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上田耕一郎君 江藤
大臣から論争を吹っかけられたので私も一言予定外のことを言わなきゃなりませんけれど、赤旗を引用するとあれですから日経ビジネスを少し引用しておきます。
日経ビジネスというこれは日本経済新聞の出している雑誌ですが、その一月二十日号に「世界最大の債権国日本の実態」という特集が数十ページあります。これには、内需拡大といったってままならない、ところが国民生活は非常に貧しい、そういう日本が何で世界一の債権国になっているのだろうか、こういう矛盾は戦後四十年続いた企業を強化する仕組みにあるのだということを数十ページ書いてあります。データを詳しく書いてあります。例えば経済成長の配分、企業と労働者への配分ね、これは西ドイツの三倍日本は企業に厚いという、フランスの二倍厚いというんです。そのくらい経済成長の実りを企業がどんどん取り込んでやっているわけですよ。この十年間に、二千四百数十社の資本金十億円以上の大企業の内部留保は、十八兆から五十一兆円、三倍になっているんです。そのかわり実質賃金は一一四ですよ。それが日本の実態なんです。
だから、私が大企業と言うと、いや大企業だって大したことはないとおっしゃる
大臣の認識をひとつ改めていただきたいという反論を、一言言っておきます。
それで、余り時間がなくなってきちゃったんですが、今の問題ともかかわりがあるんですけれ
ども、四月三十日付で、先ほ
ども議論になりました、特殊法人についての小
委員会の報告が出たわけですね。これは今後の
住宅政策、
都市政策に非常に大きな影響を与えるものだと思うんです。住都
公団、それから
公団自治協、それから
団地サービス労働組合の三者は共同声明をすぐ発表して、これは
公団を建てかえ
公団化するものであり、再
開発公団化するものだ、民営化は言葉はなくなったとしても、縮小、改悪だという、非常に強い厳しい共同声明を発表しました。
これは、今の
新住法の
改正問題とも関連があるというのは、この報告書そのものにはこう書いてあるわけですね。「
ニュータウン等新
市街地における
都市開発事業については、採算性が十分あり、かつ、緊要性が極めて高いことが明らかなものにつき行う」、一応やるということになっておる。私はここに、三月二十日付のこの小
委員会の「個別対象法人についての主要検討事項(その三)」という文書のコピーを持っています。これには「
ニュータウン等新
市街地における基盤整備
事業については、新規の
土地取得を中止することの是非」という原案だったんです。行革審の小
委員会は、もう新規の
ニュータウンは、
都市整備公団は中止だ、さあどうだということになって、いろいろ議論があって、限定的にはやろうという、これが残ったんだと思うんですね。
丸山総裁がうなずいている、頑張られたのかもしれません、また
建設省も頑張ったのかもしれませんけれ
ども、しかし全体として行革審が考えているのは、
ニュータウンからの撤退なんですよ。そうすると、
新住法をつくって、職住近接であなたのお好きな大企業がいろいろ来る、しかし、それについて一番ノーハウを持っている住都
公団は撤退の方向に行くんですよ。あとは後始末でしょう。僕は、そういうことで、今度
新住法を一部
改正して、さあ職住近接ができる、準
工業団地にできる、いろいろ始まるでしょう。これをだれが責任を持つのか。責任を持つ主体も本当に衰えていく懸念があるということを一言指摘しておきたいと思うんです。
それで、もう余り時間もございませんので、
丸山総裁がいらしておるのでぜひお聞きしたいんだけれ
ども、賃貸
住宅問題です。
この報告書では、新規
建設については二
大都市圏に重点化するということになっている。それで建てかえ、立体化が
中心だというんでしょう。
丸山総裁は、朝日新聞のインタビューがございますけれ
ども、朝日新聞のインタビュー、去年の十月二十二日で、建てかえ問題を重視される話をしておられます。「年間一万戸ぐらいのペースで建て替えを進めたい」、家賃は三倍ぐらいになる、こうおっしゃっておるわけですね。このインタビューでの
総裁のお考えと、それから今度の報告書での建てかえ、立体化、これを
中心にしていくという
状況ですね。こういう方向に進むと、今の働く人々の間で公共賃貸
住宅に対する要求というものはますます高まっていると思うんだけれ
ども、そういう国民の要求に対して住都
公団はこたえ得るのかどうか、ここら辺の問題について
総裁のお考えをはっきりお伺いしたいと思います。