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梶原敬義君 私は、日本社会党を代表して、
昭和五十八年度
決算外二件に対しまして、是認しないとともに、
委員長提案の警告案に対しましては、賛成の意を表するものであります。
以下、
決算外二件に対する反対の理由について申し上げます。
その第一は、防衛費の突出であります。
昭和五十八年度一般歳出予算は実質マイナスという厳しい中で、防衛
関係費の伸び率は六・五%、増加額千六百八十一億円は、社会保障
関係費の伸び率〇・六%、増加額五百四十九億円を大きく上回り、このことは防衛費の特別扱いを意味し、すべての歳出に聖域を設けることなく切り込むという予算編成方針を、財政当局みずからがほごにした結果であります。防衛
関係費の特質である後年度負担額もさらに増加し、防衛
関係費本体の七二%に上る一兆五千七百五十億円の巨額に達しております。防衛力増強型の予算執行がなされたのであります。
その第二は、財政経済運営の失敗であります。
当初の目標は、国内民間需要を中心とした景気の着実な拡大と雇用の安定、調和ある対外経済
関係の形成、我が国経済社会の均衡のとれた発展などでありましたが、今日まで何らの改善がなされなかったばかりか、むしろ事態を一層悪化させたのであります。その結果、諸外国からは我が国の産業構造の転換を求められるという屈辱的な事態に中曽根内閣はなすすべもなく、
総理は多額な予備費を使ってアメリカに渡り、レーガン大統領と国際通貨問題に事前に話をつけたつもりの東京サミットでは、思惑は見事に外れ、それ以後は孤立無援の円独歩高となり、我が国の中小企業を瀕死の重傷に陥れたため、あすをも知れない状態にあえいでいるのであります。まさに円高に対する中曽根
政府の政治
責任は重大であります。
第三は、対フィリピン経済援助をめぐる疑惑であります。
発展途上国の国民の生活の向上と民生の安定のために行われているはずのものが、日本国内に還流をして日本の政治家の懐に入っているという
うわさが従来から
指摘をされておりました。ところが、今回マルコス独裁政権の失脚によって、その一端を裏づけるものが出てまいりましたが、この疑惑を糾明すべき
国会への
政府側の非
協力は、疑惑を隠ぺいしようとする態度であり、言語道断であります。
本
委員会では、
昭和四十六年度決算に際して、経済
協力に関する警告を発しているにもかかわらず、このように相手国の政変によって明らかになるまで事態の改善がなされないまま漫然と援助を続けてきた
政府の
責任も極めて重大であると言わなければなりません。
第四は、政界、官界を渦巻く汚職のオンパレードであります。
住・都公団、道路公団、海洋科学技術センター、国鉄、建設省近畿地建などにおいて収賄事件が続々と発生しておりましたが、それに加えて本年三月、通産省高級官僚が逮捕をされました。ところが通産省では、あの程度で逮捕されるのなら通産省の職員はほとんど逮捕されるという内部告発があると聞くが、産業界との癒着は著しく、その体質は依然として改まっていないのではないかと危惧するのであります。その後、一気に政界に波及をして、今月一日、衆議院議員二名が収賄罪で起訴をされました。この
撚糸工連については、五十三年、五十四年両年度において既にその貸し付けの不当性について会計検査院から
指摘をされていた
団体でありますが、中小繊維産業を救済する目的で設けられた国の施策が、悪用をされ、食い物にされ、汚職にも発展するということは、国民の信頼を裏切る事態であり、まことに憤りを感ぜざるを得ません。
第五は、相も変わらぬむだ遣いであります。
まず
原子力船「むつ」は、佐世保の修理に当たって、
係船料を支払う際に相手の言いなりに支払い、その額は、運輸省の所管する公共港湾の
係船料の何と六十六倍にも上り、一方、放送衛星ゆり二号aについては、宇宙開発事業団、通信・放送衛星機構、日本放送協会で故障の
責任をなすり合い、最終的に受信料支払い者に転嫁をして事足れりとしているのであります。まことに無
責任体制と言わざるを得ません。さらに通産省の庁舎建設に当たって建設省が重複積算を行った事例も、国費の厳正な執行の観点から問題であります。
以上述べてまいりましたように、五十八年度の
政府の財政執行と、本
委員会の
審査で取り上げられました改善を要する数々の問題を考えますときに、本五十八年度
決算外二件を到底容認するわけにはまいりません。
委員長提案の警告に対しては、
政府は十分に反省し、改善に努め、速やかに警告の趣旨の実現を強く要望して、反対討論を終わります。