○近藤忠孝君 私は、
日本共産党を代表して、「
天皇陛下御
在位六十年」
記念のための十万円及び一万円の
臨時補助貨幣の
発行に関する
法律案について、反対の討論を行います。
本法案は、
中曽根内閣が今年
天皇在位六十年を
記念して行う一連の
天皇制美化キャンペーンの重要な一環として出されているのであります。
本法案による十万円の
金貨発行、一万円の
銀貨発行などは、
補助貨幣として全く異例の高額
貨幣であり、そもそも初めから
貨幣としての流通は予想されていないのであります。結局これは、
大蔵省が
天皇在位六十年にあやかって高額
貨幣を
発行し、額面と鋳造費との差額三千七百億円を財政のつじつま合わせのために確保しようとするもので、財政困難に陥った江戸末期の幕府がたびたび行った
貨幣悪銭に等しいものであります。
中曽根総理は、
天皇在位六十年を祝賀する理由として、
天皇は元来平和主義者で、戦争を回避するために努力されたとか、戦前も君臨すれど統治せずであったとか、二千年近い歴史において国民の中心であったなどと言っているのでありますが、いずれも史実に反するものであり、皇国史観とも言うべき特殊で非科学的な歴史観に基づくものであります。
戦前の
天皇が、国家主権はもちろん、軍隊の統帥権、宣戦布告、
法律の認可、公布、議会の召集、解散などの権限を一手に握った絶対主義的
天皇制であり、中国侵略から太平洋戦争に至る重要局面で、常に戦争を拡大し促進する上で大きな役割を果たしたことは覆うことのできない歴史的事実であります。
戦後、主権在民を明確にした新憲法において、
象徴天皇制という形で温存された
天皇は、「国政に関する機能を有しない。」という憲法の規定を踏み越えて、皇室外交を繰り広げ、国政に関与する言動を繰り返しており、今また
天皇の名代として皇太子が韓国を訪問する計画が進められるなど、
天皇、皇室の国政への関与はますます深くなっているのであります。
さらに、自民党歴代内閣は、みずからの政権の安定のためにこの
天皇制を
政治的に利用してきたのであります。今回の
在位六十年祝賀も、参議院選挙を有利にし、自民党
政治の延命と
中曽根首相自身の三選の条件をつくり出し、さらには、戦後
政治の総決算として憲法の改悪と
天皇の元首化を図ろうとする企ての一環をなしているものであります。
日本共産党は、戦前戦後一貫して侵略戦争に反対し、主権在民を現憲法に盛り込ませた政党として、このような
天皇制美化のキャンペーン及びその一環として行われる
臨時補助貨幣の
発行には断固反対であることを明確にし、討論を終わります。