○内藤功君 次に、私は、今回経営移譲の対象となっておる
病院、
療養所の問題についてお尋ねをしたいと思います。
経営移譲の候補となる
病院、
療養所は全部で三十四カ所あると承知をしておりますが、その多くは
医療に恵まれない
地域にあります。例えば、山間僻地あるいは離島などにある佐渡
療養所、それから対馬
病院、壱岐
療養所あるいは明石
病院岩屋分院などはその典型的なものだと承知をいたします。これらの
国立医療機関の果たす社会的な
役割は、非常に大きいものがあると思うのであります。
私は、
厚生省の保健
医療局の高木管理課長おられますか。高木さんのお書きになった、
法律雑誌のジュリストの八百五十八号、四月十五日号の論文、「
国立病院・
療養所の再
編成について」、これを読ましていただきました。これ読みましたが、この中で、「これまでに
国立病院・
療養所の果たしてきた
役割は極めて大きなものがある。終戦直後の荒廃した社会の中で、
地域医療を確保し、とりわけ
国民病といわれた結核の撲滅等に残した足跡は大きい。また、
昭和三十年代に入ってからは、
がん、
循環器病、重症心身障害児
医療等への取組みには注目すべきものがあり、
医療専門職の養成の面でも、
看護婦、理学療法士、作業療法士等その不足が深刻な悩みであったが、多大の貢献を果たしてきた。」というふうに冒頭の部分で書いております。
私は、この論文の
内容すべてを肯定するものではありませんが、この部分についての認識は私も一致するところであります。もともとこのような山間僻地、離島などというところは、民間で開院、開業しても、人口が少なく、なかなか採算がとれないんです。だから
医療過疎になっていると思うんですが、地元自治体や民間で今の
国立を引き取って経営が成り立つんでしょうかね。私は絶対黒字にならないと思います。民間では黒字にならないということは、これは倒産であります。倒産すれば、その後その
地域住民は
医療が受けられなくなっちゃうわけですよ。そういう結果になるわけですよ。これでは、国が
地域住民の健康と生命を見殺しにするような結果になりませんか。規模が小さい地方自治体では財政面で
病院経営なんかはできませんよ。さっき、それが期待されると言っておられたけれ
ども、私は期待できないと思います。
だからこそ、多くの県知事、それから市町村長初め地方議会の反対決議が相次いております。全国三千三百二十五自治体の約九〇%に当たる二千九百三十五自治体(三月末現在)、これは「行政総務週報」という雑誌にはそういう
数字が出ております、これが決議をしておる。
大臣は政治家でいらっしゃって、御出身は愛媛県と私は承知しておりますが、そうですね。
大臣の地元の愛媛県からもたくさんの陳情が来ておりますよ、私のところにもたしかあります。こういう多くの地方自治体議会の決議の受けとめを、政治家としての
大臣は、これはもう率直に受けとめられているのは当然だと私は思います。これはどういうふうにお考えになりますか。この点をちょっと伺っておきたいと思います。