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上田耕一郎君 実際にこれを調査してみます
と、数字では簡単にいかないいろんな問題があるんです。
ここに、運輸省の出した「肢体障害者車いす利用者 公共
交通機関利用ガイドブック」というのがあるんですね、首都圏の。例えば、上野駅があって、上野駅の駅内にたった一カ所あるんですよ、障害者用のトイレが。ここにちゃんと車いすの絵がついているんです。私は去年、国鉄労組の上野分会、市民、それから障害者の方と一緒に、この上野駅を全部調査して歩いたことがあるんです。これは
一つ一つの階段を車いすを担いで上ると大変なんですよ。それで、ここのきれいにかいてあるところへ行ってみました。これは古いトイレで、入っても、階段がありまして、段差があって車いすが全然通れないんですよ。行ってみると使えないんですね。これは国鉄の駅と交渉をし、僕は国鉄の本社まで行って、ではつくりますということでようやくここは直って、車いす障害者用のトイレになりましたけれども、実際に行ってみるとそういう
状況なんですね。
それから、私鉄も、今運輸省は
指導をしていると言われたけれども、私鉄は恐るべきところがあって、これも去年の例なんですが、これは障害者用だけじゃないんだが、東急は、新玉川線で大体トイレがない駅がずらっとあった。これはおととしあたりから私どもも皆さんと一緒に取り組んで、運輸省もあきれて、これは何でトイレをつくらないんだと。これは採算のためだろうというのですな。幾ら何でも地下鉄にトイレがないというのはひどいというので、去年、駅へ
一つつくらせましたよ、トイレを。これから幾つかつくるというのだけれども、実際には私鉄というのはそういう
状況があるのですね。
東京の
交通問題では、ボランティアの人たちも一生懸命やっていますし、全国身体障害者笹の会、これは浅間郁夫さんが会長で、この方は電動いすで歩いているんですけれども、いろんな方々が東京じゅうのマップをつくって全部調べているのですよね、本当に歩けるのかどうかを。私、去年、浅間会長が電動いすで来られたので、そこの有楽町線の永田町駅へ実際に行ってみましたよ。それで、前から言ってあったので、さあ来ましたというので駅に行ったら、駅の方が四、五人来ました。電動いすというのは重いのですね。それで、自民党本部のそばのあそこの入り口から、四人ぐらいで電動いすを抱えて階段をおりてくるんですよ。これは大変なことですね。
実情はそういうことで、車いす、電動いすで東京を本当に鉄道で、地下鉄、私鉄、国鉄に乗って歩くというのは、それはもう前島さんも一生懸命おやりになっているけれども、本当に大変で、今の
答弁でそれぞれの駅の対応ということが言われたけれども、そうなんですね。
それで、ここではもう時間もございませんので一々申し上げませんけれども、本当はエレベーターがいいんですよね、エスカレーターよりも。エスカレーターは上りはまだいいけれども、特に下りを担いでなんといったら、落としたらこれは本当に大けがをしてしまいますから、やっぱりエレベーターがいいんです。スウェーデンなんかはほとんどエレベーターを各駅につくってあるんですね。
このエレベーター問題で
先ほどの笹の会の方々がいろいろ交渉をしております。例えば、京王電鉄との交渉の書類がここにありますけれども、笹塚駅、初台、幡ケ谷駅等々にエレベーターをつけてくれ、こういう要望が出ているのです。そしてこれは京王の回答です。「ご要望の場所にエレベーターを
設置することは構造上又、用地の
関係から困難です。」という
答弁であるわけですね。それは多少は、特に地下鉄のところにエレベーターをというと、これは用地も、それからお金もかかるからなかなか大変なことはわかりますけれども、ここで私は大きな問題として考えなければならぬのは、内需
拡大という点で、専門家からこういう障害者用、
高齢者用のエレベーター
設置等々について提案が出ているんです。
それは東経大の柴田徳衛教授、この方は美濃部知事
時代に企画
局長だったかな、東京都の筆頭
局長で大変お仕事をなさった方ですけれども、都市問題の専門家です。世界じゅうの都市を歩いておられるし、NHKでもかなり長く連続の都市問題の講義をおやりになった方ですが、この柴田徳衛教授は、これから
高齢化社会が来るから、
高齢者、障害者のために国鉄、私鉄等々の駅にエレベーターをつくるとこれは相当な投資額になると言うのですね。民活民活でいろいろ、東京湾
横断道路問題もそのうち
参議院の
建設委員会にも特別
措置法が来ますけれども、そういう、我々はあれは大企業本位でだめだと思っていますけれども、そういう大企業
中心の民活
計画という
考え方ではなく、例えば障害者、
高齢者のために本当にエレベーター
設置を本格的にやるとこれは内需
拡大にもなるし、非常に膨大な投資の場所になるんですね。そういう点で、きょう議題になっております
交通安全、住みよい
日本の国土、それから
道路、鉄道というものをつくるという意味でこういうことは本当に国の政策の
基本にかかわるのだけれども、考えるべきときに既にもうなっているのじゃないかと私ども思うんです。
最後に大臣のお考えをお伺いしたいと思います。