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国務大臣(
羽田孜君) まず、私
どもとして、国の
基本のあれとして、
国内で
生産可能なものは極力
国内生産で賄うこと、これを
基本に据えてということを確かに私も所信の表明の中で申し上げております。このことは、
先ほどもちょっと触れましたけれ
ども、
日本の国を取り巻く環境というのは、食糧というのはそんなに安定し、しかも豊富にあるという環境じゃ決してありません。
日本に相当安定して供給できる国というのは、大変皆遠い国であるということ、しかもかつて大豆でも経験しましたように、
先ほど豪州の肉の問題でもちょっと私が触れましたように、残念ですけれ
ども、よその国の
生産というものが振れますと
日本に対する供給というのは減少してきて、しかも
価格というものは大変高騰してしまうという
現状にあります。そういうことを
考えたときに、私
どもとしては、いろんな難しい条件の中でありますけれ
ども、その条件を整備しながら
国内で主要な農産物についてはそれを確保していく、これを
基本に据えなければいけないであろうというふうに
考えております。
そういう中で、ただそういったときにいつもあれしますのは、どうも自給率が下がっているからということ、
日本は供給がぐっと落ちているんじゃないかという
指摘があるんですけれ
ども、しかしよく
考えてみますと、主食である米というのはもう完全自給どころか、これはもうオーバープロダクトするだけの力を持っております。それから野菜も特別に
価格が高騰したりなんかしたときに入れることがありますし、また最近では珍しい中国の野菜ですとか、台湾の野菜ですとか、いろんなものがあります。こういうものが珍しいものとして入ってくることがあります。しかし、これはもうほぼ完全に自給しております。それから果実につきましても、これは何というんですか、珍しい果物についてオレンジですとかあるいはバナナですとか、
日本で余り
生産しないものについては入ってまいりますけれ
ども、
基本的には
日本の中で自給ができておるというふうに
考えております。ただ麦ですとか、特に小麦なんかの場合に、あるいは大豆の場合に、これは大分減っておるわけでありますけれ
ども、しかし大体食用の
日本のめん、これに対応するものはもう
国内生産がある
程度私は確保できてきたというふうに思いますし、また納豆ですとか、みそですとか、豆腐ですとか、そういったものの大豆についてもある
程度確保できているというふうに思っております。
ただ問題は、
飼料穀物については、もう御案内のとおり、どうしても
日本の倍以上の面積の中でつくられているものが今
日本の畜産のために使用されているということ、これが一点でありますし、それからさっきからお話があります
酪農製品の
輸入という中でも、たしか二十数%のシェアを占めると思いますし、しかも昨年も九%ぐらい、ことしですか、ふえておりますけれ
ども、これは
飼料用、要するに、
えさにする脱粉というものがふえているというのが実は
現状でございます。そのほか
先ほどの豚なんかにしましても、どうしても
日本人の嗜好というのが、トンカツだとか、そういったものにして食べるものから、ハムとかそういったものにだんだん嗜好が変わってきている。いかも、そのハムなんかもだんだん上位のものを要求するようになってきておるということになりますと、今
日本でつくっている豚の場合に、まだどうしても必要とする例えばロースの部位なんというものが不足しておるというようなことで、これも
輸入せざるを得ないということでございまして、そういったことを
考えたときに、私は
基本的には私たちの
考え方というものはそんなに振れているものじゃないんだと。確かに、いろんな外圧なんかで大きな声が上がりますけれ
ども、しかしそれによって
生産というものが相当追いやられてしまっている
現状にはないということは言えると思います。
ただ、先日
先生と議論をいたしまして、
先生の方から御
指摘があったパイナップル等につきましては、確かに
円高なんというものがありまして、いろんな問題を起こしているなということは私
ども認識をいたしております。
それから足腰の強い農業をということですけれ
ども、
先ほども刈田
先生の方にもお答えしたわけでありますけれ
ども、いずれにいたしましても、私
どもは何といっても
生産性の高い農業をする、あるいはまた請負耕作なんかを進めていくということを
考えたときに、何というんですか、基盤整備というもの、これはもう欠かすことのできない
基本の
考え方であろうというふうに思います。それと同時に、農業というものは今、日進月歩、非常に大きく、私はよく知識集約型の
産業と言うんですが、
労働集約型から知識集約型へ変わってきたということを申し上げておりますけれ
ども、非常に高度な技術というものが必要になってきますし、また新しい技術が開発されるとか、あるいは新しい種子ですとか、そういったものが開発されたときにそれをいち早く取り入れ、それをきちんと管理していくということになりますと、それだけの知恵、ノーハウというものが必要になってくるということ。そういう
意味で、単に担い手というより、きちんとそういうものを兼ね備えた担い手というものが必要であろうというふうに思います。そういったものの上に、上にといいますか、新しいあれとして、技術の開発というものなんかも相当力を入れていかなければいけないんじゃないかなというふうに思っております。
ざっと申し上げましたけれ
ども、以上二点について申し上げます。