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1986-08-20 第106回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年八月二十日(水曜日)     午後二時二十三分開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 大島 理森君 理事 桜井  新君    理事 笹山 登生君 理事 若林 正俊君    理事 松前  仰君 理事 薮仲 義彦君    理事 滝沢 幸助君       井出 正一君    大石 千八君       加藤 卓二君    木村 守男君       佐藤 敬夫君    佐藤  隆君       斉藤斗志二君    武部  勤君       虎島 和夫君    三塚  博君       宮崎 茂一君    村井  仁君       持永 和見君    井上  泉君       佐藤 徳雄君    戸田 菊雄君       馬場  昇君    浜西 鉄雄君       武田 一夫君    水谷  弘君       安藤  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  委員外出席者         国土庁防災局長 山本 重三君         文部省教育助成         局地方課長   奥田與志清君         文部省高等教育         局私学部私学助         成課長     泊  龍雄君         文部省体育局学         校保健課長   下宮  進君         厚生省社会局施         設課長     福田 孝雄君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         中小企業庁小規         模企業部参事官 桐山 正敏君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         建設大臣官房会         計課長     市川 一朗君         建設省河川局治         水課長     近藤  徹君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省住宅局民         間住宅課長   荒田  建君         自治大臣官房参         事官      柳原  瑛君         自治省税務局企         画課長     杉原 正純君         特別委員会第三         調査室長    寺田 晃夫君     ───────────── 委員の異動 八月十二日  辞任         補欠選任   斉藤斗志二君     田中 直紀君 同月十四日  辞任         補欠選任   田中 直紀君     斉藤斗志二君 同月二十日  辞任         補欠選任   園田 博之君     三塚  博君   新盛 辰雄君     戸田 菊雄君 同日  辞任         補欠選任   三塚  博君     園田 博之君   戸田 菊雄君     新盛 辰雄君     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(台風第十号による豪雨災害等)  派遣委員からの報告聴取      ────◇─────
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る八月十一日、十二日の二日間にわたり、台風第十号による被害状況調査のため、茨城県、栃木県、福島県及び宮城県に委員派遣を行いましたので、私が派遣委員を代表いたしまして、便宜、この席から調査の概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党・新自由国民連合大島理森君、桜井新君、笹山登生君、日本社会党護憲共同の松前仰君、公明党・国民会議薮仲義彦君、民社党・民主連合滝沢幸助君、日本共産党革新共同安藤巖君、そして私自由民主党・新自由国民連合伊藤宗一郎の八名であります。このほかに、茨城県において、地元選出議員中村喜四郎君、栃木県において、委員水谷弘君、地元選出議員神田厚君、福島県において、委員佐藤徳雄君、地元選出議員粟山明君渡部行雄君、宮城県において、委員武田一夫君、地元選出議員戸田菊雄君の方々の御参加を得まして調査してまいりました。  八月十一日午前八時、衆議院正面玄関前からバスにて出発、車中、国土庁防災局長から台風第十号及びその後の低気圧による災害について説明を聴取いたしましたが、今回の災害の詳細については、質疑等で明らかにしていただくこととし、報告から省略いたしたいと思います。  調査団は、まず、茨城県に入り、石下町へ行く車中、副知事から茨城県の被害状況について説明を聴取いたしました。  台風第十号は、茨城県内を流れる河川上流部にまれに見る集中豪雨をもたらし、主な河川は、いずれも警戒水位を超えたのであります。このため、非常に広い範囲にわたり水害をこうむりました。  八月十日現在、県の被害状況は、死者四名、住家被害は、以下各県とも全壊、半壊等は申し述べませんが、床上浸水七千百八十五棟、床下浸水八千百三棟であります。  被害額につきましては、以下概数で申し上げますが、農業用施設被害十七億から十八億円、農業被害公共土木施設被害は、それぞれ百億円を超えると深刻に受けとめられておりました。また、県内を流れる小貝川等流域において、広範囲にわたり被害を受けたとの詳細な説明がありました。  県の要望といたしましては、当面の財政対策河川改修の促進、公共土木施設農業水産関係災害復旧災害防疫対策であります。  災害救助法適用市町は、県内九十二市町村のうち十四市町であります。  最初の視察地石下町本豊田の小貝川の破堤箇所視察し、建設省関東地方建設局当局から概況説明を聴取いたしました。  小貝川流域には、平均で三百四ミリという降雨が、しかも一日で集中的にもたらされました。このため、小貝川は全川的に計画高水位を上回り、大洪水となりました。  小貝川では、八月五日十三時三十分ごろ明野赤浜地先延長八十五メートルにわたり越水破堤し、また、六日十時ごろ石下豊田地先延長六十メートルにわたり破堤いたしました。現在これら破堤箇所復旧工事を実施しております。  石下豊田地先につきましては、八月九日に粗締め切りを完了し、明野赤浜地先についても、仮復旧工事を進めておるところであります。  栃木県に入り、次の視察地茂木町へ行く車中、県当局から栃木県の被害状況について説明を聴取いたしました。  栃木県の四十九市町村のうち、おおむね六割が被害を受けました。その中にあって、逆川があふれ、茂木町は役場を包んで町の中心部が浸水し、茂木町、益子町、芳賀町の三町について災害救助法適用いたしました。  八月九日十五時現在、県の被害状況は、死者六名、行方不明者一名、住家被害床上浸水二千四百九十七棟、床下浸水五千八百四十四棟等であります。被害額につきましては、土木施設百八十四億円、林野施設等五十億円、農地農業用施設が六十三億円で公共施設等被害合計は三百億円であります。農作物商工被害は、それぞれ五十九億円と八十五億円であり、総計四百四十五億円に上ります。説明の時点では、茂木町の被害状況は、集計中であるとのことでありました。  栃木県の被害特徴は、局地的に大雨が降ったことでありまして、特に茂木町を中心に三百ミリを超える雨が降ったのであります。  茂木役場におきまして、知事及び県議会議長から、今回の災害に対して、激甚災害指定緊急治山事業の採択、治水事業促進等要望がなされました。  また、茂木町長から被害状況についての説明及び陳情を受けました。  町の財政規模は、約四十億円、そのうち町の税収が約十億円で、十日現在、農林業関係被害は、畜産を除いて約二十五億円、商工業関係被害は、約百億円で町の財政に深刻な影響を及ぼしているとのことでありました。  この後、茂木町の被災地を酷暑の中災害の後片づけに追われている方々のお見舞いと激励をしながら視察をいたしました。  調査団は、宇都宮駅から東北新幹線で福島県に向かい、郡山市役所におきまして、知事並びに郡山市長から被害状況について説明を聴取いたしました。  福島県においては、福島市、郡山市など阿武隈川沿い市町村中心被害が発生いたしております。  時間最大雨量にして、多いところで四十ミリを超えたところもあり、集中的な豪雨により、降雨量は、県の中通り及び浜通りで三百ミリを超える状況でありました。  八月九日十一時現在、県の被害状況は、死者三名、住家被害床上浸水五千六百九十棟、床下浸水八千八百十七棟であります。  災害救助法適用状況は、五市二町であります。  八月九日十七時現在、公共施設被害額は、調査率七五%で県工事市町村工事を入れて合計二百六十三億円の数字が出ております。  また、八月九日十時現在、農地農業用施設林業治山関係被害額総計で八十億円となっております。農作物等被害も多数出ております。  商工業関連被害状況につきましては、福島市、梁川町、郡山市の工業団地等被害が出ております。その他市町村等施設被害は、水道施設及び廃棄物処理施設であります。  県の陳情としては、公共土木施設及び農地等早期復旧文教施設水道施設・し尿・ごみ処理施設などの復旧激甚災害指定商工業者事業再建のための災害対策緊急融資制度創設等であります。  この後、郡山地区鉄工団地知事及び市長ともども出向き、視察をいたしました。その途中、郡山市長から説明を受けました。  郡山地区鉄工団地協同組合において、同理事長及び郡山食品工業団地協同組合代表理事からそれぞれ陳情を受けました。工業団地全域にわたって冠水したとのことであり、機械もほとんど使えない状態であると窮状が述べられました。  視察第二日目は、まず、宮城県庁において、知事から県議会議長同席の上、被害状況について説明を聴取いたしました。  今回の災害特徴は、冠水洪水であります。  仙台、亘理で最大四百ミリを超え、県の中央部から海岸に近いほど多くの降雨がありました。  八月十二日現在、県の被害状況は、死者五名、住家被害床上浸水一万二千百四十八棟、床下浸水二万四千八百七十一棟であります。  農業関係では、農地冠水水田で三万一千四百二十二ヘクタールであり、県の水田の約三分の一に当たります。畑の冠水四千六百六ヘクタールであります。  農業用施設では、ため池・農道・その他で多くの被害が出ております。  土木関係では、道路の損壊千九百七カ所、河川千三百十五カ所、橋梁四十四カ所、林業関係水産関係、それに生活関連の電力・電話・水道交通関係で多くの被害が出たのであります。  文教施設社会福祉施設医療衛生施設等も被・害を受けております。  特に商工業施設被害が出ておりまして二千七百七十七カ所であります。その他、工業用水道施設、電力・通信施設等に多くの被害を受けております。  八月十二日現在、被害額につきましては、医療・衛生施設で九億円、商工業関係は、調査中でありますが、百十三億円に上ります。農地農業用施設九十五億円、農作物は、現時点での稲の被害額百九億円、その他の農作物三十三億円であります。林業四十四億円、文教施設八億円、公共土木施設百七十九億円等々であります。住家被害直轄部分等を除いても総計六百十七億円に達し、今後被害額は膨らむものと見られております。  災害救助法適用は、六市五町であります。  鹿島台町におきましては、現時点でも、多数の方々が避難を続けております。  県の陳情としては、天災融資法発動及び激甚災害指定自作農維持資金貸付条件の改善、農業共済金早期支払い中小企業再建資金貸付条件の緩和、公共施設等被害に対する災害復旧早期実施財政措置についてであります。  建設省東北地方建設局当局から、概況説明もありました。  調査団は、鹿島台町の品井沼大橋付近吉田川左岸被災現地に立ちました。一面の冠水を目の当たりにして、聞くと見るとでは大違い、そこはさながら大海原のようでありました。  現地において、鹿島台町長松島町長大郷町長から被災状況について説明を聴取し、陳情を受けました。鹿島台町について言うならば、町の半分が浸水し、約三千五百世帯のうち、床上浸水は千三百世帯で、最高水位は軒先までであります。罹災者は五千七百名に上ります。これに伴い、全世帯の電気・電話・水道がとまりました。耕地の約八割に当たる千七百ヘクタールが冠水しました。  吉田川の堤防を上流へ上り、吉田川左岸下志田の破堤箇所視察し、東北地方建設局当局から概況説明を聴取いたしました。  吉田川流域雨量は、吉田川計画二日雨量三百三十五ミリに対して、一日に約三百十ミリという大規模な降雨が集中いたしました。このため、吉田川水位は急激に上昇し、大和町落合地点においては計画高水位を約五十センチ上回りました。吉田川では、八月五日の十時三十分から十一時ごろにかけて鹿島台下志田地先等左岸及びその支川西川において五カ所で破堤が生じたのであります。これらの破堤箇所につきましては、八月六日より復旧工事に着手し、仮締め切り工事を促進しております。また、堤内のはんらん水排水対策として、八月七日から鹿島台鎌巻地先左岸堤防を開削し、目的を達した後、十一日に閉塞いたし、ポンプ車排水機場、可搬式ポンプ等による排水を行っているところであります。  また、破堤箇所におきましては、被災された方々の多数の出迎えを受け、切実な陳情を受けましたことを申し添えておきます。  次の角田市に向かう途中、大和町長及び同議会議長から陳情を受けました。  バスの中では、副知事から、大雨による被害は、特に仙台市の地下鉄工事を初め、商工業関係者に多く出ており、大きな工場や、流通・工業団地等が集積する仙台市東部、多賀城市等に集中しているとの説明がありました。  角田市鳩原に到着して、阿武隈川の破堤箇所視察し、東北地方建設局当局から概況説明を聴取いたしました。  阿武隈川雨量は、現計画の二日雨量二百五十七ミリに対し、一日で約二百二十ミリという集中的な豪雨でありました。このため、郡山阿久津地点水位は、計画高水位を約十センチ上回りました。  阿武隈川では、八月五日福島梁川船場地先角田鳩原地先等の四カ所において破堤が生じました。これらの復旧工事につきましては、六日より築堤締め切り工事に着手し、築堤については、八日から十日にかけてすべて完了しました。  角田市長及び柴田町長から被災状況について説明陳情を受けました。  なお、各地で自衛隊の災害派遣、警察官の災害警備及び消防職団員防災活動報告されました。  宮城県庁において、記者会見を行いました。  今回の災害により被害を受けた箇所等は、早急に復旧に努め、これからの台風シーズンに備える必要があります。  なお、先ほどの理事会開会に先立ち、宮城中小企業団体中央会会長等から被災商工業者救済について、陳情がありました。  報告を終わるに当たり、今回の災害で亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。また、調査に御協力を賜りました茨城県、栃木県、福島県、宮城県及び関係市町関係各位に心から感謝を申し上げまして、報告を終わります。  派遣委員の各位には、改めて御苦労さまと申し上げておきます。  以上で報告を終わります。  この際、お諮りいたします。  茨城県、栃木県、福島県、宮城県及び関係市町からの要望事項等につきましては、これを本日の委員会議録の末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ─────────────     〔要望事項本号末尾に掲載〕     ─────────────
  4. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 本日は、特に台風第十号による豪雨災害等について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤徳雄君。
  5. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今ほど委員長から詳細にわたって報告がなされたとおり、今度の災害がいかに被害が大きかったかということが聞き取れたと思います。私も委員長報告の中にありましたとおり現地参加をさせていただきまして、そしてまた、我が社会党調査団を組織いたしまして、福島宮城両県を現地調査並びに視察をしてまいりました。幾つか感じたことがあるわけでありますが、以下問題点を率直に出して、明快な政府側の御見解をいただきたいと思っているわけであります。  特に、今回の災害で亡くなられた皆さんに対しては心から哀悼の意を表するとともに、そして、被害を受けた多くの皆さんに心からお見舞いを申し上げる次第であります。  さて、まず第一に私がお尋ねいたしますのは、委員長報告の中にもありましたとおり、どの県におきましても、激甚災害指定あるいは天災融資法発動、これを強く希望しているわけであります。集計がまだ終わっていないかと思いますけれども、この要望に対してどのような見解をお持ちなのか、長官の御見解を承りたいと思います。
  6. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 このたびの台風十号によります豪雨災害によってお亡くなりになりました皆様方に衷心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆様方に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。  ただいま御質問の点でございますが、私どもも去る九日政府調査団を編成いたしまして、工藤政務次官と手分けをいたしましてそれぞれ現地に赴き、知事さん初め関係皆様方から災害実態の御説明要望事項についてお聞きをしてまいったところでございます。ただいま御質問のような激甚災害指定あるいは天災融資法適用、それぞれの御要望を私どもも聞いてまいったところでございます。ただいま関係省庁におきまして鋭意被害実態を把握することに努めておるわけでございまして、それらの状況を把握し次第それらの問題について対処をしてまいりたいと考えております。
  7. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 いずれ調査が集約されれば、要望された状況を検討されてそれに該当するように努力されるだろうと思いますが、冒頭私の方から申し上げました激甚災害指定並びに天災融資法発動はぜひお願いを申し上げたい、こうお願いしておきたいと思います。  さて、私の選挙区が主に対象となって今度の水害福島県の場合起きたわけであります。とりわけ福島郡山市には、先ほど委員長報告の中にありましたとおり、工業団地、それから市民の台所を預かります食品団地、これがほとんど全滅状態といっていいぐらいの被害を受けました。あるいは本宮町、さらに福島市等は、個人住宅被害商店街被害床上浸水のために相当な被害を実は受けているわけであります。あるいはまた梁川町でも同じような状況でありまして、大変な苦しみや悩みを抱えながら今生活の立ち上がりに一生懸命に皆さん頑張っておられるという状況をぜひ知っておいていただきたいと思うのであります。  さて、そこででありますが、時間が限定されておりますので、端的にお尋ねをいたします。  今回の災害を受けられました、特に個人災害について一体どのような補償があるのか、具体的にひとつお示しいただきたいと思います。と申しますのは、私も現地に参りまして、特に床上浸水、大変な状況をつぶさにこの目で確かめてまいりました。特に、先ほど申し上げました団地もそうでありますが、一般個人住宅自動車がほとんど水をかぶって使えなくなってしまったという状況も加えまして、大変な被害をこうむっているわけでありますけれども、これらの人たちに対する救済措置補償をひとつお答えいただきたい、こう思います。
  8. 山本重三

    山本説明員 今回の災害によりまして受けられました個人被害に対します救済制度といたしましては、各市町村発動しております災害救助法による応急救助災害弔慰金あるいは災害障害見舞金支給制度適用あるいは災害援護資金貸付制度適用、また農林漁業者中小企業者に対する各種融資制度適用やあるいは税の減免措置等実施等がございます。また、住宅被災者に対しましては、住宅金融公庫による災害復興住宅資金融資制度等適用されることと相なると思います。  先生申されました個人被害については、いわゆる自然災害による個人被害につきましては補償は行われないのが現状でございまして、現行制度で今申しましたような各種制度の活用によってできるだけ個人被害救済に努めてまいりたい、かように考えております。  なお、自動車につきましては、特に自動車保険の中で車両保険として災害対象といたしておるものがございます。そういった保険を掛けておられるものにつきましては保険支給があるというのが私どもの調べた調査ではわかっております。  以上でございます。
  9. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 総じて言えば、融資制度が主であるというふうに理解をいたします。しかし、これは皆さん現地調査並びに視察に行かれたと思いますからよく肌身で感じてこられたと思いますけれども、特に床上浸水、二階のあるところは救いがあるかもしれません。しかし平家のところはほとんど全滅ですね。御承知のとおり、畳はだめ、泥が入ってくる、寝具も全部使いものにならない、あるいは日常の生活用品、たんす、戸棚、冷蔵庫、テレビ、すべてがもうだめになってしまっております。同時に、福島県の場合特徴かもしれませんけれども住宅団地はほとんどといっていい人がローン支払い中なんですね。そこに直撃を受けた、したがって生活設計が全部狂ってしまったわけであります。  そこで、今お答えいただきました融資制度幾つか有利な点があるかと思いますけれども、御承知のとおり、お金というのは借りれば返さなくてはいけません。そうなりますと、まだ払い切れない、何年も残っている、そこに新しいものを購入しなくてはいけない、しかしお金を借りればまた払わなければならないために、生活設計がほとんど成り立たないという状況なんですね。これが実態であったし、そういう庶民感覚の上に立って政治が温かい手を差し伸べるべきだというふうに私は判断をいたしますけれども、いかがですか。
  10. 山本重三

    山本説明員 担当は建設省でございますけれども住宅金融公庫等融資を既に受けあるいはローンを受けて建てられた住宅等返済金についての災害時の特別な措置等はとられておるところでございます。  私ども被災地現状を見まして、被災者実態はよく理解いたしておりますが、現在の個人被害に対する措置としては、各種融資制度を活用して個人自己再建に当たっていただくというのが現状制度実態でございます。我々もそれをできるだけ適切に活用しながら救済策を進めていきたいと考えております。
  11. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 今の答えだけでは私は納得ができません。もっと一歩も二歩も踏み込んだ国の救済措置があってしかるべきだ、実はこう思っているわけです。  ちょっとお尋ねいたしますが、これは自然災害なるがゆえにそういう状況なんですか、あるいは、後で触れますけれども、国なり自治体の今度の災害に対する一定の責任が明確になればさらに別な意味の救済措置が可能なんですか、どうなんですか。
  12. 山本重三

    山本説明員 私がお話し申し上げておりますのは、自然災害によって個人の受けた被害については従来より自己が負担をすることを前提各種救済のための融資制度等が設けられているというのが実態でございます。災害原因等についてどうであるかということを前提としたお答えは、今の段階では差し控えたいと思います。
  13. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうもはっきりいたしませんね。法改正なり立法措置をとらなければこの問題は解決しないのかなというふうにも思いますけれども、今の答えですと、被害を受けられた人たちの痛みや苦しみを知らないんじゃないか、やはりもっと庶民感覚の上に立って政治があるべきだということを特に私は強調したい、こう思っているところであります。  関連いたしますから先に進ませていただきますが、実はきょう私の地元の方が陳情書を持ってまいりました。ひとつこの点について触れさせていただきますが、委員長から報告がありました郡山市の工業団地食品団地方々であります。委員長もごらんになっておわかりのとおり、大変な水かさになってしまった、そのことによってコンピューター関係の機械を持っている企業はほとんど全滅というような状態であります。特に、食品団地は市民の食料を供給する重要な拠点でありますだけに、市民生活にも大変な影響を及ぼしているわけであります。その被害状況、写真も届けられましたから、ひとつ長官にも見ていただきたいと思いますので、委員長、よろしゅうございますか。
  14. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 どうぞ。
  15. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それで、お尋ねをいたします。  実は、陳情書の中にこういうことが書かれているわけであります。  このたびの「八・五豪雨水害」による四組合の被害額は五十八億円に達し、円高不況による受注の減少、相次ぐ単価の引き下げ等により経営は最悪の状態にあった中での今回の水害は、我々中小企業がこれから先どのようにして生きていけばよいのか途方に暮れると同時に、会社存続の自信さえもなくなってしまう現状であります。   特に四組合は二、三メートルの濁流に覆われ、建物・機械・備品・原材料・副資材・車両等、団地内のものは総て水害にあい我々組合だけではとうてい対処できない状況にあります。   つきましては、これらの窮状をご賢察のうえ、下記事項について特段のご援助とご配慮を賜りますよう衷心より陳情申し上げる次第でございます。 これが前文でございます。  そこで、答えていただきたいと思います中身はこうであります。  「中小企業高度化資金既往貸付分の元金・利息支払いの猶予措置」それから「災害復旧高度化資金による建物・機械並びに機械の修理代、原材料、売上損失等に対する特別融資措置」をやってほしい、こう言っているのです。やっていただけますか。
  16. 桐山正敏

    ○桐山説明員 それでは、御説明させていただきます。  郡山工業団地が非常に大きな被害をこうむっておるということでございまして、我々中小企業庁及び仙台通産局の方から現地状況を見てきております。それから、県の方また組合の方からもこの事業に対する復旧についてのお話をお聞きいたしております。  今先生からお尋ねのあった点でございますが、この高度化事業を行いました事業対象災害によって非常に大きな被害を受けたということで、この事業について復旧するということになりました場合には、災害復旧高度化資金という制度がございまして、これによって高度化事業の復旧を図っていただくということが方法としては可能でございます。これは当事者の皆様方がもう一度共同事業としてやっていただくということも必要でございますし、また、国と県とが共同して、負担の問題等もございますので、現在県の方にこういうことがあるということでお話を申し上げておりまして、これから連絡をとり合いながら対応を検討していきたいと考えております。  それから、二点目の、中小企業高度化資金の既往貸付分の猶予措置の問題でございますが、これは制度といたしましては、激甚災害指定ということになりますとこの返済の猶予が一定の範囲で可能になるということもございます。このあたりの被害状況、先ほど国土庁の方からもお話がございましたけれども、非常に大きな被害でございましたので、現在激甚災害対象となり得る被害額の算定を県の方で急いで作業をしていただいておりますので、こういったものの被害額の算定を待って、その後速やかにその措置についての検討を進めていきたい、かように考えております。
  17. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 八月十三日に天野建設大臣が現地調査視察福島県に参りました。そのとき、建設大臣が知事公館で記者会見をされております。それが翌日の八月十四日の地元紙に掲載をされて、私が見たのは福島民友でありますが、次のことが談話として載っております。「被害を受けた企業、事務所については、無利子融資ができるかどうか、関係省庁と検討中。個人災害についても可能な限り尽力する」、こう述べているわけであります。この新聞を見ました県民の皆さんそれから被災をされた皆さんは、恐らくこの言動に対して大きな期待を持ったに違いないと思うのであります。担当の大臣がおっしゃったことでありますから、実現をしてくれる、私もそう思いたいわけでありますけれども、被災いたしました中小企業や商店に対して無利子融資措置はとれるのですか、とれないのですか。同時に、建設大臣が、先ほど私が申し上げましたように、この点については関係省庁と検討中だという談話がありますけれども、その検討の結果どういうふうになりましたのか、お答えください。
  18. 桐山正敏

    ○桐山説明員 中小企業の場合の災害復旧に対する融資についてでございますが、これは一般の災害状態の場合の災害復旧貸し付け、これは既存の貸し付け以外に別枠で設定をしておりまして、現在この制度を活用していただいて復旧していただいておりますが、こちらの方は金利が六・四%でございまして、激甚災害指定を受けますれば、一般の災害については六・〇五%、それから特別に被害の大きかった特別被害者については三%という金利が適用になるわけでございますが、こういったあれでございまして、制度として無利子の融資はないというのが今の制度でございます。
  19. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 できるかどうか検討させているということでありますけれども、しかし、一大臣が、現職閣僚が現地視察の上で言い切っているわけでありますから、どうも大臣の発言内容、見解と違う答弁でありますので、十分ひとつ再検討をお願いしたい、こう思います。これは後ほど長官にその見解はお尋ねをいたします。  そこで、いろいろ歩いてみましたら幾つかの要望があります。特に中小企業関係におきましては、中小企業災害共済制度制度化してほしいという要望がかなり出ておりますので、この点についてはひとつ御検討をお願いしたい、こう思います。よろしゅうございますか。
  20. 桐山正敏

    ○桐山説明員 御説明いたします。  中小企業災害、風水害被害でございますが、これは農業共済ほど強い制度ではございませんが、最近そういう要望がございますので、中小企業火災共済組合がございまして、こちらの方の事故事由ということで風水害についても実は最近新たに追加をいたしたというところでございます。ところが、まだ現在追加して間もないということで実績がまだそれほど上がってないという状態でございますので、これから本制度中小企業皆さんにもっと利用していただくように中小企業庁としても十分宣伝をしていきたいと考えております。
  21. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 時間も余りありません。それで、端的に次の点についてお尋ねをいたします。  長官並びに建設省の方、恐縮ですが、この写真ちょっと見てください。——その間、ちょっとお尋ねいたします。  郡山市の谷田川、逢瀬川、越水もしくは越水による破堤、あるいは越水なしの破堤、いろいろあるわけであります。あるいは宮城県の吉田川、これは後ほど戸田委員の方から詳しくお話があると思いますが、谷田川、逢瀬川については一級河川吉田川については直轄河川、間違いありませんか。
  22. 近藤徹

    ○近藤説明員 吉田川それから逢瀬川、谷田川、いずれも一級河川でございまして、そのうち吉田川につきましては大臣管理の直轄区間でございます。
  23. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その場合についての管理並びに管理責任者はどなたですか。
  24. 近藤徹

    ○近藤説明員 基本的には一級河川でございますので国管理ということになりますが、そのうち大臣管理区間以外のものにつきましては、県知事に管理を委任しているということでございます。
  25. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 わかりました。  そこで、お尋ねをいたします。  今見ていただきましたその写真、それは吉田川河川敷地であります。私はあそこの左岸の土手に立って眺めて驚いたのであります。河川状態になっていない。つまり、写真でごらんのとおり、林のような状況でしょう。これは吉田川だけに限らず、谷田川も逢瀬川も大体類似しています。  それで、現地の人にいろいろお話を聞いてまいりました。特に吉田川の場合について、右岸は五十三年の宮城県沖地震で改修をされています。ところが、左岸の方は部分改修でありまして、まだ改修がされておらない。しかも、その落差といいますか、高さの違いは、現地関係者に聞きましたら一メーター以上、二メーター弱である。そうなりますと、洪水になります。御承知のとおり物すごい水があの川に流れました。ところが、左岸の方が一メーターないし二メーター近く低いわけでありますから、当然そちらの方に水が流れますね。これは素人でも判断できると思います。そこが一つ問題なんであります。同時に、写真でごらんになったようにあの森林のような立ち木があったがゆえに、現地の人のお話ですと、かなり渦巻きになって流れが遅くなってきている、こういう状況が実は立証されているわけであります。ですから、責任の問題を先ほど聞いたのはその意味なんでありまして、あれがきれいに刈り取られていたと仮定すれば、流水並びに流速というのはあのような状況にまでならなかったのではないかという考えも実はあるわけであります。  そこで、改修をされないまま、写真のような状況のままで水が増してきた。仮にそれがきれいに刈り取られていた場合、その違いはどういうふうに判断されますか。
  26. 近藤徹

    ○近藤説明員 河川内に雑草及び樹木が繁茂していたという状況と伐採したときでどんなような相違があるかということでございますが、河川内の樹木は、基本的には洪水の流下の障害となる側面があると同時に、また洪水の流速を弱めるという点もございます。したがって、堤防を防護するという側面からあわせ考えますと、必ずしもない方がいいとばかりは言えない点もございます。したがって、樹木があったからといって直ちに災害が起きたということは即断できないと存じます。  ただ、我々としましては、樹木の位置、密度、高さ等については、河道の形状、洪水規模等についての複雑な現象等ございますので検討してまいりたいと思いますが、一般的には河道中心付近には樹木がないことが望ましいことでございますので、従来からも、国有地内の樹木については予算の範囲内で伐採してきたところでございます。民有地内につきましては、土地所有者の了解を得ながら極力対処してまいりたいと存じます。
  27. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 あなた、一本や二本じゃないのですよ、その写真のとおり。それは森でしょう。それはまさに吉田川ですよ。谷田川だって大体類似していますよ。そうなったときに、仮にあの木がきれいに刈り払われていたとすれば越水だけで済んだかもしれないという現地の人の証言も実際にあるのです。そうなりますと、河川法の中でも明確になっておりますとおり、目的が明確でしょう。そうなった場合について河川管理に責任ありませんか。そうなったら自然災害だけじゃない、こう私は思うのです。  いま一つ事例を挙げましょうか。福島市の支流が何本かあります。大きな災害を受けました。本流阿武隈川がかなり増水して、そのために水門を閉めてしまいました。水門をあければ逆流してきますから大変な状態になります。水門を閉めたために今度はその支流の川がどんどんどんどん増水をしてきて、つまり水が逃げるところがありません。どこに逃げたかと申しますと、みんな住宅街に行ってしまったのです。それが床上浸水になって、大変な被害をこうむったのですよ。それは明らかに予見できたじゃありませんか。予見ができたにもかかわらず、その河川の改修がなされていないがゆえに今次被害が必要以上に拡大をしていったということは、私は素人の目でもわかると思うのであります。  そうなると、河川管理の責任問題になりませんか。だから、そこは自然災害だけじゃないと現地の人はみんな言っていますよ。どうして予見されたのにこの問題の解消を急いでくれなかったのか、急いでやっていてくれればこんな被害がなくて済んだはずだとみんな言っているのです。これはどうですか。明らかに河川管理の責任でしょう。
  28. 近藤徹

    ○近藤説明員 河川はんらんの予見ができたところについて河川改修を急ぐべきではなかったかという御質問と承ります。  我が国は基本的には国土の一割ぐらいが河川がはんらんした場合にはんらんする区域でございまして、そこに全人口の約五〇%が居住している状況でございます。一方、河川改修の水準でございますが、現在例えば阿武隈川等の大河川においては、戦後に起こった洪水等について一応二十一世紀初頭までには何とか安全にしたいという一つの段階的目標を持っておるわけでございますが、現状ではその整備水準が約六〇%、また、先ほどおっしゃいました郡山市等の中小河川については、五年に一回ぐらい発生すると思われる洪水に対して、全国的に見ると整備水準が約二〇%という状況でございます。したがって、今回のような豪雨があると、全国の相当の地域でやはりはんらんは予見できるような状況でございます。我々としては、予算を確保しまして、できるだけ早期に治水の安全度を向上するように努めていくのが我々の責務というふうに考えております。
  29. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 先ほど予算の範囲内でやったとおっしゃいましたけれども現地へ行ってごらんなさいよ。いつやったのですか。皆さんの方が河川管理の責任できれいに刈り払ったとすれば、私はあそこまでいかないで済んだと思いますね、素人的考えですけれども被害を受けました住民は皆思っていますよ。  例えば、福島市のくるみ川だって、水門を閉めれば増水してきてその逃げ場がないから全部住宅に行くことは知っているのですよ。皆さんの出先だってわかっているはずですよ。予見されたにもかかわらずそれに手をつけなかった責任は私は建設省にあると思いますね。だから、天災だけではない、明らかに怠慢がこれに重なって起きた大きな被害であるということを残念ながら申し上げなければなりません。今までの答えについては納得なんかとてもできませんので、しかるべき委員会等でさらにこの問題について明快な答えを出していただくよう私の方からも希望しておきたいと思います。  時間を超過いたしましたが、これで終わります。
  30. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、戸田菊雄君。
  31. 戸田菊雄

    戸田委員 今回の水害でお亡くなりになられた皆さんに心からお悔みを申し上げます。同時に、被害を受けられた皆さんに心からお見舞いを申し上げる次第であります。  時間が極めて短いので、一括質問を申し上げまして、以下列挙した内容についてそれぞれの関係各省から答えていただきたいと思います。  御存じのように、委員長からも報告がありましたが、最終の八月十五日の被害状況、殊に宮城県内における状況を精査いたしましたが、それによりますると、死者が五人、住家損壊が百六十九棟、床上床下浸水が三万七千十九世帯農地冠水三万六千二十八ヘクタール、農作物被害額百五十一億九千六百四十九万二千円、道路の損壊千七百八十九カ所、公共土木施設被害額三百三十二億二千五百四十四万七千円、工場商店等商工被害額が二百三十一億二千百四十六万円等々、八月十五日現在で総額において九百六十二億六千五百六十六万三千円。しかし、この被害はさらに増加をして一千億を超えることは間違いありません。このような大被害によりまして、県民の生活に多大なる影響を及ぼしている現状でございます。早期に国におきましても各般の施策のもとにこれらの救済措置に乗り出すべきだと私は思います。  そこで、項目的に質問を申し上げます。  一つは、佐藤議員から今質問のありました天災融資法を早期に発動すること、激甚災害指定について早期に措置をすること等々について、長官から一端の答弁があったわけでありますが、鋭意検討調査中、こういうことでありますけれども、その見通しはどうでしょう。この見解についてお述べをいただきたいと思います。  それから、第三は、道路、河川、砂防、林道、治水治山等、公共土木施設及び農地、農用施設等災害復旧早期実施を図ること。殊に再度の災害発生防止のための河川改修事業及び建設事業等、この促進を図っていただきたい。  殊に、宮城県の吉田川復旧ですね。今回鹿島台町が床上浸水千三百十世帯、床下が百五世帯、計一千四百十五世帯被災者が五千六百三十六人。浸水面積二千六百七十ヘクタール、うち耕地面積が千六百九十三ヘクタールであります。これは直ちに復旧工事に取りかかるべきである。そういう意味合いからいって、激甚災の特例措置法の適用をやってかさ上げその他の万般の措置をとるべきではないか、こういうふうに考えますが、見解はいかがでしょう。  それから、第四点は、農業関係であります。  農業共済金の再保険金の早期支払い措置、これをやっていただきたい。それから、米の品質低下の損害評価の特例措置を講じていただきたい。これは御存じのように宮城県全体で耕地面積の三分の一冠水をしました。殊に鹿島台の場合においては、先ほど申し上げましたように全町の三分の一程度、これが十日間も冠水をしたのですから、もう稲は茶色になって全部枯れてしまった、こういう状況であります。その被害はもう明確でありますから、早期にそれらに対する対応措置をぜひ講じていただきたい。  それから、二番目は、転作実施ですね。水田再編対策の三期、これに対する、恐らく増ということになってまいりますと、私の計算では宮城県の場合二二%程度になるのではないかと考えますが、そういった転作地の水没、流失、こういった現状があらわれておりますために、これらに対しては転作奨励助成金を従前どおり実行していただきたい。  それから、次は、商工関係でありますが、中小企業再建に係る政府系資金の貸付条件、一つはいわゆる限度額の引き上げ、それから利率の改善、特利期間の延長、これはぜひ実行していただきたい。  それから、地方財政措置についてでありますが、これは災害対策として、県、市町村の行う災害復旧及び生活再建に要する経費については特別交付税で賄っていただきたい。それから、被害額の甚大な市町村災害復旧財政需要に対しては、普通交付税の繰り上げ措置——一部実行しているという話も聞きますが、これに対する見解を明確にお答え願いたい。  それから、次に、災害復興住宅についてでありますが、これは融資枠の確保、融資条件の緩和、これをぜひ講じていただきたい。  それから、風水害時の減免措置でありますが、所得税はきょう大蔵省を呼んでおりませんから割愛しますけれども、地方税に関する災害減免法による減免措置、こういったことを適切に行っていただきたい。恐らく九月期が決算期になると思いますから、その時期までは全部そういう措置を徹底していただきたい、等々の問題について当面要請をして、時間がありませんから私の質問を終わりたいと思います。  ただ、最後に、吉田川ですね。これは先ほど佐藤議員の問題にもなりましたが、これは堤防の欠陥が水害の原因だと私は思うのです。  一つは、今言ったように河床に森林地帯が繁茂している。さっきの局長の答弁じゃないけれども、それが若干流水を緩慢に導いてむしろ被害が減少したというような見解のようでありますが、これは私は違うと思う。このくらい満水になってもまだ森林地帯の頭が出ているのです。これは決壊した後ですよ。こういう状況になると、それは逆に渦巻きを巻いたり、それから流木やなんかそれにひっかかってむしろせきをとめるような格好になる。殊に吉田川左岸というのは、決壊した方は、国土庁からも行って見学をされたらおわかりだと思うのですが、右岸よりも一メートルくらい低いのです。これはまだ仮堤ですから本工事はこれからなんです。結局、建設省洪水対策計画で危険度内においてAランクでこれを指定しているのですね。だから、そういうことは前々からわかっておる。こういう問題について事前に復旧その他でもって建設省も非常に一生懸命やっておりましたよ。やっておりましたけれども、こういう点の欠陥があったんじゃないか。だから、こういう点についての対応策を今後きちっと立てて早期に復旧作業に取り組んでもらいたい、このように考えるわけでございます。  時間がありませんから、以上、質問いたしまして、一括御答弁を願いたいと思います。
  32. 青木敏也

    ○青木説明員 お答え申し上げます。  第一の、天災融資法発動の問題でございます。  御案内のとおり、天災融資法発動につきましては、被害が甚大かつ国民経済に及ぼす影響が大という災害につきまして、具体的に政令を指定して発動するということでございます。  その発動に当たりましては、災害の態様なり規模、広がりあるいは被害の深度、それと被災者の具体的な資金需要等を総合的に勘案いたしまして発動を決定いたしているわけでございます。現在私ども、特に農作物被害等につきまして鋭意その詰めをいたしている段階でございまして、その結果をまちまして必要な措置について対応してまいりたい、こういうふうに考えておりますので、御理解を賜りたいと思います。  それから、第二点の、農業共済金早期支払いでございますが、これは非常に切実、要望の強い点でございます。私ども、これは先生御案内のとおり、共済金の支払いでございますから、原則の姿は、やはり収穫時までその作柄を見て被害額の認定をし共済金を支払う、これは当然のことでございますけれども、今回、例えば河川の決壊箇所のようにかなり広域にわたってもう全損ということがほぼ推定できるような圃場もございますので、そういう圃場につきましては、出来秋まで待つということをせずに、一つの損害額の仮評定、そういう実務的な手法を講じまして、共済金の仮払い等、被災者の需要に積極的に対応していきたいということで、既に関係共済組合団体等につきましてそういう実務的な処理の適正について指導をしているところでございます。  それから、最後に、大変困難な状況の中でせっかく転作を実施している、ところが、まさに今度の豪雨等で流失、埋没した、そういう転作田について奨励助成金が出るのか、こういうお尋ねかと思います。  これは、一般の場合ですとその転作作物をきちっと栽培するということが奨励金交付の前提であります。したがって、中途で転作作物の栽培が中断されるというようなことでありますと奨励金の交付はされないわけでありますが、何せ今回は災害でございます、個々の農業者の責めに帰せない事由によるものでございますので、このような転作田につきましては原則的に転作奨励金が交付されるものと理解しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
  33. 岡本敬三

    ○岡本説明員 今回被災いたしました林道あるいは治山施設の災害復旧につきましては、関係県の準備が整い次第早急に現地査定を実施いたしまして、緊急を要する箇所から順次復旧を図ってまいりたい、このように考えております。
  34. 帆足建八

    ○帆足説明員 災害査定につきましては、県の準備が整い次第実施することにいたしております。  それから、緊急に復旧すべき箇所につきましては、一千五百万以上は本省で事前に協議をする形をとっておるのですが、今回は非常に災害が激甚でございましたので、逆に査定官を現地に派遣いたしまして、現地で応急復旧の対策等協議を受けてそれで直ちに復旧にかかる、現在相当数につきまして既に応急復旧工事を実施中でございます。それから、早期に復旧する必要のあるものについては、できるだけ本年度中に復旧を終わるように現在指導しておるところでございます。  以上でございます。
  35. 近藤徹

    ○近藤説明員 今回の災害にかんがみて、再度災害防止のための河川改修事業の促進及び洪水地区内における樹木の繁茂の問題、それから吉田川における左右岸の堤防の問題について、お答えさせていただきます。  特に今回、吉田川等におきましては、激甚な災害であったことにかんがみ、災害復旧事業のみならず、河川改修事業についてもなお一段と促進に努力してまいりたいと存じます。  それから、洪水地区内の樹木の問題ですが、樹木があることがなおいいと申し上げたつもりはなかったのでございますが、必ずしも、あったからすなわち被害を助長したかというと、これは議論のあるところではないかと思います。基本的に河道の中心部においては樹木がないことが望ましいのはもとよりでございます。ただ、吉田川におきましても他の河川におきましても、非常に民地が多く、民地内の樹木につきましては土地所有者とのお話し合いが必要であるということが第一点。それから、この樹木を伐採するについては相当の予算が必要でございます。我々としましては、堤防の高さを上げるべきか、樹木伐採に予算を回すべきか、非常に選択を問われるところでございますが、今回の経験にもかんがみまして、極力伐採等にも努力してまいりたいと思います。  それから、吉田川堤防の問題でございますが、吉田川につきましては、左岸、右岸、それぞれ堤防の高いところまちまちでございます。これはそれぞれ改修の経緯がございまして、昭和二十年代からまず第一段階として築堤工事を行ってきまして、以後計画改定に伴いまして堤防の低いところあるいは引き堤の必要なところから順次堤防をかさ上げしてきたわけでございます。たまたま昭和五十三年の宮城県沖地震におきまして、右岸地区については災害復旧工事において一定の計画高水高まで堤防を築造したわけでございます。  なお、その対岸につきましては、その後河川改修事業によって左岸堤防の拡幅、かさ上げを重点的に実施しているところでございます。
  36. 桐山正敏

    ○桐山説明員 今回の台風十号の被害につきましては、中小企業対策といたしまして、まず八月七日付で政府系の中小企業金融三機関、中小公庫、国民金融公庫、商工中金でございますが、そちらの方に災害貸し付けの発動ということで、一般の貸付枠とは別枠で、例えば中小公庫の場合でございますと、一般の貸付枠が二億七千万でございますが、このほかに別枠で七千五百万を貸し付けるということで、またこの貸し付けの期間等につきましても、通常、運転資金については五年でございますが、これを十年まで延ばす、さらにその手続においても、災害という事態でございますので、可及的速やかに実行するようにということで指示をいたしております。  それから、第二に、各県の方で体質強化資金という制度がございまして、これは国と県がそれぞれお金を出し合ってやっておる制度でございますが、これの積極的な活用ということでお願いしているところでございます。  また、宮城県及び福島県におきまして、それぞれ県及び町村の災害に対します融資制度を現在発動していただいておりますので、これらの方をうまく活用していただきまして、全体的に政府系金融機関の方は返済期間等が長いという利点がございますので、資金によって使い分けをしてうまく多面的に活用いただけるようにということで、県及び関係機関を現在指導いたしております。  また、激甚災指定ということになりますれば、特利の適用、さらには中小企業信用保険の別枠設定等の措置が講じ得ることになっております。
  37. 柳原瑛

    ○柳原説明員 財政関係についてお答えいたします。  まず、被災団体が行う災害復旧事業に要する経費についてでございますが、実情を十分調査の上、被害状況及び財政状況等を勘案いたしまして、特別交付税等の配分において適切に対処してまいりたいと考えております。  次に、特に大きな被害を受けました団体に対する普通交付税の繰り上げ交付につきましては、現在鋭意手続を進めているところでありまして、できるだけ早く交付をいたしたいと考えております。
  38. 荒田建

    ○荒田説明員 住宅金融公庫災害復興住宅資金融資について、融資枠の問題、融資条件の問題についてお答え申し上げます。  今年度の災害復興住宅資金融資枠の点でございますが、通常の貸付枠とは別に百億ほど予定してございます。仮に百億の限度を超えるようなことがありますれば、融資枠外の流用という形で完全に融資要望に対応していきたいというふうに考えております。  それから、融資条件につきましては、通常の貸し付けが五・二五%、十一年目以降は六・一五%なんですが、災害の場合には五・〇五%と極めて安くなっております上、通常の貸し付けは限度額が大体五百十万程度になりますが、災害の場合は八百万円である、あるいは据え置き期間がある等々、条件を非常に緩和した形で利用しやすいような形にしております。  以上でございます。
  39. 杉原正純

    ○杉原説明員 税の関係についてお答え申し上げたいと思います。  災害により被災されました方々は一時的にいわゆる担税力が減少するわけでございますので、地方税法とこれに基づきます各地方団体の条例によりまして、地方団体独自に期限の延長でございますとか徴収の猶予あるいは減免措置ということを講じて救済を図るということができることになっておりまして、その場合の具体的な運用の基準につきましては、自治省の方からあらかじめ通達を出しておるわけでございまして、この通達の趣旨に沿いまして適切な減免等の運用が図られるよう従来から指導してきたところでございますけれども、今回の災害につきましては、一昨日でございますが、改めまして知事あての通知を出しまして、その趣旨の徹底を図ったところでございます。
  40. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどからお尋ねのございました天災融資法発動とかあるいは激甚災害指定等につきましては、被害実態を把握いたしましてそれに対応していきたいと考えておりますので、目下その被害実態を把握すべく調査を急いでおるところでございます。  なお、あとの災害復旧あるいは救済措置その他につきましては、ただいま各関係省庁からお話を申し上げましたように、それぞれ対応し、またいろいろと考えておるところでございまして、関係の各連絡会議を開きまして、今後とも適切な対応をしてまいりたいと考えております。
  41. 戸田菊雄

    戸田委員 時間ですから、以上で終わります。ありがとうございました。
  42. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、三塚博君。
  43. 三塚博

    三塚委員 今度の第十号台風被災者に心からお見舞いを申し上げます。亡くなられた方には心から哀悼の誠をささげるものであります。と言いつつも、釈然としない感情が現地に、被災者に、また犠牲者を出されました御家庭にありますことは現実の問題であります。  今回のは六十一年度の第十号台風ということであるわけですが、論を進めるに当たりまして、まず気象庁にお伺いをしておきたいのでありますが、政府高官の方が言われますように、前古未曾有の予想できない水量であって、まことに自然災害の最たるものである、こういうようなことも言われておりますが、果たしてさようなことなのか。私の知識によりますれば、四百ミリというのはまさにそうでありますが、二日間にわたっておるわけですね。雨量計算はたしか一日でその計算をするようになっておるのではないか、こんなふうにも思いますが、気象庁から今までのデータに基づいて、今次の十号台風のもたらした大雨被害、特に福島県及び宮城県が大変な被害を受けております。それと小貝川沿岸地帯、このように相なろうと思うのでありますが、その点についての御見解をまずお伺いをいたします。
  44. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  今回の雨でございますけれども宮城県下におきましては、亘理郡亘理町で四百十六ミリ、仙台市におきましては四百二ミリに達したわけでございます。  そこで、過去の統計から見て未曾有のものであったかどうかという御質問かと承りましたけれども、過去の統計によりますと、仙台におきます過去六十年間の統計を見ますと、日雨量にして今回二百九十六ミリになっておりまして、これは従来の第二位になる。こういうことから考えまして、今回の雨は数十年に一回程度のまれなものであるということが言えるかと思います。  それで、これの予報についてというお尋ねでございますけれども宮城県の場合で申し上げますと、仙台管区気象台では、八月四日の二十時四十分に大雨洪水警報などを発表して警戒を呼びかけたのでございます。この時点で県下で既に降っておった雨は約六十ミリ前後でございましたけれども、県の過去の災害等に基づきまして、重大な災害を起こすような基準雨量、これに達するかどうかということが問題でして、この時点でその基準百四十ミリを超えると予想を立てまして、大雨洪水の警報を発表したところでございます。その後も引き続きまして各種の情報を提供してまいったわけでございまして、八月五日零時及び同日午前四時四十五分にも内容を改めまして大雨洪水警報を発表して、総雨量が三百から三百五十ミリに達するといった予想を立てまして、河川のはんらん、あるいはがけ崩れ等に対する厳重な警戒を呼びかけるというふうな措置をとってまいったところでございます。
  45. 三塚博

    三塚委員 伊藤委員長、災特の皆様方現地を見られました。私も、こちらに会議がございましたものですから、前日、福島県は参りませんでしたが宮城県をつぶさに見させていただき、福島県は県庁からデータをちょうだいして勉強させていただきました。  そういう点で、今回マスコミの報道は小貝川のはんらんというのを大々的に取り上げました。東京紙は特にそうであります。ところが、その規模の甚大さにおいて、宮城県の被害額福島県の被害額、一千億を超えているわけであります。まさに今次の十号台風に伴う被害は両県に集中した感がございます。そういう意味で、今実は気象庁の見解もお聞きをいたしたわけでありまして、気象業務がスタートしてから第二位の雨量であります、こういうことなんですね。四百ミリということになりますと、それは一日ではないわけですね、二日間にわたりということに相なるわけでございますから、その辺のところをどう見るかは今後の当委員会の審議の経過をまたなければなりませんし、現地実態を把握いたした上でもう一度審議をしていかなければならぬ、このように思うのであります。  きょうの質問者もほとんど福島県選出と宮城県選出、まあ安藤さんは別地区で、東北には共産党の議員さんが……(「栃木もおるよ」と呼ぶ者あり)栃木もおられる。質問者がそういうことで、私も委員差しかえをお願いしてここに質問をいたすゆえんもそこにあるわけであります。  そこで、宮城県、福島県は工藤政務次官を団長とするところにお任せをいただいて、長官は他の県を御視察になられたようでありますから、ちょっと私の質問を聞きながら、これを見せておきますから、長官、最後に御答弁をいただきます。これは仙台市の都市災害、後ほど触れます今日の特徴的な災害の一つであります。  それと河川災害、これも、小貝川吉田川はかつて百年暴れ川と言われ、建設省もかつての内務省もこの改修に心血を注いできたところであります。こういう状態になり得ることは既に担当官は熟知をいたしておる地域の大水害であります。特にその及ぼすところ極めて甚大であり、吉田川佐藤委員戸田委員からも触れられたように、十日間たちましても稲の穂が見えないという深刻な状態になり、収穫は皆無であります。各省の担当官いろいろ答弁をされております。政府官僚としてまた担当官としてそれはやむを得ないところかなとは思いますけれども現地を見ましたならばただいまのような答弁に相ならぬと私は思う。そういうことで、長官、最後にあなたに見解と、政治家として、政府の防災、災害に対する責任者としての明快な所信をお聞きいたさなければならぬわけでありますので、逐次私と政府関係官との質疑をお聞きいただきたいと存じます。  さて、第一に取り上げなければなりませんのは、この河川の問題であります。ただいま両委員からも御指摘がございました。私も多少小貝川実態も勉強させていただきましたし、特に私の選挙区である吉田川、この点についても、これはよく知っているわけであります。伊藤委員長と私はそこは地元であります。特に干拓三百年の歴史ということでありまして、渺々たる品井沼という沼がございまして、八千ヘクタール、大変な地域に及ぶ沼地でありました。それを東北単作地帯からはい上がる、そういう意味の営々たる干拓事業、三百年にわたる積み上げの中で今日日本一うまいと言われるササ・コシ、ササニシキの発祥地でもあるわけであります。  そういうことをかんがみて問題提起をしたいわけでありますが、この両川とも特徴的なのは暴れ川であるという点が一つあります。それと、国の重要な河川指定されておる。片や大臣直轄、片や重要指定という中にもかかわりませず、今回何回目かの災害が起きておる、こういうことであります。  吉田川は、資料にある限りでは昭和十九年、二十二年、二十三年、二十五年と大災害を繰り返して収穫皆無、塗炭の状況に相なってまいりました。小貝川も昭和十三年、十六年、二十五年、三十三年、五十六年、こういうことでこれまた大災害が相次いで今日の災害、こういうことになるわけであります。小貝川の場合は機関場のつけ根のところから、アリの一穴から一挙に泥海と化するという状態のようでありますが、吉田川は、その写真に見られますとおり決壊箇所四カ所。特に決壊箇所の最初の場所は完成堤、いわゆる完成した堤防と未整備の堤防——完成堤の方が少ないわけでありまして未整備の方が多い。今、左岸と右岸の話が出ましたが、宮城沖地震の際、右岸に決壊場所が生じた。そういうことでもありまして、また人口稠密度がそちらが多いということで堤防のかさ上げが行われたのではないかと思うのです。一メートル程度高い。ですから、両方とも同程度の高さであるならば防ぎ切れたのではないかという悔いを残した。  また同時に、その決壊した場所は完成堤と暫定堤との切れ目のところで一挙に決壊をしていく。泥水が一挙に流れ、ごらんになられた方はおわかりのとおり、渺々たる沼に一瞬にして化したわけです。床上なんというものではないのです。所によっては二階から上がって屋根が見えなくなるくらい。大体屋根だけが残るという状態。豚も牛も死んでしまう。農家は家財道具を搬出する間もなく、農作業の手段である農業機械、そういうもので運べるものだけ堤防の上に運んだ。しかし、重いものは運べないということであります。  こういうことどもの中であったわけでございますが、この点、両委員も御指摘のように、自然災害とはいえ回避できない災害かなという一面の流れの中で、私ども国会はその原因を明確にすることで次の災害の防災に完全な体制をとらなければならない。それと、二次災害を起こさないように、今建設省中心に各省全力投球で復旧に当たっていただいておりますことは感謝をいたします。しかし、これは国の行為として当然のことでありまして、さらに御奮闘をいただかなければならぬ、こういうことになるわけですね。  そういう点で、今次の災害は、国土庁でも結構であります、河川局でも結構であります、この未曾有と言われる両川の災害はやむを得ないものであったのかどうか、あるいはその原因をあなた方はどのように分析をされておるのか、また吉田川右岸が一メートル高い、品井沼を干拓をし、美田に化しました、それを守り抜く堤防の方が低かったのはどういうことなのかという点をまずお聞かせをいただきたい。
  46. 近藤徹

    ○近藤説明員 お答えいたします。  今回の吉田川災害について御説明いたします。  吉田川の改修計画は、計画対象とする高水位を定めるに当たりまして、二日雨量で三百三十五ミリというのを対象計画を策定しております。今回の豪雨はおおむね一日で約三百十ミリということで、ほぼ計画に匹敵する雨が大体一日で降ったというような状況でありまして、我々河川改修を担当する者の対象とする雨量としては異常豪雨ではなかったかと思います。このため、大和落合地点においては計画高水位を長時間にわたって上回りまして、最高水位計画高水位、これは我々が河川工事が完了した時点でこの水位以下で計画高水流量を流そうとしている水位でございますが、それを約五十センチ上回ったわけでございます。我々としては、今回の災害は今の河川改修の水準から見ると異常な豪雨ではなかったかというふうに考えております。  それから、現在の吉田川堤防の左右岸の問題でございますが、吉田川堤防は昭和二十年代からまず第一段階として築堤工事を行い、以後、計画改定の都度、堤防高の低いところあるいは川幅の狭いところから順次かさ上げ工事を行ってまいりました。したがって、現在の堤防でも左岸の高い部分もあれば右岸の高い部分もあるわけでございますが、特に今回はんらんしました地域の対岸であります右岸の山崎地区につきましては、昭和五十三年六月の宮城沖地震によって大被害を受けたところから、この災害復旧に当たりまして計画高水位の高さまでの堤防を築造したわけでございます。なお、その対岸、左岸側につきましては、鋭意河川改修事業によって堤防の拡幅、かさ上げを重点的に実施してきたところでございます。今回の出水では堤防かさ上げの済んでないところから溢水はんらんとなったのでございまして、我々としては、今後、これらの教訓を踏まえできるだけ予算確保に努めつつ、工事の促進に努めてまいりたいと思います。
  47. 三塚博

    三塚委員 いみじくも担当官言われましたとおり、これは長官、後からまた答弁をいただきますが、後段の、予算の措置が思うに任せなかった、大臣直轄の河川でも思うに任せなかったという点が一つあるわけですね。きょうは建設大臣はほかの用事でお越しいただけませんで、建設省担当官、よくそれを大臣にもお伝えくださいよ。大臣にもけさ電話で申し上げました。  今度補正予算を三兆円組む予定になっておりますが、その前に、やはりこういう予算措置が十二分でなかったことから招来をいたしました河川管理の国の責任、同時に、私ども国会の責任も痛感しなければならない。私ども与党であるからなおさら責任の重大さを痛感いたしておるわけであります。財政あって国土なしということではいかぬわけでありまして、やはり生命と財産を守り抜くというのが行政、政治の最高目標であるわけでありますから、それをきちっと補てんしてこそ初めて国家がありそこに国民がある、こういうことになり得るわけでございまして、この点、不退転の決意でこういう暴れ川と言われる問題については優先的に措置を講じていかなければならない。特にこれらの河川については、その長、議長、議員、各団体が、国会はもとよりそれぞれ政府関係筋に毎年陳情を繰り返しておるわけであります。この災害が起こる前に既にまた陳情に来られておる。皮肉なことには、その期成同盟会の総会の日に集中豪雨が降り、吉田川河川がはんらんをし大海と化するという被害が現出をいたしておるところから見ましても、政治の責任極めて大である。私どももそのことを踏まえつつ措置を講じてまいらなければならぬな、この点を申し上げます。  同時に、もう一つ、これも最後に長官から総まとめで答弁をいただきたいのでありますが、両先生の質問に対しまして、被害実態を把握しつつ最終的に天災融資法激甚災害等の指定を行う、こういうことであるわけでありますが、常識を超えた今次の天災であるわけであります。そのことがそれぞれの基準にはみ出るといたしましても、それは政治として決定をしていくべき性格のものではないだろうか。政令でこれを行うということになるわけでありますから、これこそ被災者の悲願に思いをいたし、また原状回復のために立ち上がろうとしておる、また、立ち上がるのをやめよう、あきらめて他に転職をしよう、こういう状態にもあるわけでございますから、このことは放置できない。だとすると、各党一致で、議員立法でやる。極めて異例でありますけれども、政府はそこまでやらなければならぬ。我々が選挙区から代表として選ばれるゆえんも、こういう事態のとき、同じ悩みの中で、同じ苦しみの中で問題解決のために全力を尽くしてほしいということで選ばれておる。議会制民主主義はまさにそうだし、政党政治というのはまさにそうであるわけでございます。そういう基本論に相なることになりますので、平時の災害指定のようなことであってはならない。先ほど農林省から戸田委員質問に対し、農業共済の前払い、全損と見られる場合はそうしますと言うが、品井沼は全く全損なんだ。もう根が腐っちゃってアウトになる。十日間も穂ばらみ期に泥の海に冠水している。農林の専門官がここにおられますが、我々百姓育ちですからすぐわかる。あんなもの四日もかぶったらアウトです。それは直ちに支給を開始しなければなりませんし、また諸手続においてそれに準ずる措置を講じなければならない。  なぜこんなことを言うかというと、さすが地方自治体、福島県もそうだ、宮城県もそうだ、よその県もそうだと聞いておりますが、特にこれだけの大被害なものでありますから、臨時県議会を開き、苦しい財政の中から財調、わずかの積み立てを全部出して間に合わない、県債を起こし、そして準ずる措置を既に講じておるわけであります。それが地方自治というものであるわけでございますから、国がそれを認めないということであってはならない。こういう点で、後ほどその見解をお伺いしたいと思います。  そこで、もう一つ、今次の災害の中で私どもが教訓として学ばなければなりませんのがいわゆる都市災害でございます。  郡山中央団地、工業地帯が大被害を受けました。そして同時に、この被害と匹敵する、規模郡山よりも大きいものでありますから、仙台東部の流通団地工業団地、印刷団地、金属団地等々甚大な被害を受けたわけであります。これらは国の補助の対象に相なりません。融資が精いっぱい、こういうことになるわけでありまして、ただいまの担当官からは激甚災害指定を受ければ特利でいけるということのような話もなされたわけでありますが、今の災害が想像できない状態の中で起こったという点が一点、それともう一つは、新興住宅地というのは丘陵地帯を取り崩して行うか田んぼを埋め立ててやるかどっちかなんですね。しかし、宅造法、これが開発行為の規制ということを、がけ崩れを未然に防ぐという方式を確立してなかなかいい形に相なってきておるわけでありますが、以前につくられた団地仙台市の場合で百三十、それが崩壊をして大損害を与えておりますし、それから、二次災害の危険が起きているという丘陵地帯においてもそういうことに相なっております。それともう一つは、東北がハイテクセンターとして立ち上がろう、そうすることが東北の後進性を抜け出す道であるということで、各県各市町村一体となり、政府の施策と相マッチしながらそれぞれの団地の造成、工場の誘致というよりも、なかなか来てくれない、ですから、地元企業、中小企業を育成強化をすることの中で、嫌がるものを一団地にまとめ、そこで協業、共同研究等々を行わしめてやってきておるわけであります。特にハイテクの今日でありますから、これに乗りおくれてはならぬということで、乏しい財力を県が出す、市町村が出す等々を行いながら団地形成をいたしてきたわけでございますが、都市排水がこれに並行していかない。水田地帯を埋め立ててやるものでありますから、用排水路があります。これがこの雨量によって溢水をして、これまた一メートルあるいは二階まで達するというような状態に相なった。実は今回の特徴的な、都市災害の典型であろうというふうに思います。  特にコンピューター等々OA機器が事務所にセットされておる。工場にはそれだけの最新の機械を生産性向上、効率的という意味で配置をする。近代化、こういうことであるわけですが、これが水をかぶることによってやはり機能が落ちるあるいは使用不能になる、こういうことで、立ち上がるためには新しい機材を購入せざるを得ない状況に相なった。お聞きをいたしますと、佐藤先生から言われたかもしれませんが、郡山地方では既に倒産が出ておる。倉庫に格納したものが泥水をかぶることによって商品にならない。これは仙台にも、七夕の直前でありましたから、七夕のために商店の要望に応じて大量に仕入れた原料が全部洪水をこうむることによってアウトになった、そこでピンチに立つ、こういうことであります。  こういう問題は、やはり激甚法に準ずる形をそれぞれの自治体が乏しい財政の中から拠出をしながらやらざるを得ない。しかし、範囲が数百億に及ぶものでありますから、なかなかもって大変である。こういうことの中でこの措置も的確に講じていかなければならぬだろう、このように思うのであります。  これも、下水道整備というものを建設省一生懸命やられておる。都市排水、こういう問題についての今後の整備のあり方に一石を投じたというよりも、今後の新宅地造成、新工業団地造成、センター造成の中で真剣に考慮をしていかなければならぬ問題点かな、こんなふうに思いますし、この点についてどのように政府関係機関は把握をされ、どのような措置を、今答弁がありましたけれども、改めてお聞かせをいただきたいと思います。
  48. 山本重三

    山本説明員 ただいま先生からるる今回の災害の特色について御意見が述べられまして、私も現地視察いたしましてその状況をつぶさに見てまいりました。  まず、激甚災害指定の問題でございますが、先ほどより長官から答弁いたしておりますように、現在、目下関係省庁で鋭意その被害実態の把握に全力を挙げているところでございまして、この被害実態を把握し次第適切な判断をしてまいりたいと考えております。  また、二次災害につきましては、御承知のように、法律的には、国民経済に著しい影響を及ぼす災害について特別の助成をすることが特に必要と認められる場合に適用するということで、一般の災害対策措置にかさ上げする助成措置を行うものでございますが、これにつきましても、全国的な観点から見て被災の状況の大きさを見るのでは不適当であるという観点から、過去四十三年にも市町村単位での災害状況を把握して、その災害の程度が甚大である場合には局地激甚災害として指定し、それに対して鋭意激甚法のそれぞれの規定の適用をするという措置をとっております。こういう観点も踏まえまして、激甚法の適用問題についても私どもも鋭意検討してまいりたいと考えております。  また、最近の都市災害状況について先生からるる御説明ございましたが、今回の災害現地を見てまいりますと、やはり工業団地等でハイテク等の機器に被害を受けた地域が福島県、宮城県等で見られまして、その被害実態というものを本当に見、痛感してまいったところでございます。  私どもといたしましても、最近特に情報化、都市化が進展している、そういう観点から、国土保全事業等は鋭意進めておるわけでございますけれども、防災面から、ある面では社会的な機能の脆弱性が増大しているという面もあるだろう、そういう面から、私どもも今後そういった都市化あるいは情報化の進展に対応した防災対策というものを一層強化するよう、関係省庁とも緊密な連絡をとりながら努力を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  49. 三塚博

    三塚委員 あなた、同じ答弁ばかりしてはだめだよ。そんなことはわかっていることだ、被害実態調査する……。ですから、今気象の問題から災害のなぜ起きたかという原因の問題をお互い議論したわけだ。それで、それぞれの県は苦しい財政の中から、このままにしておけないからそれなりの措置を講じておるわけだ。それは県がやったことだから勝手にせいという議論に通ずるわけだ。両先生に答弁したから、僕に対する答弁は与党だから前向きになったのか、こういうことの懸念があるならば、そんな懸念は払拭していいよ。お互いが政治家としてこういう場合はきちっとやれ、こういうことなわけですから。あなたはいい。あと綿貫長官からそれを聞かなければいかぬ。こういうことはわずかなことなんだな。かさ上げはあります。特に今言っている農業災害なんというのは共済なわけです。あとは自作農維持資金でありますとか経営資金でありますとかいろいろありますね。その枠を拡大して、農機具はだめなわけですからそれはそれでやってあげる、こういうことなわけだ。しかし、それに比して、中小企業は営々と築き上げたものが一瞬にしてアウトになる、従業員を抱えておる、労働問題、雇用問題にも相なる、地域経済がそこで沈下する、県税の収入、市税の収入が落ちる、こういう悪循環を生むのだ。金の卵なわけですから、営々とつくり上げてきたものが。だから、それはほっぽっておけないわけよ。おけないわけですからきちっとやらなければならぬ、こういうことになるわけでしょう。それを国は国の政令の基準があるからそうだそうだと言っていれば、それは政治じゃないよ。  それで、天野建設大臣が閣議で無利子でばあっとやれと発言した。まあいろいろ検討しようということのようでありますが、この際、その据え置きの期間をきちっと、制度との振り合いがあるとするならば、異常な状態でありますから据え置きを三年にするとか、そして特利であの横並びでスタートをするとか、そこは話し合いだ。それじゃこう、これはここの点がちょっと合いませんがねというなら、それじゃその県が何ぼ持とう、こういうことにもなるし、そして事実上その激甚災の指定を受けたことに通ずる措置の中でやることが生きた行政であり生きた政治であろう、こんなふうに思うわけでございます。  どうぞこの点お聞かせをいただきたいわけでございますが、この辺で長官ひとつ制度の見直しを含んで御見解を……。
  50. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の台風十号によります大変な災害につきまして、いろいろ実態について今調査を進めておりますが、三塚先生から、吉田川中心にしての生々しい被害実態、またそれに対応するいろいろの御意見の御開陳等もあったわけでございます。  国土の保全をし、しかも国民の生命財産を守るというのは政治の全く基本的な最重要課題でございまして、私どもも今回の災害はまことに残念なことだと思っております。特に、防災関係につきましてのいろいろ予算づけ等についても、心強い御意見の御開陳もございまして、私どもも心からそういう方向を待ち望みたいと考えておるわけでございます。  なお、災害の対策につきまして、天災融資法あるいは激甚災害指定等行政官庁は実態の把握を急いでやりたい、こう申しておりますが、先ほどから政治家としての見解も述べよということでございまして、先ほど天野建設大臣の御発言もございましたが、国会の皆様方、特に災害対策委員会の皆様方の御意見、そういうものを十分踏まえて、対応できるような体制ができるように努力をしてみたいと考えております。災害の中で今大変な被災の悲嘆に暮れておられます皆様方の気持ちを十分に体して対応できるように私も考えてみたいと考えておる次第でございます。
  51. 三塚博

    三塚委員 ありがとうございました。長官がその決意でおやりになりますことについて、私ども万般の御支援を申し上げながら、必要がありますれば財政当局その他にもきちっと話をつけさせていただきたいと思っております。  最後に、もう一度、今回の都市災害の中で、あれだけの豪雨の中で、がけ崩れが仙台市百三十カ所ぐらい起きておるわけでありますが、規制前の宅地につきましては、危険地域の指定ということでそれなりの措置が講ぜられるわけであります。それと、住宅地でありますれば、これは災害を受けた人はしようがないということで、自己復旧ということで、いろいろ融資制度、公庫等々が発動されていく、こういうことであるわけでございますが、そうでない、規制後の新宅造法に基づく宅地造成の地区が今度の災害によって大きく崩れておるわけであります。仙台でいいますと鷺ケ森団地というのがあります。かつての宮城沖地震のことを国土庁よくおわかりのとおり、緑ケ丘というところがありますが、これが陥没をして住めない。写真にも載っておりますが、そういうことで、それを買い上げまして、それで他に移転をした。それでそのところは全部再整地をしまして、公園、緑地として保存するということで環境整備を図る、こういうことですね。今度のこの仙台幾つかの箇所におきまして、特に鷺ケ森団地というのは段々ですから、ここがアウトになってこっちがつぶれるわけですね。また今度は、雨が来ますとこっちがまたつぶれていくわけですね。だから住めない。こういうことは緑ケ丘団地の例に倣いやらざるを得ないだろう、こういうことであります。こういう問題についても、自治体は相談されるはずでありますから、やはり的確な措置を講じてほしい。この点知っておりますかどうか、お答えをいただきたいと思います。——知らないようですから、よく研究してください。仙台市に言うと直ちにそのデータ等々全部来ますから。防災局長、関係省にちゃんと言ってやってください。回答を後ほど聞かしてください。
  52. 山本重三

    山本説明員 ただいま先生の御指摘の件につきまして、具体的な話は私どもまだ伺っておりませんが、状況を判断しながら、住宅の移転事業なり集団移転促進事業等なり、その対策に十分対応できるよう関係省庁と十分協議して推し進めてまいりたいと考えております。
  53. 三塚博

    三塚委員 時間が来ましたから、これで終わります。ありがとうございました。
  54. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、武田一夫君。
  55. 武田一夫

    武田委員 今回の八月五日の豪雨によりまして、私の宮城県、そして隣の福島茨城栃木等々に大変な被害がございました。いろいろと今各委員からの指摘がございましたが、私も同様にいろいろと思うことがございます。ただ、時間がわずか二十五分、たくさんの問題を抱えていながらの短い時間でございますので、一々質問の項目を挙げることを差し控えまして、すべて列挙をした上で御質問をさしていただきたいと思うわけであります。  最初に、長官に私はお願いをしたい。というのは、今回多くの方々被害に遭われましたし、また十九名の方が亡くなられ、皆さん方にはお悔やみを申し上げ、お見舞い申し上げるわけでございますが、毎年のように被害がある。今回、特に台風十号でございました。私は過去五年間主要災害水害状況を見ますと、不思議と台風十号というものの被害がある。昭和五十七年七月五日から八月三日、これはやはり豪雨及び台風十号の被害、このときは四百三十九名の死者、行方不明を出している。それから、五十八年の九月二十五日から二十九日、これも台風十号、このときも四十四名の死者を出しておる。今回八月五日、台風十号、死者十九名、死者が非常に少なかったのが幸いだった。これは一つには、朝方早く皆さんが起きた後で、各市町村の対応も非常によかったということもあるわけでございますが、こういうような被災地の中で、以前から災害発生があり得ると指定されておる地域が数多くあったという事実であります。防災の手を早目にしっかりとやっておけば回避されたという地域があったという事実。今回も残念ながらそれがまた現実の問題として出てまいりました。  先ほどから指摘されている吉田川は、これは私は二年前やはり当委員会におきまして指摘をしておきました。というのは、これは地震のときの災害復旧が思うように進まないということで、私は地建に行きまして今回もう一度聞いてみました。そうしましたら、今回四カ所決壊したわけです。その中で私が以前に指摘したのが一カ所、桧和田地区というのがあるのでありますが、これは大和町という鹿島台の隣の地域でありますが、ここなどは地元の老人会の皆さん方が近くに家を持っている、民家も多いということで非常に心配をされて、右岸、左岸の高さの違い等もありまして、その民家から見ると非常に怖い地域であります。ここも見事に決壊した。それで聞きましたら、改修のための予算が年に四億しかとれないというわけであります。それじゃ、今回のこの改修にどのくらいかかるかと言ったら、四十億から五十億かかるということでありまして、吉田川全体としてそういう心配なところはどのくらいあるんだと言ったら、私も唖然とした、二十数カ所あるというのであります。今回よく四カ所でおさまったものだと調査官が言っている姿を見まして、これは一例として重大な問題だ。しかも、これから台風シーズンでありまして、地元では、本格的な改修をしなければ、地域住民の皆さん方には危険を覚悟で準備をしてもらわなければいかぬというようなことであってはこれはまことに遺憾だと思うのであります。人命をしっかりと守り、住民の生命財産をしっかりと守るという国の重要な責務を、この今回の大きな被害を最後の反省として、私は早急にこの問題に対応していただきたい。これは小貝川につきましても同じようなことが言えると思うのであります。  そういう意味で、各市町村、県等としかと連携をとりながら、そういう地域に対して二度とかかる大惨事のないよう対応してほしいという願い、決意を私は長官にまずお聞きをし、以下この問題について建設省にもお尋ねをしておきたい。長官からまず御答弁をいただきたい。
  56. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 国土を保全し、国民の財産、生命を守る、いわゆる防災対策、こういうことは政治の最も重要な点であることは先ほども申し上げたとおりでございます。今御指摘のように、災害復旧よりも防災の方にもっと力を入れろ、当然のことだと思います。ただいま財政がまことに厳しい中でございますけれども、我々は関係各省庁にもいろいろとお願いをいたしまして、防災関係の予算については、他の予算と別枠にしてでもひとつできるだけ確保してもらいたいということを協議させていただいておるところでございます。  御指摘のように、我が国は災害の起こりやすい地理的条件、気象条件を持っておるのでございまして、今後とも少しでも災害が少なくなるように万全を尽くしてまいりたいと考えております。
  57. 武田一夫

    武田委員 それでは、関連して建設省にお尋ねします。  地建の担当官は、これは本工事を早急に、今年中に手をかけたい、それで本省からも近々現地をまた視察においでになる、あるいはまた地建との打ち合わせに来るのでしょうが、そのことを期待しておりまして、四十億から五十億は必要であるが、これはぜひやらなくちゃいけない仕事であるということで、前向きに取り組む姿勢を示しておりました。この点について当局は今後どういうふうに動かれるか、それをしっかりと示していただきたいと思うのです。
  58. 近藤徹

    ○近藤説明員 吉田川の今後の対応方針でございますが、まず、今回四カ所で溢水、破堤をしておりますので、この部分につきましては、ただいま応急復旧工事でとにかく水をとめたところではございますが、本格復旧工事に向けまして早急に災害査定を行いまして、予算の確保に努めたいと思います。  なお、それにとどまらず、この地域全体についてやはり治水の安全度をさらに向上させるための予算の確保等についても今後努力していきたいと思っております。
  59. 武田一夫

    武田委員 早急に対応していただきたい。  実は、災害対策特別委員が、伊藤委員長以下当地を視察に参りましたときに地域の農家の皆さん方がやってまいりました。それで、これは明らかに人災だ、まよえ、こういう言葉で、まよえとはどういう意味だ、我が地域の言葉にふなれな方々から御質問がありました。弁償しろということであります。その状況伊藤委員長も、胸ぐらに飛びかからんばかりのその悔しさと不満といいますか、その心情を思うときに、こういう災害というものの恐ろしさ、私は二度と起こしてはならぬと思った一人でございます。各委員もそう思ったに違いないと思うのであります。  そういう意味で、我が市だけでなくほかの地域も同じく思いは一つだと思うわけでございますから、ひとつ何にも優先して、しっかりと本工事等の完全なる改修のために全力を尽くしてほしい、このことを要望しておきます。  続いて質問申し上げますが、先ほどから激甚災の指定の問題あるいは天災融資法発動を早急にしてほしいという問題がございました。これも時期的にはこれから東北は寒い冬が急ぎ足でやってまいります。ですから、災害復旧は早目に対応しなければならないことでありますから悠長にしておれませんので、県、市町村等の最後のまとめを急いでいると思いますが、国としても対応を早急にしてほしいというのが第一点でございます。  その中で、先ほども委員から話がありましたが、鹿島台という町は大変な農作物被害とともに家屋の被害がございました。農作物被害等については農林省の方から御答弁いただきたいのでありますが、七割くらいは全滅のところは共済で補償される可能性が出ている。しかしながら、個人住宅については先ほども、全然そういう対応はなされない、できないんだと。しかしながら、こういう地域は収入は皆無です。特に志田谷地地区という地域がありますが、いわゆる一番水をかぶった地域。これは全滅。一〇〇%米はとれない。また、水が上がった後の処理でもう家の中は臭くてしようがない、これは住めるかという地域がかなりある。こういうような方々はもうどうしたらいいのかという心配と不安でいっぱい。個人災害というもの、我々を守ってくれないのかということが、当地の農家の皆さん方を中心とした被災者の一番の要望でございます。こういうダブルパンチを受けて収入皆無、そして生活が大変というようなところに対する格段の御配慮があってしかるべきだと私は思う。検討できないものかどうか。  二番目、水稲が相当痛めつけられました。この地域でございますが、我が宮城県の中でも穀倉地帯の中心鹿島台町。人口が一万四千ちょっと、約三千七百世帯のうちで農家世帯が千五百世帯くらいあります。ここの昨年の米の代金が約三十億。町の総生産額が三十二億くらいですから、もう八割強、九割近くであります。災害による減収予想がどのくらいか今農協等で調査しておるのでありますが、実に二十三億近い、こういう現況であります。その他野菜、葉たばこなどもつくっております。あるいは畜産等ありますが、こういうものをまぜると二十五億くらいまでいくのではなかろうかというまことに大変な地域でありまして、田んぼももう田んぼという姿は見えない。こうなりますと、この地域が再生するためには大変な努力をしなければならないし、国としても相当力強いてこ入れをしてあげなければならないと思います。  そこで、一つは、農地農業用施設被害に対する災害復旧早期実施をまずしていただきたいということであります。再び災害が発生する心配のある地域もある。まして台風シーズンが待ち受けているわけであります。それから、もう一つは、自作農維持資金の貸付枠の確保と貸し付け条件の改善等についての手当てを早急にしていただきたい。それから、農業共済の共済金の早期支払い、こういう問題をひとつ早急に実施してほしいということであります。  三つ目は、これも今回の水害で特に顕著だった企業団地仙台におきましては卸町、日の出町という地域が、約四百から五百くらいの企業が居並ぶ団地でありますが、福島県の郡山市と同様に大変な被害を受けました。ここだけで、今調査中でありますが、二百億近くあるのではなかろうか。企業の中には、大体最低でも一億くらいの被害を受けた、そういう電機会社等々もございまして、小さい企業等々は、これによって倒産の危険もあり得るということで心配しております。そのために、彼らは銀行に対する融資をお願いするにも、余り金額が多過ぎますと、被害額が大き過ぎますと、この企業はちょっと立ち直れないのじゃないか、そういうことを勘ぐられるおそれがあるということで、過小の被害届を出しているという地域もある。まことに気の毒千万です。かわいそうです、これは。仙台市でも独自の融資計画を立てまして、先日それを打ち出したようでありますが、やはり利子が高い。  ですから、こういうことを考えますと、そういう企業の実態に合わせて、農業並みのというわけにはいかぬでしょうが、相当手厚い対応をしてあげなければならぬと思うわけでありまして、特に中小企業対策の政府系金融機関の貸し付け条件ですか、これをどうしても天災融資法並みに緩和してほしいという要望が非常に強かった。それから、中小企業信用保険法による災害関係保証の特別措置を講じてほしいという要望も参っておるわけでありまして、こういう問題を含めて対応をひとつお聞きしたい。  それから、次に、私立学校の中で、幼稚園、高等学校が合わせて十校ほど水をかぶりました。ところが、これは私びっくりしたのでありますが、仙台市、宮城県等に関係者が行っていろいろとお願いしたけれども災害によるそういう私立と言いながらいわゆる公共の施設に対する対応というのは全くないのであります。これは文部省にお聞きしたいのでありますが、こういう私立幼稚園等々の、今回は八校が水をかぶりまして大変な現実、高校も三校ぐらい私立がやられているのでありますが、こういういわゆる公的機関と同じ、しかも学校という、そういう重要な施設に対する災害の場合の特別の措置というものがない、対応してあげなければならぬと思う。私学経営が非常に苦しい、そういうときのこれは重要な一つの課題として、私は文部省にひとつ検討あるいはまた御相談の上、しっかりした対応をしてほしい、こういうふうに思うわけでございます。  以上の問題、各省庁から的確、明快な答弁をちょうだいしたいと思います。
  60. 山本重三

    山本説明員 最初に、先生から御質問ございました激甚災害指定につきましては、たびたびお答えしておりますが、現在関係省庁で鋭意その被害実態について調査を進めております。私どもも、この調査を早急にさらに進め、その結果をまって適切に措置してまいりたいと考えております。  また、個人災害に対します対応といたしましては、先ほども御答弁申し上げましたが、災害援護資金貸付制度や各政府関係機関等の融資制度等によって対応しておるのが現在の制度実態でございます。私どもも、これらの制度をできるだけ的確に運用をして、個人災害救済に万全を期してまいりたいと考えております。
  61. 青木敏也

    ○青木説明員 お答えいたします。  今回の台風十号災害によります農作物被害状況につきましてお尋ねがありましたが、全国で被害金額が、私ども把握しております一番新しい時点での県報告を通じての被害金額でございますが、三百七十二億程度ございます。うち、宮城県下におきましては百五十一億というふうに理解をいたしております。  それから、農地農業用施設早期復旧ということでございますが、まさに御指摘のとおり、私ども一刻も早く早期復旧に努めたいということで、現実にもう現地に査定にも入っておりますし、御趣旨に沿った方向で最善の努力をしてまいりたい。例えば緊急を要する箇所等につきましては応急工事を既に実施しておりますし、さらに、必要に応じまして本工事について査定前の着工、そういうこともクロスさせながら御要望の点に対処してまいりたい、こういうふうに存じております。  それから、次に、共済金の早期支払いでございます。この点につきましては、現在被害状況の早期把握に努めておりますけれども、先ほどもちょっと御答弁申し上げましたが、その圃場によりましては、全損的なものが推定されるような圃場等につきましては、出来秋を待たずに共済金の仮払いといった実務的な措置によりまして被災者の要請に対応していきたい、こう考えております。  それから、特に資金関係で、自作農維持資金の貸付枠の確保なり条件の改善等についてお尋ねがございました。天災資金等の問題もございますが、天災資金の問題を含めまして、現在被災農家の資金需要等、また被害の実情等について鋭意取りまとめをいたしておりますが、その結果を踏まえまして、関係省庁関係県とも十分協議をいたしまして適切な対応をしてまいりたい、こう存じておりますので、よろしくお願いいたします。
  62. 泊龍雄

    ○泊説明員 お尋ねの、私立幼稚園等の被災状況でございますけれども、私ども関係県当局を通じまして状況につきまして調査中でございますが、ただいままでのところ、幼稚園に限って申し上げますと、宮城県の五園、福島県の二園、計七園で被害総額が四千七百万円余というような状況となっておる次第でございます。  それで、これらの一般的に私立幼稚園等の災害等による施設の復旧費につきましてどういう措置を講じているかというお尋ねでございますが、通常の場合は、日本私学振興財団におきまして、長期にわたり、かつ一般の施設費に対する融資よりは優遇した低利の融資事業を実施しておるわけでございます。それとまた同様の措置を県等におきましても講じているところでございますが、これらの運用等につきましては、県当局とも十分連絡をとりながら、今後の幼稚園の教育等に支障のないよう、十分配慮をして対処してまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、なお、激甚災害指定されました場合につきましては、復旧費の二分の一の国庫補助をし、融資の面でもまた配慮をする、こういう仕組みになっている次第でございます。
  63. 桐山正敏

    ○桐山説明員 中小企業融資関係について御説明いたします。  先生の御指摘のありました政府系の金融機関の融資についてでございますが、金利の面、御指摘のように現在の状況では制度上通利ということでございますが、金利以外のその他の面、これは別枠で借りることができますし、返済期間についても通常運転資金五年を十年まで、また、当初の据置期間も通常一年でございますがこれを二年まで、それから、担保等についても弾力的に対応するということで、その他の各面でも制度の範囲内で最大限できる限りの弾力的な取り扱いということで対応いたしているところでございます。また、各県及び市町融資制度とあわせて多面的に活用していただくことで、全体として最大限の融資をしていただくということで指導をしておるところでございます。  また、災害関係保証につきましては、現在激甚のための調査ということを県の方でやっていただいておりますので、この結果等を踏まえまして、激災になりますれば災害関係保証の適用ということになろうかと思います。  また、仙台の方は高度化の関係団地がございます。こちらの方につきましては災害復旧高度化事業という制度がございますので、こちらの方の対象になり得るということもありますので、これらにつきましては事態を当事者及び県当局の方と連絡を密にして検討してまいりたいと考えております。  それからまた、返済猶予につきましても、激甚災害指定ということになりますればそういった対応が可能でございますので、今後そういう状況を判断しながら関係当局と連絡を密にして対処してまいりたい、かように考えております。
  64. 武田一夫

    武田委員 答弁いただきましてありがとうございます。  時間が来ましたので、最後に、災害が起こったときに痛感したことは非常に不親切だということです。これは各行政の方に直接言わなくてはならない点もあるのでありますが、例えば、今の私立学校の問題につきましても、被害を受けた人が行くと、それは県の方に相談に行きなさい、県に行けば、それは市の方だ、非常に連携が悪い。それから、中小企業の問題にしましても、これは組合であれば対応するけれども組合がなければ対応できないとかという、災害のときはそういう困っておる人たちを温かくきちっと面倒を見てやるということが必要だ。これは全国的に各省庁とも今後のことで手配というか指導をしてほしいと思うのです。我々は現地の各機関にはそれなりに言っているのですが、被害を受けて相談に行って、それであっちへ行け、こっちへ行けということで追いやられるというようなことがあってはならぬと思うので、これは我が県あるいは市だけかどうかわからぬけれども、そういう災害があったときの各機関、省庁の対応をしっかりと丁寧に親切にやってほしいということを要望し、指導をお願いしたい。  この間総理府が世論調査をして、今後どういう社会資本を整備してほしいかというアンケートをとった。そのときに答えが一番多かったのは福祉に力を入れてほしいということでありましたが、第二番目に要望の多かったのは、治山治水工事をしっかりとしてほしい、これが国民の総意というような形で総理府の世論調査に出てまいりました。生命にかかわる重要な防災工事の予算を優先して、どうかひとつ国民の生命、安全を守るために最大限の努力をして、今後かかる災害がなくなるように長官初め各関係省庁皆さん方にお願い申し上げまして質問を終わります。ありがとうございました。
  65. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、水谷弘君。
  66. 水谷弘

    水谷委員 ただいままで各委員から種々質疑がございました。今回の台風十号の被害は記録的な豪雨による甚大な被害と言われておりますが、各地を調査し、いろいろ検討を加えてまいりますと、それだけではない。先ほどからいろいろな指摘がございましたけれども、防災上の根本的な課題を今回のこの台風による被害は提示をしてきている、このように考えるわけであります。  全国で二十名の死者行方不明者を数え、特に私の栃木県では七名のとうとい人命を失うことになりました。それらの犠牲になられた方々に心から御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族の皆様にもお悔やみを申し上げるわけでございます。また、特に栃木県の茂木町、ここは市の中心部を流れる逆川のはんらんということで町全体が、その中心部がほとんど泥沼の中に沈んでしまった。このような大変な被害を受けられた罹災者の皆様にお見舞いを申し上げるわけであります。  綿貫長官には、政府調査団として早速現地を御視察いただきました。また、伊藤委員長のもとに本委員会の委員皆さんにも酷暑の中をわざわざおいでをいただき、大変現地皆さん方も心強く、これからの対応については積極的に国がやってくださるのであろう、このように期待をかけているわけであります。  長官、今回の甚大な被害を見ますと、例えば小貝川の問題でも、もう数年はんらんが繰り返されてきている。過去五回も同じ規模のはんらんが続いてきた。そうして、本格的な改修に乗り出しているけれどもまだ半分にも満たない。そういうことを考えますと、これはまさに行政のおくれといいますか対応のおくれがこれだけの甚大な被害をもたらした。さらにまた、茂木町の逆川を見ますと、ここの計画雨量の計算は、時間雨量にして二十ミリをその計画の基本に置いているわけであります。二十ミリといったらちょっとした雷雨でも来ればこれは完全に超えてしまう。そのような二十ミリという指標を中心にして今日まで何回か改修工事をやってきた。しかし、おかげさまで百年来このような記録的な豪雨はございませんでした。  九十歳を超されたお年寄りのところへお見舞いに参りました。私が生まれて以来こんなことはなかったのだ、こんなことはあってはならないのだ、あなたがお見舞いに来たから、言いたいことはいっぱいあるが言わないけれども、これはやはり大きな行政の責任と私たちは考えていますよ、このように怒りを本当はどこへぶつけていいかわからないような思いで私に訴えておられました。  栃木県からも今回の被害について既に長官の手元に七項目にわたる要望が寄せられております。第一番目に激甚災害指定を急いで行うように、また二番目には災害査定の早期実施、さらには三番目に災害救助費に係る国庫負担についての手当て、また四番目には農畜産物災害対策、五番目には緊急治山事業の積極的な採択、六番目に治水事業促進、また七番目には特別交付税の配分、このことについて強く望まれているわけであります。  先ほどから長官も、繰り返し政治の一番大切なのは国土の保全であり、国民の生命財産を守ることにある、このように強調されております。どうかひとつ今回のこのような災害が二度と起きないように、全力で今後の対応、それからまた、今回のこの災害の原因を徹底的に調査し分析をし、将来に備えていただきたい。冒頭、長官の御決心を所見を交えてお伺いをいたしたいと存じます。
  67. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の災害に当たりまして、九日に、私が政府調査団の第一班の団長といたしまして、茨城県、栃木県、今御指摘の小貝川、逆川の実態を見させていただきました。災害というのは忘れたころに来ると申しますが、同時にまた、ただいまお話のありました茂木町などでは、役場の防災無線が一階に設置してあったために水浸しになって使えなかった、まさかこんなところに水が来るとは思わなかった、もしもこういうことが予測されるならば二階に置くべきだったというようなお話もお聞きをいたしまして、災害対策には念には念を入れなければならないものだということも実感として感じてまいったところでございます。  茂木町の惨状につきましては、私どもも十分見聞してまいったところでございまして、栃木県からの七項目にわたります御要望につきましても、知事さんから直接お聞きをいたしておりますし、私どもも、その内容につきましても今一生懸命吟味をいたしておるところでございます。今後災害がさらに防除され、今御指摘のように、国民の生命財産を守るような方向に一歩でも近づくように、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。栃木県の問題につきましては、被害実態を今後十分把握をして、適切な対応をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
  68. 水谷弘

    水谷委員 先ほども議論がありましたが、臨調行革、また財政再建、こういうことが前面に出て、最も力を入れなければならないことが大変厳しく制限をされてきているという今の流れがありますが、第六次治水事業五カ年計画、最終年度の本年度、六十一年度で当初予算どおり執行されてもその達成率は七八・九%、こういう状況であります。長官、この財政措置についてはひとつ本気になってお取り組みをいただいて、やはり皆さん方が安心して生活できる環境をつくっていくという重大な役割があるわけですから、積極的なお取り組みをお願いしたいと思います。建設省は、六十二年度からスタートする第七次五カ年計画ではその規模を大幅に広げるという方針を打ち出しておられるようであります。それについてひとつ本格的なお取り組みをお願いをしたいと思います。  先ほどもちょっと触れましたけれども茂木町の逆川のことでございます。応急復旧工事並びに災害復旧工事が行われておりますし、また建設省も、今栃木県や地元の茂木町と積極的に協議をしていただいて、抜本的な改修計画を立てて早急にこれは整備をしなければならない、このような姿勢で臨んでいただいております。これは感謝をするところでございますが、先ほども申し上げたとおり、二十ミリ目標の改修工事、こういう状況について、多くの人たちがこの事実を知りまして、一体そんなことが許されてよかったのかという大きな怒りが今出てきているわけです。それらを踏まえながらも、町が密集しているところを流れている川でありますから、いわゆるこれだけの雨量に耐え得るような川幅の拡幅なんということは大変不可能に近い、そうかといって、深く川底をさらうということは下流の那珂川との落差の問題がある等々考えてきますと、もうこれは上流から新たな放水路をつくらざるを得ないのかな、私はそのように考えているわけであります。  どうか積極的に、この対応について、それも何年も何年もずるずるこれをやっておられたのでは、毎年毎年住民の皆さんがまた同じ不安を抱かれていくわけでありますから、それを早期にまた抜本的な改修を急いでいただきたい、このように考えますが、建設省のこれからの対応の方針をお尋ねいたします。
  69. 近藤徹

    ○近藤説明員 栃木茂木町の逆川の改修でございますが、今回、従来の記録を打ち破るような大変な豪雨によりまして大災害が起こったわけでございます。従来、この河川改修につきましては、市街地を中心に順次暫定改修目標を定めて事業を実施してきたところでございますが、その途上に起こった大変不幸な災害であったと存じます。今回の出水は従来の計画を大幅に上回るものでございましたので、今回の出水状況等十分調査検討の上、さらにまた、非常に狭い土地でございますので、用地確保等についても相当地域の合意づくりが必要だと思います。それらも十分調整の上、重点的に改修を促進していく予定でございます。
  70. 水谷弘

    水谷委員 どうかひとつ抜本的な改修ができますように、心から望むところであります。  それから、先ほど来から激甚の指定の問題、天災融資法発動、これらについての各委員の強い政府に対する指摘がございました。地元の県並びに市町においては、その指定を待ってそれに頼って復旧をしていく以外に自力ではとてもできない、そういう惨たんたる状態であります。これだけの一都十五県に及ぶ大被害をもたらしている災害は、当然国の本激、いわゆる激甚災害法の激甚指定を受ける対象になろう、私はそう考えております。鋭意いろいろ調査をされているところでありますけれども、これはぜひ積極的にその指定をするという決意で臨んでいただきたい。長官、また防災局長、その辺のお考えをお聞かせいただきたい。
  71. 山本重三

    山本説明員 先ほどから申し上げておりますが、今回の台風十号等の災害につきましては、今関係省庁で鋭意その被害実態について調査を進めているところでございます。この調査についてはさらに促進してその実態の把握に努め、激甚災害指定の問題についても適切に対処していきたい、最善の努力で進めてまいりたいと思っております。
  72. 水谷弘

    水谷委員 ぜひしっかりお願いしたいと思います。  既に茂木町では、百年から続いてまいりましたしょうゆ製造会社が倒産をいたしました。さらに、町の中心を形成している商工業者皆さん方は本当に、これから立ち上がるのにはそれこそ言葉にあらわせないような御苦労があるわけであります。そういう企業者の皆さん方のお声は、確かに先ほど建設大臣がそこまでおっしゃったという話で紹介がありましたが、無利子の融資をしてくれても当たり前ではないかというくらいなお気持ちであります。  私は、本激の指定が受けられるのは当然であると考えておりますが、これはかなり老婆心で、百歩譲ってもし局地激甚というような問題が出てきた場合の仮定の議論でございますけれども栃木茂木町の周辺に災害救助法発動された町は芳賀町と益子町と二つあります。ところが、救助法の発動がなされなくても、個別的に企業を見てみますと、全く等しい被害を受けている、そういう企業が全県的に散らばっております。こういうような場合に、いわゆる一般公共土木、また農業、林業等の面的な広がり、線的な広がりのあるものに対する激甚指定というものは、ある程度の市町村とかそういう局地の場合はどこかで線を引かなければならないでしょう。しかし、個別的に救済をするということが本旨であるこの中小企業に対する、業者に対する救済というのは、もしそのようなことが起きた場合でも、同等の被害の甚大さに応じてこれを救済しなければならない、先の問題かもしれませんけれども、私は今そういうことを痛感をしております。その点について見解を伺っておきたいと思います。
  73. 桐山正敏

    ○桐山説明員 今お話がございましたように、中小企業被害につきましては、全国的な激甚災害指定のほかに、特定の市町村被害が集中した場合にも局地激甚災害ということで指定をすることになっております。その状況につきましては現在県の方の調査をしていただいておりますので、その結果を待って判断をいたしたいというふうに考えておりますが、隣接の市町村で同様な被害を受けたというようなケースにつきましては、一般的な制度として激災を受けたところと同じような措置ということはできないわけでございますけれども、政府系三機関の融資等につきましては、そういうケースがありました場合には、個別のケースとしての御相談ということ等をその場合に応じて考えるということを検討いたしたいというふうに考えております。
  74. 水谷弘

    水谷委員 もう一度お伺いします。  政府系三機関の個別の制度でそれに対応するというお話でございますが、これは災害救助法が例えば栃木県の一町でも発動されると、この災害救助法に基づく、例えば災害弔慰金法に基づく弔慰金とか見舞い制度だとか援護資金の制度等はこれは対象になっていきます。そのように、この激甚の救済という、いわゆる災害被害救済してあげる、目的はそこにあるわけでありますから、厳格にそういう線を引いて、それに対象にならないから、例えば町と町の境界線の隣、すぐ隣のうちは激甚の指定を受けて超低利の三%の融資を受けられるが、こっちは六・四%で一般の融資しかない、そういうことにならないように、これはひとつ積極的に取り組む、そういう姿勢でこれから検討していただきたい、お願いをするところでありますが、いかがですか。
  75. 桐山正敏

    ○桐山説明員 制度の枠が激甚災害ということにおいて特別の優遇措置を講じるということでございますので、制度の中に同じ扱いということはこれは困難かと思いますが、そういったものの被害の実情等に対応いたしまして、個別のケースの扱いとしてそういったものの対応というものを検討してまいりたいということでございます。
  76. 水谷弘

    水谷委員 そういう答弁は最初からわかっているわけでございますので、どうか、こういう災害で被災をされた方々がさらにそこで制度の上で不公平を味わって何とも言えない思いが出てくるようなことのないように、その辺は法の制度の運用の中で取り込めるように、これからもしっかり取り組んでいただきたい。  次に、先ほどのいわゆる災害一般の政府系三機関の貸し付けに対する金利の問題、これも各委員から種々議論がございました。一般で六・四%、それから特別になりますと六・〇五、さらに特別甚大な被害の場合は三%、三年間という、そういう制度がございますが、そもそもこの六・四%の金利なるものがこの現在の実勢の金利水準から見て高過ぎるのではないのか。こんな高い金利をだれが利用してくれるか。一般の市中金融でも、七年ぐらいの長期であっても六・五%ぐらいでこれはかなり引き出しをしております。ですから、災害に遭った人に対する特別な措置としての災害貸付金制度でありますから、この金利については、これはもう今このまま放置しておくことは許せない、私はこう思っております。円高不況によるいわゆる中小企業者に対する緊急融資制度、そういうものを考えてもこの金利は高過ぎる、どう考えても。これについて政府が本格的に見直しをするお考えはあるのかないのか。ぜひそうしていかなければならないと思いますが、いかがですか。
  77. 桐山正敏

    ○桐山説明員 政府は今までより中小企業の資金調達の円滑化ということで、中小企業関係の各機関の融資につきましてはその貸し付け条件の充実ということで努めているところでございまして、特に貸付金利につきましては、政府系三機関融資の金利は、原則として民間金融機関が優良企業に貸し付ける金利である長期プライムと同水準ということで制度的に現在運用されているところでございまして、御承知のところでございましょうが、政府系金融機関の原資自身が財投資金というような状況でございまして、現段階におきましてはこの六・四%ということで対応せざるを得ない状況でございます。  ただ、金利以外の面、こちらの面では、制度の範囲内の最大限の弾力的活用ということで、貸付期間を運転資金、通常でございますとすれば五年を十年、また据置期間一年を二年、それから担保等についても弾力的に対応するという形で対応しているところでございまして、そういった形で他の市町融資等と兼ね合わせていただきまして、多面的な利用の中で最大限の実効を上げ得るように図っていきたいというふうに考えております。
  78. 水谷弘

    水谷委員 長官、ひとつこれらは政府においていろいろまた検討していっていただきたいと思いますし、本委員会においてもこの問題についてはまた種々御議論をいただきたいところであります。  次に、先輩各位の大変な御努力によりまして、議員立法によって災害弔慰金制度ができ上がってまいりました。今回、私も被災地をつぶさにお見舞いをしながら調査をさせていただいて、床上一メーターから二メーターの被害を受けられた世帯、これはほとんど家財道具は全部だめであります。ほとんど使われません。そういう大変な被害を受けておられるそういう方々からの切実なる声でありますけれども、いわゆる災害援護資金融資限度額、家財道具の場合は六十万、それから半壊の場合は八十万、全壊の場合は百二十万、流失で百八十万、もちろん弔慰金並びに見舞い金、これも額の引き上げが必要だとは存じますが、とりあえず早急に手をつけなければならないのはこの災害援護資金の貸付限度額の引き上げ、これはどうしても行わなければ実情にそぐわない。これが改定になったのが五十六年でありますから、約五年前であります。以来同じ金額でずっと経緯をしてきているわけであります。そういうことで、本委員会においてもまた理事会においてもこれらのことについていろいろ御協議を願って、議員立法の制定過程から考えてこれは問題提起を私はしておかなければならないと存じます。政府の見解もここでお伺いをしておきます。
  79. 福田孝雄

    ○福田説明員 お答えいたします。  今先生のお話の災害援護資金でございますけれども、これは御承知のように、災害弔慰金支給等に関する法律に基づきまして、昭和四十八年に制定された制度でございます。この資金の金額につきましては、昭和四十八年以来、社会経済情勢等を勘案いたしまして、四回の引き上げが議員提案によって行われてきたわけでございますけれども、現在の金額は、今先生のおっしゃったように最低が六十万、最高が百八十万という状況でございます。私どもといたしましては、この貸付金の性格が被災者生活のつなぎ資金というような意味を持っておるものでございますし、また貸し付けも無担保で行われるというようなところから考えまして、現在のところ、この金額はおおむね妥当なものではないかというふうに考えております。
  80. 水谷弘

    水谷委員 以上で終わりますが、ぜひ理事会並びに本委員会において、この援護資金の融資限度額の引き上げについて御協議を委員長にお願いを申し上げて、質問を終わります。
  81. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、滝沢幸助君。
  82. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長、どうも御苦労さまです。長官以下政府の皆さん、御苦労さま。  今次十号台風にまつわる豪雨災害に当たりまして、まず、不幸にしてとうとい一命を落とされました方々の御冥福をお祈り申し上げ、御遺族にお見舞いの念をささげたいと存じます。また、災害に見舞われました多くの皆さんが、この不幸にめげることなく、一日も早い復帰を目指して御健闘いたされますようにお祈りをさしていただきます。  さてそこで、質問の初めに、まず一般的な課題について考えさしていただきます。  実は、二つ初めにお伺いをしたいのでありますが、災害がありますたびに、これは今までも歴史的にない雨量であったとか、あるいはまた雪でありますと、今まで降ったことのない大雪が降ったんだという説明をすべて例外なく聞くわけであります。しかし、そういうことでは説明にならぬのが災害に遭った人々の立場じゃないでしょうか。私は、そのようなことで、基本的に発想の転換が必要ではないか、こう思うのでありますが、いかがなものでありましょうか。  特に、私は、これは建設省のことか知りませんけれども、どうも公共事業が道路優先、河川堤防は二次的にという考えになっているように思う。これは住民要求もそうであります。もちろんこれは、日本の戦後の国民の人生に対するないしは国家に対する意識の中にも、役に立つか立たぬか当分わからぬ、例えば防衛にしろ、例えば将来に対する準備にしろ、そういうものに金を使うよりは、きょう今日、今のことに金を使ってほしいというようなものがあるものでありますから、平和ぼけかどうか知りませんけれども、それが私は、住民要求がそのような形になってくる、だから政治もそういうことになってくる、行政もそのとおりということで、道路のことは力を入れるけれども堤防のことは力を入れぬということになってくるのではないかと思うのであります。これは建設大臣、福島県の大元老でありますが、議論をしたいところでありますが、建設大臣見えられませんから、どなたか適当な方が一応答えてちょうだいしておけばいいのでありますが、しかし、これは政治全体にまつわることでもありますから、長官からも一言触れてちょうだいすればありがたいと思います。
  83. 近藤徹

    ○近藤説明員 まず、最初のお尋ねの、災害のたびに未曾有の豪雨が起こるというようなことがしばしばあるが、計画の考え方等についてどう考えているのかという点についてお答えいたしたいと思います。  我が国は非常に災害の多い国と言われますが、特に河川がはんらんした場合に、はんらんの危険のある区域というのが国土の約一〇%程度でございますが、その中に人口の約五〇%が定住しているわけでございます。したがいまして、一たん豪雨が降ると非常に河川がはんらんする危険性があるということでございます。  その河川改修の水準でございますが、大河川と言われるものについては、百年に一遍から二百年に一遍くらい起こると思われる洪水に対して一応対応するということを究極の目標としております。また、中小河川についても、例えば三十年に一回程度の洪水についても一応耐えられるようにすることを究極の目標にしておるわけでございますが、この河川改修工事が完成するまでには極めて長い時間がかかる。また、仮に治水投資をこの究極目標にだけ投じている場合には、まだ未整備のところが長い時間放置されている状況もございますので、一応暫定的な目標を設定して、まず暫定段階の改修を促進するという方針をとっております。例えば、大河川につきましては、戦後最大洪水に対して一応耐えられるようにということを目標にしております。また、中小河川については、五年に一遍程度の豪雨に対して耐えられるようにということを目標にしておるわけでございますが、現在の整備状況は、大河川では約六〇%、中小河川については約二〇%という整備の水準でございます。  欲を言えば切りはないわけでございまして、できるだけ大きな計画に耐えられるようにすることが念願ではございますが、国力またあるいは土地利用その他の関係から、現在はこのような考え方で進めておるわけでございます。
  84. 市川一朗

    ○市川説明員 後段の問題につきまして私からお答えいたします。  先生の御指摘は、基本的な物の考え方に立ったお話でございますので、私の答弁では不十分かと思いますが、御案内のとおり、建設省関係の公共事業は、いずれも国民生活の基盤形成ということで必要不可欠なものであるという考え方に立ちまして、大変厳しい予算の状況の中で、いずれの事業につきましてもその事業費の確保、拡大に努めているところでございます。特に、いわゆるマイナスシーリングによりまして投資的経費が国全体といたしまして厳しく抑制されている中で、治水事業につきましては、対前年度〇・九九という予算を六十一年度は確保してございます。マイナス一%になるわけですが、ほぼ昨年と同額に近い国費を確保いたしまして、それから事業費につきましても、対前年度二百三十六億円増、一・〇二倍の拡大を実現したところでございます。  道路と比較いたしますと、やはり道路の場合は御案内のとおり揮発油税等の特定財源の制度がございます。それに対しまして、治水関係はそういった制度もございませんので、毎年予算編成上いろいろ苦労を重ねておるという点は否めない事実でございますが、御指摘がありましたように、治水事業は国民の生命財産の安全を確保するという上からも、また今日話題になっておりますいろいろな問題、それからきょうの災害の問題等の観点からいきましても、何をおいても重点的にやっていかなければならない、そういう基本的考え方は堅持してまいっておるつもりでございますが、今後ともよろしくお願いいたしたいと思う次第でございます。
  85. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 河川が多く、また急傾斜地も多い中で、台風常襲地帯と言われます我が国において災害というものが大変発生しやすい条件にあるわけでありまして、これに対する防災体制を少しでも整えていかなければならないわけでございます。特に、滝沢先生の御所見のように治水に対します対応を十分していかなければならないわけでございますが、来年度から始まります第七次の治水五カ年計画におきましても、十分その対応を盛り込んでいただくように我々も期待しておる次第でございます。
  86. 滝沢幸助

    滝沢委員 執行部にお願いしたいことは、時間が制限されておりますので、今の法的制度説明やそういうことは一応わかった上で申し上げておるわけでありますから、結論だけをひとつ承りたい、こういうふうに思います。  次に、激甚災の指定をぜひとも今回の災害に対してしなくてはならぬ、これはそのとおりでありまして、各委員から指摘をしたことであります。とともに、私はここでこれまた政治の発想の転換をお願いしたいと申しますのは、大きいことはいいことだと言われた時代がありました。ところが、災害ですらも大きい災害でなくては救われないのです。これが現実であります。しかし、災害に遭って苦労していることは、一千戸の中で流れた一戸も、一戸しか流れない一戸も同じなんです。そういう意味で、私は大きいものだけがまかり通る政治の発想はいけないと思うのですよ。その発想の転換なくして私は災害の真の救済はあり得ない、こう思うのでありますが、激甚災の指定の基準等についても再検討を要する、こういうふうに思いながら、激甚災の指定を急いでほしいと思うのであります。この発想の転換が必要だと思うのでありますが、長官はいかがですか。
  87. 山本重三

    山本説明員 先生、制度の趣旨は重々御承知のとおりでございますが、激甚災害法の制度の趣旨は、国民経済に著しい影響を及ぼし、かつ当該災害による地方財政の負担を緩和し、あるいはまた被災者に対する特別の助成をすることが特に必要な場合に、国が直接特別の財政援助や助成措置を実施するという趣旨で立法されたものでございます。そういう趣旨からいたしますと、こういった激甚災害制度というものにつきましては、やはり国において特別の助成制度が必要な場合に的確に適用して災害対策を進めていくということが基本ではなかろうかと考えております。
  88. 滝沢幸助

    滝沢委員 ですから、お願いしたいことは、私はだから長官答えてほしいというのは、役人さんの話は、当然だけれども今の制度、今の立法の説明に終わるのですよ。それはわかっているんです、国会議員ですからね。だから、私は発想の転換が必要だと言っているんだから、いや君の言うような転換は必要じゃないと長官が思うならそれでいいのですよ。そういうようなことにひとつしてちょうだいしたい。皆さんから制度説明をちょうだいしたってどうにもならぬ。  ところで、三つ目に、私は道路や河川の構造的欠陥というものをやはり指摘しなければならぬと思うのであります。これは非常の場合を考えて設計されているのかどうか。これまた本当は建設大臣に聞くといいことなんだけれども、これは今の状況を見ますると私はそのように言わざるを得ない、こう思います。  いろいろと数えれば切りがありませんけれども、舗装をしますね。世界は何%、特に日本は何%、東京、首都圏は何%いわゆる舗装されているのかわかりませんけれども、地球が呼吸をしなくなっているわけです。ですから、水は浸透しない、流出をしない状況であります。河川は改修されることによって蛇行が直線化する、そして舗装されることによって今申し上げたように水の浸透等がなくなる、伏流水等がなくなるということになっているわけであります。ところで、そのようにしますると、当然流れは急流になります。これが私は雨が降ったらすぐに洪水になるというようなことにもつながってくると思うのであります。  あるいはまた、私は特に前々から指摘をしておりますが、これは雪国に住んでみればそのとおりなんでありますが、河川堤防敷を堤防と道路とを兼ねて用いれば非常に除雪にも効果的だし、投資効果からいっても、河川局で堤防をつくる費用、道路局で道路をつくる費用、合わして一本ということでありますから、またこの用地買収等についても非常に便利であります。私は、あとう限り堤防敷を道路にする、そして六メーターの近代的な道路ができれば、それは盤石たる堤防というべきであります。こういうことについてひとつ研究を要することではないかと思うのですが、いかがでありますか。
  89. 近藤徹

    ○近藤説明員 二つお尋ねの件がございました。  まず、流域が舗装されたりあるいは河道改修の進捗によって洪水が起きやすくなっているのではないかという点でございます。定性的には、流域の開発によって洪水流出量が増加する、あるいは上流の河道改修によって洪水が早く流下してくるということは否めない事実でございます。したがいまして、河川改修計画の策定に当たりましては、大都市周辺のような、流域の状況が急変して極端に流出量が増加しているような流域は別といたしまして、一般に流域の将来像、将来の都市化状況等を踏まえまして、そういうものをある程度織り込みまして河川の改修計画を立案しているわけでございます。また、河川改修工事の実施に当たりましても、上流と下流とのバランスを絶えずとりながら進めることとしているわけでございます。  それから、道路と河川堤防とを兼用してはどうかというお話でございました。私は道路の専門家ではございませんが、道路は道路なりに地域利用との関係があると思いますので、堤防のように片側が河川というような点では道路機能としては若干落ちるのではないかという点を私なりに懸念するわけでございます。また、河川改修の立場から考えますと、堤防の天端は日常の河川巡視あるいは洪水時の河川巡視、また水防活動等非常に重要な役割を持っているわけでございます。特に出水時においては、道路機能は一応ストップしていただかなくてはならないというような問題がございます。したがいまして、兼用道路とすることにつきましては、地域の道路利用その他いろいろな問題がございますので、一般的には、特に必要やむを得ない場合を除いては、堤防として管理するよう努めておるところでございます。
  90. 滝沢幸助

    滝沢委員 ですから、お役人さんが現状を改革するようなことをおっしゃるはずがないじゃありませんか、おっしゃり得ないじゃありませんか。だから、私は、長官なんかがもっと積極的に野党の諸君とも議論をしようという姿勢を求めるのですよ。こんなのだったらば、あなた、桜井理事とでも議論した方がよくなっちゃう、そうでしょう。  そこで、もう一つお伺いします。  このようなことを考えてきますると、共産圏の国々はもうぴたりいっているわけでありますが、個人の権利と公共の福祉、この接点こそ政治の妙味だと私は思うのであります。見てきますると、私はいささかなりとも私有権の制限がもっと強い意味で必要ではないか、こう思うのでありますが、長官、いかがですか。それがなくちゃ本当の防災対策も国土計画も進まぬじゃありませんか、いかがですか。
  91. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 滝沢先生から、先ほどから何回かお尋ねがございまして、激甚災害の問題についても行政一点張りではいけないというようなお話でございましたが、先ほど三塚議員の質問にもお答えしておきましたように、私も、政治家として被災されました方々やその他の方々の気持ちになって物事を見ていかなければならないなと考えておるわけであります。  今、堤防道路の問題にいたしましても、またその他いろいろと行政に対して、限界があるからその辺をいろいろ考えろということでございますが、災害対策のこの委員会の皆様方も諸般の問題について十分御理解をいただいておる方々ばかりでございまして、皆様方のお知恵をかりながら私なりにまたいろいろと皆さんと御協議をさせていただければと考えております。
  92. 滝沢幸助

    滝沢委員 さっぱり答えになったかならないかみたいな感じでありますが……。  そこで、今度はお役人さんで結構でありますが、農作物等のその後の防除その他の措置はいかがになっているものか、ひとつ遺憾なきを期していただくことを要望しながら、一言御報告を願いたい。
  93. 青木敏也

    ○青木説明員 病害虫防除を適時適切に行うため、従来から御案内のとおり都道府県の病害虫防除所等におきまして発生予察事業を実施いたしております。今般の水害後におきましても、病害虫の発生状況を的確に把握いたしまして、稲のいもち病が中心でございますが、その防除の徹底を指導しているところでございます。
  94. 滝沢幸助

    滝沢委員 次に、上下水道の対策ないしは廃棄物等の処理について、今回の災害に学ぶべきものは何であったのか、そしてとられておりまする措置についてお伺いします。
  95. 帆足建八

    ○帆足説明員 きょう担当の方が見えておりませんので、後ほど先生の方に御報告に参りたいと思いますが……。
  96. 滝沢幸助

    滝沢委員 御苦労さん。  ところで、個別的な課題でありますが、栃木県の茂木町、拝見させていただきました。非常にわかりやすい災害と言うのは御無礼な言い方かもしれませんが、あそこは大変わかりやすい感じを受けてまいりました。人口二万の城下町、しかも盆地であります。そこに逆川が蛇行しております。そして、町役場を初め全町ことごとく冠水、そして破壊という状況でありました。  そこで考えるのでありますが、私は、あの程度の規模の川ならば幾つかあった橋がノースパンでいいのではないか、途中に柱が立っているために災害を助長したのではないかと思うのであります。そういう意味では他の地区においても言われることでありますが、でき得べくんば橋はノースパン、これが望ましい。そして、橋の話が出ましたついででありますが、かつて我が会津城のごときも、撤収してそして落城させるわけであったのが、官軍に先に入られたということでありますが、すべて昔の橋は落とすことも簡単にできているのです。いざというときは落とす。水害のときも橋を落とせばいいのです。落とすことができなく今の設計はできている。落ちなくつくることがいいことだとなっている、これはしかし皮肉なことでありますが。そのようなことで、一つには、あの程度の川の橋はノースパン、そしてこれは全体にわたることでありますが、落とそうとするときは簡単に落とし得るような設計、これが必要でないかと私は思うのでありますが、いかがですか。
  97. 近藤徹

    ○近藤説明員 栃木県の茂木町の逆川にかかる橋梁の件でございますが、逆川は百六十トンの暫定改修目標を定めまして改修を実施してまいりました。市街地には既存の橋梁がおおむねこの暫定目標は安全流下できるようにかかっておったわけでございます。  そこで、今回の水害に当たりまして橋梁を落としてよかったかどうかというのは、これはまたさらに下流の方でいろいろな問題もあると思いますので、検討を要する問題だと思います。今後逆川の改修方針を立案するに当たりましては、今回の出水を踏まえまして、また橋梁についても最新の橋梁技術等の検討を十分踏まえまして、洪水の流下に障害とならないように対処してまいる所存でございます。
  98. 滝沢幸助

    滝沢委員 ぜひとも検討してほしいと思います。  そして、この茂木町のごときは速やかに激甚災の指定をいただきまして、復旧に万全を期していただきたいと要望しまして、次に、郡山に移らしていただきます。  郡山はいわば三十万都市であります。近代工業都市を目指して今鋭意建設を進めているわけでありますが、ここの今回の災害特徴は、工業団地食品団地、鉄工団地、この大きな夢を持って官民ともに築いてまいりましたこの工業団地があのような災害に遭ったことでありますが、一企業といえども例外なくあの災害に見舞われたわけであります。これを見まして、例えば食品団地のごときはその被害が四十九億であろうと言われたり、全体合わせれば三百億から五百億の災害に至ると言われているわけでありますが、しかし、あのことを見ましても、私は、災害というものは偶然にやってくるものではない、必然だ、極端に言うならば、天災はない、人災だと言っても過言でないと思うのであります。  さっき堤防の話を承ったのでありますが、百年に一回の雨を計算して五十年がどうこうということを言っているのではありません。今やっていらっしゃるのはすばらしいお仕事ですよ。だけれども、今堤防をつくっていらっしゃる、その末端なり起点の奥なりに必ず、古い蛇かごを積んだ戦前のもの、あるいはまた明治時代のくいを打ったもの、あるいは藩政時代の土手というものがあるのです。それに対しては余り責任を感じていらっしゃらない。古いそのような施設に対しての管理ないしは修復というものが不十分じゃなかったでしょうか。どのような反省を持っていらっしゃるか、承りたいと思います。
  99. 近藤徹

    ○近藤説明員 今回の水害箇所についても古く改修した堤防等があったということについてのお尋ねと思います。  我々、河川改修工事を進めるに当たりまして、先ほども説明申し上げましたように、非常に長期間を要し、莫大な予算を要するというところから、一定の計画を立てまして順次改修を進めておるところでございます。改修を進めるに当たっては、特に安全度の低いところから順次進めていくわけでございます。その過程におきまして、古き時代につくりました施設の機能を有するものについては、極力利用しながら安全度を高め、あるいは補強していくというのが従来の方式でございます。その過程におきまして、全体的に他の安全度が上がってきた場合においては、当該箇所についてもさらに補強し、機能を拡大するという方式をとっておるわけでございます。
  100. 滝沢幸助

    滝沢委員 千里の長堤云々という詩もありますが、千里の長堤が近代的にきちんとできても、その起点に一メートルの古い弱い箇所があればそれはゼロなんです。どうぞひとつそのことをお考えいただきまして、今つくりなさるこの近代的な施設についての情熱を持っていただくと同時に、古い方もとにかく当分の間耐えるだけの措置をしていただかなければならぬということを肝に銘じてちょうだいしたいと思います。  そして、これは答えにくいことですから、あったと言えば大変、なかったと言えばうそになりますが、随分と住民の皆さんもわがままといえばわがまま。この川にいろいろな要らないものをお捨てもなさる。そしてまた、無許可でございましょう、許可があったら大変でありますが、ちょっとそこら辺で使いたいために土砂やそういうものを、いわゆる古い堤防、しかもそこは木も茂っている、草も生えている、目立たないところでありますから、そういうところから取りなさる例もなしとしないのであります。郡山にこれがあったと答えていただけば大変なことであります。なかったと言えばうそになる。こういうことについても、答弁しにくいのでしょうからこれは保留させていただいても結構でありますけれども、どうか、とにかく草木の茂ったような古い施設についても十分注意と努力をちょうだいしたいと思うわけであります。  ついでながら、この発想の転換の話、これは郡山でもありませんからやりますが、蛇行した川、これに当然中州なんかもあります。その中州が、草も生え、年々木も大きくなっていきます。これを除去しようとしましたならば、野鳥を守る会とかいう住民団体がこれに反対、鳥がかわいそうだ、鳥の巣を取るのがかわいそうだと言っているうちに人間様の方が流れてしまうのであります。挙げて今日の行政ないしは政治の発想の転換を求めるというのが私のきょうの質問の原点でありますから申し上げているわけでありますが、これも答えるといったら苦労かもしれませんから飛ばさせていただきますが、申し上げておかなければなりません。  ところで、もう一つ、これは同じようなことでありますが、郡山で青木市長河川を切ったのであります。切らずんば住民は犠牲になる。切るべきか切らざるべきか、議論すること百日に及べば大変でありますから、数十分か数時間か知りませんけれども建設省さん、大変ありがとうございました。そのとき、市長がたって切ってくださいとおっしゃるのでありますから、建設省の責任において切りましたとおっしゃって、これは大変ありがたいことだ。そうでなければ、市長が一人で切ったことになれば市長を処罰しなければなりませんから、これまた大変なことだ。  ところで、私が申し上げたいことは、そのような判断を適切にその場で即決できる行政の対応というものが必要ではないのか。いかなる責任も私が負います、どうぞやってくださいと市長に言わせることは酷じゃありませんか。もちろん、それで青木市長に対する絶賛の声が上がっております。英断というべきであります。しかし、一市長をして、一切の責任は私が負いますと言わせることは酷じゃありませんか。(「それが政治家だ」と呼ぶ者あり)政治家は、長官も政治家でしょう。建設大臣、もちろん政治家です。中曽根康弘、政治家でございます。出先機関があるでしょう。そういうときは出先機関でもすかっとその場で国の責任において決断、責任を負える措置をお願いしなくてはと思うのですよ。いかがですか。
  101. 近藤徹

    ○近藤説明員 今回の東日本の水害におきましていろいろな事態があったと思いますが、私も十分掌握しているわけではございませんが、特に堤防の裏の方に水がたまって水はけが悪いというような状況で、早く排水するために必要な場合には堤防を切った事例もございます。そのように現場では対応しているものと存じます。
  102. 滝沢幸助

    滝沢委員 そういう議論を地元でぐじぐじやって、本省に聞いてみますといろいろと言わなくてもいいようにお願いしたいわけです。  さて、次に、この郡山はテクノポリスの指定を今大変期待しているわけでありますが、ちょうどその決定の寸前にこのようなことであります。しかし、今回の災害にかかわらずぜひとも指定をかち取って、そして先ほど申し上げたとおり、官民挙げての努力によって近代工業都市としての再生を期しているわけでありますから、一日も早い指定の実現を要望するとともに、このことについての消息を承りたいと思うわけであります。
  103. 桐山正敏

    ○桐山説明員 本件は中小企業庁でなくて立地公害局の所掌でございますが、立地公害局の方から聞いております話として御説明させていただきます。  今お話のございました郡山地域のテクノポリスにつきましては、ことしの五月二十七日に開発計画の申請を受理いたしております。今回の災害状況につきましては通産省としても県の方からその説明を受けておりますが、今回の災害の程度ではテクノポリス全体の工業出荷額等の開発計画の内容を殊さら変更する必要はないのではないかというのが県の考えでもありまして、通産省といたしましても、従前どおり各省庁と協議をしながら審査を順調に進めてまいりたい、かように考えております。
  104. 滝沢幸助

    滝沢委員 今回の災害によってテクノポリスの従来の構想が変更されないというふうに承っておきます。  さて、先ほどから公共のことと個人のこと、議論を申し上げてきたところでありますが、先ほど佐藤委員からも御指摘ちょうだいしておりますとおり、この郡山商工業関係四団体が熱望しております中小企業高度化資金ないしは災害復旧高度化資金ということについて、一つには今まで借りた金は返還を猶予してくれ、そして今後のことについてはこの災害復旧高度化資金等を多面的に生かして救済してくれ、こうおっしゃっているわけであります。これに対して無利子というような話もありまして、それにこしたことはありませんけれども、いずれにいたしましても、どうか地域の要望にこたえ得る弾力的措置要望したいと思いますが、いかがでしょうか。
  105. 桐山正敏

    ○桐山説明員 郡山工業団地被害につきましては、我々も中小企業庁及び仙台の通産局から担当官を派遣いたしまして現場を見ております。非常に大きな被害ということでございまして、これに対しましては、高度化融資対象となっておりました事業について、その災害復旧につきましては災害復旧高度化事業ということで特段の配慮をいたす制度がございます。これは、当事者の皆さん方が一致団結してもう一度やり直すということでまず合意を形成していただくことが重要でございますし、また、県の方にも御負担をいただくようなことがございますので、現在県の方と御相談をしながら検討を進めていきたいと考えております。  また、高度化事業の返済猶予についてでございますが、これにつきましては、激甚災害指定になりました場合には二年以内の返済の繰り延べという形になっておりまして、こういった状況、今激甚災害等の被害報告を待っておるところでございまして、こういったものを踏まえながら弾力的に対応してまいりたいと考えております。
  106. 滝沢幸助

    滝沢委員 委員長の前で恐縮でありますが、次に、鹿島台町を拝見させていただきました。これは全町ことごとく水中に没したわけでありますが、特徴は七日間ないしは十二日間にもわたりまして水が引かなかったということであります。ここで今反省を必要とするものは、ポンプの動員体制ないしはポンプそのものがもっともっと全国的には必要だということでありましょう。幸いに雨がその後一週間以上降らなかったからいいけれども、あれが二日後三日後に集中豪雨と言わないまでもある程度の雨が降ったらどうなったでしょう。考えただけでもぞっとすることであります。そこで、民間の協力体制とあわせてポンプの動員体制、大変な一つの課題だと思うので申し上げているわけであります。これについていかがでありますか。  さらに、時間がないから一緒に申し上げさせていただきますが、あの特徴は、避難した人々がいわば十日もそれ以上もよそに泊まらなくてはならぬ、これは中途半端でありまして、一カ月、半年となるならば緊急待避の生活の指導等もあるのでありましょうけれども、あの程度のことについての緊急生活体制への対応、何か町長さんのお話を聞きましたら、とにかくタオル一本なくて、それを家じゅうが隣の人とも共同で使ったとかなんとか、涙ぐましい話をおっしゃっておるわけであります。私はあのときに、すべての対応といいますか、生活物資の贈与等が必要ではないかというのでありますが、この二つの点について反省を承っておきたいと思います。
  107. 近藤徹

    ○近藤説明員 今回の吉田川の長時間の湛水にかんがみまして、全国から排水体制を敷いたわけでございます。ちなみに、建設省としては仮設ポンプを全国から十台、北陸、中部地建、近畿地建等から集めました。また、県の方でも準備されまして湛水の排水に努めたわけでございます。また、既設のポンプ場等もあわせて湛水時間を縮小することに努めたわけでございます。今後ともこのような体制の整備に努力してまいりたいと存じます。
  108. 滝沢幸助

    滝沢委員 最後に、文部省から見えていただいているはずでございますが、今回の災害は夏休み中であったから幸いしたのではないかと私は思うのです。あれが授業をやっておりましたらどんなことになったのでしょうか。そういうことについて文部省はどのように反省していらっしゃるか。特に、これは教育の基本的問題として昔から私は指摘をしてきたのでありますが、警備を警備会社に委託して、ないしは山の中では農家のおっつぁんを頼んで、とにかく宿直をやってください、宿直代行員というのであります。教職員が宿日直を捨てたとき彼らは教育を放棄した、このように私は昔から申し上げてきたのでありますが、この宿日直制度を復活すべきであります。そして、自分たちの先生が今晩学校に泊まるのだ、じゃ僕たち行って先生と話そう、そして授業中は見ることのできなかった素顔を生徒に見させる大事な時間だ、こういうふうに私は思うのですよ。  あるいはまた、最近若い人々の自殺が多い。もしもここに一人の青年が自殺したときに、幼稚園から大学に至るまでの何十人という教師がその一人の人間の前を通り過ぎてくる、そのとき、自殺をする前に、せめてだれか一人、中学校のときのあの先生、高校のときのあの先生と思い出して、自分の苦しみを打ち明けてくれなかったとするならば、その子の前を通り過ぎた教師たち全員がどのようにしてざんきの思いを消していくのでありましょうかと私は思うのであります。宿日直制度の復活こそ教育再建の第一歩、こういうふうに私は信じて疑わないのでありますが、ひとつ端的に文部省の意見をおっしゃってちょうだい。
  109. 下宮進

    ○下宮説明員 最初に、学校の防災体制のことについてお答えをしたいと存じます。  学校におきましては、日ごろから防災のための校内組織を確立いたしますとともに、万一の場合に際しまして、授業中あるいは休憩時間中、あらゆる事態を想定いたしまして、児童生徒が安全に避難できますように避難訓練を実施しているところでございます。  ちなみに、全国的な状況を申しますと、小学校の場合で平均三、四回、中学校の場合で年間二、三回というのが実態でございまして、文部省といたしましては、今後とも学校におけるこういった防災のための避難訓練等が徹底いたしますように指導してまいりたいと存じておる次第でございます。
  110. 奥田與志清

    ○奥田説明員 お答えを申し上げます。  宿日直の関係でございますが、先生御案内のような趣旨で、現在教職員によります宿日直を行っております学校は少のうございます。今日心の教育と申しますか、子供と先生の心の触れ合い、これが非常に大事だという先生の御指摘ではないかと思いますが、そういう点につきまして、文部省といたしましても、中学校、高等学校など、特に人間性の陶冶の上で重要な時期にあります子供に対しまして心の触れ合いを深めるような学校づくりを目指しまして、集団宿泊研修を通じて先生と子供の心のつながりを深めるというふうなことや、それから生徒の心身の鍛錬を深めるというふうなことで、学校の校内にセミナーハウスを整備いたしまして、今申し上げましたような目的を達成しようというふうな授業を昭和五十八年度から始めているところでございます。これまでのところ、予想した以上にいろいろな評価を受けておりまして、今後ともこれを推進していきたいというふうに考えております。
  111. 滝沢幸助

    滝沢委員 文部省、そんなことを聞いているのじゃなくて、宿日直制度の復活、イエスか、ノーか、これを聞いているのです。それは結構です。後でまた議論しましょう。  委員長、御苦労さまでした。長官以下皆さん、御苦労さまでした。終わります。
  112. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、安藤巖君。
  113. 安藤巖

    安藤委員 今回の台風十号崩れの温帯低気圧により、一都十五県に及ぶ、これは関東から東北地方にかけての広い範囲で、たくさんの河川堤防が決壊して大きな被害が出たわけでございます。まず、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表しますとともに、被災者方々に心からお見舞いを申し上げるわけであります。  そこで、国土庁長官に、これまで各委員からしっかり御要望がなされた激甚災害指定関係でございますけれども、例えば、これはきょういただいた国土庁防災局の「台風第十号及びその後の低気圧による災害について」というのがございます。全部は申し上げませんけれども建設省関係で、八月十九日現在、公共土木施設で、合計二万二百六十八カ所被害を受けておる。被害報告額は二千十二億四千四百万円。それから農林水産省関係でも、そのうちの農地農業用施設関係だけで、一万五千四百三十六カ所、被害報告額は四百十一億一千九百万円。それから農作物関係、これは被害報告額が三百七十五億千三百万円。これはごく一部を申し上げただけですが、これまでのいろいろな御答弁によりましても、鋭意被害調査中ということですから、まだまだ被害は出てくるものというふうに思われるわけです。  それから、本日も宮城県の商工三団体の方々陳情もありまして、その中にも激甚災害指定ということが要望されております。  これは福島県の災害対策本部のつくりました被害状況ですが、これまでいろいろ問題になりました郡山工業団地状況につきましては、一階に設置の精密機械等は七十二社のうち六十社が全滅状態だ、こういうふうに言うておるわけですね。  こういうことからしますと、激甚災害指定の問題につきましては、長官はきょうのこれまでの御答弁の中で、鋭意検討する、いろいろな要求、要望に対応できるように努力する、こういうふうに前進した答弁をしておられるわけですね。だから、私は、今申し上げましたような被害実態、あるいはさらにこれからこの被害が拡大することはほぼ間違いなしという状態からしますと、努力する御意向はよくわかりますけれども、やはり最大限の努力をする、もっとしっかり努力をする、皆さん方の考えておられることと私とは一緒なんだというぐらいのもう一歩突っ込んだ御答弁をいただきたいと思いまして、重ねての質問で恐縮でございますが、あえて質問をさせていただくわけでございます。長官の御決意のほどをまず伺いたいと思います。
  114. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどから各党の代表から、各地区の実態を踏まえたいろいろの御質問を賜ったわけでございますが、ただいまの安藤先生の御質問も先ほど来の御質問と同一のものと考えております。  今回の災害につきましては、各省庁におきまして、まず実態を的確に把握してその上で判断をしようということで、目下実態の把握に全力を挙げておるところでございまして、実態の把握ができました段階でいろいろと協議をしてまいりたいと考えております。
  115. 安藤巖

    安藤委員 先ほど私がせっかく長官の御決意の答弁を評価いたしまして申し上げたのですが、今のはどうも後退しているような、これでいいのかいなという印象を受けるのです。最大限の努力をするというような御答弁をいただきたいのですが、重ねてお伺いします。
  116. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先般も共産党さんが一番先に調査団をつくったとかいうことで、私のところに何か陳情書を渡したいとお見えになりましたが、この問題は一党だけで心配をするというようなものではございませんで、各党超党派で皆さんが御心配をいただいておるものだと私は理解をいたしております。私も、国会の皆さん方の御心配の旨を十分理解して今後対処していきたいということでございます。
  117. 安藤巖

    安藤委員 私ども共産党も一つの政党といたしまして、国民の平和と安全、生活を守るために一生懸命やっておることは間違いないわけでございますから、そのうちの一環として、早速現地調査に入ってその結果をまとめまして要望申し上げたわけでございますから、あれこれ言われる筋合いはなくて、ようやってくれたと言っていただいてしかるべきではないかと思うわけです。まあしかし、激甚災害指定の問題につきましてはこれまでいろいろ前向きの答弁をしていただいておりますので、その点につきましてはこれで打ち切りまして、次に移りたいと思います。  この前の八月四日の鹿児島の災害の問題のときにも力説をいたしましたけれども最大最良の災害の対策というのは予防なんだということを強調させていただきました。そこで、河川の治水関係について建設省にお尋ねをしたいと思うのです。  建設省は、昭和四十九年に河川の工作物に対して、それから昭和五十一年に堤防についての総点検をおやりになったというふうに伺っております。そして、その結果、河川工作物の整備を要する箇所は約七千七百カ所、堤防で漏水対策を要する箇所は約一千カ所だというふうに聞いております。  そこで、お尋ねしたいのは、このうち現在まで、その河川の工作物とそれから漏水対策など改修がどの程度進んでいるのか、進捗率、全国的にどの程度進んでいるのか、これをまずお尋ねをしたいのです。
  118. 近藤徹

    ○近藤説明員 昭和五十一年度に実施しました堤防総点検によって、何らかの対策を要すると考えられる箇所は全国で千九十九カ所、このうち昭和六十年度末までに対策の完了した箇所は五百五十一カ所でありまして、その進捗率は五〇%でございます。  もう一つの方については、後ほどまた調べた上で御報告いたします。
  119. 安藤巖

    安藤委員 そこで、本件の堤防決壊した河川について具体的にお尋ねしたいのですが、小貝川、それから阿武隈川、那珂川、吉田川ではどういうような進捗率になっておりますか。
  120. 近藤徹

    ○近藤説明員 それでは、先ほどのお答えとあわせて御報告させていただきます。  河川工作物の総点検の箇所につきましては、全体で河川管理施設として三千三百七十五カ所、そのうち対策済み箇所が昭和六十年度までに三千百七十三カ所、許可工作物につきましては、四千三百十一カ所のうち千九百七十五カ所が対策済みでございます。  小貝川につきましては、堤防総点検の整備箇所は十九カ所のうち既に七カ所。那珂川につきましては一カ所でございますが、まだ整備が済んでおりません。阿武隈川につきましては、十二カ所のうち四カ所が整備済みでございます。鳴瀬川については二十八カ所のうち九カ所、庄内川については六カ所のうち四カ所でございます。
  121. 安藤巖

    安藤委員 私は吉田川のことをお尋ねしたのですが、鳴瀬川というふうにおっしゃったのですが、これは吉田川を含むということになるわけですか。
  122. 近藤徹

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。
  123. 安藤巖

    安藤委員 今は河川の工作物の関係ですが、堤防の総点検の結果の要整備箇所とその改修箇所の進捗率、これはどうですか。
  124. 近藤徹

    ○近藤説明員 各河川ごとに御説明しましたのは、堤防総点検箇所でございます。  それから、河川工作物の箇所につきましては、小貝川については、河川管理施設三十一カ所のうち三十カ所、那珂川については二十二カ所のすべて、阿武隈川については百七十カ所のうち百六十九カ所、鳴瀬川については三十一カ所すべて、庄内川については四カ所すべてでございます。  また、許可工作物については、小貝川については二十カ所のうち十六カ所、那珂川については二十九カ所のうち十三カ所、阿武隈川については七十四カ所のうち六十九カ所、鳴瀬川については五十七カ所のうち二十一カ所、庄内川については六十三カ所のうち五十三カ所でございます。
  125. 安藤巖

    安藤委員 私は庄内川のことは聞いていないのですがね。聞きもしないことを答弁していただかなくても結構です。  そこで、もう一つお尋ねしたいのですが、計画高水位ということがよく言われます。いわゆる計画高水流量、これに対応する堤防の高さ、もちろんこれは余裕高もちゃんとあるということなんですが、これを全部完成させるのに時間と費用がかかるので、先ほどもちょっとお話が出ましたけれども、戦後最大洪水による再度災害の防止、いわゆる戦後最大対応ということで、これは暫定目標、いわゆる中間目標をつくって治水、河川改修を行っているというふうに伺っております。そこで、あくまでも暫定措置ということでございますけれども、それでも各河川でこの暫定措置がきちっと完成をしておれば、小貝川にしても、吉田川にしても、阿武隈川にしても、今回の決壊というようなことは防ぐことができたのではないか、あるいは少なくとも被害をもっと小さくすることができたのではないかというふうに私は思っておるわけなんですが、この暫定目標の進捗率ですね、これは全国の河川全体を押しなべて見ましてどの程度ですか。
  126. 近藤徹

    ○近藤説明員 先ほどから御説明をしましたように、暫定目標としては、一応大河川に分類されるものについては戦後最大洪水程度のものに対応するようにというふうに立てておりますが、現在のところ、整備率は約六〇%。また、中小河川については一応時間雨量五十ミリ程度に対応するようにという暫定目標を設定しておりますが、現在、整備率は約二〇%でございます。
  127. 安藤巖

    安藤委員 そうしますと、全国的にならしてみて、この戦後最大対応、この暫定目標が全部できたということになるには、現在の進捗状況から見てどのくらいまだこれから年限がかかりそうなんですか。
  128. 近藤徹

    ○近藤説明員 大河川につきましては、我々の希望とすれば二十一世紀初頭に概成したいというふうに考えまして、今後対応してまいりたいと考えております。
  129. 安藤巖

    安藤委員 いや、そういうふうに希望しているというのをお尋ねしているのじゃないのです。そういうような願望に基づいてやるとして、今の進捗率から見てどれくらい年月がかかるのか、それをお尋ねしているのですよ。
  130. 近藤徹

    ○近藤説明員 我々としては、今後予算の確保に努めて、先ほど申し上げたように二十一世紀初頭に概成に努めたいと考えております。  現在の進捗率でどうなるかということについては、現在計算しておりません。
  131. 安藤巖

    安藤委員 そういうことを全く計算をしてないというのはまことにけしからぬ話だというふうに思うのですね。現在の進捗率から見て、例えば二十年かかるあるいは五十年かかるあるいは百年になるかもしれぬというようなことをそういう専門的な立場からちゃんと計算をして、国民の前に明らかにして、こういう実態なんですということを公開すべきじゃないですか。そうすれば、国民の方から、そんなことじゃ大変だ、もっとしっかりやってもらわなければいかぬという要求がしっかり高まって、河川局の方でも仕事がやりやすくなるのじゃないですか。  私が聞いたところによりますと、今までの進捗率からすれば、今の戦後最大対応、これが完成するには、いわゆる達成するには五十年かかるというふうに聞いておるのですが、それは間違っているのですか、間違っていないのですか。
  132. 近藤徹

    ○近藤説明員 私ども河川行政を今後推進していく上においても我々の施策をぜひ御理解いただくように、ただいまの二十一世紀初頭への構想をお示しして御理解を願っているところでございます。
  133. 安藤巖

    安藤委員 全く答弁になっていないのですよ。  そういうようなことの構想はいいのです。わかっています。しかし、現在の進捗率からすると、二十一世紀初頭、大分先ですけれども、初頭といっても大分範囲があるのですが、大体どのくらいなのか。そのとおりに、構想しているとおりにいけるのかいけないのかということをやはりはっきりさすべきじゃないですか。構想だけお伺いしているのじゃないのです。構想どおりにいくのかいかぬのかということ。そして、私の方から逆に五十年という話があるがどうだということを聞いているのですが、全く答弁してないのです。答弁してください。
  134. 近藤徹

    ○近藤説明員 担当者によりましていろいろな計算があると思いますが、私どもとしては、国民の皆さんに現在の治水条件が極めて低いということをぜひ御理解いただき、その我々の構想に基づいて今後の五カ年計画と同様に努力してまいりたいと存じます。
  135. 安藤巖

    安藤委員 この点については全く答弁をなさらない。後でまた機会あるごとにしっかりこの点は詰めていきたいというふうに思っております。  そこで、吉田川左岸で四カ所決壊したわけですが、この決壊した箇所、これは時間の節約のために私の方から先に申し上げますけれども、「洪水対策計画書 北上川下流支部」というのがある。昭和六十一年七月ですから、ごく最近のものですね。東北地方建設局北上川下流工事事務所作成のものですが、この第五編に重要水防というのがあってその中に重要水防箇所というのがあるわけです。そして重要水防区域調書というのがあるわけです。そして、この中に吉田川というのがあるのです。重要水防箇所に、これまでもいろいろ議論をなされておりますが、ABCのランクが設けられておって、Aが一番重要なところ、それからBCとランクが下がっておるわけです。このうちで左岸の内浦というところ、ここは今の評価の関係、格付からするとBというふうにランクをされておるところですが、ここが無堤というふうになっているのです。それからもう一つ、これは粕川というところですが堤防高不足、これはランクはA。もう一つ同じく粕川、堤防断面。これはいわゆるかみそり堤防と言われておるところなんですが、これもランクはA。このように重要水防のランクづけAが二つ、Bが一つ。ここで今回の決壊が起こったというふうに聞いておりますが、それは間違いないのですか。
  136. 近藤徹

    ○近藤説明員 そのとおりでございます。
  137. 安藤巖

    安藤委員 ということは、これはいわゆる危険なところだ、しかもAランクということになったらこれは早急に改修をしなければならぬところだということを建設省、そして東北地方建設局並びに北上川下流工事事務所、この吉田川を担当している建設省の現場の人たちが認めておるところだったわけですね。そこで決壊をしたということは、これはやはりそういうふうに認めておきながらそれを放置しておった。日本全国たくさん川があって、たくさん危険箇所があるんだ。先ほどお聞きしました。そういうところも含めて、そしてこの吉田川の場合もそのようにランクづけをしておきながら放置をしておった、だから決壊したんだ、こういうふうに言われてもしようがないのじゃないかと思うのですが、どういうふうにその点は考えておられますか。
  138. 近藤徹

    ○近藤説明員 先ほどからも申し上げますとおり、戦後最大洪水でも流下できない断面がたくさんあるわけでございます。そのようなところに洪水が襲来した場合には、やはり水防活動に頼らざるを得ないわけでございまして、我々としては、洪水が襲来した場合にはんらんもしくは破堤のおそれがあるところについては、地元の水防団の皆様に事前に御連絡申し上げて水防に対応するようにお願いしておるところでございます。なお、我々としては、そういうところはまさに改修工事によって早く安全度を上げようというのが我々の責務と考えておりまして、当該箇所の前後についても改修工事に努力しておったところでございます。
  139. 安藤巖

    安藤委員 しかし、戦後最大対応ということで早急に暫定目標としてやろうというふうに位置づけているそういう箇所を放置してきた。しかも、現地へ行きましていろいろ聞きましたら、あの吉田川流域鹿島台町の人たちは、あそこら辺は危険なところだから早く改修してほしいということを工事事務所に再三にわたって要求をした。ところが、予算が回ってこないんだというようなことでなかなかやってくれなかった。そこへ今度の堤防決壊ということで住民の人たちは非常に怒っておられるわけですよ。現地に行かれた先生方、委員長初め、あの吉田川堤防でいろいろ説明をお受けしたときにも、なかなか激高した場面もあったくらいです、地名を言い損なったというだけで。だから、そういう点で、改修工事のおくれということについてはこの被災住民の人たちは怒り心頭に発していると言っても過言ではないと思うのです。  そこで、建設大臣がお見えにならぬからあれですが、これは昭和五十六年八月、小貝川の龍ケ崎のあの決壊による災害のときに、行財政改革に関する特別委員会で我が党の中島武敏委員質問をいたしまして、そのときに当時の斉藤建設大臣はこう言っておられるのですよ。「河川改修促進に特段の意を用いまして、地元の方々が今後の災害についての御懸念のないように措置をいたしてまいる所存でございます。」なかなか立派なことを言ってみえておるのですよ。これは災害があった後でこういうことをおっしゃるのですよ。災害があった後で激甚災害指定、それから天災融資法あるいは災害救助法発動によって一日も早く災害復旧する、あるいは救済するという措置をぱっぱっととるということももちろん必要ですが、その前にきちっとそういうような災害が起こらないようにするというのが一番大事なことだと思うのですよ。ちゃんと龍ケ崎のときにもそういうふうに言っておられるのに、また今回の災害のときにも、特段の意を用いましてと後から言ったってこれは後の祭りというものだと思うのです。  それから、もう一つ申し上げますと、その当時の行管庁長官、現内閣総理大臣中曽根康弘氏は、「まず、予防に全力を尽くすということが大事だと思います。ふだんからそういう危険と思われる個所につきましては住民の皆さんにもよく御相談を申し上げて、また地方自治体とも相談をして、そして補強なりあるいは改良なりの努力を継続することが大事であろうと思います。」まことに結構なことを言っておられるのですが、言うだけでちっとも実行が伴っていっていないのではないか。だから、ここがやはり一番の問題だというふうに思うのです。それから、先ほどの全国的な戦後最大対応についての進捗率の数字からいってもゆゆしき大事が今ある。これだと、災害は忘れたころに来るどころか毎年毎年あちこちでこういう堤防決壊なども含めて起こるのじゃないか。これは非常に怖いことです。だから、私は、こういうような実態に対して国土庁長官としてこれは黙って見ておるわけにいかぬのじゃないか、相当しっかりこちらの方も頑張っていただかなくてはいかぬと思うのですが、これに対しての御決意を承りたいと思います。
  140. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 先ほどからも申し上げておりますように、国土を保全し国民の生命財産を守るというのは政治の最も大切な要諦であります。国土庁といたしましても、災害の起こりやすい日本の風土、それらの地理的条件等も十分頭の中に入れながら災害がなるべく起こらないようにという防災の面に今までも努めてまいっておるところでございます。今後も、政治の原点であります国民の生命財産を守るために、国土の保全をするために、財政厳しい折ではございますが、特別の皆様方の御協力によって防災の面に一層の力を入れていきたいと考えております。
  141. 安藤巖

    安藤委員 今、私がいろいろお尋ねをして御答弁いただいたこういうような内容を踏まえて、そして、今おっしゃったようなことでしっかり御努力をお願いしたいということを申し上げまして、次に移りたいと思います。  この前、鹿児島の災害のときにも申し上げたのですが、都市化と治水対策の問題について、ほかにも幾つかあるだろうと思うのですが、具体的に私は、この前委員派遣調査さしていただいたことなどを踏まえてお尋ねしたいと思うのです。  例えば茨城県の明野町、これは小貝川ですが、地元の人たちから、住宅が小貝川の付近に密集してきたので改修工事を急いでほしいという要望が強い。これは下館の工事事務所の人たちもそういうことを言っているという話を聞いたのです。そこで堤防をもう少しかさ上げしようということになっていたところだったんだ、ところが今度のこれになっちゃったんだということですね。これは手おくれだと思うのです。  それから水戸。昔は那珂川沿岸の低地に住宅がなかったのだそうですが、だんだん低地にできるようになってきた、これに対する護岸対応というのをやはり考えていたんだ、そうだったんだと、これも後の祭りなんですが、そういうようなことを今聞いているわけです。  それから、先ほど来いろいろ問題になりました郡山工業団地、これも現地でいろいろ説明を伺いまして、谷田川と阿武隈川との合流点、あの三角地帯、あそこは割と低いところなんだという説明をあのとき伺いました。  これはほんの二、三例なんですが、こういうところが被害に遭っているわけですね。となると、これは宅地化、団地化あるいは都市化、団地化というのは工業団地化も含めてですが、こういうような団地化、宅地化の進みぐあい、これに対応した治水対策、これはやはり必要なんじゃないかと思うのですが、これがおくれているのじゃないかというような気がしてならぬのです。この前もお尋ねしたのですが、こういうような点について、都市化と治水対策、これが車の両輪のようにうまくマッチしていっていないのではないか、治水計画の方がおくれているのじゃないか、だからこういうような災害が起こるのじゃないかというふうに思うのです。だから、これを何とかしなければならぬと思うのですが、この点について長官はどういうふうに考えておられるのでしょうか。
  142. 山本重三

    山本説明員 我が国の戦後の高度成長期以降、都市化の進展には著しいものがございます。そういった都市化の進行に対して、御承知のとおり我が国の公共投資の実情というものは諸外国に比べて大変おくれている実態でございます。そういう意味で、私どもも都市化の進展に対応した施設整備というものは非常に重要であろうと考えておりますし、建設省当局におきましても、特に都市河川対策というものに対して非常に力を入れて総合治水対策等を進めているところでございます。私どもも、こういう点も十分配慮しながら、今後は都市化に対応した防災対策という面について十分な施策を進めてまいりたいと考えております。
  143. 安藤巖

    安藤委員 これは質問ではありませんが、今おっしゃったことと関連して一言申し上げておきたいのですが、四、五日前の新聞を見ましたら、建設省が昭和六十二年度予算概算要求に盛り込む重点施策を決めた。約九十九項目。その中に「河川を生かした街づくりなどの都市整備事業」というのが入っているという。これは結構なことだな、先ほど来私が強調しているようなことをしっかりやっていただけるのかなというふうに期待をしておるところでございますので、今私が申し上げました都市化と治水対策ということについても、しっかり間違いのないようにやっていただきたいということを要望しておきます。  それから、あと、農業関係について、時間がありませんから一、二お尋ねをしておきます。  そこで、厚生省と文部省の方にも来ていただきましたけれども、また後からいろいろな資料をいただくとして、きょうはもう時間がありませんので質問をさしていただくことができませんので、お引き取りいただいて結構です。申しわけないです。  そこで、農業関係についてお尋ねしますが、先ほどの農業共済については被害実態に即して十分な補償がなされるというのは、これは当たり前の話ですが、先ほどの質問それから答弁の中で、全損がほぼ推定できるところは仮払いをやるんだ、もうその措置をするように指導しているんだ、こういうような答弁をいただいて、ああやってもらっているんだなというふうに思います。鹿島台町も、まさに一週間から十日以上水につかっていますからこれは完全に枯れていると思うのですね。全損だと思うのです。だから、そういうところはそういうふうにやっていただきたいと思うのですが、これはもう間もなく仮払いがされるというふうに伺ってよろしいのかどうか、これをまず一つお尋ねをして答弁をしていただきたい。  それから、時間がありませんからついでにもう一つ申し上げたいのですが、これはもちろん天災融資法発動前提になるわけでございますけれども、米を売却するまでの予約概算金というのが今支払われておるわけですね。これは概算金を返さなければならぬというようなことになるわけですが、返済期限の延期あるいは利息の減免、こういうようなことも考えていただいているのかどうか、そして利息の減免の免ということで完全にゼロということにもなり得るのかどうか、こういう点についてお尋ねをしたいと思います。
  144. 青木敏也

    ○青木説明員 米の予約概算金の返納に際しての利子の減免措置、この点につきましては、通常は八・二五%の利息を付して返納するわけでありますが、これを個々の農家の被害の程度、減収の程度に応じまして漸次その利息率、利子率を逓減する特別の措置がございます。被害の程度が非常に著しい農家につきましてはこの利息を減免する措置もございますので、今回の災害につきましても、実情に応じ、この措置を弾力的に対応していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  それから、共済金の仮払いの早期支払い、この点につきましては、既に団体等に通達を発しましてその対応につきまして指導をしているところでございまして、仮評価の終了次第仮払いができるということでお答え申し上げます。
  145. 安藤巖

    安藤委員 償還金の支払い猶予の点はどうなりましたか、今利息のことだけおっしゃったのですが。
  146. 青木敏也

    ○青木説明員 失礼いたしました。  先ほどの概算払いの延納措置でありますが、この点につきましては、御指摘の延納措置というストレートの措置はございませんけれども、概算金が返納できないような非常に著しい被害を受けた農家につきましては、政府との関係におきましては集荷業者が代位弁済するという約定になっておるわけでございます。もちろん、集荷業者が代位弁済するわけでありますから、被災農家におきましても、償還能力の回復に応じて事後的に集荷業者にそれを支払うということがございます。そのことによって経済効果的には延納措置的な効果を上げ得る、こういうふうに考えております。
  147. 安藤巖

    安藤委員 時間が参りましたので、これで終わります。どうもありがとうございました。
  148. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 この際、委員長から一言申し上げます。  本災害の対策につきましては、本日の質疑を踏まえ、万全の措置を講ずべく最大限の努力を払う所存でございます。つきましては、政府におかれましても適切な対策を可及的速やかに講じられますよう、この際、特に要望しておきます。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十八分散会