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1986-04-23 第104回国会 参議院 建設委員会,大蔵委員会,運輸委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十一年四月二十三日(水曜日)    午後一時二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。    建設委員会     委員長         小山 一平君     理 事                 工藤万砂美君                 堀内 俊夫君     委 員                 井上 吉夫君                 井上  孝君                 植木 光教君                 遠藤  要君                 志村 哲良君                 服部 安司君                 浜本 万三君                 松本 英一君                 大川 清幸君                 山田  勇君    大蔵委員会     委員長         山本 富雄君     理 事                大河原太一郎君                 藤野 賢二君                 矢野俊比古君                 多田 省吾君     委 員                 伊江 朝雄君                 岩動 道行君                 梶木 又三君                 中村 太郎君                 藤井 孝男君                 藤井 裕久君                 宮島  滉君                 吉川  博君                 鈴木 和美君                 近藤 忠孝君                 野末 陳平君                 青木  茂君    運輸委員会     委員長         鶴岡  洋君     理 事                 吉村 真事君                 安恒 良一君                 矢原 秀男君     委 員                 倉田 寛之君                 高平 公友君                 内藤  健君                 藤田  栄君                 安田 隆明君                 内藤  功君    国務大臣        大 蔵 大 臣  竹下  登君        運 輸 大 臣  三塚  博君        建 設 大 臣  江藤 隆美君    政府委員        大蔵大臣官房審        議官       尾崎  護君        大蔵省主計局次        長        角谷 正彦君        運輸省港湾局長  藤野 愼吾君        海上保安庁次長  岡田 專治君        建設大臣官房長  高橋  進君        建設省建設経済        局長       清水 達雄君        建設省道路局長  萩原  浩君    事務局側        常任委員会専門        員        河内  裕君        常任委員会専門        員        多田  稔君        常任委員会専門        員        荒木 正治君    説明員        警察庁交通局交        通指導課長    阿南 一成君        警察庁交通局高        速道路課長    増田 生成君        環境庁企画調整        局環境影響審査        課長       瀬田 信哉君        国土庁土地局土        地利用調整課長  山崎 皓一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○東京湾横断道路建設に関する特別措置法案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————    〔建設委員長小山一平委員長席に着く〕
  2. 小山一平

    委員長小山一平君) ただいまから建設委員会大蔵委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  先例により、私、建設委員長が本連合審査会会議を主宰いたします。  東京湾横断道路建設に関する特別措置法案を議題といたします。  本案の趣旨説明は、既にお配りいたしました資料により御了承を願い、その聴取は省略いたします。  これより質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 安恒良一

    安恒良一君 まず、建設大臣それから運輸大臣等関係大臣にお聞きをしたいんです。  民活ということで、本来でありますと道は御承知のように道路公団が中心につくっているんですが、どうも今回は殿上人のツル一声といいますか、中曽根総理ツル一声で、民活民活ということでこのような形になったと聞いているのでありますが、どうも今度やろうとされていることの中身が私はやや中途半端ではないかと思うんです。というのは、関西空港を第三セクターでやることを決めました。その場合と今回の場合は、やはり必ずしも同じではないわけですね、同じ民活でやるといっても。  ですから、関西空港を第三セクターでやるやり方と今回のやり方の違いについて、まず御説明を願いたいと思います。
  4. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 御案内のように、関西国際空港特殊法人として行いますし、東京湾横断道路はこれは普通の商法上の法人として行う、こういうことでございます。  資金構成において、関西国際空港には八百億直接国が出資をいたします。それから東京湾の方はこれは道路公団が二百億出資をするということでございまして、国の直接の出資はございません。貸付金はほぼ同じくらいであります。それから出資の比率が、関西国際空港の場合は国が四、地方公共団体が一、経済界が一の四、一、一の割合でありますが、この東京湾横断道路は一、一、一、道路公団が一、地方公共団体が一、民間経済団体が一、こういうふうに実は違うわけでございます。
  5. 安恒良一

    安恒良一君 民活ということになりますと、民間の効率的な経営手法とか人材を活用するとか、それから、今言われましたような豊富な民間資金をできるだけ安い金利で導入する、そういうことで社会資本整備を進めよう、こういうことで民活をお考えになっているというふうに、民活一般論としては私たちは予算委員会総理から承っているわけです。  しかしながら、道というものは、特に今回のよ うないわゆる東京湾横断道路などというのは、非常にこれは御承知のように公共性の強いものですから、本来なら民間より公団にやらせるのが筋じゃないか、こういう御意見がうんとあると思いますし、また、これはうそか本当か知りませんが、前道路局長等はやはり公団建設で進めるべきだということでありましたが、早々とこれを変更しまして、そしていわゆる民間でやるんだ、こういうことになっているようですね。ところが、私がどうも中途半端だと言っているのは、最終的な経営責任用地の買収や漁業補償などややこしい問題は、これは全部日本道路公団が引き受ける形となっている、こういうことになっていますね。ですから、そういう民間活力総理が言われている民活趣旨とどうなんだろうか。  そして、この道の建設と管理とは、道路公団と地方自治体、民間出資する株式会社が手がける、しかし完成するとそれは道路公団が引き受ける、公団は三十年がかりで建設費会社に支払う。ところが、今度は運営や維持、補修は公団協定を結んだ会社が受け持つ、通行料金はこれは公団が決めるというふうに、何となく、民活と言いながら公団の持つ分野とこの会社が持つ分野が非常にわかりにくいんですね。関西空港の第三セクターの場合にはかなりこの点は我々運輸委員会でも大分議論してはっきりしているんですが、どうもこれでは総理がよく言われている民活というもののあれを本当に生かすことになるんだろうか。例えば、赤字が累積した場合の経営責任はやはり公団に押しつけられるという形にこの法案中身は考えられるんですが、そこのところはどうですか、大臣
  6. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 道路公団が直接やるべきであるという意見は、それは確かにあると思います。また、予算要求段階でも、御承知のように道路公団が、東京湾横断道路建設主体となる会社がないわけでありますから、便宜上日本道路公団予算要求は実はやりました。しかし途中で、おっしゃるように民活を利用してこれをやろう、こういうことになった。  それはいろいろ理由がありますけれども一つには、道路公団は御承知のように約二十年前に七千六百キロの高速自動車道路の指定をやりまして、現在供用開始になったものがやっと三千七百二十一キロでございます。まだ半分に達しない。これに今世紀末を目標に全線開通ということで実は取り組まなきゃならないし、また同時に、今九千キロ以上の要望があるわけですが、来年には第十次道路整備五カ年計画も策定をしなきゃならぬわけですから、そのときに高規格幹線自動車道路というのがまた上にかぶさってくる。そうなるとなかなか公団だけではやりたくてもやれない面もある。  そういうことでいろんな知恵を絞った結果、例えば民間の技術あるいは民間の経験、あるいは民間のいろんなノーハウ、そういうものを生かしながら、特に国の財政事情に左右されないように、資金の大量に要るときは一回に資金が集中して要る事態も出てくるわけでありますから、国の財政事情に左右されないでこの建設に取りかかれるよう最大限の民間の力を活用しようということでつくりました言うならば私は苦心の策だと、こう思っておるところでございます。
  7. 安恒良一

    安恒良一君 大臣苦心の策だと言われますけれども、私が中途半端だと言っているのは、民活でこういう会社をつくるなら、例えばこの経営最終責任もこの会社に持たせる、こういうことなら、例えば、赤字が出てきた場合なんかは会社があくまでも経営責任を持つということなら、またそれなりに民間会社はいろんな私は知恵を働かせると思うんですね。ところがどうも、赤字が出てもそれは最後は公団が引き受けてくれるのだということになると、なかなか経営姿勢というのが私はうまくいかないと思いますし、それと同時に、これの問題を相談された経済界のトップなんかも言っていることは、いわゆるこれは、新会社とは金集めのパイプでしかないんじゃないか、これじゃ民活じゃないじゃないか、こんな言い方もしているわけですね。  それから、一方中途半端だというのは、ややこしいことは公団に押しつけていますから、その反面においてこれをつくるに当たってのその利益というものは、例えば経営責任は逃れられる、資材などの需要で利益を上げることができる、こういうことにもこれはなっているわけですね。ですから、どっちともつかない。公団側もいろいろ言い分がある、それからつくられる会社側にも言い分があって、私はこの責任所在がどうも明らかにならないんじゃないか、これで本当に民活と言うことができるのだろうか、また、いわゆる民間出資がこういう形で集まるのだろうか。  なるほど民間側は、十年に及ぶ大工事ですから、その工事から得る仕事の見返りというのがありますし、また、新しく経済開発されるという問題、後から申し上げますが、それにおけるメリットがありますから、金は出すかもわかりませんが、どうも建設大臣ね、今回のつくり方というのは、かなりこの会社公団側経営責任の問題、非常に中途半端なあいまいさがあると思うんですが、そこのところはどうですか。どういうふうにきちっと整理されるんですか。
  8. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) そういう責任所在につきましては、これから公団と新会社協定をしっかり結んで、その責任体制を明らかにしていくわけでありますから、それは十分、御意向のあるところは意を体しまして、間違いのないようにしていきたいと思っております。  それから、先ほど漁業補償ですとか用地補償、厄介なことは公団でと、こうおっしゃいましたけれども、まさにそのとおりで、漁業補償とかあるいはまた用地交渉などというのはなれないところではこれはなかなかやれない問題でございまして、したがいまして、道路公団の手なれたところでそれはやるのが適当であろう、こういう判断によるものであります。  それから、やっぱり相当の災害が起こるとか、その他のリスクが将来に残ることでありますし、また、こういう道路というのは、有料道路道路公団が所有しておりますものですから、そういうこともあって、所有は道路公団、これに帰する、こういうことにいたしてあります。
  9. 安恒良一

    安恒良一君 私は一時三十五分までですから、これ以上この問題はあれしませんが、この法案に私ども結論からいうと反対でありますから、今申し上げたようなあいまいさが非常にあるということを指摘しておきます。  次は、これは運輸大臣建設大臣にお聞きしたいんです。  まず、この道をつくられるときに、今交通ふくそうをしているこの首都圏全体の改造計画があって、その中で東京湾岸道路をどうするかというふうにやるべきだ。これは長洲さん、一方の関係者である長洲知事指摘されています。ですから、全体のビジョンがあってその中に個別の事業があるべきですが、ところがどうもこれも、中曽根さんのいわゆる民活内需振興という内閣の御都合で浮上してきている。これでは長洲さんなんかは大変地元としては疑問を感じるし、不安を感じないわけにいかない、こう言って長洲知事は談話を出されているようです。  そこで、首都圏における広域幹線道路をどういうふうに形成しようとされているのか、首都圏におけるこの点についてひとつ御説明を願いたいと思います。
  10. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) まさに適切な指摘でありまして、長洲知事さんがいろいろとそういう不信の念を持っておられるということは、私どものまだ説明が足りないことであろう、こう思います。  御承知のように、首都圏高速道路渋滞は今、年間八千八百回と言われています。ですから、高速道路やら何やらわけがわからない。朝から晩までどこかが渋滞しておる、こういうことであります。  それで、基本的に私どもが考えておりますことは、まず東京湾湾岸道路というのを完成させる。 したがいまして、今度横浜市本牧から金沢埋立地まで湾岸五期にいよいよ六十一年からかかるわけでありますが、木更津の向こうの千葉からずっと湾岸を通る道路というのは、おおよそ昭和七十年ごろには、横断道路ができ上がるころには完成をさせたい。それからもう一つ今度は、山手線を通ります、東京の十五、六キロの、首都圏をいわゆる環状に延びていくいわゆる外郭環状道路というものをつくらなきゃいかぬ。これは山手線外側ぐらいになるであろうと思いますが、必要がありましたら道路局長から説明させます。それからもう一つは、俗に言われます首都圏中央連絡道路、成田からずっと外側五、六十キロのところを回りまして、八王子、厚木、それから金沢に出てくる、そういういわゆる首都圏中央連絡道路。要するに、たくさんの高速道路が入ってくるわけですが真ん中に全部集中して横に散っていかないわけでありますから、どうしても渋滞が起こる。それで、一番外側一つ環状道路をつくる、中に環状道路をつくる、そして湾岸道路をつくる。それから今度は木更津から川崎に向けて東京湾横断道路国道四百九号線、これを建設して、そして南関東の大きなバイパスの役を果たさせる。したがって今度は、それがちょうど川崎側についてくるわけですから、川崎から多摩川沿い国道十号線、東名に向けて川崎縦貫道路をつくる。一方の木更津の方は、今度は東関東自動車道路昭和六十七、八年にはひとつ完成をさせて、そして首都圏全体の道路交通網整備を図っていこう。  そうすることが一つ首都圏改造であり、また物流の最もあるべき姿に戻っていくのではないかということで、十分の計画を立てておりまして、東京湾横断道路はおおよそ一兆一千五百億の建設費と言われておりますが、これらの道路を全部整備すると七兆八千億かかります、こういう計算をなす向きもあるわけであります。
  11. 安恒良一

    安恒良一君 時間がございませんから簡単にお願いしたいんですが、私も首都圏に今大臣が挙げられました五つの道が必要だということは考えるわけです。ところが、やはりこの道は、きょう提案されている東京湾横断道路をこれから十年かけてやるということですが、私は優先順序からいうと、まず今の東京外郭のいわゆる環状道路ですね、これがまず完成されなければいけないんじゃないか。それからその次は、大臣も言われました首都圏中央道、こういうものが完成されなきゃならぬ。優先順序があると思うんです。  ところが、まず本法案東京湾横断道路、こういうことを言われていますから、これは大臣じゃなくて局長からでも結構ですから、今挙げられたところの優先順位をどう考えているか、それからそれぞれの完成年次はどうするのかということについてごく簡単に、どれとどれを優先にやって、そして完成年次はいつだということを、今大臣が挙げられた道についてちょっと説明してみてください。
  12. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 東京湾横断道路と関連をいたしますと、第一番に東京湾岸道路、これの完成がまず必要でございます。これがなければ横断道路があってもしようがございません。東京湾横断道路につきましては、現在、今度六十一年度に事業化をいたしました湾岸五期を含めまして、昭和七十年までに完成をさせたいというふうに考えております。  それから、同じように川崎縦貫道路、これも東京湾横断道路の受けとして必要でございますが、これにつきましては、国道十五号までは今度事業化をいたしまして、できるだけ早く完成をいたします。その以西につきましては、地元の方々との路線の調整問題がございまして、これをできるだけ早く解決して国道二百四十六号までは何とか七十年までに完成できないかなというふうに考えております。  また、外郭環状道路につきましては、北部からこれは着手をいたしまして、常磐道から関越道まで、これを昭和六十六年度ぐらいまでには何とか完成させたいというふうに考えております。  また、それと少し互い違いになりまして、関越道から中央道まで首都圏中央連絡道路事業化いたしまして、やはり同じような年次、七十年ぐらいまでにはこのは完成したい。ということになりますと、とりあえずある程度のリングができます。一番下の中央道から東名までのリングがちょっと欠けるような形になりますが、これも順次整備を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、まだそこについては完成年度を言える段階ではございません。
  13. 安恒良一

    安恒良一君 私が今言ったのは、完成年次もですが優先順位を聞いたんですが。優先順位はどう考えているか。全部一緒にやるんですか。
  14. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 道路網整備は、やはり平均的にずっとやっていくことが必要であろうと思います。したがいまして、この道路ができてから次の道路、こういうことは私ども考えておりません。できるだけ同じようなレベルで整備を図っていきたい、こう考えておる次第でございます。
  15. 安恒良一

    安恒良一君 私は、東京湾横断道路も非常に重要だと思いますけれども、今の首都圏の中の混雑を考えますと、やはり東京外郭環状道路であるとか、それから首都圏中央連絡道路、こういうものを最優先に取り上げるべきだと思うんです、最優先に。優先順位はないと局長は言いましたね。優先順位、順番を言うと差しさわりがあるからよう言わぬけれども、私は今の東京都内にお互いに生活している者として考えてみたら、それは東京湾横断道路をつくれば湾岸道路であるとか川崎市内縦貫道路の受け皿がなければならぬということはわかりますけれども、今の東京における大混雑のいろんなことを考えますと、やはり東京外郭環状道路であるとか、首都圏中央連絡道路であるとか、こういうところを重点的にやってもらいたいということを私は意見として言っておきます。  次に、いわゆる航行の問題、東京湾というのは非常に通過する船が多いわけです。今回、この工事によって、こちらの方はいわゆる人工島、それから木更津側に橋梁等々ができる。それによりまして、付近を航海する船舶が例えば構造物に衝突とか乗り上げとか、海難の発生、それから構造物が存在しますから死角が発生しますね、それからレーダーにもこれが影響してきます、いわゆる電波障害ですね、等々。東京湾というのは非常に船舶通航が多い。しかも船舶通航は、水深の関係でかなり川崎側に偏っていることは事実ですね。でありますから、総体的に問題があるだろう。  それと同時に、これも問題になっていますが、どうしても民間に金を出させるために人工島をつくろうじゃないか、そしてレジャーセンターにしたいなどといううわさもかなり一部あるわけですね、これはうわさの域でありますが。ですから私は、運輸大臣、これは建設大臣とも十分御相談をされていると思いますが、こういうような船舶航行上の問題点ですね、これには関係する団体みんなから反対が出ています、いろいろ、安全問題に。船舶協会なり海員組合なり、七つぐらいのいろいろな団体から問題が出ております。  それからいま一つは、台風なんかが起こったときのいわゆる避難のための停泊地の海の問題等々、道ができることの利便さと同時に今度は海上を運航している船舶安全性という点についてかなり問題があると思いますが、運輸大臣、この点はどういうふうに処理されるつもりですか。
  16. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) 私ども海上保安庁といたしましてこれまでに建設省の方から伺っております本横断道路建設構想について申し上げますと、何といいましても東京湾大変船舶交通ふくそうしているところでございますので、それに対する影響、あるいはその問題の解決策ということを考えることが重要でございます。現在、それにつきましては、日本道路公団の方で、船舶航行調査の一環といたしまして、いろいろ専門家を集めまして検討をしているところでございます。  ただいま御指摘もございましたように、特に台風が来襲するというような非常の事態の場合が重要でございまして、いわゆる東京湾内につきましては観音崎以北につきましては私どもレーダー がほとんど完全にカバーしておりますので、このレーダー写真を使いまして、台風が来たときの船舶避泊状況でありますとか、あるいは船舶運航状況等を解析しているところでございます。まだ解析は途中でございまして最終的な結論はないわけでございますけれども一つの試算を申し上げますと、たまたま昭和六十年、去年の台風六号の際に、三百六十六隻の船舶東京湾内で避泊をしていたわけでございますけれども、その中で、いわゆる横断道路建設をされようとしている地点の周辺に避泊していた船舶につきましては、二千メートルほどの海域内に避泊している船舶が十五隻ということで、全体の約四%というような結果が出ておりまして、多少愁眉を開いているところでございます。
  17. 安恒良一

    安恒良一君 僕は何も台風のときのことだけを聞いたわけじゃないんだからね。答弁は台風のときのことだけ答えられていますが、大臣どうですか、今の。
  18. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 今専門的に次長が答えたわけでございますが、御指摘のように大変東京湾は、最大の港でございまして、船舶ふくそうをいたしております。よって、安全を第一とする運輸省といたしますれば、この点の航行の安全を確実に確保する、こういうことが重要でございまして、保安庁長官あるいは担当官をして建設省と十分な調整検討をただいま行わしめておるところであります。  現段階におきましては、川崎側沈埋工法からシールド工法へ変えることにより、また、ブリッジでなくなったわけでございますから、そういうことによる航行安全の確保はそれでできたのかな、こんなふうに思っております。ただ、御指摘のように人工島の問題がございます。この人工島は、かねがね港湾局が、運輸省が考えておりました全国六カ所の海洋時代を迎えての人工島というものをベースにしてこの人工島をつくるということでは今回のものはございませんで、言うなれば安全という意味での必要最小限の中継基地としての人工島、こんなことでとり行われるのではないか、こんなふうに思っておりまして、本件につきましては、今後とも建設省と十分な連絡をとりつつ、工事由及び完成後の海上交通が完全に行われますよう万全を期してまいりたい、このように思っております。
  19. 安恒良一

    安恒良一君 もう時間がございません、最後の質問ですが、この開発利益の還元について、建設大臣運輸大臣、どうお考えになっているか。例えば鉄道なら、都市鉄道の新線建設を促進するための開発利益の還元等という、運輸委員会でいろいろ我々はきのうも議論したところですが、今回の場合もこの横断道路ができることにおける開発利益の問題というのがもう大変な話題になっておるわけですね。  例えば、今運輸大臣はそんな考えはないと言っておられますが、一部では人工島を大きくしてホテルやレジャーランドをつくったらどうかということを考えている人がおるとか、木更津側の方では既に土地の買い占めが大々的に行われているとか、こういうことで私は、これは民活でやられるということでありますけれども、今回道ができることによって、開発されることによって、利益を得る問題がたくさんあると思うんですね。これをやっぱりどういう形において還元させるのかという点について、建設大臣運輸大臣、お二人の方から、開発利益の還元についてどういうふうにしようとしているのか、お考えを聞かしてください。
  20. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 人工島につきましては、私ども計画は御承知のように幅が百メートル、長さが六百五十メートルでありますから、これはもうトラックターミナルをつくるとかレストランをちょっとしたのをつくるというくらいのことで、とてもとてもこれでわんさともうかるような代物ではありません。そこで、運輸省の言われる百八十ヘクタールの埋め立てということになりますればこれはまた新たな問題でありまして、またそれは、航行の安全、漁業の補償、その他いろんな環境影響調査等も新たに必要とするわけでありますから、それはまた私はその時点のことだと思うんです。  それから、御意見のような開発利益につきましては、土地の買い占めが一部行われておるということも聞いておりまして、これには慎重に対応したい。しかし、開発許可というのが要るわけでありまして、土地を買い占めたから勝手に自分のいいものをつくっていいというそういう時代ではございません。  したがいまして私どもは、これは地元の千葉県ともよく連絡をしながら、こうしたせっかくの公共的な行いによってべらぼうな利益を得ようなどという不届き者が出ないように、最大の努力をしなければならぬ。したがいまして、そういう買い占めた土地は土地信託に出すという方法も今検討しておるわけでありますから、余りそれほどないと思いますが、しかしながら、いやしくもこれらの事業が 事志と違って善良な国民の皆さんから疑惑の目で見られるようなことがいささかもないように、それは私どもは肝に銘じて事業を執行するということが基本的には一番大事であろう、こういうふうに認識をしておるところでございます。
  21. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 両サイドに開発利益が、開発されればこれは出てくるわけで、土地も高くなるでしょうし、いろいろと便利になることでありますから、そういう点で一つは税法上もうかればきちっといくようにしなければいけないし、本当はこれを民活でやるわけですから、ここの方々はこの民活に参加をいただきましてこの公共民活事業というものを有意義ならしめるという、そういうふうに政府として政策的に誘導することが大事がなと。  また人工島、これは先ほど申し上げましたように、今度のブリッジ構想は中継としての必要最小限度のものということのようでございます。ですから、運輸省港湾局としてやっております人工島構想は今まさに研究、検討段階でありまして、これがそのことに相なるということになりますれば、その時点でまさに開発利益は完全にこれはきちっと還元される方式を考えませんければ、何のための工事か、こういうことになります。まさにこれは検討課題でございます、こういうことだと思います。
  22. 安恒良一

    安恒良一君 それでは、もう時間がありませんから、私は、これは道路公団、いわゆる神奈川や各関係都道府県、それからいわゆる民間出資ということの三者において行われるものでありまして、そういう公的な仕事ですから、開発利益の還元ということにはいささかも、一部の利権屋が踊るということがあってはまかりならぬと思います。そういう点がないように厳重にやっていただきたいということを申し上げまして、終わります。
  23. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 私は、今同僚安恒委員から冒頭御質問がありました件について、基本的な部分について建設大臣から所感を伺いたいと思うんです。  まず、いろいろなところで中曽根総理民活ということの定義を伺っておるんですが、どうもそのときそのときで理解のしようが私も混乱しているんですわ。私のカテゴリーにおいてどうかということで答弁をいただきたいんですが、まず私が民活と言うときに、一つは、今ちょうどイギリスとフランスの海峡トンネルがございますね、あそこでやられているような方式、つまり民間がすべて金も調達する、それからトンネルを担保にして金も借りる、責任もリスクも負う、そういうような意味で民活、民営でやらせるというような手法が一つあると思うんです。それからもう一つの手法は、今一番問題になっている貿易摩擦問題で、規制が非常に強いということで、その規制緩和をすることによってある程度波及効果を広げるというような民活というのもあるわけですね。さて、今回の東京湾のやつを見ますと、これが民活のモデルであるとかなんとか言われているんですけれども、どうも今私が述べたような二つの考え方からいうとちょっと違うと思うんですね。  そこで、中曽根さんの言う民活というものは一 体私の三つに分けたどれが一番中心の民活ということになるのか、そういう意味でちょっと見解をお尋ねしたいんです。
  24. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) ドーバー海峡のトンネル化は英仏両国にまたがることでありまして、リスクも全部負う、そのかわりもうかったら全部自分たちのものだ、損したら自分たちが損するよ、こういうことでありますが、私どもの場合はこの狭い国土の中の道路でありますから、やはり道路の管理は最終的には道路公団が受け持ったがよかろう、こういう考え方に立っております。  それから第二番目は、規制の緩和ということはこれは民活の中に入ってくる話でありまして、これはもういろんなたくさんの規制があります。したがいまして、先般来経済閣僚会議において、これら規制の緩和をするということが一つ民活の導入につながるということで、規制の緩和方針というのを出したことは御承知のとおりだろうと思います。それから、東京湾の方式がこれが民活のモデルかと言われますと、一つのモデルである、こう御理解いただいたらいいのではないかと思います。といいますのは、今私が提案を愛知県と名古屋市にしておりまして、あそこの伊勢湾岸道路というのが延長五十キロ、約六千億かかります。その中の橋だけが千三百四十億かかりますが、道路公団がやった方がいいですか、それとも愛知県の道路公社がいいですか、それとも名古屋市が持っておる高速道路公社がいいですか、それにはそれぞれこういうメリット、デメリットがございます、どれかを選択してください、ただし原則的に言えますことは、効率の悪い道路ですから、いずれの場合も地元経済界並びに地方自治団体の御協力をいただいて資金コストをかなり下げないとこれは建設ができません、こうやっておりますわけで、多分五月の一日ぐらいにその御返事が来ると思いますが、これもやっぱり一つ民活の方式であります。それから、先生御存じだろうと思いますが、そこの赤坂、六本木の再開発を十七年前からやっておりまして、建設省が四億七千万ほどあれには金を出しておりますが、しかしあれほど見事な、これはもう上物だけで七百億を超す投資が行われたわけですが、これも私は一つ民活やり方である。  ですから、民活に参加される方、民活にかけようという人、それぞれの形々がありますわけで、それは、これが民活でこれ以外はだめ、あれもだめ、これもだめという、そういう枠の中での民活ではない。今回の東京湾道路一つの有力な方法である、しかも公共性を持ったものだからこういう方法をとりました、こういうふうに御理解いただくとありがたいと思います。
  25. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 時間がありませんからこのことばっかりやるわけにいかないんですが、私は中曽根さんの言う行革論というのは、つまり国が余りお金をかけると大変だから、みんなでそれぞれ分け与えるとか、民間の力をかりて何とか景気を盛り上げようとか、そういうところの発想なんだと思うんですよ。もっと別な表現で言うのであれば、国は余りお金を出さぬ、面倒を見ぬ、それでみんなでやってくれないか、頼むわと、拝み倒すように頼むわというのがその発想の根源じゃないかと私は思うんです。  だから、そういうような考え方からいうと、今度の東京湾のはモデルという言葉は適当でないと私も思うんです。参考か何か。今大臣がおっしゃるみたいに、その場その場でケースがある、それはそれで理解しますよ。しかし、根本的な問題は、国が面倒を一々見ておったんでは、何も民活とがって大それたことを言う必要はないんですよ。  だから、分かれ道は何かというと、独自に協力してもらう、国は余り面倒を見れないんだよ、頼むというのか。相変わらず面倒は見ます、何でも見ますというような手法でいくのか。ここがポイントなんですよ。どうですか。
  26. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 国際貿易摩擦を生んで、片っ方では五百兆を超す民間の蓄えがある。ことしは円高で下手をすると六百五十億ドルぐらいの黒字になるのではないかという説もあります。そしてだんだん外国からは責められる。しかも国内では、内需拡大と言われますけれども、もう日本の財政は糖尿病四期みたいなもので、これで牛肉を食わせろ、酒を飲ませると言ったってなかなかそうはいかぬ。そうなると、財政が内需拡大、あるいはまた景気回復に出動するゆとりというものはなくなってきた。一方にはそういうものがある。  しかし、今度は一方考えてみると、例えば東京なら東京に今金融、証券の従事者が十七万人いる、ロンドンは五十万、ニューヨークは七十五万おる。国際化の中で、東京が今国際的なそういう経済、金融の中心地として一つの要求がどんどん東京に集まって、ビル需要というものが坪一億二千万円なんという土地の値段を生むようになってきた。そうして、おおよそサンシャインビル程度のものを二百五十棟建てなければそうした需要に追いつかぬということがある。それなら国がやれるのかといったって、それはなかなかやれない。  ですから、国がやれるのは、例えば都市の再開発事業について、いわゆる街路事業をやります、道路をつくります、あるいは公共的な下水道の整備はしてやりますよ。しかし、中のそういういわゆる内需拡大あるいは海外からのそういうビル需要というものに対しては、資金はあるわけですから、民間の皆さんが役割を請け負ってひとつ頑張ってその責めを果たすようにしていってほしい、そういう考え方である、こういうふうに御理解いただいたらいいと思います。
  27. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 御理解いただくわけにはいかないんです。なぜかというと、ここに今大蔵委員長の山本さんもおいでですけれども、私は大蔵委員の方ですが、大蔵委員会においては、特別措置法というものが非常に企業優遇になっておってこれはちょっと不公平じゃないか、だから毎年毎年大蔵省に対して特別措置法の整理、簡素化、つまり統合とかそういうものの附帯決議をつけているんですよ。  ところが、今回この東京湾をめぐって調べてみると、六十一年度の税制改正において五つぐらい今度は多くなっちゃって七十七件になっているんです。片っ方では整理、統合しなきゃならぬということを決めておきながら、片っ方では緩めちゃっているわけですよ。いいですか、緩めちゃっている。中曽根さんの言っていることはちぐはぐじゃないかということなんです。だから、国にお金がない、ほかの人が持っている、お願いたって言うなら、その筋を追えばいいんですよ。片っ方で免税債だと言っておきながら片っ方では割引債だとかというような議論があるけれども、それは後ほど聞きますけれども、特別措置法というところから見ると、今回のやり方というのは逆行しているんじゃないか、私はそう思うんです。  それとも、行革というものが小さな政府という中曽根さんの論理は、内需拡大であるとか景気刺激にならないから私の政策はここで方向転換をします、そこである程度は補助もします、ある程度は民間も借ります、こういう論旨であるなら私はそれなりにわかるんですよ。ところが、全然そうでない論理を展開しておきながら具体的政策でこういうことをやるということは、まさに私は全く不一致の状況じゃないかということを指摘せざるを得ないんですけれども、どうでしょう。
  28. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) この事業というのは、昭和四十一年の四月から建設省が調査に入りまして、そしてこれを建設しようという結論が出たのが五十年であります。五十一年に道路公団に引き継ぎまして、それからもろもろの調査をやりまして、そして昨年の九月に中間報告をさせていただきました。そういうことであって、これは首都圏のいわゆる物流交通網の整備ということを考えたならば、この路線は早急に完成させなければならないという必然性を持っております。  しかしながら、さっき申し上げましたように、なかなか財政出動のできるような状況にもない。それから、道路公団そのものも、二十年前に七千六百キロを背負い込んで、まだ三千七百二十一キ ロ供用開始しただけでありまして、今世紀末を目指して懸命の努力をして全線開通に持っていこう、こういうさなかでありますから、どうしても一兆一千五百億という巨大なプロジェクトを今すぐ背負うだけのものはない、短期間にやっつけるという。しかし東京渋滞というのは、申し上げましたように朝から晩まで道路がもう渋滞しておる、こういうことですから、ここに民間の金も知恵も力も入れてひとつ一気にこの事業をやり遂げよう、二十年間の懸案をここで片づけようということであります。
  29. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 納得ができないんですが、後から、一番最後に私の意見を述べたいと思うんです。  そこでもう一つ聞きたいんですが、お金をたくさん使う、一兆一千五百億ですか、相当大規模のプロジェクトですね。巷間、新聞でも伝えられているように、こういう大プロジェクトというものは、工期をなるべく縮めるということが一番効率的だと言われているわけです。今回、これは十年ですね。十年であるわけなんですが、これから国も検査は入る、監査は入る、いろんな指導のものが入っていくんでしょうけれども、十年なら十年と決めたら、そこでもう十年でやってもらうというような考え方に立つのか。工期が締まれば縮まるほど経費が大変効率的に浮くわけだから、私はそういう短期間にやるように指導したらいい、仮にやるという場合ですよ、そういうふうにしたらいいと思うんですが、その辺はどういうことになりますか。
  30. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生御指摘のとおり、この東京湾横断道路、現在約十年の工期を見込んでおります。そのうち二年ほどは漁業補償あるいは航行安全のいろいろな御協議その他で、あるいはアセスメントでございますね、そこら辺で費やしてしまうのではなかろうかということを考えまして、実際の工期は、工事が始まりましてから八年間というものを予定いたしております。これにつきましては、まず人工島をつくり、その人工島にシールドの発進基地をつくってやっていくという、現在の我が国の技術からいきますと八年ぐらいかかるだろうというふうに考えております。  しかし、先生おっしゃいますように、これは工期の短縮をすることによりまして資金面の、特に利子が非常に得になります。したがいまして、工期の短縮については十分これは考えられることでございまして、その意味で、国の財政事情に左右されることなく、また民間の技術力を積極的に活用するこの方式を採用したものでございまして、当然工期の短縮については実施の段階で十分考えられることでございます。
  31. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 ここに、これ日経の四月十三日の記事を読んでおって私大変興味を引いたんですが、こんなことが書いてあるんです。  「エンジニアリング会社は日本の自治体が公共事業方式で発注しているゴミ焼却工場を海外では三分の一の価格で建設している」、そして東洋エンジニアリング地域開発促進室長さんが、「東京湾横断道も民間のエンジニアリングの発想を生かせば半値でつくる工夫が出てくる」、こういうふうに述べておりますね。そして、大型プロジェクトの経済性を高めるための最大のポイントは工期の短縮による金利負担の軽減に努めた方がいいというようなことを述べているわけです。  素人的に言うと、どうしてもそれをつくらにゃならぬならこういう会社を頼んで早くどどっとつくったらいいじゃないか、金は安くつくんじゃないかというような素人的な感じがするんですが、将来こういう会社を日本は使うというような発想はあるんですか、いかがですか。
  32. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) この新聞の趣旨は私ども、よく確認をいたしておりません。しかし常識的に見て、我が国の中で半分で物ができるというようなことはまず考えられないと思います。それから、これはやっぱり施工の条件、例えば船舶航行を全然無視して急いでやるということもこれもできませんし、漁民の方の御迷惑もできるだけ排除しながら、よろしい形で工事を進めていくようなという、いろんな要因がございますので、その要因の許す範囲の中でできるだけ工期を短縮いたしたいというふうに考えております。  また、今先生がおっしゃいました、こういうエンジニアリング会社に一括して任せてみたらどうだ、そういうことは考えられないかということでございますが、理論的にはそういうこともあり得ると存じます。しかし現実には、これだけ大きなプロジェクトをつくる場合には、いろいろなノーハウを組み合わせて、そのおのおのの最高のノーハウを組み立てていかなければなりませんので、一つ民間会社のコンサルタントがそれを全部オーガナイズできるというような状況にはないのではないかというふうに私は考えておる次第でございます。
  33. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 ここで国土庁にお伺いしたいんですが、先ほど安恒先生のやりとりを聞いておりまして、局長から東京道路、神奈川県の道路、いろんなことを聞かせていただきました。それで、湾岸の橋ができても各県の道路がそれに付随しない限りは何の意味合いもないわけですね、特に千葉県側の方が要望しているわけです。新聞などを見ると、千葉県側の方では大分土地の買い占めが行われているとか、会社の名前ももう出て、もう土地の高騰を招いているというようなことが報道されているんです。  国土庁としてはその実態をどういうふうに見ているのか、お答えをいただきたいと思います。
  34. 山崎皓一

    説明員(山崎皓一君) お答えいたします。  国土庁では毎年一月一日現在で地価公示というものをやっておりますが、昨年一年間におきますこの周辺の地価の上昇率というものは非常に低うございまして、対前年比で〇・八%というものになっております。ただ、将来の問題といたしまして、これから起こる心配はないのかということでございますが、そういった問題につきましては、千葉県とも連絡をとりつつ、国土法の的確な運用等に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 これは国土庁に聞くべきか大臣に聞くべきかなんですけれども、この土地の高騰とか何かですね、これは適切な指導をしないと大変なことになると思うんです。そのときに県に全部その対策はもう任せるのか、国も何かその対策の指導を一緒にするのか。これは国土庁だと思うんですが、どういうことになっていますか。
  36. 山崎皓一

    説明員(山崎皓一君) 制度的問題といたしましては、国土利用計画法という法律がございまして、これは大規模な土地取引をいたします際にあらかじめ都道府県知事に届け出ることになっております。それでその際、届け出を受けました知事が、その利用目的が適切でないとか、あるいは価格が著しく不適当であるとか、そういったような際には、勧告であるとか指導とかいうものを行いましてそこを是正していくというような手段があるわけでございます。この地域につきましても、今後そういった制度の運用というものを、千葉県ともよく連絡をとり、必要に応じ千葉県を指導して行っていきたいと考えておるところでございます。
  37. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 とにかく結論的に言えることは、相当地価が高くなりつつある、なっている、そういう現状にあると見て間違いないと思うんです。確実にどこが幾らかなんということは別にして、総体的に土地が高騰しているということは言えると思うんです。  そこで、先ほどの大臣の言葉じりで大変恐縮なんですが、私は基本的に反対でございますけれども、御意見を聞いておって、民活で橋をかけて、また周辺の開発でみんなの景気がこれ潤うようなことをしなきゃいかぬわけでしょう。そのときに、買い占めなどで不届き者があったらとっちめなきゃならぬという話だとか、それから不届き者が出ちゃいかぬというお話がございましたけれども、私は、この不届き者というものが出ないようにするということと、出たときにどうするかということ、対策は二つあると思うんです。それで、仮にそういうことで景気を盛り上げるというので あれば、みんな、もうからなきゃやらないんですよね。もうけさせようというのがこれ発想なんじゃないですか、発想は。大きくもうけるか小さくもうけるか、人によって違うでしょうけれども。だから私は、それでもうかるならもうかって、割り切って、しようがないじゃないかと思うんです。そのかわり、もうかった部分には税の対象としてきちっとやったらいいと思うんです。例えば、土地が高騰して非常に問題だというのであれば、土地の増価税というようなものを私はつくったらいいと思うんです。  そういうことに対して、大臣には後から聞きますが、大蔵省は私のこういうような考え方についてどういうふうにお考えになっていますか、土地増価税について。
  38. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 土地増価税のように土地の含み益に課税するというお考えがあるわけでございますが、そういう考え方に対しましては、それを仮に所得課税として考えてみますと、まだ実現していない利益に課税をするということになりまして、これは余り適当なものとは言えないのではないかと思います。  他方、保有税、土地を保有していることについての税というように考えてみますと、現在固定資産税等がございまして、その評価の適正化ということがいろいろと問題となっております。そのことの方が先に立つ問題ではないかというような指導が行われております。  いずれにしてもいろいろと慎重に考えなくてはならない事柄ではないかなというように存じます。
  39. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 技術的なことは今大蔵省が答弁したとおりだと私は思うんです、現行の法体系の中でですね。しかし、特に不当に買い占めたとか不当に利益をもたらしたというような者に対する対策のためにも、私は大臣、こういうものはあらゆる角度から検討をしておくことが必要だと思うんですが、いかがでございますか。
  40. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 先ほど私が不届き者と言いましたのは、こういう国家目的の公共的な事業というのは、日本でこれほどのプロジェクトは初めてやることですから、こんなものに潜り込んで不当に利益を上げようなどというそういう考え方を持つ者は私は参加してもらいたくないんです、たとえいかなる財界人といえども。そういう大体不純な考え方では。株式会社ですから、それは適切な利益は上げなきゃなりません。上げなきゃなりませんが、これに参加することによってぼろもうけでもたくらむというんだったら私はそれは許しがたい。私はこのことはもう毎回はっきり言っておることであります。  それからもう一つは、私はそういう土地を買い占めたのもよく調べてみたんです。そうしたらそれは、四十五、六年ぐらいに、まだこれが実現しないうちから、日本一億が不動産屋になったころにやっぱり買い込んだんでしょう、将来のことを思って買ったと言っておりましたが。これは金利程度でよこせと言ったらよこすと言っていますから、かえって変な不動産屋が虫食い状態に値上がりを見越して買い込んだよりか、扱い方によっては私はいい場合もある。この発言は誤解を招くといけませんけれども、相手がそういう常識的なのなら、私はやり方によっては必ずしも土地の不当な値上がりを招くものではなかろう、そういうふうに実は考えております。  いずれにしましても、私が考えておりますのは、例えば大鳴門橋をやりますときのあれと今度を比べると、事業量は約四倍から五倍近く違います、大鳴門橋と今度のは。大鳴門橋のときですら元請が約百六十六に下請が五百社、その中で元請の中に中小企業は五十六社入っているわけです。百六十六万の人がそれに参加をして働いたわけでありますから、それはやっぱり及ぼす経済的な効果というのははかり知れないものがある。ましてや今度のはその何倍もあるわけです。しかも橋梁の部分もあります、トンネルの部分もあります、あるいはまた人工島の部分もあります、取りつけ道路の部分もあります、関連の先ほど来御意見のありましたアクセス道路の問題もあります。広がりというのはもっと大きいんですから、大きな意味において、この事業に参加することが企業の間接的な利益につながり、それが景気を刺激してそして内需の拡大の役に立つ、こういう認識で私はこの事業に財界というものは取り組んでほしい、こういう気持ちを実は持っているわけであります。
  41. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 もう一つ大蔵省に聞いておきたいんですが、これは私もちょっと理解できないからなんですが、当時総理は免税債を発行したらいいということを大分新聞でも見させていただきました。それが大蔵省の抵抗が非常に強くて、最終的には割引債ということになった。免税債と割引債というのはどういうふうに違うんですか。  それは言葉が違うんですから中身も違うんでしょうけれども、どう違うのかということは、恩恵とか恩典とかという意味からすればどういうふうに違うのか、大蔵省答えてください。
  42. 尾崎護

    政府委員(尾崎護君) 免税債ということで問題になりましたのは、いわば非常に簡単に申しますと、法人に新しいマル優を認めるというような考え方でございまして、割引債の方はこれはそういう全く新しいものではございませんで、現在割引債が先生御承知のとおりございます。この割引債につきまして、源泉分離課税をいたしましたときには、現在一六%の税率で源泉分離課税が認められている、既にそういうものがあるわけでございます。したがいまして、免税債のように全く新しいものではなくて、東京湾横断道路建設事業者が発行する社債に、従来ございますような割引国債でありますとか割引金融債でありますとか、そういう割引債の償還差益に対する取り扱いと同じものを認めよう、従来あるものに横並びで同じようなものを認めましょう、こういうことにしたわけでございます。
  43. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 時間が間もないものですから、これは大蔵省に尋ねた方がいいか建設省がわかりませんけれども、現在のこの資金構成というもののコストは六%ぐらいに金利を見ていますね。現在、金利がこんな状態になっているわけです。これは将来にどういう関係をもたらすのかということは、私は非常に大きい問題だと思うんですね。将来に対するそういう資金のコストの見通しの問題ということを、どちらでもいいですから答えていただきたいんです。
  44. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 現在私どもが考えております資金構成は、昨年の暮れのいわゆる利子率といいますか、金利状況のもとで仮定試算をいたしました資金表でございます。したがいまして、先生御指摘のように金利というのは現在もかなり動いておりますが、将来十年先まで見越しますと、非常に大きな変動があるわけでございます。その変動に際してどのような対応をとるかということにつきましては、日本道路公団とそれから今度できます株式会社との協定の中にそれを盛り込むことになります。  それで、一応私どもが考えておりますのは、資金コストは六%を維持する。それで例えば現在よりも物すごい高金利時代がもし到来いたしましたとすれば、その資金コスト六%を支えるためには何らかの施策が必要になるわけです。一方で、もしそれがどんどん金利が安くなれば、その施策というものは緩めでもよろしい、こういうことに相なるわけでございまして、資金コスト六%で実施をいたしたい、こういうふうに考えているものでございます。
  45. 鈴木和美

    ○鈴木和美君 最後ですが、今私は時間がございませんので、税というか、大蔵というか、そういう委員会の立場でいろんなことを質問してきたんですが、大前提として、先ほど申し上げましたように、民活導入というものの基本的な部分がまだ私にはすとんと納得がいかないという問題が一つあります。それから、仮に橋をかけようというときに、民活ということよりは、そのパート、パートでいろんな方法があることですから、これは大臣が言われるとおり、そのところそのところに当てはめてやらなきゃならぬことだと思うんです。  それからもう一つは、やはり先ほど申し上げましたように、全体的に企業優遇税制というものが特別措置法で問題にされているときなんですから、ましてや、今度は法人税の軽減をやろうというようなことが今ささやかれているとき、そういうことになると、法人税の軽減ということは必ず特別措置法を根本的に見直さなきゃならぬというようなことに私は連動すると思うんです。そういうことを考えてきたときに、この東京湾だからということで特に一種の恩恵を与えるということに対しては余り賛成ではありません。したがって大蔵省に対しては特別措置の方を聞きたいと思ったんですが、もう時間がございませんので、つまり私は自分の反対であるという見解だけを述べて、質問を終わりたいと思います。
  46. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 内需拡大に関する対策の一環として、また公共事業分野への民間活力の導入等いわゆる大規模プロジェクトとしての今回のものでございますが、まず最初に東京湾横断道路建設に関する全体構想ですね、重複するかもわかりませんけれども事業の概要、同じく効果、計画について、簡単で結構ですのでまず御説明いただきたいと思います。
  47. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 東京湾横断道路は、一般国道四百九号、これは起点が川崎市、終点が成田市の一般国道でございますが、この四百九号のうち、神奈川県川崎市と千葉県木更津市の間を東京湾で横断をいたします延長約十五キロメートル、総事業費一兆一千五百億円の道路計画でございます。道路の規格としましては第一種二級、設計速度が八十キロメーター・パー・アワー、それから幅員は三・五メーターが四車線というふうになっておりますが、将来交通量がふえました暁には六車線にする構想も抱いておりますが、とりあえず四車線ということを考えております。工期は約十年を予定しておりまして、料金は昭和五十七年度価格で乗用車で三千円というふうに考えておりますが、これが例えば三%ずつ物価の上昇があるというふうに仮定をいたしますと、十年後の供用時には四千九百円になるであろうというふうに予測をいたしております。なお、交通量は供用当初一日三万台、二十年後には六万台になるだろうというふうに予測をいたしておりまして、この範囲で十分採算のとれる有料道路になるだろうというふうに考えておるものでございます。  一方、この東京湾横断道路の効果でございますが、これは東京湾岸道路東京外郭環状道路首都圏中央連絡道路あるいは東関東自動車道等と一体となりまして首都圏におきます広域幹線道路網を形成いたします極めて重要な道路でございます。その建設によりまして首都圏の諸機能が再編成され、産業活力の向上等が図られるものというふうに考えております。そして関係諸地域に大きな経済効果をもたらすものというふうに見込まれておりますので、早急な整備が必要であるというふうに私ども考えておったところのものでございます。
  48. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今の説明の中で、利用交通量が供用当初一日三万台、こういうふうに御説明があったわけでございますけれども、トンネルを抱えておりますので、どういう方法で概算をされたのか。そして、物流の移動というものが重点になろうかと思いますけれども、簡単で結構ですけれども、どういう車種のものが分類できるのか、そういう点はいかがでございますか。
  49. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 東京湾横断道路の利用交通量の予測方法でございますけれども昭和五十五年のODの調査結果によります現在の地域間相互の自動車交通量の流動状況をもとにいたしまして、関連地域の人口等の将来予測をそれに加えました。そして乗用車、小型貨物車、普通貨物車の車種別の将来の地域間相互の自動車交通量を推計いたしました。そして、それぞれの地域間の交通につきまして、横断道路を利用した場合とほかのルートを利用した場合の所要時間、利用料金等を比較いたしまして、結果といたしまして横断道路を利用すると考えられる交通量を算定したものでございます。現段階での最近の資料に基づく推計結果によりますと、横断道路の利用交通量は供用当初一日約三万台と見込んでおりまして、その中で大型車の混入率は二五%というふうに推計をいたしております。
  50. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これに関連する質問は後でいたします。  次に、特別公共事業債の発行の件でございますけれども、割引債形式等のこういう形のものを私たちは資料としていただいております。この事業費一兆一千五百億、この中で出資金、借入金、こういうふうに大別をされておりますが、まず大蔵省に、この借入金の経過、ここまでたどってきた経過がいろいろあろうかと思いますけれども、わかる範囲で御説明をしていただきたいと思います。
  51. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 東京湾横断道路は、先ほど御説明がありましたように、十年間で一兆一千五百億円という非常に大規模な公共施設の建設民間会社に行わせようというものでございます。従来にないような規模のものでございます。そういったことから。資金調達の手段につきましてもできるだけこれを多様化して安定的に確保するということが必要であろうということでございまして、そういった観点から、この資金手段を多様化することの一環といたしまして、今御指摘がございましたような割引債でございますとか、政保債でございますとか、そういったものを民間借り入れに加えましてこの株式会社に特に認めるということにいたしたわけでございます。  これは、東京湾横断道路自体の事業規模とか、民間会社を活用するという建設主体の問題、あるいは事業の採算性、そういったものをいろいろな点から総合的に予算編成段階で勘案いたしまして、そういった今申し上げたようなことに相なったわけでございます。
  52. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ここで建設大臣に伺いたいわけでございますが、政府引受債、政府保証債、道路開発資金民間からの借入金及び開銀融資のそれぞれのパーセンテージは時間の都合で申し上げませんけれども、ただ一つ伺いたいことは、明石大橋、それに関しての借入金の問題というものはこれに順応していくのか。これをまだ私つぶさに掌握していないんですけれども、明石の場合です、東京と同じような形の資金状況の中でやっていくのか、それとも別個なのか、そういう点だけを簡単に伺いたい。
  53. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 明石海峡大橋の事業化に当たりましてはいろいろなことが論議されましたけれども、先生御承知のとおり、既に大鳴門橋が開通をいたしております。したがいまして、明石海峡大橋は大鳴門橋と一体となった供用であるということが第一点にございます。それから第二点といたしましては、非常に大スパンの、世界一長い橋でございますけれども、既に技術的ノーハウが大鳴門橋の建設その他を通じまして本州四国連絡橋公団にはございます。したがいまして、そのノーハウを活用する必要があることその他の理由によりまして、本州四国連絡橋公団においてこれは実施するということになったわけでございます。  したがいまして、東京湾横断道路の方策とは資金的には違わざるを得ない。やはり公団で行いますために公団資金構成にこれをなぞらえる必要があるということで、別の方式をとらせていただきました。  具体的には、全体で約一兆円ほど必要でございますが、そのうち九百四十億円が出資金。その出資金のうち三分の二が政府で、三分の一が地方公共団体、これは従来の本四万式と同じでございます。そのほかの借入金が九千六十億円。九千六十億円のうち縁故債が四千五百三十億円でございますが、この縁故債四千五百三十億円のうち低利の縁故債、それを一千百三十億円ほど予定いたしまして、この低利の縁故債によりまして資金コストを薄めて全体としての資金コストは六%に保つ、こういうふうに考えたものでございまして、少しく東京湾横断道路の方式とは違っております。
  54. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 次に、東京湾横断道路計画と港 湾計画との関係について伺います。  東京湾横断道路事業は今年から着工ということでございますが、具体的なルート、工事方法、実施計画、でき上がっているようにも思うわけでございますが、川崎木更津において結ばれる関連の道路、具体的にどこを通っていくのか。こういう点になるとまだ明確になっていないのではないかとも思うわけでございますけれども、こういうふうな計画の内容、具体的にはどういうふうになっているのか伺います。
  55. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 東京湾横断道路、先ほど申し上げたように、一般国道四百九号の海上部として位置づけられておりまして、川崎市と木更津市を結ぶ延長約十五キロでございますが、川崎側川崎川崎区浮島町地先、そこで海に潜ります、トンネルに潜ります。そして木更津市大字中島におきまして房総半島に上陸をするという計画でございます。そして、その中間におきまして、約五キロのところに川崎側人工島、これは真ん丸い人工島でございまして、ただ煙突が出るだけでございます。そしてさらに五キロ行ったところ、木更津側から五キロのところに百メーター掛ける六百五十メーターの細長い人工島をつくります。ここでトンネルから橋に移行をいたしますという計画でございます。  この細かい路線については既に予定をいたしておりまして、現地では、ここから潜る、あるいはここに出てくるということがもう明示できるような形態になってございます。
  56. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 これらの道路川崎木更津両港の港湾区域内を通ることとしているように思うわけでございますけれども、それぞれの港湾計画との調整、この必要はどうなのか。また、調査について建設省道路公団と行われてきているようですけれども運輸省、それぞれの港湾管理者とのどういう連携の話し合いというものができているのか、この点はいかがでございますか。
  57. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) この東京湾横断道路、具体的にはほとんどが、特に十キロ側はトンネルでございますから、土の上には全然出てこないわけです。ただ入るところ、浮島地区とそれから川崎人工島でございます、それらは、川崎港の港湾区域が設定をされているところが特に浮島のあたりにございますので、これにつきましては、港湾管理者を含めましてルートあるいは細かい構造というものについて調整を既に図ってきております。この調整は運輸省、海上保安庁、建設省日本道路公団によります連絡調整会議昭和五十九年度より設けまして、鋭意調整を図っております。今後また工事の実際の実施ということになってまいりますと、さらに綿密な調整を図っていきたい、こう考えておる次第でございます。
  58. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 では、今お話がございましたように、それぞれの人工島、橋梁、港湾区域内の場合の埋立免許、海上工作物設置、こういう法的な関係と、港湾区域外にかかわる部分ももしあれば、その部分についてはまだ法的な手続というものが、やはりどこが申請をしていくのかという問題が手続上残ってくると思うんですけれども、そういう関係はどうなっておりますか。
  59. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 今回の東京湾横断道路につきましては、港湾区域は先ほど申し上げましたように川崎市側の浮島地区でございます。川崎側人工島は既に港湾区域からは外されております。しかし先生御指摘のように、このようなところに埋め立てをやるということでございますので、当然のことながら公有水面埋立法に基づきます免許申請、あるいは海上交通安全法に基づきます所要の手続、あるいは工作物の設置の手続、その他の諸手続が必要でございますが、これらは日本道路公団におきまして所定の手続をとり、十分御了解の上で着手するということになります。
  60. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 先ほどからの質疑を伺っておりますと、工期のうち二年間が漁業補償、そういうふうなもろもろのというお話がございましたが、これらについては、今までいろんなことを見ておりますと、完成昭和七十年、技術も非常にうまくいっているように思いますけれども、今お話がございましたように予定どおりにきちっといくのかどうか、こういうことをやはり私もちょっとさっきの質疑を伺いながら非常に懸念しているのですけれども、そういう点はどうでございますか。
  61. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) この工期の設定に当たりましては、先ほど申し上げましたように一応二年間いろいろな準備期間、この準備期間の中には、五十九年の八月の閣議決定に基づきます正式の環境影響評価の手続、これは大体私ども現在では九カ月ぐらいはかかるのではないかというふうに予想をいたしておりますが、その手続。それから、それに並行いたしまして、漁業関係者あるいは海事関係者との調整。そこらを踏まえまして最後は漁業、補償という段階に入るわけでございますが、それが全部で大体二年ぐらいは必要ではないかというふうに考えております。  先生、工期十年でおさまるのかあるいはもっと早くなるのかという御指摘でございますが、むしろ工程を左右するのはその補償関係に起因すると存じます。これが予定どおりうまくいきますれば、十年間で完成は十分可能でございますし、さらにそれを縮めることも可能でございますけれども、これが例えばさらに余計の年を要するということになりますと、それはどうしても工期を延伸せざるを得ないということでございますので、今後私ども地方公共団体も含めまして地元の皆様と鋭意協議を重ねてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  62. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸省のトンネル、そして四国の建設工事、架橋をずっと視察しておりますけれども運輸省の技術陣は今回は出向されているんですか。
  63. 藤野愼吾

    政府委員藤野愼吾君) 東京湾横断道路プロジェクトにどういう絡みを持つかというお尋ねかと思いますが、今、お尋ねのような議論まではまだやっておりません。
  64. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 運輸大臣に伺いたいのでございますが、今は建設省を中心とする道路サイドからの東京湾の構想というものが建設を絡めていろいろと質疑が交わされておりますけれども運輸省として、港湾という形が、いわゆるハードなものでなしにソフトな面からでも、東京湾の全体を利用していくのかどうかという計画も、また建設省との調整も、各関連の省庁がもしあればそういう調整の中で、二十一世紀を見据えた運輸省としての、昔風の港湾という形のものではなしにやはり新しい感覚のそういう計画検討というものがなされていかなければならない、私そう思うんですけれども運輸大臣の所見というものがもしあれば伺いたいと思います。
  65. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 御指摘のように、二十一世紀に向けての港湾のあり方、こういうことになりますと、多様でなければなりませんし、ただいまソフトということでありますが、その辺をハードとどう組み合わせるかというのがこれからの港湾機能であろうというふうに思います。今回の横断道路も画期的なものでございますが、木更津側人工島は百、五百という、こういう形で当初航行の安全を期するという意味でやられておるわけですね。これはこれとして海上安全航行という観点からきちっといかれると思います。  かねがね、先生も御案内のとおり、運輸省人工島構想というものを、海洋時代を迎えて全国六カ所程度研究、検討を重ねてきておるところでございまして、このことも今後研究、検討を、これとはまた別な観点で、将来どういう形になるかは別として取り進めなければならぬのかな、このように実は思っておるところであり、本件に直接関連する部分につきましては、この構想が千葉県側、神奈川県側の港湾機能にどのように影響し、結びついていくであろうか。せっかくのこれだけの大プロジェクトでありますから、これにいい形で機能しなければならぬだろう。そういう意味で、東京湾港湾計画基本構想の見直しを行い、これをガイドラインとして、両県の、また東京都等の各港の港湾管理者が、横断道路影響を考慮しまして的確な港湾計画を作成できますように指導してまいりたい、このように思っております。
  66. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 私は、この際、運輸省計画をしている海上都市構想をやはり思い切ってやるべきである、こういうふうに考えているものでございます。そうして、国際交流とか、国際見本市の会場であるとか、国際海洋情報センター、国際海洋大学、人工海浜とか、多種多彩な運輸省としての思い切ったそういう面をやっていただきたい、こういうことをまず要望しておきたいと思います。  次に、先ほど、通過する三万台のうち二五%が大型である、まあトラックであると私解釈をしてみたいと思うんですが、やはりNOxの排出装置が技術的にも改良余地ありと言われているディーゼルトラック、こういうものを含めて排気筒の技術的な問題がいろいろあろうかと思うんですけれども、この東京湾横断道路の特にトンネル内での道路交通の安全確保について具体的に質問してみたいと思います。  まず最初に、建設省道路関係で、道路法の第三十条に「道路の構造の基準」というものがあるわけでございます。一日三万台通過する、またこういう幾種類も分かれた車種が通っていく、それはすべてが完璧の車種でないわけです。我々が道路をいろいろ見ておりましても、もう既に排ガスで非常に大変なことになっている。そういう中でまず、災害がもし起きた場合にどうなるのかという問題を想定することが必要だと思うんです。そのときに、このトンネルは等級区分はどうするのかという問題ですね。これをまず一つ伺いたいんです。
  67. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 先生御指摘の等級区分でございますけれども、これは従来A、B、C、Dという四段階に区分をされておりました。ところが、御承知の日本坂トンネルで、そのAのクラスの設備を上回る防災設備を備えておりました日本坂トンネルで、御承知の大事故が起こりましたわけでございます。この事故にかんがみまして私どもではAAクラス、Aのさらに上のクラスのAAクラスという等級を定めまして、これによりまして長大トンネルについては安全施設の整備を進めているところでございます。  先般、昨年の十月初めに開通をいたしました関越トンネル、これが延長が約十・九キロメーターでございますので、今回の東京湾横断道路もトンネルの長さはほぼこれに匹敵するものになります。したがいまして、この関越トンネルで備えました防災施設、これについてそのままそれを踏襲することはもちろん、さらに技術開発を加えまして、この開適時には現在の関越トンネルを上回る防災設備を整えることを考えておる次第でございます。
  68. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 ぜひAAの種類にしていただきまして、通報警報設備、消火設備、避難誘導その他の設備の、まず施設の面では万全の条件をきちっとしていただきたいと思います。  そこで次の質問でございますけれども、設備はそういうふうに完璧に万全のことができるわけでございますけれども、いろいろと質疑も衆議院でもあったろうかと思いますけれども、どの分野におきましてもこのトンネル工事というもの、そして架橋というものにかかる場合に一番問題になる数点の一つは、地震対策時における交通機関の対応でございます。  現在、国では、東海地震が近い時期に、マグニチュード八程度の大規模地震を想定する中での対応が国でしかれております。しかし、先般科学技術庁への私の質疑では、マグニチュード八以上の大地震が起きた場合には対応できないという悲観的な要素もございました。私は、今この東京湾の架橋問題だけに絞ってみたいと思うんですが、そういう大規模地震が東海だけでなしに関東大震災のような発生をした場合にまた危惧をされる、それに近いものが出てくる、そういう場合に津波の問題は、三陸の場合だったら二十五メーター近くの津波が来ているわけですから、これは東京湾はそういうようなことはないと思いますけれども、もう手の施しようもないのが現実でございます。  しかし、地震時における場合の交通規制、これは警察庁にはぜひ、もしこういう大規模地震が想定された場合には交通規制の対応はどうなるのか。これは警察庁にまず伺いたいし、そして建設省にも、こういう津波等が来た場合、そういう場合に交通機関の災害時対策としてはどうしていくのか。こういう点を二省庁から伺いたいと思います。
  69. 増田生成

    説明員(増田生成君) お答えいたします。  地震が発生した場合の警察の対応につきましては、国家公安委員会、警察庁、防災業務計画等によりまして必要な措置を講ずることといたしております。  具体的には、まずふだんからドライバーに対しまして交通の方法に関する教則におきまして、地震が発生いたしました場合につきまして次のような点の徹底を図っております。一つは、急ハンドル、急ブレーキを避けるなどして、できるだけ安全な方法で道路の左側にまずとまりなさい。それから、ラジオ等で地震等に関する情報をできるだけ聞いて、その情報に基づいた適切な行動をとるように。  そういったふうな措置を指導しておるわけでございますが、具体的に地震が発生をいたしました場合には、これは地震の規模あるいは当該地点における状況によりましても異なるわけでございますが、例えば高速道路で、震度四以上の地震が発生いたしました場合には、まず速度規制を五十キロ以下にする等の、いわゆる低速の走行をする等の規制をいたします。またさらに、震度五以上の大きな地震の場合には、インターを閉鎖いたしますとか、あるいは本線の通行どめをするというような、必要な交通規制をかけまして、必要な避難誘導等の措置を講ずることといたしております。
  70. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 災害時における犯罪の予防、交通の規制、その他社会秩序の維持等々、警察庁にはまたよろしく平素から対応をお願いしたいと思います。  運輸大臣に伺いたいのでございますが、交通機関のそういう災害時対策はいつも万全の対応をとっていただいておりますけれども、地震や風水害、そういう災害発生の場合の交通機関、これは被害を最小限に食いとめるとか、そうして広域的な被害を受けた場合には救援物資の運搬、災害復旧の機材の運搬、そういうものが、せっかくこういう架橋ができながら、トンネルもですよ、災害時になりますと全然使えない、またもとに戻っていく、こういうこともあるのでございます。交通機関の災害時対策というものは、これは救援の場合も、そして災害時のいろんな対応も一番大変だと思うんです。私、今東京湾の主体的なことを言っておりまするが、全体的にも非常に対応というものは大事だと思うんです。  運輸大臣として、災害時の交通機関の対応、そういうことの大臣の見解をここで伺っておきたいと思います。
  71. 三塚博

    国務大臣三塚博君) 災害時におきまして、道路交通初め船舶航行、航空機も含め、交通手段が適切に運行できるようにしておかなければならぬというのも運輸行政の基本がな、こう思います。そういう意味で、どの災害にどのように対応できるかということは、災害は忘れたころにやってくるというような言葉にありますとおり、的確に想定をいたしまして対応できるかということに相なるわけでございますが、気象庁等と絶えず連携をとりながら、さらに警察庁、さらに交通手段はまさにそのインフラ部門の担当を同時にいただく建設省、国土庁という関係諸機関との連絡を絶えず密にさせていただきながら、特に、天然災害、自然災害ということに対応する準備体制については、想定をした常時訓練を国土庁においてやられるわけでございますので、これらを一つの起点としながら、さらに御指摘のように、どのケースでも交通が行けるように、特にこの横断道路、災害が起きました、東京湾の真ん中でどっちにも行きようがありませんでしたなどということがあってはならぬわけでありまして、その場合、仮にあったとすれば、海上保安庁を中心にしたそれに対する救助措置がどうとれるのか、まさにそういう点 で新たな一つの大きな研究課題、と言うよりも、想定した形でどう対応するか、こういう点で真剣にひとつ取り組んでまいりたいと思います。
  72. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 世界でもそうですが、日本の国でも自動車のリコール制度についていろいろと検討されております。これは欠陥車対策の強化の問題でございますけれども、トンネルの中を完全無欠な車でなしに、整備はその年度でされますけれども、やはりいろいろと欠陥車に近い走行の車があるわけですね。そうなってくると、トンネル内であれば、排ガスの問題とかいろんなもの、そしてもし事故が起きれば火災の要因であるとかいろんな条件がそこに備わってくるわけです。  これは警察庁に伺いたいのでございますけれども、この欠陥車の実態ですね、私が手元に持っているのには、国産車の欠陥車二百五十万台ぐらいというふうな数字も出ているんです。種類別は結構でございますので、大体つかんでいらっしゃる欠陥車の実態、まず警察庁に伺ってみたいと思います。
  73. 阿南一成

    説明員(阿南一成君) お答えします。  先生御質問の欠陥車の実態につきましては、実は私どもは欠陥車の取り締まり状況という形でしか把握はできておりませんのでありますが、この欠陥車の取り締まり状況につきましてもずばり先生の御質問に当ではまらないのではないかと思うんですけれども整備不良車両の運転の取り締まりという形で数字を持っております。これは、五十九年、六十年、ともに整備不良車両として検挙いたしましたものが約二十五万件でございます。ただし、これは実は暴走族対策を中心といたしまして、私ども、現場で警察官が見て整備不良であるとわかる車というものが中心になっております。  なお、メーカーにおきまして車両に欠陥があるとしてリコールをされた場合には、私どもといたしましては、速やかにその当該車両につきましては都道府県警察に対して通報をいたしまして、欠陥車に起因する事件、事故等の捜査の万全を期しておるところでございます。
  74. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 環境庁に伺いますけれども、トンネルを含めて周辺がまた大変過密になりますけれども、そういう環境等の対応についてはどの程度まで取り組んでいらっしゃるのか伺ってみたいと思います。
  75. 瀬田信哉

    説明員(瀬田信哉君) お答え申し上げます。  本計画は、東京湾における大規模なプロジェクトでございますので、建設に際して適切な環境アセスメントを実施して、十分な措置を講ずるなどの配慮が必要かと思います。先ほども道路局長がお答えいたしましたように、五十九年の八月に閣議決定されております環境影響評価実施要綱に基づきましてアセスメントが実施されるわけでございますので、その際に、環境庁といたしましても、公害の防止、自然環境の保全の観点から適切に対処してまいる所存でございます。
  76. 矢原秀男

    ○矢原秀男君 今後ともよろしくお願いしたいと思います。  最後の質問でございますけれども横断道路完成によります時点で、フェリーの補償問題とか従業員の雇用の問題とかいろいろ出てくると思うのでございますけれども、そういうふうな面につきましてはどういうふうな対応をされようとしていらっしゃるのか、経過を伺ってみたいと思います。
  77. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 東京湾横断道路建設は、先ほどから申し上げてございますように、会社建設工事を担当いたしまして、公団道路を所有し、基本的な調査及び設計、対外調整、用地買収等を行う方式で着手することといたしております。したがいまして、東京湾横断道路建設に伴いまして、東京湾の一般旅客定期航路事業等の海運事業の企業経営や従業員の雇用に与える影響という問題につきましては、日本道路公団が主体になりましていろいろな協議をこれからやるということになろうと思いますが、この問題は非常に重要な問題でございまして、今後慎重に検討を進めていきたいというふうに考えております。  具体的には、本法案がもしお認めいただければ、日本道路公団が、道路整備特別措置法による事業許可の申請をアセスメント後、環境影響評価後に行うことになります。その事業許可を受けた後に、関係者に対しまして計画説明意見の聴取等の種々の対応をとりまして、十分関係者と協議を重ねていく所存でございます。
  78. 内藤功

    内藤功君 東京湾横断道路につきまして、建設、運輸両者に御質問したいと思います。  この横断道は、東京湾船舶航行安全初め環境問題、それから漁業への影響など、東京湾の将来にとって重大な悪影響を及ぼす面があることを指摘せざるを得ません。本日、私は主として船舶航行の安全問題を中心に御質問したいと思います。  まず、建設省は、川崎側約五キロメーターの橋梁案を変更して、トンネル方式にするというお考えのように承っておりますが、どうか。もしそのようにした場合に、そのようにした最大の理由は、船舶航行関係を考慮したというふうに考えてよいかどうか。この点をまず伺います。
  79. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) そのとおりでございます。
  80. 内藤功

    内藤功君 そこで、次に運輸省にお伺いをしたいのでありますが、船舶航行関係で従来建設省と協議をしてきた中で、従来の橋梁案では問題がある、こういう意見を述べてきたと思うんですが、具体的にどういう難点、どういう心配があったのかということをお聞きしたい。
  81. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) お答えいたします。  これまでの川崎側橋梁案につきましては、今御指摘のございましたような、川崎側約五キロメートルの橋梁部分というものがかなり船舶航行が集中している地域でございまして、現在の自由な航行パターンというものを大幅に変更することになる。またさらに、かなり細かい間隔のピアもつくられるということになりますと、その辺の影響がまた大きいわけでございます。また一方、工事方法が、これまでの考え方では沈埋工法によるという考え方と承っておりましたが、この工法によりますと、やはり工事中に大幅に当該海域について船舶交通を制限せざるを得なくなる、こういう状況であったわけでございますが、ただいまお話がありましたように、川崎側についてもトンネルになる、それから工法についてもシールド工法によるということになりましたので、その辺につきましてかなり問題点が解消したものと、かように考えております。
  82. 内藤功

    内藤功君 問題は、台風のときの避泊地の問題が最大だと思います。橋梁ができることでとても避泊地がとれなくなって、東京湾が一層狭くなる、こういうことが一番のあなた方の御心配の点ではなかったのか。その点の御検討の経緯を伺います。
  83. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) お話にございましたように、台風という異常気象があった場合におきましての船舶の避泊の問題は、大きな問題でございます。  それにつきましては、何といいましても、現在において東京湾内台風が来たときにどのように利用されておるかということがまず重要な資料でございまして、幸い私どもは湾内三カ所にレーダーを設けまして、観音崎から以北の東京湾内についてはすべてレーダーによってその避泊状況というものを把握できるような状況になっております。したがいまして、この辺のレーダー写真の解析、あるいは錨泊している船にいろいろ実態調査をいたしまして、錨泊する船の立場からの考え方、御意見、そういうようなものを参考にしながら、これから綿密にこの避泊地の問題に対する考え方を整理しなければならないものと考えております。そのような方向で現在日本道路公団において委託いたしまして、日本海難防止協会におきましてその辺の検討が進みつつあるところだと、かように理解をしております。
  84. 内藤功

    内藤功君 台風六号、台風十四号、この接近時での具体的なデータはお持ちですか。
  85. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) 昭和五十八年におきま して台風五号、六号というのがほとんど同時にやってまいりましたが、五十八年の台風五、六号の場合は三百三十六隻、それから六十年の台風六号の場合は三百六十六隻が避泊をしております。
  86. 内藤功

    内藤功君 私の聞いている六号というのは去年昭和六十年六月三十日の台風六号、八月三十一日の台風十四号ですが。一番最近の。
  87. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) 説明が不足でございました。六十年の六月の台風六号が三百六十六隻、それから同年の台風十四号では三百二十四隻となっております。
  88. 内藤功

    内藤功君 東京湾には十二の錨地区分がなされていると思うんですが、この東京湾横断道路ができた場合の関係するのは何区と何区ですか。
  89. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) 十二の区分のうち第四区及び第九区でございます。
  90. 内藤功

    内藤功君 四区つまり川崎沖、九区つまり木更津沖ということであります。専門家意見を聞いたというんですが、私の方も専門家意見をいろいろ調べて勉強しております。  その一つとして、横須賀水先区の水先人、これは専門家ですが、坂元比さんという方の書いた「東京湾横断道路問題に関する海技者側からの一考察」、こういう文書があります。ここに、台風六号接近時は、六月三十日二十三時三十分現在二百五十五隻が湾内に避泊していた、十四号接近時の八月三十一日午前四時五十分当時は総数二百七十四隻が避泊していた、こういう数字が出ております。そうして、大型船の避泊地は横浜沖三区、川崎沖四区、東京沖五区、船橋沖六区、千葉片七区、盤洲鼻沖八区、それから木更津沖九区、中ノ瀬十二区、これが適地とされている。しかし、台風が来て、ある水域から退避勧告がされると、真っ先に大小船舶でこの一番いい適地は立錐の余地もない状態に埋まるのだというんですね。そして「横断道路計画周辺は、避泊地の最適地であるだけに、その影響度は計り知れないものがある」、こういうことを、この坂元比さんというベテランですよ、この人は、レポートで言っておるんです。  私、今お聞きしたところでは総数しか言わない。それからさっき同僚議員の質問に対しては、この付近には十数隻ですか、たまたまいなかったと言っておるんですが、それはどの時点の、どの時間のを言っているのか。私は、こういう専門家の見解を勉強する中で、あなた方専門家の保安庁側の御見解が非常に甘いのじゃないかという感をぬぐい切れないわけなんですね。再度伺います。
  91. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) 初めに、日本海事新聞に載りました、今先生の御指摘のありました記事の中の数字でございますけれども、私どもが先ほど申し上げた数字は私どもとしてレーダー観測し記録にとってあるものの解析したものでございますので、私どもとしては十分根拠のあるものだと、かように考えております。  それから四区、九区の船の数でございますけれども、御案内のように四区、九区といいましても大変広い面積でございまして、その区域の中のすべての船に避泊地の問題があると考えることはやや妥当ではないのではないか、かように考えております。  それから、台風が来るということは大体現在の気象予報技術の上から観測がつくわけでございますので、私ども東京湾海上交通センターにおきまして、今御紹介のございました十二の区分につきましてそれぞれのその時点時点における船舶避泊状況というものを流しまして、その情報に基づいてそれぞれの船が自分たちで最も最適の避泊区域を選べるようにお助けする、こんなようなこともやって台風来襲時における東京湾内の避泊地あるいは避泊に伴う混乱等の防止を図っておるところでございます。
  92. 内藤功

    内藤功君 繰り返して聞きますが、この坂元さんという人は非常なベテランで、豊かな経験を持った方なんですよ。  それだけじゃないんですね。台風のときどんなふうな状況になるかということをリアルに描いているのは、「浦賀水道を経て東京湾内に出入するこれらの船舶が、時として台風が接近し、或はその他の異常気象に遭遇すれば、安心して羽を休めるための安全避泊地を求めるのは当然のことである。が然し、東京湾内の水域は、現状ですらも、既にこれらのすべての船を受け入れる安全避泊地としての余裕はないと云われている」、こう言っております。その次に、「私どもパイロットは、台風接近情報にもとづく警戒態勢に入れば、在港船舶の港外避難勧告が出され次第、各港に繋留中の各船を港外に出し、湾内各地に投錨避泊させる一方、東京湾内に逃げ込む船を安全に湾内避泊させ、或は東京湾外に出て行く船をいち早く出帆させる等々忙しい限りである」。現状でも「安全避泊地の余裕はみられない」。もしそこに「横断道路をつくるために、人工島をつくり、或は換気塔を建てるともなれば、その周辺は避泊不能となるはもちろん、万一本船の走錨事故が起った場合、これまでにもしばしば数隻の船が走錨したとの報告がなされているが、これらが人工島、或は換気塔に激突すれば、不測の災害を招くおそれがあり」、さらに「二次、三次の悪影響は計り知れない」。  あなたもこの論文は御承知のようだからこれ以上は読みませんが、こういう専門のパイロットの人がこれだけの危惧を人工島問題、横断道について提起している。これは真剣に受けとめていかなければいけない。これについては甘い判断を専門のお役所が下すということは私はしないようにしてもらいたいと切に要望したいと思いますが、いかがですか。ここまで具体的に指摘しているんですよ。
  93. 岡田專治

    政府委員岡田專治君) 私どももその記事については存じ上げております。その中でのいろいろな御意見があるわけでございますけれども、何と申しましても一人のお方の御意見でございます。十分に聞くべきところもあろうかと思いますが、ただいま、先ほどもちょっと申し上げましたように、日本道路公団におきまして専門家を集めまして客観的なデータを集め、これについての考え方、対策について整理をしつつあるところでございますので、私どももその場におきまして十分主張すべきことは主張し間違いのないようにいたしたいと考えております。
  94. 内藤功

    内藤功君 今、一人の人ということを言われたので、私、言葉じりをとらえるわけじゃないけれども、これは一人の人じゃないんですね。昨年の七月に「東京湾横断道路建設計画に関する要望について」という要望書が出されております。建設大臣運輸大臣、御存じだと思いますが、これは日本船主協会、日本内航海運組合総連合会、日本旅客船協会、全日本海員組合、日本パイロット協会、日本船長協会、日本航海士会、この七団体ですよ。  この七団体が去年の七月に運輸省建設省その他の各官庁にこれを要望して、「われわれは当初からこの計画反対の立場をとり、都度関係方面に意見を開陳してきたところであります」、「われわれは、東京湾をこれ以上狭めるような計画には基本的に反対であり、東京湾横断道路計画案については、これまで指摘してきた問題点が依然として内在していることから、これら諸問題に関し、解決策が講じられない限り、本計画は推進すべきでないと考え、ここに連名にて要請いたします」ということで出しておるわけです。  これは、一人ところじゃないですね、こういう専門家の集団であります。非常な重みであると思いますね。この軽視は、私は許されないと思うんです。これをどういうふうに受けとめるか、これらの方々、これらの団体にどういうふうに納得と了解を得るか、こういうことなしに私は実現の見通しなんというのは出てこないと思うんです。これはひとつ建設大臣運輸大臣にお願いをしたいと思います。
  95. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 海事七団体から今御意見のような要望が出されましたことは、私もよく存じております。これは、これらを受けましていわゆる海上交通安全調査委員会において専門家検討していただいた結果、川崎側十キロをトンネルにしよう、こういうことに実はなったわけでありまして、この要望が出たのは、川崎側五キロ、 それから木更津側五キロを橋梁として真ん中をトンネルにするという案のときのこれは要望書であります。したがいまして、川崎側十キロについてトンネルにしたことで一応これらの皆さんはある程度の安心をなさった。したがって今申し上げました安全調査委員会に、専門家の委員会にこの海事七団体のうちの六団体が加入していただいて、これから専門的な立場でそれぞれ御意見をいただく、こういうことに実はなったわけであります。  それから、当初御意向のありました横須賀の水先案内人の坂元さんという方の意見も大変大事なことでありますから、この方もこのレポートを発表された後に実は専門委員の一人として御参加をいただいて、これから海上交通安全についてのいろいろな御示唆を願う、御審議を願うということに実はいたしておりまして、私ども反対意見を持っておる方は持っておる方だけに大事にして、それらの御意見を聞きながら万全を期していこう。したがいまして、先般、参考人の御意見でも、十二分にこれからの海上航行についての安全策を講ずれば木更津側五キロ、川崎側十キロのトンネルでもって大体海上航行の安全は保てるであろう、こういう御意見のありましたことも申し添えておきたいと思います。  しかし、いずれにしましても、この限られた海面でのことでありますから、こうした御意見は私ども十分参酌をいたします。海上交通の安全が保てないようなそういう横断道路建設はあり得ない。したがいまして、これらの専門家意見は十分拝聴して万全を期してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  96. 内藤功

    内藤功君 一たん事故が起きればこれはもう大変な、特にタンカーが多くなっておりますからね、非常に重大な事故が発生するということで、今大臣答弁の中の一番最後のところで強調された点、これを本当に実行していただくように強く要望しておきたい。  なお、海上保安庁の御答弁なんかを聞きますと、必ずしもこういう坂元比さんだとか海事七団体意見がまだまだ十分に受け入れられていないような感を私は深くしますので、このことも強く要望しておきたいと思います。  そこで具体的に聞きますが、この避泊地の計画、構想などについては今後の作業あるいは一定の見解の発表等の予定はあるのか、それはどういうふうな見通しであるのかという点を次に伺いたいと思います。
  97. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 船舶航行安全問題につきましては、ただいま大臣からも御説明いたしましたように、学識経験者等から成ります海上交通安全調査委員会におきましてずっと調査を進めてまいりました。現段階での調査はある程度終わりまして、近く最終報告書をまとめる段階でございます。最終報告書がまとまりましたら、いわゆる関係者にこれを順次御説明申し上げまして、このような状況であるという調査結果に基づきまして次に安全対策を樹立することが必要になります。この安全対策を樹立するためのまたそれなりの協議を重ねまして、事業に着手するまでの間に皆様方の合意の得られる安全対策をつくり上げていきたい、こういうことを考えている次第でございます。
  98. 内藤功

    内藤功君 局長、この報告書はいつごろということですか。
  99. 萩原浩

    政府委員萩原浩君) 今のところ、作業を進めておりますが、今の予定では大体六月までに、六月までといいますか、六月中にはでき上がるというふうな作業の進行状況でございます。
  100. 内藤功

    内藤功君 環境庁は来ておりますか。−報道によりますと、四月の二十一日に森環境庁長官が千葉政経懇和会の例会で「房総の環境と東京湾横断道路」、こういう題目で講演をし、その中で、東京湾横断道路建設で懸念されている環境悪化問題について真剣に取り組む意向を表明したと伝えられております。  環境庁としての、この東京湾横断道路問題についての基本的な認識と、これに臨む基本的な態度というものを改めてお伺いをしておきたいと思うんです。
  101. 瀬田信哉

    説明員(瀬田信哉君) お答え申し上げます。  大臣が一昨日講演をした中身でございますけれども、環境と申しますのは大気、水、土、その他生き物といったもので構成されているものでございまして、それらが一たん汚染されますとその回復に非常な努力を必要とする。この努力の中には費用あるいは時間といったものも含まれるわけでございますけれども、そういったことから環境汚染の未然防止を図るということが非常に重要であるというようなことの背景といたしまして、東京湾横断道路計画というものが東京湾における大規模なプロジェクトであるだけに環境面での危惧されるようなことがあればそれを未然に防止するという必要があることを強調されたものだと考えております。  環境庁といたしましても、当然のことでございますけれども、環境アセスメントというものが事業者によって行われるわけでございますから、それが環境庁に提出された際に慎重に、真剣に取り組んで対処していくということでございます。大臣が申されました真剣に取り組むという趣旨は、そういうことと私ども受けとめております。
  102. 内藤功

    内藤功君 終わります。
  103. 青木茂

    ○青木茂君 与えられた時間が六分でございますから、建設省と大蔵省に一問ずつ御質問申し上げます。  まず建設大臣にお伺いしたいんですけれども中曽根内閣の最大の経済課題は内需拡大にあるというふうに言われております。建設大臣といえども中曽根内閣の一員だから、この内需拡大ということには非常に腐心をしておられると思いますね。この東京湾横断道路というのが、どうでしょう、この内需拡大ということに通じるのかどうか、これをお考えになったことがございますでしょうか。
  104. 江藤隆美

    国務大臣江藤隆美君) 大鳴門橋が昨年完成を見まして開通を見たわけであります。大鳴門橋の建設の過程を見てみますと、おおよそこれに参加した企業が元請で百六十六社、うち中小企業が五十六社、下請が五百社、約七百社近くのものが大小参加をいたしまして、そうして百六十六万人の人々が働いておる、こういうことでございますから、これはやっぱり原材料の調達から、物の移動から、あるいはまた生活から、もろもろのものに関係しないはずがない。  ましてや、東京湾横断道路は、単なる橋だけではございませんで、トンネルもありますし、あるいはまた人工島もあります、取りつけ道路もございます。それから先ほどちょっと申し上げましたが、一兆一千五百億でつくりますが、これに関係する東関東自動車道路から湾岸道路から、あるいはまた首都圏環状、中央連絡道、川崎縦貫道から全部を入れると、およそまだ建設省道路だけで七兆八千億の投資を必要とする、こういう大プロジェクトでありますから、私は、これは内需拡大、景気刺激に大いに役立つものである、こういうふうに考えておるところでございます。
  105. 青木茂

    ○青木茂君 今問題になっている内需拡大というのは、急ぐんです、十年待てないわけですよね。つまりは、この横断道路というものは一兆一千五百億円ですか、これが十年負担、えらいのんびりしたものなんです。ですから、内需拡大の即効性、今一番急がれているものは即効性ある内需拡大ですね。これにどうもストレートに役立つというふうには思えないんで、ここのところはもう少し御議論を申し上げたいところですけれども、何分にも六分じゃ仕方がないから次の質問に移ります。  それでちょっと大蔵省に伺いたいんですけれども、この東京湾横断道路で特別公共事業債、いわゆる割引債ですね、割引債をお出しになるけれども、どうも税制で課税ベースを広げなければいけないと言っているときに、一つの特例というのか、優遇税制をまたここで出してしまうんですけれども、そこら辺のところは大蔵省はもう、双手も挙げてというのか片手を挙げてかそれは知りませんけれども、心から御納得の上でそういうふうになさったんですかね、ちょっとそれを伺いたい んです。
  106. 角谷正彦

    政府委員(角谷正彦君) 東京湾横断道路資金調達につきましては、これが非常に大規模なプロジェクトであるということと、それから民間が担当してやるということでございますので、資金調達はなるたけ多様化して安定的な資金を確保したいという要請があるわけでございます。そういった意味で、従来社債は利付債ということでございますが、それに加えまして、この事業に限りましていわば個人貯蓄を活用するという観点で割引債の発行を行い得るようにしたわけでございます。  今税制改正との関連が問題になりましたけれども、割引債につきましては、御案内のようにもう一六%の源泉徴収課税がかかっておりますこの利子配当課税をどうするかという問題は、これは今税制調査会でいろいろ議論をされている段階でございますので、この点についてどうこうということを今の段階で申し上げるのはちょっと差し控えさせていただきたいというふうに存じております。
  107. 青木茂

    ○青木茂君 あと三十秒しかございませんが。とにかくこういうことをやりますと、これは高額所得者だとか企業にとって格好な投資対象になるんですよ。そして、どうしても偏ってしまう。だから私は、割引債というような超優遇税制を追加してまで、内需拡大に即効性必ずしもあると言えないものをどうして急がなきやならないのかという、大変な疑問を持っています。  時間が来てしまいましたから、これで終わります。
  108. 小山一平

    委員長小山一平君) 以上をもちまして本連合審査会は終了いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十分散会