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上田耕一郎君 断じてというところにえらい力を入れられたけれ
ども、私
どももまだこういう
報道だけです。しかし警察庁も新聞
報道に関心を持って
情報を集めているというんだから、これはこういう
報道、例えば
フィリピンの銀行人グループがこういうことを述べているわけだが、彼らは資料も集めている。香港が仲介だというので、香港では暗号による口座があって、それによって
日本に行っているというんです。それも調べているというんですよ。そうなってくると、今の中曽根首相の断じてという答弁が事実なのかどうか、あるいは私
どもの疑惑、国民の持っておる疑惑、あるいは新聞
報道が根拠があるのかどうか、今後事実が明らかにするだろうと思うんですね。しかし、首相が今断じてないと言われたことを私もはっきりお伺いしておきます。
首相に関して
指摘されている問題は二つあります。一つは、きょうのこの
委員会でもいろいろ質問の出た商品
借款です。七八年第七次で商品
借款というのは終わっていたのに、マルコス大統領との会談後、なぜ第十二次円
借款で商品
借款を主にして復活させたのか。それは
フィリピンの国会議員選挙の前ではないかということで、新聞もここに問題があったのではないかといって
指摘しておりますし、それから本
委員会でも問題になりました。
もう一つ、首相に関して
指摘されている問題は、いわゆるサンロケ・ダムの問題であります。これは、二年前この
予算委員会で秦豊
委員が取り上げまして、私も当時聞いておりました。このサンロケ・ダム問題というのは、これもなかなか大きな問題であります。ここに私は、秦
委員も取り上げました
フィリピン側の
文書四通を持っております。そのコピーでございます。これは
マルコス文書の中には含まれておりません。この
文書によりますと、首相が五月七日に
フィリピンに行ってマルコス大統領と会談される前の三月二十三日の
文書。これには、第十二次円
借款で取り上げるべき
プロジェクトが四十二項目挙がっていて、そのうち十六項目を選びたいというのでリストが全部入っています。この中には、サンロケ・ダムは入っておりません。
その次の
文書は、第十二次円クレジットのもとでサンロケ
事業計画、この融資問題が大統領あてに出されている
文書であります。そしてその
文書に、これは英文ですけれ
ども、これも新聞その他で
報道されて有名ですが、マルコス大統領の手書きのサインが入っています。ここがおもしろいんですね。この
文書は五月五日に書かれた。五月七日に中曽根さんはマルコス大統領と会談し、これは新聞も
報道したし、秦さんの質問に中曽根さんはお答えになったけれ
ども、マルコス大統領からサンロケ・ダムの問題が出て、フィージビリティースタディー、これはやろうということをお答えになったんですね。首相が答えたので、マルコス大統領は五月十八日付にチェックド・アイテム・グッド・ビー・フォー・サンロケと、五つチェックしまして、この五つは省いてもいい、サンロケのためにと。中曽根さんと会談したために、そういうサインがマルコスさんのサインでこの
文書にあるわけです。
それから三番目の
文書、それでそのサンロケのためにどの
プロジェクトをやめて、どのくらいの金をこれに回すかというのが三番目の
文書であります。これはビラタ首相のマルコス大統領あての
文書であります。これにもマルコスさんのサインが五月二十四日付、アブルーバル、承認というふうになっています。
四番目の
文書、これはビラタ首相からヨシオ・オオカワ
大使、アンバサダー・ヨシオ・オオカワあての
文書で
プロジェクトのトップにサンロケが入っているという
文書なんです。これがだから非常に問題になった。つまり中曽根さんがマルコス大統領と会談してFS、これについて承認を与えられたので、最初の四十二の
プロジェクトには名前もなかったサンロケダム計画、これはイタリア
政府あるいは世界銀行もだめだと言ったいわくつきの、マルコス大統領のふるさとに大ダムをつくるという計画ですけれ
ども、それが浮かび上がってトップに上がってきたということでいろいろ
指摘されているわけであります。
ここに朝日新聞の本、「
援助途上国ニッポン」によりますと、丸紅が登場してきます。こういうふうに私もまだ
文書しかない。しかしこの
文書でこれだけ責任を持ってそれぞれ書かれているんだから、これは調べる必要がある。これは三十四ページです。「
フィリピン政府は、大統領生誕の地に近いサンロケ峡谷に多目的ダムをつくる計画をあたため、
中曽根康弘首相がきたら円
借款をとりつけようと手ぐすね引いていた。公式日程の八三年五月が近づくと
フィリピン政府は「約束しないと訪問は不成功に終わる」といい」おどかしたわけですな。「「丸紅によると
日本はもう内諾した」とも
政府に伝えてきた。これには
外務省も頭にきて、丸紅幹部を呼んでたっぷり油をしぼったという。」とありますが、
外務省、丸紅幹部を呼んでこの件について注意を与えたことがありますか。