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1986-08-04 第106回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年八月四日(月曜日)     午後一時十五分開議  出席委員    委員長 伊藤宗一郎君    理事 大島 理森君 理事 桜井  新君    理事 笹山 登生君 理事 長野 祐也君    理事 若林 正俊君 理事 松前  仰君    理事 薮仲 義彦君 理事 滝沢 幸助君       井出 正一君    内海 英男君       大石 千八君    加藤 卓二君       木村 守男君    佐藤 敬夫君       佐藤  隆君    斉藤斗志二君       園田 博之君    武部  勤君       虎島 和夫君    宮崎 茂一君       村井  仁君    持永 和見君       木間  章君    佐藤 徳雄君       新盛 辰雄君    馬場  昇君       浜西 鉄雄君    武田 一夫君       水谷  弘君    森本 晃司君       安藤  巖君    藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (国土庁長官) 綿貫 民輔君  委員外出席者         防衛庁防衛局運         用課長     大森 敬治君         国土庁地方振興         局長      澤田 秀男君         国土庁防災局長 山本 重三君         大蔵省銀行局保         険部保険第一課         長       谷口  孝君         文部大臣官房文         教施設部指導課         長       佐川 政夫君         文部省体育局学         校保健課長   下宮  進君         厚生省社会局施         設課長     福田 孝雄君         農林水産大臣官         房審議官    青木 敏也君         林野庁指導部治         山課長     岡本 敬三君         気象庁総務部企         画課長     門脇俊一郎君         気象庁予報部予         報課長     黒澤真喜人君         郵政省簡易保険         局業務課長   鹿島 威男君         建設省都市局街         路課長     佐藤本次郎君         建設省河川局河         川計画課長   角田 直行君         建設省河川局防         災課長     帆足 建八君         建設省河川局都         市河川室長   日野 峻栄君         建設省河川局砂         防部傾斜地保全         課長      渡邉 義正君         建設省住宅局民         間住宅課長   荒田  建君         建設省住宅局建         築物防災対策室         長       遠藤二三男君         自治大臣官房参         事官      柳原  瑛君         消防庁防災課長 田中 基介君         特別委員会第三         調査室長    鎌田  昇君     ───────────── 七月二十五日  一、災害対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ───────────── 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件(鹿児島市を中心とした梅雨前線豪雨災害等)     ─────────────
  2. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  本日は、特に鹿児島市を中心とした梅雨前線豪雨災害等について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長野祐也君。
  3. 長野祐也

    長野委員 私は、自由民主党を代表して、去る七月十日の鹿児島市を中心としました梅雨前線豪雨災害について質問をいたします。  去る七月十日の鹿児島市を中心に降りました大雨は、十時二十五分から十八時までに百九十二・五ミリを記録し、その中でも十五時十分から十六時十分までの一時間降雨量が七十五ミリで、これは鹿児島地方気象台観測史上四番目の記録になっております。     〔委員長退席桜井委員長代理着席〕 このような局地的な豪雨によりまして、市内新川はんらんをするとともに、市内各所におきましてがけ崩れ発生し、住家の全半壊床上床下浸水など大きな被害発生をしたところであります。  この被害状況につきましては、ここに郷土紙被害状況をまとめました資料と鹿児島県が撮影をいたしました写真を持参いたしておりますので、後ほど委員各位に回覧をさせていただきますことを委員長の御許可を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。
  4. 桜井新

    桜井委員長代理 どうぞ。
  5. 長野祐也

    長野委員 さて、現在までにわかっております被害は、亡くなられた方十八名、負傷された方十六名、家屋の被害で全壊が六十六棟、半壊が二十八棟、床上床下浸水が九百四十三棟、このほか、がけ崩れ六十三カ所、道路決壊河川決壊など被害総額は約四十二億円に上っております。  不幸にして亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、哀悼の意を表しますとともに、被災された方々にお見舞いを申し上げる次第でございます。  政府におかれましては、今回の災害発生の翌日には関係省庁担当官現地に派遣していただくなど、翌々日には国土庁長官を団長とされる政府調査団現地に派遣していただき、被災現場をつぶさに視察されましたのを初め、建設大臣現地に出向いて調査をされるなど、適切な現地対応をしていただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。  また、我が党の災害特別委員長井上孝参議院議員も七月十二日には現地を訪れ、私も同行させていただき、被災をされた方々をお見舞いに参ったところでございます。  今回の集中豪雨によるがけ崩れ被害はまさに悪夢のような大災害でございました。ことしの鹿児島地方梅雨入りは例年よりも少し遅い六月五日でありまして、梅雨明けは七月十九日でありました。鹿児島市民にとりましては、いよいよ梅雨明けだなと思ったやさきの大惨事であったわけでございます。  このような自然災害発生をしますたびに繰り返されることでありますが、天災や人災は忘れたころにやってくるということでありまして、今回の場合もまさにそうであります。鹿児島には昔から、死人が出ないと梅雨は明けないという大変忌まわしい言葉がございます。鹿児島市では、五十二年六月に竜ケ水で九人の死者を出して以来、人命を失う梅雨どきの災害発生をしておりませんけれども、しかしそれは、単に雨が少なかったからという理由にほかならないのであります。御案内のとおり、鹿児島県は県本土の半分をシラス土壌で覆われております。このシラスは一たん水を含みますと角砂糖が水に溶けるように崩れると言われる特性があるわけであります。このようなもろいシラス土壌がけ上にもまたがけ下にも住家が密集をしているというのが鹿児島市でございます。  私としては、一日も早くシラス地帯における土砂崩壊のメカニズムを究明していただき、抜本的な災害未然防止施設等整備を進めていただくよう切にお願いをするところでありますが、当面は、今回の被災現場を早急に復旧して、二次災害を防ぐことが急務であると考えますので、政府におかれましては、今後今回の災害復旧についてどのように取り組まれようとしておるのか、以下具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  まず、質問の第一点は、今回の鹿児島市の災害シラスの山・がけ崩れによるものでありますが、台風十号は幸いにして免れましたものの、鹿児島地方はこれから雨を伴う台風シーズンがやってくるわけであります。被災箇所を早急に手当てをしておきませんと、さらに大きな被害発生災害が拡大することは明らかでありますが、再度災害防止するために県に対しどのような指導をしてこられたのか、まずお尋ねをいたします。  また、これと関連をいたしまして、このような危険地域がけ崩れ復旧に当たりましては、一日も早く崩壊場所だけでなくその周辺を含めた本格的な災害防止事業に早急に着手し、なるべく早く完成させる必要がありますが、このような事業実施見通しがどのようになっているのか、あわせてお尋ねをいたします。
  6. 山本重三

    山本説明員 今回の鹿児島におきます局地豪雨による災害に対しましては、私ども国土庁といたしましても、関係省庁よりなる災害対策関係省庁連絡会議を数回にわたり開催いたしまして、早速被害状況を的確に把握いたしますとともに、被災箇所応急措置を講ずると同時に、また、山・がけ崩れ等により被災した箇所に対しましては応急対策を早急に実施し、早急に災害復旧を行うよう措置するよう関係省庁協議いたしますとともに、県あるいは公共団体等連絡をしているところでございます。特に被災箇所に対する応急工事実施につきましては、災害復旧工事あるいは災害関連緊急治山事業あるいは災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業等早期査定早期着手全力を挙げ、台風時期にできるだけ対応して、このような災害が再び起こらないような最善の努力をしていくということで進めているところでございます。
  7. 岡本敬三

    岡本説明員 今回の災害が激甚であったことにかんがみまして、災害発生後直ちに担当官を派遣して、被害状況調査及び応急対策あるいは復旧対策について県等指導いたしてきております。県におきましては、崩壊面などの浸透水によります再度災害防止するため、シート類によります被覆、不安定な土塊除去及び土砂流入を防ぐさく類作設などを実施いたしております。また、次期降雨等に備えまして、危険箇所を初めといたします山地について点検パトロール実施など災害防止体制強化について指導いたしております。  今回の被災箇所につきましては、災害関連緊急治山事業により緊要な箇所から早急に復旧を図ることといたしておりまして、事業実施に当たりましても、現地実態に応じたシラス対策工法により適切に対処してまいりたいと考えております。  さらに、今回発生いたしました山地崩壊箇所のうち、次期降雨等によって人家、公共施設等被害を与えるおそれのある緊要な箇所のうち、第一次分として、鹿児島上竜尾地区、平之町地区及び新照院地区を初めとする十四カ所について災害関連緊急治山事業によって本年度実施することといたしまして、関係省協議の上、事業費約十一億六千万円をもって鹿児島県に対し実施の旨通知したところでございます。
  8. 長野祐也

    長野委員 建設省、二番目の質問崩壊対策事業予算について……。
  9. 渡邉義正

    渡邉説明員 今回の災害実態にかんがみて、災害発生後直ちに担当官現地に派遣いたしますとともに、私も現地に参りまして被害実態をつぶさに見てまいったわけでございます。また、建設大臣が七月十四日には現地視察を行いまして、再度災害防止と速やかな復旧について指示がございました。  これに基づいて、建設省としては鹿児島県に対して、二次災害防止のために、不安定な土塊除去とか立木の伐採、それから崩壊斜面に対するところのシート被覆防護さく設置等指導をいたしますとともに、建設省土木研究所担当官を派遣して災害実態について調査実施したところでございます。  それから、今後予想されるところの台風襲来に備えて、今回の被災箇所中心として、クラックの有無とかその変化の状況等斜面点検とかパトロール実施といったものによって、再度災害防止強化に努めてまいりたいと考えているところでございます。  また、今回被災いたしました箇所についてですけれども災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業等でもって迅速に実施いたしまして、再度災害防止に努めたいと考えているところでございます。  それで、お尋ね災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業でございますけれども関係機関協議をして、鹿児島市の武地区長田地区を含むところの十六カ所において約十八億八千万円の事業費実施することとして、既に鹿児島県に対して通知をいたしております。そして、早期に完成いたしますように県を指導しておるところでございます。
  10. 長野祐也

    長野委員 敏速な対応をしていただいておりまして、まことにありがとうございます。  第二点でありますが、今回の集中豪雨によってこの鹿児島市内中小河川はんらんをして床上床下浸水発生をしており、都市河川整備ということが何より急務であると考えております。河川拡幅については、特に市街地においては住宅移転問題等極めて複雑で困難な問題が多いことは十分承知をしておるところでありますが、その整備が急がれておるわけであります。現在までの鹿児島市内都市河川改修状況、特にこのたびはんらんをした新川改修状況について具体的に明らかにしていただきたいと思います。
  11. 日野峻栄

    日野説明員 お答えをいたします。  鹿児島市内都市河川については、昭和六十一年度国庫補助事業として、中小河川改修事業として新川、甲突川、永田川、また都市小河川として木ノ下川、それから準用河川改修事業として馬口場川、磯川の合計六河川改修を、全体の事業費が九億四千八百万円で現在鋭意進めているところでございます。  特に、本年の七月十日また七月二十四日の集中豪雨で多大の浸水被害が生じた新川については、昭和五十七年度より中小河川改修事業着手しておりまして、下流部より河積の拡大を図るよう事業を進めているところでございます。  昭和六十一年度事業費五億三千万円をもちまして下流部ネック箇所である市道鶴ケ崎橋のかけかえとか、あるいは河道拡幅に必要な用地買収実施しているところでございます。この昭和六十一年度事業費五億三千万円は対前年比で申しますと三六%増ということで、これは全国平均よりもかなり重点的にやっているところでございます。今後さらに関係者理解と協力を得まして用地買収を促進いたしまして、改修推進するよう図ってまいりたいと存じております。
  12. 長野祐也

    長野委員 河川護岸決壊道路の損壊など公共土木施設被災に対しまして何とか今年度中の早期復旧ができないか、災害査定の予定及び復旧計画について明らかにしていただきたいと思います。
  13. 帆足建八

    帆足説明員 お答えいたします。  七月十日から七月十四日における梅雨前線豪雨による鹿児島県内公共土木施設被害総額は四百二カ所で十九億七千六百万でございます。これらの査定についてでございますが、八月十八日から八月二十三日にかけて現地査定をしてほしいという県の要望が参っておりますので、そのようにいたすこととしております。  それから、緊急に復旧を要する箇所につきましては応急復旧工事を早急に施行するとともに、早期復旧を要するものにつきましては本年度中に完成させるよう指導しているところでございます。  全般的な本復旧工事につきましては、ここ一、二年は補正予算等によりまして初年度復旧進度を八十数%としておりまして、関係機関とも今後協議いたしまして、本年度も昨年と同程度の復旧進度とするよう努力してまいりたいと思っております。
  14. 長野祐也

    長野委員 応急工事については本年度中ということで大変明るいことでございますが、災害復旧事業原形復旧にとどめることなく、現行制度の中でできる限り改良的な復旧もぜひ取り入れていただきたいということを御要望申し上げておきたいと私は思うのです。  今後、今回の災害箇所に隣接をしたところから被災箇所発生することがないように、災害査定に当たりましてこの点を十分配慮していただきたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  15. 帆足建八

    帆足説明員 お答えいたします。  急傾斜地崩壊防止施設につきましては、五十九年に負担法対象になりまして、これについての改良復旧制度は現在のところないわけでございますが、私どもとしても今回の被災状況を十分検討いたしまして、前向きに改良復旧制度を取り入れるべく努力してまいりたいと思います。
  16. 長野祐也

    長野委員 前向きな答弁で結構でございます。  危険ながけ下に住む方々をできるだけ安全な地域移転をしていただくことは大変望ましいわけであります。そのために、がけ地近接等危険住宅移転事業推進をされているわけでありますが、鹿児島県におけるこの事業実施状況について明らかにしていただきたい。  また、このことに関連をいたしまして、このがけ地近接等危険住宅移転事業というのは、第一義的には現地の取り組みが大事であることは言うまでもありません。しかし、人命や財産にかかわることでありますだけに、いやしくも予算がないからできないということがないように、地元から希望がありました分は速やかに対応していただきたい。この点についても明確にお答えをいただきたいと思います。
  17. 遠藤二三男

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  がけ地近接等危険住宅移転事業は、先生承知のように、建築基準法に基づきまして定められる災害危険区域等これらの区域内では、条例によりまして住宅立地禁止等措置がなされておりまして、そのために既存不適格の住宅がございます。これらにつきまして居住者希望によりまして除却移転をする、この場合におきまして補助する制度でございますが、鹿児島県は御承知のように特殊土壌地帯、いわゆるシラス土壌ということでその対象の件数が非常に多うございまして、従来から熱心に取り組んでいただいております。  本制度は四十七年度から創設されまして、自来六十年度までに全国約一万三千戸の移転事業を進めているわけでございますが、その約三五%近くの四千六百四十二戸につきまして鹿児島県内ではこの事業によって移転実施したところでございます。昭和六十年度実績状況を見ましても、除却百四十七戸で全国の約三割近い——全国で五百十七戸でございましたか、また、六十一年度予算におきましても除却百五十二戸を計画しております。  先生御心配の今後の予算状況、これから地元から要望があった場合十分対応していけるのではないかということでございますが、この事業はあくまでも居住者が自分の希望意向をもって行われるもので、決して強制できるものではございませんので、地方公共団体におきまして意向等を十分把握しながら進めております。六十一年度計画におきましても、その意向を踏まえて私どもそれに対応して実施計画を積んでいるところでございますが、なお今回の災害によりまして地元でまた十分な計画がございますれば、それの御相談に応じて対応していきたい、追加配分を考えていきたい、かように思っておる次第でございます。
  18. 長野祐也

    長野委員 今回の災害による被災住宅者に対して住宅金融公庫融資措置というのがどのようになっておるかお尋ねをいたしたいと思います。
  19. 荒田建

    荒田説明員 お答えいたします。  今回の災害によりまして被災された方々、当然被災住宅ということで災害復興に係るみずからの住宅をつくっていかなければいけないわけでございますが、住宅金融公庫といたしましては、既に災害復興住宅資金貸し付けを行うべく七月十七日から受付業務を開始しておりますが、この災害復興資金住宅でございますけれども通常一般貸し付けに比べまして、例えば金利が五・〇五%、それから償還期間二十五年あるいは三年間の据え置き期間があるというようなことですとか、融資額一般貸し付けに比べて非常に多いですとか、通常貸し付けに比べると被災された方々に大変有利な扱いになっておりますので、現地相談窓口もつくりまして、せっかく受け付けに努力したいというふうに考えているわけでございます。
  20. 長野祐也

    長野委員 住宅金融公庫災害復旧貸し付け申し込みを七月十七日からお始めになったということでありますが、この制度は、今の答弁にもありましたように、一般貸し付けよりも有利な制度になっておりまして、適切な対応をしていただいていることに感謝を申し上げているところであります。しかしながら、せっかく有利な制度利用者十分理解をしていただかないとこの制度が生かされませんので、今窓口地元関係機関でもつくっておられるということでありますが、住民への徹底についてさらに配慮をしていただいて努力をしていただきたいことをお願い申し上げておきたいと思います。  次に、今回の災害教訓というのは幾つかあると思いますが、この教訓を踏まえて危険箇所把握及び予防対策につきまして具体的に今後どのように取り組もうとされておられるのか、今後の対策をお伺いをいたしたいと思います。
  21. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えいたします。  急傾斜地崩壊危険箇所把握につきましては、昭和四十二年度にこの急傾斜地崩壊対策事業が始まったわけでございますけれども、その事業着手以来適時危険箇所見直しを行ってきたところでございます。  最近の調査昭和五十七年度実施しておりまして、全国危険箇所は七万二千二百五十八カ所に及んでおります。このうち、鹿児島県では二千百十八カ所というふうになっているわけでございます。その後のがけ崩れ災害にかんがみまして、本年度当初に急傾斜地崩壊危険箇所見直し点検全国の都道府県に指示いたしまして、現在鋭意調査実施しておるところでございます。また、今回のシラス地帯災害にかんがみまして、鹿児島県におきましては、学識経験者等中心といたしますところのシラス防災対策技術委員会というものを開催いたしまして、シラス地帯におきますところの斜面対策につきまして検討を開始したところでございます。  以上でございます。
  22. 長野祐也

    長野委員 シラスなどの特殊土壌地帯におきましては、昭和二十七年三月に御案内のように議員立法特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法が成立をしまして、その後六次にわたる改正がなされて、来年三月三十一日で同法の期限が切れることになっております。  この法律対象となる特土地域が、シラス土壌だけでなくて、花崗岩の風化土あるいは特に浸食を受けやすい性状の土壌がある鹿児島ほか十二県が対象になっておりますが、今回の鹿児島市におけるシラス崩壊状況を見ますときに、私はこの法律をさらに延長をして、災害防除と農地の改良対策等を積極的に推進をして、特土地帯振興国土の均衡ある発展を図る必要があるということを痛切に感じておるわけであります。  そこで、関係議員各位の御理解をいただいて、この法律期限延長について今後積極的に取り組んでまいりたいと思う次第であります。特土法延長につきまして所管庁大臣であります国土庁長官の御見解を承りたいと思います。
  23. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま御指摘のように、昭和二十七年に制定されました特土法は六回の改正を経て今日まで来ておるわけでございますが、今御指摘のように、特殊土壌地帯保全農業生産力の向上に極めて大きな効果を発揮してきておるわけでございまして、なお残された法律適用を待っておる地域もたくさんございますので、今までの制定されました経緯改正されました経緯、それらを踏まえ、各省庁ともまた国会とも御相談をして、延長できるように全力を投入して努力してまいりたいと考えております。
  24. 長野祐也

    長野委員 延長について全力を挙げたいという大臣の心強い答弁をいただきまして、関係住民にとりましても大変心強い答弁であると思いますし、ともに私ども努力をさせていただきたいと思う次第であります。  今回のシラス災害を含めまして、最近の災害土砂災害中心を占めているわけでありますが、国土庁土砂災害対策に対する基本的な考え方を承りたいと思います。
  25. 山本重三

    山本説明員 ただいま先生指摘ございましたように、最近の災害発生状況を見ますと、土砂災害に対する対策が非常に重要であるということを痛感しておるわけでございます。  私どもといたしましても、土砂災害未然防止被害の軽減のためには治山、砂防の各国土保全事業推進などハード面対策を進めますと同時に、土砂災害危険箇所周知徹底あるいは予警報の伝達、あるいは避難体制整備、こういったソフト面対策も含めた総合的な土砂災害対策推進することが極めて重要であると考えております。  こういう観点から、国土庁におきましては、関係いたします十省庁によりまして土砂災害対策推進連絡会議を設置し、また学識経験者によります土砂災害対策検討会を設けまして、鋭意、先ほど申しましたようなハード面ソフト面対策を含めて検討を進めているところでございますが、今回の災害の事例等も踏まえまして、今後とも関係省庁と緊密な連携のもとに総合的な土砂災害対策推進にさらに積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
  26. 長野祐也

    長野委員 鋭意検討中ということでございますが、これは大体いつごろをめどに結論を出される予定なのか、お聞かせいただきたい。
  27. 山本重三

    山本説明員 これらの検討につきましては、既にここ一、二年にわたって進めておるわけでございますが、私どもといたしましても、この対策の重要性から考えまして、できれば本年度中にまとめたい、かように考えております。
  28. 長野祐也

    長野委員 事の重要性から、ぜひ本年度中に一応の結論が出ますように御期待を申し上げたいと思います。  災害対策基本法に基づきます防災基本計画についてお伺いをいたしますが、これは三十八年につくられて、四十六年に改正をされたわけであります。それ以降は改正をされておりません。十五年間の、この間の都市構造の変化など、私は時代に合った計画見直しが必要であるということを痛感するわけであります。  また、災害は当面の復旧事業もさることながら、中長期的にどうやって防止するかについて、今御答弁にありましたように、ハード、ソフト両面からの対応が必要であると考えます。  国土庁では防災基本計画見直しを検討しておられるやに聞くわけでありますが、この点について、どのように対応されるおつもりなのか、お伺いをいたしたいと思います。
  29. 山本重三

    山本説明員 災害対策の基本的な計画につきましては、御案内のように災対法に基づきます防災基本計画に定めておるわけでございますが、私どもといたしましても、先生指摘のように、やはり常に現状に合った対応ができるよう、この基本計画見直しをすることが必要であると考えております。そういう観点から、現在関係省庁の御協力を得ながら防災基本計画見直しについて作業を進めているところでございます。  御指摘のございましたように、災害予防に当たりましては、社会経済環境の変化や災害の態様の複雑多様化、こういうものに即応しつつ、中長期的な観点からハード面ソフト面の両面から総合的な対策を進めていくことが肝要であると考えております。  防災基本計画見直しに当たりましては、御指摘ございましたように、都市構造の変化を初め、最近の高度情報化あるいは高齢化、国際化といったような社会経済情勢の変化に対応した防災対策の基本方向について十分検討を進めていきたいと考えております。
  30. 長野祐也

    長野委員 時代に合った防災基本計画見直しが必要であるという答弁でありますが、その中で、ハード面はわかりますけれどもソフト面は具体的にどういうことをその見直しの中で考えておられるのか、それから、これもまたいつごろをめどにその見直しが行われるのか、この二点お伺いいたします。
  31. 山本重三

    山本説明員 ただいま見直しにつきましては、最近の社会情勢の変化、例えば都市化の問題等でございますが、都市化の問題につきましては、やはり最近の都市災害状況というものはかなり変わってきております。いわゆる災害発生の危険の予想される地域にかなり住宅地が立て込んできておりますし、また住民も住んできておる。そういった問題に対してはできるだけソフト面対策を充実強化するような方向で検討をする必要があろうかと思います。  また、最近、例えば一つの例で申しますと、今回の災害にも見られますように、災害の犠牲者としてかなり高齢者がその位置を占めておるという状況もございます。そういう面で、高齢者を含めた災害弱者に対して、具体的にどういう対応をするかというようなことも今後は考えなければならないと思っております。そういう面も含めまして、私どもは、具体的な基本計画としてのあり方について現在鋭意進めているところでございますが、私どもといたしましても、できるだけ早くこの問題についての結論を出して、基本計画の改定をいたしたいと考えております。
  32. 長野祐也

    長野委員 できるだけ早くというのは大体どの辺をめどにされていますか。
  33. 山本重三

    山本説明員 私どもとしては、本年度中を一応めどにいたしております。
  34. 長野祐也

    長野委員 本年度中の基本計画見直しというのはぜひ実行していただきたいと思います。  最後に、時間が参りましたので、御要望申し上げて私の質問を終わりたいと存じます。  国土の建設というのは、住宅や社会資本を充実させることと、災害から国土や国民の生命財産を守ること、この二つの使命を持っておりますが、この使命をみんなで再確認をし合うということで国土建設週間という制度が設けられております。実は、この鹿児島の大雨災害が起こりました七月十日は、皮肉にもこの国土建設週間の初日に当たったわけであります。そして、今回の災害で特に注目をしなければならないのは、県庁所在都市で起こった都市災害であるということであります。鹿児島市に限らず、全国どの県庁所在都市も人口の集中が続いておりまして、ちょっとした災害でも大きな被害が起こりやすい体質になっております。五十七年の長崎、昨年の長野、ことしの鹿児島災害が後を絶たないのは、都市防災がまだまだ不十分であることを物語っておると思います。  しかし、都市災害は、的確な防災事業を施せば防ぐことが可能であります。京浜地区の超過密地帯を流れる鶴見川は、五十一年九月に総雨量百六十六ミリという豪雨に遭ってはんらんをして、三千九百戸が浸水被害を受けました。ところが、その後総合治水対策が施された結果、五十八年八月には、総雨量二百三十九ミリという五十一年をはるかに上回る豪雨に見舞われたにもかかわりませず、浸水家屋はわずか五戸にすぎませんでした。的確な防災事業が自然の災害から都市を守った典型的な事例と言ってよいと思います。  昨今の厳しい財政事情の中で、防災事業に必要な財源を十分に確保することが容易なことでないことは承知をいたしておりますが、事は国民の生命や財産にかかわる問題であります。今回の鹿児島での災害教訓として、政策順位の中でぜひ上位にランクされるよう強く要望して、私の質問を終わりたいと思いますが、この問題に対する大臣の基本的な考え方、決意を最後に伺って、質問を終わりたいと思います。     〔桜井委員長代理退席、笹山委員長代理着席〕
  35. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 防災事業が果たす役割の非常に大きなこと御指摘になりましたが、先般の閣議におきましても、前山崎長官から、この災害関係の予算については特別の配慮が払われるようにという御発言をしていただいております。私どもも、引き続いてその趣旨を守って、ぜひこの防災事業の積極的な投資が行われるように努力してまいりたいと考えております。
  36. 長野祐也

    長野委員 今の大臣の決意でぜひよろしくお願いを申し上げます。  ありがとうございました。
  37. 笹山登生

    ○笹山委員長代理 新盛辰雄君。
  38. 新盛辰雄

    ○新盛委員 まず冒頭に、このたびの鹿児島集中豪雨、地すべり災害につきまして、閉会中とはいえども直ちに災特の理事会の御配慮をいただいた上に、また、災害発生した直後には、前山崎国土庁長官、江藤建設大臣など続いて現地調査していただきました。直ちにそうした御配慮をいただきましたことについて感謝申し上げる次第であります。  今、同僚議員の長野委員の方から概括的にそしてまた極めて集中的な質問もございましたけれども、さらにそれを補足する意味で以下御質問申し上げたいと存じます。  災害は忘れたころにやってくる、そういうことなんですけれども、昨年七月二十六日、長野市地附山地すべり災害、老人ホームの松寿荘では二十六人の寝たきり老人が犠牲になられました。いまだに復旧作業が続いているし、また、損害賠償総額九億四千万円請求の裁判を起こしていられるという状況であります。  そうした中で起こるべくして起きたのが今回の鹿児島集中豪雨災害ではないだろうか。しかも、竜ケ水災害というのが今から十年前に鹿児島市の近郊で発生をいたしました。そのときも九名の犠牲者が出たのであります。昭和五十二年、私も当選してすぐでございましたから質問を申し上げて、二度とかかる事態のないように、特殊土壌である鹿児島、特にそうした対策について、緊急かつ住民の生命財産を守る意味で対策を講じていただくように要望していたのでありますが、今こうして再びこの議論をしなければならないことを非常に遺憾に思っているわけであります。  そういう中で、まず気象条件の問題について質問をしたいと思います。  今回の集中豪雨に見られますように、一時間に七十五ミリというかつて見ない、史上四番目のこうした状況ができたというのであります。したがって、この気象観測について、気象庁の方では昨年の台風十三号で、その進路のあり方についても極めて積極的な対策を立てておられたわけでありますが、こうした今回の局地的な集中豪雨についてのいわゆる予測、観測、そして警報をそれぞれお出しになる場合の取り扱いについてどういうふうにされたか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  39. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  当日は、梅雨の真っ最中でございまして、梅雨前線は九州のかなり北の方に北上しておりまして、鹿児島県付近は太平洋の高気圧の圏内に入ってきた、そういう状況にございました。太平洋高気圧の周辺部ということで、この辺のところに向かいましてはかなり湿った暖かい空気が流れ込んでおりまして、大気の状態が大変不安定になっている、こういう状況にございまして、昼前から梅雨前線とは別に積乱雲の列が九州の南部から四国沖へ並ぶというような状況にございました。  私どもといたしましては、気象レーダーを常時観測に切りかえて監視しておりまして、当日午前十時五十分に鹿児島県下全般に対しまして雷雨注意報を発表したところでございます。そして、その後状況が切迫しているというような状況を踏まえまして、十二時五十分には大雨・洪水それから雷雨注意報に内容を切りかえまして、十三時五十分に大雨警報、洪水警報、それから雷雨注意報を発表いたしました。なお、その後も一時間ごとに気象情報を発表いたしまして、例えば雨が弱まっても災害の危険がまだありますということなどを含めまして、こういった情報を関係防災機関、それから報道機関などを通じてお知らせしたというような状況にございます。
  40. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今回の集中豪雨梅雨末期特有の湿舌現象というのですか、何か特別に積乱雲の発生等で出てきたという、その雷雨の中での今回出されたいわゆる集中豪雨型、すなわち鹿児島市の一部分だけに現象が出てきているわけでありますが、そうした状況把握できなかったのかどうか。特に、この警報が出てすぐ、これは消防庁その他に消防署を含めておやりになるのでしょうが、避難命令が出てすぐに実は事故が発生をしたというようなことが報じられておりますが、その間についてはどうだったのでしょうか。
  41. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 大変失礼いたしました。  気象庁といたしましては、先ほど申し上げましたとおりの警報、それからその後引き続き情報をお知らせいたしまして、これらの情報につきましては、県あるいは鹿児島市が設けております地域防災計画、これに基づきました伝達網を通じて関係防災機関へお知らせするということになっておりまして、気象台からは同時通報装置、これを通じまして即刻お知らせしておるところでございます。その後の対策につきましてはそれぞれの防災機関で対応されたものというふうに考えております。
  42. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、これは国土庁が主力になるわけでしょうが、今回のいわゆる地すべり等によっての災害復旧事業ですが、何よりも一番大事なのは、建設省や林野庁等における災害復旧上の災害査定というのを早急にやらなければならないわけでありますが、先ほどの長野委員に対するお答えでも、林野庁におきましてもシラス対策等を含めて上竜尾、平之町ほか数カ所にわたる十一億六千万、早急にこの手だてをしたい、これは本年度中だ、こういうふうにお話がありました。あるいは建設省における今回の対策についても緊急急傾斜地崩壊対策事業として十八億八千万、こういうようなお話がございますが、この公共土木施設災害復旧事業査定、これは聞くところによると八月の中旬ごろに決定をするという話なんですが、これはいつごろ本当に詰められるのか、御回答いただけますか。
  43. 帆足建八

    帆足説明員 災害査定は八月十三日から二十三日までの間におきまして現地で決定をいたしますので、事業費はその査定が終わった直後にも決定をするわけでございます。  それから、先ほどちょっと申し上げませんでしたが、都市施設災害復旧事業につきましては、県と調整した結果、九月八日から十一日までの間やる予定にしております。したがいまして、これらの査定現地査定したときにすべて決まるという形になるわけでございます。  そのほか、緊急にやるものにつきましては、あらかじめ災害復旧をやっておりまして、その分を査定時に写真等を見まして決定するというような手続をとっております。  以上でございます。
  44. 新盛辰雄

    ○新盛委員 積極的にそういうふうに査定を現実のものとして取り扱っていただくことについては感謝を申し上げます。  それで、これらの、先ほどもお答えもあったのですが、現実この被害を受けられている箇所、そこの早期的確な応急措置を含めて今作業が進んでおります。私も実はこの上竜尾町災害の真下二百メートル離れたところにおるわけでありますから、よくその状況把握をしております。しかし、こうした中でも実はこの地元方々、いわゆる急傾斜地に住んでおられる方々は、家が半壊したりあるいは取り除こうにも経費がどうなるのだろうかとか、移転をしようにもいろいろとこの県の進めている災害対策、救助法等による取り扱い等でも十分に面倒を見ていただくということにはなっていない、そんな苦情等も出ているわけですけれども、こういう関係については的確に、これからの移転事業経費を初めとしてもろもろの問題がございます。そうしたことについても、先ほどもお答えがあったのですけれども、これからの問題は財源措置なんですね。このことについては大蔵省等とも、こういう厳しい状況ですから一体どういうふうにお考えになっておられるのか。これは総括的な問題もありますから長官にひとつお答えいただきたいと思うのです。
  45. 山本重三

    山本説明員 今回の鹿児島災害発生に伴いまして、これらに要します財政措置をどうするか、この問題につきましては、私ども七月十二日に山崎国土庁長官を団長といたします調査団を現地に派遣いたしまして、その後帰りましてから、その現状を踏まえまして十四日に関係省庁連絡会議を開催いたしました。その際に、当面の重点事項として、被災地方公共団体に対します適切な地方財政措置について十分配慮するということを決めておりますので、今回私ども、この関係省庁で決めました方針に従いまして、個々の問題につきましても適切にできるだけ対応してまいりたいと考えております。
  46. 新盛辰雄

    ○新盛委員 そういう積極的にやっていただく面ではこれからの結果を見なければなりませんが、ぜひひとつ災特の方で何回かおやりになる今後の問題の中で消化していただきたいと思います。  この災害関連緊急治山事業は、これは林野庁の分担になりますし、災害関連の緊急急傾斜地の崩壊対策事業、これは建設省ということで、なかなかそれぞれ省庁によって違いがあり、いろいろな面で私どもの側から見れば、桜島災害と同じようで、どちらがどうなっているかというのを総合的にまた一本の形でというのをいつも望んでいるわけですが、それぞれの査定はするとしましても、今この急傾斜地崩壊の防災対策というのが、実は指定箇所としてここでは、この住宅の問題にしましても指定をしてやっていくというのがなかなかどうなっているのか。     〔笹山委員長代理退席、委員長着席〕  あるいはまたこの事業のための措置ですね。聞くところによりますと、県下では二千百カ所、そして鹿児島市では三百三十何カ所、そんなふうに聞いているのですが、その進捗率は二〇%だという話であります。こういう状況ですから、いつでも災害はやってきますよ。忘れたころじゃなくてやってくるようになっているのですが、その防災、林野庁においては予防的治山ですね、それから建設省においては緊急急傾斜地崩壊にかかわるいわゆる砂防工事その他を含めまして、これはどういうふうになっているのか。  何か災害が起こるとすぐそこに飛びついて何らかの対策を立てる、こういうことではどうにもならないのです。先ほど長野委員がおつくりになったあの資料でも、写真でごらんのように、一応手だてをしたところは崩れていないのです。ところが、その手だてをしてない近くが崩壊する、そういう現象が現実に出ているわけですから、そういうことについてどうお考えになっているか、お答えいただきたいと思います。
  47. 岡本敬三

    岡本説明員 今回のシラス地帯災害につきまして、林野庁といたしましては、昭和六十年度、六十一年度の両年度にわたりまして調査実施いたしておりますが、その中間の取りまとめ結果によりますと、山地災害危険地といいますのは全国で約十七万三千カ所に及んでおります。このうち鹿児島県につきましては五千三百カ所というふうになっております。これらの山地災害危険地区につきまして、災害を未然に防止するという趣旨から、治山事業の五カ年計画に基づきまして緊急を要する箇所から計画的に実施をいたしております。昭和六十年度末までにその約三〇%に当たります五万二千カ所の整備着手しているところでございます。ちなみに、鹿児島県につきましてはその着手率は四〇%というふうになっております。  鹿児島市を中心といたします今回の被害実態にかんがみまして、シラスにおきます山地災害予防対策につきましては、その箇所ごとの具体的な工法等につきまして鹿児島県と共同で調査をいたしまして、その結果を踏まえまして今後の予防対策に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  48. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えいたします。  鹿児島県におきますところの急傾斜地崩壊対策事業でございますけれどもシラス地帯という特性にかんがみまして、従来からその対策の進捗を図ってきたところでございます。  鹿児島県内整備率でございますが、昭和六十年度末におきましては約二〇%ということでございまして、全国の平均では一七%でございますが、それを上回っておるところでございます。それで、鹿児島県におきますところの危険箇所数は、先生が先ほど申されましたように、全体では二千百十八カ所でございまして、そういう進捗率になっておるわけでございますけれども建設省といたしましては、そういった危険箇所の指定につきましてはその指定の促進を図るように指導しておるところでございまして、鹿児島県におきましては指定箇所数がその中で五百三十四カ所ということで、指定率は二五%に上っておりまして、全国平均の一九%を大きく上回っておるという状況になっておるわけでございます。  なお、建設省におきましては、危険箇所見直しは現在各都道府県に指示いたしましていたしておるわけでございますけれども、今後におきましても、そういった危険箇所の的確なる把握に努めますとともに、そういった急傾斜地崩壊対策事業推進というものにつきましても今後も積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  49. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この危険区域いわゆる危険箇所の指定ですが、これは急傾斜地の崩壊対策事業の中の一環として、やはりこの指定が、今回の分は七カ所、全体で八カ所なんですけれども、この中で二カ所ぐらいしかできていなかったんだという指摘もあるのですよね。だから、これから先、詳細にその辺の調査というのをやっていただかなければいけません。それから指定箇所をふやしていかなければならないはずですが、これはどうお考えですか。
  50. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えいたします。  先ほども申しましたように、私どもといたしましては、危険箇所の的確な把握に努めますとともに、そういった危険箇所についての指定もあわせて促進するように県を指導してまいる所存でございます。
  51. 新盛辰雄

    ○新盛委員 今後も、役所的感覚ではなくて、現地とよくマッチした作業をひとつやっていただきたいと思うのです。  次に、堆積土砂の排除。これなどは、宅地内の土砂排除も都市災害復旧事業の一つなんですけれども、これについて建設省としてはどういうふうに今扱われているのか。今現実にやっておるのですが、なかなか遅々として進んでいないのです。現状と、またこれからの対策をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  52. 佐藤本次郎

    佐藤説明員 お答えいたします。  今回の災害におきましての鹿児島市域内におきます堆積土砂の総量は約四万二千立方メーターに及んでおります。そのうち、宅地内に堆積した土砂で都市災害復旧事業による堆積土砂排除事業対象になりますものは二十三カ所、約一万八千立方メーターというふうに報告を受けております。  堆積土砂は市民の日常の生活に多くの支障を及ぼしますので、その除去は早急に行いたいと思っているところでございます。  この宅地内におきます堆積土砂排除事業は都市災害復旧事業の一環として実施しておりますが、緊急を要するものにつきましては、査定を待たずに応急工事として復旧着手することができることになっております。従来より、このことに関しましては地方公共団体に対し指導を行っているところでございますので、今回の場合も、既に一部につきましては着手したところであります。残りの部分につきましても、今後引き続き、事業の準備が整い次第復旧着手する方針でございます。  以上でございます。
  53. 新盛辰雄

    ○新盛委員 厚生省が来ていらっしゃると思うのですが、今回とうとい犠牲が払われました。私どもは、哀悼の意を表しながら、家族の方々も含めてこれからそうした善後策を立てていかなければなりません。  いわゆる見舞い金などのことについてですが、災害弔慰金、そして災害障害見舞金などございます。当節何かと状況が非常に変わってきたのですが、今のこの金額でいいのか、これからこうした問題についてはどういうお取り扱いをされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  54. 福田孝雄

    ○福田説明員 ただいま先生お尋ね災害弔慰金でございますけれども、これは市町村が条例に基づきまして自然災害により死亡されました方の遺族に対して支給するものでございます。この支給に要した費用の二分の一を国が負担するという制度でございまして、昭和四十八年に議員立法として制定されておるところでございます。  さらに、その災害弔慰金の性格でございますけれども、これはいわゆる社会連帯に基づく見舞い金というような性格として理解しておりまして、損害賠償でございますとかまた損失補償というような性格のものではないというふうに理解しておるわけでございます。  現在、この災害弔慰金の額は、生計維持者に対しては三百万円、それ以外の方につきましては百五十万円ということになっておるわけでございますが、これまで法律制定以来社会経済情勢の変化等を勘案いたしまして約四回にわたりまして引き上げが図られてきたところでございます。現在の額につきましては、この制度の性格でございますとかまたほかの制度との均衡等を考えますと、おおむね妥当なものではないかというように考えておるところでございます。
  55. 新盛辰雄

    ○新盛委員 世帯主三百万円、その他百五十万円、当節社会的な諸条件を踏まえて見直しをする気はない、こうおっしゃっているのですけれども、少なくとも災害はいつどういう事態で発生するかわからない状況ですから、こんなにいろいろと今のような厳しい状況の中では増額をということにはならないとおっしゃるわけでありますが、何としても、やはり現地方々状況を踏まえてみるとそうじゃないわけですよ、見直しをされる時期がもう来ているのじゃないかと思うのですが、どうなんですか。
  56. 福田孝雄

    ○福田説明員 これにつきましては、他法の制度等もあるわけでございますが、現在のところは私どもとしてはおおむね妥当な金額ではないかというように考えております。
  57. 新盛辰雄

    ○新盛委員 次に、この移転料の関係で先ほども質問がありましたが、移転事業の場合、がけ移転事業建設省、それから防災移転国土庁、こういうことで今一戸当たり幾らなんですか。六十三万と聞いているのですが、本当でしょうかね。
  58. 遠藤二三男

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  がけ地近接等危険住宅移転事業というものは、金融機関から住宅の建設または取得に要するお金をお借りした場合の利子補給をするということで利子補給金、それから除却費、その二つについての補助を行っているわけでございまして、除却費につきましては一件当たり六十三万、それから、それと建設または住宅の用地取得ということでの利子補給金のすべてを合わせますと、特殊土壌地帯一般地帯に分かれますが、鹿児島県は御承知のように特殊土壌地帯でございまして、一戸当たり四百六十九万円というお金を補助対象として計上しているわけでございます。
  59. 新盛辰雄

    ○新盛委員 時間がありませんので、これはまた今後の問題もありますから議論を残しておきたいと思うのです。  この罹災箇所における行方不明者の救出、これは消防庁、それから罹災者に対する救護、これは厚生省、また全般的な被災地方公共団体に対する財政措置、これは自治省、こういう形になっているわけであります。  今回の救出作業等については、現地の消防署を初めとして警察、機動隊など本当にまさに涙の出るほどの御活躍をいただきました。私は現地にこの直後に、まだ土砂崩れが起こっている、人が五名埋まっている場所に立ったのですが、その際にすぐ機動隊に来ていただきましたけれども、多発性の災害でありましたから現地で作業をされる方は消防署にしても警察にしても数が少ないわけです。だから、自衛隊の派遣を災害対策本部に要請したのでありますが、そうした救出作業について、消防署では今回迅速な応急対策をされたとは思いますし、これまでやってこられましたけれども、今後の問題として、緊急を要するこうした状況の中でどう対処していくか。救護措置にしてもそうです。炊き出しなども、避難を始めてすぐ、給食などを含めて実は大変問題があったわけであります。現に私も自宅で炊き出しをせざるを得ない状況でございました。四、五十人の方の炊き出しというと、これは大変であります。そういうことを地元婦人会の方々も含めてやっていただきましたが、こういうことについて、各省庁お答えをいただきたいと思います。  それと、自治省に、こうした地方公共団体に対する財政措置です。これについては、補助金打ち切りの状況の中ですから非常に厳しいのですけれども、どういうふうに対策を立てておられるのか、またどうされるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  60. 田中基介

    ○田中説明員 今回の鹿児島市の豪雨災害に際しましては、消防機関は行方不明者の救出を最優先するということで、自衛隊、警察等の協力のもとにこの救出に全力を挙げたところでございます。  発災後約四十五時間を経過いたしました七月十二日午後一時五十三分に最後の行方不明者が遺体で発見されまして救出活動は終了いたしましたが、この間、延べ消防職員三百九十名、消防団員四百四十六名、計八百三十六名が救出活動に当たりました。こうした救出活動の結果、大変残念ながら十八名の方の死亡を確認ということでございましたが、一万で十一名の方を無事救出することができました。  今後とも迅速な救出体制の整備には十分努めてまいりたいと考えております。
  61. 福田孝雄

    ○福田説明員 このたびの災害によりまして、厚生省におきましては災害救助法に基づいて避難所を設置したわけでございます。  避難所は、一番多いときで十八カ所でございます。避難所に避難された方々に対して、炊き出しを初めとする食品の給与を行ってまいったわけでございます。避難所は、第二次災害等も心配されましたので、最長七月十日から七月二十五日まで開設いたしまして、その間、延べ七千三百七食の炊き出しを行ってまいったところでございます。
  62. 柳原瑛

    ○柳原説明員 お答えいたします。  被災団体が行う災害復旧事業などに要する経費につきましては、実情を十分調査の上、被害状況及び財政状況等を勘案し、特別交付税措置あるいは地方債の配分を通じて適切に対処してまいります。
  63. 新盛辰雄

    ○新盛委員 この災害の問題での質問は以上なのですが、ぜひ長官にお願いしておきます。  先ほど長野委員の方からも質問があって、お約束されましたように、こうした鹿児島特有のシラス土壌地帯における災害というのは今後も当然予想されるわけでありますので、予防治山を初めとして、大事なものは積極的に進めてもらう。特に日切れ法案であります特土法の取り扱いは積極的に努力をする。これはここで決めるわけにはいきませんからお約束をしていただく。山崎前国土庁長官現地に来られ、これは大変だ、特土法延長せざるを得ないという発言も得られておりますので、これはぜひひとつ確認をしておきたいと思います。これから審議はしますけれども、多くの委員諸兄の御協力もいただかなければなりませんが、お願いいたします。  それと、この城山災害、今回の豪雨により集中的に起こりましたこの城山、西郷隆盛の最期の場所でございますけれども、ここは現地災害について、最近車両が非常にたくさん通るだとか、あるいはまた乱開発によってこういう結果になったのだ、保全林の解除を勝手にやったからこうなったのだという強い申し入れがあるわけであります。こうした面で都市災害の一環の中で緑の山がどんどんなくなるわけでありますが、そうならない方策を、自然公園みたいにして確保していく、あるいは県なり市に、一般業者じゃなくて公共機関に払い下げてやっていくような取り扱いを今後やっていただきたいと思うのですが、その件についてお聞かせいただきたいと思います。  山本国土庁防災局長も三十一、一日ですか、参議院災害対策特別委員会委員の皆さんと一緒に現地を訪れてこの状況はよく知っておられるわけですね。そこへもってちょうど歓迎したかのごとく、桜島が大変な豪灰でもって市民生活を脅かしていることも目の当たりにごらんになったと思います。もう手だてをするにもどうにもならない。ロードスイーパーでもって排除する降灰防除事業も、とどのつまりは結局市民の皆さんが宅地内の防灰工事をやっておられる、もうへとへとになっておられるわけですね。だからこの辺について、実は所得税の雑損控除が五万円決められたのです。これを請求されている方はほとんどないのではないでしょうか。それほどやり方が難しい。と同時に、水道を非常に使う、クーラーを使う、そういうことで、今度は水道代になりますと自治省、電気料になると通産省あるいは資源エネルギー庁の所管になる。そんなことで所管所管によって違いは出ますけれども国土庁もこうした全体的な各省庁との連携をとっていただいて、できることならこの降灰減税というのは雑損控除じゃなくて現実に皆さんの懐に返すやり方、今回の場合、六月十二日に一回、それから七月二十八日、そして七月三十日、この降灰が続きましたね。その際、気象庁の屋上ではかると一平米当たり八百八十グラムだとか、あるいは千グラムに近い状況把握されるのですが、県庁周辺になると、これはまたそれ以上の千八百グラムとなったという話も聞いておりますが、そういう箇所箇所によって違いますけれども、何らかの形で市民に苦労をというよりは、豪雪地帯においてあんな状況がございます。いわゆる手だてがしてある。今度綿貫長官は鹿児島に行ってみたい、現実に降灰の現状というのを見てみたいということをこの間記者会見をやっておられるのですが、そういうものを含めてこれからどう対処されるかをお聞かせをいただきたいと思います。
  64. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 今回の鹿児島災害につきましては、さきに前長官の山崎長官が現地を御視察になりまして、その悲惨な状況についての結果の御報告は私ども聞いておるわけでございますが、私も機会があれば改めてぜひ現地を訪れて状況を視察したいと考えております。  なお、特土法延長の問題につきましては、特殊土壌地帯対策計画的に進める上におきましても延長が必要であるというふうに考えておりますが、今まで制定されました経緯やまた改正延長されました経緯から考えまして、これは議員立法でなされておりますので、国会の皆様方や関係省庁連絡をしながら延長が図られるように努力をしてまいりたいと考えております。
  65. 山本重三

    山本説明員 桜島の火山による降灰の被害その他の状況につきましては、私も既に着任早々現地を見せていただきましたし、また先般参議院の災害対策委員会調査の際にも相当の降灰を経験したところでございます。  この桜島火山対策につきましては、御案内のように、昭和五十九年に桜島火山対策懇談会におきまして対策の内容を個々具体的に三十一項目についていろいろ検討し提言をいたしております。この提言に基づきまして、関係省庁におきましても鋭意この提言を実現すべく毎年毎年努力をいただいているところでございます。  ただいま先生が申されました実情等につきましても、私も現地に行きましてその実態は十分実感として受け取っておる次第でございますけれども関係省庁とも十分協議しながら現行制度の中でできる最大限の努力は私も今後とも続けていきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  66. 新盛辰雄

    ○新盛委員 質問を終わります。
  67. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 薮仲義彦君。
  68. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、質問に先立ちまして、今回の鹿児島災害発災後直ちに前国土庁長官そして建設大臣現地を視察してくださった、これは県民そして被災なさった方々にとっては大変心強い、人心の安定さらには再建への大きな励みになったといいますか、県民の方は大変喜んでいらっしゃいます。新長官のもとで我々災特の委員としては一切災害がないことを心から念じております。万々が一あってはいけませんけれども、そのときの長官の対応が大変に人心の安定の上に必要でございますので、長官の対応を心からお願いを冒頭いたしておきます。  と同時に、我が党も、現地鹿児島県本部を中心にしまして、大橋衆議院議員を団長として現地を視察させていただきました。それをもとにきょうは何点か質問をさせていただきたいと思いますけれども、まず冒頭に、亡くなられた十八名の方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、また負傷なさった方々が一日も早く御回復をとお祈り申し上げるものでございます。また、被災された方も何とか力強く再建に歩みを進めていただきたい、そう願いながら質問をさせていただきます。  私は、国会に籍を置いて十年になるわけでございますが、その間ずっとこの災害対策の委員を続けてまいりました。歴代の長官に私がお願いしたのは、年間自然災害で約二百名ほどの方が亡くなる、私がバッジをつけてからも二千人近い方が亡くなっている、何とか自然災害から人命を救えないだろうか、これが私の念願でもございました。今回もとうとい人命が失われたわけで、大変残念なことでございますけれども、この事実を冷厳に見つめながら、私は今後の対応を何点か関係省庁にお伺いをしたいと思うのでございます。地元県本部からの要請もございますので、重ね重ねになりますけれども、これはごく簡単に御答弁いただきたいと思います。  まず、災害査定早期に行ってほしい、それから、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業を採択してほしい、緊急治山事業も採択してほしい、これは地元の強い要望でもございます。先ほどの御答弁にもございましたけれども、このことについては早急に採択並びに実施を図っていただけることと思いますけれども、簡単に御答弁いただけますか。
  69. 帆足建八

    帆足説明員 災害査定につきましては、県と十分打ち合わせをいたしまして、八月の、先ほど十三日と言ったようでございますけれども、間違えておりまして、八月の十八日から八月の二十三日まで現地査定することにしております。  なお、緊急を要するものにつきましては、応急復旧工事でその辺の手当てをし、査定時に決定するという方式をとっております。
  70. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  今回がけ崩れ発生した箇所につきましては、既に緊急対策につきましては指示をいたしておるところでございますが、先生お尋ね災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業でございますけれども、これにつきましては、関係機関協議の上、武地区それから長田地区を含むところの十六カ所におきまして約十八億八千万円の事業費実施することといたしておりまして、既に鹿児島県に通知をいたしております。そして、早期完成に向けまして現在指導をしておるところでございます。
  71. 岡本敬三

    岡本説明員 林野庁といたしましては、災害関連の緊急治山事業といたしまして、先ほど申し上げましたように、約十一億六千万円の決定をいたしまして、既に県に通知をいたしておるところでございます。  なお、治山施設の災害復旧事業査定につきましては、八月の七日を予定いたしておるところでございます。  以上でございます。
  72. 薮仲義彦

    薮仲委員 堆積土砂については、先ほど来御質問がございましたけれども、これは条件が、いわゆる同一地内で三万立米の堆積土砂、一団で二千立米ですね。それから三番目には、一団で二千立米はないけれども五十メートル間隔を足すと二千立米になるものは堆積土砂排除のための事業として採択できる、こうなっております。これでまいりますと、現在住民方々に大変生活上困難を来している土砂については大方排土が事業として採択できると思いますけれども、できますね。
  73. 佐藤本次郎

    佐藤説明員 お答えいたします。  都市災害復旧事業の崩壊土砂排土事業の採択基準は、先ほど先生指摘のとおりに、全体として一つの市町村の地域内で三万立米以上または一団の堆積土砂量が二千立方メートル以上または五十メーターの間隔で連続的にたまっている土砂の総量が二千立方メーター以上ということでございまして、鹿児島県の今回の土砂につきましてはすべて補助対象になる予定でございます。  以上です。
  74. 薮仲義彦

    薮仲委員 それから住宅金融公庫、ちょっとお伺いしたい。  これは先ほど御答弁ございましたけれども、我々の望んでいるのは、そういうことはよく承知の上なんです。いわゆる住宅公庫の融資を受けておる方は特約火災保険が出るわけでございます。しかし、これは現実を見てみますと、全壊の六十五戸のうち、公庫対象は一戸でございます。それから、半壊の二十八戸のうち、対象は八戸でございます。我々は確かに今、住宅金融公庫のそういう対象は十分対応してほしい。ただし、先ほど同僚議員のお話にもございましたように、住宅金融公庫の融資を受けておらない、いまだ住宅金融公庫が何たるものか、どういう融資制度になっているのか、災害復旧のための五・〇五という低金利で借りられますよ、しかも段階金利になっておりませんよというような説明をもっと詳しくしてあげることが窓口の開設であり、一人一人に詳しく説明してあげる。しかも私は、関係省庁に、これは大蔵省になるかもしれませんけれども、こういういわゆる被災のときの査定にいつも問題があります。全壊はだれが見てもわかります。しかし半壊住宅金融公庫の場合は三〇%損害が発生しますと補償対象になりますけれども、いわゆる民間の火災保険等に加入していらっしゃる方がいつもその損害の程度の査定でごたごたいたします。こういう点、早くその災害復旧というよりも災害の中から立ち上がれるように、お一人お一人の住環境がきちんと整備できるように、生活再建ができるような特段の配慮を関係省庁を督励してお願いしたい、これが我々の要望でございます。  住宅金融公庫は当然でございますけれども、いわゆる民間の保険に加入していらっしゃる方の対応についても御配慮いただきたいと思いますが、これは防災局長いかがですか。
  75. 山本重三

    山本説明員 ただいま先生、今回の鹿児島災害によりまして住戸の全壊あるいは半壊被害を受けられた方々の実情について御説明がございました。私どももこういった実情をよく踏まえながら、先生の御要望に沿った対応をできるだけしてまいりたいと考えております。
  76. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっとこれから私の質問のときに長官並びに局長、諸先生に資料を見ておいていただいた方がよろしいと思いますので、配ってよろしゅうございますか。
  77. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 どうぞ。
  78. 薮仲義彦

    薮仲委員 済みません。じゃ配ってください。  この質問には入っておりませんけれども、最初に気象庁、簡単にお答えください。  気象庁が大雨・洪水警報を出したのは何時何分ですか。
  79. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  鹿児島県下に対しまして大雨・洪水警報を発表いたしましたのは十三時五十分でございます。
  80. 薮仲義彦

    薮仲委員 国土庁、お伺いしたいのですが、いわゆるがけ崩れ並びに死亡者が出たのは、その発災の時間と死亡の人員をここで確認をさしていただきたい。武二丁目のがけ崩れの発災の時刻と死亡なさった方の人員、長田町のがけ崩れの発災の時刻と死亡なさった方の人員、上竜尾町のがけ崩れの時刻と死亡なさった方の人員、それぞれ何時何分、何名で結構です。おっしゃってください。
  81. 山本重三

    山本説明員 先生今御質問ございました平之町のがけ崩れ発生いたしましたのは十六時……(薮仲委員「武二丁目」と呼ぶ)武二丁目のがけ崩れ発生いたしましたのは十五時五十七分でございまして、死者は一名でございます。それから、長田町のがけ崩れ発生いたしましたのは十五時五十七分でございまして、犠牲者は男子一名、女子一名の計二名でございます。それから、上竜尾町の発災時刻は十六時十分でございまして、これによる犠牲者は五名でございます。
  82. 薮仲義彦

    薮仲委員 消防庁、お伺いしたいのですが、避難勧告の行われた時間をちょっと言ってください。
  83. 田中基介

    ○田中説明員 まず最初に、大雨・洪水警報発令十三時五十分直後から……(薮仲委員「避難勧告だけでいいです、もう時間がないから」と呼ぶ)広報車十七台で危険地域への広報を行っております。十六時五分に長田町付近の住民に避難の指示を行っております。
  84. 薮仲義彦

    薮仲委員 それだけですか。
  85. 田中基介

    ○田中説明員 あと、十五時、ちょっと前後いたしますが、河川はんらんの関係で十四時二十一分新川付近と、それから十五時十五分郡元、唐湊付近の住民に避難の指示をしております。それから、最後十六時二十分、災害危険地区全域に避難勧告をいたしております。
  86. 薮仲義彦

    薮仲委員 今長官お聞きのとおり、気象庁が大雨・洪水警報を出したのが十三時五十分です。それで、がけ崩れが始まったのが今お話しのとおり三時五十七分からもうがけ崩れが起きたわけです。市が避難勧告を正式に行ったのが長田町で四時五分です。それは既にがけ崩れで武二丁目、長田町で合計三名の方が亡くなってから避難勧告が出ている。それから全域に対しては、今の御答弁ですと十六時二十分ということになります。そうすると、十六時二十分に全域に出たわけでございますが、それ以前に既にこうやって八名の方が亡くなられていらっしゃる。この避難勧告が果たして適切であったかどうか、あるいはここに私どもの資料ございますけれども災害対策本部の設置がどうであったか、このずれというものは、私はやはり教訓として肝に銘じておかなければならないと思うのです。冷厳にと先ほど申し上げましたが、この事実は冷厳に受けとめて、こういうことでいいのかどうか、私は、地域防災計画を所掌なさる消防庁、そしてまた国土庁防災局長としてこういうことについては今後どうあるべきか、そのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  87. 田中基介

    ○田中説明員 災害時に的確かつ迅速な対策が講じられるように、地域防災計画地域実態に即応した実効性のあるものにしていく必要があることは薮仲先生の御指摘のとおりでございます。  消防庁といたしましては、災害危険地域把握、あるいはまたこれを地域防災計画へ登載すること、あるいは住民への周知徹底、情報の収集・伝達体制、警戒・避難体制整備等につきましては、これまでも地域実態あるいは災害の特性に応じて見直しを行うように機会をとらえてやっておるところでございます。今回の教訓を生かしながら、さらに地域防災計画がより実効性のあるものになるよう見直すように指導強化してまいりたいと考えております。
  88. 山本重三

    山本説明員 実際に災害発生いたします場合におきましては、がけ崩れにいたしましても洪水にいたしましても、災害発生いたします気象条件、それから地形、地質の要素、こういったものが複雑に絡み合って発生するということであろうと思います。今回の状況というものにつきましては、ただいま消防庁がいろいろ御説明申し上げましたが、私ども関係省庁とも十分協議しながら具体的な対策を進めるよう努力してまいりたいと考えております。
  89. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、今回の場合は現地をつぶさに知らないのは大変じくじたるものがあるわけでございますが、マスコミの報道は目を皿のようにして読んでみました。そこの中で幾つか感じたことがございます。見出しを含め、記事の中にこういうことが書いてあったことを含めて、これは大きな教訓になると思いますので読み上げます。  まず、見出しの中では「防げなかったか豪雨禍」、こういうのがございました。それから吉野町でございますが、住民の方の声を新聞記事がとっております。「避難指示はなかった」、しかし実際は全域に避難指示はあったのです。なぜこういう認識になったかといいますと、「避難指示はなかった」「今回は大丈夫だと思った」、こう書いてあるのです。これは先ほど全域に避難勧告が出たのは午後四時十五分です。吉野町が発災を起こしたのは二十時二十三分です。避難勧告から四時間たってここでとうとい人命が失われたのです。これはやはり消防庁さん、そして国土庁さん、もう雨が小降りになってしまった、避難勧告も出した、ところが四時間後にがけが崩れて亡くなったという冷厳な事実は心にとどめておいていただきたい、これは指摘しておきます。  それから、「危険地域に指定しても防災の予算が追いつかない」、これは行政の立場にある方の発言です。それから、住民の方の声として、いろいろ制約を受けるため危険地域の指定を拒む、これはここにいらっしゃる御専門の方々はわかることだと思います。しかし、これは非常に大事な点でもあります。  また、新聞には、私今お話ししましたけれども、大雨・洪水警報は午後一時五十分、避難勧告はこの新聞では午後四時十五分と書いてございました。避難命令は適切であったか、これはやはり今の指摘をよく心にとどめておいてください。  また、平之町の、これはお名前を伏せます。Kさんという方、御近所の方がKさんの家に行って、お宅の裏山が一番危ないですよ、こう言ったときに、そのKさんは、どこへ避難しようか、こういう発言があって、この方は巻き込まれて亡くなっています。私は静岡県です。地震があったらどこへ逃げるか、第一次避難場所、広域避難場所、自主防災組織ということで地震に覚悟を決めて向かっていこうとしています。私は、この中に、シラス土壌の中に住まなければならない方々が、やはり自主防災なり心構えというものが日常の中になければならないのじゃないか。行政の対応と同時に、住民の意識——ここに最後にこう出ているのです、「危機感薄れ 被害に拍車」。やはり先ほど御質問の中にありましたように、竜ケ水というのですかあの被害から十年大きな被害がなかった、その危機感が薄れて、やはり災害は忘れたころにという教訓を今思い起こして——私は今の新聞の見出しの中で幾つか申し上げました、防災局長も消防庁のあるいは御関係の方々も心によぎるものがあると思うのです。この見出しの中で幾つか我々が行政の場に対応しなければならないことをここで指摘しておきますので、時間がございませんし、数多くの質問をしたいものですからこれだけにしておきますけれども、ただいまの指摘は心にとどめておいていただきたい、これは要望をいたしておきます。  今、長官初め皆様のお手元に配ったのは、私が気象庁にお願いしまして気象庁の鹿児島気象台が作成した資料でございます。これをちょっとごらんいただきながらお話をさせていただきたいのですが、これは正式に言いますと「鹿児島の気象百年誌」という鹿児島気象台が出版したものでございますが、大変御苦心の作だと思って敬意を表します。  この中で私は幾つか大事な点を申し上げたいのでございますが、お手元の資料で一枚目、昭和十六年七月十一日の梅雨前線のことが出ております。それから大正一年十月二日、昭和三十一年七月三日から四日のことが出ています。これは何かといいますと、先ほど来質問の中に出ましたように、今回の洪水は気象庁で、いわゆる鹿児島気象台の四番目の降雨の記録だ、こうありました。この上の三つは鹿児島気象台が過去にそれ以上の大雨を記録した三回が載っているわけです。年代が昭和十六年から始まっておりますのは、十六年の雨が瞬間雨量、時間雨量では八十九・四ミリ、一番高かった。大正一年がその次に来ているのは七十七・六ミリ、時間雨量でございます。それから昭和三十一年の七月四日、七十五・三、そして今回の七十五・〇というのが二枚目の資料なんです。  ここで、私は、気象庁並びに国土庁に絶えず防災マップということを言っています。防災マップというのは、地図ではなくてコンピューターの中に資料をインプットしなさいということですから、頭をすっきりしておいてもらいたいのですが、ここの中で、雨がこういう時間の中で、一番目は総雨量は百六十九・五、二番目は百四十五・四、三番目が百三十三・五、四番目が今回で百九十二・五です。こういうような雨の降り方をしていて、確かに総雨量と時間雨量の相関関係がこう出ているわけですが、ここで、どこでどういう雨の形態のときに災害が起きたかというと、これは皆さんも大方そうではないかなと思われるように、一番上はある瞬間に、一時間だけです、猛烈に雨が降った。三番目もそうです、七月四日にある一時間だけ物すごく降っています。あと前後はぱっとやんでいます。このときにがけ崩れの発災は、一枚目の表を見ていただければわかるとおり余りございませんでした。ところが大正一年十月二日の長い時間にわたってじわじわ降った雨、これは一枚目の表を見てください、死者十九名、家屋の全壊、半壊足して約一千戸に及んでいます。そして今回、長時間じわじわ降ったこの線形を見ますと、大きながけ崩れが起きているわけです。私は、雨の降り方にも過去以来のデータを解析する必要があると何回もこの委員会指摘してきました。資料というものは大事だ、何かを我々に問いかけているはずだ、そこから我々は鋭い目を持ってこれからの対策を考えろ、考えてほしいということを何回か言いました。この雨の降り方は、非常に粗っぽいとり方でございますから必ずしも正確ではないと思いますけれども、本気になってこの過去の雨を調べていただきたい。  三枚目にありますのは、その「百年誌」の中の一番最近の七十四、七十五ページというところだけ引っ張らせていただいたのですが、そこで見てください。七十四ページの上から四番目、昭和三十七年、亡くなった方が二十三名、それから昭和四十一年、下の方になりますけれども、亡くなった方が十五名、四十四年五十二名、それから昭和四十六年四十七名、五十一年三十二名、五十二年のさっきの竜ヶ水の九名と出ております。  これは気象庁にちょっと簡単に総雨量だけお伺いしたいのですが、今指摘した中で、表についていますから表をごらんになれば——総雨量はつけましたね、たしか。気象庁、念のためにそのときの総雨量だけ簡単に言っていただけますか。
  90. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 お答え申し上げます。  昭和三十七年五月二十六日から二十七日にかけての災害のときの雨量でございますけれども鹿児島地方気象台におきまする観測雨量は二百十三ミリ、以下同じですが、昭和四十一年七月七日から九日にかけましては三百七十ミリ、昭和四十四年十月三日から五日にかけましては、鹿児島におきましては二ミリでございますが、被災地は徳之島でございまして、ここでは百六十七ミリでございます。昭和四十六年八月三日から五日にかけましては二百七十七ミリ、昭和五十一年六月二十二日から二十六日にかけましては四百四十一ミリ、昭和五十二年の六月二十四日につきましては三十四ミリでございますけれども、これは六月十五日前後から雨が断続しておりまして二百ミリを超えておりまして、発災したのは三十ミリ程度の雨の降りました六月二十四日になっております。  以上でございます。
  91. 薮仲義彦

    薮仲委員 今この表を見ていただきましたとおり、大きながけ崩れが起きたのをこの「百年誌」の中で拾ってみたのです。そうすると、残念なことに鹿児島に二百ミリ以上雨が降りますとがけ崩れが起きているわけです。二百ミリ降るということはシラス台地においてはやはり不可抗力な雨量なのかなという感じは私はこの「百年誌」の中から読み取っているわけでございます。  これも私は、短時日で気象庁から資料をいただいて大変御迷惑をかけて申しわけないのですが、そこから言っているわけでございまして、少なくともここでは二百ミリ、三百ミリ、四百ミリ、こういう雨量によってあのシラス土壌が崩れている結果は歴然と数値の上で出ているわけでございます。やはり雨量との相関関係、雨の降る形との相関関係というのはこれからの中で検討をしていただきたい。私は毎回この防災マップということを言っておりますけれども、資料の中には必ず我々に問いかけている真実があると思うのです。ですからこういう意味で、つたないこの資料の中から言うことは非常に乱暴かもしれません。しかし、私は、委員会では関係省庁のすぐれた資料を集めて的確な防災マップをつくってほしいということを十年間叫び続けてきました。そろそろ国土庁も本気になってくださったようでございますが、私は重ねて申し上げますけれども、今回のこの鹿児島の雨の降り方一つ見ても何かをつかめるのじゃないかと思います。こういう雨の形と災害の相関関係を研究する必要はないかどうか、御意見を気象庁さんと防災局長さんに……。
  92. 門脇俊一郎

    ○門脇説明員 お答えいたします。  ただいま先生の御指摘のございました雨量と災害の相関関係でございますが、気象庁ではいろんな種類の防災情報を適時にかつ適切に発表するというためにいろいろ努力を行っておりますが、雨に関する災害につきましては、雨の量と降り方でございます。これは降り始めてから全体で何ミリになったかというのもございますし、非常に短時間にどれだけ降るかという予測もございますが、そういったものと災害との対応関係の分析あるいは調査、そういったものを日常的に行いまして、その結果を災害の予想される場合に発表いたします注意報あるい警報の発表基準をより適切なものに改良するということに反映させているわけでございます。  なお、注意報、警報の発表基準と申しますのは、これは自然現象だけではなくて、社会環境の変化に伴いまして適切に対応していかなければならないということでございますので、常に見直しを行っておりまして、今後ともさらに適切なものにしていきたい、かように考えているところでございます。  なお、こういった災害を起こします気象学的なメカニズムにつきましては、従来からも雨のメカニズムその他につきまして基礎的な研究を進めているわけでございますけれども、今後とも努力してまいりたい、かように考えている次第でございます。
  93. 山本重三

    山本説明員 先生指摘ございましたように、実際に災害発生します場合、その気象条件、それとその地域の地質、地形等の条件、こういったものがいろいろ組み合わされて災害発生するということは先生指摘のとおりであると思います。そういう意味で、私ども災害発生した場合には、その際の自然的あるいは社会的な条件、そういったものを十分経験の中から調査をし、それを分類、整理、管理して、その後の災害対策に反映させるということは極めて重要であろうかと思います。  今回の鹿児島土砂災害につきましては、シラス土壌地帯での災害ということで、先ほど先生お示しになりました図面でもその特徴は一部あらわれているのだろうと思いますが、かつて科学技術庁が調査費を使いまして、四十七年から四十九年にシラス土壌対策について基本的な検討を進めたことがございますし、その後も関係省庁におきましてシラス土壌における対策のあり方をそれぞれ進めていることを聞いております。  また、今回の災害に際しまして、鹿児島県におきましても、このための検討会を関係省庁の協力を得ながら早速開催し、進めるということを聞いております。私どもといたしましても、こういった災害発生したときのデータというものは十分分析、管理して、その後の災害対策に十分反映させるような努力は当然必要であろうと考えております。
  94. 薮仲義彦

    薮仲委員 たくさん聞きたいのですが、もう時間が来たのであと何点かで終わらせていただきますけれども、林野庁と建設省にちょっとお伺いしたいのです。こういう言い方は大変問題が多くていかがかなと思いつつお伺いしますが、お答えできる範囲内で簡潔にお答えください。  シラス台地の防災工事というのは完璧にできるのかな。お金をかければ絶対大丈夫だ、あるいは現在のような予算のないときには大変だ、いろいろ意見が分かれるかもしれませんけれどもシラス台地が特殊な台地ということで、防災工事というのは完璧だ、絶対大丈夫だという判断に立つのか、それとも異常な降雨、つまり異常気象の中ではこれはやはり限界があってこういうがけ崩れというのは起きるであろう、こういうことを前提にした考え方が必要だ、どちらの判断に立たれるか、非常に発言の難しいことかもしれませんけれども、時間がございませんので簡単にお答えいただけますか。
  95. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えいたします。  今回の災害は、先生指摘のように短時間に非常に大量な雨が降ります集中豪雨が原因だというふうに私ども考えているわけでございます。がけ崩れにつきましては、地形でございますとか地質、植生等の素因がございまして、それに誘因でございますところの降雨が作用して発生するものであるわけでございます。私どもも、雨とがけ崩れにつきましての研究は実施しておるわけでございますけれども、そういった関係につきましては現在の技術力におきましては十分解明されていないというのが実情であるわけでございます。  しかしながら、今回の災害実態にかんがみまして、鹿児島県におきましては、学識経験者を中心といたしますシラス防災対策技術委員会というものを既に開催しておりまして、シラス地帯におきますところの斜面対策というものの検討を開始しておるところでございまして、建設省といたしましても積極的に指導、協力してまいりたいというふうに考えております。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと時間がありませんから、済みません、林野庁のお答えは後にして。  私は、今の御答弁の中でも大体何となくわかるわけでございますが、我々はやはり万が一という心の準備と対応だけは必要だと思うのです。ということは、火山の被害想定を桜島を中心に今国土庁やってくださっておりますけれども、やはり万全と思っても、思わぬ集中豪雨あるいは瞬間的に大雨が局地的に降ったということになりますと、あるいは技術を超える、あるいは河川にしても五十ミリ対応でやっているのにこれは百ミリ降れば溢水するのは当然でございますが、そのように、防災もある程度の雨には耐えられる、しかし常識を外れるような大雨が降ったときにはこれは天災に近いという判断もあり得ると思うのです。これはある意味では大変無責任で申しわけないのですが、そうではなくて、最善を尽くした上でなおかつ私は、住民の方がこういう被害に巻き込まれないためにはやはり逃げるしかないと思うのです。そのときに必要なことは、被害の想定ということはやらなければならない。我々静岡県民は地震の被害想定の中で生きているわけです。このシラス土壌がけのときも、やはりこの辺までは万が一のとき崩れますよ、ですからここの人は逃げてください、ここへ逃げれば安全ですという避難の対応について、被害想定と、今度は死なないように、万が一のとき、簡易雨量計を設置してでもいいから逃げちゃう、逃げることによって、それが空振りであっても、人命を損なうよりはよかったなと言えることもあろうかと私は思うのです。  我々も地震が来れば覚悟はします。でも、こういう雨のときも、危なかったら逃げるという、住民の意識とそういう行政対応被害想定などをもう少し住民の方に地域防災計画の中であるいは国土庁の防災局のその指導の中で、人命だけは損なわないような対応を、これは防災局長被害想定を言うこと自体、これは非常に住民の方にとっては申しわけない言い方かもしれませんけれども、万が一ということも考えて、備えあれば憂いなしという言葉もございますので、必要かなと私は考えることもございます。これは現地方々の御判断によるかもしれませんけれども、しかし、考え方として、生命だけは損なわないような覚悟だけはあってほしいと思うことが一つです。  最後に、きょうはもっと防災マップについて質問したかったのでございますが、私の言う自然災害人命を損なわないような国土庁の防災体制であってほしい、このことを最後に長官にお伺いして質問を終わりたいのですが、最初に局長から、今のこといかがでしょう。最後に長官、よろしくお願いします。
  97. 山本重三

    山本説明員 各種の災害につきましては、やはりそもそもそれに対します災害が起こらないような国土保全事業が行われれば一番望ましいわけですが、先生指摘のように、現在、土砂災害危険箇所につきましても、相当な箇所数に上っておりますし、毎年各省鋭意努力していただいておりますが、なかなか全部完全にこれを防除するまでには至らない。そのためにはやはりソフト面対策というものを充実強化する必要があると考えております。このため、関係省庁におきましても、危険箇所点検把握、またそれを各公共団体の地域防災計画への反映ということに鋭意努力していただいておりますが、それを踏まえた上で、危険な状況にあれば、人命第一という観点から、警報の伝達あるいは避難体制の確立、そういった面での対応を今後十分考えながら災害対策を進めてまいりたいと考えております。
  98. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 薮仲さんがこの十年、災害対策に熱心に取り組んでこられましたお気持ちに対して心から敬意を表する次第であります。特に、御主張になっております防災マップにつきましては、各省庁が持っております貴重な情報というものを有効に活用することは極めて重要なことだと考えております。国土庁におきましても、学識経験者によります懇談会を設置いたしまして、去る六月十一日に検討会も開いております。今後さらに、それらの意見や各省庁連絡協調、また意見を聞きながら、防災マップの有効なあり方、また作成手段等について検討してまいりたいと考えております。
  99. 薮仲義彦

    薮仲委員 以上でございます。ありがとうございました。
  100. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、滝沢幸助君。
  101. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 委員長、御苦労さまです。長官以下皆さん、御苦労さまです。  私は、去る七月十日の鹿児島市を中心としました梅雨前線豪雨災害並びにそれに関連した諸問題について質問を申し上げたいと思いますが、まず初めに、この災害に当たりましてとうとい人命を失われました十八人の方々の御冥福をお祈り申し上げ、罹災者の皆様にお見舞いを申し上げるのであります。そして、一日も早い復旧のためにたくましく立ち上がっていただきまするように激励を申し上げたいと存じます。また、災害が起きまするや適切なる措置をとられました政府の労を多としたいと思います。  さて、先ほども話がありましたとおり災害は忘れたころにやってくると言われておるのでありますが、しかし、そうではなくて、忘れなければ災害はやってこないと言っても過言ではないほどに私は平生の対応の必要性を痛感する次第であります。  ところで、今度の災害の特徴というものを一口に端的に言ったらどういうものでありましょうか、ひとつ問わさせていただきます。私がこれを申し上げますることは、私は会津であります、雪崩の常襲地帯でありますが、もう災害がありましたところは一〇〇%と言っていいほどに昔そのようなことがあった場所です。そういうふうに思いまして、このことを問わさせていただくわけです。
  102. 山本重三

    山本説明員 今回の鹿児島災害の特徴は、まず、気象条件として、先ほど気象庁からも話がございましたように、七月十日の十時から十七時の七時間に百九十二ミリの豪雨があり、また、十五時十分から十六時十分までの一時間に七十五ミリという鹿児島地方気象台観測史上第四位の大雨があったという点が第一点でございます。それからまた、この時間帯においてはほとんど鹿児島市の周辺では雨が降っておらないという極めて局地的な豪雨であったことも特徴づけられます。  また、被害に関しましては、この豪雨によって特殊土壌でございますシラスの山崩れ、がけ崩れが多発しております。九十八カ所においてこれらの山崩れ等が起こっております。そのため、この下にございました家屋等が倒壊し、そのうち七カ所で十八名の方々が亡くなられておるという状況でございます。また、この集中的な局地的な豪雨によりまして、鹿児島市内を流れます中小河川等が増水いたしまして、床上二百六十棟、床下六百八十四棟の浸水被害発生しているのが特徴であろうかと思います。
  103. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 私が申し上げたいことは、この地帯がシラス地帯であることが今わかったわけではありません、昔からわかっていたことです。そして、局地的な雨は日本中至るところに時々来ることもわかっておるわけでありますから、そのような意味から言うと、私は全体として防災体制の不備ということは免れ得ないことではないかと思うわけであります。  そこで、国全体と言ってもいいわけでありますけれども、最近の災害、特に水害等の一般的な傾向はどういうものでございましょうか。
  104. 山本重三

    山本説明員 昭和五十年以降の主要な災害を見てみますと、昭和五十一年の梅雨前線によりまして、がけ崩れ等による被害鹿児島市、大隅半島等で起こりまして、死者三十二名が出ております。また、昭和五十二年におきましては、鹿児島市の吉野町の竜ケ水におきまして山崩れ被害で死者九名等が出ておりますが、そのほか鹿児島以外の地域におきまして、例えば昭和五十七年の梅雨前線豪雨による災害が長崎で大被害を起こしておりますが、これもがけ崩れ等による原因が大きな原因となっておりますし、それから五十八年の梅雨前線豪雨、島根で大きな被害が出ておりますが、ここにおいてもがけ崩れによる被害が出ております。こういった五十七年、五十八年等の梅雨前線豪雨による災害におきましても、約八割ぐらいががけ崩れ等による犠牲者であるという状況が出ております。
  105. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 承りますように、最近の傾向はがけ崩れないしは地すべりのような形で複合的にやってくる。単なる水害ではないのです。そういうことを考えますときに、私は二つのことに思い当たらざるを得ません。  一つは、先ほども申し上げましたが、そこに大昔から家があったかどうかということです。どうも見ますると、大昔はなかったのだけれども、最近そこにお家を建てなすった、最近造成された住宅地区であるというところに思わざる土砂崩れ、地すべり等が起きるということが一つであります。  もう一つ、私は家屋の構造でいろいろと考えさせられているわけであります。私の乏しい知識から言うならば、例えば、私のところは雪国、雪国は雪国らしい家屋構造、そしてしもた屋なんて言いまするけれども、そういうところはそういうところ、また浜辺は浜辺、いろいろあります。しかし、それらしい建物の構造というのは、どこのどなたが設計なさったということはなしにおのずから決まっているのです、昔は。農家ふうの建物、お寺ふうの建物があります。しかし、それは長い間の人間の生きる知恵の中で自然とできたものであります。ところが、最近新しい建て方が大変はやってきまして、例えば私の方の雪国の風通しの悪いところにも地べたにぺったり床がついておる建物があったり、いろいろあります。全然軒が出ていない建物も雪国に建てなさる。たちまち災害に遭います。そういう意味で、私は現代の科学を災害の神様は笑っていらっしゃるのじゃないかと思うのでありますけれども、どこの一級建築士さんが設計なさったか知りませんが、ヨーロッパにある建物を日本にそのまま持ってきてもだめである、こういうふうに私は思うのです。  そこで、特に建材が変わってきておりますね。今の建材、私はまだまだこれは風雪に耐えたとは言えない。たかが二十年、三十年の経験でしょう。そして、災害があるたびに、特に火災等があるたびに亡くなられる方がある。密室の建て方、そして新建材による建て方、これは私は大変危険なるものだと思うわけです。そういう意味では、その地方その地方に農家なら農家らしく、あきんどさんならあきんどさんらしい建て方、またその地方その地方の建て方、これを基本的に見直す必要があるのではないか、私はこう思うのであります。ですから、最近の傾向はどうかとお尋ねしたのでありますが、このようなことについていかがなるお考えがあり、また研究等をされるお考えがあるかどうか、承りたいと思います。
  106. 遠藤二三男

    遠藤説明員 お答え申し上げます。  昨今、我が国におきましても、建築物に対しまして多様なニーズということで、先生指摘のようないろいろな様式の建築物が建築されているところでございますけれども、建築物の様式のいかんにかかわらず、建築基準法におきましては、基本的な構造のあり方、いわゆる地震とか台風等の災害で当該建築物に作用いたします外力、これに対して安全性が十分確保されるように構造の規定がなされているところでございます。そういうことで、基本的には安全な建築物になりますように、建築基準法の的確な運用によりまして、今後も建築物の多様化がどんどん進まれると予想されますものでございますから、一層の建築物の安全性の確保を図ってまいりたいというふうに思っております。  なお、先生指摘のように、新建材とかいうような、また間取りも気密性を上げるというようなことで、生活が変化してまいりまして、その設計のあり方も徐々に変化してはおりますが、これにおきます安全性の確保については今後とも研究してまいりたい、こういうふうに思っております。
  107. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 治水事業の現状なんかも承りたいと思いましたが、今いろいろと答えていただきましたから、飛ばさせていただきますが、しかし、先ほどの御答弁の中に防災基本計画見直しのお話もございました。  そこで、つかぬことをお伺いいたしますが、あれは建築基準法ではないでしょうかな、建築を許可するときに、何メートルの道路が何メートルお家に面していればいいんでしたっけな。何かありましたよね。あれは何ですか。
  108. 遠藤二三男

    遠藤説明員 建築物が建つに当たりまして、それを支える必要な基盤施設として道路は絶対的に大事なものでございますが、建築基準法におきましては、第三章に都市計画区域内におきます建築物の規制という章がございますが、そこにおきまして、建築物が建つ敷地は、四メーター以上の道路に二メーター以上敷地が接していなければならないという規定がございます。  なお、建築物によりまして、特殊建築物ということでいろいろな不特定多数の大勢の方が集まりますものにつきましては、条例でさらにそれを強化するということが規定されてございます。
  109. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 そうです。四メートルと二メートル。それはどの程度満たされておりますか。  私が申し上げたいことは、殿様のころ、ちょんまげのころの町の構造が、道が狭い、道が曲がっているというなら、行政の手がなかなかこれを全部直すまでにいかぬというなら、これはわかりますよ。そうではない。ほとんど戦後の町じゃありませんか。私の住んでいる会津なんかを見ましても、昔の城下町は曲がっておりますけれどもそれなりのものがあります。しかし、最近できまする都市がでたらめじゃありませんか。消防車はおろかタクシーも入れないお家が随分とありますよ。そして、ニュータウンか何か知りませんが、開発されます。しかし、その計画は、ここの中ではある程度の条件を満たしているかもしれません。しかし、こちらの団地とのつながりは全然考慮されてないじゃありませんか。私は、そういう点で総点検をしていただきたい。責めるわけではありません。しかし、現実、おっしゃる住宅区域の中で四メートル、二メートルの条件を満たしていない家屋は何戸あるのか、これをひとつ早急に調べて、一覧表にして出していただかなければならないだろう、こういうふうに思うわけであります。  ついでに申し上げさせていただきますが、仮に、富士山のてっぺんにお家を建てて、ここに水道を出せ、ここに託児所をつくれ、ここに防災設備をつくれと今言っているようなものだ、日本じゅうの状態は。憲法では居住の自由が保障されている、それはわかります。しかし、全国至るところ、都市は都市なりに私は危険都市と言ってもよろしい。しかし、また一面から言うと、もう必ず水害に遭う場所もある。それやこれやを思いますときに、日本の地図に居住適切区域というものを設定して、そこの中における安全は一〇〇%保証しますよ、その他のことについては保証いたしかねますよというような区別を——今いろいろと線引き線引きと言われている時代であります。この住宅居住区域ですか、いろいろと設定はよろしい。しかし、私は、大まかに日本の地図に、住宅適切の区域、居住適切の区域と、居住には今のところどうも適さぬ区域というものを分けていくことも一つの方向ではないかと思うのであります。  もう一つございます。大いにひとつ政府で近代の科学の粋を動員されまして、その年その年の安全度を一つの指数をもって、それは東京は何・何か知りませんけれども、安全度の指数を出していくということもいいのではないか。地価が暴騰しております。その地価の暴騰の原因は、決して安全度を考えての暴騰ではありませんね。むしろ、地価の高いところほど危険といえば危険かもしれません。  そのような意味で、いわゆるこの防災基本計画ないしは都市計画国土計画というものを抜本的に別の視点に立って見直すという時代になってきているのではないか、私はこういうふうに思うわけです。もちろん、さっき申し上げました居住地の線引きのごときは、憲法にどうこうというような議論も出てくるかもしれません。しかし、それ以前の、生命の安全という立場に立ってこれはやはり検討されていいことだと思いますが、大臣いかがなものでしょうか。
  110. 山本重三

    山本説明員 先生指摘のような形で、例えば日本の全土につきまして、居住に適する地域であるとか適さない地域であるということを分類して区分けするということは、我が国の実際に三十八万平方キロという狭い国土面積、しかもその中の可住地面積は三分の一程度だと思いますが、そういった狭い地域に非常に多くの人口が張りついておる、またかなりの経済その他の施設の集積があるという状況の中で、区分をするということは非常に難しい問題であろうかと思います。  現在でも、建築基準法におきまして、災害によって危険な区域につきましては条例で災害危険区域として指定することができることになっております。しかしながら、この指定も、先ほど先生指摘ございましたように、なかなか住民の私権との関係で、順調にこの区域の指定というものも行われてないのが現状でございます。私どもとしても、できるだけ国民の生命財産を守るために、安全に国土が利用される方向で努力することは非常に大切なことだと思いますが、先生の御趣旨は十分体しながらも、今後そういった意味も含めた災害対策について勉強してまいりたいと考えております。
  111. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 ちょっと視点が変わりますが、今度の罹災者の方々の保険金、ちょうだいされていると思うのであります。これは大蔵省が指導していらっしゃる民間の生命保険もありましょう。あるいはまた、郵政省関係の簡易保険もありましょう。ないしは、農水省でしょうかな、農協の共済等もありましょう。どんなようなぐあいになっているのか、参考までにお伺いしたいと思います。
  112. 谷口孝

    ○谷口説明員 ただいま先生お尋ねの中で、大蔵省が管轄しております生命保険関係についてお答え申し上げます。  被災者の方十八名に係ります生命保険契約でございますが、五社十五件、契約総額が一億三千七百万円となっております。この十五件のうち、一件八百万円につきましては既に七月二十三日付で支払い済みとなっております。また、その他の被保険者につきましても、約款上の災害死亡に該当しておりますので、請求があり次第、保険金の支払いが行われる予定になっているというふうに聞いております。  以上でございます。
  113. 鹿島威男

    ○鹿島説明員 簡易保険の関係について申し上げます。  十八名の方のうち簡易保険に加入されておりました方は五名でございまして、そのうちお一人で二件入っておられる方もございまして、全部で支払った保険金は六契約、約二千万円でございます。  以上でございます。
  114. 青木敏也

    ○青木説明員 農協共済事業、建物共済事業がございますが、これによりまして既に共済金の支払いを了しておりますのが二十九件ございまして、共済金の支払い額は三千百万円ほどでございます。なお、今後さらに八件程度審査中のものがございます。
  115. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 それぞれ御苦労さまです。  これはそれぞれ所管も違うし、システムが違うんだから、違ってもいいという理論もありますが、私は、しかしこの三者三様のアンバランスの体系というものはいかがなものかと思いまして、いわゆる保険制度というものについて国として一つの体系づくりにもっと誠意を持って取り組んでちょうだいすべき時期ではないかと一つは思います。  もう一つは、いわゆる大蔵省の指導されております保険が中心になりますけれども、昔は保険金のための殺人事件なんというのは皆無と言ってもよろしかったでしょう。しかし、最近は、ああまたかと言って驚きもしません。それは、補償という面にウエートが置かれているものでありますから、生きて満期を迎えればほとんど金にならない、亡くなれば物すごい金になるというシステムが最近多いんですよね。そういうあたりにあると私は思っておりまして、ひとつ研究してちょうだいしたいと思うわけであります。  農協の保険等につきましても、これは詳しいことを抜きますけれども、水害なんかの場合一〇〇%ならぬですよね。火災よりも少ない場合がある。まことに解せない点があるわけです。いろいろと研究してちょうだいしたいと希望申し上げさせていただきます。  さて、それはそれにしまして、次の課題でありますが、罹災者の生活の状況はどのようになっているものでありましょうか。ひとり暮らしの老人が亡くなられたというようなこともありましょうか。あるいはまた、赤ちゃんも亡くなっていらっしゃるようでありますが、この生活の状況はどのようであり、また、今その遺族の方々はどのようにされているのか、一言。
  116. 田中基介

    ○田中説明員 今回の災害では、四百世帯、千六十七人の方が罹災をされておりまして、このため、鹿児島市の方では、豪雨災害相談所というものを設けまして、住宅の建築、市営住宅の入居などの相談の業務を行っておりまして、家屋が全壊をしました六十六世帯の方につきましては、そのうち六十三世帯が県営なり市営の住宅へ入居をしておられます。  なお、罹災者の中に十九人のひとり暮らしの老人がいらっしゃったということでございます。
  117. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 ひとり暮らしが多くなったのが最近の日本の家族構造の現実ですから、これらを踏まえて、防災計画という面でも、こういうことについての対応を研究してちょうだいしたいと希望申し上げさせていただきます。  話が違いますが、この中で、学校の児童生徒さんが罹災されている面、あるいはまたお亡くなりになったこともあるようでありますが、これらのことについて、今どのようにされているのか、ないしは教育施設が災害に遭っておるということはないものかどうか、ひとつ文部省から。
  118. 佐川政夫

    ○佐川説明員 お答えいたします。  学校の災害につきましては、国立学校が一校、公立学校で七校、計八校ほどございます。それから、児童生徒につきましては被害はないと聞いております。  以上であります。
  119. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 お答えいただいた方からお帰りいただいて結構ですが、文部省さん、時間があったら後で一言申し上げさせていただきたいと思いますから、文部省さんだけお願い申し上げます。  さて、自衛隊さんというのは御苦労な話で、憲法違反だとかなんとかいろいろとおしかりを受けながら、いざ災害というときは一番頼りにされるような立場ですが、今回のこの被害に当たりまして自衛隊さんが何か活躍されたということがありますのかどうか、ないしは自衛隊が——きょうは何か日航機のあの事故から一年というようなことだそうでありますが、あのときの御苦労は思い出しましても敬意を表することでありますが、それら災害に出動される場合の自衛隊の皆さんに対する処遇のことは、お昼がどうしたということまで言われたわけでありますが、今一年たってどのように反省しておられるか、この災害等とも関連しておっしゃっていただきたいと思います。
  120. 大森敬治

    ○大森説明員 まず、今回の鹿児島市における集中豪雨におきます自衛隊の救助活動につきまして御説明いたします。  七月十日でございますけれども、十三時五十分に大雨・洪水警報が発表されておりますが、国分に駐屯しております第十二普通科連隊が、この発表を聞きましていち早く第十二連隊内の情報所を開設いたしまして、関連情報の収集に努めました。また、関係の県の消防防災課ですとか気象台との連携をとりながら状況の推移を見詰め、災害出動した場合の関連機材とかその他の準備を始めました。二十一時二十五分に鹿児島県知事から第十二普通科連隊への災害出動要請がございまして、直ちに第十二普通科連隊を基幹といたしまして、人員百九十二名、車両二十三両を派遣いたしまして災害活動に当たりました。  七月十二日十四時四十五分に県知事から撤収要請がございましたけれども、この三日間にわたりまして、地元の警察、消防と連絡をとりながら行方不明者の捜索活動に当たりました。この期間の延べ派遣規模といたしましては、人員が五百六十八名、車両が六十八両、ヘリコプター三機という規模になっております。  自衛隊といたしましては、災害派遣につきましては、国民の生命財産を守るということで非常に重要な任務の一つであると考え、日ごろから関係地方団体等との連絡をとりながら、迅速かつ効果的な救援ができるように努力しているところでございます。  また、先般の日航機事故の件でございますが、自衛隊といたしましても、あのような大規模な災害また夜間における地理的に非常に難しいところの救助活動でございまして、いろいろ初めてのことが多く、教訓になるところがございました。  現在、防衛庁といたしましては、自衛隊の活動の中におきまして、全体を効率的に部隊を動かすこと、夜間における捜索能力、また、ああいう急峻な山の中における救助活動を行うためのいろいろな機材の整備につきまして検討中でございまして、必要なものにつきましては逐次予算化していきたいと考えているところでございます。
  121. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 同じような意味で、消防団の活動は住民に大変期待されるものであります。しかし、現実には、特に農山村等におきましては消防団の定員の確保すら困難であるという状況にあるようでありますが、この鹿児島は都市でありますからそのようなことはないのかどうか知りませんが、これは全般的な反省でも結構でありますから、消防団は今どのような状況にありますか。
  122. 田中基介

    ○田中説明員 消防団の活動でございますが、今回の災害に際しましては、鹿児島市の消防団は、消防職員また自衛隊、警察と協力いたしまして、全力を挙げて救助活動を行ったということでございます。鹿児島市の消防団は四十三分団、八百六十二人になっておりまして、当日十五時十分には六十四名が招集されまして、十七時三十分には四十三分団員全員の出動が要請されておるところでございます。  なお、全国の消防団、二万五千七百九十八分団で百三万三千三百四団員ということでございます。それで、全国の消防団の活動でありますが、演習、訓練を含めて三十七万九千五百十八回、延べ一千九十四万四千四百二十三人、年間出動しておるということでございます。
  123. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 建設省と林野庁からお見えになっていただいておるはずでありますが、今回の災害がけ、その上には林等もあったように見えるのでありますが、乱伐とかそういうこともあるのでしょうか。両省の治水治山というようなことについての所感を、時間もないことでありますからほんの一言ずつ簡単にちょうだいしたい。
  124. 岡本敬三

    岡本説明員 山地災害につきましては、戦後から現在まで、総じまして漸減傾向にあると思います。ただし、集中豪雨等によります局地的に激甚な災害は依然として発生を見ておるところでございます。これら災害に対処するため、林野庁といたしましては、治山事業につきまして、治山事業五カ年計画を策定いたしまして、その緊急かつ計画的な推進を図っているところでございます。  現行の第六次治山事業五カ年計画につきましては、昭和五十七年度から一兆四千七百億円の計画額をもちまして現在実施してきております。最終年度でございます六十一年度までに、その実施額は累計で一兆九百七億円、達成見込みは七四・二%となっております。現行の五カ年計画は六十一年度をもちまして終了する予定でございますから、引き続きまして、治山事業計画的な推進を図るため、昭和六十二年度を始期といたします第七次の治山事業五カ年計画の策定につきまして現在検討中でございます。今後とも山地災害未然防止を図るため、治山事業の一層の推進に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  125. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  今回の災害につきましては、私どもといたしましては、短時間の集中豪雨というものが原因であるというふうに考えております。したがいまして、先生質問の植生の問題等でございますけれどもがけ崩れにつきましては、植生のみならず、地形でございますとか地質というふうなものがまず素因としてございまして、その上に誘因といたしまして雨が作用いたしまして発生するということになっておるわけでございますけれども、その機構につきましては非常に難しい面がございまして、なかなか現在の技術力では十分に解明されていないというのが実情であるわけでございます。  しかしながら、今回の災害実態にかんがみまして、鹿児島県におきまして、学識経験者等中心といたしますところのシラス防災対策技術委員会というものを開催いたしておりまして、シラス地帯におきますところの斜面対策というものの検討を開始いたしているわけでございますので、建設省といたしましても、今後ともそれに対する指導、協力というものをいたしていきたいというふうに考えております。
  126. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 気象庁さん、昔は、所によっては雨が降り、所によってはお天気がいいみたいな話で評判が悪かったものだから、今度は何%と言うのですが、しかし、何%と言っても、これも果たしてどっちのパーセントがこの地方に来るのかわかりません。これだけ科学が発達して月の世界まで行ける世の中に、一発勝負でもう少しすかっとわかる方法、特にその知り得たる情報を適切に住民に知らしめる秘訣はないものですか。
  127. 黒澤真喜人

    ○黒澤説明員 大雨の最も大きな要因になります雨の降り方の研究あるいはその予報の研究というようなことを進めておりまして、先生御存じのとおり、今全国にアメダスというものを展開しておりまして、そのほかにレーダーのネットワークを展開しております。今これを二つ組み合わせましておよそ五キロメッシュの観測網を展開し、さらにそれを使いまして、目指すところは、数時間先まで五キロメッシュの雨の量的な予測をやっていきたいということで現在準備中でございまして、近い将来にこれを発表していくというような形を考えております。
  128. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 文部省さんに残っていただいておりますが、私は前の委員会で、新潟県の雪の災害のときに申し上げたのでありますけれども、とにかく二人しか先生が配属にならない学校に、身体障害者、半身不随の先生が一人配属になっている、あとは女の先生ということでは、これはどうにもならぬのではないか、こう申し上げたのであります。百人の先生の中で一人が半身不随でも、これは二百本ある手が百九十九本みたいなものでありますが、四本の手のうちの三本しかないのでは、これは話にならないというふうに申し上げたのでありますが、それらのことが人事配置の面で考慮されるようになっておりますか。全然聞き流しならば、議会で時間をかけ、金をかけて議論しても何にもならぬということでありますが、その後これは何か内部で検討されましたか。係が違うと言うならば、別の機会にひとつきちんとしたその後の対応についてお答えをちょうだいしたいと思いますが、いかがですか。
  129. 下宮進

    ○下宮説明員 お答えいたします。  先生から、先般の新潟県の雪の災害の際にそういった御指摘がございました。学校保健課の所管の事項ではございませんので、責任持ってお答えできかねるわけでございますが、十分そういったことも配慮しながら学校の防災体制に努めるよう文部省といたしましては指導いたしているところでございます。  さらに、関係の部局に先生のこの質問の趣旨を伝えまして、検討をしなければいけないことがありますれば、さらに徹底して対応するように伝言したいと存じます。
  130. 滝沢幸助

    ○滝沢委員 以上で終わりますが、委員長、御苦労さまです。大臣以下皆さん、御苦労さまでした。ただ、大臣、議会の質問については、基本的なことについてはやはり長官、大臣みずからがお答えいただくのが議員に対する礼というものではないかと思うのですが、ひとつ検討していただきたいと思うわけです。これはひとつ御注意申し上げておきます。  ありがとうございました。
  131. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 次に、安藤巖君。
  132. 安藤巖

    ○安藤委員 私も、この七月十日の鹿児島市を中心とする集中豪雨災害、これを中心にして幾つかの点にわたってお尋ねをしたいと思います。  まず最初に、今度の梅雨前線による集中豪雨によってお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、心から哀悼の意を表します。そして、災害を受けられた方々に対して心からお見舞いを申し上げる次第です。そういう思いを込めてお尋ねをしたいと思うのです。  最初に、長官にお尋ねをしたいと思うのですが、これまでもいろいろ質問がなされ、御答弁もありまして、今回の集中豪雨に対する災害被害、相当大きなものであるということがわかってきたわけでございますが、例えば、これは国土庁防災局からいただいた今度の集中豪雨による、これは鹿児島だけではなくて全国的な被害なんですが、全部は申し上げませんが、死者二十七、住宅被害で全壊九十一、道路被害個所八千七百三、河川で九千六百四十一。それから、これは鹿児島県におけるもので、建設省からいただいたものですが、公共土木施設災害が四百二カ所、十九億七千六百万円の損害、それから京都の場合、これは約十日間おくれて、集中豪雨で土石流による被害があったのですが、これも公共土木施設被害だけでも千三百八十二カ所、七十二億三千七百七十万円という被害が出ているわけです。ですから、こういうような被害状況から見ますと、調査の結果によってはまだまだ出てくるのではないかと思いますが、激甚災害の指定ということも検討していただいていいのではないかと思うわけです。  それから、もう一つついでにお尋ねをするのですが、災害問題あるいはその対策についての取りまとめ役としての国土庁長官お尋ねするわけですけれども被害に遭った自治体に対する普通交付税の繰り上げあるいは特別交付税の増額、こういうような点についても御努力をされるべきではないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  133. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ことしの梅雨前線豪雨による施設等関係被害状況につきましては、現在関係各省におきまして調査中でございます。激甚災害の指定の問題については、これらの調査の結果を待って判断してまいりたいと考えております。  それから、被災地方公共団体に対する地方財政措置の配慮につきましては、梅雨前線豪雨に関する災害対策関係省庁連絡会議において当面の重点事項の一つとして決定したところでありまして、関係省庁と連携を図りながら適切に処理してまいりたいと考えております。
  134. 安藤巖

    ○安藤委員 しかるべく御努力をお願いしたいということで、鹿児島市の災害の問題について二、三お尋ねをしたいと思います。  これは当然のことですが、被災者の人たちは一日も早い復旧ということを強く望んでおられるわけです。それで、先ほどから建設省関係あるいは林野庁関係の方から復旧対策について答弁をいただきました。だから、重複することはできるだけ避けていきたいと思うのですが、これは理事会で国土庁の防災局から報告をなさった鹿児島市を中心とした豪雨災害の資料でございますけれども建設省関係でいきますと、これで被害箇所が四百二十八、こういう状況にあります。そして、このほかにがけ崩れ等三十カ所に対する県からの緊急対策要望がある。それから農水省関係でも被害箇所が三十三カ所、こういうふうに出ております。  まず建設省の方から、それから続いて林野庁の方からお答えいただきたいのですが、全般的な復旧工事計画と現在のその進捗状況、今申し上げましたようにたくさんの数ですから全部とは申し上げませんが、主な地区名を数カ所挙げていただきながら答弁をしていただきたいと思います。
  135. 岡本敬三

    岡本説明員 今回発生をいたしました山地崩壊箇所につきましては、次期の降雨等によりまして人家、公共施設などに被害を与えるおそれがあるという箇所につきまして、第一次分としまして、鹿児島上竜尾地区、平之町地区及び新照院地区を初めといたします十四カ所につきましては、災害関連緊急治山事業によりまして本年度実施することといたしております。そのため、関係省協議をいたしまして事業費約十一億六千万円を決定いたしまして、鹿児島県の方に通知をいたしたところでございます。  なお、緊急治山事業以外の箇所につきましても、復旧治山をもちまして計画的にその復旧に当たることといたしております。  以上でございます。
  136. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  今回被災をいたしました箇所につきましての応急対策でございますけれども、私どもといたしましては、大臣現地を視察の上、再度災害防止等速やかな復旧につきましての指示がございまして、それに基づきまして建設省といたしましては、降雨等に備えまして不安定土塊除去でございますとか、ビニールシートによりますところの斜面被覆、それから立木の伐採、パトロール実施、警戒・避難体制強化等につきまして県を指導してまいったところでございます。  それから、被災した箇所につきましての再度災害防止でございますけれども関係機関協議の上、災害関連緊急急傾斜地崩壊対策事業によりまして、武地区長田地区上竜尾地区の五、それから寺之下、花倉、常盤等を初めとする十六カ所につきまして十八億八千万円の事業費実施をすることといたしております。それで、既に鹿児島県に通知をいたしまして、早期完成に向けて現在指導をしておるところでございます。
  137. 安藤巖

    ○安藤委員 早速やっていただいているなという感じはいたしますけれども、これまでもいろいろ議論がなされてまいりましたが、崩れたところがある、それを復旧工事をやった、それが不十分なためにまたそこが崩れるという繰り返しというようなことでは、お金のむだ遣いではないのかなという気がしますし、被災者の方にとってみればたまったものではないと思うのです。ですから、これは早く、そして、また崩れるということがないようにしっかりやっていただきたいということを強く要望しておきます。  そこで、問題はどうも、いろいろ急傾斜地崩壊対策事業など対策工事が後手後手に回っているのではないか、こういうようなことを指摘する声が非常に強いのです。今回の場合も、そういうようなことでもう少し防災工事が早く行われておったら起こらなかったのではないのかという場所もあるわけなんです。  例えば、これは建設省お尋ねをしたいのですが、鹿児島市の長田町の城ケ谷というところでも、以前から危険な状態にあるから早く急傾斜地対策事業をやってほしい、その要望にこたえてことしその防災工事が行われる予定になっておったのだそうです。ところが、この梅雨の時期に間に合わなくて、とうとうこういう状況になった。ここでは親子二人の方が亡くなっておられるわけです。だから、どうしてもっと早く着工できなかったのか、これは大きな疑問なんですが、この点はどうなんですか。
  138. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  先生指摘の長田町の件でございますけれども一般論としてでございますが、がけ崩れ災害防止いたしますための急傾斜地崩壊防止工事と申しますのは、工期等にもよりますけれども一般的には梅雨季の工事中の安全というものを考慮いたしまして、梅雨季後に着手する場合が多いわけでございます。したがいまして、この長田町の地区におきましても梅雨後、梅雨が明けましたら直ちに着手する予定であったと聞いております。
  139. 安藤巖

    ○安藤委員 そうなったら、梅雨になれば相当な雨が降る、あるいは今回のような集中豪雨ということもあり得る、これは考えなくてはいかぬわけでしょう。だから、その前にどうしてやれなかったのかということなんです。結局梅雨待ち、災害が起こってから、こういうようなことになりかねぬのではないですか。どうなんですか、その点は。
  140. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  梅雨の前に工事が完成するということは非常に望ましいわけでございますけれども、工期等の理由によりまして、例年でございますけれども大体六月、七月が梅雨季でございますが、そういたしますと四月、五月で工事をやり終えてしまわなければならないということになるわけでございまして、工期等にもよりますけれども、やはりその二カ月間におきましては、その年度初めでもあるというふうなこともございます。早期発注には心がけておるわけでございますけれども、ちょうど下の方、下部の掘削をして、工事中に梅雨季を迎えるというような状況になって、一番危険な状態をその梅雨のときに迎えるということがございますので、今回の場合につきましても、梅雨が明けたらすぐに着工する予定だったというふうに県からは聞いておるわけでございます。
  141. 安藤巖

    ○安藤委員 まあその年度だけをとってみればそういうような言いわけもあるいはあり得るのかもしれません。一年前にやったらこんなことはないわけなんです。その年度だから梅雨にかかるからその後ということですが、その一年前の梅雨明けにやっておったらこれは防げたのではないのか。これは予算の関係とか計画の関係、だから計画を早く立てて後手後手に回らないようにということを要望しているわけなんですよ。だから、今後そういうようなことにも十分配慮していただいて、後手に回らないということはしっかり考えていただきたいということを要望しておきます。  それから、田上町の紙屋谷、ここは以前にもがけ崩れがあったところなんですが、ここも急傾斜地崩壊対策事業で防災工事が、下の方二十メートルぐらい行われた。今回はその上の方から崩壊をしてきたというふうになっておるわけですね。ここで一人の方が亡くなっておられるわけですけれども、これはやはりそういうような長い傾斜面だと思うんですね。だから、上の方をほったらかしにしておいて下の方だけやったというのは手落ちではなかったか、不十分な工事ではなかったか、こういうふうに私も思いますし、そういう指摘もあるのですが、この点についてはどういうふうに考えておられるのですか。
  142. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  今回の災害につきましては、短時間によりますところの集中豪雨というものが原因であったというふうに考えておるわけでございます。先生指摘地区におきましては、その被害実態というものを現在調査中でございますけれども、五十メートルを超えますところの長大斜面の上方から土砂が施設を乗り越えまして施設の一部を破損したものの、施設の効果といたしましては発揮されておるというふうに考えておりまして、被害を最小限度に食いとめたものというふうに思料しておるところでございます。  しかしながら、今回の災害実態にかんがみまして、鹿児島県におきましては、学識経験者を中心といたしますところのシラス防災対策技術委員会というものを開催いたしておりまして、シラス地帯における斜面対策というものの検討を開始しておるところでございます。
  143. 安藤巖

    ○安藤委員 ですから、シラス地帯というのがこれまでも相当議論されてまいりましたように、完全にそれが防げるのかどうかということも先ほど疑問が出されておりましたけれども、それが完全なものであると言い切れるかどうか問題だ。ということになれば、相当な長い斜面の場合に、下の方だけの工事で、だから災害が少しは軽く食いとめられたのだと今おっしゃったけれども、上の方から落ちてきたのでは下の方をやっておいても役に立たないということになると思うのですね。だから、その点も今後の課題として、こういうようなことが二度と起こらないように、あのときにも私が指摘したけれども下の方だけやって上の方から崩れてきたではないかというようなことにならないように、しっかりとやっていただきたいということを要望しておきます。  そこで、先ほども議論がなされておりましたが、急傾斜地崩壊対策事業、これは五カ年計画がこれまでずっと行われてきたわけですが、これは御承知のように、四年前でしたか、長崎の集中豪雨の後でこの計画が立てられて実施されてきたわけです。ところが、この問題でいきますと、これは建設省からいただいた資料なんですが、急傾斜地崩壊対策事業五カ年計画昭和五十八年から六十二年、だからもうすぐ終わるわけですが、この計画の進捗率は五十八年度が一五・七%、五十九年度が三二・二%、ずっときて六十一年度が六七・三%、まだ一年あるわけですけれども、現在千二百七十億円残っておる、計画額が三千九百億円、こういう状態ですね。これは地方の単独事業を加えれば五千五百億円の計画だということなんですが、こういうような進捗状況ではまことに心もとないわけなんです。これだって私は十分だとは申し上げておりませんが、やはりその計画額はきっちりと満額使い切ってやっていただくこと、そして、さらに引き続いてこの五カ年計画をやっていただきたいと思うのですが、この点について建設省はどういうふうに考えておられるか、お伺いしたい。
  144. 渡邉義正

    渡邉説明員 お答えをいたします。  まず、五カ年計画の進捗でございますけれども事業の重要性にかんがみまして、私どもといたしましては計画的な整備に鋭意努力をしておるところでございます。それで、現下の厳しい財政事情のもとではございますが、先生指摘のように、第四年度、つまり昭和六十一年度でございますけれども、今年度末におきましては約六七%の達成率になる見込みでございます。五カ年計画の進捗につきましては、事業の重要性にかんがみまして今後とも努力してまいりたいと考えておるところでございます。  それから、六十三年度以降の、現在の五カ年計画以降の問題でございますけれどもがけ崩れによりますところの災害から国民の生命を保護するというために、急傾斜地崩壊防止施設整備計画的に推進する必要があるわけでございますけれども、そのために五カ年計画を策定いたしますことの意義は十分認識しておるところでございまして、建設省といたしましては、策定に向けて検討を進めてまいりたいと考えております。
  145. 安藤巖

    ○安藤委員 建設省のお考えを今いただいたのですが、国土庁長官としても、この急傾斜地崩壊対策事業昭和六十三年度からの五カ年計画をきちっと立ててやるということについて相当バックアップしていただく必要があろうと思うのですが、御所見を承りたいと思います。
  146. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 ただいま建設省からお答えいたしましたように、急傾斜地の対策につきましては、国土保全上極めて重要な問題でございますので、国土庁といたしましても、関係省庁と十分連絡をとって、その事業が完遂できるように努力してまいりたいと考えております。
  147. 安藤巖

    ○安藤委員 そこで、これも長官にお尋ねをしたいわけなんですが、先ほどから局地的な集中豪雨だということが強調されて、今回の鹿児島市を中心とする、京都もそういう集中豪雨的な状況であったのですが、どうもそればかり強調されて、人間のやることあるいは行政、政府のやること、こちらの方に手落ちがあったのかなかったのかということもきちっと考えておくのが今後の防災対策をするについて非常に大事だと思うのですね。だから、そういう関係で、これはちょっと長官に聞いておっていただきたいと思うのですが、先ほど来シラス地帯というのは完全に防げるのかどうかというような御質問が同僚議員の方からあったのですが、確かに危険地帯である、けれども、今回はそういう集中的、局地的な豪雨があったからなったのだ、何とか防ぐために一生懸命やっておるのだ、こういうようなお話ですね。もちろんこれは最大の努力を傾けてやっていただきたいと思うのですが、例えば、これは防災白書の九十四ページにある表なんですが、鹿児島市及びその周辺だけで見てみますと、昭和四十四年九月「鹿児島市周辺 シラスがけ崩れ」、それから二年後、四十六年八月、やっぱり「鹿児島市周辺 シラスがけ崩れ」、それから五十一年「鹿児島市周辺 シラスがけ崩れ」、それから五十二年「鹿児島市 梅雨前線」と書いてあるのですが、これは竜ヶ水のことなんです。そのところがやはりシラス地帯というようなことで、シラス地帯に幾つかこういうような被害発生をしているという事実があるわけですね。  そして、これは七月十二日の南日本新聞の記事でございますけれども、これは開発行為との関係、だから開発規制の問題とも関連があるのですが、先ほどもちょっとそのお話が出ておりました。これは田上町の場合の記事でありますけれども、「昨年十月から県の許可を受け団地の造成工事が始まった裏山の頂上付近からがけが崩れた。同町内会は昨年十一月から県に工事見直し指導をするよう要望してきていた。」宅地の造成工事見直しをするように要請してきた。「そこへ今回の災害。」「また死者の出たがけ崩れ七カ所のうち、同危険区域や市の風水害危険個所に指定されていたのは二カ所だけだった。」こういう現状である。だから、「雨にもろいシラス土壌災害への見方は甘くなかったか。」こういうような指摘がなされているわけです。  さらに、これは鹿児島新報でございますけれども、「背後地や公園の谷あいでは新興住宅一般住宅の建設が進み、ジワジワと城山を侵食している。とくに、北側では四十二年ごろから城山団地の造成が進み、四十六年には千五百六十二戸の大型団地が完成、」だから「自然に住宅がびっしりと張りつき、三十年代には公園南西側にはホテルが建設されるなど、これ以上家は建てられないほど、住宅地としての侵食が進んだ。」それから、先ほど長野委員の方から質問の際にお回しなさったあの写真ですね。あの写真を見ましても、本当にがけの直下まで住宅がずっと迫ってきているという状況が写し出されておりました。  だから、防災の観点からこの開発工事の規制ということ。狭い日本の国で平野部が余り多くないというような全般的な状況の中で、住居地がだんだん少なくなるからそちらへ迫っていく、これもまた国民の住居を求める要望の一つ、また行動の一つだと思うのです。だから、それを何でもかんでもというわけにはいかぬと思うのですが、やはりこういうようなときに被害を受けるのはそこなんですね。そういう点で、防災ということと規制ということ、これは一遍根本から真剣に検討していただく必要があるのじゃないかというふうに思うのです。  そこで、もう一つ、これは鹿児島大学の大庭昇という教授の言がやはり鹿児島新報の記事としてあるのですが、「同教授によると、鹿児島市の都市開発は昭和三十年代中ごろから急ピッチで進み、四十年代に入ってシラス地帯災害が続発した。このことは、近年の災害が人災であることの証明でもある」、こういうような指摘をしておられる学者もあるわけです。  それから、もう一つは、これも防災白書の「土砂災害対策の現状と今後の課題」という項目にある指摘なんですが、これは国土庁がおまとめになったものですからね。これは昭和六十年二月に総理府の実施した「河川と土砂害に関する世論調査」の結果が載っておるのですが、「土砂災害の危険性のある地域に建物を建てることを制限する」という意見が三七・〇%、それから「山地部の開発を制限する」、これは山地部というのですが、とにかく開発を制限するが三一・三%。だから、この開発を制限するというのは相当な高率になっているわけですね。だから「開発行為の規制等の推進に対する国民の期待は高い。」こういうふうに結論づけておられるわけですよ。  こういう点からしますと、先ほど来私が申し上げておりますような、開発とそれから防災という立場からの開発を規制するという問題、これも相当大事な重大な問題なんですが、この点について国土庁長官としてどういうような考えを持っておられるのか、この際承っておきたいと思います。
  148. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 いろいろな御意見があるわけでございますが、土砂による災害というものを防止しなければならないというのが災害対策の一番大きな眼目だと考えております。特に今の特殊土壌のところにおきまして災害防止するということにつきましては、大変困難な問題でございますが、既に特土法という法律をつくっていただきまして、昭和二十七年以来七次にわたりまして計画を立てて、その実施をしてまいって効果を上げておると考えておるところでございます。  今安藤先生指摘の開発と防止という問題でございますが、これはいろいろ災害を未然に防ぐということにつきましては、ハード、ソフト、いろいろな考え方があるとは思うわけでございます。特に、土砂災害の危険のある地域における開発行為について現在関係法令によってその規制などに努めておるところでありますが、法的な開発規制については、私権の制限なども伴うものであることから困難な問題もあると聞いております。国土庁といたしましては、関係省庁との緊密な連携のもとに土砂災害危険箇所住民への周知徹底、防災知識の普及等を図りつつ、総合的な土砂災害対策推進してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  149. 安藤巖

    ○安藤委員 何か抽象的なことでようわかりませんが、私が先ほど申し上げましたようなことでしっかり御努力をお願いしたいということをお願いします。  次に、特土法の問題につきましては、先ほど御答弁がございまして、延長について最大限の努力をするというふうにおっしゃっていただきましたので、これは省略しますが、この関係につきましては、ごく最近いただいた全国知事会の要望書の中にもそのことがきちっとうたわれておりますので、御努力をお願いしたいということだけ申し上げておきます。  そこで、時間が大分なくなってまいりましたが、災害対策の一番のポイントはやはり何と言いましても予防、これが一番大事な対策だというふうに思っております。  そこで、鹿児島とちょっと離れるのですが、第九十八国会の衆議院予算委員会の分科会で、これは五十八年三月四日ですが、岐阜県から愛知県へ流れる庄内川の治水の問題について私がお尋ねをしたその続きをちょっとお願いしたいのですが、そのときに、防災関係の予算昭和五十四年度から五十八年度までほとんど横並びでふえていない、だから、そういうことではだめで、もっとこれは予算をふやしてしっかり治水事業をやってほしいということを要望してきたのですが、それ以後この関係では治水工事計画あるいはその予算、その計画実施状況、これはどういうふうになっているのか、簡単にまずひとつお尋ねしたいと思います。
  150. 角田直行

    ○角田説明員 御説明させていただきます。  治水事業につきましては、第一次から五次までの五カ年計画実施状況はおおむね計画どおり達成してきておると思っておるわけであります。現五カ年、六次の五カ年におきましては、財政状況もございまして、最終年度、今年度が最終でございますが、六十一年度当初予算までで見ますと約八〇%というところでございます。
  151. 安藤巖

    ○安藤委員 私のいただいた資料によりますと、約八〇%、七八・九%でございますが、これは第一次、二次、三次、四次、五次、六次と六次目なんですが、まだ少し時間が、残りがあることはあるのですが、一次から六次まで達成率というのは第六次が一番低いのではないですか。だから、こういうような状況では非常に心もとないと思うのですが、なぜこういうようなことになっておるのですか。
  152. 角田直行

    ○角田説明員 六次五カ年計画は六十一年度まででございまして、近年の財政状況から前年度ほぼ同額の形が多いわけでございます。しかし、今後とも予算の効率的な執行に努めまして、事業計画的な推進に努めてまいりたいと思っておるわけでございます。
  153. 安藤巖

    ○安藤委員 努めてまいっていただきたいのですが、今指摘しましたように、第六次の今の計画の実績が今までの計画の中では実施率が一番低いという状況は、これはしっかりと見詰めていただきたいと思うのですね。  そして、さらにもう一つ、これは時間がありませんから私の方から言いますけれども、「過去十年の治水関係事業予算事業費、国費)の推移」というのを、これはやはり建設省からいただいたのですが、河川関係からしますと、昭和五十八年度まで五十二年度から大体横並び、少しずつふえているなという感じなんですね。ところが、五十九年度、六十年度、六十一年度ということになってきますと、河川の関係で事業費はふえているのです、事業費はふえているのですが、国費の方が減っていっておるのですよ。ということになると、例えば六十年、六十一年度だけで見ますと、事業費が七千六百十三億四千三百万円、それが六十一年度になると七千七百二十七億八千三百万円、ふえているのです。ところが、国費の方は四千三百五十億三千七百万円から四千三百八億六千八百万円になっちゃって、減っているのですね。だから、これは自治体に対する負担がふえて事業費がふえている、こういうような実態が出てきておるわけなんです。だから、これは事業費がふえているけれども国の方から出すお金は減らしている、こういう実態が出ておるのですが、こういうようなことをきちっと改めて、国の方からしっかり出す、一級河川、これは出すということを考えていただきたいのですが、この点について建設省においてもしっかり努力をしていただきたい。このことをお願いして、どうするかということを答弁していただきたいし、長官も、これは建設省の方の関係でございますけれども、防災関係の取りまとめ役としての最高責任者である国土庁長官としても、こういうようなことではまかりならぬわけでございますから、河川の治水関係についても予算をしっかり出していただくというふうに努力をしていただきたいと要望しまして、これに対する長官の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  154. 角田直行

    ○角田説明員 治水事業でございますが、先生指摘のようなことで、国費が十分でございません。昨年度も特定財源の確保ということで、皆様にお騒がせしたようなことで財源確保をお願いしたわけであります。ことしにつきましてもその点の検討をさせていただいております。今後とも予算確保に努めてまいりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  155. 綿貫民輔

    綿貫国務大臣 国土保全して災害を防いでまいるということは大変重要な課題でございます。さきの閣議におきまして山崎長官からも、特別に災害関係の予算については配慮をという要望もしておるところでございまして、今後一層その充実した施策の実施に努めてまいりたいと考えております。
  156. 安藤巖

    ○安藤委員 終わります。
  157. 伊藤宗一郎

    伊藤委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後四時三十六分散会