○国務大臣(江藤隆美君) この前
国土庁が発表いたしましたのは、今の日本における、特に東京におけるビル
需要はサンシャインビルが二百五十棟ぐらい必要でありますということを、おおよそ床面積で五千ヘクタールというものが必要でありましょうということを発表されたと思いますが、御
承知のように、今我が国もだんだん国際社会のリーダーとなりつつある今日、大体銀行、証券に従事する人が東京は十七万、ロンドンが五十万、そしてニューヨークが七十五万というわけですから、少なくとも今物すごい勢いで東京の都心部に対してビル
需要というものが殺到しておる。それから、非常にコンピューターを使うようになって一人当たりの事務所面積をたくさん必要とするようになったというようなこともありまして、今全く満杯状態にある。したがって、一坪五千万とか一億二千万というようなとてつもない地価が飛び出す、こういうことになりまして、この傾向というのはとめ
どもなく進む。
そうなると、一体政治は何をしておるんだ、そうした外国から進出するビル
需要にも追いつかない上に、どんどん地価は高騰していく。こういうことになりますと、私
どもはやっぱりよりよき代替地を早急に供給するということと同時に、それらの外部からの要望にいち早くこたえていくという体制をつくらなきゃいけない。それには、それなら国が一体二百五十棟もサンシャインビルを建てるかといったってそんなことはできないわけでありまして、私
どもがやることはいわゆる都市の再
開発、例えば
道路ですとか、下水道ですとか、あるいは都市公園ですとか、そういうもろもみの社会資本の充実は私
どもがやりますが、中に物を
建てていく、あるいは新設をするということは、どうしても
民間のいわゆる力によらざるを得ない。
そこに一つの
民活というものの重要性が生まれてくるわけでありまして、私
どもは、
民活が先にあってそこそこの
計画を進めていくというものではありません。
それからもう一つ、総理が役人の物を言うのをはねのけて、抵抗をはねのけて
民活を進めると大号令をかけたと言われますが、私に対してはそういうことを言われたことはありません。
私が総理に言っておりますことは、理屈に合わないことはできないんです、理屈に合わないことはいかなる権力をもってしてでもできないんです。例えば環六の内側は、特に東京二十三区は平均すると一人当たりの土地の所有というのは大体百平米以下です、それが四四・五%あります。四
メーター以下の
道路に面して家が建っておるのが四〇%あります。だから、そういうところをめちゃくちゃに規制緩和をして、容積率をどんどん伸ばして、ああどんどん五階でも十階でも建てよと言ったら、まるで鉛筆みたいな建物がしょんしょんしょんしょん建ってきて、そんなものは良好な市街地というものにはならないのです、ですから、都市
計画をやる、区画整理
事業をやる、
道路をつくる、下水をつくるして、車が入っても人々が住んでもよりよい
環境が満たされるというものでなければ、それは都市
計画にはならぬのですという話を私はずっとしてきたわけです。
総理が、何が何でも、役人の抵抗を押しのけてでもおまえがやれと言ったことはありません。また、言っても聞きはしませんからそういうことはおっしゃらないんだと思います。専門家の
意見というものを十分に聞く。やっぱりそれでみんな何十年とやってきておるんですから、それは私なんかの頭というのはハチの巣の空になったようなもので中身が余り入ってないんですから、専門家がそれぞれ一生懸命研究しておりますので、その集大成を私
どもはまとめて、そして国の一つの施策の軌道に乗せていく、総理は高い次元からそれを判断していただく、こういう立場だろうと思って私は総理にお仕えをしておるという状況であります。