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1986-05-20 第104回国会 参議院 内閣委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年五月二十日(火曜日)    午前十時開会     —————————————    委員異動  五月十五日     辞任         補欠選任      太田 淳夫君     桑名 義治君  五月十六日     辞任         補欠選任      桑名 義治君     太田 淳夫君  五月十九日     辞任         補欠選任      矢田部 理君     久保田真苗君      伊藤 郁男君     柳澤 錬造君  五月二十日     辞任         補欠選任      柄谷 道一君     関  嘉彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         亀長 友義君     理 事                 曽根田郁夫君                 村上 正邦君                 太田 淳夫君     委 員                 岡田  広君                 源田  実君                 沢田 一精君                 桧垣徳太郎君                 堀江 正夫君                 穐山  篤君                 小野  明君                 久保田真苗君                 内藤  功君                 柳澤 錬造君    発議者          太田 淳夫君    国務大臣        外 務 大 臣  安倍晋太郎君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 後藤田正晴君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  加藤 紘一君    政府委員        内閣参事官        兼内閣総理大臣        官房会計課長   中嶋 計廣君        内閣官房内閣審        議室長        兼内閣総理大臣        官房審議室長   的場 順三君        内閣審議官    高瀬 秀一君        内閣官房内閣調        査室長      谷口 守正君        内閣法制局長官  茂串  俊君        国防会議事務局        長        塩田  章君        内閣総理大臣官        房広報室長        兼内閣官房内閣        広報室長     金子 仁洋君        臨時行政改革推        進審議会事務局        次長       山本 貞雄君        警察庁長官官房        長        鈴木 良一君        総務庁行政管理        局長       古橋源六郎君        防衛庁参事官   瀬木 博基君        防衛庁参事官   筒井 良三君        防衛庁長官官房        長        宍倉 宗夫君        防衛庁防衛局長  西廣 整輝君        防衛庁教育訓練        局長       大高 時男君        防衛庁人事局長  友藤 一隆君        防衛庁経理局長  池田 久克君        防衛庁装備局長  山田 勝久君        防衛施設庁総務        部長       平   晃君        防衛施設庁施設        部長       宇都 信義君        防衛施設庁建設        部長       大原 舜世君        防衛施設庁労務        部長       岩見 秀男君        経済企画庁総合        計画局長     及川 昭伍君        外務省北米局長  藤井 宏昭君        外務省条約局長  小和田 恒君        外務省情報調査        局長       渡辺 幸治君        大蔵大臣官房審        議官       入江 敏行君    事務局側        常任委員会専門        員        林  利雄君    説明員        外務大臣官房総        務課長      佐藤 行雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○安全保障会議設置法案内閣提出衆議院送付  ) ○恩給法の一部を改正する法律及び国際電気通信  株式会社等の社員で公務員となった者の在職年  の計算に関する恩給法特例等に関する法律の  一部を改正する法律案二宮文造君外一名発議  )     —————————————
  2. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨五月十九日、矢田部理君及び伊藤郁男君が委員辞任され、その補欠として久保田真苗君及び柳澤錬造君が選任されました。     —————————————
  3. 亀長友義

    委員長亀長友義君) この際、理事補欠選任についてお諮りをいたします。  委員異動に伴い、現在、理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事太田淳夫君を指名いたします。     —————————————
  5. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 安全保障会議設置法案を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 久保田真苗

    久保田真苗君 おはようございます。  私は、この間本会議でこれについての御質問をいたしましたけれども、きょうはそれについてもう少し詳しくお伺いしたいと思います。  初めに内閣安全保障会議関係についてですが、内閣法によりますと、内閣法の四条で「内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。」となっておるわけでございます。また、第六条では「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして、今回の設置法提案されております国防に関する事項とか重大緊急事態ですね、つまり我が国の安全に重大な影響を及ぼすおそれのあるもの、こういったものは当然閣議において意思決定がなされなければならないと私は思うわけでございますが、官房長官のお考えをお伺いします。
  7. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 安全保障会議は、国防及び重大緊急事態への対処に関する重要事項について、総理諮問を受けて審議答申するということを任務にしておるわけでございます。つまり、諮問機関として内閣設置をされるわけでございますから、したがって閣議との関係につきましては、答申をせられた内容実施について、閣議を経べきものについては当然その省から閣議請議があり閣議を経ると、こういうことになるのが当然でございます。  場合によれば、必ずしもすべてがすべて閣議にかけるということなしに、各省庁でできる事項各省庁でやっていくと、こういうのが建前であろうと考えるわけでございますが、しかしながら実際の運営に当たっては、この安保会議にかける事項というのは今の重要な事態でございますから、恐らく今私がお答えしたような段取りでいくのが建前でございますけれども、その直後の閣議等でこういう答申があったといった閣議報告、こういう形をとることは私はしばしばあろうかと、かように考えるわけでございます。  いずれにいたしましても、今まで国防会議設置せられておりましたし、それを引き継いでおるというようなこともございますし、従来からの扱いと変わったところはもう全くないと、かように御理解をしておいていただければありがたいと、かように思います。
  8. 久保田真苗

    久保田真苗君 その従来からがなかなか疑問でございまして、ただいまあります国防会議の開催について見ますと、これが特に中曽根内閣になりましてから、いかに閣議にこの国防会議事項を出してないかということがいただいたリストからわかるわけでございます。  例えば、昭和五十七年の十二月以降について見ますと、ここでは「防衛力整備内容のうちの主要な事項」とか、「「五九中業」の作成に際しての基本的考え方」、あるいは新しい装備についての審議、こういったことを取り上げておるんでございますけれども、これで二十回近く開かれているわけですが、そのうち閣議にこれが出されたというのは五十九年の「「五九中業」の作成に際しての基本的考え方」、これは、閣議報告でもない、了解でもない、決定でもないんですね、「閣議説明」と、こうあるだけなんです。そして、次にはあと、「中期防衛力整備計画について」と、このときに一回だけ閣議決定が行われておりますけれども、あとそのほかにつきましては全くこれが閣議にも報告説明もなされていないと、こういうことなんですね。特に、今回の安全保障会議設置法案についても、どうも閣議にどれだけ諮られたのか甚だ疑問なんです。  この点について、なぜ国防会議で事を決めて、そしてこれが閣議に諮られないのか、この点を御説明いただきたいと思います。
  9. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この閣議への付議事項というのは、御案内のように閣議に付議される主な事項左記例示のとおりであるが、その内容によって閣議決定閣議了解または閣議報告として処置されると、こういうことを以前から決めておりまして、で、閣議決定はこういうことだ、閣議了解はこういうことだ、閣議報告はこういうことだということをちゃんと取り決めがございます。それによって処理をしておるわけでございまして、この内閣になって特に閣議決定が少ないとかというような事実は私は全くないと、従来どおり変わってないと思いますが、これらの取り扱いにつきましては、事務当局なりあるいは防衛庁なりから補足をして御説明させていただきたいと、こう思います。
  10. 塩田章

    政府委員塩田章君) 基本的考え方は今お答え申し上げたとおりですが、今御指摘の中の幾つかの件について補足して私から御説明させていただきますが、例えば五十九年五月八日の「「五九中業」の作成に際しての基本的考え方について」と、こういうのは閣議には単なる説明でしかないではないか、こういうお尋ねでございましたが、これは御承知と思いますけれども、そもそも中業というものが防衛庁限りの制度として発足いたしまして、五三中業、五六中業、五九中業という形で、まあ五九中業はできなかったわけですが、そういう形で推移いたしました。したがいまして、元来、五三中業のときには国防会議にもかけない、閣議にもかけないという形で、防衛庁だけの考え方として処理されてきておった。  ところが、御承知のように、それではおかしいではないかといういろんな議論がございまして、五六中業のときに、何らかの形で国防会議にかけるべきではないかという国会等の御議論もございまして、五十六年の四月には五六中業について国防会議報告、了承するという形をとった経緯がございます。それを受けまして、五九中業につきましても、同じような意味で防衛庁内部資料ではあるけれども、これは国防会議に何らかの形てかけた方がいいということから、今御指摘の五十九年の五月の件につきましては、「作成に際しての基本的考え方」という段階のときに国防会議報告し、了承を求めるというやり方をとったわけであります。しかし、依然として基本的には防衛庁内部資料であるという立場を変えておりませんでしたから、そこにとどめておったわけであります。  ところが、五九中業につきましては、その後、昨年の夏の国防会議の何回かの審議を経まして中期防衛力整備計画というものに形をかえることになりました。その際、これは当然、政府計画ということで性格を定められましたので、これは国防会議でも決定をし、閣議にも決定をお願いした、こういう経過がございます。  それから、安全保障会議設置法について、現在御提案申し上げておる設置法について何も閣議にかけていないではないかという点でございますが、これは国防会議審議いたしまして、六十一年、ことしの一月三十一日にいたしまして、その後国会提出に至る前に、一月三十一日にこれは国会提案法律案として閣議提案をいたしまして、閣議決定をいただいております。  以上、先生から先ほど御指摘をいただきました二点について補足して御説明いたしましたが、基本的な考え方として、私どもは従前の国防会議取り扱い中曽根内閣になって変えだということは全然いたしておりません。
  11. 久保田真苗

    久保田真苗君 閣議にかけた方がいいではないかというようなことではなくて、緊急重大事態というようなことであれば、閣議によってのみ意思決定が図られるべきだ、それが我が国政治制度基本じゃないんでしょうか。野党の私がこんなことを言わなきゃならないなんということは本当に情けないことで、なぜ中曽根内閣閣僚はこういうような、閣議決定が形骸化されるようなことな法案をすらすらと許してきたのか、私はその点を非常に疑問に思うわけです。  私は、これと国会との関係というものをもちろん最も重要視するわけですが、内閣制度というものがあって国会への連帯責任を負われるわけで、こういった重大緊急事態我が国の安全に危険を及ぼすような、そういうような事態について、なぜ閣議で必ず決定するとおっしゃれないんでしょうか。総務長官は、今、安保会議諮問会議だとおっしゃったんですね。諮問機関であるならば、これは決定機関じゃないわけです。そうですね。
  12. 後藤田正晴

    国務大里後藤田正晴君) 諮問機関総理諮問にこたえて答申をする、こういう機関でございますから、政府全体のこれで意思決定というわけではございません。
  13. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、重大緊急事態に対する対処は、内閣として意思決定をしないで、この安保会議閣僚だけで決定する、こういうことがある、こういうふうにお考えになるわけでしょうか。
  14. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そこが違うわけでございます。それは、諮問総理がしますね、そうすると、そこで審議をして、そしておおよその政府意思統一を図る、こういうことでございますね。その意思統一に従って、この会議それ自体は何らの権限も新しく付与せられたものではございませんから、そうすると、それぞれの役所でそれそれの法制に従っての職務権限を持っておりますから、そうすると、その基本線に沿って各省ばらばらにならないように、自己の所管事項についてそれぞれの対応策を講じていく、こういう仕組みになっているわけです。その講じていく過程において閣議決定を経べきものというものは当然あるわけでございますから、それはその所管省閣議に付議して、閣議としての政府方針決定する、こういうことになるわけでございます。  そこで、各省仕事をする際に必ずしも閣議決定を経る必要のない細かなこともございます、たくさんの処置の中には。そういうようなものはこれはそれぞれやってよろしい、こう私は一番最初にお答えしたわけでございます。ただ、この重大緊急事態あるいは国防会議といったようなものは相当重要な諮問機関でございますから、通常の場合は、私が先ほどお答えしたように、こういう諮問に対してこういう答申がありましたということは、閣議報告する事例は多いであろう、私はかように思いますが、それは閣議報告するということであって、それぞれの各省が措置をする際の閣議決定、これとはまた私はおのずから別のものである、かように考えます。
  15. 久保田真苗

    久保田真苗君 当然、閣議で決めるとおっしゃった後、またそれは閣議報告になる、こういうことになるんです。ただ、私は、重大緊急事態なんかをなぜ後で報告だけで済ませるのか、その理由を伺いたいと思います。
  16. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いや先生、そう言ってないでしょう、私がお答えしているのは。私がお答えしているのは、総理諮問しますね、そうすると、それを受けてこの会議で一応関係閣僚考え方統一がございますね、それによって、総理はそれを頭に含んで、それで総理意思決定というものは行われるわけですね。しかし、それは、あくまでもそれを受けて今度は各省がそれぞれの法律に従って職務権限を持ってるその権限によって処理していくわけですから、その処理する過程において閣議決定をしないとぐあいの悪い重要な問題がございますから、それは各省から閣議請議をして、そして閣議としての意思決定が行われる、こういう段取りになるわけです。  この機関だけで、特別な権限があって、そしてこれによってたちまち実施をしていくというものではございません。それぞれの各省がその方針に従ってやっていく、ばらばらにならないようにやっていくというのがこの会議性格でございますから、そこのひとつ区分けを御理解をぜひ願っておきたい。したがって、従来からの扱いと私は別段政府全体の意思決定仕組みそのものというもの、そしてそれによっての処理の仕方、これは私は特別変わったところはない、今までどおりのやり方である、かように御理解願いたい、こう思います。
  17. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は頑固かもしれませんけれど、この内閣法に言われているところの内閣閣議職務というものと、今ここに出されているこの、諮問機関とはいえ、このような少数閣僚によって重大事態が決められていくというその状況について、どうしても乖離を感じざるを得ないんですね。でございますから、総理答申をされる、総理意思決定をするということはどういうことなのか、重大事態について総理意思決定するということは、当然、合議体である閣議にこれを出して、閣議が一体として意思決定する、こういうことだと思うんですね。しかし、実際には、今おっしゃったのを聞きますと、それは、まずここでほとんどのことが、どう対処するかっていうその根本のところが決められてしまって、あとどうやれっていうその執行についての何ていいますか指図、それが各省に割り当てられる、このように思われるわけですね。  私は、やっぱり重大緊急事態、国が右行くか左行くか、そこの安危を問われるようなところで、ただ単に内閣内内閣のような寡頭政治によって事実上こういうことを決めて、それをほかの、それよりワンランク下がった感じ閣僚たちにやらせる、こういうことは根本的に間違っているんじゃないか、どうしてもそういう感じがするんですけれども、もう一度お願いします。
  18. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 久保田さんのおっしゃるような御疑念は、この法律審議の際にも、たしか衆議院でもこの種の御質問が出たように記憶をしておるんです。つまり、閣議というものが、これが合議体としての政府全体の意思決定機関ですから、それで決めてやるべきではないか。おっしゃるとおりなんですよ、間違いありません、それで。ただ、御案内のように日本のこの意思決定仕組みというのは、下からどんどん積み上げていきますね。積み上げていく。そして、その最終、重要な問題は閣議で全体としての意思決定、こういくわけですね。  ところが、各省のそういったボトムアップやり方では、こういう重大事態というものは、一つ役所だけの意思決定でできない仕事、たくさんの役所関係をしておりますね、そうしますと、各省の利害が対立をしまして適時適切なる政府全体の意思決定ができない、そこで政府全体の施策がおくれる、うまくいかない、これはもうしばしばある例でございます。そのときには、やはり日本のような場合には、どうしても時にボトムアップだけでなしにトップダウン意思決定をしなきゃならない場合があるわけです。その意思決定がこれ間違われたら大変なことになるわけですね。そこで、総理に対する補佐とでもいいますか、そういうものの仕組みをつくる必要がありはしないのか、その方がより間違いが少ないのではないかというのがこの法律案根底に流れておる考え方でございます。  そこで、こういう会議体をつくりまして、そういうときにはこの会議の議員である何名かの閣僚諮問に応じて協議をして、そして一応の総理自身考え方を固めてもらう、それによってのトップダウン意思決定が行われる、そうすると、その意思決定に従って各省ばらばら処理でなしに統一した方針の中で処理をしていく、その処理過程において重大な事態は、これはもう重要な項目はたくさんありますから、それはそれぞれ閣議決定をして、そして政府全体の間違いのない方針として実行せられていく、こういうことになるわけです。そのうち、ものによっては、細かなことは各省それぞれ所管法律でやるわけですから、各省は別段閣議に一々上げなくても大きな基本方針に外れない線というものはもう決まっておりますから、それによってどんどん仕事をしていくというようなやり方でやっていこうというのがこの法律案趣旨でございますから、そこらはぜひひとつ御理解をしていただきたい。  決して私は、これによって少数の者が勝手に重要な事項を決めてどんどんやっていくんだといったような趣旨ではなくて、各省ばらばらでどうにもならぬやつの調整をやっていく。基本内閣総合調整機能というものが根底にあって、それによってやっているわけでございますから、そこを御理解をしていただきたい。総合調整機能としてやる、こういうことですから。
  19. 久保田真苗

    久保田真苗君 各省を総合調整するというそのこと自体は、内閣官房仕事であることはよくわかるんですね。ただ、官房長官がおっしゃるのは、私の論点をちょっとすりかえていらっしゃると思うんですよ。それは、各省ばらばらで、要するに各省が、特に役人がいろいろ突っ張るから大臣ばらばらになっていって締まりがつかない、そういう事態もあることは事実だと思います。ただ、後藤田長官のおっしゃるトップダウンでやらないとボトムアップでは間に合わないと言われるそこなんですが、ボトムアップが必要だとは私は一言も言ってないんですね。しかし、トップダウンのそのトップはだれかということなんですよ。トップ内閣である、このことを私は言いたい。  ですから、こういう重大緊急事態に対する対処というものを決めるときに何ゆえに閣議決定をするとはっきり言えないのか。むしろ、この法案の中に、内閣に置かれるのですから、これを諮って内閣にこのことを答申するというようなことをはっきりと書くべきだと思うんですね。しかし、もしそうでないのならば、ただ総理主要閣僚の意見を聞いて補佐を受けて意思を決められ、そのことを皆さんに語る、こういうことであるならば何も法律によることはないんです。法律によらなくたって主要閣僚お呼びになってそういう閣僚会議をすることは幾らだっておできになる七この法律にしてあるところに私は一つの危惧を感じるわけですね。これは本当に、いわゆる内閣法の精神からいいますと非常に内閣を形骸化するものである、こう思うんです。  多分、後藤田長官の御意思内閣は形骸化せざるを得ない、こういう基礎に立っていらっしゃるからこういうものを御提案になり、そしてトップダウンと言われる。しかし、なぜ内閣閣議でそのトップダウン意思決定ができないのか。それは結局、総理のリーダーシップの不足を物語っているんじゃないんですか、どうなんでしょうか。
  20. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) まさに閣議でどんどん重要な事項を決めたらいいじゃないか、何もこんなもの要らぬじゃないかと。閣議というものはそういうふうにうまくこういうような事態に適時適切に機能していけば、それはおっしゃるとおりかもしれませんね。しかし、行政運営の実態はそうはまいっておりません。やはり総合調整機能というものをよほどうまく作動させないとできないんだ。その総合調整機能がこれは内閣にあるわけですね、総理大臣持っていらっしゃる。それを間違ったやつをやられたんじゃどうにもならないではないか、だからそれの仕組みというものをこういうふうなものできちんと決めておいたらどうですかと、こういうことであって、別段閣議を形骸化するなんという意思は毛頭ありません。要するに、これを補完をして内外の緊急事態に適時適切なる政府全体の意思決定ができるような仕組みをつくっていこう、こういうことでございます。  今は、閣議云々ということになりますと、各省が意見を全部まとめてきまして、その途中でいろいろ調整もあるでしょう、結局は次官会議にかけてそれでこう上に上がってくる、間に合いません。これは絶対次官会議でまとまるわけないんです。閣議にかける事項というのはみんな次官会議を経てやるんですから、それじゃなかなかうまくいかない。ところが、一方どんどん重大事態が進展していくということですから、やはり総合調整機能で全体の方針というものを間違いなしに決めて、各省それぞれ権限持っているわけですからそれによって仕事をしてください、そういう仕組みをつくろうではないか、こういうことでございますから、そこらはひとつぜひ御理解を賜りたいなと思います。  御疑念は当然出てくると思う。閣議があるんだからそれでいいじゃないかといえばそのとおりなんですけれども、それだけでは総合調整機能がうまくいかない。各省ばらばらでなかなか処理が決まりませんよ。これが実情でございますから、率直に実情を述べまして私はお答えをいたしておきたい、こう思います。
  21. 久保田真苗

    久保田真苗君 二十人以内の閣僚を招集することにそんな困難とか時間がかかるとか、そういうことは全くないと思うんです。だから、これは時間の問題とか招集にかかる問題じゃなくて、要するに閣議の、あるいは内閣の実体、実質の問題だろうと思うんです。そういたしますと、もし議院内閣制をこれからも保持し機能させようというのであれば、そこのところを直さないで、こういう横合いからそれを少数の人間が引っ張っていくというような法律をつくるような方法で解決するということは、決して議会制民主主義のためじゃないだろうと。  もし自民党の政治家の皆さんが、官僚政治にとてもかなわない、官僚に鼻面引き回されてどうしようもない、こういうことであるならば、そのことにこそ活を入れるというのが総理のお仕事なんだし、これを補佐なさる官房長官の任務なんじゃないでしょうか。それをやらないで、こういう法律で、閣議はちょっとわきへ置いといてこれは飾り物、もうともかくこういうものはあるんです、しかしこっちは七人でもってはっぱかとやりましょうということになる。そういうことは本当に本末転倒で、これは憲法の議院内閣制の一つの終止符を打つような方向へ歩み出しているんじゃないか、こういうふうに思うんです。いかがでしょうか。
  22. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) この法律案を通させていただいて別段私どもは閣議の権威を傷つけるなんていささかも考えておりませんから、その点だけははっきりと申し上げておきたい。  あとは、これはもう幾ら申し上げてもなかなか御理解をしていただけないんですが、これはやはり日本の今までの内閣制度の中で、こういう問題は古くて新しい問題、いつ至言われておってなかなかできない話だったんですよ。官僚の抵抗なんです、これは、実際は。しかし、もはやここまで日本が高密度工業社会になりあるいは国際関係が非常に緊密になって、いつどこで何が起きるかわからない、国家国民の安危に重大な影響を及ぼす事態がいつどこで起きるかわからないような潜在的危険性を絶えず包含している今の社会ですから、ならばこれに対応できるような仕組みというものだけは考えなきゃならぬではないか。しかし、その際に、やはり政府全体の最終の意思決定は、これはもう閣議であることだけは間違いございませんから、そこらを形骸化するなんということはいささかも政府としては考えておりません。このことだけはひとつはっきりと申し上げておきたい、かように思います。
  23. 久保田真苗

    久保田真苗君 いろいろありますけれども、そうしますと、閣議がこの重大緊急事態に関する内閣意思決定を行うと、これでよろしいんですね。
  24. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 閣議に付議すべき事項については内閣閣議決定をすると、こういうことでございます。
  25. 久保田真苗

    久保田真苗君 閣議に付議すべき事項をそれじゃ御説明ください。
  26. 塩田章

    政府委員塩田章君) 閣議付議事項について、先ほどもちょっと官房長官が引用されましたけれども、いかなるものを閣議に付議されるかについての決まりがございますが、閣議には閣議決定閣議了解閣議報告といった形で付議されますが、その場合の閣議決定は、内閣としての意思決定する事項について行われる。閣議了解は、各省庁の権限に属する事項のうち特に重要と認められかつ他省庁にも関係する等、事案決定の及ぼす影響から見て閣議に付議することを適当とする事項について行われる。閣議報告は、国政に関する主要な調査の結果の発表、各種審議会の答申等、閣議報告することが適当と認められる事項について行われる。以上のような、これは規定ではございませんが、取り扱いになっております。
  27. 久保田真苗

    久保田真苗君 今のお話では、実際には何にもわかってないんです。  ともかく、重大緊急事態、それから国防についても、従来中曽根内閣において本当に閣議に提出されていない。こんな状態を内閣閣僚はもっと反省していただかなきゃならない。なぜなら、内閣しか国会に責任を負ってないんですからね。こういう国防会議だけで物を決めていくというようなことは、もう本当に反省していただかなきゃならないと思うんです。このことについて、特に官房長官にもう一度お願いしておきます。
  28. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 政府としましては、行政の最終責任、これは内閣が負うわけでございますから、その役割を軽視するとか、そういうことはいささかもございません。あくまでも内閣中心、これで行政を推進いたしたいと、かように思います。
  29. 久保田真苗

    久保田真苗君 次に、「重大緊急事態への対処」ですけれども、これでございますと、総理が必要と認めるときはこれ会議に諮るものとするということでございますから、これは必ず語らなければならないというものではない、総理の判断で諮っても語らなくてもよろしいという意味でよろしいでしょうか。
  30. 塩田章

    政府委員塩田章君) その点は、今度の法律の第二条第二項についてはそのとおりでございます。つまり「重大緊急事態」についてはそのとおりでございます。
  31. 久保田真苗

    久保田真苗君 それからここにございます、三項にあります「国防に関する重要事項及び重大緊急事態への対処に関する重要事項」というのは、わかりやすく言っていただきますとどういう事柄についてしの会議は意見を述べることができるわけですか。
  32. 塩田章

    政府委員塩田章君) これは「重大緊急事態」について申し上げますと、前項の第二項では、ある事態が発生した場合にどう対処するかについて諮問をする。それに対しまして三項の方は、事態が発生したしないにかかわらず、平常時から事態がもし発生したらどういうふうに対応していくべきであろうかといった基本的な方針なり政府としての考え方、そういったものを平素からいわゆる勉強をしておいて、必要に応じ、また総理に意見を言うことができるという趣旨で設けられた規定であります。その点は「国防に関する重要事項」についても同様でございまして、要するに諮問を受けて答申をするというだけでなしに、会議としての意見を述べることができる規定をこの三項に置いた、そういうものでございます。
  33. 久保田真苗

    久保田真苗君 この「会議は、」「意見を述べることができる。」という意味ですが、これはどういう意味ですか。この会議にいる議員が意見を述べるという意味なのか、それとも会議会議の結論を総理大臣に述べるという意味なのか。
  34. 塩田章

    政府委員塩田章君) ここで申しておりますのは後者でございまして、会議としての意見を総理に述べる、こういう趣旨でございます。
  35. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、この会議についての意見を述べるのは、内閣総理大臣に述べるのは内閣総理大臣である議長がする、こういうことになるわけですか。
  36. 塩田章

    政府委員塩田章君) 議長である内閣総理大臣が議長として取りまとめたものを内閣総理大臣に述べる、こういうことになるわけでございます。
  37. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうすると、具体的にはどういうことになるんでしょうかね。よく写真なんかで見てみますと、審議会長なんかが、臨調の会長なんかが答申内閣総理大臣に出していますね。そうしますと、それはどういう形になるんですか。議長である総理総理に対して答申するというのはどういう形になるんですか。
  38. 塩田章

    政府委員塩田章君) この場合は議長が総理自身でございますから、答申の文書を差し出すという形はとれない、御本人でございますから。しかし、そういう例はよくあるんではないでしょうか。議長である方が、この場合は総理ですが、行政機関総理に対して意見を答申するということは、私はそのこと自体は別に不思議なことではないというふうに感じております。
  39. 久保田真苗

    久保田真苗君 形にならないというだけじゃなくて、頭の中も分けることができないわけですね。議長である総理内閣総理大臣である総理答申をする。結局そうなりますと、内閣総理大臣である総理は議長であって、答申している総理と頭の中は同じだと、こういうことになるわけですね。
  40. 塩田章

    政府委員塩田章君) 実態のことを考えますとそれはそのとおりで、開いておる会議に議長として出席しておられるわけですから、そしてどの議員がどういう意見を述べられてそれがどうまとまったということはすべて議長として御存じなわけでございますから、そういう意味では議長である総理から改めて内閣の首長たる総理に提出するもしないもない、一緒じゃないかと言われればそれはそのとおりだと思いますけれども、そういう形をとっておりますし、そういう例は私はほかにもたくさんあるんじゃないかと思っております。
  41. 久保田真苗

    久保田真苗君 これはまず、もちろん絵にはなりませんですよね。絵になるのかもしれない、前代未聞ですからね、かえって。ですけれども、これ法律なんですから、それだったらそこで議されてこれを諮られでこういう意見を具申するというその意見というものは、当然できるだけ、もちろん文書になると思うのですね。そうしますと、安保会議議長中曽根康弘、内閣総理大臣中曽根康弘殿と、こういうふうになるわけですか、そうしますと。
  42. 塩田章

    政府委員塩田章君) そういうことになると思います。
  43. 久保田真苗

    久保田真苗君 これは本当におかしな話だと思いますね。国の安危にかかわるような重大事項について総理総理に自分で答申して、そしてその答申の相談相手になった閣僚というものは閣議のメンバーの一部である、こういう状態ですから、実にこれは内閣の中の内閣で、実質的に大きい本当の内閣じゃなくて、小さい、総理の何といいますかインナーキャビネット、これでもって事を決めていこうと。そのためにこんな無理な、形式的にも実質的にも無理なことをしなきゃならない。本当にこれはおかしいと思いますね。  私は、やはりこういうおかしな形式を踏んでいるこういうものは、ぜひもう一度考え直していただきたいと思うのですね。そうじゃありませんと、これこそ一人の人がこっちもやる、こっちもやる、その長であると。そして、その人が非常に大きな三軍の指揮権、警察の指揮権、こういうものを持っているというようなこういう状態になったときは、本当にこれは議会制民主主義なんてものじゃないんです。私は、この法案というものは、そういう意味で少なくともこれは内閣に対して答申するのだというふうに直していただきたいですね。いかがでしょうか。
  44. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 久保田さんの御意見は御意見として拝聴いたしますけれども、内閣総理大臣諮問して、それで自分が議長である、同じ頭じゃないかと、こう言いますけれども、頭の中身は私は違うと思いますね。それは総理大臣の立場において極めて重要であるからこの安保会議でひとつ議論をしてくれと、こう言って議論をして、その議論の結果を自分が受けるわけですから、その中のメンバーではありますけれども、自分一人で決められないですね、これは。これは久保田さん、あなたもお役人をやっておったから御承知のはずで、幾らだってこんな例はあるじゃないですか、同じ立場で。こういうものは、これは私法して珍しい例とは思いませんよ。今具体的に何があるかとなれば法制局を連れてきて答弁させなきゃいかぬと思いますが、これは幾らでもあるので、そこはひとつ、これは御理解をしていただきたい、こう思います。
  45. 久保田真苗

    久保田真苗君 ちょっと角度を変えて伺いますけれども、今の三項に「会議は、」「意見を述べることができる。」、こうありますけれども、閣議との関係で言いますと、内閣法の中に、四条にありますけれども、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」、こうありますね。そういたしますと、最低限度、もしこのことが非常に自分の、要するに閣僚というのは同じ発言権を持っているわけですから、閣僚の意見が非常に無視されていると感じたときはこの案件を閣議に提出することを求めることができる、こういうふうには、その辺くらいのセーフガードはあるというふうに考えていらっしゃるわけですか。
  46. 塩田章

    政府委員塩田章君) 私は、それはちょっと違うと思うんですが。といいますのは、四条は、「各大臣は、案件の如何を問わず、内閣総理大臣に提出して、閣議を求めることができる。」とあります。これはこのとおりでございますが、これは各大臣所管事項ではないでしょうか。といいますのは、こちらの方は会議としての意見でありまして、会議に臨んだ一人の議員、その一人の人の意見ではありませんから、自分でこの三項で決めた意見を閣議にかけるべきであるということを主張することは、私はできないのではないかというふうに理解いたします。
  47. 久保田真苗

    久保田真苗君 それは非常に重大な発言だと思いますよ。内閣閣僚は連帯して国会に責任を負っているわけです。その職権は閣議によって行うわけです、内閣は。だから、各大臣は案件のいかんを問わず総理にこれを出して閣議を求めることができるわけです。その辺に制約はないはずなんですね。ですから、今の閣僚がどれだけこういうことをなさるかということは別として、可能性としては、この国防に係る事項、少なくともこれは産業調整まで含んでいるのですからね。だから多省庁に、ほとんど全省庁にわたるからこそ、こういうものを内閣官房に事務局を置こうと、こういうお話なんでしょう。そうじゃなかったら何も置く必要はないですよね。内閣官房で総合調整だなんということをなさる必要はない。そうじゃなくて全省庁にかかわりがあるから、だから内閣官房がお出ましになっているわけなんです。  ですから、そういうことから見れば、当然所管大臣は、すべての閣僚は、重大事態あるいは国防に関すること、要するに産業調整まで含む、こういう事態に対して閣議を求めてこれに対して意見を提出することができると、官房長官、こういうふうに私は思うのですけれども、官房長官の御答弁をお願いします。
  48. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は前段の御質問をまことに申しわけないが詳細聞き逃しまして、相済まぬ話ですが、要するに、閣議に付議すべき事項については、各国務大臣国務大臣たる立場において所管のいかんにかかわらずこれは発言ができます。これはもう御自由にできるわけでございます。
  49. 久保田真苗

    久保田真苗君 ついでに、閣議を求めることができる、閣議においてそれを議することを求めることができる、このことは確認していただけますね。
  50. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは自己の所管に応じてできるわけでございます。所管外のことは私は無理ではなかろうかと、こう思います。
  51. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、官房長官は一体どれだけの省庁にこの安保会議内容になることが関係し得ると、こうお考えになるのですか。全くこれから外れて、何にもかかわりのない省庁というのはあるとお思いですか。
  52. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは事態のいかんによりまして、これは特にこういった事態関係が深いであろうと一応常識的に考えられる方を少数会議の議員として法律で決めでありますが、それ以外に、この条文の中にも関係各省大臣なりあるいは職員なりが会議に参加できると、こう書いてありますから、事態のいかんによっては関係大臣がほかにもいらっしゃると、こう思います。そうすればその方は会議に当然出てくる、こういう仕組みになっているわけでございます。
  53. 久保田真苗

    久保田真苗君 大蔵省の御希望で、ちょっと私テーマを飛ばしまして、この安保会議における各所管大臣、このレギュラーメンバーになっていらっしゃる所管大臣の役割と、これだけの少数が選ばれているその根拠になるようなところをお願いしたいと思うんです。まず、それを時間の関係で大蔵省に先にお願いします。
  54. 入江敏行

    政府委員(入江敏行君) お答えをいたします。  先生承知のとおり、安全保障会議の任務につきましては法案の第二条で定めているわけでございますけれども、そこで二つ大きな項目がございます。一つは「国防に関する重要事項」、それからもう一つは「重大緊急事態への対処に関する重要事項」、この二つがございますが、それの審議に当たりましては、申すまでもないと思いますけれども国の財政面からの観点、これも十分その審議の観点として加えなければ適切な結論が得られない。そういう意味でその財政面からの観点というのは不可欠なものでございます。そういうような見地から、従来の国防会議におきましても同様でございますけれども、この安全保障会議におきましても国庫大臣たる大蔵大臣の立場から議員とされているものと我々考えております。
  55. 久保田真苗

    久保田真苗君 内閣官房の再編成がこれにあわせて政令で行われます。  今度の再編成の目的と、それからどのような形で再編されるのか。
  56. 的場順三

    政府委員(的場順三君) お答えをいたします。  内閣官房の組織の再編成につきましては、「昭和六十一年度に講ずべき措置を中心とする行政改革の実施方針について」という昨年十二月の二十八日の閣議決定に基づきまして、仮称でございますが、内閣に内政調整室、外政調整室、安全保障室、情報調査室及び内閣広報官を設置する、これに伴いまして内閣審議室、内閣調査室、内閣広報室及び国防会議事務局を廃止するとともに内閣広報官室、これも仮称でございますが、を設置するということにしております。また、内閣参事官室は現行どおり引き続き存置することとしている、これが組織の再編の形でございます。  それから、各室の所掌事務でございますが、これは行政改革の推進に関する答申、昨年の七月二十二日の御答申趣旨を踏まえまして、基本的には次のとおりとすることができるものであると考えております。  まず第一に、内政調整室は、内閣レベルの総合調整に関する事務のうち国内問題に関するものを行うというふうに考えております。それから外政調整室は、内閣レベルの総合調整に関する事務のうち対外問題に関するものを行うというふうに考えております。それから安全保障室は、ただいまも議題となっております安全保障会議に関する事務並びに内閣レベルの総合調整に関する事務のうち国防及び重大緊急事態等に対処するものを行うということを考えております。  それから情報調査室は、内閣の重要政策に関する情報の収集、調査及び分析に関する事務を行うというふうに考えております。それから内閣広報官及び内閣広報官室は、行政各部の広報に係る施策に関する統一保持上必要な総合調整に関する事務及び内閣の広報に関する事務を行うというふうに考えております。なお、内閣参事官室は、現在と同様、閣議事項の整理その他内閣の庶務を行うということにしたいと思っております。  以上でございます。
  57. 久保田真苗

    久保田真苗君 従来の内閣官房権限に対してこれは新しい権限内閣官房に与えるものではもちろんないと思いますが、いかがですか。
  58. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 安全保障会議及び安全保障室に関する事務については、事務局長の方からお答えいただくのが適当と思いますが、その他の部門については、内閣官房の再編成でございますから新しい権限を付与するというものではございません。
  59. 久保田真苗

    久保田真苗君 新しい権限を付与しないんですけれども、内閣審議室を改組して内政、外政、こうなるわけですけれども、定員が随分たくさんふえているように見えるんですが、今はどういう官職の定員がどれだけで、改組されますと内政、外政それぞれ一体実際に何人で、どういう人によって構成されるのか、御説明ください。
  60. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 内政調整室の新しい定員は、内閣審議官十二人、うち一人は室長でございまして、内閣事務官三十一人、合計四十三人の職員というふうに考えております。それから外政調整室は、内閣審議官七人、うち一人は室長でございまして、内閣事務官十二人、合計十九人の職員を置くということで考えております。  ただ、これはできるだけ現行の職員を、各省の協力もお願いいたしまして各省の定員を振りかえる等の措置を講じまして、この内政調整室、外政調整室で純増は七人でございます。
  61. 久保田真苗

    久保田真苗君 外政調整室に新規増が七人ですね。
  62. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 内政調整室、外政調整室、合わせて七人でございます。
  63. 久保田真苗

    久保田真苗君 合わせて七人ですか。
  64. 的場順三

    政府委員(的場順三君) はい。
  65. 久保田真苗

    久保田真苗君 そして、安全保障室の方はどういうふうになっておりますか。
  66. 塩田章

    政府委員塩田章君) 現在国防会議事務局は定員二十一名でございますが、安全保障室になりました場合二十四名、三名増を予定いたしております。
  67. 久保田真苗

    久保田真苗君 三名純増ですね。  それから、今まで内閣審議室の室長は代々大蔵省から御出向しておられるんですが、今後こういうふうにたくさんになりますとヘッドが多くなるわけですわね。そういたしますと、従来の内閣審議室の業務であった内政、外政、このあたりは一体どういうところから次官級の方がお見えになるんでしょうか。
  68. 的場順三

    政府委員(的場順三君) これは大変事務方からは答えにくい話でございまして、従来内閣議室長は大蔵省から確かに出向してきておりますが、外政調整室ができるに伴いまして、内政と外政の室長をどうするかという話はこれからの話し合いだろうと思いますが、従来の経緯がございますから、これは官房長官の御意向、内閣側の御意向次第でございますけれども、恐らくは大蔵省もどちらかに入るのであろうと、外政の方は別の省庁がから来られるのではなかろうかというふうに考えておりますが、これからの問題であると思っております。
  69. 久保田真苗

    久保田真苗君 官房長官、いかがですか。お差し支えもうないんじゃありませんか、こんなことはもう下馬評にすぐ乗る話なんですから。どうぞ忌憚のないところ、内政、外政、安保、情報調査室、このあたりをよろしくお願いします、機能強化される以上はどういう方が来るか。
  70. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 人事のことでございますから、だから特別にどの役所からどうしなきゃならぬというルールはございません。しかし、まるっきりの素人というわけにはいきませんので、やはりその業務にふさわしい役所から優秀な人材にお越しいただくということになりはせぬかな、かように考えるわけでございます。
  71. 久保田真苗

    久保田真苗君 安全保障室なんというところは、そういたしますとふさわしいというとどういうところになりますのでしょうか。
  72. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは、やっぱり一番近いといえば防衛庁に私はならざるを得ないと思いますね。だけれども、防衛庁のそれじゃ現在の職員かといえば、これは防衛庁というのは人事交流をほかの役所といたしておりますから、いずれにせよそういった広い範囲で選ぶのが常識だと思います。しかし、いずれにせよ一番近い役所は、これは何といっても防衛庁である、こう言って間違いないと思います。
  73. 久保田真苗

    久保田真苗君 それで、安全保障室に防衛庁の方が何人かいらっしゃるんだろうと思うんですけれども、その場合、文官、武官、どちらもおいでになる、こういうことですか。
  74. 塩田章

    政府委員塩田章君) 現在、国防会議には武官の人はおりません。  今度安全保障室になってどうなるかということは私今ここで申し上げられませんけれども、恐らく同じような形になるんではなかろうかと思っております。
  75. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官、御意見いかがですか、今の点につきまして。今度安全保障室ができるわけです。そういたしますと、一番近いのは防衛庁であろうと、こういうことなんですが、一体防衛庁仕事とそれからこちらの安全保障室の仕事、これはどういうふうに所掌が分かれ、そしてどういう人員を派遣なさろうと思っていらっしゃるのかお聞かせください。
  76. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) それは、官房長官塩田国防会議事務局長の御所管及び人事権の範囲でございますので、こちらからは申し上げるべきことではないと思います。しかし、いずれにいたしましても国防事項というのは、今度の安保会議の中でも最も重要な事項一つであろうと、こう思っております。
  77. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃ大蔵省に伺ってしまいますけれども、例えば大蔵省は、財政の問題というとすべては財政にかかわるわけですからすべてにかかわるんだろうと思うんですけれども、例えばこれらの室で大蔵省というのはどういう役割を持つんですか。例えば、例の円高問題とか貿易摩擦とか、それから対外経済協力とかといったような面で、何かこちらの大蔵省の通貨対策、大蔵当局の仕事、プロパーとは別にこちらでもってそういう政策的な意味にも関与なさるわけでございますか。
  78. 的場順三

    政府委員(的場順三君) ちょっと大蔵省から直接お答えされる前に、内閣審議室の方からお答えした方がいいと思いますが、内閣審議室は、現在やっております事業、それから内政調整室。外政調整室に分かれましても同じでございますが、閣議にかかる重要事項の総合調整ということで、各省の事案の総合調整をやります。  その総合調整をやるにどういう省庁から人が来ていただくかということでのお尋ねだと思いますが、これは私、現在担当しております仕事は非常に複雑多岐でございまして、長官の厳しい御指導を受けて一生懸命やっておりますけれども、例えば婦人問題から障害者対策、それからいろいろ御議論ございますけれども、前川委員会の事務局を務めたというふうなこともございますし、それから本委員会でも御質問のございました台湾人元日本兵の方々の補償問題、いろいろ複雑な問題がございます。  そのそれぞれについて、例えば大蔵省の立場からいえば財政問題がその裏に必ず伴ってくるという点もございますし、それかも経済事案でありますれば経済企画庁なり通産省なり農林省の方々がどうしても来ていただく必要があるということもございますし、それから安全保障室ができますと移そうというふうに考えております緊急事態対処の問題につきましてはやはり警察の方々も必要でございますし、そういった点から各省の方々に来ていただいているというところでございます。  大蔵省プロパーの問題につきましては、大蔵省から答弁していただきます。
  79. 入江敏行

    政府委員(入江敏行君) 御質問が非常にお答えにくい御質問だと思いますが、御承知のとおり行政組織というのは各省所管を持っておりまして、それがずばり縦に完全に重複なくなっていれば問題ないわけでございますが、重複がある場合にはお互い重なり合うところを調整しなきゃならない。それは、各省レベルでももちろん調整をいたしますし、各省を超えて例えば経済企画庁とか国土庁のような、そういうもう一つ上のレベルでも調整をいたしますし、最終的には内閣のところでも調整するわけでございます。で、内閣調整する場合にも、今審議室長からお話がありましたように、事務レベルで審議室が各省庁の意見を聞き、事情を聞きながら調整する場合もありましょうし、もっと上の内閣レベルで調整をすることもあろうかと思います。  今御質問のいろんな大蔵省所掌事務がどういうふうにして調整されるのかというのは、まさにどういうレベルで調整するのが一番適切かという判断によるわけだと思いますので、一概にどの内閣の組織で大蔵省関連マターが調整されるかというのは、ちょっと一概にお答えにくいことだと思うんでございますが。
  80. 久保田真苗

    久保田真苗君 それじゃ外務省に伺いますが、今回マルコス問題で、対外経済協力の面でいろいろな問題がさらけ出たわけです。ところが、これに対してどうも責任体制が極めて不明確でして、どこの省庁もその一部にしかかかわっていないと。それじゃ、それを適正に国民の血税、財政投融資が運用されるためにはどうするのかといいますと、それは交換公文によって一義的に外務省が責任持っている、こういうことなんですね。しかし、この対外経済協力につきましては、経済協力基金もあり、またどういうわけか外務、大蔵、経企、通産という四省庁の体制で進められている、こういうことなんです。私どもは、適正な援助資金の運用というものに大いに関心を持ち、責任体制を明確にしていただきたいと思っているわけですけれども、例えば今回のこの内閣官房への外政調整室の設置とこういった従来の四省庁体制なんかの関係はどういうふうになるとお考えでしょうか、外務省。
  81. 佐藤行雄

    説明員(佐藤行雄君) お答え申し上げます。  外政調整室が今後どういう仕事をお扱いになるかということは、今後設置されましてからの問題でございますので、今の段階で現在の問題と外政調査室の関係について申し上げることは差し控えさせていただきたいと思います。  ただ、外政調整室につきましては、先ほど来の御説明がありましたように、内閣の政策総合調整という見地から、対外問題にかかわる問題についてその国内調整を行うということになると我々も理解しております。そういう枠の中で必要とあれば問題となるのかもしれませんが、現在の具体的な問題について将来の外政調整室でどう扱われることになるかということについては、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
  82. 久保田真苗

    久保田真苗君 まあ答えを差し控えるのは結構ですけれども、外交の二元化ということを私どもは心配しているんですよ。それなのに、外務省が一体これに対してどう対処するのか、交換公文だけをもって窓口は外務省だと言っていたのでは、とっても対外経済援助の適正化なんか図られるわけがないと私は思っているんです。皆さん、それだからこそああいう特別委員会までできたんだと思うんですよ。そういうことをお考えになって、余りお答えを差し控えていれば無事だというような態度は今後改めていただきませんと、外務省はとんでもないことになると思いますね。  それでは、官房長官に伺いますが、審議室が廃止になるんですけれども、あそこには婦人問題担当室という一つのユニットがあるんですね、今、官房長官のもとであれは今後どうなるんでしょうか、こういうふうになりますと。
  83. 的場順三

    政府委員(的場順三君) これは長官からお答えがあると思いますが、私の方から事務的な話もございますので。  婦人問題、大変重要でございますから、あの室は存置するつもりでございます。
  84. 久保田真苗

    久保田真苗君 まさかなくされるとは思ってないんですよ、存置は当然なんです。どういう形で位置づけがどこに入るのか、これどういう位置づけになるんですか。この内政、外政調整室の外にあるわけですか、それともどこかに入るわけでしょうか。
  85. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 国連婦人の十年等の関係がございますから、これは外政問題にも深くかかわり合いのある話でございます。それから、普段やっております仕事はそれを国内で推進するということでございますから、国内の推進体制ということで仕事の分量からいきますと内政の方が多いと思いますから、内政調整室に附属させていただくということにしてはどうかと今の段階で考えております。    〔委員長退席、理事曽根田郁夫君着席〕
  86. 久保田真苗

    久保田真苗君 婦人問題のような本当に広い総合調整を要するものは、かえってこういうふうにお分けになったために何か所掌事項が半端になりはしないかと、そのことを私とても懸念しているんですね。もし何でしたら婦人調整室というのをもう一つ設けていただくというようなそういうことはどうお考えですか、それが私は正解だと思うんですけれども。
  87. 的場順三

    政府委員(的場順三君) 事柄に応じまして、当然その内政調整室、外政調整室との調整をし、また各省それぞれと十分調整をいたす所存でございます。  それから、現に今の婦人問題室は大変うまく機能していると自分でも思っておりますが、今後も同じような状況が続きますので、この内閣官房の機能の強化の一つとして婦人問題室を置くことがあえて必要かどうか、現在のままでも十分機能するのではないかというふうに考えております。
  88. 久保田真苗

    久保田真苗君 ともかく、条約の件もありますね、婦人差別撤廃条約もあるし、そのほかのいろんな条約がございますよね、そういうことにもかかわりがあるんだし。ILO条約もある、ユネスコ条約もある、それから国連条約もある、いろんなものがあります。ですから、外政にも非常に関係大きい。これは、次々未批准条約をどんどん批准していくために国内体制を整備していただくという、こちらはそういう立場なんですから、内政に入れたからこっちの方がお留守になるというのも甚だ困る。やっぱり婦人問題のような、人間問題のような総合的なものというのは、どうも内政、外政と分けた中へはしっくりとこない感じがするんですね。その点を十分に配慮していただきませんとこれは非常に半端なことになる、こう思いますので、官房長官もひとつどうぞその点よろしくお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
  89. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 婦人問題の重要性ということは十分に認識をいたしまして、そしておっしゃるような御趣旨も頭に置きながら検討していきたい、こう考えております。
  90. 久保田真苗

    久保田真苗君 もう一つ同じケースなんですが、総合安保閣僚会議というのがございますね。それの事務局が現在あるわけですけれども、これはどういうふうになりますのでしょうか。
  91. 塩田章

    政府委員塩田章君) これは、現時点での考え方としましては安全保障室で担当したらいいのではなかろうかというふうに考えております。
  92. 久保田真苗

    久保田真苗君 安保室に入れると、こうなります、事務局はね。  ところで、この総合安保会議にはいろいろなあれがあるんですね、閣僚がいらっしゃる。これは閣僚だけじゃないんですね、自民党の幹事長さん、総務会長さん、政務調査会長さん、こういう方がお入りになっていらっしゃるんですけれども、これは事実ですか。
  93. 塩田章

    政府委員塩田章君) 入っておられます。
  94. 久保田真苗

    久保田真苗君 どういうわけで与党だけをお入れになるんですか。これはちょっと、こういうことは今まで余りなさらなかったことだと思うんですがね。ほかのところでも、議員がメンバーになる場合には与野党から入れていらしたと思うんですが、これはどういうわけでしょうね。
  95. 塩田章

    政府委員塩田章君) 私、先ほど出席をしておられますと言いましたのは会議のメンバーとしてではございません、会議に出席を求めて出席していただいておる、こういうことでございます。  どういうことかということでございますけれども、私詳しくは承知しませんけれども、例えば経済対策関係閣僚会議等でもこういった例はあるように聞いております。これは五十五年に閣議決定をしたものでございますけれども、その時点でそういうふうな方がよかろうという判断をされたように聞いておりますが、直接私の担当でございませんので、それ以上の理由はちょっとわかりかねます。
  96. 久保田真苗

    久保田真苗君 自民党の方がお出になるということについては、国防会議事務局長がお答えになれる筋合いでもございませんよね。  官房長官にお伺いします。一体これはどういうことなんですか。私どもも、野党から希望すればここへ参加できるわけでございますか。
  97. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これはやはり現在の政治の仕組みが政党内閣である、多数党が政権を担当しておるということでございますから、政府・与党一体となった仕事をやらなきゃならぬ、こういう意味合いから、経済対策閣僚会議であるとか今お話しの総合安保閣僚会議、こういったものに与党のそれぞれの立場の幹部に党と政府との間の連絡ということで御出席を願っておる、こういうように御理解をしていただきたいと、こう思います。
  98. 久保田真苗

    久保田真苗君 私は、幾ら近しい仲ででも政府と与党とは別個のものだと思いますよ。この安保会議、その事務、これを行っているのは国の予算でやっているわけですよ。私どももその税金を払っているわけでございますね。    〔理事曽根田郁夫君退席、委員長着席〕 それをなぜ、一つの政党である自民党が与党だからといってこの政府の組織に参加されるわけでございますか。これは非常に締まりのないやり方だと思いますね。
  99. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それはいかがなものでしょうかね。  政党内閣でございますから、多数を占めておる政党が内閣を組織して、公約に従って政治を行う、それに従って行政が行われるということでございますから、政府・与党の間の意思が食い違っては私はいけないと思います。そういう意味合いにおいて、こういった会議体に与党の幹部に出席をしてもらう、そして連絡を緊密にしておくということは私は極めて重要なことであろうと。  しかし、これをいよいよ政策として実行していくということになれば、これはやはり閣議というもので行政に対する責任は内閣が負うわけでございますから、その内閣閣議の中に政党の人だけの立場で入ってくるということはあり得ないと、こう考えるんです。このことは納税の立場とは別じゃありませんかね。これは、政府がいろんな施策をやるのにはいろんな立場の人に来てもらうことがありますけれども、これはみんなやはりそれなりの経費がかかっておっても、これはほかの人も入ってきておりますからね。この場合は、これは議院内閣制ということで政府・与党の意思の連絡を緊密にしなくちゃならぬ、これは当たり前のことじゃないでしょうか。  だから、久保田さんのおっしゃる意味も理解できないこともありませんけれども、ここへ与党でなしに野党も入れるというのは、ちょっと私は政党内閣建前上、無理な御主張ではなかろうかと、こう思います。
  100. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうおっしゃられると私も黙っておれないのですね。  政党政治、それは確かでございます。だけれども政府の組織でございましょう、この安保会議というのは。政府の組織の中になぜ政党人が入るんですか。そんな、政府と与党の間を緊密にするのだったら、それは党内でおやりになったらいいし、党との連絡会議を独自にお持ちになればいいんです。国の予算を使ってやるこの政府機関、本来政治的に中立であるべき公務員の立場のこの政府機関になぜ一つの政党がお入りになるんですか。
  101. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) だから、与党との連絡を緊密にするという意味合いにおいてこの会議に参加をしてもらっておる、私はそれでいいんではないかなと。別段これは法律上の制度というよりは、これは閣議決定をしまして設けておる制度だろうと私は理解しておるんですけれども、それでいいんじゃないでしょうかな。
  102. 久保田真苗

    久保田真苗君 こういう党の幹部というのは内閣閣僚、そういう方たちよりずっと有力なんですよ。そういう事実関係、さっきから官房長官が言っていらっしゃる閣議の事実関係、これも事実関係でございまして、こういうけじめのないことは私はもう今後おやめいただきたい、このことをともかく要望しておきます。  そして、ちょっとさっきの案件にもう一度戻らなければなりません。今度は、この安保会議の組織の問題になるんでございますね。その前にちょっと重要事項について伺っておきましょう。  この「重大緊急事態への対処」ですね、この「重大緊急事態」は何かということなんです。三つの例が挙がっていることはわかっています。わかっているけれども、その後だんだん官房長官は範囲を広げていらっしゃいますね。一体どういうことなんでしょう。
  103. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 「重大緊急事態」というのはあらかじめなかなか想定しにくい。要するに一般論として、国家の安全、つまりは国民の生命、財産に重大な影響を与えるおそれのある緊急事態、こういうことでございますから、そういう私どもは概念規定を設けて、しかし過去はどうであるか、こういうことでございますから、過去の例を見ればこういうことは当たると我々は考える。こう言っておるわけでございまして、別段私は範囲を広げるとか広げないとか言うたことはないように私は考えております。
  104. 久保田真苗

    久保田真苗君 この前、穐山議員の質問に対しまして、例えば災害対策基本法で対処すべき、そして災害対策本部が対処すべきそういうものがある、その大規模の災害についても場合によって警察の非常事態宣言だとか自衛隊の治安出動ですかね、こういうことを重大緊急事態に含めるというふうにこの前発言なさったように思うんですが、どうだったんでしょうか。
  105. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは、私のお答えは、普通の場合であれば災害対策基本法ですか、これの中にきちんと制度ができておりますからそれで処理ができるであろう、こういう前提に立っているわけです。  ただ、過去の例で、例えば関東大震災、これは災害の私は規模を言っているんではないんです。つまり、マグニチュード幾らで何がどうというんではなくて、今は大変防災施設が完備しておりますから、あの程度の地震でも私はあのような事態にはならぬと思います。しかし、私が言っているのは、あのような事態を想定していますね、そうしますとあのときは大変な私は社会不安、政治的混乱、これが生じたと思います。だからこそ、たしかあのときは戒厳令がしかれたんじゃないかなと私は記憶しておるんですが、そういった事態を想定した場合に災害対策の会議だけで対処できるかと。それでは非常に幅が広くなりますから、だから社会的、政治的な大混乱といったようなことで対処の幅が広くなるといったような場合には、これはその中でともかく、背の戒厳令であれば今の治安出動の一種だと思います、これは国防事態ですから。今度の法律でも引き継いでおりますね。  しかし、その前の段階が一つある、それは警察による非常事態宣言。これは警察組織というものを、公安委員会組織を設けて、直接総理大臣が監督していくということで、実態的な権限はもう全く強化になっているというわけのものじゃありません。しかしながら、そういうような一応の体制はできておる。ところが、災害対策本部をつくって、そういった事態に対して、それじゃ警察の非常事態宣言をするかしないか、それがいいか悪いか。さらに一歩進んで、それじゃ警察力ではどうにもならぬよと、これは。ならば、その支援後拠という意味において自衛隊の治安出動ということをじゃどう考えるんだと、出すのか出さぬのか。これは極めて私は重大な判断だと思います。そういうときに、災対法の対応の中で私は処理ができないんではないかなと。  そうなれば、まさに今度のような重大緊急事態として一応の論議をして、そして、それをそれこそ私は閣議にかけて決定をしていく、こういうことになりゃせぬかなと、かように理解をしておるのでああいうふうな御答弁を申し上げた、そこのところを御理解を賜りたい、こう思います。
  106. 久保田真苗

    久保田真苗君 ミグ、ダッカ、KAL、こういう事件の例を、盛んになぜこういうものをお挙げになっているのか。結局、本当のねらいはこの辺にあるわけですよ。何もミグ、ダッカ、KALが、こういったミグが亡命してきたからというのが国家の安危にかかわる重大緊急事態と、そういうふうなのはどうも結びつけにくいことが多いんですがね。今回国家公安委員長をこの会議に入れたということによって、やっぱり内閣官房へいろいろな防衛それから警察、こういう事務が集中していくということをどうしても思いますね。それは総理権限と、こうおっしゃるけれども、むしろ総理より官房長官権限が非常に強化されるんじゃないんでしょうかね。  もう一つ、有事法制の第三分類について伺いたいと思うんですけれども、第三分類は国民の権利に抵触する内容が含まれると考えられるわけです。直接国民にかかわりがあるのが民間防衛の問題なんです。この間本会議で、長官はたしか民間防衛に関係がないというふうに御発言になったと思いますが、こういったものについてはどうなんでしょうか。そういうことを安保会議の対象に想定しておられるわけですか。
  107. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 今の久保田さんの御質問を聞いておりますと、本当のねらいはここにあるというのは私はどういうことを言っていらっしゃるのかわからない。私の考えておるのは、この法律に書いてありまするように、今の要するに全体の行政組織の中で一番欠点があるのはここですよと。その基本は何かといえば、国民の命と財産をどうして守ればいいんだと。ここをひとつ十分お考えをいただきたい。このことをはっきりと私は申し上げておきたい、こう思います。  それから、もう一点の有事法制の問題ですが、これは自衛隊が有事の際に行動するときに、一体現在の法制でどういうところが過不足があるのか、いろんな研究をしなきゃならぬと思います。そういう意味合いにおいて、私の承知している範囲では、第一類、第二類、第三類に分けて検討、勉強をしていらっしゃる。ところが、その勉強の結果、第一類であれば所管はたしか防衛庁だと思います。それから、第二類はそれぞれの所管が明確になっておる、だからそれぞれの所管省庁でと。第三類は所管省庁が必ずしも明確でない、こうなっております。ならば、明確でないのはこれは政府として取り組まざるを得ないであろう、こういうことを申し上げたわけでございます。  そうなれば、一体どこが、政府で、防衛庁のその検討の結果を受けましてやるかということになれば、私はやはりこの安全保障室ですね、会議じゃありません、室の方で勉強せざるを得ぬだろう、こう申し上げておる。そのとき、勉強した結果どうなるかといえば、これは安全保障室は具体的なそういう仕事をやるところじゃありませんから、所管を決めれば、区分けをして、この事柄についてはこの省で、この事柄についてはあの省で願いたいといったような総合調整をしていく、こういうことになりはせぬかな、こういう立場でお答えをいたしているわけでございます。
  108. 久保田真苗

    久保田真苗君 そうしますと、まあ時間の関係内容的なことを全部述べていただくわけにはいかないんですけれども、このことは結局まあ自衛隊の作戦区域に住民の出入りを制限するとか、情報とか電波の使用を制限するとか、民間輸送力の軍用確保をするとか、そういったこと、いわゆる戦争中の避難だとか疎開だとか灯火管制だとか、こういうことまでもイメージとして浮かんでくるわけでございますよ。こういうことを日常的に研究なさる、こういうことなんでございますか。
  109. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 今、官房長官から御説明がございましたように、第三分類につきましては、防衛庁でいろいろ検討をした結果、どこの省庁が担当するか明確でないとはっきりなったものでございます。で、この振り分けをどうするかというのは政府全体で常々考えなければならない問題だと答弁してまいりましたけれども、やはりその振り分けを防衛庁でやるには、それだけの権限とそれから権威が、一つの省、役所でございますのでございませんので、まあ官房長官御答弁いただきましたように内閣官房、そして具体的に言えば今度の安全保障室でございますか、そこで振り分けをしていただくならば防衛庁としてはありがたいというような感じがいたしております。  そこで問題の、今度のいわゆる有事法制というものが戦時中のいわゆる灯火管制から何からという何か暗いイメージで、戦争の経験のある方はそう思われると思います。ただ私らの世代になりますと、いざ仮に万が一になったときに多分国民全体で冷静さを失うと思います。そういうときにしっかりとした、そういうときに合わせた法体系をつくっておかないと、本来有事といえども踏み込んではいけない私権のところまで踏み込む場合があるのではないか。だから、いざというときにも、ここまでは自衛隊にお許しいただきたいと思うけれども、ここから先は自衛隊といえども踏み込んじゃいけないというようなデマケーション、線引きを平静なときに僕はやっておかなければいかぬのじゃないか、私権を守るという意味においても、そんな感じがいたします。したがって、有事法制をおどろおどろしいものと見る向きもございます。それは当然そういう部分があります、私権を少し制限していただきたいという部分がありますから。しかし同時に、しっかりとした権利をいざというときにでも守るという意味での、人権擁護というような意味でもしっかりと考えておかなければいけないと思います。  それを私強く感じましたのは、この間のJAL事故のときでございます。やはりああいう有事で国民全体が、早く助けなきゃいけない、早く遺体処理をして差し上げなきゃいけないということがありましたから、そのときにはみんなで実は、うちの木を切ってヘリコプターの仮停泊所をつくってもいいよとか、もうこの道路は御自由に通っていいから自衛隊さん頑張ってくださいとやってくれました。また、遺体を置いておく場所も、あそこを使っていい、ここを使っていいということを、全くそれぞれほんの手続もしないでみんなやってくれたわけですけれども。  まあ、あれはあれでよかったのかなと思いますけれども、やはりそういうときも何らかの処置を、ああいう場合は災害出動ですから特に大きな話ではなく、皆さんの御協力を得た分でやっていけばそれでうまくいったし、ありがたかったと思いますが、いざ有事のときには、やはりそういったどこまで踏み込んでいいかというのは決めておかなければいけないのではないか、そんなふうに思っておりますので、いたずらにこの有事法制というものを一方的に戦争中の権利制限の暗い話ととっていいのだろうか、そこはちょっと感覚が違うところがあるんじゃないかなという感じがいたしております。
  110. 久保田真苗

    久保田真苗君 でも、四十年前にそういうことがあるわけです。大変な権利制限でして、もう民間の産業ももちろんだめですし、すべては軍事優先、こういうことになるわけです。民間人の移動の権利とか、それから民間人のいろいろな情報をキャッチする権利とか、もちろん輸送もだめになるし、もう私生活の中へみんな入ってくるわけですよ。そりゃ私どもは年齢が年齢ですからそういう恐怖を持つんだと若い防衛庁長官お思いになるかもしれないけれども、でもあの経験というものは、本当に今思い出しても全くいいものじゃございませんよ。ああいうことをまた繰り返さないとなぜ言えるんでしょうかね。  そういたしますと、私は少なくとも有事法制は現に研究をやっていらっしゃるんですから、やっていらしてそれをどういうふうにやるかということなんだから、これはちゃんと国民に広く公表していただきたいんです。これは国民の基本的人権にかかわる問題、国民の自由権にかかわる問題、財産権にかかわる問題ですよ。それを秘密、秘密でおやりにならないで、もしここで安保会議でもってこういうことが研究されるのであれば、それはもちろん防衛庁長官もすべての閣僚がお知りになる必要があるんだし、国会にも報告していただかなきゃならないんだし、それから一般国民に広く公表していただく、私はそのくらいの透明度をもってやっていただきませんと、コンセンサスもなしにやみの中でいろんなことがどんどん日常的に国民への監視業務が進むんじゃないかと、こういうことを心配するわけですね・何しろ年齢で昔の経験を覚えていますから。
  111. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 年の話というのは余りよくないんですけれども、我々は何も隠してやっているつもりはございません。したがって、第一分類、第二分類というものはこの国会に御報告申し上げておりますし、それは第二分類については私が長官になってから報告しました延々と長いものでございます、延々詳細にわたるものでございます。そして、これは将来仮に国民の世論が成熟し、また準備ができ、国会の御意向も受けて議論し、立法化するというようなことになったとすれば、それは国会の場でやることですから、どこに法律上の問題点があるかを隠して論議できるものではありません。そういうことで、もう詳細にわたって既に御報告申し上げております。  したがって、第三分類につきましても、こういうような問題点があるということを幾つかの項目について整理いたしておりますので、どういう部分があるのかということを今お聞きいただければ、時間が許せば政府委員の方からお答えいたしておきます。  ただ、問題をもう一度繰り返しますけれども、そういった有事のときにどのような国民の権利と自衛隊の権利の調整があるべきかというのは、私は平静なとき、今こういうときに国会の場で冷静に議論しておいた方が国民権利擁護という側面はより担保されるのではないかな、こう思っております。
  112. 久保田真苗

    久保田真苗君 ぜひ御説明いただきたいけれども、まずそれじゃ書いたものでいただきましょうか、できるだけ詳しく。
  113. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 第一分類、第二分類につきまして国会に御報告いたしました資料といいますか、報告書をすぐお届けいたします。第三分類につきましても、こういう点が問題であるということにつきましては、今ここで報告をいたしてもいいし、それからそれは書類でお届けしても結構でございます。
  114. 久保田真苗

    久保田真苗君 私が今質問していますのは、特に第三分類の問題なんですね。ですから、第三分類の問題についてできるだけ詳しい資料を、じゃ後からいただきます。
  115. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 結構でございます。  ただ、第三分類につきましては、詳細に御報告申すといっても、どの辺でどこの役所がすべきかという、若干極めてあいまいなところが多いので、問題意識としてどういうポイントがあるかというところで、まだそこで終わって作業中のことでございますので、その点につきましては御満足のいただけないものかとは思いますけれども、従来から国会で申し上げてきた線につきまして御報告いたします。
  116. 久保田真苗

    久保田真苗君 いただいた上で質問しますので、それじゃお願いします。  それから、この安保会議の組織上の問題について伺うんですがね。四条三項に、議長が事故があったり欠けたときに、五条一号、つまり内閣法九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣がその代理をする、こうあるわけです。ところで今現在、この内閣法九条の規定によりあらかじめ指定されている国務大臣はいるんでしょうか、あるいは今までどうだったんでしょうか。
  117. 塩田章

    政府委員塩田章君) 現在は、指定された方はおられません。それから過去においては、指定された方もあった時期もございます。
  118. 久保田真苗

    久保田真苗君 そういたしますと、この法律の読み方はどうなりますか。今いないから一号は欠けている、欠けているけれども形式的に書いておくんだということなんでしょうか。それとも、議長にかわる人は緊急の場合に必要だから、この法律をばねとしてこういうものを指定する、もちろんそこまでお考えになっていると思いますけれども、官房長官いかがでしょうか。
  119. 塩田章

    政府委員塩田章君) 今申し上げましたように、現在は欠けておりますけれども、制度といたしまして国防会議ができた当時からずっとこの規定がございまして、現に指定された方もおられるわけでございますが、現在は確かに具体的な指定ございませんけれども、制度としてこういう規定を設けておるということ自体は、それはそれで私どもとしては一つ制度としてはいいんではないか。ただ、実際にこれが指定されることは内閣全体の問題でございまして、私の方でとやかく申し上げる筋ではございませんけれども、指定された場合には当然議長の代理権を持った議員として参加される、こういう制度になっているわけでございます。
  120. 久保田真苗

    久保田真苗君 官房長官済みません。つまり、この法律が施行になっても、この一号は欠けた状態が十分あり得るということなんでしょうか。私はそのお考えだけ例えばよろしいんです。それとも、これができるとぜひ補充しなきゃいかぬと、こういうことなんでしょうか。
  121. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、御質問は恐らく五条の第一号のお話で、「内閣法第九条の規定によりあらかじめ指定された国務大臣」、ここの御質問だと理解をいたしますが、これは前からある規定でございます。というのは、内閣法にこういう規定があるわけでございます。これは、何を言っているかというと副総理の規定だと思います。副総理というのは、あらかじめこれに指定をした副総理の時代も内閣によってはございましたし、最近はこれであらかじめ指定した副総理というのは置いておりません。将来、しかし置き得ると思います、これは。そういうことがありますので、今度の改正法でもそのままこれを踏襲して規定をしたと、こういうことだろうと理解するんです。  今やっておりますのは、大体総理が外国へ行きますときに、自分の留守中臨時に総理大臣代理を指名をしますと、こういうことでやっておる、いわゆる副総理格ということでございまして、この規定はそうでなしに、あらかじめもう指定をしてしまいまして、いかなる場合であろうとその人は副総理である、こういう立場の違いがございます。そこらがあるんでここにこういう規定を置いておる、かように御理解願いたいと思います。
  122. 久保田真苗

    久保田真苗君 法律上の解釈はわかるんですが、私が伺いたいのは実態としてどうするのか、今つまり内閣法九条の該当者はいないんですよね、いない。そうした場合に、出張されるときに臨時代理としておなりになった方がこの場所に来られるのか、来られないんですね。じゃ、それ確認しますよ。
  123. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、臨時代理が指定せられますから、それが総理の臨時代理としての役割をしておりますからその方が出ると、こういうことになります。
  124. 久保田真苗

    久保田真苗君 いや、臨時代理がここにいらっしゃると、こういうことなんですね。  それで、もう一つ伺いますが、国家公安委員長なんですが、今自治大臣でございますよね。だけれども、自治大臣でなかったこともあるんです、過去には大いにあるんです。それで、例えば国家公安委員長である国務大臣、専任の方もあったし、それからその後は行政管理庁長官とか建設大臣が兼任されたこともある、今自治大臣が兼任されて、ここのところしばらく自治大臣だと。この国家公安委員長、こういうことになってきますと、いわゆる治安維持に関連して非常に大きな役割といいますか、それを持たれるわけなんで、私伺いたいんですが、国家公安委員長はどういう基準で大体お決めになっているんですか。今後とも自治大臣になるのかならないのか、あるいはもっと違うところへ行きそうなのか。
  125. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 久保田さん、これは私からも答弁しにくい。閣僚の補職の権限は、これは内閣総理大臣にございますから、だからお答えしにくい問題でございます。しかし、それを今度の規定に入れたというのは、やはり重大緊急事態というのが一番密接な関係を持つのは国家公安委員長であろうと、こういうことで入れてあると、かように御理解願いたいと思います。
  126. 久保田真苗

    久保田真苗君 国防会議仕事はそのまま引き継ぐそうですね。しかし、ここに非常に現行法と大きい違いがございますのは、国防会議の事務局は内閣官房の外にあるわけですよね。そして、内閣官房は、今現在は「事務局の事務のうち国防会議の事務以外の事務の掌理については、内閣官房長官の命を受ける」と、「国防会議の事務以外の事務」というのは何なんでしょうか。
  127. 塩田章

    政府委員塩田章君) 現在の国防会議事務局の事務でございますね、現在国防会議の事務局といたしましては、「国防会議の事務」と「国防会議に関する事務」、この二つを処理するということになっております。「国防会議の事務」というのは、これはまさに会議運営そのものでございます。招集でありますとか記録でありますとか、議長を補佐して会議そのものを運営する事務でございます。「国防会議に関する事務」といいますのは、これは例えば諮問案を諮問いたしますですが、その諮問案の作成等が「国防会議に関する事務」であります。  現在は、今もお話ございましたが、「国防会議に関する事務」の方は内閣官房長官の指揮を受けておりますが、「国防会議の事務」の方は議長たる内閣総理大臣の指揮を受けていると、こういう形になっておるわけでございます。
  128. 久保田真苗

    久保田真苗君 つまり私、内閣官房長官のもとに非常に多くのお仕事が行くということだと思うんです。しかも、それが今回官房長官とともに国家公安委員長をこの会議にお入れになっている。官房長官は従来入っていなかったんですよね、だけれどもお入れになると。そして、この安全保障室が会議に関する事務を全部やる、そしてそのほかの内政、外政、情報等もおやりになる、こういうことになるわけですから、ほとんど一切の警察、軍事、それから内政、外政、こういうものを合わせて非常に大きな力を官房長官がお持ちになるということになると思うんです。  私は、内閣調整機能を強化するということは結構なんだと思うんですが、しかし軍とか警察とか、こういったところのものが官房長官の事務局に全部集中していくということについてはやっぱり多少の危惧を感じるんです。それは何も今の方がいつまでいらっしゃるわけじゃない、そういう立場にある官職だと、こういうことになるわけです。そういたしますと、総理は要するに警察法によって緊急事態の布告、そして警察の一時的統制をする、こういう大きい権限を持っていらっしゃる。しかし、実際問題としてこれをやるのは官房長官だと思うんです、この事務を通じて。むしろ総理よりも非常に権力者になると、こう思うんです。  私、そう言っちゃなんですけれども、さっきから副総理とか自治大臣、国家公安委員長とかというのを伺っているんですけれども、この安保会議がここに置かれたために、非常に官房長官がこういうものになるのにいかにも適当なような、そういう事務がここにつくられつつあると思うんですよ。  率直に伺いますけれども、後藤田官房長官はこの事態、こういう状態が非常に好ましいと思っていらっしゃるんでしょうか。
  129. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 確かにこの仕事は、やっていますと少し仕事が多過ぎます。私は、それだけは事実だろうと思います。ただこれは、やはり官房長官というのは御案内のように総理大臣を直接補佐する機関でございますから、したがって総理補佐するという立場において、やはり各省庁の総合調整仕事もやらなきゃならぬということが一つですね。  もう一つは、今度の安全保障室ですか、事務組織ですね。これが半分合総理に直結して、半分官房長官に現在はなっておりますね。それがこれ一本になって官房長官の方に来るということですから、その辺は確かに仕事は過重になりますが、この国防会議の事務を引き継ぎますから、この安全保障会議とその事務をやっていく安全保障室はやはりシビリアンコントロール、これは私は強化をしなきゃならぬと思います。そういう立場で考えますと、仕事はふえることは余り望ましいことではありませんけれども、やはり総理大臣補佐機関としての官房長官の方に移した方がより適切であろうと、非常に重要な仕事でございますからね、といって年じゅうある仕事じゃもちろんないわけですけれども。  私は、そういうような観点で、むしろ総理に直結した今までのような形は、いかにもこれは、その方がシビリアンコントロール上適切であるという形式議論はあるんですけれども、実際はそうではありませんね、これは。やはり総合調整機能総理を直接補佐しておる官房長官の方に移した方がよりシビリアンコントロールが効くと、それぞれの総合調整をやっていくと、私はさような理解をしておるわけでございます。こういったところが今、日本の行政組織として一番欠けておったところですから、これは官房長官仕事が多過ぎるなという気はありますけれども、やはり私はやらなければならない組織の改革であろうと、かような理解でございます。
  130. 久保田真苗

    久保田真苗君 仕事が多過ぎるというだけでなく、非常に権力的な行政がそこに集まるということを私は申し上げているんです。私はむしろ、総理の独走、独裁も困るけれども、その総理の事務局という名において、実際問題としてこういった非常に国民の人権に深く、むしろそれを阻害する方に働くかもしれない権力というものが事実上官房長官のところに集まっていくと、これはどなたがおなりになっても大変なことだと思います。むしろ総理よりも強力になるかもしれないと。でございますから、私はこの裏に隠されているこういった、何といいますかね、機能調整、機能の強化ということの陰にある一人の人への権力の集中、このことについて重大な警告をしておきたいんですね。  こういうことで万が一、これが非常に治安維持にふさわしいポストであり、全体の総合調整にふさわしいポストでありと、そしてこの安保会議の議長の代理をするにふさわしいポストであると、こういうことになってきますと、副総理格であり国家公安委員長であり、要するに防衛出動の事務的元締めでありと、こういうことになっていく。私は、こういうことについての懸念を表明し、こういった一人の人への権力の集中、こういうものを図らないというそういった官房長官の御意思を確認したいと、こういう気持ちなんです。
  131. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 権力の行使というものは、私は絶えずこれはもろ刃の剣であると、こういう理解でございます。したがって、いわゆる権力行使というものはあくまでも慎重でなければならぬと、こう考えております。したがって、久保田さんのような御意見、これは十分配慮しながら慎重に私は対処しなきゃならぬと、これは基本一つであると思いますが、同時に久保田さんにお願いを申し上げたいことは、この改正は重大緊急事態からどのようにして国民の生命と財産を守ることができるかというこの一点で考えておるんだと、ここだけはひとつはっきりと御認識をいただいて、裏に隠された意図であるとかなんとかという観念はひとつお捨てをいただきたいと、こう思います。
  132. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官、せっかくの機会ですから、今までにも論議しました池子の問題ですね、ちょっと一問だけ伺いたいんですけれども、逗子市の米軍住宅建設に関しましては私も何度か質問させていただいたんですけれども、この段階で一応リコールも終わり、市長とか新しい市議会も決まっているわけですね。それで、逗子では今、いろんなこの一年間の経験にかんがみまして、建設反対派の人も賛成派の人も割合に虚心に話し合おうというそういう空気が生まれておるわけです。そして、その一つとしまして代替案なんかも検討しているわけですよ、模索しているわけです。  それで、防衛庁の方の建設計画を前面に押し出して市民の理解を得るというのは、非常に言葉は妙な言葉だと思うんですね。これは結局、市民の理解を得ると言いながら、もう建設計画一本やりで強行するんだというふうに受けとられておるわけなんですけれども、それについてはほぼ市民の理解が得られないということははっきりしていると思うんですね。  そこで、逗子市がせっかくそういう虚心に話し合いたいという雰囲気になっているわけですから、防衛庁としても逗子市と虚心に話し合うというお気持ちはございませんですか。今、この事態を円満に解決できるほとんど最後のチャンスだろうと思うんです。防衛庁長官がいつまで防衛庁長官でいらっしゃるかわからないけれども、私はやっぱりもうこのことを十分によく御存じで御理解もあるだろうと思われる加藤防衛庁長官に、ひとつ事態円満解決に向かっての建設的な一歩を進めていただきたいなと思うんですが、いかがでしょうか。
  133. 宇都信義

    政府委員(宇都信義君) お答えいたします。  米軍は昭和五十三年ごろから、横須賀地区の米軍の家族住宅が約千三百戸不足しているということで、深刻な状況にある状況を日本側にあらゆる機会に述べておりまして、当庁も住宅建設の適地を種々検討しながら、長い間かけまして適地と思われる池子地区に千戸程度、米軍の希望するまとまった住宅を建てるという案で適地の判断をいたしまして、昭和五十八年以来地元の通子市長さんと協議に入りました。  その結果、五十九年に至りまして逗子市長さんが、市の行政の及ばない国の防衛の問題であるということで理解をいただき、市議会や市民の各種の団体の御賛同を得まして、住宅を九百二十戸に減らすというような条件をつけまして、三十三項目の条件のもとに協力をするというお話がございまして、当庁もその二十七項目について誠意を持って実現に努力するということを回答し、市長さんも了解されまして、国と市との間では合意に達してきておるところでございます。このような長期にわたる各種の話し合いの結果得られました合意はそれなりに重みがございまして、私どもこの合意を信義則に従って尊重されるべきものと考えております。  富野市長さんが四月初めに、市議会の受け入れ派の方々に白紙に戻して対話をしたいというお話をしておられるということは承知しておりますが、先生、国に対しましても同様に白紙撤回するかという御質問でございますとすれば、二十七項目につきましては、もう既に国と市との合意のもとに、施設区域の名称の変更とか、それから墓地の跡地の供養の実施とか、それから神奈川県の県条例に従いましたアセスの手続の進行など実施されておりまして、この段階で白紙撤回というのはちょっと考え得られないような状況でございますが、項目についていろいろ御希望がございますということであれば、追加とかあるいは変更とか、そういうことについては私どもも考えてまいりたいと思っております。  いずれにしましても、緑の保全に最大限の配慮を行っていくという私どもの対応を、広報活動等によりまして、今後とも理解と協力を得るよう努力してまいりたいと考えております。
  134. 久保田真苗

    久保田真苗君 防衛庁長官にお答えいただきたいんですが、ともかくいろんなことを前政権とはやったでしょう。だけど、まさにそのことがたたって、そして政権交代になっているわけですよね、逗子市では。そして、市議会とかいろいろな選挙が行われて、ともかく建設に反対するという民意が多数であることは動いてないんですよ。そういう事実を踏まえていただきまして、項目だけに限るならとかいろんな条件を話し合う前から出していたんじゃ、とても話し合いに入ることすらできないんじゃないですか。向こうも虚心に話し合うという雰囲気を出してきているんですからね、私は加藤長官にぜひお願いしたいのは、いろんな条件を初めからつけないで、ひとつ虚心に話し合っていくという、そういう姿勢をおとりいただけないか、そういう方針にしていただけないかと思いますんですけれども、どうなんでしょうか。話し合うということがそんなに大変なことなんでしょうか。
  135. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 富野市長が白紙撤回要求につきましていろいろ御発言なさっていることは新聞等で私たちも見ておりますけれども、それがどういう意味を持つのか、まだ若干不明確なところもございます。池子の地域に関します、逗子市におきます市長交代、それからその後の数回のリコール、そして最終的には議会の選挙、こういったもののいろんな動きにつきまして、自治体のことですから、私たちが最終的な意思の存在はどこにあるかというようなことを余りとやかくコメントはいたしたくないと思いますが、いずれにいたしましても地域の御理解を得られるように精いっぱいの努力をしてまいりたいと思っております。  また、アセスの手続というものも私たちはしっかりとやってまいりたいと思いまして、なぜなれば、それは緑を大切にしなければならないというのが論争でございますから、緑が本当にどのように大切にされる計画であるか、県の御判断をまちたいということで、正確にその手続を落ち度なく進めてきたつもりでございます。そういった中で、今後ともできる限り地元の御理解を得られるように進めてまいりたい、それでまた、地元の動向もよく見きわめながら進めてまいりたいと思っております。
  136. 久保田真苗

    久保田真苗君 一言だけ。  地元の動向を見きわめるには話し合うのが一番なんですね。ですから、向こうが話し合いを希望してきたときはぜひ受けてくださいね。お願いしますね。よろしいでしょうか。
  137. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 地元の動向を見きわめながら適切に対処してまいりたい、こう思っております。
  138. 太田淳夫

    太田淳夫君 前回の委員会で、この法案の中身のある部分につきましては質問させていただきましたので、きょうは防衛問題とその周辺のことにつきまして、何点かお尋ねをしておきたいと思います。また、次に委員会も行われますので、そのときには法案に関連しまして質問させていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕 ただ、今同僚の久保田委員の方からもいろいろと御意見の開陳がありましたが、最後に官房長官にいろいろと話をされておりましたところの権力の集中化の問題につきましては、私たちも同感であります。そのことにつきましては、また次回に譲りたいと思います。  それでは、防衛問題に関連して質問したいと思いますけれども、いよいよ国会も終盤となりまして、防衛二法の問題、これはほぼ今国会で成立の見通しがなくなってきたわけでございますが、この改正案のいろんな説明を聞いておりました中で、例のサミットにいろいろと使われまして、フランスの大統領も非常に喜んでみえたと言われておりますフランス製のヘリコプターの防衛庁に移管の問題ですが、このヘリコプターの整備費等は防衛庁についていると私たちも聞いておりましたけれども、この法案が通りませんと、このヘリコプターを運用するような法的根拠がなくなってしまうんですが、その点どのように対処していく方針ですか。
  139. 池田久克

    政府委員(池田久克君) ただいまの国賓等輸送用ヘリコプターに関する経費につきましては、先生ただいまお話しのとおり運用要員の人員確保のための経費等、維持管理費等の経費として合計一億七千二百万、そのうち歳出は一億二千三百万防衛庁に計上されております。これは御案内のように、二カ月間は法案関係がございまして、総理府の方が持つことにいたしまして、法案が通りましたら残りの十カ月については防衛庁で持つということで計上しております。    〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕 したがいまして、法案の帰趨にかかわりまして、今後この経費をどういうふうにするのか、関係省庁で改めて検討する必要があると考えています。
  140. 太田淳夫

    太田淳夫君 次は、SDIの問題ですけれども、せんだっても同僚の委員からこの問題につきましては提起もありましたけれども、五月十三日に第二回のSDI研究参加問題に関する関係閣僚会議が開かれていろいろと意見が交わされたということでございますが、この閣僚会議につきまして、報道によりますと、SDIが専守防衛という我が国基本的防衛政策につながると、こういう点で意見の一致を見たということで報道されておりますが、このSDIと専守防衛について、官房長官はどのように受けとめてみえられますか。
  141. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 御承知のように、SDIについては、いまだ政府としては理解を示すという段階でとどめてあるわけでございます。その後は、実態が必ずしも明確ではありませんから、実態を慎重に検討の上政府としての対応を決めたいと、こういうことで今慎重に関係閣僚の間で研究をしておる、勉強をしておるというさなかでございますが、第一回目は技術的な報告を聞き、第二回目は戦略的側面を専門家から、事務当局ですね、から話を聞いたわけでございます。  SDIは、御承知のように、非核の防御的手段で弾道ミサイルを無力化すると、究極的に核兵器の廃絶を目指すと、これがアメリカ側の主張でございますが、それを私どもとしては受けて検討しておるわけです。それで日本は、御案内のように専守防衛を旨とする、これは防衛の基本でございます。そうしますと、SDIも、アメリカ側の主張は究極的に核兵器の廃絶を目指すということであるし、我が方は専守防衛を旨としておる、これが防衛の基本であるということになれば、これは相通ずるものがその発想の根底にあるのではないのかと、こういうことが今御質問に出た、新聞に出たんでしょうかな、その背景にあるのではないか、私はさように理解するわけでございますが、いずれにいたしましても、しかしこの関係閣僚会議というのは決定する場ではございません。これは関係閣僚間の意見交換の場として開催をしておる、かように御理解を願いたいと思います。
  142. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうすると、この閣僚会議で意見の一致を見たということは、決して参加問題について一歩、二歩という前進をしたんではないんだということでしょうか。
  143. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そういう意味ではありませんが、だんだん理解を深めておると、かように理解をしていただきたいと思います。
  144. 太田淳夫

    太田淳夫君 第三次調査団の報告書も出されているわけですけれども、その概要の中で、「技術的側面から見る限り、我が国が適切な形でその成果を利用し得る方法でSDI研究計画に参加することとなれば、我が国の関連技術水準の向上にも大きな影響を及ぼす」というように参加問題について積極的な見解を述べているように思うんですが、官房長官はどのようにお考えになりますか。技術的側面に限ればという、これと同じような見解をお持ちなんでしょうか。
  145. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 第一回は技術的側面についての調査団の報告でございましたが、私ども素人でございますから必ずしも深い認識があるわけじゃありませんけれども、説明を聞く範囲においては、私は今太田さんがおっしゃったように技術的側面については報告に記載されているようなものとして受けとめておるわけでございます。もちろんSDIはこれだけじゃありませんから、制度面もあれば戦略的な側面もございますし、いろいろまだこれから十分勉強した上で慎重な対応を必要とする、かように理解をいたしております。
  146. 太田淳夫

    太田淳夫君 今、官房長官から慎重に検討を進めていくというお話がございましたけれども、日本学術会議の第百回総会におきましても、SDIの研究参加につきましては「深い憂慮の念を披瀝する」という報告が提出をされたように、これを見てみますと、研究の自主性が失われる、あるいは宇宙空間の汚染が進められる、そういうこと等の理由がいろいろと挙げられておりますが、やはりこの問題については私たちも慎重に当たるべきだとかねてからも主張してまいりましたが、その慎重に検討すべき課題としまして今制度的な面あるいは戦略的な面というお話もありましたけれども、政府はSDI研究参加に当たってこれらの面でどういうような問題点があるのか、具体的にそれぞれ検討はされておると思いますが、SDI参加に踏み切ると、こういう仮定をされた場合にどういった問題をクリアしなければ参加できないのか、その点はどうでしょうか。
  147. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、技術面それから戦略面それから制度面、制度面の中には政治的な面もあるかもしれませんが、そういったことをもう少し幅広く、しかも突っ込んだ議論をしないと今直ちにどうこうということは言い得ないところですが、どういう点をクリアすればということは、わかっておる限度においては専門家がおると思いますので、外務省の局長が来ておりますのでお答えをさせたい、こう思います。
  148. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) ただいま官房長官指摘のように、技術面、戦略面、制度面等々多岐にわたる面がございまして、それを総合的に検討しておる最中でございますので、その中でどれがどうというようなことはこの場で申し上げるのは時期尚早かと思いますけれども、例えば制度面につきましては、よく世上に言われておりますように成果の帰属の問題とか、あるいは一定の情報をこれがどの程度公開されるかというような問題等があるわけでございます。
  149. 太田淳夫

    太田淳夫君 この国会でいろいろと論議もされてまいりました点を私たちもいろいろ考えてみますと、日本がSDIの研究参加するに当たりましては、慎重に検討すべき課題というのは実にたくさん存在していることがこの国会の論議の中でもあらわれてきておるわけでございますが、今具体的にあらわすことはできないということでございましたけれども、中でも大きな問題は機密保護の問題、あるいは宇宙開発に関する昭和四十四年の宇宙の開発、利用は平和目的に限るという国会決議の問題、あるいは我が国の安全保障への影響、それから特許権のいろんな帰属の問題、あるいはどういうふうにして参加していくか、そういう問題一つ一つ大きな問題であろうと思うんですが、やはり官房長官は慎重にとおっしゃっておりましたけれども、こういう一つ一つの問題がやはり国民が納得する形で解決されなければ、官房長官としては、政府としては参加に踏み切ることはない、こういう確約は官房長官としてしていただけるでしょうか。
  150. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いずれにいたしましても、この問題はその後の技術の活用の問題なり、あるいは核との関係の問題なり、あるいは秘密との関連の問題、今太田さんがおっしゃったように多方面にわたっての検討を軽なきゃ、検討の結果を踏まえなければならぬと考えておりますが、いずれにいたしましてもこの問題は国益を踏まえて慎重に判断をして決定すべき事柄である、私はかように理解をいたしております。
  151. 太田淳夫

    太田淳夫君 次は防衛庁、行革関連でお伺いします。  昨年の秋に設置をされた防衛庁の業務・運営自主監査委員会、これが四月の二十八日に防衛改革委員会に改組されたんですが、これは理由は何でしょうか。
  152. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 昨年秋に中期防衛力整備計画ができまして、そこで防衛力の整備運用につきまして効率化、合理化を一層徹底して行うんだと、こういうことになっておりましたものでございますから、昨年の十月これを受けまして業務・運営自主監査委員会というものをつくりまして、防衛庁の業務運営面の点検を精力的に行ってまいったわけでございます。その結果、本年の一月にガイドラインというものを出しまして、点検項目を整理し、本年の四月にそのうちの十九項員につきまして、検討結果につきまして先ほど先生がおっしゃいましたようにその成果を公表したところでございます。  ところで、その作業をずっとやってまいった経過におきまして、今申し上げましたようにこの委員会は業務運営面の点検を目的といたしたものでございますから、自分のところでの検討の土俵というものを自分でそういう形での制約を置いたわけでございます。しかしながら、その制約のもとにおきましてはどうもいま一つ合理化、効率化を徹底させるというところでは足りない、作戦機能面の検討にまでその土俵を広げて、自由な発想のもとに防衛計画の大綱の総枠の中で我が国の防衛のあり方を、防衛の態様を検討していくのがいいのではないだろうか、こういうことになりましたものでございますから、業務・運営自主監査委員会を発展拡大いたしまして、本年の五月になりまして正式に内部手続も済ませまして防衛改革委員会をつくったという次第でございます。
  153. 太田淳夫

    太田淳夫君 それまでの業務・自主監査委員長は宍倉官房長さんでしたが、今度は矢崎次官が委員長ということで、相当踏み込んだ検討が行われるんじゃないかと思うんです。自衛隊の作戦機能あるいは装備体系に踏み込んだいろんな検討をされるというような感じもするわけですが、その際に、防衛計画大綱の見直しあるいは別表の見直しにもやはり触れていくような議論がそこでされてくると理解してよろしいんですね。
  154. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 先ほど申し上げましたように、この防衛改革委員会での前提は、防衛計画の大綱の総枠の中で検討を進めていく、こういうことでございますので、今先生おっしゃいましたように、防衛計画の大綱そのものの改定あるいは別表の改定というものを予定して研究していこうというものではございません。
  155. 太田淳夫

    太田淳夫君 防衛改革委員会の下部機関としてはどういうものができるんですか。
  156. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 研究会のグループとそれから従前の自主監査委員会のグループと二つ大まかに言いまして柱がございます。従前の自主監査委員会の系列でございますと業務監査小委員会というのを設けまして、もう一つ研究会の系列で二つ研究会を設けることを今考えております。一つは洋上防空体制の研究会、もう一つは陸上防衛態勢の研究会、この二つでございます。
  157. 太田淳夫

    太田淳夫君 今お話しの中の研究会、その研究会の中の陸上防衛態勢研究会、これを設置して、いろいろな報道もされておりますけれども、陸上自衛隊の師団配置を抜本的に見直すと、こういうことが報道されておりますが、既に北方抑止力向上のために抜本的改編の基本構想が固まったと、こういう報道がされておりますが、その点はどのような事実関係でしょうか。
  158. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 今さら申すまでもございませんが、我が国の防衛体制というのは、そのときどきの国際的な軍事情勢、なかんずく周辺諸国の軍備の動向とかあるいは軍事技術の水準といったようなものを勘案しながら、最も効率のいいものをねらっていこうということでございまして、かねがね陸上自衛隊につきましても、装備方針、近代化ということで、近代化、効率化を図ってきたところではございますが、何せ陸上自衛隊の骨幹になります編成といいますか、師団編成というのは昭和三十五年につくられたものでございまして、以後余り大きく変えておらないというようなことで、どうしても最近における著しい軍事技術の進歩といったものに追いつけない面もございます。そういったことも含めて、今回少し抜本的な研究をしてみようじゃないかというのが研究会をつくったゆえんでございまして、まだ具体的な方針を固めるといったようなことではございません。  主たるねらいといいますのは、我が国をめぐる戦略環境といいますか、というものが一つは相当変わっておる。例えば、従来兵力が配置されてなかった北方領土に一個師団程度の配備が行われているとか、あるいは航空機なり空挺部隊あるいはヘリボーン、そういったものの性能が非常に上がってきたとか、もろもろの周辺の状況が変わってきたということが一つございます。一方我が方の内部におきましても、陸上自衛隊の守り方といいますか、国土内に上げてから戦うんでは余りにも国民の被害が大き過ぎるじゃないか、もっと洋上なり水際で撃破することを追求したらどうだとか、そういった御意見もございます。  いろいろなことを踏まえまして、この際陸上自衛隊の装備体系あるいは編成、配備、そういったものを含めて抜本的な見直しをやってみたいというのが現在の考え方でございます。
  159. 太田淳夫

    太田淳夫君 今そういった見直し作業が進められているということでございますけれども、また中期防衛力整備計画の第一年目がスタートしたばかりですけれども、三年後にはこれも見直しをする考えを持っているんでしょうか。
  160. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 中期防衛力整備計画は三年後に新たに作成し直すことについて検討するということにはなっておりますが、見直すか見直さないかということは今後の検討の結果ということで、必ずしも三年後に見直しをするということが決められたわけではございません。もちろん今回の陸上防衛態勢研究会の成果というものは、直ちに防衛力整備計画をどうするかといったようなことではございませんけれども、もっともっと一般的、基礎的な勉強でございますが、具体的な成果が得られた際には、それが将来の五カ年計画等にも反映されるということはあろうかと存じております。
  161. 太田淳夫

    太田淳夫君 同様に、下部機関として洋上防空体制研究会というのが設置されておりますけれども、OTHレーダーとかあるいは空中給油機、あるいはエイジス艦導入といったことは、この研究会で統一的に検討されて結論が出されるのでしょうか、それはどうでしょうか。
  162. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 洋上防空の関連につきましては、御承知のように昨年政府決定されました五カ年計画で、洋上防空について検討し所要の措置を一部とるというようなことが決められております。したがいまして、今回の研究会で研究された成果というものにつきましては、この五カ年計画の期間にある程度のものについては成案が得られれば実施をするということになろうかと思っております。  なお、この検討の方向でございますけれども、洋上防空について我々改めて勉強し直さなくちゃいけないというゆえんは二つございまして、一つは、現在、従来であると太平洋上で敵の航空機からねらわれるということは余り考えなくてよかった。それが長距離の非常にハイスピードの航空機が出現をしてきたということ。それから、航空機なり潜水艦、艦艇等から発射する巡航ミサイルというものには非常に長距離のものが、数百キロというような長距離を飛しようする巡航ミサイルが出てきた。そういったことで洋上におきましてもかなり空からの脅威というものが高まってきた。これに何とか対応しなくちゃいけないということでございます。その際我々考えなくちゃいけないのは、一つは太平洋のような非常に広い洋上における防空をどうするかということでありますし、もう一点は、例えば北海道周辺のような我が方が航空優勢をとりにくい地域、そういったところで、例えば北海道に上陸等が行われたときに増援部隊を送ったり物資を補給したりあるいは住民を避難させたりといったように、どうしても北海道との間でいろんな海上輸送をやらなくちゃいけない。その際の防空をどうするかという二点であろうと思っております。  前者につきましては、何せ広い海域でございますので、これを地域として守るということはとても不可能でございますので、やはりそういったところで対応するためには広い範囲における監視能力をまず持つ。そして、相手方を発見したら、まず考えられることはこちらはできるだけ回避をするということだろうと思います。そして、回避し切れないような場合には、こちらは相手の動静というものがある程度つかめておるわけでございますから、それに対応する何らかの要撃手段というものを持つということも考えられるんじゃないか。そのための兵器体系といいますか、装備体系としてOTHレーダーその他どういった組み合わせが最適だろうかというような研究をいたしたいというふうに考えております。  一方、敵の航空優勢下における海上部隊の行動のための率としては、現在もある程度整備をいたしておりますけれども、艦艇等のミサイルなりその他の防空兵器体系について、どういう近代化が可能かどうかといったようなことを研究いたしたいというふうに考えております。
  163. 太田淳夫

    太田淳夫君 この中期防の整備方針に「各自衛隊の有機的協力体制の促進及び統合運用効果の発揮につき特に配意する」、こういうふうに記されておりまして、またその主要整備の内容についても、三自衛隊列じゃなくて機能別に取り上げられているわけですけれども、これを見ますと、自衛隊の統合運用への姿勢が強く今回の場合には打ち出されてきているように感ずるわけですが、やはりこの統合運用への傾斜ということは、長官のやはり頭の中では大綱別表の見直しと密接に結びついているのじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
  164. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 先ほど官房長からお答えいたしましたように、私たちとしては大綱の総枠の中で自由に議論していただきたい、してもらいたいということで今検討を命じているところでありまして、どういう結果が出てくるかはわかりません。しかし、それはあくまでも大綱の総枠の中でと、こういうことを言っております。そういう段階でございますので、今どういった内容になるかということを申し上げるのは若干早計だろうと思っております。  いずれにいたしましても、最初から大綱別表の見直しありきというような観点で物事に取り組んでいるつもりではございません。
  165. 太田淳夫

    太田淳夫君 やはりこの中期防の中で処遇改善ということがいろいろとうたわれていますが、それはどのように改善される方針ですか。
  166. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 中期防全体として個々の隊員の処遇改善について細かい計画というものが具体的に計上されているということではございませんで、ある程度の経費的な枠組みの中で年度年度で工夫をしていくということになろうと思います。  しかし、一応念頭に置いているものといたしましては、やはり何といってもレーダーサイトだとかといったような非常に僻地といいますか、人里離れたところで勤務をする人間、あるいは長期間艦艇に乗り組んでおるといったようなこと、あるいはまた戦車とか航空機とかそういったやや過重な勤務になるもの、そういったいずれにしろそれぞれ厳しい勤務態様の中で勤務するわけでございますので、そういった面からやはり隊員の生活環境というものをできるだけ改善をしてやりたい。例えば、現在もかなり残っております非常に古い隊舎で二段ベッドで生活をしておる、あるいは官舎等が非常に狭隘であるとか、そういった点についてできる限り改善をしてやりたいというように考えておるわけでございます。
  167. 太田淳夫

    太田淳夫君 次は経費の問題でございますが、委嘱審査でもこれは取り上げましたけれども、後年度負担の歳出化経費が毎年増加しているという点で、これが防衛費を硬直化させ、突出の最大原因になっていることを申し上げたと思いますが、中期防においてはこの後年度負担はどうなっているのか。あるいは正面装備については二兆五千五百億円としていますけれども、後方も含めた全体の規模をどのようにされていますか。
  168. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 中期計画の策定に当たりましては、正面経費につきましては対象期間全体を通じて契約額としては五兆五千三百億円ということで、そのうち六十六年度以降への支払いが伸びるもの、いわゆる後年度負担額というものが二兆五千五百億円ほどあるということで一応積算をいたしております。  ただ、ここで後方関係費につきましては、非常に細かいものと言っては申しわけないのですが、細々したものがありますので項目的に非常に多くなってしまうということで、後年度負担額についてこのくらいになるといったような積算は必ずしもできておりませんので、その種の見積もりは行っておりません。
  169. 太田淳夫

    太田淳夫君 そうなりますと、今後も後年度負担の減少ということは期待できないと思うんですが、せんだっての委嘱審査の際も防衛庁の経理局長から「我々としても後年度負担にはおのずから限度があると考えて」いる、こういう答弁もありましたけれども、やはりその限度というのは当然あるだろうと思いますが、私たちとしてはもう今の現在の硬直化した予算の姿等を見ますと既にその限度に来ているんじゃないかと、このように考えていますけれども、防衛庁としてはその限度というのはどの程度まで考えていますか。
  170. 池田久克

    政府委員(池田久克君) 先般の委嘱審査の際にお答えいたしました点は、艦艇とか航空機あるいは大きな施設の建設をするためにはどうしても一年では終わらないと、必然的に後年度負担が出てまいります。さらに、自衛隊としてはできるだけ人件糧食費を減らしましてそういう装備率を高めるとなるとますますその傾向が強くなると。しかし一方、後年度負担だけで部隊を運営できません。例えば修理もしなけりゃいけませんし、電気、ガス代もあります。油も買わなきゃいけない。基地対策も、これは後年度負担というわけにいかないものがかなりあると。そうなると、いわゆる人件糧食費と歳出化とを除きました一般物件費について必要なものは確保しなきゃいかぬ。そういう全体のバランスを考えますと、どうしても歳出化が極端に多くなって次年度以降の予算を非常に圧迫するというようなことは避けなきゃいかぬ、そういう気持ちで申し上げました。  しかし、おのずから限度はあると申し上げましたけれども、具体的に数字があるということではございません。現在歳出化が三五%になっております。これは全体の防衛費の規模がどうなるか、あるいは人件費や糧食費の動きはどうなるか、それによって一般物件費の動向が変わってまいります。おかげさまで六十一年度は何がしかの一般物件費の増加をお認めいただきましたけれども、昭和五十七年、五十八年度段階と比べますとまだ絶対的に少なくなってきている状況でございますので、我々としてもそういう点を何とか確保したい。そういう全体的な配慮で後年度負担の問題を議論していく必要があると、そういう意味で申し上げたわけであります。
  171. 太田淳夫

    太田淳夫君 長官、五月の十六日に、六十二年度業務計画作成に関する指針ということを示されましたけれども、その中で今いろいろと話題になっておりますFSXの整備あるいはF4EJの改修ということもこの中で織り込まれておりますけれども、長官、これは具体的にどのようなことを考えておみえになるんですか。
  172. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御案内のように、六十二年度と申しますのは昨年政府決定されました五カ年計画の二年度目に当たります。この六十一年度は初年度でございますので、この五カ年計画が整々と執行に移れるように、初年度ということでかなり主要な大きな装備のスタートというものがあったわけでございますが、来年度は二年度目ということで初年度に引き続いて着実に整備をしておくということでございますが、特に我々として来年度について考慮いたしましたのは、長官の御指示にありましたのは、正面と後方のバランスというものをできるだけ図っていきたいというようなことがまず第一点としてございます。それと、やはりそれらの事業を実施する上で陸海空の統合運用というものを徹底的に追求してみたい。これは自主監査委員会その他でいろいろな検討も進められておりますので、そういったものも勘案しながら陸海空の統合強化というものを考えていきたいということであります。  それから、さらに後方重視の中の一環でございますが、隊員の練度の向上を図るといったもの、例えばパイロットの飛行時間を逐次従来のレベルまで戻していくとか、あるいは先ほど先生の御質問にもございました隊員の処遇改善といいますか、生活環境の改善、処遇の改善等について、最近の世間一般の状況に比べてかなり劣悪な状況になっておりますので、できる限りこれを改善していきたいといったようなことが重点になろうかというふうに考えております。  新しいといいますか、かなり大きなものとしましては、これまた五カ年計画で決まっておりますが、現在使用しておりますF1支援戦闘機、これの後継機について、検討をしてしかるべき措置を講ずるということになっておりますが、仮にこれは今三つの選択肢、現在用いている航空機を転用するということと、外国機を導入する場合、そして場合によっては開発をするという三つの選択肢によってこれらを研究しておるわけでございますが、仮に開発ということになりますとかなり時間を要しますので、六十二年度にも計上しなくちゃいけないということもございますので、これらの検討を急ぎまして、できれば来年度の予算にも場合によっては間に合わせたいというように考えております。  それからもう一点、四、五年前にF4という現在の使用しております主力戦闘機を、まだまだ使えるということでこれを改良したいということで、一部試改修をするという計画がございまして、これが六十年度に試改修が終わりまして今いろいろ実験中でございますが、その成果を踏まえて必要な措置、現在装備しておりますものについて、量産適用するかどうかといったようなことについても今後検討をして決定したいというように考えております。
  173. 太田淳夫

    太田淳夫君 今アメリカに調査団が行っているようでございますけれども、その中のいみいろな報道を見ますと、日米共同開発が有力になってきているんじゃないかと。現在のF18もしくはF16について、日本の防衛目的に合わせて改良するような方向になるのじゃないかというような報道もされておるわけでございますが、いろいろな開発を進めていかなきゃならない年数等を考えますと、あるいはアメリカのいろいろな要望を考えると、それに落ち着くような感じもするんですが、その点はどうですか。
  174. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) FSXにつきましては、先ほど御答弁申し上げたように、現在のところ三つの選択肢でその優劣をまず検討してみたいということで、質問書をまず外国機の導入に関連して出しまして、二月に回答を得ました。ただ、必ずしもまだ我々が期待するものすべてについての回答が得られない部分もございましたので、四月上旬に再質問書を提出すると同時に、先般ヨーロッパ及びアメリカに資料調査団を派遣いたしまして、必要な資料の収集に今努めておるところでございます。  その結果、必要な資料が得られましたら、先ほど申し上げたように現用機の転用、外国機の導入、開発という三つの選択肢で、どれでいくことが一番効率的でありかつコスト・エフェクティブネスであるかといったようなことについて結論を得たいということでございまして、まだ、開発でなければ我々の希望する運用要求に合わないとか、そういった結論を得られておるわけではございませんので、ましてや共同開発を既にもう念頭に置いているということではございません。
  175. 太田淳夫

    太田淳夫君 今まで日本の戦闘機の生産と開発のいろいろな流れというものを見てみますと、主力の防空戦闘機というのは大体これはアメリカ製の機種のライセンス生産が主でございましたし、あるいは支援戦闘機の方はこれは国内開発による機体で、今日までの航空自衛隊の航空戦力は構成されてきたというふうに、流れがそこにあるんじゃないかと思うんですが、将来もそのパターンで航空自衛隊の戦力を維持していこうとなりますと、当然支援戦闘機の方は国内開発というような流れになっていくんじゃないかと思うんですね。これには、やはり今いろいろとお話もありましたけれども、国内の我が国の技術というものも最近は相当進んでまいりましたし、あるいは我が国のいろいろなそういった自衛隊の運用条件に適合するようなとなりますと、やはり国産機の方がいいんじゃないかというようなことも考えられます。  そういった点で、今対外的な関係もあろうと思いますけれども、日本の防衛力あるいは国内の航空産業の発展、そしてそういった対外的な関係、そういうものをあくまでも冷静に判断をされて、この問題はやはり決断をされるべきじゃないかと思うんです。その点はどうでしょうか。
  176. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 先生今おっしゃられたとおり、やはり我が方の主力になる装備ということになりますと、幾つかの物差しがあろうかと思います。  一つは、申されたとおり我が国固有の運用要求というものがあるわけでございます。それにともかく合致したものでなくちゃいけない、そういうことになれば、正直申し上げて、そのために開発したものというのが一番我々の運用要求に合致をするというふうに思われます。しかしながら、一方例えば国産開発をするということになりますと、どうしても少数機数を開発し生産するといったようなことがございますので、コストの面でいろいろ問題があるかもしれない。と同時に、外国機を導入するというようなことになる、あるいは輸入するというようなことになりますと、平時の維持、運用、運営、そういった面でいろいろな不都合も出てくる。いろいろな面がございます。  したがいまして、性能面、それから維持、管理をどうするか、コストがどうなるかといったようなことを総合的に、客観的な物差しといいますか基準というものを念頭に置きながら、我々としては最も我が国防衛のために効率的なものというものを選択していきたいというように考えております。
  177. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後に、防衛庁長官官房長官ですね、この問題、FSX、量的には支援戦闘機ですから数の少ないものでございましょうけれども、これは総合的に含めますと約一兆円近いプロジェクトになるということでございますが、航空機につきましてはいろいろな点で、今までの歴史的な過程の中で汚職が起きたりなんか、いろいろなことをしておりますが、やはり国の防衛、国防という重大な問題に関することでございますから、いささかもそういった国民的な疑惑を招かないようにこれは当然すべきだと思いますが、その点お二人の、防衛庁長官、そして官房長官に御意見をお聞きしたいと思うんですが。
  178. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) この点につきましては、最大の注意を払っておるつもりでございます。そして、その決定過程、それからその運び方、そういったものにつきましても、いささかの疑念も抱かれないように、それを公明正大にやるように最大の注意を払っていかなければならない非常に重要な点であろうと、日ごろから心がけているつもりでございまして、現在までも、そして今後におきましても、国民の指弾を受けるようなことは一切ないようにいたしたいと思っております。
  179. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、御議論を承りながら、四十七年のFST2改、これの採用をめぐってのいろいろな議論を思い起こしたわけでございますが、今回の対地支援戦闘機の選定に当たりましても、やはり国益を踏まえて私はスマートに決定をして、そしていささかも国民の疑惑を招かないというように扱わなきゃならぬと、かように考えております。
  180. 太田淳夫

    太田淳夫君 外務大臣衆議院の本会議がおありになるようでございますので御質問したいと思いますが、これも新聞報道なんでございますけれども、本年の八月に米戦艦ニュージャージーが日本に寄港する予定があるということを米太平洋艦隊副司令官ハーディステイ中将が明らかにしたと、こうされておるんでございますけれども、公式、非公式を問わず、何らかの打診があったんでしょうか。
  181. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 米戦艦ニュージャージーの我が国への寄港につきましては、まだ公式、非公式ともに米側からは連絡がございません。
  182. 太田淳夫

    太田淳夫君 まだ米側からの打診がないということでございますけれども、ニュージャージーは御承知のとおりトマホークを搭載しておるわけでございますし、仮に寄港要請があった場合には日本政府としてどう対応されるのか。あるいは、トマホークは核、非核両用ありますけれども、我が国が非核三原則を国是としている以上、当然非核である点も確認する責務があると思いますが、その点はどのように対処されますか。
  183. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 米戦艦ニュージャージーが我が国に寄港するという具体的計画については、今御答弁申し上げましたようにまだ承知いたしておらない。連絡がございませんが、政府としましては、米国政府は核持ち込み問題に対する我が国の立場及び関心を、最高首脳レベルを含めて十二分に理解しておりまして、核持ち込みの事前協議が行われない以上、米国による核持ち込みがないことについては寸毫の疑いも持っておらないところであります。したがって、米国艦船等の寄港に際して逐一我が国から米側に対し照会あるいは申し入れを行うことは本来必要でないと考えております。  もっとも、このような基本的な立場を踏まえながらも、ニュージャージーの本邦寄港については、これまで既に種々国内的に議論が行われていることにもかんがみまして、念には念を入れる、こういう観点から、今後ニュージャージーの本邦寄港という問題が具体化するような場合におきましては、その段階において改めて米側に対して我が国の関心を伝え、同艦が我が国に寄港する際は、我が国は安保条約及びその関連取り決めに従って厳格に対応する所存であることを明確にしたいと考えております。  なお、政府としては、ニュージーランドの政策につきましてコメント——失礼しました。
  184. 太田淳夫

    太田淳夫君 最後まで言ってくださいよ、もう言ったんだから。時間がないから先にやってください。どうぞ先に進んでください。ニュージーランドの政策、どうなんですか。
  185. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) お尋ねはございませんけれども関連して申し上げますと、ニュージーランドの政策につきましていろいろと国会でも御議論がございまして、これはもう外国の政策でございますから、これについて一々コメントするという立場にはございませんが、我が国につきましては、ニュージーランドと違いまして、先ほど申し上げましたように安保条約、その関連規定におきまして我が国の立場は確保されておる、核の持ち込みについては我が国の立場が完全に確保されておる、事前協議という日米安保条約その他の取り決めにおける確固たる制度によって確保されておる、こういうふうに思っておりまして、したがって政府としましては、事前協議制度というものが存在する以上は個々の艦艇につきまして核搭載の有無の確認を行う必要はない、こういうふうに考えておるわけであります。  ただ、先ほど申し上げましたように、ニュージャージーの場合につきましては、これは国会でもいろいろと議論も出た、あるいはまた国民的にもいろいろと問題になっておるということで、一般的な形で、米国政府との間で我が国の非核三原則の立場というものを改めて明確にするとともに、お互いに安保条約、さらにまた関連規定を遵守していくということについて確認をし合いたい、こういうふうに思っております。
  186. 太田淳夫

    太田淳夫君 友好な日米関係を保つためにもこれは強く、もうニュージャージーが核を搭載しているということはわかり切ったことでございますから、強く政府としては臨んでいただきたい、以上申しておきます。  どうぞ、本会議があるそうですから。  このニュージャージーが日本海で訓練を行う予定ということで報道されて、まあ日本には正式に打診がないということでございますけれども、かっても海上自衛隊との共同訓練をというような申し入れもこのニュージャージーが来たときにあったということも聞いておりますが、仮に海上自衛隊との訓練参加も打診があったとしたらどのように防衛庁長官対処されますか。
  187. 大高時男

    政府委員(大高時男君) ニュージャージーとの共同訓練でございますが、米側から具体的な申し入れはございません。  もし今後打診があったらという点でございますが、一般に日米共同訓練につきましては、我が海上自衛隊の戦術技量の向上、また将来、有事の場合は共同対処をいたしますので、この共同対処を円滑にするために相互に意思疎通が必要でございます。また、安保体制の信頼性、あるいは抑止力の維持向上という観点からも日米共同訓練は必要でございますけれども、ただいまお尋ねの点につきましては、現実にこの訓練の申し入れがありました場合において、この当該訓練の目的あるいは内容といったようなものが所掌事務の遂行に必要な範囲内のものであるのかどうか、また実施することが政策的に妥当であるかどうか、あるいは教育訓練上の効果はどうであるかといったような点につきまして、その都度検討してまいりたいというふうに考えております。
  188. 太田淳夫

    太田淳夫君 こういうような訓練が仮に行われたとしますと、かねてからいろいろとありますように、かえってソ連を刺激するのは目に見えているわけでございますから、これは訓練というよりも軍事的な心理行動、こういう意味合いにとられてしまうと思うんですが、そういう色彩が強いと私たちも思うわけでございますが、政府はどのように考えておられますか。
  189. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) ニュージャージーの演習につきましては、我々まだ一切の打診も受けておりませんし、また委員の御指摘は、一部報道にこのニュージャージーが日本海においてソ連を刺激するような訓練をやる可能性があるのではないかというのがその背後におありになるものと思われますけれども、その同戦艦によります米単独の日本海における訓練についても、私たち何もまだ聞いてないところであります。  いずれにいたしましても、米国の国防政策はあくまでも抑止を旨とする防衛的なものでございまして、この極東におけるソ連の一貫した顕著な軍事力増強のもとで、いかに武力紛争を未然に防止し、そのための抑止力の維持向上を図るかという観点で行われているものだと承知いたしております。したがいまして、米軍が我が国周辺海域等において行うことのある訓練についても、一般論として言えば抑止力の維持向上の一環としてなされるものであろうと私たちは考えております。
  190. 太田淳夫

    太田淳夫君 今度はリムパック86も行われるわけですけれども、このリムパック86の特徴も、今回はニュージーランドにかわって英国海軍がこれに参加するということで、アメリカ、カナダ、そしてイギリスと、NATO加盟国が三カ国になっての演習ということになりますが、こうなりますと大西洋——今まではリムパック、大体環太平洋というそういう作戦計画でしたけれども、今度はNATOとも結びついた世界戦略というような訓練もされてくるんじゃないかという不安があるわけでございますが、最近の日米共同訓練の増加というのは非常に著しい傾向がありまして、集団的自衛権を行使しない我が国としてはこういった訓練に参加できるとは思われないのでございますが、やはりある程度限度ということがそこにあると考えますが、その点はどうでしょうか。
  191. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 私たちの自衛隊は、いざ緊急のときになりますと御承知のように米軍と共同対処をいたすわけでございます。それはもちろん我が国が有事の場合に限られるわけでございますけれども、そうしたときに我が国の指揮系統と米側の指揮系統はそれぞれ独立したものとして存在します。そして、それぞれ調整に当たる人間を出しまして、非常に難しい、指揮系統が別でなおかつ調整をしながら有事に対処するという任務を課せられておるわけでございますので、私たちとしては、日米の間で平素からそういった演練をしっかりやっておくことは非常に必要なことではないかなと思っております。そういう意味で、その訓練が多くなることが非常に何か危なっかしい話になるのではないかという説は私は当たらないのではないだろうかな、日米安保条約に基づく日本有事共同対処という観点からいえば、しっかりとした訓練をしておかなければならないのではないかなと思っております。そして、今申しましたように、我が国の自衛隊が米側と共同対処いたしますのは、あくまでも我が国が有事でありまして、我が国が有事ではなくって米国のみが有事みたいなときには当然我々の自衛隊は動かないわけでございますから、そういった意味から、集団的自衛権の原則に背馳するものだとは私たちは思いません。  それから、NATO諸国との訓練を含めて今度リムパックの中で行われるではないかという問題点の提起でございますけれども、このリムパックというのは、特に、どこの大きな国をとか、どこどこの特定の国をというような想定を頭に置いて、そういった仮想敵国を持ったシナリオを持ってやるものではないと私たちは承知いたしておりまして、あくまでも、どのようにして艦艇を操作するか、行動をとるか、そういった戦術技量向上のための訓練でございますので、私たちは、自衛隊の訓練のために必要であるし、また御懸念のような集団的自衛権の原則に背馳するものだとは思っておりません。
  192. 太田淳夫

    太田淳夫君 だんだんと拡大されていくおそれもあるわけでございますが、ここで最後に確認だけしておきたいと思います。  昭和五十五年の細田長官の答弁の中に、防衛庁は共同訓練参加に関しては一定の制限をつけていた。それは、集団的自衛権行使を前提とする訓練は許されない、これは当然だと思います。つまり、チームスピリットのようなものには参加できない。それから二番目、自衛のための必要最小限度を超えるものであってはならない。ここではICBMや長距離爆撃機を自衛隊が使用する訓練は許されないし、核兵器を使用する共同訓練は行わない。また、訓練相手国は紛争当事国や分裂国家であっては好ましくない。さらに効果の有無も判断する、こういう昭和五十五年の細田長官の答弁がありますが、それは現在も変わっていないと、このように私は理解していますが、その点はどうでしょうか。
  193. 大高時男

    政府委員(大高時男君) ただいま先生指摘のとおりでございます。その方針対処をいたしております。
  194. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) そのとおりでございます。自衛隊の自衛隊法上許されている業務の範囲内であるかというようなことを私たちは論ずるわけでございますが、自衛隊は憲法によって集団的な自衛権を行使することは許されておりません。また、それぞれの我が国の防衛基本政策に合致した政策的な判断もしてやっていくわけでございますので、今御指摘のような原則に基づいて私たちは運営してきましたし、今後もそうしていくつもりでございます。
  195. 太田淳夫

    太田淳夫君 終わります。
  196. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 午後二時三十分まで休憩します。    午後一時三分休憩      —————・—————    午後二時三十一分開会
  197. 亀長友義

    委員長亀長友義君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、安全保障会議設置法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  198. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 最初に法制局長官の方にお聞きをしてまいるんですが、総理が解散権は総理の専権事項である、それでこれはだれも侵すことのできない不可侵事項だというふうな発言を頻繁になさるんですが、そういうことになるのかどうなのか。私の理解では、あれは各国務大臣がみんな署名をしなければならないはずだと思うんですが、その辺はいかがですか。
  199. 茂串俊

    政府委員(茂串俊君) お答え申し上げます。  衆議院の解散権が総理の専権事項であるかどうかというお尋ねと、それから衆議院の解散を決定する場合には、総理だけではなくて他の閣僚の署名も必要ではないかというような二つの御質問であると承りましたが、それでよろしゅうございましょうか。  それではお答え申し上げますが、第一の問題につきましては、これはもう御承知のとおり、衆議院を解散することにつきましては憲法第七条の規定によりまして天皇の国事に関する行為の一つとされておるわけでございますが、この天皇の国事に関する行為は内閣の助言と承認により行われるということになっておりまして、衆議院を解散することの実質的な決定権限内閣に属すると解しておりますことは従来からたびたびお答え申し上げているところでございます。  ところで、内閣がその職権を行うのは閣議によるものとされておるわけでございますが、内閣総理大臣内閣の首長として閣議を主宰する立場にはあるものの、内閣総理大臣だけで合議体である内閣意思決定をすることはできないことはもとよりでございまして、法理論といたしましては衆議院の解散権は文字どおり内閣に属すると言わざるを得ないわけでございます。  ただ、我が憲法の定める議院内閣制は、内閣総理大臣国会との特別の信任関係を基礎として成り立っておるわけでございまして、内閣の存立をかけて国民の信任を問うこととなる衆議院の解散につきましては、内閣総理大臣の意見が実際上極めて重要な意義を持ち、尊重されることは言うまでもないわけでございまして、このような意味を込めて、いわば日常的な用語法として衆議院の解散は内閣総理大臣が決めるというような言い方がなされておるものである、かように考えておるものでございます。  それから第二点でございますが、衆議院の解散を決定する場合に他の閣僚の署名も要るのじゃないかというような御質問であったと思うんでございますが、一般論として申し上げますと、閣議での議決方法につきましては憲法初め内閣法その他の法令には何ら規定が設けられておらないわけでございますが、閣議決定閣僚の全員一致によるというのがいわば長年の慣行として確立しておるわけでございまして、閣議決定に際しましては全閣僚の署名、実際には花押でございますが、これが行われているものと承知しております。そして、ただいま問題でございました衆議院の解散に関する閣議決定につきましても、当然にこのような手続方式により行われるものと理解をいたしております。  以上でございます。
  200. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 前段のところの説明の後ろの方のお話はちょっとくど過ぎるんで、わかりやすく言って、解散を決めるのは内閣です、各大臣が署名をしなくては成り立たないんですと。そうしてくると、中曽根総理のああいう発言というものは、私は大臣の皆さん方を無視した発言だと思うんです。だから、そういう点で、ああいうことを総理が言われておって、もしもそういう事態になったら、ここには外務大臣官房長官、お二人しかいらっしゃらないんですが、署名をなさるんですか、どうなんですか。
  201. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 端的にお答えした方がいいんだろうと思いますけれども、私は今法制局長官が言いましたように、解散権というものは憲法上の内閣に与えられた最も重要な機能だと思います。したがって、いかなるものといえどもこれを制約することは私は許されない、かように考えているわけでございます。それほど重大な機能であるだけに、これは何らの理由もなく何でもかんでも解散権を振り回せばいいという筋合いのものでは絶対ない、重大な権限であればあるだけその取り扱いは慎重でなければならぬ、その慎重な扱いの上やる場合はだれにも制約をされないでやるべき筋合いのものである、私はそう考えております。  私は、今、柳澤さんの御質問は署名をするのかと、こういうのですから、事ほどさように重大な扱いをした上でこれは閣議に諮られるはずでございますから、署名をいたします。
  202. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 憲法論としては、これはもう官房長官のおっしゃるとおりで、憲法七条によって解散権というのは内閣に専属していると思います、専権事項だと思います。ただ、やはり総理大臣はその中で内閣の最高責任者ですし、昔の憲法と違いまして、もちろん閣僚が全部署名するというのは、例えば国会の召集でも、あるいは法律にしても、あるいはまた法律案決定にしても解散にしても、閣僚が皆署名するというのが筋だろうと思います。これまでの解散の歴史からいいますと、一回かそこら全閣僚が署名しなかったという例もあるようですが、しかし基本的には署名すべきだ、こういうふうに思いますが、それはやはり総理大臣が例えば閣僚に対する任免権というものを持っていますから、そういうものを前提とした署名ということになるんじゃないか。ですから、総理大臣が決意をすればこれは憲法的に行われるということですけれども、しかし解散そのものは極めて重大な、それはまさに国事行為ですから、やはりその決定に当たっては議会政治という建前を踏まえて慎重にこれは当たられることは当然のことであろう、こういうように思います。
  203. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 別に私嫌がらせや意地の悪い意味で言っているんじゃなくて、官房長官も外務大臣直言われたように、本当にこれは内閣として非常に重要なことだと思うんです。だから、それだけに、総理が何か執念みたいに解散、解散なんか言っているようだけれども、そういう総理個人の恣意的な判断でこういう問題が扱われることのないように、まして今日本経済がどんな状態かということは私が言わなくてもおわかりのとおりですから、そういう点で十分慎重であってほしいということを希望申し上げておきたいと思うんです。  次に、外務大臣お忙しいところおいでをいただいたんで二、三お聞きをしたいのは、昭和二十六年の九月に日米安保条約は調印をしているわけです。三十五年の改定のことはこれはいいですから、最初に日米安保条約を結ばれるときには日本から要請したんですか、アメリカから頼まれたというか話があったんですか、どっちから話が出ていってこの条約を結ぶようになったんですか。  私は、今までのずっといろいろ経過を見てきて思うんですけれども、あの日米安保条約の一番のねらいはといえば、むしろアメリカは日本が昔のような軍事大国になられては困るという、逆に枠をはめるところにねらいがあって、アメリカは日本にこれ結ぼうじゃないかと言って押しつけてきて結んだんじゃないかという感じが私はするわけで、その辺はどういう御判断をなさっているか、お聞きしたいんですが。
  204. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 全く歴史的事実については、私の認識も今御意見承りまして、今ここでとっさにお答えするとなれば足らない点があるとも思いますが、旧安保につきましては、吉田内閣のときですね、サンフランシスコ平和条約に調印をされた際に、吉田さんの決断で旧安保条約というのが締結されたわけでございまして、これはそれまでのずっといきさつ等を見ますと、日米間のやはり合意といいますか協議によって、やはり日本の安全保障という点について、吉田首相が非情な決意をもって安保条約調印に踏み切られたというふうに承知しております。  その後、この旧安保を改正して新安保に移った段階におきましては、これは旧安保の状況というのが非常にまあいわば不平等といいますか片務的な面があった、裁判の管轄権その他ですね。いろいろな問題がそこにあったので、やはり日本がその後独立を回復するにつれて、日米対等という立場で日本の安全保障というものを確立しなきゃならぬ、今までの片務的なものから双務的なものに持っていこうという立場で、考え方で日米間で折衝が行われて、まあこれはむしろ日本側から提起したと言っても過言ではないんじゃないか、歴史的事実は私はそうではないかと、こう思っております。アメリカがこれに応じて、そうして岸内閣のときこの新安保条約が締結をされたと、こういうふうに私は承知いたしております。
  205. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 わかりました。  外務大臣、私が危惧するのは、こんなことあっては困るけれども、いざというときに本当にアメリカが助けに来てくれるのかどうか。それは在日米軍がおりますから、これはもう当然動かすだろうけれども、わざわざ向こうから兵隊連れてきてまでも日本を守るためのことをしてくれるのかどうか、その辺のことを具体的に日米の間でお話をなさったことがあるのかどうなのか、あるいはそういうことについての覚書か何か交わしているんですか。
  206. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) まさにこれは、日米安保条約そのものではないかと思います。それはまさに、日本が侵略されたときはアメリカがこれを助ける、まあ六条自体についてもそうでありますし、これは条約上極めて明快でございますし、条約上の義務と責任が条約を結ぶ以上は両国間にあるわけでございますから、我々はその条約というものを信頼をしていくというのがこれは当然のことであろうと思います。  なお、こうした日本が侵略を受ける事態というものに対応して、日米間で共同対処する非常に具体的な練習、演習であるとかあるいはまた協議だとかいうものが、その後いろんな角度から行われておる、今日も行われておるということは、これは御了承のとおりであろうと思います。基本的には、この条約に基づく日米間の信頼関係ということが基本であるわけでございます。
  207. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 条約の文章の解釈じゃなくて、例えば今、日米安保条約は通告したら一年で破棄になるわけでしょう。こういう状態にあることについて、日本政府としては、その点は別に問題ないんですか。私はその辺が気になるところだけれども、政府は気にならないですか。
  208. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これはまさにおっしゃるように、一年前にどちらかの政府が通告すれば解消ということになるわけでございますが、しかしこの日米安保体制というのが日米間、日米同盟の極めて基幹的な一つの条約であるという建前に立って、日米間であらゆる今日まで共同、協力体制を進めてきているわけでありまして、その条約に基づいてアメリカ軍も日本に駐留しているということでございますし、また日本がその条約に基づいて米軍に対する協力もいたしておるわけですし、私は、やっぱり基本的にはお互いの国民のひとつの支持というものを受けてこの条約というものが成り立っておるんじゃないかと、こういうふうに思っております。依然としてこの日米安保体制というものに対する両国民の支持という基盤は極めて強いと、こういうふうに考えておりますので、そうした一年前に通告することによって解消されるという条約の改定あるいは解消の手続はあるわけですけれども、この基盤というものはますます固まってきているんじゃないか。日米間の信頼関係というものもますます強くなってきておるんじゃないだろうか。  ですから、ただ条約の純粋な条約理論からいえば、非常にそういう手続的には簡単に破棄できるかもしれませんけれども、今、日米安保体制というものが長い間の時間の中で定着してきたその一つの信頼関係、同盟関係というきずなは、これはそう簡単に切れるものでは私はないと、そういうふうに思っておりますし、また日本政府としては、この日米安保体制を今後とも堅持、推進していきたいということを強く考えておるわけであります。
  209. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 だれがと言うわけにいかないですけれども、かなりの有識者が、もうこれは相当前のことですけれども、日本がそんなに日米安保条約でうるさいことを言うならば、こちらから破棄してやったらいいじゃないか。それで、日本人が自分でもって自分の国を守るということをやらしたらいいんであって、そんなに嫌われてまで何でアメリカのおれたちがやらにゃいかぬのだ、そういうことを言った人がおるわけなんです。  それで、私が聞くくらいですからね、公式な場では何らないけれども、非公式な舞台では当然外務省の大臣なり高官も、そういうことはもう大分前から耳にしていると思うんです。そういう声のあるということについて外務大臣、どうお考えになりますか。
  210. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) これは、確かに日米安保体制を破棄すべきであるという声は日本にももちろん御承知のようにあることは事実でありますし、またアメリカにも、アメリカの政界におきましても、あるいはまた国民の一部においてもそれはあるということも聞いております。そういう意見も、現実に出ていることも私は承知しておるわけであります。しかし、これは民主国家ですから、お互いにそういう国の間で意見が出てきている、国民の中にそういう意見があることは、これはもうやむを得ないことであろうと思いますが、しかし全体の空気といいますか、全体の世論といいますか、大勢としては、これは安保条約をやっぱり今後とも続けていこうというのが、私は日米間の政府関係だけではなくて国民的な一つの合意というふうに考えております。そして、これに対して私は疑いを入れない実情であるし、そういう状況にあると、こういうふうに確信をいたしておるわけです。
  211. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 確信をお持ちなのはいいけれども、学校の先生が論文の話をしているのと違って、これやっぱり国家の存立にかかわることなんですから、そういう点でアメリカ側に兵器だとか弾薬だとかたくさん持ってこさせて、そしてどこかの日本のところに、変な話だけども、いわゆる備蓄しておいて、それで、言うならばアメリカ側が簡単に日本から逃げ出せないようにでも、言うならば担保にでもするようなことをしておかなくても大丈夫ですかと。日本の国が自分でもって守るだけの力を持てばそれは別問題でもって、米軍なんか早いとこ出ていってくれと言ってこっちから追い出して出ていってもらったらいいけれども、とてもじゃないけれどもそれだけの防衛力を持つなんということは今の日本の現状ではできるものじゃないし、そうするとどうしても日米安保条約が必要になるし、いざというときはそういうことになるわけなんだけれども、そういうふうな何か担保をとっておかなきゃならぬという、そういうことはお考えになりませんでしたか。
  212. 安倍晋太郎

    国務大臣安倍晋太郎君) 担保というよりは、まさにいわゆる両国に深く根をおろした条約に基づく信頼関係、同盟関係というのが、どれが極めて大事なことじゃないかと思います。しかし、この点については、先ほどから申し上げましたように、日本の大多数の国民、世論も安保条約を支持している、アメリカの大多数の国民も安保条約を支持している、また有識者そして政府も安保条約を守る、これを続けていくということについて何ら疑念を持ってないということははっきり言えるんじゃないかと思っております。  そういう状況の中で我々としては、日本が侵略を受けたときはアメリカがこれを守っていく、反対にまた日本においては米軍の基地を日本に認める、米軍駐留を認めるということで米軍が今日本に駐留しているという現実の姿があるわけでございます。そういう状況の中で私は、この体制というものは今後とも続いていくし、またこれを安定した形で続けていかなきゃならぬということでいろいろと苦心をしておるわけです。
  213. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 外務大臣、お忙しいところをおいでいただいたんでもうこれで終わります、次の予定に差しさわりがあるといけませんのでありがとうございました。  次に、官房長官法案内容の方に入っていくんですが、従来の国防会議を廃止して安全保障会議設置した理由なんですね。この前の提案理由の説明の中にもあります、このところが私がなかなか理解をしようとしてわからないんですが、「近年における社会全体の複雑高度化、我が国の国際的役割の拡大と我が国周辺地域の国際政治面での重要性の増大等により、重大緊急事態の発生の可能性は潜在的に高まっております」と。この重大緊急事態なんというのは、これ予測ができないからそういう重大緊急事態であるということで起きてくるわけなんです。それがそういう「重大緊急事態の発生の可能性は潜在的に高まって」いるということになってくると、ある程度の予測をすればこそ言われるわけなんだけれども、その辺の改組する理由というものが明確でないんですけれども、御説明をいただきたいと思います。
  214. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、やはり終戦後ずっと日本の国際関係の切りかわり、国際社会の中に生きていく日本の姿、それからまた国内の大変な高密度の工業化社会への急激な移り変わり、そして大都市等の過密化、こういうことを考えますと、私は絶えず国民の生命、財産、あるいは言葉を変えて言えば国の安全に重大な影響を及ぼすような事態というものがいつでも起こり得るのではないかという危惧の念を私は消すわけにはまいらない、また現実にあるであろうと。  そういうことを予想して、今までのような政府意思決定やり方では到底今のこの行政の仕組みでは間に合わない事態ができてくる。その例として幾つか過去にあったじゃありませんか。これはこういう席での答弁になると、役人的答弁をすればそれなりにうまくいきましたと、こういうことはこれは極めて明瞭なんですけれども、私は場合によれば、中におって処理した事件もございますから、これではとてもじゃないがどうにもならないということを痛切に私自身も体験もし、これではいけない、やはり仕組みとしてはあるべき姿を我々としては今から構築をしなければ、本当の意味で国民に対して責任を持った政府仕事のあり方ではないではないかということで、私は今度のこういう安全保障会議を行革審に御審議を願って、その行革審の御答申の上に立って所要の改革を行おう、こういうことで御審議を願うようにしたんです。御理解をいただきたいと思います。
  215. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 官房長官、今何というか重大緊急事態という点について御説明あったんですけれども、今までの国防会議を改組するというか廃止をして安全保障会議にする。特に、この間本会議で、どなたかの御質問総理が答弁しているのを私聞いて非常に理解ができなかったんですが、それは、総理は従来の国防会議防衛庁設置法でもってあったんだと、今度はこの安全保障会議のこれでなにしてやったんだからこれで文民統制が一歩前進したことなんだというふうを言い方をしているわけなんです。どうでそういうふうな発想が生まれてくるのかなという気がして、これは総理に聞かなきゃいかぬことなんだけれども、もうちょっと、何も今の国防会議やめてそうして安全保障会議というそんなこと何でやらなきゃいかぬのかと、そこら辺の理解がなかなかいかない点があるので、その点ちょっとどちらかから御説明いただきたいんです。
  216. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは、総理の御答弁は私は一つの形式論理だと思います。国防会議というのは、申し上げるまでもなくシビリアンコントロールということで、武装部隊である防衛庁というものを、本来的にはこれはシビリアンコントロールというのは政治の軍事に対する優位ではありますけれども、その中においてやはりこういう国防会議が武装部隊を管理する、それをひとつしっかりやらなきゃならない、こういう意味で置かれておるものですね。それが自衛隊法そのものの中に規定してあるということは、法形式から見ても、それは制定当時の経緯があるのでああなっておるだけの話であって、この辺私はきちんとした別個の法体系の中で設置をすべきものである、こういう意味合い、それは形式論理を一つの理由として言われたと思います。  実態的な何かといいますと、やはり国家の安全に関連するような事態というものはいろんな形態のものがあると思います。国防自体、武装部隊をそのまま使うといったようなことはこれは従来どおりでございますが、でき得べくんばいわゆるそういう有事にしないようにしなきゃなりません。ところが、国家の重大な安全にかかわる事態ということは、一歩処理を間違えると私は有事にしてしまうおそれがあるわけですから、そこで有事に至らない段階で有事に至らしめないように、どのように政府意思決定して適切に処理をしていくのがいいのか、これを対象にしているわけでございますから、前後相関連して考えるならば、それは一つ安全保障会議として処理することは、これは私はそれなりに非常な意味のある、国防会議の一種の活性化にもつながるのではないのかなと、こう思います。  それから、その事務処理の体制の方の安全保障室についても私は同じことが言えるし、しかもそれが総理大臣に直結をしておる事務組織の方がかえって有効ではないかという議論があるんですが、これは私は行政の実態から見て、内閣官房の中にいろんな今機関がございます。審議室であるとか、あるいは内閣調査室であるとか広報室であるとか、いろんなものがございますから、これらとはやっぱり密接な関係を持った一つ内閣という組織の中において、しかも全体に目配りをしておる内閣官房長官のもとにおいて、そしてそれが総理補佐するといった方がはるかに私は機能的に見ても有効な作動ができる仕組みになるのではないか、こういう意味合いでこれはシビリアンコントロールを強化するゆえんになると、こう私は総理はお答えをいたしておるものと、かように理解をするわけでございます。
  217. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そのシビリアンコントロールの方は、また後からお聞きしてまいりますが、この重大緊急事態の具体例で三つ挙げている中に、いわゆる五十一年九月のミグ25のことを取り上げているわけです。しかし、考えていただきたいのは、あれからもう十年たつわけでしょう。しかも、あのときに日本の空軍がスクランブルかけていって、そして途中であのミグ25を見失っているんですね。だから、あのときの何と言ったですかソ連の飛行士が、当然日本のところへ逃げて亡命しようとしてくるんだから近くへ行けばスクランブルかけてくるだろうと、かけてきたらそれに誘導されていけば間違いなく日本の飛行場におりられるといって、そう期待して飛んできたところがとうとうスクランブルをかけてこなかった、日本の防空体制というのも案外大したことないんだなということをしゃべっているじゃないですか。  ですから、少なくともこういうことが重大緊急事態なんですということで取り上げるならば、十年前のこの事件が起きたときに日本の防空体制がこれでいいのかどうなのかといって、そういうことも含めてのその緊急事態に対応できる体制をどうしなきゃいかぬかといって、そこで検討してその対策を講じなければならない。十年もたって、今になってあのときこういうことがあった、こういうことがあったから今度はこの安全保障会議にしなきゃならぬなんて、そんな悠長な、それはちょっと私は理由にはならぬというんですよ。どうなんですか。それは防衛庁長官、それとも塩田さんの方のお答え、どっちがしてくれますか。
  218. 塩田章

    政府委員塩田章君) 今、先生二つのことを言っておられると思うんですね。一つは、重大緊急事態という今度の案が遅過ぎたじゃないかということの例証としてスクランブルの例をお挙げになったんです。あのスクランブルの方でいいますと、これは私の方からお答えするのはいかがかと思いますけれども、確かにあの時点のレーダー能力ではああいう事態が起こった、つまり低空に下がったときに見失うという事態が起こった、これは事実であったと思いますが、この点については先生承知のようにE2Cの導入でありますとか、逐次改善を図っておるわけです。ですから、そういう意味でのスクランブル態勢の整備ということは、これは防衛庁の方でその後ずっと心がけておられると私は理解をいたしております。  今度の安全保障会議で、ああいう事件がもし起これば重大緊急事態として対処しようとしておるわけですけれども、それがもう十年もたってやっと手につけたのかと、こういう点につきましては、これは私ども例として、過去においてどんなことがあるかという例としてミグ25のような事件と、こういうふうに申し上げていますが、一般的に、先ほど来官房長官からもお答えがございましたように、潜在的なそういう危険性が高まっておるという背景を受けまして、直接的には昨年の七月の行革審の答申を受けて今回の整備に踏み切ったと、こういうことでございます。
  219. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 塩田さん、それじゃ答弁にならぬて。さっきも言うように、一応官房長官の御答弁で私も了解をしているわけだけれども、その重大緊急事態ということは、予測できないようなことがぼかんと、それは関東大震災でもそうだと思いますよ、何かそういうまさか起きやせぬと思うようなことが起きたから重大緊急事態なんでしょう。それを、さっきも私が言うのは、潜在的にその可能性があるということを言うと、これはちょっと待ってくださいよ、何かを予測しなければ潜在的なそういう可能性ありということは言えないんですよ。じゃ何を予測してあなた方はそういう潜在的など、こういうことを言いたくなるんですよ。  だから、そこのところはもう、一応さっきの官房長官の答弁で終わりにして、そして、スクランブルかけて現実に失敗したことは事実、そのときにすぐその対応をとるべきで、それで対応をとれてもう二度とそういうことはありませんということになれば、今ここへ来てこの安全保障会議をつくらなきゃならないときのその理由にはなりゃせぬことなんだ。それを今局長は、そのスクランブルのことは何か解消したようなことを言っている。解消したならば、この重大緊急事態の例にはならないのですよ、もう二度とあんなことが起きても心配ありませんということが言えるのだから。そこのところをもうちょっときちんとしてお答えをいただかなければ困るんです。  それで、その辺にしておいて次にいきますけれども、大平内閣のときに総合安全保障研究グループというのができて、それでいろいろ研究をなさった。そのときに、この安全保障ということは白国の国民生活をさまざまな脅威から守ることであるという大変幅の広い定義をして、だから安全保障政策というものは、外交の問題から防衛の問題からエネルギーの問題から食糧の問題から、それから大地震のようなそういうことも含めて考えなくちゃいけない。それで、今の国防会議はもう形骸化しているから、ひとつこの辺で総合的に、有機的に推進していくために国家総合安定保障会議を設立することを提案しますというレポートを出したわけでしょう。  これは大平内閣のときですけれども、それが今回のこれは、その中の国家も取ってしまった、総合も取ってしまった、それで安全保障会議として提案をしているわけですけれども、それはなぜですか。さっきも言うとおり、その程度のことならば今の国防会議と別に大して変わりゃせぬことで、何もわざわざここで仰々しく安全保障会議なんてつくる必要ないじゃないですか。その辺を御説明いただきたいと思います。
  220. 塩田章

    政府委員塩田章君) 御指摘のように、大平総理の時代に総合安全保障研究のグループからの報告書が出まして、その中で広くエネルギー、食糧、大規模地震対策等含めたいわゆる総合安全保障政策を推進するために、国家総合安全保障会議というものをつくったらどうかという提案がなされておることは承知いたしております。これはその後、御承知と思いますが、五十五年十二月に、現在、総合安全保障関係閣僚会議という形で、この答申を受けた形で閣議決定でつくられて現在に至っておりますが、これは提案とは違いまして協議機関として内閣閣議決定で置かれておる、この辺は御存じのとおりであります。  今回御提案を申し上げているのは、その安全保障研究グループが言っている国家総合安全保障会議を設立しようというものではございませんで、あくまでも昨年の行革審の答申を受けまして、国防会議重大緊急事態対処する措置を加えたものをつくろう、こういう提案でございますので、そういう意味でまず総合という点について申し上げますと、グループの報告書で言うところの総合安全保障に比べまして、今回の場合はエネルギーだとか食糧だとか外交だとか、そういったことを対象にするものではございませんということが一つありますので総合という言葉は使っておりませんし、また国家という点につきましても、必ずしも、いわゆるナショナルセキュリティーという場合には外部からの脅威というものにどうしてもニュアンスが強い言葉でございますから、そういう意味では、今回の場合は必ずしも外部にこだわらないで内部で起こった事態についても対象に考えておりますので国家という字をつけない方がいいであろうという判断をしまして、総合もついていない、国家もついていないわけでございますけれども、そもそも先生、今度のつくろうとしておる安全保障会議というものが、必ずしも総合安保の研究グループの報告を受けてつくろうとしているものではなくて、昨年の行革審の答申を受けてつくろうとしているものであるということを申し上げたいと思います。
  221. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 局長、そう言われるから、何も仰々しく安全保障会議設置法なんて言って、そんな法律をつくることないでしょうと言うんです。今までの国防会議のままにしておいて、むしろ今までの国防会議がさっぱり動いていなかった、さっぱり動いていないでもない、少しは動いていたんですけれども、それをもうちょっと活性化して動くようにすれば事足りたでしょう。  この間中曽根総理も、本会議でうちの議員が質問したときに、私もメモしておいたんだけれども、国家ということについて、政治学的にはごもっともですが、国民の間にはまだそこまでいっていない、何かいかめしい感じがしますから取りましたと。今の局長の御答弁もそれにやや似通ったようなところがあるんだけれども、そういうことが国家を避けた理由ですか。その点はっきりしてください、これは。
  222. 塩田章

    政府委員塩田章君) まずその前に、御指摘のように、こういう私の御説明申し上げたようなものであれば国防会議の活性化ということで別段こんな新しい法律は要らないではないか、こういう御主張でございますけれども、それも一つの御見解かと思いますけれども、やはり国防会議の現在の任務のほかに新しく重大緊急事態対処するための審議事項を加えるというのは、これはやはり新しい一つの任務でございますから、そういう意味では、やはり従前の法律国防会議のままにしておいて新しい任務をつけ加えるということよりも今度の方がいいのではないか。  それと、先ほど最初に官房長官からお答えしましたように、法律としまして防衛庁設置法の中にあるという形も本来はこれはおかしいわけですから、そういう意味で独立した内閣関係法の一つとしてこういう法律をつくって設けた方がいいのではないかということで今回の案をつくったわけでございます。そういう意味におきまして、私どもは、先ほど大平総理時代の報告書を受けたものではないとは申し上げましたが、今度の案で私どもそれなりにやはりねらっている意味は出てくるのではないか、これが余り大した意味はないというようなことではないというふうに考えております。  それから、国家を取った理由でございますけれども、要点は先ほど申し上げましたことに尽きますけれども、繰り返しになりますが、やはり国家安全保障会議という場合には、これは一義的に明確な定義があるわけでございませんであくまでもニュアンスといったものにすぎないかもしれませんが、国家をつけた場合はどうしても外部からの攻撃に対して、外部からの脅威、外部からの侵害に対して国を守るというニュアンスがどうしても強い、それよりか、今回の場合は内部のいろいろな事案に対しても審議の対象にしておりますので、そういう意味からいってやはり取った方がいいのではないかなという判断をしたと、こういうことでございまして、これは繰り返し申し上げますけれども、明確に、つけたら間違いだとか取ったらいいんだとか、そういう性質のものではない、それは御指摘のとおりだと思いますが、我々としては今申し上げたような判断をしたと、こういうことでございます。
  223. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そういうことを言われるから困るんです。あなただって日本人でしょう、日本の国に生まれたから。私も日本の国に生まれたから日本人で、日本の国家があるということを否定する人がいるんですか。それを何か国家というあれをつけるといかめしいとかなんとか、外からの攻撃を云々だとかどうだとかと言う。それはそういうふうに考えるところがむしろ皆さん方の頭の中の構造が少し違うんであって、やっぱり日本人が全部が住んで暮らしている、少なくとも一億二千万の日本人がいるこの運命共同体というか国家というか、だからオリンピックで日の丸の旗が上がる、日の丸の旗が上がればみんな喜ぶわけじゃないですか。日の丸の旗は日本の国家の象徴というか、あれをあらわしたものでしょう。国家があるということ自体までも否定をなさるんですか、どうですか、それは否定なさらないでしょう。
  224. 塩田章

    政府委員塩田章君) それはもちろん全然否定する気持ちはございません。
  225. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 否定する気持ちがなかったならば、それは確かに昔は防衛とかなんとかというとすぐもう戦争のそういうことばかりに結びつけて考えられた。それが、依然としてあなた方がそういう感覚でいるから、平和だとか安全保障というものに対しての国民の理解がいつまでたったって言うならば直らないんです。何か安全保障といえば戦争をやる準備ばかりするようなことの理解です。あなた方がそういうことをしているんじゃないですか。  さっきも言ったとおり、もう五年も六年も前から、安全保障ということは総合安全保障として食糧からいろいろのすべてのものを考えなくてはいけないんだというそういうふうな理解になりつつある中で、少なくとも政府の、それこそさっきも官房長官言われたように、政権を担当している与党の皆さん方がそういう感覚でもって物を考えているからこういう法律になる。  それを改める、それで国家総合安全保障会議というようなこういう表現でもって、食糧問題から何から全部、それこそあらゆる問題を含めて、日本の一億二千万国民が平和で安全で暮らせるように、幸せに暮らせるようにするためのものなんですということがどうして言えないんですか。そういうふうに修正する気持ちはないですか。
  226. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 柳澤さんの御意見は、私なりに十分理解ができます。先般参議院の本会議で関先生が国家とは何ぞやといったような非常に高い見地に立ってこの問題を論議せられたのを私は興味深く拝聴いたしました。国家とは要するに統治権といいますか、そういったようなややコンクリートな概念で一つあると、そうでなしに今度は広い社会学的な観点の国家もあるしといろんな分類をせられた上で、この国家という字をなぜ使わないんだ、使うべきでないか、こういうお話、これは私はそれなりの立派な御意見だったと思います。  ただ、私どもが今回御提案申しておるのは、先ほど局長が申しましたように、やはり国家安全保障会議ということになると何といっても現在諸外国の制度がございます、諸外国に類似のものが。一つの固定概念ができております。それはどういう概念かというと、やはり外国からの侵略に対する対応を考える私は機関としての大体物の考え方であろう、大まかに言えばそういうことであろうと。今度のやつは、それだけではなくて、国内の事態に対するものを一応国の安全に重大な関係ありということでとらえて、例えば関東大震災のごときで、過去の例を挙げまして、あるいは戦争事案にならない前の段階で処理する、KALであるとかミグであるとかダッカであるとかいろいろ申し上げておるのは、幅の広いそういうような外敵だけを頭に置いていないんだと。そこで、国家という既成概念のある機関をつくるのは避けて安全保障会議とした方がよかろうということが一点と、もう一つはこれは行革審の御答申を根拠にして政府案をつくった。  ところが、行革審の中の御答申がやはり国家という言葉を使わなかったんです、これは。やはり安全保障会議、こういう言葉を使った。ところが立法の過程で、政府の中では逆に柳澤さんと同じような意見で、これは国家安全保障会議、国家を入れるべきであるという提案があったんです。私は官房長官をやる前に総務庁長官をしておりましたから、こういった組織関係は担当しておりましたので意見を求めにきましたので、あえてここで行革審の答申と違う概念を導入する必要はない、これは素直な安全保障会議という名称の方がよかろうということに私は変えさせた経緯があるんです。それは、私の考え方は今申し上げたような考え方で、これは国家安全保障会議というと、既存の外国の、アメリカなりあるいは韓国なり方々にあります、これとの概念の混同を来すよ、そうすると対象が変わってくると、したがってやはり素直な答申どおりにやっておいた方がよかろう、こういうことで安全保障会議としたわけです。  さて、そこでそれならこれは翻訳するときどうなるかということなんです。これは、加藤さんは元外交官ですから語学が達者ですが、私は語学はさっぱりあかんのですが、これをナショナル・セキュリティー・カウンシルというのがいいのか、ここらは一つのやっぱり研究課題だと思いますが、私はナショナル・セキュリティー・カウンシルというとやっぱり多少概念が混同するなど、ジャパン・セキュリティー・カウンシルと言った方がいいのではないかと、これは本当にまじめに議論しているんですから。それぐらいこの名称の問題は実際はいろいろな経緯を経た上でこれが一番実態に合っておるのではないのかということで名前をつけたのであって、柳澤さんのおっしゃるむしろ国家安全保障会議といったようなしっかりしたものをつくれ、こういう御意見を私は非常に参考にさせていただきたいと思いますが、これとは直接のあれは結びつかない、かように御理解をいただきたいと思います。
  227. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 官房長官、私が言っているのは国家総合安全保障会議、そこのところばかりやっているわけにいかないので、次に進ましてもらって、その後鈴木内閣になって総合安全保障関係閣僚会議ができましたですね。この総合安全保障関係閣僚会議をおつくりになったときに、従来の国防会議との関係をどういうふうに整理なさって設けられたのかどうなのか。調べてみたら国防会議よりかも関係閣僚会議の方が多く開かれている。ですからそういう点で、最初に総合安全保障関係閣僚会議をおつくりになるときに、既にあった国防会議との関係をどういう整理をしてやられたかということが第一。  それから、今度は、今その国防会議安全保障会議にここへ改組するわけでしょう。改組というか、国防会議を廃止して安全保障会議をつくると。今回つくるこの安全保障会議関係閣僚会議との関係はどういう整理をなさっているのか。性格からいけば、関係閣僚会議安全保障会議の下部機構だとするとか、あるいはもう二重、中二階みたいでややこしいから、じゃ関係閣僚会議やめちまうかというか、何かその辺をこの機会に整理をしておかないと混乱を起こすと思うので、この切りかえのときに今どうお考えですかと、その二つ御質問します。
  228. 塩田章

    政府委員塩田章君) まず総合安保関係閣僚会議をつくったときにどういう考え方調整したのかという前段の方でございますが、国防会議については、申し上げるまでもなく、ずっとシビリアンコントロール確保という観点からの国防に関する施策についての重要事項審議するための機関として、諮問機関として設けられてきたと。これに対しまして、総合安保の関係閣僚会議をつくるときにいろいろ議論があったことは私も承知しておりますけれども、これは先ほどの大平内閣のときの報告書も受けまして、経済、外交等広い諸施策のうちで言ってみれば安全保障という視点からの総合性、整合性を確保するための関係行政機関における調整をするための協議機関としてつくるんだということに落ちつきまして、結局そこに両者の違い、つまり国防会議の方は国防に関する重要事項についての諮問機関、総合安保関係閣僚会議の方はもっと広い経済、外交を含めた、しかし安全保障という観点からの諸施策についての協議機関ということで、交通整理をしまして発足して今日に至ったと、こういうことでございます。  今、総合安保の方が多く開かれておるんではないかというお尋ね、御発言があったように思いますけれども、総合安保関係閣僚会議の方は設置されましてから十五回ばかり開かれております。期間的に言いますと、国防会議の方がやや多いんではないかと思います。というのは去年一年間で十回も開きましたものですから、国防会議の方は。そういう意味で去年がちょっと特殊ではあったわけですが、大体回数的には同じような回数ではなかろうかと思いますが、いずれにいたしましても、今後どうするのかということでございますが、今申し上げましたようにこの二つの会議はやはり目的とか対象とかというものをやはり異にしております。もちろん内容的にダブる面もあるわけですけれども、元来の目的、対象としてはやはり異にしております。したがいまして、従来の国防会議、今後は重大緊急事態を加えて安全保障会議、こういうことになりますけれども、それはそのまま安全保障会議として今後設置していきますとともに、今御指摘の総合安全保障関係閣僚会議も従来どおり残して、両者相まって我が国の平和と安全のための機関として活用してまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  229. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 局長国防会議は十回も開きましたといったって去年たった一度だけだよな。一年に一回も開かないことが七年もあった。私がさっき言ったのは、平均してみれば国防会議の方が少ないじゃないですかと。しかも、今の御答弁聞いていれば、関係閣僚会議は協議機関国防会議諮問機関だといえば、これは一般的な社会通念からいけば関係閣僚会議の方が格が上になるわね、協議機関なんだから。諮問機関というのは相談を受けたらやればいい。  だから、そう大した、ああこうここでもって目くじら立てるようなものじゃないが、ただせっかく安全保障会議おつくりになるわけでしょう。だったら、安全保障会議をつくられるのを機会に、この関係閣僚会議との関係をもう一回チェックなさって、それで過去の国防会議のようなのと違って、今度は安全保障会議がかなり活性化されておやりになろうとするならば、権威を持たせて、そうして安全保障会議はいろいろなことについて協議をする、議論をする、一つの方向を出す、関係閣僚会議は逆に言うならばそのときそのときのちょっと相談したいことがあるのでという程度のそういうぐあいで、その辺はきちんと整理をしてください。私から言わせれば、関係閣僚会議はこの機会にやめたらいいと思う。必ずこれはもう混乱を起こすんです。  それで、内閣の中ではその関係閣僚会議は人数が多いわけでしょう。そうしたらそちらの方が都合がよくなるでしょう。だから、そういう意味で、次に五条のメンバーのところで申し上げるんだけれども、安全保障会議のメンバーはとここにこうずっとあるわけです。せっかく新しくスタートしようとするならば、今日の内外情勢から考えていっても、経済企画庁長官というのはこれは昔はあるいは経済の動向、将来どうなるかといって必要だったかわからぬけれども、今この安全保障会議のメンバーに経済企画庁長官がそれほど重要性あるかといったら私はそんなにないと思う。むしろ輸送手段の関係の運輸大臣とか、それからこれだけ今日の情報化時代のいわゆる通信網の関係からいって、そういう通信手段のあれを持っておる郵政大臣とか、そういう人を入れて構成メンバーにしていく方がよっぽどいいと思うんだけれども、運輸大臣、郵政大臣をこのメンバーに加えるというふうに修正するお考えはございませんか。
  230. 塩田章

    政府委員塩田章君) 経済企画庁長官の場合は、確かに今度の重大緊急事態という任務の付加ということにかんがみて考えますと、それは余り直接の関係は少ないかもしれません。しかし、これはやはり国防会議の任務をそのまま引き継ぐというのが大前提でございまして、そういう意味で従前の国防会議のメンバーの一人としての重要性、これは私は変わらないのではないかというふうに考えておりまして、経済企画庁長官は答申には実はなかったんですけれども、これは従前どおり残っていただくということになったわけでございます。  あと、今度重大緊急事態を加えるに当たりましてどういう方にお入りいただくか、これは今回はお二人、内閣官房長官と国家公安委員委員長が新しくメンバーになられておるわけですが、官房長官の場合は、これは今回の改正というよりも、もともと私は入っておられるべきじゃなかったかと思うんですけれども、国家公安委員委員長の場合は、今度重大緊急事態が加わるということによりましてその任務上一番関係の深い方、そういう意味でこれを、答申でもそう言っておりますし、今度加えたと、こういうことでございます。  さてそれ以外に、いろんな事態考えますと当然いろんな関係閣僚がおられるわけでございますが、その中でも御指摘のように現在の交通通信事情を考えた場合に、運輸大臣や郵政大臣関係をするケースが多いだろうということは十分考えられるわけです。十分考えられますが、一方でこういう重大緊急事態対処しようという、非常に的確と同時に迅速に対処しようという場合に、やはり会議体として置く場合には、恒常的に置く会議体としては可能な限り人数が少ない方がいいという要請が一方であるわけでございます。同時にまた、今の関係する方にはぜひ出ていただかなければいけないという要請も当然あるわけでございます。  そこで、結局人数としては、恒常的メンバーとしてはなるべく絞ったと。しかし、事態によって関係する大臣にはぜひ出ていただく道をつくるということで今回のような案にいたしたわけでございまして、運輸大臣なり郵政大臣の必要性というのは十分我々も考えておりまして、立案の過程でも随分議論をいたしたわけでございますが、結論として今申し上げたような形に落ちついたと、こういうことでございます。
  231. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それで局長、今いみじくもそういうことを言われるから、だからさっき私が関係閣僚会議を思い切ってこの際廃止したらいいじゃないかということの裏書きをあなた自身が言っていることになるでしょう。それは五十人も百人もの会議だと、百人持っていたらそれといったってなかなか集まれないからまあ十人ぐらいにとかということはわかりますよ。この案でいったって総理除いて六人、私が言っているのだって、経企庁長官なんか要らぬからむしろ運輸大臣と郵政大臣を入れろというんだから七人、一人変わる。何で少ない方がいいと言うのか。それで、少ない方がいいと言うのだったら、もう一回言いますよ、じゃ関係閣僚会議やめますか、あの方が多いんだから。どうですか。
  232. 塩田章

    政府委員塩田章君) 関係閣僚会議の方は、先ほども申し上げましたが、いろんな違いがありますが、まず取り上げるテーマとして、経済、外交、広く取り上げると。まあ協議機関ではありますけれども、協議するテーマとしては広く取り上げるということでかなり大勢の方がメンバーに入っておられる、これはそういう形になっております。  それで、現在の国防会議ないし今度の安全保障会議は、やはり諮問に応じて答申をすると、しかもそれが特に今度のような場合は的確であると同時に迅速を要するというのが一方で要請される会議体であることはこれ間違いないと思うんですね。ですから、可能な限り少ない方がいいというのは、やはり私は一般論としては少なくとも言えると思うんです。  そこで、結局どこで線を切るかという話になるわけでございますが、やはり経済関係の代表の大臣としては経済企画庁長官、それからいろんな今度考えておりますところの重大緊急事態に一番関係のある大臣としてはやはり国家公安委員委員長ではなかろうかと、常に関係があるという意味ではやはり国家公安委員委員長の方が運輸大臣や郵政大臣よりももう少し席に関係があるという立場ではなかろうかと、こういうことで考えたわけでございます。
  233. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そういう答弁しているから、午前の何で国家公安委員委員長を入れたんだといった、ああいう質問をされるんです。  それ以上言わないで、次は事務局の問題で、これは官房長官、さっき、今度安全保障室をおつくりになってやるんですといって、私たちは、国防会議は事務局あったのをなくしちゃって今度はそういうふうなものにしちゃう、格下げじゃないか、何だと、こう言って反対しているわけです。ですから、その安全保障室を設けてこうこうしかじかだということは、もう最初のときに官房長官関連して御答弁なさっているんですから改めてそれは言いません。  じゃ、その安全保障室なら安全保障室で、いわゆる従来の国防会議がなかなか開かれなかった。塩田局長の言をかりれば、たまたま去年だけ十回も開いたと。第二臨調からも形骸化されていると言われているくらいなんだから、それをどうやって活性化して動くかということ。ですからその辺の、仮に安全保障室なら安全保障室であっても、そういう過去の国防会議の轍を踏まないように、どういうぐあいで活性化してそれが動くようにするかということで指導のお考えをお持ちだと思うんで、その点お聞かせをいただきたいと思うんです。
  234. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) いろいろなやり方はあると思いますけれども、私はやはり何といいますか、しばしば国防に関する事項についていろいろ問題ありますから、国防会議を頻繁に開くことだと思いますね。従来から見ますと、去年は塩田君のときに、中期業務計画ですか、この関係があったものですから十回になった。ところが、それ以外の年になると年に二回ぐらいでしょう。一回ぐらいしか開かぬときもあったかもしれませんね。これじゃ話にならないんです、これは。だから、私は問題がやっぱりいろいろありますからね。これは、その都度私は国防会議というものは開いた力がよかろうと、これは一番肝心なことであろうと、こう思います。  それから、先ほど来御質問があったメンバー等について、なぜ経済企画庁を入れてとかいろいろ御質問ございましたが、これは国防会議の中のメンバーに、やはり財政金融だけでなしに、当然国の国防政策といったようなことになればやはり経済政策の面との密接な関連ありということで従来からありましたから、それを今あえてのける必要はないではないかと、これはやはり重要なメンバーの一人だということで入れた。それから、国家公安委員長重大緊急事態の方です、これは。国防会議の引き継ぎ事務の方でなくて、重大緊急事態の方は、これはやはり何といっても国家公安委員長は一番密接な関連があるだろうということで、選手代表という意味でこれを入れた。  それから、官房長官はどうだと言いますと、これは国防会議発足のときは官房長官はたしか園路大臣じゃなかったんです、これは。それで私はメンバーから外れておったと思うんです。しかしながら、現実には官房長官は必ず会議に参画をしておったわけでございますから、これはやっぱり入れなきゃおかしいと、これ入れなきゃ問題にならないと私は思いますから官房長官は入れるべしと、こういうことで入れた。それから、運輸大臣とか郵政大臣、これは私は問題によってその他指名する閣僚云々でやはり処理すべきであろうと思います。  こういうのは柳澤さん、案をつくろうというときはなかなかこれできないんですよ。率直に言いますとね、みんな反対する。いよいよこれはしようがない、できるとなったら、おれも入れろおれも入れろと言って、それはとてもじゃないが、それのけるのは容易でないんです、これは。その証拠が先ほど言った総合安全保障研究グループの報告書、これを受けて大平内閣のときにつくって、結局今あるのは総合安全保障関係閣僚会議、だんだんメンバーが広がってしまって、これはなかなか容易でない機関になっております。これは交通整理を検討いたします。さようにお答えをしておきたいと思います。
  235. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 もう一つこの法案の問題でお聞きしておきたいのは、第二条の諮問事項のところ、この最後の五番目のところに「その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」、どんな場合でもその他云々とこういう項目があるんだけれども、具体的にどういうことをここでお考えになっているのか。例えて言うならば国防体制の具体的整備だとか日米共同防衛体制の確立だとか、何か具体的なこういうものをこの「その他」の中で考えているんだというあなた方の構想の中身を若干ここでもってお示しをいただきたい。
  236. 塩田章

    政府委員塩田章君) お尋ねは第二条第一項の第五号だと思いますが、これは第一項は国防会議を引き継いだ分でございまして、現状のままでございますから、その点は現状と変わるわけではございません。  そこで、この第一項第五号は何を考えておるかと、こういうことでございますが、その他総理大臣が必要と認める事項でございますから特段の限定があるわけではございませんけれども、この実際の運用から申し上げますと二つのタイプといいますかグループがございまして、一つ昭和五十一年の十一月五日の国防会議及び閣議決定で「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」というのがございます。ここで四点ばかり決めておりまして、これが五号で言うところの「総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」であると言って決めてしまったものがあります。それはもう必ずかけるようにいたしております。  それは何かと申しますと、一つは「自衛隊法の改正を要する部隊の組織、編成又は配置の変更」、これが一つ一つは「自衛官の定数及び予備自衛官の員数の変更」。それから、三番目には陸海空各自衛隊の主要な装備品、戦車でありますとか艦艇でありますとかという主要な装備品。それから、四番目には今申し上げました主要な装備品のうちで長期にわたり多額の経費を要するようなものと、こういうことで決められております。  ただし、今申し上げました五十一年の閣議決定で決めておりますものは、頭に「各年度の防衛力の具体的整備内容のうち」と、こうなっておりまして、翌年の防衛力整備に、例えば戦車何台つくるとか艦艇何隻つくるとかというやつをかけることになっております、今申し上げました部隊の編成等も含めまして。で、それはここで言うところの五号のその他内閣総理大臣が必要と認める一つの具体的なものとして既に示されておるわけです。  したがいまして、逆に二番目のグループとして、それ以外のものは全く特段の規定がございません。そのときそのときで総理大臣が必要と認めるものがかかると、こういうことになりますが、どんなものがあるかと。過去の今まで実際に扱っている例で申し上げますと、例えばF15でありますとかP3Cでありますとかという新しい飛行機の整備計画ですね、これは来年度の予算というのは先ほど言いましたが、来年度の予算じゃなくて全体として何機整備するかという整備計画の問題でありますとか、あるいは沖縄復帰の際の沖縄における自衛隊の配備の問題でありますとか、あるいは昨年の例で言いますと中期防衛力整備計画でありますとか、決められたものじゃなくて、そのときどきの判断によってかけるという形をとっております。
  237. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 法案内容はその程度で、次に少し基本的な問題で幾つかの点でお聞きをしてまいりたいと思うんです。  これは私の持論ですけれども、内政の問題ではどんなに議論をしてもよろしいが、外交と防衛の問題というものは政争の道具にしてはならない、そうあるべきだと思うんです。で、そういう中でもって、私は五十三年の予算委員会のときに、時の総理に、今世界に百五十七カ国——そのころですからね、百五十七カ国あるが、その中でサミットに招かれるのはたった七カ国だけでしょう、日本はその七つのうちの一つに入っているんです、その日本の国が国家形成の基本である国を守るということについて、この国会においてコンセンサスが得られてないと思うんだけれども、総理どうですかと。それでいろいろやりとりしていって、最終的に総理が、衆参両院に防衛委員会を設置するために努力いたしますということを言って、その約束が実って、それからまた二年たって五十五年に安全保障委員会ができるわけなんです。しかし、今になっても、自分の国は自分で守るという、そういう意味でのコンセンサスというものは国会でまだ得られていない、でき上がっていないと私は思うんだけれども、それについて政府の御見解はいかがですか。
  238. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) やはり安全保障に関しての国民的な合意、これは国の平和と安全を守るというための基礎である。したがって、防衛という問題については、国民の理解と支持、それから国民の国を守るという気概、これがあって初めて私は国家の安全が期せられると思います。したがって、当然のことながら、政治の場にある者として、国の防衛とか、あるいは平和の問題、安全の問題というのは、やはりお立場、お立場でお考えの違いがあるのは当然であるにしても、基本は合意がそこに流れておるということでなければ問題にならぬ、私はさように思います。  しかし、今それじゃどうなっているんだということになると、官房長官の立場で、今、政治の社会でそうなっていないんじゃないかと言うとこれはまたいささか言い過ぎになりますから、それは私は御遠慮させていただきたいと思いますが、いずれにしても、やはり戦後四十年、ともかく非常に恵まれた環境の中で、私は日米安保体制のもとでこれだけの平和と安全が守られていったと思います。しかし、そういう中でいつとはなしに、国民全体の中に平和を維持する、平和を守るというのにはやはりそれなりの覚悟とそれなりの犠牲というものを覚悟しなければ守れないんだよという気持ちがだんだん薄れてきておることは大変残念に思います。ここらはやはりこれからのお互いの責任として、国の安全保障について国民的な合意を得るようにお互いに努力をしていきたい、これは私の願望としてお答えをいたしておきたい、こう思います。
  239. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 官房長官としてもその程度の御答弁で、それをさらに立ち入ってということになるとなかなか難しいと思いますから私も了承したいと思うんです。また、それが私が心配するゆえんでもある。  それで、次にシビリアンコントロール、さっきも出ていたけれどももう一回ここでもって触れるんですが、シビリアンコントロールというのは、だれも反対する人はいないし、これはもう絶対に守り抜かなきゃいかぬことだと思う。日本の国としたら、内閣だろうが国会議員だろうが国民だろうが、みんながもうシビリアンコントロールを守り抜く国家としてやっていかなきゃならないことなんだけれども、政府考えているシビリアンコントロールというのはどんなものですか。これは、文民統制と言えば一言になります。そういうことではなくて具体的な事例で、私たち政府考えているシビリアンコントロールというのはこういうことを意味しているんですと一度御説明いただきたい。
  240. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) シビリアンコントロールと申しますのは、民主主義国家における政治の軍事に対する優先を確保することと私たちは理解しておりまして、我々の国で具体的に幾つかの問題を挙げるとすれば、次のようなものではないかなと思っております。  まず第一に、自衛隊の自衛官の定数、部隊などの組織、編成の大綱、装備その他重要事項については、国会において法律、予算等により審議、議決され、また防衛出動や命令による治安出動については国会の承認が必要である、これがまず第一にあろうかと思います。  それから、国の防衛に関する事務は、一般行政事務として内閣に属し、内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊に対する最高の指揮監督権を有しており、また防衛庁長官は、文民たる国務大臣によって充てられ、内閣総理大臣の指揮監督を受けて自衛隊の隊務を統括するということだと思います。  それから三番目に、内閣には、国防に関する重要事項審議する機関として国防会議、今度の安保会議ですが、国防会議が置かれ、国防基本方針、防衛計画の大綱、同計画に関連する産業等の調整計画の大綱、防衛出動の可否、その他国防に関する重要事項については、内閣総理大臣はこれに語らなければならないとされている点。  それから四番目に、文民の長たる防衛庁長官の政策統制を確保するため、文民たる参事官の制度を設けて、そのスタッフを中心に防衛庁の内局がその自衛隊の隊務の統括に遺漏なきを期するようにしている。  こういうことが重立ったところなのではないかなと、こう思っております。
  241. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これも、私の方の質問の仕方がよくなかったと思うけれども、なかなか答弁の難しいところだと思います。  それで、防衛庁長官、次にお聞きしたいのは、昭和五十三年に栗栖統幕議長が、敵が攻めてきたら法律がどのようになっていようとも自衛隊は国を守るために敵と闘わなければならないと言って、首を切られたんです。シビリアンコントロールを侵すものだ、けしからぬといって、もうあのときは即刻統幕議長を首になったんです。そのときに防衛庁が出された見解というものは、敵が攻めてきたら自衛隊員はまず逃げろと、その後総理から、防衛出動命令が出たら回れ右して敵と闘えという見解を出された。余りにも国民から不評を買って、それでもう数日後にすぐそれをまた防衛庁は修正しまして、そういうときは隊員個々人が刑法三十六条の正当防衛の項を適用して判断せい、戦う者は戦え、逃げる者は逃げろと、こういう見解を出したんです。  この防衛庁の見解というものは今でも生きているんですか、それとも、あれはぐあい悪かったと思ってそれ以後に違った見解をお持ちなのですか、その点はいかがですか。
  242. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) お尋ねのことでございますが、今おっしゃいました防衛庁の見解なるものを調べてみましたが、見当たりませんでございました。お話として伺って、何というんですか、大変おもしろいお話になっているようでございますが、実際問題どういうことなのかということで問題点を整理してみますと、このようなことではないかと存じます。  問題でございますのは、防衛出動が下令されておりますれば問題はないんだと思います。自衛隊法七十六条で防衛出動が下令されておりますれば、自衛隊法の八十八条で武器の使用ができるということになっておりますので、それは問題がない。ただ、下命前の場合だったらどうなんだというのが一つ問題になろうかと思いますが、自衛隊法の七十六条では、敵が攻めてきたらと、こういうことでございますが、敵が攻めてくるおそれがあるとき、法文では「外部からの武力攻撃のおそれのある場合」にも防衛出動の下令ができることになっておりますので、その辺のところの運用の仕方の問題ではないか。結局この問題は、基本的な法律構成での枠組みというのはできているわけでありますが、その運用自体に何と申しましょうか、よろしきを期さなければ不意打ちというようなことがあり得ると、こういう問題かと存じます。  なお、先ほど触れられましたお話で、正当防衛のお話だと思うわけでございますが、正当防衛とこの武器使用、奇襲における武器使用の問題とのかかわり合いにつきましては、その役といいますか、そのとき以来と申しましょうか、国会で何回か御議論がございまして、とどのつまりのところは、部隊行動として正当防衛の議論をするのはおかしいと。正当防衛の議論というのは個々の自衛官の行為についての問題ではないだろうか、こういうようなことで整理されているように思います。  そういうことでございますので、今先生おっしゃいましたようなことは、やや何と申しますか、私ども今認識しているのと表現的に若干違うのかなという気もいたします。
  243. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そんなに古いことでなくて、まだ七、八年しかたたないのでね。官房長の今の答弁というのは、私から言わせたらもう不見識きわまりないと思いますよ。記録にないとは何事ですか、本当にないんですか。敵が攻めてきたら逃げるということは、あのとき防衛庁の方は言ったんですよ、しかもそんなに下の人じゃないんだから。もし、それでもって記録がないのが本当ならばあれなんで、もう一回きちんとそう答えてください。ゆゆしきことだよ。いや、もしあれだったら塩田さんの方が御存じじゃない、あのころまだ防衛局長をやっていてなにした方だから。そんなちゃらんぽらんな答弁はないですよ。防衛庁がそういう答弁をするから私はさっきから心配になってきて言いたくなってしまうんです。
  244. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 正式な場での記録というものは見当たらないという報告を受けております。
  245. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 官房長、もう一回お調べをいただいて、そうして何もこういう国会の場の議事録ばかりなにすることはないんで、もっと言うならば、私は、いわゆる刑法三十六条の正当防衛の行為、これは一億国民全部が持っていることじゃないのか、自衛隊は何のためにあるのかと言っているんです。一般国民が適用される刑法三十六条を、自衛隊にその項を適用してなんという、そんなばかなことがあるのかと言うんです。  そうして、逃げろと言ったって、それは陸上自衛隊の人たちは陸にいるんだから、じゃ逃げようといってそれはできるけれども、じゃ船に乗っている人はどうするんだと、護衛艦なんかの。おれは戦うぞといって弾を詰める、おれは嫌だ、逃げるぞと、そんなことが船の中でできますか。何ということを、それでよく防衛庁の幹部をやっていられるなと言ってなにしたときに、とうとうそのことについてその防衛庁の幹部は黙して語らずであったのです。私がやりとりして聞いていることなんですよ。ここではもうそれ以上はなんですから、そういう見解を平気で言うような防衛庁だから私は心配していろいろ書いたくなってしまうので、それはもう二度お調べをいただきたい。  次に聞いておきたいのは、時間もなくなっちゃうからあれだけれども、この逃げろと言ったときに、言うならば、国民の大多数というものは今の日本の自衛隊法ではいざというときに役に立たないんだということがわかって、いわゆる有事法制の問題が出て、それで時の内閣がそういう有事の際の法制化ということについて検討に入ったこと、これはもう御存じのとおりだと思う。それで、あれからもう八年たっていまだにできない。  有事の場合にどういうふうにすぐ対応するかということの方がよっぽど大事なことじゃないか。それが八年たってもできないんでしょう。その方がよっぽど私は緊急事態だと思うんだけれども、それが八年かかってまだその結論が出ないならば、それこそこんな国防会議のこの程度のものを安全保障会議に改組するなんというのは、そんなものはやめた方が私はいいと思う。どうということないじゃないですか。その辺の見解はいかがですか。    〔委員長退席、理事村上正邦君着席〕
  246. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 先ほどの記録についてはもう一度念を入れて調べさせていただきます。  それから、ただいまの有事法制の問題でございますが、有事法制の研究を始めましたときにお断りがされているわけでございますが、近い将来における立法を目的とするものではないという前提でこの作業が始まっているわけでございます。その後、御存じのように昭和五十六年それから昭和五十九年の二回に分けまして、午前中にも防衛庁長官から久保田委員にお話ございましたように、防衛庁が調べました問題点につきまして国会報告を済ませているわけでございます。それは防衛庁所管の法令及び他省庁所管の法令につきましての研究でございます。残りましたのが、どこの省庁がその所管が明確でない事項につきまして、いわゆる第三分類の研究というのが残っておるわけでございます。防衛庁といたしましては、内々自分のところに関係のありそうなことにつきましては勉強はいたしておりますが、まだ発表をするような時期には至っておりません。  この後は一体どうするんだということでございますが、これにつきましては、私ども先般来の御質疑を通じて私どもも勉強をいたし、それからこの法律ができた後は安全保障室に窓口になっていただいて、私どもの勉強したことと相まちまして、安全保障室でそれぞれ担当を割りつけていただいて調整をしていただけるのかなというふうに考えておりますので、私どもも一生懸命この後の第三分類の作業はしてまいろうかというふうに思っているところでございます。
  247. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 そうかなというふうなそういう御答弁をなさるんだが、塩田さんどうですか、今のような感覚でおることから考えれば、この安全保障会議のこんな法案をつくらないで、今までの国防会議でやっていたら事足りると思うんです。これほどの重大な緊急性のあるものですらもそんな状態でしょう。何で無理してこの安全保障会議、今これをやらなきゃいかぬのですか。おやめになったらどうですか。
  248. 塩田章

    政府委員塩田章君) 先ほど来の御議論の有事法制の問題は、いずれにしましても国防に関連する問題でありまして、現在の国防会議をそのまま引き継ぐという意味において、その点についての改正は今度は全然いたしておらないわけです。従前のままの体制でいきます。今度の改正は、何回も申し上げますように、重大緊急事態が起こった場合の対処体制についての審議を加えようとしておるものでありますので、その点はぜひ御理解をいただきたいと思います。
  249. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 国防の問題は全然触れてない、従来どおりですと、そうでないところのことをやるんですと言うから、なおのこと私は安全保障会議のこんなものはやめなさいと言いたくなるんだ。  それで、次には、これは防衛庁長官にお答えいただかなきゃならない。専守防衛、日本の国は。それで、政府がお考えの専守防衛といったらばどういうものかという、その辺の解説をしていただきたいと思うんです。
  250. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) その前に、ちょっと先ほどの有事法制の問題につきまして私からも一言申し上げたいと思いますが、私たちの頭の中では、有事法制の問題とそれから奇襲対処の問題というのは、かなり似ているところがございますけれども、基本的にはちょっと分けて考えた方がいいのではないかなと、こう考えております。  奇襲対処につきましては、先ほど官房長が御説明申しましたように、おそれのある場合も防衛出動の下令ができることになっておりますので、法制的には整っているのではないかと。したがって、やはりある日、一天にわかにかき曇って、突然平和なときに国家権力の発動としてどこかの国が攻めてくるということは私はまあないと思いますので、そういった情勢になっているかどうかについての情報収集機能、判断というものがまず第一義的にあって、そしてそういうようなおそれがあるような場合には、いかにそのおそれに基づく発動というものを的確に運用できる体制にあるのかと、そういう問題ではないだろうかなと、こう思います。  それから、有事法制の問題につきましては、きょうの午前中他の委員の方からも御質問ありましたけれども、やはり今の法制の中では、いざ有事になりましたときに、現行法規のままで自衛隊が行動したら、行動の自由が束縛されたり問題点が起きてくるところも多々あるように思います。まあ大体できるような部分が多いわけですけれども、多々といいますか、幾つかの点で問題があろうかと思います。そういうものは、やはりそういったときに主権はどの程度制限したらいいかという問題は、いわゆる冷静な平時のときによく議論し、本来ならば立法をしておくべきことなのではないか。有事といいますと国民の権利を奪うための暗い話としてよく書かれているわけですけれども、そういう有事のときでも、ここまでしか国民の権利を侵略しちゃいけませんですよという線引きというのは平時のときにやっておいた方が私は冷静なものができるし、より国民の権利を守ることになるんではないか。そういった意味で、私たちとしては、有事法制の問題については国民の御議論、それから国会における審議の様子を見ながら慎重に判断いたすつもりでございますけれども、そういった問題点があるということだけは事実なんではないだろうかなと、こう思っております。    〔理事村上正邦君退席、委員長着席〕  それから、御質問のありました専守防衛の点でございますけれども、これは言うなれば極めて、我が方が自衛権を発動する際にはあくまでも攻撃を受けてから初めて自衛権を行使し、そしてその対応についても必要最小限であり、そしてまたそれに備えた防衛力の整備も必要最小限であるという意味の受動的な防衛体制を示すもの、そういった防衛体制の精神を示しているものだというふうに私たちは考えておりまして、我が国の戦後の防衛政策の中で一番大きな基本的な政策の一つだと思っております。  なお、先ほど私、有事法制の問題について国民の権利を侵略という言葉を使ったと思いますが、侵害だとか制限だとか、どちらかというと制限という言葉の方が正確だと思いますので、訂正させていただきます。
  251. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 具体的な点で、次にその関連でお聞きをするんですが、昭和五十五年の八月にソ連の原子力潜水艦が日本の領海を侵犯をしたわけなんです。あのときに政府は、官房長官談話でもって、領海侵犯と受けとめるといってソ連大使館の参事官を呼んで文句を言ったわけなんです。しかしながら、ソ連の原子力潜水艦は二時間三十五分にわたって日本の領海を侵犯して通った。領海を侵犯されるということは、私は日本の主権が侵されることだと。日本の主権が侵されているにもかかわらず、時の総理はそのときに何らの指揮もとっていない。そして、防衛庁長官質問したときに、防衛庁長官は答えていわく、自衛隊法八十二条に基づく総理の指揮がないので海上自衛隊は動かすことができなかった、海上保安庁にお任せをいたしました、これは国会での答弁。これも、今の専守防衛の立場からいって合格というか、適用されるのかどうか、その辺はどういうお考えをお持ちなんですか。
  252. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 御承知だと思いますが、昭和五十五年の沖縄沖で起きましたソ連原子力潜水艦の火災事故に際しましては、自衛隊としては海上保安庁の要請で災害派遣として現場に飛んだわけであります。しかしながら、我が方からの呼びかけに対してソ連側が救助の必要なしということで拒否をされたので、災害派遣はその段階で終わった。以後は、自衛隊としては通常の監視行動を続けたわけであります。  一方、そのソ連潜水艦並びにそれを曳航していた潜水母艦が我が国の領海に入る可能性が出てきた段階で、私どもの知っている限りでは、まず外務当局の方が外交ルートを通じて、ソ連船が放射能漏れがあるのではないかどうか、それから我が国は非核三原則を堅持しておるので、もしソ連船が核を搭載しておるんなら、それは領海内の通過は認められないということで、その二つの確認を求められたというように聞いております。  しかしながら、その返事が来ないうちにソ連船は領海に差しかかったと。その間海上保安庁が、当然のことながら、その種海域、我が領海における無害航行がどうかということについての判断、無害航行でないと判定される場合の措置は任務を持っておられますから、そういう状況に立ち至ったので、たびたびソ連船に対して領海に立ち入るぞと、入ることになるぞということを警告した。ところが、ソ連船の方から、もう既に許可を得ておると、無害航行の許可を得ているというような返事があったやに聞いております。  それに対して海上保安庁の方が、本省を通じて、さらに外務省の方を通じて聞いたところ、まだ返事が来てないということなんで、再三再四無害航行と認められないから早く領海から退去するようにという警告をし続けたというのが事実関係であろうと思います。  それが事実関係でありますが、それではその際になぜ自衛隊が実力行使をしなかったかということになりますと、これはもう昨年申し上げていることでありますけれども、そのような領海における無害航行にあらざる航行、いわゆる領海を侵されたときの措置については、まず海上保安庁がその任務を第一義に持っておられるということが一つであります。  そして、自衛隊としては、他の海上保安庁等の力では及ばない際に先ほどのような海上の警備行動をとることは可能でありますけれども、とは言っても、この段階で自衛隊が出動する、あるいは武力を行使するという状況であったかどうかということになれば、それはノーであろうと。これはもう自衛権行使の三要件というのがありますように、他に手段があったかないか、外交その他の方法で処置できたかどうかというようなことも含めまして判断されるべき問題であって、私どもとしては、この段階で自衛隊が、要請もなかったことも事実でありますが、自衛隊が出動して措置をとらなかったということについては適法であったし、正しかったというふうに考えておるわけでございます。
  253. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 防衛局長、正しかったというような言い方をされると困るんです。今のような経過は私は十分知っておって、だからこの国会の場でも、私は、あれは事故を起こしたんだから、何も日本に攻めてこようとしたんじゃないんだから、そういう意味で、事故を起こしたものだから、だったら初めから無害航行として認めてやったらいいんじゃないか。それを官房長官が、これは領海侵犯と受けとめると言ってソ連の大使館の参事官を呼んで文句を言い、それで今言った、許可を得たというときも、すぐそれは違うと言って呼びつけて怒って、何回も何回もそれをやっているわけでしょう。それにもかかわらず、ソ連の潜水艦が実力でもって日本の領海を二時間三十五分突っ走った。それで、それについて総理は何か言ったのかと言ったら、総理は一言も何も言いませんと。日本の主権、領海が侵されることは主権が侵されることじゃないですか。日本の国の主権が侵されて、最高指揮宮の内閣総理大臣がそれについて一言も何にも言わないという、そういうのは困ります。  それで、防衛庁長官に聞けば、先ほど言ったように、総理からの出動命令がないから海上自衛隊動かせませんでした、海上保安庁にお任せしました。海上保安庁から要請があったかなかったかじゃないんですよ。最高司令官である内閣総理大臣が指示をしてないからそういう結果になってしまう。だから、その辺の点が、私は、そういうことが先ほども言うように事官防衛に当てはまるんだというふうな理解をされておったら困るんで、しかも今正しかったなんて防衛局長から言われると、とてもじゃないけれども、皆さん方が本当に何をお考えになっているんだろうかなと、もうちょっとそこのところは、もう時間がないからきょうはやめますから、よくお考えになっておいていただきたいと思うんです。  それで、スウェーデンの場合なんかというものは、明確にその点については、あの国も専守防衛です、はっきり言います、絶対こっちから攻めていきません、そのかわり我が国に攻め込んできたならば彼らが得るものよりかも失うものが大きいだけの打撃を与えることのできるそれだけの軍備は持ちます、それによって私たちは平和を維持します。百八十年間戦争しないで、それであのとおり核シェルターつくっている。五万五千カ所つくった。人口八百三十万のスウェーデンが六百万人収容するだけのものを現在つくっている。しかし、柳澤さん、ここへ来るまでに三十年かかりました、あともう一息でもって国民全部を収容するだけのものが、と言ってやっておるわけです。決して、過去百八十年間戦争してないあの国が、戦争のためにやってんじゃないわけ。今度戦争になったら核戦争だろう、その核戦争になったら、自分の国はやらなくたって、あのとおり、今のソ連のなにのようにやってくる、放射能が来るから、それだから国民を守らにゃいかぬといって、大変なお金をかけてそういうふうな核シェルターをつくっているわけですよ。  ですから、その辺の、専守防衛ということはどういうことであり、それから先ほどの官房長官なんかも言っている、平和ということはどういうことかという、そういうことをやっぱりきちんとして、国民に理解をしていただけるようにお取り組みをいただきたいと思うんです。私は、自分が戦争に行っているだけに、戦争の悲惨さを知ってるし、二度と戦争はしてならぬと思うから言うんですよ。決して戦争を起こせなんていう意味で言ってるんじゃないんです。いかにして平和を守るか。だから、平和はただではないんですという、そういうことをやっぱり国民にわかってもらわにゃいかぬでしょう。そのためのことをやっぱり政府が、国会がやらなきゃならないんですということを御理解をいただきたいと思って、次に入らしていただきたいんです。  これは、外務省いらっしゃいますかね、SDIの問題。いわゆるSDI、戦略防衛構想と言われたりスターウオーズ計画と言われたりしているんですが、これは当然国防会議で検討なさる性格のものだと思うんですけれども、塩田さん、これは国防会議で検討なさったんですか。
  254. 塩田章

    政府委員塩田章君) 現在まで国防会議で検討したことはございません。
  255. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それで、政府の中にはSDI関係閣僚会議つくられて検討しておるわけだけれども、どうして国防会議の検討議題にならないでそういう関係閣僚会議をおつくりになってやっているのかどうか。国防会議で検討すべきものではないんだという判断をしたとすれば、その理由はどういうことかということをお聞かせいただきたいと思う。
  256. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) SDIの問題は、柳澤さんのおっしゃるように、事柄の性質からいえばあるいは国防会議議論するのも一つの方法がなという気もいたしますけれども、何せSDIそのものの中身が、実体がまだはっきりしてないといったようなことがございましたので、とりあえずは、私どもの意見交換の場として、私が座長になって関係閣僚会議でひとつ専門家等の帰国報告等も聞いて慎重に検討していこうということで、現在、関係閣僚会議で勉強をしておる、こういうことでございます。
  257. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 それで、この間調査団出しましたわね。出しましたって、もう帰ってきたんです、民間の企業のなにも含めて。あれを出すについては、当然これは政府がそういう指導をとられたと思うんだけれども、政府としていろいろ行って調査してこいやということだと思うんだけれども、何らかのそういう方向というか、何かそういう一つ方針というか、そういうものが出て、じゃひとつ調査団を出すかということをおやりになったと思うんだけれども、それはどういう方針をお出しになったんですか。
  258. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 先般の調査団と申しますのは官民合同の調査団かと存じますが、これは第三回目の調査団でございまして、第一回、第二回は政府だけでございましたが、さらに今度は、SDIにつきましての技術的側面をさらに詳細に検討するために、技術的側面について知見を有しております民間の方々とともに、外務それから通産、防衛、科学技術庁の四省庁政府関係者とともに派遣されたものでございまして、SDIについての技術的側面のさらなる検討ということでございまして、特にこれをこういう方針で検討してこいというような方針は与えられておりません。
  259. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 これも、じゃ外務省からお答えいただきたいんだけれども、アメリカから日本に参加してくれと言ってきていますね。あのアメリカが日本に参加してほしいと言っているねらいは何なんですか。
  260. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 昨年の三月に、ワインバーガー国防長官が書簡を十八カ国に回しまして、それで参加について慫慂しているわけでございます。日本につきましてもその手紙が来ているわけでございますけれども、そこで言っておりますことは二つでございまして、一つはSDIについてどういう決定を行うにしろ、と申しますのは、SDIというものは研究計画でございまして、配備は将来の問題で、その段階で再び考えるということが前提でございますが、どういう決定を行うにしろ、今後同盟国といろいろ話をしていきたいということが一つでございます方それから第二は、SDIの研究を進めていくに当たって、同盟国との間ででき得れば技術的に協力していきたいということを言っておるわけでございます。  日本につきましても同様のことを言っておりまして、日本に対しては、特にその進んでおりますハイテク技術について、何らかの協力ができればというのがアメリカの期待にあるのではないかというふうに考えます。
  261. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 調査団が向こうに行かれてどういう扱いを受けたか、恐らく御存じだと思うんです。細かいことはいいですから、アメリカから参加してくれと言ってきたわけでしょう、日本に、それで皆さん方お考えになって、まあ海のものとも山のものともわからぬけれどもひとつそれじゃ行って調査してこようじゃないかという形で出ていったと思うんだけれども、その調査団がアメリカでもってどういう扱いを受けたか、その要点だけ言ってくれませんか。言うならば、アメリカが日本に参加してくれというような待遇をしたのか、あるいは全くそうでない、極めてわかりやすく言えば冷たい扱いをしたのか、その辺はどうなんですか。
  262. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) 調査団は、第一回から第三回まで全部そうでございましたが、大変にアメリカの温かい歓迎と申しますか、大変に温かい態度に接しております。特に第三次につきましては、民間の方々とも一緒の大調査団でございまして、これは三班に分かれて行ったわけでございますけれども、ワシントンにおきましても、それからそれぞれ参りました研究所等におきましても、通常では見られないかなり機密性の高い情報等にも接し得たということでございまして、政府、それからSDIをアメリカで推進しております研究所等関係者におきましても、大変に調査団の来訪を高く評価しておった、それなりの待遇をしておったというふうに承知しております。
  263. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 私が聞いている範囲では、今あなたは大変温かい待遇を受けたと言うんだけれども、いろいろと説明をするからそれはメモをとる、メモをとったらそれ全部取り上げられて持って帰れなかったと、そんなことで何でそんな温かい待遇を受けたと言えるのか。  私が知りたいのは、日本としてまだこれ参加と決めたわけじゃないんだけれども、だんだんそんなことをやっていればそれに加わるようなことになっていきやせぬかと思うんだけれども、日本としてのメリットは何かということです。果たしてメリットがあるのかどうか。どうもこう私は見ておって、日本の金と技術を提供させて、結果的にはアメリカの下請的な存在で日本の今の産業を使うというか何というか、そういう格好で金と技術を出させようとしているだけであって、結果的にはアメリカの言いなりになってアメリカの下請のような存在で扱われるのが落ちじゃないかと思うんだけれども、果たして、もしこれに参加する形になって日本のメリットは何がありますか。
  264. 藤井宏昭

    政府委員(藤井宏昭君) ただいま委員指摘のようにまさに検討中でございますので、この段階におきまして日本のメリットは何であるかということ、デメリットは何であるか等含めまして云々することは時期尚早かと思います。  しかしながら一般的に申し上げまして、ヨーロッパが、英独等が参加しておるわけでございますけれども、これが参加した主な理由と申しますのは、一つは将来SDIが現実に配備された場合にそれが英独等の安全保障にとってプラスであるという判断が一つございますけれども、それ以上に非情に決定的と思われますのは、アメリカの技術がSDI研究によって大きく進むであろう、それに自分たちも参画しておきたいという希望かと思います。  日本についてはどうかということでございますけれども、今回の第三次調査団が行きましての報告委員御存じのとおりでございまして、アメリカの技術は大変にこれによって進む可能性がある、それからSDIの研究計画は波及性が、他の民生等の技術に対して波及効果がかなり大きい、可能性が大きいということ、したがいましてこれに対して適切な参加の措置が講じられれば、技術的な見地からのみ言えば、これは日本にとっても大きなメリットがあるであろうということが今回参りました官民皆さんのコンセンサスでございます。  委員指摘の先ほどの問題にちょっと返らせていただきたいのでございますけれども、特定の研究所等におきましては、明らかにこれは外部に一切出さないというようなものがあるわけでございまして、先ほど申し述べましたように、今回の調査団も通常に行けば決して見せてくれないようないろいろな資料、説明等につきまして、今回はかなり詳しくそれを示してくれたということでございまして、この全部を確かに記録にとってこれるというようなこともないかもしれませんけれども、しかしながら、この調査団が日本が参加するかどうかということを検討するために行ったということで、通常では見せてもらえなかったものを見ておる、あるいはその情報に接しておるというのがこの間の調査団の現実であろうかと存じます。
  265. 柳澤錬造

    柳澤錬造君 もうあと時間が二、三分しかないから、官房長官、正直言ってこのスターウオーズ計画というのは、海のものとも山のものともわからぬというのが正直なところだと思うんです。それで、今言うように日本に大きなメリットがあるんなら、それは参加すると言って早いとこやったらいいことだけれども、政府が踏み切れないのも私はそこだと思うんです。  それは、レーガン大統領、ああいうふうに花火打ち上げてやったけれども、果たして実際にあれが進むのかどうか。そしてその技術の点は、私はこれは国会でも何回も言ったように、アポロ計画のときはむしろ私は政府に向かって、あのアメリカのアポロ計画学びなさい、何もお月さんに行って、あそこに空気があるか生物がいるか、そんなことを調べるのは二の次であって、あのお月さんまでにあれを飛ばすためのいろいろの技術の開発、それが一般産業に波及効果をあらわしていくという、それが大変な大きなメリットを及ぼしている。だから、そういう点でアポロ計画については私は賛成だったし、そういうことを日本もやりなさいやりなさいと、むしろ何回この国会で言ったかわからないくらい。しかし、このSDIについては、その辺がどうもまだ私もわからないんですよ。  ただ、私の受ける感じは、日本は大分金持っているからあの金を巻き上げよう、技術も進んだから先端技術のあれも出させよう、それで最後になったら、あげくの果ては何のことはない、アメリカの下請機関みたいなことになって、何か仕事をやらしてもらう程度で落ちついてしまうんじゃないか。だから、そんなことではばかばかしいことであって、ですから十分時間をかけて、それでこれらについてはやはり私は慎重にやっていただきたいということを最後に御要望申し上げまして、時間も来ましたから終わりたいと思います。何か御答弁があればお聞かせいただきたいと思います。
  266. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) SDIの問題は、まだ中身は必ずしも明確でございませんし、また政府理解をしておるという程度にとどめておるわけでございますから、だんだん調査を進めまして、これが香われるようにMADからMASへ進むということであれば、これはやはり核の廃絶に向かうわけですから、それなりに非情に私は大きな意味もあるだろうと。  それから同時に、この研究計画に参加するかどうかという問題で、配備とか開発とかの問題じゃありませんから、現段階ね。私は、日本が研究計画に参加しようということに仮になった場合に、これはやはり柳澤さんがおっしゃるように、金と技術をアメリカが取り上げてあとはひとつ下請だといったようなことではあるまいと、やっぱり我々は我々なりの国益を踏まえましてどう対応するかということをこれは慎重にやらなきゃならないと思います。もしおっしゃるようであるならば、私はヨーロッパ各国があんなに早目に決定するとは思いません、あれは。  だから、柳澤さんのおっしゃるような目を持つことも必要かもしらぬけれども、そうでなしに、もう少し何というか、正面から見据えてよくひとつ慎重に判断をしまして、それで日本の態度は決めていきたい、かように考えるわけでございます。
  267. 内藤功

    ○内藤功君 いわゆる国家機密法案、防衛秘密にかかわるスパイ防止に関する法律案、この法案の今国会提出政府・与党は断念をする、こういう報道がされておりますが、政府としては、この間の経過とその理由について、どのように承知をしておられるかという点をまず官房長官に伺っておきたいと思います。
  268. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は新聞で読みましたが、政府として、少なくとも私はまだ党からそういう連絡は受けておりません。  この問題は、御案内のように、何といいますかスパイ天国と言われるような野方図な日本の状況は、やはりそれなりに国の体制としてはおかしいではないか、やっぱりあるべきものはきちんとしたらどうだと、こういう御意見のもとに自由民主党は御勉強なさって国会提案をしたと、こういう経緯もあるわけでございますが、しかし政府といたしましては、この問題は、そういうお立場は私ども同じでございます。同じでございますけれども、やはり事は表現の自由、人権に影響することでございますから、扱いは慎重に扱っていかなければならない、かような考え方で対応をしていきたい、こう思っておりますが、今御質問政府・与党が決めたと、こういうお話でございますが、これは私はまだ承知をいたしておりません。
  269. 内藤功

    ○内藤功君 ところで、今後安全保障会議におきましてこれがもし設置された場合に、今の国家機密法案でありますとかその他のこういう秘密保護法制というものを、この法案の二条一項五号ですか、「国防に関する重要事項」、その他この安保会議付議事項というふうに考えて、安保会議の中でこういう問題も語るんではないかと、こういう、ふうに考えられることもできると思うんですが、この点はどういうふうにお考えでしょうか。
  270. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、私はこの安保会議で秘密保護法を扱うということは全く考えてないんですが、内藤さん、何かそういう根拠がおありであればひとつ教えてください。
  271. 内藤功

    ○内藤功君 条文としては読めるんじゃないか、その点ちょっと聞いてみたんですが。
  272. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) ああそうですか、いや考えておりません。
  273. 内藤功

    ○内藤功君 それでは、この安全保障会議の事務組織である安全保障室というものが今準備をされているようですが、この安全保障室において今の国家機密法案というような秘密保護法制、これを政府案として研究しあるいは立案する、この点はお考えになっておりましょうか、どうでしょうか。
  274. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 安全保障室はそういうことを所掌するところだとは理解していないです。だから、この国家機密保護法は今党の段階で議員立法でお考えになっておりますが、仮にそれが政府で扱うということになりますと、それがどこの役所になりますか、法務省になるのか警察庁になるのか、そこらはよく私にはわかりませんが、いずれにせよここの対象では私はないと思います。
  275. 内藤功

    ○内藤功君 後藤田さんは、さっきの答弁のように、この法律案、探知、収集というのを主な構成要件にするこの法案について、後藤田官房長官がいろんな答弁されていることは私もよく知っております。消極的な意見を吐かれたことも知っておる。私は、これを安全保障会議でおやりにならないということは今御答弁ではっきり承った。安全保障会議でやらないだけではなくて、やはりこの法案について示された言論界、報道界、法曹界、その他一般国民のやはり大きな危惧というのは、私はこれは相当大きなものだと思います。ぜひこういうものは、今後政府提案であろうとあるいはほかの形であろうと断念すべきものだというふうに私は考えるわけです。  そこで、通告してある問題について御質問をしたいと思うんです。  まず第一は、有事法制安保会議との関係であります。  報道によりますと、防衛庁は、有事法制第三分類の研究を再開して結論の取りまとめを急ぐ方針を固めたという報道が、これは五月十五日の新聞になされております。また、同じ報道によりますと、その結果は、既にまとまっている第一、第二分類とともに新たに発足する安全保障会議報告され、政府全体の問題として同会議で立法化を検討する、こういう報道になっております。  まずこの内容について、事実かどうかの御確認をしたいと思うんですが、防衛庁及び官房長官両方からお願いをしたいと思います。
  276. 宍倉宗夫

    政府委員(宍倉宗夫君) 私も、今おっしゃいました六十一年五月十五日付の新聞を拝見しました。  防衛庁といたしましては、第三分類の事項、住民の保護でございますとか避難でございますとか、誘導でございますとか、それからその他電波の問題、船舶あるいは航空機の問題、いろいろ問題ある事項につきまして、自衛隊とのかかわりにおいて問題になりそうなことはどういうことだろうかということで勉強はずっといたしてきておりましたが、まだどういうふうな勉強の取りまとめができているんだというところまで行っていないというのが今の実態でございます。  この報道によりますと「研究再開」と書いてありますが、再開というと一度とまっていて再開と、こういうことでございますから、ちょっと再開という言葉は、何といいましょうか正確に言うと少しニュアンスは違うかなという感じもいたしますが、今まで勉強してきたことは事実でございますし、その勉強をさらに今後できるだけ早い機会に取りまとめができるように今後一生懸命やっていこうと、こういうことの態度でいることは事実でございます。  ただ、今の段階でいつまでにどうしようかという具体的なスケジュールがあるということではございませんし、ましてやその立法の問題に至りましては、そもそもこの研究が近い将来での立法というものを予定して始めたことではないということもございますし、また立法すること自身高度の政治的な御判断にかかわるものでもあり、国会での御議論や国民の皆様方の御意向なども踏まえて慎重に対処しなければならないことであろうとは存じますが、私どもとしては有事の場合の法制が整備されていること自体非常に我々の行動にとって便宜でございますから、そういったこともございますので、その辺のところを総合的に踏まえながら精力的に勉強を進めてまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
  277. 塩田章

    政府委員塩田章君) 防衛庁からただいまの段階についてお答えがありましたが、私どもの立場は、過去しばしばお答えを申し上げておりますように、第三分類というのは結局現時点ではどの省庁所管かわからないというものでございます。したがいまして、ただいまの防衛庁の勉強の進展に応じまして、今度安全保障室ができましたならば安全保障室でその調整をいたしまして、どの省庁が取り扱うべきかについての仕分けといいますか、そういうことはやっていく必要があるだろうと、こういうことを申し上げているわけであります。
  278. 内藤功

    ○内藤功君 第三分類というのは、航空、船舶の統制あり、電波統制あり国民の避難あり、私は国民の自由、財産、生命への国家権力の統制、規制というものをかなり含むというふうに思います。  加藤防衛庁長官、先ほど人権擁護というお言葉を言われましたね。人権を守る限界というものを決める、考えておく必要があるという趣旨の御答弁でしたが、軍事力の性格というものから考えてみた場合に、果たしてそういう甘いといいますか、そういうようなことで済むかどうかというのは私は非常に疑問を持つところなんです。場合によっては、これは憲法違反の疑いを持つ内容が非常に多い。そこで、この議論を加藤さんとしたいんだが、その時間を私持ち合わせてないので、それはそういう考え方を持っておるんでありますが、今度の安全保障会議設置ということ、この事態によってそういう第三分類あるいは第一、第二分類という有事法制の研究、立法化というのが促進されるということは、私は間違いない事実だと思うんですね。これはいかがですか。
  279. 塩田章

    政府委員塩田章君) これも、何回もお答えしておりますけれども、今度の国防会議の改組、安全保障会議設置というものは、あくまでも従前の国防会議の任務はそのまま継承して、重大緊急事態対処措置についての審議事項を加えようとするものでありまして、従前の国防会議マターのことについては何ら改正を加えようとしておるものではございません。したがいまして、今の有事法制の問題、これは国防マターでございますから、このことについて今度の改正は直接は関係がないんだということを何回もお答えをしてきておるわけでございまして、そのように御理解いただきたいと思います。
  280. 加藤紘一

    国務大臣(加藤紘一君) 先ほども御答弁申し上げましたけれども、仮に有事のときにそれぞれの防衛行動の関連から何らかの問題があったならば、そのときにいろいろ対処したり緊急立法したり仮にしたとするならば、そのときは私は恐らくそれこそ冷静ではない状況になっていると思いますから、いろいろ本来ならば守らなければならないところを踏み越えての立法になる可能性があるんだろうと思います。したがって、いかなる有事のときでも最小限ここまでは国民の権利を守らなければならないし、私権の制限だといってもここが限界ですよということは、平時といいますか冷静な今のときに本当は議論しておくのが正しいんじゃないでしょうか。  そして、仮にその立法をするとするならば、現在考えているわけではありませんが、立法するんだとするならばこの国会の場で立法しますし、そしてそれは平静な議論の中でやられるわけですし、仮にそれが憲法違反のような私権制限、人権制限になったら非常に平時のときに違憲立法審査権が働いてくるわけでございまして、単純に、緊急のときに措置をとるのがいいのか、平時において立法しておくのがいいのか、権利を守るという意味ではどっちが平静なんだろうといったら答えはおのずから明らかなんではないだろうかと思う次第でございます。
  281. 内藤功

    ○内藤功君 平時において戦時を前提とした権利制限というのを私は認めるわけにいかない。この点が加藤大臣とはっきり見解が違うところですね。違うんです。  そこで、次に通告してある二点目ですが、治安出動と安保会議関係なんです。  悪法七十二条というのは、「内閣総理大臣は、内閣を代表して」ちょっと中略いたしますが、「行政各部を指揮監督する。」、こう定めまして、これを受けて内閣法六条が「内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。」と、こういうふうに定めております。この閣議にかけて決定した方針で指揮監督をすると、この原則といいますか方針といいますか、これはたとえ重大緊急事態の場合であっても貫かれなければならない原則だと私は思うんですが、これは官房長官いかがでございましょうか。
  282. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは内閣法ではっきりしておることでして、内閣総理大臣職務権限というものは、これは閣議決定したこと以外の指揮監督権はないということでございます。しかしながら、いわゆる調整権は別ですよ、行政の調整権は別。指揮監督ということになると閣議決定事項に限るというのが大原則でございますから。
  283. 内藤功

    ○内藤功君 昭和二十九年、三十年、衆参の内閣委員会では国防会議を含む自衛隊法、防衛庁設置法の論議が非常に熱心に行われたんですね。各委員会で八日ぐらい行われている。私は議事録を見て非常に学ぶものが多いんですが、そのときの政府の答弁では、国防会議に諮って決めた国防事態への対処方針などを行政ベースに移す際には、内閣責任制の見地から必ず閣議に語るという答弁を行っておりますが、この考え方は現在も変わりませんか。
  284. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、その点は同じだろうと思いますね。ただ、私先ほど申しましたのは、ちょっと舌が足りなかったかもしれませんね。普通の指揮監督権というのは、これはおっしゃるように内閣法で決めてある閣議決定事項以外の指揮監督権はありませんね。しかしながら、個別法制総理大臣の指揮監督権を書いてあるのがございますから、それはまた別個にありますよと、これはつけ加えさせていただきたいと思います。  そこで、防衛庁の方のはどういう規定になっておるのかは、これは防衛庁の方からひとつお答えをいただきたいと思います。
  285. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) 防衛出動命令なりあるいは治安出動等の内閣総理大臣が出される命令につきましては、条文に閣議にかけてということが明記はいたしておりません。これは、先生も御承知のように、幾つかの法律、例えば災害対策基本法で災害派遣の時期なり場所、そういったものを決めるというときには閣議を通じてという、閣議で決めてというようなふうに明文の規定がございません。したがって、明文の規定がございませんから、必ずかけなくちゃいけないというものというように私どもは考えておりませんが、通常の場合、こういった重要な事態であるからかかるであろうということは言えますけれども、かけなくちやいけないというような明文、明記されていないということは、自衛隊法の防衛出動待機命令等の規定に明らかなところでございます。
  286. 内藤功

    ○内藤功君 今答弁された西廣防衛局長、この間の四月二十二日の衆議院の方の内閣委員会での御答弁で、安保会議諮問されたいわゆる国防事態への対処方針対処措置などを行政に移す段階では閣議決定が必要だ、こういう答弁をたしかしておられると思うんですが、これはあなたにはもう確認する必要はないんだが、官房長官にちょっと質問なんですが、西廣防衛局長がこの間の衆議院内閣委員会で、安全保障会議諮問されたいろんな国防事態対処方針などについてもそれを行政に移す段階では閣議決定が必要だ、こういう答弁をしておられるんですよ。これについて、内閣官房長官も恐らく同じ御見解だと思うんですが、その点ちょっと官房長官の御見解を聞いておきたいんです。
  287. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) ちょっと御質問が、必ずしも私が申し上げたところを正確におっしゃっておられないようなんで私申し上げますが、私が申し上げたのは、例えば安全保障会議、この間のとき申し上げたんですが、現在では国防会議等に、各省にいろいろ行政事務というのは分配されておるわけでございますが、その決定について総理に御相談をしたときに、総理がこれは国防会議にかけて考えようというようなふうになった場合には、その決定権そのものを吸い上げられたときには閣議決定国防会議というものは諮問機関でございますから、総理自身がその決定各省の長から取り上げられたような格好になった場合には閣議決定をする必要があると申し上げたんで、例えば方針を示すとかそういった個々の茫漠としたものについて、その点について閣議決定が一々必要だというふうに申し上げたわけじゃございませんので、その点は御理解いただきたいと思います。
  288. 内藤功

    ○内藤功君 今の点ですが、どうですか。
  289. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) そのとおりでございます。
  290. 内藤功

    ○内藤功君 後藤田官房長官は、なお従来自衛隊の治安出動の問題につきまして、その重要性にかんがみて、あるいはよほど慎重な判断をしてやらないとこれは結果としてとんでもないことになる、こういう理由を言われて、これは安保会議に諮る問題である、こういう答弁をずっと繰り返しておられますが、この点はそのとおりですね、確認されますね。
  291. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは現在の自衛隊法で、いわゆる治安出動は国防会議に必ずかけなきゃならぬという規定は、私はないように承知をしております。しかしながら、事柄の重要性から見まして、やはり武装部隊を国内の治安維持のために警察の支援後拠という意味合いで出さざるを得ないという事態は、これは非常に重大な事態でございますから、これは私はやはり国防会議に、従来ともそういう事態が仮に発生したとするならば、かけるべき事項であろう、私はさように理解をするわけでございます。
  292. 内藤功

    ○内藤功君 今、長官の言われた治安出動ですが、自衛隊法七十八条の「命令による治安出動」、それから同じく八十一条の都道府県知事の「要請による治安出動」、二種類ありますが、この両方ともについておっしゃった言葉と承ってよろしいでしょうか。それとも命令による場合だけという御趣旨でしょうか。
  293. 塩田章

    政府委員塩田章君) やはり要請による場合も治安出動でございますから、やはり今、官房長官が言われました武装部隊を使うという意味においては同じでございますから、やはり少なくとも準じて考えるべきではないか、命令による治安出動と要請による治安出動とを区別する理由はないんではないかというふうに考えております。
  294. 内藤功

    ○内藤功君 次に、この自衛隊の治安出動という事態は、この法案の二条一項五号にいうところの「国防に関する重要事項」、いわゆる国防事態ということになるのか、それとも同条二項にいう「重大緊急事態」の方に当たるのかと、この点を確認しておきたい。
  295. 塩田章

    政府委員塩田章君) 第一項五号の国防事項というふうに考えております。
  296. 内藤功

    ○内藤功君 次に、そうなりますと、この自衛隊の治安出動は国防事態に該当するという御答弁になりますと、この治安出動関係は必ずこの実行においては閣議にかけて決定をするということになりますが、どうですか。
  297. 西廣整輝

    政府委員西廣整輝君) これは先ほどお答えしたものと全く同じになろうと思いますが、基本的には、これは法文には閣議を経ることを必要とするというふうに書かれておりませんので、絶対にかけなくちゃいけないということではないというように私どもは理解をいたしております。ただ、事柄の内容その他から申しまして、特に命令による治安出動であれば、それを国会にいずれ御承認を願うというようなこともございますので、通常の場合閣議にかけられるであろうというように私どもは考えております。
  298. 内藤功

    ○内藤功君 今の点官房長官、同じ見解でよろしいですか。
  299. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 結構でございます。
  300. 内藤功

    ○内藤功君 治安出動についてお聞きしましたが、国民の生活しているこの生活圏の中に武力を持った武装部隊が入っていくわけです。武器の使用もあり得るわけですから、これはもう絶対に避けるべきことだと私は思うんですね。今度の安保会議設置というのは、これを容易にして、これを促進することにならないかという危惧を私は持つわけですが、いかがでしょうか。
  301. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) こういうお答えをすると内藤さんに相済まぬかもしらぬが、どうもこの前から御質問を聞いておりますと、何かしらん神経過敏だと、これは。そうでなくて、我々が考えているのは、こういった重大な事態の際に、国民の生命財産をどのようにして守るかという観点に立ってやっておるのであって、別段、国民の権利義務なり何なりを不当に侵害するなんてもうさらさら考えておりませんから、その点はひとつ御安心をしていただきたい、こう思います。
  302. 内藤功

    ○内藤功君 そこのところが長官との非常に違うところだろうと思いますね。  そこで最後に、この安保会議の事務組織の問題を伺いたいんです。  これも昭和二十九年五月三十一日の当内閣委員会で、時の副総理の緒方竹虎大臣は、国防会議の事務局について、こういうふうに答えておるのが非常に私は大事なことだと思うんです。それは「国防会議に厖大な事務局を置くことは、ややともすると、一つの既成の考えを以て、一つ会議を動かすような力になる虞れがあります。過去においてもそういうなにがありますので、これは私は事務局を置かないというところに政治的の意味があるように考えておるのであります。」「事務局が一つのきまった意見を持っておる、事務局を作るとややもすればそうなりがちでありますが、それは危険である。」と、こういう答弁をしております。この緒方副総理考え方については、この安全保障会議をつくられる側の皆さん方はどういうお考えですか、同じ考えですか、どういう考えですか。
  303. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 私は、それは読んでおりません。読んでおりませんけれども、今お読みになった限り、それが全部であるとするならば、それらの底に流れておる緒方副総理基本的な物の考え方、これは私は賛成でございます。しかしながら、それが仮に、だから事務局は一切要らぬものだといったようなことではないと思いますけれども、もしそうだとすればそれはいささか行き過ぎであろうと、こう思います。
  304. 内藤功

    ○内藤功君 そこで、今度の安全保障会議の事務組織の安全保障室というものと今ある国防会議の事務局、これを比べた場合に、まず人員の点、それから組織、機構あるいは構成の点、それから所掌事務の点、ここがこういうふうに変わるという点を具体的にひとつまとめて整理してお答えいただきたいんです。
  305. 塩田章

    政府委員塩田章君) まず人員でございますが、現在国防会議事務局は二十一名であります。欠員が一名おりますけれども定員としては二十一名であります。今度の安全保障室は三人をふやしまして二十四人と予定をしております。  それから組織、機構でございますが、安全保障室は内閣官房の一部局でありまして、室長、審議官、内閣事務官等の職員を配するということになろうと思います。室長は、国防会議事務局長に相当するものでありますけれども、事務次官に準ずるクラスの者をもって充てるというふうに、答申ではそういうふうにされております。そういう考え方で行われるものと思います。また、審議官は現在の国防会議におきます参事官に該当するものとお考えいただきたいと思います。  それから権限でございますが、現在の、国防会議事務局は、これはもう国防会議に関する事務、国防会議の事務ということで、これはそういうことで行っておりますが、今度の安全保障室におきましては、現在の国防会議の事務局の任務でありますところの会議に関する事務をそのまま行う、これは当然であります。これが第一点であります。  第二点としまして、今度内閣官房に入るわけでございますから、内閣官房が持っておりますところの閣議に係る重要事項に関する総合調整その他行政各部の施策に関するその統一保持上必要な総合調整のうちの一部を分担することになります。その一部といいますのは、国防に関する事項及び重大緊急事態への対処に関する事項ということになろうかと思います。
  306. 内藤功

    ○内藤功君 もう少し具体的に、例えば参事官が三人いますね、今国防会議に。ところが、今度安全保障室になると参事官が四人になりますね。今のその三人の参事官とそれから安全保障室になった場合の四人の参事官とは、その担当の仕事はどういうふうに変わってくるのか、そこらあたりね。参事官というのは、一番僕は事務系統では大事なところだと思うので、それがもうやっぱり安全保障会議性格を決めることになると思うんですね。そこをちょっと説明してくれませんか。
  307. 塩田章

    政府委員塩田章君) これは、現状は私事務局長ですから説明できますが、安全保障室になった場合それをどうされるかというのは、新しい安全保障室長あるいはそれが官房長官の指揮を受けてお決めになることだと思いますので、現状の方をまず申し上げてみますと、おっしゃいますとおりに参事官は現在三人おります。それでいわゆる総務担当といいますか全体を見ている立場の参事官、それがあわせて国防ということで国防問題も見ておりますが、もう一人の参事官は一般的な軍事情勢、もう一人の参事官は政治、経済情勢というようなことで現在は仕事の割り振りをした三人の参事官を持っておる、こういうことでございます。  今申しましたように、今後安全保障室になった場合にどうされるかというのはちょっと私が申し上げるわけにはいきませんけれども、参事官が一名ふえまして、今度は名前は審議官になりますが、審議官が一名ふえて四人になるということははっきりいたしております。その場合どういうことになるかといいますと、今の割り振りを全部どういうふうに変えるか、それはちょっとわかりませんが、新しい項目としてはいわゆるここで言うところの重大緊急事態への対処というようなことが担当になる審議官が設けられるのではなかろうかなというところまで申し上げることはできると思います。
  308. 内藤功

    ○内藤功君 先ほども問題になったけれども、こういうのはちゃんと国会に明らかにしなきゃいけませんよ、これは。事務局というのは非常に大事なんです。ところが、これを内閣官房組織令と総理府本府組織令の改正で、国会にかけないでやろうとしている。四つの参事官、ちゃんとあなた方の国防会議で案ができているんじゃないですか。一つは総務、国防、二番目は軍事情勢、三番目は政治、経済情勢、そして重大緊急事態、事故と、四つはできているんです。私のところにこれありますよ、国防会議のつくったのが。どうですか、ちゃんとつくっているじゃない。それを国会に出さなきゃだめだ、こういうのは。法律は十一カ条、こういう肝心の例を出さない。どうなんですか、あなたつくっているじゃないですか。ここにありますよ、これはマル秘ですか、マル秘じゃないでしょう。
  309. 塩田章

    政府委員塩田章君) 今申しましたように、新しい安全保障室の事務について私が公式にお答えすることができませんので、先ほど重大緊急事態についての担当が一つふえることになるだろうという推測は申し上げましたけれども、私が言えることは、現状の国防会議についてはそれは言えますけれども、新しい組織については私から申し上げるべきではないとこう思います。
  310. 内藤功

    ○内藤功君 だけど、今僕の言った案はどうなんです。ここでお見せしている、これは。こういう構想を持っているんでしょう。否定できますか。
  311. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) 塩田君は、組織が全部変わるわけですから、遠慮しているんです、これは。それではなくて、およそ今、内藤さんお挙げになりました大体そういう仕組みになると思います。ただ、細部ここはどうこうと細かなことをまだ全然決めておりませんから、その点はひとつお任せをいただきたいと、こう思います。大体その資料でそう間違ったあれにはならぬと思いますから、御安心いただきたいと思います。
  312. 内藤功

    ○内藤功君 最後に、官邸の新築がいろいろ言われていますね。私は、こういう時期に総理官邸を新築するというのは問題あると思います。しかし、これを深く追及する時間がない。この官邸の新築に伴って人の方もふやす、安全保障室は今二十四人がしれないけれども、それを今度はふやす、そういう予定はあるんじゃないですか、どうなんですか。
  313. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) それは内藤さん、おかしいんですよ。だって、入れ物に合わせて人をふやすんじゃないんです、それは。それは仕事に合わせて人ができてくる、こういうことじゃないでしょうか。御案内の官邸の建てかえの問題は、実はもう十五、六年前からの問題なんです。これは本当にあそこへ住んでみたらわかります。本当に非能率でどうにもならない建物でございます。私は、一刻も早くああいうものは、今日のこの高度の情報化社会とでも言いますか、スピーディーに物を処理しなきゃならない、これに対応してあの官邸の効率化、機能化、これが図られるような官邸に建てかえることは非常に重要な仕事である、私はさように理解をいたしております。
  314. 内藤功

    ○内藤功君 この事務局の問題、非常に大事だと思うのは、調整機能、情報能力が強まり、いわゆる活性化ということが実現されるというふうに言うんですが、これは総理が、もしその人が、その人のパーソナリティーが非常に自分の一身に権力、情報機能を集めようという志向の強い方の場合は、これはいわゆる大統領的総理というところになってくる。防衛庁権限もみんな自分がとってしまう、警察の権限も一部、そういう危険を私は感じるんですが、この点官房長官、いかがですか。
  315. 後藤田正晴

    国務大臣後藤田正晴君) これは、やはり総理大臣性格というものは、それなりに内閣全体にそういった色合いが若干は出てこざるを得ないと思います。また出てこなきゃうそだと思います。しかしながら、日本の議会制度、殊に日本の民主主義制度というものは、私は今日四十年たって脆弱なものとは全く考えておりません。したがって、一人の総理大臣が自分の恣意的に内閣運営する、あるいは権力を行使するなんというのは全く不可能である、考えることのできない程度のことである、私はさように考えて安心をいたしております。
  316. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 本案についての質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  317. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 次に、恩給法の一部を改正する法律及び国際電気通信株式会社等の社員で公務員となった者の在職年の計算に関する恩給法特例等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、発議者太田淳夫君から趣旨説明を聴取いたします。太田淳夫君。
  318. 太田淳夫

    太田淳夫君 ただいま議題となりました恩給保法の一部を改正する法律及び国際電気通信株式会社等の社員で公務員となった者の在職年の計算に関する恩給法特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明いたします。  政府は、旧国際電気通信株式会社の社員及び旧満州電信電話株式会社など在満支の外国特殊法人の職員のうち、戦後引き続いて公務員となった者については、恩給法等の特例措置によって、それぞれの社員期間を基礎在職年に算入する特例通算等の措置を実施しております。  しかし、旧逓信省等を諭旨退職させられた後に、旧国際電気通信株式会社の社員となって、南方占領地域に派遣され、旧陸海軍の臨時通信業務等に従事した者及び同業務に従事していた者で同会社解散前に退職を余儀なくされ解散後公務員となった者については、戦時中の処遇に対する終戦処理が行われないままの状況に置かれており、不平等な取り扱いとなっている実情を是正するため、今回、本法律案を提出した次第であります。  次に、この法律案内容の概要について御説明申し上げます。  第一は、任命権者またはその委任を受けた者の要請に応じ、旧国際電気通信株式会社の社員となった者の当該旧国際電気通信株式会社の在職期間を通算することであります。  現在、旧南洋庁の公務員であった者で、同庁の電気通信業務が昭和十九年五月一日に旧国際電気通信株式会社に移管されたことに伴い同社の社員となった者については、その社員期間を在職年に通算されることとなっているのでありますが、旧逓信省等を諭旨退職させられ、旧国際電気通信株式会社の社員となった者には、この措置が適用されていないのであります。  旧国際電気通信株式会社は、同会社法第一条で「政府ノ用ニ供スルコトヲ目的トスル株式会社トス」と規定されていることからも理解できるように国策会社であったこと、さらに、同法第二条第一号の「外国ニ於ケル電気通信事業ノ経営」及び同条第二号の「外国二於ケル電気通信ノ設備及其ノ付属設備ノ貸付」などの事業を当時の政府の命令によって実施するため設立された会社であること等から、当時、これらの職務と密接な関連があった旧逓信省等の公務員で、任命権者またはその委任を受けた者の要請に応じ公務員を退職し、旧国際電気通信株式会社の社員となって、旧陸海軍の臨時通信事務等に従事した者については、旧国際電気通信株式会社の社員期間を在職期間に通算することとしております。  第二は、旧国際電気通信株式会社(旧日本電信電話工事株式会社を含む)の社員であった者で、同会社の業務を政府に引き継いだ日後に、公務員となった者の旧国際電気通信株式会社の社員期間を在職期間に通算することであります。  現在、旧国際電気通信株式会社の社員期間の通算措置は、同会社の業務が政府に引き継がれる以前に、公務員となった者に限定されているのでありますが、同会社解散前に退職を余儀なくされ、解散後、公務員になった者には適用されていないのであります。  旧国際電気通信株式会社は、GHQの覚書によって、同会社の業務が政府に移管されたのを機会に解散させられたのでありますが、同会社は会社解散前から経営軽量化を図るために人員整理を行い、この結果、会社の解散前に退職を余儀なくされた者及び終戦砥後の混乱期において、内地帰還が遅延した者で、同会社解散後、公務員となった者についても、旧国際電気通信株式会社の社員期間を在職年に通算することとしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださるようお願いいたします。
  319. 亀長友義

    委員長亀長友義君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十四分散会      —————・—————