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宇都宮徳馬君 私はそれはよくわかっていますよ、
アメリカのドルの強いあれはね。特に国際的に紛争が起こるとドルが強くなる。それはなぜかというと、やっぱり
太平洋、大西洋に守られていて地政学的に非常に安全です。ですから、ヨーロッパに紛争が起こるとすぐ
アメリカにドルが流れてくる。それでドルは強くなるわけですね。そういうこと戦後に何度かありますよ、ドルが強くなったり弱くなったり。大体紛争がヨーロッパに起こると、つまりヨーロッパとソ連との間に紛争が起こると
アメリカがそれを後ろ盾するような形になる、その場合には必ず外貨が
アメリカに流れ込んできて強くなるということは何度かあります。しかし、そういう
状態というものは余り健全な
状態じゃないわけですね。あなたが安保面とそれから
アメリカの
経済面との関連を言われましたけれども、これを余り考えることは危険である。
私はここで、時間もありませんから申し上げますけれども、とにかくドルがどんどん安くなるその原因は
アメリカの極端な軍事化にあるというふうに言えると思うんです。それは
世界の軍事化にも波及している。それから大西洋のそういう軍事的危機というものは、最近はむしろ
太平洋、特に西北
太平洋に移りつつあるように見えます。
アメリカはハワイあたりまでが大体
アメリカの海とも言えるんです。西北
太平洋というものは、むしろ
日本、中国、
フィリピン、朝鮮、インドネシア、それからソ連、そういう国の海ですよ。そういう国の海に余りに
アメリカが深く入り込んできています。だから、
フィリピンの問題の背景にも
アメリカの軍事基地の問題がありますね。それから朝鮮問題の背景にもある。これは複雑な問題ですけれども、ある。
アメリカがそういう軍事化によって使っている
お金というものは莫大ですよ。これは
経済的利益を上げないが、
お金は莫大です。それが
西太平洋なんかにおいてもドルの垂れ流しになって、それでシンガポールあたりの金融市場を形づくっているようなところもあります。
つまり、ユーロダラーじゃなくてシンガポールダラーみたいなもの、香港ダラーみたいなものができている。そういうものがあって、それが
アメリカの
一つの
経済力になっておるとも言えないことはないけれども、またこれは非常に外国人の
経済力です。だから、
アメリカのそういう軍事基地を各地に持つような政策というものは、
アメリカの軍備そのものを拡張させるだけじゃなくて、そこにおけるいろんな費用というものは、これは莫大なドルの垂れ流しが行われておる。だから、あなたがおっしゃるように、
アメリカが軍事力があるからドルが強くなるなんということは、危機の場合に流れ込んでくるという要素を除けばほとんどない。むしろドルを弱くしている要素である。これをあなたはよく考えてレーガンさんあたりに教えないと、
アメリカは本当に崩壊しますよ。どう思いますか。