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説明員(
坂篤郎君)
金融自由化と申しますものの中には、ただいま先生おっしゃいましたように、いろんなものが含まれておりまして、一言で申しますのはかなり難しいのでございますが、具体的に申し上げますと、例えば
大蔵省で一昨年出しました「
金融の
自由化及び円の
国際化についての現状と展望」というパンフレットというか、基本的な政策を述べたものがございますけれ
ども、例えばその中の
項目で見てみますと、「
金利」というのが
一つございまして、それから「
金融・
資本市場」、つまり
市場という
観点でとらえた
措置についてでございまして、それから
あとは「
業務内容」、これは
金融機関の
業務をどういうふうに緩めていくかという問題でございます。そういうのがございまして、それから
あと「
業際・
制度問題」と言われているものがございます。また、同じ時期に出ました円・
ドル委員会報告書というのがございますが、これを見ますと、例えばやはり「
金融・
資本市場の
自由化」という
項目でございますとか、それから
外国金融機関の
参入、円・
ドル委員会の方は特に
アメリカとの
関係でございますので、
外国金融機関の
参入、
日本市場へのアクセスといったようなこと、あるいはそのほかに
ユーロ円の話、
外国為替法関係、そういうのが載っております。
今申し述べましたような
項目に大ざっぱに分けることができるのだろうかと思いますが、その中の一番中心的なものと言いますのは、一番
最初に申し述べました
金利関係ではなかろうかと思っております。この
預金金利の
自由化につきましては、基本的な我々の発想といたしましては、
信用秩序に大きな混乱をもたらすことがないようにしていかなくてはならない、そのためには
大口金利をまず
最初に
自由化いたしまして、それから順次
小口金利の方に移行していく、
自由化をだんだん進めていくというふうにやっていこうということで、基本的な方針を持っておるわけでございます。
このような
考え方に基づきまして、既にただいま
譲渡性預金というものがございますが、これは既に
昭和五十四年に導入されたものでございまして、当時は十億円だったと思いますが、
大口のものにつきましてかつ
譲渡性のある、普通の
定期預金というのは
譲渡性がないわけでございますが、
譲渡性のあるものにつきましては
金利が自由である、ただしその期間でございますとか、あるいはその
発行枠とかいったものに枠を設けた。また若干違いますが、昨年の春には
市場金利連動型預金というのも導入されました。これは御
承知かと思いますが、五千万円以上のものにつきましては、ただいまちょっと御
説明いたしました
譲渡性預金の
金利に連動した
金利をつけるという
やり方でございます。これらにつきまして、その後導入されてから数回にわたりまして
発行枠を広げるとか、あるいは
最小預入単位を下げてまいりますとかいうふうなことをやってまいりました。さらに、昨年の十月には
預入単位十億円以上の
大口定期預金金利、これは今
CDとか
MMC、
譲渡性預金とか
市場金利連動型預金と違いまして、要するに
定期預金でございますから
銀行の一番標準的な
商品でございますが、それの非常に
大口のものにつきましては、
金利を自由にしてつけてよろしいというふうにいたしました。この四月には十億円を五億円まで下げまして、さらに秋には三億円ぐらいに下げるというようなことを
考えているわけでございます。
このような
MMCでございますとか
CDでございますとか、あるいは
大口定期預金の
最小発行単位を小さくしていくとかいったようなことで、順次
大口預金金利についての
自由化を進めまして、六十二年の春ぐらいまでにはほぼ
大口預金金利については
自由化を完了しようというふうに
考えているわけでございます。
また、
小口預金金利につきましては、これは
預金者保護の問題でございますとか、あるいは
郵便貯金との
トータルバランスと
環境整備を図りながら具体的諸問題について
検討を進めまして、
大口に引き続いて
自由化を進めていこうというふうに
考えている次第でございます。
これが第一番目の
金利について概要を申し上げたわけでございますが、第二番目に、いわゆる
金融・
資本市場という
観点からどのようなことがあるかということでございますけれ
ども、ただいま御
説明いたしました
譲渡性預金というのは、例えば
譲渡性でございますから売買されるわけでございまして、これは
譲渡性預金というものを導入して、かつそれがだんだん大量に
発行されてまいりまして、そうなりますと、いわば今までなかった
短期金融市場が
一つできるということでございまして、これ
自身が
短期金融市場の
整備拡充のかなり大きな要因の
一つになったわけでございます。また、そのほかにも昨年の六月に
円建てBA市場というようなものも創設いたしました。さらに
短期国債の
発行も、これも
短期国債市場ができるという
意味で、
短期金融市場の
整備拡充につながるというようなことがございます。また、今後とも
短期金融市場の一層の
整備拡充を図っていこうということを
考えているわけでございます。
第三番目の問題でございますが、
業務の
自由化というのがございまして、これは例えば
金融機関が、昔でございますと、いわゆる
定期預金と
普通預金とかというふうに決まったものしか
商品として出していなかったわけでございますけれ
ども、最近は御
承知のように、いろんな
組み合わせ商品でございますとか、あるいは
預金にいたしましても、
外貨預金でございますとか、いろんなものをそれぞれ多種多様な
商品を
金融機関が出すようになっておりまして、こういう新
商品につきましては、
大蔵省といたしましては、基本的には顧客のニーズにこたえようとしている
経営者の自主的な
努力というか、アイデアでございますとか
努力、そういったものを尊重することにいたしております。そういうのと相まちまして、このごろは先ほど申し上げましたように、非常にさまざまな新
商品が出てきているわけでございます。
また、
業務の問題につきましては、
業際問題あるいは
制度問題といったようなもの、
業際問題というのは、一番よく申しますのは、例えば
銀行と
証券の
業際問題といったようなことがあるわけでございますが、それとも関連するものでございますけれ
ども、
国債の
ディーリングを
金融機関がやるようになったという問題でございます。これにつきましては、例えば昨年の三月に
ディーリング認可対象金融機関の範囲の大幅な
拡大をやりました。また、ことしの三月にも
拡大をまたいたしたところであります。また
他方、
証券会社に対しましては、先ほど申し上げました
譲渡性預金、
CDの流通、取り扱いを認めることを昨年の三月に決定いたしました。現在は
証券会社もやっておる。このようないわば
相互乗り入れみたいなことが大分進んでいるということがございます。
金融の
自由化というのは非常に広いものでございましていろんなのがあるんでございますけれ
ども、かいつまんで申し上げますと以上のようなことかなというふうに思っております。