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喜屋武眞榮君 いいコメントがいただけましたので、次に、山には山の憂いあり、海には海の悩みありとだれかが言いました、そのことを盾にして私は申し上げたい。
今度大臣がソ連に行かれましてカメンツェフ漁業相と交渉された。大変御苦労さまでありました。二百海里問題をめぐって毎年のように
日ソ漁業交渉で難渋しておられる。難渋の結果というのは毎年厳しい
方向に行きつつある、結果的には。この二百海里問題が国際的にも大きな話題となって広がりつつあるわけです。ところが、このことと沖縄県の漁業問題とが無縁ではないということを私はこの機会に申し上げたいんです。そして理解を深めていただきたい、そして御
協力をいただきたい、こういうことで実情を申し上げます。
沖縄の漁業は、今まさに二百海里問題をめぐって毎年のように特に最近厳しく直撃を受けつつあるということなんです。すなわち、北方で二百海里問題が問題になりまして、締め出されますというと、勢いあの地点からだんだん北方漁業が南の方に移動しつつあったわけです。このことは十分御存じだと思います。
ところで、その実態です。沖縄では亜熱帯の特殊性から、日本の水産業の漁業の枠の中で栽培漁業の適地であるということで、沖縄近海は非常に大事にされて、そして今具体的にはパヤオ、浮き魚礁というものが非常に大事にされまして、その成果がぐんぐんあらわれつつあるわけなんです。ところが、困ったことに、北の方からやってきた漁業団がそれをねらって、最初の方は紳士的でそう被害もなく問題にもならなかったようですが、このごろは目に余るものがある。そこで、県当局、それから沖縄海区漁業調整
委員会、県の漁連、この三団体がもう黙っておれぬ、見ちゃおれぬ、こういうことで緊急
対策を講じまして、今立ち上がりつつあります。その結果、つい最近
政府にも陳情要請に来ておられます。この代表にきっと対応しておられると思いますが、そのことを後でお聞かせください。
それはこういうことなんです。まず、その浮き魚礁は、最初は公海上、二百海里の外でありましたから、しかもお互い日本の仲間でありますから、侵犯という言葉には当たらぬと思います。と言いますのは、沖縄の場合に、台湾漁業がもう頻繁に領海侵犯をいたしまして大騒動をしたが、幸いに海上保安庁の警備によってだんだん締め出されつつあるわけであります。ところが、それは締め出されつつありますけれ
ども、今度、仲間同士が北の方からやってきまして荒らしつつある。このことは、実際問題としまして、何かしら内輪げんかをしておるようで大変気も引けるわけであります。
ところが、私は道義的立場から、紳士協定という立場から何とかならぬものかという
気持ちを込めて申し上げたいんです。この公海上にある浮き魚礁に寄ってくる魚は、カツオ、マグロ、カジキ、サワラ、こういう魚が非常にいいあんばいに寄りつつある。それが大変困ったことに、北の方から五十トンから百トンの大型
漁船でやってきておるんです。ところが沖縄自体の
漁船は五トン前後の
漁船なんです。ですから五トンで警戒を一応しておるわけですが、天気の悪い目には五トンでは行けない。そこをねらって五十トン、百トンの大型
漁船が、今度北の方からやってきた漁団がどんどんそれをとり上げておる。それから昼は警戒しておるようですが、沖縄が引き揚げたすきをねらって夜分とる。沖縄の
方針としまして、五トン装備では根こそきとらぬで適当にとっていつまでも魚礁に繁殖させるということだが、北からやってきた
漁船はもう根こそぎ。だから沖縄では、一網打尽という言葉じゃなくして事実をもって一網打尽さらっていって、そして沖縄の小型の船が行きますと、十日や二週間はそこでは種切れになって魚をとれないというんですね。この事実を見て一網打尽されたといって悲鳴を上げておるんです。事実、こういうことがあるんです。最初は公海上のことであったが、今度は、沖縄では百五十一基の浮き魚礁を漁業組合がそれぞれの地域で仕掛けておるんです。そうすると、北の方からやってきたのが今度は公海から沖縄近海にまでも侵食して荒らしておる。そういう実態になっておるんですね。
そこで、一つの問題は、侵犯の形をとらずに県外の
漁船がやるパヤオ周辺での操業をやめてほしい、沖縄の漁民が仕組んだ、栽培したその施設を
荒らさぬでもらいたいということが一つ。そういうことを関係県へ自粛要請したい、お願いします。これには法的拘束力もないということをよく承知しております。ないからといって自由に侵食してもらったんじゃ大変なことになる。ないからといって、それじゃ仕方がないといって沖縄側は手をこまぬくわけにもいかない、こういった悩みを訴えておるんです。
そこで、県が緊急パトロールを今
強化しておるんです。お願いですというその良心的なところは、道義的立場から紳士協定しようじゃないですが、そして共存共栄をしていこうじゃないですかと、こういう謙虚な
気持ちで今お願いをする。こういうわけですから、
政府もひとつ御配慮願いたい。こういうことでこの緊急
対策会議の代表も来ておるわけなんです。
そこで、先ほど申しました沖縄海区漁業調整
委員会というのは、県内における漁業団体がそれぞれまた紳士協定をしまして、お互いに敷設した浮き魚礁を、縄張りを荒らさぬようにやりましょうなと、こういうことが沖縄海区漁業調整
委員会の指示でできたのですね。県内でもこのように協定をして仲よくやっておりますのに、それを知ってか知らなくてか、外部から飛び込んできてめちゃくちゃに荒らしておるというのがこの現状であるわけなんです。北からやってきておる漁業団体は一体どこの何者かということも私は知っておりますけれ
ども、ここでは皆さんにまた失礼になるかもしれませんので一応表明しないことにいたします、
政府はちゃんとわかっておられると思います。そういうことで、このような実態に対して、道義的立場から、紳士的立場からぜひひとつ善処してもらいたい。ここに政治ありと私は言うんです。どうかひとつ、この問題は沖縄の特殊
事情ではあるかもしれませんが、しかし私はいつでも、沖縄自体の問題と受けとめてもらいたくない、国土の一環として、沖縄の陸を、沖縄の海を、沖縄の空を考えて理解していただきたいと私がいつでも言うのはそういうことなんです。どうかそういうセクトを一応脱ぎ捨てて、大所高所から受けとめて、一日も早く緊急
対策を立てていただいて
それなりに御指導を賜りたい。こういうことを強く要望いたしまして、大臣からはそのコメントを、そしてまた関係の皆さんからは今とっておられる具体的なことを聞かせてください。