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国務大臣(加藤紘一君) 先ほど防衛
局長がお答えいたしましたように、海峡封鎖というものはそう軽々にやるべきものではないし、また軍事技術的にそう簡単にできることではないということは歴史的に証明されていることでございます。したがいまして、その海峡封鎖という言葉を用いることは私たちは避けておりまして、海峡防衛という前提でお答えしたいと思います。
それから、シーレーン有事という言葉は、矢野
委員の
質問のときに、そういう前提でシーレーン有事という言葉で私たちの方もお答えしましたけれども、いわゆるそのシーレーン有事という概念が条約的、法律的にあるわけではなくて、施政権下でない公海上において
我が国の船舶が組織的、
計画的、意図的に攻撃されたというような場合というふうに解釈いたしたいと思います。
それから、日米共同対処というのは、日米が共同して海峡防衛のための作戦を行う場合であり、それから米国が封鎖について同意を求めた場合とは、米国がみずから封鎖を行う場合、こう理解したいと思います。
それで、以上につきまして、四つの場合と三つのケースですから全部で十二になるわけでございますが、基本的に申しますと、
日本の施政権下が有事の場合には日米が共同対処をすることが条約上の
義務でありますので、
日本が単独であろうと日米共同であろうと、米側が封鎖について同意を求めてきた場合であろうと、それぞれいわゆる通峡阻止のための作戦をやることは可であろうと思います。ただその場合、当然のことながら、この場合には
日本有事の場合であって、
日本側が中心となって防衛努力を行い、アメリカ側がそれに対して
援助を行うという形になるだろうと思います。
それから、施政権下が有事であり、またいわゆる施政権下でないところもともに有事であるというのは、これまた当然のことながら三つのケースとも可であろうと思います。
それから、シーレーン有事とおっしゃいますケース、つまり施政権下でない公海上において
我が国の船舶がそういった組織的な攻撃を加えられたような場合につきましては、これはいわゆる
我が国が有事のケースでございますから、この場合も三つのケースとも可であろうと思います。ただその際には、いわゆる安保条約第五条に基づく条約の
義務上の米国の来援ではなくて、第四条に基づきます協議に基づきまして
我が国が来援を
要請し米側がそれに応じた場合という前提がつくわけでございます。
それから、いわゆる極東有事の場合でございますが、
我が国が有事でないわけですから、
我が国が単独で海峡防衛のための通峡阻止行動をとることは憲法上不可でありますし、それから日米共同対処ということもあり得ないわけでございますから不可でございます。
極東有事の場合に、封鎖について米側が
我が国に同意を求めてきた場合、これは従来
国会で大分難しい論議のあった部分でございますので、この点につきましては防衛
局長から間違いのないしっかりとした答弁をさせたいと思います。