○国務大臣(
渡辺美智雄君) 解散そして同時選挙、これを決して絡めておるものではありません。これは二つに分けて考えなければならない問題であると考えております。
一つは、要するに
円高対策として
内需拡大をやれという言葉が
一つございます。
内需拡大は、いつでも私が言っているように、
政府が関与できるものは金利の
引き下げとか減税とか、あるいは公共事業の拡大とか、そういうようなものであります。公共事業の問題については、御
承知のとおり、ことしは四%程度総事業費をふやしておりまし
て、九月までに七七%以上、史上最大の規模の前倒しをやってくださいということをお願いいたしております。ところが、これは現実の問題として、最大の前倒しと言われましても、それは事務手続上非常に最大の努力をするのがもう精いっぱいであるというのが実態であります。
例えば農業
関係でも、田んぼに水が入っているとき土地改良をやれと言われましても、なかなかそれは現実はそうできるものではないし、一挙にふやすといっても設計とか見積もりとか土地買収とかいろんな問題が絡んでまいりますから、すぐにできる、頭の上ではできますが、現実にはそれは簡単にいかない。したがって我々は、今与えられたその七七%以上前倒しを許しますからやんなさいということで、ともかくやってくださいよと。そうするとどこまで進むか九月になってみないとわかりませんが、後半
景気がさらに低迷をして、それで仕事がないという状態の場合は、当然にそれは補正予算等を講じましても、それは必要なものを提供いたしましょう、そこまでは総理が言っておるんです。それは建設国債を出すか、財投資金を運用するか、
民間活力を使うか、詰めはありませんが、いずれにいたしましても事業量の拡大についてはもう十分に考慮いたしますということをこれは言っておるわけですから、今すぐ慌てなきゃならないということは実はありません。
金融の問題で、現に
輸出が非常に少なくなったと、金繰りが困っているというような方は、これはもう現に出つつあることは間違いないのであって、
〔
委員長退席、理事
松岡満寿男君着席〕
そのときに、その金利の問題でございますが、
政府の金利というものがもう一段下げられないのかと、預金金利がこれほど下がっておる中で、郵貯の
関係でも一・五%の利ざやが本当にどうしても必要なのか、そんなに要らぬじゃないかという議論が一方ございます。しかしながら、六・〇五%よりも下げて貸し出しすることはまかりならぬと法律で決まっておるわけでありますから、下げたくともこれを直さないと下げようがない、これも事実であります。したがって、できることであれば、そういうような面で法律を直してでも何とかできないかということが
一つあるんです。
すぐやったらいいじゃないか、こうおっしゃいますが、実はこれは利害
関係がありまして、郵貯の特別会計からすれば利幅がいっぱいの方が
黒字になるわけですし、また厚生年金の方からいえば六%以上で厚生年金の積立金の運用を計画しているんですから、それを全部下げられることは困るんだという議論が
一つある。なかなかそこの各省間の利害の調整がいまだついていない、これも事実なんです、実際は。ながながしかし、それは臨時異例の措置として、長期にわたってそうじゃなくて、本
年度限りの措置というようなものを何かとれないか。あるいは金利を全部下げるということになると、開銀から何から大手
企業の分までも下げるのか、そんなことは必要ないんじゃないか、とりあえず
中小企業者だけに限定したらいいんじゃないか。そうすれば厚生年金等に
被害も少なくて済むし、資金上もそう莫大なものでもないというなら、そこらのところの話をもう少し詰めたらどうかねということなどで目下鋭意詰めつつあるという
状況なので、今国会に出せ、こう言われてもきょうあしただけでまとまるという
見通しはちょっとないんです、実際は。極力やってはいるんですよ。そういうふうな事態が一方にある。ですから、臨時国会開いてもできたらやりたいなという気持ちがございます。
もう
一つは、これは全然別な問題でありまして、定数是正の問題というのは、これは憲法違反の状態があるから憲法違反の状態を直しましょうと最高裁の判決から言われている。そこで直さないでいいという人はだれもいないんですよ。各党とも憲法違反の状態は困る。だから最低一対三の格差の以内の中に直そうじゃないか、これはみんな一致しているわけです。そこへ議長の裁定が出まして、それについてそいつは受け入れましょうということになりましたが、少しの減員するべきところを増員したのがいかぬとか、多少完全な意見の一致を見ないで、
委員会においては自民党と公明党が賛成をし、その他が反対をして通過した、それで本会議にかけるという段階に今なっているわけですね。だから、これは一刻も早くかけて直してくださいよということを我々は言っているわけです。
そうすれば、憲法違反の状態がなくなったらば、それじゃ法案が通って選挙ができる状態になって、選挙はやらない、ずっと任期いっぱい違反の状態で置くんだ、それがいいんだという議論なのか、それとも法案が通った以上はなるべく早い時期に憲法違反の状態から脱却するのがいいのかという議論があるわけです。なるべく早い方がいいという方が私は大多数の人の考え方だと。だから、いずれはなるべく早い時期に解散をして憲法違反の状態から脱却するというのが筋ではないか。法律は通したけれども、違法状態を長く続けるというのはおかしいという議論がありまして、そこで同時選挙かどうかという話になりますが、何も同時選挙でなくたってこれは構わぬのですよ。なるべく同時選挙の方が、二回続けてやるよりもいいんじゃないかという議論も
一つあります。だから、それは一緒にして私どもは考えているわけではありません。なるべく早い時期にやる方が筋道ではないか。それをごっちゃにして考えますと、
円高対策をやるために、同時選挙をやるために、何のためにと、こうなりますが、筋道は私はそうじゃなかろう、そう思っておるわけでございます。