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政府委員(
井嶋一友君) まず現時点で私
どもが把握しております諸
外国の
制度を前提といたしまして、
相互主義を適用して
我が国に参入できる
弁護士の所属国という問題を御
説明いたしますが、
アメリカにおきましては現在
ニューヨーク州と
ミシガン州と
ワシントンDCが開いておるわけでございますので、
制度上はこの三州の
弁護士は
我が国に受け入れられるであろう。また、
我が国の
弁護士もそれらの三州に行けるであろう。それから、現在カルフォルニアとハワイが
検討しておりますので、これがあきますればやはりこれらの州にも行けますし、これらの州の
弁護士も受け入れることになります。
それから、ヨーロッパにおきましてはイギリス、西ドイツ、フランス、ベルギー、こういったところが
外国弁護士を受け入れる
制度を持っておる、あるいはそういう
制度を持たないまでも自由に
活動させておるという国でございますので、そういった国々も
我が国の
弁護士が受け入れられるという
制度がある以上、形式的には
我が国において受け入れられる
可能性のある国であるというふうに考えております。
さらに、アジアでは香港あるいはシンガポールといったようなところも
外国の
弁護士を受け入れる
制度を持っているというふうに文献上は承知をいたしておりますので、そういったところが運用上もそういうものであるとすれば、これは
調査結果によりますけれ
ども、やはり受け入れが可能ではないかということでございまして、いずれにいたしましても我々は、
調査をした結果、そういったところを実質的に決めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
それから、どのくらいの
外国法事務弁護士の承認件数があるだろうかという予測ということでございますが、これもなかなか難しい問題でございまして、例えば
アメリカには現在六十五万人の
弁護士がいる、
日本は一万三千人である。したがって、彼我比べますと大変な差があるので、
アメリカの
弁護士が大量にどっと来るのではないかというような議論もあるわけでございますけれ
ども、じゃ、現在開いております各国へ
アメリカの
弁護士がどのくらい行っているかということを
調べてみますと、イギリスには大体百名から百五十名
程度、西ドイツには十五名
程度、あるいはフランスでコンセイユ・ジュリディックとして登録されておりますのは現在八十八名、その他既得権でもって入っておる
人たちを入れましても百から百五十ぐらいというふうに言われておりますし、ベルギーでは二十六名
程度というふうに言われております。これらの数字はいずれも
日弁連が昭和五十八年にヨーロッパ
調査をされたときの数字でございますから、その後若干変動はあるかと思いますけれ
ども、大体そのくらいの数の
アメリカの
弁護士がヨーロッパへ進出しておるわけでございます。
そういった数字を下敷きといたしまして考えますならば、御
懸念のように大量に
我が国に流入してくるというようなことはないのではないかというふうに思っておるわけでございます。特に
我が国におきましては、
事務所を設置するというようなことあるいは住居を構えるということは大変コストのかかることでございますので、そういったような経済的
理由からも、そう大量に来て
我が国で適正な
事務処理ができるというようなことは考えられないわけでございますので、強いて申し上げれば多くて二、三百ぐらいというようなところではないかと思っておりますけれ
ども、これも全く根拠のない推測でございます。
それから、
日本人の申請者がどのくらいあるだろうかというお尋ねでございます。これは先ほ
ども申しましたけれ
ども、
日本人で
外国、特に
アメリカの
資格を持っておる人というのは今までにもそれはございます。しかし、
アメリカの
資格と申しましてもやはりロースクールを三年間やる必要もございますし、バーエグザムを通る必要もあるわけでございますから、そうだれでもかれでもできるということでもございませんので、五十九年のデータでも十一名ということでございますから、そんなにたくさんの人が
資格を取っているとは思えないわけでございます。しかも、その
人たちが向こうで五年間やってこちらへ戻ってくるということはさらに予測としては絞られるわけでございますので、そんなに多くの人が
日本に帰ってきて
事務弁護士の申請をするということはないのではないか、せいぜい数名
程度かなというふうに思っております。ただ、こういう
制度ができますと今後若い
人たちがこういった道を選んでやっていくということは当然考えられるわけでございますので、そういった
意味でも将来の予測は非常に難しいということが言えるかと思います。
それから、
外国法事務弁護士の
事務所にどの
程度の仕事があるだろうかということでございますが、これは現在
我が国の渉外
弁護士が
活動しておりますエリアでございますが、先ほど来申しますように、
企業サイド、ユーザーサイドから見ますと必ずしも十分でないというような声もあるわけでございまして、こういった
活動エリアにつきましてはまだまだ
需要があるというふうに見られているわけでございますし、これからもこの
需要はふえていくだろうというふうに考えられるわけでございます。そういったところへ
外国法事務弁護士が入ってまいるわけでございますから、いわば処女地を開拓するというような面もあるわけでございますので、相当量の
事務がそういったところへ入っていくのではないかと思うわけでございますが、これも数字でもってお示しすることは非常に困難なことでございますので、この
程度でとどめたいと思います。