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国務大臣(
安倍晋太郎君) おっしゃるように、日本の漁業は大変難しい時期に差しかかっておると思います。
私も十年前に農水
大臣をやらせていただきましたが、当時と比べますと本当に羽田農水
大臣も気の毒だと率直に思いますが、しかし、気の毒では済まないわけで何としても頑張ってもらって、我々も大いに応援をしてこの苦境を乗り切って日本の漁業を守ってもらわなきゃならぬと思います。そういう
意味で私も、日米漁業交渉あるいは日ソ漁業交渉に
当たりまして、外務省挙げて全面的にバックアップをいたしておるわけでございますが、何としても二百海里時代ということで、ソ連も二百海里を主権的な海域として主張している、アメリカもそういう
状況になってきているということでございまして、特に深刻な打撃を受けるのは北海道、東北の漁民の皆さんでございます。
きょうも実は、羽田農水
大臣を中心にいたしまして、
関係閣僚が集まって、この打撃をいかにして救済をしていくかということで、これから
関係閣僚会議を続けて国内
対策を急ごうと、こういうことになったわけでございますが、同時にこうして日ソの
関係、こういうことで一応決着いたしましたけれ
ども、日ソ
関係はこれからも改善をしていく道は私は広がっていく可能性はあると思っております。そういう中でソ連も完全に日本との間で漁業
関係で道を絶ってしまおうということでは私は決してないと、こういうふうに思っております。全体的な
関係が改善が進んでいけば、そういう中で漁業
関係にもまた新しいステップが生まれる可能性は私はなきにしてもあらずじゃないかと、こういうふうにも思うわけでございます。
これは、これから
努力をしていかなきゃなりませんし、ソ連側にも十分その点は納得してもらわなきゃならない。やっぱり日ソ漁業
関係というのは長い歴史を持っておりまして、いろいろと政治の
状況が悪いときでも非常にうまく続いてきておるわけですから、私はその点はやっぱりソ連側も知っておるんじゃないか、認識しておるんじゃないかと思いますし、今回はああいうふうな
状況でしたけれ
ども、これが一番最低の
状況だと、さらに拡大をしていく方向へこれから交渉を粘り強く続けていく必要があると思いまして、我々も全力を尽くしたいと思います。
二百海里の問題に絡んで、韓国との
関係あるいは中国との
関係、西の方で二百海里法が実行されてないわけでございますが、これは特に韓国との
関係におきまして、我が国と韓国の漁船の展開
状況とか、日韓の漁業のこれまでのいろんな漁業秩序の問題とか、そういうものがあって全体を総合的にいろいろの
関係を配慮して、これを一応北海道とソ連、日本とソ連との間のように二百海里を設けない、こういうことになっておるわけでございますが、しかし一面、もう二百海里を設けるべきじゃないかという議論があることも事実でありまして、これは北海道で韓国の漁船等が相当北海道の沿岸で違反操業をして、私なんかよく承知しています。そして北海道の漁民から非常に強い声が出ていると同じように、西日本の沿岸でもいろいろと違反操業的なものも続いておるわけです。日本もやっているかもしれませんが、韓国の漁船も随分やっている、こういうことで西日本の沿岸漁業でも非常に強い声もあることも事実でございます。
こういう点は十分慎重に考えなきゃならぬと思いますが、また同時に、日韓全体的な漁業
関係の総合的な
関係というのも配慮しなきゃならぬわけでありまして、一概に今結論を出すというところまでには至っていないわけでございますが、まずやらなければならないことは、日韓の協定で北海道沖におけるいろいろの韓国漁船との調整問題もある程度解決したわけですし、西日本
関係も何とか
話し合いで解決をしていくということで、今直ちに新海洋法を実施するということではなくて、
そうした
状況というものは十分勉強し、検討はしながらも、今のとにかく日韓間のいろいろなトラブル等を解決していくように外交
努力で続けていかなきゃならぬ、こういうふうに思っております。韓国側も、最近我々も接触しておりますが、そうした実態というものは承知しておりますし、日韓
関係が今安定していることも事実ですから、我々もそれを踏まえてトラブルの起こらぬようにこれからも粘り強くひとつこれもまた交渉を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。