○山中郁子君 それを私詳細に見せていただいてから、また次の機会に論じたいと思う点はありますけれ
ども、少なくとも特例といっても、結局労働者の経験からいって、私自身も長いこと現場で働いてきた経験からいっても、それがだんだん拡大されて、そして常時行われていくという危険と全く無
関係ではないんですよね。そういう点がありますので、労働者の側からも反対の
意見も出てきているし、
民間金融労働者サイドでもこの問題についてはやはり反対の声も出てきているわけなので、その辺の認識はしていただく必要があると思っています。今大きな流れは、世界的にと言っても、特に
日本がやはりその点で
考えなきゃいけないのは、時短の方向でこそあれ、そういう点での逆行するようなことはやめるべきだというのが私の
考えであるということを申し上げておきます。
今回のこの
郵貯法の一部を改正する
法律案の審議に当たりまして、この機会に私はひとつOA化を
中心にしてさまざまな技術革新が進んでいるもとでの労働条件の問題についてちょっと明らかにもしたいし、それから
郵政省にもお
考えをいただきたいということなのです。情報化の
中心的な役割を果たしつつあるというふうに
郵政省自身も自負をされていらっしゃる。その
郵政省だからこそ、私も非常に注意深い対応が必要だというふうに
考えているんですけれ
ども、具体的にはVDT労働のことであります。
現在
日本においては既に五百万台とも言われるほど普及されていて、労働の一般的な形態と今やなりつつあるという側面がありますけれ
ども、導入されてから比較的まだ短時日の間にすごく大きくもう広がったという経過がありますから、その労働環境や労働条件、作業内容というものについて、全くと言っていいほど、労働者保護の立場に立った規制やあるいは基準、こういうものがないというのが私は
現状だというふうに思います。今私、これ
郵政省のことだけを申し上げているのではなくて、
日本の労働実態の中で、つまり後手になっているわけですよ。これは歴史的に見れば、いろんな点でこういうことは何回も繰り返されて、そして
最初にその新しい技術が入って、新しい労働態様が持ち込まれて、それではっきりした労働者保護の規制や基準がないままにそうした労働が進められてきて、そしてそれがいかに労働者の健康や
生活を破壊して悪
影響をもたらすかということが、
国民的なコンセンサスとしてだんだんと明らかになった時点でなってきますよ。そうした時点で、やれ基準を今度つくろう、あるいは規制をつくろうとなると、これまた大変なことなんですね。これは私が働いていた経験から言っても、そのことは本当にもういやというほど痛感してきていることなので、ちょっともう少し時期が
おくれているんですけれ
ども、おくれているからこそ今精力的に
日本の労働者の労働条件の問題としてVDTをめぐる問題に取り組まなきゃいけないし、初めに申し上げましたように、
郵政省としてはやはりその
中心的な職場として
考えていっていただきたいというふうに思うわけです。
それで、このVDT作業というのは、私が今ここで解説するまでもないわけですけれ
ども、ブラウン管を見てキーボードを操作する作業であって、従来の作業と違った目の神経の使い方をする、そういう作業です。そして、それによって新たな健康障害や目の疲れ、視力の
低下、視力障害、こういうものが起こってきています。それから、背中、腰、肩、腕、こういうものの障害。また、そういう労働障害と同時に、女性の場合に異常出産、妊娠障害等々の複合症状もかなり顕著にあらわれているというデータも出ています。
最近、つまり五十九年の二月ですけれ
ども、労働省もやっと、私
たちに言わせれば、重い腰を上げてガイドラインを発表いたしました。そのほか人事院や通産省、そのほか各労働組合や産業衛生学会の勧告などがいろいろと出されるというふうに、ようやくそういう
状況に今なってきたわけですけれ
ども、その後労働省のガイドラインは昨年十二月に一部補強されました。その辺は御承知だと思いますが、とは言うものの全く不十分なものだということを私
どもは
考えています。結果的にはやはり労働者の立場に立つのではなくて、事業者が主体になるという企業指向のそういう中身になっている。労働省のガイドラインの問題点を私、今申し上げているのですが、簡単に言いますと、大きく言って総労働時間が決められていないということと、労働者が
意見を述べるようになっていないんですね。労働者の
意見、つまり労働者とあるいは労働組合と相談して、そしてその労働態様がどうあるべきかというふうな仕掛けにならない。そういうことが大きな問題だと
考えております。それが前提です。今私の、VDT労働をめぐる問題についてきょうただしたいし、お約束もいただきたいということの前提的な見解です。
郵政省においてはVDTの作業の導入、実施に当たって該当する労働者や労働組合とよく相談しておやりになるべきだと
考えております。情報化の旗振り役の
郵政省として他省庁ないしは
民間企業の手本になるようなことをしていっていただきたいし、またその責任もあるはずだと思っておりますが、まずこのことについての基本的な
郵政省の
考え方をお伺いいたします。