと思いますが、いかがですか。
  93. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) まず、UC転換の問題でございますけれども、これはある程度限度がございます。特に、UC転換いたしましてなおいわゆるシビルとしまして必要であるという人に対しましてはこれはUC転換を実施しておるところでございますけれども、これはおのずから限度がございます。  それから、民間委託の問題でございます。これは現在、防衛庁の中に防衛検討委員会というものを設けまして、その中の小委員会でいろいろ検討を進めておるところでございますが、これはまだ今後結論を出していく問題でございます。したがいまして、現在、まだ具体的なことは申し上げられる段階でございません。
  94. 永野茂門

    ○永野茂門君 次に、生活関連施設について、処遇改善の一端としてお聞きしたいと思いますが、自衛隊の隊舎の二段ベッドでありますとかあるいは九・五坪官舎、これは極めて有名であります。今なお解消されておりません。いずれにしろ隊舎、宿舎などについては不備が多いことは御承知のとおりでありますが、隊員処遇改善のためにこれらの整備充実が極めて重要な課題の一つであると思います。本件について防衛庁はどういうふうにお考えでありますか。
  95. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) 隊員の処遇改善の問題につきましては、従来から防衛庁といたしましても意を注いでおるところでございます。ただいま御指摘のありました、特に隊舎、宿舎等の生活関連施設の充実の問題につきましては、隊員の士気を高く保つという観点から、装備の充実、教育訓練の維持等とともに、高い防衛力維持する上で重要であると考えております。しかしながら、昨今の厳しい財政事情のもととはいいながら、これまで隊舎、宿舎等の整備充実につきましてはぎりぎりまで抑制されてきておりまして、隊員の士気の維持等を図るためには今後一層の努力が必要であろうかと考えております。  そのような観点から、ただいまお話に出ましたいわゆる隊舎、宿舎の問題でございますけれども、六十年度に引き続きまして今年度六十一年度におきましても、曹クラスの二段ベッド、これの解消を早急に図るということから、現在十八カ所、九百七十人分の増設を行っておるところでございます。また、宿舎の整備でございますが、象徴的に九・五坪型老朽宿舎という言葉であらわされますように、老朽宿舎がまだかなりございます。これにつきましては、特に九・五坪型宿舎の問題で、これは六十年度に五カ年計画を設定いたしまして、この計画に基づきまして、現在二年度目でございますが、今年度百六十六戸を建てかえる。これを含めまして、隊舎、老朽宿舎も含めまして九百十三戸を現在整備中でございます。これらによりまして、いわゆる二段ベッドあるいは九・五坪型の宿舎等の段階的な解消を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  96. 永野茂門

    ○永野茂門君 いろいろと具体的な施策を必要とするのがまだたくさん残っておるようでありますが、自衛官は有事において身の危険を顧みることなく任務を遂行することを前提としておりまして、平時過酷な環境条件あるいは危険な状態での激しい訓練を行いながら、戦争の抑止、平和の維持という重要な機能と任務を現実に遂行しているものであると思います。国はそれにふさわしい処遇を与えねばならないと考えるものであります。それが自衛官の士気の高揚維持あるいはまた良質隊員の確保のための基本的な要件であろうかと思います。  これらを勘案しまして、処遇改善のための一層の努力について最後にまとめて長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  97. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今いろいろと御質問があり、御指摘がございましたが、私も全く同感であります。私は今度二度目の防衛庁長官を仰せつかったわけでございますが、いかにして質のよい自衛官を確保するかということが非常に重要だと思います。そういう観点からいたしますと、年金の問題、就職援護の問題、宿舎、隊舎等自衛隊員の環境を整備する、そして魅力のある仕事として募集に応ずる、こういうような環境をぜひつくりたい。そのためには、国民の皆さん方にも今具体的に自衛隊員に対する待遇がどういうものであるかというふうなことをよく御説明をし、御理解をいただいて御協力を賜りたい。  具体的に言いますと、昭和六十二年度予算でそういった点について一歩でも二歩でも前進をいたしたいというのが私の気持ちでございます。
  98. 永野茂門

    ○永野茂門君 一層の努力お願いいたします。  次に、防衛問題に移らせていただきます。  政府は現在、中期防衛力整備計画の初年度として五カ年を目標に鋭意防衛力を整備中であります。従来の業務見積もりの段階から、防衛計画として政府はこれを樹立して努力しておることについては、非常に結構なことだと思います。  ところで、この中期防衛力整備計画では、大綱の基本的枠組みのもとに防衛力整備を行うというふうにしておりまして、我が国が平時から保有すべき防衛力水準決定の枠組みの核心は、「限定的かつ小規模な侵略」を原則として独力で排除するという能力、いわゆる基盤的防衛力、そして必要な場合の「新たな防衛力の態勢」への円滑な移行の能力ないし態勢というものが根幹になっております。そこで、この基本的条件でありますところの第一の限定小規模侵略というのはなかなかわかりにくい。したがって国家のコンセンサスもなかなか得られがたい、あるいは一般に非常にコンセンサスをつくりにくい、こういうものであるように見受けますので、ここで言う限定小規模侵略とはどんなものであるか。相手の侵略の目標や目的あるいはその規模などがある程度具体的に、これはもちろん例示しかできないわけですけれども、例示されるとこういうものはわかりやすい、こういうふうに思います。議会における判断、あるいは国民一般の理解あるいは判断を可能にするためにも、ぜひそれらは明らかにしていただきたいと思います。  例えば、それは、相手が北海道の一部でありますところの道北あるいは道東などの確保をねらうようなレベルのものである、もちろん例えばであります。あるいは同じく、例えばさらにそれから道央までをねらう、北海道の真ん中ですね、そういう確保まで当初からねらうようなものでありましょうか。御見解を承りたいと思います。
  99. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) お尋ねの点にお答えする前に、防衛計画の大綱の前提といいますか、その基本を流れております考え方について若干先に述べさせていただきたいと思いますが、先生とっくに御存じだと思いますけれども、この大綱というのは、現在の世界が——つくった当時の世界情勢も同じでございますが、東西両陣営というものを中心として、これらの二つの関係においては対立といろいろ警戒その他ございますが、マクロ的には安定した状況にある。それは、米ソを中心とした核抑止力、あるいはそれぞれの陣営内における多国間あるいは二国間の安全保障体制というそれぞれの枠組みができておって、それなりに対峙を含みながら安定をしているという認識の上に立っておるわけであります。したがいまして、ある特定の二国間で双方の間にある程度の軍事力の差がついたにしても、だからといってすぐその軍事力を用いて強い方が襲いかかっていくという、いわゆる弱肉強食の社会ではないというようなことを前提に考えておるわけでございます。  そこで、しからば、例えば我が国に対する軍事的な脅威ということを考えますと、これはいわゆる心理戦のような状況から、上は全面核戦までさまざまな脅威の態様があるわけであります。そういった多くの脅威の段階、スペクトラムを考えまして、それを我が国の防衛力、及び、我が国はアメリカと安全保障体制というものを結んでおるわけでありますが、それらをもってすべてにわたって抑止する、日本に対する侵略を未然に防止するというのが基本的なねらいになっておるわけです。その幾つかの段階の中で、我が国が主体的にみずからの力でまずやらなくちゃいけないのはどこまでであろうかというときに考えたのがこの限定的な小規模事態、少なくともそういった事態に対しては独力で対応できるようにしておかなければ、今申したようないろいろな段階のある各種の軍事的脅威、日本に対する侵略の脅威に対してすき間ができてしまうであろうという考えに立っておるわけであります。  そこで、それでは限定的小規模とは何だということになりますと、限定的と言えば、やはり当然のことながら、手段において核を用いない通常兵器であるといったような意味の、手段における限定がございますし、地域的にも、局地的なものであるといった限定もあろうかと思います。さらには、時間的な問題もあろうと思います。というのは、日米安保というものがありますけれども、やはりアメリカの本格的な支援を受けるまでにはどうしても物理的なタイムラグというものがございます。アメリカの支援というもののいとまのないような状況で起きる事態、そういったものにはやはり独力で対応できなくちゃいけないというようなことがもろもろ考えられて、小規模かつ限定的な事態というようなことが決められたわけであります。  したがって、これらの考え方というのはあくまで、今の現情勢下における我が国に対する脅威を未然に防止する抑止戦略の考えから出ておるわけでありまして、先生の今御質問にありました侵略事態、いわば起きるときどういうシナリオがあるであろうかということとは若干かみ合わない面があるわけでございまして、そういった抑止の状況をとっているにもかかわらず何か起きてしまう、そういうときどういうシナリオになるかということになりますと、これはまた千差万別、何が起きるかわからないという点もございますけれども、それとこれとは若干区別してお考えいただきたいと思います。  したがって、道央まで来るとか、あるいは道北でとまるであろうとかというような具体的シナリオについて私どもは大綱そのもので想定しているわけではない。それは、年度年度防衛計画なり、そういったところで検討すべき問題であろうかと思います。  いずれにしましても、我々としては、時間的にあるいは手段的に見て小規模であってその事前予知というものがなかなか困難である、こちらが十分な準備、あるいは同盟国も含めた十分の準備ができないような状況で相手が日本を侵略してくる、そのときに対応できないようでは、既成事実をつくられてしまってせっかく日米安保がありながらそれが働く余地がなくなってしまうではないか、そういったすき間をつくらない、先ほど申した全体として安定した状況にある世界情勢の中で日本自身が力の空白になってそこで侵略の誘因にならないような形にする、そういったものを整備いたしたいというのが基本的な防衛力整備計画の大綱の考え方でございます。
  100. 永野茂門

    ○永野茂門君 現在の防衛力整備は抑止を中心に考える、それはそのとおりであります。しかし、抑止とは何だということでありますけれども、抑止力は即対応力であるはずであります。これが第一点ですね。  それから、相手が準備の余裕がない、こちらも準備の余裕がない、そういう状況でどういうことになるか、それには我が国は独力で対応しなきゃいけない、こういうことなんでありますけれども、奇襲攻撃といいながら、例えば第四次中東戦争のアラブですね、イスラエルに対する侵攻というのは十個師団、戦車二千、航空機三百五十ですね。これは完全な奇襲をやったわけですね。あるいは、アフガンに対するソ連の侵攻というものは、御承知のように最初空挺一個師団、その先遣部隊としては空挺一個連隊というのがちょっと早く来ておりますけれども、そして引き続いて地上から四、五個師団。この空挺師団とその地上の師団との間に一日とか二日とかそれだけしかないわけですね。したがって、アフガンに侵攻するときにソ連は、最初から約七、八個師団、現実には六個師団ですけれども、これの準備が終わっておったわけですね。  したがいまして、奇襲、つまり相手がこちらに意図を察知されないようなそういう準備状況でやってくる。そういうことを想定した場合に、決して近代戦というのは極めて小規模な、小規模ではありますけれども「極めて」がつくような小規模ではないというようなことは、まあその計算の中に入っていると思いますけれども、十分考慮してもらわなければならないと思います。  特に、演習ですね。最近八月に御承知のようにオホーツク海で演習がありました。あれは海軍だけの演習で非常に大規模な演習であったわけでありますが、その演習が急遽実動に変わってくるというような、今はそういう状況でありませんのでそういうことを想定する必要はないわけですけれども、世界がおかしくなってきた場合に、演習から一挙に実動に変わる、こういうときにはかなりの部隊が奇襲をする可能性があるわけですね。そしてそれは、世界全般としては、いろいろ状況の変化があって、大きい戦略的な意味ではいろいろな準備が進められて、そしてもちろん戦争抑止のためのあるいは戦争防止のための努力がなされる中でだんだんおかしくなってくる。こういうことでありまして、抑止の努力をしながらだんだんおかしくなってくるから、またこれは奇襲になるわけですね。  そういうことを考えますと、限定小規模ということが非常に小規模だという印象を国民の皆さんに与えることは、日本の安全を、特に防衛力という抑止力を構成しながら日本の安全を構成していく上で間違った概念を与えやすい、だからやっぱり何かもう少し具体的な例を私は示した方がいい。今具体的な例を示すことは難しいかと思いますけれども、私はそういうふうに思います。  なお、今、日米安保条約に基づく米軍の支援がおくれる、あるいはそれが間に合わない間のその期間、日本は独自で戦わなきゃいけないということを防衛局長は言われましたけれども、日本が独自で戦わなきゃいけない期間というのは、五十一年に私どもが防衛計画の大綱を審議したときと比較すれば条件が変わっているわけですね。アメリカが多正面を持たなきゃいけなくなってくる。つまり、アメリカのすぐ南のカリブ海正面でありますとか、あるいはインド洋、さらに中東正面でありますとか、アフリカ正面でありますとか、こういうのはあの当時そんなに考慮する必要がなかった。したがいまして、アメリカが世界に目を配るということからいきますと、日本が所望するような時期に所望する兵力を日本に支援するということはなかなか難しい。いわんや、ソ連の軍事努力が非常に大きくて、アメリカ自身防衛についていろいろなことを考えなきゃいけない、あるいはNATOについていろいろな手を打たなきゃいけないということが従来以上に強くなっておるということでありまして、世界的に分散しやすい。こうなりますと、日本に持ってくる兵力は十分ではなくなる可能性が多い。なくなってしまうというわけじゃありませんけれども、なくなる可能性が多いし、時間的にはおくれる可能性が多い。  ということになりますと、その意味からも基盤的防衛力といいますか、限定小規模侵略をどういうふうに考えるかということはやはりもう少し具体的に検討し、もう少し具体的に国民の皆さんにわかるように説明する必要があるのではないかと私は思います。  ごく最近の新聞によりますアメリカの議員のように、性急に日本が防衛計画の大綱を見直したり、あるいは少なくも別表を見直したりして防衛力整備計画を立て直せ、あるいは見直せというようなことを私は要求するものではありませんけれども、今言ったようなことの考慮を十分お願いしたいと思うものであります。それに対する所見を防衛局長からお願いいたします。
  101. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 今先生申されたとおり、我が国の周辺にもいろいろな国がございます。それらの国が私が先ほど申し上げたような限定的な形で仮に日本に対して侵攻してくるという状況を考えた場合、例えば、先生が名前を言われましたけれども、ソ連という国は非常に大きな軍事力を持っております。日本周辺といいますか極東だけでも航空機であれば二千数百機、艦艇でも何百万トンという船を持っておるわけであります。ということでありますから、仮に艦艇等であれば常に三分の一ぐらいは稼働しておるという状況でありますし、航空機でも、航空機の中には防空用とかいろいろありますけれども、他国を侵攻するような航空機も相当な数を持っておる。しかも、それらは陸上部隊と違って海を渡るのに何ら障害がないわけでございますから、そういう限定的な事態といえども、例えば航空機が十機とか二十機とか決してそういう小規模のものではない、何百機というオーダーのものであるということは間違いないわけでおります。同様に、例えば原子力潜水艦にしても、数十隻のものがいつでもそういう行動をとり得る状況にあるということは、私どもとしても当然いろいろな面から、状況によってはそういうこともあり得るということで検討いたしておるわけであります。  さらに申せば、限定小規模事態といいましても、それは決して固定したものではない。やはりそれぞれ周辺諸国の持っております軍事力の質、量、そういったものが時々刻々変わってきております。したがって、状況といいますか時が移れば、当然のことながら、そういう限定的な形で使用し得る軍事力というものも変わってきているということも事実でありまして、それらについても我々は常々強い関心を持ち、調査をし続けているということであります。  もう一つ、アメリカとの日米安保の関係で、日本が期待するような時期に適時適切に支援が得られない場合もあるのではないかということでございますが、おっしゃるとおり、実際に侵略が起きてしまいますと、小規模限定というところにとどまらず、それがずるずるといってしまうということが当然あり得るわけでありますし、また、相手方が日本を簡単に侵略し得ると思って、そういう錯誤に基づく侵略が起きてそれがだんだん拡大していくということもないわけじゃないわけですが、そういうことがないようにするというのがまさに抑止戦略ということでありまして、たやすく日本だけをつまみ食いできる、切り取ることができるというように思わせない、つまり日米安保というものが非常に有効に機能している、信頼関係があるという状況を常に維持することが非常に重要でありますし、かつまた日本の防衛力そのものが、先ほど申したような、日本が主体的に整備しなくちゃならないと我々が考えております小規模限定的な事態、そういったものに対して十分な対応能力を持っておるということが、これまた相手がそういう錯誤をして侵略するような気を起こすということがないようにするゆえんでもありますので、そういう点では我々としても一日も早く大綱水準の達成というものを期したいというように考えておりますし、日米関係の、日米安保の信頼性の向上というものに常々心がけておる次第でございます。
  102. 永野茂門

    ○永野茂門君 もう少し時間がありますと限定小規模というものについてもいろいろとディスカッションできますけれども、時間がございませんので、この付近で限定小規模の内容につきましては打ち切ります。  いずれにせよ、とりあえずの目標でありますところの中期防衛力整備計画を確実に目標を達成する。あるいは私の感じから言えば、もう少しペースをアップしてすべきであるという感じは持っておりますけれども、とにかく確実にやるということは極めて重要であると思います。防衛費が少しぐらい、一%をはるかに突破するなんということを私は申し上げるわけじゃありませんけれども、一・何%かになったかということを目くじらを立てるよりは、これをしっかりと達成して、抑止力、戦争の防止力を確実にすることが日本のために大事だと思いますが、本件に関して長官の御見解をお伺いいたします。
  103. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私は機会あるごとに申し上げているわけでございますが、防衛力の整備というものは計画的かつ継続的に行わなきゃならない。その線に基づきまして中期防衛力整備計画ができました。予算につきましてもその線で六十二年度お願いをするということでございますから、これが実現に最善を尽くしたい、こう考えております。
  104. 永野茂門

    ○永野茂門君 あと時間も余すところ少なくなりましたが、もう一つだけ承りたいと思います。  今の防衛計画の大綱ないしは中期防衛力整備計画に関連いたしまして、有事急激なエスカレーションといいますか拡大に即応し、また戦争期間が仮に延長したならば、これに対して継戦する能力を持つということは極めて重要であり、それはまた抑止力の非常に大事な要素であると思います。したがって、各国は常備の即応戦力のほかに予備戦力を非常にたくさん保有しておることは皆さん方がよく御承知のとおりだと思いますが、我が国の予備自衛官の数は、陸上が四万三千、それから海上が六百ですか、極めて少数でございますが、これは大綱に言う「新たな防衛力の態勢」への円滑な移行に対してどういう意味を持っておるのでしょうか、御見解をお聞かせください。
  105. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 御質問の予備自衛官でございますが、私どもの基本的な考え方としましては、我が国の予備自衛官制度というのは各国の予備役制度と若干違う。各国の予備役制度というのは、日ごろからその予備役を充当してつくるべき正面兵力というものを幅広くつくるための装備等を用意しておりまして、予備役を投入することによって平時編成の現役でつくられる部隊の数倍の部隊を編成するというような形で考えられていると思います。  したがいまして、現役の兵力に比べて、例えばスイスなんかが一番極端な例だと思いますけれども、現役兵が二万人に対して六十数万人というような予備役を持っているということでありますが、我が予備自衛官制度というのは、そういった予備自衛官制度を使って作戦兵力、いわゆる正面兵力と従来申しておりますが、それを何倍かに、あるいは五割増しかにするという考え方というよりも、現在の編成そのものを十分に働かせるために使うというのにとどまっていると思います。  したがいまして、予備自衛官の充当先としては、例えば部隊がありますけれども、これの補給部隊等については、平時は国内で行動しておりますし、戦場に出ずに駐屯地をもとに行動しておりますから、そういう補給部隊というものはほとんどありません。ところが、例えば国土内のある地域に集中してそちらへ出動するということになりますと、それなりの補給部隊等を有事は編成しなくちゃいけない、そういったものにまず充てなくちゃいけないということがあります。それと同時に、現在、平時各地域に分屯しております部隊が、戦場のある日本の一定の地域の方に集中していきますと、後に穴があいてしまう。それらの地域の警備を行わせなくちゃいけない。そういったものに充当しようというのが現在の予備自衛官制度の中心的な考え方でありますし、一部は戦闘損耗といいますか、戦闘で死傷した者の補充をするといった使い方を考えておりますので、あくまで現在の平時からあります編成、それを有効に使うための予備勢力というようにお考えいただかなければいかぬと思います。  したがいまして、今御質問がありました「新たな防衛力の態勢」というものとは別個のものだというようにお考えいただきたいと思います。
  106. 永野茂門

    ○永野茂門君 時間が参りましたので、大変に異論があるわけですけれども、これについては質問を打ち切ります。  どうもありがとうございました。
  107. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 昨日まで内閣委員会で北海道方面を見せていただいたわけですが、そこでいろいろの問題を感じたわけであります。  二、三例を挙げて申しますと、第一は、兵器の勤務に対する労務補償がどこまで考えられておるだろうかという問題であります。例えば戦闘機、非常に狭いところで一人乗って機械の多いところで働いておられるわけなんですが、こういう勤務とか、あるいは戦車の勤務、大変な御苦労な勤務であると私は思います。そういう人に対する労務補償は考えられておるかどうかということを一つ思いました。  その次に、こうした戦車とか飛行機で守るという構想は大変いいし、自衛隊の方は一生懸命やっておられるけれども、一体戦う場面はどこだろうかという問題を考えました。敵が上陸するのは海岸地帯でございまして、国民が多く住んでおるところでございますが、そういうところに敵が上陸をした場合に住民をどうするのかという問題、これが考えられておるだろうかということを痛切に考えたわけであります。この問題につきましては、やはり現地の部隊の問題ではなくて中央の問題だと思いました。  それから、こうした防衛問題は、我が国の場合は積極的に侵略戦争をするわけではなくて、専守防衛ということですから相手方の方から攻めてくるわけなんでしょうが、その攻めてくるのを早く知ることができないかどうか。攻められる前に手を打つべきではないかという問題、こういうことについて現在どこまで真剣に考えられておるだろうか、こういう問題も感じました。  それから、結局はこれは、防衛といいましても焦土防衛、国土を焼いてしまう防衛ではないか。つまり、朝鮮戦争とかベトナム戦争のような姿が防衛の姿ではないか。こういうことも思いまして、これは容易ならざる問題で真剣な討議が必要だと考えたわけでございます。  それから、こうした政策の問題のほかに、自衛隊の方々の待遇の問題、先ほど御質問がございました。靖国神社に祭られることよりも老後の生活の問題、これが隊員の大きな関心であるのではないかということを感じたわけであります。  そこで、きょうは、二、三こういうような問題についてお尋ねをいたしたいと思うわけです。  まず、兵器の勤務に対する労務補償の問題につきましては、現在実施されておるかどうか。いかがでしょうか。
  108. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) 補償の問題でございますが、公務災害補償という形の補償は、これは一般の公務員と同じような形で自衛隊についても実施しております。
  109. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それでは、防衛問題ですから当然仮定の問題になるわけですけれども、防衛をしなきゃならぬ事態が発生をいたした場合に住民を安全な場所に退避させるための手段ですね、車の手配がしてあるか、鉄道の手配はどうなっておるんだ、そういうような問題についてお伺いをしたいわけであります。  この問題は、現実に前の戦争の終戦時に起こった問題でありまして、結局その問題の解決が十分なされていなかったために大変悲惨な状態を生んだことは皆さん御承知のとおりです。それで、これをどうするかということにつきまして、総合的な防衛計画が必要なはずでありますが、そういう問題についてどこの官庁がどのように平素から準備するかという問題です。そして、どのようにやっておるかということですが、これはどこの御所管でございましょうか、防衛庁ですか、運輸省ですか、お答え願います。
  110. 友藤一隆

    説明員友藤一隆君) 今お尋ねのございました防衛出動事態に予想されるいろいろな法制上の諸問題、これを実は自衛隊の任務遂行を有効にやっていきますためにいろいろ問題がございますので私どもで研究をしておりますが、そういう立場から若干お答えを申し上げたいと思います。  ただいまお尋ねのございました、有事、戦闘時に住民の保護とか避難誘導、こういったものはどういうふうにやるのか、こういう御質問でございます。実は、今御発言がございましたように、この問題については、現在、所管省庁というものが明確に決められて諸般のいろいろな法制等が準備をされておるわけではございません。そういう意味合いから私どもでは、当然防衛出動というようなものも任務の大きな正面でございますし、そういった場合に、任務を有効に円滑に遂行する体制が整って初めて有効な抑止力になるという立場から研究をいたしておりまして、他省庁所管の法令でございますとか防衛庁所管の法令等については、既に研究は一段落して問題点等も発表してございますが、今お尋ねのような所管省庁が明確でないものについては、これはやはり政府全般の問題ではございますけれども、我々としても、今申し上げました行動との関連等もございますので、現在内部で検討をさせていただいておりまして、しかるべき時期にその問題点政府全体の問題ということで取り上げていけるように努力をいたしたいというふうに考えております。
  111. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この問題は私は防衛の根本問題だと考えるわけです。一体防衛とは何だということで、これを国家防衛と考えるか国民防衛と考えるか、根本的な問題だと思います。従来の旧軍の思想は言うまでもなく国家防衛でございまして、国民防衛ではなかったわけですね。ところで、主権者がかわった今日において、そうした古い時代の考え方防衛思想でいいのかという問題は考え直してみる必要があるのではないかと思います。防衛そのものを仮定のことはだめだから考えないのだというそういう立場ならしようがありませんが、少なくとも自衛隊を設置し、防衛体制をとっておる以上は、一体防衛の根本は何だということは正確に認識しておく必要があるのではないかと思います。  これはもう皆さん御承知のとおりだと思いますが、防衛は戦争があって初めて起こる問題であります。戦争は言うまでもなくこれは国際政治の手段でありまして、国際政治の延長だということはもう常識でございます。我が国も国際社会の一員である以上国際政治の中に巻き込まれるということは避けがたいことでありますが、この場合に、巻き込まれるにしても自分の国の国民をどうしたら安全に持っていけるかという、そういうことを念頭に置いた巻き込まれ方をしないと困るのではないか、以前のように我が国の国土が焦土と化しても戦うんだとか、玉砕してでも守るんだという、そういう考え方ですと、これはもはや国民があってなきがごとき状態の防衛ということにならざるを得ないわけであります。その辺のところの根本的な問題はどのように従来考えられてきたのか、これをお伺いしたいわけであります。  できるだけ責任者の方に、この点はもう考える人の問題ですから、お答えを願いたい。
  112. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) お答えさせていただきますが、御承知のように、日本の防衛政策の基本と申しますのは、国防の基本方針にございますように、内政の安定、外交努力、そしてさらに防衛努力という三本柱によりまして我が国に対する侵略を未然に防止する、いわゆる抑止をしてしまう、侵略のないような事態にするということが基本的なねらいであります。したがいまして、仮に、万々一我が国で防衛戦を実際に行わなくちゃならないようになったというような状況が出たとすれば、もう我が国の防衛施策としては九〇%は失敗をしたということでありまして、未然に防止をするということがすべての基本であるというふうに従来から考えられ、そのための最小限の施策として防衛力の整備もやってもらっておるというように御理解をいただきたいと思います。
  113. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 ただいまの局長のお考えでよろしいでしょうか、防衛庁長官、いかがですか。
  114. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 大筋においてそのとおりだと思いますが、ただ、自分の国は自分で守る、この気概が国民にない限りは抑止力にはならぬと思います。この点だけは私から補足をしておきます。
  115. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 自分の国は自分で守るということは、これは教育の結果国民がそう思うことになると思いますが、そういう問題ではなしに、現実に我が国が武力侵略を受けたという場合、これをどのところで、ちょっと言葉は悪いですが、手を打つかという問題ですね。国を焦土と化しても最後まで玉砕的にやるのか、それとも、そうではなしに国民の生命、財産という問題を第一に考えて、抵抗はやめていくのか、いろいろ問題があると思います。  それで、それは段階があるからはっきりとこうだとはできないまでも、ベトナム戦争のような状態に持ち込むことまでやられるのかという問題ですが、いかがでしょう。
  116. 西廣整輝

    説明員西廣整輝君) 国家、国民というものはあくまで独立を守らなければいかぬものだと私も考えておりますが、先ほど来申し上げているように、我が国の防衛施策の基本というものはあくまで抑止、未然防止である。しかし、抑止、未然防止するというためには、実際に起きたときにそれに対応できる、対処できるという裏づけがあって初めて抑止ができるということも十分御理解いただきたいと思います。
  117. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 その点はよく私も理解しておりますが、要は、どんなに強力な部隊を持ちましても国内戦争というものは大変な問題だと思います。昔は外国へ出ていって戦ったから何ともなかったんですが、今日の戦いは言うまでもなく国内戦争であります。それを避けるためにはあらゆる、先ほど大臣もおっしゃったのですが、外交手段を講ずべきだということになると思いますね。  そこで、その外交手段を講ずると口で言うだけではだめなんで、現実にどういう国内体制をとっておられるのか。外国から攻め込まれないように手を打つ、どういう国内体制をとっておられるのか。今までこの防衛白書を何度も拝見いたしましたが、そういう点については触れられていないわけですね。アメリカでは、安全保障会議というものがあってある程度指導をやっておるようですが、あれは防衛体制ではなしに、むしろ世界の国際政治を有利に働かせるということを目的としておりますから、あれと日本とは違うと思います。  我が国における防衛、つまり敵から攻められない状態をつくり出す、その努力をする主管官庁は一体どこかという問題。それから、これは単なる外交、外務省だけの仕事でいいのかという問題、いろいろあると思います。防衛庁が関与される分野、それからそのほかのところが関与すべき分野、いろいろあると思いますが、そういう点についての政府の根本的なお考え方はどうなっておりましょうか。これは官房長官のお仕事ですか。
  118. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 当然、御質問のような趣旨お答えするとすれば、内閣全体が私は取り組んでいくべき重大な課題であろう。やはり国家の基本というものは、国民の生命、財産を守り抜くということが私は基本であろう、かように考えるわけでございます。  そこで、まず一つは、西廣局長お答えいたしましたように、我が国を外国の侵略から防止するというためには、やはり外交の努力、同時に内政の安定、そして同時に防衛力のしかるべき適当なる整備、これらが相まって初めて私は国家の存立、そして国家の存立は、つまりは国民の生命、財産を完全に守り抜くということに通じる、かように考えるわけでございます。  そういう意味合いにおいての我が国の努力が残念ながら戦後四十年たっても今日まだ必ずしも国民的な一致した合意が得られないというところに、私は今日的な悩みがあるのではないのか。しかしこれはやはり、一歩一歩国民的な合意を求めながら、厳しい国際社会の中で日本が生きていくためには、今言った三拍子そろった整合性のある国の政策の展開を図らなければならぬ、私はさように考えておるわけでございます。飯田さんの御質問は大変難しい課題でございます。しかし、いずれにいたしましても基本は、これは私の個人的見解とでも御理解していただいて結構でございますが、政府というわけにはまいりませんから。  それは、従来は私は日本という国の発展といいますか、あるいは国民生活の向上とでもいいますか、それがためには、やはり内政というものに目配りをしながら、その延長線上で外交の課題、こういったものを考えていけばよかった時代であったと思いますが、今日のように、日本の国力が充実してきますというと、それだけではぐあいが悪い。やはり外交というものを頭に置いた内政のかじ取り、そして同時に、この厳しい国際社会の中で日本が生き抜き、そして国際の平和を維持し日本の平和を守るというためには、やはり私は国としてのあるべき防衛の政策というものも確立をしなければならぬ時期にだんだん来ておるのではないのか、これは私の見解でございます。
  119. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私も少しつけ加えます。  それは先ほどの御質問との関連であります。いわゆる俗に言う民間防衛ですね、これがおくれているじゃないかという御指摘です。これについて政府検討しているかと。  実は、有事の際に防衛庁、主として防衛庁に関係するやつは、有事法制の第一類として問題点を整理したんです。私が防衛庁長官の第一回目のときに、他省庁に関連するものということで第二分類として御報告申し上げた。言うなれば、民間防衛の問題は第三分類に属するわけであります。それについては、ただいま官房長官から言われたとおり、政府全体として取り組まなきゃならぬ。ただ、今までの経過からいたしますると、そういう点について早くやるべきであるという御議論が余り多くなかった。そういう意味合いでは飯田さんの御発言、それが促進という意味であるならば大変歓迎であります。
  120. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私が一番心配しておりますのは、我が国の国際政治社会における活動が本当に我が国の主体を保って行われておるだろうかという問題ですが、総理は大変国際政治に御関心があっていろいろの積極的なことをおやりになっていることは新聞でも存じておりますが、ただ、勇ましい方だけに国際政治がいってしまったんじゃちょっと困ると思いますよ。どこまでも国民の安全というもの、我が国の利益ということは、結局国民の利益になることをやるということで進んでいけば私は大変いいと思いますが、近来にない国際政治における御関心の強い総理ですから、間違わないような方向へいっていただきたい、こう思って実は御質問申し上げたんです。  国内におけるいわゆる民間防衛ということを、私は余り強力に申し上げたわけではないんです。つまり、民衆に戦闘訓練をやれということじゃなくて、実際に混乱が生じた場合にどのようにして民衆を安全なところへ運ぶかということです。一つの例を挙げますと、こんなことは恐らくないと思いますけれども、北海道に武力侵略を受けた、例えば札幌の沖合から来たという場合に、札幌におる人をどこへ移すかという問題なんです。海岸に来て札幌の町まで来るまでの間には時間が多少ありますから移し得ると思いますが、この場合に一体どこへ運ぶつもりなのか。それとも運ばないで、札幌市を戦場にしてしまうつもりなのかどうかということなんです。  そして、例えば青函トンネルです。青函トンネルを掘られましたね、たくさんお金を出して。あの青函トンネルの利用は一体考えておられるのかという問題、一つの例ですよ。それから、今度国有鉄道を分割されるわけなんだが、この国有鉄道を民間化した場合に、自由に国有鉄道がこういう今申し上げたようなことを考えてくれるだろうか。やはり運輸省かどこかで計画させてお願いしなきゃならぬようになるじゃないか、そういう運輸省に計画させるような方針を内閣は持っておられるかどうか。  一つの例ですが、こういうようなことについてお尋ねしたんですが、いかがですか。——これは所管の官庁はありますか。これは内閣でしょうか、総務庁でしょうか、防衛庁ですか。
  121. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 今お話のあったようなときにどうするかというのは、まさにこれは防衛庁独自のものでもないし、他省庁との関連だけでもないし、政府全体としてやらにゃならぬ。そういうふうに位置づけますれば、先ほど申しましたとおり、官房長官が言われているように政府全体としてこれは取り上げなきゃならない、そういうことで最終的な締めくくりは官房長官のところにお願いするというふうになるのではないかと思います。
  122. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それで、現在結局、なかなかお答えが出てこないということは、内閣でこういう問題を余り考えておらなかったということなんだね。だからこういう問題を、防衛という問題のこれが根本なんだから考えてほしい、こういうことなんですよ、どうでしょうか。
  123. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) こういった大変厳しい情勢の中での国のあり方に関する基本の問題を飯田さんはお取り上げになっているように私は思います。ただ残念ながら、先ほどちょっとお答えしましたように、国民の気持ちといいますか意識というか、国民意識と言った方がいいでしょうね、そこまでまだいっていない、そこに非常な悩みがあるのが今日の日本の現状ではないのか。といって、これは放置するわけにはまいりません。そこで、飯田さんの御提言は、こういうような基本の問題にこそ内閣は一体となって取り組めという御激励のお言葉として承らせていただきたいと思います。
  124. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 防衛問題は難しいから、もう少し具体的な防衛問題に入ります。  これは質問事項を出しておきましたが、余り難しい問題はやめまして具体的な問題で、先ほど靖国問題の御質問がございましたが、これにつきまして二、三お尋ねをいたしたいと思います。  先般、以前の二階堂副総裁、現在は副総裁でないようですが、二階堂さんが訪中されました際に、中国の外相と会談なさったということが新聞に出たことがありますが、その内容はどういう内容だったんでしょうか、お尋ねいたします。
  125. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 二階堂さんは党の最高顧問でもあられるわけでございますけれども、今回の訪中は衆議院議員二階堂それがしといったようなお立場でお行きになられたのであろうと私はさように考えております。御出発の前にもお会いをいたしましたし、お帰りになってからもこういうことであったよというようなお話は聞きましたけれども、これはやはり公のこういった場でお答えするのは私は差し控えさせていただきたい、かように思っております。
  126. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 この靖国問題は、結局は靖国神社を宗教と考えるかどうかということになると思いますが、問題は宗教の定義なんですが、法律上の定義というものがなかなか的確な定義がなくて困っておるわけですが、法律上宗教とはどういう定義を下しておるんでしょうか。  政府の方の御見解ですと、靖国神社はあれは習俗だといったような御見解もあったように聞くんですが、習俗ということになると一体習俗とは何だというまた難しい問題になる。やはり靖国神社は行って拝むんだから、拝む対象があって拝む以上はやっぱり宗教じゃないかと常識的に思われるんですが、こういう点についてどういう御見解でしょうか。これは官房長官お願いします。——これはどうも担当者がおいでにならぬようでちょっと御無礼しましたが、靖国神社というのはやはり拝む対象でありますので、宗教と解釈する方が常識的ではないかと思うわけです。  ただ、憲法では国の機関がお参りするのはよくない、こう書いてあるので、国の機関でなくて靖国神社の信仰者としての個人がお参りになるのはそれを何も私どもはどうこうと申し上げるわけではないわけでありますが、ただ、「国及びその機関は」いかなる宗教的活動もしてはいかぬと二十条に書いてあるものですから、それで国民の誤解を生むわけです。  例えば、靖国神社へ大臣が正式にお参りになるということになると、これは国の機関ですから、国の機関が宗教的活動をしたということになりはしないかということで、いろいろ国民の方から批判が出ることは当然だと思いますね。殊に日本は仏教の信者、キリスト教の信者が多いものですから、本願寺もキリスト教会も皆反対をしておるわけです。反対しないのはただ遺族会だけと、こういうことになりまして、人数からいきますと遺族会の方が少ないんですよ、絶対的に少ないわけです。それで、絶対的に少ない人が賛成しておるからといっておやりになることはどうか、こう思うわけですが、この点について政府の御見解はどうですか。公式な御見解をお尋ねします。
  127. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 飯田さんの御質問は、お参りすべきであるというのは国民の中の少数派だと、こういう御質問ですね。それは逆ではないでしょうかね。その点は私は残念ながら御同意を申し上げるわけにはいかない。お参りすべきではないかという方がはるかに数が多いということは私は客観的事実であろう、かように思います。
  128. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 私の質問はそういう質問じゃなかったんですよ。靖国神社は拝む対象だから、拝む対象である以上は常識的にこれは宗教ではないか、そうであるなら、国及び国の機関はどのような宗教的活動もしてはいかぬとなっていますから、どういう形式で拝もうと参拝形式にはかかわりなくそれは宗教的なことをしたことになりはせぬか、それでは困るのではありませんかと、こういう質問なんです。いかがでしょう。
  129. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 靖国神社は宗教法人に終戦後なっているということだけは事実でございます。宗教の定義が法律上どうかということになりますと、これは専門家の口を通じてでないと私はそれに今ここではお答えを申し上げかねる、こう思うわけでございます。  なお、憲法二十条は一項、二項、三項とたしか三項目ございますが、宗教行事には何人といえども強制せられないというのが第二項であったと思います、宗教行事。それから三項は、宗教活動という言葉を使っておるわけでございます。そこで、昨年政府総理大臣の公式参拝に踏み切ったという場合のやり方というのは、神社儀式に従わないやり方でやるならばこれは別段宗教活動に該当しないといったようなことで、ああいう参拝の方式を採用したということでございます。  私自身はやはり、靖国神社にお参りするというのは素直な国民感情だと理解しているんです。しかし、それが宗教活動に当たるのか当たらぬのかといえば、私はああいったやり方をやるならば、これは別段特定の宗教を鼓舞激励する、宗旨を弘布、宣布するといったような意味合いはさらさら持っておりませんし、同時にまた、宗教法人靖国神社を激励する意味も持っておりません。ただひたすらに私どもは、あそこに祭られておる多くの戦没者の皆さん方を国民として追悼し、そして二度とああいった戦にならないように平和を守り抜くという決意を、あそこの社頭で敬けんな気持ちで表明するということは私はあってしかるべきことであろう、私自身はさように考えているわけでございます。
  130. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 これは靖国神社を信仰なさっておるお方の立場としては極めて当然なことになる、そう思いますけれども、国の機関としてやっていいかどうかということはやはり疑問が残ると思います。もし国の機関として靖国神社にお参りしていいということであるならば、例えば本願寺に戦没者を祭った位牌がございます場合に、その戦没者の慰霊祭を本願寺でやることがございますが、あれにやはり国の機関としてお参りになるかどうかという問題があると思います。今まで本願寺の方は参らないで靖国神社だけ参られるという、しかも参る対象はこれは戦没者であるわけですが、何かそこに差別があるようにうかがえるわけですね。  それで、そういう差別を避けるためにもやはり自重された方がいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  131. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 国の機関として云々と、まさにそこが一番の問題点、それが結局は公式参拝という点をどう考えるかという問題になろうかと思います。  私どもとしては、内閣としましては、昨年とりましたような見解のもとに、国務大臣国務大臣たる地位において参拝をするということが公式参拝である。こういう見解でございますが、その際にはやはりいわゆる宗教儀式、これにのっとってやることは適当でない、これさえ避けて、そして追悼の誠をささげて敬けんな気持ちでお参りをし、そして平和を祈念するということであるならば、別段憲法二十条第三項の宗教活動に入らない、こういう見解でございまして、それによって参拝をしたというのが事実でございまして、私はそれでいいのではないのか。  ただ、ことし参拝を見合わせましたのは、先ほど来お答えいたしますように、いろいろな面について慎重な配慮の結果本年は見合わせた、別段制度的にこれを固めたわけでございませんので、ことしは見合わせた、かように理解いたしておるわけでございます。
  132. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 それじゃ、この問題はまた後にしまして、きょうはやめまして、最後に、これも新聞に載っておりましたが、海上自衛隊の幹部の人が資料を横流しされたということが載っておりまして、この資料は秘密じゃないからいいではないかというようなことになっておるようですが、どうでしょうかね、秘密じゃなければ隊員が勝手に資料を横流ししていいか、官庁書類ですよ、という問題ですが、この点についての防衛庁長官の御見解はいかがでしょうか。
  133. 松本宗和

    説明員(松本宗和君) 御質問の資料でございますけれども、これは海上自衛隊が装備品等の分類識別等の作業をやります際に必要な手引書でございます。この資料は海上自衛隊での取り扱いがいわゆる普通文書、秘とか極秘とかそういう分類になっていない普通の文書でございまして、装備品等の分類識別の作業につきましては、これは一部部外の民間の企業に委託しております関係上、所要の手続を経まして部外に対して閲覧または貸し出しを実施することが可能であるという種類の文書でございます。  ただ、いずれにいたしましても、今回の事件で、二等海佐でございますけれども、この所要の手続を行いませんで無断でこの資料を持ち出し複製、売却いたしたわけでございまして、これはまことに遺憾なことでございます。申しわけないことであると防衛庁では考えております。
  134. 飯田忠雄

    ○飯田忠雄君 時間が来ました。終わります。
  135. 峯山昭範

    峯山昭範君 私に与えられた時間は非常にきょうは短いので、端的に幾つかお伺いをしておきたいと思います。午前中にも同僚議員の方から質問がございましたので、そこら辺のところはダブらないようにしたいと思います。  ただし官房長官、ただいまの答弁ですね、私ちょっと靖国の問題をきょう質問するつもりはございませんでしたが、今の答弁を聞いておりまして、これはいつかどこかの時点で議論をしたいと思います。大臣の中でも、宗教というのは個人の心の問題であるからこれは公式参拝とかそういうことを言うものじゃない、こういうふうに発言された大臣もおりました。なかなか僕は見識のある方だな、そう思いました。そういうふうな意味では、相手が多かろうと少なかろうとやっぱり、心の問題に強烈な弾圧を加えるなんという感じになることはいかぬわけですよ。そういうふうな意味もあって憲法は第二十条の第三項でこの問題がうたわれているわけでありまして、そこら辺のところはやっぱり厳密に議論をすべきだ、こういうふうに私は思います。したがって、その点だけ私はきょうは申し上げておきたいと思います。  それから、この問題はそれでおきまして、人勧の問題について、官房長官、これは先ほどから答弁がございました。総裁からもお話がございましたし、玉置さんの方からもお話がございました。そこで、これは完全実施ということに向けましてこれからいろんなスケジュールがあるわけでございますが、この間第一回の関係閣僚会議が開かれまして、これから何回か開かれて決まるわけでございましょうが、これからの大体の段取りですね、言うたら。これは大体どういうふうな段取りになるのか。そしてまた、関係法案がどこら辺で提出されるかという問題も本当はお聞きしたいわけであります。  私は、この問題を余りようけ言いませんのでまとめて申し上げておきますと、いつも給与関係法案の最終処理というのがそのときの国会の重要法案と取引をされる。これは非常に遺憾なことだと私は思うんですね。したがって、この点大臣、今国会は国鉄問題等重要問題が控えているわけであります。しかも大臣が玉置大臣でありまして、これは過去いろんないきさつも私よう知っておりますけれども、そういう可能性がなきにしもあらずでありまして、そういうふうな意味では、この給与関係の問題につきましてはできるだけ速やかに、また、そういう問題と絡み合わないで処理をしていただきたいし、早期提出をしてできるだけ早く完全実施をしていただきたい、このことをお願いしたいわけでございます。  この点について御答弁をお伺いしたいと思います。
  136. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 八月の十二日に人事院から勧告をちょうだいして、十五日に第一回の給与関係閣僚会議を開きましたが、これはまだ議論が煮詰まっておりません。あと何回か開きまして、今峯山さんがおっしゃいましたように、私は、誠意を持って政府としてはできるだけ早く、そしてこれも午前中にお答えした記憶がございますが、少なくとも職員にこれはどうなるんだといったような不安感を与えないような姿で処理をしたい、かように考えております。  それといま一点、国会でいつも重要法案との取引材料みたいな形で扱われておるのは大変残念である、こういう御指摘でございましたが、これは給与法だけではなしに例の公労協の仲裁裁定ですか、これらもそういうような気配を私も感じます。しかし、これは国会内部のことでございまするので、私の方からはひとつ答えることは差し控えさせていただきたい、こう思います。
  137. 峯山昭範

    峯山昭範君 確かに、言われてみれば国会内のことでございます。ようわかっております。ようわかっておりますが、その裏にはどこかひもがついていていろいろと操作をする人がいるやに聞いていますので。  次に、栗原長官長官就任以来、私は長官の御性格等全く知らないわけじゃございません、非常に温厚な、アメリカの皆さんから期待されている防衛長官だそうでございまして。ところがそれにもかかわらず、この間から新聞に出ておる中身を見てみますと、非常に勇ましい見出しになって出ているわけです。とにかく一%なんというものはこれは大したことはないんだ、やっぱり大綱の方が優先するんだ、そういうふうな感じの記事が非常に多いわけであります。先ほど午前中のお話を聞いておりますと、ちょっと違うかなという感じもいたしますが、それにしましてもこれは非常に大事な問題でございますのでここら辺のところを、いろいろこれは記事一つ一つ読み上げている時間はございません。したがいまして、きょうは大臣お見えでございますので、この一%問題に対して大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか、その真意のほどを初めにお伺いしたいと思います。
  138. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 私が長官に就任する前と就任してから心変わりがある、むしろ勇ましくなったと、こういうふうにお思いになられるとすれば、これはそういう誤解を与えて大変申しわけないと思います。私は一貫して変わっていない。  御案内のとおり、先ほど来お話にありましたとおり、我が国の国の平和と安全をどう守るか、いろいろの手段がございますけれども、いわゆる防衛力の整備ということはその中でも非常に大きな部面を持っておる。この防衛力の整備というのは実際に行われているかというと、防衛計画の大綱というのができてその水準にできるだけ早くと言っていながら、いまだにそれは達成されてない。具体的に言うと、別表の主要装備とかあるいは基幹部隊というものに対する内容が充実していない。だからそれは早く充実をさせなきゃならないんじゃないか。その充実させるためにはどうするかというと、継続的計画でなきゃいけないわけです。非常に景気がいいからといって防衛をやる、景気が悪いからといって防衛は削除する、そういう器用なまねはできない。必要最小限度のものだけはぜひやらにゃならぬじゃないか。そういうような意味合いから、着実な防衛力の整備という観点から物を言うているわけであります。  ところが、いろいろの記者の人たちとの質疑応答あるいはその他の方々との懇談の中で出てきますのは、やはり一%というものについて破るのか破らないのかというそういう議論から出てくるわけです。だから、それについては、一%を破ったら軍事大国になる、一%以内ならいいという、そういう発想自体に疑問を投げているんです。それから防衛計画の大綱と一%、こういうことを言いますから、今申しましたとおり、防衛計画の大綱水準に整々と継続的計画でやるべきである、こういう主張を述べているんです。ところが見出しになります場合はそれぞれの方々の御主観で出るわけでございまして、これはそれなりに私はそういうふうに考えられる方もあるという意味で結構じゃないかと思っていますが、私の基本的な態度は、勇ましくそれを突破させよう、そのために鋭意努力しているというものでないことだけ御理解をいただきたいと思います。
  139. 峯山昭範

    峯山昭範君 大臣のお考えのほどはよくわかりました。  そこで大臣、今までのいろんな当内閣委員会における議論あるいは予算委員会等における議論を踏まえまして、まず前提としてその大綱の水準を早く達成したい、これは当然だろうと私は思うんです。だから景気のいいときは勇ましくやって景気の悪いときはゆっくりと大臣おっしゃっていますけれども、もうこの十年ずうっと景気が悪いわけですよ、これは本当。ずうっと悪いんですけれども、防衛予算だけはぐうっと頑張っておるわけですよ、大臣、ほんま。いやこれは事実ですね、首振っておりますけれどもほんまでっせ、これは。  そこで、それは私も大臣の気持ちはわかります、大綱を一生懸命達成しようという気持ちはわかる。だけれども、それと同時にやっぱり一%は守ろうという努力はせにゃいかぬ、これは閣議で決定しているわけですから。だから私は、この一%より大綱優先とかいうそうじゃなしに、やっぱり大綱も達成せにゃいかぬ、また一%を守るための努力をせにゃいかぬ。私はそういう気持ちでまずいないといけないのじゃないか、そう思いますが、どうでしょうか。
  140. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 全くそのとおりですね。ですから私は先ほども申しましたとおり、そういう気持ちでおるけれども、三木内閣防衛費に関する閣議決定についてはこれを守っていきたい、そう考えておりますということを申し上げておるわけでございます。
  141. 峯山昭範

    峯山昭範君 余りややこしいことを言うとおかしくなるんで、端的に言って、私はそういうふうな、例えば一%を守ります、守る決意で頑張ると。  それで、午前中の御質問の中にもありましたけれども、例えば円高の問題ですよ。ああいう問題も、防衛庁のお役人さんの話を聞いていると、円高のメリットは全然ないんだというふうなことを一生懸命、日銀にあれは払うてしまえば一銭もないんだという、早う言うたらそういうふうな感じの言い方ですね。  そうじゃなしに、やっぱりトータルで考えればあるわけですよ、国としても。対米の、いろんな向こうから言ってくることもそのことを言っているわけですから。そういうふうな意味では、そういういろんなものを絡め合わせて、辛抱するところは辛抱し、節約するところは節約をして、そして、ことしも何とかGNP一%以内で頑張りたい、一生懸命やりますよと。最終的には、大臣がおっしゃっていますように、まだ、このGNPとか、分母もわからない、分子もわからないわけですから。そういったことはありますけれども、やっぱり守るための努力全力を挙げてやります、こういう姿勢でなければいかぬのと違うかな、こう思うんですけれども、どうでしょうか。
  142. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) これは、これから予算の中で節約する部面がないかとか、不用なものがないかということについては、防衛庁は真剣に取り組むべきである、私はかように考えております。
  143. 峯山昭範

    峯山昭範君 次に、これもそういう問題と多少絡みがあって、嫌らしいけれどもこれはちょっとやっぱり一言やっておきます。  この間の選挙の前にF4戦闘機が墜落しましたね、二機。あれはあの原因とかみんなわかったんですか。
  144. 依田智治

    説明員(依田智治君) 先般、事故調査委員会の結果が出まして、原因が判明した次第でございます。
  145. 峯山昭範

    峯山昭範君 端的に言って、何で落ちたんですか。
  146. 依田智治

    説明員(依田智治君) 燃料切れでございまして、その燃料切れの原因、結局パイロットに、天候等が急変しまして新田原基地から福岡の築城の基地に向かわせたわけでございます。通常、燃料は十分——十分ほどではないんですが、大体二千ポンドあれば築城へ行けるという状況の中で、大体二千ポンドを超える燃料を両機とも持っておったわけでございますが、直行して経済的速度で行っておれば十分間に合ったわけでございますが、ちょっと他の方の航空管制等に迷惑を及ぼさぬようにというような配慮をして、若干航空路を平常のよりちょっと迂回したというようなところで燃料を若干多く消費したということと、あと一つは、早く行こうとしたところ、大分燃料がぐっと減るものですから、できるだけ減らないようにということで若干出力を絞ったところ、速度が落ちてそれで結局——そういうことでございます。
  147. 峯山昭範

    峯山昭範君 これは一機大体何ぼするんですか。
  148. 依田智治

    説明員(依田智治君) この面機は四十六年並びに四十八年に発注しまして、それぞれ四年後に取得しているわけでございますが、当時の取得価格がそれぞれ二十億並びに二十一億でございます。
  149. 峯山昭範

    峯山昭範君 当時の価格で二十億、一番新しい五十二年の価格でいきますと三十七億七千七百万円、一機で。二機で七十億近くとれはかかるわけですよ。  いや、何でこれを質問するかといいますと、僕のところへある友人が来て、この間戦闘機が落ちたそうですなと言うんですよ。ガス欠で落ちたんですってと、こう言うんですよね。我々が高速道路を走っていて、自動車を運転していてガス欠で事故を起こしたらどないして怒られるか知ってますかというんですよ、私に。それはお巡りさんから、ガソリンがどのくらいあるかというのはおまえメーター見てへんのか、何ぼぐらい走るなんてそんなのわかっているやろうと。コンピューターをいっぱい積んだ戦闘機がガス欠で落ちるなんて何事やと、こう私に言うんです。えらく怒られましたよ、私は。そんなばかなことないやろうと。後で聞いたらやっぱり燃料切れ、いろいろ説明していますけれどもガス欠ですわ、言うたち、これ。本当にこんなばかな話があるか。しかも、その古い購入価格では二十億、新しいのでは三十何億、非常に高い金額ですよ。しかも国民の財産です。そういうふうなところをぴっしっとしないと、防衛とかいろんな問題はやっぱり国民がどれだけ協力をするか、国民にどれだけ理解を得るかというのが私は大事だと思うんですよ。  そういう点では、ちょっとこれはひとつ何とか言うとかにゃいかぬでと。私、一遍委員会で言いますからと。一遍言うたんですけれども、これは大臣、こういうことはきちっとしておいていただきたいと私は思うんですよ。どうですか。
  150. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 御指摘のとおり、これは大変遺憾な事件だったと思っております。国民の皆さん方に対しましても私は大変申しわけないと存じております。今後かかることのないように篤と督励をしてまいりたいと思います。
  151. 峯山昭範

    峯山昭範君 もう一点だけお伺いして私は終わりたいと思います。  ニュージャージーの問題であります。これは官房長官事情はようわかるんです。もう官房長官も、さっき午前中の質問でも二、三遍同じことを言うてはったですけれども、これはいろいろありますよ。いろいろありますけれども、要するに軍事専門家はもちろんのこと、国民の大部分の皆さん方は、あのニュージャージーに核を積んでいるのじゃないかというふうにお考えの方が、私はやっぱり多いのじゃないかなと思うんです。それは、いや事前協議というのがあるらしいので、アメリカから言ってきていないんだからきっと積んでいないんだ、こういうふうにお考えになっていらっしゃる方もいるかもしりません。しかし私は、調べてみれば、半々やっぱり積んでいるんじゃないかと思って疑惑を持っている人、特に専門家の中にはそういう人が多いんじゃないかなと思うのですよ。  そこで私は、二つ官房長官からお答えをいただきたいと思っております。  一つは、非核三原則という問題について、日本政府のきちっとした見解をひとつ明確にしていただきたいというのが一つ。それからもう一つは、日本の政府として、あれには積んでいないんです、国民の皆さんこうなんですよということを、何らかの形でアピールするなりわかりやすくしてあげる。みんな不信を持っておるわけですから、それは官房長官なりあるいはしかるべき人が、いや事前協議はなかったけれども、実はいろいろ皆さんに心配していただいているのでこういうふうなことをしたんです、その結果こうだったんです、そういうふうに説明をするのは何も難しいことでも何でもない。できるだけそういうふうな国民の不信をきちっと晴らすということが、これからのいろんな日米関係なりあるいは防衛問題を議論する上の非常に大事な問題じゃないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、この二点についてのお答えをいただきたいと思います。
  152. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) おっしゃるように、国民の中には、そうは言いながらも核を持ち込んでおるのではないかといったようなお考えを持っていらっしゃる方も相当おると私も推測をいたします。しかしながら、私はやはり条約というもの、殊にまた、安保条約といったような極めて両国にとって重要な条約というものは、これはやはり相互の信頼感の上に立って初めて有効に作動する、私はさように理解をするわけです。  そういたしますと、やはり核の持ち込みについて事前協議の対象になっておる云々といったようなことから、日本政府としては、アメリカ側からその申し入れのない以上は、やはり核は積んでいない、こう理解をしてそしてすべてを運んでいくのが日本としてのあるべき姿ではないのか、私自身はさように理解をいたします。ただ、その点について国民に対してやはりもう少しそれならそれなりのアピールの仕方をとるべしといったようなことは、よく私どもも考えなきゃならない、かように理解をいたします。  それから、非核三原則についてはどう考えているのだというのは、恐らくや持たず、つくらず、持ち込ませずといったようなことの点についてのお話だと思いますが、やはり政府としては、いろんな御意見が世上にあることは承知しておりますけれども、非核三原則はあくまでも守り抜いていきたい、かように考えておるわけでございます。
  153. 峯山昭範

    峯山昭範君 どうもありがとうございました。
  154. 内藤功

    ○内藤功君 人事院勧告が出ました。今度の勧告は現在の給与勧告制度が始まって以来の最低の二・三一%であります。この七年間にわたりまして公務員給与抑制、その中には人事院勧告の不実施というまことにゆゆしき事態が続いてまいったわけでございます。私も現場の方々といろんな機会にお話をして、やはり税金が差し引かれる、それから年金、健康保険、こういったものが差し引かれるのを考えてみると、これでは実質的には賃金の引き上げどころか非常に苦しくなっているという声を現場の第一線の方から多く聞くのであります。特に、その低い二・三一%の完全実施が非常に問題になり、まだいつ決定されるかわからぬという事態は、現場第一線のまじめに働いておられる職員の方々のいわゆる士気にも影響し、暮らしを非常に暗いものにしていくということを私はまず率直に指摘せざるを得ないところであります。  私は、その前提の上で、日本国憲法第二十八条に定める団体行動権の代償、団結権の代償としてのこの人事院勧告給与勧告制度というものをしっかりとことで頭に置いて、まず官房長官に、これについての完全実施誠意を持って行うということの基本的な姿勢、御決意というものを伺っておきたいと思います。
  155. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは人事院勧告制度意味合い、さらにはまたここ数年にわたっての官房長官談話趣旨、こういったことがございますので、政府としましては最大限人事院勧告完全実施に向けて国政全体との関連の中で解決をしていきたい。    〔委員長退席、理事板垣正君着席〕 その際に、申し上げておきたいことは、職員の皆さんに不安感を与えるといったようなことのないような措置をいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  156. 内藤功

    ○内藤功君 今度のいわゆる四週六休制についてであります。これは人事院官房長官にそれぞれお答えをいただきたい。  文書によりますと、昭和六十二年内における四週六休制移行を目標として本年末以降その試行を行うこと、こういう報告あるいは提言と申しますか、そういう形態になっております。私は、きちっとこれは勧告すべきであったというふうに考えております。私は、こういう国際的にも週休二日制、労働時間の短縮というのが大きな趨勢である現状において、やはり人事院が国際感覚それから人権感覚というものをもっと鋭く研ぎ澄まして勧告ということをすべきであったというふうに思うのでございます。なぜこういう形にされたかという点を人事院にお伺いしたい。
  157. 内海倫

    説明員内海倫君) 確かに御質問のようなお考え、私どもも決して否定するものではございません。人事院におきましても、今回の勧告に際しましてあらゆる面からいろいろと検討し、考え抜きました結果、遺憾ながら本年におきましては勧告からは外して報告において強く要望していく、こういう形をとったわけでございまして、その間におけるいろいろな事情あるいは経緯につきましては主管の局長から答弁をいたさせます。
  158. 中島忠能

    説明員(中島忠能君) 四週五休制という枠内において現在四分の二指定方式というのを実施してもらっています。ところが、国家公務員の中で四分の一近い職員が四分の二指定方式に乗れないということでございます。したがいまして、その四分の一近い職員がどういう形で四週六休制実施できるのか、それをことしの末からの試行の過程でしっかりつかんでいかなきゃならない。そのつかんだ結果どういうような制度改正、どういうようなことをすれば四週六休制が円滑に実施できるのかということを整理していかなきゃならない。その整理できたところで本格実施勧告をいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  159. 内藤功

    ○内藤功君 人事院説明書にもありますように、民間の場合は事業所で七六%、これが週休二日制を実施しておる、隔週または月二回以上の週休二日制をやっているのは五九・一%と年々増加している、このこと自体は私はいいことだと思いますね。公務員の場合ですが、行政サービスを低下させないでこの二日制を採用することは十分に私は可能だと思う。この場合非常に厳しいのは交代勤務のある職員でありますが、現在の職員の数ではどうしてもそこに無理があるとも思われます。  そこで私は、この際、真剣に政府週休二日制、これを追求されるというのであれば、現行の総定員数の見直し、もちろん増加の方向でのですね、この見直しをやはり考えなきゃならぬ時期にこういう意味でも来ていると私は思っているわけです。この点、政府の率直なお考えを伺いたい。
  160. 佐々木晴夫

    説明員佐々木晴夫君) 国家公務員の四週六休制への移行につきましては、確かに一つのお考えであると思いますけれども、今政府が当面しております最重要課題の一つであります行財政改革等の関連も十分に考慮しなければならないと思うわけであります。  かつて四週五休を試行いたしますとき、これは昭和五十五年でありますけれども、既に実施しております四週五休制の場合も、そのための予算定員の増を行わないということを前提といたしておるわけでありまして、また現下の大変厳しい情勢のもとでは引き続いて厳しい定員管理を行う必要があるということから、今後の人事院の提言につきましても同様に新たな予算定員の増をもたらさないということが前提でなければならないと、このように考えているわけであります。そうでなければ、これについての国民の理解は得られないと私どもは考えている次第であります。
  161. 内藤功

    ○内藤功君 若干意見を異にします。しかし、この点についてはさらに引き続き他の機会に究明をしたいと思います。  次に、三宅島の問題であります。  昭和六十二年度の概算要求の中で、この三宅島のNLP関連予算はどのようになっておりますか。
  162. 宍倉宗夫

    説明員(宍倉宗夫君) 昭和六十二年度予算要求についてのお尋ねでございますが、まだ予算要求を大蔵省の方に提出いたしてございません。近日中に提出をする予定でございます。その前の段階でございますから余りこういう立法府の場で詳しい御説明を申し上げるのもいかがかと存じますが、ただ、私どもが今考えておりますのは、三宅島の関連といたしまして三億五千万円余の予算要求をするつもりでおります。その内容でございますが、内容につきましては、地形、地質の調査でございますとか、配置計画、造成計画のための調査でございますとか、あるいは気象、環境調査でございますとか、もろもろの飛行場をつくるためのデータを入手するための調査工事費というものが主体だということに考えております。
  163. 内藤功

    ○内藤功君 この種の調査は島民の、住民の同意がやはり絶対の前提だと思います。同意をしていない。同意をしていないどころか、七月二十八日、いわゆるリコール投票の結果は、NLP推進賛成の村会議員二名のリコール投票が行われて、リコール賛成約二千票です。一人の方は千九百七票、これはリコール賛成票。他の人は二千票。反対は一人の方が六百四十六票、もう一人の方が五百四十七票、圧倒的な差でこの結果が示されたわけです。    〔理事板垣正君退席、委員長着席〕 私は住民の同意どころか、反対の意思がいよいよかたく明確になっていると判断をいたします。防衛庁長官はこの住民の意思をまず尊重して、その前提に立ってお考えをなさるのが私は当然だと思います。住民の意思について栗原長官はどういうふうにお考えですか。
  164. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 現在、三宅の島民の方々がNLPについて反対である、それは十分に私も承知をしております。その承知の上に今後いかにして御理解をいただくかということを考えているというのが率直な気持ちであります。
  165. 内藤功

    ○内藤功君 長官は近くアメリカに渡られまして、合衆国の国防長官とお会いになると聞いております。私は、その際にぜひ数字的なものも含めてリアルに島民の意思を、この選挙であらわれた、地方自治法の制度によってあらわれたこの数字を明確にお示しいただきたいと思うんです。  これは、長くやればうまくいくというものじゃないんです。特に最近では、四月七日に三宅島の東方一・八キロ沖の海上に米空母艦上機EA6B電子偵察機、これが墜落いたしまして、これは陸上だったら大変なことであります。ちょっと狂っていれば大変です。そうして九日には、厚木の裁判でもって東京高裁が、周辺住民の被害について救済への道を完全に閉ざす判決をしている。この二つは事実をもって島民の方々に、もしこういうNLP基地ができたら大変だ、救済も裁判で受けられない、飛行機の墜落も目の前で見ている、これが加わっているんですよ。ですから、政治というのは思いやり、またもう一つは思い切り、引き際というものが大事です。私は、あなたは御同意なさらないだろうけれども、これはやはり賢明な政治家は機を見て住民の考え方をよく判断して、引くとき、断念するということを考えなくちゃいかぬというふうに思っているんです。  あなたの口から容易にイエスという返事が出ると私は思いません。しかし、島民のこれだけの意思はかたいですよ。このことを再度申し上げておきたいですね。地方自治というもの、これは一昨年の三月十七日に立木参議院議員の予算委員会での質問、私も一緒に理事として聞いておりました。あのとき中曽根総理に、核兵器がないという証明書がない限りは外国軍艦は入れないという神戸の措置をどう思うか、こう聞いたときに、中曽根総理は、それは地方自治の本旨に基づくそれなりのやり方だと理解しておると、そのとき言われたんですよ。これ自体は正しいと思うんですね。同じことなんです、今三宅で村長以下村議会がやっていることは。まだまだ申し上げたいことはいっぱいありますけれども、私は、こういう趣旨を踏まえて、あなたがアメリカのワインバーガー長官に対して明確なやはり意思、これを申されること、そしてこの国の防衛庁長官として立つ場合にはこれは断念さるべきだということを考えていることを申し上げたいと思うんです。再度いかがでございましょうか。
  166. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 三宅島の実情についてワインバーガー長官と話すときには率直に申し上げます、それは。ただ、一つ根本的に違うのは、私は日本国の防衛庁長官であって、日米安保というものは非常に重要視しております。その点ではあなたと見解を全く異にしておる。そういう観点から島民の方々にもひとつ御理解をいただく努力をいたしたい。今までこうなってしまったというのには、我々の方の説明なり説得に欠けるところもあったのじゃないか。住民の皆さん方の意向もよく聞きながら、国の大きな問題を考えていただくと同時に、将来の島の問題についてもよくお考えいただく、そういうことでいきたいと考えておりますので、私といたしましてはおっしゃるとおりこの島についてはあきらめる、そういうようなことは一切考えておりません。御理解をさらに続けたい、こういうふうに思っております。
  167. 内藤功

    ○内藤功君 四月十七日ですが、三宅村長はこういう文書を持って防衛施設庁長官に申し入れております。  計画の概要については、昭和六十年十月十八日、貴庁を訪問し、伺っている。関係資料も本村民に全戸配布を完了しており、住民はよく知っておるところです。しかし、依然として建設反対の意思を変えておらず、貴庁関係者による現地説明会、対話集会は不要であると認めますという明確な意思表示が出ておるんですね。もうそういうことを十分知った上でのリコール投票の結果だということを、これは私は今のあなたのお話に対してお返しを申し上げたい、答弁を逆に申し上げておきたいと思うんです。  それから、安保条約賛成、反対、確かに栗原長官と私は適います。百八十度違うかもしれません。しかし、この三宅の問題はこれは政党政派を問わないですね。よく村長が言うんですけれども、思想、信条党派を問わない、あるいは安保反対の党派はあそこは本来少ないですから。そういう反対だということもお考えいただきたいと私は思います。
  168. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) このNLPの問題は日米安保で非常に重要でして、これはできなくていいんだ、こういうわけにいかぬのです。これはやらにゃいかぬのですよ。私はやるつもりです。そうすれば、どこにお願いするのが一番適当かということで選定をしておるんです。しかも、あなたもよくおわかりでしょうけれども、説得の仕方によっては反対に回ったり、説得の仕方によっては考えてみようかというのがあるんですよ、これ。私は今度防衛庁長官に再度なりましたので、今までの中で足らざるところは島民の皆さんにもよくお願いをして御理解をいただきたい、こう考えております。
  169. 内藤功

    ○内藤功君 この点はさっきも申しましたように、七八%なりあるいは八五%なりの分析をよくしてもらいたいんです。そんなに安保反対の人が四分の三も三宅島にいるわけがないんですよ。これは安保賛成の人を含めた七五%、この数字なんですね。そこをやっぱり、これは繰り返しになりますからあなたの答弁は求めませんけれども、もう一度私はここのところを強調しておきたいと思います。
  170. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) 安保反対でない人たちがそれだけ反対するのは一体どういう理由であるかということを私なりによく考え、よく御理解をいただきたい、こう考えております。
  171. 内藤功

    ○内藤功君 安保賛成の人も反対するというのは、やっぱり島民の暮らしですね。これも四月十七日、私のところに来ているんです。我々はわがままを言っているつもりはない、補償金や物品よりも生命が大事だ、安らぎと団らんのある夜と生活を欲しているからだ、こう言っております。よくお考えになるというんですから、私はこういうことを、なぜ安保賛成の人が反対に回るか、それをよく考えていただきたい。
  172. 栗原祐幸

    国務大臣栗原祐幸君) これは恐らく島の方々に対して島の将来の問題、国の問題と島の将来の問題についても我々は十分に配慮しているんだ、そこら辺の御理解がまだ足らなかったんじゃないかと思いますよ。あなた方のような話し方をすると、違った見解になると思います。
  173. 内藤功

    ○内藤功君 繰り返して申しますが、あらゆる資料は全村民全戸配布をやっているんですよ。その上の判断が出ているということを私は申し上げておきたいと思うんです。  次に、先ほどから問題になっておるニュージャージーの問題であります。  ニュージャージー、それから巡洋艦ロングビーチ、駆逐艦メリル、これを中心とする、補給艦、フリゲート艦を含む、サーフェースアクショングループ、水上戦闘群ですか、これが来たわけですね。ニュージャージーだけ来たわけじゃないん です。ニュージャージーを中心にする部隊が来た。九月二日に佐世保を出港した後、報道によれば、日本海においてカールビンソン中心の空母群、CBGですね、それからレンジャー中心の空母群、この二個空母群とともに演習を行うというふうに報道をされております。  これは天下に公知の報道であります。防衛庁並びに外務省のこの点についての認識を伺います。情報はどういう情報を得ておられますか。
  174. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) この点につきましては、けさほども当委員会におきまして御説明申し上げましたとおり、米軍の特定の艦船の行動につきまして米軍といたしまして、これは軍隊である以上当然でございますけれども、これを、特に将来の行動につきましてはこれは明らかにするものではございません。したがいまして、日本政府といたしましては、それを承知し、かつそれをこのような公の席で述べるという立場にないということでございます。もちろん、いろいろな報道などが行われているということは十分存じております。
  175. 依田智治

    説明員(依田智治君) 防衛庁といたしましても、今外務省から答弁いたしましたように、訓練等につきましては承知してございません。
  176. 内藤功

    ○内藤功君 防衛庁ね、高い予算を使ってレーダーとかいろんな偵察機とかを買っておるでしょう。何のために買っているんですか。それから、今まで何十回、何百回と共同訓練をやっているでしょう、日本の周りで。あなたの判断を聞いているんですよ。防衛庁として、これからどう行くであろうか、この佐世保に来て、広島に来て、横須賀に来ている船はこれからどっちの方へ行くのか。アメリカへ帰っちゃうのか、それとも南へ行くのか、オホーツク海に行くのか、その判断ぐらいできないのかね。
  177. 依田智治

    説明員(依田智治君) 今外務省から答弁いたしましたように、特定の艦の行動につきまして公表しておりませんので承知していない状況でございます。
  178. 内藤功

    ○内藤功君 大韓航空機をずうっとその航跡を追っていったときは、アメリカがびっくりするくらい全部追っていたじゃないですか。それがどうしてアメリカの船が、今までの来た形跡からいって、また八四年からいって、これからどうなるかわからないのか。私がそれを言うのは、一九八四年、この委員会で私も質問したんです。フリーテックス演習があったでしょう。空母二隻、あのときはビンソンとミッドウェーですよ。これが日本海に入った。そしてウラジオストクの五十マイルのところへ行って、ソ連の方も、向こうも持っていますから出てきた。百五十機出てきたそうです。こういう一触即発の状態だったんですよ。  今度はあのときより大きいですよ。二個空母群ビンソンとレンジャー、それに一個海上群が入っているのであります。戦艦が入って、戦艦だけじゃ大したことはない、しかし空母の傘があるからね、それがくっついている。内陸部の基地を遠いところからたたくというんだ、このトマホークで。そういうのが来れば、相手は八四年より緊張するわね。出てくるでしょうよ、飛行機が。軍艦も出てくるでしょう。そういうのが日本の周りで二年に一遍やられる。  これでいいんですかね。両方、核能力を持っていますよ。核があるかないかという論争は、きょうは僕は時間がないからしない、切りがないからぬ。しかし、外務省の北米局長も言ったように、核を持っている可能性は高いと彼は言ったんです。積載能力があるんです。積載能力が。言ったじゃないか、積載能力があると。ソ連の方にもあるのがあるでしょう。両方が日本の周りでぶつかる。こういうふうな演習が恐らく行われるんじゃないか。こういう見通しがあるかどうか。何にもわからないなら、何にもわからないでいいんですよ。
  179. 依田智治

    説明員(依田智治君) 私どもは承知してございません。
  180. 内藤功

    ○内藤功君 国の安全を口にして、そうして防衛をやる役所で、この危険な、アメリカの国会では核装備能力があると言われているトマホークを持っているやつが、これがどう行くかということを国会でも説明できない、内閣委員会でも説明できない、甚だ遺憾なことだと私は思います。  官房長官伺いますが、年々、去年はなかったけれども、おととしはウラジオストクの近くにカールビンソンというのとミッドウェーというのが行って、飛行機を飛ばす演習をやったんですね。相手が出てきますよ、五十マイルですからね。あれはどっちもどっちかもしれませんけれども、相手の方も緊張しますわね。そういう国際緊張をこの演習というものは醸し出すわけですね。日本は核兵器は持たない、非核三原則。ソ連との外交はもっと正常化へ持っていきたい、中曽根さんの念願だ。日本の周辺でこういう演習がたびたび行われることについて、これは政府の従来の見解の、抑止力でやむを得ない、こっちの演習が緊張を高めれば高めるほど相手がおとなしくなるから、それで平和が保てる、こういう単純な見解でいいんでしょうか。本当にあなたはそういうふうに思っておられますか。  この日本の周りで、物騒な核兵器積載能力のある米ソの海軍力、空軍力が演習をする、くどいように言いますけれども、そういう演習の続行について、官房長官政府としてどう思われますか。内閣はこういうものはやっぱり抑止力として認めるんですか、この第三次内閣は。どうなんですか。
  181. 藤井宏昭

    説明員(藤井宏昭君) 官房長官お答えになります前に一言申し上げさせていただきたいと思います。  ただいまの御指摘でこざいますけれども、日本近海、太平洋におきまして、いろいろな国の演習がいろいろ行われていると思います。その演習の一々につきまして日本政府が正式な場で、このような演習を行う予定であるというようなことを、仮に日本政府がある程度の情報を得たといたしましても、それを日本政府の立場として述べるということは適当でないということでございます。もちろん日本政府としては、防衛庁初めいろいろな情報を持っているということは私もそういうことは当然かと思いますけれども、いずれにしましても、いろんな演習が各国によって行われている中で、日本が安保条約を結んでおりますアメリカの抑止、これは核の抑止も含めてでございますけれども、というものが日本及び極東の平和と安全のためになっているということは、これは既に歴史の証明するところでございまして、これが日本政府基本的な態度、その上に立っての日ソの友好ということであると存じます。  それから、先ほど、北米局長は核のあれを認めている、可能性が高いということをおっしゃいましたが、私が申し上げましたのは、ニュージャージーという特定の艦船について、アメリカ政府は核トマホークの能力を付与しているかどうかということを明らかにしておりません。艦級についてしか明らかにしておりませんけれども、ニュージャージーについてはその核トマホーク能力の付与を、かなりそれを示唆するような表現をしておるということでございまして、累次国会において申し述べておりますように、仮に万一核トマホーク能力があったとしても、それと現実に核トマホークそのものを積んで入港してくるということとは別である、能力と実際とは全く別問題であるということをるる申し述べているわけでございます。
  182. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 申し上げるまでもありませんけれども、日本の安全は、アメリカとの間の安保条約というものを結んで、その上に立って日本は日本なりの努力をして国の平和と安全を守る、同時に極東の平和も念願をしておる、こういう立場でございます。そこで日本海なりあるいは日本の周辺、これは絶えざる国籍不明の飛行機が飛んでおるということもこれまた事実でしょう。それからまた、日本海においていろんな訓練、演習が行われていることも事実なんです。ならばやはり、こういったことを考えれば、安保条約の相手であるアメリカの艦艇がそれなりの訓練をすることはこれは当然であろう。  内藤さんにお願いしたいことは、そのある国が大変やっているということもここでひとつはっきりとあなたからも御説明をお聞きできれば私は本当にありがたいと思いますね。このこと自身は、片方がやれば片方がやる、こういうことはそれはよくないことは当たり前じゃないですか、私はさように理解しておるんです。
  183. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間が来ておりますので。
  184. 内藤功

    ○内藤功君 最後に。  いかなる外国であろうと、核兵器積載能力を持つ艦船、航空機が日本の周辺で演習するということについて、厳しい態度をとるべきである。ですから、今官房長官の言われるある国というのは私ちょっととっさには理解ができませんでしたけれども、アメリカであってもソ連であってもこれは厳しくやっぱり言うべきじゃないでしょうか。私は、遺憾ながら今そういう点の明確な率直な御答弁が聞かれなかったのは、非常に遺憾でございます。  私がきょうこのことを特に強調したのは、アメリカの国務省のソロモンという政策企画局長の六月十七日の演説で……
  185. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 簡単にお願いします。
  186. 内藤功

    ○内藤功君 アジアで第二戦線をつくる、そのためにトマホーク巡航ミサイルというのを一つの大きな評価をするのだ、こういう演説があるんです。これは後で予算委員会その他でやりたいと思っております。  最後の一問ですが、防衛庁、自衛隊は、今度寄港したニュージャージー中心の海上打撃群、海上行動部隊と、あるいはカールビンソン、レンジャーが旗艦の空母戦闘群と、日本海その他近海で、あるいは太平洋側において共同訓練の計画、これがあるということを報道している向きがあるんですけれども、この点についてそういう働きが公式、非公式にせよあるのかどうか、今後ともこういう共同訓練が今日本の周りに来ておるSAG、CBGとの間であるのかどうか。  時間が来ましたので、最後にこの点だけあなたに伺っておきたいと思うんです。
  187. 依田智治

    説明員(依田智治君) ニュージャージーとの訓練につきましては、現在正式な申し入れがなく、現在海上自衛隊としては訓練の計画はございません。  ただ、今後の問題でございますが、やはり日米共同訓練というのは、戦術技量の向上、それから日米安保体制の信頼性、抑止威力の維持向上という面から、非常に重要な問題であります。したがって、共同訓練につきましては一般的には今後推進していきたい。ただ、個々の具体的問題につきましては、やはりその訓練自体が、その目的とか内容等が防衛庁の所掌事務の範囲内であるか、政策的に妥当か、効果がどうであるかというようなことを個々具体的に判断しまして訓練を実施するかどうかを決定するという立場をとってございます。  以上であります。
  188. 内藤功

    ○内藤功君 答弁漏れがあるんですけれども、カールビンソン、レンジャー中心の空母機動部隊との関係は。
  189. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 時間ですから。
  190. 内藤功

    ○内藤功君 答弁漏れですからね、その点をちょっと。
  191. 依田智治

    説明員(依田智治君) ニュージャージーと申しましたが、それは今それを含む艦船等と訓練するという意味で申し上げたわけでございます。
  192. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 本論に入る前に依田教育訓練局長に、これはもう答弁は要りませんから、私の見解だけ申し上げて、よくお考えをいただかなければと思うんです。  先ほど同僚議員の方からF4ファントムの事故について御質問がございまして、燃料切れでおっこちましたという御答弁をなさったんだけれども、局長たる者がよく恥ずかしくもなくああいう答弁をしたなというのが私の感じなんです。少しでも飛行機の操縦に知識のある人だったならば、ああいうことはあり得ぬことなんです。飛行機を動かす人にとってイロハのイなんです。燃料とそれからタイヤの空気の圧力がどのぐらいかというのは、必ず見て飛び出すものなんです。それをここで質問されて、それが事実だったんだからそれは事実のとおりお答えになったんだけれども、防衛庁長官が最後に遺憾の意を表しますというお答えになったんだけれども、遺憾の意を表しますなんということで済まぬことなんです。  もうちょうど一年前に、日航のジャンボがあの山へ落ちた。大変な惨事で、ああいうことは二度とやっちゃいけないことであることは事実だ。しかし、私から言わせれば、あのパイロットはまれに見るほどの優秀な技術者だと思うんですよ。あれがもし自動車のようにバックミラーがあったならば、あの尾っぽが切れ始めたのがわかったら、何とか対策を講じて、羽田にバックじゃなくて、相模湾かどこかあの辺に軟着陸で海におりれば大多数の人が救われたわけであって、遺憾ながら飛行機にはバックミラーがない。一生懸命になってあれだけ、三十分から、それは官房長官、そういう操縦の知識を少しでも持っておったら、あれたけの状態の飛行機をあれだけ動かすということは生易しい技術じゃないです。だから、あの事故は本当にそれこそ遺憾であり残念なことでありみんなでもって悔やまなければいけないけれども、あのパイロットはいかに優秀な技術を持っておったかということを私は高く評価するんです。  それに比べて、今の防衛庁の少なくとも国の守りにつく戦闘機の操縦をする人がそういうことで事故を起こすなんというのじゃ、私は先ほど、これはもうきょうは余分なことだけれども、局長たる者がよくも恥ずかしくなくああいう答弁をしたなということを感じたので、御答弁を求めませんし、防衛庁長官も私の質問はありませんからお帰りになっていただいて結構ですけれども、前もって言っておきましたが、これはぜひ長官にもお伝えをいただきたいと思う。そして、やっぱり国家の守りの役割を果たすべき防衛庁だったならば、防衛庁らしい姿勢と態度を持ってどうするかということをやってもらわなければ困りますということだけ、私の意見として申し上げておきます。
  193. 依田智治

    説明員(依田智治君) 一言ぜひ発言させていただきたいと思います。
  194. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 いや、聞くとまた私は言いたくなるから。そうすると、せっかく官房長官がいるのに……。
  195. 依田智治

    説明員(依田智治君) 先ほど時間の関係でちょっと……。  まことに先生御指摘のとおりでございまして、私ども厳しく反省しておるわけでございますが、当日、全機がそういう飛び方をしているわけではございませんで、四機向かったうち二機はしっかりと飛行高度をとったわけでございますが、先ほど言ったような理由で二機が寸前に落ちてしまった。これはまことにパイロットとして恥ずかしいことであり、防衛庁といたしましては今回の結果を踏まえて二度とこういう恥ずかしい事故を起こさない、先ほど大臣も申し上げましたが、徹底して現場で教育いたしまして、事故の絶無を期していきたい、こういう決意でございます。  また、先生の御発言、よく大臣にもお伝えさせていただきたいと思います。
  196. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 だから、あなたは答えないでいいって言ったんだよ。そんな答弁をすること自体が私から言わせたら、四機のうちの二機はまともに行って二機がこうなったんですね。二機だろうが一機だろうがあっちゃならぬことなんですよ、少なくとも飛行機を扱う者だったならば。だからその辺は、あなた自身が、局長自身が飛行機の操縦ということについての認識がないということですよ、今いみじくも私に対して言わせてくださいと言ってそんなことを言うということは。ですからその辺はもうちょっと。私責めようと思わない。だから、その点だけはきちんと長官にも言っておいてください。  それで官房長官、何といったって政府の一番の実力者で、きょうはさっきからもう人勘の問題が出ておるので、どうしてもこれは官房長官にはっきりとお答えを聞かせていただきたいと思うんです。  先ほどお話しのとおり、八月の十二日に人事院から勧告が二・三一%、六千九十六円、定昇を含めれば四・三五%の一万一千四百六十五円になる。この人事院勧告がどういうものかということは、私が言うまでもなく労働基本権の代償でということもこれはもう官房長官の御理解のとおりで、ここ数年いろいろとぎくしゃくしてきて完全実施がなされないできた。したがって、ことしも完全実施をしてくれよという形で今こうずっと議論なさっているんだけれども、私が言いたいのは完全実施をするかしないかではなくて、完全実施をするのが当たり前であって、そしてできないということになるならば、それはどういうところに問題があるかということであって、だからやはりここでもって官房長官から、六十一年度人事院勧告については今度は完全実施をいたしますと言って、その確約というかお約束の御答弁をお聞かせいただきたいんです。
  197. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) その点については、過去の私のこういった席での御答弁の中でも、もともとこの人事院勧告を凍結したりあるいは抑制するということは異例の措置でございますということをお答え申し上げているところでございます。したがって、この異例の措置というのは一日も早く通例の姿に返すべきである。そこで、五十九、六十、六十一年三カ年かけて、時間はかかりますけれども完全実施をやりたい、こういうことで政府としては取り組んでおるので御理解を願いたい、こういうことをお答えしておるわけでございます。  まだ国の厳しい財政状況は依然として今日といえども続いているわけでございますし、まだ給与関係閣僚会議で決定したというわけではありませんので、こういう席で私からこういたしますと断言することはひとつ許していただきたい。しかし、私どもとしましては誠意を持って完全実施に向けて最大限努力をしていく、殊にまた職員不安感を与えるといったようなことのないように措置したい、こうお答えしているわけでございますから、それで私どもの考えておる真意というものを御理解していただきたい、かように思うわけでございます。
  198. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 その官房長官のお言葉を極力善意に私も受け取りたいと思うんです。  それで、先ほども出ておりましたけれども、給与関係閣僚会議は今度いつ開かれて、ほぼいつごろに結論をお出しになるのか御説明いただきたいと思うんだけれども、ですから給与関係閣僚会議を開くのも、給与関係閣僚会議を開いて実施をするかどうするか、昨年みたいに三カ月カットしてやるとかそういうことではなくて、本来ならば開かぬでよろしいものなんだ。しかしそうは言ってもなかなか、なんですから、開くということは、言うならばそこでもってもうただ完全実施の確認をするために、合意をするために開く程度のことであって、それが開かれなきゃできないなどということであってはならないことだというふうに受けとめて取り組んでいただきたいと思うんです。  だから、とりあえずことしの場合には、この間の十五日は結論が出なかったというから、じゃこの次はいつ開かれて、その辺のところでは結論が出るのか出ないのか、その辺の先の見通しを少しお聞かせいただきたいんです。
  199. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まだ何回か関係閣僚会議は関かなきゃならぬと思います。その予定等は決めておりませんが、できるだけ早くこういうものについてはけじめをつけていきたい、こう思いますが、問題は、そうなるとこれは予算を伴いますから、補正予算をどうするんだといったようなこともありましょうし、そうなれば補正予算そのものについて、内需振興といったようなやかましい問題も今ございますから、それらとの関連も考えなきゃなりません。そういうようなことでございますから、できるだけ早く処理したいとは思いますけれども、今、今日の時点でどうするということは明言いたしかねまするので、ここはひとつぜひ御理解をしていただきたい、かように思います。
  200. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 その点について官房長官お願いしておきますが、もう一点、ことしの生産者米価を決めるときに政府のおとりになった態度はどうだったんだろうか。  いわゆる生産費及び所得補償方式というずっと昭和三十何年からやられてきた米価決定の基礎、その生産費及び所得補償方式からいけば、ことしはマイナス六・六%でよろしいんだという計算になったわけでしょう。これじゃあんまりだというので政府はマイナス三・六%だという態度を出して米価審議会に諮問をして、それでよろしいというのといかぬのと来て、どちらかというならば政府部内でもって、いろいろ私たちが新聞から知る状況では、官房長官は最後まで頑張られたようだけれども、最終的には自民党の圧力でそれも全部追っ放って現状据え置きという結論をお出しになったわけでしょう。結果的には私の計算で言えば約九百億近い言うならば支出増ですよ、マイナス六・六%といって決めることと、それをやらないで据え置きにしたということにおいての差は。九百億近いお金を出してでもことしの生産者米価は据え置きという結論政府がお出しになった。  だから、その点からいけば、ことしの人勧については、もう理屈も文句もなしに完全実施をして公務員皆さん方に安心して働いてもらうということをおやりにならなかったら、これはまずいと思うんだけれども、そういう点から考えても、官房長官がこれから給与関係閣僚会議に出ていくについて、私としては完全実施でやるように努力をしますという、そのくらいのお約束はしていただけませんか。
  201. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 米価の問題と公務員給与の問題は、必ずしもこれは直接の関連はありません。  ただ、米価については、御案内のように六・六、従来の生産費所得補償方式であれば。しかし実際は、米価を抑制するという基本的な立場に立ってその算定の中身を従来から抑制しているんですよ。ところが、引き上げようというときはこれを緩くしているんですね。そういったようなことが必ずしも農民の皆さん方理解ができない。純粋に客観的であるならばいざ知らず、そういうさじかげんがあるではないか、ならばこういうものは受けられないといったようなことであったと思います。極めて厳しい農家あるいは生産者団体、さらには党の御意見等もございまして、最終的には私どもとしては少しでも切り込みたいというのが率直に申してございました。しかしながら、やはりここは相手方の言い分にもそれなりの理由がありはしないのか、一年限りでこういうものを解決しようとするところに若干の無理があるかもしらぬ。ならば来年度については現行の生産費所得補償方式、これに従って算定をして処理をいたしますよということ。  それから二つ目は、六十二年度ですか、以降の例の水田再編の問題について、これは農家団体もひとつ政府協力をしてそして完全に実行するようにしてもらいたいという覚書を交わすことによりまして、ことしの米価問題はああいう決着をしたということでございまして、私は率直に言いまして、政府の立場で先ほど言ったような基本考え方を持っておりましたけれども、落ちついた先はまずまずやむを得ない措置ではなかったのかなと、かように理解をいたしております。  公務員の方の給与につきましては、先ほど来るるお答えしておりますように、まだ給与関係閣僚会議が済んでおりませんので私は明確なお答えはできませんけれども、ともかく過去三年間のいろんな経緯があるし、しばしば私はお答えしておるとおり実はやらせていただいておるつもりでございますので、ひとつ信頼をしていただいて、何とか私はことしは玉置長官趣旨を尊重してやっていきたい、かように考えておりますので御理解賜りたいと思います。
  202. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 官房長官、足どめして申しわけないけれども、もう一つだけお聞きしておきたいのは仲裁裁定の方なんです。  もう今は一公社四現業になったんだけれども、結局あれは六月の三日に出されているんです。ベアで一・四二%プラス千三百十円、これも定昇を含めると四・三四%の九千五百三十一円になるんです。こちらの方も公労委からその仲裁裁定が出されて、それで七月の十八日の閣議で政府は、郵政、印刷、造幣は完全実施をお決めになった。それで国鉄と林野の方はああいう経営状態ですから、これは議決案件にといって国会に持ち込んできている。これも何でああいう公労法ができたときに決めたかということをお考えになっていただくと、確かに国鉄や林野が経営状態のよくないこと、これはもう私も百も承知であります。しかし、あのときにスト権を取り上げる代償として今度はこうしてやる、それで公労委をつくって、調停については労使がどちらも気に食わなきゃけってもよろしいが、仲裁裁定が出たらこれは労使を拘束するんだよと。  ただ、そこに、公労法の中の十六条に予算上、資金上不可能な場合といって一条あること、これは事実です。それは私は民間育ちだから、民間の場合でも労使で物を決めるときに万が一のことを考えてああいう条文を入れるものです。しかし、それは例えばこの間のメキシコの大地震のように、ああいう大変なことが起きれば、とてもじゃないけれどもそんな今までのようなことをやっておられないからもうこれは非常事態だ。そういうときにこそあの公労法十六条が発動されるべきものであって、それが毎年のようにそれを発動して、そうして議決案件で国会に持ち込むなんということはあっちゃならない。  ですから、そういう点に立って、これもどうなさるか。本来ならばみんな、さっきの人勧も同じですけれども四月からでしょう。それで、現実に今もう八月も終わろうとしておって、そうして四月からの給料のものがいまだに決まらない。仮にもしも国鉄と林野については議決案件にというなら、郵政、印刷、造幣はこれは完全実施だったらもう即刻実施をしてやって、そして国鉄、林野の方は国会にというならまだわかりますけれども、その完全実施をするという方も足どめしているわけだけれども、こういうことについても、仲裁裁定もこれはもう労使が拘束されることであって、あの十六条は毎年のように発動しちゃいかぬのがあのときの立法精神なんですから、そういう点について仲裁裁定も即刻に実施をする。  それで、近く臨時国会が開かれるから、そうしたら国鉄、林野も議決案件ならばそれをもう承認してもらってやるという形でお進めをいただきたいと思うんだけれども、それについて官房長官のお考えはいかがなものか。
  203. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) あの仲裁裁定は従来から十六条で予算上、資金上、その時点においてはできるとは保証できないからといったことで議決案件の処理をしておるんですが、その行き着く先、結論はいつも完全実施になっているんですね。ただそこで、ボーナスをどうするとかなんとかというのは公務員との比較の問題で出てきておりますけれども、そういう経緯はあるにしても、いずれにせよ完全実施しております。  ことしもそういう点は議論をしたのでございますが、やはりあの時点ではどうしても予算上、資金上可能であるということを、国鉄と林野についてはやはりあれだけの大きな赤字を抱えたわけでございまして、また、赤字の額がことしもふえておるような状況でございますが、そういうふうなことで例年どおり十六条による措置をしたわけでございます。しかし、柳澤さんおっしゃるような御趣旨は十分私どもとしてはわかっておりまするので、できる限りひとつ御趣旨を尊重しながら検討してまいりたい、かように考えます。
  204. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 よろしくお願いします。  そして、ほかの何か物件を買うのとか投資のために使うお金と違うんですから、そういう点でもってぜひとも完全実施お願いして、官房長官もうお引き取りいただいて結構です。長いこと申しわけありませんでした。  それで、人事院総裁の方へ今度お聞きをしていくんだけれども、総裁談話を発表されましたですね。最初の方では、これは労働基本権が制約されておってその代償のものなんだと言いながら給与改定勧告することにしましたと、こう言っている。だけれども、だんだん先へいきますと、「勧告完全実施を強く期待する所以であります。」と言い、さらには「速やかに勧告どおり実施されるよう要請いたします。」と、こういうふうにだんだんトーンダウンしている。やっぱり人事院の権威を、総裁も大変だろうと思うけれども、人事院として相当な予算をお使いになり、相当な日数もかかり、そしてあれだけのものをおつくりになっているんですから、やはり人事院の立場からするならば、要請するなんというのじゃなくて、これは法に基づいて我々に与えられた権利として勧告をするのだから、国会政府もそれを忠実に実行してくれと、もうちょっと強く言われたらいいと思うんだけれども、何でそんなに御遠慮なさるんですか。
  205. 内海倫

    説明員内海倫君) まあ読まれた方の印象まで私が立ち入るわけにはまいりませんが、あの談話を作成しました私としましては、今おっしゃったと同じように、厳しい私どもの立場と私どもの考え方と、そしてこの勧告を出すに当たって国会及び内閣への強い要望と、あわせてやはり、公務員というのは国民の支持の上に立って仕事をしなきゃならない職責でございますから、一般国民の皆さんの理解を得るというふうなことを、私の談話の中身として申し上げておるわけでございます。  もし、お受け取りでそれが非常に弱いではないか、こうおっしゃるのであれば、それは私どもの考え、または発表したこととは非常に違いますので、私どもは極めて厳しい気持ちで、しかも強い意図を持ってこの談話を発表しておることをもう一度私の気持ちをお酌み取りの上で、報告及び談話を一緒にしてもう一遍読んで御理解いただければ幸いでございます。
  206. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間もないから人事院総裁にはもうやめておきますけれども、総裁、私が言っているのはあなたの談話を読んで言っているんですよ。受け取り方が云々じゃないんですよ。別に新聞の書いた要約したものでもって言っているわけじゃなくて、あなたの談話そのものも私が全部読んで、その中でそういうふうにだんだんトーンダウンしているから、なぜですかとお聞きしているんです。  それから大蔵省の方に、時間がないから、なんですけれども、予算編成のときに、従来は一%とか幾らとかわずかずつ計上したが、今度はもう計上もやめたわけだけれども、大蔵省に申し上げたいのは、それは法でこれも決まっているのはいいけれども、国家予算が本来ならば四月一日だけれども幾日かあそこはいつも暫定予算を組むか組まぬかでずれるわけだ。国家予算としたならば、やっぱり本来なら四月一日に新予算ができてそしてそれが使えなきゃ困るわけでしょう。それと同じように、今のこの人事院勧告なり仲裁裁定なりというそういうものも、公務員なり現業のあの人たちにするならば家計、家庭における一種の予算みたいなものであって、それで四月からベースアップされるのが、八月になり、九月になり、十月になり、ひどいときには十一月になってやったこともあるのだけれども、そういうことでよろしいかどうなのか。  ですから、そういう点から立つならば、今度は補正予算もお組みになると言っているわけだから、そういう点でもって補正予算の中に早く組んで、人勧が完全実施できるようにおやりになるお考えがあるかどうか、簡単にお聞かせいただきたいと思います。
  207. 若林勝三

    説明員(若林勝三君) 人事院勧告制度尊重という基本姿勢につきましては、財政当局としても全く従来から変わりはございません。また、昨年度官房長官談話でございましたように、人事院勧告完全実施に向けて誠意を持って対処するというふうに述べられているわけでございまして、そういう趣旨は十分踏まえまして検討することにさせていただきたいと思いますが、何分まだ本年度財政事情が極めて厳しゅうございます。したがいまして、そういう多額の財源を要する勧告扱いについて、財政事情等諸般の事情を含めまして、見きわめながら検討してまいりたい、このように思っております。
  208. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 もうわずかになったので、総務庁の方に休暇の点でちょっと触れておきたいと思います。  先ほども同僚議員の方の質問で、今度四週六休が人事院から出されたが、それに切りかえるについてもなかなか難しい問題があるようなお話をなさっておったんですが、やるかやらぬかがむしろこれは私に言わせたら大事なことで、さっきも言ったとおり私は民間だし、しかも出身が造船産業という生産企業体、ああいう造船産業のような生産企業体でもって週休二日制なんということが果たしてできるかどうかということが一般的なんです。その中でもって現実の問題としてはやったわけなんです。  それで最初、今言う四週六休制、私たちから言わせれば隔週週休二日制。隔週週休二日制に入ったら、私自身も会社の方もびっくりしたんだけれども、遅刻がなくなり、欠勤がなくなり、残業が少なくなり、生産は少しも落ちずに上がっていくというような状態で、ですから二年間で、二年後には完全な週休二日制とこうなる。もちろんそれは、その中で、守衛さんのようなのはもう二十四時間体制ですから、そういう配置でいく。ですから、そういう点でもってやろうという形になるならば、いろいろとみんなが知恵を出してやれるものだ。  しかし、四週六休制に入るについても、それがために人員をふやすということをやるとなったら、それは何だかんだ言ったって今国民からの批判も受けるし、行革のさなかに何だかんだということが出ると思う。だから、人員はふやさないで、どうやって知恵を出して従来の作業をやっていくかという格好でみんなで考えてやったら、やれぬことはないことであって、むしろ私から言わせれば、四週六休なんてもたもた言っていないで、完全な週休二日制に入る体制を、仕事の上からいけば私は民間の生産企業よりかもっとやりやすいと思う。そういう点でもって、これはできるだけ早く実施に移れるように総務庁の方でもお考えいただきたいと思いますが、その点お答えをいただきたいと思うんです。
  209. 手塚康夫

    説明員(手塚康夫君) 先生のお考え、私ども全く同感でございまして、私ども、公務員の勤務条件を預かる立場で、勤務条件の向上、これが必要だと考えております。また国際的な趨勢から見ても、やはりこれは推し進めていかなければいけない。現に政府の方も、経済構造調整推進要綱でそういう方向づけをもうしているところでございます。そこに人事院の方から御提言をいただいたわけでございまして、ただ、午前中も答弁申し上げましたが、人事院調査でいきましても、実は四割強の事業所がまだ月二回以上の週休二日制は実施していないという状況にあるわけです。その中でやはり公務員に推し進めていくためには、先生おっしゃるように、予算定員はふやさずということで、それを大前提といたしまして知恵を絞っていこうということで現在やっているところでございます。  それで、各省ともこの問題につきましては、やはり自分の職員の勤務条件向上につながるということで前向きの姿勢でいろいろ工夫を凝らしてくれております。現在ヒアリング中だものですから最終的にどうだとはまだ申せまんが、私どもの立場では年内試行に移れるようにということで目下努力しているというところでございます。
  210. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 時間が来ましたから終わります。
  211. 岩本政光

    委員長岩本政光君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時二十六分散会