○多田省吾君
衆議院の
定数是正につきましては一昨年から
各党でいろいろな
改正案をつくってまいりました。私
どもも初めからやはり
抜本改正が必要であるという認識のもとで五十九年の二月に三つの案をつくりました。ともに二倍以内案でございます。あるいは偏差方式、あるいは配当基数・
最大剰余方式でございまして、昨年から
各党間で
定数是正の折衝が始まりまして、やはり
抜本改正は
抜本改正といたしまして、暫定的に、
緊急避難的につくろうという話し合いになりました。そして、御存じのように、野党四党では六増六減案というものを
昭和五十五年
国調の結果でつくりまして、合区、分区によって二人区はつくらない、あくまでも中
選挙区制、三人区、四人区、五人区を堅持した案をつくったわけです。そして、自民党は六増六減案でありますけれ
ども、二人区が四つほどできるという案を主張なされたわけでございます。で、それができなくて
議長のもとで話し合いました。いよいよ今
国会で
昭和六十年の
国調の
速報値をもとにいたしまして、やはり暫定的に
緊急避難的な三倍以内案、また
定数は五百十一名以内とする案が折衝をされたわけでございますが、私は、やはり暫定案、
緊急避難的な案といえ
ども、法則性また基本原則というものが必要だろうと思うのでございます。ですから、やはり野党の主張するように、十増十減案とか、九増九減案とか、あるいは八増八減案、そういうものにしておけば一名増というような結果には私はならなかったのだと思います。しかし、二人区をつくる、つくらない、あるいは二人区を少なくしようというような話し合いで、遂に
議長調停案が示されまして、二人区が四つできる、そして八増七減案。それで、三つの
選挙区は減にならないかわりに
境界線変更という結果になったわけでございまして、私個人としては大変残念に思うわけです。その結果、先ほど大川
委員も
質問されましたように、
境界線変更でさまざまな問題が生じているわけでございます。
それはそれといたしまして、今度、昨日も
衆議院の本
会議場で本
会議決議として
抜本改正に向かっての
決議がなされたわけでございます。それを読みますと、やはり
各党の
最大公約数をとられたらしくて、「
抜本改正に際しては、二人区・六人区の
解消並びに
議員総
定数及び
選挙区画の
見直しを行い、」とあります。私は素直に解釈いたしまして、やはり
抜本改正に際しましては中
選挙区制、三人区、四人区、五人区を守るのだと、それから
議員総
定数は一名ふやした分はもとに戻して五百十一名以内にするんだというようなお
考えかと解釈いたします。
それで、私は、やはり
抜本改正につきましては
国民の期待するような本当の
抜本改正にしなければならないと思います。本年十一月に六十年
国勢調査の
確定人口が公表されれば、すぐさまやはり私は
抜本改正に取り組むべきだと思います。
まず、その場合に一対一という
考えもありますし、また
格差二倍以内は守るべきである、こういう
考えもございます。また、都道府県間のアンバランスは、これは
是正しなければならないという
考えもございます。御存じのように、このたび石川二区が一名減になったために、総数としては
人口の少ない富山県の方が
議員総
定数が上になったという、それで石川県の方々は大変これに不満を持っておられるわけでございまして、やっぱりその点に関する限りなるほどなという感じを受けます。ですから、私は、やはり大正十四年並びに
昭和二十二年にいわゆるあれは
抜本改正だったと思います。どういうやり方をやったか。まず、大正十四年には、
人口十二万人を基準にして各道府県に比例計算で全部署り振った。ですから、道府県問のアンバランスというものは全然なくて、四百六十六ですか、そして、さらにそれも極めて公平に県内に振り分けた結果、ほぼ一・五倍以内におさまっている。
昭和二十二年におきましても、やはり都道府県に
人口十五万を基準にして比例計算で割り振った、その結果もやはり一・五〇五倍ですか、それにおさまっている。やっぱり、私は、百三十
選挙区の過密区を
議員増して
過疎区を
議員減する、こういうやり方も否定するわけじゃありませんけれ
ども、それはそれなりに
意味を持ちますけれ
ども、やはり
抜本改正に当たっては、まず都道府県に配当基数でもう
定数を割り振るぐらいの英断があってしかるべきだ、こう思います。
それからまた、先ほ
どもお話ございましたように、憲法ないし
選挙法に
国会の第一院の
定数規定が盛られていないという国は日本だけだと思います。ほとんどの国ではやはり憲法に基本原則が盛られている。憲法になくても
選挙法にきちっとございます。
我が国だけがない。大変残念です。私はやはり、少なくとも
公職選挙法の中の本法に
衆議院の
定数に関する、あるいは
参議院選挙区の
定数に関する基本原則は盛っておくべきだ、そして具体的な案分等については、それは中立的な第三者機関の
定数委員会等をつくって、その方々にお願いする、これはもう当然そうあってしかるべきだ、このように思います。
抜本的改正は
各党の話し合いによってということですから、将来のことかと思いますけれ
ども、やはり
国民の期待しているのはそういった公平な
定数是正であろう、
抜本的改正であろう、このように思いますが、御
意見がありましたらお述べいただきたい。